○議長(増子ひろき君) 八番漢人あきこさん。
〔八番漢人あきこ君登壇〕
○八番(漢人あきこ君) 最後の質問は、グリーンな東京、漢人あきこです。
世界の成長を牽引する都市、東京の成長を確固たるものとし、日本を牽引していく、世界で一番の都市東京を実現すべく、より高い成長曲線で東京の未来を描いていく、これは新しい基本計画、二〇五〇東京戦略案の一節です。この小池都政の高揚感と自信を支えているのは、富の一極集中、インフレや円安に助けられた企業収益の拡大、金融利得の恩恵を受けた富裕層の増加、そして、それらを背景とした都財政の好転です。
しかし、その対極で格差や貧困は拡大し、人権と公正への乱暴な攻撃が横行し、切迫した気候危機の中で、人間も含めた生物多様性の土台となる水と緑がコンクリートの構造物で深く傷つけられようとしています。
公共事業の嵐や技術革新の競争ではなく、人間社会の豊かな支え合いと自然との共生の中にこそ未来があると私は確信しています。
このような視点に立ち、一期目最後の一般質問を行います。
まず、自然再生推進法及び生物多様性地域戦略と優先整備路線の都市計画道路小金井二路線について質問します。
小金井三・四・一号線と三・四・一一号線の建設が予定されている国分寺崖線は、小金井市域だけでも、既に鉄道や幹線道路、住宅開発により寸断され、湧水を集めて流れる野川は、五十年前は生活排水も流れ込み、どぶ川と化していましたが、下水道整備、雨水浸透ます設置、市民によるクリーン作戦などで清流へと復活いたしました。
そして、二〇〇五年には、道路予定地も含む地域は、都内で唯一、現在全国で二十七か所の自然再生推進法による野川第一・第二調節池地区自然再生協議会が設置され、都、小金井市、市民が連携した復元事業も成果を上げ、生物多様性の劣化を食い止める取組が続けられてきました。
今では、野川には清流の宝石、カワセミが戻り、食物連鎖の頂点の猛禽類も八種確認され、オオタカは近くの雑木林で営巣、繁殖し、道路予定地の上空を舞っています。夜行性のフクロウも、絶滅危惧種のキンランも確認されています。
野川に蛍をよみがえらせる取組も四十年近く前から行われ、この数年は二百頭を超え、今後、発生地域が広がることが期待されています。蛍が自然発生した地域は、道路予定地のすぐ下流です。
都は、二〇二三年、生物多様性地域戦略を策定。生物多様性の劣化をもたらした四つの危機の一番目に、開発などによる人間活動による危機を挙げ、道路などにより生態系のバランスが壊れ、絶滅の危機が生じているとしています。そして、生物多様性は人類の存続の基盤であるとの認識から、二〇三〇年までに回復軌道に乗せ、反転させるネーチャーポジティブを掲げました。
まず、野川第一・第二調節池地区自然再生協議会の取組の前と後での生育、生息生物の確認種及び重要種の変化を伺います。
次に、関連地域も含む野川第一、第二調節池地区の生物多様性の現状、成果と課題についての見解を伺います。
野川第一、第二調節池地区は、自然再生協議会の取組によって、二〇三〇年、ネーチャーポジティブの先進的な地域となっていると思いますが、いかがですか。
生物多様性地域戦略でも重視されている国分寺崖線の保全、再生において、小金井二路線の事業化はネーチャーポジティブに逆行すると思いますが、いかがですか。
小金井三・四・一一号線ほかの道路概略検討に記載されている重要種の生育、生息について、工事期間も含む道路事業の影響があれば、その種に対する具体的保全対策を明示すべきと思いますが、いかがですか。
小金井三・四・一一号線ほかの道路概略検討の後、ゲンジボタルの自然発生がありました。これについての今後の調査、対応の予定を伺います。
そして、新たな整備方針の策定スケジュールをお示しください。
最後に、新たな整備方針において、小金井二路線を見直し候補路線、計画内容再検討路線とすることを求めます。いかがですか。
次に、グリーンインフラを理念とも土台ともした都市政策に大胆に転換することを提案します。
再開発ビルの前庭のような緑化ではなく、固有の都市施設としての緑の確保、生態系を支え、人と自然の共生の場となるような緑の創出、独立した緑地帯としての街路樹の再生、都市の緑化を脱炭素社会に向けた取組の重要事業として位置づけることが求められており、グリーンインフラの強化は必須です。
東京グリーンビズにおいて、グリーンインフラはどのような考え方で位置づけられているか伺います。
とりわけ喫緊の課題として、巨費を投じたハード対策優先の治水対策を転換していくことが求められます。
豪雨対策におけるグリーンインフラの役割や効果について伺います。
次に、気候危機、緩和策の加速と適応策の強化について伺います。
昨年も世界の温室効果ガス排出量は過去最高を更新し、ロサンゼルスの大規模な山火事をはじめ、世界中で気候災害が頻発しています。日本でも酷暑が続き、想定外の豪雨や豪雪が起きています。
