令和七年東京都議会会議録第四号〔速報版〕

   午後六時十五分開議

○議長(増子ひろき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四十七番あかねがくぼかよ子さん。
   〔四十七番あかねがくぼかよ子君登壇〕

○四十七番(あかねがくぼかよ子君) 近年、社会課題がより複雑化、多様化をしている一方、解決に必要な資金が必ずしも行き届いているとはいえません。私は、令和四年の第一回定例会から、金融の力を最大限活用して、社会課題の解決に貢献をする資金の流れが生まれるよう取り組んでいくべきと申し上げてきました。
 ひとり親世帯や社会的養護施設にいた若者の就学支援などを行うソーシャル・エンジェル・ファンド、医療、介護、ヘルスケア領域のソーシャルインパクト投資ファンドなど、都の官民連携ファンドは意義のある取組ですが、都民からはファンドの成果が見えにくいところもあります。
 都は、その時々の社会経済情勢に応じて様々なファンドを組成してきましたが、都がこれまで組成した官民連携ファンドでは具体的にどのような成果につながっているのか、また、今後はどのような取組を行っていくのか、見解を伺います。
 今後、生産年齢人口は急激に減少していきます。既に中小企業では働き手不足が深刻で、経営が成り立たない事態に追い込まれています。一方で、年収の壁による働き控えがパートやアルバイトで働く方を中心に常態化しており、働く意欲をそがないような制度設計が急務です。
 そこで、手取りが減ることを避けるための就業調整を行うことがないような制度を普及させるべきと考えますが、都の取組について伺います。
 タイパ、タイムパフォーマンスという言葉がZ世代を起点に広がり、今は広い世代に定着してきました。我が国特有の合理性の低い商習慣や、長時間働くことを美徳としてきた結果、世界的に労働生産性が低い国になってしまったことへのアンチテーゼのようにも感じます。
 プライベート時間の充実はもとより、仕事のパフォーマンスを高めるためのリスキリングの時間を増やせるような働き方ができるよう支援することは重要です。
 そこで、手取り時間が増えるよう、企業側へ働きかけをすべきと考えますが、具体的な取組について伺います。
 東京都ソーシャルファームとは、障害者、ひとり親、ひきこもり経験者など、就労に困難を抱え、一般就労を諦めている人でも、週十時間から働くことができる職場であり、企業的な経営手法で独立採算を目指す、社会的に意義の高い取組です。
 認証ソーシャルファームが創業後五年の間で五十まで拡大をしましたが、安定して採算が取れる事業とするための支援が重要であることを今までも何度か指摘してまいりました。
 その要望も受け、都は、行政からの受注機会の増加、民間企業との取引を拡大できるようなサポート、専門家の派遣、販売先を増やすノウハウ伝授など、取組を進めていただいているところです。
 二〇二一年三月に最初の認証ソーシャルファームが誕生してから四年が経過をしますが、課題を踏まえた今後の取組について見解を伺います。
 元気なシニア世代が社会活動を継続しようとすることは、本人の健康維持につながるばかりでなく、生産年齢人口が激減をする局面において、即戦力人材の供給につながり、成長戦略の一つともいえます。
 都は、シニアの再就職を支援するスキル講座、企業とのマッチングとお試し就労など、取組を重ねてきました。仕事のあっせん数は年間千件程度ですが、シニアの場合は特に、自宅近くで自分に合う仕事を見つけることが重要であるため、案件数が圧倒的に不足していると考えます。
 シニアが自宅近くで希望の仕事を見つけやすいように、プラットフォームに発展させていくため、今後は、大幅な規模の拡大を検討すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 今年、男女雇用機会均等法制定から四十年を迎え、この間、女性の大学進学率と共働き比率は二〇%台から七〇%台へ変化しました。
 また、マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によりますと、女性役員比率が高い企業では、経営のパフォーマンスも高い傾向にあることが分かっており、女性活躍を進めることは企業の成長、ひいては東京を成長に導いていくための有効な手段の一つです。
 しかし、都内企業の管理職に占める女性の割合は上昇傾向にはあるものの、一割程度にとどまっており、女性の活躍が十分ではありません。
 こうした状況を踏まえ、都は今年度から、我が会派の要望も受け、短時間勤務から管理職への登用に取り組む企業への支援を拡大してきたところです。
 一方、企業で働く女性には、管理職に昇進することに対し、自身の能力を過小評価してしまっていたり、仕事と家庭の両立が困難になるだろうといった理由から、ちゅうちょをすることもまだまだ多い状況です。
 そこで、企業にお勤めの女性の活躍を一層加速していくべきと考えますが、女性活躍を所管する松本副知事の見解を伺います。
 昨年の一般質問にて、少子化対策関連施策について、統計的手法を用いて政策効果を検証することが重要であることを訴え、この間、都は、データに基づく要因分析を進めてきた点を評価します。その中で、若年層、子育て世代の都民一万人を対象とした意識調査を実施したと伺っています。
 昨日の我が会派の代表質問に対して、子育て世代などのニーズや抱える課題を把握、分析し、取組を不断にバージョンアップしていくと知事よりご答弁がありました。
 子育て世代などを対象とした意識調査結果についてどのような考察が得られたのか、また、今後どのように生かしていくのかを伺います。
 少子化の要因の一つは婚姻率の低下です。その中には、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せないでいる方々がいます。その後押しをすべく、都は、結婚支援や機運醸成に係る取組を進めています。
 その一つとして、結婚を望む人が安心して出会える場の提供、AIマッチングシステム、TOKYO縁結びを昨年九月に本格稼働しました。既に当初の予定を上回る方にご利用いただいているということですが、今後も登録者が増えていく可能性があると考えます。
