令和二年東京都議会会議録第十六号

○議長(石川良一君) 百九番中嶋義雄君。
〔百九番中嶋義雄君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕

○百九番(中嶋義雄君) 公明党を代表して質問をいたします。
 新型コロナウイルス感染が私たち人間生活のあらゆるところに影響を及ぼしております。これは世界全体に共通するものであり、大きな視点から見れば、人間がつくり出した文明が挑戦を受けているともいえる状況であります。
 とりわけ、人間が人間らしく生きる活動、例えば、文化、芸術、スポーツ、そして、人と人との間のコミュニケーションなどが阻害され、長い歴史の中で培われてきた諸活動が崩壊しかねない危険すらあります。
 私たちは今、力を合わせて、これを何としても乗り越えていかねばなりません。東京には、幸いにも世界の人々と共有できるものがあります。オリンピック・パラリンピックであります。
 課題を一つ一つ解決して明年開催することで、世界の人々とともに、感染を乗り越えたシンボルとして共有できることになります。未来に希望を見出し、前を見つめ、力強く前進していきたいと考えております。
 都議会公明党は、新型コロナ対策のさらなる強化を図るため、八月三十一日、知事に新たな補正予算編成を求める緊急要望を行いました。これに応え、知事は、コロナ禍での九回目の補正予算を組み、都議会公明党の提案を大きく反映させたことを高く評価したいと思います。
 初めに、PCR検査について質問いたします。
 専門家からは、今回の新型コロナウイルス感染症から命を守るためには、まず、重症化しやすい高齢者、障害者への支援を徹底すべきであると指摘しております。
 したがって、都議会公明党は、特に重症化リスクが高くクラスター化しやすい高齢者施設や障害者施設などの職員や入所者に対し、公費による定期的なPCR検査の実施を知事に求めてまいりました。補正予算に盛り込まれた都独自のPCR検査の拡充は、新聞報道のとおり、都議会公明党の推進により具体化されるものであります。
 実施に当たっては、保健所に負担をかけず、各施設が事業を活用できるよう支援するとともに、陽性者が発生した場合、施設の運営に支障が出ないよう対策を講ずるべきであります。さらに、対象になっていない地域密着型特養や認知症グループホーム、デイサービス、重度障害者の通所施設でも、区市町村と連携して実施すべきであります。あわせて知事の所見を求めます。
 六十五歳以上の高齢者の定期接種は、季節性インフルエンザと肺炎球菌ワクチンの二つであり、コロナ禍において重症化リスクを減らすためには重要な取り組みであります。
 そこでまず、補正予算に計上された季節性インフルエンザ定期予防接種に対する補助事業について、その内容を明らかにしていただきたい。
 一方、肺炎球菌ワクチンについては、区市町村が自己負担を軽減しているものの、接種率はいまだ三割程度にとどまっております。
 そこで、このたびのインフルエンザワクチン接種補助事業と同様に、肺炎球菌ワクチンの予防接種の補助も検討すべきであります。知事の見解を求めます。
 家庭で高齢者や障害者を介護していたり、小さな子供の面倒を見ていたりする家庭では、介護する人が感染し医療機関等に入る必要が生じた場合、要介護者が取り残される事態に直面します。そのため、在宅の要介護者を迅速に受け入れる体制を整備していくことが必要となります。
 受け入れ体制の整備には、要支援者へのきめ細かな事業を展開している区市町村との連携は不可欠であります。区市町村への財政措置だけでなく、都が積極的に調整に加わるなど支援すべきと考えますが、見解を求めます。
 さらに、東京感染症対策センター、いわゆる東京iCDCについて質問いたします。
 小池知事は、先週の記者会見で、東京iCDCを十月一日からスタートさせ、感染症のエキスパートによる専門家ボードを中心に、感染症対策に万全を期す考えを表明いたしました。
 新型コロナウイルス感染症がいまだ鎮静化しておらず、並行してインフルエンザの同時流行が懸念される中で、東京iCDCは、専門的見地から都民の命と健康を守る的確な対策を打ち出すべきであります。
 同時流行に備えて、専門家ボードが優先的に検討する分野と、そのための体制を明確にして、迅速に対応すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 感染が長期化する中、病院関係者のみならず、濃厚接触者の追跡調査など保健所の職員の負担も増大し、心身に支障を来している方もふえてまいりました。特に、多摩地域の都の保健所においては、地域によって保健所の負担に大きな差が生じております。
 例えば、同じく六市を所管する多摩府中保健所と多摩立川保健所を比較すると、多摩府中保健所管内の人口は百五万八千六百五十一人、職員が百十一名、保健師が三十六名であるのに、多摩立川保健所管内の人口は六十五万三千六百五人、職員が八十五名、保健師が二十六名という状況にあります。
 また、九月二十六日現在の累計陽性者数は、多摩府中保健所が千八名、多摩立川保健所は三百四十四名です。多摩立川保健所の職員と保健師の負担も大変であるのはいうまでもありませんが、さらに、多摩府中保健所の職員と保健師に、より大きな負担がかかっております。都は当面、多摩府中保健所に看護師または保健師を四名派遣しますが、抜本的な解決には至りません。
 都は、保健所を支援するため、IT技術の積極的な活用を推進するとともに、新型コロナウイルスの感染症が終息をした段階で、多摩地域の都の保健所の対応能力を検証し、改めてそのあり方を検討すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 また、現在の保健所業務を見直して、負担を軽減する必要もございます。
 具体的には、保健所の職員や保健師が行っている、病院や宿泊療養施設への陽性者の搬送業務であります。陽性者が多いほどこの搬送業務に多大な時間を要しております。
 厚生労働省の見解によりますと、保健所等が搬送を民間救急等に委託する場合も含め、必ず保健所の職員が同乗することまで求めていないとのことであります。
 したがって、この際、知事のリーダーシップで思い切って、保健所が行っている陽性者の病院や宿泊療養施設への搬送業務を民間に委託すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都内の複数の保健所では、国のスマホ用アプリCOCOAの通知を受けた都民からの相談に追われ、他の業務に支障が出ております。インフルエンザ流行期には発熱者などからの問い合わせが急増すると思われます。
 COCOAの通知を受けた都民やインフルエンザの問い合わせなどに対応するワンストップのコールセンターが必要と考えますが、見解を求めます。
 コロナ禍におけるIT技術の活用方策として、混雑データを活用した三密回避が挙げられます。例えば、公共交通や施設、店舗、地域などの三密状態を可視化し、都のホームページなどで都民に提供することは、感染拡大の防止に通じてまいります。
 都では、三密回避、混雑回避をテーマとして、ベンチャーなど民間事業者からの企画提案を募り、実証プロジェクトに取り組んでいると聞いています。
 そこで、これまで以上にデータを活用し、民間のアイデアを生かしながら、感染拡大防止などの社会的課題の解決につなげていく取り組みが重要であると考えます。見解を求めます。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策条例改正案について質問いたします。
 本条例は四月の制定以降、七月にガイドライン遵守やステッカー掲示を努力義務化する改正が図られ、今回二度目の改正となります。
 本改正案は、都民、事業者の責務として、感染の予防に努める、感染症対策に協力すると規定されていた努力義務をさらに明確化するものでありますが、都民、事業者にその趣旨を正しく理解していただく必要があります。
 条例改正の目的と理解促進に向けた知事の見解を求めます。
 次に、中小企業や小規模事業者の資金繰り支援についてであります。
 都は、五月に都議会公明党の要請を受けて、限度額一億円の無利子、無保証料の融資を開始しました。これは非常に有効な支援になっており、従来の融資目標二兆五千億円では足りない状況になってきております。
 都は、都議会公明党の緊急要望を受け、補正予算で三兆八千億円まで目標額を引き上げるとしたことは的確な対応と考えます。
 事業者を取り巻く状況を考えれば、無利子、無保証料の融資は少なくとも来年三月まで継続すべきであります。制度融資の今後の展開について見解を求めます。
 都は、コロナ禍での事業者を支援するため、テレワークの導入やテークアウトなどへの業態転換、生産性向上のための設備投資支援など、さまざまな助成制度を創設してまいりました。
 しかしながら、これらの補助金は交付決定から資金の支払いまで数カ月かかり、事業者のビジネスチャンスを逃す懸念があります。
 速やかに資金を調達する方法として、POファイナンスというフィンテックの活用があります。これは、補助金の交付決定額を電子記録債権化し、これを担保に信用金庫などの金融機関から融資を受け取る仕組みで、我が党が提案してきたものであります。
 そこで、今後、都はこういった資金調達の手法を広くPRするとともに、金融機関側にもメリットを説明するなど、中小事業者を支援すべきです。都の見解を求めます。
 感染防止につながる取り組みとして、テレワークの導入が広がっております。
 テレワークは、通勤に費やしていた時間を有効に使えることや、業務が効率化して生産性が向上するというメリットがある反面、自宅にWi-Fi環境がないとか、書斎がなく仕事に集中できないといった声も聞いております。
 最近では、宿泊施設が、収益確保のため客室をテレワークの場として提供する動きが広がってきており、都は適切な支援を講じることで、テレワークのさらなる促進、定着を図ることができると考えますが、見解を求めます。
 先般公表された構造改革の七つのコアプロジェクトの一つ、ワンストップオンライン手続プロジェクトで、いつでも、どこでも手続ができる都民、事業者サービスを提供するとし、都は今定例会にデジタルファースト条例を提案しています。
 公明党は、さきの第二回定例会において、コロナとの闘いが続く中で、都民の健康と安全と安心を得るために、都庁の申請手続の九八%に及ぶ百六十九項目について、早急にデジタル化を進めていくことを強く求めました。今回の構造改革プロジェクトは、まさに我が党の求めに応え、都としてデジタル化を強力に推進する姿勢を示したものと高く評価いたします。
