令和七年東京都議会会議録第三号〔速報版〕

   午後三時三十分開議

○議長(増子ひろき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十九番村松一希君。
   〔百十九番村松一希君登壇〕

○百十九番(村松一希君) 令和七年第一回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び教育長、関係局長に質問いたします。
 我が国の出生数は、史上初めて七十万人を下回る見通しで、人口減少はこれまでの予測を上回るスピードで進行しています。社会保険料の引上げや食料品価格、住宅ローン金利の上昇が続く中、実質賃金は伸び悩み、家計への圧迫が深刻化しています。
 日本経済は、日銀のマイナス金利政策解除という大きな転換点を迎える一方、物価上昇の継続が懸念されています。
 米国では、トランプ大統領再登板で世界経済の不透明感が増す中、日本の一人当たりGDPは主要国で唯一低下し、韓国にも追い抜かれる見通しです。人手不足による中小企業の倒産も相次ぎ、抜本的な構造改革が急務です。
 能登半島地震から一年を経て、首都直下地震への備えを強化する必要性が再認識されています。東京の防災力を高め、都民の命と暮らしを守る首都防衛は、最重要課題として取り組まなければなりません。
 都議会に目を向ければ、都議会自民党の政治資金に関する刑事事件について、私たちの下にも極めて多くの厳しい声が届いています。法令違反を行った都議会議員、そして会派には真摯な反省が求められており、都議会として民間企業の第三者委員会等も参考にしながら、実効的な再発防止に取り組む必要があります。
 私たちは、都議会の信頼回復に向け、連座制強化等の政治資金規正法の改正による厳罰化と政治倫理条例の迅速な成立、条例に基づくあらゆる措置の実施を念頭に、引き続き全力で取り組んでまいります。
 激動する時代の中で、東京には従来の常識や慣習にとらわれることない新たな発想で行政サービスを再構築し、日本の成長を牽引する道筋を示すことが求められています。常に都民ファーストの目線に立ち、絶え間ない改革に果敢に挑戦することをお誓いし、以下、質問に入ります。
 物価高騰が都民の暮らしに大きな影響を及ぼしています。都は、私たちの提案も受け、セーフティーネット支援に加え、賃上げや価格転嫁を促進する前向きな取組など、重層的な物価高騰対策を進めてきました。
 今回、都の最終補正予算では六千八十五億円が計上されていますが、物価高騰に苦しむ都民や事業者を救うための速やかな対応が求められると同時に、燃料費高騰対策に貸切バス業者も対象にすることや、国の予算に計上された一〇%強の賃上げの対象にならない認証保育所で働く保育士への処遇改善など、東京都独自の課題に対応することも重要です。
 加えて、ワイズスペンディングの取組によって生まれた財源を将来世代の負担軽減につなげるなど、財政運営の持続可能性に配慮することが必要です。
 令和六年度最終補正予算案をどのような考えで編成したのか、知事の見解を伺います。
 先日、東京都公式アプリがリリースされました。私たちは、局横断的なデジタルサービス統合や都独自のポイント制度創設、それを活用した社会貢献活動や地域経済活性化につながる東京ポイントを提案し、都がこれを実行していることを高く評価いたします。
 知事は、本アプリの大胆な普及促進キャンペーンと将来的な行政手続、サービスの一元化を表明していますが、これは私たちが掲げるデジタルファーストによる暮らし大改革にも合致するものであり、大いに期待しております。
 まずはポイントアプリからスタートし、都民参加につなげるとともに、都民が利便性を実感できる機能を充実させていくことで、知事が表明した東京アプリの将来像の実現に向けた取組を着実に進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 物価高騰が都民の家計を圧迫する中で、昨年十二月に実施されたもっと!暮らしを応援TOKYO元気キャンペーンは、予定を三日前倒しして終了したことを見ても、さらなる生活支援の取組が求められます。
 私たちは、昨年、予算要望の中でも、物価高騰に苦しむ中間層にもしっかり届く大規模な支援策を求めてきました。
 先日、東京アプリがリリースされたことを契機として、多くの都民が登録してもらえるようポイントキャンペーンを実施し、東京アプリの普及促進を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 先般、東京都の新たな長期戦略である二〇五〇東京戦略(案)が発表されました。本戦略では、子育て、防災、産業など、私たちの要望も多く盛り込まれ、AIなど新たな手法も積極的に取り入れており、より多様化する都民ニーズを踏まえた、まさに都民ファーストの戦略になっていると高く評価するものです。
 これを踏まえた令和七年度予算は、一般会計歳出総額が九兆千五百八十億円となり、過去最大となりました。これまで小池知事と私たちが進めてきた東京大改革では、国をリードし、日本を変える施策が数多く成し遂げられてきました。また、こうした施策展開ができたのも、ワイズスペンディングの取組などが着実に行われてきた成果でもあります。
 こうした歩みを止めることなく、令和七年度予算は、知事が三期目の公約として掲げた東京大改革三・〇を力強く推し進めるものでなければなりません。そこで、令和七年度予算案の編成に当たって、知事の思いを伺います。
 私たちの最重点政策の一つである子育て、教育支援について伺っていきます。
 少子化対策は、長らく日本の課題でありながら、国レベルで有効な対策が打てなかった領域です。同じ轍を踏まないためにも、都においてデータに基づく施策展開と効果検証を求めてきました。
 少子化対策の効果をより高めていくため、継続的に都民ニーズや課題を把握し、取組の充実につなげるべきと考えますが、少子化対策のさらなる推進に向けた知事の見解を伺います。
 子育てと仕事の両立で大きなハードルとなるのが子供の病気への対応です。仕事途中に保育園から呼び出しがかかる、病児保育室が自宅の近くになくて連れていけない、病児のベビーシッターは高くて利用できないなど、都民の声があります。
 私たちは、来年度予算への重点要望として、病児保育室の整備、保育所での対応支援、病児ベビーシッター利用の補助などを求めました。
 都として、体調不良になった子供の保育についての取組を充実すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 チルドレンファーストの社会に向け、私たちが提案、実現してきたのが出産応援事業です。前定例会での私たちの質問を受けて、来年度予算案の中で出産応援事業を現行の二十二万円から二十七万円に拡充する方向が示され、都民からは歓迎の声が届いています。
 出産においては痛みの軽減も大変重要で、無痛分娩は出産時の痛みを和らげ、身体的、精神的負担を軽減する選択肢として関心が寄せられています。
 しかし、現在、都内で無痛分娩に対応できる医療機関は限られており、また、追加で約十万円程度の費用が必要となり、経済的な理由から無痛分娩を選択できない妊婦も少なくありません。
 私たちは、これまでも無痛分娩について経済的支援の拡充、実施可能な医療機関の拡大や麻酔科医の確保、医療スタッフの研修体制の充実などを提言してきました。
 出産に関する選択肢を広げ、妊婦の経済的負担を軽減するため、知事が無痛分娩費用の助成を公約に掲げ、早速、来年度予算案に計上していることを高く評価しています。無痛分娩費用等助成事業に込められた知事の思いを伺います。
 共働き世代が増加する中、保育所等は朝七時から開所している一方で、小学校の登校時間は通常八時以降となっています。この時間差により、特に低学年の児童を持つ保護者は出勤時間との調整に苦慮している状況で、いわゆる小一の壁の一因となっています。
 保護者の就労形態が多様化している現代において大きな社会課題であり、私たちは、朝の時間帯における児童の居場所確保の必要性を指摘してきました。特に学校施設を活用した朝の居場所づくりや地域人材の活用による見守り体制の構築など、具体的な提言を行ってきました。
 子育て世帯が安心して働き続けられる環境を整備するため、小学校の校舎や体育館を活用した朝の居場所づくり、地域ボランティアによる見守り体制の構築など、各地域の実情に応じた支援策を展開すべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちは、小一の壁の解消に向け、学童クラブの待機児童解消と質向上の双方につながる認証学童クラブ制度の創設に向け、一昨年から提案を重ねてまいりました。
 先日の施政方針でも、知事は、二〇二七年度末までに学童クラブの待機児童を解消することを表明されました。小一の壁打破に向け、来年度予算案に計上された認証学童クラブ制度では、国の基準に上乗せした人員配置基準や支援員の処遇改善、開所時間の延長や夏休みの昼食提供などが都独自の認証基準に盛り込まれるなど、今の時流を捉えた内容となっています。
 学童クラブは、保育と異なり区市町村によって実施実態が大きく異なることから、本制度が多くの区市町村で速やかに実施されるよう、都としても強力に後押しすべきです。
 財政支援はもとより、都が積極的に区市町村の取組を後押しすることが必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、都立高校における昼食提供について伺います。
 現在、都内の公立小中学校では、完全給食が実施されているものの、都立高校では、法に基づき、夜間定時制高校においてのみ学校給食が提供されています。全日制高校の大半の生徒が弁当を持参、校内にパン等の出張販売はあるものの、昼休みには行列ができるなど、生徒と、そしてお弁当づくりを担う保護者の双方から昼食提供を求める声が届いており、都立高の魅力向上のためにも工夫を行うべきです。
 都が私たちの要望を受けて、来年度予算案に都立高校等における昼食提供環境の整備促進を計上していることを高く評価いたします。
 保護者の負担軽減、生徒の健康面へ配慮しながら、ネットを活用するなど、速やかに都立高における昼食提供環境の確保を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 続いて、子供たちの意欲と得意を伸ばし、挑戦を応援する観点で、教育政策について質問します。
 子供を産み育てやすい東京の実現に向けて、私たちは所得制限なしでの子育て支援の実施を求め、これを受け、都が私立高校の授業料実質無償化を所得制限なしで行うことを高く評価するものです。
 これにより、生徒は世帯の収入によらず進学先を選択できるようになりますが、同じく重要なのが教育の質向上です。特に学費の安さという優位性が失われる都立高校においては、特徴を生かした改革が不可欠です。
 私たちは、日本財団の十八歳意識調査を引用し、子供の主体性、能動性を育む重要性を訴えてきました。従来の偏差値偏重の教育ではなく、多様な子供一人一人の興味、関心を大切に育み、こうなりたいという思いから学習に取り組む流れに改めていく必要があります。
 先日、東京都教育施策大綱の改定案が公表され、今後、新たな教育のスタイルを都立高校から進めていくことが示されましたが、東京が目指す教育の在り方について、改めて知事の見解を伺います。
 私たちは、学校のデジタル化が進む中で、得られたデータを活用し、一人一人に合わせた指導につなげるAIドリル教材の活用をはじめとする教育データの利活用を訴えてきました。
 都立高校の特徴として、学校数、生徒数の多さが挙げられます。その教育データを活用し、教師の負担軽減とともに、一人一人に合った指導を行えるようになれば、どの都立高校に通っても質の高い教育を受けられるようになります。
 また、経済、技術、芸術などのあらゆる分野で国内の一流の人材が集まる東京において、興味ある子供たちを一流の人材に引き合わせたり、同じ志や夢を持つ子供同士が出会える場をつくることも、都立高校ならではの取組ではないでしょうか。
 今後、都立高校から新たな教育のスタイルを展開していくに当たり、デジタルとリアルを融合した学習者中心の学びを進めるとのことですが、デジタルをどのように活用し、取組を進めていくのか伺います。
 日本の人口減少が加速していく中、国内完結の仕事はなくなり、世界で活躍できる東京、日本の未来を担う人材育成強化が必要です。
 私たちの求めに応じて拡大してきた都立高校生の海外派遣事業では、令和五年度に米国やフランス、UAEなど、各国へ二百名以上が派遣され、参加生徒から、視野拡大、キャリア形成の契機といった声や、報告会を通じて参加していない生徒にもよい影響があったという成果が報告されています。
 しかし、現在、円安により海外留学に要する費用は大幅に上昇しています。意欲、能力ある若者が留学の機会を失われるような事態は国益を損なうものであり、東京都が先導して、短期、長期など、多様なニーズに応えた留学支援を実施すべきです。
 留学支援を受けた方からの学びの報告などを通じて、海外で活躍する人材の裾野の拡大にもつなげるべきと考えますが、ご自身も留学経験のある知事の見解を伺います。
 多くの若者が奨学金を借りており、卒業後、就職後にその返済のために若者の生活が圧迫されています。特定分野に就職する若者の奨学金の返済を助成することは、若者支援と人材確保の両面で意義があり、一石二鳥の政策といえます。
 私たちは、来年度予算の重点要望に奨学金支援の制度を求め、それに対し、都が人材不足の深刻な学校教員及び技術系職員に、令和八年度から奨学金返還支援を実施する予定で、新たな制度を創設したことを高く評価いたします。
 こうした制度を通じて、都の安定的な人材確保と若者の経済的負担の軽減を同時に実現していくべきと考えますが、知事の思いと見解を伺います。
 子育て世代にとって、教育費とともに重い経済的負担となっているのが住居費です。東京二十三区の新築マンションの平均価格は二年連続で一億円超、ファミリー向け物件の家賃相場も上昇傾向にあって、東京の住宅環境は子育てに対して大変厳しいといわざるを得ません。
 世界の大都市圏で住宅価格が高騰する中、手頃な価格で住めるアフォーダブル住宅が世界の諸都市で進んでいます。私たちの求めに応じ、来年度予算に民間と連携したアフォーダブル住宅の支援制度創設が盛り込まれたことは大きな前進です。
 都としてアフォーダブル住宅の普及を進め、民間主体の取組を後押しすることで、手頃な価格の物件の供給を拡大し、子育て世帯やひとり親の住まいの環境を向上していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都の積極的な施策展開には、東京の経済成長と財源確保が不可欠です。その観点から、経済政策について質問をいたします。
 昨年五月、都は、アジア最大級のスタートアップイベント、SusHi Tech Tokyoを成功させ、スタートアップ支援拠点TIBを本格稼働させ、国内外から多くのプレーヤーが集まるプラットフォームを構築しました。今後これらを最大限活用し、起業の裾野拡大とユニコーン輩出という具体的成果を生み出すことが重要です。
 小池知事の公約であるグロース期有望企業への重点投資を今こそ実践すべきときです。
 アメリカでは昨年、トップ企業五百社の株価上昇額の半数以上をマグニフィセント・セブンと呼ばれる新興企業が占め、少数でもグローバル経済を強力に牽引しています。
 都は、SusHi Tech TokyoやTIBに集まるスタートアップから、グローバル市場を目指す有望な企業をスクリーニングし、多様な支援者の力を結集して、徹底的に育成していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 小池知事は、女性の力で経済を活性化することを提言されてきました。令和六年上半期には、二十一年ぶりに女性正社員数が非正規を上回り、人手不足も相まって、女性就業者は増加傾向です。
 一方、男女の賃金格差は縮小しているものの、女性の賃金は男性の八割未満で、欧米と比較して依然として格差が大きい状況です。
 女性活躍推進法成立から十年で、賃金差の公表や女性管理職比率の公開義務化が進み、都も、私たちからの要望で、パートから管理職登用などの後押しをしています。これを一段と推し進めるため、女性活躍の輪、Women in Actionを旗印に、ジェンダーギャップ解消の取組を徹底して進めるべきです。
 都は、男女間賃金格差の大きな要因である、非正規などキャリアが浅い女性社員が多い状況や、管理職や役職者に女性が少ない状況が解消されるよう、企業を強力に後押しすべきですが、見解を伺います。
 年収の壁の見直しの議論が活発化しています。時給単価が上がるほど働き控えも深刻化するなど、賃上げの流れを手放しで喜べない現場もあります。対応が急がれます。
 いわゆる年収の壁は、専業主婦の世帯が多数を占めていた時代にできた制度であり、家族のケアを担い、扶養される配偶者について特別な取扱いを設けることにより、国民皆保険や皆年金といわれる状況を支えてきた側面があります。
 一方、手厚い社会保障制度が女性の役割を固定化してきたことも否定できません。行政は、家族を支える大黒柱と、それを補助する配偶者というモデルを改め、女性が壁を超えて働き、経済的自立と将来の安定を手に入れられるよう後押しすべきです。
 都は、性別による役割の固定につながる仕組みを変え、東京の現場から壁を意識せずに働ける状況をつくっていくべきですが、見解を伺います。
 次に、手取り時間について伺います。
 先月、日本の一時間当たりの労働生産性が二〇二三年に二十年ぶりに上昇したことが報じられました。コロナ禍からの経済活動の正常化や価格転嫁が要因との分析もありますが、先進七か国中最下位という状況は変わらず、生産性向上は企業共通の喫緊の課題です。
 生産性向上の鍵は、従業員のエンゲージメントです。社員の自発的な貢献意欲を引き出し、短時間で成果を上げる効率的な働き方やイノベーティブな働き方への転換を進め、生み出した付加価値を賃上げと時間として、働き手に還元していくことが大切です。
 都は、手取り時間をキーワードに、企業の働き方改革を生産性向上につなげるよう、レベルアップを後押しし、手取りの収入はもちろん、時間の増加につなげる好循環をつくり出していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 カスタマーハラスメントの防止に関して、私たちは顧客の権利とのバランスの取れた条例の運用や、体力の乏しい企業の支援を求めてきました。これを受けて、都は、ガイドラインの整備や団体向け共通マニュアルの作成を進めるとともに、令和七年度の取組として、企業や業界への支援策には、録音や録画など設備面の助成も含まれており、評価しております。
 一方、大切なことは、画像や音声を確認する事態にならないよう、未然防止にしっかり取り組むことです。
 厳しい人手不足の中、正社員に限らず、学生アルバイトやスポットワーカーをカスハラで手放すことは、事業継続が難しい事態にもなります。企業や自治体の現場が条例に基づき悪質な行為を未然に食い止め、働く人を守れるよう、しっかり後押しすべきです。
 都は、四月の条例施行後、現場のマニュアル作成や雇用形態にかかわらず、あらゆる働き手が救済される仕組みを都として早急に整えるべきですが、見解を伺います。
