平成十六年東京都議会会議録第十七号

平成十六年十二月九日(木曜日)
 出席議員(百十七名)
一番谷村 孝彦君
二番東村 邦浩君
三番村上 英子君
四番秋田 一郎君
五番矢島 千秋君
六番鳩山 太郎君
七番後藤 雄一君
八番福士 敬子君
九番林  知二君
十番伊沢けい子君
十一番新井美沙子君
十二番相川  博君
十三番山下 太郎君
十五番河野百合恵君
十六番長橋 桂一君
十七番小磯 善彦君
十八番野上じゅん子君
二十一番高橋かずみ君
二十二番山加 朱美君
二十三番小美濃安弘君
二十四番吉原  修君
二十五番山田 忠昭君
二十六番臼井  孝君
二十七番林田  武君
二十九番山口 文江君
三十番柿沢 未途君
三十一番初鹿 明博君
三十二番酒井 大史君
三十三番清水ひで子君
三十四番かち佳代子君
三十五番小松 恭子君
三十六番東野 秀平君
三十七番藤井  一君
三十八番ともとし春久君
四十一番野島 善司君
四十二番真鍋よしゆき君
四十三番松原 忠義君
四十四番田代ひろし君
四十五番三宅 茂樹君
四十六番川井しげお君
四十七番鈴木 一光君
四十八番吉野 利明君
四十九番こいそ 明君
五十番執印真智子君
五十一番花輪ともふみ君
五十二番真木  茂君
五十三番大津 浩子君
五十四番大塚 隆朗君
五十六番古館 和憲君
五十七番松村 友昭君
五十八番丸茂 勇夫君
五十九番木内 良明君
六十番鈴木貫太郎君
六十一番森田 安孝君
六十二番石川 芳昭君
六十三番土持 正豊君
六十四番倉林 辰雄君
六十五番遠藤  衛君
六十六番鈴木あきまさ君
六十七番近藤やよい君
六十八番串田 克巳君
六十九番中屋 文孝君
七十番三原 將嗣君
七十一番樺山たかし君
七十二番田島 和明君
七十三番宮崎  章君
七十四番大西由紀子君
七十五番樋口ゆうこ君
七十六番中村 明彦君
七十七番馬場 裕子君
七十八番和田 宗春君
八十番大山とも子君
八十一番東ひろたか君
八十二番池田 梅夫君
八十三番中山 秀雄君
八十四番大木田 守君
八十五番前島信次郎君
八十六番桜井良之助君
八十七番新藤 義彦君
八十八番星野 篤功君
八十九番いなば真一君
九十番高島なおき君
九十一番服部ゆくお君
九十二番古賀 俊昭君
九十三番山本賢太郎君
九十四番立石 晴康君
九十五番清原錬太郎君
九十六番小山 敏雄君
九十八番大河原雅子君
九十九番田中  良君
百番小林 正則君
百一番藤川 隆則君
百二番坂口こうじ君
百三番曽根はじめ君
百四番渡辺 康信君
百五番秋田かくお君
百六番中嶋 義雄君
百七番石井 義修君
百八番橋本辰二郎君
百九番藤井 富雄君
百十番桜井  武君
百十一番野田 和男君
百十二番野村 有信君
百十三番比留間敏夫君
百十四番大西 英男君
百十五番山崎 孝明君
百十六番佐藤 裕彦君
百十七番川島 忠一君
百十八番内田  茂君
百十九番三田 敏哉君
百二十番田中 晃三君
百二十一番藤田 愛子君
百二十二番尾崎 正一君
百二十三番土屋たかゆき君
百二十四番富田 俊正君
百二十六番吉田 信夫君
百二十七番木村 陽治君

 欠席議員(二名)
九十七番  大山  均君
百二十五番 名取 憲彦君
 欠員
 十四番  十九番 二十番
二十八番 三十九番 四十番
五十五番 七十九番

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事福永 正通君
副知事濱渦 武生君
副知事大塚 俊郎君
副知事竹花  豊君
出納長櫻井  巖君
教育長横山 洋吉君
知事本局長前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
財務局長松澤 敏夫君
警視総監奥村萬壽雄君
主税局長山口 一久君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長平井 健一君
産業労働局長関谷 保夫君
建設局長岩永  勉君
港湾局長成田  浩君
交通局長松尾  均君
水道局長高橋  功君
消防総監白谷 祐二君
福祉保健局長幸田 昭一君
下水道局長二村 保宏君
大学管理本部長村山 寛司君
病院経営本部長押元  洋君
中央卸売市場長森澤 正範君
新銀行設立本部長津島 隆一君
選挙管理委員会事務局長高橋 和志君
人事委員会事務局長佐藤  広君
地方労働委員会事務局長久保田経三君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君

十二月九日議事日程第三号
第一 第二百十一号議案
東京都行政手続条例の一部を改正する条例
第二 第二百十二号議案
東京都行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例
第三 第二百十三号議案
東京都統計調査条例の一部を改正する条例
第四 第二百十四号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五 第二百十五号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第六 第二百十六号議案
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第七 第二百十七号議案
職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
第八 第二百十八号議案
職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第九 第二百十九号議案
非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第十 第二百二十号議案
東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第十一 第二百二十一号議案
職員の結核休養に関する条例の一部を改正する条例
第十二 第二百二十二号議案
東京都職員の公務災害補償等に伴う付加給付に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第二百二十三号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十四 第二百二十四号議案
東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第二百二十五号議案
東京都情報公開条例の一部を改正する条例
第十六 第二百二十六号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第二百二十七号議案
義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第十八 第二百二十八号議案
学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第二百二十九号議案
公立大学法人首都大学東京に係る地方独立行政法人法第四十四条第一項の条例で定める重要な財産を定める条例
第二十 第二百三十号議案
公立大学法人首都大学東京に係る地方独立行政法人法第五十九条第二項に規定する条例で定める内部組織を定める条例
第二十一 第二百三十一号議案
東京都立大学条例等を廃止する条例
第二十二 第二百三十二号議案
東京都市計画事業大橋地区第二種市街地再開発事業施行規程
第二十三 第二百三十三号議案
東京都市計画事業亀戸・大島・小松川第二地区第一種市街地再開発事業施行規程等の一部を改正する条例
第二十四 第二百三十四号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第二十五 第二百三十五号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第二十六 第二百三十六号議案
東京都立老人医療センター条例の一部を改正する条例
第二十七 第二百三十七号議案
東京都養護老人ホーム条例の一部を改正する条例
第二十八 第二百三十八号議案
東京都結核診査協議会条例の一部を改正する条例
第二十九 第二百三十九号議案
東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例
第三十 第二百四十号議案
東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第三十一 第二百四十一号議案
東京都地方労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第二百四十二号議案
東京都地方労働委員会あつ旋員の費用弁償条例の一部を改正する条例
第三十三 第二百四十三号議案
審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第二百四十四号議案
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第二百四十五号議案
性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第二百四十六号議案
都立青梅地区総合学科高等学校(仮称)(H十六)改修工事請負契約
第三十七 第二百四十七号議案
都立東久留米地区総合学科高等学校(仮称)(H十六)増築及び改修工事請負契約
第三十八 第二百四十八号議案
日暮里・舎人線舎人公園駅(仮称)建築工事請負契約
第三十九 第二百四十九号議案
当せん金付証票の発売について
第四十 第二百五十号議案
東京都水道事業の事務の委託の廃止及び瑞穂町公共下水道使用料徴収事務の受託について
第四十一 第二百五十一号議案
公立大学法人首都大学東京定款について
第四十二 第二百五十二号議案
公立大学法人首都大学東京(仮称)に対する出資について
議事日程第三号追加の一
第一 東京都教育委員会委員の任命の同意について(一六財主議第四二九号)

   午後一時一分開議

○議長(内田茂君) これより本日の会議を開きます。

○議長(内田茂君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(内田茂君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都教育委員会委員の任命の同意についてが提出されました。
 これを本日の日程に追加いたします。

○議長(内田茂君) 昨日に引き続き質問を行います。
 八十八番星野篤功君。
   〔八十八番星野篤功君登壇〕

○八十八番(星野篤功君) 久しぶりに一般質問をさせていただきます。
 東京の緑と環境政策について伺います。
 東京都は、東京の大気汚染対策として数々の政策を打ち立て、努力してまいりました。最近の例では、ディーゼル車規制により東京の空気も幾らかよくなったかなと、これに水を差すようなけしからぬ事件も起きましたが、努力されたことに都民も敬意を表しますし、感謝をしていると思います。きょうは、そうした努力をしております東京都に、私は、東京の環境のために緑の対策をこれまで以上に取り組んでいただきたく、質問をいたします。
 緑に関しては、東京都は、みどり率の向上に向け、農地や樹林地、丘陵地等の保全に取り組まれてきましたが、どの政策を見ても、積極性に欠け、受け身の態勢が目立ちます。かつては武蔵野台地に広がっていた雑木林は、今、その面影を少し残すだけ。それに続く緑の畑、その畑すら、どんどん減るばかり。都市化の波は、ベッドタウンとして多摩地区に押し寄せ、宅地化されてまいりました。
 まじめに農業に携わる農家は、何とか生活の場である畑を守ろうと努力しておりますが、この大きな流れには抗し切れません。減少する東京の緑の中で、農地の減少が最も大きく、農地を保全することは、東京の緑全体の保全にもつながります。農地の減少の最大の原因は、国税である相続税などの高額負担であります。
 東京の農地の総面積は、一九七〇年、昭和四十五年には一万八千六百ヘクタールあったものが、三十三年後の二〇〇三年、平成十五年には八千四百六十ヘクタールに減少、この間で半分以下になっています。この減少した面積は、二十三区の大田区と世田谷区を合わせた面積と同じです。
 地方の農家では、相続時に田畑がなくなるなどの話は耳にしません。私の住む地元のJA東京むさし管内の平均的農家の相続では、相続税額三億から四億円、農地売却面積は二千平方メートル、約六百坪前後とお聞きしています。農家は、山林を持っている場合はまず山林から、その次に、街道筋に屋敷がある場合は、セットバックして街道筋を売却するか、そうでなければ、自分の屋敷から一番遠い農地を売却する例が多く、農地は生産手段ですから一番後になりますが、山林、屋敷林、畑が失われます。
 ちなみに、東京都民がどのくらいの相続税を毎年支払っているか主税局にお聞きしましたところ、平成元年から三年のピーク時には、九千九百五十七億円から一兆三千二百十六億円で、全国納税額に占める割合は四一・六%から三三・三%でありました。バブル崩壊後の現在でも、平成十四年度、全国比で二八・一%の三千六百八億円を都民が負担しています。そのうち農地の割合ははっきりしませんが、相当の割合を占めていると思われます。いいかえれば、国は、相続税という手段で、都民から多額のお金と東京の緑を奪っているということになると思います。
 みどり率から見ても、平成十年までの約二十五年間で、島しょを除く東京の緑は、約七十平方キロメートル減少しています。これは、山手線の内側の面積を超える緑がこの間に失われたことになります。東京都環境白書によりますと、平成十年のみどり率は、区部は二九%、多摩が八〇%、都全体では六三%となっていますが、今後十五年かけて、区部のみどり率を一割増して三二%、多摩地区では、現在の八〇%を維持する目標を立てています。しかし、果たしてこれが達成できるのか非常に疑問です。
 数年前のよく晴れた日に、私は、小河内ダムの堰堤から都心部を見る機会がありました。新宿高層ビル街がそこだけスモッグの中から先端がぼんやりと見えました。周囲がすっきり見える中で、そこだけ雲がかかっている姿は異様でした。東京だけ常に雲の中、こんな状態が毎日であるなら、人間の住むところではないと思いました。
 しかし、現実は、その汚れた空気の中で我々は生活をしているのです。朝、小鳥のさえずりに目を覚まし、窓をあければ日差しがさんさんと部屋の中に差し込む、こんな光景が東京からなくなるのでしょうか。
 農地を守る制度として、生産緑地制度とか相続税猶予制度などがありますが、このままでは、二回、三回と相続を繰り返すことによって、東京の農業は確実になくなります。国が、支援どころか都市の緑を奪うのであれば、東京都自身が本腰を入れ、緑の保全に当たらなければ、オーバーにいえば、将来、東京は人間の住めない大都市となる可能性があります。
 そこで、東京の新しい都市づくりビジョンにおいては、豊かな都市環境の創出に向け、水と緑のネットワークの強化や環境と共生する都市の実現をうたっております。緑の減少を食いとめるには、大都市東京の特性をとらえた都市づくりの観点から、さまざまな制度の活用や誘導政策を指示していく必要があります。失われた緑の回復には、多大なお金と手間暇がかかります。今こそ、都民共有の財産である緑の減少に歯どめをかけなければならない時期に来ていると思います。都民とともに、都庁を挙げて、将来の東京の環境を守るため、全力を尽くしていただきたい。
 ここまで、るる、自然、とりわけ農地を含む緑の保全について述べてきましたが、ここで、東京都の認識と今後の取り組みについて、知事及び関係局長の答弁を求めたいと思います。
 まず第一に、都として、多摩の農地や樹林地が減少していくことについてどのようにとらえ、その保全をどのように進めていこうとしているのか、基本的な見解をお聞きします。
 第二に、都市農業は、都民の食卓に新鮮で安全な農産物を供給するばかりでなく、生産基盤である農地は、緑の景観の形成やヒートアイランド現象の緩和など、都市環境の保全に重要な役割を果たしています。しかしながら、東京の農地は急速に減少し、農地を管理する担い手の高齢化などの危機に直面しています。こうした問題を克服し、農地を保全するための方策について伺います。
 第三に、都市づくりの観点から、緑豊かな都市環境の創出と保全について、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 私は、平成十五年二月の予算特別委員会で、多摩の農地や樹林地が重い相続税の負担によって喪失していくことについて知事に質問し、ご答弁をいただきました。あれから約二年が経過しましたが、改めて今回、多摩の自然、とりわけ農地を含む多摩の緑についてどのように認識しておられるのか、知事のご所見をお伺いしたいと思います。
 緑については以上申し上げましたとおりでございますが、もう一点だけ、身近な小平の話題で恐縮ですが、質問させていただきます。
 府中清瀬線の整備状況について伺います。
 東京の交通渋滞を解消し、活力ある東京の再生を図るためには、都市の骨格を形成する幹線道路を重点的に整備する必要があります。特に多摩地域における骨格幹線道路は、多摩の発展と効果的なネットワークの形成に寄与し、整備効果が極めて高い路線であります。しかし、南北方向の道路整備は、東西方向の道路整備と比べておくれているのが現状であり、これらの整備が緊急の課題です。
 その南北道路の一つ、府中清瀬線の小平市内においては、西武新宿線をくぐるトンネル工事や、多摩湖自転車道内の直径二メートルにも及ぶ太い管をトンネル内でU字型に掘り下げる水道管の移設工事を伴う難工事で、大変ご苦労されたことと思います。しかし、これによって、踏切の渋滞に悩まされていた小平市民はもとより、近隣市の方々の期待は非常に大きく膨らんでいると思います。
 そこで、現在小平市内で整備を進めている府中清瀬線の状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。
 以上です。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 星野篤功議員の一般質問にお答えいたします。
 実は私も学生時代、前期の寮が小平にありまして、あそこに二年間おりました。すばらしい緑に囲まれた環境に非常に愛着がございました。卒業後十年ほどして行きまして、普通の市街地としての開発がもたらした変化に暗然といたしましたが、その後、さらに時間が進んで、津田塾大学との間にありました、非常に象徴的な名前のついた、命の森という非常にこんもりした森は、もうすべて伐採されて住宅地になっているのを見て、これは本当に慄然とした覚えがございます。
 これも一つの私の人生の中の象徴的な自然に関する思い出だと思いますが、いずれにしろ、多摩全体には、雑木林や里山、崖線にわく湧水、これも有名な大岡昇平さんの「武蔵野夫人」の舞台になった、そういう地形があちこちにありまして、都心には全くない風景が続いて、美しい山や渓谷などがありました。また、市街地に隣接しながら、野菜や果樹を生産する貴重な農地もございます。
 さらに象徴的に申しますと、巨木というのは直径二メートル以上の樹木のことをいうそうですが、不明にして存じませんでしたけど、日本の都道府県の中で巨木の数が一番多いのは東京都でございます。そういう特性というものを、私たちのこの郷土が備えているわけですけど、これがご指摘のように侵食されつつあるというのは、非常に悲しい、疎ましい推移だと思いますが、残されている農地や樹林地などの緑は、区部にはない魅力に富んだ空間として、その価値はますます相対的に高まっていると思います。
 自然豊かな多摩の緑こそ、未来に引き継ぐべき都民の貴重な財産として、その保全に積極的に努めていくことが必要だと思いますが、ご指摘のように、これが相続税という国の決めた税法の中で、仕方なしに人間の生死の推移とともに失われていくのは、まことに残念であります。
 前にもお話ししたかもしれませんが、私、予算委員を長らくしておりましたときに、たまたま隣に司葉子さんのご主人の相沢さんが、あいうえお順で座っておりました。日本の相続税、どうしてこういうことになるんだという、私は質問というより詰問しました。そのときに彼から返ってきた答えは、日本は自由経済圏であるから、個人が努力をして、その能力なりに資産を形成することは認めるが、その限界も私たちは別に制限しないけれども、しかし、それが相続によって雪だるまみたいに膨らんでいくということは、やっぱり好ましくない。三代たって初代がつくった財産が相続税によってゼロになることが社会的正義だと思っているというから、私はびっくりしまして、そんなばかな発想をする役人というのは、隣のシナにもソビエトにもいないぞということをいった覚えがございます。
 私は、やはり相続税の日本におけるあり方というものは、特にこういう農業地、都会の潤いを提供している農業地、かつまた、都心にあります、今日では公害も出さなくなって非常に知的に集約された中小企業、これまた二十三区にありますと、地価が非常に高い。これが相続の対象になったときに、非常にすばらしい技術を持っている中小企業が、ばたばたととにかく消えていく、倒れていく。
 こういったものをやっぱり具体的な例として、都知事の責任で国に示しながら、こういう事例は東京に限らずあちこちにあると思いますけれども、相続税制というものを基本的に見直す、ケース、ケースを構えた柔軟性を持った税制に変えていく必要があるのではないか、今でも強く信じております。その努力を続けるつもりでございます。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔環境局長平井健一君登壇〕

○環境局長(平井健一君) 多摩の緑の保全の進め方についてのご質問にお答えいたします。
 緑は、ヒートアイランド現象を緩和し、人に潤いと安らぎを与え、生物多様性をはぐくむなど、都民が快適な都市生活を営む上で欠くことのできないものでございます。
 都は、これまでも、丘陵地の里山保全、多摩の森林再生など、緑の保全や創出のための各種施策に取り組んでまいりました。また、樹林地に係る相続税の納税猶予制度の創設を初めとする税財政措置の拡充について、八都県市と連携して、国に強く要請してまいりました。
 今後も、従来の施策に加え、各局との連携のもと、多摩の緑をつくり、育て、守る、多様な方策を推進してまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 農地を保全するための方策についてのご質問にお答え申し上げます。
 農地の保全を図るため、生産緑地への追加指定を促進するほか、遊休農地の活用や経営として成り立つ農業の実現に努めてまいります。
 近年、新たに農業への参入を希望する都民もふえており、これら新たな担い手と遊休農地とを結びつける仕組みづくりに取り組んでまいります。
 また、都市部には、施設活用による高品質化、栽培期間の短縮など、生産性の向上や地域内流通、いわゆる地産地消によるコスト削減などに意欲的に取り組む農業者も多く、さらに摘み取り農園、体験農園など、都市の立地を生かした収益性の高い新たな農業経営も広がりつつございます。これらの意欲的な取り組みを積極的に支援してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 都市づくりの観点からの緑の創出と保全についてのお尋ねでございますが、東京の緑は、さまざまな都市活動や都市生活と深くかかわっており、都市の再生にあわせて、東京らしい新たな緑づくりを行っていくことが大切でございます。
 都はこれまで、都立公園の整備や幹線道路の緑化などを通じて、緑の質と量の拡大を図るとともに、生産緑地地区制度を活用した農地の保全に努めてまいりました。こうした取り組みをさらに強力に進めていくためには、区市町村のみならず都民や民間事業者などの多様な力を活用することが重要でございます。
 今後、都では、まちづくりの手法を活用した公園整備や、民間が公園を整備する制度を創設するなど、新たな緑の新戦略により、東京にふさわしい緑の保全と創出を図ってまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 小平市内の府中清瀬線の整備状況についてお答えします。
 本路線は、稲城市から清瀬市に至る南北道路でありまして、多摩地域の交通渋滞の解消や都市間連携を図る上で重要な路線でございます。計画延長十七・六キロのうち十四キロが完成しております。
 小平市内では二・七キロが完成し、残る〇・七キロが事業中でございます。現在、西武新宿線をくぐるトンネル工事を進めております。本区間が完成しますと、甲州街道から清瀬市の小金井街道まで十一キロがつながり、南北交通の円滑化が図られます。
 今後とも、地域住民の理解と協力を得ながら、平成十七年度開通を目指して整備を進めてまいります。

