令和七年東京都議会会議録第三号〔速報版〕

   午後一時開議

○議長(増子ひろき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(増子ひろき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(増子ひろき君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(小河原靜子君) 知事より、令和七年第一回定例会二月十九日の会議において同意を得た監査委員の任命について、発令したとの通知がありました。
(別冊参照)

○議長(増子ひろき君) これより質問に入ります。
 百十三番小松大祐君。
   〔百十三番小松大祐君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○百十三番(小松大祐君) 都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 都が発表した来年度予算は、総額十七兆円を超え、過去最高となっています。東京、そして日本が時代の転換点に直面している今、先送りできない課題と未来に向けた投資的取組の両立が求められています。激甚化する災害への対応、少子高齢化対策、感染症対策を見据えた地域医療の充実、カーボンハーフ実現に向けた環境対策や老朽化が進む各種インフラの整備、そしてDXの推進、いずれも長期的展望に立ち、実効性を検証しながら計画的に取り組む必要があります。
 こうした観点から質疑を行ってまいります。
 先月、都政の新たな長期戦略である二〇五〇東京戦略(案)が公表されました。これは都の最上位計画であります。
 新たな戦略は、これまで講じた各種施策の成果を基に、東京の強みであるデジタルやスタートアップ、さらには東京の強靱化など我々が主張してきた政策が強化されています。足元では、物価高が都民生活や事業者の活動に影響を与えていますが、成長分野へのさらなる投資により、持続的な成長の好循環を生み出さなければなりません。併せて、災害のリスクに備え、都市の強靱化を推し進め、首都機能と役割を強化することは重要です。
 新たな戦略の下、どのように都政のかじ取りを行っていくのか、知事の見解を伺います。
 来年度予算は、一般会計の歳出総額が初めて九兆円を超え、保育料等の第一子無償化や海外留学支援など都独自の施策が数多く盛り込まれています。こうした積極的な施策に対して、行政サービスの自治体間格差を助長すると騒ぎ立てる声や、いわゆる偏在是正を進めることで、地方創生を推進すべきという乱暴な主張もあります。これは石破総理の掲げる地方創生の曲解といえます。東京の発展と地方創生は二律背反するものではなく、共栄共存、我が国の持続的成長につなげていくことこそが真の地方創生といえます。今こそ東京の強みを生かした取組を充実していく必要があります。
 そこで、真の地方創生に向けた取組について、いわゆる偏在是正に対する認識と併せて知事に見解を伺います。
 令和七年度の都税収入は、企業収益の堅調な推移に伴う法人二税の増加などにより、約六・九兆円、四年連続で過去最大を更新いたしました。
 一方で、依然として物価高騰の影響は続いており、先日公表された二〇二四年の毎月勤労統計では、一人当たりの実質賃金は前年比〇・二%減と三年連続のマイナスとなっています。都民や事業者の方々から苦しい状況を訴える声が届いています。資材価格の高騰や人件費、光熱費などの上昇にも目配りが必要です。
 こうした状況の中、適切な物価高騰対策など都民や事業者に配慮した十分な支援を積極的に行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 防災対策について伺います。
 今年は阪神・淡路大震災から三十年の節目の年です。この震災では、家屋の倒壊等からの救出は、自助、共助によるものが八割を超えていたといわれています。
 しかし、東京で首都直下地震などの大規模災害が発生した際に、共助を担う町会、自治会の加入率は減少傾向にあり、防災訓練や地域の防災の担い手確保は急務であります。加えて、災害対策を効率的かつ迅速に進めていくためには、AI等の先端技術を推進していくことも重要です。
 TOKYO強靱化プロジェクトは、これまでハード、ソフト両面から取組を強化していますが、二〇五〇東京戦略の策定を踏まえ、区市町村と連携した地域防災力を高める取組など、ソフト施策は一層強化していくべきと考えます。今後、TOKYO強靱化プロジェクトをどのように推進強化していくのか、知事の見解を伺います。
 切迫性が指摘される首都直下地震への備えを万全なものとするため、木密地域を燃えない、燃え広がらないまちとしていくことは重要です。整備地域以外の木密地域において、新たに地区指定を行い、区部に加え、多摩地域への支援を開始することが、このたびの防災都市づくり推進計画改定案に盛り込まれました。
 今後、各自治体において、不燃化に向けた取組をしっかり進めていかなくてはなりませんが、新たに取組を開始する区市も多く、特に多摩地域の地区では、防災都市づくりの実績やノウハウが少ないのが現状です。新たな地区でも、防災まちづくりが着実に進むよう、ハード、ソフト両面から支援を行っていくことが重要です。見解を伺います。
 昨年、ドイツやブラジルなど世界各地で集中豪雨による水害が発生し、人命や経済活動が甚大な被害を受けました。日本でも、豪雨による被害が頻発しており、気候変動の影響に伴って、強大化する豪雨への対応は急務といえます。
 かねてより、河川や下水道の整備、流域対策が連携して対策を進めるように都に求めてまいりました。今年度から都内全域が流域対策の補助対象となり、河川や下水道整備との連携強化が図れる環境となりました。これにより、流域対策に対して地元自治体や民間企業との協働が進むとともに、新たな技術開発も期待されます。
 そこで、新たな技術開発などにより、より効果的な流域対策の推進を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
 地域防災を最前線で担う消防団員の処遇改善も強く要望をしてまいりました。今回の予算案において、特別区消防団については費用弁償の増額が盛り込まれましたが、多摩地区の消防団についても同様に費用弁償や報酬について増額するなどの処遇改善を求めておきます。東京は、企業、大学などが集積する強みを生かし、オールジャパンの視点に立って、イノベーションの創出を進めていますが、消防分野においても民間企業等と連携をし、災害活動用の資機材をレベルアップするなど官民連携による消防活動力を強化していくべきと考えますが、消防総監の見解を伺います。
 次に、避難者支援について伺います。
 昨年一月に発生した能登半島地震においても、避難所を取り巻く課題として、トイレ環境の悪化や雑魚寝による長期の避難生活、不十分な食事、入浴機会の不足などが課題となりました。これらの課題については、これまでの大規模災害でも指摘されてまいりましたが、いまだ改善のめどはついていません。
 今般、東京都避難所運営指針の素案を公表しましたが、避難所改革を進めるに当たっては、避難所運営の主体となる区市町村と課題や取組の方向性などを共有した上で取組の実効性を高めるため、支援していくことが重要です。見解を伺います。
 能登半島地震では、住宅の倒壊に加えて障害のある方が避難所で生活することの難しさも報道されてきました。障害者が居住する住宅の耐震化は、居住者の命を守ることはもとより、震災後も住み慣れた自宅で在宅避難ができるという観点からも極めて重要です。また、住宅全体の耐震化ではないものの、次善の策として耐震シェルター等の設置も命を守るために一定の効果があると考えます。既に一部の自治体で助成を行っていますが、十分とはいえません。
 そこで、都として障害者世帯への耐震化補助を手厚くするとともに、耐震シェルターなどへの支援も進めるべきと考えます。見解を伺います。
 近年の激甚化する災害や都民の安全・安心を脅かす事件の発生を受け、これまで町会、自治会が地域で取り組んできた防災や防犯活動の重要性が高まっております。一方で、町会、自治会は加入者の減少や役員の高齢化によって、活動の維持、継続が大きな課題となっています。また、会費の集金にも大変ご苦労をなさっているとの声も届いています。
 都は来年度、区市町村と連携するなど加入促進を推進するとしていますが、実効性のある取組が必要です。都のこれからの具体的な取組について伺います。
 今年は、平成十二年に発生した三宅島噴火から二十五年になります。また、大島でも昭和六十一年の噴火から三十九年が経過をいたしました。過去に三宅島では二十年間隔、大島では三十六年から三十八年間隔で火山噴火が発生しており、次の噴火がいつ発生してもおかしくない状況にあります。
 三宅島の噴火では、大量の火山灰が放出され広範囲に堆積し、その後の降雨によって多くの渓流で泥流被害が発生しました。都は、泥流から人命や島内財産を守るため、恒久対策として堰堤などの砂防施設の整備を進めています。しかし、火山噴火はいつどこで起こるか予測が難しく、砂防施設の整備が完了する前に噴火する可能性もあります。火山噴火後の泥流の発生に備え、事前に被害を軽減させる対策を講じておくことが重要です。火山噴火後の泥流対策の取組状況について伺います。
 都は全国に先駆け、令和五年三月に東京湾沿岸における海岸保全基本計画を改定し、気候変動による海面水位の上昇に対応する防潮堤のかさ上げを進めていますが、島しょ部においても、これまで検討を進めてきた海岸保全基本計画の改定が行われるとのことです。厳しい気象、海象条件にさらされる伊豆・小笠原諸島では、気候変動による影響は特に大きくなるものと考えられ、都が沿岸の背後地で生活する島民の生命と財産を守ることは極めて重要です。
 都は、計画の改定を踏まえ、着実に海岸保全施設の機能強化を進めるべきと考えますが、今後の取組を伺います。
 先月、埼玉県八潮市で発生した下水道管に起因すると考えられている道路陥没によって、流域にお住まいの約百二十万人の方が下水道の使用制限を受けるなど長期間にわたって大きな影響が生じています。国は、有識者委員会を設置し、埼玉県における事故原因の調査結果などを踏まえながら、再発防止策について検討を進めると聞いています。
 下水道をはじめ、我が国の高度経済成長期以降に集中的に整備されたインフラは、急速に老朽化が進行し、建設後五十年以上経過している施設の割合が加速度的に高くなっています。首都機能を支えるとともに、安心で快適な生活の基盤であるインフラの老朽化対策は重要な課題です。中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に都市の強靱化の取組を進めていくことが求められます。
 そこで、八潮市の道路陥没を受けて、都はどのような対応を行ったのか。併せて下水道管の老朽化対策についても伺います。
 国民保護計画について伺います。
 近年の国際情勢等を踏まえると、その対処を強化することは急務です。令和四年五月時点の都内における緊急一時避難施設は僅かに百五の地下駅舎、そして四つの地下道のみでありました。その後、区市町村や民間と連携し、施設の追加指定を積極的に進めたことで、都内人口カバー率は現時点で一〇〇%を超えていると承知をしていますが、地域偏在の課題は残っています。
 知事の施政方針において、ミサイル攻撃を現実的な脅威と捉え、その対処を強化するなど国民保護計画を変更すると表明されましたが、具体的な変更内容について伺います。
 都議会自民党は、闇バイト対策について、これまでにも各種提言、要望を展開してまいりました。特に、実行犯を生まない対策こそが重要であることを質問し、警視庁はSNS上での対策や大学生、高校生に対しての広報啓発活動に注力をしてきたと認識しています。また、犯行グループへの電話番号の供給遮断対策も行い、効果が出ていると聞いています。
 しかしながら、全国的に闇バイト事案は増えているのが実情です。若者がSNS上にあふれる犯罪実行者募集情報に応募する前に警視庁が情報を認知し、犯罪に加担させないなどの対応を強化するべきと考えます。警視総監の見解を伺います。
 闇バイト強盗などの発生により、都民の体感治安は悪化しています。緊急対策として、防犯カメラ設置をはじめとする地域の見守り活動支援の拡充を図るとともに、都民が自身で行う防犯対策を支援し、地域防犯力の底上げを強化するべきと考えます。見解を伺います。
 ホームドア整備について伺います。
 JRや私鉄では、いまだ約三割のホームにしか設置がされておりません。都は、令和元年に公表した鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方を基に、区市と連携して鉄道事業者への補助を行っています。一方で、沿線区市からは、ホームドアは費用が高額で、現行制度では地元自治体の負担が大きいとの切実な声もあり、整備加速に向けて工夫が必要であることを指摘したところであります。
 都は、改善策を検討するとして、本予算案で都が直接補助を行う制度を創設すると打ち出しました。ホームドアの整備加速に向け、この制度の狙いと今後の取組について伺います。
 国の調査によれば、都営地下鉄の混雑率は上昇を続けています。三田線については、車両更新に合わせて輸送力の増強を図ってきましたが、利用者の声を受け止め、会派としても八両編成化を強く求めてまいりました。
 混雑緩和を図り、快適な通勤通学を推進するため、三田線八両編成化はさらに進めるべきであります。見解を伺います。
 物価高騰や人件費の増加などによって、病院経営は厳しさを増しています。また、都内では、小児科や産科、産婦人科を標榜する病院、救急告示医療機関は減少傾向にあるなど、今後、都民が身近な地域で安心して必要な医療を受けられないことも危惧されています。さらに、東京は高齢者人口が二〇五〇年をピークに増加が見込まれていることから、高齢者の医療需要への対応も大きな課題となっています。
 医療は、都民の命を守る欠かすことのできないものです。都として、地域医療を確保するための取組を強化するべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 五歳児は、言語の理解能力や社会性が高まり、発達障害が認知される時期であることから、国は五歳児健診の取組を推進しています。一方で、自治体によっては、医療機関の初診待機や相談体制の不足によって、就学前などに必要な支援を受けるまでに時間がかかる現状もあります。
 こうした状況を踏まえ、子供の発育、発達に合わせた適切な支援につなげるためには、医療機関等における発達検査体制の整備や五歳児健診の推進が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 無痛分娩への助成制度が大変注目を集めています。こうした中、希望者が殺到することも想定されます。希望する都民が安心して無痛分娩を選択できるよう医療機関を確保すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 都は、少子化対策として、〇一八サポートをはじめ乳幼児から高校生までを対象とする医療費助成、第二子以降の保育料無償化、高等学校授業料の実質無償化などの施策を講じてきました。また、保育料の第一子無償化や子育て世帯への住宅支援など来年度施策はさらに充実強化されることになります。
 一方で、我が国の出生数は二〇一五年以降減少傾向が続いており、二〇二三年は、国、都の出生数ともに過去最低を記録しました。二〇二四年の全国の出生数は、国の将来推計より約十五年前倒しで七十万人を下回る見通しであり、少子化の進行に歯止めがかかっていません。依然として厳しい状況が続いている中、どのように少子化に向き合っていくのか、知事の見解を伺います。
 深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、都は、国の政令基準を踏まえた児童相談所の管轄の見直しを行い、多摩地域における設置計画に加え、区と連携しながら区部の新たな児童相談所の設置を検討していくこととしています。
 しかし、都における現状は、児童相談の中核を担う児童福祉司が国の配置基準を満たしていません。また、現在九か所設置されている区児相は、今後も増設が予定されており、児童相談を担う専門人材の確保はさらに厳しくなることが見込まれます。
 児童相談所の専門人材の確保、定着を図ることが重要ですが、都はどのように取り組むのか見解を伺います。
 高齢者の単独世帯がさらに増加をする中、区市町村が設置している地域包括支援センターは、介護保険業務をはじめとして、地域の高齢者やその家族等からのあらゆる相談に対応し、多忙を極め、人手の確保にも苦労している状況です。
 今後三十年間で日本の総世帯数は減少する一方、六十五歳以上の高齢世帯が増加し、高齢世帯に占める単独世帯の割合は三五・二%から四五・一%へと大きく上昇するとともに、近親者がいない高齢未婚単独世帯の急増も想定されています。現在よりさらに深刻な状況が想定されますが、都はどのように都内区市町村、地域包括支援センターを支援していくのか伺います。
 都内におけるマンション価格や家賃が上昇し、若い子育て世帯が他県に家を求めているといった報道がなされています。次世代の東京を担っていく若い方たちが東京に魅力を感じ、東京を離れずに安心して伸び伸びと子育てができるようにしていくことが喫緊の課題です。生活に必要な広さや快適な設備、手頃な価格など子育て世帯の様々なニーズに対応した住まいが市場で適切に供給されていくことが重要です。
 都は、既存の民間住宅ストックの活用も含め、独自で先進的な住宅政策を展開してきましたが、今後も子育て世帯向けの良質な住宅を供給することが期待されます。これまでの取組の蓄積を活用するとともに、子育て世帯が住みやすい東京の実現に向けて、施策の多様化や拡充に取り組むべきと考えます。都の見解を伺います。
 先日、東京都教育施策大綱の改定案が公表され、今後、新たな教育のスタイルを都立高校から進めていくことが示されました。教員が一方的に教えるインプット型の教育から児童生徒が自ら学ぶアウトプット型の教育への転換や、国際化、AIといったデジタル化など時代の流れに即応した対応も必要です。東京が目指す教育の在り方について、知事の見解を伺います。
 今後、都立高校から新たな教育のスタイルを展開していくとのことですが、激変するこれからの時代を生き抜くための力を身につけさせるために、具体的にどのようなことに取り組むのか伺います。
 GIGAスクール構想によって、小中学校では日常的に授業でタブレットが活用され、今後も加速度的にデジタルを利用した教育が進むことが見込まれます。一方で、いまだにネットにつながりにくい学校や教室があることも耳にしています。こうした環境は、子供の良質な学習機会を毀損することになるため、早急な改善が必要です。
 都は、都内公立小中学校の現状を調査した上で、区市町村教育委員会と連携して取り組むことを求め、次の質問に移ります。
 子供を取り巻く環境は多様化、複雑化しており、不登校やいじめ、自殺は増加傾向にあります。子供が抱える悩みや不安を受け止めるために、スクールカウンセラーの役割は大変重要であり、学校からは配置拡充を求める声が寄せられています。スクールカウンセラーによる相談体制の充実を図るべきと考えます。都の取組について伺います。
 都立ろう学校の保護者負担軽減への取組に関する昨年の予算委員会での質問に対し、関係局と連携し、検討するとのご答弁をいただいたところです。
 都立ろう学校では原則スクールバスの運行がなく、子供が一人で通えるようになるまでは保護者等が送迎しなくてはなりません。この通学時の送り迎えについて、特に下校時の迎えの時間が早いことから大きな負担となっています。また、ろう学校の子供たちは通学区域が広く、移動にも時間がかかるため、地元の学童クラブを放課後に利用することも困難です。放課後等デイサービスは聴覚障害児を受け入れる施設が少なく、受け入れた場合にも手話が可能な人材もおらず、コミュニケーションの面で課題があるようです。
 こうした理由から、ろう学校への入学を諦めていたり、保護者の就労の継続を断念したりする家庭も多いと切実な声が届いています。ろう学校に通う子供たちの保護者負担を軽減するため、聴覚障害児の放課後の居場所を整備するべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、都立高校における昼食について伺います。
