○副議長(谷村孝彦君) 六番松田りゅうすけ君。
〔六番松田りゅうすけ君登壇〕
○六番(松田りゅうすけ君) 都市の発展には幾つかのフェーズがあります。
フェーズ1は、道路や水道、電力など社会基盤の整備が必要で、行政が中心となって都市の成長を主導します。
フェーズ2ですが、東京都も含めた多くの先進国の都市がこのフェーズにあり、インフラと経済基盤が整い、安定した社会が築かれ、行政は税収で社会福祉やインフラを維持します。
リーマンショックやコロナ禍といった影響を受けながらも、東京都の税収は確実に増加をし、安定した経済基盤を築いてきました。この成長を背景に、東京都は今こそ次のフェーズへ進むべきときを迎えていると考えています。
では、次のフェーズ3とは何なのか。行政の役割を最小限に抑え、市民が自律的に社会を運営できる都市を実現することです。このフェーズでは、安全・安心を担保しつつ、税負担を軽減により経済活動を活性化させます。もちろん、全てを自己責任に委ねるのではなく、支援を必要とする人々には的確なサポートを提供しつつ、市民が行政の支援なしに自らの力で生きていける社会を目指します。
今後、東京がどのように発展をすべきかを考えたときに、目指すべき姿は間違いなくフェーズ3だと確信をしています。
まず、予算編成について伺います。
一般会計予算要求総額は八兆八千二百十五億円である一方、令和七年度当初予算案は九兆一千五百八十億円となっており、各局予算要求時点より三千三百六十五億円が積み増されています。
令和七年度予算案の概要によると、新規事業の件数は七百十二件となっていますが、新規事業の構築には財源の確保が不可欠です。
各局要求時点より積み増した理由を伺うとともに、新規事業も含めた財源について、どのような考えで確保しているのか伺います。
近年、東京都の一般会計規模は増加傾向にあり、持続可能な財政運営に向けては、歳出抑制に一層取り組むことが重要です。
今後、様々な財政需要が見込まれる中、都では事業評価を実施しており、令和六年度予算編成における事務事業評価の対象事業は、一般会計予算の一三・三%に当たる約一兆一千二百億円とのことでありますが、さらに事業評価の取組を強化すべきではないか伺います。
トランプ大統領は復帰後、政府の効率化と規模縮小を進めるため、政府効率化省、ドージを設立し、行政の効率化を目指しています。東京都も、高齢者人口の増加に伴う社会保障費などの財政需要を考えると、行政の効率化と生産性向上に向けて不断の努力が求められます。
次に、都税収入についてお伺いいたします。
都税収入は、都の財政運営の基盤を支える重要な財源であり、その動向は都政全体に大きな影響を与えます。特に、経済の変動や政策の影響を受けやすい税目に関しては、正確な予想が求められます。
令和七年度において、都税収入のうち特に増減が大きく見込まれる税目について、具体的な増減額とその主な要因を伺います。また、景気動向等の影響など、外部環境が都税収入に与える影響について、都の認識を伺います。
人口動態の変化や経済情勢の影響を踏まえ、将来にわたって必要な施策を着実に推進するためには、中長期的な視点に立った財政戦略が求められます。
そこで、中長期を見据えて、どのように財政運営を行っていくのか、都の見解を伺います。
ここ数年、都税収入は過去最高を記録しています。この好調な税収を背景に、税負担の在り方についても再検討が必要です。現在の社会情勢や税収を踏まえると、都民の負担を軽減するための減税は十分に実現可能だと考えます。
財政の健全性を維持しつつ、都民への負担軽減策として個人都民税の減税など、検討すべきと考えますが、見解を伺います。
個人都民税の減税については、これまで都議会でも幾度となく議論をされてきましたが、東京都の財政状況がいかに潤沢であろうと、行政が自発的に減税を決断することはなく、それを実現するためには政治的な決断が求められます。
各会派の皆様の中にも、減税を支持する議員の皆様もいらっしゃることは理解をしていますが、残念ながら議会内での議論は発展していないのが現状です。
東京維新の会では、都議会議員選挙に向け、約六千億円規模の減税プランの取りまとめを進めており、減税が必要だと考える議員の皆様と共に、会派の枠を超えて議論を深め、首都東京における恒久的な減税の実現を目指してまいります。
個人都民税の減税について、高所得者ほど減税効果が高いという指摘もありますが、納税しているからこそ減税の恩恵を受けるのは当然のことです。
次に、特定複合観光施設に関する調査分析について伺います。
東京都へのIR、カジノ誘致は、観光産業だけでなく、経済活性化や雇用創出、税収増加などの多くのメリットをもたらします。二〇三〇年に開業予定の大阪IR、カジノも一千億円近い税収を見込んでいます。