○議長(内田茂君) 六十四番倉林辰雄君。
   〔六十四番倉林辰雄君登壇〕

○六十四番(倉林辰雄君) 初めに、横田基地の地元対策を中心にお伺いをしてまいりたいと思います。
 現在、世界規模で進められております米軍の再編の中で、横田基地のあり方についてもさまざまな意見が出ている旨の報道がなされております。地元といたしましても、協議の行方には大きな関心を持っておりますが、十分な情報提供がなされていないのが現状であります。それが地元の不安をさらに増大させる要因ともなっていると申し上げておきます。
 国は、米軍再編について、地元に対して十分な情報提供を行うべきだと考えますが、都は、この問題についてどのように対処しているのかを、まず最初にお伺いいたします。
 ご案内のように、横田基地は七百十四ヘクタールという広大な面積を有していることから、その返還を実現し、多摩地域の活性化に役立てていくべきでありますが、知事は、返還までの対策として、軍民共用化に向けて精力的に取り組んでおられますが、しかし、軍民共用化は、米軍再編の中で先行きが不透明となっているように見えます。
 知事は、十月初め、山崎首相補佐官と面会をし、軍民共用化の促進を働きかけるとともに、十二月初めには、国と都の連絡会が開催されたとも聞いておりますが、この問題が今どのようになっているのか、外部からは全くわからない状況であります。
 米軍再編が日米両政府の重要課題として議論されている中で、知事は、横田基地の軍民共用化をどのように進めようとしているのか、見解をお伺いいたします。
 また、軍民共用化を進めようとするならば、飛行場へのアクセス確保などの周辺の交通基盤整備や騒音対策は欠かせない課題であります。こうした課題については、ぜひとも地元の声を十分に聞きながら、地元の理解を得られるように進めてもらいたいと思います。例えば騒音対策については、実際に共用化がなされると騒音はどのようになるのかといったデータをきちんと示して、地元の不安を払拭するように努めるべきであると思います。
 昨年の第四回定例会における、このような観点からの私の質問に対しまして、知事からは、チャーター便による民間航空機の騒音の実体験や測定を行うことなどについて前向きな答弁はいただいておりますが、こうした点も踏まえ、今後、都としてはどのように騒音対策に取り組んでいくのか、ご見解をお伺いいたします。
 次に、災害対策についてお伺いをいたします。
 ことしは、台風が次々と本土に上陸し、全国各地に甚大な被害をもたらしました。また、十月二十三日に新潟県中越地方において発生をした地震は、大きなつめ跡を大地に刻みました。今年度、災害救助法が適用された自治体は、既に百三十を超えたと聞いております。こうした自然災害を目の当たりにすると、食料や水などの日ごろからの備えの重要性とともに、自助や共助だけでは対応できない迅速な救命救急活動や広域的な支援など、行政が行うべき公助の重要性を再認識いたします。
 新潟県中越地震では、道路の寸断や通信の途絶などにより、山間部において孤立した地域がありました。都においても、多摩西部を中心に山間部が存在し、仮にそういった場所が被害に遭った場合、新潟県と同様に孤立することが予想されますが、都は、山間部の地震対策をどのように考えているのか、お伺いをいたします。
 また、山間部における災害は、資材の搬送の困難性から、復旧工事には相当の期間が見込まれ、被災者の避難生活は長期にわたることが予想されます。このような場合に、都は、長期避難者に対し、どのような支援をしていくのかもお伺いをいたします。
 また、多くの人が被災するような災害では、家族の一員として生活してきたペット動物も、また同様に被災に遭うことになります。
 新潟県中越地震では、犬や猫を連れた家族が避難所に入れず、車で避難生活を送ったために命をなくしたことなどが注目をされました。避難所等での生活を送る被災者にとって、大切にしているペットの存在は、まさに心の支えであります。
 これまでの災害を教訓に、混乱の中で飼い主とはぐれてしまった動物や負傷した動物の保護、さらには、避難された方々が連れてきた動物への対策が求められております。避難所等においては、被災者が連れてきた動物に対する飼育の指導や、一時的に動物を保護する施設が必要だと思います。また、保護された動物が確実に飼い主のもとに戻れるようにするためには、飼い主情報が記録されたマイクロチップなどをつけておくことが大切だと思います。
 そこで、動物愛護の観点から、災害時のペットの動物の救護体制について、都はどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
 先月十七日、中央防災会議の首都直下地震対策専門調査会は、首都圏に発生する可能性のある十八種類の地震について、震度分布を発表いたしました。マグニチュード七クラスの地震が首都直下で発生すると、広い範囲で大きな揺れと災害が発生すると予測をされております。
 今回の予測の中にも含まれております立川断層については、断層を中心としてかなりの揺れが予想されておりますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、豪雨災害対策についてお伺いをいたします。
 人口や資産が集中している東京は、台風や豪雨への備えが、より重要となってきております。日常点検等で補修が必要とされた河川の護岸等は、早急な対策を講じていく必要がございます。十七年度の都の重点事業とされた護岸等の補修を内容とする豪雨災害緊急整備事業は、まことに時期を得たものだとは思いますが、そこで、重点事業の内容を踏まえた護岸補修の取り組みについて伺っておきます。
 水害の抜本的な解消には、河川の計画的な整備が不可欠であります。
 私の地元であります空堀川では、過去に多くの浸水被害が発生しており、本年の台風二十二号の際にも、東村山浄水場付近の中橋では、橋げたの間近にまで水位が上がり、地域住民も不安を抱いておりました。空堀川の整備は進んできておりますが、さらなる安全確保が必要だと考えます。現在の整備状況並びに今後の取り組みについて、お伺いをいたします。
 次に、地籍調査事業について伺います。
 災害復旧・復興を円滑に進めるには、事前に、土地に関する基礎的な情報を整備することが重要であります。被災時の混乱の中では、土地境界の立ち会いもままならず、確定に時間がかかり、また、境界が確定するまでの間は、銀行融資さえ受けるのが難しく、何も手がつけられないのが実情であります。
 一方、東京は、都市再生特別措置法を契機とした民間都市開発プロジェクトが数多く立ち上がっております。このようなプロジェクトでは、土地の権利調整や境界確定に多大な時間と経費を要する事例が多く、プロジェクトを円滑に推進するためにも、地籍の明確化を図る地籍調査事業を積極的に推進することが重要と考えます。
 そこで、東京における地籍調査事業の実績について、まずお伺いをいたします。
 また、東京では土地の資産価値が高いことから、土地が細分化され権利関係もふくそうしております。土地所有者に立ち会いを求め、境界を確認していく地籍調査事業は、容易なことではないと思います。現在、地籍調査事業は、土地家屋調査士など民間専門業者に委託ができると聞いておりますが、このような制度を活用し、事業の迅速化を図っていく方法もあるかと思いますが、今後、地籍調査事業を推進していくためにどのように取り組んでいくのか、お伺いをしておきます。
 次に、財政問題についてお伺いをいたします。
 バブル経済崩壊以降、日本経済は、これまで経験したことのないほど、長く暗い停滞期に陥りました。この暗やみはもう明けないのではないか、かつての日本は単なる昔話になってしまったのかと思わせるほどの長きにわたるものでありました。
 しかし、明けない夜はないという言葉のとおり、ことしに入って、日本経済にもようやく一筋の光が差し込んできたやに思えます。このまま日が上り、本当の夜明けが訪れることを祈る日々でありますけれども、日本経済の周辺環境を見ると、原油価格の異常なほどの高騰、アメリカ経済の成長の衰えなどの不安要素が点在しており、再び厚い雲が立ち込め、光が遮られてしまうのではないかという不安感が漂っております。
 都内の産業に目を転じますと、都が発表をしております東京都中小企業の景況にもあらわれているとおり、依然として、景気は悪いと判断している企業が多くを占めている状態であります。
 今見えている一筋の光が雲に遮られないように、そしてこの光を真の夜明けへと結びつけるように、切れ目のない施策の展開を図ることが、行政の重要な役割であると考えます。そのためにも、昨年度、端境期においても施策の展開が途切れないように、たしか補正予算を編成し、安定した継続的な事業量の確保を図りましたが、本年度においても、次期定例会で、施策の継続に注目した補正予算を編成することが必要であると考えますが、所見をお伺いいたします。
 最後に、土地収用制度について、その活用について伺います。
 多摩地区を初め東京の都市インフラの整備は、まだまだおくれております。都市計画道路の整備などを中心に、地域の発展のためにも国際競争力を高めるためにも、まちづくりの推進は必要であります。二ツ塚処分場などのトラスト事件を契機として、平成十三年には知事の力添えにより土地収用法の改正が行われ、公共事業の整備に向け、より一層手続の効率性が確保をされました。
 しかし、まだ公共事業が難航しているのが実態であります。特に、区市町による用地取得は、依然として任意交渉に固執している実情にあります。
 例えば、私の地元の東村山市でも、一件が反対をしているために、二十年も市道が開通しない事例があります。こうした背景には、収用制度活用に対する区市町の消極姿勢に加え、地域の住民や権利者から見ても、制度やそのメリットなどが理解されにくく、収用制度そのものが敬遠されていることが、原因として挙げられるのではないでしょうか。
 東京都収用委員会において取り扱う収用事件全体のうち、聞くところによりますと、区市町に関する割合は、一割を切る状況が続いております。実績の面からも、活用状況の低さがうかがわれます。
 そこで、なぜ区市町において収用制度が活用をされないのか、また都民や権利者から理解されないのか、その主な原因についての所見を伺っておきます。
 収用委員会事務局は、収用制度の活用状況とそれを踏まえた今後の活用促進に向け、先般、収用制度活用プランを発表いたしました。この活用プランを踏まえ、特にこれまで制度の活用に消極的であった区市町に対し、制度の活用を促進するための働きかけを行っていくことが必要であります。
 同時に、権利者や都民の権利保護のためにも、収用制度に関する意識の向上を図っていくことが重要ではないでしょうか。
 今後、区市町において、収用制度を積極的に活用していくことや、権利者や都民に対し制度の周知を図るため、いかなる具体的な取り組みを行っていくのかをお伺いいたします。
 この活用プラン、ひいては収用制度が有効に機能し、地域のまちづくりにとっても、東京全体のまちづくりにとっても、大いに貢献されるよう強く期待を申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 倉林辰雄議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、横田基地の軍民共用化の進め方についてでありますが、昨年の五月に、小泉総理がテキサスでブッシュ大統領と会談した折に、前日にも電話がありまして、外務省を介在させずに自分が自分の責任でこの問題を持ち出すということで、ブッシュもそれを受けとめて、わかったと。これは、この日米間の国家対国家のこれからの問題の一つとして自分は認識したという答えがありました。
 以来、アメリカ側では非常に大きな変化がありまして、国務省マターを飛び越して国防総省の問題になりまして、そういう点、非常にアメリカは早くて、私にじかに、太平洋の全体の総司令官から連絡があったりしましたが、その後、実はイラクをめぐる、パレスチナをめぐる中近東での緊張の拡大、それから先般は国連で北朝鮮の外務次官がはっきりと、我々の国は核兵器を完成したという記者会見も、明言をしました。それを搭載できるミサイルが果たしてあるかどうか、その兼ね合いはまだ不明でありますけれども、いずれにしろ──それと中国の軍事力を拝見して、覇権主義的な行動、これも既にクリントンの時代からあらわれていまして、クリントンはダブルスタンダードで中国とつき合っておりましたが、同時に一方では、当時の橋本首相をサンタモニカまで呼び出しまして、日米安保に関する、いざというときの新しいガイドラインというものを設定して、日本もこれを了としたわけです。
 我々認識しなくちゃいけないのは、日本が今直面している戦術、戦略的な状況というものは、米ソが正面から対立して、主に、非常に強い緊張感がヨーロッパを覆っていた、あの冷戦構造のときよりも、つまりあれはヨーロッパ向けに、ロシア、ソビエトがたくさんの核兵器を配備した。それに対抗して、核は積んでおりませんが、非常に航続距離のある強力な破壊力を持ったパーシングミサイルを、アメリカがソビエトの国境近辺に多数配備して、ソビエトの中枢部というものの破壊の可能性を、要するに軍事的に示唆した。それによって、結局ソビエトは降参してペレストロイカが始まり、ベルリンの壁も破れたわけでありますが、あの時期に比べて、日本の今日置かれている状況は、はるかに緊張度の高いものだと思います。それを私たちはまず認識した上で、その横田に関する問題を考える必要があると思う。
 しかし、ラムズフェルドがいい出した米軍のアジアにおける軍事力の再編整備というものは、そういう状況を念頭に置いたものでありますけれども、事空軍に関しては、主戦力は機材的には全部といっていいぐらいグアムに移しました。今あそこで使われている軍用機というのは限られたものでしかなくて、この間、三回も不時着したというヘリコプター、こちらも強く文句をいったんですが、調べてみますと、何とベトナム戦争のときに使ったものを直し直し使っているんです、そんなものは日本だったら使わないような古い飛行機を使っているから、途中で故障を起こして不時着したりしたんでしょうが……。
 一部には、軍民共用から軍軍民共用という声も出て、これはアメリカ側からも日本側からも出ているような、出ていないような、ここら辺のところは、非常にちょっと、まだあいまいな情報しかございませんが、しかし先般も、実は東京を組み込んだ官邸と外務省と防衛庁、この数者から成る連絡会議を、しかるべき時期に、できれば年内にアメリカ側と具体的な相談するために、二度目の準備会を開きました。そこでもいろんな問題が出ましたが、ここで申し上げられるものと、申し上げられないものもございますけれども、そんなこんなで、さまざまな憶測情報が飛んでおりますが、これはやっぱりある時点で、きちっと整理する必要があると思う。
 ただ、あの飛行場を、米軍がある形で使う、同時に日本は民間使用をする、そこに日本の航空自衛隊が何かの形で参加していくことがあり得たにしても、それは空軍に関する情報のセンターというものの整備だと私は思います。それは、飛行機がそれによって一台もふえることは、まずございません。全然違った意味合いでの、その空軍のヘッドクオーターが、今もあそこにあるわけですけれども、それがとにかくどういう機材を持ってきて整備するか知りませんが、つまり情報、航空関係の、空の軍事関係の情報を集約する、私は一種のウオーニングシステムのようなものを考えているんだと思います。これは憶測ですが。その限りでいって、それに必要な飛行機がじゃんじゃん飛んでくるということは、これは絶対にありません。人間の行き来はありましても。
 しかし、これはかなり日本のこれからの将来にとって大事な一つの、一種のブレーン、頭の部分になるわけでありますから、それは、それが機能することは日本の確実な防衛にもつながるわけでありまして、本質的には歓迎すべきことでしょう。
 大事なことは、そういう重要な機能を持つ横田に、横田が変貌していくならば、それに付随した社会資本というものの整備は、これはやはり国の責任ですべきでありまして、ここら辺がやっぱり肝心なことだと思います。それ以上のことはもう申しませんが、いずれにしろ、こういった視点から、これからも官邸とも緊密な連絡をとって、事を具体的に詰めてまいります。
 これぐらいいってもいいでしょう。実は先般も、細田官房長官と大野防衛庁長官と、さるところで三人で会いました。いろいろ具体的な突っ込んだ話もし、意見の交換もしました。私は、その意味では、非常に事は進みつつあるし、結果として、日本の国益にとって、防衛というものを含めて、横田が今までなかった形で、軍事的には活用されると思います。しかし、断っておきますけれど、そのために飛行機がふえるということは一切ありません。
 同時に、別の席で、アメリカのある高官が、東京側の幹部に、このままでいくと横田は全面返還に形としてなりますなと、苦笑いして冗談でいったぐらい、私はあそこの、要するに滑走路としてのユーティリティーというものは、これからの日米の戦略展開の中ででも、激変していくと思います。
 ゆえにも民間というものの活用の度合いが増してきて、最初、どういうわけか外務省が非常におずおずした形で、向こうからどういうコンセプトで横田を考えているんですかといわれたときに、一日十五機ぐらい飛ばしたいと、ばかなことをいった。私は激怒したんですけれど、向こうもせせら笑っていました。それなら石原が出てくる筋もないだろうと。チャーターで飛ばしゃいいじゃないかみたいな話でね。
 ですから、これは、ある意味で隣の埼玉県も、それから山梨県も、それから長野県の知事も、あるいは神奈川県も、北部の方々というのは非常に便利な空港になってきますので、そういう点では、地域のにぎわいだけではなしに、人間の往来、商売の往来ということで、私は画期的な、ここは展開を示すと思っております。
 次いで、補正予算についてでありますけれども、十六年度の当初予算では、治安の回復、福祉施策、中小企業対策など、都政の重要課題に財源を重点的に配分し、対応してまいりましたが、東京の再生の足取りをより確かなものにしていくためには、年度の途中とはいえ、さらなる取り組みが求められていると思います。
 景気は、回復はしてきていますが、しかし、まだまだマイナス要件も派生してきておりまして、先行きは不透明な状況であります。ご指摘のように、多くの中小企業は、一部の勝ち組を除き、依然として困難な状況にあります。こうした中、厳しい財政状況ではありますけれども、今後、補正予算の編成について、十分に検討していくつもりでございます。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔知事本局長前川燿男君登壇〕

○知事本局長(前川燿男君) 横田基地に関する二点のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、米軍再編に関する情報提供についてでありますが、在日米軍の再編は、国の防衛に属することではありますが、関係自治体には、当然適切な情報提供がなされてしかるべきであると考えております。
 都は、これまでも、八月六日には都も一員である渉外知事会から、同月三十日には横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会から、また十一月には政府提案要求の中において、米軍再編に関する情報提供と関係自治体からの意見聴取を国に要請してまいりました。
 また、報道内容などにつきましても、事実確認のため、外務省や防衛庁に、その都度問い合わせを行っておりますが、国は、具体的な検討を行っている段階ではないとの回答に終始しているのが実情でございます。
 次に、横田基地の軍民共用化に伴う騒音対策についてでありますが、これは制度上、基地を管理する国が実施することとなりますが、当然、地元の理解と協力を得ながら進めていくことが、何より必要であると考えております。
 今後、都といたしましても、国の関係省庁とも連携して、ご指摘の点も踏まえながら、具体的な騒音対策の検討を行ってまいります。
 また、お話にもありましたが、共用化に伴う騒音影響についてのデータをわかりやすく示すなど、地元の方々の理解を得る努力をしていきたいと考えております。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 災害対策についての三点の質問にお答え申し上げます。
 まず、山間部の震災対策でございますが、都はこれまでも、地域防災計画に基づきまして、地すべり防止や道路の整備、ヘリポートの設置などを進めてまいりました。
 今回の新潟県中越地震におきましては、情報連絡体制や救出救助のあり方など、山間部の孤立化によるさまざまな課題が浮き彫りになりました。
 このため、本年十一月に、関係市町村、防災機関などとともに、東京都山間部地域防災対策会議を設置し、災害時におけます通信手段の確保や救出救助方法などについて、検討を開始いたしました。今年度中には、具体的な対策を取りまとめる予定でございます。
 次に、長期避難への対応についてでございますが、山間部が地すべりなどで大きな被害を受けた場合には、被災住民が長期避難を余儀なくされることも考えられます。
 このため、都は、地域防災計画に基づきまして、公的住宅や民間賃貸住宅の空き家の一時的な供給、応急仮設住宅の建設などによりまして、早期に居住環境を確保いたしますとともに、関係市町村と連携しながら、税や授業料等の減免、災害援護資金の貸し付けなどの生活支援を行うことにしております。
 また、避難が長期化しないよう、道路など公共施設や水道、電気などのライフラインの復旧を促進してまいります。
 次に、立川断層についてでございますが、都は、平成九年度から十一年度まで、専門家によります調査を実施いたしました。この結果、活動間隔や最終活動時期の推定から、断層が極めて近い将来に動く可能性は小さいと考えられるとされました。
 一方、国の首都直下地震対策専門調査会は、予防対策の対象とする地震の一つとして、立川断層を震源といたします地震を想定し、震度分布を発表いたしました。
 都といたしましては、今後、専門調査会の検討状況を注視しながら、引き続き市町村と協力して、地震対策の充実を図ってまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 災害時のペット動物の救護体制についてのお尋ねにお答えいたします。
 都は、災害時における動物の保護体制について、動物愛護の観点から地域防災計画に定めております。具体的には、災害の初期段階で、都が動物の保護班や医療班を編成し、被災地において、ペット動物の保護、施設への搬送、けがなどの手当てを行うとともに、動物愛護団体や獣医師会が行う動物の一時保護や引き渡し、譲渡などのボランティア活動を支援することとしております。
 なお、お話しのペット動物の身元表示については、動物が飼い主のもとに確実に戻るための手がかりとなるよう、平常時から飼い主への啓発に努めておりますが、今後一層、その普及啓発に力を尽くしてまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 河川に関する二点の質問にお答えします。
 まず、緊急防災工事の取り組みについてでありますが、洪水などの災害から都民の生命と財産を守るには、河川の護岸を適切に維持管理することが重要でございます。
 都では、これまで、日常点検に基づく護岸補強や根固めなどの防災工事を実施してまいりました。また、本年七月の新潟や福井の豪雨災害を受け、水防上注意を要する箇所など、五百九十四キロの護岸を緊急点検いたしました。
 この結果、護岸に亀裂などが認められた河川のうち、早急な対応が必要な箇所について本年度じゅうに応急対策を行います。
 さらに、大栗川など十五河川につきましては、十七年度に重点事業の豪雨災害緊急整備として、本格的に防災工事を実施してまいります。
 次に、空堀川の整備についてでございますが、現在、一時間五〇ミリの降雨に対処するため、東村山市、東大和市で護岸の整備を実施しておりまして、計画延長十四キロに対する平成十五年度末の整備率は七〇%でございます。
 東村山市内におきましては、東村山浄水場付近の西武多摩湖線の橋梁や中橋のかけかえを実施しておりまして、十八年度までにすべての護岸整備の完了を目指してまいります。
 また、東大和市内につきましては、今年度新たに、庚申橋から上流〇・六キロ区間の事業認可を取得します。今後、実施中の区間も含め、市内全域において着実に整備を進めてまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 地籍調査に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地籍調査事業についてでございますが、本事業は、土地の境界や権利関係を明確にするものであり、地震対策や都市再生を迅速に進める上で極めて重要であると認識しております。
 お話しの事業の実績といたしましては、全国では四六%が調査済みであるのに対し、土地が細分化され、権利関係もふくそうしている都におきましては、区部二%、多摩部六%、島しょ部九六%であり、都全域では一八%にとどまっております。
 また、事業に着手している区市町村は二十九、三十三は未着手という状況でございます。
 次に、地籍調査事業の今後の取り組みについてでございますが、本事業を効果的に推進していくためには、木造住宅密集地域や都市再生を促進すべき地域を優先的に実施することが重要と考えております。
 国においても、都市再生を推進するために、都内の人口集中地区において、二百メートル間隔の測量基準点を本年度から三年間で設置する予定でございます。
 都といたしましては、このような国の動きをとらえ、事業に着手していない区市町村への働きかけを強化するとともに、その実施に当たりましては、広く民間技術者を活用するなどして、事業のスピードアップが図れるよう努めてまいります。
   〔収用委員会事務局長嶋津隆文君登壇〕

○収用委員会事務局長(嶋津隆文君) 土地収用制度に関する二つのご質問にお答えをいたします。
 まず、収用制度の区市町における活用状況でございますが、土地収用制度につきましては、平成十三年の法改正により、手続の効率化が図られたところでございます。しかしながら、区市町におきます活用については、議員ご指摘のとおり、大変少ないという実情にございます。私どもが最近行いました実態調査によりますと、その主な原因は、区市町からは、権力的なイメージが強い、制度や手続に関するノウハウが不足しているといったことが挙げられてございました。
 また、都民や権利者からは、制度自体になじみが薄い、手続に時間を要する、収用手続が複雑である、こういったことが収用制度の理解されにくい理由として挙げられてございました。
 次に、こうした実態を踏まえて策定いたしました収用制度活用プランによる具体的な制度の周知等、活用方の取り組みについてのお尋ねでございますが、まず、すべての区市町の首長さんに直接お会いして、収用制度に関するPR活動を行いたいというふうに考えてございます。あわせて、区市町の職員を対象とした研修や出前講座など、スキルアップ計画なる計画を実施してまいりたいというふうに考えてございます。
 また、事務局の中に相談支援センターを設置いたしまして、収用制度に対します権利者からの相談や都民からの問い合わせに総合的に対応してまいりたいとも考えてございます。
 さらに、事件処理の短縮につきまして、従来の約半分に近い十カ月程度の処理を目指すということにいたしまして、一層の迅速化、効率化を図ってまいりたいと考えてございます。
 かように、起業者と権利者に対する公正な手続の確保を基本としつつ、早期の紛争解決を通して、首都東京のまちづくりに貢献できますよう積極的に取り組んでまいるつもりでございます。