パリ協定の一・五度C目標は危機に瀕し、トランプ大統領のパリ協定離脱で、日本の責任と役割はますます大きくなっています。
ところが、二月十八日に閣議決定されたエネルギー基本計画や地球温暖化対策計画は、一・五度C目標に整合するものではありません。
アメリカでは、トランプ大統領によるパリ協定離脱に際して、二十四州の知事連合は、パリ協定の目標達成と気候汚染の削減に向けたアメリカの取組を継続すると宣言しました。日本でも、政府を上回る都道府県の連携した取組の強化が必要と考えますが、知事の姿勢を伺います。
都は、新築住宅の太陽光発電の義務化や浮体式洋上風力発電の推進など、様々な対策を進めていますが、二〇三〇年カーボンハーフの目標には届かないことが危惧されます。CO2削減策のさらなる強化が必要と考えますが、いかがですか。
二〇五〇東京戦略案において、二〇三五年までの温室効果ガス六〇%以上削減が示されましたが、IPCCやIEAが求めているのは、二〇三五年までに世界全体で六〇%削減、先進国は八〇%削減です。先進国としての責任を果たす、もっと高い数値を掲げるべきです。見解を伺います。
緩和策だけでなく、適応策の強化も必要です。
政府は、二〇三〇年までに熱中症死亡者半減の目標を打ち出しています。昨年の二十三区の熱中症死亡者の八四%以上が七十代以上の高齢者、そのうち九割はエアコンを使わず、二割はエアコンなしです。生活保護世帯の電気代高騰対策が求められており、生活保護問題対策全国会議は、厚労省に夏季加算創設等を求める要望を提出しました。
エアコンのない高齢世帯への現物給付や政府の対策が取られるまで、都としての生活保護世帯への夏季加算が必要と思いますが、いかがですか。
酷暑による学校教室の高温化はますます深刻で、エアコンの適切使用だけでは対応できません。断熱性向上の改築計画の前倒しや、最上階教室のピンポイントでの改修を行うべきです。いかがですか。
次に、パートナーシップ宣誓制度と同性婚、選択的夫婦別姓制度について伺います。
小池都政の三つのシティの一つ、ダイバーシティに基づけば、パートナーシップ宣誓制度は、性的マイノリティーのみを対象とするにとどまらず、多様な家族の在り方を包含する制度へと発展していくことが求められます。
既に多くの自治体で先行している事実婚カップルも対象とすること、また子供と親を含むファミリーシップ制度としませんか、伺います。
また、ダイバーシティ政策は、都政に限定していては、その目的は果たせません。
知事の同性婚と選択的夫婦別姓制度への見解について伺います。
今、国会での法整備への機運が高まっている中、小池知事、あるいは東京都からの積極的な発信に大いに期待します。
最後に、警視庁の公益通報制度について伺います。
大川原化工機による国家賠償請求訴訟の最中である二〇二三年秋、警視庁の警察官が三件の公益通報を行いました。しかし、数か月間、調査可否や受理についての連絡はなく、一方で、通報者に氏名や職員番号を教えることを求めるなど、権利擁護に反する対応があったと報道されています。
都の行政組織の公益通報制度の情報はホームページ上に公開されていますが、警視庁だけは要綱等を公表していないのはなぜですか。
警視庁の要綱では、速やかに当該通報をした者に対して、当該通報が受付窓口に到達した旨を通知するよう努めるとされていますが、どの程度の期間内に調査可否を連絡することが適切と考えていますか。
今回、通報者は不適切な対応を受け、外部通報を行ったと考えられます。現在の通報窓口の在り方に問題があるのではありませんか。見解を伺います。
都の要綱では、通報者の同意が得られない場合、その他確認に支障がある場合には、通報者の氏名等を確認しないとしていますが、警視庁の要綱は曖昧です。大川原化工機事件で通報者が繰り返し氏名等を聞かれた問題の一因になっていると思われます。より具体的な規定にすべきだと思いますが、いかがですか。
今、公益通報制度は注目され、その重要性が認識されつつあります。社会の公平性に大きな影響力を持つ警察組織として、公正で客観的な運用を求めます。いかがですか。
再質問を留保し、答弁を求めます。(拍手)
〔警視総監迫田裕治君登壇〕
○警視総監(迫田裕治君) 漢人あきこ議員の一般質問にお答えいたします。
まず、職員通報に関する要綱等の公開についてでありますが、警視庁における内部通報処理要綱につきましては、当庁の職員であれば容易にアクセスすることができる、そのような形としております。
引き続き、内部通報制度に関する周知の在り方については、適切なものとなるよう努めてまいります。
次に、内部通報した職員への調査に関する通知についてでありますが、当庁の内部通報処理要綱では、調査を開始する場合は、その旨及び開始時期を、調査を行わない場合は、その旨及びその理由を遅滞なく通報者に通知することなどを定めており、通知の具体的な時期については、個別の内容に応じて適切に対応することとしております。
