令和二年東京都議会会議録第十七号

○議長(石川良一君) 二十九番柴崎幹男君。
〔二十九番柴崎幹男君登壇〕

○二十九番(柴崎幹男君) 初めに、自転車損害賠償保険について伺います。
 本日で、十日間にわたる秋の全国交通安全運動も関係者の皆様のご尽力で最終日を迎えることとなりました。こうした中、都内の自動車による交通事故発生件数は減少傾向となっております。
 しかしながら、自転車の人身事故の発生件数を見ると、平成二十九年が一万一千九百一件、平成三十年が一万二千八百六十五件、令和元年が一万三千九十四件となっており、増加傾向にあります。このような事故状況の中で、自転車事故の判例で一億円近い賠償が命じられた事故も出てきております。
 こうした事例に対応するとともに、被害者保護の観点からも、都が昨年の九月に条例を改正し、本年四月から自転車損害賠償保険の加入の義務化に踏み切ったところです。
 自動車の自賠責保険は、法律により加入義務があり、ほとんどの自動車は車検を受けるわけですが、加入率一〇〇%には至らない状況です。したがって、今回の改正自転車条例において、保険の加入率の引き上げについては相当な覚悟を持って取り組まなければなりません。
 そこで、都は、自転車損害賠償保険の加入促進のため、さまざまな手段を用いて普及啓発を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、自転車の安全教育について伺います。
 自転車損害賠償保険の加入率の引き上げが、そのまま自転車事故件数の減少につながるとは思えません。すなわち、自転車利用者の交通ルール、マナーの徹底を図ることが極めて重要と考えます。
 コロナ禍において、公共交通機関の密を避ける自転車通勤通学や自転車シェアリングの利用増加など、自転車の利用は一層進んできております。
 しかし、一方では、自転車による危険な運転も見受けられるなど、自転車の交通ルール、マナーに反した運転がかなり増加してきております。
 そこで、自転車を利用する場合の安全教育を徹底して行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、児童養護施設退所後の自立支援について伺います。
 親の病気や虐待など、さまざまな事情により家庭で生活することができず、ケアニーズの高い児童は、施設で職員の手厚い支援を受けながら養育がなされています。
 こうした中、国の新しい社会的養育ビジョンや、それを踏まえた都の社会的養育推進計画では、施設に関し、小規模化、地域分散化の促進や施設の多機能化を目指し、家庭に近い環境での養育が促進され、職員の負担が大きくなるとの懸念もあります。
 一方、原則十八歳になれば、子供たちは施設のもとを離れ、自立が求められることになりますが、こうした児童の施設退所後の状況は大変厳しいものがあります。
 都が平成二十九年二月に公表した調査では、児童養護施設退所後に進学した学校等を中途退学した割合は一七・七%、また、施設等退所後についた最初の仕事を既にやめていると回答した約五割が、一年未満でやめています。
 都は、こうした児童養護施設退所後の自立に向けた施設の取り組みを支援するため、自立支援強化事業を国に先駆けて実施してまいりました。多くの施設で専属の自立支援コーディネーターを配置し、退所後も児童の支援を行っています。今年度からは、国でも、施設でアフターケアを担う自立支援担当職員の配置を予算化したと聞いています。
 そこで、この制度も活用しつつ、都の自立支援強化事業についても、しっかり維持拡充されることが求められています。社会的養護のもとで育つ児童が、みずからの意思で希望する未来を切り開いていくためには、施設退所後の生活困難を改善できるよう、児童の自立に向け、施設を初めとしたこのような支援が大変重要であります。
 そこで、施設退所後の児童の自立支援に対する都の取り組みを伺います。
 次に、都市農業の販路開拓について伺います。
 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、飲食店などの利用が減少し、東京農産物の重要な販路が失われ、都内農業者の経営に影響を与えております。
 一方、先日の新聞報道にもありましたが、練馬区においては、今から三十年ほど前から、消費者である近所の方々に農地の大切さと新鮮な野菜のおいしさを知っていただこうと、庭先販売に本格的に取り組み出しました。今では、区内農家の半数以上が取り組み、二百六十カ所以上となっております。
 こうした成功した事例も踏まえながら、都は今年度、新型コロナウイルス感染症対策として、農業者の新たな販路の開拓や販売用の設備の導入に対する支援を実施しております。地域によっては、販売先の確保に加えて、加工品の販売など六次産業化に取り組みたいとの声も聞かれるようになりました。
 都は、こうした農業者のニーズに対応できるよう支援を充実していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、西武新宿線の鉄道立体化について伺います。
 都内には、いまだ一千カ所以上の踏切が残されておりますが、西武新宿線は、都内の鉄道の中でも、あかずの踏切が数多く残されている路線であり、練馬区だけでも十三カ所の踏切があります。
 こうした踏切の存在は、交通渋滞の発生や踏切事故の危険性、沿線地域のまちづくりのおくれなど、さまざまな問題を引き起こしています。踏切による課題を抜本的に解決するためには、連続立体交差事業による鉄道の立体化が必要です。
 また、地元区においても、鉄道立体化を見据えたまちづくりを積極的に行っており、沿線地域の高い機運も感じております。このため、都と地元区が連携して連続立体交差とまちづくりに取り組んでいくことが重要であります。
 西武新宿線の井荻駅から西武柳沢駅間の連続立体交差化計画等については、昨年二月に都市計画素案説明会が開催され、本年三月には都市計画案及び環境影響評価書案の説明会が予定されておりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って延期となっているところです。
 こうした中、地域の方からは、一日も早い鉄道立体化を望む声が多くあります。したがって、感染症防止対策を行いながら、早期に説明会を実施すべきであると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、水防災情報の充実について伺います。
 ことし七月の豪雨では、九州地方を中心に記録的な被害が発生しました。都も、昨年の台風十九号では、多摩地域を中心に河川の溢水や護岸崩壊が発生するなど、多くの被害が発生しました。
 早目の避難やその行動の判断につなげるための河川監視カメラによる最新の状況を着実に都民へ提供することは必要です。昨年の台風十九号では、水防災総合情報システムの河川監視カメラ映像を多くの都民が見ており、確実な情報提供が改めて重要であることが広く認知されました。
 昨日の我が会派の代表質問において、宮坂副知事より、新技術の動向も視野に入れながら、災害時の通信環境の強靭化に向けて改善を続けると力強い答弁をいただきました。
 今後、都として、河川監視カメラをふやしていくことはもちろん、いざというときに都民が必要とする水防災に関する情報をしっかり伝えられるよう、システム環境もあわせて整備拡充していくことが重要です。
 そこで、水防災情報の充実について伺います。
 最後に、練馬城址公園の整備について伺います。
 練馬城址公園の計画地にあるとしまえんは、九十年以上にわたり地域に親しまれておりましたが、本年八月三十一日に、多くの都民に惜しまれながら閉園を迎えました。
 我が会派といたしましても、としまえんを経営する西武鉄道グループと協議を進め、練馬城址公園を事業化していく必要があるとこれまでも主張してまいりました。本年七月には、改定された都市計画公園・緑地の整備方針においても、令和十一年度までには事業化する方向性を示しています。
 一方、としまえんの跡地の一部には、令和五年の前半にはハリー・ポッターのテーマパークを整備することで西武鉄道グループやワーナーブラザースが正式に契約を結んだとの報道がありました。したがって、三年後のハリー・ポッターのテーマパーク開所と同時に、練馬城址公園が開園されることが望ましいものと考えます。
 こうした状況において、本公園の事業化に向けて取り組みを加速させていく必要があるものと考えますが、今後の進め方について都の所見を伺います。
 以上で私の一般質問を終わります。(拍手)
〔都民安全推進本部長國枝治男君登壇〕