 全日の都立高校では、生徒が弁当を持参して昼食を取るということが一般的なスタイルとなっています。弁当を持参しない日には、校内における出張販売などを利用しているとも聞いていますが、都立高校ではパンなどの出張販売が多く、豊富なメニューがあるという状況にはなっていません。都立高校の出張販売で様々な昼食を提供することは、学校生活を充実させ、その魅力を高めることにつながるとも考えますが、見解を伺います。
 学校教育の質や成果を左右するのは教員です。教員を取り巻く環境を改善し、より授業や生徒と向き合うコア業務に集中できる環境を提供することは重要です。都は、これまでも副校長の補佐や部活動指導員などの外部人材の配置拡充など学校における働き方改革を進めてきましたが、業務の効率化を進めることで、教員の時間外勤務を減少させる余地は大きいと考えます。
 その際、学校ごとの取組ではなく、自治体単位や複数自治体、東京都全体などで校務負担の軽減を図るなどスケールメリットを生かした取組を推進させることが必要だと考えます。見解を伺います。
 取組の検討に当たっては、災害時や感染症の拡大期であっても、教育環境を保持できる仕組みを想定しておくということを求めておきます。
 我が国の出生数の減少は進行しており、労働人口の減少が確実に見込まれる中、将来の東京、そして日本の持続的な成長を実現する上で、人材の育成と知の創造の中核を担う大学の役割は大変重要なものです。グローバルな競争は日々激化しており、我が国が世界と伍していくためには、これまでの教育内容や学問分野の壁にとらわれず、教育や研究のやり方を進化させていく必要があります。
 先日、都は都立大学に国際系新学部を開設することを公表しました。学部の新設にとどまらず、時代の変化に即した大学を目指すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 国際社会で活躍する人材の育成に向けて、都立高校生向けの海外留学支援や国際交流プログラムなど、将来、我が国を牽引する若者を育成するための施策展開について、率先して我が会派も後押しをしてまいりました。
 来年度予算案には、大学生等を対象とした都独自の新たな海外留学支援が盛り込まれています。制度の詳細は今後検討していくということでありますが、自ら留学計画を立てることや審査をクリアすることなどの条件はあるものの、所得制限はなく、主体性や高い意欲があれば支援を受けられるというものであります。
 一方で、留学を支援する制度は官民問わず既に様々に存在をしています。グローバル人材を育成する観点から、都が独自に海外留学を目指す若者を後押しすることは否定しませんが、既に国や民間等において、学生向け留学支援制度がある中、都がこのタイミングで新たな制度を創設しようとする理由と、その意義について知事の見解を伺います。
 英語スピーキングテストは、英語能力を高め、未来を担う人材の育成を図っていくためにも重要なものであります。しかし、本年度のテストにおいて機器の不具合などが生じたことを都は真摯に受け止め、改善を図ることを強く求めておきます。
 国の調査によれば、東京都におけるCEFRのA1レベル、いわゆる英検三級相当以上の中学三年生の割合は、国の目標値を毎年上回って上昇しており、東京の子供たちの英語力は着実に向上しているといえます。こうした成果からも、引き続き進めていくべきと考えますが、改めて英語スピーキングテストの意義を伺います。
 昨年、世界の平均気温は産業革命前に比べて一・六度高くなり、史上最も暑い年だったといわれています。気候変動対策の国際的な枠組みであるパリ協定で定められた気温上昇の抑制目標一・五度を単年で初めて超えるなど地球温暖化の深刻さは増しています。また、米国がパリ協定離脱を表明するなど、世界の気候変動対策の先行きも不透明感を増しています。
 こうした中、先般、都は二〇三五年までに温室効果ガス排出削減量を二〇〇〇年比で六〇%以上削減する目標案を提示しました。また、都は環境先進都市を目指し、キャップ・アンド・トレード制度をはじめ、国をリードする先進的な取組を進めています。高い目標も先進的取組も大切なことですが、最も重要なことは掲げた目標をどう達成していくかということであります。
 そこで、温室効果ガスを削減する新たな目標設定の考え方と、達成に向けた取組について伺います。
 気候変動問題への対応が今や人類共通の課題となっている中、世界各国では脱炭素化に向けた新たな技術開発競争が激化しています。バイオエネルギー製造や電池リサイクルなどの技術領域では飛躍的に成長しているスタートアップ企業も出てきました。
 我が国においても、環境産業の市場規模は二〇五〇年には約百三十六兆円まで成長が見込まれるとされています。GX関連投資の推進は、GDPの押し上げによる所得の向上や雇用の創出など経済面での利益も期待されます。
 しかし、国内GX関連のスタートアップ企業は、研究開発を経て事業化し、利益が出るまでに長期かつ多額の資金調達ができずに伸び悩んでいるともいわれています。地球規模の社会的課題の解決に資する新技術の開発に取り組むスタートアップ企業の資金調達を都が先頭に立って支援することで、日本の脱炭素化をリードしていくべきと考えます。見解を伺います。
 約七百万戸の住宅ストックがある東京においては、各家庭における省エネ化の促進が重要です。特に住宅の断熱化は、冬場のヒートショックの抑制や年々厳しさを増す酷暑対策としても効果が期待されます。
 我が会派では、既存住宅の断熱化、とりわけ、都内住戸の約半数を占める賃貸住宅の断熱対策を抜本的に強化するよう強く求めてまいりました。
 先般示された二〇五〇東京戦略案においても、賃貸住宅の断熱改修に集中的に取り組むことを掲げています。
 賃貸住宅は、改修費用を家主が負担する一方、光熱費削減等のメリットは居住者が享受するため、取組が進みにくいということが実情です。
 都は、家主が取組に積極的になるようなきっかけづくりや、改修に至るまでにどのような対策を講じるのか伺います。
 製造業など、いわゆる動脈企業と再生材を供給する廃棄物処理事業者などの静脈企業との連携を深め、サプライチェーン全体で資源循環の取組を促進することは重要です。資源循環と脱炭素化の取組は世界的に加速しており、多くの製造メーカーで再生材の使用を求める動きが拡大しています。
 このような状況を踏まえ、国は昨年、再生資源の質と量の一層の確保に向け、再資源化事業等高度化法を公布しました。今後、廃棄物処理事業者には、廃棄物から有用な資源を効率的に分離、回収するなど処理プロセスの高度化を進め、製造側が必要とする水準の再生材を確保することが求められます。
 都は、新法の施行を見据え、先進的な処理設備の導入に意欲を持つ事業者を支援し、循環経済の実現に向けたリサイクルの高度化を促進するべきと考えますが、見解を伺います。
 多摩地域の森林再生について伺います。
 都は、平成十四年度から、手入れの行き届かない個人や民間事業者等の人工林を対象に間伐を実施する森林再生事業に取り組んでいます。
 事業開始から二十年以上が経過し、対象エリアも着実に整備が進む一方で、この事業の対象外である市町村が所有している森林は、より手入れが困難な奥地にあることも多く、管理が行き届かないケースも散見されています。
 また、近年は熊の市街地等への出没が社会問題ともなりました。森林と民家が接しているエリアを適切に管理し、見通しを確保しておくことは、警戒心の強い野生動物が人の生活圏に出没するリスクを減少させるということにもつながります。
 こうした課題に向き合い、森林再生事業の取組を拡充していくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 多摩産材の利用促進は、東京の貴重な森林の循環を促すとともに、緑を守る、育てる、生かす東京グリーンビズの取組を推進する上でも重要です。まちの木造化推進法が令和三年に施行され、都内においても、多摩産材をはじめとする国産木材をふんだんに使った建築物を見かけることが増えました。
 今後、都市の木造、木質化がさらに広がることが期待される中、増加の見込まれる木材需要にしっかりと応えるためには、山林からの伐採量を増やすことはもちろん、木材を市場に流通させる取組を強化することが必要不可欠です。このため、さきの第四回定例会の代表質問において、森林循環を促進する取組の強化を強く求めたところであります。
 そこで、都は、多摩産材の伐採、搬出を加速するとともに、より多く流通させるためにどのように取り組むのか、見解を伺います。
 DXの推進について伺います。
 東京都公式アプリの開発に当たっては、地域の関係者の声を聞き、区市町村の多様な施策でも活用ができるデジタル共通基盤とするように求めてまいりました。今回、この東京アプリを活用して、本人認証をした十五歳以上の都民に対しポイントを付与するキャンペーンは、昨年末に行った予算要望を踏まえたものと理解をしています。
 都は、今月アプリをリリースし、まずは都の施策に参加した都民へのポイント付与から利用を開始したとのことですが、今後、アプリの利用促進を図るためには、区市町村施策との連携を進めるべきと考えます。見解を伺います。
 また、地域通貨を先行的に実施している自治体の仕組みと東京アプリとの将来的な連動については、丁寧な意見交換や費用面などのきめ細かな支援を求め、次の質問に移ります。
 近年、サイバー攻撃は、生成AIに代表されるIT技術の急速な発展や地政学的緊張を背景として、さらに深刻化しています。我が国においても、港湾施設、医療機関等を標的とした重大なサイバー攻撃が確認されるなど、その脅威はこれまでになく高まっています。
 国は、サイバー攻撃の兆候を捉え対処していく能動的サイバー防御の導入に向け、法案を近く国会に提出するなど対策の強化を急ピッチに進めています。
 東京都は、水道、交通など都民生活や社会経済を支える重要なインフラを担っていることから、これまでもセキュリティ対策の強化を求めてまいりました。これを受け、都は先般、都立病院へのサイバー攻撃を想定した危機管理対応訓練を初めて行うなどの対策を進めています。
 深刻化するサイバー攻撃の脅威に対応するためには、新たな技術の導入など一層の対策強化が不可欠です。見解を伺います。
 先端技術の開発において、世界では、空飛ぶクルマなどの次世代モビリティーの実装が加速しています。例えば、ドバイでは離着陸場の建設が開始され、今年度中の商用運航に向け、周辺環境整備も急速に進んでいます。
 我が会派は、国際競争に勝ち抜くため、空飛ぶクルマの社会実装に向けた道筋をさらに具体化していくべきと主張をしてまいりました。
 今般、都は、ロードマップを精緻化し、次年度からは新たに実装プロジェクトを立ち上げ、国や民間事業者と連携しながら、市街地への展開に向けて取組を加速するとのことであります。都市機能が集積する東京では、飛行への需要は見込まれる一方、離着陸場の確保は大きな課題です。
 来年度から実装プロジェクトを進めるに当たって、飛行ルートの設定と併せて離着陸場の確保など、まち中での環境整備も重要です。見解を伺います。
 東京の持続的発展を生み出す大きな力となるのは、スタートアップ企業のイノベーションです。多様な才能と資金が集まり、世界市場を見据えたスタートアップ企業が次々と生まれるグローバルな都市へと東京は進化を遂げなくてはなりません。中でも、インド、ベトナム、インドネシアなど高い経済成長を続ける多くの新興国を有し、地理的、文化的にも近いアジアとの連携強化は極めて重要です。
 これまでにも、アジアのスタートアップ企業や投資家の呼び込みを強化するべきと提言をしてまいりました。都は、台湾やタイと連携協定を結ぶなどしていますが、こうした取組をさらに発展させていくべきです。東京がアジア各都市をつなげるハブとなるべく、TIBやSusHi Tech Tokyoの取組を進化させ、各地域との連携を通じてイノベーションを生み出していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 デフレ脱却に向けて都内経済は回復基調にあり、業績が好調な企業がある一方で、高止まる燃料費や原材料コストが重荷となっている零細事業者や、仕事があっても人手が足りずに受注のできない中小企業も数多くあります。都が今年度から開始した経営展開サポート事業には、こうした困難な状況にある中小零細企業からの申込みが多数寄せられています。
 経営努力を行いながらも、事業環境の変化に影響を受け、依然として苦境に立っている多くの事業者に寄り添い、支援の拡充を図るべきと考えます。見解を伺います。
 手取り時間を増やす働き方について伺います。
 過労死やブラック企業が問題となった二〇一〇年代に始まった働き方改革から十年以上が経過。日本人の労働時間は右肩下がりにあるなど一定の成果が見られます。
 一方、個人の希望に目を向けますと、最近行った民間調査によれば、労働時間を減らしたいという人が三割程度いる一方で、収入増加や成長のために労働時間を増やしたいという人も二十代を中心に二割程度いることも確認されています。
 望まない長時間労働をなくすことは当然です。しかし、ライフステージや個人の状況によって異なる労働時間に対する考え方を尊重し、社員の働きがいやプライベートの充実によって、生産性向上や収入の増加にもつなげ、好循環をつくり出す、こうしたことも重要です。
 都は、手取り時間を増やす考えの下、働く時間や社内環境に対する社員の多様な価値観に応える働き方の実現に積極的に取り組む企業への支援を強化していくべきと考えます。見解を伺います。
 総務省の調査によれば、二〇二四年の就業者数は過去最多となりました。とりわけ、正規雇用が大幅に増え、人手不足を背景にパートで働く女性などの正社員化も進んでいます。賃金に目を向けると、二〇二四年の春闘では三十三年ぶりの大幅な上昇となり、激しい人材争奪戦の中、高い初任給やお祝い金など若年層への投資が目立つ状況となっています。
 一方、こうした恩恵を受けにくい世代があります。バブル崩壊とその後の景気低迷により、厳しい就職活動を強いられた四、五十代はロスジェネ、失われた世代とも呼ばれ、いまだ不安定な就労が続く人もいます。また、正社員であっても、若手と比べ賃金の伸びが低く抑えられ、モチベーションの維持に悩む方も多いといわれています。
 人口のボリュームゾーンである中高年層が力を発揮し続けられるよう、都は、就職氷河期に非正規雇用を選ばざるを得なかった方への支援を強化するとともに、賃上げがこうした世代にも波及するよう後押しするべきと考えますが、見解を伺います。
 年収の壁について伺います。
 男性が正社員として働き、その配偶者がそれを支えるという社会保障のモデルは、戦後の我が国の経済成長期を牽引してまいりました。男女の働き方が大きく変わった今、見直しが求められています。社会保障制度の見直しには丁寧な議論が欠かせませんが、まず早急に対処しなければならない課題の一つは、年収の壁による就業調整、すなわち人手不足に拍車をかけるパート労働者の働き控えであります。
 年収の壁には様々なものがあります。そのうち、社会保険料の負担が増える影響は大きく、それと比べて税負担の増加は影響が少ないことを知らない方もいるようであります。時給が上がることで働く時間をさらに短くする人が増えれば、人手不足倒産も懸念がされます。都は、年収の壁による就業調整を減らし、企業の人手不足が解消されるよう支援を強化するべきと考えますが、見解を伺います。
 大都市東京においても、いまだ約一万戸の農家が貴重な農地を守り、安全で新鮮な農産物を提供しています。しかし、こうした農業経営を持続的なものとするには、様々な課題があります。とりわけ、後継者の確保は喫緊の課題であり、作業の省力化や効率化を図るなど、農業を継ごうとする方が魅力を感じるような経営環境の改善は重要です。
 また、近年の資材高騰などによって農業経営は厳しく、作業を効率化する機械の更新やビニールハウスの張り替えをちゅうちょする農業者も多いと聞いています。都は、こうした農業者を取り巻く状況に目を向け、農業者の経営力の強化を一層後押しするべきと考えますが、見解を伺います。
 都市農業の基盤である生産緑地は、相続等を理由に年々減少しています。この貴重な生産緑地を保全していく手法の一つとして、貸借は有効です。我が会派は再三、生産緑地の貸借を促進する取組を求め、都はこれに応じて、土地所有者に対する意向調査や生産緑地の長期貸出しにつながる奨励金制度を実施してまいりました。
 しかし、今後、高齢化は一層進む中で、農作業はもとより、維持管理することが困難となる生産緑地が増えることも予見され、東京の農地のさらなる減少が危惧されています。生産緑地の減少に歯止めをかけるためには、これまでにも増した取組が求められています。確実に次世代につなげていくために、より強力に生産緑地の貸借促進に取り組むべきと考えます。見解を伺います。
 先日の知事施政方針では、都民が豊かさを実感できるような都市に向け、将来を見据え、都市づくりのグランドデザインの改定に着手する考えを示されました。東京の盛衰は、日本の発展、成長に直結するものであり、将来の都市づくりを検討する上では、未来を見据え、幅広い視点で考えることが重要です。
 世界をリードし、都民が夢と希望に満ちて活躍ができる東京、日本経済を牽引しながら、都市としても成熟をしていく東京、そのために、今後どのような方向で都市づくりの検討を進められるのか、知事の見解を伺います。
 道路は、首都東京における高度な社会経済活動を支える最も基礎的な社会基盤であります。道路ネットワークの形成による交通の分散によって、渋滞の緩和、環境負荷の少ない都市の実現及び避難ルートの多重化など、防災性の向上をはじめ、広範な効果が期待されます。
 昨年二月に暫定開通した放射第三五号線の平和台トンネルでは、環八通りとの立体交差化によって所要時間が短縮され、交通の円滑化に寄与しています。また、昨年三月に開通した町田三・三・三六号線では、並行する町田街道の交通量が減少したことで渋滞が緩和し、町田市中心部へのアクセス性が向上しました。
 一方、道路の整備に伴い、マンションや墓地など多数の関係権利者の理解が必要となる場合、事業が長期化することもあります。
 これまで同様、地元との合意形成に努めつつ、活力あふれる安心で安全な都市東京の礎となる道路の整備は、さらに強力に推進する必要があると考えます。道路ネットワークの形成に対する都の見解を伺います。
 東京港は、日本の経済成長を力強く牽引し、国民生活を支える上で欠かせない、国力の源泉ともいえる港です。一方、地球規模での環境意識の向上や、我が国における人口減少の加速に伴う港湾、物流業界の担い手不足など、東京港を取り巻く社会経済状況は厳しさを増しています。東京港が、今後も重要な国際物流拠点として、その役割を果たしていくためにも、将来の状況変化を見据えた戦略的な取組を進めていくことが重要となっています。
 都は、先月、Tokyo Container Vision 二〇五〇の素案を発表しました。この中で、東京港の約半数の貨物を取り扱う大井コンテナふ頭の再編の方向性について具体的に位置づけられました。大井コンテナふ頭の再編整備は、東京港の命運を左右する重要な課題です。海外の主要港を見据え、大胆に機能強化を進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 臨海副都心は、開発主体である都が進出事業者と連携しながら開発に取り組み、国内外から多くの人々が訪れるまちへと発展を遂げてきました。
 近年、臨海副都心のランドマークであった観覧車の撤去や商業施設の撤去が続き、臨海副都心の来訪者数はコロナ禍前に戻っていません。進出事業者や水域利用者からは、にぎわいのあるまちづくりを強く求める声が上がっていると聞いています。
 都は、新たなランドマークとして、お台場海浜公園に世界最大級の噴水、ODAIBAファウンテンを整備すると公表しました。臨海副都心は、都会的な景観や水辺の自然を楽しめる魅力あふれるまちであり、噴水はその特性を生かしたコンテンツとして楽しみだなどの期待の声がある一方、事業効果を懸念する声も聞かれています。ODAIBAファウンテンの事業費は二十六・四億円とのことでありますが、その費用を投じて整備する意義と効果について伺います。