 例えば、建設、不動産、宅建、産廃処理業等の関連手続、保育士登録や栄養士、調理師免許の交付、各種障害者手帳の交付や年間七十六万件に上るパスポート申請など、都民、事業者の利便性を高めるためにも速やかにデジタル化を図るべきであります。
 構造改革の目的は、デジタルトランスフォーメーションをてこに、都民サービスを飛躍的に向上させることにあります。であるならば、全庁が一丸となって取り組みを加速させ、一刻も早く行政手続のデジタル化を実現すべきであります。知事の見解を求めます。
 今回のコロナ禍において、都の感染拡大防止協力金の手続は全てインターネットによる申請が可能となり、高齢者の方もご家族やご近所の方の協力を得ながら申請をし、その利便性を実感されたとの声も寄せられております。
 都民ニーズが高いデジタル化の取り組みを早急に広げていくべきであります。特に、年間十二万件に及ぶ都営住宅の募集では、申し込みや抽せん結果の通知などはオンラインでも実施できるように速やかに転換すべきであります。見解を求めます。
 都は現在、我が党が求めた工事関係書類の削減、簡素化に向け、意欲的に検討を進めているものと理解しますが、書類の電子化も急ぐべきであると考えております。金銭の支払いに関係する代表者印以外の判こレスを実現するだけでも、受注者側の超過勤務や拘束時間などの負担が大きく軽減されるはずであります。見解を求めます。
 都には、百四十二の審議会等の附属機関が、法律または条例に基づいて設置されております。都の許認可等にかかわる附属機関を安定的に運営することは重要であります。コロナ禍においても、迅速な意思決定が必要な場合には、オンラインを活用した附属機関の会議開催に取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、防災対策について質問いたします。
 都は、本年一月、国と都が連携する災害に強い首都「東京」の形成に向けた連絡会議を設置し、議論を進めております。
 この会議は、昨年八月、知事と当時の石井国土交通大臣が高規格堤防を視察した際に、知事の提案により設置を決めたと聞いております。この中で、高台まちづくりを進めるとしていますが、海抜ゼロメートルの東部低地帯にとって、まさにこれは喫緊の課題であります。
 そこで、都は、速やかに議論を進め、事業化すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 この会議では、民間の高層建築物に避難スペースなどを確保するとしています。手法として、都市開発諸制度の改定により容積率を緩和することを検討していますが、新設される建築物だけではなく、既に建設された既存の建築物も含め、少しでも避難スペースを確保できるよう、補助制度なども幅広く検討すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 荒川下流域にある江東、墨田、江戸川、葛飾、足立など、江東五区と呼ばれる東部低地帯は、高潮、洪水、大地震など自然災害に極めて脆弱な地域が大半を占め、ここで約二百五十万人の都民が生活しております。
 この地域の治水上の最大の弱点が、京成本線の荒川橋梁部であります。広域の地盤沈下で低くなった堤防は、必要な高さまでかさ上げがされましたが、橋梁部はかさ上げができていないため、付近の堤防と比べて低い状態のままであります。増水時にはそこから水があふれ、決壊する危険性があり、広範囲な湖のような状態が二週間以上も続くと懸念されております。
 荒川橋梁はかけかえに着手しても、完成まで長い歳月を要しますが、早期に完成させることと、加えて、当面の応急的な対策を講じて、一刻も早く安全性を向上させていく必要があると考えますが、見解を求めます。
 多摩川下流域でも、水害対策となる事前の備えが喫緊の課題となっています。
 私の地元、調布、狛江地区では、昨年の台風十九号の際に、多摩川の水位が堤防上端までわずか数十センチのところまで達したところもありました。そこで、堤防の欠損箇所の補修や高さが足りない部分のかさ上げ、堤防上部の舗装、しゅんせつ工事などを国土交通省に求め、数年計画で実施されることになりました。
 また、ことし五月までに、国は一級水系のダムのある全九十九水系において、ダム上流の予測降雨量が基準以上であり、下流で氾濫等の被害が生じるおそれがあるときに、ダムの事前放流ができるようにいたしました。
 多摩川水系では、都と国が小河内ダムにおける治水協定を締結し、水害対策のために使える容量の割合が、それまでの〇%から一九・二%へと向上するとされております。
 小河内ダムの治水機能を発揮させるためには、国と都との連携、そして流域区市町村への情報提供が何よりも重要と考えますが、見解を求めます。
 昨年の台風第十九号の際には、歩くことができず、学校施設などに車両で避難してきた住民への対応が大きな課題となりました。さらに、海水面より低い地域では、人や車両も水没しない場所へ避難しなければ、被害を避けられません。
 まず、この点で都は、都内自治体に改めて強くメッセージを発し、対策の進捗を促すとともに、支援の強化を図るべきであります。見解を求めます。
 災害発生時の救助、復旧に必要な車両や資器材の確保も重要な課題です。例えば、警察や消防の緊急車両やライフラインをつかさどる車両等の水没を防ぐ必要があります。一方で、ショッピングモール等の立体駐車場などの水没回避が可能な施設の収容台数にはおのずと限りがあり、個々に施設側と協定を結ぶだけでは、優先順位の判断や速やかな撤収など、その運営には課題が残ります。
 都内自治体は、こうした新たな課題に対処する必要に直面しており、都は改めて、避難のため車両を使わざるを得ない避難者もいることも踏まえ、緊急車両などの避難の優先性の考え方について、急ぎ協議や検討を開始すべきと考えますが、見解を求めます。
 介護が必要な高齢者が暮らす入所施設では、災害時の避難が容易ではありません。この七月の九州地方を襲った豪雨でも、浸水想定地域内の特別養護老人ホームの一階が浸水し、複数の入所者が犠牲になるという痛ましい出来事がありました。
 二十三区内の特別養護老人ホームの四割が浸水想定区域内に立地するという報道もある中、介護が必要な高齢者が入所する高齢者施設での風水害への対策は急務であります。
 今後、各施設において、停電や水害の際にも避難や対策が確実に行えるよう支援すべきと考えます。見解を求めます。
 働き方改革について何点か質問いたします。
 建設業界では、週休二日制の実施が若手人材の確保に向けた課題となっております。二日制によって総賃金額が減少しないよう、国は既に労務単価を上乗せする二日制を推進しており、都もこれに準じております。その一方で、工期に余裕のない工事案件について、単価の上乗せが実施されても、入札に応じる受注者が少ないのが現状であります。
 そこで、契約締結後であっても、受注者側の意欲で週休二日制を希望できる方式を新たに実施すべきと考えます。
 加えて、週休二日のモデル工事では労務費の上乗せがされているという事実を、下請で働く人々が認識できる環境づくりを図っていくべきであります。
 さらに、週休二日制への移行が無理なく実現されるよう、適切な工期の設定を徹底すべきと考えます。あわせてこの三点、見解を求めたいと思います。
 その上で、週休二日制を広げるための労務費額の上乗せは、今後二〇%増しを目指すべきであると強く求めておきます。
 本年三月の我が党の予算特別委員会質疑において、都は、一部案件を対象に、本年下半期から設計等委託で最低制限価格制度を導入すると答弁いたしました。設計は意匠設計がメーンであるように受け取られますが、構造設計や設備設計などの分野があり、それぞれの成果物である図面のできぐあいが工事内容を左右し、受注者側の想定外の費用負担や工期の超過、過重労働につながるおそれをはらんでおります。
 その一方で、日本人は精緻な計算や数値目標に応じた工夫が得意であります。意匠設計だけでなく、構造や設備の設計の分野でも、耐震設計であれ、省エネや換気性能の向上、さらにはトータルなランニングコストの抑制を図る点でも世界から注目をされております。
 その可能性を的確に引き出すためには、業界全体が協力して、すぐれた成果物としての設計図面の内実を互いに高め合っていけるように環境を整えることが重要であります。
 そこで、さまざまな分野の設計事業者が適切な価格で仕事を受注できることを目指して、構造や設備などの分野の設計においても最低制限価格制度を適用していくべきであると考えます。見解を求めます。
 次に、都市農業振興についてであります。
 一昨年、都市農地貸借法が施行され、生産緑地の貸借の推進が図られるようになり、貸借の実例もふえてきていると聞いておりますが、その一方で、果樹や植木等がある土地を新たに野菜畑に転換する際、そうした樹木の撤去費用の負担が貸借に当たって課題となっているとの意見もございます。
 こうした課題も踏まえ、都市農地の保全のために、生産緑地の貸借を促進する支援策を都としても講じていくべきであると考えますが、見解を求めます。
 次に、情報バリアフリーについてであります。
 都は既に障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例の中で、手話等を言語と捉え、知事の記者会見等でも、我が党の求めに応じて手話通訳者の映像が必ず併置されております。
 その一方、都内で六十万人から百万人と推定される中途失聴者の多くは、手話を使いこなせない現状にあり、インターネットによる中継動画の配信は、その重要性がますます高まってきております。
 モニタリングレポートや知事の記者会見などを初め、都が中継する主要な番組等においては、最新技術を駆使し、リアルタイムで正確な生の字幕を、視聴者側のストレスを伴わずに表示できる仕組みを早急に実現すべきと考えます。見解を求めます。
 中途失聴者、難聴者に向けた支援策では、集団補聴設備、いわゆるヒアリングループの整備が重要であります。この設備は、補聴器を通じて、騒音や雑音の中から目的の音や声だけを正確に聞き取ることを補助するものであります。
 都は既に施設の新設や改修の際の遵守基準として設置を定めており、東京芸術劇場などの文化施設で設置済みであるほか、オリ・パラ施設でも設置する方針であります。
 しかし、その他の都立施設では、改修の機会を捉えて整備する方針であるため、設置が進んでおりません。
 そこで、改修時期を待たず、前倒しして整備する方針に転換し、早急に本格未整備施設の全容を把握すべきと考えます。
