○議長(増子ひろき君) 百八番東村邦浩君。
〔百八番東村邦浩君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
○百八番(東村邦浩君) 都議会公明党を代表して質問します。
初めに、事業評価における新公会計制度のさらなる活用について質問します。
持続可能な財政運営を行うためには、各局の事務事業を評価し、新たな財源を捻出することは大事です。
都議会公明党は、二〇〇二年の第一回定例会において、都の財政再建のツールとして、企業会計並みに複式簿記・発生主義会計の考え方の下、バランスシートと行政コスト計算書、キャッシュ・フロー計算書を作成して、財政の見える化を提案しました。
その結果、二〇〇六年度から複式簿記・発生主義会計による財務書類が作成され、約一兆円の隠れ借金が明らかになり、その後、都は、二年間かけて、この隠れ借金を解消しました。
さらに、事業評価の手法に発生主義の考え方を導入し、事業レベルの行政コスト計算書を活用して事業評価を行ってきました。
具体例として、神津島の三浦漁港では、背後の山から土砂が流入していたため、毎年度、しゅんせつを実施していましたが、砂防潜堤を設置することによる毎年度の減価償却費と比較すると、砂防潜堤を設置するコストの方が半分以下で済むことが判明し、砂防潜堤の設置に方針を転換しました。
現在は、終期が到来する事業の事後検証や、都民や事業者の視点に立った類似事業の整理などを行っていますが、事業評価をさらに深掘りしていくためにも、いま一度、原点に立ち返り、新公会計制度の発生主義による行政コストを活用した事業評価を行っていくべきと考えます。見解を求めます。
次に、子育て、教育施策について伺います。
初めに、小中学校におけるネーティブ人材の活用について質問します。
将来、子供たちが世界の人々と手を携えて、よりよい社会を構築していくためには、語学力は大変に必要な要素であり、都議会公明党は、全ての子供が英語を話せる東京を目指すべきであると考えます。
英語を学び始める小中学校段階は、学びの基礎を固めるとともに、英語が使えた経験が後の学習への意欲にもつながる重要な時期であることから、小中学校での英語教育を強化する必要があります。
先日、東大和市立中学校の生徒一人一台端末を活用したオンラインでの外国人講師によるマンツーマン英会話レッスンの授業を視察しました。生徒が講師とそれぞれ一対一で英会話をすることで、学習進度に応じたレッスンが受けられるように配慮されていました。
日本人が苦手だといわれている話すこと、使える英語を身につけるためには、マンツーマン英会話レッスンなどの先進事例も含め、各区市町村立小中学校でネーティブ人材を一層活用できるよう、都教育委員会が支援していくことが重要であると考えます。見解を求めます。
次に、公立小中学校の空調設置、更新に対する支援について質問します。
都議会公明党の要請に応じ、都教育委員会が空調設置を進める区市町村に対する支援に尽力してきたことは高く評価いたします。
空調の設置は、各区市町村が計画的に進め、普通教室は一〇〇%整備されましたが、特別教室や体育館等への空調設置が完了していない自治体もあります。
都は、体育館や特別教室の空調の補助事業を二〇二四年度で終了するとしていますが、こうした自治体の状況も踏まえ、支援期間を延長すべきと考えます。都教育委員会の見解を求めます。
一方、二〇一一年度、二〇一二年度の二か年で一斉に整備した普通教室の空調が二〇二六年度、二〇二七年度に耐用年数の十五年を迎えようとしています。今回の更新は、当時の整備費用に比べて、人件費の上昇や資機材の高騰により、現状の国の補助単価では、実工事費との乖離が生じています。
そこで、今から二〇二六年度に一斉に行われる普通教室の空調の更新に向けて、体育館の空調設置同様、都による財政支援の制度を検討していくべきです。併せて都教育委員会の見解を求めます。
次に、受験生チャレンジ支援貸付制度について質問します。
都議会公明党は、令和六年の予算特別委員会で、中学生時代に不登校であった生徒が多く通うサポート校を受験生チャレンジ支援貸付事業の対象とするよう検討を求めました。
これまで、サポート校については、対象となる塾の経営が、受験用コースと生活訓練等その他のコースとの経費的な立て分け等、明確に区分できることを条件としていたため、結果的にはどのサポート校でも受験生チャレンジ支援貸付事業を活用できていなかったというのが実態です。しかし、生活リズムを立て直すことによって初めて進学後の通学が可能になるのであり、受験指導と生活訓練は、いわば一体不可分の取組といえます。
その意味では、受験指導と生活訓練は、どちらも自らの幸福を教育の力で勝ち取るための大切な取組です。サポート校での努力を通し、受験に挑戦し、自己実現を図ろうとする生徒を、受験生チャレンジ支援貸付事業で具体的に応援できるよう、対象要件の緩和を図るべきと考えます。令和七年度の制度拡充の内容と併せて見解を求めます。
次に、教員の業務負担軽減について質問します。
教育の質を向上させるためには、何よりも教員自身が力量をアップし、その持てる力を存分に発揮できる環境を整えることが不可欠です。
しかし、教員の職場環境は業務が多忙であり、長時間勤務が常態化し、心身の健康を壊し、休職、離職する教員が増えているのが現状であり、こうした状況下では、質の高い教育を望むことはできません。
長時間勤務の大きな原因の一つは、保護者や地域からの苦情等への対応です。こうした業務は、教員が個人として行うのではなく、学校や教育委員会が行政の責任として対応する体制が必要です。特に、専門的な知識が求められる法務相談については、弁護士、司法書士、行政書士と連携し、的確に対応できる体制を整備するべきと考えます。
教員に集中している業務をそれぞれの専門的な技能を持ったスタッフと分業化すれば、教員の業務負担を軽減できるとともに、学校の機能の向上にもつながります。都教育委員会の見解を求めます。
次に、医療、高齢者、福祉施策について伺います。
初めに、地域医療提供体制の維持に向けた民間病院への財政支援について質問します。
都民の命と健康を守り抜くためには、地域医療を担う民間病院はなくてはならない存在です。
そのため、都議会公明党は、昨年の第四回定例会で、福祉医療機構の調査結果を踏まえ、都内一般病院の過半数が赤字になっており、その原因が、全国一律の診療報酬の下、東京の人件費や資機材の価格が他の地域よりも割高であることを指摘し、都は、東京の地域医療提供体制の維持に向けた取組を行うべきと質問しました。
都は、救急外来や病棟での高齢者等の確実な受入れ、老朽化した病院の建て替えなど、将来にわたって地域医療を提供できるよう取組を検討していくと、従来の施策を拡充していく答弁がありました。
令和七年度予算案においては、この答弁を受けた高齢者、小児・産科・救急医療受入推進事業など、二百六億円が予算案に計上されました。
画期的なのは、東京都医師会や東京都病院協会が強く求め、都議会公明党が何度も都に要請を行った地域医療確保に関わる支援事業が百六十六億円、予算案に計上されたことです。
そこで、今回、入院患者一人当たり一日五百八十円の支援金を交付するという国の診療報酬の上乗せともいえる都政史上初めての支援金を決断した理由について、知事の見解を求めます。
次に、ビジネスケアラー支援のための介護DXの実施について質問します。
日本全国では、働きながら家族の介護をするビジネスケアラーは三百六十万人を超えています。さらに、育児と介護の両方を行っているダブルケアラーは約二十万人います。
日中、仕事を抱えているビジネスマンにとって、家庭で介護をしている親などを特別養護老人ホームや介護老人保健施設に入れたくても、休みを取って調べるのが困難な状況にあります。
また、仮に施設に入居が決まっても、親が住んでいる自治体において手続をし、施設に書類を提出しなければならず、こういった作業は大変な労力を必要とします。
都は、シン・トセイXにおいて、国や都、区市町村で分かれている手続やサービスを自治体の枠を超え、連携して取り組む政策DXを行うとしています。