 都の提供する結婚支援サービスは、民間サービスと競合することはなく、官民で相乗効果を図っていくということですが、民間では担えない行政ならではの役割はどんなことか伺います。
 一方で、行政が結婚支援を行うことには賛否もあります。そこで、AIマッチングシステム、TOKYO縁結びも含めた結婚支援マッチング事業のPDCAによる不断の見直しと定量的な政策効果の検証が重要だと考えますが、見解を伺います。
 プレコンセプションケアとは、性や妊娠に関する正しい知識を身につけ、健康管理を行うように促すことです。子供を持ちたい人も、そうでない人も、若いうちから取り組むことが大切です。
 都は、私たちの要望を受け、性教育やプレコンセプションケアの取組を充実してきたことを評価します。令和六年度は、若い世代に向けてプレコンゼミを毎月開催するなど、目に見える成果も出てきました。
 そこで、プレコンセプションケアを開始して二年間の成果と来年度の取組について伺います。
 初婚年齢は全国的に高止まり傾向で、東京の女性の場合は平均三十一歳を超えており、夫婦間の子供の数は一人という夫婦が二八%、ゼロが一二%です。
 私たちが提案し実現をしました、加齢などによる妊娠機能の低下を懸念する場合に行う卵子凍結への支援に対して、説明会への申込者が昨年末で累計一万五千人になったとのことです。
 当事者である女性の関心の高さがうかがえますが、実際に卵子凍結をするかどうかは、正確な情報に基づき、本人が納得いく形で判断をできることが何より重要だと考えます。
 これまで東京都の卵子凍結支援を多くの方が利用されました。その方たちの感想や生の声をこれから検討したい方たちが参考にできるよう、率直に伝えていくべきと考えますが、今後の取組を伺います。
 また、卵子凍結を希望する女性が安心して医療機関を受診できるよう、規模を拡大するに当たっては、医療機関の質が担保されるよう、昨年に引き続き要望をしておきます。
 海外留学支援制度は、文科省など既に様々存在をしていますが、一部のトップリーダー候補を対象にしたものであったり、支援金がかかる費用に対して限定的で、かつ家計の所得制限があるなど、多くの人にとっては海外留学のハードルが依然として高いままです。私たちの要望を受け、都独自の新たな留学支援制度を創設することを評価いたします。
 また、昨日の代表質問に対して、大学生などを対象に、短期、中期、それぞれの海外留学支援を行うと答弁をいただきました。短期であったとしても、海外経験はその人の視野を大きく広げ、今までの自分の価値観のパラダイムシフトを起こし、人生をより豊かなものに変える可能性につながります。費用が高額で諦めている人も、経済的な支援があれば海外留学に挑戦をしてみたいという人は大勢いると思います。
 そこで、特に短期留学への支援を実施するに当たっては、多くの若者が海外留学に挑戦しやすいように制度設計をすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 コロナ禍を経て、入院施設を伴う都内病院は二三年度で約五二%が経常赤字となり、二四年度はさらに悪化をしているという緊急事態に対して、都独自の臨時的な支援金が提案された点を評価します。
 私の地元杉並区でも、休日夜間対応ができる小児救急は縮小し、高齢者の救急搬送が増えている中で、受入先病院がなかなか見つからないなど、早急に対応が必要であると感じます。
 本来は国の診療報酬改定などで対応すべきものではありますが、既に都内において医療体制を維持することが困難になっている実情に鑑み、小児科、産科、救急医療の診療体制を支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
 都として、地域医療の全体を把握した上で適切な資源配分を行うことは極めて重要です。特に都内の入院病床数の九五%を占める民間病院の経営実態調査を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちが推進している自然の機能を生かした雨水流出抑制に資するグリーンインフラの導入について、私の地元杉並区にある都立高井戸公園でも整備が進められています。
 グリーンが持つ機能は様々あり、例えば、レインガーデンに雨をしみ込ませること、暑熱緩和や景観向上が期待できます。
 高井戸公園でのグリーンインフラ整備について、公園利用者にもその意義を理解していただき、かつ効果測定もできるようにしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 ホームドア整備について伺います。
 杉並区内のJR中央線においては、高井戸駅、阿佐ケ谷駅、荻窪駅、西荻窪駅、全駅において、グリーン車の導入に伴うホーム延伸工事があり、ホームドアの設置が他の駅に比べて遅れており、ホームドアは設置されておりません。
 その中でも荻窪駅は一日乗降者数十六万人を超える駅であります。また、阿佐ケ谷駅では二〇二〇年に、視覚障害者の方が電車と接触をし、死亡されたという痛ましい事故も発生しています。
 乗降者数、過去の人身事故の発生数に鑑み、優先的にホームドアを設置すべきと考えますが、見解を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) あかねがくぼかよ子議員の一般質問にお答えいたします。
 シニア世代の活躍促進についてのお尋ねでございました。
 シニアが働き手として活躍する期間が延びる中、スキルや体力に合った幅広い就業機会を身近な場所で提供できる環境づくりは重要でございます。
 都は、シニアの方々がトライアルで就業することや、企業が高齢者を雇用するノウハウを得るサポートなどを通じまして、活躍の場を広げております。
 地域のシルバー人材センターでも、より幅広い仕事の開拓を強化するとともに、会員のニーズに応じ、DXを活用し、迅速に情報提供できるよう機能強化を進めております。
 今後、シルバー人材センターに仕事を発注し、スキルのある人材を確保できた事例を幅広い企業に紹介することによって、自宅の近くで働きたいシニアを企業に結びつけてまいります。
 シニア就業を促進する多面的な取組を有機的につなげまして、高齢者がいつまでも活躍できる基盤づくりを着実に進めてまいります。
 その他の質問につきましては、副知事、都技監及び関係局長がご答弁いたします。
   〔副知事松本明子君登壇〕