○議長(内田茂君) 三十六番東野秀平君。
   〔三十六番東野秀平君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三十六番(東野秀平君) 初めに、震災対策について伺います。
 私は、先月の初め、公明党新潟中越地震対策本部の一員として、震災現場を訪れてまいりました。震度七を記録した被災現場は想像を絶するものであり、被災者の皆様の苦悩ははかり知れないものがありました。心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を願うものであります。
 以下、関連して質問をいたします。
 第一に、今回の新潟中越地震では、学校や公民館などの公的施設に加えて、避難所として、ホテルや旅館などの民間宿泊施設の借り上げを実施し、被災者に無料で提供しております。
 都の災害対策においても、圧倒的に不足することが予想される被災者の避難所確保策として、都内や近県の旅館、ホテルを確保できるよう協定を締結すべきと考えますが、見解を伺います。
 第二に、トイレ対策でございます。
 今回の地震では、トイレを我慢するために水分を控えていた方が、エコノミークラス症候群と思われる症状で亡くなった事例が報じられております。とりわけ、人口が密集している東京では、仮設トイレの確保は重要な課題であります。
 都では、下水道のマンホールをそのまま利用する、便槽を必要とせず収納スペースを要しない仮設トイレの設置を準備していますが、災害時の重要な施設である約二千カ所の避難所の周辺のマンホールを積極的に活用すれば、震災時のトイレ対策は大幅に改善されるという検討結果があります。
 現在、下水道局では、四百五十個程度の仮設トイレの設置できるマンホールを指定しております。仮に、避難所一カ所当たり五個程度として、二千カ所で合計一万個程度の整備を当面の目標とすべきであります。
 そこで、まず、下水道のマンホールを利用した仮設トイレの設置要件について明らかにされたいと思います。
 さらに、マンホールを利用した仮設トイレの設置促進については、関係区との連携をも踏まえ、積極的に取り組むべきであります。見解を伺います。
 第三に、障害者への対応について伺います。
 今回の新潟中越地震の際、聴覚障害者が何日間も行政からの連絡がなく、また市の広報車が近くを通っても、何を呼びかけているのかわからなかったため、一週間も置き去りにされたというケースがありました。被災地の聴覚障害者からは、健常者と同じ情報が欲しいとの切実な訴えがありました。
 まず、都の聴覚障害者の方々への災害時における対策を伺います。
 障害者や要介護高齢者などは、災害弱者あるいは災害要援護者と呼ばれており、日ごろから各自治体がその情報を把握しておくことが必要とされております。しかしながら、先日発表された消防庁の全国調査では、消防防災部局が災害要援護者の状況を把握している自治体は、約二割でありました。東京都でも実態は同様であります。これでは、災害発生時に自治体と防災部局との連携に支障を来すことが懸念されます。
 そこで、都は、区市町村に対して、災害要援護者の把握を強く要請すべきであります。また、障害当事者や障害者団体等に対策を十分周知するとともに、具体的対応のあり方についても十分な協議を日ごろから行うべきと考えますが、あわせて見解を伺います。
 次に、心の東京革命について伺います。
 心の東京革命では、心の東京ルールとして、ねだる子どもには我慢をさせようとか、他人の子どもでもしかろうなど、七つの呼びかけを行っています。しかし、この呼びかけがどのぐらい浸透しているかと考えるとき、極めて不十分な実態があります。
 多くの人が集まる公共の場において、基本的なルールやマナーを守ることは社会の一員として当然の心得だと思いますが、現在の公共の場でのマナーの実態についての認識を伺うとともに、最も基本的、日常的な生活の現場での人としてのマナーの遵守などの重要性について、知事の率直な見解をまずお聞かせいただきたいと思います。
 最近では、民間でもボランティア団体やNPOなどが子どもたちとキャンプを行ったり、お祭りを実施するなど、地道な活動に取り組んでいます。また、私の知人は、社会活動を営む上で、生きるとはどういうことか、そして生きるために何が必要かということを専門家に任せず、親と子が真剣に話し合って実践すべきだという運動を提唱しております。
 今後、都は、心の東京革命のメッセージがより幅広い都民に届くよう、社会的なマナー向上に取り組んでいるこうした団体やNPOとの連携を深めるべきであります。見解を伺います。
 次に、東急自由が丘駅付近の踏切対策について伺います。
 自由が丘地区は、目黒区における最大の広域的商業拠点の一つであり、文化性、ファッション性の高いイメージのまちとして発展してまいりました。こうしたまちのイメージを生かしたまちづくりを進めるため、目黒区では、市街地の整備改善と商業等の活性化を目指し、平成十四年三月に中心市街地活性化基本計画を策定いたしました。
 この計画により、平成十四年七月に、地元の商店街振興組合や町会等が主体となり、まちづくり会社、いわゆるTMOが設立されるなど、まちづくりに対する地元の機運が近年急速に高まっています。
 こうした状況のもと、現在、目黒区とTMOでは、自由が丘の市街地の整備に向けて、生活道路の整備や自由が丘らしい街並みづくりの形成など、具体的なまちづくり計画の検討が進んでいます。
 まず、このような地元によるまちづくりに対して、都としても大いに支援をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、こうした自由が丘のまちづくりを促進する観点からも、踏切による地域の分断や交通渋滞の解消が重要であり、早期に踏切対策を検討すべきと考えます。東急自由が丘駅周辺の踏切問題に関する都の認識を伺うとともに、踏切対策についての今後の都の具体的な方針を明らかにされたいと思います。
 ところで、このような自由が丘を初めとして、都内には歩行者中心のまちづくりを推進する観点から、鉄道立体化を図ることにより、大きな効果が期待できる地域が幾つか存在いたします。こうした都民生活に密着した駅周辺からの都市の再生をも視野に入れたまちづくりを進めるべきであります。幹線道路の整備のみを必要条件とするのではなく、まちづくりの面からも鉄道立体化を進めていく新たな方策も検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、中目黒地区の活性化について伺います。
 中目黒地区は、最近、渋谷区代官山地区とともに人気スポットとなっております。ヒルサイドテラスを中心とした代官山は、おしゃれなまちとして有名ですが、目黒川に沿ったかいわいも個性的なブティックやレストランが次々と進出し、桜の時期には多くの人が訪れます。また、武蔵野の面影を残す緑と鎌倉街道という歴史的遺産があり、大正時代に建てられた旧朝倉家住宅も、本年十月、重要文化財に指定するよう、文化審議会から答申がされたところであります。
 これらの二つの地区の中間、上目黒に旧国鉄官舎の跡地約八千平米の土地があり、都と区が半分ずつ所有しています。この土地を効果的に活用することで、地区間の連携ができ、地域全体の活性化を促し、新しいトレンドが生まれることが期待されます。
 そこで伺います。
 まず、跡地活用に際して、民間事業者のノウハウや資金力を生かすことが重要だと思います。都は、これまでも、民間活力を生かした事業を先駆的に実施してきております。旧国鉄官舎跡地の活用においても、これらの成果を生かし、民間活力を導入すべきと考えます。今後、都としても、リーダーシップを発揮して、地域にふさわしい跡地活用の方策を取りまとめ、まちづくりを進めるべきと考えます。
 また、跡地周辺の、現在目黒区への移管が検討されている都営住宅の敷地及び隣接する民間遊休地を視野に入れた一体的なまちづくりを進めるべきと考えますが、あわせて見解を伺います。
 最後に、老人クラブ及び東老連大学校について伺います。
 急速に進む高齢化社会において、高齢者が老後も元気に地域において活動を続けることは大切なことであり、その点、各地域における老人クラブの存在は大変に意義あるものと考えます。
 東京都では、区市町村を通じて、各老人クラブ及び老人クラブ連合会への活動費の助成を行っているほか、東京都老人クラブ連合会の活動に対する支援も行っています。老人クラブの活性化のために、老人クラブにおける、いわゆる若手高齢者のリーダー養成が重要であり、その点で、連合会がかつて行っていた東老連大学校の活動は極めて重要な意議を持つものでありました。この際、かつて実施されていた大学校の内容と意義を明らかにされたいと思います。同時に、改めて、東老連大学校の復活のための支援を強く求めるものであります。
 見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 東野秀平議員の一般質問にお答えいたします。
 人間としてのマナーの遵守の問題でありますけれども、かつて、日本人の精神性には、有名なベネディクトの「菊と刀」にも語られておりますように、恥を忌み嫌う崇高なものがありました。
 どうも当節の社会風俗を眺めますと、日本人がそういった観念といいましょうか、精神性といいましょうか、人間のしんにあるものを失うというか、希薄になってきたような気がいたします。これはいろんな諸条件が加わってのことでしょう。結局、家庭においてもそうでありますけれども、親子という大事な人間関係、まして外側では、友人とか企業の中での、組織の中での人間関係というものの連帯感が喪失されて、個人個人のエゴは非常に肥大して、しかし中身は非常に衰弱しているという、そういう兆候のあらわれだと思います。
 特に、青少年の公共の場での行動には、もう目を背けるような行動が非常に多くて、問題があると思いますが、ただ、これは何も若い人だけじゃなしに、この間、おもしろい話を聞きましたが、比較的暇な時間の電車の中で、どこかへ出かけていく女の子が隣で何か道具を広げて化粧し出したんで、横に座っているおじさんが、あんた、やっぱり若い女の子が電車の中でそういうことをするもんじゃないよといったら、いいじゃないの、知らん顔していたら、そのうちに携帯電話がかかってきたら、そのおじさんが、あ、もしもしってそこで返事して、(笑声)おじさんだってそうじゃないっていわれて、まあ返す言葉もなかったようでありますが、ルールやマナーの遵守とは、自分が望まぬことを他人に向かって行わないという基本的な控え目な姿勢だと思います。
 次代を担う子どもたちに、親と大人が責任を持って正義感、倫理観、人が生きていく上で当然の心得を伝えていくということが必要で、これをあえて心の東京革命とうたって、割と当たり前のことを何項目か挙げて普遍しようと努力をしておりますが、これはもう一部の人たちでできることでもございません。別にその運動に参加する、しないは別にして、我々は、ある人生の経験を経た、人生の先達たちが若い人たちに、人間が人間の社会の中で生きていくための基本的なルールというんでしょうかね、そういったものを折節にわかりやすく教えてやるということが必要だと、改めて痛感する今日でございます。
 他の質問については、関係局長が答弁いたします。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 震災対策及び東老連大学に関する四点のご質問にお答えいたします。
 まず、避難所の確保についてでありますが、今回の新潟県中越地震では、避難の長期化により、避難住民のプライバシーの確保や心のケアの実施、疲労による休養施設の必要性などの問題が指摘されております。
 災害発生時に、被害状況に応じて避難所を設置することは、区市町村の役割となっておりますが、都では、避難所管理運営の指針を策定し、避難所の運営が円滑に行われるよう、基準や方法を定め、区市町村に示しております。
 今後、お話のホテル、旅館など、民間宿泊施設の活用なども含めまして、避難所運営にかかわる課題の整理に努め、そこから得られた結果を指針に反映させるなど、区市町村が避難所の運営を適切に行えるよう支援してまいります。
 次に、災害時の聴覚障害者への対策についてでありますが、聴覚障害者は、情報入手やコミュニケーションが困難であることから、災害時においては、避難などに関する情報を入手したり、発信したりする手段を確保することが不可欠であります。
 このため、警察や消防におきましては、聴覚障害者からの電子メールなどによる通報システムが整備されているほか、区市町村においては、字幕、手話放送や災害時の緊急信号を受信できる情報受信装置の給付を行っております。
 また、都は、聴覚障害者が日ごろから準備すべき防災対策や災害時の行動などに関し、既に指針を策定しており、この指針に基づきまして、区市町村が防災行動マニュアルを早期に作成するよう、今後とも働きかけてまいります。
 次に、災害要援護者の把握などについてでありますが、災害発生時に迅速かつ適切に災害要援護者を支援するためには、区市町村が日ごろから災害要援護者の所在などについて情報を把握しておくとともに、地域における協力体制を確保しておくことが重要であります。
 都は、災害要援護者の把握や防災行動マニュアルの策定などを区市町村に働きかけ、安全対策の徹底を図るとともに、災害時における障害者への対応について、障害者団体や民生・児童委員等を通じて周知を図ってまいりました。
 今後とも、あらゆる機会をとらえて災害要援護者の防災対策の強化に努めてまいります。
 最後に、東老連大学校についてでありますが、本事業は、東京都老人クラブ連合会が若手高齢者のリーダーを育成するため、クラブ運営やリーダーのあり方を内容とする講座などを行う事業で、全国老人クラブ連合会からの助成を受け実施してまいりましたが、平成十四年度で運営を取りやめております。
 現在、東京の老人クラブは、高齢者が興味を持てるような活動メニューが少なく、会員数が伸び悩むなどの課題を抱えております。本事業のような場で育成された人材が魅力的な活動を展開することは、高齢者の入会を促し、老人クラブを活性化させる有効な手段の一つになると考えており、お話も踏まえながら検討してまいります。
   〔下水道局長二村保宏君登壇〕

○下水道局長(二村保宏君) 震災時のトイレ対策について、二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、下水道のマンホールを利用した仮設トイレが設置できる条件についてでございますが、設置場所は、車両の通行を妨げないこと、避難路の確保や救援、救護活動などに支障とならないこと、投入したし尿が下水の流れを阻害しないこと、さらにマンホールぶたが容易に開閉できる構造となっていることなどが必要でございます。
 このような条件をもとに、関係区と協議した上で、仮設トイレを設置するマンホールを指定しております。
 次に、 普及拡大についてでございますが、ご指摘のとおり、区が設置する仮設トイレにつきましては、避難所内の排水設備のほか、周辺道路の下水道マンホールを利用することも有効な方法と考えております。
 このため、避難所周辺のマンホールが条件に合致するかどうかの調査を行いますとともに、区や地域の方々と連携して、マンホールを利用した仮設トイレの設置訓練などを実施しているところでございます。
 今回の新潟県中越地震の教訓を踏まえ、区の仮設トイレ設置計画と整合を図りながら、普及拡大に向けて取り組んでまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) 社会的なマナー向上に取り組んでいるNPOなどとの連携についてでございますが、社会の基本的ルールを子どもたちにきちんと教え、伝えていくためには、都民や関係団体等と協力し、家庭、学校、地域そして社会全体の運動として展開していくことが必要でございます。
 このため、心の東京革命では、心の東京革命推進協議会を中心としまして、子ども会など民間団体と協力して、マナーの向上を目的とする、あいさつ運動などに取り組んでおります。
 ご指摘の趣旨を踏まえ、今後とも、子どもたちの社会性をはぐくむ活動を実施している団体や、環境浄化活動の実践からマナー、ルールを学ぶNPOなどの民間団体等と連携し、心の東京革命の積極的な普及に努めてまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) まちづくりに関する六点のご質問にお答えいたします。
 まず、自由が丘地区のまちづくりについてでございますが、東京の活力や魅力を高めるためには、都心や副都心などに加え、地域ごとに個性的で魅力ある拠点を育成していくことが重要でございます。
 都は、自由が丘を、ファッションや文化を発信する魅力と活気あふれる地区として育成するよう位置づけており、地元目黒区においても、駅周辺市街地の整備や、安全で快適な歩行者ネットワークの形成など、拠点整備に向けた検討が進められております。
 今後、都は、自由が丘地区のまちづくりの推進に向けて、技術的助言を行うとともに、まちづくり交付金の導入が図られるよう、区の取り組みを支援してまいります。
 次に、東急自由が丘駅周辺の踏切問題に関する都の認識についてでございますが、自由が丘駅周辺では、大井町線の緑が丘駅から等々力駅までの間に、都道自由通りを含む十七カ所の踏切があり、交通の円滑化や地域分断の解消などが、まちづくりを進める上での課題となっております。
 このため、都といたしましては、本年六月に策定いたしました踏切対策基本方針の中で、自由が丘駅付近を、鉄道立体化の可能性を検討していくべき区間として位置づけたところでございます。
 次に、踏切対策についてでございますが、鉄道立体化などの検討に当たりましては、沿線のまちづくりと連動させていくことが重要であります。昨年三月に、目黒区及び世田谷区が、踏切対策や沿線まちづくりの推進に向けて、鉄道事業者を含む関係者から成る検討会を設置しており、これまでに、踏切の現状やまちづくりの課題整理などを行ってきております。
 都といたしましては、引き続き、この検討会に参画し、沿線まちづくりと一体となった道路と鉄道の立体化について、関係者とともに議論を重ねてまいります。
 次に、まちづくりの面からの鉄道立体化についてでございますが、踏切対策を効率的、効果的に進めていくためには、連続立体交差事業を初め、さまざまな手法を活用していく必要があります。
 ご提案の、駅周辺のまちづくりの面から立体化する方策も、踏切対策推進のためには有効な手法の一つであると認識しております。
 踏切対策基本方針の中では、駅周辺を局所的に立体化する制度を、新たな取り組みとして掲げております。
 こうしたことから、都といたしましては、引き続きこの制度の創設について国に求めてまいります。
 次に、上目黒の旧国鉄官舎跡地の活用についてでございますが、当地区は、洗練された商業施設が集積する代官山と、駅周辺の再開発により変貌著しい中目黒の中間に位置し、この地域にふさわしい魅力あるまちづくりを進めるべき地区と考えております。
 このため、当該跡地の活用に当たりましては、今後、区とも協議をしながら、民間活力の導入も含め幅広く検討してまいります。
 最後に、跡地活用と周辺のまちづくりについてでございますが、都と区が所有する土地は、敷地の形状などから、それぞれ単独では有効活用することが困難であるため、都は、跡地の一体的活用について区と協議を重ねているところであります。
 導入する機能や財産管理の取り扱いなど、解決すべき課題もございますが、都といたしましては、跡地活用の早期具体化に向けて主体的に取り組んでまいります。
 また、跡地活用に当たりましては、都営上目黒アパートや周辺の民間開発の動向などを考慮しつつ、周辺のまちづくりにも資するよう検討してまいります。

○副議長(中山秀雄君) 七十六番中村明彦君。
   〔七十六番中村明彦君登壇〕

○七十六番(中村明彦君) 先日、天皇家の長女紀宮様のご婚約が内定されました。お相手の方は、秋篠宮様の大学時代の同級生で、都庁職員の黒田慶樹さんということで、驚きとともに、国民として最大のお喜びを申し上げる次第でございます。
 ご婚約発表の時期につきましては、台風の被害に遭われた方や、新潟県中越地震で被害に遭われた方々が苦しんでいる中に、慶事を発表するには忍びないと、天皇皇后両陛下の国民を思う温かいお気持ちの中で延期され、十二月の十八日に婚約内定の発表をされることといたしました。
 このことは、皇室が常に国民のことを思い、国民とともにあられるということを強く印象づけられた次第であります。
 紀宮さまも、皇室のこの温かいお気持ちをいつまでもお持ちになられ、温かいご家庭をつくられますことを、心よりご祈念申し上げさせていただきます。
 さて、それでは質問に移らせていただきます。
 まず、観光産業の振興についてです。
 石原知事は平成十三年十一月に、観光を産業としてとらえ、国に先んじて東京都観光産業振興プランを策定しました。以来三年が過ぎました。振興プランでは、平成十四年から五年間で観光客を倍増する計画でしたが、実際には外国人観光客が予定通り増加していないように思われます。
 今後、さらなるシティーセールスの展開と、受け入れ体制の充実が望まれますが、中でも、私は、新たな観光資源の創出に向けて、隅田川の水辺空間の活用についてお尋ねしたいと思います。
 隅田川は、江戸時代、浅草川と呼ばれており、浅草寺本堂の観音様が出現した駒形あたりから宮戸川と呼ばれ、ここから下流が大川となり、両国橋から霊岸島あたりまでの川の西側を大川端といっておりまして、江戸時代の人々のレクリエーションのエリアでありました。土手の散策、川面の涼風を楽しむ船遊びや川開きとして有名な花火の打ち上げも、庶民の楽しみの場所でありました。
 また一方では、舟運の水路としても多く利用され、荒川と利根川との往来により、物流の一大ネットワークが構成されておりました。江戸の町が栄えたのも、こうした隅田川を初めとする水路の活用、水辺ラインの利用があったからだといえるのではないでしょうか。
 現在でも、浅草は、隅田川沿いに位置する都内有数の観光地の一つであります。その隅田川では、親水テラスの整備など、都民が水辺に親しむことができる取り組みが、徐々ではありますが進んでおります。
 しかし、隅田川に浮かぶ船上から見上げるまちの光景は、川に背を向けて林立するビル群、人を拒絶するかのごとくのかみそり堤防など、景観という点では著しく魅力を欠くものになっております。また、旅行者に対する案内表示の不足など、陸上から水辺へのアクセスという点での配慮が必ずしも十分でないことから、水辺を訪れる人の流れも余り目にすることができない状況であります。
 一方、海外の例をみると、パリのセーヌ川では、バトームッシュという食事も楽しめる観光船が、ノートルダム寺院を初めとする歴史的建造物の近くを遊覧することで、多くの観光客を集めております。また、中国の上海では、黄浦江沿いのバンドと呼ばれる地区において、水と緑と建物が見事にマッチして、多くの観光客や地元の人たちに楽しまれているのであります。
 数え上げればまだまだ切りがないほど、数多くの例が存在し、都市づくりの中心にも位置づけられ、人々から親しまれる存在であるばかりでなく、河川が都市そのもののイメージを高め、海外から多くの旅行者を誘致する上での重要な観光資源となっております。
 東京都においても、隅田川という歴史的にも都民から親しまれてきた貴重な財産を、観光資源として積極的に活用していくことで、浅草だけにとどまらず、臨海副都心観光まちづくりとの連携、また、羽田空港の拡張に伴い、将来的に羽田空港の客が水路を利用して観光をしながら、都心部へ移動させる方法も考え、国内外から多くの旅行者を誘致することにつながっていくものと考えられます。
 このたび、東京都では、十七年度重点事業として、東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想を策定することになっておりますが、隅田川などの水辺空間を活用した魅力ある観光資源の創造に向けて、石原知事のご所見をお伺いいたします。
 観光振興への取り組みをさらに発展させ、地域をますます活性化させていくには、周辺地域を含めた、それぞれの観光スポットを有機的に結合し、ルートを形成するなど、地域全体の魅力を高めていくことが大切だと思うのであります。
 特に台東区には、隅田川沿いの浅草と並ぶ観光の拠点である上野地区がありますが、上野地区は、文化施設が集積しているだけではなく、その周囲には、特色のある商店街や、寺院が点在する谷中など、多くの観光資源を抱える地域が隣接しております。しかし、これらの施設を訪れる旅行者が、こうしたほかの地域にも足を伸ばすという状況には必ずしもなっておりません。
 旅行者の回遊性を高め、にぎわいを創出するには、上野を訪れた旅行者に対し、周囲にもすぐれた観光スポットが数多く存在することを伝えるとともに、安心してまち歩きを楽しむことができる仕組みが重要と考えますが、見解をお伺いいたします。
 また、十七年度重点事業では、ICタグの活用可能性の検討として、上野などの一定のエリア内で、店舗、施設の観光情報を都民や来訪者に提供することを挙げております。
 今回の実験では、ICタグを歩道や案内板、あるいは店舗や施設などに取りつけることにより、上野などを訪れる人は、一々サイトを検索しなくとも、携帯電話や専用端末などで、現在の位置情報やお店や施設の情報、あるいはイベントの情報などを入手することができるということであります。
 しかし、私は、今回の実験の目的が観光情報の提供であるのであれば、観光振興で上野地区が抱えている回遊性という問題にも適切に対応することができるよう、周辺への本格的な展開を視野に入れて取り組んでいくべきと考えます。
 ICタグを活用した上野地区での取り組みと地域の活性化について、見解をお伺いいたします。
 現在、全国の自治体でも、観光を地域活性化の手段としてとらえ直して、外国人旅行者を受け入れるさまざまな活動を開始しており、東京都の先駆的な取り組みが、こうした動きにも波及しております。外国人旅行者を誘致するには、地域の魅力を高めることや、旅行者を温かく迎える仕組みづくりが一番重要となります。そのため、都内のさまざまな地域において、住む人が誇りを持ち、旅行者が何度でも訪れたくなるまちづくりを目指す活動が随所にあらわれつつあります。
 こうした動きをつくるきつかけの一つが、東京都も参加する形で発足した上野地区観光まちづくり推進会議が進める観光まちづくりモデル事業ではなかったかと考えます。
 本年三月に、東京都観光まちづくり基本指針が発表され、上野地区と臨海副都心地区をモデル地区として検討会が設置されました。上野地区では、東京国立博物館を初めとするライトアップ、上野公園内でのオープンカフェ、十一月にはミニトレインの試運転を実施して、多くの観光客に喜ばれております。それも、地域の観光連盟、商店街が率先して誘客に取り組んでおり、東京都と文化施設と地域とが連携した要因が最大の成果であると考えます。
 また、本年七月には浅草においても、浅草地区観光まちづくり推進協議会が設立されるなど、他の地区にも広がりを見せております。
 上野での観光まちづくりが成功しているのは、地元の観光連盟や商店街、文化施設など、地域が連携した取り組みを行い得たことが最大の要因ではありますが、行政の側においても、観光施策を所管する産業労働局に加え、公園、道路管理者である建設局や、文化施設を所管する生活文化局、さらには地元台東区などが緊密に連携をとりながら事業を進めてきたことも重要な要素であると考えます。
 今後、都内のさまざまな地域で観光まちづくりが推進されていくに当たって、こうした各局間の連携をさらに深め、総合的な取り組みを推進していくことが重要と考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、都市再生についてお尋ねいたします。
 我が国の国際競争力を高めていくためには、首都東京の活力を再生させていくことが不可欠であります。とりわけ、東京駅の至近に位置する大手町地区は、金融、情報通信、新聞メディアなどの本社が数多く立地する、日本経済の中枢を担うエリアであり、この地区をグローバルビジネスの戦略拠点として再生していくことが重要であります。この地区の機能更新については、平成十五年一月に国の都市再生プロジェクトにも位置づけられているところであります。
 この都市再生プロジェクトは、民間の力を発揮させながら進めるものでありますが、都としてもさまざまな側面からサポートしていただき、我が国の国際競争力の向上に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、幾つかお尋ねいたします。
 東京都などでは、このプロジェクトを、合同庁舎跡地を活用して連続的な建てかえを進める連鎖型都市再生プロジェクトとして位置づけておりますが、まず、連鎖型の意義と当面の進め方についてお伺いいたします。
 ところで、先日の「赤旗」新聞に、この大手町のプロジェクトに関する記事が掲載されました。この中で、連鎖型プロジェクトの契機となる合同庁舎跡地について、随意契約でより安く跡地を購入するため、都市再生機構が土地区画整理事業を行うというくだりがありました。あたかも不適切な方法で跡地を都市再生機構に払い下げるような論調でありますが、本当はどうなのか、合同庁舎跡地の払い下げ方法についてお伺いいたします。
 このような事業を進めていく上では、都と地元区の連携が重要であります。しかし、千代田区は一時期、検討に参加していなかったと聞いております。これは大変奇妙なことであります。なぜ千代田区が参加していなかったのか、それに対する都としての所見をともに伺います。
 区は本来、本プロジェクトを積極的に推進すべき立場と思いますが、区の協力体制などに問題はないのか、所見をお伺いし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 中村明彦議員の一般質問にお答えいたします。
 東京の水辺空間を活用した魅力のある観光資源の創造についてでありますが、思い返してみますと、二昔前、私などが若かったころですね、隅田川大川端を素材にした流行歌が随分ありました。明治一代女であるとか何であるとか。それから、その後も、やはりあそこで早慶戦とか東商戦という有名なボートのレガッタが行われたりしましたが、いつの間にかこれも廃れて、戸田に移ってしまいましたけれども、私もボートをこいだこともありますが、戸田など遠過ぎるし、行っても情緒がないし、やっぱり私は、戸田の人には申しわけないが、隅田川でああいうものを、要するに、水上の交通規制をすれば優にできることですから、やりたいなと思います。
 ただ、一方、護岸は随分できましたけど、殺風景きわまりないもので、ご指摘のように、みんな建物は要するに背中を向けて、裏口もついてない。小さな船で行きますと、ちょっとこれ上ろうと思っても、上る階段も何にもない。あんなものは、川下に向かって簡単な階段をつくれば簡単なんでして、私はこの間も、河川局、国交省の方へ行って、おまえたちやらなきゃ都で勝手にやるぞといったら、どうぞと。まあ、そこまでしなくても何とかしますよということでしたが、やっぱり国の方も、東京における河川の利用というものはずさんに過ぎて、自分たちがつまらぬ川をつくり過ぎたという反省があると思います。
 そういう点で、やはり前にも申しましたが、澁澤榮一さんが、初代の商工会議所の会頭として、日本の東京をアジアのベニスにしようといわれたのは、本当に卓見だと思いますけど、まあ、今は似て非なるものにしかなっていませんが、いずれにしろ、これを考え直して、東京の水辺空間を有力な観光資源として再生しようと。
 たまたま用事があって、隅田川をさかのぼりますと、護岸下のテラスに見えるのはブルーテントばかりでしてね、あれがあると、やっぱり恋人たちは、若い人たちはそう簡単に歩けないと思うんです。
 東京都の企画で、春、桜のころですが、何杯か都の保有の船を仕立てて、新内を聞く会なんてやりますと、これはもう本当に、抽せんでも人が余って余って困るぐらい応募がありましてね。みんなやっぱりそういう昔の情緒、情趣というものにノスタルジーを持っていますし、これはもうおっしゃるとおり、こちらが思い切ってやれば、非常に吸引力のある観光資源になると確信しておりますので、来年度、東京都の水辺空間を観光資源として再生するための全体構想というものをまとめ、かつ具体的に、どことどこを重点的にやるか、まず天王洲とかそういうところでもやってみようと思います。
 そして、これを往復したりする、魅力のある舟艇のルートの開発や、それに付随した桟橋、テラスの活用などによって、都民、国民だけではなくて、まあ、外国人もということですが、いずれにしろ、あの川から東京を眺めるというのはなかなかおもしろい景観なんで、これはやっぱり一回経験されると、必ずリピーターがふえると思いますので、都としても精いっぱいの努力をするつもりでございます。
 他の質問については、関係局長からお答えいたします。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 観光産業の振興に関する二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、上野地区における回遊性の向上についてでございますが、上野公園では本年十一月より、台東区と地域のボランティアとが連携し、英語による観光案内を開始するなど、新たな取り組みが進められているところでございます。
 都は、こうした取り組みに対し、ボランティアの待機場所の調整等を行ったほか、本年度末を目途に、谷中・根津・千駄木方面への観光案内標識を設置するなど、地域の回遊性の向上に向けた支援を行っているところでございます。
 今後とも、旅行者が、周辺地域も含め、まち歩きを楽しめるよう、適切な観光情報の提供に加え、住民や地元商店街、自治体等が連携し、地域の魅力を旅行者に伝えていくための取り組みを進めてまいります。
 次に、各局連携による観光まちづくりの推進についてでございますが、上野地区では、お話もございましたように、公園の利用や施設の提供などにおいて複数の関係局が連携協力し、地域の主体的な観光まちづくりヘの取り組みを支援してまいりました。
 観光は、都市としての総合力が問われる課題でございまして、各局が実施する観光関連施策の効果的な連携が不可欠でございます。
 このため、庁内に観光施策連携推進会議を設置したところでございまして、各局連携のもと、施設整備や規制緩和など、ハード、ソフトの両面から観光施策を推進するとともに、地域の観光まちづくりを支援してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、ICタグを活用した実験についてでございますが、この取り組みは、外国人を初めとして、まちを訪れた人が観光情報などを手軽に得られる仕組みを実用化することにより、観光振興や地域の活性化などを図ることを目指しております。
 こうした新しい仕組みの実現には、実地における技術の検証が不可欠であり、都内の主要な観光地において、都が一定エリア内での実験に取り組むものでございます。
 お尋ねの上野につきましては、施設情報や施設へのルート案内などを想定しており、将来の観光まちづくりへの展開も視野に入れつつ、今後、具体的な実施内容を検討してまいります。
 次に、大手町地区の連鎖型都市再生についてでございますが、大手町地区は、日本経済の中枢機能の集積地でありますが、建物の老朽化が進み、IT化への対応にもおくれが見られております。
 加えて、この地区は二十四時間稼働型業種が多く、業務を中断することなく建物の機能更新を進めていくことが、国際競争力の強化の観点から不可欠であります。
 このため、国の合同庁舎跡地を種地として順次建てかえを進めていく新しいまちづくりのプロジエクトが、この連鎖型都市再生でございます。
 今後、都市再生機構による跡地の取得、土地区画整理事業や街路の都市計画の手続など、事業化に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、合同庁舎跡地の売却方法についてでございますが、財務省が、国有財産関東地方審議会の審議を経た上で、大手町地区の都市再生に必要な用地として、随意契約により都市再生機構へ売却するものでございます。
 また、売却価格は、今後、財務省が鑑定価格等をもとに適正な価格を決定いたします。
 機構は、本地区の連鎖型都市再生を支えるため、土地区画整理事業を実施し、また、長期にわたり種地の保有を行っていくものであります。
 したがって、これら一連の仕組みは、都市再生を進めていく上で、いずれも適切な方法であると考えております。
 次に、千代田区の対応についてでございますが、本年三月の大手町まちづくり推進会議開催までは、区も事業スキームの検討に参画しておりましたが、その後、区は、公平、公正、透明性の確保について共通の認識に立っていないと主張し、この検討に不参加となりました。
 その理由を、都から再三問いただしましたが、具体的な内容が示されることはなく、区の経過説明などから判断いたしますと、推進会議メンバーである地元地権者以外の企業の参加機会の確保を考えていたようであります。
 しかし、都としては、本プロジェクトは、民間の力により、みずからのまちの再生を目指すものであり、本来、地元地権者を中心として取り組むべきであると考えております。
 本プロジェクトの公平、公正、透明性について、都といたしましては、国有地の売却条件の遵守、都市計画決定や事業認可などの公的手続の実施、さらには都市再生機構による事業参画などにより十分確保されていると考えております。
 したがいまして、区の主張は、本来の公平、公正、透明性とは方向性が違うものと認識いたしております。
 最後に、区の協力体制についてでございますが、先ほどお答えいたしましたように、区は一時期、検討に参加しておりませんでしたが、その後、本年十月、都市計画手続を進める期限を迎えたところで、現スキームで事業を推進することに同意したところでございます。
 しかしながら、円滑な事業化に向けた区の協力姿勢がいまだ明確ではないことから、本プロジェクトを協働して推進してきた地元地権者から不安の声も出ております。
 都といたしましては、本プロジェクトの推進に向けて、区はみずからの役割を果たしていくべきと考えており、今後とも、あらゆる機会を通じて区に働きかけてまいります。