 加えて、ヒアリングループが設置されていることを、必要としている方々にわかりやすく知らせるため、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会が推奨する設置済みマークを漏れなく提示するよう、施設管理者等に徹底すべきと考えます。あわせて見解を求めます。
 次に、盲ろう者支援であります。
 都は、日本版のヘレン・ケラー・センターを目指して盲ろう者支援センターを開設したNPO法人に運営費を補助し、通訳介助者の派遣事業を委託しているところであります。
 我が党の推進で盲ろう者支援制度は、通訳介助者の利用時間数などの点で、他県に比べ利用しやすい制度になっております。
 しかし、他方で、後発の他県制度などに比較し、通訳介助者の勤務単価は全国平均の千五百九十六円を下回っております。
 早急に全国平均に追いつくとともに、派遣時間数の総量だけでなく、通訳介助者に支払う単価の点で全国のトップを行く水準を目指すべきであります。知事の見解を求めます。
 コロナ禍の中、今年度の通訳介助者の利用実績は、例年に比較し、かなり少ない時間数となっております。これは、感染への警戒から、盲ろう者の側で外出を控えたことなどが主な原因と思われます。
 しかし、通訳介助者と接しなければ、必要とする情報を得られないのが盲ろう者の実態であり、中には新型コロナウイルスの流行すら知らなかった盲ろう者の方もいたほどであります。
 しかし、コロナ禍の状況だからこそ、むしろ通訳介助の利用による情報入手は積極的に保障されていくべきものと考えております。
 加えて、盲ろう者への通訳介助では、盲ろう者の保護者が編み出した指点字など、利用者に密着して意思疎通や情報伝達を図る取り組みが不可欠となっております。
 そのため、通訳介助の利用に際しては、盲ろう者と通訳介助者の双方にとって、十分な感染防止の取り組みが保障されるべきであります。
 しかし、国による福祉関係者への感染防止品の補助経費には、盲ろう者への支援が含まれておりません。
 都は、改善を国に求めるとともに、それが実現するまでの間は、都みずからが通訳介助での感染防止を支援し、推進すべきと考えます。あわせて見解を求めます。
 次に、障害者雇用について質問します。
 都議会公明党は、精神障害者、知的障害者にも東京都庁の職員採用試験の門戸を開くこと、また、知的障害者については、この試験とは別に新たな雇用の枠組みを講じることを訴えてまいりました。
 これを受けて、都は、障害者採用選考の対象拡大や知的障害者の一般就労の非常勤職員であるオフィスサポーターの採用を開始し、都教育委員会においても、教育庁サポートオフィス、パレットが開設されました。
 さらに、ことしの予算特別委員会で常勤採用を求めた我が党の提案に対し、知事は、知的障害者が非常勤職員から常勤職員にステップアップすることを可能とする新たな雇用の枠組みの創設に向けて検討を進めていくと応じました。
 現在の検討状況について見解を求めます。
 次に、医療的ケア児の保護者の負担軽減についてです。
 都は、我が党の提案を受けて、平成三十年度より、肢体不自由特別支援学校全校へ医療的ケア児専用の通学車両を配車いたしました。これを高く評価いたします。
 しかし、人工呼吸器を使用する子供の保護者の付き添いについては、都は管理体制が整った学校から校内での人工呼吸器の管理を医療的ケアとして始める方針を示しているものの、医療的ケア児専用の通学車両に関するガイドラインでは、人工呼吸器の管理は保護者だけという旧来の制限のままであります。
 都議会公明党は、保護者からの声を受け、学校内のみならず、専用通学車両内での人工呼吸器の管理を看護師が行うよう強く求めてきたところであります。
 通学から学校生活まで保護者の付き添いをなくし、一貫した支援が受けられるよう、早急に通学ガイドラインの改正を図るべきであります。教育長の見解を求めます。
 続いて、子育て支援についてであります。
 都議会公明党が提案したこども未来会議が立ち上がり、先日、第一回が行われました。チルドレンファースト社会実現への大きな一歩であり、大いに期待をしております。
 コロナ禍における子供を取り巻く課題も含め、さまざまな議論が行われましたが、今後、長期戦略に反映させるとともに、速やかに施策へと展開されることを要望します。
 まず、多胎児支援について質問します。
 双子、三つ子などの多胎児を育てることは、精神的にも肉体的にも負担が大きく、虐待リスクも高いという指摘があります。
 双子ベビーカーを折り畳まずに都バスに乗車できる取り組みについて都議会公明党が提案し、国土交通省や東京バス協会にも働きかけてまいりました。都が九月十四日より試行を開始したことを高く評価いたします。
 これまでの取り組みと今後の周知について見解を求めます。
 また、今年度は、都議会公明党が提案したベビーシッター利用支援事業における在宅家庭への対象拡大や多胎児家庭等への家事育児サポーターの派遣、多胎ピアサポート事業など、多胎児支援策の取り組みが大きく前進いたしました。
 多胎妊娠は複数の赤ちゃんがお腹の中にいるため、母体への負担が大きいほか、双子や三つ子など多胎児は、単胎児に比べて低出生体重児が多くなります。さらに、妊娠、出産から子育て期において、多胎妊娠の経過や子供の成長記録、保育所の入所などにおいて格段の配慮が必要であります。
 育児をサポートするため、当事者と専門職と研究者が共同してつくった双子手帳という冊子があり、母子手帳交付時に配布している自治体もあります。また、保育所入園について、双子、三つ子のうちの一人だけの入園許可のケースもあり、改善が必要であります。
 そこで、双子手帳の配布と保育所の優先入所など、多胎児を育てる家庭への支援をより一層進めるべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、待機児童対策について質問します。
 本年四月一日現在の都内待機児童数は、三十年ぶりに二千人台に減少しました。知事が都議会公明党の要請にも応えて、就任以来実施してきた緊急対策の成果であると評価します。
 待機児童対策の推進には、それを支える人材の確保が欠かせません。都内の保育士有効求人倍率は、令和元年度、四・八二倍となり、三年ぶりに改善したものの、依然高い水準であります。
 現場からは、補助対象や対象期間を都独自に充実させた宿舎借り上げ支援事業は、保育士の確保に欠かせないと聞いております。
 しかし、本事業は今年度で終了予定となっております。来年度以降、事業は継続されるのか、保育事業者や保育士の間に不安が増大し、採用活動にも影響が出ております。
 今後も、本事業を継続し、区市町村や保育事業者における人材確保の取り組みを支援すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、児童虐待対策について質問します。
 都の児童相談所の虐待相談対応状況によると、緊急事態宣言が解除された後の六月の増加率は、前年と比べ一・六倍に上っております。
 一時保護児童もふえており、一時保護所は定員超過が常態化している状況であります。また、さまざまな背景を持つ児童が入退所する一時保護所の職務は、高い専門性が必要とされています。
 保護児童の学習を保障するため、我が党の提案により、教師経験者をそれぞれの児童相談所に配置していますが、個々の児童の状況や学力に配慮し、さらにきめ細かな学習指導が必要と考えます。
 一時保護所の職員体制の強化や学習環境の充実など、支援体制の強化を図るべきと考えますが、見解を求めます。
 一方、乳幼児の画像診断で虐待を疑われ、保護に至るケースがあります。しかし、乳幼児の画像診断は難しく、医師によって所見が異なることも多々あります。
 乳幼児揺さぶられ症候群、いわゆるSBSについて、国の調査研究の動きを踏まえるほか、児童相談所は、協力医に加え、画像診断に精通している医師の診断を基準に多角的に判断するとともに、親子の愛着形成に配慮した慎重な対応が必要と考えますが、見解を求めます。
 次に、アレルギー疾患対策についてであります。
 アレルギーを持つ子供はもとより、その親や大人も不安を抱えながら、日々アレルギー疾患と向き合っています。発症、増悪、軽快、寛解、再燃を不定期に繰り返す病態や、難治性の疾患を抱える患者もおります。こうした場合、専門的医療を提供する病院と、病態が安定した場合の医療を提供する地域の医療機関との連携が不可欠であります。
 しかし、平成二十八年度の都の医療機能実態調査によれば、アレルギー疾患の診療を行っていると回答した医療機関のうち、四割はアレルギー疾患診療ガイドラインに準ずる標準的治療を行っておりません。
 そこで、アレルギー疾患医療拠点病院等を中心として、地域の医療機関と円滑に連携できる体制の整備が必要と考えます。見解を求めます。
 病態が安定しているアレルギー患者の多くは、地域の医療機関で適切な治療を受けることができれば、症状をコントロールすることができるともいわれております。
 そのため、医師をサポートし、塗り薬や吸入薬の使い方、食事管理など、高度なアレルギーの専門知識と指導技術を持ち、患者を継続的に支援できる看護師、薬剤師などの医療従事者の役割も非常に重要です。
 そこで、そうした人材の資質向上を進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
 最後に、都認可外の通信制高校の授業料実質無償化について質問します。
 都は、都議会公明党の主張を受け、国が全ての通信制高校を年収五百九十万円未満世帯まで無償化の対象としたことを踏まえ、都認可の八校について、今年度から実質無償化の対象を年約九百十万円未満の世帯まで拡大いたしました。高く評価いたします。
 しかし、都内に学校施設がある通信制高校であっても、他の道府県認可校は実質無償化の対象から外れており、都民には大変にわかりづらいことを指摘し、多くの都民が通う同じ通信制高校を、都の実質無償化の対象に加えるべきことを第一回定例会で強く主張いたしました。
 それに対し知事は、今後、その方策について検討すると答弁し、予算特別委員会では、調査手法も含め具体的な進め方について検討していくと答弁しております。
 多くの都民が通う都認可外の通信制高校も、来年度から実質無償化の対象に加えるべきであります。現在の検討状況について答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 中嶋義雄議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、高齢者や障害者の施設での検査への支援についてであります。
 高齢者や障害者は、新型コロナウイルス感染症にかかると重症化するリスクが高いことから、その感染予防対策を徹底する必要がございます。