○副知事(松本明子君) 女性活躍の推進に関するご質問にお答えいたします。
 不確実性が高まる社会情勢の中、持続可能な社会をつくるためには、新たな視点や発想を生み出す多様性の確保が不可欠でございます。そのためには、意思決定層への女性の登用を進めるとともに、これまでの制度や慣行にとらわれない組織づくりを推進することが必要でございます。
 都は来年度、キャリアアップを目指す女性を育成するため、女性同士が切磋琢磨し、リーダーに必要なマインドやスキルを身につける機会を拡充いたします。
 また、企業の交流会を開催し、女性の能力開発や男性管理職の意識改革など、企業の組織風土を変える取組事例を共有する場を充実させてまいります。
 東京から日本全体に女性活躍の輪を広げ、一人一人が個性や能力を生かし、活躍できる社会の実現を目指してまいります。
   〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕

○東京都技監(谷崎馨一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、高井戸公園におけるグリーンインフラに関する取組についてでございます。
 雨水流出抑制に資するグリーンインフラは、河川や下水道への負荷を軽減し、豪雨対策に有効であり、その役割を地元自治体や都民等に理解してもらうことが重要でございます。
 今年度、小中学校に隣接しており、利用者も多い高井戸公園におきまして、説明パネルを設置したレインガーデン等を五か所整備いたしました。
 今後は、公園利用者へのアンケート調査を実施し、グリーンインフラの認知度を確認するとともに、雨水の浸透貯留量、暑熱緩和、生物多様性等の効果検証を進めてまいります。
 次に、JR中央線のホームドア整備についてでございます。
 ホームドアは、駅利用者の転落を防ぎ、人の命を守る重要な施設であり、整備促進には鉄道事業者の積極的な取組が不可欠でございます。
 荻窪駅及び阿佐ケ谷駅では、令和五年からホームの補強工事が実施されております。JR東日本は、今後、協議会において宣言した取組や目標を踏まえ、令和十年度末までに中央快速線や中央・総武緩行線などを中心に、ホームドア整備を進めていくとしております。
 都は、鉄道事業者に協議会で取りまとめた加速策の活用を促すなど、事業者の取組を後押ししてまいります。
   〔スタートアップ・国際金融都市戦略室長吉村恵一君登壇〕

