令和七年東京都議会会議録第四号

○議長(増子ひろき君) 五十四番風間ゆたか君。
   〔五十四番風間ゆたか君登壇〕

○五十四番(風間ゆたか君) 初めに、介護問題について伺います。
 国の介護報酬改定により、去年四月から訪問介護の基本報酬が約二・四%引き下げられ、小規模な訪問介護事業者の倒産や人手不足に拍車がかかり、訪問介護サービスが受けられなくなる要介護者や介護離職が増加することが懸念されたため、私の地元の世田谷区は昨年独自で支援金を支給しました。
 都としても訪問介護事業者への支援を充実すべきと考えます。知事の見解を伺います。
 人手不足は、公共セクターにおいても専門性を要する部署では深刻です。特に応募者数が激減する教員採用について、私は三年前の一般質問で奨学金返済免除に触れ、昨年の文教委員会でも求めました。来年度から採用した教員の奨学金返済支援を二分の一の金額で行うことは半歩前進と評価します。
 また、児童相談所の人材確保も深刻で、これも私は三年前の予算委員会で採用育成の強化を求めたところです。この間、人材獲得競争は激化する一方ですが、都は、来年から児童相談所職員の人材確保に向け、二分の一の制限を設けず奨学金返済支援をすることは大いに評価しています。具体的にどのような返済支援制度なのでしょうか。採用対象者にこの情報が届かなければ成果につながりません。
 都は、未来の担い手となり得る高校生世代にも周知し、対象者の裾野を広げることにも取り組むべきです。併せて知事の見解を求めます。
 人手不足の問題は民間でも深刻であり、特に都民に大きな影響を及ぼすのがドライバー不足となっているバス業界です。都民からバス路線の廃止や減便によって困惑しているという声も届いていますが、バス事業者からはドライバーの高齢化が進み、新規の採用や育成にも苦労していると伺っています。費用をかけて採用育成した若手ドライバーが東京都交通局に転職してしまうという事例も多々あるようです。
 都内バス交通は、都バスと民間バスが一体となって全体最適に取り組む必要があると思います。東京都交通局は民間に影響を及ぼさないような採用育成をすべきですが、見解を伺います。
 また、プロスポーツ業界では、移籍先チームが移籍元チームへ移籍金を支払う制度などがあります。免許を有するプロドライバーが都に移籍した際にも、都は補助金等で民間バス事業者を支援すべきです。都内バス交通維持のための民間支援について、知事の見解を伺います。
 次に、環境問題について伺います。
 都は、地球規模の課題解決を先頭に立って持続可能な都市東京を区市町村と共に実現すると掲げています。温室効果ガスの排出抑制の効果あるプラスチック資源化は、かつて清掃工場の焼却能力の問題から、二十三区と市町村との間でごみ分別の差が出てしまいましたが、近年の気候変動や海洋プラスチックの問題から、都は容器包装プラスチックの分別収集推進に向け、区市町村を支援してきました。
 容器包装リサイクル法の努力義務であることから、二十三区での取組進捗も異なり、来年度からは二十二区で実施され、二十六の市町で分別収集されることになっていますが、可燃ごみの約二割がプラスチックの世田谷区は、資源化施設を区で整備することがいまだ困難な状況です。都内のプラスチック分別収集拡大とレベルアップに向けた知事の見解を伺います。
 また、海洋プラスチック問題については、昨年の阿部祐美子議員の質疑に対し、環境局長が人工芝からの流出防止について国や関係団体が連携し、施設管理者向けのガイドラインやリーフレットを作成、周知していると答弁しています。都は、都立スポーツ施設で人工芝を多用しており、摩耗によるマイクロプラスチックの発生及び海洋流出抑止に向けて主体的に取り組む責任があるはずですが、この対策は万全なのかを伺います。
 また、都立公園内にもテニスコート等人工芝が多用されていますので、こちらの状況も伺います。この問題は、食物連鎖により人体にも影響を及ぼす深刻な問題ですが、都は主体的に取り組んでいないようなので、都知事の見解を伺います。
 次に、動物虐待防止について伺います。
 令和四年度動物の虐待事例等調査報告書によると、動物虐待の検挙数はこの十年で約五倍に増加しています。私が警視庁への動物の愛護及び管理に関する法律違反の検挙人数を文書質問したところ、二〇一五年の三人に対し、二〇二三年は十八人と六倍増でした。
 二〇二〇年施行の動物愛護管理法により、動物虐待に対する罰則が強化された結果と思われますが、動物虐待を疑う状況に接しても、どこに通報すればよいのか分からないという声もあります。動物虐待かもしれないと感じたときに、通報してもたらい回しにされない安心感ある連絡先が明確であれば、今よりも多くの動物の命を救うことができると考えます。
