令和二年東京都議会会議録第十七号

○議長(石川良一君) 二十四番米川大二郎君。
〔二十四番米川大二郎君登壇〕

○二十四番(米川大二郎君) どのようにすばらしい戦略、構想、プランやモデルも、それをつくり実行する職員が都民の信頼を得て初めて実を結ぶものと考えます。
 まず、都教育委員会の一般職員が都職員共済組合へ加入していることについて、昨年の三定一般質問で藤田教育長は、法の目的及び趣旨を損なうものではないとの考えのもと維持されてきたと答弁されたことに大変驚きました。この答弁は、つまり、適法との認識を示したものです。
 しかし、その後、令和二年度予算に、教育庁の職員が公立学校共済組合へ加入先を変更した場合、必要となる予算が計上されました。このことは、東京都がみずから誤りを正そうとしたものとして評価します。
 昭和四十年、当時の経緯を記した都職員共済組合事務局が作成した新共済設立の経過によると、設立事務は総務局勤労部が中心に当たったこと、特例は全く認めないとの態度を自治省がとっていることなどの記載があります。しかし、自治省が教育庁関係職員の加入を認めたとの記載はありませんでした。
 既に地方公務員等共済組合法の施行から六十年近くたっていますが、今年度予算に必要な予算も計上されていることからも、年度内、期日を決め、教育庁職員について公立学校共済組合へ加入先を変更すべきと考えますが、どのように取り組むのかを伺います。
 次に、職員の休暇制度について伺います。
 業務の効率化を進め、生み出した余力を都民に直接かかわる業務に使うため、職員の制度は可能な限り簡素化するべきと考えます。
 現在、特別休暇は暦年単位となっておりますが、年次有給休暇は職場によって暦年単位と年度単位に分かれています。特に教育庁は、事務局職員は暦年で、都立学校の事務職員は年度と異なっており、同じ教育庁内での異動にもかかわらず障壁となっています。また、他局の職員も暦年単位のため、都立学校へ異動すると同じ問題が生じます。
 そこで、業務の効率化にもつながるため、休暇制度の統一化を行うべきですが、任命権者間の職員交流にもかかわるため、東京都全体としてどのように考えるのかを伺います。
 訪問介護ヘルパーの不足は深刻な状況です。処遇や職場環境の改善に努めるなどの施策を実行していますが、さらに新たな視点で解決していくことが必要と考えます。
 葛飾区内の訪問介護事業所の協力を得てサービス提供の実態を調査したところ、朝、昼、夕方に訪問介護のピークが発生していることがわかりました。この理由として、訪問介護のサービスは、ケアマネジャーが作成する居宅サービス計画書、いわゆるケアプランにのっとり実施されますが、ケアプランで指定された時間どおりにサービス提供をすることが求められます。
 このため、朝食、昼食、夕食の時間帯にサービスが重なりやすくなっています。このピークに合わせた人員を確保するため、ピーク時のヘルパー稼働率は六〇%を切る低い数字でした。
 仮に提供開始時間をずらすことができるという裁量を訪問介護事業所に与えた場合を試算したところ、ピーク時の稼働率を八〇%程度に抑えても、現在のヘルパーの人数で約一・四倍の利用者に訪問介護サービスを提供できるという調査結果となりました。
 そこで、時間帯指定型のケアプランという一定の裁量を訪問介護事業所に与えるなど、介護現場における業務の効率化の取り組みを図ることで、より多くの利用者にサービスを提供していくことも必要ですが、考えを伺います。
 葛飾区在住で肢体不自由特別支援学校へ通う児童生徒は、葛飾区内の水元小合学園、または江戸川区の鹿本学園に通学区域が分かれています。このため、水元小合学園の生徒数の少ない学年では、児童生徒同士の学び合いの機会を生み出しにくいなど、教育環境の充実に課題があります。また、居住する自治体との連携も十分とはいえません。
 そこで、水元小合学園肢体不自由教育部門の通学区域について、葛飾区全域にするべきと考えますが、教育長に伺います。
 島しょ地区の特別な支援を必要とする生徒が、中学校卒業後、都内の特別支援学校へ進学し、親元を離れ、寄宿舎での寮生活を送っています。昨年の三定一般質問で藤田教育長は、二週間に一度の帰省について一律の帰省は求めていないと答弁されましたが、実態は、八王子盲学校寄宿舎が作成している寄宿舎定期帰省予定表や、島しょ生の寄宿舎生活に関するお願い文では、一律に帰省するようになっております。
 八王子盲学校寄宿舎へ視察に伺った際、閉舎日でも例外的に舎泊が必要になった場合には、職員を配置し対応できるようになっているとの話を伺いました。しかし、保護者には、例外的な舎泊について文書を含む詳しい説明がありません。
 そこで、寄宿舎閉舎日でも事情がある場合には舎泊できることを文書で明示し、保護者へ丁寧な説明を行うことで、保護者、生徒の精神的負担の軽減に取り組むべきと考えますが、教育委員会に伺います。
 都立の学校図書館管理業務委託は、平成二十七年に東京労働局の発注者指導が行われ、元厚生労働大臣だった舛添都知事宛て、派遣法違反になるとして是正通知書が通知されています。
 昨年度の業務委託の状況を調査したところ、私が所持する平成二十五年当時の仕様書から内容が根本的に変わっており、契約の合計金額七億二千五百三十七万八千七百四十八円、全十四契約、百二十三校で、受託業者の社員が現場を総括する実質的な業務責任者の役割を担っています。