○スタートアップ・国際金融都市戦略室長(吉村恵一君) 官民連携ファンドのご質問にお答えいたします。
 官民連携ファンドは、都の出資を呼び水に民間資金やノウハウを引き出し、黎明期の分野などへの新たな資金の流れを創出し、政策実現につなげることを目的としております。
 これまでインフラ投資では、持続可能な社会の実現に向けた太陽光や風力発電のほか、系統用蓄電池設備等の整備促進に取り組んでおります。
 また、社会課題解決を目指すインパクト投資としては、AI感染症診断機器が全国の病院などに導入されるなどの事例が出ております。
 今後、さらに多様化する社会課題に的確に対応するため、様々な分野の専門家から意見をいただきながら、投資領域を設定し、より効果的なファンド事業の運営につなげてまいります。
   〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 年収の壁による就業調整への対応についてでございます。
 人手不足が深刻化する中、パート社員が社会保険料の負担等により手取り収入が減らないよう意識し、就業時間を調整する状況を解消することは必要でございます。
 都は、専門家が現場に出向き、企業と社員の双方に対し、年収の壁による就業調整の課題解決に活用できる各種の支援制度を解説するなどのサポートを行っております。
 来年度は、従業員の社会保険料の負担を和らげる手当の導入などの仕組みづくりを行います企業に新たに奨励金を支給いたします。また、セミナーを増やし、こうした仕組みを導入するノウハウや好事例の情報発信を強化いたします。
 これらによりまして、働き控えの解消を後押しいたします。
 次に、手取り時間を増やす取組についてでございます。
 働く人が限られた時間を有効に使い、仕事を効率的に進め、豊かな職業生活を送ることができるよう、企業の取組を後押しすることは重要でございます。
 都は来年度、週休三日制や短時間勤務など、社員が柔軟で生産性の高い働き方を選択できる制度の導入に取り組む企業に手厚い助成を行います。
 また、社員がリスキリングに取り組む時間を確保できるよう、休暇制度の創設や、ベビーシッターの利用補助などを導入する企業への支援も開始いたします。
 これらにより、手取り時間の増加と、そのための生産性向上を後押ししてまいります。
 最後に、ソーシャルファームへの支援についてでございます。
 就労に困難を抱える方が活躍する場であるソーシャルファームを拡大し、社会に根づかせるため、その自律的な経営と雇用の安定化を後押しする取組は重要でございます。
 最初の認証から四年が経過する中で、収益の安定化のほか、店舗の拡大などに挑戦する事業者も増えており、今後は、こうした成長段階に応じたサポートも必要となってございます。
 来年度は、事業拡大のための戦略づくりや、障害者を中核人材として育成する仕組みづくりなど、個々の課題に伴走して解決をサポートする支援体制を新たに構築いたします。
 これにより、ソーシャルファームの自律経営を確実なものとし、就労困難者の雇用促進につなげてまいります。
   〔子供政策連携室長田中愛子君登壇〕

