○副議長(谷村孝彦君) 九十四番藤井あきら君。
〔九十四番藤井あきら君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
○九十四番(藤井あきら君) デジタル都議、スタートアップ議員の藤井あきらです。
まずはデジタル施策について伺います。
都のデジタルサービスは、シニアも障害のある人も、誰もが直感的に使える、シンプルで分かりやすいものであるべきです。そのためには、利用者の声を聞き、常に使い勝手を改善、利用体験を向上していく必要があります。
地域の底力発展事業助成は、多くの町会、自治会が利用し、その利用に感謝をしておりますが、一方で、申請書類の提出や、申請後のレシートや領収書の管理が煩雑で大変だという声を多くいただいてまいりました。
今回、申請をオンライン化するということで期待の声をたくさんいただいていますが、申請後のプロセスにおいても使いやすい体験とすべきです。
地域の底力において、民間サービスでは当たり前となっているスマホでレシートを読み込む機能などユーザビリティーを向上させるべきですが、見解を伺います。
行政手続の改善は、各局での対応にとどまることなく、全庁的に取り組む必要があります。改善事例の共有や各局手続の状況をスコアカードのように分かりやすく示すなど、手続全般を使いやすいものにしていくべきですが、どのように取り組むのか伺います。
さらに、多くの時間や手間をかけている補助金審査業務においてもAIを取り入れるなど、職員の業務効率化を進めていくべきですが、見解を伺います。
次に、スタートアップについて伺います。
ユニコーンを超え、時価総額百億ドル、つまり一・五兆円を超えるデカコーンを生み出していくということが日本の競争力を高め、新たな産業創出や雇用を生み出すために欠かせません。そのためには、起業初期の方向づけが決定的に重要となります。
世界では、スタートアップへの投資を行うベンチャーキャピタルが自らビジネスを立ち上げる、カンパニークリエーションという手法が広がっています。
私たちは、昨年の予算特別委員会でも提案しましたが、VC自らが優れた技術や市場を見つけ出し、起業準備から事業戦略、そして資本政策までを自ら進める手法です。新型コロナのワクチンを開発したモデルナ社も事例の一つといわれております。
都は、四月から、創薬分野でカンパニークリエーションを進めるVCを支援するとのことで、都が支援するからには、社会的に大きなインパクトのある分野での創業を目指すべきですが、見解を伺います。
要望になりますが、今回得る知見をクライメートテック等、他の分野にも広げていくよう検討をお願いいたします。
世界的には、公共的な利益のために資金提供などを行うフィランソロピーといわれる考え方の財団などによる触媒的資本が、新たなスタートアップを生む最初の一歩となるケースが増えております。
例えば、私が推しておりますクライメートテック、この分野でも、マイクロソフトのビル・ゲイツが立ち上げたブレークスルーエナジー、シンガポールのテマセクファンデーション、元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏が立ち上げたブルームバーグ・フィランソロピーズ、グーグルの創業者セルゲイ・ブリンさんが立ち上げたベイショア・グローバル・マネジメント、また、オーストラリアのバウンドレス・アースなどの財団があります。
スタートアップ企業は、こういった海外の財団からの資金を受けることで海外ネットワークにつながり、ビジネスを世界に拡大させることが可能になります。
都においても、いわゆるフィランソロピー的な触媒的資本のトッププレーヤーを海外から呼び込み、特にクライメートテックの分野でイベントを開催するなど、社会的課題の解決に取り組むスタートアップを育てるエコシステムを発展させていくべきですが、知事の見解を伺います。
続いて、各局におけるスタートアップとの協働や新技術の活用等、イノベーション施策について質問いたします。
埼玉県八潮市で発生しました道路陥没事故を受け、国では、上下水道に対し、AIや人工衛星を使って管の劣化度や漏水部分を特定する技術の活用を進めるとのことであります。水道施設の維持管理など、水道事業において新しいテクノロジーを活用していくべきと考えますが、見解を伺います。