そこで、このようなビジネスケアラーがマイナンバーカードを活用して、自身のスマートフォンやパソコンから施設の検索や自治体や施設への手続が行えるようにする介護DXに取り組むべきです。こうした優先度の高い分野から政策DXを推進していくべきと考えます。知事の見解を求めます。
次に、強度行動障害を有する方への支援について質問します。
強度行動障害は、重度の知的障害や自閉症の特徴が強いコミュニケーションが苦手な人がなりやすいといわれており、かみつき、頭突きなどの他害や自傷行為等が頻繁に現れる状態をいいます。この強度行動障害に関する正しい知識がないため、適切なサービスを提供できないなど、事業所は受入れに苦慮しています。
国は、状態が悪化した強度行動障害を有する方への集中支援の仕組みを創設するなど、支援体制の充実を図っています。
そこで、入所施設やグループホームなどで、強度行動障害を有する方が適切な支援を受けられるよう、都として、受入れ体制の強化を図っていくべきと考えます。見解を求めます。
強度行動障害を有する方の受入れ体制の強化を図るためには、施設やグループホームの現場で指導や助言を行い、チーム支援のキーパーソンとなる中核的な人材の育成が急務です。
国は、令和六年度から中核的人材の育成を開始したところですが、各都道府県二名の育成と人数が限られています。
また、強度行動障害を有する方を支援する団体からは、子供の成長過程において、適切な療育や支援を受けることで、将来の強度行動障害の状態の予防や社会生活を円滑に送ることができるという話を伺いました。
都内の児童発達支援や放課後等デイサービスなど事業所においては、心理学に基づいたABAという応用行動分析学の手法を用いるなど、障害児の個々の状況に応じて早期療育が提供されているところもあります。
そこで、強度行動障害を有する方が安心して穏やかに暮らしていけるよう、都が主体となって中核人材の育成の仕組みを構築するとともに、応用行動分析学の手法を用いるなど、より専門性の高い人材を育成すべきと考えます。見解を求めます。
次に、シルバーパスについて質問します。
都議会公明党は、高齢者の社会参加と健康増進のために、シルバーパスの果たす役割の重要性を踏まえ、実施から二十五年が経過している現行制度を抜本的に改善すべきと提案してきました。
令和七年度予算案で、ICカード化と利用者負担軽減が盛り込まれました。特に、都議会公明党が具体的に求めたことにより、都が高齢者の社会参加促進と現下の物価高騰等を踏まえ、二万五百十円の利用者負担について、令和七年度から一万二千円に引き下げることが予算案に計上したことを高く評価いたします。
そこで、利用者負担の軽減とともに、各バス事業者の大変厳しい状況を鑑み、円滑にシルバーパス事業が実施できるよう、早急に支援を行っていくべきです。知事の見解を求めます。
また、今後、多摩都市モノレールやコミュニティバスへのシルバーパスの適用拡大を強く要望しておきます。
次に、就労支援について伺います。
初めに、現役世帯の年収を増やす取組について質問します。
東京都生計分析調査報告書によると、東京都の勤労世帯の年収は、二〇二三年までの五年間で、平均で百五万円増加しています。また、個人都民税も令和七年度は令和六年度に比べて一千五百四十億円増加しています。この流れを加速させていくには、都内中小企業で働く勤労世帯の年収を大幅に増加させていく必要があります。
そのためには、中小企業が生産性を向上させ、賃上げを行えるよう、都が思い切った財政支援を行う必要があります。さらに、中小企業の従業員のリスキリングを支援していくことも重要であります。
また、公労使の合意形成も大切です。先月、かねてから公明党が推進してきた地方版政労使会議を都と国との共催で実施しました。都においても、カスタマー・ハラスメント防止条例を制定するために開催した公労使会議を活用し、物価高に負けない賃上げへの合意形成を知事のリーダーシップで進めていくべきであります。併せて知事の見解を求めます。
次に、就職氷河期世代の支援について質問します。
この世代は就職時に不景気で、正規雇用の採用枠が減らされ、不本意ながら非正規雇用を選ばざるを得ず、キャリア形成の機会を逃した世代とされます。
都議会公明党の提案を受け、東京しごとセンターに設置された就職氷河期世代特別支援窓口には多くの相談が寄せられ、これまで非正規の経験しかなく正社員として働きたい、家族との生活を考え安定した仕事に就きたいなどの切実な声が今も届いています。
そこで、就職氷河期世代の安定就労を確実に前へ進めるとともに、高齢期を見据えた人生設計に寄り添う支援を進めるべきです。また、就職氷河期世代の労働環境の整備に取り組む中小企業を支援し、この世代の待遇向上を図るべきです。併せて見解を求めます。
次に、建築人材のリスキリングについて質問します。
高度経済成長期に建設された多くの建物が寿命を迎え、解体や建て替えなどの需要が高まる一方で、苦労して人員や資材の確保にめどをつけても、設備部門の引受手が見つからず、対処できないとのことであります。建物や設備等の設計を担う技術者については、資格取得の難しさもあり、人材の裾野となる若年層の確保や在職者のスキルアップが急務です。
一方、建築分野の中小企業では、ようやく新人を採用できても育成の余裕がなく、資格の取得を応援できるよう、行政に対し支援を求める声が高まっています。
そこで、都は、職業能力開発センターにおいて、建築業界で働く人に対する訓練の充実を図るとともに、従業員が資格取得の勉強に打ち込める社内の環境づくりが進むよう支援すべきです。見解を求めます。
次に、住宅施策について伺います。
初めに、アフォーダブル住宅の適正価格の設定スキームについて質問します。
都議会公明党は、昨年の第一回定例会において、東京の住宅価格が高層マンションへの投機により上昇しているため、子育て世代が都内に住むことができない状況を指摘し、都におけるアフォーダブル住宅の仕組みの構築を提案しました。
令和七年度予算案において、アフォーダブル住宅の供給のために、都が百億円、民間が百億円の合計二百億円のファンドを立ち上げ、令和八年度から供給を開始するとしたことを高く評価します。
その際、都は、空き家活用の場合には、家賃を市場家賃の八割程度を想定していると明らかにしました。しかし、住宅困難者に対して、収入の三割程度で入居を可能とするというアフォーダブル住宅の考え方からすると、市場家賃の八割程度の家賃では、まだ高過ぎます。
既に先行して、母子家庭に対しアフォーダブル住宅を提供している名古屋市の民間のみで実施しているソーシャルインパクトファンドにおいてすら、家賃を市場家賃の七割程度に設定しています。
都が百億円の出資をするのであれば、都のリターンを最小限にし、民間からの百億円の出資も低リターンのソーシャルインパクトファンドに限定することにより、子育て世代、母子家庭、若い世代に対する家賃を市場家賃の六割程度まで引き下げることができるはずです。知事の見解を求めます。
次に、都営住宅の共益費徴収の改善について質問します。
都議会公明党は、昨年の第二回定例会で、都営住宅の名義人の約七割が六十五歳以上となった今、自治会役員による管理業務の負担の軽減が不可避であると考え、抜本的な改革を求めました。
都営住宅では、共用部の維持管理、具体的には清掃や草刈り、電球の取替えなどを、自治会役員を中心に担っています。
その後、高齢化やコミュニティ意識の希薄化が進み、一部住民の善意に頼ることへの限界が見え始め、都は、平成二十九年から維持管理業務の一部を外部に委託できる方式を導入しました。しかし、委託に際しては、住民合意を得る困難さや委託費用も課題となり、二割程度にとどまっています。
加えて、共用部の電気、水道代、いわゆる共益費の徴収を住民が担うという民間とは異なった取組が原則とされており、この点も自治会役員の負担感の一因となっています。
都は、民間でいう家賃に当たる使用料を口座振替等の方法で徴収していますが、共益費や委託料も使用料と一緒に徴収可能であることを全面的に打ち出すべきです。