 そのため、秋から冬を見据えまして、高齢者や障害者等が広域的に利用して、感染者が発生した場合に影響が多い入所施設を対象として、新規入所者や職員への定期的な検査など、感染予防のための経費への支援を新たに開始いたします。
 事業実施に当たりましては、施設からの申し込みを直接受け付けまして、結果通知まで一貫して対応いただける民間検査機関をご紹介し、保健所の負担とならないように配慮してまいります。
 また、検査により陽性者が判明した場合に備えまして、保健所等にも十分な情報提供を行うとともに、職員等の感染により人員不足が生じた施設に対しましては、他の施設から応援職員を派遣するため、関係団体と協定等を締結いたしまして、広域的な支援体制を構築してまいります。
 さらに、定員二十九名以下の小規模な特別養護老人ホームや、重度障害者の通所施設等につきましては、区市町村と共同で地域の感染拡大防止対策を推進する事業で、都が必要な経費を全額補助いたします。
 これらの重層的な取り組みによって、高齢者、障害者の感染拡大防止に万全を期してまいります。
 次に、高齢者を対象とした予防接種についてであります。
 新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行が懸念される中で、重症化リスクの高い高齢者等に対しまして、早期にインフルエンザワクチンの接種を受けていただくよう促すことは有効であります。
 このため、都は本年度、区市町村を通じまして、六十五歳以上の高齢者等に対するインフルエンザ定期予防接種の自己負担分を全額助成いたします。
 また、肺炎でありますが、昨年度日本人の死亡原因の第五位でございまして、日常的に生じる肺炎の約三割は、肺炎球菌が原因と考えられております。
 お話の肺炎球菌ワクチンでございますが、秋冬の流行に備えて、毎年接種を受けていただくインフルエンザワクチンとは異なりまして、平成二十六年度から定期予防接種に位置づけられております。各年度に六十五歳となる方などに一回接種することとされております。
 現在、高齢者の肺炎球菌ワクチンの都内における接種率でございますが、約三割となっておりまして、今後、接種率のさらなる向上を図る取り組みが必要であると認識をいたしております。
 東京iCDCの専門家ボードについてでございます。
 来月一日に立ち上げます東京iCDCには、幅広い分野の専門家の方々に参画いただく専門家ボードを設置いたします。
 このボードからは、最新の科学的知見やエビデンスに基づいて、政策につながる提言をいただくことといたしておりまして、座長のもと、専門分野ごとのチームをつくって、早急に具体的な課題の検討を行ってまいります。
 まずは、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症との同時流行への備えといたしまして、PCR検査を初めとする臨床検査などの研究を進める専門家などでチームをつくって、新型コロナウイルスとインフルエンザの新たな検査、診断手法の活用方法などについて検討してまいります。
 また、臨床の現場で感染症診療に従事しておられる専門家などでチームをつくって、重症患者の症例の分析に基づいて、リスクの高い対象者への早期の受診勧奨など、的確な注意喚起を検討してまいります。
 このように、専門家ボードからの提言を踏まえまして、時期を逸することなく速やかに施策の具体化を進めて、さまざまな危機に対しまして、常に先手先手で対策を講じてまいります。
 多摩地域の保健所についてでございます。
 多摩地域にあります都の保健所ですが、二次保健医療圏におけます保健医療の広域的、専門的、技術的な拠点として、健康危機管理や市町村支援を行っておりまして、地域の感染症対策の重要な役割を担っております。
 今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大への対応では、多摩地域でも多くの患者が発生して、保健所の負担が増大しております。
 このため、都は、電話相談窓口の委託化や入院先の調整機能を保健所にかわって担う本部の設置、自宅療養者の健康観察を行うアプリの導入など、保健所の負担軽減に取り組んできたところであります。
 また、都保健所が行うPCR検査の一部委託化を進めるとともに、感染症対応におけますさまざまな業務のデジタル化の推進などで、さらなる負担軽減や業務の効率化を図ってまいります。
 こうした取り組みによって、都保健所の健康危機への対応力強化を図って、今後、今回の感染拡大から終息に至るまでの保健所の取り組みについて検証した上で、改めて多摩地域の保健所のあり方を検討してまいります。
 保健所の業務でございますが、新型コロナウイルス感染症対策の最前線を担う保健所におきましては、業務が増大していて、その支援が喫緊の課題でございます。
 現在、都は、各保健所へ職員を派遣して業務支援を行うほか、健康安全研究センター内に保健所支援拠点を設置して、今月から新たに、疫学調査等の業務を担う八名の保健師や看護師をトレーサー班として配置することで、支援の拡充を図っております。
 お話の陽性者の搬送業務でございますが、既に委託を行っている宿泊施設への搬送に加えまして、今後、多摩地域の都の保健所に配備した陰圧車両の運転業務を民間に委託しまして、保健所の負担を軽減してまいります。
 さらに、保健所を設置している区市に対しましては、搬送業務を初めとした業務委託経費について、補助を行うことといたしております。
 新型コロナウイルス感染症の流行時に、保健所がその機能を十分発揮できますよう、今後とも、搬送業務を含めさまざまな観点から保健所を支援してまいります。
 新型コロナウイルス感染症対策条例についてでございます。
 本年一月、都内で初めての患者が確認されて以来、都は、新型コロナウイルス感染症対策に全力を挙げて取り組んでおります。
 この間、四月には、対策の強化を図るために、東京都新型コロナウイルス感染症対策条例を制定しまして、都や都民、事業者の基本的責務を明らかにいたしました。
 また、七月には、新規陽性者数が大幅に増加するなど、当時の危機的な状況を踏まえまして、緊急に対応する必要がございましたことから、この条例を一部改正して、事業者にはガイドラインの遵守とステッカーの掲示を、都民へはステッカーのある施設の利用等を努力義務として定めたところであります。
 ウイルスとの闘いが長期化して再拡大も見込まれる今、対策の実効性をより高めていく必要があることから、今般、条例を新たに改正することとしたものでございます。
 改正案では、都が、検査体制の整備、医療提供体制の確保、療養環境の整備などに責任を持って取り組むことを定めております。
 また、都民や事業者の皆様方に対しましては、必要な検査や蔓延防止のための調査への協力など、具体的にご協力いただくことを明確にいたしました。
 今後、条例改正を機に、改めて都の対策や協力の重要性などにつきまして、さまざまな機会を通じてわかりやすく発信することで、都民や事業者の皆様方のさらなるご理解、ご協力につなげてまいります。
 次に、行政手続のデジタル化についてのご質問でございます。
 新型コロナウイルス感染症との闘いの中で、我が国のデジタル化のおくれなどが浮き彫りとなっております。東京が世界から選ばれる都市になるためには、強い危機感のもと、スピード感を持って都政のデジタルトランスフォーメーションを強力に推進する必要がございます。
 こうした認識に立ちまして、都政の構造改革に着手をし、新たに立ち上げた構造改革推進チームのもとで、改革を先導する七つのコアプロジェクトを推進することといたしました。
 行政手続のデジタル化を進めるワンストップオンライン手続プロジェクトは、都民サービスに直結することから、まさにスピード感ある対応が求められます。
 このため、例えば建設業許可の証明など、都民から多くの申請があって、都の権限で実施が可能な全ての手続につきまして、直ちにデジタル化に着手して、早期のサービス提供を目指してまいります。
 また、パスポート申請など国が定める手続であったり、区市町村を経由するサービスにつきましても、デジタル化に向けて関係機関と精力的に調整を進めてまいります。
 今定例会に提出をいたしました東京デジタルファースト条例をてこにいたしまして、デジタル化を初めとした七つのコアプロジェクトを強力に推進をいたしまして、都政のクオリティー・オブ・サービス、QOSの飛躍的な向上に向けて、全庁一体となって取り組んでまいります。
 高台まちづくりについてのご質問でございます。
 近年、気候変動による大規模な洪水などが相次いで発生をしておりまして、東部低地帯の災害リスクの軽減を図り、都民の命を守るために、水害に対して安全性の高い高台まちづくりを進めることは有効であります。
 本年一月、国とともに設置した会議におきましては、私も赤羽国土交通大臣とともに参加をし、これまで東部低地帯の水害対策などについて具体的な検討を重ねてまいりました。
 先般、区画整理事業と高規格の堤防整備の一体的実施による高台づくりや、建物上部への避難スペースの確保など、国とともに具体的な方策を公表しております。
 これらについて、都民の意見を聞いた上で年内にも取りまとめいたしまして、さらに国や地元区と連携しまして、高台まちづくりの実践のためのモデル地区の検討を深めて、災害に強い首都東京の形成に取り組んでまいります。
 最後に、保育人材の確保についてのご質問にお答えいたします。
 私は、就任直後から、待機児童対策を都政の最重要課題の一つに位置づけて、保育サービスの充実を図ってまいりました。
 保育従事職員宿舎借り上げ支援事業でございますが、保育人材の安定的な確保のため、平成二十八年九月の緊急対策におきまして、都独自に採用後の年数制限を撤廃しまして、全ての職員を対象としており、昨年度は五十区市町村で活用されております。
 区市町村や保育事業者からは、他県よりも家賃が高い都内において保育人材を安定的に確保するために、この事業は大変有効な支援であるとの声を多数いただいております。
 また、平成二十八年度以降、保育サービスの拡充を進めていく中で、利用実績は毎年五千件程度増加をいたしておりまして、昨年度は約二万件となっているなど、保育人材の確保と定着に大きな役割を果たしていると考えております。
 こうした認識のもとで、今後も引き続き、区市町村や保育事業者としっかり連携をしながら、保育人材の確保に向けた取り組みを全力で支援をしてまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長及び関係局長からの答弁とさせていただきます。
〔教育長藤田裕司君登壇〕