○都民安全推進本部長(國枝治男君) 柴崎幹男議員の一般質問にお答えいたします。
 私からは二点のご質問にお答えいたします。
 まず、自転車の損害賠償保険等の加入促進に向けた普及啓発についてでございますが、都は、昨年九月の自転車安全利用条例の改正以来、自転車損害賠償保険等への加入促進のため、改正内容の周知徹底に努めております。
 具体的には、「広報東京都」への掲載を初め、リーフレットやポスターを作成し、区市町村の窓口、駅構内、交通安全教室におきまして配布、掲示を行っているほか、保険会社や自転車商協同組合と連携した周知活動などにも取り組んでいるところであります。
 今後、都内全ての幼稚園、小中高校や保育施設などを通じ、各ご家庭にもリーフレットを配布してまいります。
 また、年度末には、自転車の損害賠償保険等に関する加入状況を調査し、これまでの取り組みの効果を検証するとともに、さらなる加入の促進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、自転車を利用する場合の安全教育についてでございますが、都は、子供や保護者など対象者別のリーフレットや交通ルールをまとめたチェックシートを作成し、学校や関係団体を通じて配布するなど、幅広く周知しております。
 また、学校や区市町村等と連携し、子供から高齢者まで、自転車のルールやマナーを楽しみながら習得できる自転車シミュレータ交通安全教室を開催しております。
 さらに、事業者による自転車安全教育を促進するため、事故の現状や研修の実施方法、保険の必要性などを周知する自転車安全利用TOKYOセミナーを実施しており、今年度については、九月以降、毎月開催することとし、事業者の取り組みを支援してまいります。
 今後とも、自転車の利用状況を踏まえ、安全教育を徹底してまいりたいと考えております。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 児童養護施設退所者の自立支援に関するご質問にお答えいたします。
 都は、施設を退所した児童が、自立し安定した生活を送ることができるよう、入所中はもとより、退所後も継続して相談支援等を行う自立支援コーディネーターを専任で配置する取り組みを行っており、支援対象者数等に応じて複数配置もできるよう、支援の充実を図っております。
 また、NPO等と連携し、施設を退所した児童が気軽に集まり交流ができ、専任のスタッフが生活や就労上の悩みや相談にも応える、ふらっとホーム事業を都内二カ所で実施するほか、施設退所者が働きやすい職場の開拓や、就職後の職場訪問等を行う就業支援事業を実施しております。
 今後とも、こうした取り組みを進め、施設を退所した児童の自立支援に積極的に取り組んでまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 農産物の新たな販路の開拓についてですが、新型コロナウイルス感染症により消費動向等が変化する中、農業者の収益を確保し、都市農業を守るためには、新たな販路を開拓するなど、販売力を高めていくことが重要でございます。
 このため、都は、緊急対策の事業として、Eコマース等への出店に加え、非接触で農産物が販売できる自動販売機や鮮度保持のための保冷庫の購入など、新たな販売方法の展開を支援しているところでございます。
 今後は、付加価値の高い加工品の開発や製造のための設備導入などの取り組みにより、農業者が多様な販路を確保し、一層の経営安定化を図ることができるよう支援を検討してまいります。
〔都市整備局長上野雄一君登壇〕