令和六年度において、IRに関する調査を実施したのか、また、調査を実施した場合、その目的と主な調査内容について伺います。さらに、東京都としてIRの誘致の方向性に何か変化があったのか、併せて伺います。
令和七年度において、IRに関する調査の予算が計上されているのか、その調査の目的と具体的な内容を伺います。さらに、調査の結果をどのような形で都民や都議会に報告をし、今後、政策決定に反映をさせるのか、都の見解を伺います。
予算計上しながら調査をしないという状況が続いています。行政の責務を果たしていないといわざるを得ません。政策の方向性を定める以前に、議論の前提となる基礎的な情報すら整備されないままでは、建設的な議論が不可能です。こうした姿勢を改め、令和七年度においては、計上された予算に基づき、今年こそ調査を実施するよう強く求めます。
現在、注目を集めているオンラインカジノについて一言申し上げます。
オンラインカジノやスポーツベッティングについても規制ありきで闇に葬ることは、解決策にはなり得ません。カジノ誘致を機に議論を進めていくべきです。
スポーツベッティングについては、欧州や米国の一部地域では、合法化され市場が急成長する一方、既に日本のスポーツコンテンツは、プロ、アマ問わず様々な競技が対象となっており、その賭け金額は年間数兆円を超えるという報告もあり、国内のスポーツの価値が海外で浪費をされています。
制度設計次第では、スポーツ産業の活性化や放映権収入、スポンサー拡大にもつながります。国政での検討課題にはなりますが、日本のスポーツの発展を見据え、カジノ誘致を機に、オンラインカジノだけでなく、スポーツベッティングについても合法化に向けた議論が必要と考えます。
次に、都内の飲食店の喫煙環境について伺います。
健康増進法及び東京都受動喫煙防止条例が令和元年に全面施行され、店内が喫煙可能な場合でも禁煙の場合でも、そのことを示す標識の掲示が義務づけられましたが、令和五年度、飲食店における受動喫煙対策実態調査においては、適切に表示をしていますかという問いに対し、表示していないと回答した飲食店が二二・六%となっております。
今後、さらに飲食店に対し、禁煙なのか、または喫煙専用室があるか等、店頭に表示するよう働きかけていくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
新型コロナワクチンの接種記録の保管状況について伺います。
コロナワクチンは、コロナ対策に一定の役割を果たしましたが、副反応による健康被害も多数報告をされています。特例臨時接種扱いになっている期間中に接種したワクチンによる健康被害が認められた場合、救済制度の請求期限は設けられていません。
ワクチン接種による健康被害が生じた場合、救済制度の活用が重要ですが、その申請には接種記録が不可欠です。予防接種の記録は、予防接種法施行規則に五年間の保存義務があるものの、それ以降の対応は自治体によって異なっており、記録が適切に保管されていなければ、救済を受けることができません。
現在の都内区市町村と都の対応について伺います。
学校給食について伺います。
現在、都内の全ての自治体で給食の無償化実施をされていますが、保護者の負担は軽減された一方で、給食費の負担が自治体に移行した結果、財政的な制約により給食の質が低下をすることがあれば、本来の無償化の意義が損なわれるおそれがあります。
給食の質を維持向上させるために、都としてどのような支援を行っていくのか。また、学校給食費について、各自治体で決定はしていますが、給食の無償化によって、決定方法の考え方はどうなるのか伺います。
物価高騰の影響を受け、自治体によっては給食費の値上げが検討されていると認識をしていますが、都としてどのように対応するのか伺います。
次に、表現の自由の観点から、青少年健全育成審議会について伺います。
都は、条例の趣旨を誤解なく明確に伝えることを目的に、八条指定図書に名称を変更しました。長年、名称変更に向けて尽力されてきました関係者の皆様の活動に改めて敬意を表します。
現在、青少年健全育成審議会における八条図書の指定において、審議会では発行責任者の意見を聴取する機会が設けられていないため、一方的な判断になる可能性が考えられます。
審議会の公正性と透明性を高めるために、事前または審議の場で発行責任者が意見を表明できる機会を設けるべきと考えますが、都の見解を伺います。
昨年九月の青少年健全育成審議会では、三才ブックスの「ラジオライフ」八月号が、著しく犯罪を誘発するとの基準で八条図書に指定をされました。審議会では、本書を読むことで、あたかも偽札を偽造できるかのような議論が交わされていました。
偽札防止のためには高度な技術が使われており、簡単に偽造はできないと推察をされますが、実際に偽札の偽造可能かどうか、都としてはどのように認識をしているのか伺います。