 この噴水は、高さ百五十メートルの高射噴水と横幅二百五十メートルの桜噴水とで構成される世界最大級の規模で、都は、令和七年度末までに完成させるとしています。
 一方で、屋形船の事業者の一部からは、公園の水域にある旧防波堤の桜への影響にも配慮してほしいとの指摘もありました。また、運用面においても、水域利用者などへの安全確保は不可欠であります。こうした事業の実施に当たっては、とりわけ周辺住民や水域利用者の理解は欠かせません。着実な整備とともに、整備後の運用を見据えた取組について、都の見解を伺います。
 今年は、デフリンピック開催の年であり、東京がインクルーシブシティとして、さらに一歩進めていくための絶好の機会でもあります。スポーツのみならず、文化の面でも誰もが芸術文化に親しめるよう、多くの人が集まる美術館などでの取組を充実させる必要があります。この機を捉え、これまで都立文化施設等で進めてきたアクセシビリティー向上の取組を、都内各地域の施設などにも広げていくべきと考えますが、見解を伺います。
 多摩振興について伺います。
 都は、新しい多摩の振興プランに基づき、様々な施策や事業を進めてきましたが、多摩地域の課題はいまだ山積しています。多摩地域は面積にして都の約半分、人口で三分の一を占め、地域ごとに課題も異なり、各自治体が様々な行政需要を抱えています。多摩地域を一層発展させていくためには、地域の特性を踏まえて施策を推進していくということが必要ですが、今後の多摩振興に向けた知事の見解を伺います。
 ファンドによる多摩・島しょ地域の経済活性化について伺います。
 多摩・島しょ地域は、産業の集積や豊かな自然、独自の文化など多様な魅力を有しているものの、後継者不足や観光資源のさらなる活用が課題となってまいりました。こうした課題の解決に向けては、地域経済を支える企業を資金供給と経営の両面から支援するファンドの手法が効果的と考えます。
 一方、ファンド運営事業者の多くは、直接出向いて状況を把握しやすい区部の企業を投資先に選ぶ傾向があるとも聞いており、多摩・島しょ地域の振興のためにも、この地域に民間からの投資を促す取組を強化する必要があると考えます。
 都は、来年度から、多摩・島しょ地域で事業展開を行う中小企業を対象に、ファンドを活用した支援を開始するとのことでありますが、このファンド創設の効果をより一層高めるよう取り組むべきと考えます。見解を伺います。
 たまリバー五十キロは、平成二十年、健康増進を目的に整備し、多くの人に愛され活用されています。一方、コースの一部が走りづらい箇所や案内が途切れている場所があるなど、連続性や統一性がいまだ不十分な状況であります。特に、世田谷区間は幅員が狭く、砂利道区間が非常に長いため、とあるウェブサイトには、この区間だけは対岸のかわさき多摩川ふれあいロードがお勧めですとの記載もあり、地元選出議員としてざんきに堪えません。道路案内の充実や利用者が休憩できる空間の創出、例えば、移動販売車の隣接空地の活用など、利用者の楽しみを広げる取組は早急に検討するべきであります。
 たまリバー五十キロを、サイクリングやウオーキングなどの利用者がより安全で快適に利用できるよう、改めて関係自治体と協議をすることで、ひいては多摩川の魅力向上にもつながると考えます。見解を伺います。
 ハラスメント対策について伺います。
 昨年、第三回定例会で全会一致で成立した東京都カスタマー・ハラスメント防止条例が四月から施行され、防止の取組が本格化していきます。カスハラによる被害や防止対策を積極的に発信する企業も増え、飲食店のスタッフ、バスやタクシーのドライバー、役所などの窓口職員に対する悪質な行為が頻繁に報道で取り上げられるなど、全国で機運が高まっています。
 一方、悪質な迷惑行為は、お客様に直接サービスを提供する現場だけではなく、企業同士の取引や、行政と事業者とのやり取りでも発生する場合もあります。例えば、業務や工事を行政から受託した事業者にとっては、発注者である行政機関は大切な顧客です。高圧的な態度や威圧的な言動で無理をいわれても、お役所様のいうことだから我慢しなくてはならないと考える事業者は決して少なくはありません。
 都は、カスタマー・ハラスメント防止条例が政策連携団体も含めた様々な公務の現場でも効果を発揮し、職員が行為者とならないよう取り組むとともに、行政とのやり取りで被害を受けた場合の支援も必要と考えますが、見解を伺います。
 女性起業家が投資家などの支援者からセクハラを受け、傷つき、夢を諦めるといった状況が調査報告などを受けて明らかになっています。
 昨年七月に放送されたNHKの番組では、過去一年間にセクハラ被害を経験した女性起業家が五二・四%との調査結果も伝えられました。優越的地位を利用したハラスメントであり、決して許されるものではありません。これまで極めて少数であった女性起業家の活躍の場が増えてくるにつれて、こうした問題が顕在化してきたのではないかとも考えます。
 都は、起業家と多様な支援者とがつながる場であるTIBやSusHi Tech Tokyoでハラスメントを防止する取組や啓発を進めることはもちろん、悩みを抱える女性起業家の心のよりどころとなるよう、しっかりと対応するべきと考えます。見解を伺います。
 東京都には三十三の政策連携団体があり、その役割は、都民への行政サービスに欠かせない重要な都政のパートナーとして機能しています。都庁での豊富な経験や知識を有した職員が活躍され、技術や知見の継承にも大きく寄与されているものと理解しています。
 先般、フジテレビにおける一連の事案を契機に、コーポレートガバナンスの在り方が世間の耳目を集めています。大株主である米ファンドより、企業統治に欠陥があると指摘されただけではなく、スポンサー離れを誘発し、企業経営にも大きく影響を及ぼしているとの報道もありました。企業経営の透明性、安定性がより強く求められています。
 こうした背景も踏まえ、公的側面のある政策連携団体のガバナンスについて、今後どのように強化に向けて指導監督するのか、見解を伺います。
 都区財政調整における特別区の配分割合について、都は、区立児童相談所を設置しても特別区の財源は足りている、一方、特別区側は、事務が移ったのだから、財源状況にかかわらず配分を動かすべきと、それぞれ異なる主張を展開し、これまで議論は平行線が続いてまいりました。こうした中、特別区の配分割合を五六%とすることで合意に至ったということであります。
 そもそも都議会自由民主党は、財調の配分割合については、個別の事務のみに着目するのではなく、都と特別区が果たすべき役割を踏まえ、今後の都と特別区はどうあるべきかといった大きな視点から考える必要があると主張をしてまいりました。そこで、どのような考えで配分割合を変更したのか、また、今回の合意によって、今後、都区はどのように前に進むのか、都の見解を伺います。
 大学提案事業について伺います。
 法政大学によるスタートアップ関係の大学提案事業において、大学関係者による資金の不正使用の疑いがあり、事業が中止になったとの報道がありました。都内の小中高校生に起業家教育を行う、大変注目された事業であり、中止に至ったことは大変残念でありますが、都と大学とが深手を負わず、未然に一定の判断に達したという点は賢明な対応であったともいえます。
 一方、報道によって事態を心配する都民もいます。そのため、今回の経緯について伺います。また、都民の税金は投入されているのか、併せて伺います。
 東京都尖閣諸島寄附金による尖閣諸島活用基金について一言申し上げます。
 この基金の目的は、国による尖閣諸島の活用に関する取組のための資金となっています。当初は、都が購入するために動き出したものですが、その過程で国有化されました。寄附金の一部は事業費に充当しておりますが、いまだ約十四億円が手つかずのまま残っております。これまで返還すべきとの意見も出てまいりましたが、十万人を超える寄附者には匿名人物も多数含まれており、返還は困難な状況にあります。これまで、都は国の動向を注視しているとしていますが、十三年が経過しようとしている今、寄附者の思いを早く形にするべく、今まで以上に、国に対して強く働きかけることを要望しておきます。
 これまで各種事業について伺ってまいりました。都は世界一の都市を目指していますが、果たして、それはどんな世界一を目指すべきなのでしょうか。都民所得は国内で圧倒的ナンバーワンでありますが、ニューヨークやロンドンには遠く及びません。教育、文化、福祉、そして、まちの快適性、全てにおいて世界一豊かな都市東京を目指すためにも、都民所得を様々な形で大きく飛躍的に増やす努力を、知事をはじめとする執行機関の皆様とともに目指してまいりたいと思います。
 これからも大胆かつ着実に、成果を実感できる政策を全力で進めていくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小松大祐議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都政のかじ取りについてのご質問でございます。
 これまで未来の東京を切り開くべく、鳥の目で全体を俯瞰し、新たな視点で時代の先を読み、先手先手で施策を展開してまいりました。「未来の東京」戦略で掲げた百六十四の政策目標のうち、約百四十で実績を伸ばすなど多くの成果が表れており、東京は着実によくなっております。
 一方、気候危機や人口減少、少子高齢化、AIなど東京を取り巻く変化は極めて速く、未来は不確かであります。だからこそ、より先の明るい未来を展望する都政の新たな羅針盤として、二〇五〇東京戦略を取りまとめたところでございます。
 ブロードリスニングに寄せられました、若者など多くの都民の皆様方からの意見を踏まえ、新たに二十八の分野におきまして、二〇五〇年代の将来像と、その実現に向けました戦略を定めたものでございます。
 あわせて、戦略の実効性を高めるため、政策目標を二百九十六へと大幅に強化をいたしました。この戦略の下、東京の持続的な成長につなげ、全ての人が輝き、一人一人が幸せを実感できる世界で一番の都市東京を実現してまいります。
 次に、真の地方創生についてのお尋ねでございます。
 真の地方創生を実現するためには、都市部と地方部それぞれの地域が強みを生かし、新たな産業や雇用の創出などを進め、東京と地方が共に栄え、成長する共存共栄が重要でございます。
 都はこれまでも、世界と全国各地をつなげる結節点として、スタートアップ支援や観光地の魅力発信などを通じまして、イノベーションの創出や産業振興を進めてまいりました。今後とも、全国自治体のDXの後押しなどで地域課題の解決に貢献するとともに、世界的な大都市としてのポテンシャルを生かし、日本全体の持続的な成長を牽引してまいります。
 なお、地方税収に地方交付税等を加えました人口一人当たりの一般財源額で見ますと、東京は全国平均と同水準でございまして、是正すべき偏在はございません。こうした事実を、政界や経済界をはじめ、都民、国民にもしっかりと伝えていくことが重要でございます。
 次に、物価高騰への対応についてであります。
 長引く物価高騰の影響によりまして、都民生活や事業活動が厳しさを増す中、都民や中小事業者に寄り添いました、きめ細かな施策を講じていかなければなりません。こうした考えの下、令和六年度最終補正予算におきましては、国の経済対策に伴う臨時交付金を活用し、LPガスを利用する家庭や物価高騰に直面する医療機関、運輸事業者等の負担軽減を図ってまいります。
 また、令和七年度当初予算におきましても、資材価格の高騰の影響等を適切に予算に反映するとともに、セーフティーネット支援や賃上げに向けました取組など、総額一千六百七十一億円に及ぶ重層的な対策を講じております。こうした取組を迅速かつ着実に実施することで、都民の暮らしと東京の経済をしっかりと支えてまいります。
 TOKYO強靱化プロジェクトについてであります。
 首都直下地震や激甚化する風水害などの脅威から都民の生命と暮らし、そして未来を守る首都防衛こそが都の最大の使命でございます。そのためには、インフラ整備などハード面の備えに万全を期すことはもとより、ソフト面の充実強化も重要でございます。
 都はこれまで、多くの都民が暮らすマンション等の防災対策や共助の要となる町会、自治会の防災活動への支援など、ソフト対策を幅広く推進をしてまいりました。今後、二〇五〇東京戦略の下、防災訓練など住民同士の活動機会の創出による地域防災の担い手確保や、災害対応の迅速化に向けた防災DXの推進など、区市町村や地域コミュニティと連携しながら、強靱化プロジェクトの取組を一層強化してまいります。
 備えよ常にの精神で、都市の強靱化を強力に推進し、安全・安心で快適に暮らせる東京を実現してまいります。
 次に、地域医療の確保についてであります。
 高齢者の医療需要が今後高まることが予想される中、都内の病院では、高齢の入院患者は介助に人手を要することなどから、受入れが進みにくい状況がございます。また、二十四時間の診療体制が必要な救急、小児、周産期医療は、人員体制の確保が困難な傾向にございます。
 このため、都は、来年度から高齢者用の病床を確保いたしまして、入院患者を受け入れる病院への支援を実施するとともに、小児科、産科、救急を伴う病院を対象にいたしまして、年間を通じた患者の受入れ体制を確保するための支援を実施いたします。
 こうした取組を進め、誰もが住み慣れた地域で安心して必要な医療を受けられますよう、地域医療を力強く支えてまいります。
 次に、少子化対策です。
 社会の存立基盤を揺るがす少子化は、国家的課題で、国が戦略的に取り組むべきものでございます。私は一刻の猶予もないとの認識の下、迅速に幅広い対策に取り組んでまいりました。
 この手を緩めることなく、来年度予算案におきましても、保育料の第一子無償化など、子育て、教育費の負担軽減に向けた取組や、朝の子供の居場所を確保する区市町村への支援、子育て世帯等が住みやすいアフォーダブル住宅の供給など、都民の不安や悩みに寄り添った施策を盛り込んでおります。
 望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向けまして、幅広い政策分野において取組をさらに充実強化し、都民一人一人の思いに寄り添い、共感を得られる施策に果断に取り組んでまいります。
 次に、新たな教育のスタイルについてのお尋ねがございました。
 将来の社会や経済の予測のできない変化が生まれ、日常生活や産業を支える技術の発展が加速する中、これからの東京を担う子供を育む仕組みを根本から見直す取組は待ったなしであります。デジタルとリアルの学びを巧みに組み合わせた新たな教育のスタイルをつくり上げてまいりたい。
 子供の関心に応じ、斬新な知識をリモートで提供し、学校外の様々な現場での幅広い学びもサポートいたします。教員は学習状況をデジタルで把握し、生徒をより高いステップへと着実に後押しのできる次世代の学びの基盤をつくるLPXを進めてまいります。
 デジタルから得た知識を基に、ものづくりや最先端の研究のリアルな現場に出向き、そこで出会う様々な課題に向き合い、その解決策を自ら考え、見いだす探究的な学びの加速等を支援してまいります。
 こうした教育を都立高校から展開し、子供たちが希望を持って自ら伸び、育つ東京を実現してまいります。
 次に、都立大学の国際系新学部についてのお尋ねでございます。
 急速に進む少子高齢化や国際競争力の低下など日本が直面する課題に対応していくためには、優れた国際感覚などを備え、世界を舞台に活躍できる人材の育成が急務でありまして、高度人材を育成する大学の果たす役割は大きいものがございます。
 そのため、都立大学では、国際化の取組の一環といたしまして、幅広い教養、豊かな発想力、高度な語学力などを身につけたグローバル人材を育成するため、令和十年度開設を目指しまして、国際系新学部の開設準備に着手をいたしました。
 さらに、新学部設置をてこに、他の学部におきましても、英語で学位が取得できるプログラムを拡大するほか、様々な学部の学生が海外からの留学生と切磋琢磨できる環境を構築してまいります。
 こうした取組によりまして、都立大学を世界的な課題を解決するための新しい知を生み出す場所に進化させてまいります。
 次に、海外留学支援についてであります。
 日本の若者の留学に対する意識は、諸外国に比べて著しく低い傾向にございます。また、コロナ禍を経て日本人留学生数が大きく減少する中、近年の円安進行等によりまして留学費用が高騰し、留学することが一層困難なものとなっております。
 若者の海外留学支援は、未来への投資そのものであります。こうした認識の下、来年度予算案には、より多くの若者が留学の最初の一歩を踏み出されるよう、都独自の新たな留学支援策を盛り込んでおります。
 来年度創設する留学支援制度におきましては、これまで留学経験がない若者が挑戦しやすいよう、国の類似制度と比べまして、短期留学向けの募集枠を手厚く設定いたします。また、授業料への支援は、国を上回る単価を設定いたすところと考えております。
 若者の留学を大胆に後押しをすることで、世界を知り、グローバルな視点を持った人材を育成してまいります。
 次に、イノベーションに向けましたアジアとの連携についてのお尋ねでございます。
 世界人口の六割を占め、ダイナミズムに満ちたアジアでは、都市同士が活発に交流し、半導体、AI、ロボットなど様々な分野で若者の挑戦を応援するエコシステムが育ってきております。アジア諸国と手を携え、ともに成長する。その思いで、先日訪問したバンコクでも様々な議論を交わしてまいりました。
 五月のSusHi Techには、都市のイノベーションをPRするパビリオンを前回の約三倍に拡大をいたしまして、タイ、マレーシアなどが新たに参加をいたします。TIBにおきましては、シンガポール等の海外拠点と連携しまして、スタートアップの相互交流などの取組を開始いたします。
 また、アジアの有望企業に対しまして、東京証券取引所や金融機関、大企業等と連携いたしまして、東京での上場に向けた効果的な支援を展開いたします。
 様々な関係者を巻き込んで東京の総力を結集し、アジア発のイノベーションを主導してまいります。
 今後の都市づくりについてでございます。
 東京が成長と成熟が両立する魅力ある都市として、さらなる進化を遂げるためには、未来を見据え、今後の都市づくりの在り方をしっかりと描くことが重要です。
 これまで東京は、震災や戦災を乗り越え、都市の活力を生み出すビジネス拠点や都民の生活を支える都市基盤、広域的な連携と交流を促進する三環状道路や空港の整備などによりまして、首都として日本の発展を牽引してまいりました。
 今後は、最先端の環境技術なども活用しながら、こうした取組をさらに進めるとともに、各地域が育んできた特色や個性を生かしつつ、誰もが多様なライフスタイルをかなえられる東京ならではの魅力に彩られた都市を実現してまいります。
 時代が激動するこの機をチャンスと捉えまして、時間的、空間的な幅広い視点で都市づくりのグランドデザインの改定に着手をしてまいります。
 最後に、多摩地域の振興についてのお尋ねでございます。
 多摩地域は、東京の人口の三分の一に相当する四百万人を超える人口を有しております。豊かな自然や良質な住環境、企業や大学など多様な地域資源を有した魅力あふれるエリアであります。
 同時に、多摩地域は少子高齢化への対応をはじめ、防災対策や道路交通ネットワークの充実など、地域ごとに課題も抱えています。そのため、多摩の市町村長との意見交換等を通じまして、地域の実情をつぶさに把握した上で、今般、多摩振興アクションプランの素案を策定いたしました。
 このプランには、多摩地域の防災拠点の機能強化やリニア新駅へのアクセス向上に向けた道路の整備、連続立体交差事業の推進、地域特性を生かしました産業や都市農業の振興など、今後三か年で取り組みます約五百の事業を盛り込んでおります。これらを着実に実行しまして、三十市町村色とりどりの個性を伸ばすことで、多摩地域を緑のTAMA手箱としてさらに発展させてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、警視総監、教育長、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔警視総監迫田裕治君登壇〕