 兵庫県では、アニマルポリスホットラインという動物愛護関連の法令に詳しい警察官が電話対応する窓口を県警内に設置しています。警視庁もこのような専用電話を設け対応すべきと考えますが、警視総監の見解を伺います。
 また、大阪府は、動物虐待通報共通ダイヤル、おおさかアニマルポリスシャープ七一二二を設置し、受けた電話が警察や区役所、市役所の適切な部署に転送される仕組みがつくられています。
 東京都は、保健医療局に動物愛護相談センターがあることから、大阪府の事例が取り入れやすいかもしれません。
 いずれの形式でも、このようなアニマルポリスといった名称の連絡窓口を設置する必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 続いて、プロジェクションマッピングについて伺います。
 知事が十八億円とした経済波及効果は、都からの委託費が含まれており、新規の消費喚起も明らかではなく、観覧者数も都の公表数はかなり盛っているのではないかと疑念を抱いています。昨日の二十一時に観覧者数を私、数えましたところ、二十人ほどでした。
 都は、先月から商業広告を投影し始めましたが、広告収入枠をフルに埋めても年間予算の半分にも満たず、観覧者がアート作品を期待して来ても広告を見せられ、もはや誰のための何のための事業なのか分かりません。多額の公金を投入している以上、まずは一度事業をやめて検証し、都が公金を投入して行うべき事業なのか再検討すべきです。知事の見解を求めます。
 最後に、今年度実施された英語スピーキングテストについて伺います。
 受験者である生徒から様々な不適切運営に関する情報が寄せられ、文教委員会でも明らかにされました。都教委は、何度もテストは適切に実施されたと答弁を繰り返しましたし、先ほど、ほかの議員からの質問に関しても、改ざんがあったかどうか分からないまま適切だと強弁している状況です。適切かどうかは行政サイドが判断することではなく、まずは執行状況を明らかにし、その適切性は都民が判断することだと認識すべきです。
 機材トラブルによってテストを予定時間に受けることができず、終了時間が大幅に遅れ、携帯電話を取り上げられている状況下、教室に鍵をかけられて閉じ込められたという事例は、虐待や人権侵害に当たる不祥事事案です。都教委は文教委員会の答弁で、試験実施状況については事業者と都教委で確認していると繰り返し、一方で、この施錠による監禁事例については真偽不明としていましたが、この事例を把握していないのであれば、適切に実施されたと答弁できないはずです。把握していたのだとすれば、不祥事の隠蔽です。教育長は、この事例を把握しているのか否かをお答えください。
 私は、昨年十一月二十九日の文教委員会において、テスト運営における具体的な問題事例を挙げ、受験生が同じ条件や環境で受験できておらず、公平性が担保されていないとし、不利益を被った生徒にどのような補償をするかを問いましたが、都教委は答弁を拒否しました。
 先日、私のところに不利益を被った受験生の保護者から新たな通報がありました。
 十一月二十四日、別室受験をさせられ、二時間ほど帰宅が遅くなったある生徒は、再試験日の二日前に、十二月十三日夜ですね、都教委から突然電話で再受験しなければ零点だといわれたそうです。納得いく説明はなかったそうです。翌日十四日、保護者は確認のために都教委の問合せ先電話に連絡をすると、一時間半も誰も電話に出ないで、ようやくつながった際に、翌日十五日の受験後の塾に間に合わないんだということを伝えると、都教委はかなり渋りながら、当日受験後に都教委職員が送るということになったそうです。これが都教委の補償なのでしょうか。保護者の方は、この一連の対応に納得がいかず、上長に連絡するよう求めたそうですが、その後、都教委から連絡はなかったそうです。
 このようなあまりにずさんな都教委の対応は適切なのでしょうか。その方は最後に、こんなずさんな試験制度で何をもって公平というのか全く理解できなく、本人はもちろん家族も振り回されました。弱い立場の受験生を軽んじていることが悔しいです。誰のための受験制度なのか分からない状態ですとおっしゃっていました。こんな思いをしている受験生と保護者がいて、このようなずさんな対応をしていても、都教委は適切だったと強弁するのでしょうか。
 このような公平、公正が担保されなかったテスト結果も反映される都立高校一般入試選考が現在なされています。かつてリスニングテストで機器不良によって公平な試験がなされなかった際に、全員満点とした対応同様に、今回のスピーキングテストもするべきでした。明らかに実施運営側の瑕疵による不適切な試験運営により、不利益を被った生徒が多数いることが分かっていながら、なぜ全員満点としなかったのでしょうか。以上、併せて教育長に伺います。
 私からの質問は以上です。(拍手)
   〔警視総監迫田裕治君登壇〕

