令和七年東京都議会会議録第五号〔速報版〕

○議長(増子ひろき君) 四十四番本橋たくみ君。
   〔四十四番本橋たくみ君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○四十四番(本橋たくみ君) 社会の存立基盤を揺るがす危機である少子化が、予想を超えた速さで進行する中、都はこれまで、国に率先して、〇一八サポートや高校授業料の実質無償化、給食費の負担軽減など様々な支援策を講じてきたところです。
 しかし、都の充実した支援についての情報が、現在子育てをしている世代や今後子供を持ちたいと考えている方に対して浸透しているかというと、まだまだ十分に届いていないのではないかという問題意識を持っています。
 結婚し、子供ができ、子育ての当事者になって初めて、こんな子育ての支援があったのかと知る人が多いのが実態ではないでしょうか。
 都は、令和七年度予算案に、若年層への戦略的な情報発信事業を計上していますが、若者たちに対し、都の様々な支援に関する情報をどのように工夫を凝らし、発信していくのか、都の見解について伺います。
 グローバル化する社会において、都立高校生が海外を訪問し、様々な体験をすることは大変有意義です。特に、昨年度から実施する科学、芸術、数学等の教科を超えた学びであるSTEAMに関連する海外派遣は、より一層充実を図り、世界レベルの研究をリードする人材を育成すべきと考えますが、こうしたSTEAM派遣等、都教育委員会の来年度の生徒海外派遣についての取組について伺います。
 現在、知的特別支援学校に通う児童生徒数の増加傾向や施設の老朽化が進んでおり、新築や改築などの施設整備が喫緊の課題です。一方で、新築や改築などに当たっては、十分な広さの用地が必要でありますが、都内で確保することは容易ではありません。
 学校の隣地などに土地の確保を図り、それを活用することで学校の機能を拡充する等の方法を図ることが必要と考えますが、見解を伺います。
 多摩地域には、特色あるたくさんの大学が立地し、多くの若者が活動しています。未来に向けたイノベーションの創出には、こうした若いパワーが重要です。
 そこで、こうした若者のポテンシャルを十分に発揮させるべく、多摩地域での大学発スタートアップの創出の取組を都としてさらに支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
 コロナ禍後、起業等の場として東京を選ぶ外国人材が再び増加しています。高度人材の在留資格の取得者は、都内で二万六千人を超え、二〇一九年から四割以上増えており、東京のポテンシャルが再認識されています。こうした高度外国人材をさらに呼び込み、都内企業との協業を通して、東京に大きなイノベーションを生み出していくことが重要です。
 都は、金融・資産運用特区等を活用しながら、外国人材がビジネスをしやすい環境の整備を進めるべきと考えますが、今後の取組について伺います。
 昨年の訪日外国人旅行者数が過去最高を記録するなど、東京は、今、国内外から訪れる多くの観光客で空前のにぎわいを見せています。コロナ禍から急回復を遂げた観光は、消費の拡大や雇用の創出などにより東京の経済を潤してきましたが、様々な地域の特色に根差した魅力あふれる東京は、世界の旺盛な観光需要をさらに取り込んでいく伸び代が大きいと考えます。
 東京へさらに多くの旅行者を呼び込むため、戦略的に取り組んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都内の観光スポットがにぎわいを見せる一方で、国内の一部の地域では、いわゆるオーバーツーリズムといわれるような事象も発生しており、地域住民の生活に影響を及ぼす様子なども報道で目にしています。
 東京の観光の魅力は多彩であり、多摩地域の観光地の認知度を高め、より多くの旅行者を誘致することは、特定の観光スポットへの過度の集中を避けるとともに、東京全体の観光の底上げにもつながると考えます。今年は、世界陸上大会が東京で開催され、海外から来る多くの旅行者に多摩地域を知ってもらう絶好の機会でもあります。
 そこで、国内外の旅行者の関心を引きつけるため、多摩地域への誘客に向けた取組を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 多摩地域には、私の地元国分寺市にある武蔵国分寺跡や殿ヶ谷戸庭園、国立市の関東三天神と称される谷保天満宮など、数多くの歴史的な名所がありますが、特に江戸時代の歴史や文化は、東京の発展の礎となったことから、都民にとっての貴重な財産であり、観光資源として魅力的であり、旅行者の誘致につなげていくことが重要です。