さらに、委託化の推進に際しては、自治会役員が居住者を説得するのではなく、都が積極的に説明に当たるべきです。加えて、委託料の低減にも最大限取り組むべきです。併せて見解を求めます。
次に、防災対策について伺います。
初めに、災害対応能力のさらなる向上について質問します。
国では、公明党国会議員の推進で、災害法制に福祉の視点が盛り込まれ、能登半島地震を踏まえた二〇二四年度補正予算に、避難所環境改善として、TKB、トイレ、キッチン、ベッド等の整備の必要経費が盛り込まれました。
首都直下地震など大規模災害が懸念される東京においても、ハード対策はもちろんのこと、TKBに加えて、子供の居場所の確保など、女性や子供の多様な視点での避難所環境改善の取組も重要であり、様々な角度からソフト対策を進めていくことが必要です。
都は、都市の強靱化を進めておりますが、今こそ知事がこういった課題に先頭に立ち、防災力を向上させていくことが重要と考えます。知事の見解を求めます。
次に、木造密集地域の不燃化対策について質問します。
本年一月に公表された防災都市づくり推進計画の基本方針の改定案において、都議会公明党が提案した令和七年度終了予定の不燃化特区制度を継続することなどが反映されたことを評価するものです。
これまでの取組により、整備地域の不燃化は着実に進展しているものの、地域によっては、敷地が十分な幅員の道路に接していないなどの理由で、老朽建築物の建て替えが進みにくいなどの課題があり、目標達成に遠く、不燃化の取組を加速していくことが重要であると考えます。
都内の木造密集地域における防災都市づくりをさらに推進していくためには、住民の理解を促進するとともに、取組を強化していく必要があります。見解を求めます。
次に、耐震化支援について質問します。
都は、耐震改修促進計画に基づき、住宅の耐震化に取り組んできましたが、依然として改修等が必要な旧耐震基準の住宅は約二十三万戸存在しており、その所有者の多くは高齢者です。
高齢者の中には介護や生活支援が必要な方も多く、過去の震災を踏まえると、こうした方々の住宅耐震化支援は待ったなしの状況であり、都議会公明党は、昨年の第四回定例会で、その取組について提案しました。介護や生活支援が必要な高齢者等に対しては、これまで以上に踏み込んで、住宅耐震化の支援を強化すべきと考えます。見解を求めます。
次に、災害用のモバイルファーマシーの導入について質問します。
東日本大震災を契機に、調剤設備を持たせた災害対策医薬品供給車両、いわゆるモバイルファーマシーの整備が全国で進んでいます。
二〇一六年に発生した熊本地震の際には、いち早く動いたのが、熊本県に隣接する大分県薬剤師会のモバイルファーマシーであり、阿蘇山を越えて、被害が大きかった益城町で活動しました。
このモバイルファーマシーの導入と活用の経緯について、都議会公明党は、二〇一八年に大分県薬剤師会を訪れ、視察、調査を行い、令和五年の厚生委員会において、都においても関係団体の意見を聞きながら、モバイルファーマシーの導入を進めるべきと求めました。
昨年の能登半島地震では、全国から十三台のモバイルファーマシーが活用され、被災者に対する医薬品提供に寄与しました。
そこで、都においてもモバイルファーマシーを導入するとともに、災害時の円滑な運用に向け、関係機関との連携体制を構築すべきと考えます。見解を求めます。
次に、先月二十八日に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を踏まえ、三点質問します。
初めに、下水道の管理体制についてです。
八潮市での大規模な道路陥没は、下水道管の老朽化による破損が原因と報じられています。陥没の直後に交差点に進入したトラックが転落し、一刻も早い救出を心から願っています。
この道路陥没の影響により、埼玉県民約百二十万人に下水道の使用自粛をお願いするほか、付近の道路が通行規制されるなど、住民の日常生活に大きな影響が出ています。
こうした事故は他人事ではなく、首都東京に目を向けると、都内の道路下にも下水道管が網の目のように張り巡らされており、事故防止対策は喫緊の課題です。
そこで、八潮市の道路陥没を受けた緊急的な取組状況を伺います。
あわせて、都は、衛星やAIなどの先端技術を活用して、効果的な保守点検や更新に取り組んでいくべきと考えます。見解を求めます。
次に、都道の管理体制についてです。
都民生活を支える道路の路面の下には、下水道管のみならず、電気、ガス、水道、通信ケーブルなどの埋設物が入り交じっています。こうした埋設物の老朽化や施工時の埋め戻し不良等、様々な要因から路面の下に隙間が発生し、徐々に拡大し空洞となり、このたびのような道路陥没災害になるおそれがあります。道路陥没事故を防止するためには、路面の下の隙間の発生を迅速に把握し、路面が陥没する前に対応することが大切です。
そこで、都道において道路陥没を未然に防止するため、各路線における陥没リスクを踏まえ、優先度を設定しつつ、点検や調査を効果的に徹底して取り組むべきです。見解を求めます。
次に、救援活動についてです。
万が一、都内において同じような道路の大規模陥没による災害が発生した際に、人命救助を確固たるものにすべく、新たな資機材を導入するなど、東京消防庁の対応を伺うとともに、八潮市で行った東京消防庁による救援活動について、消防総監の見解を求めます。
次に、まちづくり、交通施策について伺います。
初めに、都議会公明党の政策目標、チャレンジエイトの一つである鉄道駅のホームドア設置について質問します。
都議会公明党はこれまでも、技術面から問題解決を図るための検討委員会の設置の提案や、盲学校など特別支援学校の最寄り駅等への優先かつ早期整備を繰り返し訴えてきました。
昨年八月には、小池知事の要請で官民連携の協議会が設置され、鉄道事業者からは、東京都から鉄道事業者に直接補助する制度の創設などが求められました。
ホームドアの整備には、技術的な課題への対応に加え、財源の確保が不可欠であり、整備の加速には、国と連携し、技術的な対応の強化と都の補助制度の拡充による、より踏み込んだ実効性ある支援をすべきと考えます。見解を求めます。
次に、同じくチャレンジエイトの一つである高速道路の本線料金所の撤廃について質問します。
長年にわたって、都議会公明党は、渋滞の要因となっている高速道路の本線料金所の早期撤廃を実現するため、料金所のETC専用化を強く求めてきました。
今まさに働き方改革による時間短縮を求められている運送業や長距離バス事業者、建設業などは、この本線料金所を起点とする渋滞解消を強く求めています。
昨年一月、国は、半導体不足を理由に、ETC専用化の整備の遅れを公表しました。これを受け、昨年の第一回定例会における都議会公明党の質問に対して、知事は、課題はあっても、それらをスピーディーにクリアし、前に進めていくと力強く答弁しました。
本年一月の国、東京都などによる首都高ETC専用化連絡調整会議において、首都高が現在、都内において二十七か所であるETC専用化を七十三か所まで増やす計画を発表いたしました。
そこで、この機会を捉え、最も渋滞の激しい永福料金所をはじめとする都内高速道路の本線料金所を早期に撤廃する取組を開始すべきであります。知事の見解を求めます。
次に、羽田空港アクセス線西山手ルートの早期整備について質問します。
現在、JR東日本は、二〇三一年の完成を目指し、羽田空港と東京駅を結ぶ羽田空港アクセス線東山手ルートの整備を行っています。
併せて羽田空港と新宿駅を結ぶ西山手ルートを整備していけば、中央線沿線及び青梅線沿線の住民は、乗換えなしで羽田空港まで行ける可能性が広がります。
都議会公明党が、昨年の第一回定例会において、西山手ルートの早期整備を求めたのに対し、知事は、羽田空港アクセス線西山手ルートの整備に向けて、国、JR東日本と協議を行っていくと踏み込んだ答弁がありました。
そこで、現在の協議状況と今後の取組について、知事の見解を求めます。
次に、運輸事業者の燃料費支援について質問します。
都は、都議会公明党の強い要望を受け、中小貨物運送事業者、乗合バス事業者及び中小タクシー事業者に対する燃料費の支援を行っています。