○警視総監(迫田裕治君) いわゆる闇バイト対策についてでありますが、警視庁では、SNS上における闇バイト募集情報に対して、リプライ警告というものを実施しておりますところ、令和七年度からは、AIを搭載したモニタリングツールの導入を予定しております。これによりまして、SNS上の闇バイト情報を自動抽出することが可能となり、迅速かつ効果的な警告や注意喚起を行うことができるようになると考えております。
 また、ユーチューブやXによる啓発動画の配信や大学、高校等における防犯講話など、あらゆる機会を通じた広報啓発を推進しておりますほか、脅迫されていることなどを理由に犯罪に加担しようとする者に対し、シャープ九一一〇等への相談を呼びかけるなど、保護対策等を強化しております。
 引き続き、都民の安全・安心を確保するため、組織の総合力を発揮した各種対策を推進してまいります。
   〔教育長坂本雅彦君登壇〕

○教育長(坂本雅彦君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新たな教育のスタイルの取組についてでございますが、東京の将来を担う子供たちが社会や経済の急速な変化に適切に対応する力を習得できるよう、新たな教育のスタイルを導入することは不可欠でございます。
 このため、都教育委員会は、都立高校において、最先端のデジタルの利用と学校や社会でのリアルの学びを組み合わせた学習基盤をつくるラーニング・プラットフォーム・トランスフォーメーション、いわゆるLPXを展開いたします。
 具体的には、デジタルを通じて提供する事業について、産業の活性化に必要なアントレプレナーシップや最先端の科学技術である生成AIなどを学ぶ内容をつくり上げます。また、これらに関し、通信制の高校を選び、場所や時間を問わず受講のできるオンデマンドにより提供をいたします。
 次に、スクールカウンセラーによる相談体制の充実についてでございますが、学校に通う子供やその保護者等からの相談の数が増え続ける中、適切な対応を行うことのできるスクールカウンセラーに係る体制の充実を図ることは不可欠でございます。
 都教育委員会は、現在、全ての公立の小中学校と高等学校に、児童や生徒等の直面する悩みに心理面から相談対応を行うスクールカウンセラーについて、原則週一日の配置をしているところでございます。また、相談の多い学校に対し、追加で一日分の配置を行う場合もございます。
 来年度は、子供や保護者からの相談の必要性に応じ、スクールカウンセラーが週三日まで対応できる仕組みとし、実質的に学校に常駐して様々な問題の解決につなげる取組の充実を図ります。
 次に、聴覚障害児の学校での過ごす場所についてでございますが、聴覚に障害のある低学年の児童等について、その保護者による都立ろう学校への送迎は時間のかかる場合も多く、休業となる期間は通学ができない状況ともなります。これらを解消し、保護者の負担軽減に役立てるための対応は不可欠でございます。
 このため、都教育委員会は来年度、都立ろう学校に通う子供たちが放課後や夏休み等の休業の期間に学校内で過ごす場所を確保し、手話などの対応のできる人材も配置をいたします。
 具体的には、大塚ろう学校で取組を始め、保護者の意見や児童の状況等を把握し、運営の方法を検証するなど、今後の展開に結びつけてまいります。
 次に、都立高校の昼食の出張販売についてでございますが、全日制の都立高校に通う生徒が昼食を持って登校することができない場合に、校内で食事を取るための出張販売を行うことは重要でございます。
 これまで、都教育委員会は、都立高校で出張販売や自動販売機の設置のためのスペース等を整備する取組を進めてまいりました。これに加えまして、来年度、昼食の様々な出張販売の事例について、他の自治体を参考にその充実を図ります。これによりまして、都立高校での昼食の提供に係る対応を進めてまいります。
 次に、小中学校の働き方改革の支援についてでございますが、東京の児童や生徒の学びを支える小中学校における働き方の改革を確実に進める上で、教員の担う事務作業等の負担を減らす取組は不可欠でございます。
 このため、都教育委員会は来年度、小中学校の様々な業務のうち、民間で担うことのできる仕事を見いだし、外部に委託をする区市町村の取組をモデル的に後押しをいたします。
 こうした委託に当たりましては、東京都教育支援機構、いわゆるTEPROが各学校の業務を集約し、一括して発注の手続を行います。また、複数の自治体にまたがる共通の業務委託の対応も行うことといたします。
 これによりまして、学校現場の教員が授業や児童生徒への対応等に一層専念できる環境を整えてまいります。
 最後に、英語スピーキングテストの意義についてでございますが、英語スピーキングテストは、生徒の英語を話す力を伸ばす優れたきっかけとなり、学習意欲を高める効果を持ち、長年の英語教育の転換を実現する重要な取組でございます。
 テストの導入以降、中学校では生徒が英語で質問し意見も述べる授業は増えております。また、テストを受けた後、高校に入った生徒は、英語を積極的に使う意欲が高く、海外の同世代との国際会議で最新のAI技術等について議論をする事例も出てきております。
 さらに、海外派遣の仕組みによりまして、率先して国際交流に取り組む生徒も増えているところでございます。
 テストに関し、検証と改善を重ね、着実に実施し、臆することなく英語を話し、世界で活躍できる人材の育成を図ってまいります。
   〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕

○東京都技監(谷崎馨一君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、防災都市づくりの推進についてでございます。
 都は、先月、防災都市づくり推進計画の基本方針の改定案を公表いたしました。改定案では、整備地域外の木密地域で局所的に対策が必要な地区を新たに防災環境向上地区として、多摩地域も含め、三十三地区を指定いたしました。
 本地区内においては、細街路の拡幅や防災機能を備えた公園整備等への支援を行ってまいります。加えて、地域のまちづくり協議会の活動や、防災まちづくりの計画策定への助成を行うなど、区市に対し、事業の立ち上げ段階から支援してまいります。
 今後、基本方針を改定し、こうした施策を展開することで、東京全体の防災性を向上させてまいります。
 次に、流域対策の推進についてでございます。
 気候変動により激甚化する豪雨に対応するためには、河川や下水道の整備と併せて、その負荷を軽減する流出抑制策の一層の強化が必要でございます。
 今年度、都は、都内全域に広げた流域対策の補助対象にグリーンインフラを加え、行政や企業等が参加した情報交換会において、民間技術の紹介や官民の意見交換などを実施してまいりました。
 今後は、先進的な技術を持つ企業と協働し、デジタル技術を活用した流域対策の評価手法の検討を行い、その成果を踏まえ、一部の地元自治体から先行的に導入することにより、都内全域での効果的な流域対策を進めてまいります。
 次に、障害者世帯への耐震化等の支援についてでございます。
 障害者など災害時に特に配慮が必要な方は、地震発生時に直ちに避難行動を取ることが困難であることなどから、住宅の耐震化等を進めることが重要でございます。
 このため、障害者世帯等の負担がより少なくなるよう支援を拡充し、耐震改修等の都費の補助限度額を六十万円から百二十一万円とするなど二倍に引き上げ、国と区市町村を合わせた補助率を最大で十分の十といたします。併せて、応急的な対策として耐震シェルター等の支援を開始し、一世帯当たり十二万五千円を限度に助成いたします。
 これらの取組により、障害者をはじめ都民の安全・安心を確保してまいります。
 次に、ホームドア整備の加速についてでございます。
 ホームドアの整備促進には、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠でございます。都は、協議会を立ち上げ、事業者の意見を取りまとめながら加速策を検討してまいりました。来年度から、優先整備の考え方で示した駅につきましては、都が直接補助を行う制度を創設し、五駅以上連続して整備する場合も補助対象駅といたします。
 これにより、同じ路線で自治体が異なる駅の工事を一括で発注するなど、効率的に整備を進めやすくなります。
 二〇二八年度までに約六割の駅に設置するとした目標の達成に向け、鉄道事業者に新たな補助制度の活用を促し、ホームドア整備を推進してまいります。
 最後に、たまリバー五十キロについてでございます。
 たまリバー五十キロは、平成二十年に都民の健康づくりを目的といたしまして、ウオーキングやランニングなどが楽しめるコースを沿川区市と共に定めたものでございます。これまで、区市等と連携し、コースマップの配布や通行マナーの啓発などを行い、多くの都民に利用されております。
 一方、事業の開始から十五年以上が経過し、案内施設の劣化等もあるため、快適性の向上等の観点から検討が必要であると認識しております。今後、沿川区市等と協働しながら現状や課題を把握するとともに、多摩川の魅力向上につながるよう、必要な対策を検討してまいります。
   〔消防総監吉田義実君登壇〕