○教育長(藤田裕司君) 肢体不自由特別支援学校における人工呼吸器を使用する子供の保護者付き添いについてでございますが、都教育委員会は、子供たちの自立をより一層促進する観点から、校内と通学時の両方での付き添いのあり方を検討してまいりました。
 校内につきましては、昨年度末に人工呼吸器管理ガイドラインを策定し、今年度、保護者付き添いから看護師による管理に移行しているところでございます。
 また、通学時につきましては、校内で看護師による管理への移行が完了した子供から、順次専用通学車両に乗車できるよう、乗車中に実施可能なケアの内容、緊急時対応等について現在準備を進めているところでございます。
 年内には乗車に関するガイドラインを改定し、人工呼吸器を使用する子供が、看護師の管理のもと、安全に通学し、学校生活を送れるようにしてまいります。
〔福祉保健局長吉村憲彦君登壇〕

○福祉保健局長(吉村憲彦君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、在宅要介護者等の受け入れ体制の整備についてでございますが、高齢者や障害者を介護している家族や児童を養育している保護者が新型コロナウイルスに感染した場合でも、安心して療養に専念できる環境を整える必要がございます。
 このため、都は、こうした場合に要介護者等を地域で一時的に受け入れられるよう、介護施設の空きベッドの確保、自宅から施設等への搬送など、要介護者等の状況に応じて必要な取り組みを行う区市町村に対して、一千万円を上限にその全額を支援してまいります。
 今後、区市町村がこうした取り組みを円滑に進められるよう、モデルとなる取り組み事例を示すとともに、関係団体等への協力依頼や、複数の自治体が共同して実施する場合の調整を行うなど、地域における在宅要介護者等の受け入れ体制の整備を進めてまいります。
 次に、高齢者施設の風水害対策についてでございますが、特別養護老人ホーム等に入所する要介護高齢者は、災害時の避難に適切な支援を必要とすることから、非常時に備え、施設で災害対策計画を策定し、日ごろから避難訓練を行うことが特に重要でございます。
 近年の災害の発生状況を踏まえ、高齢者施設等の風水害を想定したBCP策定を促進するため、都は今年度、専門家による講演や浸水被害を受けた施設の事例紹介等を行うセミナーを開催し、風水害を含めた災害への備えの重要性について普及啓発を行います。さらに、停電に備え、ポータブル式の小型発電機などを都独自に補助いたします。
 また、現在、国が準備を進めている水害時の避難用スロープの設置等への新たな補助については、詳細が示され次第、都として速やかに対応をしてまいります。
 次に、都立施設でのヒアリングループの設置についてでございますが、都は、補聴器を使用する高齢者や障害者等が必要な情報を容易に入手できるよう、都立施設の観覧席、客席について、施設の状況に応じて、常設型や移動型のヒアリングループ等の集団補聴設備の導入を進めており、イベントの主催者等には、設備が利用できることを事前にわかりやすく周知することを求めております。
 今後、都立施設におけるヒアリングループ等の設置状況や今後の設置予定等を確認した上で、一層の整備を進めるとともに、お話のヒアリングループマーク等を活用した表示の徹底を図ってまいります。
 次に、盲ろう者の通訳介助についてでございますが、盲ろう者にとって、通訳介助者による支援は生活に欠かせないものでございます。盲ろう者の社会参加を確保するには、通訳・介助者派遣事業の充実を図っていくことが重要でございます。
 このため、都は今年度から、登録通訳介助者のフォローアップの研修に対する支援を新たに実施し、通訳介助者の資質の向上を図っております。
 今後、盲ろう者支援のさらなる充実を目指し、通訳介助者の確保等に向け、派遣単価についても他の自治体の状況等を踏まえて検討してまいります。
 盲ろう者及び通訳介助者の感染防止についてでございますが、視覚障害と聴覚障害を重複している盲ろう者はコミュニケーション手段が非常に限られており、通訳介助者と指を触れ合わせて伝える指点字など、意思疎通の際の接触を避けることができません。
 コロナ禍にあっても盲ろう者に継続的にサービスを提供できるよう、今後、都が購入する予定のマスク等の衛生用品を活用し、感染防止を支援してまいります。
 また、感染症対策に要する物品購入費用等を支援する国の感染対策徹底支援事業について、盲ろう者に対する通訳介助など、生活に必要なサービスを提供する事業者を広く対象とするよう提案要求してまいります。
 次に、多胎児を育てる家庭への支援についてでございますが、多胎児を育てる家庭は、同時に二人以上の育児をすることに伴うさまざまな困難に直面する場合も少なくございません。
 このため、都は今年度から、多胎児家庭に対する予防接種などの際の移動支援や、家事育児サポーターの利用支援のほか、多胎児育児の経験者による交流会等の実施などの支援を開始いたしました。
 また、区市町村が地域の実情に応じた取り組みを進められるよう、包括補助で支援しており、お話の多胎児用健康手帳を配布する取り組みなどを幅広く支援してまいります。
 保育所への優先入所につきましては、区市町村の多胎児に関する取り扱い状況等を調査し、待機児童対策協議会で情報共有することにより、今後とも、多胎児家庭が安心して子育てできる環境整備を進めてまいります。
 次に、一時保護児童への支援についてでございますが、都は、一時保護を行った児童への支援を充実するため、職員を国基準より厚く配置しており、今年度は専門職を八名増員し、夜間の見守り体制の強化や児童の心理ケアの充実を図っております。
 また、一時保護所には、学習の習慣が身についていない児童や学習におくれのある児童も入所しているため、教員免許を有する非常勤の学習指導員を配置し、学年や学習の習熟度などに応じた学習指導を行うとともに、ボランティアを活用した学習支援や、進学時期の児童に対する在籍校と緊密に連携した受験対策なども実施しております。
 今後とも、一人一人の状況に応じたより丁寧な支援が行えるよう、さらに必要な人員確保や学習環境の充実に努めるなど、一時保護児童の支援体制を強化してまいります。
 最後に、揺さぶられ症候群についてでございますが、児童相談所は、医療機関から揺さぶられによる虐待の疑いの通告を受理した際には、虐待に該当するかどうか等について、丁寧な調査と慎重な判断を行っております。
 具体的には、医師や保護者等から子供の病状把握、受傷に至った原因等の情報を収集するとともに、児童相談所の協力医師として登録している法医学、小児科、眼科等のセカンドオピニオン等を得た上で援助方針を総合的に判断しており、今後はさらに脳神経外科、放射線科など、さまざまな診療科の専門医師の所見も得ながら、多角的に判断してまいります。
 子供と保護者の愛着形成は重要であり、それを考慮し、今後、状況に応じて一時保護委託中の面会交流を進め、保護者の養育力の評価や指導を実施するとともに、国の調査研究の状況も注視しながら適切に対応をしてまいります。
〔福祉保健局健康危機管理担当局長初宿和夫君登壇〕