 私たちはこれまでも、アートを生かした東京の魅力向上を訴えてきました。昨年の第四回定例会では、知事の三期目の公約である新たな文化芸術祭の実施に向け、都内それぞれの魅力を掛け合わせることで生まれる先進的で発信力のある文化芸術祭にすべきと提案し、都からは、検討を深めていく旨の答弁を得たところです。
 その一つとなる東京お台場トリエンナーレについては、実行委員会の事務局を務めるフジテレビから、主催者として関係者の理解が得られないこと、協賛の確保が難しいことから、開催準備の継続が困難との連絡があったと聞いています。新たな芸術文化祭は、東京の魅力向上に資するものであり、開催に向けて仕切り直し、実施すべきです。
 東京お台場トリエンナーレ二〇二五の見直しの経緯や考え方について、改めて見解を伺います。
 続いて、首都強靱化について伺います。
 都は、木造住宅密集地域の解消に向けて、燃えない、燃え広がらないまちづくりに取り組んできました。延焼遮断道路整備や老朽建物の除却、建て替え等により、不燃領域率は、二〇一一年度末の五八%から二〇二二年度末には六六%へと、十一年間で約八ポイント向上しています。
 全整備地域で令和十二年度までに不燃領域率七〇%を目標としており、あと六年で四ポイント向上が必要です。令和五年度からは、不燃化特区制度の支援メニュー拡大など、整備の加速化が期待されています。
 今年一月には、昨年の能登半島地震も踏まえ、今後の防災都市づくり施策の指針や目標等も盛り込んだ防災都市づくり推進計画の基本方針の改定案も公表されました。本計画の柱の一つである特定整備路線については、地域の防災性向上に向け、事業効果を早期に発揮するよう、事業の一層の推進が必要と考えますが、見解を伺います。
 また、推進計画の改定案において、今後、整備地域以外の木密地域のうち、局所的な対策が必要な地区を防災環境向上地区として指定しています。
 そこで、今回新たに指定した地区も含めて、これまでの事業進捗を踏まえ、さらなる事業促進に向けて取組を加速することが必要と考えますが、見解を伺います。
 大規模災害が発生した際には、自治体消防の手が回らない状況が発生しています。その際に頼りになるのは地域の消防団です。しかし、地域の防災の要である消防団員は、年々人材の確保が厳しい実態があります。東京消防庁においては、団員確保に向け、まさに様々な取組をされ、その結果、団員の確保に成果を上げてきていると認識しています。
 賃金や物価が上昇基調にある中、消防団員の手当についても配慮が必要です。特別区の消防団員の費用弁償について増額するなど、消防団の魅力を高める取組を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 昨年十一月二十七日に発生した文京区小石川の火災は、五時間以上延焼が続き、六階建てマンションの六階部分を全焼、二人の犠牲者を出す惨事となりました。マンション周辺は狭隘道路が多く、はしご車が使用できなかったと聞いています。
 消防法では、十一階以上にスプリンクラーの設置が義務づけられていますが、これははしご車が届かない階を想定した基準と認識しています。当該建物は、消防隊用の送水設備の設置義務もなく、消火活動は難航を極めたと聞いております。
 今後は、木造密集地域をはじめとする道路狭隘地域における中高層建物への新たな火災対策を検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 能登半島地震の例など、自治体の備蓄が一日で尽きてしまったということもあると聞いております。災害時に行政のみの救助活動や消火活動では、特に発災直後は救援の手が届かない場合が多い状況が見られます。
 自治体の防災備蓄の強化はもちろんですが、身近な地域での防災力の向上に向けて、町会、自治会の防災備蓄倉庫を新たに支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 都の調査では、首都直下地震発生時に避難者が約二百九十九万人、帰宅困難者は約四百五十三万人に達すると想定されています。
 大規模災害発生時には、商業活動の拠点かつ地域に身近な存在である商店街が買物客の安全確保、避難場所への誘導、防災支援物資の備蓄など、主体的に防災、減災に取り組む必要があり、その備えに向けた首都防衛元年として、都の後押しも大変重要です。
 こうした状況を踏まえ、都は、商店街が防災力の向上に取り組む場合への支援を集中的に行うべきと考えますが、見解を伺います。
 都民の七割が居住する集合住宅に向けた防災力向上策を加速する必要があります。
 関東大震災から百年の節目となる令和五年度に、私たちの提案による東京とどまるマンションとして、マンション居住者に向けた取組が大幅に強化され、令和六年度には、初期消火などで必要な地域との連携を目指す事業も創設されました。積極的な事業展開を評価するものです。
 マンションのさらなる防災力強化に向けて、エレベーターの閉じ込め対策や地域とのさらなる連携強化が必要ですが、地震時管制運転装置がついたエレベーターでも、過去の地震では閉じ込めが発生しています。また、地域との連携には、今年度の事業執行を通じて、地域側のインセンティブも必要であることが明らかになりました。
 令和七年度のマンション防災の一層の推進に当たっては、これらの課題を踏まえた事業設計を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 災害による死亡には、災害そのものによる直接死と、その後の厳しい避難生活によって体調を崩したりすることによる災害関連死があります。
 能登半島地震では、二〇二五年一月時点で、死者合計五百二十六人中、直接死が二百二十八人に対して、災害関連死は二百九十八人と上回っています。新潟中越地震、熊本地震においても、災害関連死が直接死を上回る状況です。
 私たちは、会派の能登半島PTでの議論を踏まえ、避難所の環境改善は重要と考え、昨年二月、知事に緊急要望を提出いたしました。これを受け、都は、このたび東京都避難所運営指針の素案を公表しました。
 避難所の設置運営は区市町村が主体となりますが、都として避難所の環境整備を整えるための具体的な取組をすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 能登半島地震では、ペットと共に避難した飼育者が、避難所での限られたスペースで大変な苦労をされたと伺いました。都内でも多くの方がペットと暮らしており、首都直下地震発生時には同様の課題が想定されます。
 避難所では、動物が苦手な方やアレルギーを持つ方への配慮も必要で、全避難者が安心して過ごせる環境づくりが重要です。
 私たちの代表質問に対し、都は、避難所運営指針にペット同伴避難の改善を盛り込む旨、答弁をしております。全避難所でのペット受入れ体制はもちろん、ペットと同じ空間での避難を可能とする避難所も求められており、例えば墨田区では、動物専門学校等と協定を結び、ペットと過ごせる避難所設置を推進しています。
 都としても、区市町村が進める避難所でのペット受入れ体制の整備を支援するとともに、ペットと共に過ごせる避難所についても広めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、持続可能なまちづくりについて伺います。
 都が国に先駆け創設した、大手ハウスメーカー等へ太陽光パネル設置等を義務化する建築物環境報告書制度が四月に始まります。制度施行までの間、都民に分かりやすい制度の周知などを私たちも求めてきました。
 制度開始で普及が期待される断熱、省エネ性能に優れ、太陽光パネルが設置された住宅は光熱費が安く、健康的に過ごせる住宅です。快適で燃費のよい住宅を標準化するには、制度開始後も大手だけでなく、中小も含めた様々な事業者の創意工夫促進が重要です。
 新制度施行が四月に迫った今、知事の決意と今後の取組について伺います。
 二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向けて、再エネの地産地消の取組を推進していくことは重要です。今後、再エネの実装をより一層加速させていくためには、住宅や工場の屋根などへの太陽光パネルの設置に加え、農地の一部を転用してパネルを設置し、農作物を栽培しながら太陽光で発電する営農型太陽光発電の普及なども期待されます。
 一方で、こうした取組の中には、地域における合意形成が不十分なままに事業が進められる事例も少なくないと伺っております。
 今後、再エネの地産地消をさらに推進していくためには、地域との共生や地域振興の観点も踏まえた取組を進めることが必要であると考えますが、見解を伺います。
 エネルギーの大消費地東京のリーダーとして、知事は国政での知見や国際的リーダーシップを発揮し、ゼロエミッション東京の実現に向け、HTTの旗印の下、多角的に事業を進めています。
 一方、エネルギー消費量は、都内CO2排出量の約三割を占める家庭部門が唯一、二〇〇〇年比で増加しています。家庭部門のCO2削減には、住宅の断熱性能を高めることが効果的であり、新築に加え、七百万戸ある既存住宅の対策強化が不可欠です。
 実際、八割弱の住宅では、特に放熱が著しい窓が複層ガラスになっておらず、断熱と防犯性能を高める機能を併せ持つ断熱防犯窓に改修することが効果的です。
 先般、都は、二〇三五年までに三百八十五万戸の断熱化を進めるとの新たな政策目標案を掲げました。光熱費削減により費用回収できる期間を具体的に示すなど、都民の行動変容を促す取組を積極的に展開し、既存住宅の断熱改修を強力に推し進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 特殊詐欺は、二〇二四年に二万一千件、前年比約一〇%増と増加の一途をたどっています。近年は、特殊詐欺グループが甘い言葉で闇バイトを募集するという、匿名・流動型犯罪グループによる犯罪に派生していて、いわゆるトクリュウによる事件では、昨年四月から十月までに約四千五百人が摘発されています。
 闇バイトに応募した者は、摘発者の約四割を占めているとされています。SNSを通じて犯罪行為が行われることから、実態解明と検挙が難しく、対策の強化が求められています。
 若者が闇バイトに関わらないように啓発活動をさらに強化することや、都民が自ら対策を講じて犯罪に巻き込まれないようにすることが必要ですが、見解を伺います。
 私たちは、水害や暑さ対策として、有効かつ美しい緑、グリーンインフラの有用性を訴え、まち中への導入を推進してきました。
 都はこれを受け、令和五年より、重点政策として東京グリーンビズを推進し、緑を守り、生かし、育てる取組を進めていることを高く評価します。
 令和七年度は、緑の保全に加え、緑が持つ多面的な機能についての都民の理解を一層高めるとともに、民間や都民の参画につながるよう、これまで以上に機運を醸成していくべきと考えますが、二〇五〇東京戦略も踏まえ、来年度、東京グリーンビズの取組を官民でどのように進めていくのか伺います。
 私たちは、治水、美観、そしてコミュニティ形成と様々な機能を有するグリーンインフラの都内への導入を継続して訴えてきました。これを受け、都が今年度、レインガーデン等を新たに都立公園を中心に約三十か所に導入したことを評価します。
 国では、ネーチャーポジティブやカーボンニュートラルGXなど、世界的潮流を踏まえ、昨年、グリーンインフラ推進戦略二〇二三を策定しました。この中では、官民が一体となって社会実装に取り組むグリーンインフラビルトインにより、人々と自然が共生する社会の実現を目指すとしています。都においても、これまで以上に官民が一体となった取組が必要です。
 そこで、グリーンインフラの導入拡大に向け、多くの民間企業の参加を促す新たな取組を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 東京農業は、都民に新鮮で安全・安心な農畜産物を供給し、その生産基盤である農地は、環境保全や防災など多面的な機能を有する大切な緑の空間です。
 しかし、近年は、農業者の高齢化や担い手の不足、相続に伴う農地の減少に加え、夏の暑さなど、東京農業は課題を多く抱えています。とりわけ団塊の世代が八十五歳を超え、相続問題が深刻化している、いわゆる二〇三五年問題は、重大な影響を及ぼしかねません。
 都は、こうした課題にしっかりと目を向け、若者や女性をはじめ多くの方が活躍できる東京農業を実現するため、柔軟かつ大胆な発想で取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 建設業の持続性に影を落としているのが重層下請構造です。私たちは継続して、都として実態把握を求めてきました。
 令和五年第三回定例会の代表質問に対し、令和五年十一月から十二月の間に、施工中の工事の百四十三件の工事のうち、土木工事では三次、建築及び設備工事では四次以上の下請契約がある案件が五件、三・五%にとどまり、いずれも必要性が認められたとの見解を伺いましたが、改めて全件調査を求めたところです。
 国においても、令和六年度の補正予算において、重層化の実態調査に取り組むと聞いています。
 全件調査の結果について伺うとともに、国より先んじて行った調査を踏まえ、下請次数削減に向けた具体的な改善策につなげるべきと考えますが、見解を伺います。
 令和三年度末に策定された地域公共交通の基本方針においては、都が鉄道やバスなどの交通ネットワークの充実を担い、基礎自治体は、コミュニティバスをはじめとする交通空白地域対策に取り組むという役割分担がなされ、この方針に従って、区市町村が地域公共交通計画をつくりました。
 その後、コロナ禍により、民間の交通事業者は収益が悪化、特に利用者の減少がそのまま収支に直結するバスにおいては、収益性が低い路線を中心に廃止、減便がなされたことから、都民の移動に多くの課題が生じています。
 ところが、現状の方針には、既存のバス路線や本数を維持する仕組みがありません。令和八年度に予定されている方針改定においては、都が責任を持って、都民の移動手段を維持する内容に改める必要があります。
 方針改定に当たっては、都民の通勤通学などの移動手段の確保という観点から、地域ごとに維持するべきサービス水準を定め、その維持につながる交通ネットワークへの再構築を目指す内容とすべきですが、改定に向けての基本的な考え方について見解を伺います。
 都の公共交通は、渋滞解消、CO2削減、高齢者の社会参加や免許返納支援など、大都市特有の役割を担っており、国の交通空白地域対策とは異なる独自施策が必要です。
 運転手不足やエネルギー価格高騰への対応に加え、都が主体的に公共交通網を維持するには、利用状況の把握と利用者増加による事業者の収益改善が求められています。
 この観点から、私たちは高齢者の社会参加のためのシルバーパスについて、実態把握のためのICカード化、そして利用状況を踏まえた再構築に至るまでの利用者増につながる年間負担額の低減を要望してきました。令和七年度の取組について、知事に伺います。
 都内民間バス事業者から、都営バスに運転手が転職し、路線維持に支障が生じているとの声が届いています。京都市営バスでは採用試験において、大型二種免許保有者を対象としない工夫を行ったこともあると聞いております。
 都営バスの乗務員不足の対応に当たっては、都内公共交通を担う民間事業者に配慮すべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちは、ホームドア設置について、これまで優先整備駅の設定や補助制度の拡充により、取組のさらなる加速を求めてまいりました。
 小池知事は、昨年の都知事選挙の公約にホームドアの設置加速を掲げました。これを受けて、都は、ホームドアの整備加速に関する協議会を設置し、二月十日にはホームドア整備の加速に向けた共同宣言を発出しました。ホームドア整備に係る区市町村の負担は大きく、令和七年度から、鉄道事業者に直接補助を行うよう制度を拡充するとしたことは高く評価するものです。
 さらに、人手不足が社会問題化し、ホームドアの整備にも大きく影響を与えています。そのため、関係者との調整を効率化し、事業化を早めることも重要です。
 協議会での共同宣言を踏まえ、ホームドアの設置加速に向けた取組をさらに進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 先月末に埼玉県八潮市の県道で下水道管の破損に起因すると見られる陥没が発生し、都民にも大きな不安が広がっています。地下に埋設された下水道管は、二十四時間三百六十五日、都民生活や経済活動を支えるライフラインとして必要不可欠な役割を担っており、安全に維持管理する必要があります。
 下水道管の維持管理は、ほかのインフラと比べ、下水道管が地下深くに埋設され、また、下水が常に流れている厳しい環境で実施しなければならず、今後、人口減少や高齢化により、担い手の確保が難しい状況も予想されます。
 このため、新たな技術を取り入れながら適切に維持管理していくことが重要であり、さきの知事の施政方針においても表明がありました。
 そこで、八潮市の道路陥没を受けた下水道局の緊急点検の実施状況を伺います。あわせて、都民が安心して生活できるよう、新たな技術を活用しながら、下水道管のリニューアルを着実に推進していく必要があると考えますが、見解を伺います。
 私たちは、これまで知事と共に多摩・島しょの魅力を高めるための提案を続けてまいりました。市町村総合交付金は、知事就任以来、大幅に拡充されてきました。
 しかし、市町村を取り巻く環境は、今後一層厳しさを増すものと思われ、そうした中においても、予期しない支出や新規事業への対応をしていかなければなりません。
 多摩・島しょ振興を進めていくために、都が市町村を支え、安定した行政運営を行えるよう、さらに支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
 最後のテーマとして、都民の生命と生活を支える医療、介護政策について伺います。
 コロナ禍以降、患者数の減少に加え、物価高騰の影響などにより、全国的に病院の経営は厳しさが増しています。特に東京は、地方に比べて物価や人件費が高く、現下の状況では、病院の自助努力だけで賄うのは困難な状況にあります。
 私たちは、来年度の最重点政策要望に民間医療機関への経営支援を求めました。一部地域では、建て替え費用が賄えず、閉院を余儀なくされる病院も増加している今こそ、都として大胆な支援策が必要です。
 東京の医療を守るため、都として民間病院に対する支援を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 さらに、看護職員の確保は、病院経営の大きな課題です。特に近年は、高齢化の進展に伴う介護保険施設や在宅療養のニーズの増大、さらに、医療技術の高度化や専門化等により、看護職員の需要は一層増加しています。
 今後も都民に必要な医療を提供するために、看護職員の確保に向けた支援が重要です。特に、小規模な病院では、看護職員の確保に苦慮しています。
 都として看護職員の確保、定着に向けた取組を充実すべきと考えますが、見解を伺います。
 ファミリーセンタードケアは、NICUにおいて親子が一緒の時間を過ごすことを支援する取組であり、私たちも委員会質疑等で重要性を訴えてまいりました。
 この取組は、NICU入院児の家族の不安軽減や産後鬱の改善、母乳分泌の促進に加え、子供の成長発達を促し、入院期間の短縮にもつながる効果があります。
 都としてファミリーセンタードケアの取組を進め、家族に寄り添った支援を充実すべきと考えますが、見解を伺います。