 そこで、地域が江戸の文化財を観光資源として活用する取組を後押しすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 多摩地域では、一部事務組合などを活用し、複数自治体が連携した取組が行われていますが、社会経済情勢の変化に伴い、行政課題は複雑化しており、今後は、民間企業、大学などとも連携し、複数の市町村による課題解決の取組を都が後押しすべきと考えますが、見解を伺います。
 近年は、農業の分野でも、スマート技術の開発は目まぐるしく進んでおり、農業用ドローンなど農作業の省力化や効率化に役立つ様々な機器が次々に登場しています。経営規模の小さい東京農業においても導入できるコンパクトな機器も開発されており、都内農家の中には、畑の中を自由に動き回り、自動で雑草を刈り取るロボット草刈り機を導入し、雑草管理の大幅な省力化をした方もいると聞きます。担い手が減少する中、安定した農業経営を続けていくには、こうした農業現場でのスマート化を進めることが重要です。しかしながら、農業者は、自分の経営規模に見合う最適な機器が分からないなど課題もあり、導入になかなか踏み切れない農業者も多いと聞いています。
 都は、スマート農業の導入が生産現場で進むよう、農業者への支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 多摩地域では、区部に比べ、医療機関が必ずしも多くはなく、都民が安心して医療機関に受診できるように環境整備することが重要です。多摩地域の医療の拠点でもある多摩総合医療センターには、多くの患者が受診するため、予約が取りづらい、予約をしても受診までに数か月待つこともあるなどの声を聞いています。早急に改善に向けた取組が必要ですが、都の見解を伺います。
 障害のある方のスポーツ実施率は、都が先月公表した調査結果によると、これまでで最も高い四六・六%でありました。東京二〇二〇大会を契機に進めてきた施策の成果であると考えます。地元国立市にある東京都多摩障害者スポーツセンターでも、多くの方がスポーツを楽しんでいます。
 一方で、スポーツを行いたいができない、無関心という方もいます。こうした方をスポーツにつなげる手段の一つがeスポーツであり、都がこれまで、福祉施設等を対象にeスポーツを活用した取組を実施していることは評価いたします。
 障害のある方によりスポーツを楽しんでもらえるよう、eスポーツなどを活用した取組について、これまでの成果を踏まえ、広く普及していくことが重要と考えますが、見解を伺います。
 三十年前に起きた阪神・淡路大震災では、建物倒壊や火災が多数発生しましたが、多くの消防団員の方々が発災直後から救出活動や消火活動に奮闘されたことにより、多くの命が救われました。
 災害時において都民の命を守るためには、地域を熟知し、発災時に真っ先に駆けつける消防団の力が不可欠であります。
 多くの女性や学生に消防団活動に参画していただけるよう、都は、入団促進に向けて市町村を支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、消防団活動を維持向上させるために、女性や学生の消防団員が継続して活動できるよう取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 水害に対処していくためには、護岸や調節池などの河川整備が非常に重要です。国分寺市内を流れる野川の鞍尾根橋から上流区間は、護岸が未整備となっており、近年のゲリラ豪雨や気候変動に備えるためには、護岸整備が必要です。当該区間は、浸水被害が発生しておらず、溢水につながるような水位上昇も見られていないと聞いておりますが、地元からは、治水及び防災の観点に加え、環境の観点などから整備を求める声が上がっており、令和三年度には、最上流部区間整備の早期実施に関する陳情が都議会に提出され、趣旨採択されました。
 そこで、国分寺市内を流れる野川の整備に向けた取組状況について伺います。
 JR南武線の谷保駅から立川駅間の鉄道立体化について、当該区間は、多摩地域における南北主要幹線道路である立川東大和線、都市計画道路が交差する予定であります。本区間の鉄道立体化は、広域的な幹線道路ネットワークの形成や地域のまちづくりを進めるためにも不可欠であります。