○副議長(中山秀雄君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時五十三分休憩

   午後三時十八分開議

○議長(内田茂君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十二番山加朱美さん。
   〔二十二番山加朱美君登壇〕

○二十二番(山加朱美君) 一九八一年、国際障害者年に、障害者の福祉に対して国民の関心と理解を深め、障害者にとっても社会参加の意欲を高めるために、本日、十二月九日は障害者の日と定められました。
 ことしの障害者週間のテーマは、「はじける笑顔 輝く未来」でした。障害を持つ人も持たない人も、ともに生きる共生社会の実現に向けて、まだまだ山積する課題ばかりですが、私自身も、人生の半ばで、ある日突然の不慮の事故により中途障害を背負った、だれもがあすは我が身の体験者の一人として、都民福祉のさらなる向上を願い、机上の論ではなく、施策を実行できる都議会責任政党であります自由民主党末席より、まず障害者の地域生活支援について何点か伺います。
 ユビキタス社会の到来により、障害者のIT有効活用は、社会参加や就労の機会を大きく広げ、自立生活の実現に大きく寄与することから、これまで多くの障害者から強い要望が出されていた、障害者のIT利用を総合的に支援する拠点として、先月十八日、東京都障害者ITサポートセンターがオープンしました。我が党の提案によりこれが実現したことは、大変うれしく思っております。
 そこで、今後、都は、このITサポートセンターを活用して障害者のIT支援にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、障害者が地域で自立生活していくためには、安定的な就労支援が何より重要であり、障害者がその能力や適性に応じ、一般企業で働き、経済的に自立して、タックスペイヤーになることが当たり前の社会になるよう、私はこれまで、就労支援事業のネットワーク化や関係機関との連携によるレベルアップを重ねて提言してきました。
 都は、平成十五年度から区市町村障害者就労支援事業を本格実施していますが、これまでの実績を踏まえ、この就労支援事業をさらに拡大するとともに、事業内容についても一層のレベルアップを図っていくべきと考えます。ご所見を伺います。
 次に、障害者が地域で安心して住み続けるためには、身近な地域で障害者を支える相談体制が必要です。
 現在、区市町村が行う相談に加え、民生委員や身体障害者相談員、知的障害者相談員などが、それぞれ行政とは違った立場で障害者の気持ちを酌み取り、親身になって相談に乗っています。
 民生委員については、これまでも都の福祉改革についての取り組みなどを説明する機会を設けていますが、身体・知的障害者相談員については、区市町村事業であるため、都は補助金の交付を行うのみで、直接的な支援は実施していません。
 しかし、障害者相談員が地域の障害者に対する相談支援に果たす役割の重要性を考えると、都としても、関係する情報提供や、制度をより一層活性化させるために、相談員のさらなる資質の向上に向けた取り組みを検討すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、現行制度では、児童デイサービスは対象者が幼児、小学生までに限定され、中高生は利用できません。しかし、養護学校の保護者の間からは、中高生の利用について強い要望が出されています。幼児期より体も大きくなり、行動範囲も広くなる中高生のデイサービスは、保護者にとってはより必要であります。
 現在、国においては、児童デイサービスの事業所や養護学校の空き教室などを活用して行う、中高生のデイサービス事業を検討しているようです。都としても、法外の地域デイ事業を行っていますが、ぜひこの事業の実施にも取り組むことを強く要望しておきます。
 次に、成年後見制度の活用について伺います。
 この制度は、知的障害者や痴呆性高齢者など、判断能力が不十分な方々の権利を擁護する制度として平成十二年に制度化されました。制度創設以来、徐々に活用の実績は伸びていますが、本制度の対象となる知的障害者や痴呆性高齢者全体から見ると、現在、ごくわずかの方が利用しているにすぎません。
 こうした中、今回、成年後見制度の活用を促進するための取り組みが来年度の重点事業として選定されたことは、時宜を得たものと高く評価いたします。しかし、制度の活用を進めるには、まず、区市町村が制度の周知や低所得者に対する利用支援などを積極的に行い、同時に、こうした取り組みを行う区市町村に対する都のサポートも重要であります。
 そこで、今回のこの重点事業を通じ、都として、区市町村に対し具体的にどのような支援を行っていく予定か、見解を伺います。
 次に、東京の保育、とりわけ家庭福祉員制度について伺います。
 都独自の基準による認証保育所は、都民の絶大な支持を得て、計画を大きく上回るペースで整備が進み、本年十二月現在、二百四十三カ所の施設が開設されました。
 一方、都は、来年度、国の予算編成に対する提案要求において、保育所制度の抜本的改革を最重点事項として位置づけ、利用者本位の保育を実現するため、多様な事業者の参入とサービスの競い合いを促す制度への変革などを求めています。私は、都市型保育サービスの実現に向けた東京都のさらなる努力、取り組みに大いに期待をしているところであります。
 ところで、私の地元練馬区には四十五人、全都では六百二十八人の家庭福祉員、通称保育ママさんがいます。家庭福祉員さんは、保育士、看護師などの一定の資格を持つ人や、研修受講した人を区市町村が認定し、そのご自宅において三歳未満の子どもを保育していますが、施設型保育とはまた違ったよさがあり、子どもたちは、家庭的な温かい雰囲気の中で、保育ママさんとの人格的なつながりを基礎に人生の最初の歩みを始め、また、都市に暮らす孤立しがちな親たちにとっては、子育て経験の豊かな保育ママさんは、適切なアドバイスを与えてもらえる貴重な存在となっています。
 そこで、私は、二十一世紀、東京の新しい保育スタイルの提案として、都民の多様な保育需要にこたえるためにも、個々の子どもに応じた保育、日常生活の現場である家庭において行われる保育に改めて光を当て、都独自の視点から家庭福祉員制度を再構築し、積極的に推進していくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、都市型保育の最前線で展開している認証保育所と家庭福祉員それぞれの特徴を生かすように連携し、地域を挙げて子どもたちをサポートする仕組みとしてつくり上げてはいかがでしょうか、ご所見を伺います。
 次に、小児医療について伺います。
 昨日、我が党の代表質問でも質疑が行われましたが、次代を担う子どもを安心して産み育てられるようにするためには、すべての子育て家庭への支援に社会全体で取り組むことが大切ですが、中でも、私は、子どもたちのための医療サービスを十分に確保していくことが何よりも重要と思います。
 医療技術の進歩により、確実に子どもの死亡率は下がってきましたが、大都市東京においても、小児科医師の減少や高齢化が大きな問題となっています。若い小児科医師を確保していくことが急務です。
小児科医を選択する医師が少ないのは、その手間や忙しさに比べ、診療報酬が低いことが根本的な原因と指摘されていますが、東京の未来、日本の未来を担う子どもたちの命と健康を守るために、小児科の診療報酬の抜本的な改善に関し、国に対して、知事より強く要求していただくことが必要と思いますが、知事のご所見を伺います。
 次に、小児医療の中でも、地域においての課題は初期救急医療への対応です。
 初期救急は、第一次的には住民に身近な区市町村の役割であり、こうした観点から、私の地元練馬区では、地域の医師会等の協力も得て、いち早く事業に取り組んでいます。
 しかし、平成十四年、都が補助事業を開始した後も取り組みがされていない自治体もあり、練馬区の中核病院である練馬光が丘病院への小児初期患者の集中が依然として続いています。また、練馬区のように人口の多い自治体では、初期救急医療の拠点拡充、小児科医師の確保などが今後の課題です。
 都内の区市町村における小児初期救急医療の取り組みの実績、及び今後の都の取り組みの方針はどのようになっているのか、伺います。
 次に、都の役割である小児の二次救急医療体制及び災害拠点病院の整備ですが、これらは、都が広域的な観点から、地域のバランスに配慮し、計画的に整備を進めるべきものなのですが、整備計画はいまだ達成されていないと聞いております。
 練馬区では、区内の病床不足を補うために、区がみずから病院を誘致し、来年七月には順天堂大学練馬病院が開設する予定です。そこで、この病院の機能を活用し、小児救急や災害医療の拠点として支援し、都の救急災害医療の体制の充実を図るべきと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、都内では、女子中学生が仲間の援助交際をあっせんしたり、男子中学生、高校生がおれおれ詐欺に加担するなど、子どもが関与する事件が頻発しています。
 つい先日は、水戸と土浦で、十九歳、二十八歳のいずれも無職の青少年による両親殺害事件が連続して発生しました。こうした事件に限らず、青少年をめぐっては、不登校、ひきこもり、児童虐待、さらにはインターネット上にはんらんする有害情報や奔放な性行動など、さまざまな問題が噴出をしております。このような状況下において、次代を担う青少年を健全に育成することは喫緊の課題であります。
 都の来年度重点事業においても、青少年育成総合対策は大きく取り上げられ、特に若年者の就労に関するさまざまな施策が掲げられていますが、近年、学校に通うでもなく、働くでもなく、職を探すでもない、いわゆるニートと呼ばれる若者が、現在、全国五十二万人、あるシンクタンクによれば、二〇二〇年にはおよそ百二十万人になると予想されています。
 社会問題化しているこのニートの増加は、我が国の経済成長に影響を与えかねません。東京、そして我が国の未来に暗い影を落としかねない、このニートの問題をどのように認識し、今後いかなる対策をとっていくのか。また、ニート対策を進める上でも、あるいはほかの青少年に関する施策を進める上でも、都民全体の支援が必要であり、区市町村や関係機関、企業などとの連携が不可欠ですが、今後、こうした外部との連携強化をいかに図っていくおつもりか、あわせて青少年育成総合対策推進本部長であられる竹花副知事のご所見を伺います。
 次に、世界観光機関は、昨年七億人弱であった世界交流人口が、二〇二〇年ごろには約十六億人の規模に拡大し、国際観光収入は二百四十兆円に達すると予想しております。今後、世界の各国間において、増加する国際観光客の獲得競争が激化することが予想される中、国では昨年七月、観光立国行動計画を策定し、ビジット・ジャパン・キャンペーンを展開しております。
 一方、都は、こうした国の動きに先駆け、平成十三年十一月、東京都観光産業振興プランを策定し、観光産業に積極的に取り組んでおります。千客万来の世界都市東京を目指し、世界に日本の魅力をアピールできるよう全力を尽くしていくとした石原知事のご英断に敬意を表するところであります。
 そこで、世界のアニメ市場の六五%を占めているといわれる日本のアニメ産業の振興と、その観光資源としての活用について伺います。
 日本のアニメは、アニメという日本語が海外で通用し、ジャパニメーションという単語がつくられるほど世界的に注目されています。先月末から公開されている「ハウルの動く城」は、日本での公開開始時には、既に海外の複数の国々で公開が決定していました。こうしたことは、実写映画でも余り例がなく、日本のアニメに対する世界の高い評価を裏づけるものと思います。
 日本のアニメ産業は、日本が世界に誇る二十一世紀リーディング産業の一つといっても過言ではありません。これらの世界に冠たる日本のアニメを制作している会社の約八割が東京に集中し、その中でも特に私の地元練馬区は、日本のアニメ産業発祥の地として、都内で最も多くの制作会社を擁しています。去る七月には、区内の制作会社が集まり、練馬アニメーション協議会を立ち上げ、これまで以上に積極的に業界振興に取り組んでいくこととなりました。
 練馬区及び区内の商工業界としては、練馬を観光とアニメのまちとして世界に売り出し、区内に集積するアニメ産業を観光資源として活用していきたいとしていますが、練馬区に限らず、東京のアニメ産業は、高い国際競争力を有する東京の有力な地場産業であり、貴重な観光資源にもなり得ると考えられます。
 都として、区市町村とも連携を図りながら、アニメ産業の振興とその観光資源としての活用に積極的に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 最後に、貴重な財源の一つである都債について伺います。
 都には、都市再生などの課題が山積し、その実行に当たって安定的な財源となるのが都債です。これまで知事は、都債をバランスよく活用し、財政再建にも着実に成果を上げてこられました。
 今後も、将来の財政負担にも十分配慮しながら、財政運営の重要なツールとして都債を活用すべきであると考えますが、所見を伺います。
 また、地方分権の流れの中では、地方債の発行についても、これまでのように、国が定めた一律の条件により発行するのではなく、各自治体が競争しながら独自に発行する時代を迎えています。
 都債においても、市場で投資家に評価されるためには、透明性を確保すると同時に、将来の財政負担を考え、適切な範囲でより有利な条件で発行することが必要と思います。
 例えば、都債の利率、発行価格などの発行条件を決める際、新しい試みとして競争入札を導入すれば効果があると思いますが、ご所見を伺い、私の一般質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山加朱美議員の一般質問にお答えいたします。
 小児医療についてでありますが、次代を担う子どもたちの命と健康を守り、彼らを健全に育成できる環境を整備することは、社会全体の責務であると思っております。中でも、小児医療の充実は最も重要な課題であるとも思っております。
 しかし、残念ながら、東京においては、小児科医の約三割が七十歳以上の高齢のお医者さんで占められておりまして、なかなか若いお医者さんが小児科を専門とされない。これはいろいろ原因があるのでしょうけれども、主たる原因は、調べてみますと、ご指摘のように、診療報酬が小児医療の現場実態を反映していないのですね。大ざっぱにいいますと、とにかく小児科を開いていてももうからない、大体、普通の内科と比べて五、六〇%の収入にしかならないということも要因の一つだと思います。
 そういうことで、私はやはり、少子化が叫ばれ、国全体の危機の要因の一つとして考えられておるこの時代に、若いお子さんの健康、生命というものを支える小児科医の立場に、報酬という点でも、インセンティブというものをもう少し考えるような、そういう改正を国は積極的に考えませんと、小児科の傾向というのは、なかなか食いとめられにくいのではないかと認識しております。
 そういう点で、今後、国との交渉の中で、強くそれを要求していきたいと思っております。
 他の質問については、副知事及び関係局長から答弁いたします。
   〔副知事竹花豊君登壇〕

○副知事(竹花豊君) 青少年対策についてでございますが、働くことも学ぶこともしない若者の増加というものは、当該若者にとりましても不幸でございますし、ご指摘のように、社会全体にとっても大きな損失でございます。
 この問題、一朝一夕で解決できるものではありませんが、自立して社会で生きていくことができる力や他人とわかり合う能力を、幼いころから身につけさせることが必要であります。
 都といたしましては、中学生を対象とした職場体験の実施や高校中退者への支援策を来年度の重点事業として行うこととしており、また、コミュニケーション能力の向上を図るために、親子を巻き込んだ幼児段階からの取り組みや、あるいは小学生の自然体験を広げることなども視野に入れまして、子どもの成長段階に応じた対策を幅広く実施してまいりたいと考えております。
 次に、青少年施策を進める上での外部との連携強化についてでございますが、青少年にかかわるさまざまな取り組みを進めるに当たりましては、ご指摘のとおり、都庁内のみならず、区市町村や関係諸団体との協働体制が不可欠でございます。例えば中学生の職場体験を進めていく上でも、多くの事業者あるいは商店街の方々、あるいはボランティアの方々のご協力が必須でございます。
 都内では、数多くの団体が青少年問題に真剣に取り組んでおられますし、これまでも、必要に応じて行政機関も含めてさまざまな連携をしてきたところでございますけれども、こうした連携を格段に強化したいと考えておりまして、今後、これら関係の団体が幅広く参加し、青少年対策を総合的かつ効果的に推進するための新たな体制を、来年度早期を目途に整備する予定でございます。
 これによりまして、区市町村、民間事業者、NPOやボランティア、もちろん教育界の方々も含めまして、大きな具体的な活動を進めてまいりたいと考えております。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 福祉施策及び地域小児医療体制の充実に関する八点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者のIT利用支援の取り組みについてでありますが、今般、都は、障害者のIT利用の機会をより多く提供するとともに、その活用能力を高め、社会参加や就労機会の拡大に資するため、ITサポートセンターを開設いたしました。
 このセンターでは、ITに関する利用相談やパソコンボランティアの養成、派遣、視覚障害者や知的障害者などそれぞれの障害特性に配慮した講習会を実施いたします。
 また、IT関連企業と連携して、障害者のためのパソコン機器の展示やさまざまなソフトの紹介を行い、より多くの障害者がITを利用できるよう支援してまいります。
 次に、区市町村障害者就労支援事業の拡充についてでありますが、都が独自に実施しております本事業は、区市町村が身近な地域において障害者の就労面と生活面の支援を一体的に行うものであり、極めて意義のある事業であると認識しております。
 昨年度においては、二十の区市で実施し、四百人を超える一般就労を実現いたしました。
 今年度は二十四の区市で取り組んでおり、今後とも、本事業の拡大に努めていくとともに、ハローワークや養護学校などにも参加を呼びかけ、就労にかかわる情報や支援技術などの共有化を目的とした地域別の事業者ネットワークをさらに強化するなど、事業の充実に努めてまいります。
 次に、障害者相談員についてでありますが、本制度は、障害者本人やその保護者が相談員となって、障害者の立場から他の障害者の相談に応じるものであり、障害者の地域での生活を支える重要な役割を果たしております。
 相談員の任命や研修は区市町村において行われておりますが、ご指摘のように、都が進める障害者福祉の取り組みについて、相談員の一層の理解と協力を得ることは極めて重要であります。
 このため、都は、相談員の資質向上に資するよう積極的な情報提供に努めるとともに、区市町村に対しても、研修内容などの充実について働きかけてまいります。
 次に、成年後見制度の活用促進についてでありますが、福祉サービスの契約や財産管理を行うなど、判断能力が不十分な方への幅広い援助の仕組みである成年後見制度は、後見人などの確保が難しい、低所得者が利用しにくいなど、解決すべき課題も多く、ご指摘のとおり十分な活用が図られていない実態があります。
 こうした状況を打開し、成年後見制度の活用を促進するためには、住民に身近な区市町村が制度の利用相談に対応するだけでなく、具体的に成年後見を行える体制づくりなどを積極的に進めていくことが重要であります。
 このため、都は来年度の重点事業として、区市町村における成年後見制度を推進する機関の設置や後見人の確保に向けた取り組みなどに対し、総合的に支援してまいります。
 次に、家庭福祉員制度についてでありますが、この制度は、家庭的な雰囲気の中で、少人数の子どもに対し保育を行うものであり、利用者の多様なニーズにこたえる保育サービスの一つであります。
 ご指摘のとおり、子育て経験豊かで、保育士などの資格を持つ方々を積極的に活用することは、孤立しがちな親たちに対する支援にもつながり、地域における保育力向上のための効果的な方策であると考えております。
 都としては、都民のより一層の利用促進を図るため、実施主体である区市町村とも連携して、制度の普及啓発に努めるなど、積極的に事業を推進してまいります。
 次に、保育所と家庭福祉員との連携についてでありますが、地域において、保育所と少人数での保育をその家庭で行う家庭福祉員とが、それぞれの特徴を生かし、例えば保育所で実施する健康診断に家庭福祉員が保育している子どもを一緒に受診させるなど、連携を図ることは意義があると考えます。
 既に、国においては連携保育所制度を設けておりますが、都内では取り組みは進んでおりません。そこで、ご提案を踏まえ、事業者の創意工夫による弾力的な運営が行われている認証保育所における自主的な取り組みを通して、その効果と課題が明らかになるよう働きかけ、支援に努めてまいります。
 次に、小児初期救急医療への取り組みについてでありますが、都は、医療資源の有効活用を図る観点から、地域における平日夜間の小児初期救急医療体制を確保することにより、小児二次救急医療機関への患者集中を緩和するため、平成十四年度から、区市町村に対する補助を行っています。
 平成十五年度末現在、八区一市が小児初期救急平日夜間診療事業を実施していますが、今年度からは、複数区市町村による共同事業や二次救急医療機関に地域の小児科医師が出向いて診療を行う事業も補助の対象とし、その拡大を図っております。
 今後とも、保健医療計画に基づき、全区市町村がこの事業を展開できるよう、引き続き支援に努めてまいります。
 最後に、小児二次救急医療体制などの充実についてでありますが、都は、小児二次救急医療体制について、保健医療計画などに基づき、三百六十五日二十四時間、常時小児科医師による対応が可能な医療機関を六十病院確保することを目標としております。また、災害時に患者受け入れなどを行う災害拠点病院については、地域防災計画に基づき、七十病院を指定することを目標に、計画的な整備に努めています。
 お尋ねの順天堂大学練馬病院につきましても、都の小児二次救急医療や災害医療の拠点としての役割を積極的に担うよう働きかけ、体制の整備に努めてまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) アニメ産業の振興と観光資源としての活用についてのご質問にお答え申し上げます。
 都は平成十三年度から東京国際アニメフェアを開催しておりますが、年々参加規模が拡大するなど、ビジネスの場として発展してきているところでございます。加えて、来年度は新たに制作会社への資金面での支援の仕組みをつくるとともに、作品情報を発信するデータベースを構築するなど、今後ともアニメ産業の振興に取り組んでまいります。
 また、東京のアニメ産業は、海外の人々も高い関心を持つ魅力的な観光資源でもございます。区市町村とも連携を図りながら、民間事業者によるアニメツアー造成等の取り組みを積極的に支援するなど、アニメ産業の観光資源としての活用に努めてまいります。
   〔財務局長松澤敏夫君登壇〕

○財務局長(松澤敏夫君) 都債について、二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都債の活用についてでございますが、都債は、世代間の負担の公平を確保し、財政負担の平準化を図るという重要な機能を有しており、公共施設整備などを進める上で貴重な財源となっております。
 これまで、都債の発行に当たりましては、財政再建推進プランに基づき抑制基調を保ちつつ、事業を重点化した上で積極的に充当してきており、その結果、起債依存度についても、毎年度極めて健全な水準を保っているところでございます。
 今後とも、将来の財政負担に十分配慮しながら、東京の再生のため、社会資本の整備や都民生活に密接に関連する事業について、適切に活用してまいります。
 次に、都債発行における競争入札の導入についてでございますが、都はこれまで、国が地方債の発行条件を決める旧来の枠組みから離脱し、都が独自に都債の条件を決定する新たな制度を確立するなど、都債発行に関する各種の制度改革を進めてきております。
 ご指摘の競争入札についても、改革の一環として現在検討を進めておりますが、国債の競争入札において発生したように、落札割れへの対応や都債における競争入札に適した商品の選定など、安定的な資金調達に向け解決すべき課題がございます。
 今後、こうした課題に対しまして十分な検討を行い、資金調達コストの低減を目指して、競争入札の早期の導入に向け、取り組んでまいります。