 入院中の子供への親の付添入院は、子供の心理的安定と回復に重要な役割を果たしていますが、長期付添いによる親の重い負担や経済的問題も生じています。子供の看護のための人材の配置、付き添う親のためのベッドや食事の確保、きょうだい児のケアなど、複合的な課題に対し、都としても支援を行うべきです。
 子供が入院した際、家族が付添いをする場合に、十分に休息が確保できるような環境の整備をすべきと考えますが、見解を伺います。
 重度の肢体不自由と知的障害が重複する重症心身障害児の中でも、人工呼吸器の管理や経管栄養といった濃厚な医療的ケアが必要な方が入所する民間の医療型障害児入所施設に対し、都は、質の高いサービスの提供を支援するためのサービス推進費の補助を行っています。
 近年、都内から都外の施設にも児童が入所しており、支援に関する要望をいただいております。
 重症心身障害児がどこにいても質の高いサービスを受けられるよう、都外の医療型障害児入所施設に対しても、サービス推進費補助による支援を行う必要があると考えますが、見解を伺います。
 高齢者にとって、医療、介護のインフラは安心の基盤であり、私たちはこれまでも、特別養護老人ホームやグループホームの整備、介護職員の処遇改善となる居住支援特別手当の創設などの取組を後押ししてきました。
 介護の中でも、とりわけ危機的状況なのが訪問介護事業所です。昨年度、国の報酬改定により、二%超の報酬減となったことから、経営状況が悪化し、介護事業者の倒産件数が過去最多となり、その内訳の最も多くを占めるのが訪問介護となっています。
 私たちは、こうした危機的状況を踏まえ、昨年度の予算最重点項目の一つに訪問介護支援を掲げ、採用費や移動費といった固定費について支援する東京独自の支援策を提案いたしました。
 訪問介護事業の経営支援につながる大胆な人材確保策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
 ギャンブル依存症は、一九七〇年代後半にWHOが病的賭博として病気認定した問題で、勝敗にかかわらず、ドーパミン活性化による高揚感から抜け出せなくなります。これは個人の健康や家計の破綻、犯罪や家庭内暴力などの社会問題にも波及するため、予防や治療、支援が必要です。
 近年では、スマホで二十四時間利用可能なオンラインギャンブルが問題化し、公営競技の現場に行く必要もないため、未成年者も依存症になっています。違法と認識せずにのめり込む事例も多く、摘発件数は過去最高で、特に若者が多数を占めています。
 こうした中で策定する新たなギャンブル等依存症対策推進計画は、民間支援団体とのさらなる連携等により、実効性あるものにすべきと考えますが、来年度、ギャンブル等依存症対策にどのように取り組んでいくのか伺います。
 いよいよ今年十一月には、東京でデフリンピックが開催されます。本大会では、デフリンピック百周年の記念すべき大会であり、日本では初めての開催になります。
 私たちは、東京二〇二五デフリンピックに向け、最新のデジタル技術を活用して、国籍や障害などの壁を乗り越え、誰もが円滑にコミュニケーションができる共生社会の実現に取り組むよう都に求めてまいりました。
 これに対して、都は、都庁舎など三十八の都有施設に音声を多言語で表示する透明ディスプレーを設置するなど、技術を社会に普及させるための取組を進めてきました。
 大会開催を契機と捉え、ユニバーサルコミュニケーション技術の活用場面をより拡大していくとともに、大会本番においてもこの技術を活用し、社会に広げていくことがデフリンピックのレガシーとなると考えますが、今後の都の取組について伺います。
 以上、令和七年度に向けて、私たちが要望してきた重点政策と課題について、都の対応を伺いました。東京、日本のあるべき姿について高い理想を掲げながら、現実を直視し、課題解決に向けて地に足のついた取組を一つ一つ重ねていくことこそが重要です。
 私たちは引き続き、都知事と車の両輪である都議会の立場から、都民ファーストの都政に邁進していくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 村松一希議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、令和六年度最終補正予算案についてのお尋ねでございます。
 物価高騰が厳しさを増す中、都民生活や中小事業者の事業活動をしっかりと支えていかなければなりません。
 こうした観点から、国の交付金を活用し、新たに貸切バス事業や児童養護施設等も対象に加えまして、物価高騰に係る直接的な支援を実施いたします。また、保育士等の処遇改善におきましては、認証保育所も含めまして、令和六年四月に遡って実施するなど、対応を強化いたします。
 一方で、将来を見据えました財政対応力の確保も重要です。
 そのため、東京地下鉄株式会社の株式売払い収入を鉄道ネットワークの充実や都市の強靱化に向けた基金に積み立てるほか、後年度の負担軽減に向けまして、都債の繰上償還を進めてまいります。
 こうした取組を通じまして、都民の暮らしや東京の経済を下支えし、同時に、都の施策を支え得る強靱な財政基盤を堅持してまいります。
 先頃リリースした東京アプリについてのお尋ねです。
 都庁をポケットにをコンセプトに、スマホ一つで、必要な情報を知る、サービスを利用する、声を寄せるなど、都民生活をもっと便利に、スマートにするアプリを目指してまいります。
 まずは健康づくりや省エネなど、社会的意義のある活動へのポイント付与から始めまして、来年度は、各種ボランティアや都政モニターなど、約五十の事業に活用を広げてまいります。さらに今後は、自治体独自のアプリとの連携など、区市町村での活用も推進してまいります。
 そして、今年の秋頃を目途に本人認証機能を搭載しまして、その後も段階的に機能拡充を図って、将来的に様々な手続やサービスの一元的な窓口としてまいります。
 暮らしに役立つ身近なアプリの利用を通じまして、都民の手取り時間を増やすことで、一人一人が幸せを実感できる東京を目指してまいります。
 次に、令和七年度予算案についてであります。
 激動する国際情勢、深刻化する気候危機、人口減少に加えまして、AIをはじめとしたテクノロジーの爆発的な進化など、時代は急速に変化しております。
 この不確かな時代だからこそ、これまでの延長線上にはない発想で、日本を、そして世界をリードする取組を全速力で前に進めてまいります。こうした思いを胸に、令和七年度予算では、これまで進めてまいりました三つのシティをさらに進化させ、世界で一番の都市東京の実現に向けました施策を数多く盛り込んでおります。
 あわせまして、積極的な施策展開を支え得る強靱な財政基盤の堅持に向けまして、ワイズスペンディングの観点から無駄をなくす取組を徹底し、過去最高となります一千三百三億円の財源確保につなげるなど、めり張りの利いた予算としております。
 この予算をてこに、都民ファーストの視点から東京大改革を推し進め、全ての人が輝く東京の未来を切り開いてまいります。
 次に、少子化対策です。
 少子化の要因は複合的で複雑に絡み合っており、何か一つの手だてを講じれば解決するものではありません。ライフステージを通じました支援をシームレスに展開し、出産や子育てなどに関する都民の不安を解消し、安心に変えていくことが重要です。
 実効性ある少子化対策をさらに推進していくため、子育て世代などのニーズや抱える課題を把握、分析しまして、都民目線に立って施策に反映することで、幅広い政策分野における取組を不断にバージョンアップしてまいります。
 来年度予算案では、保育料の第一子無償化など、子育て、教育費の負担軽減に向けた取組や、病児保育の充実、認証学童クラブ制度の創設など、都民の不安や悩みに寄り添った施策を盛り込んでおります。
 都民の共感を得られる施策に全庁一丸となりまして果敢に取り組み、結婚したい、子供を持ちたいと望む人を強力に後押しをしてまいります。
 体調不良になった子供の保育についてであります。
 働きながら安心して子育てをする上で、体調不良となった子供を預かる病児保育は重要です。
 保護者からは、子供が急に体調不良になった場合に仕事を休みづらい、預け先を見つけられないなど、切実な声が寄せられております。
 都は、育児と仕事の両立に向けまして、短時間勤務やテレワークなど、柔軟な働き方が企業に広がるよう様々な取組を進めております。
 そして、来年度からは、区市町村の病児保育の取組をさらに促進するため、確実な利用者数を見込むことが難しい病児保育施設の経営の安定化や、保育所などの看護師の確保に向けまして、都独自の新たな補助制度を創設いたします。
 また、急な依頼にも対応可能な体制を整備する、そして、ベビーシッター事業者への支援や、サービスを担うシッターの確保、利用者の負担軽減のための補助を行う検証事業を開始いたします。
 こうした取組によりまして、子供と子育て家庭を全力で支援してまいります。
 次に、無痛分娩についてであります。
 出産した母親から、あの痛みは二度と経験したくないという声を何度も聞いております。都のアンケート結果では、無痛分娩を希望したものの、費用などを理由に実際には選択できなかった方が約三割に上っております。
 女性目線の発想で安心して無痛分娩を選択できるようにすることで、都民の出産に対する多様なニーズにも応えられる社会を実現していく。
 そのため、本年十月から、無痛分娩に関する国の自主点検表の項目を満たす都内の医療機関で出産した方に対しまして、無痛分娩に係る費用を最大十万円助成いたします。
 また、医療従事者向けに、無痛分娩時の急変対応に関する研修を実施するなど、必要な環境整備を行ってまいります。
 こうした取組を進めまして、望む方が安心して子供を産み育てられる社会を実現してまいります。
 次に、新たな教育のスタイルについてであります。
 将来の社会と経済に予想のつかない変化が生じまして、技術の進歩が加速する中で、これからの東京を担う子供たち一人一人を育む仕組みを根本から見直す改革は待ったなしであります。デジタルとリアルの学びを巧みに組み合わせました新たな教育のスタイルをつくり上げてまいりたいと考えております。
 子供の関心に応じ、斬新な知識をリモートで提供し、学校外の様々な現場での幅広い学びもサポートする教員は学習状況をデジタルで把握し、生徒をより高いステップへと着実に後押しのできる次世代の学びの基盤をつくるLPXを進めてまいります。
 特に、最先端の生成AIを使いこなすほか、将来のユニコーンを目指す起業家精神を培うなど、国内外の課題解決につながる学びも提供しまして、未来の担い手としての成長をしっかりと支えてまいります。
 こうした取組を都立高校から展開するため、新たな教育施策大綱を幅広く示しまして、子供たちが希望を持って自ら伸び、育つ東京を実現してまいります。
 次に、海外留学支援についてでございます。
 日本人の海外留学者数が大きく減少する中、若者の内向き志向の加速が懸念されております。学生時代から世界を知り、自らの可能性を大きく広げ、グローバル人材として活躍してほしい。
 こうした思いの下、来年度予算案に都独自の新たな海外留学支援を盛り込んでおります。
 若者のニーズを踏まえ、短期と中長期のコースを設け、増加傾向にあります留学費用を都が支援することで、より多くの若者が海外留学の最初の一歩を踏み出すきっかけづくりをサポートしてまいります。
 また、若者の留学経験を広く共有するため、帰国後に海外での活動内容や成果を同世代に対して発表する機会を創出しますほか、ホームページやSNSなども活用して発信をしてまいります。
 実効性の高い都独自の海外留学支援制度を構築することで、若者の挑戦の好循環を創出してまいります。
 次に、奨学金返還支援についてのお尋ねがございました。
 都市の活力の源泉、それは人でございます。少子高齢化が進み、人手不足が深刻化する中、東京の持続可能性を支える人材を安定的に確保するため、若者への奨学金返還支援を強化していくことが今まさに求められております。
 こうした思いの下、来年度から、貸与型の奨学金を借りていた学生が、未来を担う子供たちを育てる都内の教員や、都市の強靱化に携わる技術系の公務員になった場合、都が本人に代わり奨学金を返還する支援を新たに行います。
 これらの支援は、代理返還という手法を活用しまして、相対的に給与水準の低い採用二年目から十一年目の若者の奨学金返還に係る負担を軽減するものでありまして、本人にとりましては、実質的な給付型の奨学金でございます。
 若者の経済的負担の軽減と、東京の将来を支える人材の確保を両立することで、人が輝く持続可能な東京を実現してまいります。
 アフォーダブル住宅の推進についてであります。
 望む人誰もが安心して子供を産み育てることができる社会の実現には、子育て世帯等に対しまして、安心した暮らしの基盤となる住まいを確保することが不可欠です。このため、都は、東京ささエール住宅の推進や、東京こどもすくすく住宅の普及等に取り組んでおります。
 住宅の価格や家賃が上昇する中、子育て世帯等が手頃な価格で安心して住むことができるアフォーダブル住宅を今後、民間活力を活用して供給してまいります。
 来年度創設いたします二百億円規模のファンドでは、民間から創意工夫のある提案を引き出しますよう募集を行って、子育てに配慮した広さや設備等を持った手頃な家賃の住宅供給を進めてまいります。また、空き家をひとり親世帯向けのシェアハウスなどに改修する民間事業者の後押しなども行ってまいります。
 こうした取組を通じまして、民間の機運を醸成しながら、子育て世帯が住みやすい環境の形成に取り組んでまいります。
 次に、ユニコーンの創出についてであります。
 社会を変革するスタートアップの成長の鍵は、世界市場への挑戦であります。そのためには、幅広い人脈形成と人材の獲得、大胆な資金調達、地球規模で物事を考えるマインドセットが不可欠でございまして、優れた企業を徹底的に支援をしてまいります。
 SusHi Tech Tokyoでは、新たに世界トップレベルの海外投資家を約二十者招きまして、成長を目指す起業家や起業家とのつながりを持つ国内投資家とマッチングする、そしてまたグローバルな出会いを生み出しまして、対話と交流を通じて起業家の視座を高めるとともに、世界への展開につなげてまいります。
 また、成長期の有望企業を選抜しまして、海外展開への資金や高度経営人材の獲得、大企業との協業など、全方位から徹底支援する新たな取組を開始いたします。TIBとSusHi Techの二つのプラットフォームを最大限活用しまして、官民の総力を挙げ、東京、日本から世界に羽ばたくユニコーンを輩出してまいります。
 次に、生産性を高める働き方改革についてであります。
 少子高齢化による生産年齢人口の減少が進む中、人の力を最大限に生かし、暮らしも豊かにする生産性の向上は待ったなしであります。
 誰にとりましても一日は二十四時間、この限られた時間で仕事をより効率的に行い、家族のケアや自己研さんなど、働き手個人にとって価値ある時間の手取りを増やすことが大切です。
 都は来年度、週休三日制やリモートキャリアなど、働き方の選択肢を広げ、賃上げにもつなげる中小企業の新たな取組への支援を強力に推進をいたします。
 仕事の内容に合わせて働く時間や場所を自ら選択し、業務効率を最適化いたしますアクティビティー・ベースド・ワーキング、ABWの考え方でオフィスの変革を進める企業も支援してまいります。
 キーワードは手取り時間、あらゆる人が生き生きと活躍し、やりがいを感じられる東京ならではの働き方改革を磨き上げてまいります。
 次に、避難所の環境整備のための取組についてでございます。
 これまで大規模震災が発生するたびに、避難所などの生活環境が問題とされてまいりました。この状況を変えるべく、避難所運営指針及びトイレ防災マスタープランの素案を取りまとめいたしました。
 この中で、国際的な人道支援の最低基準であるスフィア基準に準拠した生活空間、トイレの確保やペット受入れ体制など、目指すべき避難所の姿をお示しいたしました。あわせて、簡易ベッドやマンホールトイレの設置に必要な資機材の確保など、直ちに取り組むべき具体的方策を提示いたしました。これを着実に進めるため、区市町村に対する新たな補助金を創設いたします。
 さらに来年度は、著しく多い避難者やマンションが多数存在する大都市東京の特質を踏まえまして、在宅避難も含めた避難者全体の支援の在り方につきまして、検討を進めてまいります。こうした取組によって、誰もが安心して避難生活を送れるよう全力で取り組んでまいります。
 次に、太陽光発電パネルの設置義務化についてであります。
 ゼロエミッション東京の実現に向けまして、エネルギーの大消費地である都が、建物の屋根という大都市のポテンシャルを生かし、地域で自立したエネルギーを創出していくことが重要であります。
 都は、本年四月の制度開始に向けまして、都民、事業者の理解と共感を得るため、これまで戦略的な都民向け広報に取り組むほか、事業者の実情をきめ細かく把握をいたしまして、支援を行うことで万全な準備を進めてまいりました。
 これらの取組によりまして、東京ゼロエミ住宅において、太陽光パネルの設置率が直近では九割を超えるなど、着実にその普及が進んでおります。また、太陽光パネルを標準搭載する住宅が、戸建て住宅に加え、賃貸集合住宅にも広がるなど、全ての大手ハウスメーカー等の取組が進展をいたしております。
 今後、中小ハウスメーカーや地域工務店等の製品開発や技術向上等を支援することで、快適で燃費がよい住宅の普及の裾野をさらに広げまして、建物の脱炭素化を加速してまいります。
 続いて、シルバーパスについてでございます。
 制度導入以降の高齢者像や交通事情の変化を踏まえまして、利用実態を把握しながら、制度の抜本的な見直しを検討する必要がございます。このため、来年度、ICカード化に向けまして、関連するシステム改修、そして関係機関との調整などに着手をし、令和八年度の一斉更新以降、できるだけ早期の導入を目指します。
 また、抜本的な見直しまでの間、年間二万五百十円の利用者負担額を、本年十月から一万二千円に引き下げまして、多くの方々にご活用いただき、高齢者の社会参加を後押ししてまいります。
 こうした取組を進めながら、アクティブな長寿社会の実現を目指し、高齢者施策全体を総合的に議論する中で、制度の改善に向けて検討してまいります。
 最後に、地域医療の確保についてでございます。
 全国と比べまして、都内では、民間病院の占める割合が高い中、急激な物価高騰や人件費の増加が病院運営を圧迫しております。
 本来、こうした課題は、診療報酬制度の改善や必要な財源措置を講じるなど、国が対応すべきものでございます。一方で、現下の状況にありましても、都民の命と健康を守る医療体制は揺らいではなりません。
 このため、都は来年度、全ての民間病院を対象にしまして、都内の物価等を考慮して、緊急的かつ臨時的に、入院患者数に応じた支援金を交付いたします。
 また、高齢者の医療需要の高まりに対応いたします高齢者用の病床の確保や、安心して子供を産み育てることができますよう、小児科、産科、そして救急の年間を通じた受入れ体制の確保を図るとともに、老朽化した病院の建て替えに係る支援を拡充いたしてまいります。
 こうした取組を進め、誰もが住み慣れた地域で安心して必要な医療を受けられますよう、地域医療を力強く支えてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長坂本雅彦君登壇〕