 一方、沿線住民から、滝の院踏切と坂下第一踏切の二か所が廃止となり、利便性が低下するのではないかという声が上がり、国立市では、廃止踏切の対応として、JR南武線南側地域における東西方向の交通環境の改善など、まちづくりの検討を進めており、そうした地元市が進めるまちづくりとも連携して取り組むことが重要です。
 そこで、JR南武線の谷保駅から立川駅間の鉄道立体化について、現在の状況及び今後の取組について伺います。
 昨年、第二回定例会で、JR中央線快速におけるホームドアの整備について質問をしました。都からは、JR東日本は、令和六年度末のグリーン車導入に必要な駅改良工事を行っており、ホームドアはその後の設置となるとの答弁でありましたが、グリーン車は導入の準備が整い、昨年秋から試運転を開始しています。
 都は、昨年夏に官民連携の協議会を立ち上げ、先日、取組を加速するとして事業者と共同宣言を公表しました。
 JR中央線快速におけるホームドア整備を一層加速すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 多摩南北主要五路線の一つである府中所沢線のうち、国分寺三・二・八号線は、国分寺市の中心を南北に貫き、幹線道路の機能と住環境が調和した沿道環境を形成する重要な道路です。
 平成二十九年三月に、多喜窪通りから、JR中央線をまたいで国分寺市立第五小学校付近までの区間が開通、続く旧国分寺市役所付近までの区間が今月十七日に開通しました。私も当日現地に伺いましたが、沿道の方々や見学に来ていた第五小学校の児童たちからも歓声が上がり、地元からも大変喜ばれている道路です。
 残る五日市街道までの北側の区間も工事が進んでおり、この区間が完成すると、府中街道の交通の分散による渋滞緩和や交通の円滑化を促すとともに、安全・安心で快適な都市空間が創出されるなど、その事業効果は極めて高いことから、地元からは一日も早い完成を求めています。
 そこで、国分寺三・二・八号線の現在の取組状況について伺います。
 昨年十一月に行われた商店街グランプリでは、私の地元国立市の旭通り商店会がグランプリを受賞し、お金と手間をかけないでまちを元気にすることをテーマとして、来店した方に商店街の仲間のお店を紹介する取組や、コロナ禍でテークアウトマップを先駆けて作成するなど、オンリーワンを意識することで長期的な売上げやメディア露出が増えたと聞いています。旭通り商店会では、定期的に勉強会を実施するなど会員店舗の連帯感も強く、そうした場で様々なアイデアが生まれています。
 都内には二千を超える商店街がありますが、商店街の活性化には、各店舗がアイデアや工夫を持ち寄り、協力して取り組んでいくことが必要です。
 商店街が来街者を増加させるためのアイデアを積極的に進めていく活動に対して、きめ細かく支援していくべきと考えますが、見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 本橋たくみ議員の一般質問にお答えいたします。
 東京の観光振興に関してのご質問でございました。
 東京がさらに活力あふれる都市へと発展していくためには、国内外から多くの旅行者を誘致し、存在感を高める戦略的な取組が欠かせません。
 東京は、伝統と革新が共存する希有な都市であり、今も息づく江戸の歴史、文化や海外からも人気を集めるアニメや食など、多彩な魅力をさらに磨き上げてまいります。
 また、世界の観光都市と伍していくため、旅行者が限られた滞在時間を存分に楽しめるように、夜のにぎわいづくりも加速させてまいります。
 観光産業を強固なものにしていくために、DXの支援などによりまして、事業者の経営力を高める。そして、将来にわたる持続可能な観光の実現に向けまして、旅行者と都民の良好な関係の構築も進めてまいります。
 これらによって、東京の観光をさらに進化させ、世界最高の観光都市としての地位を確立してまいります。
 その他の質問につきましては、教育長、都技監及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長坂本雅彦君登壇〕

○教育長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、STEAM教育に役立つ海外派遣についてでございますが、将来の東京を担う子供たちが、科学や芸術等の分野を横断するSTEAM教育を通じ、社会課題を解決する力を習得する上で海外の最新の状況に触れることは重要でございます。
 これまで都教育委員会は、都立学校の生徒を海外に派遣し、世界の多様性の現状を理解するほか、技術面の専門性の向上に役立つ経験の機会を提供しております。昨年度から、これに加えまして、生徒がアメリカで大学の研究者や企業の社員と意見交換を行い、現場の状況を体験し、STEAM教育に向けた意欲を高めるきっかけづくりを進めております。