○議長(内田茂君) 五十七番松村友昭君。
   〔五十七番松村友昭君登壇〕

○五十七番(松村友昭君) 初めに、新潟県中越大震災の被災者の方々に心からお見舞い申し上げます。
 日本共産党は、被災直後から現地に救援センターを開設し、被災者の声や要望を伺い、国、自治体に届け、でき得る限りの支援を求めてきました。また、全国各地で被災者支援を呼びかけ、ボランティアの派遣や寄せられた救援募金や物資を現地にお届けしてきました。引き続き、被災者の支援に全力を尽くす決意です。
 今回の中越大震災は、改めて直下型地震の破壊力の大きさを示すものとなりました。一方、首都東京もいつ地震が来てもおかしくないといわれており、先日、国の中央防災会議が発表した都心東部及び西部直下を震源とする地震の想定によれば、区部中心部の震度は、これまで東京都が予想してきた想定震度をはるかに上回るものとなっています。予想される地震による被害は、東京都が立てた従来の被害想定では到底間尺に合わないことを示しているのです。
 専門家は、被害の規模は、直接的被害にとどまらず、多大な間接被害を引き起こすなど、東海地震とは比べ物にならないといい、東京直下型地震は文字どおり政治経済の中枢を襲うスーパー都市災害になりかねないこと、被害も直接被害五十兆円、間接被害五十兆円、合わせて百兆円という、国家予算をはるかに上回るものとなることを指摘しています。
 知事、これまでの想定を覆すような大地震の危険が迫っていると考えるのが妥当であると考えますが、このことについてどう認識しているのか、また、どう備えていくのか、見解を伺います。
 また、東京都が策定する被害想定は、これらの新たな知見や提言を踏まえたものとすることが必要であると考えますが、見解を伺います。
 中越大震災から学ぶべき教訓の一つは、地域住民による日常的な災害予防と復興対策の取り組みの重要性です。この問題では、十年前に発生した阪神・淡路大震災で、神戸市真野地区の住民が日常的に地域ぐるみで防災に取り組むことで被害を最小限に食いとめ、その後の復興も比較的順調に進んだことは注目に値します。
 また、私の住む練馬区でも、住民主導の震災対策の取り組みが始められています。取り組みを始めたのは貫井地区という約八千九百世帯が住む木造密集地域の一つです。ここでは、昨年七月から四カ月間かけて、復興模擬訓練が地域の町会、自治会、学校関係者、区、そして都の防災機関や都立大学も参加して行われました。訓練の目的は、参加者がグループに分かれて、自分たちのまちを、自分たちの目で見て、自分で点検することで課題を把握でき、さらにそれを持ち寄ることによって、自分たちの手でまちづくり計画を検討する仕組みをつくることです。
 訓練後、参加者からは、地震による被害の危険性について認識できた、まちの復興、個々の生活再建のイメージを共有できた、被災後も地区にとどまることの重要性を確認したという感想が寄せられています。
 そこで、何より日常的に地震の被害から人命と財産を守るための減災と震災後の復興を一体に組み込んだ取り組みを住民、地域ぐるみで進めることが必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 都は、東京都震災復興マニュアルを策定し、その充実と施策の具体化を進めていますが、中でも住民主体による住区単位の復興計画の策定、策定された計画に基づく応急住宅の確保や用地の借り上げのための助成などの都の支援の仕組みづくり、さらには住宅再建支援の創設などが急がれていますが、どうか。
 また、おくれている木造住宅密集地域は、住民参加での修復計画を踏まえ、公共住宅や公開空地の確保など、思い切った予算を投入し、集中的に進めることなしに、大きく改善に踏み出すことは困難です。国にも強く働きかけ、都市の再生の課題の中心課題として位置づけるよう求めるものですが、どうか。
 中越大震災でも、学校の体育館など学校施設が避難所として利用されました。都によれば、災害時には避難生活はこれらの学校施設などの避難所が充てられるとのことです。だとしたら、災害時の避難所となる公立小中高の学校施設の耐震補強は何より優先されてしかるべき施設ではありませんか。都として緊急整備に補助を行うよう強く求めるものです。
 木造住宅の耐震補強や防火対策への助成制度の創設も急がれますが、どうか。それぞれ答弁を求めます。
 大震災の際に、負傷者などの被害が広がるのを減少させる上で、家具類の転倒防止策は極めて有効であることは、宮城県北部地震や十勝沖地震の被害で明らかになっています。静岡県島田市では家具転倒防止事業を実施し、とりわけ六十五歳以上世帯と障害者世帯に金具などの無料取りつけを行って、大変喜ばれています。東京消防庁は宮城地震の経験を踏まえ、家具協会と金具協会との協議を始めたと伺っていますが、家具類の転倒防止について、低価格の器具の普及、アドバイザーの派遣、自治体の助成策への支援などを求めるものです。
 超高層ビル群、地下鉄を初めとした深い地下構造、都内を縦横に走る高速道路や新幹線など、大都市特有の建造物の集中などに伴う防災対策は、東京にとっての緊急課題です。そこで、震度七規模の最大級の地震に備えるために、首都高速道路や地下鉄、また数多くの橋梁の再点検と万全の耐震補強を直ちに実施すべきと考えますが、どうか。
 また、超高層ビルや地下街などについても、点検と必要な対策を講じることも必要ですが、どうか。
 制度融資は、銀行から借りられなかったり、株式市場や債券市場には縁のない町工場や地域商店、地場産業、不況業種の代表といわれる建設業などの小零細業者にとってはかけがえのない命綱です。
 ところが、その東京都の制度融資について、このところ、保証が受けられない、前より借りづらくなったなどの相談が多く寄せられるようになっています。実際に貸付額も、かつては三兆円近くにまでなっていたものが年々後退し、昨年の融資額が最高時の半分にまで後退させられ、しかも融資目標額を一千五百億円も下回りました。
 融資の活用が減っている原因の一つは、制度融資の仕組みが業者の要望と実態に合ったものになっていないことです。また、保証協会による保証渋りや銀行の貸し渋りも原因していると考えられます。
 まず、実態に合った融資の実行ということでは、京都府に学ぶ必要があります。京都府はこの四年、制度融資の貸付額を約八倍、貸付件数を約四倍に伸ばしています。貸付実績が後退している東京都とは大変違います。このうち、貸し付けを大きく伸ばしたのは既往債務の借りかえのためのあんしん借換融資で、これだけで本年度実績は十月末で貸し付けは一万六千件、三千百億円に上ります。東京都の借りかえ融資がわずか三百五十九件、五十三億円にとどまっているのとは対照的です。
 では、一体何がこんな違いをもたらしているんでしょうか。一つは、京都府が預託原資を積み増しし、国のセーフティーネットをうまく活用するなど、積極的な姿勢をとっていることですが、もう一つは融資の条件の違いです。それは都と違い、借りかえ融資の対象を、運転資金と制度融資に加え、設備資金の返済金を認めていること、そして、何より保証協会の保証つきの民間融資の既往債務についても貸付対象としていることです。さらに加えていえば、新規資金や無担保無保証人融資枠が認められ、融資限度額も東京より高く設定され、金利も一・五%の超低利で利用できることです。
 そこで、都の借りかえ融資を保証つき融資についても借りかえできるようにすること、国のセーフティーネットを活用し、リスクを分散させること、融資限度額の引き上げと低利の政策金利の導入、新規融資も認めることなど、せめて京都並みの借りかえ融資に踏み出すべきだと思いますが、答弁を求めます。
 創業や起業を応援する融資では、大阪府のスタートアップ資金は、府が認める業者向け講習会を受講、終了することを条件に、自己資金の五倍の融資をするもので、京都府でも府指定の起業家育成セミナーの受講などを条件にする融資があり、いずれも金利は一・五%の低利に設定されています。創業、起業支援融資については、都の講座や商人塾など、受講を条件に無担保無保証人、低利、少額の自己資金など借りやすい融資をつくること、政策メニューとリンクした融資も必要と考えますが、どうか。
 保証渋り、貸し渋りも制度融資の利用を妨げる要因となっています。業者団体から聞いた範囲でも、十件申請しても認められるのは二件ぐらい、三百万円申し込んでも実際に借りられるのは百万円など、保証協会が保証を渋っていることが指摘されています。また銀行も、信用保証協会の保証がついていても融資を実行しない例も後を絶ちません。保証渋り、貸し渋りなどあってはなりません。直ちに是正するよう強く求めるものですが、どうですか。
 都が制度融資を後退させようとしていることは重大です。石原知事は財政再建推進プランで、中小企業の資金調達の方法を制度融資などの間接金融から株式や債券市場などの直接金融にシフトすることを打ち出しました。その後、都はこの立場から制度融資の預託原資を減らし、この五年間だけでも九百四十億円も削減してしまいました。預託原資の縮減は、協調する金融機関の意欲をそぐだけではなく、融資の利息が次々と低利の政策金利から金融機関の定める割高な所定金利をもたらすものとなっています。東京の経済を縁の下で支える中小企業のためにも、預託原資を増額し、低い金利の政策金利を中心とすることや使いやすいメニューの拡充など、業者が利用しやすい制度に改善、拡充することを求めるものです。答弁を求めます。
 最後に、三井物産が開発、販売したDPFの虚偽データの問題について伺います。
 この問題は、到底都の基準を満たすことのできない装置の販売を可能にするために、虚偽のデータを使用したものであり、その責任は極めて重大です。同時に、厳密な検査が必要であるにもかかわらず、環境科学研究所や第三者による評価を行わず、業者が行った検査結果をうのみにするなど極めてずさんな対応に終始した東京都の責任も厳しく問われるものです。
 そこで、都は、身内の調査にとどめることなく、第三者機関を設置し、徹底糾明を行い、三井物産と東京都の責任を明らかにすること、その内容を都民と都議会に報告すること、被害を受けた中小企業の救済に全力を尽くすことを求めるものです。知事の答弁を求めます。
 また、都議会として百条委員会の設置、三井物産社長を初め、この問題にかかわった関係者の参考人招致など、真相究明と責任追及を行うことを提案し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 松村友昭議員の一般質問にお答えいたします。
 大地震への備えについてでありますが、東京ではかねがね、大地震は必ずやってくるものと覚悟して、平時から対策を講じることを行ってきました。
 ただ、この地震がどういう強さで、またいつ、どこを震源地としてやってくるかということは、これは予測もさらに難しいところでございまして、それによって被害なりまた混乱の状況は違ってくると思います。
 いずれにしろ、このため、東京都では災害に強い都市構造とするため、都市の再生を推進しておりますが、一方、みずからの命はみずからが守るという自助、自分たちのまちは自分たちで守るという共助があって、初めて公助が生きてくるという原理に基づき、訓練や啓発を通じ、災害に強い地域社会づくりを促進しております。
 今後とも、首都東京の一層の安全性を目指し、災害の備えに万全を期すつもりでございます。
 なお、例の三井物産の問題でありますけれども、今調査中でありますが、どういう立場のどれだけの調査能力の人間が赴いたのか、まだ定かでございませんが、これから、環境に限らず、食品などについても、こういった極めて専門性を要する、技術というものに精通した調査というものが必要な事態が出てくると思いますので、これを機に反省を強くしまして、そういう技術性を伴った、専門性を伴った調査員の養成というものに心がけていきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 学校施設の耐震対策についてのお尋ねでございますが、都立学校につきましては、耐震診断調査の結果、補強が必要な学校につきまして、平成十五年度に耐震補強計画を策定し、改築や大規模改修とあわせて実施する学校を除きまして、盲・ろう・養護学校については平成十六年度までに、高等学校については平成十八年度までに完了するよう、着実に実施をしているところでございます。
 また、公立の小中学校におきましては、設置者でございます区市町村が国の助成制度を活用して対応しているところでございまして、都として独自の補助を行うことは困難でございますが、学校の耐震対策が一層促進されるよう、引き続き国に対して助成制度の拡充を働きかけてまいります。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 震災対策についての四点の質問にお答えいたします。
 まず、被害想定についてでございますが、都は昭和五十三年、六十年、平成三年に、海溝型地震の被害想定を公表しております。平成九年には、中央防災会議の南関東における直下地震の切迫性の指摘及び阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、直下型地震の被害想定を作成いたしました。
 今後、今年度中に発表が予定されております国の首都直下地震対策専門調査会の被害想定も踏まえ、見直しについて検討してまいります。
 次に、減災対策と震災復興の地域での取り組みについてでございますが、都は、震災復興マニュアルを策定いたしますとともに、町会、自治会等が行います事前の復興準備活動を支援することによりまして、地域の復興を担っていく復興市民組織を育成しております。この市民組織は、災害に強いまちづくりを進めることも視野に入れておりまして、今後とも区市町村と連携し、その育成に努めてまいります。
 次に、震災復興マニュアルの充実等についてでございますが、マニュアルでは、地域住民が主体となり、行政やNPOなどの支援を得て、地域復興計画を作成するためのプロセスと具体的な施策を提示しております。
 住宅復興につきましては、オープンスペースや民有地の確保による応急仮設住宅の建設、マンションの再建に対するアドバイザーの派遣などの支援策を講ずることにしております。
 また、国に対しましては、住宅再建支援に係る共済制度の創設について、平成十三年度から提案、要求しております。今後とも、マニュアルの充実を図ってまいります。
 次に、家具の転倒防止対策についてでございます。
 本年第一回定例会におきまして、他会派から要請がありましたが、都は都民に対し、適切な金具や取りつけ方法などの情報を提供していくことにしており、このため、さきに東京消防庁に設置されました家具の転倒・落下防止対策推進委員会におきまして、器具の性能評価の方法などを検討しております。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 震災対策に関する四点のご質問にお答えいたします。
 まず、木造住宅密集地域への取り組みについてでございますが、都は木密地域の整備を防災都市づくり推進計画に位置づけ、積極的に取り組んできており、平成十七年度の重点事業にも選定してきたところでございます。また、国においても既に都市再生プロジェクトに位置づけられております。
 今後とも、地元区と連携し、新たな防火規制の導入や道路、公園などの基盤整備とあわせた周辺整備を推進し、木密地域の防災性の向上に努めてまいります。
 次に、木造住宅の耐震補強や防火対策への助成についてでございますが、震災対策の基本は自助、共助、公助の原則により進めるべきものと考えております。
 都といたしましては、災害に強い都市を目指し、これまでも木密地域の整備、改善等に取り組むとともに、住宅の耐震改修についても、耐震診断講習会の開催や簡易な自己診断方法の周知を行うなど、その普及啓発に取り組んでまいりました。
 また、防火対策については、防災都市づくり促進事業などを活用し、建物の不燃化を進めるとともに、都独自の新たな防火規制の適用により、耐火性能の高い建築物への建てかえを誘導しております。
 今後とも、区市町村と連携し、木造住宅の安全性向上に努めてまいります。
 次に、首都高速道路及び地下鉄の耐震補強についてでございますが、いずれも阪神・淡路大震災後に定められた基準に基づき、耐震補強を実施してございます。首都高速道路では、既に橋脚の補強は完了しております。さらに、橋げたの落下に対する安全性向上を図るため、落橋防止対策を順次実施してきており、来年度完了する予定でございます。また、都営及び東京メトロの地下鉄につきましても、既に補強を完了しております。
 今後とも、適切な耐震対策を行うよう、事業者に求めてまいります。
 最後に、超高層建築物や地下街の地震対策についてでございますが、超高層建築物は、構造上の安全性につきまして国土交通大臣の認定が必要であり、一般の建築物を上回る高い安全基準が適用されております。新たな問題である長周期地震動への対応につきましては、現在土木学会及び日本建築学会が合同で検討を進めております。
 都といたしましては、今後、この検討結果を初め国の動向にも注目しつつ、適切に対処してまいります。
 また、地下構造物に与える地震動の影響は、地上部分に比べて低減されますが、地下街につきましては、建築基準法及び建築安全条例に基づき、構造面はもとより、火災の拡大防止や避難上の安全確保を図っております。
 今後とも、建築物等の一層の安全対策に努めてまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 橋梁の点検と耐震補強についてでございますが、震災時における都民の安全な避難や迅速な救援活動を行うためには、橋梁の耐震性の向上が極めて重要でございます。
 都は、既に阪神・淡路大震災後に定められた基準に基づき総点検を実施しており、五百五十八橋について対策が必要であると判定いたしました。このうち、防災上優先度の高い第一次緊急交通路の百六十五橋すべてと、第二次緊急交通路の二十二橋の対策を平成十五年度末までに完了いたしました。今年度は十四橋で耐震対策を実施中であり、そのうち六橋が完了する予定でございます。
 今後とも、工期短縮とコスト縮減を図り、着実に耐震対策を推進してまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 中小企業融資に関する四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、借りかえ融資についてでございますが、借りかえ制度は、中小企業の返済負担を軽減することが目的であり、利用しやすい制度とする必要がございます。都の借りかえ融資は、セーフティーネット保証の対象者のみならず、都と区市町の制度融資の利用者すべてを対象とし、金融機関との調整が円滑に進むよう約定金利で実施しているところでございます。
 さらに、新規融資と既存の複数借り入れの一本化も可能とするなど、さまざまなケースに広範に対応できる制度としております。
 次に、政策メニューとリンクした融資等についてでございますが、制度融資では、講習会等の受講を条件とすることなく、無担保無保証による融資を優遇金利によって行っているところでございます。
 また、新・元気を出せ商店街事業、伝統工芸品産業振興事業等の助成事業を融資の対象とするなど、既に各種事業との連携を図っているところでございます。
 次に、保証渋り、貸し渋りについてでございますが、都はこれまでも保証協会に対し適切な審査を要請するとともに、金融機関に制度融資の活用について協力を求めてまいっております。こうした中、保証協会の保証承諾率は、件数ベースで平成十三年度には八四・二%であったものが、十六年度は十月末で九〇・三%と年々向上しております。
 また、金融庁の貸し渋り・貸しはがしホットラインの受け付け件数も、平成十四年十月の設置から半年間で六百二十八件であったものが、十五年度の同時期は二百七十三件へと激減するなど、状況は改善してきております。
 最後に、利用しやすい制度融資への改善、拡充についてでございますが、平成十六年度の制度融資は、融資期間に応じた金利体系を採用し、短期資金についてはより低利とするなどの改善を図ったところでございます。
 さらに、この十一月からは、売上減少企業を対象とした要件緩和などを内容とする特別対策を実施しておりまして、制度の一層の充実を、今後とも図ってまいります。

○議長(内田茂君) 四十八番吉野利明君。
   〔四十八番吉野利明君登壇〕

○四十八番(吉野利明君) 質問に入る前に、昨日の石原知事の答弁で、都民の安全を命がけで守るんだという強い信念に触れ、感動を持って聞かせていただいたところでございます。政治に携わる者の一人として、心を奮い立たせられた場面でありましたので、お伝えをして質問に入らせていただきます。
 初めに、震災対策について伺います。
 さきの新潟県中越地震は大きな被害をもたらし、日本じゅうに衝撃をもたらしました。地震による直接的な被害とあわせて、車中泊などによる二次的な被害も大きく報じられたところであります。都は、対応のマニュアルをつくって、これまで災害対策を進めてきたところでありますが、東京に直下型の地震が発生すると、今回の新潟の比ではないくらいの被害の発生や混乱が予想されています。想定の質問になりますから、答えが絞りにくい点はあるでしょうが、何点か質問させていただきます。
 このたびの新潟県中越地震では、県や市町村の防災行政無線が停電などにより一部で使用不能となったり、自治体の固定電話や携帯電話も、設備障害や回線規制によって情報収集伝達に支障を来したと聞いております。
 災害時に自治体が迅速で的確な対応を行うには、情報を即座に収集し、確実に住民に提供していくことが重要と考えますが、東京都における情報伝達体制はどうなっているのか、お伺いいたします。
 次に、自衛隊との連携について伺います。
 阪神・淡路大震災や新潟県中越地震のような大地震が発生した場合、自衛隊との連携は不可欠であります。今回の地震でも、東京消防庁のハイパーレスキュー隊の活躍が災害救助に大きな力を発揮したこととあわせて、自衛隊の活動も大変頼もしく感じられたものでした。
 自衛隊は、発災直後、住民の救出、救助や道路の障害物除去などの活動が期待されていることはもちろんですが、さらには避難が長期化した場合、衛生管理などさまざまな分野で期待する活動があるはずであります。都は、自衛隊との連携をどのように進めようとしているのか、見解を伺います。
 次に、都立公園の管理について伺います。
 社会経済状況の変化により、中長期的にも税収に多くを期待できない中、さまざまな都民のニーズに的確に対応していくことは、かなり厳しく難しい時代になっております。こういった状況でありますが、最近の都立公園の動きは、民間活力の分野や規制緩和の分野でも大きく進展しているように思われます。
 今、都立公園では、思い出ベンチ、ドッグラン、プレーパークといった新しい取り組みがメジロ押しです。そして、こうした都の積極的な姿勢を多くの都民が応援しています。こうした評価の上に立って、あえて加えるならば、今後の公園管理に欠かせないものは、経営的発想への転換です。
 東京都では、ことし八月、「東京が切り拓く新時代の公園経営を目指して(パークマネジメントマスタープラン)」を発表しました。私も内容を読みましたが、このマスタープランの内容が実現すれば、都立公園は、本当に今よりももっと都民に愛され、利用される公園になり、さらに公園が欲しいという声も大きくなってくるのではないかと思われます。
 そこでまず伺いますが、本マスタープランの策定のねらいはどこにあるのでしょうか。
 次に、公園の管理から経営に発想を転換していく上で非常に大切なことは、それぞれの都立公園の持っている特色や資源を最大限に生かし、公園の魅力を一層高めていくことだと思います。そのためには、民間の力や知恵を公園の整備や管理に生かすことができるような取り組みが必要であり、積極的に進めるべきと考えますが、現在と今後の取り組みについて伺います。
 最後になりますが、私の地元である井の頭恩賜公園では、日々多くの都民が散策したり運動したり、思い思いにさまざまな形で利用しています。公園の利用はもともと都民の自由な意思に基づくものですが、公園を利用する人々の声に耳を傾け、どのような公園を望むのか、どのような公園が利用しやすいのかを常に把握していくことが非常に大切だと考えます。
 本マスタープランでは、実現のための工夫の一つとして、新たに公園評価制度を導入していくとのことですが、どのような制度を導入していくのか、伺います。
 次に、多摩地域の幹線道路の整備状況について伺います。
 多摩地域における主要な幹線道路は、交通渋滞を解消し、交通の円滑化を図るとともに、多摩地域の振興に寄与する重要な都市基盤であります。近年、圏央道入間、青梅、日の出インターチェンジの開通により、多摩地域と区部を結ぶ幹線道路の重要性は一層高まっています。
 現在、多摩地域と区部を結んでいる主要な骨格幹線道路は、甲州街道や新青梅街道に限られていることから、交通の集中による渋滞が慢性化をしています。東八道路とそれに接続する放射第五号線も、多摩地域と区部を結ぶ重要な骨格幹線道路であるにもかかわらず、多摩地域と区部の境界付近において道路がつながっておりません。
 区部の放射第五号線は、本年五月、都市計画変更の手続が完了し、今年度から現況及び用地測量に着手をするなど、事業化に向けた準備が進んでいると聞きます。
 多摩地域側の東八道路のうち、三鷹区間の三鷹三・二・二号線は、現在道路のないところに新たな道路を整備する区間もあり、整備に当たっては地元の理解と協力が大いに求められます。積極的に用地取得を進め、早期完成を目指していくべきと考えます。
 そこで、三鷹三・二・二号線全体の整備状況について伺います。また、早期完成を目指すためにも、用地取得が大きなかぎと考えますが、今後の取り組みについて伺います。
 次に、外環の取り組みについて伺います。
 外環は、多摩に限らず首都圏の交通渋滞や環境問題の解決を図る上で非常に重要な道路であり、その整備が急がれております。しかしながら、昭和四十一年の都市計画決定以来、長い経緯があって整備が行われずにいました。石原知事が、三鷹に予定されている中央道とのジャンクションなどの現地視察を行って以来、ようやく動き始めたところであります。
 その後、都では、問題の解決を図り、外環計画を進めるために、これまで地元住民との話し合いを行うなど、取り組みを行ってまいりました。この十月には、外環沿線協議会での二年間の議論の取りまとめがなされ、終了しています。また、環境アセスの現地調査も間もなく終了するところと聞いており、一歩一歩進展していると理解をしているところです。
 一方、地元住民の方々からは、大深度の本線はよいとしても、インターチェンジやジャンクションなど、地上部にできる施設がどのような構造になるのか、施設周辺の環境対策はどのようになるのかなど、具体的な計画を早目に知りたいといった声があります。また、インターチェンジのつくり方によっては、外環の整備効果あるいは影響といったものも変わってくるものと思います。
 これまで都ではさまざまな資料を提供し、地元の意向を把握してきたところでありますが、さらに一歩進めた段階に入る時期に来ているといえるのではないでしょうか。
 そこで、インターチェンジのつくり方などを地元の方々に示した上で、地元に影響が少なく、そして整備効果が高い、よりよい案を住民の皆さんと一緒になって考える場を設けてはどうかと考えますが、都の見解を伺います。
 さて、昨年の第四回定例会の一般質問で、私は中国人と思われる二人組の強盗によって、三鷹駅前の薬局の経営者が刺殺された事件を取り上げ、外国人犯罪の実態について取り上げました。今でも、その悲しみと怒りはおさまっておりません。しかし、だからといってすべての外国人に憎しみを持って接するつもりではありません。
 都内には、現在五万人を超える留学生、就学生が、大学、専門学校、日本語学校で学んでおります。留学、就学目的で来日した外国人の一部には、不法滞在、不法就労して犯罪にかかわるようなケースが報道されることから、学生を受け入れる学校はマイナスイメージが持たれ、学生も減少している実態があります。
 しかし、現実には、向学心に燃え、まじめに勉強する学生もたくさんいます。かつて、中国や台湾などのリーダーは、日本で学び、日本に好意を持ちながら自国をリードした指導者として、日本との友好的な関係を築いてきました。こうしたことも考えますと、不法な目的の来日と、真剣に日本語を学び、さらに日本で専門的な勉強を身につけようとするまじめな学生とは峻別して対応することが必要であると思います。
 特に、来日する外国人を対象に日本語教育を行っている日本語学校については、法的位置づけが明確になっておりません。ここに一つ大きな課題が存在しているものと思います。不法滞在や不法就労を取り締まることも必要ではありますが、その一方で、留学生、就学生が安心して学べるような環境づくりも大切であると考えます。
 今後、アジアとの協力、連携は日本にとってますます重要となってまいります。留学生や就学生は、アジアの発展を支えていく上で、必ずや将来重要な役割を担っていくものと考えます。
 そこで、都では、留学生、就学生に対して、現在どのような取り組みを行っているのか、また今後どのように対応していくのか伺います。
 アジア諸国との国際交流は日本の発展にとってもなくてはならないことであり、留学生、就学生の日本の教育への期待を裏切ることのないよう、また安心して生活できるように、引き続き留学生、就学生への支援に努めていかれますようお願いをしておきます。
 次に、外資系企業の定着促進について伺います。
 今、外資系企業の東京離れ、日本離れがあると聞いております。外資系企業の撤退、縮小の要因として、ビジネスパートナー探しが困難であったり、外国人駐在員とその家族向けの情報提供、相談体制が不十分であるなどが挙げられております。都内経済を活性化させるためには、都内中小企業と外資系企業とのビジネス交流を図り、外資系企業の定着を促進することが重要であります。
 今定例会の知事の所信表明の中で、必要な情報をワンストップで提供するとありましたが、都は今後、外資系企業の定着をどのように促進していかれるのか、知事のご所見を伺います。
 最後に、新銀行東京の経営体制について伺います。
 十一月下旬に発表された主要行の九月中間決算等を見ますと、貸し出しは依然として減少基調にあるものの、一部に底打ちの気配が感じられ、また中小企業向けの無担保、第三者保証不要の融資商品は、兆円単位で拡大しているといわれております。
 他方、中小企業向け専業銀行として本年四月に都内で開業した日本振興銀行は、もともと営業店舗一カ所の小さなスタートで、初年度の事業計画も控え目ではありましたが、上期の貸出残高はわずか四十億円にとどまっている状況にあります。
 こうした中、新銀行東京は六月に経営陣も選任され、開業に向けて組織的な準備が進められてきました。そして、このたび新銀行は、契約スタッフと行員を対象とした二回目の公募を行いました。今回が、開業前では最後の職員公募になると思います。四月の公募では、五十倍を超える多数の応募があったとのことであり、優秀な職員が採用されたものと期待をしておりますが、今回の応募状況はどのようであったのか、また、これで発足に当たっての基本的な職員体制が整うのかをお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 吉野利明議員の一般質問にお答えいたします。
 外資系企業の定着促進についてでありますが、確かに日本には、現在も過去もこれからも、時間的、空間的に狭くなった世界でありますから、多くの外国企業がいろんな目的でやってきて業務を展開すると思います。
 しかし、中には非常に好ましくないものもありまして、いわゆるハゲタカファンドというんでしょうか、典型的なものは、かつて非常に躍進しかけていた東南アジアの経済を、アメリカの戦略で、その先兵になって、主に金融、為替の問題で壊滅させたヘッジファンドのような、そういう企業もありますが、しかしやはり、日本の企業と着実に提携し、日本にない可能性というものを暗示、啓示しながら、要するに日本で仕事をしてもらう、そういう企業というものも十分あり得ると思いますし、それを私たちが迎えることは、決してやぶさかではございません。そういう企業が、それだけの熱意、誠意がありながら日本で仕事がしにくいという状況があるなら、これはやはり反省すべきものだと思います。
 この間も指摘がありましたけれども、子どもが病気になったときに、あるいは自分が病気になったときにどこの病院へ行っていいか、どうも言葉も通じない云々と。実は、私はある縁で知っておりますけれども、トウキョウクリニックという外人専門の割と総合的な分野をたくさん持っている病院が、コンパクトでありますけれども、東京タワーの近くにございますが、そういった存在も、主にアメリカ人に限られて情報として流れていますけれども、もっと開放されていいんじゃないかと思いますが、そういう情報も含めて、あるいはほかにもあると思いますけれども、やはり東京がイニシアチブをとって情報として流していく。
 それから、業務の手続というものは、日本が煩雑なのは、本当に一番大きな反省点だと思いますけれども、こういったものも、かつてロケーションボックスでやりましたけれども、それと比重が違いますが、いろんな手続について、なれない商習慣もあるでしょう。それを東京の窓口が一つにくくって、そこで専門家が相談に乗るというふうなことは、これからの日本と外国の企業の提携、発展のためにどうしても必要なことだと思っております。
 ですから、都は、来年度、外資系向けのワンストップ総合窓口をいろいろ研究しまして、設置するつもりでございます。この窓口では、今いったような問題も含めて、お子さんたちの学校の問題とか病院の問題とか、プラス、やはりそういうある種目の企業ならば、日本にあるこういう中小企業、こういう部門と提携すれば、もっといろんな可能性が開けてくるんじゃないでしょうかという、そういう技術的なものも含めてのサジェスチョンを情報として提供する、そういう施設を構えることで、外資系資本、健全な外資系企業のビジネス環境を整えて、東京における定着の促進を図っていきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長から答弁します。
   〔総務局長赤星經昭君登壇〕