○教育長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、授業が始まる前の子供の居場所についてでございますが、小学校の授業が始まる前に保護者が出勤をする事例は増え、そうした児童に関し、朝の時間を安全で安心に過ごす場所を確保することは重要でございます。
 これまで都教育委員会は、地域の住民等が放課後の児童を小学校の中で見守る取組について、区市町村を通じ支援を行ってまいりました。
 来年度は、始業前の二時間に関しNPO等の力を活用し、小学校に児童の居場所を提供する取組への支援を開始いたします。具体的には、子供を見守る人材に係る経費等の三分の二について、地元自治体へ助成を行います。
 これによりまして、子供が学校で安全・安心に過ごす環境の充実を図ります。
 次に、都立高校における昼食の提供についてでございますが、全日制の都立高校に通う生徒が昼食を持って登校することができない場合に、校内で食事を提供する対応を行う上での工夫は重要でございます。
 これまで都教育委員会は、都立高校でパン等の出張販売や自動販売機の設置のためのコーナーを整備する取組を進めてまいりました。
 来年度は、様々な昼食をより簡単な方法で確保できるよう、弁当をつくり配達する会社に対し、保護者がネットを通じ注文と支払いを行うサービスの導入を進めます。
 これらの取組によりまして、都立高校での食事の提供に係る対応の充実を図ります。
 最後に、新たな教育のスタイルの取組についてでございますが、将来の東京を担う子供たちが、社会や経済の急速な変化に柔軟に対応する力などを習得できるよう、新たな教育のスタイルを導入することは不可欠でございます。
 このため、都教育委員会は、都立高校において、最先端のデジタルの利用と学校や社会でのリアルの学びを組み合わせた学習基盤をつくるラーニング・プラットフォーム・トランスフォーメーション、LPXを展開いたします。
 具体的には、モデル校を指定し、デジタル教科書を用いて、教員が指導の方法や生徒の理解の度合いを把握し、授業の質を高める取組を推進いたします。
 また、学習状況などを教員と生徒がデジタルの仕組みで共有することで、指導の内容への理解を高めるラーニング・マネジメント・システム、いわゆるLMSの開発を進めてまいります。
   〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕

○東京都技監(谷崎馨一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、木密地域の解消についてでございます。
 都は、先月、防災都市づくり推進計画の基本方針の改定案を公表いたしました。改定案では、整備地域における公園整備への支援の拡充や、防災環境向上地区における防災生活道路の整備の促進などを図ることとしております。
 今後、道路が狭く緊急車両の進入が困難な地域を解消するなど、具体的な整備目標を令和八年度からの整備プログラムに位置づけ、区市の取組を加速してまいります。
 さらに、新たな地区のうち、まちづくりの検討が進んでいる六地区では、七年度から前倒しで支援を開始いたします。
 こうした施策を展開することで、木密地域の解消をスピード感を持って進めてまいります。
 次に、グリーンインフラの導入拡大についてでございます。
 雨水流出抑制や暑熱緩和など、多様な機能があるグリーンインフラの導入を広げるには、多くの事業者や都民にその効果や役割を理解してもらうことが重要でございます。
 都は、今年度、公共空間にレインガーデン等を三十か所先行整備し、認知度を高めるとともに、事業者の優良な取組の表彰、地元自治体や事業者間の交流を促す情報交換会の開催を通じまして、事業者間の協働や取組に対する意欲向上を図ってまいりました。
 今後は、意欲の高い企業との連携を強化し、身近な商業施設などにおいても展開することで、官民連携によるグリーンインフラ導入を推進してまいります。
 次に、地域公共交通の基本方針改定についてでございます。
 交通政策の推進に当たりましては、利用者本位で使いやすい総合的な交通体系を実現することが重要であり、都は、基本方針に基づき、交通不便地域解消に主体的に取り組む区市町村を支援してまいりました。
 現在、路線バスの減便、廃止など、地域公共交通を取り巻く環境が変化しており、交通モードの連携による持続可能なネットワークの実現が急務でございます。このため、地元自治体と連携して、地域特性等に応じた目指すべきサービス水準の考え方を整理、共有いたします。
 こうした考え方を令和八年度に改定する基本方針に反映いたしまして、交通ネットワークの再構築に取り組む区市町村を後押ししてまいります。
 最後に、ホームドア整備の加速についてでございます。
 ホームドアは、駅利用者の転落を防ぎ、人の命を守る重要な施設であり、協議会でこれまでの目標を二年前倒しし、整備加速に向けて取り組んでいくことを宣言いたしました。
 都は、来年度から、事業者に対しまして直接補助を行う新たな制度を立ち上げ、協議等の省力化を図ってまいります。
 加えて、複数年度にわたる工事にも柔軟に補助を行えるよう、令和十年度まで約二百億円の債務負担行為を設定し、整備のスピードアップを図るとともに、事故が頻発している駅を新たに補助対象に加え、早期に都民の安全を確保いたします。
 協議会を通じた進捗の確認や取組事例の共有を進め、整備を加速してまいります。
   〔デジタルサービス局長山田忠輝君登壇〕