 来年度は、こうした派遣先をイギリスにも広げ、STEAM教育の充実につなげてまいります。
 次に、特別支援学校の施設整備の進め方についてでございますが、知的障害のある児童や生徒が特別支援学校に通学するニーズが増える中、受入れのできる施設の整備を柔軟な方法で進めることは効果的でございます。
 これまで特別支援学校を新設する場合、一定の広さを持つ土地を確保した上で校舎を整備する対応などを行ってまいりました。都内で学校を建てる広い土地を確保することが難しくなる中、今後、現在の特別支援学校の敷地に隣接する小規模な用地を確保し、校舎を整備する工夫を進めます。この方法を含め、新築や増改築等に関し、特別支援教育の新たな計画の中に盛り込み、生徒等の受入れ体制の拡充に結びつけてまいります。
   〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕

○東京都技監(谷崎馨一君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、JRの南武線の谷保駅から立川駅間の鉄道立体化についてでございます。
 本区間は、主要な幹線道路である南北方向の立川東大和線や東西方向の新奥多摩街道など、都市計画道路が五か所で交差するほか、二十一か所の踏切があり、鉄道立体化が必要でございます。
 都は、都市計画決定に向け、令和五年八月に都市計画素案説明会を開催しており、今後、都市計画案及び環境影響評価書案説明会を開催する予定でございます。
 引き続き、地元住民の理解を得ながら、地元市が検討している駅前広場計画や周辺地域のまちづくりとも連携し、鉄道立体化を着実に進めてまいります。
 次に、JR中央線のホームドア整備についてでございます。
 ホームドア整備の促進には、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠でございます。
 都は、昨年立ち上げました鉄道事業者や国が参画する協議会で検討を進め、補助制度の拡充や技術、施工面の対策の共有などの加速策を取りまとめました。
 JR東日本は、こうした加速策を活用し、中央快速線などを中心に、四年間で百二十番線を整備していくと表明しております。
 都は、関係者と連携し、事業者が計画的、効率的にホームドア整備を進められるよう支援してまいります。
   〔子供政策連携室長田中愛子君登壇〕

○子供政策連携室長(田中愛子君) 若年層への子育て支援等の情報発信についてでございますが、今年度、都が実施した意識調査では、行政の結婚支援や子育て支援の認知度につきまして、子育て世帯と比べ、未婚の若年層は低いということが明らかになりました。
 このため、都は来年度、若年層を主に対象とした子育て支援等に係る情報発信の取組を新たに実施いたします。具体的には、大学生等の意見を取り入れ、訴求力のあるインフルエンサーが自身の体験を交えながら、都の支援策等を紹介する動画を作成いたします。
 SNS等を効果的に活用いたしまして、戦略的な情報発信を行っていくことで、子育て世帯はもとより、未婚の若年層にも、支援策等を広く周知し、結婚や子育てに対する安心感やポジティブな機運を醸成してまいります。
   〔スタートアップ・国際金融都市戦略室長吉村恵一君登壇〕

○スタートアップ・国際金融都市戦略室長(吉村恵一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩地域でのスタートアップ創出についてでございます。
 多摩地域は、特色ある様々な大学が立地し、学生が多く集まるなど、スタートアップを育む大きな可能性を有しております。昨年度開始いたしました大学発スタートアップ創出支援事業では、多摩に拠点を有する八大学を採択し、起業促進の体制づくりや研究シーズの事業化などを支援しております。各大学では、本年度、アントレプレナーシップの機運醸成や先輩起業家との交流を図るイベントを実施するとともに、起業支援施設の立ち上げなども進められております。
 今後は、研究者や学生と地元企業との協働など、大学の特色ある取組をさらにきめ細かく支援し、大きなイノベーションにつなげてまいります。
 次に、外国人材のビジネス環境の整備についてでございます。
 イノベーションの創出には、世界から多様な高度人材が集い、都内企業との協業などのビジネスをストレスなく展開できる環境づくりが重要でございます。