 一方、加えて、各学校には業務責任者を配置することになっていますが、仮に業務責任者としての力のない業務従事者に形式的に業務責任者を兼ねさせた場合、偽装請負との疑いをかけられかねません。
 平成二十七年のときのように再び東京労働局の発注者指導が行われ、是正指導が行われることがあれば、業務の予算化は認められないと考えます。
 都立学校の教諭には、さまざまな理由で授業時数を軽減する仕組みがありますが、この時数の算定は正しく行われているのでしょうか。
 都立の学校図書館の問題として、ほとんどの司書教諭は、資格を持つだけで実務経験もない教諭に司書教諭の発令を行うだけで、職務に必要な能力を身につけるための研修が十分でないことに加え、司書教諭が学校図書館の業務にかかわれる時間が余りにも少ないことにも原因があると考えます。
 そこで、教諭の授業時数の軽減について、その項目、算定根拠を改めて精査した上で、必要な時数を軽減すべきと考えますが、教育委員会に伺います。
 学校の働き方改革が問題になっていますが、なぜ専門人材としての学校司書ではなく、教職員と連携がとれず生徒への指導もできない業務委託化を進めるのでしょうか。チーム学校という考えを尊重して、今後の都立学校図書館の運営を行うべきと考えますが、教育委員会に伺います。
 私は、都立学校での勤務経験もあるため、少なからず都立学校の現場の状況について理解しているつもりです。学校は、密接なコミュニケーションや連携で成り立つ場所です。だからこそ、生徒や教諭とかかわるものは偽装請負になりやすく、業務委託に向かないと考えます。
 自主性、主体性、課題解決力を伸ばす教育で重要な役割を担う学校図書館がその機能を最大限発揮するためには、学校司書が校内で教職員と密接な連携を図ることが必須となります。
 これまで都立学校では、学校図書館の業務委託化を進めてきましたが、その機能を最大限発揮するため、ゼロベースで見直し、学校司書による運営に変えることも必要と考えます。
 その際は、私の地元葛飾区でも行っているように、学校図書館の充実活用ガイドラインを作成した上で、学校図書館コーディネーターを教育委員会内に配置し、関係する職員の資質向上を図ることを求めます。
 所信表明演説で知事は、未曽有の難局の中ではあるが、東京の明るい未来を力強く切り開く決意を表明されました。私は、ピンチのときこそチャンスであり、都政が大きく変わることができると考えています。
 業務効率化の視点で、私の都職員としての経験をもとに、休暇制度について質問させていただきました。都庁職員一人一人は、現場の経験に基づいたすばらしいアイデアを必ず持っていると私は考えます。知事が先頭になり、全庁一丸となって、都民に信頼される都政を実現することを期待しております。
 最後に、都庁職員一人一人が構造改革に邁進し、都民に信頼される都政を実現するため、どのように取り組んでいくのかを知事に伺い、私の一般質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 米川大二郎議員の一般質問にお答えいたします。
 都民から信頼される都政の実現についてのご質問が最後にありました。
 私はこれまで、職員が主体となった自律的な改革を通じて、都庁の生産性向上、組織の機能強化に着実に取り組んできたところであります。
 一方、新型コロナウイルスとの闘いにおきましては、さまざまな構造的な課題が浮き彫りとなっております。デジタルトランスフォーメーションの徹底などにより、都庁みずからが大きく変貌を遂げなければなりません。
 そのためには、都政を支える職員一人一人がこれまでの常識にとらわれることなく、大胆な発想と都民ファーストの視点に立って、常にチャレンジしていくことが重要であります。職員の総力を結集して、都政のクオリティー・オブ・サービスを飛躍的に向上させていくことこそ、都民に信頼される都政の実現につながっていくものだと確信をいたしております。
 今後、これまでの改革を進化させる都政の構造改革に全庁を挙げて取り組みまして、都民の期待を上回る価値を提供する、そのことでさらに信頼される都政を目指してまいります。
 その他のご質問は、教育長及び関係局長からのご答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、特別支援学校の通学区域の設定についてでございますが、都立水元小合学園肢体不自由教育部門の現在の通学区域は、児童生徒がスクールバスで安全・安心に通学できるよう、保護者の要望を踏まえつつ、学校までの道路事情や通学時間及び学校の適正規模等を考慮し定めたものでございます。
 通学区域につきましては、通学の利便性、児童生徒数の増減や保護者ニーズなどの状況の変化を総合的に勘案し、見直しを行うことといたしております。
 今後、都立水元小合学園につきましては、周辺の特別支援学校も含めた児童生徒の在籍状況の見込みや保護者の意見などを踏まえまして、必要に応じて通学区域の範囲について検討してまいります。
 次に、都立特別支援学校に設置する寄宿舎からの島しょへの帰省についてでございますが、寄宿舎に入舎する児童生徒が週末等に帰省することは、家族とのかかわりを持つ大切な機会であるとともに、精神面での安定を促し、児童生徒の心身の健全な発達のために必要であると考えているところでございます。