○福祉保健局健康危機管理担当局長(初宿和夫君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、新型コロナウイルスに関するコールセンターについてでございますが、都はこれまで、保健所の負担軽減を図るため、感染を疑う都民からの相談を一括して受け付ける新型コロナ受診相談窓口を運営してまいりました。
 秋冬のインフルエンザの流行期におきましては、発熱患者等の問い合わせが増加し、また、普及が進んでいる新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAによる通知を受けた方からの問い合わせも増加することが危惧されております。
 このため、都は、保健所の相談対応業務のさらなる業務負担軽減を図るため、こうした問い合わせにワンストップで対応いたします新たなコールセンターの整備に向け、関係機関と調整をしており、十月中には開設する予定でございます。
 次に、アレルギー疾患の医療提供体制についてでございますが、アレルギー疾患は種類や病態が多様でございまして、患者が状態に応じました適切な医療を受けられるようにするためには、日常的なアレルギー疾患医療を担う地域の医療機関が標準的治療を行うとともに、標準的治療では病態が安定しない患者等を、専門的な医療を提供する拠点病院などに円滑につなげられる連携体制を整備することが必要でございます。
 そのため、都は、アレルギーに関する総合的な情報を提供しております東京都アレルギー情報navi.の医療関係者向け情報ページに、拠点病院等で実施可能な検査や治療等の情報を掲載しております。
 さらに、本年十一月に、都内医療機関での標準的治療の普及状況や患者紹介の実施状況等について調査をすることとしておりまして、その結果も踏まえ、医療機関の連携体制の整備を推進してまいります。
 最後に、アレルギー疾患医療の従事者の資質向上についてでございますが、都は、地域の医療機関がアレルギーの症状に応じて適切な医療を提供できるよう、拠点病院や東京都医師会と協力し、医師等を対象として、疾患別のガイドラインに基づく標準的治療に関する研修を実施しており、先ほど申し上げました調査の結果も踏まえ、標準的治療のさらなる普及を図ってまいります。
 また、アレルギー疾患医療に従事する看護師や薬剤師等が、患者や家族に対し、きめ細かな説明や支援ができるよう、来年一月から、スキンケアの手技や吸入補助具の使用方法等に関する研修を実施いたします。
 今後も、アレルギー疾患を抱える都民が地域で質の高い治療やケアを受けられるよう、医療従事者の資質向上に取り組んでまいります。
〔戦略政策情報推進本部長寺崎久明君登壇〕