 このため、東京開業ワンストップセンターでは、会社設立に必要な手続の英語対応を進めており、今月末の法人登記手続で体制整備が完了いたします。また、国への要望などにより、外国人の起業準備活動に係るビザの期間が半年から二年に延長されたことを踏まえ、その制度の運用を来月から開始いたします。さらに、来年度は、これらビジネス面の環境整備に加え、外国人材の住居や口座開設など生活面での同行支援を新たに実施するなど、取組を一層推進してまいります。
   〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、多摩地域への誘客促進の取組についてでございます。
 国内外からより多くの旅行者を多摩地域に誘致するためには、様々な機会を捉え、観光地としての魅力を効果的に伝えることが重要でございます。
 都は現在、国内の大規模な観光イベントに出向いて、多摩の特産品の販売やVR映像を使ったPRを行うほか、ウェブサイトにより観光情報を国内外に発信しております。
 来年度は、観光イベントに出展してPRする取組を増やすとともに、世界陸上の開催に合わせて空港や駅で広告を掲出いたします。また、インフルエンサーを活用するなど、外国人旅行者に向けて多摩の魅力の発信を強化いたします。
 これらによりまして、多摩地域へのさらなる旅行者誘致を図ってまいります。
 次に、江戸の文化財を活用した観光振興についてでございます。
 都内の各地域が江戸の歴史や文化への理解を深め、これを旅行者誘致につなげる取組を支援することは重要でございます。
 都は現在、江戸情緒のあるまち並みの装飾などへの支援や伝統芸能の鑑賞、史跡巡りを体験するモデルコースの造成によりまして、江戸文化などを活用した観光を促進しております。
 来年度は、地域の観光協会が中心となって、江戸時代の文化財を活用する誘客の取組への支援を開始いたします。具体的には、歴史的な建造物や伝統芸能の魅力に住民が触れる機会の創出とそれらを生かしたツアーづくりなど、計画策定から実施まで地域の取組をサポートいたします。
 これにより、江戸文化などを生かした観光振興を進めてまいります。
 次に、スマート農業の推進についてでございます。
 農作業の自動化やデジタル技術の活用を進めることは、生産性の向上や作業環境の改善につながるとともに、働く場として農業の魅力を高める重要な取組でございます。
 このため、都は、過去に栽培した品目や農薬の使用履歴などを管理し、現場でも確認できるアプリなど、民間企業と連携した技術開発を行っております。また、これらの先進技術の実装を進めるため、農業者に対し専門家の派遣等を行っておりまして、来年度は、機器の導入支援を充実いたします。
 さらに、農業者が様々な機器の中から個々の栽培方法に合ったものを選択できるよう、コストや効果を示した指針を作成し、東京農業のスマート化を加速させてまいります。
 最後に、商店街活動への支援についてでございます。
 商店街が消費者のニーズや買物スタイルなどの変化を捉え、自らの創意工夫による取組を行い、組織力を高めることは、魅力的な商店街づくりにつながります。
 そのため、都は、独創的なアイデアを生かした先進的な商店街活動を毎年表彰し、広くPRしております。また、将来を見据えた積極的な取組に対し、区市町村や有識者から成るサポート体制を整え、三年間にわたり支援しております。
 来年度は、組織の小さい商店街が取り組みやすくするため、課題抽出から実行までの伴走支援を行いまして、短期間で特徴を生かした商店街づくりに着手できるようサポートを開始し、活性化に向けた意欲ある活動を広げてまいります。
   〔総務局長佐藤智秀君登壇〕

○総務局長(佐藤智秀君) 三点の質問にお答えをいたします。
 まず、多摩地域における広域連携への支援についてのご質問でございます。
 都は、複数の市町村と多様な主体との連携による広域的な地域課題の解決などを支援するため、市町村に対する技術的、財政的支援を今年度から開始いたしました。
 具体的には、多摩川流域の八自治体と経済団体等が連携した企業同士のビジネスマッチング等の推進や、秋川流域の三自治体が観光協会と連携し、新たな拠点施設を核にした交流の場の創出などを行う取組を支援しております。
 今後も、それぞれの地域の多様な魅力を向上させるため、連携事業を後押ししてまいります。あわせて、多様な主体との広域連携の意義や効果を市町村に広く展開することで、新たな分野での連携も促進してまいります。
 続いて、女性、学生の消防団への入団促進についてのご質問でございます。