○総務局長(赤星經昭君) 震災対策についての二点の質問にお答えいたします。
 まず、災害時の情報収集伝達についてでございますが、都は、非常電源を備えました防災行政無線を区市町村及び防災機関との間に整備いたしますとともに、バックアップといたしまして専用回線を設置しております。また、国や他県市と情報連絡を行うため、衛星通信設備を設けております。これらは、二十四時間体制で運用しておりまして、職員の通信訓練も定期的に行っております。
 さらに、災害時には、区市町村、報道機関などと連携し、都民に被害情報や避難情報などを速やかに提供することにしております。
 現在、カメラつき携帯電話による職員からの被害情報収集システムの構築を進めておりますが、今後ともさまざまな通信手段の活用を図り、情報連絡体制の確立に努めてまいります。
 次に、自衛隊との連携についてでございますが、大規模災害時、被害者の救出、救助や道路障害物除去などの応急復旧活動、避難所運営などにおいて自衛隊は不可欠の存在でございます。
 都におきましては、三宅島噴火災害を初めとする災害発生の際には、自衛隊や警察、消防等防災機関と連携しながら、避難誘導や火山灰の除去等を行ってまいりました。
 また、日ごろから連携を図るため、総合防災訓練に自衛隊の参加を要請し、合同で訓練を実施いたしますとともに、昨年度からは、管理職の、幹部職員の派遣を得て、危機管理対策を推進しております。
 今後とも、自然災害、NBC災害等、多様な危機に対処するため、自衛隊との連携を一層強化してまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 公園及び道路に関する五点の質問にお答えします。
 まず、都立公園のパークマネジメントマスタープランの策定の目的についてでございますが、都は、公園を愛する都民や企業との連携による公園運営を目指し、これまで、思い出ベンチ事業や日比谷公園百年記念事業など、先駆的な取り組みを行ってまいりました。
 このような流れを発展させ、公園利用者が求める魅力的な事業の実施と一層のサービスの向上を目指し、継続的に公園運営の改善に努める必要がございます。今回のマスタープランは、取り組むべき施策や新たな仕組みなど、今後の公園経営の方向を明らかにしたものでございます。
 次に、民間の知恵などを生かす取り組みについてでございますが、本年四月から動物園サポーター制度を発足させ、動物と動物園を愛する都民や企業からの支援を飼育環境の改善などに生かしております。
 また、現在、日比谷公園旧公園資料館の建物について、保存、活用のアイデアを民間から公募しております。今年度内に事業者の選定を行い、日比谷公園の一層の魅力アップと活性化を図ってまいります。
 今後とも、あらゆる機会をとらえ、都民や企業の活力を反映できる仕組みづくりに取り組んでまいります。
 次に、公園評価制度の導入についてでございますが、今後の公園づくりには、個々の公園が持つ個性や魅力を最大限に生かすため、利用者の意向を十分に把握するとともに、継続的に事業を評価し、改善を図っていくことが必要でございます。
 制度の導入に当たりましては、公園内における樹木の豊富さなど自然の豊かさや、園路の歩きやすさといった安全性、快適性などを新たな指標として定めます。その指標に対し、都民の意見などを収集、評価し、結果を各公園の運営改善につなげ、都民が高い満足感を得られる公園づくりを進めてまいります。
 次に、三鷹三・二・二号線の整備状況についてでございますが、本路線は、放射第五号線と連続する東八道路で、多摩地域と区部の連携強化、甲州街道の渋滞解消、生活道路への通過交通の排除などに寄与する重要な路線でございます。
 計画延長六・六キロのうち既に五・六キロが完成しております。残る一キロは現在事業中であり、外環道西側の〇・五キロでは、平成十五年度末までに七五%の用地を取得し、順次工事を進めております。さらに、一部区間では先行して歩道を整備し、交通開放しております。また、外環道東側〇・五キロは、本年五月に事業認可を取得し、事業に着手いたしました。
 最後に、用地取得の取り組みについてでございますが、整備が急がれる本路線につきましては、積極的に用地の早期取得を進めてまいりましたが、特に、本年着手した外環道東側区間の用地取得を重点的に行うため、東京都道路整備保全公社に委託し、集中的に進めております。
 この区間は、ご指摘のように現道がなく、新たに道路を整備する必要があり、移転先の確保など、関係権利者の理解と協力を得ることが重要でございます。このため、移転資金の貸し付けや代替地のあっせんを行うなど、関係権利者の生活再建を支援しながら、精力的に用地取得を進めてまいります。
 今後とも、財源確保に努め、地域住民の理解と協力を得て、早期完成を目指してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 外かく環状道路の整備に当たっての住民対応についてでございますが、これまでも、都は国とともに、外環の整備効果や地域ごとの課題などについて、沿線各地で広く住民の方々に説明するとともに、意見を聞いてまいりました。今後、さらに計画を具体化するに当たりましては、インターチェンジのつくり方など、一層、沿線住民の意向把握が重要であると考えております。
 したがいまして、ご指摘のあった住民との考える場の設置につきましては、国や沿線区市とも連携し、実施できるよう取り組んでまいります。
   〔生活文化局長山内隆夫君登壇〕

○生活文化局長(山内隆夫君) 留学生や就学生に対する取り組みについてでございます。
 都は、専修学校や日本語学校など、留学生等が在籍する学校に対する相談窓口を今年度設置するとともに、民間団体への助成を通じて、留学生等の生活全般に対する相談事業を実施してまいりました。
 また、留学生等が良好な環境で学び、安心して生活できるような支援策及び日本語学校に対する認可のあり方等、ご指摘のとおり、ややまだ未整備な点がございますので、法的位置づけを明確にすることについて国に要望しております。
 都としても、日本語学校が日本への理解やアジアへの連帯を強めるなど、これまで国際教育に果たしてきた役割を評価するとともに、今後とも、ご指摘の点を踏まえ、日本語学校に対し適切に対応してまいります。
   〔新銀行設立本部長津島隆一君登壇〕

○新銀行設立本部長(津島隆一君) 新銀行の職員の応募状況と体制についてのお尋ねでございますが、今回の契約スタッフの公募は、採用予定人員七十名程度に対し約四百三十名と六倍以上の応募があり、また、行員については、採用予定人員若干名のところ、約四百五十名の応募がございました。
 行員と同様、契約スタッフについても予想を超える多数の応募があったことは、新銀行に対する強い期待のあらわれと受けとめております。今後、数次の面接を経て、厳正な選考を行った上で合格者を決定し、今月から順次採用してまいります。
 今回の公募により、行員と契約スタッフを中心とした基幹部分の体制は整備できたものと考えております。今後さらに派遣スタッフや業務委託を含め、開業に向けた万全な体制を整備してまいります。

○議長(内田茂君) 十六番長橋桂一君
   〔十六番長橋桂一君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○十六番(長橋桂一君) まず初めに、観光振興について伺います。
 都は、観光振興プランを平成十三年十一月に策定し、東京への外国人を五年で倍増の六百万人にするという目標を立て、平成十四年四月には産業労働局に観光部を設置しました。国においても、平成二十二年までに同じく一千万人にするという目標を立て、ビジット・ジャパン・キャンペーンを展開しております。
 アジア諸国でも国を挙げて国際観光に取り組み始めており、アジアの中でも、観光における都市間競争が激化しております。
 一方で、平成二十一年には羽田空港の第四滑走路が完成し、国際空港として生まれ変わります。羽田空港が国際化されれば、世界じゅうから多くの人が訪れます。訪日外国人が増加すれば、国際相互理解の増進のほか、旅行消費の拡大、関連産業の振興や雇用の拡大による地域の活性化など、大きな経済効果をもたらします。
 また、私の地元、池袋で十一月に、国土交通省のモデル事業としてオープンカフェが実施されました。歩道にテーブルといすを置き、クラシックやジャズの生演奏、路上アートを鑑賞しながら、憩いのスペースを提供する事業であります。(パネルを示す)これがオープンカフェの模様でございます。これが路上での演奏でございます。もう知事は見ていただいたと思います。
 終了後のアンケートの結果は、利用者も、周辺の商店街にも大変に好評でありました。今後も継続的にやってほしいという声が圧倒的に多く、まちの景観や魅力の向上とともに環境浄化にもつながり、さらに、散歩や買い物などの途中、道路上で休憩できるなど、道路の新たな有効利用として高い評価を得ました。高齢者の方にこの話をしましたら、引きこもりがちな高齢者にとって、道路に休憩場所があることは、外へ出たくなるといわれました。
 このオープンカフェは、既に丸の内で、東京都も主催者の一員として、五月と九月に開催され、同じく大好評でありました。街路空間の有効利用策として、パリやニューヨークなどではサイドウオークカフェの条例が整備され、都市の魅力を高めています。
 そこで、第一に、オープンカフェ事業など地域での取り組みが、千客万来の世界都市東京を目指す都の観光振興にとって有益であると考えますが、知事の所見を伺います。
 第二に、観光振興を強力に進めるためには、全庁挙げた取り組みが重要であります。例えば各局のホームページに観光に関するページを新たに開くなど、都の観光施策の情報発信の面でも、各局の連携を強化すべきであります。公園や河川を管理している建設局、港湾の活性化を検討している港湾局、文化施設を管理している生活文化局、都市交通を所管している交通局など、すぐれた観光資源を有する各局と産業労働局とが連携をとり、これらを広くアピールすべきであります。
 また、地域でのさまざま主体的取り組みが進められておりますが、地元豊島区では、文化芸術創造都市に向けて、十二月の八日、昨日、地域再生計画の認定を受け、オープンカフェ事業を含む文化芸術振興を進めていくことになっております。
 そこで、都は観光の視点から、このような公共施設や公共空間を利用してにぎわいを創出する事業に対して、各局が連携し、まずは特区やモデル地区を指定するなど、規制緩和を含む支援を積極的に進めるべきと考えます。こうした各局連携による観光施策の推進について所見を伺います。
 第三に、東京の観光の魅力を高めるには、観光施設の整備だけではなく、観光客を迎える地元地域の主体的な取り組みが重要であります。
 そこで、各区市町村の観光協会同士が集まり情報交換をし、課題の解決に向け連携する場が必要と考えます。各観光協会も横の連携を強く望んでおります。
 さらに、各県の観光協会と連携を図ることにより、地方と都市との交流を通して広域的な観光振興が可能となり、東京の魅力を一層拡大することができます。都は観光振興のため、各区市町村観光協会の連合会の組織づくりを進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、自閉症対策について伺います。
 自閉症とは、千人に一人から二人以上生まれる発達障害の一つだといわれています。人や物に変わったかかわり方をしたり、大人や同年代の子どもとのコミュニケーションがうまくとれなかったり、あるいは、興味や関心が非常に偏っていて、同じことを繰り返したがる特徴を持っています。
 特に近年話題になっている高機能自閉症、アスペルガー症候群については、知的な発達のおくれを伴っておらず、その障害や支援に対する理解を得ることが大変困難であります。手帳取得など、法制度上の支援がほとんど皆無であるのが現実であります。
 無理解、無支援の中で苦しんできた障害者や保護者の方々が心から待ち望んでいた発達障害者支援法が、我が党の推進により十二月三日成立をしました。いよいよ発達障害者への支援が具体的に大きく前進することが強く期待されます。
 文部科学省が担任教師の回答をもとにまとめた調査によりますと、知的障害はないものの、学習面や行動面で著しい困難を持っているとされる児童生徒は、通級学級で六・三%に上るとの結果が出ております。都も、教育委員会が同じ調査を公立の全小中学校生に行い、四・四%、約三万三千人の児童生徒に問題があることが明らかになりました。こうした発達障害者への支援に対して、専門家の育成や発達障害者支援センターなど、都道府県における体制整備が急務であります。
 そこで、第一に、おくれている発達障害者への支援策について、都の認識を伺います。
 第二に、自閉症・発達障害支援センターの整備についてであります。
 全国で十九カ所のセンターを、来年は三十六カ所にふやすとしていますが、設置する単位は、都道府県と各政令指定市に一カ所となっています。政令指定都市のある道府県では複数のセンターを設置できますが、人口の最も多い東京には一カ所しか設置できません。
 先日、世田谷にある都内唯一の自閉症・発達障害支援センター「トスカ」に視察に行ってまいりましたが、わずか四人の職員で全部をカバーするため、大変にご苦労されていました。都は、早急に自閉症・発達障害支援センターの増設、拡充を図るべきであります。見解を伺います。
 第三に発達障害の早期発見、早期支援についてであります。
 全国唯一の小児精神科専門病院である都立梅ケ丘病院を視察してまいりました。自閉症を診断できる専門的医療機関が絶対的に不足しているため、初診の申し込みをしてから実際に診察を受けるまでに、年単位で待たなければならない状況にあります。それでも担当の医師は、多いときには一日八十人以上の自閉症児などを診察してまいりました。
 こうした状況を改善するため、身近な保健所の保健師や保育園の保育士、あるいは区市町村や児童相談所で相談に当たる職員等に、発達障害の研修や訓練を実施すべきであると考えますが、所見を伺います。
 第四に、教員、保護者への啓発であります。
 現在、自閉症児はクラスに必ず一名、二名はいます。したがって、通級指導学級を含むすべての教員に対する研修を行い、理解を深めるとともに、保護者に理解、啓発を図るべきであります。所見を伺います。
 第五に、発達障害者への就労支援についてであります。
 生きがいを持って社会参加を果たすために最も重要な支援は、就労支援であります。ノーマライゼーションの理念に基づいて、働きがいのある雇用の場を確保すべきであります。見解を伺います。
 さらに、早期発見のための支援策について一点要望いたします。
 現在、区市町村は、一歳六カ月健診、三歳児健診を行っておりますが、軽度の自閉症は、この年代で発見することは困難であります。そこで、就学前、早期に自閉症を発見し、適切な支援、治療等を行うために、新たに五歳児健診を導入すべきであります。
 次に、病後児保育事業について伺います。
 安心して子どもを産み育てられる環境には、病後児保育事業の拡充が重要であります。例えば豊島区で行った聞き取り調査で、子育てをつらく思うときはとの問いに、回答が最も多かったのは、子どもが病気で会社を休まなくてはならない場合でありました。
 都は、平成十二年策定の福祉改革推進プランにおいて、病後児保育を平成十六年度までに八十カ所で実施するとしていますが、いまだ一カ所もない区市が多数あり、保護者のニーズにこたえられていないのが実態であります。
 そこで、第一に、病後児保育事業の実施状況と認識について伺います。
 第二に、病後児保育事業は安定した利用が見込みにくいなど、採算面で運営が厳しく、事業者の参入がなかなか進まないのが実態であります。しかし、全国で最も要望が多く、ニーズが高いのが東京であります。病院や事業所内の保育施設などを活用し、行政が率先して事業を拡大していくべきであります。見解を伺います。
 最後に、環状五の一号線の地下道路整備と周辺整備について伺います。
 私の地元豊島区では、平成十九年度完成予定の環状五の一号線の整備が進んでおります。既に用地は九〇%を取得し、工事も一〇%進捗しております。また、地下鉄十三号線も同じく平成十九年度開通に向けて工事が進んでおります。都は平成八年五月に、環状五の一号線の道路整備計画のあらましを公表いたしました。それによりますと、地下鉄十三号線の導入空間として期待も高いので、早期整備を図るとし、さらに、将来、地下四車線道路を整備するとしています。
 地下道路が整備されなければ、池袋駅前の渋滞は解消されません。地上部だけの整備では、明治通りに接続しないため、池袋から新宿に向かう車が千登世橋周辺で大混乱を起こすことが予想されます。したがって、この地下道路は池袋副都心の再生に大きく関係し、何としても整備しなければならない道路であります。整備日程が迫っている今、今後の方針を早急に明らかにすべきであります。見解を伺います。
 あわせて、環状五の一号線の周辺である南池袋二丁目地区は、池袋駅から七百メートルと近くにありながら、小規模な敷地や狭隘な道路が多く、小学校跡地や駐車場などの大規模な低未利用地があり、防災や環境の面から整備が求められています。現在、整備が進められている環状五の一号線の開通に伴って大きくさま変わりするこの地区の今後のまちづくりの方針について所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 長橋桂一議員の一般質問にお答えいたします。
 観光振興における地域の取り組みについてでありますが、東京には、歴史、文化、産業など、地域地域を売り出す観光の資源が数多く存在していると思いますけど、なかなかそれがうまく活用されていないうらみもございます。
 今、オープンカフェとかライトアップという発想を提案されましたが、既にオープンカフェなどはあちこちでやっていまして、これはなかなか人気があるんですよね。私がよく通うテニスクラブの手前に、広尾ですか、こんなところで、この道路っ端で、狭い道路にいすを並べて、ここでお茶を飲んで、何が気持ちいいのかなと思うんだけれども、何となく外気の中でお茶を飲むのがいいのか、随分はやっていますが、あちこちにありますけど、これも、後ほど申しますけれども、先ほどの質問にも関連ありますが、隅田川のような川っぺりの護岸の上にそういうテラスを設けたりすれば、本当にすばらしい開放的なテラスになると思うし、カフェになると思います。
 例えば博多などは、水道からガスまで来ている、あの有名な屋台の町がありまして、安くておいしい、本当に名物になっておりますけれども、いずれにしろ、こういった地域地域の発想を生かした取り組みは、東京全体から見ても、それぞれ魅力のある空間を創出して、つなげていく手法として、極めて有効だと思います。
 こうした取り組みと埋もれてしまっている観光資源との結びつきがうまくできましたら、東京の新しい魅力の創造につながっていくと思います。
 私もあちこち東京を歩きますけど、やっぱりこれは、地元の方々がもう一つ工夫しようという創意があって初めて地域が生きてくるんでありまして、そういう点では、今後も、長橋さん以下、議員の方々、それぞれの地域で、ひとつそういう発想でご努力願いたい。逆にお願いする次第です。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 発達障害に関します教員研修と保護者への理解、啓発についてのお尋ねでございますが、自閉症などの発達障害のある児童生徒の教育を充実させるためには、教員研修の充実や保護者に対する啓発などを積極的に進めていくことが大切でございます。
 このため、都教育委員会としましては、発達障害に関する講習会を実施しましたり、都内公立学校のすべての教員にリーフレットを配布したりするなど、教員の研修の充実に努めておりますが、今後は、お話のように、特別支援教育推進計画に基づき、発達障害に関する新たな研修の実施や、保護者会等でのリーフレットの活用による啓発などを通しまして、学校と家庭が一体となって、発達障害に関する教育の一層の充実が図られるよう支援を行ってまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 観光施策及び発達障害についての三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、各局連携による観光施策の推進についてでございますが、にぎわいの創出に向けた地域の主体的な取り組みに対し、課題となります規制の緩和などや、観光に関する都の施策の情報発信などにつきまして、各局と連携を図っていくことが重要であると認識しております。
 こうしたことから、各局の事業を観光の視点からとらえ直し、効果的に連携するため、このたび庁内に観光施策連携推進会議を設置したところでございます。この会議体をてこに、各局との連携を一層強化し、東京の魅力の向上に向けた施策の展開に取り組んでまいります。
 次に、各区市町村の観光協会についてでございますが、現在、都内に四十三ある観光協会が相互に連携、協力して、広域的な視点から観光振興を図ることは、東京全体の魅力の向上はもとより、地域の活性化にとっても極めて重要であると考えております。
 各地の観光協会の連携推進役といたしましては、観光情報や外客誘致のノウハウを持つ、都の監理団体でもございます東京観光財団が担うことが適切であると考えております。
 都といたしましては、区市町村の観光部門との連携をさらに強化するとともに、各地域の観光協会が相互に連携、協力し、都全域の観光振興に資するよう、東京観光財団を指導、育成してまいります。
 最後に、障害者の働きがいのある雇用の場の確保についてでございますが、障害者の雇用を推進するに当たっては、その能力や特性に応じて雇用の機会を確保するとともに、働きがいのある職業生活を送れるよう環境を整備することが重要であると認識しております。
 発達障害者の就労支援につきましては、発達障害者支援法の成立を受けた国の動向を踏まえ、ハローワークを初めとする就業支援機関や、医療、福祉、教育分野の関係機関と十分に連携し、対応を検討してまいる必要があると考えております。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 発達障害及び病後児保育についての五点のご質問にお答えいたします。
 まず、発達障害者への支援に対する認識についてでありますが、自閉症や学習障害、注意欠陥多動性障害などの発達障害は、対人関係や行動面、学習面で社会的に不適応を起こす障害でありますが、これまでは法律上の明確な規定がなく、社会的な認識も不十分で、また、発達障害にかかわる専門家も少なく、地域における関係者の連携が十分でない状況であります。
 都としては、このたびの法の成立を踏まえ、発達障害者の実態把握とともに、区市町村や関係機関との連携による発達障害の早期発見、早期療育など、地域における支援体制の確立が重要であると認識しております。
 次に、自閉症・発達障害支援センターについてでありますが、都は平成十五年一月に自閉症・発達障害支援センターを開設し、自閉症などの発達障害者本人やその家族を初め、福祉施設職員などさまざまな関係者からの相談を受けるとともに、療育支援などを行っております。
 この支援センターは、発達障害者に対する支援を行う拠点として、国の補助を受けて、各都道府県や政令指定都市が一カ所ずつ整備を行うものであります。
 都は今後、本支援センターを中核として、区市町村単位で学校、医療機関、就労支援センターなどから成るネットワークを構築することにより、発達障害者が身近な地域で総合的な支援を受けられるよう取り組んでまいります。
 次に、健診などを行う職員の研修等についてでありますが、発達障害の早期発見、早期支援には、ご指摘のように、健診や相談に当たる職員が障害を正しく理解することが極めて重要であります。
 都はこれまで、母子保健研修の中で保健師や保育士などを対象に発達障害をテーマにした研修を実施しており、また、自閉症・発達障害支援センターにおいても、区市町村や児童相談所、福祉施設などからの研修の要望に対応してまいりました。
 今後は、これまでの支援センターや保健所などにおける相談事例や支援の実績を十分検証した上で、研修内容の充実とともに体系的な研修を実施してまいります。
 病後児保育事業の実施状況についてでありますが、平成十五年度実績では二十九区市において三十八カ所でありましたが、今年度は三十二区市、四十五カ所の実施が見込まれており、過去五年で約四倍に施設がふえるなど、着実に整備が進んでいると認識しております。
 最後に、病後児保育の拡充に向けた取り組みについてでありますが、病後児保育のニーズが高いことは都としても認識しておりますが、本事業には、安静室などの専用スペースが必要であることや、容体が急変しやすい児童を預かる困難性など、事業実施に当たっての課題がございます。
 このため、都においては、今年度から、事業を開始する際の改修費を補助するとともに、民間保育所に対するサービス推進費補助の努力加算項目に病後児保育の実施を加え、事業の推進に努めております。
 今後、利用実態の検証を行い、実施主体である区市町村が地域の実情に合わせて事業に積極的に取り組んでいけるよう働きかけてまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 環状第五の一号線の取り組みについての質問にお答えします。
 本路線は、池袋、新宿など副都心の連携強化や、池袋駅東口周辺の渋滞緩和に寄与する重要な幹線道路でございます。特に雑司が谷地区は、地下鉄十三号線の導入空間として整備が急がれることから、平成十年度に目白通りからグリーン大通りまでの区間を二車線で事業化し、現在、用地取得を進めております。
 本路線の幹線道路としての機能を確保するためには、グリーン大通りや千登世橋付近での明治通りとの接続方法など解決すべき課題が多々あり、今年度末を目途に、現在、その検討を行っております。
 今後、この結果を踏まえ、課題を整理した後、地元区など関係機関と調整してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 南池袋二丁目地区のまちづくりについてのお尋ねですが、環状第五の一号線が計画されている当地区は、池袋副都心に隣接するとともに、防災都市づくりの重点整備地域に位置づけられており、環五の一の整備と一体となった安全で快適なまちづくりが求められております。
 このため、当地区では、まちづくりへの地元の合意形成に向けて、地域特性に応じた建築ルールと規制緩和策を事前に示すことのできる、しゃれた街並み推進条例に基づく街区再編まちづくり制度の活用を考えております。
 現在、本制度による街並み再生地区の指定につきまして豊島区と調整を行っており、本年中の指定を目指しております。