また、下水道管劣化への対応も人工衛星やAIなど、新たなテクノロジーを活用していくべきですが、下水道局の見解も伺います。
昨今、宇宙分野が大きな注目を集めています。
宇宙産業は、ロケットや衛星などの関連機器のみならず、衛星を用いたインフラ管理や被災状況把握、農林水産業などへも活用されており、私たちの会派からも重ねて提案をしてきたところであります。
これまでも都は、成長産業分野における支援を進めてきたところですが、こうした状況を踏まえ、宇宙産業に着目した支援に取り組み、事業者の活躍のステージを広げるべきと考えますが、見解を伺います。
続いて、家庭での再生可能エネルギーの活用促進について伺います。
ドイツでは、電気料金の高騰を背景に、居住者が自分でアパートのバルコニーに太陽光発電設備を設置し、コンセントから簡単に電気を利用できるプラグイン電源が急速に普及し、プラグイン電源革命と呼ばれる状況が起きております。
日本での普及には、電気事業法上の課題もあると聞きますが、例えば法人や家庭向けに、エネルギーマネジメントを提供する東大発ディープテックスタートアップYanekaraは、定置型蓄電池よりも低価格なポータブル蓄電池を利用して、家庭での再生可能エネルギーと蓄電池の活用を普及させることで、日本でもプラグイン革命を進めようとしております。
二〇三〇年カーボンハーフ、二〇五〇年のゼロエミッション東京の実現に向け、こうした省スペースで簡易に設置可能な太陽光パネルや可搬型を含めた蓄電池の普及促進が必要と考えますが、見解を伺います。
これは要望となりますが、都の家庭における蓄電池導入促進事業において、ポータブル蓄電池はその対象となっておらず、ドイツのようなプラグイン電源革命を進めるためにも、ぜひ対象に加えるよう検討をお願いいたします。
空飛ぶクルマは、世界中で熾烈な開発誘致競争が繰り広げられておりまして、早期の社会実装の可能性が高まっております。報道によりますと、ANAが二〇二七年度、JR東日本が二〇二八年にも都内での商用運航を検討しているとのことであります。
都はこれまで、私の二〇二三年九月の一般質問での提案も踏まえ、空飛ぶクルマのロードマップの精緻化を行い、来年度から実装プロジェクトを立ち上げると公表したところでありまして、率直に評価をしております。
空飛ぶクルマの社会実装に向けては、策定したロードマップに基づき、早期に都民にサービスを提供するため商用運航に向けて取組を加速していくべきですが、見解を伺います。
また、ぜひ私の地元町田市をはじめ、多摩地域の南北移動の課題解決にも資する飛行ルートの検討もご検討いただきたいと要望しておきます。
次に、若者施策に関連しまして都立学校について伺います。
先日、都立高校入試が行われましたが、本年度の志願倍率は過去最低の一・二九倍、受験倍率も過去二番目に低かったとのことです。私も都立高校出身ですので、都立高校には大いに期待をするところでありますが、選ばれる都立高校となるためには、その魅力の向上と様々な魅力をしっかりと伝えていく必要性を感じております。
工科高校では、私たちの提案により、PRイベント、工科高校ドリームフェスタを昨年度から開催し、志願者数の確保につながるなどの成果が出ていると聞いております。
第四回定例会での私たちの代表質問に対し、教育長からは、今後、全ての都立高校の魅力を早くから、幅広く紹介する取組を検討していくとの答弁もありました。
都立高校の特色や魅力の発信を一層強化すべきと考えますが、来年度、具体的にどのように取り組むのか伺います。
秋田県の県立高校では、二〇〇八年から理学、農学、工学等の分野において、博士号取得者に必要に応じて特別免許状を授与するなどし、教員として採用することで、研究活動にも近い探究授業などの質の向上に貢献していただいているとのことであります。
また、都においても、来年度から、博士人材の活用を進めていくということも聞いております。
都立学校でも、探究授業のレベルアップを図るため、博士号取得者を教員として採用するほか、博士号取得者の積極的な活用をすべきですが、見解を伺います。
次に、介護について伺います。
今年は、団塊の世代全員が七十五歳となる介護の二〇二五年問題の年であります。仕事と介護を両立する従業員が増え続ける中、国は、両立支援に向けて、経営者向けのガイドラインを策定しております。