○子供政策連携室長(田中愛子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、子育て世代等への意識調査についてでございますが、今年度の調査から、未婚者のうち、結婚願望のある人が約七割と多いこと、夫婦の理想の子供の数は平均一・九人、予定の子供の数は平均一・六人と差があることなどから、結婚や出産への潜在的なニーズは大きいことが明らかとなりました。
 また、妊娠、出産、子育て期等、ライフステージごとの都民の問題意識など、今後の政策検討の礎となるデータを得ることができました。来年度も設問数やインタビュー時間を拡充し、意識調査を実施いたします。
 得られた調査結果につきましては、経年比較や婚姻の有無など、属性ごとの集計を行い、把握した傾向等を少子化の要因分析などに活用することで、施策のバージョンアップにつなげてまいります。
 次に、若者の海外留学支援についてでございますが、来年度創設する都の海外留学支援制度におきましては、若者のニーズを踏まえ、短期と中長期のコースを設ける予定でございます。
 このうち、夏休みなどの長期休暇中の活用を想定した短期留学向けのコースにつきましては、募集枠を五百名と国の類似制度と比べ手厚く設定するとともに、近年増加傾向にある授業料や渡航費などの留学費用を最大九十万円支援することで、本人の自己負担を大きく軽減いたします。また、本制度では所得制限を設けず、意欲ある若者を幅広くサポートいたします。
 これらによりまして、これまで留学経験のない若者を含め、より多くの大学生等が海外留学の最初の一歩を踏み出せるよう、強力に後押ししてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長古屋留美君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(古屋留美君) 二点のご質問にお答えいたします。
 AIマッチングシステム、TOKYO縁結びについてでございますが、都の調査では、結婚に関心を持ちながらも、民間サービス利用への不安などから、約七割の方が婚活をしておりません。こうした方々を後押しするため、都は、TOKYO縁結びの提供を開始いたしました。
 登録に当たっては、本人確認書類や独身証明書などの提出を必須とするほか、面談も行っておりまして、利用者の方からは安心して利用できるという声をいただいております。
 こうした意見を民間のマッチングアプリ業界などと共に立ち上げた連携会議におきまして共有し、利用者がより安心して活動できる仕組みづくりを進めております。
 次に、結婚支援マッチング事業の効果検証についてでございますが、都は、結婚支援マッチング事業として、令和五年度から交流イベントを、令和六年度からはTOKYO縁結びを実施しております。
 交流イベントについては、これまで約千人が参加され、そのうち約半数が婚活イベントへの参加が初めての方でございました。
 TOKYO縁結びは、開始から五か月で約一万九千人の方から申込みがございまして、多くのマッチング事例が生まれておりますが、まだ本格的な活動を始めていない方もいらっしゃいます。
 活動数が今後より増加するよう、アンケートを実施するほか、利用実態も把握、検証しながら、事業のブラッシュアップにつなげてまいります。
   〔福祉局長山口真君登壇〕

○福祉局長(山口真君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、プレコンセプションケアについてでございますが、若いときから妊娠、出産の正しい知識を身につけ、将来のライフプランを考えることができるよう、都は、プレコンセプションケアに関する講座を令和五年七月から毎月開催しておりまして、本年一月までに三千六百人を超える方が受講をしております。
 また、受講者が将来の妊娠、出産に備え、都の登録医療機関でAMH検査等を受けた場合、その費用を助成するとともに、特に二十代、三十代の方の妊娠、出産への理解が深まるよう、性別、年代別の動画を作成し、普及啓発を行っております。
 来年度は、男性向け検査の種類を拡大し、上限額も二万円から女性と同額の三万円に引き上げるなど、支援の充実を図ってまいります。
 次に、卵子凍結への支援についてでございますが、都は、令和五年九月の事業開始以降、三千人を超える方から卵子凍結に係る費用助成の申請を受け付けておりまして、助成を受ける方に対しては、事業の効果を検証するためのアンケート調査を行っております。
 調査では、約九割の方が卵子凍結を実施して満足したと回答する一方で、医療行為を受けるためのスケジュール調整が大変だったなどの声もいただいております。
 今後、こうした内容を都のホームページやセミナーを通じて周知しまして、卵子凍結を希望する女性が、本事業を活用した方の声も参考にしながら、卵子凍結に関する理解を深められるよう支援をしてまいります。
   〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕

○保健医療局長(雲田孝司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域医療についてでございますが、都民が安心して出産、子育てができ、住み慣れた地域で暮らし続けるには、安定的な医療体制の確保が重要でございます。一方で、二十四時間体制が必要な小児、周産期及び救急医療は、人員体制の確保が困難な傾向にあります。
 このため、都は来年度から、小児科、産科や救急医療を担う診療科の患者受入れ体制を確保する民間病院などに対し、一診療科当たり年間約一千百万円を補助いたします。
 対象病院には、三年間の受入れ体制確保計画の策定や、医療の質向上に関する院内研修の実施などを求めてまいります。
 こうした取組によりまして、地域における医療体制を確保してまいります。
 次に、地域医療に関する調査についてでございますが、高齢化の進展に伴い、高齢者の医療需要が増加する一方、病床利用率は現在緩やかな回復傾向にあるものの、コロナ前より低下しているなど、病院経営をめぐる状況は変化しております。
 こうしたことから、都は来年度、都民の受療に対する意識や、年齢階級別の受療率の分析及び推計、病院の経営状況や医療DXの取組状況、病院と介護施設との連携における近年の課題など、幅広く調査、分析を実施いたします。
 調査結果は、診療報酬の改善に向けた国への提案要求や、今後の医療政策の検討に活用するなど、東京の特性を踏まえた持続可能な地域医療の確保につなげてまいります。