○戦略政策情報推進本部長(寺崎久明君) データを活用した社会的課題の解決についてでございますが、コロナ禍において、感染拡大を防止しながら日々の仕事や暮らしを続ける新しい日常を実践するためには、三密回避に資する混雑データなどの利活用を積極的に進めることが重要でございます。
 都では現在、民間事業者からの提案により、データを活用して混雑回避等のための新たなサービスを提供する実証実験に取り組んでおります。
 具体的には、ビーコンを使い、オフィス内の混雑状況を見える化し、それを分析することで、テレワーク等の行動変容につなげる事業などを実施しております。年内に検証結果を取りまとめ、広く情報発信してまいります。
 こうした取り組みを通じて、官民でのデータ利活用を一層推進することで、新しい日常の実践や社会的課題の解決を目指してまいります。
〔産業労働局長村松明典君登壇〕

○産業労働局長(村松明典君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、制度融資についてですが、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、本年五月には、融資を受けた後、金利の支払いは三年間、元本の返済は最長で五年間不要となる新たな制度を開始し、中小企業の資金繰りにおける負担を大幅に軽減してまいりました。
 今回の補正予算では、依然として高い中小企業の資金ニーズに対応できますよう、こうした実質無利子の融資メニューを継続するとともに、融資目標額を二兆五千億円から三兆八千億円に大幅に引き上げるため、預託金や利子補給及び信用保証料補助に必要な費用について計上いたしました。
 今後も、国の対応や経済の動向、中小企業への感染症の影響を見きわめながら、さらなる継続も含め、必要な金融支援を行ってまいります。
 次に、中小企業向け補助金の利便性の向上についてですが、中小企業に対して、都が実施する補助金の効果的な活用を促し、その成長につなげていくことは重要でございます。
 このため、中小企業振興公社では今月から、補助金の交付決定を受けた中小企業が、受領した交付決定通知書を担保として活用し、金融機関から融資を受けることのできる仕組みを新たに導入しているところでございます。
 また、中小企業制度融資におきましても、補助金の交付までの資金繰りの円滑化を支援いたします補助金・助成金つなぎ融資を今年度から実施しております。
 今後は、資金調達の円滑化に資するこうした制度の活用を促進するため、商工団体や金融機関と連携し、広く周知を図ってまいります。
 次に、テレワークの促進と定着についてですが、テレワークのさらなる利用拡大と定着を図るためには、企業に対する導入支援とともに、さまざまな場所でテレワークを実施できる環境の整備が必要でございます。
 このため、都は、テレワーク機器等の導入助成や、多摩地域において職住近接のモデルサテライトオフィスの整備等を行っているところでございます。
 今後は、テレワーク東京ルールに沿った企業の創意工夫ある取り組みを広く発信してまいります。
 また、宿泊事業者による新たなテレワークオフィス事業の促進に向け、備品設置等に要する経費や、利用企業が負担する借り上げ費用の一部を支援してまいります。
 これらの取り組みにより、テレワークの一層の促進と定着を図ってまいります。
 最後に、都市農地の保全に向けた取り組みについてですが、都内で都市農地を保全するためには、特定生産緑地への移行を進めるとともに、農地の貸借を促進し、新規就農や営農規模の拡大などにつなげていくことが重要でございます。
 都はこれまで、農地制度に高い知見を持つ東京都農業会議に、農地の貸し手と借り手をマッチングする専門員を配置するなど、貸借を促進してまいりました。
 こうした中、老木化した果樹の撤去等にかかるコストが負担となり、貸借に結びつかない事例もあることから、今後は、借り手の農業者の農地整備に対する支援を行い、新たな営業に円滑に取り組める仕組みを検討してまいります。
 こうした取り組みにより、生産緑地の貸借を促進し、都市農地の保全を図ってまいります。
〔住宅政策本部長榎本雅人君登壇〕

○住宅政策本部長(榎本雅人君) 都営住宅募集のオンライン化についてでございますが、都営住宅の入居者募集におきまして、都政のクオリティー・オブ・サービスの向上の観点から、その手続の改善を図っていくことは重要でございます。
 現在の手続では、申し込み者が手書きで申込書に記入し、東京都住宅供給公社に郵送いたします。同公社では、入居者情報等を一元管理しているシステムに申込者情報を入力し、公開抽せん後、抽せん結果をはがきで返信しております。
 申し込みや抽せん結果の通知など、手続のオンライン化により、手書きや郵送の手間を省き、申込書の未記入を防止できるなど、都民サービスの向上が期待できます。
 今後、既存システムの安全性等を確保しながら、これと相互にデータ連携させる募集オンライン申請システムの構築に向けまして、速やかに取り組んでまいります。
〔財務局長潮田勉君登壇〕

○財務局長(潮田勉君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、工事関係書類の電子化についてでございますが、公共工事の働き方改革を推進し、新型コロナウイルス感染症への危機を乗り越えていくためには、工事関係書類の電子化を推進していく必要がございます。
 これにより、書類への押印や書類提出の移動時間、受注者と発注者間の対面打ち合わせなどが削減され、受注者の負担軽減や感染症防止対策への寄与が期待できるところでございます。
 このため、財務局工事において、新たに情報通信技術を活用した書類の提出や判こレス等の効果を検証するため、まずは、使用頻度が高い書類を対象として、今年度中にモデル工事を実施してまいります。
 次に、建設業界の働き方改革についてでございますが、建設業全体の働き方改革を促進していくためには、受注者の施工体制や取り組み状況に応じて、柔軟に対応できる環境を整備することが必要でございます。
 このため、財務局が実施する建築工事では、都が指定する週休二日モデル工事に加え、新たに受注者の希望に応じたモデル工事を試行していくことといたしました。
 モデル工事では、労務費の補正を行っていることを明示したポスターを工事現場に掲示しており、今後、作業従事者まで着実に浸透を図るため、受注者に直接補正の趣旨を説明するなど、より丁寧に対応してまいります。
 また、適正な工期の設定につきましては、建設業法の改正に基づき、今般、国が工期に関する基準を定めたことも踏まえ、全庁的な会議等で周知徹底をしてまいります。
 最後に、設計委託での最低制限価格についてでありますが、昨年六月の品確法改正により、工事に加え、調査設計についても品確法の対象に位置づけられたところでございます。
 都におきましては、そうした国の動きも踏まえ、設計、測量、地質調査を合わせた設計等委託について、この十月から、財務局発注の一部案件を対象に最低制限価格制度を導入することとしております。
 設計業務においては、意匠と同様、ご指摘のように、構造や設備も重要なものであり、これらの分野の案件にも本制度を適用していく予定でございます。
 今後は、本制度の試行の状況を注視しつつ、業界団体の意見を聞きながら十分に周知を図った上で、来年度中を目途に各局契約の一部の案件にも試行を拡大してまいります。
〔総務局長山手斉君登壇〕