○デジタルサービス局長(山田忠輝君) 東京アプリの普及促進についてのご質問にお答えいたします。
 東京アプリは、将来的に様々な手続やサービスを一元化して、行政をもっと身近に、便利にするアプリを目指しており、多くの都民の皆様に利用してもらうことが重要でございます。
 そのため、今年秋頃の本人認証機能の実装を契機に、都民と都政をつなげ、都民生活の応援にも資するキャンペーンを一年程度展開してまいります。
 具体的には、十五歳以上の都民に対し、複数の民間QRコード決済の加盟店で利用できるポイントを七〇〇〇ポイント付与し、実際にアプリを活用することで、利便性を実感していただきます。
 こうした取組に加え、さらなる機能拡充を図ることで、都民の皆様の活用を促進してまいります。
   〔福祉局長山口真君登壇〕

○福祉局長(山口真君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、認証学童クラブ事業についてでございますが、都は来年度、国の基準を上回る職員体制や専用スペースの面積などの確保を要件とする認証学童クラブ事業を開始いたします。
 事業の実施主体である区市町村の積極的な取組促進に向けまして、認証学童クラブの設置計画の策定などを要件に、三年間の時限で運営費の区市町村負担分を三分の一から六分の一に軽減するとともに、賃借建物などを確保するための補助額を約一千万円まで拡充いたします。
 また、多様な事業者の参入が可能となるよう、都にウェブ相談窓口を設置するほか、就職相談会などを実施し、学童クラブで働く人材の確保にも取り組んでまいります。
 こうした取組によりまして、認証学童クラブの設置を強力に進めてまいります。
 次に、医療型障害児入所施設に対する支援についてでございますが、都はこれまで、重症心身障害児が地域で安心して暮らせるよう、在宅サービスの充実を図るとともに、入所が必要な重症心身障害児に対しては、都立施設の運営のほか、都内の民間施設に運営費を補助しまして、質の高いサービスを提供してまいりました。
 近年、医療の充実などを背景として、入所年数の長期化とともに重症心身障害児が増加し、都外の医療型障害児入所施設に入所する都内の児童が増えている実態もございます。
 こうしたことを踏まえまして、都外の施設に入所している児童に対しても、障害の特性に応じて質の高いサービスが提供できるよう、来年度から必要な措置を行ってまいります。
 次に、訪問介護の人材確保についてでございますが、都はこれまで、訪問介護の人材確保に向けまして、未経験者の雇用経費の補助や、居住支援特別手当を支給する事業者への支援など、様々な施策に取り組んでまいりました。
 来年度からは、新たに、求人サイトへの掲載費などを一法人当たり最大八十万円支援いたします。
 また、高齢者宅への訪問に必要な電動アシスト自転車の購入経費に対しましては、補助率四分の三で一事業所当たり最大十五万円、電気自動車などの購入経費に対しましては、補助率二分の一で一事業所当たり最大二百五十万円を支援いたします。
 こうした施策によりまして、訪問介護のさらなる人材の確保、定着、育成に取り組んでまいります。
 最後に、ギャンブル等依存症対策についてでございますが、都が今年度改定するギャンブル等依存症対策推進計画案では、幅広い層への普及啓発や、若者などからの相談体制の強化、関係機関が連携した支援の充実などを今後の取組として盛り込んでおります。
 こうした取組を着実に進めるため、都は来年度、依存症ポータルサイトを構築しまして、基本的な知識や相談先、医療機関等に関する情報を一元的に提供するほか、若者がアクセスしやすいLINE相談を開始いたします。
 また、毎年五月の啓発週間等の機会を捉えまして、精神保健福祉センターと支援団体などが連携して相談会を実施するなど、依存症対策をさらに推進してまいります。
   〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず初めに、男女間の賃金格差の是正についてでございます。
 女性の賃金が男性より低い現状を是正するため、女性管理職の割合が少ない状況などを改善することは重要でございます。
 都は、来年度、女性活躍の基盤づくりを計画的に進める企業への支援を強化いたします。
 具体的には、非正規や短時間勤務の社員から登用できる役職の新設や、女性管理職の増加に取り組む中小企業に対し、最大百万円の手厚い助成を行います。
 女性の登用や職域の拡大が人材確保や収益の増加に結びついた事例など、経営者向けの情報発信も増やすこととしてございます。
 これらによりまして、企業におけます女性活躍の推進を後押しし、男女間賃金格差の縮小につなげてまいります。
 続きまして、年収の壁への対策についてでございます。
 男女を問わず、誰もが働き控えをせず、仕事で能力を十分に発揮し、生涯安定した収入を得られるよう後押しすることは必要でございます。
 都は、来年度、働く時間を延ばす社員の手取り収入を減らさない仕組みをつくる企業への支援を開始いたします。
 具体的には、社会保険料の負担を和らげる手当の導入に対し、新たな助成を行うとともに、配偶者手当の見直しへの助成を充実し、最大五十万円を支給いたします。年収の壁の正確な理解を促すセミナーや、生涯収入を可視化する都独自のツールによる啓発も強化いたします。
 これらによりまして、年収の壁を意識せず働き、将来の安定を確保する環境づくりを後押ししてまいります。
 次に、カスタマーハラスメント防止体制の整備についてでございます。
 条例の施行に伴いまして、現場で働く様々な方がカスタマーハラスメントから確実に守られるよう支援することは重要でございます。
 都は、条例を解説する指針を定め、就業者にアルバイトやインターンシップ生等が幅広く含まれることなどをお示ししてございます。
 これに加えまして、対応方針を顧客に周知することや、就業者のケアの具体例を提示し、公務の現場にも活用できます共通マニュアルを作成し、来月初旬に示してまいります。
 さらに来年度、カスタマーハラスメントの様々な事案に対応できます総合相談窓口を新たに設け、官民問わず、あらゆる現場で防止の取組が進むよう促してまいります。
 次に、商店街の防災力の向上についてでございます。
 商店街が地域コミュニティの担い手として、消費活動はもとより、来街者や地域住民の安全・安心の確保に向け、防災力を高めていくことは重要でございます。
 そのため、都は、商店街が取り組みます防災への理解を深めるイベントの実施や消火設備の設置などを支援してございます。
 都は来年度、相次ぐ大規模な自然災害に備える緊急対策として、防災訓練などを行う商店街への支援を新たに開始いたします。
 具体的には、災害時の協力の際に必要となる救助用の工具や防災用非常食などの備蓄品の購入について、三十万円を上限に全額を助成いたします。
 こうした取組によりまして、商店街の防災力の向上を強力に後押しいたします。
 次に、再生可能エネルギーの地産地消についてでございます。
 再エネの導入に当たりましては、地域との共生を前提に、地域活性化につながる取組を後押ししていくことは重要でございます。
 これまで都は、地域の再エネ資源を活用し、災害時にも役立つ地産地消型の設備導入を支援してまいりました。
 来年度は、こうした取組に加えまして、雇用創出や経済活性化など、地域に貢献する再エネ設備導入支援を強化いたします。
 具体的には、地元自治体との協定に基づき、営農と両立する太陽光発電や、地域で発生する廃棄物等を利用したバイオマス発電に取り組む事業者への補助率を拡充いたします。
 こうした取組によりまして、地域の振興を図りながら、再エネの導入拡大を促進してまいります。
 最後に、東京農業の振興についてでございます。
 東京農業の発展に向けましては、担い手不足や農地の減少などの取り巻く課題を解決し、若者などに選ばれる職業として農業の魅力を高めていくことが重要でございます。
 このため、都は、農外からの新規就農者等が行います栽培施設の整備への助成や、農地の長期貸借を促す奨励金を支給する制度などに取り組んでおり、過去三年間で二百十九人の方々が新規に就農してございます。
 来年度、親元で就農する後継者も活用できるよう助成制度を見直すほか、農業機械を助成対象に加えてまいります。また、快適な作業環境となるよう、働き方のガイドラインを策定いたします。
 さらに、長期貸借向けの奨励金を十アール当たり最大百二十万円に引き上げるなど、農業の担い手への支援を充実させてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長古屋留美君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(古屋留美君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京お台場トリエンナーレ二〇二五についてでございますが、実行委員会からの共催辞退の申出を受け、都としても、現状の体制の下での開催は難しいと判断いたしました。
 都はこれまで、東京都の基本計画や東京文化戦略などにおいて、誰もがアートに親しめる機会や、支援してきた若手アーティストの活躍の場の創出、東京の魅力発信という目標実現のため、国際的な芸術祭の開催を構想してまいりました。
 芸術文化は東京の多様な魅力の源泉であり、国際的美術展の開催は、東京にとって必要なものであります。
 実行委員会の組成から見直し、これまで準備し積み上げてきたものを生かしながら、多くの方から理解を得られる新たな形で、東京にふさわしい国際的美術展の開催を目指します。
 次に、町会、自治会の防災倉庫助成についてでございますが、首都直下地震などの災害の発生に備えるためには、地域における共助の力を高めていくことが重要であり、その中心となるのは町会、自治会でございます。
 都はこれまで、災害時に用いるテントや担架、蓄電池などの防災資機材の購入を支援してまいりましたが、来年度は、これらを格納する倉庫の設置や修繕への助成を新たに実施いたしまして、備蓄環境の整備を後押しいたします。
 具体的には、倉庫の購入費のほか、設置に伴う工事費、扉の修理費など七十万円を上限に助成いたします。
 この支援を通じて、いざというときに助け合える地域コミュニティの構築につなげてまいります。
 最後に、ユニバーサルコミュニケーション技術の活用でございますが、技術を社会に広めていくためには、デフリンピックを契機に身近な場所への導入を進めるとともに、その有用性を知っていただくことが重要でございます。
 来年度は、透明ディスプレーを設置する都有施設を百施設以上に拡充するほか、引き続き区市町村や鉄道事業者に働きかけ、公共施設や駅への機器導入を支援してまいります。
 また、大会時は、選手の交流拠点となるデフリンピックスクエアにおいて、スタートアップ企業が開発する、競技音を振動で体感し、楽しめる先端技術などをPRいたします。
 こうした取組により、ユニバーサルコミュニケーション技術の社会実装につなげ、確かなレガシーとしてまいります。
   〔建設局長花井徹夫君登壇〕