昨年第四回定例会の代表質問では、都民生活や都内経済と密接に関わっている貸切バスについても、燃料費の支援が必要であると訴え、都から貸切バスについても必要な対応を検討していくとの方針が示され、今年度最終補正予算に盛り込まれました。事業の実施に当たっては、迅速に交付していくべきと考えます。見解を求めます。
次に、都政の諸課題について伺います。
初めに、農業振興について質問します。
東京農業が直面する最大の課題が、相続に伴う農地の減少であります。都内では、相続税そのものが高額であり、兼業農家が大半を占める東京の農家では、相続時には比較的に利幅が少ない農地を宅地に切り替えて売却する相続税対応が常態化しています。
その点、中小企業での事業承継に伴う自社株評価で、二〇二六年三月末までの特例措置が実施され、対象株式数の上限を撤廃し、猶予割合を一〇〇%に拡大することで、承継する株式にかかる贈与税、相続税の全てが納税猶予の対象となる十年間限定の措置が講じられており、一定の効果が期待されています。
残念ながら、この措置は農地には適用されません。農地に即した個別の対策が必要です。農地は、宅地などに転用され売却されてしまえば、実質的には農地としての買戻しは不可能であり、対策を急ぐべきです。
都内農地の減少を一旦食い止めるためには、中小企業での対策を参考に、都内の兼業農家において、期間を限定してでも相続税の対象外とする措置を実現させ、その効果の検証を国に求める等、農地の保全に向けた施策展開を加速すべきと考えます。知事の見解を求めます。
また、相続後も技術の習得や老朽化した施設の更新など、後継者が対応しなければならない課題が山積しています。
都はこれまで、農業未経験者による農業参入に重点を置いて支援してきましたが、今後は、営農を続けてきた農家についても、後継者が相続を乗り越え、安心して農業を継続できるよう支援を強化していくべきです。
さらに、相続などの機会を捉えて、環境配慮型農業への転換を図ることも、東京農業の新たな魅力となり得る取組です。
また、資材や燃料価格の高騰が農業経営を圧迫しています。特に、化学肥料の原料は輸入に頼っており、国際価格や運送費の影響を受けやすく、この際、化学肥料や農薬などの削減につながる環境配慮型農業への転換を進めるべきです。併せて見解を求めます。
近年、東京の夏は、連日のように熱中症警戒アラートが発表される異常な暑さであり、新鮮な食材を食卓に届ける東京農業において、品質低下などの影響が出始めています。
また、猛暑は、農業者にとって命に関わる重大な問題であり、作業中の熱中症による死亡事故がしばしば報道されています。
都は、暑い中でも安定的に生産できる栽培方法や、安心して仕事ができる環境改善への支援など、効果的な暑さ対策を講じるべきと考えます。見解を求めます。
次に、民間路線バスの運転士不足について質問します。
都議会公明党は、昨年の第四回定例会において、運転手不足を背景としたバス路線の廃止や運行回数の削減といった事例が顕在化していることから、運転士確保に向けた運輸業界の取組を積極的に支援する施策について、迅速に取り組むべきと質問しました。その際、都からは、運転士確保に向けた対策を検討するなど、積極的に取り組んでいくとの答弁を得ています。
そこで、その後の検討を踏まえ、都が路線バス運転士確保に向けた支援を具体的に行っていくべきと考えます。見解を求めます。
次に、都営バスにおける乗務員不足と路線への影響について質問します。
都営バスにおいては、応募者の大幅な減少や中途退職する乗務員の急増により、今後、乗務員が不足する見込みがあるとのことです。こういった状態を放置しておくと、路線の休止や減便につながり、民間バスと同様に、都民に大きな影響を及ぼします。
今後、乗務員が不足した場合には、都民に大きな影響を及ぼさない対応策を検討するべきであります。
また、働き方改革に対応した柔軟な働き方を検討するとともに、新卒人材への育成にも力を入れていくべきであります。都営バスの運転手不足対策について見解を求めます。
次に、行政手続における郵送申請時のキャッシュレス対応について質問します。
司法書士などの代理人による不動産の相続登記の代理申請の際に、必要となる住民票や戸籍等の関係書類を自治体から郵送で取得する場合があります。
都議会公明党が、昨年の第三回定例会で、郵送申請時の証明書発行手数料のキャッシュレス化に取り組む自治体を支援することを求めたのに対し、都は、GovTech東京と連携し、多くの都内自治体が導入している手続のクラウドサービスで、キャッシュレス化を導入する方針を明らかにしました。
そこで、多くの都内自治体が、キャッシュレス化への対応が進むよう取組を強化すべきと考えます。見解を求めます。
次に、東京の治安向上に向けた取組について質問します。
最近の犯罪の傾向として、SNSを利用した闇バイトによる、時には殺人まで犯す凶悪な強盗事件、いわゆる匿名・流動型犯罪や、同じくSNSを利用したロマンス投資詐欺、仮想通貨投資詐欺など、従来の犯罪の枠組みを超えた犯罪が増加してきています。
さらには、予見することが難しいテロ組織に属さない個人による単独テロ行為、いわゆるローンオフェンダーによるテロ行為なども起こっています。
その背景には、SNSによるデマや虚偽の情報の流布を信じ込んでしまうという要因があります。都民には、いつ、自身が被害の当事者になるかもしれないと不安が広がっています。これらの対策は複雑で、かつ専門的な知識も必要とされますが、警視庁において、総力を挙げて対応していただきたいと思います。
そこで、警備、公安の分野で様々な経験を積んでこられた迫田新警視総監にローンオフェンダーによるテロ行為に対する取組について見解を伺います。
次に、防犯対策について質問します。
都議会公明党は、第四回定例会で、都民の防犯意識の高まりを踏まえた支援策が急務であり、個人住宅などへの防犯カメラなどの補助を実施すべきと訴えました。これに応え、都は、令和七年度予算案に防犯機器等購入緊急補助事業を盛り込んだことを高く評価します。
この補助事業について、大勢の都民が防犯の取組ができるように、戸建て、集合住宅、持家、賃貸など、居住形態に応じて、都民が購入しやすい制度設計に努めるべきであります。
また、若者が闇バイトと分からずに手を染めていくことから、闇バイトに誘導する手口を高校生、中学生等に分かりやすく解説して、闇バイトに引き込まれない取組が必要です。併せて見解を求めます。
次に、市場施設の機能更新について質問します。
豊洲以外の中央卸売市場では、施設の老朽化が進む中、衛生面や流通事情などの環境の変化への対応が求められています。
一方、市場外流通の増大などから、中央卸売市場が取りまとめた経営計画では、市場会計の資金は、二〇六四年にはショートする見込みである旨が明記されています。経常収支の黒字化に向けては、施設更新を前倒しし、市場の魅力の増進を図ることが不可欠です。
しかし、市場施設の更新費用は、受益者負担の原則から、市場事業者が納める使用料に上乗せされます。このまま工夫を凝らさず更新に臨めば、費用が使用料に大きく上乗せとなり、関係事業者の経営をさらに圧迫し、廃業の危機さえ招くことになりかねません。その回避には、民間資金の活用を積極的に導入し、建て替え費用での都財源の投入額を極力抑えていく必要があります。
四十年後の行き詰まりを今から回避するべく、民間活力とのコラボ化に向けて、迅速かつ体系的に計画の立案に取り組むべきと考えます。見解を求めます。
次に、物価高騰対策について質問します。
都議会公明党は、全ての都民を対象にした物価高騰対策を第四回定例会代表質問や予算要望においても提案してきました。
こうした中、今回、都は、東京都公式アプリを活用したつながるキャンペーンとして、十五歳以上の全都民に対し、一人当たり七千ポイントを支給する補正予算を計上しました。
しかし、つながるキャンペーンは、スマートフォンを持っていることと、マイナンバーカードと連携することが前提条件となっており、操作が不慣れな方だけでなく、そもそもスマートフォンを持っていない方は対象外となってしまいます。