○消防総監(吉田義実君) 官民連携による消防活動力の強化についてでございますが、複雑多様化する災害に対して的確に対応していくためには、民間が有する先端技術を消防資器材等の改良や開発に活用していくことが効果的でございます。
 このため、東京消防庁では、民間企業等の持つ技術や知見を公募等により収集し、消防における様々な課題解決に向け、先端技術の実装を進めております。さらに、来年度は、当庁が主導し、民間企業等との共同研究により、屋外から火点室へ迅速に放水や消火弾の投入ができる新たなドローンの開発を目指します。
 今後とも、企業や大学等と連携した取組により、消防活動力の強化を図ってまいります。
   〔総務局長佐藤智秀君登壇〕

○総務局長(佐藤智秀君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、避難所改革の実効性の確保についてのご質問でございます。
 都は、今般、避難所運営指針及びトイレ防災マスタープランの素案を公表し、全ての避難者に対する簡易ベッド等の提供、発災当初五十人に一基のトイレの確保など、目指すべき避難所の基準を示しました。
 また、簡易ベッドの設置による寝床の改善や、民間事業者との協定による食事の提供等、区市町村が直ちに取り組む具体的方策をガイドラインとしてまとめております。
 さらに、こうした取組が着実に進むよう指針の内容を丁寧に説明するとともに、新たな補助金の創設や、専門家によるセミナーの開設など、区市町村を支援し、避難所改革の実効性を高めてまいります。
 続いて、東京都国民保護計画の変更についてのご質問でございます。
 都は、国際情勢の緊迫化や、緊急一時避難施設の区市町村別の指定状況、国民保護訓練の成果などを踏まえ、東京都国民保護計画の変更素案を公表いたしました。
 本素案では、想定される事態における国、区市町村、関係機関等との連携や、住民の役割を時系列ごとに整理するなど内容を充実させております。
 また、ミサイル攻撃への備えとして、地域の実情を踏まえた緊急一時避難施設のさらなる確保、避難行動の普及啓発、実践的な訓練の実施などを盛り込んでおります。
 今後、国との協議などを経て、本年七月に計画を変更し、的確かつ迅速に国民保護措置を実施してまいります。
 続きまして、政策連携団体に対する指導監督についてのご質問でございます。
 都庁グループの一員である政策連携団体は、民間の持つ柔軟性や機動性を生かすことで迅速な政策実現を可能としております。同時に、都と協働して事業を執行するなど、法的側面を有しており、高い透明性と安定性を持った事業運営を行い、都民からの信頼を得ることが強く求められております。
 このため、都は、適切な情報開示、ステークホルダーとの関係構築、コンプライアンスの確保、リスクマネジメント、事業継続への備え等について指針を定め、指導監督を行っております。
 今後とも、こうした取組を確実に実施していくことで、団体のガバナンスが強化されるよう取り組んでまいります。
 最後に、都区財政調整についてのご質問にお答えをいたします。
 特別区の区域に適用される特区制度の下、都は、府県事務に加え、消防や上下水道、港湾、地下鉄の整備運営、産業力の強化等の施策を行い、区は、基礎的自治体として住民を身近で支える施策を行っております。
 都区の緊密な連携の下、今後、首都直下地震等への備えを充実させるとともに、児童相談所の運営に関する都区の連携協力について、引き続き円滑に進めていくことを確認いたしました。
 こうした点を踏まえ、基準となる財政需要と収入の差を普通交付金とする仕組みである都区財政調整の特別区への配分割合を五六%に、災害対応経費等に充当される特別交付金の割合を六%に変更することとし、これにより、今後、安定的に財調制度を運用し、連携協力を一層進めていくことを都区で合意をいたしました。
   〔生活文化スポーツ局長古屋留美君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(古屋留美君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、町会、自治会への加入促進に向けた取組についてでございますが、都は来年度、若い世代やマンション住民等の加入につながるよう、活動に参加しやすい工夫を行う町会などを後押しいたします。
 具体的には、スマートフォンで地域の情報を共有する電子回覧板や、会費の徴収に当たってのQRコード決済導入によるキャッシュレス化などを支援いたします。また、マンションとの合同防災訓練を通じてつながりづくりを行う町会に対して、訓練に必要な防災資機材を助成いたします。加えて、区市町村と共同で、子育て世帯の関心を高めるイベントや、地元企業と連携した広報の強化などのモデル事業を実施いたします。
 こうした取組により、多様な住民の参加を促進し、地域活動の継続、発展につなげてまいります。
 次に、芸術文化におけるアクセシビリティーの向上についてでございますが、東京がインクルーシブシティとしての存在感を高めるには、都内に数多くある美術館、博物館などが共通理解の下、アクセシビリティー向上に取り組んでいくことが重要でございます。
 そこで、都は、新たに美術館・博物館ネットワーク会議を立ち上げまして、多様性への課題や文化施設の役割などを共有いたします。また、各施設の取組を支援するため、来年度、鑑賞サポート助成事業を拡充しまして、ネットワーク会議を通じて、各施設における好事例を紹介するなど、制度の活用を促進いたします。
 今後、デフリンピック開催を契機に、誰もが芸術文化に触れられるよう、公立、私立の文化施設が一体となり、アクセシビリティー向上のムーブメントを展開してまいります。
   〔建設局長花井徹夫君登壇〕