○副議長(中山秀雄君) 三十二番酒井大史君。
   〔三十二番酒井大史君登壇〕

○三十二番(酒井大史君) まず初めに、災害時における弱者への対策について伺います。
 ことしは、新潟県における地震のみならず、水害等多くの自然災害が発生した年でもありました。このような災害が発生したとき、健常者であっても、避難所への避難路の確保や避難所での生活は大変なことであると思います。現に、被災地では要介護申請が急増しているという報道もあり、避難所での生活の厳しさを改めて認識させられました。まして、体に障害を持った方々においては、災害時における避難所での生活、避難路の確保、また災害情報の提供等、不安な点が多くあるのではないかと思います。
 災害時における対応については、市区町村が基本的に権限と責任を有していることとは思いますが、都内全域における災害弱者への対策を構築していくため、都の見解を伺います。
 初めに、ハンディキャップを持った方々が、外出時、例えば公共交通機関や地下街、各種施設等を利用しているときに災害が発生した場合、混乱した状況の中で、避難誘導に関して適切に情報提供を行うことが求められます。視覚障害者へは音声で、聴覚障害者へは文字で情報が提供されることが求められますし、また、視覚障害者や身体障害者の方々については安全な場所への誘導体制の構築も必要と考えられます。これら対策の必要性について、施設管理者への協力依頼等も含め、都の見解を伺います。
 次に、自宅内において災害が発生した場合における身体、視覚、聴覚障害者や要介護高齢者の安否確認、避難所への誘導体制の構築や、これらの方々の避難先となる二次避難所指定への市区町村の取り組みについて、都はどのようなグランドデザインを持って対応しているのでしょうか。
 身体に障害を持った方や、また要介護高齢者は、ベットやトイレの問題など、一般の避難所での生活が難しいことは容易に想定されますし、自閉症の方などは、多くの人が集まる避難所でともに過ごすことが困難であることも予想されます。これらの方々に対応する二次避難所の指定や、また知的障害者などを対象とする避難所の整備についても、都内すべての市区町村で対応できている状況にはなく、その存在や、また誘導体制の周知も十分とはいえません。都としての見解を求めます。
 最後に、災害に遭われた方に対する心のケアについて伺います。
 今回の新潟県中越地震で被災された方の中には、不安や緊張、不眠、疲労による体調不良を訴える方や、フラッシュバック、急性ストレス障害、ASD、心的外傷後ストレス障害、PTSDの前兆を示す方もおられます。
 災害によって強いストレスが加わるとさまざまな心の問題が引き起こされる可能性があり、また、一般の大人にとっても耐えがたい経験であることを考慮すると、災害弱者、特に子どもに対する対応には一層の専門的配慮が必要になります。
 今回、都は、いち早く精神科医や看護師を現地に派遣し、被災者の心のケアを行ったと伺いましたが、東京においては災害時における心のケア対策はどうなっているのか、また、今回、現地で実際に心のケアに当たった経験を今後どのように生かしていくのか、見解を伺います。
 次に、児童虐待への総合的な取り組みについて伺います。
 我が会派の代表質問にもありましたように、最近、子どもにより親が殺される、あるいは暴行を受けるといった事件が多く報道されています。代表質問の中ではドメスチックバイオレンスについての質問も行われましたが、家庭内で起こる暴力に児童虐待の問題もあります。
 児童虐待の問題については、今月に入っても、都内において二歳の幼児がおじさんによる暴行で命を落とすなど、ここ数年、児童、幼児虐待に関する報道を目にしない月はないくらいの頻度で起こっています。東京都の資料においても、児童相談所で受理している児童虐待の相談件数は、十年前に比べおよそ十一・四倍、平成十五年度において二千四百八十一件という数が示されています。
 この世に生まれ出た貴重な命を一人でも多く救うために、我々の社会はさまざまな対応を講じていかなければならないことはいうまでもありません。この十月一日に改正児童虐待の防止等に関する法律が施行されたこともあり、児童虐待への早期対応のみならず、児童虐待の早期発見に向けての対策という観点から質問をさせていただきます。
 まず初めに、知事の所信表明の中で述べられていました、児童相談所の機能を充実するとともに、児童相談センターの専門機能を充実した、子ども家庭総合センター(仮称)の設置に関してお伺いをいたします。
 東京都の資料にある児童相談所への通報件数の増加といったものは、ある意味で児童虐待への関心が高まり、従来、通報をためらっていたような方や、また事案においても通報されるようになったという、潜在的な児童虐待が表に出てきたという見方もできますが、それとあわせて、児童虐待の件数自体もふえているのではないでしょうか。
 全国各地で発生している児童虐待への対応の中には、児童相談所の対応のかいなく、また、不十分な対応により貴重な命が親や親近者によって奪われる事案が少なくありません。
 児童虐待への対応の強化を図るため児童相談所の機能を充実する必要がありますが、これまでの取り組みと、今後設置をされる子ども家庭総合センターの内容について伺います。
 次に、今回の児童虐待防止法改正は、これまで、虐待を受けた児童を発見した者に速やかな通告を義務づけていたものを、児童虐待を受けたと思われる児童へと範囲を広げることにより、早期発見、通告を促すものとなっています。
 これを受け、通告義務者である学校における早期発見、通告について教育委員会はどのように取り組んでいくのか、基本的な考えをお伺いいたします。
 また、学校等において教師が児童虐待を早期に発見をしていくためには、教師が児童の様子に注意を払っていくことが大前提でありますが、それとあわせて、虐待を受けている児童が教師にその虐待の事実を訴えられる環境を構築していくことも必要であると考えます。一般的に、虐待を受けている子どもは、親から虐待を受けていることを他の人に話したがらない、自分が親から虐待を受けていること、また愛されていないのではないかということを認めたくない、また、ネグレクトの場合など、虐待を受けていることを認識していない場合があるといわれています。このような子どもたちへの虐待を早期に発見するためには、子どもたち自身に虐待とはどういうことなのかを教えていくことも大切なことであると思います。
 京都市教育委員会では、市内四つの小学校をモデル校として、児童に虐待についての授業を行っています。このとき大切なことは、子どもにしつけと虐待の違いをしっかりと教え、考えさせることです。このことにより、児童たちが同じクラスの友人の変調に関心を持ったり、児童自身、みずから虐待を受けていることや、また兄弟の状況を教師に話すようになったり、また教師自身も、教えることを通じて児童の様子の変化により注意を払うようになったとのことです。
 東京都の資料でも、虐待を受けた児童の年齢分布で二歳から八歳までの割合が全体の六〇%弱を占めていると指摘しています。この統計は、八歳を一つのピークとしているという見方と、高学年になると児童虐待が潜在化してしまっているのではないかという二つの見方ができます。
 いずれにしても、市区町村教育委員会にも働きかけ、小学校低学年のうちに虐待についての授業を行うことが児童虐待の早期発見につながると思いますが、教育長の見解をお伺いいたします。
 児童虐待に関する最後の質問となりますが、虐待を受けた子どもたちについては、心と体の傷を一日も早く回復させていくことが何よりも大切です。このためには、虐待を受けた子どもたちに対する社会的な支援策、とりわけ養育家庭制度、いわゆる里親制度などの家庭的な養護施策の充実強化が必要であると考えます。
 先日、石原都知事は、報道番組で養育家庭制度に関して見解を述べられていましたが、家庭の温かさを子どもたちに感じさせていくためにも養育家庭制度の活用が不可欠であると考えますが、都としての取り組みをお伺いいたします。
 最後に、犯罪被害者支援について質問をいたします。
 この問題については過去何回も質問し、石原都知事からもご答弁をいただいておりますが、去る十二月一日、参議院本会議にて犯罪被害者等基本法が賛成多数にて可決成立しました。
 この基本法の成立に対しては、平成十六年第三回定例都議会にて意見書を可決し、都議会としてもその制定を求めた直後の成立であり、いよいよ我が国においても犯罪被害者の権利を尊重していくスタートラインに立ったことをまずは歓迎したいと思います。
 しかし、この基本法を読んでみますと、犯罪や犯罪被害者の定義がいま一つあいまいであり、その認定機関についても明確ではありません。また、被害者の知る権利の保護については明文化されず、具体的な施策についても、すべて基本計画に棚上げされた印象があります。
 さらに、東京都を初めとする地方公共団体が注目すべき点として、基本的施策として掲げられている条文のすべての主語が「国及び地方公共団体は」とされていることです。被害者の立場からすると、国と地方公共団体が連携して支援を行ってくれるのであれば願ってもないことであると思います。しかし、見方を変えると、国の責任があいまいになり、地方公共団体の負担のみが過大になることも容易に想定できます。
 以上のような問題点はあるものの、基本法が成立し、公布してから半年以内に施行される状況の中で、東京都を初めとした地方公共団体は早急に準備を進めていかなければなりません。
 そこで、昨年の第四回定例都議会における私の一般質問に対して、「犯罪被害者に対する支援は、経済的給付を初め、本来は国が対応すべき問題ではありますが、都としても、ご提案の条例も含めて、国や区市、民間団体などとも相談、協力しまして、そういうものを考慮し、考え、支援活動を推進していきたいと思っております。」とご答弁をいただき、ちなみに、この知事のお言葉には、当日傍聴席にいた犯罪被害者の遺族の方も勇気づけられたと申しておりました。犯罪被害者支援に従来から深い理解を持っていただいている石原都知事におかれては、今回の基本法成立に対し、どのような感想をお持ちなのか、また、基本法が成立をされたことを受け、東京都としての犯罪被害者支援条例等の制定や都としての体制整備に対する見解を改めてお伺いし、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 酒井大史議員の一般質問にお答えいたします。
 先ほど制定されました犯罪被害者等の基本法でありますが、私も専門家でありませんし、それほど精読しているわけじゃないんですが、論評にも出ていましたけれども、つまり同じケースに関して加害者の刑が重くなった、重くするということだけで問題の解決にならぬのじゃないかという論もありまして、私も同感でありまして、もうちょっとやはり被害者というものの立場に立って、例えば、事件が要するに勃発したその瞬間から、加害者と被害者をどう分けて扱うか。有名な、用賀の、東名の出口のところで、常習の過載のダンプカーの、しかも飲酒の運転手が、親子四人ほとんど殺した。お子さんは二人死にましたけれども、両親は重傷で助かったので、それで奥さんは今でも神経症で悩まれていますが、あのときだって、加害者の犯人は警察が慌ててタクシーかパトカーで運ぶけれども──パトカーで運んだんですか、だけれども被害者は、死亡者が出ているのに、とにかくタクシーを呼んでどこかへ回したという、そういう扱いというものに、何というんでしょうか、事件というものの構造に対する人間的な視線が欠けていると私はかねがね思っています。
 繰り返しになりますけれども、この民間における被害者の会の会長は、奥さん自身が自分の身がわりに殺された有名な弁護士の岡本勲君で、私の親友でございますけれども、彼もやはり、自分がこういう事件に巻き添えにされて家内が殺されなかったら、今ごろやはり弁護士として加害者の弁護をしていただろうと苦笑いをしていましたけれども。
 そういう点では、私は、物足りないというんでしょうか、もうちょっと違う視点での法律の構成というのが必要だったんじゃないかという気がいたします。ただ、私は専門家ではございません。それ以上のことを具体的にどうしろという意見を持っておりませんが、いずれにしろ、これは一つの進歩、一歩の進歩でありまして、遅きに失したとはいえ、議員立法によってこれが成立したことは歴史的にも意義があるものと思います。
 これまで、警視庁を中心に各局が連携して相談、保護などさまざまな支援にも取り組んでもきましたが、今後とも、国や区市、民間団体などと一層連携、協力して、痛ましい犯罪に遭遇して被害をこうむった方々の肉体的にも精神的にも立ち直りというものを、都としても支援していかせていただきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び福祉保健局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、学校における児童虐待の早期発見、通告についてでございますが、児童虐待は児童の人権を著しく侵害し、心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えますので、学校におきましても早期発見、通告を適切に行うことが重要でございます。
 都教育委員会としましては、人権教育に関する研究協議会や教員研修等におきまして児童虐待防止に関する内容を取り上げますとともに、本年六月に、全公立学校に対して都教育委員会が作成しました児童虐待を早期に発見するためのチェックリストを配布しまして、その趣旨の徹底を図ったところでございます。
 今後、これらの施策を充実させますとともに、教員のための手引書でございます「人権教育プログラム」に、児童虐待防止法の改正の趣旨に基づいた学校の役割や義務を明示し、各学校を指導してまいります。
 次に、児童虐待についての教育を行うことについてでございますが、児童虐待の未然防止や早期発見のために、学校におきまして児童生徒一人一人の状況を日常的に把握することが大切でございます。
 現在、都教育委員会としましては、各学校がチェックリストに基づき、児童生徒の出席状況、授業での様子、健康状況、家庭での状況などを把握しまして、児童虐待の早期発見に努めるよう指導しているところでございます。
 お話の、児童生徒に対する指導につきましては、いろいろ課題がございますが、特に親子の信頼関係を損なわないように配慮する必要がありますので、今後、都教育委員会が実施をしております人権尊重教育推進校や教育相談研修会等におきまして、児童生徒一人一人に応じた指導のあり方について検証しまして、その教育的効果を踏まえまして改善に努めてまいります。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 災害弱者対策及び児童虐待に関します五点のご質問にお答えいたします。
 まず、外出時の障害者への情報提供などについてでありますが、外出時に災害に遭った障害者には、周囲の人による援助に加え、利用者などの安全確保に責任がある施設管理者による適切な情報提供や避難誘導が必要であります。
 東京都福祉のまちづくり条例に基づく施設整備マニュアルにおいては、公共交通事業者などは、災害時の非常時に備えて、文字情報を伝えることができる案内装置や、フラッシュや音声により緊急事態の発生を知らせる誘導灯などを設置することが望ましいとしております。
 都としては、今後とも、公共交通事業者などの施設管理者に対し、避難誘導機器の整備や情報提供などの適切な実施について働きかけてまいります。
 次に、災害発生時の区市町村の取り組みについてでありますが、東京都地域防災計画では、災害時に、区市町村が障害者や高齢者などの安否確認や避難誘導などを行うほか、自宅や避難所での生活が困難な障害者などに対して社会福祉施設などを二次避難所として活用することとしております。
 都は、区市町村が、障害者などの安否確認のため、日ごろから所在地を把握しておくことや、二次避難所の指定など総合的な防災対策に取り組むよう働きかけてまいりました。
 今後とも、区市町村に対し、障害者などの防災対策の強化を働きかけていくとともに、都としても、災害時における障害者などへの対応について、関係団体などを通じて周知を図ってまいります。
 次に、災害時における心のケア対策についてでありますが、都においては、災害時の医療救護マニュアルを策定し、その中で、精神科医師などによる巡回相談や、精神保健福祉センターにおける二十四時間体制の相談業務を実施することとしております。
 今回、心のケア医療救護チームを新潟県に派遣し、避難所における診察や家庭訪問などを通じて、災害ストレスによる病状悪化の防止、子どもの心のケアを担う教師や救護に当たる職員へのサポートなど、心のケアの重要性を改めて認識いたしました。
 今後、この経験を災害対策研修などを通じまして関係機関の職員に伝え、災害時の心のケア対策に生かしてまいります。
 次に、児童相談所の機能の充実についてでありますが、都は、児童相談所の体制について、これまでも児童福祉司の増員や児童虐待などの困難ケースに的確かつ効果的に取り組むためのチーム制の導入など、その強化に努めてまいりました。
 さらに、平成十五年度からは、すべての児童相談所に虐待対策班を設置し、児童虐待に迅速かつ機動的に対応しております。
 今後、福祉、保健、医療、教育などの専門相談機関がチームを組んで、子どもと家庭に対する総合的かつ効果的な支援などの機能を持つ、仮称子ども家庭総合センターの設置に向け、準備を進めてまいります。
 最後に、養育家庭制度についてでありますが、虐待などにより社会的養護が必要な子どもたちは、できるだけ家庭的な環境のもとで育てられることが望ましく、養育家庭をふやしていくことは大変重要なことと認識しております。
 このため、都はこれまで、養育家庭の養育体験発表会の実施や、交通機関でのポスターの掲示、都の広報紙の活用などにより、制度の普及、啓発に努めてまいりました。
 今後、これらに加え、新たに都民向け啓発用ビデオを作成するなど、積極的に普及啓発活動に取り組み、養育家庭の着実な増加を図ってまいります。

○副議長(中山秀雄君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後五時三十四分休憩

   午後五時五十一分開議

○議長(内田茂君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 四十一番野島善司君。
   〔四十一番野島善司君登壇〕