 帰省日を設定するに当たりましては、学校において、一人一人の児童生徒の状況や家庭の事情について丁寧に聞き取るなど、保護者との相互理解を図っているところでございます。
 今後とも、都教育委員会は、学校が設定する帰省日につきまして、個別の事情等がある場合には学校に相談していただくことを改めて保護者に周知するよう、学校に対して指導を行ってまいります。
 次に、司書教諭の週当たりの授業時数の軽減についてでございますが、司書教諭は教科指導等の教諭の職務に加え、学校図書館の活用や読書指導の中心的な役割を担っております。
 都教育委員会では、司書教諭と学校司書が連携して学校図書館の管理運営を行う全日制・定時制課程併置校等や、図書館管理業務委託の導入校において、司書教諭が担当職務に従事するために必要な授業時数の軽減を行っております。
 その軽減時数でございますが、学校図書館運営計画や年間読書指導計画の立案等の業務のほか、学校図書館の運営に関する業務や、受託者との連絡調整等に関する業務などを勘案して適切に算定をいたしております。
 今後とも、業務内容等を踏まえ、必要な時数の軽減を行い、司書教諭を中心とした学校図書館の活用を支援してまいります。
 最後に、都立学校における働き方改革と図書館管理業務委託についてでございますが、都教育委員会が推進しております働き方改革は、教員一人一人の心身の健康保持の実現と、誇りとやりがいを持って職務に従事できる環境を整備することにより、学校教育の質の向上を図ることを目指すものでございます。
 その一つの手段といたしまして、学校や教員の負担軽減を図るため、教員以外の者が行うことが可能な業務につきましては、役割分担を見直すことを挙げております。
 図書館管理業務委託の導入につきましては、利用者の利便性の向上を目指し、開館時間、開館日数の拡大や、長期休業中における業務の実施などを図ってまいったところでございます。
 業務委託に当たりましては、引き続き、働き方改革の趣旨も踏まえつつ、効率的、効果的な図書館運営を目指してまいります。
 さらに、令和四年度から、高等学校におきまして新しい学習指導要領が年次進行で全面実施をされることとなってございます。今回の改訂におきましては、学校図書館を計画的に利用し、その機能の活用を図り、生徒の主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に生かすことが求められているところでございます。
 こうした点を踏まえまして、都教育委員会では、今後の都立学校における学校図書館の活用のあり方について検討していく必要があると考えているところでございます。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、教育委員会事務局一般職員の共済組合の加入状況の見直しについてでございますが、今般、地方公務員等共済組合法が施行された当時の経緯や課題、その後のさまざまな人事制度改正時の取り扱い、現在の状況につきまして改めて精査を行いました。
 法の施行から約六十年が経過いたしまして、東京都職員共済組合と公立学校共済組合との給付水準の差異が縮小するなど、共済組合を取り巻く状況が大きく変化しており、当時の課題がおおむね解消されていることがわかりました。
 こうしたことを踏まえ、現在の加入状況の見直しに向けて、教育庁等と連携し、具体的な検討を進めるとともに、今年度中に労使合意が得られるよう、職員団体との協議を開始してまいります。
 次に、都職員の休暇制度についてでございますが、学校職員の年次有給休暇は、都立学校等の学年サイクルと同一期間である会計年度ごと四月からの付与となってございます。一方、知事部局等の職員につきましては、地方公務員法に基づく国や他団体との均衡の原則を踏まえ、一月からの暦年ごとの付与としてございます。
 学校職員と知事部局等の職員の年次有給休暇の付与時期を合わせる場合には、均衡の原則や休暇等を管理するシステムの改修経費等の課題がございます。
 また、学校と知事部局等との間で異動があった際には、休暇の調整方法の手引きを作成いたしまして、周知を図る等によりまして、円滑に業務が進むよう取り組んでいるところでございます。
 引き続き、業務効率化を図りつつ、費用対効果の観点等も踏まえながら、課題について研究をしてまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 介護現場における業務の効率化に関するご質問にお答えいたします。
 高齢化が進む中、増加が見込まれる介護ニーズに適切に対応していくためには、ICT機器の活用を進めるなど、業務の効率化に取り組むことが必要でございます。
 このため、都は、介護事業者に対し、介護記録の作成に要するタブレット端末等の導入経費や、介護現場でのICT機器の効果的な活用方法に関するコンサルティング経費などを支援しております。
 また、国の審議会では、介護分野の人手不足が進む中、職員が利用者のケアに集中し、ケアの質を担保できるよう、行政への申請書類作成等の負担を軽減するための方策を検討しております。
 都は、こうした国の動向を注視しつつ、今後とも、介護現場における業務効率化の取り組みを進めてまいります。

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