○建設局長(花井徹夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、島しょでの火山噴火後の泥流対策についてでございますが、降灰による泥流被害を軽減するため、砂防施設の整備に加えまして、噴火後の緊急対応に向けた事前準備が重要でございます。
 都は、大島など六島で緊急減災対策砂防計画を策定し、泥流から集落などを守るため、仮設ブロックの配備を近年噴火被害がございました大島と三宅島から始めております。また、大島では、火山灰の飛散方向等を把握し、ブロックを適切に配置するため、監視カメラを設置しております。
 来年度は、新たに監視カメラを三宅島で設置するとともに、デジタル技術を活用して、降灰の範囲等を迅速に把握するシステムの検討に着手いたします。
 今後とも、泥流被害から住民の命と暮らしを守る取組を推進してまいります。
 次に、道路の整備についてでございますが、東京が成熟都市として持続的成長を続けるためには、都市計画道路の整備を推進していくことが重要でございます。
 こうした認識の下、例えば、練馬区西大泉で事業中の放射第七号線では、事業効果の早期発現のため、約一キロメートルの区間を今月十六日に暫定的に交通開放いたしました。また、環状第四号線のうち、墨田区京島付近の約六百メートルの区間を先月事業化し、今月末には、青梅三・四・一三号線のうち、青梅街道と岩蔵街道とを結ぶ約一・一キロメートルの区間についても事業化する予定でございます。
 引き続き、地元の理解と協力を得ながら、東京の発展を支える都市計画道路の整備に着実に取り組んでまいります。
   〔港湾局長松川桂子君登壇〕

○港湾局長(松川桂子君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、島しょ地域における海岸保全施設の機能強化についてでございます。
 島民の生命や財産を守るためには、将来の気候変動による影響を見通し、長期的な視点から施設整備を進めることが重要でございます。
 都はこれまで、有識者等による委員会を設置し、海面水位の上昇や、強大化する台風による高潮や波浪をシミュレーションし、海岸保全施設の設計条件を見直すとともに、景観等にも配慮した整備手法について検討を重ねてまいりました。
 今年度中に、伊豆小笠原諸島沿岸海岸保全基本計画を改定するとともに、来年度から、海岸ごとの具体的な整備計画等を策定し、優先度の高いエリアから整備に着手することで、将来の気候変動への対応を強力に推進してまいります。
 次に、大井コンテナふ頭の再編整備についてでございます。
 東京港の主力ふ頭である大井コンテナふ頭は、ターミナルが狭隘かつ老朽化していることから、国際物流の動向等を踏まえ、戦略的に再編整備を行うことが必要でございます。
 具体的には、ターミナルに隣接する民有地などを活用し、ターミナルを拡張するとともに、最先端の荷役機械の導入によるオペレーションの効率化を進めることなどにより、抜本的に機能強化を図ってまいります。さらに、水素やグリーン電力を活用して、脱炭素化を加速してまいります。
 こうした取組により、大井コンテナふ頭を世界トップクラスの効率性やサステーナビリティーを備えたターミナルにリニューアルしてまいります。
 次に、噴水を整備する意義と効果についてでございます。
 臨海副都心は、東京の成長を牽引し、国内外の多くの人々が訪れるエリアであり、引き続きにぎわいあふれるまちとしていくことが重要でございます。
 一方、コロナ禍以降、来訪者数の減少等で地域の活力が低下する中、進出事業者や屋形船など水域利用者からにぎわいを求める声があり、来訪者からは、楽しめる施設や音楽、ライトアップを活用したイベントを増やしてほしいなどの声も寄せられております。
 このため、都は、臨海副都心のプレゼンス向上とさらなるにぎわい創出に向けた起爆剤として、お台場海浜公園に新たなランドマークとなる噴水を整備することとし、地元からは歓迎の声が上がっております。噴水の観覧者数は年間約三千万人、経済波及効果は年間約九十八億円を見込んでおります。
 最後に、噴水の着実な整備と、整備後の運用を見据えた取組についてでございます。
 噴水の整備に当たりましては、その工事を計画的に進めることや、整備段階から運用を見据えた取組を進めることが重要でございます。
 都は、令和七年度末の完成に向けて、今後速やかに工事を発注するとともに、運用後の周辺環境への影響を踏まえ、高射噴水への上水利用などに必要な対応を実施してまいります。また、安全な運用や魅力的な演出を実現するため、進出事業者や水域利用者、地元区等の関係機関が参加する連携組織を設置いたします。
 こうした取組によりまして、噴水の整備を着実に進め、早期にその整備効果を発現してまいります。
   〔下水道局長佐々木健君登壇〕

○下水道局長(佐々木健君) 八潮市の道路陥没を受けた対応についてでございますが、下水道局では、直ちに国道及び都道を巡視するとともに、腐食のおそれが高い箇所などの下水道管の緊急点検を進め、現時点で異状がないことを確認しております。
 下水道管の老朽化対策といたしましては、リニューアルと併せて雨水排除能力の増強や耐震性の向上等も図る再構築を計画的に実施しております。区部の枝線は、整備年代の古い第一期エリアで再構築が約八割完了し、来年度からは第二期エリアに拡大し、試行工事に着手いたします。幹線では、整備年代の古い路線や、調査に基づき対策が必要な幹線などを優先して再構築を進めております。
 今後とも、首都機能を支える下水道の強靱化を積極的に推進してまいります。
   〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長竹迫宜哉君登壇〕

○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(竹迫宜哉君) いわゆる闇バイトへの対策についてでございます。
 都では、町会、自治会や商店街による防犯カメラの設置、更新に係る費用の補助率を、今年度に続き、来年度からも二年間、緊急対策としてさらに引き上げます。加えて、地域の見守り活動の強化に向け、青色防犯パトロール車両の購入費及び防犯ボランティアの活動拠点整備費用の支援を新たに開始いたします。
 また、都民の防犯意識が高まっている状況を踏まえまして、家庭用防犯カメラなど防犯機器への緊急補助を開始し、地域の実情に合わせた家庭の防犯対策を支援してまいります。
 今後とも、区市町村と連携し、防犯力向上のための取組への支援を一層進めてまいります。
   〔交通局長久我英男君登壇〕

○交通局長(久我英男君) 都営三田線の八両編成化についてでございますが、三田線では、相互直通運転を行っている東急目黒線を含め、沿線開発に伴い、お客様が増加していたことから、車両更新に合わせて、令和四年度に十三編成を六両から八両に長編成化し、輸送力を増強いたしました。
 一方で、現在もお客様の増加が続き、また、都心部を中心に大規模なオフィスビルやマンションの建設が進んでいることなどから、次期更新車両についても長編成化することとし、令和九年度に一編成、その後、令和十一年度までに十編成を八両編成化いたします。
 今後も、輸送需要の変化を踏まえ、快適通勤を推進してまいります。
   〔福祉局長山口真君登壇〕

○福祉局長(山口真君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、発達障害の検査体制と五歳児健診についてでございますが、都は来年度、発達障害のアセスメントを行う専門職を配置しまして、初診待機の解消に取り組む医療機関や検査体制の充実に取り組む区市町村への支援を開始するほか、保護者向けのデジタルブック等を活用した普及啓発を実施いたします。また、発達検査などの支援に早期につなげるためには、五歳児健診の取組も重要でございまして、健診実施に向けた保育所などの関係機関との調整や健診後のフォローアップ体制の構築などを行うコーディネーターを配置する区市町村を支援いたします。
 これらの取組によりまして、子供一人一人の発達特性を早期に把握できる環境を整え、健やかな成長を支援してまいります。
 次に、児童相談所の人材確保についてでございますが、都は児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、来年度、児童福祉司と児童心理司を合計七十六名増員いたします。
 また、意欲のある優秀な人材を幅広く確保するため、業務の魅力などを発信する動画等を活用したリクルート活動を展開するとともに、専門性を重視した採用選考に改めるほか、新規採用の児童福祉司などを対象に、採用から五年間、年間六十万円を上限に奨学金の返済を支援いたします。
 さらに、採用前から内定者に寄り添い、採用後も継続的にサポートするプレチューター制度の導入など、若手職員が働きやすい環境を整備いたします。
 こうした取組によりまして、児童相談所の人材の確保、定着を一層促進してまいります。
 最後に、地域包括支援センターへの支援についてでございますが、都は、区市町村が地域の実情に応じて高齢者の相談などに対応し、必要なサービスにつなげられるよう、地域包括支援センターにおける相談支援体制の充実や、職員の人材育成などを、都独自に支援しております。
 来年度は、今後増加が見込まれる高齢者単独世帯などへの対応力を強化するため、専門職の増配置などにより管内のセンターを統括する機能強化型センターや、地域の見守り相談拠点の整備に取り組む区市町村への支援を拡充いたします。
 こうした取組によりまして、センターの業務負担軽減を図りながら、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、地域全体での見守り体制の構築を進めてまいります。
   〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕

○保健医療局長(雲田孝司君) 無痛分娩に関するご質問にお答えいたします。
 希望する方が安心して無痛分娩を選択できる環境を整備することは重要でございます。
 都は、無痛分娩の費用助成の対象医療機関につきまして、原則として、国が作成した無痛分娩の安全管理対策などに関する自主点検表の全項目を満たすことを要件といたします。
 都の調査では、都内分娩取扱施設の半数以上が無痛分娩を実施しておりますが、そのうち、自主点検表に定める研修受講の項目を満たしていない施設が約四割となっております。
 このため、無痛分娩取扱施設が自主点検表の項目を充足できるよう、急変対応に関する研修受講の機会を提供するなど、安全性向上に取り組む医療機関を支援してまいります。
   〔住宅政策本部長小笠原雄一君登壇〕

○住宅政策本部長(小笠原雄一君) 子育て世帯の住まいについてでございます。
 住みやすさや価格に配慮された住宅の供給には、都の様々な政策を総合的に活用していくことが重要でございます。
 来年度、空き家の民間支援事業を再構築し、ひとり親世帯向けのシェアハウスへの改修を後押しいたします。
 また、東京こどもすくすく住宅において、賃貸住宅改修時の補助率を二分の一から三分の二に引き上げるなど充実を図り、既存ストックの有効活用を進めてまいります。
 加えて、二百億円規模の新たな官民連携のファンドにより、子育て世帯等が住みやすいアフォーダブル住宅の供給を進めます。
 これらにより、次代の東京を担う子供を育てる世帯の住環境の整備を加速してまいります。
   〔環境局長須藤栄君登壇〕

○環境局長(須藤栄君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、温室効果ガスの新たな削減目標についてでございますが、脱炭素化に向けた実効性ある取組を推進するには、明確な道筋を示すことが重要でございます。
 先般、都はゼロエミッション東京を着実に推進するため、カーボンハーフの先の道筋として、二〇三五年までに六〇%以上削減する目標案などを提示いたしました。新たな目標は、国際的に求められる水準も踏まえ、エネルギーの大消費地として、さらなる削減に取り組む観点で設定いたしました。
 その達成に向け、鍵となる再エネの実装化や、建物の断熱化などの省エネ対策について、個別の政策目標も新たに掲げており、今後、年度内にロードマップを策定し、都民や事業者の理解と協力を得て、戦略的に展開してまいります。
 次に、賃貸住宅における断熱改修の促進についてでございますが、家主の積極的な取組を生み出すには、改修意欲を高め、検討段階から改修後までの一貫した支援が重要でございます。
 このため、都は、省エネ診断を無料で実施できるキャンペーンを展開し、診断結果を踏まえた改修プランの提案から補助事業の活用まで、専門家が伴走型で支援する取組を開始いたします。また、これまでの賃貸住宅の断熱改修の支援規模も大幅に拡充いたします。さらに、環境性能の高い住宅が選択されるよう、こうした物件の省エネ性能の表示を後押ししながら、魅力を入居者層に合わせて広く発信いたします。
 これらにより、二〇三〇年カーボンハーフに向け、賃貸住宅百万戸の断熱改修を推進してまいります。
 次に、リサイクルの高度化に向けた取組についてでございますが、限りある資源を有効活用し、脱炭素社会の実現に貢献するには、製造業と廃棄物処理業が連携を図りながら、再資源化事業の高度化を促進することが重要でございます。
 都は現在、廃棄物処理事業者向けのDX推進事業により、廃棄物の収集運搬や処理の効率化など、新たな事業構築を支援し、業界全体のレベルアップを図っております。
 来年度は、プラスチックや金属などについて、製造業と連携した再資源化プロセスの高度化を強力に推進するため、AIなど先端技術を用いた設備導入への補助を開始いたします。
 これらにより、質と量を確保した再生材の供給拡大を促すことで、循環経済への移行を加速してまいります。
 最後に、多摩地域の森林再生についてでございますが、森林の持つ公益的機能の十分な発揮には、広域な森林の一体的な管理と、生物多様性の視点を踏まえた整備が重要でございます。
 このため、来年度、都が整備している私有林と密接不可分な市町村有林を保全する新たな取組を開始いたします。具体的には、間伐などに係る費用の半分を都が負担することで、市町村との連携を強化し、面的に森林を再生してまいります。
 また、民家などと接する林縁部の皆伐を行い、熊などとの予期せぬ遭遇を防ぐための緩衝帯を創出することで、都民の安全を確保し、野生動物との共生につなげてまいります。これらにより、荒廃の進む多摩の森林を再生してまいります。
   〔スタートアップ・国際金融都市戦略室長吉村恵一君登壇〕