○建設局長(花井徹夫君) 特定整備路線についてでございますが、特定整備路線は、市街地の延焼を遮断し、避難路や緊急車両の通行路となるなど、防災上極めて重要な道路でございます。
 都は、道路が開通する前においても、取得した用地を活用し、緊急車両用の仮設通行路を整備することで、早期の防災性向上に寄与する取組を進めておりまして、全延長の約六割で通行路が確保されております。
 今年度、用地取得の執行体制などを強化し、こうした取組に資する用地を機動的かつ集中的に確保してきており、来年度は、荒川区の補助第九〇号線など十区間で整備を行う予定でございます。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら、事業を一層推進し、地域の防災性向上を図ってまいります。
   〔消防総監吉田義実君登壇〕

○消防総監(吉田義実君) 二点の質問にお答えします。
 初めに、特別区消防団の魅力を高める取組の強化についてでございますが、平時はもとより、首都直下地震など大規模災害発生時の被害軽減には消防団の活動が不可欠であり、消防団の魅力を高め、必要な団員数を確保することが重要でございます。
 このことから、ライフスタイルに応じた活動ができる機能別団員制度を導入するとともに、資格取得の支援を行うなど、魅力ある消防団づくりに取り組んでまいりました。
 来年度からは、消防団員に支給する費用弁償の額を四千円から四千五百円に引き上げるとともに、機能性に優れ、デザイン性の高い防火服を新たに導入いたします。
 これらの取組により、消防団の魅力を高め、団員確保に努めてまいります。
 次に、道路狭隘地域の中高層建物火災への対応についてでございますが、東京消防庁では、道路狭隘地域には小型ポンプ車を配備し、中高層建物火災では、消防法に基づく消防隊用の送水設備や、はしご車を活用した消火活動を行っております。
 文京区の火災は、消防隊用の送水設備の設置義務がない建物であり、また、はしご車が接近できなかったことから、火点室に対する屋外からの放水も困難でございました。
 このことから、来年度、当庁が主導し、民間企業等と共同研究を行い、はしご車が接近できない場合でも、屋外から火点室へ、迅速に放水や消火弾の投入ができる新たなドローンの開発を目指します。
 これらの取組により、消防活動体制の強化に努めてまいります。
   〔住宅政策本部長小笠原雄一君登壇〕