この中で先進的な企業の取組として、両立支援を行う産業ケアマネジャーを活用した事例が取り上げられています。
私自身、働く方から介護のことは会社には相談しにくいという声なども聞いておりまして、こうした産業ケアマネジャーなどの外部専門家が、社内における介護の相談窓口となれるよう取組を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
平成三十年度の報酬改定により、主任ケアマネジャーが居宅介護支援事業所の管理者要件となり、つまり、事業所の運営に主任ケアマネジャーが必須となっております。しかし、この人材確保が難しく、閉鎖を考える事業所も出てきていると聞くところであります。
この間、政治と介護を紡ぐ会と連携し、私の地元町田市や江戸川区など、都内各地のケアマネジャーから直接話を聞いてまいりましたが、都内では必須となっている区市町村の推薦要件が国の定めより不必要に厳しく、また、落とされた理由も判然としないため、主任ケアマネになることを諦めたとの声を複数聞いております。
介護事業所の安定的な運営のためにも、主任ケアマネの区市町村の推薦要件の廃止も含めて対応すべきです。
主任ケアマネ研修受講の要件緩和も含め、研修受講の負担軽減を図っていくべきですが、見解を伺います。
最後に、地元町田市に関連する事項三点、質問をいたします。
私の地元町田市において、今年六月に新たな都立児童相談所が設置される予定です。新設する町田児童相談所は、多摩地域における児童相談所として初めて市の子供家庭支援部門と同一施設に開設されます。
児童虐待への対応や未然防止のためには、都と区市町村の子供家庭支援センターとの連携が不可欠ですが、どのような連携強化策を進めるのか。また、来年度開設する私の地元の町田児童相談所においても、市との連携を強化すべきですが、併せて見解を伺います。
都立小山田緑地は、良好な里山環境を将来にわたり保全する非常に重要な役割を担っております。一九八七年に最終的に都市計画決定されてから約四十年になりますが、いまだに未取得の土地が多いのが現状であります。地権者との丁寧なやり取りが必要ですが、都から働きかけがあれば用地取得に応じるという声も聞くところであります。
都として小山田緑地の用地取得を積極的に進め、整備を推進していくべきですが、見解を伺います。
小山田緑地にも沿って走る都市計画道路町田三・四・四〇号線の区間について伺います。こちらは、町田市内において、町田市内小山田地区について整備が進められていない状況となっております。多摩地域の交通アクセスの向上と町田市のまちづくりにも資するものであり、地元からは早期実現に期待の声が上がっています。
町田三・四・四〇号線の小山田区間を早期に整備するため、新たな整備方針の優先整備路線に位置づけるべきですが、見解を伺います。
以上、デジタル、スタートアップ、若者施策など、都政の目線を上げ、そして、地元町田市のさらなる発展のため、都民ファーストの視点で都民一人一人に寄り添いながら、東京大改革を小池百合子東京都知事と車の両輪となって進めることをお誓い申し上げまして、質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 藤井あきら議員の一般質問にお答えいたします。
社会を変える投資の呼び込みについてのご質問がございました。
人類が直面する課題の克服に向けて、世界から志を持った人が集い、持続可能な社会を実現するための確かな道筋を見いだす場がSusHi Tech Tokyoであります。
必要なのは、野心的な挑戦への強力な後押しでございます。気候危機などの解決に貢献するべく、起業家育成に尽力をしている影響力のある投資家を招きまして、商談に向けた個別のコーディネートを行ってまいります。また、世界有数の脱炭素関連の投資ファンドによりますセッションを開催するとともに、スタートアップと交流する機会を設けてまいります。
TIBでは、ウエルビーイングをテーマに海外の有力投資機関が参加するピッチを開催いたします。さらに、クライメートテック分野の海外投資家を国などと連携して誘致をいたしまして、投資と支援プログラムを併せて提供するなど、多くのプレーヤーの協力を得てグローバルなエコシステムを発展させてまいります。
残余の質問につきましては、教育長、都技監及び関係局長がお答えいたします。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕
○教育長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都立高校の特色と魅力の発信についてでございますが、中学生が早い時期から進路について考え、希望に応じ、都立高校を進学先として選択できるよう、様々な高校の特色や魅力を効果的に発信する工夫は重要でございます。
このため、都教育委員会は、毎年秋に都立高校を紹介する三か所の合同説明会を一つにまとめ、都立高校EXPOとして、来年度は夏に新たに開催をいたします。これによりまして全ての高校に係る個別相談や在校生との交流を行い、様々な学年の中学生にきめ細かく学校の特色等を伝えます。
また、国際交流や大学教授による授業の実施等の魅力的な教育活動を紹介する機会を設けます。さらに、工科高校PRイベントも同時に開催し、発信の効果を高めてまいります。
次に、都立高校での博士号を持つ人材の活用等についてでございますが、都立高校で高度で専門的な知識に基づく教育を行う上で、博士号を持つ人材の確保やその効果的な活用を図る視点は重要でございます。
これまで都教育委員会は、都立高校において、生徒が自ら設定した課題やその解決を進める探究学習に関し、大学院生等が高度な知識を提供する対応を進めてまいりました。
今後、博士号を持つ人材が教職に就き、優れた授業を行うよう、大学院や研究機関に出向き、教員試験を受けるよう働きかけを行います。また、来年度、全都立高校で探究学習を展開する中、博士号のある研究者等がアドバイスを行う工夫も実施をいたします。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕
○東京都技監(谷崎馨一君) 町田市内の都市計画道路についてでございます。
町田三・四・四〇号線の市道忠生六三〇号線から多摩市境までの区間は、良好な都市空間の創出等が期待できる一方、地理的条件や地域のまちづくりの視点から検証することが必要な路線でございます。
現在、新たな整備方針について、学識経験者による委員会や都と区市町による検討会を設置いたしまして、来年度の策定に向けて議論をしております。
今後、区市町など関係機関と密接に連携しながら、将来の都市計画道路網の検証等を行い、優先整備路線を選定することとしております。本路線につきましては、新たな整備方針策定の中で適切に検討してまいります。
〔生活文化スポーツ局長古屋留美君登壇〕
○生活文化スポーツ局長(古屋留美君) 地域の底力発展事業助成の申請の簡素化についてのご質問にお答えいたします。
町会、自治会が提出する申請書や実績報告につきましては、令和七年度分から、これまでの郵送に加えましてオンラインでの受付を開始いたします。報告書に添付する領収書などは、スマートフォンで撮影した画像データで提出いただけるようにするほか、助成対象経費の算定方法を見直し、提出書類の削減を図ります。
また、報告書自体の様式につきましても、実施日や場所などの事項に沿って順番に記入していくことで完成できるよう工夫をいたします。
町会、自治会の皆様にさらに使いやすさを実感いただけるよう取り組んでまいります。
〔デジタルサービス局長山田忠輝君登壇〕
○デジタルサービス局長(山田忠輝君) 二点の質問にお答えいたします。
初めに、行政手続のさらなる利便性向上についてでございますが、利用者目線に立って使いやすい手続へと改善を重ねるとともに、質の見える化を全庁で進めることが重要でございます。このため、手続の簡便さなどの基準を定め、申請項目や添付書類の削減等に向け、申請件数の多い手続の徹底したBPRを各局と進めております。
今後、新たに時間短縮効果の高い事例を基に実践的なワークショップを行い、各局にノウハウを横展開いたします。また、手続ごとに改善レベルを表示するとともに、オンラインでの標準的な処理期間を都民に分かりやすく公開してまいります。
来年度は、都民の意見を聞くユーザーレビューを全ての手続で実施することで、さらなる改善につなげ、手続の質の向上を推進してまいります。
次に、補助金審査におけるAI活用に関するご質問にお答えいたします。
全庁での展開を視野に、AIを徹底的に活用し、職員の業務の効率化や事業者などに利便性の高いサービスを提供することが重要でございます。