○スタートアップ・国際金融都市戦略室長(吉村恵一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、GX推進に向けた官民連携ファンドについてでございます。
 脱炭素化の実現には、大胆な技術革新が不可欠であり、スタートアップの技術やアイデアを生かすことが重要でございます。
 そこで、都は来年度、都民生活を豊かにする次世代エネルギーの創出など、先駆的な技術の開発に取り組むスタートアップを支援するファンドを立ち上げます。水素を媒介とするエネルギーコントロールの実現や、新たな形態によるソーラー発電など、研究、実証段階にある最先端技術の実用化や、周辺技術の確立を強力に後押しいたします。
 官民が連携したファンドにより、長期的視点に立った資金供給を強力に進めることで、日本の脱炭素化を牽引する企業を数多く育ててまいります。
 次に、起業家へのハラスメント防止についてでございます。
 イノベーション創出の重要な担い手である女性起業家の挑戦をくじくことなく、誰もが安心して起業できる環境を整える必要がございます。
 このため、TIBでは事業者団体と連携し、支援者向けのセクハラ防止研修を来月の国際女性デーの時期に合わせて開催するほか、女性の先輩起業家等との定期的な交流会の開催など、悩みを相談できる場づくりを進めます。
 また、SusHi Tech Tokyoでは、参加者にハラスメント防止への同意を必須にするとともに、セクハラ防止に率先して取り組む投資家のセッションを実施するなど、女性起業家の活躍を応援する取組を実践してまいります。
 最後に、大学提案事業についてでございます。
 大学からは、昨年十一月に、本事業の実施に際して経費を不正に使用した疑いがあり、現在学内で調査を実施していると報告を受けております。昨年十二月には、大学から都に対し、事業継続が困難となったことを理由に協定解除の申入れがあり、これを解除いたしました。なお、都から大学への支払いは発生しておりません。
   〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) 九点のご質問にお答えいたします。
 初めに、多摩産材の流通促進についてでございます。
 木材需要に適切に対応するには、山林での伐採を進めるとともに、その木材が円滑に流通できるよう、製材事業者等の生産能力を高めることが重要でございます。
 都はこれまで、伐採等を担う人材の育成や高性能な林業機械によります作業の効率化に取り組むとともに、木材の乾燥設備の更新を行う製材所等を支援してまいりました。
 来年度は、専門家を活用し、相続などで複雑化する森林所有者や境界の明確化に積極的に取り組み、伐採の加速化を図ります。また、丸太を取り扱う原木市場の機能強化と製材所等の供給力を高める人材確保等への支援を新たに開始するなど、多摩産材の供給量の増加につなげてまいります。
 次に、中小企業の経営環境の変化への対応についてでございます。
 中小企業が顧客のニーズの変化や長引く物価高騰といった事業環境に柔軟かつ的確に対応し、経営力の向上を図ることができるよう支援を行うことは重要でございます。
 このため、都は、中小企業が創意工夫を生かして事業を発展させる取組への助成を行うとともに、その効果が確実に得られるよう、専門家を派遣して助言を行っております。
 来年度は、小規模事業者が購入しやすい少額の省エネ、高効率機器等の導入を新たに支援するとともに、多くの中小企業が経営を改善させ、発展的な事業展開が図られるよう、予算として七割増の八十九億円を計上してございます。これらによりまして、中小企業の経営をサポートしてまいります。
 次に、多様な価値観に応える働き方改革についてでございます。
 働く人が限られた時間を有効に活用し、豊かな生活や自己の成長に充てます手取り時間を増やすことができるよう、企業を後押しすることは重要でございます。都は来年度、社員の労働時間の自由度や働きがいを高める中小企業の取組への支援を強化いたします。
 具体的には、週休三日制や有給休暇を積み立てて、学び直しなどに利用できる制度等の導入に手厚い助成を行います。また、働き手にとって快適で生産性の高いオフィス空間への改修に助成等を行うとともに、経験を広げるために、社外副業を認める仕組みの導入や賃上げを後押しいたします。
 これらによりまして、手取り時間を増やす働き方改革を進めてまいります。
 続きまして、就職氷河期世代等の処遇向上についてでございます。
 生産年齢人口の減少が見込まれる中、その多くを占めます中高年層が高い意欲を持ちながら働き続けられるよう後押しすることは重要でございます。
 都は、賃金制度の見直しを進めます中小企業に専門家を派遣するなどの支援を行っております。来年度は、相談窓口を新たに設け、世代間のバランスを考慮した制度設計への助言や好事例の発信を強化いたします。また、就職氷河期世代など非正規雇用の方を正社員化し、賃上げなどを行う企業には手厚い支援も開始いたします。
 これらによりまして、就職氷河期を含む幅広い世代の処遇向上を促進してまいります。
 続きまして、年収の壁の正しい理解の促進についてでございます。
 働く人と雇用する企業が、税や社会保険の仕組みを正確に理解し、個人の希望と現場のニーズに合った働き方を選択できる環境を整えることは重要でございます。
 都は、年収の壁に関しまして、セミナーの開催や企業への出張相談会などにより、正しい理解を促すとともに、収入要件のある手当を見直す企業に奨励金を支給してございます。
 来年度は、パート社員等が壁を意識せず労働時間を延ばせるよう、社会保険料の負担を和らげる仕組みづくりに対し、新たに三十万円の奨励金を支給するなど強化を図ってまいります。
 これらによりまして、年収の壁を超えて働くことができる環境を整え、働き控えの解消につなげてまいります。
 次に、農業経営への支援でございます。
 狭小な農地で行われる東京農業におきまして、より高い収益性を実現するためには、作業の効率化や生産コストの削減を図る取組を支援することが重要でございます。
 これまで都は、認定を受け、意欲的に経営に取り組む農業者や農外からの新規就農者等が、栽培施設の整備などを行う場合に助成してまいりました。
 来年度は、この取組につきまして、親元で新たに就農する後継者も活用できるよう見直すほか、農業機械を助成対象に加えてまいります。また、資材価格の高騰が続く中、ビニールハウスの張り替えの際に、環境に優しいものに転換する場合等への助成を開始し、持続可能な東京農業につなげてまいります。
 続きまして、生産緑地の貸借についてでございます。
 東京農業の発展に向けて、土地所有者が高齢等により利用困難となった生産緑地を、意欲ある農業者が活用できるよう環境を整備することは重要でございます。
 このため都は、生産緑地の貸手と借手とのマッチングを支援するとともに、長期間の貸出しを行う意欲を高めるため、土地所有者に対し、奨励金を支給しております。
 農地の減少が進む中、来年度は、これまで以上に貸借を促進するため、この奨励金の支給額を大幅に引き上げ、十アール当たり百二十万円といたします。また、土地所有者への情報発信を強化し、制度の利用を促してまいります。
 これらによりまして、生産緑地の保全につなげてまいります。
 次に、ファンドによる多摩・島しょ地域の支援についてでございます。
 都はこれまで、デジタル化や脱炭素など、中小企業の課題に応じたファンドにより、その成長を支援してまいりました。
 来年度は、多摩・島しょ地域に資金の新たな流れを生み出すため、この地域に焦点を当て、都が出資する二十億円に民間資金を合わせた四十億円規模の新たなファンドを創設いたします。このファンドは、地元の有力な事業会社や金融機関と連携して、地域に根差した事業を展開する投資先を開拓し、経営サポートを行うことを特色といたします。
 これらによりまして、地元経済に欠かせない企業の事業承継や、地域の観光振興に取り組むベンチャー企業等を支援することで、多摩・島しょ地域の持続的な発展につなげてまいります。
 最後に、公務に関するカスタマーハラスメントについてでございます。
 都の条例は、何人もカスタマーハラスメントを行ってはならないと定めておりまして、官民問わず、あらゆる場でカスタマーハラスメントを防止していくことは重要でございます。
 都は指針におきまして、公務員を含む就業者は、カスタマーハラスメントの行為者にもなり得ることをお示ししてございます。現在作成を進めております共通マニュアルの中で、政策連携団体を含む公務等の現場において、職員と受託者等が相互に尊重し合う重要性を伝えてまいります。また、来年度は、カスタマーハラスメントに関する総合相談窓口を新たに設置し、自治体との関係で発生した事案も受け付け、適切な助言を行うこととしてございます。
   〔デジタルサービス局長山田忠輝君登壇〕

○デジタルサービス局長(山田忠輝君) 二点の質問にお答えいたします。
 初めに、東京アプリの活用に向けた区市町村連携についてでございますが、ポイント付与機能から開始し、将来的に各種手続などが一元化された便利で身近なアプリとするには、オール東京での取組が重要でございます。
 今年度は自治体主催のウオーキングイベントでのポイント付与など、区市町村と連携した活用を進めております。現在、複数の自治体と調整しており、来年度は活用を一層促進いたします。さらに、自治体独自のアプリと連携したポイント交換を可能とするなど、ニーズを踏まえながら、段階的な機能拡充を行ってまいります。
 今後、本人認証を契機に、七〇〇〇ポイントを付与する都民生活の応援にも資するキャンペーンも実施し、アプリの浸透を図るとともに、区市町村独自の活用の幅を広げる取組を進めてまいります。
 次に、サイバーセキュリティ対策の強化についてのご質問でございますが、巧妙化、複雑化するサイバー攻撃に対応するためには、専門人材や最新の技術を全庁で効果的に活用し、対策の高度化を図っていくことが重要でございます。
 このため、来年度、都はGovTech東京と協働し、全庁の司令塔となるサイバーセキュリティセンターを立ち上げ、新たな技術的対策を実施いたします。
 具体的には、各局のシステムなどの脆弱性を常時監視し、リスクに応じた対策を速やかに講じてまいります。さらに、外部からの攻撃の予兆を捉え、被害の未然防止につなげる対策を全庁共通基盤から導入いたします。
 今後、都民生活を支える重要インフラを含め、全庁横断的なセキュリティ対策をさらに推進してまいります。
   〔政策企画局長佐藤章君登壇〕

○政策企画局長(佐藤章君) 空飛ぶクルマの実装プロジェクトについてのご質問にお答えします。
 空飛ぶクルマは、交通渋滞の回避等、都市の魅力向上につながる技術であり、都は、二〇五〇東京戦略において、社会実装に向けたロードマップの精緻化を図っております。
 具体的には、官民連携により、双方の所有する用地等を活用した飛行ルートの選定とともに、将来の民間主体での展開に向けまして、離着陸場の整備を誘導する方策や支援スキームについて、商用運航の開始に先行して検討を進めております。
 今後も、国や自治体、民間事業者と連携を図りながら、二〇三〇年の市街地での展開に向けまして、空飛ぶクルマの社会実装を一層加速してまいります。

○副議長(谷村孝彦君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時七分休憩