○都市整備局長(上野雄一君) 西武新宿線の井荻駅から西武柳沢駅間の鉄道立体化についてでございます。
 本区間には、あかずの踏切が十二カ所あるほか、外環ノ2など都市計画道路が五カ所で交差することとなりまして、連続立体交差化による踏切の解消が必要でございます。
 連続立体交差化の都市計画案及び環境影響評価書案の説明会につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い延期していたところでございますけれども、感染拡大防止に関するガイドライン等に基づきまして、対策を適切に実施し、来月開催することといたしております。
 引き続き、駅前広場計画など、地元区市が行うまちづくりとも連携しながら、鉄道立体化を着実に進めてまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、水防災情報の充実についてでございますが、水害から都民の命を守るためには、迅速な避難行動につながる情報をわかりやすく確実に提供することが重要でございます。
 都は、河川の水位などを都民へ提供する水防災総合情報システムについて継続的に改善しております。
 例えば、昨年、スマートフォンでの操作性の向上を図るとともに、台風第十九号以降は、当時のアクセス数の二倍以上に耐えられるよう、通信回線やサーバーを増強し、必要な情報を確実に入手できるようにいたしました。
 また、河川監視カメラは、これまでの三十二カ所に加え、過去の被害状況や区市町村からの要望などを踏まえまして、令和三年度までに白子川など約四十カ所で新たに設置し、公開いたします。
 今後とも、適切な避難判断の一助となる水防災情報のさらなる充実に取り組んでまいります。
 次に、練馬城址公園整備の今後の進め方についてでございますが、都は本年六月、地元区、土地を所有する西武鉄道及び民間事業者と覚書を締結し、緑と水、広域防災拠点、にぎわいといった三つの基本目標の実現に向けた公園の整備を連携協力して進めることについて合意いたしました。
 また、同月、本公園の整備計画につきまして公園審議会に諮問し、今月上旬には、地域の特性などを踏まえ、都民の憩いの場や災害発生時の避難場所等、公園に導入する機能を定めるゾーニング計画などについて審議いたしました。
 今後、十一月に予定している審議会におきまして整備スケジュールの概略等を示すとともに、これまでの議論を深度化いたします。その後、パブリックコメントを実施し、来年度早期の審議会答申を受け、整備計画を策定してまいります。

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