都議会公明党は、全ての都民を対象とした物価高騰対策を提案してきました。物価高騰に苦しんでいる全ての都民が、つながるキャンペーンに参加できるよう、都として手だてを講じていくべきと考えます。見解を求めます。
最後に、宿泊税の定率課税と増加した税収の活用について質問します。
令和五年第二回定例会における都議会公明党の宿泊税の見直しに対する質問に対し、知事は、近年、外資系ホテルの進出により高額の宿泊の増加が見られるなど、宿泊税をめぐる状況は変化しており、今後、宿泊税の動向等も十分に検証し、東京都税制調査会も活用しながら、宿泊税の見直しについて検討を深めていくと答弁いたしました。
あれから一年半が経過しましたが、いまだ方向性も示されていません。インバウンドの増加により、知事も答弁したとおり、近年、外資系ホテル等が進出をし、高額な宿泊が増加してきています。
あわせて、ごみの問題や交通渋滞、マナー違反など、様々な問題も増えてきています。これらの課題解決の対策費に充てるためにも、改めて、宿泊税については、一万五千円以下を免税とし、一万五千円を超える料金については、定率課税とすることを提案したいと思います。
例えば、一泊二十万円の宿泊に対し、五%の定率税を課した場合、宿泊税は一万円となりますが、一泊二十万円を支払う宿泊客にとって、一万円の宿泊税を払うことに全くの抵抗感はないと思います。
そこで、宿泊税の見直しについて、改めて知事の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 東村邦浩議員の代表質問にお答えいたします。
まず、地域医療の確保についてのお尋ねでございました。
都はこれまで、ハード、ソフト両面から医療機関に必要に応じた財政支援等を行い、東京の地域医療を支えてまいりましたが、急激な物価高騰や人件費の増加が病院運営を圧迫しております。
本来、こうした課題は、診療報酬制度の改善や必要な財源措置を講じるなど、国が対応すべきものでございますが、国の診療報酬は物価等の地域差が十分に加味されていない現状でございます。また、都内では全国と比べまして、民間病院の占める割合が高い状況にございます。こうした状況にありましても地域医療提供体制を維持し、都民の命と健康を守っていかなければなりません。
このため、都は来年度、緊急的かつ臨時的に、全ての民間病院を対象といたしまして、都内の物価等を考慮した支援金を入院患者数に応じ交付をいたします。都内に多くある中小病院を例に取りますと、病床数が百床で、病床稼働率が九〇%の場合、年間一千九百万円の支援となります。
誰もが住み慣れた地域で安心して必要な医療を受けられますよう、地域医療を力強く支えてまいります。
次に、介護DXについてであります。
将来を見据え、組織や分野を超えて横串、縦串を刺し、多様な主体が知恵を出し合い、サービス変革を実現することで、都民の貴重な手取り時間を増やす、それが政策DXの目指すものでございます。
政策DXの推進に当たりましては、国や区市町村と密接に連携しまして、ライフイベントごとに手続を一気通貫でまとめ、必要なサービスをより簡単、便利に利用できるようにいたします。
子育て世代の利便性向上に加えまして、今後、働きながら介護に取り組む忙しいミドル層の負担軽減につながる介護DXを進めてまいります。
デジタルの力で都民サービスを飛躍的に向上させ、全ての人が輝き、一人一人が幸せを実感できる東京を実現してまいります。
次に、シルバーパスについてでございます。
制度導入以降の高齢者像や交通事情の変化を踏まえまして、高齢者施策全体を総合的に議論する中で、利用実態を把握しながら、制度の抜本的な見直しを検討する必要がございます。このため、来年度は、ICカード化に着手しまして、令和八年度の一斉更新以降、できるだけ早期の導入を目指してまいります。
抜本的な見直しまでの間、高齢者の社会参加促進に向け、年間二万五百十円の利用者負担額を本年十月から一万二千円に引き下げまして、負担の軽減を図ります。
また、運転手の確保や物価高騰など、バス業界を取り巻く環境が厳しいことを考慮いたしまして、指定団体である東京バス協会に対して緊急的措置として支援を行ってまいります。
こうした取組を進めながら、アクティブな長寿社会の実現を目指し、高齢者の社会参加を支える事業として、制度の改善に向けて検討してまいります。
続いて、持続的な賃上げの取組についてでございます。
東京から日本の経済を牽引し、成長軌道に乗せていくため、都内経済の活性化を図り、物価上昇を上回る賃上げの流れを確かなものとしていく必要がございます。
そのためには、中小企業の労働生産性の向上と、様々な変化への対応を可能とする社員のリスキリングを強力に推進し、賃上げの原資をつくり出していくことが大切でございます。
都は来年度、中小企業がDX活用などの支援によって成果を賃上げにつなげた場合に補助率を引き上げてまいります。また、リスキリングに向けました休暇や資格取得などの制度を設けた際に、新たな奨励金による後押しも行います。
都や経済団体、労働団体のトップが集まる公労使会議など様々な場で意見交換を活発に行いまして、持続的な賃上げの実現に向けて着実に歩みを進めてまいります。
次に、アフォーダブル住宅の供給促進ファンドについてでございます。
都民にとりまして住まいの確保は欠くことのできない重要な要素でございます。安心して子供を産み育てられる住環境を整えるには、官民の知恵とノウハウを最大限生かしまして取り組まなければなりません。
このため、来年度、都の出資を呼び水にしまして民間資金を呼び込み、アフォーダブル住宅を供給する官民連携ファンドを総額二百億円規模で立ち上げます。住みやすい住宅提供というファンド理念に共鳴する民間事業者の創意工夫を生かしまして、中古ビルや空き家の活用など様々な形での住宅供給を支援いたします。
今後、事業提案の審査に当たりましては、家賃の引き下げ幅に応じましたファンドの出資利回りの設定や審査での重点評価項目とするなどを通じまして、事業者の家賃が可能な限り引き下げられますようインセンティブを高めてまいります。
これらの取組を通じまして、子育て世帯等に配慮した住みやすい住宅が極力低廉に供給されるよう取り組んでまいります。
続いて、防災対策のさらなる強化についてのお尋ねがございました。
いつ起こるとも知れない首都直下地震や大規模風水害などに備えまして、都市の強靱化を進めるとともに、災害対処能力を高めていくことが重要でございます。
都は、燃えない、燃え広がらないまちづくりや調節池の整備などを一層加速するとともに、能登半島地震の教訓も踏まえまして、雑魚寝の解消、トイレ環境の確保など、避難所改革に着手をいたします。さらに、マンションの防災や防災DXの推進、女性や子供のほか、要配慮者への対応など、ハード、ソフトの両面から防災対策を強化いたします。
首都東京を守るためにはオール都庁の取組が不可欠であり、今般、防災アクションプランの素案を取りまとめ、事業を計画的に推進してまいります。都の防災力を一層高めることで、首都防衛を実現し、都民一人一人の命と健康を守り抜いてまいります。
続いて、高速道路の本線料金所の早期撤廃についてでございます。
ETC専用化及び本線料金所の撤廃は、交通の円滑化や事故の低減につながるため、早期に実現することが重要でございます。
昨年七月に、私自ら国土交通大臣にETC専用化及び本線料金所撤廃を要望いたしまして、国や首都高などと協議を加速してまいりました。
その結果、来年度末には、首都高におきまして、現在三割程度である都内のETC専用化の整備率が約八割まで拡充するとともに、関係者間で本線料金所撤廃に向けた取組を開始いたします。
都としては、これらを踏まえまして、予算を新たに計上し、永福料金所をはじめとする本線料金所撤廃の早期実現に向けた取組を強力に推進してまいります。
次に、羽田空港アクセス線西山手ルートについてでございます。
羽田空港の機能を最大限に発揮していくためには、鉄道によるアクセスの充実を図ることが重要でございます。西山手ルートは、中央線や埼京線等と接続することで、多摩方面も含めました広範囲にわたります空港アクセス利便性の向上が期待されております。