○警視総監(迫田裕治君) 風間ゆたか議員の一般質問にお答えいたします。
 動物虐待事案等が相談できる窓口の設置についてでありますが、警視庁におきましては、警察署への相談や一一〇番通報のほか、関係機関からの情報提供などにより、動物虐待事案等の情報を入手しており、これを端緒として必要な捜査を行っております。
 本年二月には、こうした情報提供を基に、ハトを捕獲した上で殺傷する状況をSNSに投稿するなどした者を動物愛護法等の罪で検挙しております。
 引き続き、東京都動物愛護相談センターなどの関係機関等と連携し、動物虐待事犯に適切に対応してまいります。
   〔教育長坂本雅彦君登壇〕

○教育長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 英語スピーキングテストの運営についてでございますが、英語スピーキングテストの会場で、生徒が困ったことのある場合には、試験監督等に声をかけ、対応を進めるルールとしているところです。また、テストの会場での運営は適切であったと事業者から報告を受けております。生徒を教室に閉じ込めた事例はございません。
 次に、英語スピーキングテストの実施状況についてでございますが、英語スピーキングテストを実施した事業者及び配置した都職員や区市町村教育委員会から、試験は適切に実施された旨の報告を受けております。
 最後に、英語スピーキングテストの結果の活用についてでございますが、試験は適切に実施をされており、これまでどおりのルールで、引き続き都立高校入試においてスピーキングテストの結果を活用してまいります。
   〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕

○東京都技監(谷崎馨一君) 都内路線バスの維持についてでございます。
 バス交通につきましては、運転士不足が深刻化し、事業を取り巻く環境が厳しさを増しております。
 都は、政府提案要求等の場を活用し、必要な技能を有する人材の活用や運転士養成機関の設立などを要望してきております。
   〔福祉局長山口真君登壇〕

○福祉局長(山口真君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、訪問介護事業所への支援についてでございますが、訪問介護をはじめとした介護サービス事業は、国が定める介護報酬等により運営されることが基本でございます。都は、国に対して、事業運営を安定的に行うことができる報酬とするよう、繰り返し提案要求しております。
 また、未経験者の雇用経費への補助のほか、来年度からは採用や移動手段の確保に要する経費を補助することとしております。
 次に、児童相談所職員向けの奨学金返済支援についてでございますが、都は来年度から、都児童相談所における新規採用の児童福祉司等を対象に、採用から五年間、年額六十万円を上限に奨学金の返済を支援することとしておりまして、大学や養成施設などを通じて学生等に周知することとしております。
   〔交通局長久我英男君登壇〕

○交通局長(久我英男君) バス乗務員不足への対応についてでございますが、路線バスは公共交通機関として、地域の身近な移動を支える重要な役割を担っているものと認識しております。
 都営バスにおきましても、乗務員不足により路線の維持が困難となってきている中、民間バス事業者の状況を踏まえつつ人材を確保するため、来年度、大型二種免許未取得者を対象とした養成型選考を拡充するとともに、短時間勤務の導入による交通局OB等の活用を図ってまいります。
 あわせて、乗務員志望者の増加に向け、関係局や業界団体等と連携して取り組んでまいります。
   〔環境局長須藤栄君登壇〕

○環境局長(須藤栄君) プラスチックのリサイクルについてでございますが、都は、区市町村による分別収集を促進するため、開始に向けた住民説明会の開催や収集運搬などの経費に加え、レベルアップに向けた選別設備の導入等を支援しております。
 また、区市町村との共同検討会等で先行事例の共有を図るなど、技術的支援を実施しております。
   〔生活文化スポーツ局長古屋留美君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(古屋留美君) 都立スポーツ施設における人工芝についてでございますが、都立スポーツ施設におきましては、環境省のリーフレットを踏まえ、老朽化した人工芝の更新を行うとともに、清掃等の日常のメンテナンスを行うなど適切に管理しております。
   〔建設局長花井徹夫君登壇〕

○建設局長(花井徹夫君) 都立公園における人工芝についてでございますが、人工芝を使用しているスポーツ施設におきましては、国や関係団体が連携して作成したリーフレット等にのっとりまして、芝の更新や清掃など、適切な管理を行っております。
   〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕

○保健医療局長(雲田孝司君) 動物に関する相談窓口に関するご質問にお答えいたします。
 動物虐待を含む動物に関する相談は、動物愛護相談センターや保健所などで受け付けており、その連絡先につきましては、ホームページやポスターなどで周知しております。
   〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) 都庁舎のプロジェクションマッピングについてでございますが、この取組は、観覧者数が昨年二月の投影開始から一年間で約五十二万人となっており、東京の新たな観光スポットとして認知されてございます。
 また、観光事業者がプロジェクションマッピングを鑑賞する旅行商品を販売する取組も出るなど、実際に経済面での効果も見られております。