次に、通報窓口の在り方についてですが、当庁の内部通報処理要綱に基づき、当庁の担当部署、また、それに加えて外部窓口として、当庁が契約している法律事務所を窓口として設定しております。それらを職員に周知しておりますところ、引き続き適切に機能するよう努めてまいります。
次に、通報者の氏名等の確認についてでありますが、一般論になりますけれども、通報者の保護を図りつつ、適切な連絡方法を判断する観点などから、可能な限り通報者の氏名等の説明を受けますが、通報者が氏名等を明らかにすることを明確に拒否される場合には、それ以上お尋ねすることはございません。
また、当庁の内部通報に関する規定が曖昧で、より具体的にすべきというご指摘についてですけれども、同要綱は公益通報者保護法の趣旨にのっとって策定したものです。引き続き、その適切な運用に努めてまいります。
最後に、公益通報制度に関する当庁の運用についてでありますけれども、当庁では、公益通報者保護法の実施のために内部通報処理要綱を定め、同法の趣旨にのっとった適切な運用に努めています。
今後も、各種の情勢も踏まえ、また同法の趣旨にのっとって適切な運用に努めてまいります。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕
○教育長(坂本雅彦君) 都立学校の断熱改修についてのご質問にお答えいたします。
都立学校において、空調設備の利用により、適切な教育環境を確保しております。
また、断熱性の向上について、省エネ・再エネ東京仕様によりまして、改築等の際に計画的に取組を行っております。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕
○東京都技監(谷崎馨一君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、新たな整備方針の策定についてでございます。
現在、新たな整備方針につきましては、学識経験者による委員会や、都と区市町による検討会を設置し、スケジュールを含め検討中でございます。
次に、新たな整備方針における路線の位置づけについてでございます。
現行の整備方針では、優先整備路線のほか、見直し候補路線、計画内容再検討路線等を位置づけております。
新たな整備方針における路線の位置づけにつきましては、引き続き、検討会等の場で議論してまいります。
最後に、グリーンインフラについてでございます。
豪雨対策では、河川や下水道の整備と併せて、グリーンインフラを含む雨水流出抑制策が有効であり、効果については現在検証を行っております。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕
○建設局長(花井徹夫君) 六点のご質問にお答えいたします。
まず、野川におけます自然再生協議会の取組についてでございますが、本協議会で、ため池などを整備しております。継続して実施しているモニタリングでは、植物や魚類などの確認種及び重要種は、概して増加しているとされております。
次に、野川第一・第二調節池地区における生物多様性についてでございますが、田んぼなどの整備により、草地が主体のエリアに湿地や水辺が創出され、確認種などが概して増加しているとされております。
また、田植などのイベントの参加者へのアンケートの調査では、植生観察など、環境教育への展開が望まれているとされております。
次に、野川第一・第二調節池地区における取組等についてでございますが、野川では自然再生推進法に基づき、野川第一・第二調節池等を事業対象地区とする全体構想を策定し、これまで自然再生事業に取り組んできております。
次に、小金井三・四・一号線及び三・四・一一号線ほかと交差する国分寺崖線の保全等についてでございますが、この二路線は武蔵野公園などの広域避難場所へのアクセス向上や生活道路への通過交通抑制による地域の安全性向上等に資する重要な路線でございます。
今後とも、東京都生物多様性地域戦略を踏まえまして、現地の地形状況や周辺の動植物の生息、生育状況等に配慮しつつ検討を行ってまいります。
次に、小金井三・四・一一号線ほかの生物等の保全対策についてでございますが、本路線につきましては、周辺環境に配慮した道路構造の検討を進め、昨年十二月、周辺地域や地下水への影響等を踏まえた最適な整備案として、橋梁案をオープンハウスでお示しいたしました。
引き続き、必要な保全対策等について検討を進めるなど、事業化に向けて着実に取り組んでまいります。
最後に、小金井三・四・一一号線ほかにおける調査の予定についてでございますが、本路線につきましては、周辺の動植物の生息、生育状況等を把握するため、計画道路付近の環境概況調査を実施し、令和三年十一月に調査報告書を取りまとめております。
この調査では、計画道路の両側約二百五十メートルの範囲内において昆虫類の調査を行っておりますが、ゲンジボタルは確認されておりません。