これまで、審議会による規制が青少年の健全育成にどれほど寄与しているのか、その実効性を検証する必要があります。また、インターネットや電子書籍の普及を踏まえ、現行制度が時代に即しているのか再評価が求められます。さらに、指定基準や審査過程が表現の自由と適切にバランスを保ち、公正性、透明性が担保されているのかも検討すべきです。
現在の八条指定図書の指定は、これまで六十年にわたり実施をされてまいりましたが、一度も効果検証がなされていないと理解をしています。今後、効果検証を行う予定があるのか伺います。
次に、都市インフラについて伺います。
埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け、国の要請で実施をされた東京都の緊急点検では異常はありませんでした。ただ、昨年九月に起きた大田区矢口での道路陥没事故は、地上からの巡視確認は昨年度実施をされ、管路内の調査においても平成二十四年度に実施をされていましたが、陥没事故は発生をいたしました。
区部における下水道管に起因する道路陥没事故の発生状況とその主な原因について伺います。
現在、水道管や下水道管などの埋設物は、それぞれの施設管理者によって管理されていますが、災害対応や地下インフラの効率的な維持管理、地下空間の有効活用には、異なる事業者が管理する地下インフラの把握が必要です。
都道の地下における埋設物の情報について、どのように把握しているのか伺います。
次に、世界陸上、デフリンピックについて伺います。
近年、大規模な国際大会等のイベントでは、円安や物価高騰、人件費高騰による警備、運営費用の増加などにより、当初の想定より予算が膨らむ傾向があります。
これらの要因を踏まえ、今後の負担増のリスクをどの程度見込んでいるのか、また、追加費用が発生した場合の対応方針について伺います。
東京都が直面をしている状況は大きく変わりました。コロナ禍を乗り越えたものの、物価高騰が影響し、都民の生活は厳しい状況にあります。さらに、東京都の財政状況も変化をしている中で、今、都政が最も優先すべきなのは、豊富な財源を活用した新たな施策展開ではなく、減税であることを改めて申し上げまして、一般質問を終わります。(拍手)
〔教育長坂本雅彦君登壇〕
○教育長(坂本雅彦君) 松田りゅうすけ議員の一般質問にお答えをいたします。二点のご質問にお答えいたします。
まず、学校給食についてでございますが、都教育委員会は、区市町村の学校給食に関わる教職員に研修を行っております。また、小中学校の学校給食の内容等については、今後とも区市町村の判断により決定いたします。
次に、学校給食の費用についてでございますが、学校給食費については、国がその責任と財源において無償化を実現すべきものでございます。都は国に先行し、区市町村が学校給食費の保護者負担軽減に取り組む場合に支援をしております。
〔財務局長山下聡君登壇〕
○財務局長(山下聡君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、予算編成についてでございますが、令和七年度当初予算は、各局からの予算要求の取りまとめ以降に生じた状況変化等に伴う追加要求や、税収見通しの変動に伴う税連動経費等を計上した結果、当初要求時点と比較いたしまして三千三百六十五億円の増となりました。
また、新規事業も含めた各施策の予算計上に当たりましては、事業評価による徹底した見直しを図ることはもとより、基金や都債なども活用しながら財源を確保しております。
次に、事業評価についてでございますが、社会保障関係経費の増大など、避けることのできない財政需要が生じる中にありましても、将来にわたり必要な施策を着実かつ安定的に実施するためには、事業の見直しを徹底することが重要でございます。
こうした観点から、都ではこれまでも、全ての事業を対象に終期を設けて事業評価に取り組むこととしておりまして、令和七年度予算編成におきましても、都民や事業者の視点に立った類似事業の整理など、取組を強化しております。
最後に、今後の財政運営についてでございますが、元来、都の歳入の根幹をなす都税収入は、景気動向に左右されやすい不安定な構造にあります。
こうした中にありましても、将来にわたり都政の諸課題に的確に対応していくためには、施策展開を支え得る財政基盤の堅持が重要でございます。
そのため、今後も評価制度を通じた無駄をなくす取組を徹底した上で、基金や都債を計画的に活用するなど、持続可能な財政運営に配慮しながら、必要な施策に財源を振り向けてまいります。
〔主税局長武田康弘君登壇〕