 都はこれまで、女性や学生にも活動に参加していただけるよう、消防団に受入れ事例集を周知するとともに、女性や学生の現役団員の活躍をまとめたハンドブックやPR動画を作成し、ホームページやSNSで発信してまいりました。
 今年度は、新たに大学の学園祭や地域のイベントにブースを出展し、地元の団員の協力を得て、消防団の活動内容や女性団員が活躍している事例などを学生などに直接紹介する取組を開始いたしました。
 来年度は、学園祭などへの出展を拡充し、女性や学生の団員確保につなげてまいります。
 最後に、女性、学生消防団員の定着支援についてのご質問にお答えをいたします。
 都はこれまで、女性や学生の団員向けのセミナーを毎年開催し、他の団員とのグループワークなどにより、団員間の交流を活性化し、活動を継続しやすい環境づくりに取り組んでまいりました。
 退団者へのアンケートによると、退団の理由として、仕事や家庭との両立、消防団内の人間関係などを挙げられたことから、幅広い悩みに対応できる専門員を配置し、電話やメールによる相談に対応しており、今後とも、女性や学生の団員が継続して活動できるよう支援してまいります。
   〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕

○保健医療局長(雲田孝司君) 都立多摩総合医療センターに関するご質問にお答えいたします。
 多摩総合医療センターでは、患者が円滑に受診できる環境を整備するため、紹介状を有する初診患者を対象としたウェブでの予約受付や自動音声案内を用いた専用電話による予約受付サービスの導入などに取り組んでまいりました。
 さらに、本年四月から、新たに内視鏡検査等の体制拡充など外来でのがん医療の充実を目的として東館を開設し、これを契機として、本館も含め外来診療室の再配置を行うことで初診患者の予約枠を拡大するなど、受入れ体制を強化いたします。
 今後も、多摩地域の医療拠点として、地域医療の充実強化に向けて着実に取り組んでまいります。
   〔生活文化スポーツ局長古屋留美君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(古屋留美君) 障害のある方のスポーツへの参加についてお答えいたします。
 都は、福祉施設等において、機器やプログラムを工夫したeスポーツの体験機会を提供しております。参加者や施設からは、体を動かす機会が増えた、仲間同士のコミュニケーションが活発になったなどの声をいただいております。
 今後、これまでの成果を踏まえて、障害特性ごとの運動メニュー集を作成しまして、自治体や福祉施設などに配布するほか、実際に取り組んでいる様子を解説した動画を配信し、当事者への普及を図ってまいります。
 また、新たに地域のイベント等を活用し、体験会を実施するなど、障害のある方とない方とがeスポーツを通じて交流できる場を提供してまいります。
   〔建設局長花井徹夫君登壇〕

○建設局長(花井徹夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、国分寺市内を流れる野川の整備についてでございますが、中小河川の整備に当たりましては、浸水被害や降雨時の洪水流出状況等を踏まえて事業を実施しております。
 都は、令和四年度から、小金井市との境に架かる鞍尾根橋など二か所におきまして、降雨時の水位上昇のモニタリングを開始しており、五年度からは、最上流部付近に架かる押切橋など二か所におきまして、洪水の流量観測を実施しております。また、国分寺市では、市と市民活動団体によります協働事業といたしまして、野川源流スクールを開催し、野川の整備促進に向けて住民の意識醸成を図っております。
 今後、国分寺市などの取組にも注視しつつ、流域における水位上昇等の調査を引き続き実施してまいります。
 次に、国分寺三・二・八号線についてでございますが、本路線は、多摩地域における南北方向の交通の円滑化や防災性の向上に資する骨格幹線道路でございまして、現在、府中市武蔵台から国分寺市東戸倉に至る約二・五キロメートルの区間で事業を実施しております。このうち、既に交通開放いたしております南側の約一・一キロメートルの区間に加えまして、市立第五小学校付近から旧国分寺市役所付近までの約四百六十メートルの区間を今月十七日に暫定的に交通開放いたしました。残る五日市街道までの区間につきましては、用地取得がおおむね完了し、現在、街路築造工事などを進めております。
 引き続き、地元の理解と協力を得ながら、多摩地域の持続的な成長の礎となる道路整備を着実に推進してまいります。