今後とも、関係法令に基づき、適切に対応してまいります。
〔政策企画局長佐藤章君登壇〕
○政策企画局長(佐藤章君) 東京グリーンビズにおけるグリーンインフラの質問にお答えします。
緑を生かす取組の中にグリーンインフラを位置づけ、自然が有する機能を豪雨対策などの社会課題の解決に活用することとしております。
〔環境局長須藤栄君登壇〕
○環境局長(須藤栄君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、気候変動対策における他都市との連携についてでございますが、気候危機は地球規模で対応すべき問題であり、都は、国内の広域都市連携の枠組みに加え、国際的な都市間ネットワークの活用により、都の先進的な取組の共有や共同事業の実施など、連携強化を図っております。
次に、CO2削減対策についてでございますが、都は温室効果ガスの新たな削減目標案を提示するとともに、その達成に向け、再エネや省エネ対策について個別の政策目標も新たに掲げるなど、拡充を図っております。
最後に、二〇三五年温室効果ガスの削減目標についてでございますが、都が提示した新たな目標案は、国際的に求められる水準も踏まえ、エネルギーの大消費地として、さらなる削減に取り組む観点で設定したものでございます。
〔福祉局長山口真君登壇〕
○福祉局長(山口真君) 生活保護世帯の電気代の高騰対策に関するご質問にお答えいたします。
電気料金などに対する支援は全国的な課題でありまして、国の責任において実施すべきものでございます。
都は、生活保護基準について、健康維持管理上必要な場合には、保護開始時などに限らず、冷房器具の購入経費を支給できるよう国に提案要求をしております。
〔総務局長佐藤智秀君登壇〕
○総務局長(佐藤智秀君) 二点の質問にお答えいたします。
まず、パートナーシップ宣誓制度についての質問でございます。
本制度では、届出者に子供がいる場合、受理証明書の特記事項欄に子供の名前を記載できることとしております。
これにより、病院の付添時などに、子供とその親のパートナーとの関係を説明しやすくするなど、子供に関する困り事の軽減を図れるものと考えております。
また、現行制度は性的マイノリティーを対象とした制度であることから、事実婚については対象としておりません。
次に、同性婚についてのご質問にお答えいたします。
同性婚については国民的な合意が必要であり、国において議論がなされるものと認識をしております。
〔生活文化スポーツ局長古屋留美君登壇〕
○生活文化スポーツ局長(古屋留美君) 選択的夫婦別姓についてのご質問にお答えいたします。
都は、都民に生じている不便、不都合を解消する観点から、選択的夫婦別姓制度に係る議論を早急に深め、結論を出すことを国へ提案要求しております。
〔八番漢人あきこ君登壇〕
○八番(漢人あきこ君) まず、警視総監、大変丁寧なご答弁をいただきました。この公益通報制度については大きく注目されております。しっかりと制度改善をお願いしたいと思います。
小金井二路線の予定地域は、自然環境の希少性や生物多様性という点でかけがえのないエリアです。道路整備による効果は、様々な工夫と知恵により代替し、補うことが可能ですが、失われた自然は二度と戻りません。
野川第一・第二調節池地区自然再生協議会によるこのエリアの取組の成果と方針をどのように認識しているのか、知事に伺います。
そして、小金井二路線は、第四次事業化計画の中での事業化は行わず、新たな整備方針において、見直し候補路線、計画内容検討路線とすべきです。これも知事の答弁を求めます。
なぜなら、知事、自然再生推進法は議員立法でしたが、当時の小池百合子議員は七人の提案議員の一人でしたね。覚えていらっしゃいますか。そして、野川調節池の再生協議会は、小池環境大臣の下でスタートをしています。以来二十年かけて再生してきた都内で唯一の自然環境を、今度は知事として壊してしまうんでしょうか。ぜひ環境政策を先導してきたともいえる小池知事に英断を求めて、再質問を終わります。ぜひご答弁お願いします。(拍手)
〔建設局長花井徹夫君登壇〕
○建設局長(花井徹夫君) 再質問にお答えいたします。
野川における自然再生協議会の取組についてでございますが、田んぼなどの整備により、草地が主体のエリアに湿地や水辺が創出され、確認種などが概して増加しているとされており、協議会が自然再生推進法に基づき、自然再生事業に取り組んでおります。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕
○東京都技監(谷崎馨一君) 新たな整備方針についての再質問にお答えいたします。
路線の位置づけにつきましては、引き続き検討会等の場で議論してまいります。
○議長(増子ひろき君) 以上をもって質問は終わりました。
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