○主税局長(武田康弘君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都税収入についてでございますが、令和七年度当初予算の都税収入は六兆九千二百九十六億円で、企業収益の堅調な推移による法人二税の増や、雇用、所得環境の改善による個人都民税の増等により、前年度から五千四百三十一億円の増収と見込んでおります。
都税収入は、景気変動等の影響を受けやすい構造にあることから、引き続き税収への影響を注視してまいります。
次に、個人都民税についてでございますが、個人都民税の減税は、非課税の方に対して効果が及ばないことなどに加え、財政運営上の課題があると認識しております。
〔港湾局長松川桂子君登壇〕
○港湾局長(松川桂子君) IRについてでございますが、令和六年度における調査予算につきましては、現時点で執行しておりません。
都はこれまで、IRにつきまして、メリット、デメリットの両面から総合的に検討してきたところでございまして、引き続き検討を行ってまいります。
〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕
○保健医療局長(雲田孝司君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、飲食店における喫煙に関する標識についてでございますが、都は飲食店に対し、禁煙であることや喫煙専用室の設置など、店内の状況を示す標識の掲示義務について、ホームページやハンドブックなどにより周知しております。
標識が適切に掲示されていない場合には、保健所が施設の管理権原者に対して改善に向けた指導などを行っております。
次に、予防接種の接種記録についてでございますが、定期接種などの接種記録は、予防接種法に基づき区市町村長が作成し、国が定める実施要領において、予防接種法施行規則などに従い、少なくとも五年間は適正に管理、保存することとされております。
都は、区市町村と、都保健所及び医療機関に対し、接種記録に関する国の事務連絡を周知するなど、予防接種記録の保存と確認の徹底を呼びかけております。
〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長竹迫宜哉君登壇〕
○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(竹迫宜哉君) 青少年健全育成審議会に関する三点の質問にお答えをいたします。
まず、諮問図書類の発行事業者の意見表明についてでございますが、図書類の指定につきましては、既に発行された諮問図書類が、青少年健全育成条例等に照らして、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあるか否かで判断するため、発行事業者の意見は聴取しておりません。
次に、図書類の指定についてでございますが、当該図書類が指定基準に該当するか否かにつきましては、青少年健全育成審議会におきまして、条例等に照らし、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあるとして答申されたものでございまして、それに基づき都が指定をしております。
最後に、図書類の指定に係る効果検証についてでございますが、本制度は、著しく性的感情を刺激するものや、著しく犯罪を誘発するなど、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある図書類を指定し、青少年が容易に手に取り、閲覧、購入することができないよう区分陳列等を求めるものでございます。
〔下水道局長佐々木健君登壇〕
○下水道局長(佐々木健君) 道路陥没についてでございますが、下水道管に起因する道路陥没などは、区部で年間約三百五十件発生しており、これらのほとんどは、浅いところにある、家庭などからの排水を受けて下水道管につなぐ取付管などで発生する小規模なものでございます。
計画的な再構築などを進めることにより、整備年代の古い都心部のエリアでは、陥没などは約九割減少しております。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕
○建設局長(花井徹夫君) 都道における埋設物の情報についてでございますが、都は、道路法に基づき、都道に設置された埋設物のうち主要な占用物件について台帳に記載し、把握しております。
〔生活文化スポーツ局長古屋留美君登壇〕
○生活文化スポーツ局長(古屋留美君) 世界陸上及びデフリンピックの大会経費についてお答えいたします。
両大会の財政運営は、運営組織の責任において適切にマネジメントされるものと認識しております。
都としても、経費の精査や予算管理の徹底など、両運営組織の取組をサポートしております。
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