都は、政府提案要求や国の検討会などの場におきまして、都市鉄道の整備に必要な財源確保を含みます整備促進策を要請しまして、国からは新たな利用者負担制度の方向性などが示されたところでございます。
また、これまでのJR東日本との連携に加えまして、今年度からは、国の助言や協力を得ながら、事業スキーム等の具体化に必要な検討を実施しております。
引き続き、東山手ルートの進捗状況を勘案しながら、国やJR東日本等との協議、調整を積極的に進めるなど、空港アクセス利便性の向上に取り組んでまいります。
続いて、農地の保全についてであります。
都市と共存する東京の農地は、新鮮な農作物の供給とともに、緑の確保や防災など、多面的な機能を有する大切な財産であり、次の世代に確実に引き継いでいかなければなりません。
この貴重な都市農地を保全するため、都は様々な機会を通じまして国に働きかけを行ってまいりました。国は、都市農業振興基本法を制定しまして、税制上の措置などを講じておりますが、相続を契機とした農地の減少はいまだ歯止めがかかっておりません。
都は、全国に先駆けまして、生産緑地の貸借を奨励する制度を開始いたしておりまして、来年度はこの取組につきまして思い切った拡充を図ってまいります。生産緑地を買い取り、市民農園等に活用する自治体への支援も進めてまいります。
今後、こうした取組に加えまして、農業関係者の意見を聞き、相続税の猶予などを国へ要望するなど、あらゆる手だてを講じて、東京の農地を守り抜いてまいります。
最後に、宿泊税についてのお尋ねにお答えいたします。
制度の創設から二十年以上が経過する中、高額な宿泊の増加や他の自治体における制度の導入など、宿泊税をめぐる状況は大きく変化をいたしております。
こうした中、昨年度、東京都税制調査会から、定率制や定額制といった課税方式も含めまして、宿泊税の在り方について報告をいただいたところでございます。この間、都は、都税調の報告も参考にしつつ、宿泊料金の調査などを進めてまいりました。
今後は、納税者や宿泊施設事業者の負担感にも十分配慮しながら、課税の在り方や使途につきまして検討をさらに進め、年内を目途に宿泊税の見直しにつきまして素案をお示ししたいと、このように考えております。
なお、その他の質問につきましては、警視総監、教育長、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔警視総監迫田裕治君登壇〕
○警視総監(迫田裕治君) ローンオフェンダー対策についてでありますが、警視庁では、現実空間とインターネット空間の両面において、種々の警察活動を通じて不審情報を収集し、脅威の度合いを精緻に分析することで、不法事案の兆しの段階からの把握に努めているところであります。また、関係機関や民間事業者等と連携して横断的なネットワークを構築し、テロ等不法事案への危機意識の共有を図るとともに、合同訓練等を実施するなど、それら事案の未然防止に向けた対策を推進しております。
さらに、令和七年度には、公安部にローンオフェンダー対策に専門的に従事する部署を新たに設けた上で、情報の一元的な集約、分析、部門を横断した的確な対応など、各種対策の実効性を一層強化いたします。
引き続き、都民、国民の安全、首都東京の安全を確保するため、警視庁の総合力を発揮し、ローンオフェンダー対策にあらゆる手を尽くしてまいります。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕
○教育長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、小中学校でのネーティブ人材の活用についてでございますが、東京の将来を担う子供たちの英語の聞き取りや会話の力を高める上で、小中学校でネーティブ人材の活用を進めることは重要でございます。
これまで都教育委員会は、小中学生に対し、TOKYO GLOBAL GATEWAYにおいて海外の店舗での場面等を想定し、ネーティブと会話のできる機会を提供してまいりました。また、外国人を小学校に派遣し、学校生活の中で児童と英語のやり取りをする取組を行っております。
来年度は、小中学校で英語を担当する教員向けに、子供が自然に英語で会話をする方法をネーティブから学ぶ講座を新たに行います。これに加えまして、区市町村のネーティブの活用に係る課題やニーズの把握を行ってまいります。
次に、小中学校の空調設備に係る支援についてでございますが、小中学校の児童や生徒が良好な環境の下で教育を受けることのできるよう、学校の中の様々な施設に早期に空調機器を整備することは重要でございます。
これまで都教育委員会は、小中学校に係る普通教室の空調機器の導入を支援し、全校での設置を実現したところでございます。また、特別教室や体育館等について、早期の導入に向けた助成を行っております。
来年度から特別教室等に係る空調の導入を計画的に集中して進めることができるよう、区市町村への助成を三か年延長いたします。
なお、普通教室の空調の更新に関して、区市町村の実態や整備に必要な現場の経費の動向等を調べ、課題整理を行います。
最後に、子供の保護者からの要望等への対応についてでございますが、都立学校では、保護者や住民等からの要望に関し、複雑で高度な内容のものが増えておりまして、法律の専門的な知識が必要な場合も生じております。こうした状況に適切に対応する上で、法律等の専門家を活用することは効果的でございます。
このため、都教育委員会は、都立学校からの相談に弁護士が助言をする窓口を東京都教育支援機構に設けております。
来年度は、都立学校からの要請に応じ、教員が保護者等と面談をする場合、弁護士が同席し、法務的な対応をする支援の仕組みを導入いたします。また、そうした弁護士が事例に応じ、保護者などとの交渉を直接に担うサポートを実施いたします。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕
○東京都技監(谷崎馨一君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、木密地域の防災都市づくりの推進についてでございます。
不燃化特区制度などにより、整備地域の防災性は着実に向上しておりますが、無接道敷地で建て替えが進まないなどの地域課題があり、さらなる取組が必要でございます。
今般公表いたしました基本方針の改定案では、整備地域におきましては、特区制度を五年間延長した上で、地域の実情に応じた支援の拡充などを図っていくこととしております。
加えて、新たな防災環境向上地区の指定によりまして、防災生活道路などへの支援を開始し、国と合わせて補助率を最大で四分の三とするなど、区市の負担を軽減いたします。
こうした取組により、都内の木密地域の不燃化を一層加速させ、東京の強靱化を進めてまいります。
次に、介護等が必要な高齢者への耐震化支援についてでございます。
高齢者の中でも介護や支援が必要な方は、避難生活の長期化による影響等も懸念されることなどから、住宅の耐震化への支援を強化することが重要でございます。
このため、来年度は、要介護者等が居住する世帯の負担低減に向け、国と区市町村を合わせた補助限度額を百七十八万円から三百万円へ増額するなど支援を拡充し、補助率を最大で十分の十といたします。増額分のうち、都費の六十一万円につきましては、区市町村負担がない場合でも活用を可能といたしました。
あわせて、新たに新聞折り込みなどを活用した広報を展開し、住宅の耐震化を推進してまいります。
次に、ホームドア整備の加速についてでございます。
ホームドアは都民の命を守る重要な施設であり、整備の加速には官民の連携による課題解決が不可欠でございます。
都は、協議会におきまして、駅の構造や利用者の特性を踏まえ、補助の重点化や工期とコストの縮減に向けた検討を進めてまいりました。来年度から、都が事業者に直接補助する制度を創設し、特別支援学校の最寄り駅では、番線当たりの補助上限額を一億七千万円に引き上げます。
また、国が協議会で示したホーム通路幅の基準の運用に対する考え方や対応事例を共有し、整備を促します。