○総務局長(山手斉君) 四点の質問にお答えいたします。
 まず、附属機関の開催についてでございますが、附属機関は、法律または条例の定めるところにより、専門的知識の導入や公正性の確保、利害等の調整を目的として、調停、審査、審議または調査を実施してございます。
 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、感染防止の観点から、都庁におきましても会議や出張の抑制を図る中、各局が開催の延期や回数の見直しなどを行いました。今後、感染症の流行期においても会議を滞りなく開催し、行政執行を遅滞なく行っていくためには、感染拡大の防止策とともにオンライン会議の活用を促進する必要がございます。
 附属機関の運営の基本事項を定める要綱におきまして、新たにオンライン会議の積極的な活用に関して規定をいたしまして、各局に促すことにより、全庁の附属機関の安定的な運営を担保してまいります。
 次に、大規模水害時における避難のあり方についてでございますが、浸水が想定される地域の住民の命を守るためには、浸水のおそれのない避難先の確保や垂直避難、縁故避難などの分散避難を周知することが重要でございます。
 都はこれまで、東部低地帯を中心とした浸水想定区域内の都や区の施設について、浸水などの被害を受けない階層部分のデータを提供するなど、区市町村による避難先確保を支援してまいりました。
 また、今月上旬の台風第十号で、定員を超える避難所が数多く発生したことを踏まえ、テレビ会議による区市町村説明会を実施し、分散避難の取り組みの重要性を改めて周知徹底をいたしました。
 今後も、区市町村に対してデータ等の効果的活用による避難先確保の取り組みを促しますとともに、防災担当部署への周知を重ねて行うなど、対策の強化を図ってまいります。
 続いて、車両による避難や水没回避についてでございますが、大規模水害時におきまして、車両での避難を余儀なくされる住民を安全な場所に避難させるとともに、早期に公共サービスを復旧させ、都民生活を正常化させることが重要でございます。
 都はこれまで、区市町村の避難先確保を支援するため、駐車場等を活用する協定を商業施設団体と締結してまいりました。また、災害時におきましても事業が継続できるよう、企業等に対しまして必要な計画の策定を促してまいりました。
 今後は、車両による避難や車両の水没回避などの課題につきまして、公共サービスの担い手である区市町村やライフライン事業者に対しまして、車両の避難等に関する調査を行うことで現状を把握し、防災対策の充実につなげてまいります。
 最後に、都における知的障害者の雇用についてでございますが、障害特性に適した職務内容や勤務条件を検証するため、知的障害者を対象とした非常勤職員であるオフィスサポーターの採用を開始し、現在八名を雇用してございます。
 この取り組みを通じて、非常勤職員としての勤務実績を考慮した上で、常勤職員へステップアップすることを可能とする新たな雇用の枠組みの創設に向けまして、詳細な検討を進めてございます。
 具体的には、一定の勤務実績のあるオフィスサポーターを対象に、今年度中に常勤職員の採用選考を実施し、合格者につきましては、来年度から常勤職員として事務等の補助の職務を担わせることを検討してございます。
 今後も、一人一人の特性に応じて能力を発揮できるよう、都における知的障害者の雇用促進に努めてまいります。
〔都市整備局長上野雄一君登壇〕

○都市整備局長(上野雄一君) 水害時の避難スペースの確保についてでございます。
 都は、本年一月に国とともに設置いたしました災害に強い首都「東京」の形成に向けた連絡会議におきまして、東部低地帯の水害対策などについて検討を進め、今月、中間まとめを公表いたしました。
 この中で、水害時に域内において命の安全などが確保できるよう、避難スペースの整備、確保を進めることといたしております。
 例えば、既存施設につきましては、学校、公共施設及び都営住宅などを緊急避難先として活用することとしております。また、民間開発の機会を捉えて、避難スペースなどの整備が進むよう、都市開発諸制度の見直しなどを検討することとしております。
 今後とも、国等と連携いたしまして、国庫補助の活用を含め、地元区などへの支援策につきまして幅広く検討を進めてまいります。
〔建設局長中島高志君登壇〕

○建設局長(中島高志君) 京成本線荒川橋梁のかけかえについてでございますが、東部低地帯に住む都民の命と暮らしを守るため、本橋梁のかけかえによりまして、荒川水系河川整備計画に位置づけられた堤防高さを確保することは重要でございます。
 国はこれまで、概略設計や環境影響評価などを行い、現在は、詳細設計に加えて、用地取得を進めております。
 都は、河川整備計画の変更時や毎年実施している政府提案要求などの機会を捉えまして、本橋梁のかけかえによる堤防のかさ上げなど、国が管理する大河川の氾濫を防止する治水対策の着実な推進について、継続して働きかけております。
 今後、安全性の早期向上に資する応急対策の検討とあわせて、本橋梁のかけかえの着実な推進を引き続き国に求めてまいります。
〔水道局長浜佳葉子君登壇〕

○水道局長(浜佳葉子君) 小河内ダムの洪水調節に関する協定についてでございますが、小河内ダムに新たに洪水調節機能を持たせる多摩川水系治水協定を、国土交通省、神奈川県、都建設局、交通局及び水道局の五者間で本年五月に締結いたしました。
 この協定により、ダム上流域において豪雨が予想される場合、三日前から事前放流を実施することとなります。
 このため、本年八月に小河内ダムの運用変更に関する説明会を、各河川管理者と連携して流域区市町村に対して開催いたしました。今後の事前放流に際しましては、実施判断のための気象情報や近隣の河川での放流状況などの情報を、国を初め関係機関相互で共有し、連携した対応を図ってまいります。
 また、放流に当たりましては、河川管理者や流域区市町村へメール等により情報提供を行うとともに、局ホームページにおきましても最新の情報を周知してまいります。
〔生活文化局長野間達也君登壇〕

○生活文化局長(野間達也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都がインターネットで配信する動画への字幕表示についてでございますが、障害の有無にかかわらず、誰もが情報を得やすい環境を整備することは重要でございます。
 都におきましては、新型コロナウイルス感染症に関する知事のインターネットによるライブ配信で、本年四月の開始当初より手話通訳を導入いたしまして、さらに、九月からは音声認識技術を活用し、配信画面にリアルタイムで正確な字幕を表示できるよう試験的な運用を実施しており、十月から正式に運用を開始いたします。
 今後は、各局が動画を制作する際に、障害者の情報保障に十分配慮して、手話や字幕表示のほか、新しい技術を活用した動画配信の仕組み等を導入するよう、広報担当者による会議などを通じ積極的に働きかけてまいります。
 次に、通信制高校の授業料負担軽減についてでございますが、都認可の私立通信制高校につきましては、国の就学支援金に加えまして、各学校から生徒一人一人の授業料額等の情報を取得し、都の特別奨学金を支給してございます。
 一方、都の指導監督権限が及ばない都認可以外の通信制高校からは、特別奨学金の支給に必要な生徒一人一人の情報を直接入手することが困難でございまして、現行の仕組みはそのまま適用できません。
 そこで、都は、都認可以外の通信制高校の状況を把握するため、本年六月から七月まで、他道府県等の協力を得ながら、各学校に対しまして、都民の在籍生徒数や授業料額、就学支援金額の確定時期等の調査を実施いたしました。
 現在、これらの調査結果等を踏まえ、新たな仕組みについて検討を進めております。
〔交通局長内藤淳君登壇〕

○交通局長(内藤淳君) 双子用ベビーカーに関するご質問にお答えいたします。
 お話にございましたように、都営バスでは、双子用ベビーカーにお子様を乗せたまま安全に乗車できるよう、ベビーカーを固定するベルトの設置や乗務員研修などを進め、今月十四日から周産期母子医療センターを経由する路線など、五つの路線で試行を開始いたしました。
 ご利用の際には、国が取りまとめたルールに基づき、ベビーカーをベルトで固定し、しっかり支えるなど、お客様ご自身で安全を確保していただくとともに、周囲のお客様には譲り合いなど、ご協力をお願いする必要がございます。
 このため、試行開始に合わせたポスターやSNS等による呼びかけに加えまして、今後は、利用方法をわかりやすく伝える動画を作成し、車内のデジタルサイネージで放映してまいります。
 こうした取り組みにより、双子用ベビーカーの利用者を含め、誰もが移動しやすい環境整備に貢献してまいります。

○副議長(橘正剛君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時三十分休憩

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