○住宅政策本部長(小笠原雄一君) マンション防災の推進についてでございます。
 都は今年度、エレベーター閉じ込め対処訓練を実施したほか、東京とどまるマンションへのエレベーター用防災キャビネットの設置や、コーディネーターの派遣による町会等との合同防災訓練の支援に取り組んでまいりました。
 こうした取組を通じて得られた知見を踏まえまして、来年度、エレベーターの安全対策や訓練参加への動機づけの強化を図ってまいります。
 具体的には、登録マンションを対象に、エレベーター閉じ込め防止機能を高めるリスタート運転機能等の追加を支援するほか、マンションと町会等との合同防災訓練への参加者に東京アプリのポイントの付与を開始いたします。
 これらにより、マンションの防災力の一層の向上を図ってまいります。
   〔総務局長佐藤智秀君登壇〕

○総務局長(佐藤智秀君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ペット同伴避難受入れの支援についてのご質問でございます。
 都は、避難所運営指針の素案を公表し、目指すべき避難所の実現に向けた基準の一つとして、全ての避難所でペット受入れ体制を確保することを示しました。
 本指針では、避難所でのペット滞在ルールの作成や場所の確保など、区市町村が直ちに実施すべき具体的な取組をガイドラインとしてまとめております。
 来年度は、区市町村の実情に応じて、同伴避難に必要な資機材の整備を進めることができるよう、新たな補助金を創設いたします。
 加えて、ペット、動物の専門学校をペットと共に過ごせる避難所として確保した事例を紹介するなど、飼育者が安心して避難できる環境を整えてまいります。
 続いて、市町村総合交付金についてのご質問にお答えをいたします。
 総合交付金は、地域の発展に向け、市町村が取り組む各種施策に要する一般財源の補完制度として重要な役割を果たしております。
 都はこれまで、市町村の実情を踏まえ、総合交付金の拡充を図るとともに、待機児童の解消など、市町村と連携して取り組む政策課題にも的確に対応してまいりました。
 七年度は、通年分の学校給食費無償化への支援や医療費助成の所得制限撤廃に係る経費を含め、六年度当初予算から八十五億円を増額し、過去最高の七百五億円を計上しております。
 多摩・島しょの市町村が地域の課題を自ら解決し、多様な魅力を生かして、さらなる発展につなげていけるよう、都として積極的に後押しをしてまいります。
   〔環境局長須藤栄君登壇〕

○環境局長(須藤栄君) 既存住宅における断熱改修の推進についてでございますが、都民の行動変容を促すには、改修意欲を高める効果的なPRと、着実に実施へつなげていくサポートが必要でございます。
 このため、都は、今後、健康面や経済面の改修効果を、住まい手に合わせた広報媒体や体感イベントなどで分かりやすく発信いたします。
 あわせて、住宅の省エネ性能等の無料点検から改修案の提案、施工事業者の情報提供など、都民が安心して検討できるよう、関係局と連携した支援を開始いたします。
 さらに、改修補助の規模を十万戸に倍増するほか、一般的な戸建て住宅で約百万円費用増となる断熱防犯窓も、通常と同程度の自己負担で設置できる上乗せ補助を実施いたします。
 こうした取組により、既存住宅の断熱化を加速してまいります。
   〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長竹迫宜哉君登壇〕

○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(竹迫宜哉君) いわゆる闇バイトへの対策についてのご質問でございますが、都では、加害者の低年齢化を踏まえ、昨年秋から、闇バイトの特徴や見分け方を、中学、高校を通じ啓発してまいりました。
 来月には、都内の高校生全員に改めてメッセージを発信するほか、来年度は、身近な問題として考えてもらうための年齢層に応じた啓発漫画や、実例の取材に基づく保護者向けコンテンツを新たに作成し、多様な媒体で展開してまいります。
 あわせて、緊急対策といたしまして、防犯機器等を購入、設置する都民に、区市町村を通じて最大二万円を支援する補助制度を創設いたします。より多くの自治体が本制度を速やかに導入できるよう、現在、要綱などの準備を進めております。
 こうした取組によりまして、都民の安全・安心を確保してまいります。
   〔政策企画局長佐藤章君登壇〕

○政策企画局長(佐藤章君) 東京グリーンビズについてのご質問にお答えします。
 これまで都は、東京を自然と調和した持続可能な都市へ進化させるため、官民連携の下、取組を進めてまいりました。
 二〇五〇東京戦略では、緑の減少に歯止めをかけることや適切な維持管理、豪雨や暑さ対策にも寄与する緑の多様な機能の認知向上など、取組を加速することとしております。
 来年度は、農地保全に資する体験農園の普及促進や官民連携イベント、緑のスポットを巡る新たなコンテンツなどを通じまして、緑に親しむとともに、樹木管理の重要性も学ぶ機会を創出し、都民の理解と共感を得ていくこととしております。
 今後、さらに都民や企業などとの連携を強化し、緑と生きるまちづくりを全庁一丸となって推進してまいります。
   〔財務局長山下聡君登壇〕

○財務局長(山下聡君) 都発注工事における下請次数調査に関するご質問にお答えいたします。
 令和六年七月に、施工中の一定規模以上の工事千八件のうち、土木工事で三次、建築及び設備工事で四次以上の下請契約がある案件は、百四十八件でございました。
 都は、分離分割発注を原則としており、過度な重層化傾向は見受けられませんでしたが、大規模な工事ほど、専門、分業化などのため、下請次数の増加が確認されました。
 都はこれまでも、下請契約の適正化を元請事業者に要請してきておりますが、今後、対象の工事に関して、下請次数の増加理由等を確認するなど、実態の把握を進めてまいります。
 その上で、国の調査結果等も踏まえ、事業者団体と意見交換を行いながら、下請次数を含め、適切な施工体制の維持に必要な施策を検討してまいります。
   〔交通局長久我英男君登壇〕

○交通局長(久我英男君) バス乗務員不足への対応についてでございますが、路線バスは、公共交通機関として、地域の身近な移動を支える重要な役割を担っているものと認識しております。
 全国的に大型二種免許の取得者が減少する中、都営バスでも、免許未取得者を対象とした養成型選考の実施など、人材確保に努めてまいりましたが、民間バス事業者同様、乗務員不足により、路線の維持が困難となってきております。
 民間事業者の厳しい人員状況を踏まえつつ、人材確保を図るため、本年春以降、養成型選考による年間募集人員を倍増するほか、短時間勤務の導入による交通局OBなどの活用を図ってまいります。
 あわせて、乗務員志望者の増加に向け、関係局や業界団体などと連携して取り組んでまいります。
   〔下水道局長佐々木健君登壇〕

○下水道局長(佐々木健君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、八潮市の道路陥没を受けた緊急点検についてでございますが、下水道局では、直ちに国道及び都道、都内全域で合計一千二百キロメートルを巡視し、異状がないことを確認いたしました。
 巡視に続き、硫化水素ガスにより腐食するおそれが高い環境にある下水道管など、約四十三キロメートルを対象に、管の内部を目視するなどの緊急点検を行っております。
 これまでに約三十五キロメートルが終了し、現時点で異状がないことを確認しております。
 次に、下水道管のリニューアルについてでございますが、膨大な下水道管を効率的に維持更新するためには、高度に都市化が進展した東京の地域特性を踏まえた技術を開発、導入することが重要でございます。
 このため、長年にわたり下水道を整備し、維持管理を行ってきた当局では、自ら技術を開発して課題解決を図ってまいりました。
 具体的には、三百六十度確認できるテレビカメラで点検調査を実施してまいりました。
 さらに、道路を掘削せずに、下水を流したままリニューアルする技術で、老朽化した管の再構築を計画的に進めてまいりました。
 今後とも、新技術を取り入れながら、下水道機能の安定的な確保に取り組み、都民生活の安全を守ってまいります。
   〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕

○保健医療局長(雲田孝司君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、病院による看護職員の確保、定着対策についてでございますが、医療ニーズが多様化する中、地域に必要な医療を提供するには、看護職員の安定的な確保、定着は重要でございます。
 都は、看護職員の確保、定着に向け、勤務環境の改善や宿舎整備の補助など、様々な取組を実施しておりますが、とりわけ小規模な病院では、宿舎用の敷地確保や費用面の課題などから、特に居住支援が進んでおりません。
 このため、来年度から、病院が看護職員や看護補助者向けの宿舎を借り上げた場合、一戸当たり月額八万二千円を上限として、病院負担額の四分の三を補助する取組を開始し、働きやすい環境づくりを支援することで、病院における看護人材のさらなる確保、定着を図ってまいります。
 次に、NICU入院児の家族への支援についてでございますが、NICUに長期間入院する子供の家族は、子供と離れて生活することで、子供の健康や将来などに対する不安や家族の役割を果たせない無力感などを抱くことが多く、家族への心理的なサポートが重要でございます。
 現在、NICUで家族が子供と一緒に過ごし、子供のケアに積極的に関わるようサポートするファミリーセンタードケアの取組が十分ではないため、都は来年度から、こうした取組を進めるリーダー的人材を育成するとともに、その人材を配置する医療機関への支援を開始いたします。
 今後、ファミリーセンタードケアの推進により、NICU入院児の家族に寄り添った支援を充実してまいります。
 最後に、子供の入院時の家族への対応についてでございますが、子供の入院の際、家族が安心して過ごせるよう、医療機関の環境を整えることは重要でございます。
 このため、都立病院では、希望する家族などに簡易ベッドの貸出しや食事場所の提供などを行うほか、小児総合医療センターでは、昨年十一月から病院食の提供を開始いたしました。
 一方、国は、今年度の診療報酬改定におきまして、医療機関が看護補助者や複数名の保育士を配置した場合の評価項目を新設するとともに、補正予算で家族の付添いなどに係る医療機関の環境改善への補助制度を創設いたしました。
 都は、今後、国の補助制度の活用などにより、家族に過度な負担がかからないよう、必要な支援を検討してまいります。