新たな補助制度の活用や、国と連携した技術的支援により、ホームドア整備のさらなる加速を実現してまいります。
次に、貸切バス事業者への燃料費支援についてでございます。
貸切バスは、ニーズが多様化する観光客の移動手段として経済活動を支えるほか、高齢者や障害のある方々の福祉施設への送迎に利用されるなど、都内の円滑な人々の移動に貢献しております。
燃料費の高騰や人手不足等の影響を受けている貸切バス事業者につきましても、都民生活において果たす役割等を踏まえ、新たに対象に追加し、本年九月末までを支援期間として実施することといたしました。
今後は、貸切バス事業者へ速やかに支援が行き届くよう、必要な手続を進めてまいります。
最後に、路線バスの運転士不足についてでございます。
不足するバス運転士を確保するためには、官民が一体となり、二〇二四年問題などを踏まえた多角的な対策を早急に進めていくことが重要でございます。
都は、政府提案要求等におきまして、技能を有する人材の活用や運転士養成機関の設立などを要望するとともに、乗合バス事業者連絡会議において、運転士確保についての情報共有などを行ってまいりました。
来年度は、外国人乗客向けAI翻訳等のDX技術の試験導入など、運転士の負担軽減への支援に取り組みます。
また、連絡会議におきまして、運転士確保策の議論を進めるとともに交通局とも連携し、バス事業の魅力発信など、東京バス協会や事業者の取組を国と共に強力に後押ししてまいります。
〔財務局長山下聡君登壇〕
○財務局長(山下聡君) 事業評価に関するご質問にお答えいたします。
事業の効率性や実効性の向上のため、新公会計制度を活用し、減価償却費や金利等を加味したフルコストでの比較など、多面的に事業の分析を行うことは重要でございます。
こうした観点から、都は、国や全国の自治体に先駆けて導入した新公会計制度を事業評価にも活用しながら、事業の見直し、再構築に取り組んでまいりました。
今後、新公会計制度のさらなる活用を図るため、減価償却費等のコスト全体を踏まえた分析などの好事例を各局と共有し、事業評価の深化に取り組むことで、事業の見直しを一層推進してまいります。
〔福祉局長山口真君登壇〕
○福祉局長(山口真君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、受験生チャレンジ支援貸付事業についてでございますが、都は、低所得世帯の子供の進学を支援するため、高校や大学などの受験料及び学習塾の受講料の無利子貸付を行っております。
都が今年度実施した調査によると、近年、大学受験料や学習塾代が上昇していることから、来年度、大学受験料は八万円から十二万円に、学習塾代は二十万円から三十万円に貸付上限額を増額いたします。
また、通信制高校の生徒が通うサポート校の多くでは、生徒の進路希望に応じて個別に進学支援を行っていることを踏まえまして、受験用コースの有無にかかわらず、進学支援を行う全てのサポート校に貸付対象を拡大いたします。こうした取組を通じまして、低所得世帯の子供を一層支援してまいります。
次に、強度行動障害を有する方への支援についてでございますが、都はこれまで、自傷や他害など、強度行動障害を有する重度障害者のグループホームでの受入れ促進のため、事業者の整備費負担を軽減する特別助成や、国の基準以上に手厚く職員を配置する事業者への支援を実施してまいりました。
本年一月からは、特に支援が困難な方を受け入れるグループホームなどに対し、適切なアセスメントと障害特性に応じた支援方法などについて助言を行うアドバイザーを派遣する取組を二区市で開始いたしました。
来年度は、この取組の対象を全区市町村に拡大しまして、強度行動障害に対応できる事業所等の受入れ体制の強化に取り組んでまいります。
最後に、専門性を有する人材の育成についてでございますが、強度行動障害を有する方が安心して生活するためには、適切な支援を行える人材の育成が重要でございます。
このため、都は、障害福祉サービス事業所等の職員向けに、強度行動障害の特性や支援方法を学ぶ研修を実施してまいりました。
来年度は新たに、心理学の観点から問題行動を分析し、適切な支援につなげる応用行動分析学などの手法をカリキュラムに盛り込んだ独自の研修を実施いたします。
この研修を通じまして、各事業所で中核的な役割を担う、より専門性の高い人材を年六十人程度養成し、強度行動障害を有する方への支援を強化してまいります。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕
○産業労働局長(田中慎一君) 四点のご質問にお答えいたします。
初めに、就職氷河期世代に対する就労支援についてでございます。
就職氷河期に卒業し、希望する就職ができず、不安定な就労の続く方々が中高年となる中、安定した生活基盤が築けるよう支援することは重要でございます。
都は来年度、就職氷河期世代の採用に前向きな企業との合同面接会につきまして、対象年齢を引き上げるとともに規模を拡充し、都内各地で計十八回開催いたします。
就職氷河期世代の相談にきめ細かく対応する専門家を、区部に加え多摩にも配置し、高齢期を見据えた経済面や生活面などの支援も強化いたします。
採用後の賃金引上げなどを行う中小企業には、新たに助成金の加算を設けることとしてございます。
これらによりまして、就職氷河期世代の将来の安定を後押ししてまいります。
次に、建築を担う人材のリスキリングの支援についてでございます。
建築分野の中小企業で働く人のスキルアップを支援するとともに、主体的にリスキリングに取り組む従業員を応援する職場環境づくりを促すことは重要でございます。
都は、職業能力開発センターで実施します従業員向けの訓練におきまして、時間を有効に生かして建築士の資格取得に挑戦できるよう、来年度からオンライン訓練を実施し、建築設備の設計などを担う人材の裾野を拡大することとしてございます。
また、リスキリングの環境づくりを後押しするため、休暇制度の整備や資格取得講座の受講に必要な経費の支援などを導入する企業に対し、奨励金の支給も開始いたします。
これらによりまして、中小企業の人材育成を支援してまいります。
次に、農業の後継者への支援などについてでございます。
東京農業が着実に承継され、魅力あるものとして発展していくためには、コスト削減による経営の安定化と環境配慮型への転換など、新たな取組を促すことが重要でございます。
都はこれまで、認定新規就農者等に対し、栽培施設の整備を支援してございまして、来年度は親元で就農する後継者も利用できるよう見直すほか、農業機械も補助対象といたします。
また、環境に配慮する農業者に対し、有機質肥料等の購入や遮熱カーテンを備えた施設の整備に助成してございます。
今後は、この助成規模などを拡充するほか、農薬削減効果の高い防虫ネットを購入したり、ハウスを覆うビニールを長期間使用可能なものへ転換するなどの取組に対する支援も開始いたします。
最後に、農業における暑さ対策についてでございます。
夏季の高温が続く中、農作物への影響を抑え、生産性を維持する栽培技術を確立するとともに、熱中症の防止など、農作業の安全性を確保することは重要でございます。
このため、都は、本格的な暑さを迎える前に収穫できる品種を開発するとともに、普及指導員による農作業中の熱中症に関する注意喚起などを行ってまいりました。
来年度は、暑さの影響を受けにくい野菜等のさらなる品種の選定や、最適な資材の活用方法など、高温障害の抑制に効果がある技術開発に取り組みます。
また、快適に農作業ができるよう、生産施設への空調設備の設置等に係る費用への補助を拡充し、農業経営を後押ししてまいります。
〔住宅政策本部長小笠原雄一君登壇〕
○住宅政策本部長(小笠原雄一君) 都営住宅の共用部の維持管理についてでございます。
居住者の高齢化が進む中、その負担を軽減するため、都が居住者から事務費を含む共益費を使用料と一緒に徴収し、管理の一部を代行できることとしており、今後、このことを改めて全ての居住者や自治会に積極的に周知いたします。