このため、来年度、組織横断的な政策DXとして、先行的に実施する産業労働局と共に、補助金審査業務の迅速化に向けた取組を開始いたします。まずは、AIを申請書類の確認などに取り入れ、審査の時間短縮効果や確認精度の検証を行いながら、モデルケースを創出いたします。将来的に各局で活用できる汎用性のある仕組みとなるよう、GovTech東京の技術力を生かし、レベルアップを図ってまいります。
AIの力を最大限活用することで業務効率化を実現し、職員の生産性向上につなげてまいります。
〔スタートアップ・国際金融都市戦略室長吉村恵一君登壇〕
○スタートアップ・国際金融都市戦略室長(吉村恵一君) カンパニークリエーションのご質問にお答えいたします。
この手法は、ベンチャーキャピタルなどが科学的データなどに基づき、事業分野や内容を吟味した上で、狙いを定めてスタートアップを立ち上げる手法であり、薬の開発などの不確実性が高い分野で、その確度を高める上で有効とされております。
このため、都は、カンパニークリエーションのモデルケース創出の取組を創薬分野で開始いたします。ベンチャーキャピタルなどによる有望なシーズの選定、経営人材を含めた組織づくり、製品開発のプロセスが円滑に進みますよう、製薬分野の専門家などが事業計画への助言や人材マッチング等の支援を行うほか、人材確保に係る経費を助成いたします。
こうした手法により、社会課題を解決するスタートアップの創出につなげてまいります。
〔水道局長西山智之君登壇〕
○水道局長(西山智之君) 水道事業における新技術の活用についてでございますが、労働力人口の減少など、社会経済状況が大きく変化する中でも、事業を安定的に運営していくため、水道局では新技術を活用し、ドローンによる施設点検や人工衛星データ等を使用した漏水リスク評価等に取り組んでまいりました。
令和七年度からは、新たに、レーザー測量による小河内貯水池ののり面管理や、IoT機器を活用した給水所設備の点検、センサーとAIを用いた地中の漏水箇所の特定に取り組むなど、維持管理や工事など、現場業務の様々な場面において新たな技術を積極的に活用してまいります。
これにより、業務の一層の高度化、効率化を図り、持続可能な水道システムを構築してまいります。
〔下水道局長佐々木健君登壇〕
○下水道局長(佐々木健君) 下水道管の維持管理への新しいテクノロジーの活用についてでございますが、膨大な下水道管を適切に維持管理するためには、優れた新技術を導入していくことが重要でございます。
これまでも、下水道局では、道路を掘削せず下水を流したままリニューアルする技術など、高度に都市化が進展した東京の地域特性を踏まえた様々な技術を開発、導入してきてまいりました。
今後、新たなAIなどの先端技術を活用した効果的な手法の技術開発を進め、予防保全を重視した取組を一層推進し、都民の安全・安心を確保してまいります。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕
○産業労働局長(田中慎一君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、宇宙産業への参入に向けた支援についてでございます。
宇宙産業は民間を中心に産業化が進み、宇宙利用を通じた社会課題解決も期待されるなど、都内に集積します中小企業の優れた技術力が活用できる成長分野であります。
このため、都は、来年度から新たに、宇宙産業における中小企業の参入を進めるため、セミナー等による機運醸成を図ります。また、衛星等に係る機器の開発や、観測データを活用した環境、防災分野等でのサービスの創出と、それらの販路の開拓に必要となる経費について、最大一億円を上限に助成いたします。
さらに、専門のコーディネーターを配置し、きめ細かく支援することで、中小企業の宇宙ビジネスでの活躍を後押ししてまいります。
次に、介護の相談がしやすい職場環境についてでございます。
働く方が介護と仕事を両立できるよう、様々な悩みに寄り添える職場づくりを後押しすることは重要でございます。
都は、中小企業が介護に関する相談窓口を設け、人事担当者等がその業務を担う場合に奨励金を支給しております。この支援につきまして、来年度は、相談業務の一部を介護保険や地域の支援など、様々な制度に詳しい社外の専門家に委託する場合も対象とするよう、充実を図ります。