また、都が昨年実施した自治会等へのアンケートでは、この仕組みの利用に当たり、居住者間の合意形成が困難、費用面が不安などの声があったことから、今後、こうした声のある自治会等に個別に説明を行ってまいります。費用面についても、単価や作業の範囲、回数などの見直しを行います。
これらの取組の強化により、居住者の良好な居住環境を確保してまいります。
〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕
○保健医療局長(雲田孝司君) モバイルファーマシーの導入に関するご質問にお答えいたします。
災害時には、医療救護所などにおきまして、迅速かつ適切に医薬品が供給されることが重要であり、都は、被災者に必要な医薬品を提供する体制を整備しております。
これに加え、能登半島地震でも有効に活用されました、医薬品や調剤設備などを搭載する車両で、被災地において医薬品を供給するモバイルファーマシーを来年度導入いたします。
モバイルファーマシーは、都薬剤師会と連携して運用する予定であり、活用実績のある他の自治体などとの情報交換や訓練などを通じまして、都における運用方法を検討するとともに、災害発生時には被災状況に応じて現地に派遣することで、医療救護所などに必要な医薬品を供給する体制を強化してまいります。
〔下水道局長佐々木健君登壇〕
○下水道局長(佐々木健君) 八潮市の道路陥没を受けた対応についてでございますが、直ちに国道及び都道を巡視するとともに、腐食のおそれが高い箇所などの下水道管の緊急点検を進め、これまでに約三十五キロメートルが終了し、現時点で異状がないことを確認しております。
将来にわたる安定的な流下機能の確保と、下水道に起因する道路陥没防止のためには、きめ細かな維持管理が重要でございます。
そのため、日頃の巡視と管の内部をテレビカメラ等で確認し、状態に応じた補修を実施することに加えて、再構築を計画的に進めております。
これらにより、整備年代の古い都心部のエリアでは、陥没は約九割減少しております。
また、AIなどの先端技術を活用した効果的な手法の技術開発も進めてまいります。
今後、予防保全を重視した取組を一層推進し、都民の安全・安心を確保してまいります。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕
○建設局長(花井徹夫君) 都道における陥没の未然防止についてでございますが、道路陥没を未然に防止するためには、路面等の点検や調査を的確に行うことが重要でございます。
都は、全ての都道を対象に、日常的な巡回点検により、路面の僅かな変化などから異状を発見し、迅速に埋め戻しなどを行っております。
さらに、路面下の空洞を早期に発見するため、地下埋設物の状況や、これまでの空洞発生実績等を踏まえ、都道約千百キロメートルを対象に、地中レーダーによる調査を定期的に実施しております。
こうした取組を着実に推進するとともに、適宜、対象路線や調査頻度の見直しを行い、都民の安全・安心を確保してまいります。
〔消防総監吉田義実君登壇〕
○消防総監(吉田義実君) 八潮市の災害と類似した災害への対応についてでございますが、大規模な道路陥没災害では、隊員の安全を確保しつつ、早期に救出活動を行うことが重要でございます。
八潮市の災害では、事故発生の翌日に要請を受け、部隊を派遣しましたが、時間の経過とともに道路の陥没と下水の流入が拡大していたことから、救出活動は困難を極めました。
都内で類似災害が発生した際は、同様の災害で効果が期待できるドローン、クレーン車及び土砂吸引車を有するハイパーレスキューなどの部隊を即時投入し、救出活動に当たります。
現在も災害は継続していますが、今後、本事案の検証を進め、消防活動体制に生かしてまいります。
〔交通局長久我英男君登壇〕
○交通局長(久我英男君) 都バスの運転手不足の対策についてでございますが、都営バスは地域の身近な移動を支える重要な役割を担っている一方、民間バス事業者と同様、乗務員不足により、路線の維持が困難となってきております。
このため、若年層の乗務員の採用に向けて、養成型選考を拡充するとともに、多様な働き方に対応すべく、短時間勤務を導入いたします。
今後、こうした乗務員確保の裾野を広げる取組を一層進め、路線の維持に努めてまいります。
また、乗務員が不足する場合にも、朝ラッシュ時間帯の運行本数を極力維持するほか、時間帯別の利用状況をきめ細かく把握し、利用者への影響に最大限配慮しながらダイヤを設定してまいります。
〔デジタルサービス局長山田忠輝君登壇〕
○デジタルサービス局長(山田忠輝君) 二点の質問にお答えいたします。
初めに、代理申請時のキャッシュレス化の促進についてでございますが、利用者の利便性向上に向け、窓口職員の負担軽減を図りながら、区市町村での導入を広げることが重要でございます。
このため、都は、多くの区市町村が導入している手続のクラウドサービスを活用した申請の仕組みを新たに整備し、キャッシュレス化を希望する自治体への技術的支援を開始いたしました。
さらに、今月、約三十自治体が参加する担当職員向けの研修会を実施し、先行自治体のノウハウの共有や意見交換、課題解決に向けた相談を行う中で、複数の自治体が導入意向を示しております。
今後は、DXの責任者である区市町村CIOへの働きかけや、GovTech東京の技術力を生かしたきめ細かなサポートを実施してまいります。
次に、東京アプリの活用に向けた支援についてのご質問でございますが、東京アプリを活用して都民サービスの質を向上していくためには、幅広い都民が利用できるよう支援策を講じることが重要でございます。
こうした観点から、来年度は、デジタルに不慣れな方を対象とした区市町村のスマホ相談会への支援の拡充などを図るとともに、新たに、スマホをお持ちでない高齢者の購入費を助成するため、高齢者施策推進区市町村包括補助の先駆的事業による支援を検討してまいります。
こうした取組を通じ、現下の厳しい経済情勢の中、都民生活の応援にも資する、つながるキャンペーンの浸透を図り、東京アプリの利用拡大に取り組んでまいります。
〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長竹迫宜哉君登壇〕
○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(竹迫宜哉君) いわゆる闇バイトへの対策についてのご質問でございますが、来年度、個人住宅における緊急の防犯対策といたしまして、防犯機器等を購入、設置する都民に対し、都が一世帯当たり二万円を上限に、経費の二分の一を補助する事業を実施いたします。
地域の実情や居住形態を踏まえ、防犯カメラやカメラ付インターホン、防犯フィルムなど、侵入盗被害防止に効果的なものを幅広く補助対象といたします。
また、未成年者が闇バイトに関わらないよう、昨年秋から、若者向けの加害防止特設サイトやリーフレット等の活用を中学、高校にも広げており、来年度は啓発漫画を新たに作成するなど、コンテンツを充実させてまいります。
こうした取組によりまして、都民の安全・安心を確保してまいります。
〔中央卸売市場長早川剛生君登壇〕
○中央卸売市場長(早川剛生君) 老朽化した市場施設の機能更新についてでございますが、中央卸売市場が将来にわたって生鮮品等流通の基幹的インフラとしての役割を果たすため、市場業者を含めた民間の力も活用し、老朽化した市場施設の機能強化や、施設の有効活用を進めていかなければなりません。
こうした観点に立ち、都は、豊洲市場におきまして、地域のまちづくりや活性化に貢献するため、千客万来施設を民設民営で整備いたしました。
また、淀橋市場の再整備に当たりまして、狭隘な市場施設の高度利用を図るため、市場業者による自動立体冷蔵倉庫の整備を進めております。
今後、各市場の立地や特性を踏まえた民間の力のさらなる活用について検討を重ねまして、持続可能な市場経営を実現してまいります。
○副議長(谷村孝彦君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後六時四十四分休憩
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.