また、企業の先進的な取組を紹介する中で、今後、外部の介護支援サービスを活用した事例も取り上げてまいります。これらによりまして、介護に直面しても安心して働き続けられる環境の整備を促進してまいります。
〔環境局長須藤栄君登壇〕
○環境局長(須藤栄君) 簡易に設置可能な再エネ設備などの導入についてのご質問にお答えいたします。
家庭における再エネのさらなる拡大に向けては、設備の特性を踏まえた導入の後押しや、先進技術の実用化に向けた取組が重要でございます。
そのため、都は、コンパクトで設置工事が不要なポータブル型の太陽光パネルや蓄電池について、家庭での幅広い導入促進に向け、区市町村を通じた支援を行っております。
来年度は、集合住宅のバルコニーなどに設置し、電源コンセントにつないで活用可能な太陽光パネルについて、利用の際の技術面での検証などを行うことで早期の実用化を後押ししてまいります。こうした取組により、各家庭の住宅事情やニーズに応じた再エネの導入や活用を促進してまいります。
〔政策企画局長佐藤章君登壇〕
○政策企画局長(佐藤章君) 空飛ぶクルマについてのご質問にお答えします。
空飛ぶクルマは、交通渋滞の回避など、都民生活の質を高めるとともに、都市の魅力向上につながる技術であります。
都は、二〇三〇年の市街地での展開を目指し、精緻化したロードマップに基づき実装プロジェクトを立ち上げ、取組を加速することとしております。具体的には、来年度から二つの地点を結ぶ運航サービスの実現に向けた支援を行うとともに、都民の社会受容性の向上を図ってまいります。
これらの取組の成果を積み重ね、民間主体への移行を進め、早ければ二〇二七年度に河川、臨海部などを活用した商用運航につなげてまいります。
〔福祉局長山口真君登壇〕
○福祉局長(山口真君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、主任介護支援専門員の研修についてでございますが、都はこれまで、主任介護支援専門員の研修受講料を補助するほか、資格更新時の研修要件を一部見直すなど、負担軽減に取り組んでまいりました。
主任介護支援専門員は、地域包括ケアの中核を担うことを役割として創設されました。これに加え、現在は居宅介護支援事業所の管理も担うなど、その役割は拡大しておりまして、令和九年度から全ての居宅介護支援事業所への配置が義務となります。
こうしたことを踏まえまして、区市町村等の意見も聴取し、来年度から研修要件であった区市町村の推薦を撤廃いたします。今後、こうした研修要件の周知を図るとともに、主任介護支援専門員の確保、定着に向け、さらに取組を進めてまいります。
次に、児童相談に係る連携体制についてでございますが、都はこれまで、子供家庭支援センターにおける児童虐待の対応力を強化するため、関係機関との連携を担う虐待対策コーディネーターや、子供の心理的ケアを行う心理職等の配置を支援してまいりました。
来年度は、虐待事案の情報共有や引継ぎをさらに円滑に行えるよう、児童相談所と子供家庭支援センターとの連絡調整のルールを見直すとともに、都と区市町村合同の研修も新たに実施しまして、顔の見える関係を構築いたします。
本年六月に開設する町田児童相談所におきましても、同一建物内に市の児童相談部門の設置が予定されておりまして、合同で虐待相談に係る会議を開催するなど、都と市の連携強化に向け、積極的に取り組んでまいります。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕
○建設局長(花井徹夫君) 小山田緑地の整備についてでございますが、本緑地は、東京の緑の骨格を形成する多摩丘陵において保全の核となる丘陵地公園として重要でございます。
これまで、計画区域の約三割となる約四十六・七ヘクタールの用地を取得しており、丘陵地の環境を生かした草地広場や散策路、トンボ池などの整備を進めてまいりました。今年度は、樹林地の間伐など、里山の再生による拡張整備を進めており、現在、四十四・五ヘクタールを開園しております。
今後、事業のさらなる推進に向けて、地権者等に丁寧に対応しながら用地取得を進め、公園の整備に着実に取り組んでまいります。
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