○四十一番(野島善司君) 議席を得て三年半を迎え、今任期中の本会議における最後の発言となりますれば、いささか感慨深いものを覚えます。
 そこで今回は、私の今までの一般質問、所属委員会、予算、決算の各特別委員会においての質疑、提案を振り返りながら質問を申し上げます。定点観測的な質問になりますが、ご容赦をお願いいたします。
 今回の議事録が、私の都議会議員としての中間報告となるのか、はたまた最終報告となってしまうのかは、神のみぞ知るの心境でもあります。(笑声)
 それでは、最初に、住宅施策について伺います。
 知事は、さきの所信表明で、安心して取引できる中古戸建て住宅の流通促進を図ると発言されました。私は、十四年二定、十五年予特において、住宅流通は、情報の量とその正確さが大きな要素であり、中古住宅ストックを有効に活用し、消費者がライフステージの変化に合わせ住宅を買いかえる際の安心・安全のために、住宅の履歴情報システムの導入を提案いたしました。
 中古住宅履歴は、売る側の瑕疵担保責任のセーフティーネットに、買う側の維持管理コストの計算や資金調達の容易化に、そして、仲介業者の物件説明責任の明確化にも寄与するとの視点に立つものです。そこで、改めて、住宅の履歴情報についての基本的認識を伺います。
 ところで、戸建て住宅はさまざまな顔を持っています。新築から住宅履歴をスタートさせるのは容易ですが、中古の場合、それまでのリフォーム等を履歴化するのは困難な場合も予測されます。それらに対応し、簡易にして効果的かつ権威性のある住宅履歴が必要と考えます。制度設計に当たっての考え方を伺います。
 最後に、提案し、見解を伺います。
 都では現在、戸建て住宅の価格引き下げの実証実験を含む東村山本町プロジェクトを展開しております。この際、住宅履歴を本プロジェクトに導入し、将来的に中古住宅市場においても、良質、低廉にして安心・安全という付加価値の高い中古戸建て住宅の先鞭とすべきと提案いたしますが、いかがでしょうか。
 次に、病弱養護の高等部設置について伺います。
 障害者福祉の究極の目的は障害者が納税者になることだ、これは、かのケネディ大統領の言葉です。障害を持ちながらも、それとしっかりと向き合いながら、就労という社会参加を果たせるよう、社会全体が支援をしていく。とりわけ教育の分野は重要です。
 さて、先日、東京都特別支援教育推進計画が示されました。この計画の中に、盲・ろう・養護学校の後期中等教育の充実が具体的に示されました。そこで、病弱養護学校高等部設置についての基本的考え方について伺います。
 この計画によれば、平成十八年度に久留米養護学校高等部を設置するとされております。久留米養護学校は、私の地元にあり、武蔵野の風情の中のすばらしい学舎です。平成十年の創立六十周年記念の際、在校生、卒業生の体験談や保護者のご意見を拝聴いたしました。病弱のハンディを負いながらも向学心に燃える子どもたちに高等教育の機会を確保すべき、そのような思いから、平成十三年の文教委員会以降、数次にわたり要望をしてまいりました。
 その際、私は、高等部設置の際、そこに学ぶ生徒はそこだけの生活にとどまってはいけない、病気を克服した後に円滑に高校生活に移行できるよう、また将来の社会的自立に資するよう、同世代の生徒同士による別の教育の場面が必要であり、そのためには、近隣接の都立久留米高校、西高校などを活用しての教育をもと提案いたしました。設置が予定されている久留米養護学校高等部での教育のあり方について伺います。
 次に、多摩地域の小児医療について伺います。
 多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターについては、整備計画も明らかにされました。小児医療の拠点整備が進んでいくことを評価しつつ、この拠点施設も、地域の小児医療機関との連携を図ることで、その機能が十分に発揮されると考えます。今年度に続き来年度も、都の重点事業に小児総合センターを中心とした小児医療ネットワークシステムの構築が掲げられており、大いに期待をしているところです。
 一方で、移転統合される側の清瀬小児病院に関連し、私は、地域の小児医療について幾つかの提言をしてまいりました。
 本年の第一回定例会では、清瀬小児のある北多摩北部医療圏、この圏域の医師会の先生方が、小児初期救急医療体制を確保しようと熱心に協議を重ねていることを紹介し、都はこの取り組みを高く評価し、今後、積極的に支援していくとの答弁もいただきました。現在、関係市も医師会とともに積極的に取り組み、事業化に向けて詳細を詰めつつあると仄聞しております。
 そこで、北多摩北部医療圏における小児初期救急医療について、その進捗状況及び都の支援策について伺います。
 多摩老人医療センターの小児科については、都立病院改革マスタープランの計画年次を二年前倒しし、平成十七年度の開設に向け、施設の改修を行っていると承知しております。この運営に当たっては、地域中核病院として位置づけられた本病院と、地域の小児科医師の密接な連携が極めて重要と思います。どのような方針に基づき、具体的にはどのような診療体制を目指すのか、伺います。
 過日、移転に揺れる都八王子小児病院との新聞報道に接しました。八王子小児病院の移転統合が予定されている八王子市では、市と都が共同して地域医療を分析、検討の結果を取りまとめたとのことで、一定の共通認識はあったが、都と市の見解は平行線のままとのことのようです。
 地域医療の課題は、一朝一夕に解決策が見出せるものでもありません。引き続き協議を進め、双方が知恵を出し合って溝を埋めていっていただきたい。そして、有効な施策を構築し、多摩の地域医療充実のために生かされるよう要望をいたします。
 次に、多摩地区水道の経営改善について伺います。
 多摩地区水道は、これまで都と市町間の委託、受託の形態をとり、経営面の統合の一方、都民に身近なサービスは各市町に委託としてきたため、都民サービスや給水安定性に限界があります。
 私は、平成十三年の公営企業会計決算特別委員会において、経営形態から生ずるさまざまな課題を具体的に指摘し、管理の時代の水道事業は、安価、安全、良質な水の安定的供給が使命であり、料金支払いなどについても改善すべき点があると指摘をいたしました。水道事業はマスメリットの発揮が可能です。都の直接事業として管理コストを圧縮し、それを都民サービス向上の原資とすべきです。
 さて、水道局では、サービスの向上やより効率的な事業運営のために、多摩地区水道経営改善基本計画を平成十五年六月に策定し、業務委託の解消に着手をしております。そこで、事務委託解消の進捗状況と、計画では向こう十年間までとしています、そのために解決すべき課題と見通しについて伺います。
 ところで、水道局では、来年一月、区部全体を対象としたお客様センターを開設するとのこと。ワンストップサービスとして高く評価をいたします。
 一方、多摩地区においては、制度の壁があり、料金システムの差異や利用できる金融機関等、委託を解消しなければサービス向上が図れないものもあると仄聞しております。が、統合完了前でも実施可能なサービス向上策はあるはずです。また、その取り組みが委託解消の後押しにもなると考えます。今後の取り組みについて伺います。
 農業者の一人として、農業振興について伺います。
 農地の減少、担い手の高齢化、加えて農産物価格の低迷など、東京農業は多くの課題を抱えています。これを克服し、産業として振興していくために何が必要なのかという観点からお伺いいたします。
 昭和四十九年に制定された生産緑地法は、農地を宅地予備軍、公共用地保留地として位置づけた色彩が強く、その後の改正を経て、現在は、都市の中にしっかりと農業を位置づけていこうとするものと私は受けとめております。生産基盤としての農地は、この生産緑地法、相続税の納税猶予制度によって守られています。
 私の地元、東久留米、清瀬は、農地の残存率が都内有数であり、ここでは、新しい栽培ハウスの導入、多品種少量生産、そして軒先販売や地場産交流市場で消費者に直接販売するなど、発想豊かでシステマチックな思考をする元気な後継者が育っています。
 そこで、都はこのような農業経営者をどのように支援されていくのか、伺います。
 生産者にとって、収益の拡大は励みであり、事業意欲を高めます。申すまでもなく、農業生産物は、生産コストを価格に前方転嫁しにくい宿命を負っております。大消費地東京の利点を生かし、多様な消費者ニーズを先取りした付加価値の高い多品目の特産品をスピーディーに開発、供給すれば、収益の拡大に大きく寄与するものと思います。
 都の農業試験場に寄せる期待は大なるものがあります。今日までの成果と、財団移行を含め、今後の取り組みについて伺います。
 以上、都政のさまざまな課題についてるる申し述べてきました。都として取り組むべき課題、市の事業であるが都が調整機能を発揮すべき、財政支援をすべき課題、水道事業のように、都区間においては大都市事業として法令留保されており、事業の性格からして、多摩においても同様とすべきものなどなどであります。
 また、さきの第一回定例会では、市町村に対しインセンティブのきいた財政調整を求めました。
 都の多摩における府県広域行政機能についてはいささかの理解を深めつつ、しからば、首都東京、大都市東京としての具体的な施策は、多摩都民として大いに悩んだ三年半でもありました。
 分権の時代です。それぞれの市町村が、その持つさまざまな経営資源を活用してまちづくりに取り組むことは当然のこととして、これらを結合し、多摩は一つの舞台づくりを進めることも極めて重要です。そのことが、都民生活、産業活動を活性化させ、多摩の発展、首都東京が大都市機能をより一層発揮し得ることになるものと考えます。そのために、多摩全域にわたるモビリティーの向上、すなわち道路等の都市基盤整備が極めて重要であり、多摩の将来像二〇〇一にもチャレンジテーマとされております。
 知事は、さきの所信表明で、大都市行政の充実強化に取り組む旨、発言をなされました。多摩の市町村と都、区部と都のかかわり合いについては、自治制度上の沿革からくる差異は理解しつつも、首都大都市東京の発展のため、多摩地域振興の方向性について知事のご所見をお伺いいたします。
 さて、次年度の都の重点事業として、多摩地域における道路整備の推進が掲げられております。現在、都市整備局では、多摩地域における都市計画道路の整備方針を策定中と承知しております。
 その策定に当たっては、今ほど申し上げた視点に立ち、都としての整備、市事業であっても関係市の連携を重視しての事業化、みち・まちパートナー事業との整合等を考慮し、厳しい財政事情ではありますが、その整備推進に当たっては、用地特会の開封、補助枠の拡大、率のかさ上げ、都単事業の拡大等、さまざまな工夫が必要と考えます。
 最後に、多摩地域における都市計画道路の整備方針において、優先整備路線の選定をどのように行っていくのか、見解を伺って、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 野島善司議員の一般質問にお答えいたします。
 私が知事に就任します前から、代議士時代も、都連に出たりしますと、三多摩格差ということをよく耳にしました。その意味はわからないでもありません。確かに幹線道路の不整備などもありますが、しかし私は、いわゆる二十三区と多摩が同じような、要するに都市の展開をする必要は全くないと思うし、それはまた大きな損失だと思います。
 ということで、残されている緑、自然の比率といいましょうか、二十三区に比べての、こういったすばらしい条件というものを維持しながら、それでもそれは侵害されてはおりますけれども、口幅ったいいい方になるかもしれませんが、一種の多摩としての広域行政、多摩共通した主題というようなものをやっぱりお考えになる必要があるんじゃないかと思うんです。
 その前に一般論で申しますと、何といっても多摩地域は、首都圏における人、物、情報の結節点でありまして、近年では、情報通信や電気機器を初めとする工業出荷額が区部をはるかに上回るなど、首都圏の発展を牽引する大きな可能性を有する地域になりおおせました。
 都はこれまで、幹線道路の整備、ディーゼル車対策、森林再生などの課題解決にも取り組んできましたし、先ほど申しました意味で、各市町村の自主性、自立性だけではなしに、それが三多摩という大きな自主性というものを踏まえて、多摩として、全多摩としての何か大きな指針のようなものをつくって、ぶつけていただきたい。私はそれを熱願します。
 そういう全都的な立場からも、圏央道とか南北道路の整備は当然推進いたしますし、また、横田の基地が軍民共用化されることで、先ほど申しましたが、あの空港を利用するお客さんたちが隣の山梨県や長野県、神奈川県、埼玉県から流入することで、随分また人の動き、それから商業活動も変わってくると思います。
 そういう点で、私は、横田というのは一つの大きな三多摩にとっての引き金になると思いますし、もう一つ、これは現存する要因であるけれども、どう使っていいか、都自身も私もわからないでいるんですが、あそこに旧秋川高校があります。これは最近まで、三宅の子どもたちが、寮もくっついていますので、ほとんどそこで勉強していましたが、もう島へ帰る。つまり、実質的に廃校になるわけです。これは、いらっしゃるとわかりますけれども、グラウンドが三つも備えられた、ちょっとしたアメリカの地方のぜいたくなカレッジぐらいの規模の非常に条件のいい学校ですが、とにかく秋川から都心へ出るには、そりゃ多少の時間はかかるでしょう。
 私、これ、実は今度退任しましたインドの大使にも見せましたよ、私はインドと日本の関係というのは非常に大事だと思いますので。そしたら彼がすぐに欲張って、これ、インドの留学生の専門の学校にしてほしいというから、そうはいかないだろうけど、まあそれも一つの考えだろうというふうにいいましたが、私、これはやっぱり国にも諮って、あそこに、これから日本と外国との交流を促進する人材を集める。それはどういう専門家になるかわかりませんが、いずれにしろ、あの学校をうまく使うことも三多摩で考えてくださいよ。これは非常に有効な、既存のすばらしい、そんじょそこらの都立高校が及ばない、すばらしいキャンパスです。学校のリニューアルなんか簡単にできますからね。
 こういったものは、私はやっぱり、三多摩のこれからの大きな大きな進展の引き金になっていくと思いますので、私も一生懸命考えているんですけれども、お互いにそういう宿題をひとつ解決することで三多摩の発展を図りたいものだと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 病弱養護学校に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、病弱養護学校高等部設置についての基本的な考え方でございますが、慢性疾患等を有する生徒の中には、都立高校などに進学した後、学校生活及び社会生活への制約から、中途退学や進路変更などを余儀なくされる場合がございます。こうした実態を踏まえまして、入院するほどではないものの、継続的に医療、生活規制を必要とする生徒の後期中等教育の就学の機会を確保するために高等部を設置いたすものでございます。
 次に、病弱養護学校高等部での教育のあり方についてでございますが、ご指摘のように、病弱養護学校高等部の生徒にとりまして、同世代の生徒同士による集団生活を通して社会性を確保していくことが必要であると認識しております。そのため、集団生活を通しての社会性を確保し、将来の社会的自立を図れるように、高等部における指導に加えまして、近隣の久留米西高校や、今後設置予定の東久留米地区総合学科高校との連携を図るなど、多様な教育を展開してまいります。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、住宅の履歴情報の基本的認識についてでございますが、履歴情報としては、建築時の確認申請書や検査済み証に加え、建築後の間取りの変更や、経年劣化に伴う修繕などの記録が考えられます。中古戸建て住宅の売買に際し、こうした情報が提供されれば、構造や設備の状態がわかり、安心して取引することが可能となります。履歴情報を整備することは、中古住宅の流通を促進する上で有効な手法と認識しております。
 次に、制度設計に当たっての考え方についてでございますが、住宅の履歴情報が、所有者などにおいて新築時から適切に整理、保管されるためには、取引時に提供されることが望ましい書類や資料が明らかにされ、これを広く都民に周知されることが基本と考えます。
 また、中古住宅については履歴情報の備えが十分でないことから、専門の住宅検査機関の検査結果で代替するなどが考えられます。
 このため、都は、住宅の履歴情報が円滑に提供される仕組みづくりに向け、関係機関による連携組織を立ち上げるなど、中古住宅の流通促進に努めてまいります。
 次に、東村山本町地区プロジェクトにおける履歴情報活用の取り組みについてでございますが、本プロジェクトでは、公募プロポーザルで選定された民間事業者が事業会社を設立し、一括して定期借地権を管理するとともに、住宅建設後の修繕等のアフターサービスを行うことになっております。今後、都は、この事業会社の協力を得ながら、本プロジェクトにおいて住宅の履歴情報活用のモデルとなる取り組みを検討してまいります。
 最後に、多摩地域の優先整備路線の選定についてでございますが、選定に際しては、渋滞緩和や防災性の向上、環境改善を基本としつつ、多摩地域の特性を生かす視点を重視したいと考えております。
 具体的には、横田基地の軍民共用化を視野に入れるとともに、近隣県などとの広域的な道路網の形成や都市間の連携強化、さらには沿道街並み景観の創出などの視点を加えてまいりたいと思います。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 多摩地域の小児医療に関します二点のご質問にお答えいたします。
 まず、北多摩北部保健医療圏における小児初期救急医療についてでありますが、ご指摘のとおり、圏域内では、現在、地域医療連携に実績のある地区医師会を中心とした、都、関係市などで構成する協議会において、移管後の多摩老人医療センターに地域の小児科医師が出向いて、初期救急医療を行うための具体的な実施方法について協議を行っております。
 都は、今後、こうした複数の市が共同で実施する先駆的な事業を補助対象とするとともに、多摩老人医療センター内に設置する小児科専用の救急診察室を診療の場として提供するなどの支援について検討してまいります。
 次に、多摩老人医療センターと地域の小児科医師との連携についてでありますが、限られた医療資源の活用を図るためには、初期医療を担う地域の診療所などと、高度な検査機器や入院治療機能を持つ二次医療機関とが、適切な役割分担のもとで相互に連携を図っていく必要があります。
 こうした観点から、移管後の多摩老人医療センターでは、地域の診療所では対応困難な小児疾患に対応する二次医療を提供するとともに、共同診療や医療機器の共同利用など、地域の小児科医師との密接な医療連携を実施してまいります。
   〔水道局長高橋功君登壇〕

○水道局長(高橋功君) 多摩地区の水道事業に関します二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、経営の広域化を図る多摩地区水道におきます、二十五市町の事務委託解消の進捗状況等についてでございます。
 昨年度、事務委託を解消いたしました武蔵村山市、多摩市及び今回議会にご審議をお願いしております瑞穂町を除く二十二の市町のうち、東久留米市、小平市、東大和市及びあきる野市の四市とは、既に事務委託の解消に向けた基本的な事項について合意が得られております。
 その他の市町につきましても、課題でございます水道事業従事職員の減員等につきまして鋭意協議を行っておりまして、年度内には半数以上の市町と合意できる見込みでございます。
 今後とも、それぞれの市町と十分に協議、連携しながら、事務委託の解消を着実に推進してまいります。
 次に、今後のサービス向上の取り組みについてでございますが、多摩地区では現在、それぞれの市町ごとに業務運営を行っておりますことから、迅速かつ効率的なお客様サービスに限界が生じております。このため、事務委託解消を着実に推進いたしますとともに、解消までの間におきましても、ご指摘のとおり、できる限りお客様サービスの充実に努めていく必要があると考えております。
 こうしたことから、来年一月に新たな料金システムを稼働させ、問い合わせ等に迅速に対応してまいりますとともに、平成十八年度中には、多摩地区におきましても、お客様センターを開設し、ワンストップサービスを実現してまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 農業施策に関する二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、農業後継者への支援についてでございますが、次代を担う後継者の育成は、都市農業を維持、活性化していくため、極めて重要でございます。そのため、農業団体と共同で開催するフレッシュ&Uターン農業後継者セミナーや、無利子の就農支援資金の貸し付けのほか、後継者グループの研究活動に対する技術や資金面での支援等を実施しているところでございます。
 今後、これらの施策をより充実させていくとともに、創意工夫による新技術の導入など、経営革新に取り組む意欲ある担い手や後継者の支援に努めてまいります。
 次に、農業試験場の成果と今後の取り組みについてでございますが、農業試験場ではこれまで、ブドウの「高尾」、ウドの「都香」等の優良品種の育成や、低農薬型ハウスの開発などに成果を上げてまいりました。
 一方、技術革新が加速する中で、これまで以上に生産現場の声を重視し、後継品種の育成や食の安全・安心を確保するための技術開発等に重点的かつスピーディーにこたえることが課題となっております。
 このため、外部の人材や資金の確保、農業、畜産、林業の三試験場の一体的運営による研究力の総合的な向上などを目指しまして、東京都農林水産振興財団へ業務を委託することを現在検討しているところでございます。

○議長(内田茂君) 二十五番山田忠昭君。
   〔二十五番山田忠昭君登壇〕

○二十五番(山田忠昭君) 先般、私は、都議会自由民主党の海外調査団の一員として、危機管理対策を中心に、ニューヨーク、シアトル、ロサンゼルスのアメリカの各都市を訪問してまいりました。その中で、例えばニューヨーク市では、国連国際学校を視察いたしましたが、日本の自治体から派遣された教員によって国際教育が実施されているなど、さまざまな形での国際的な協力事業を拝見することができました。
 都におきましては、国際関係の取り組みとして、これまでも、ニューヨーク市を初めとする海外の諸都市と姉妹・友好都市提携を結んで、さまざまな交流や協力事業を展開してきたところであります。
 また、これらの友好都市との交流とは別に、石原知事みずからが提唱して、都市提携の新たな形としてアジア大都市ネットワーク21が設立されました。このネットワークは、アジア地域の核となる大都市が、共通の課題に取り組んで、共同して事業を推進し、その成果をアジア地域の繁栄と発展につなげていくものであると認識しております。強固なネットワークの形成により、都市間において、社会的、経済的な連携と協力の体制を確立しようとする試みであり、その成果には大いに期待しているところであります。
 ネットワークの設立以降、中小型ジェット旅客機の開発促進や危機管理ネットワークなどのさまざまな共同事業に各都市が連携して取り組んでおり、その状況は、先月ジャカルタで開催されました総会に関する新聞報道でもうかがうことができました。
 都市化が進み、時間的にも空間的にも世界が狭くなっている現在、都市間の連携を軸にした国際的な協力の重要性がますます高まってくると考えられます。千二百万の都民を抱える国際都市東京として、都は、アジア大都市ネットワーク21を活用して、今後どのような国際協力を展開していくのか、知事の所見をお伺いいたしたいと思います。
 次に、運河を活用した観光振興策について伺います。
 ニューヨーク市では、ハドソン川やバッテリーパークなどの水辺空間が、市民にとって欠くことのできない存在であり、にぎわいの場でもあり、憩いの場にもなっておりました。
 ところで、来年度の重点事業の中の一つに、観光振興策として、運河を活用して水辺空間の魅力向上を図るとの方針が出されております。先日の所信表明でも、天王洲や芝浦などにおいて先行的な取り組みを進めていく旨、述べられております。
 そこで伺いますが、これらの地区において具体的に運河の魅力向上をどのように実現していくのか。また、こうした取り組みは、経済効果や地域の活性化のことを考えると非常に重要なことであり、運河の再生、すなわち、運河ルネッサンスの取り組みを他の地区へ拡大していくことが必要と考えますが、今後の展開についてあわせて所見をお伺いいたしたいと思います。
 次に、商店街の活性化事業について伺います。
 新・元気を出せ商店街事業の着実な推進により、商店街では、それぞれ知恵を絞って活性化に向けたさまざまな取り組みを展開しております。しかし、大部分の商店街は、商店主の高齢化や後継者不足という問題を抱えており、商店街活動に精力を傾ける人材が不足しているのも事実であります。
 私は、今後、マンパワーの不足を補いながら商店街を活性化していくためには、住民同士顔の見える商店街の利点を生かして、地域の交流の場、まちのプラットホームとしての商店街の役割をさらに強め、住民参加型の運動を展開することによって、地域の人材や資源を商店街活動に生かしていくことが重要であると考えております。
 商店街が地域の住民や団体とともに活動を展開する拠点として、最近、商店街の空き店舗を活用することが多くなっており、NPOや福祉団体、地元大学などと連携した子育て支援事業や、高齢者支援事業、住民交流など、さまざまな取り組みが、空き店舗を核として展開されていると聞いております。
 商店街にとって空き店舗はないにこしたことはありませんが、それを逆手にとって、アイデアと工夫を凝らした事業を空き店舗で実施することは、商店街の活性化と地域貢献の一石二鳥の効果が期待できるものと思います。
 事業化に当たっては、相応の企画力や地域を取り込む実行力が要求されることから、すべての商店街に可能とは限りませんが、より多くの商店街でこうした取り組みが進むよう、行政も、意欲ある商店街に対しては、できる限りの支援をしていくことが必要だと考えます。
 そこで、商店街における空き店舗活用の意義と現状、今後の取り組みについて所見をお伺いいたします。
 次に、金融支援について伺います。
 中小企業の資金調達については、それぞれの企業の特徴に応じた多様な支援が必要であります。都としても、こうした考えに基づいて、これまで、制度融資に加えて、CLO、CBOの発行などに取り組んできました。さらに、この秋には、ベンチャー投資法人、中小企業再生ファンドが創設されました。投資という手法を用いたこの新たな支援策が十分に機能するよう、期待とともに注目していきたいと思います。
 しかしながら、こうした支援策の多様化の中にあって、間接金融の場合はいまだに、不動産を担保提供できるかどうかで融資の可否が決まってしまうという現状から脱却できておりません。最近でこそ、不動産担保によらない融資制度が民間金融機関で試みられていますが、今後、順調に伸びていくかどうか定かでありません。
 現状の融資慣行を打開する一石を投じるためにも、都は、不動産担保によらない融資制度の仕組みを積極的に検討していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、雇用就業対策について伺います。
 十一月の月例経済報告によれば、景気の回復が続いていると報告されています。しかし、雇用の側面から見ますと、七月─九月期の都完全失業率は五・〇%と、むしろ前年同期に比べて悪化するなど、予断を許さない状況にあります。実際、ある全国紙が行った世論調査によれば、仕事に不安を感じているとの回答が七二%に上っておりました。
 家族を抱えながら不安定な立場に追い込まれたり、定年退職後の生活設計が立たないなど、雇用に関する不安は深刻であります。都としても、積極的に都民の雇用に関する不安の解消に努めるべきであると考えます。
 都は、これまでの議会での質疑の中で、東京の失業の要因の多くが雇用のミスマッチによるものであるとし、東京しごとセンターを開設して、仕事に関するさまざまなニーズにこたえていくとしてきました。
 そこで、東京しごとセンターにおける成果、雇用就業を推進するための今後の都の取り組みについて伺います。
 また、東京には、旺盛な経済活動を背景として、産業界が必要とする人材の需要が根強くあります。そこで、求職者が企業の求める技術、技能を新たに身につけることは、職業を選択する幅を広げるとともに、就職を容易にするという点で効果的であります。
 このように、雇用就業問題を解決するためには、しごとセンターにおける取り組みに加え、職業訓練も重要な要素であります。
 ところで、職業訓練を行う場合は、産業構造の変化を踏まえて、企業が真に必要とする人材を育成するのでなければ意味はありません。また、民間教育機関が数多くある東京の現状を考えると、民間のノウハウを活用する余地が大きいなど、現在の都の職業訓練を取り巻く状況は大きく変わってきております。
 そこで、都は、時代に適応した、民間教育機関を活用した職業訓練を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、安心・安全の観点から、都市型水害対策について伺います。
 ことしは、台風の上陸が過去の年間最多記録を大幅に上回る十個を記録しました。これにより、全国各地で河川のはんらんや土砂崩れなどの災害が発生したことは記憶に新しいところであります。
 東京においても同様に、十月の台風二十二号、二十三号による大雨で、区部では、床上、床下合わせて千三百棟もの家屋が浸水したほか、主要道路や交差点が冠水し、車が立ち往生するなど、改めて自然災害に対する東京の弱さが浮き彫りにされたところであります。
 このような区部における浸水被害は、首都東京の顔である日比谷や渋谷などについてテレビで取り上げられるなど注目されておりますが、多摩地域の私の地元の西東京市でも、約百棟にも及ぶ被害がありました。
 多摩地域では、二つ以上の市町村にまたがる地域を対象とし、流域下水道による広域的な浸水対策が実施されております。そして、既に対策を終えたところでは、一定の効果が発揮されたと聞いております。
 そこで、改めて、これまでの流域下水道としての浸水対策への取り組み状況と事業の進捗状況について伺います。
 また、これまでの大雨に対する効果として、具体的にどのような内容を把握しているのか、伺います。
 公共下水道による浸水対策は、基本的に市町村の業務であることは承知しておりますけれども、都としても、西東京市を含めた多摩地域について浸水対策を効率的に進めるために、技術的な支援などについて、関係市とこれまで以上に連携を密にして、安心・安全なまちづくりに積極的に貢献していただくよう、要望する次第であります。
 最後に、調布保谷線について伺います。
 道路は、基本的な都市施設として、広域的な社会経済活動を支え、都民の生活に深くかかわっております。しかしながら、多摩地域における都市計画道路の整備状況は五〇%をようやく超えたところであり、とりわけ、西東京市では二六%と、三多摩二十七市の下から三番目の低い整備状況であり、道路の役割を十分果たすに至っておりません。特に南北方向の道路がおくれているため、慢性的な交通渋滞が発生しており、通過交通が生活道路に流入するなど、生活環境の悪化を招いています。
 こうした状況を改善するには、南北道路五路線などの整備等、交通を分散させることが必要であります。中でも調布保谷線については、既に全線を事業着手していることから、早期開通が望まれております。
 私の地元であります西東京市では、調布保谷線の早期完成に市民も大きな期待をいたしておりますが、一方、整備に当たって、既存の生活道路が分断される問題や、西武池袋線の踏切廃止問題、交差する都市計画道路の整備の問題等、さまざまな要望、意見が寄せられております。こうしたことからも、都は、地域住民や地元市としっかり調整を図りながら事業を進めるよう求めるものであります。
 また、現道のない、新たに整備される道路が住宅内を通ることから、沿道環境へ配慮した取り組みが必要であります。用地取得も順調に進み、工事着手も近いことと思います。そこで、現在、西東京市内で整備を進めている調布保谷線の進捗状況と今後の取り組みについてお伺いをし、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山田忠昭議員の一般質問にお答えいたします。
 国際協力事業の取り組みと今後の展開についてでありますが、先週、ジャカルタで大都市ネットワーク21が開催されまして、単に儀礼的な都市外交ということじゃなしに、大都市が共通して抱える具体的な焦眉の問題について連携して取り組むことを目指してまいりました。
 先日の総会でも、東京都提案のアジア感染症対策プロジェクトが承認されました。わけのわからぬ病気がはやろうとしたり、はやるかもしれず、また、動物にしか感染しないはずの病気が人間に感染して、死亡例も出たりしておりますが、これを一々WHOを通しては時間がかかってしようがない。その間に、またその発生した国の政府も介在するんでしょうけれども、これはやっぱり焦眉の問題でありますから、大都市間で直接連絡し合って、持っている情報というものを提供しながら、WHOにもリファーする。そういう機能的な連携というものをつくっていこうということで、今まで国のレベルでは解決できなかったさまざまな問題にも、これから取り組んでいくつもりでございます。
 また、アメリカは、自分以外の国が航空産業に出てくることに非常に神経質で、事ごとにつぶしますが、日本の優秀なかつてのYS11もそれでつぶされたわけであります。結局、その理由は、販路を断たれたということなんですが、もし、日本を含めてアジアの可能性のある国が協力しましたら、世界で今一番需要の高い、アメリカもまたこれにマークをして、このプロジェクトに着手したようでありますけれども、百人前後の中小型のジェット旅客機というのは非常に可能性があるわけで、先年も、二年前ですか、私、インドの会のときに、わざわざハルという有名な航空会社のある南の大都市に行って、見学もしました。今回は、バンドンのインドネシアの有数の飛行機会社にも参りましたが、非常に印象的だったのは、日本がつくろうと思っている、恐らくこれができれば、何も東京からジャカルタへ飛んでいく必要もないんです。日本は国内を飛び回ればよろしい。東南アジアは、ジャカルタからクアラルンプールとか、あれぐらいの距離で飛び、インドは非常に広大な国ですから、インドの国から飛べばいいんですが、それに非常に適した旅客機ができていたのに、完成の寸前につぶされて、エンジン搭載できずに、ドンガラだけが飾ってありましたが、これ、君ら、つぶされて、潜水艦にでもするのかといったら、当事者は苦笑いしていました。
 ああいう実態を見ましても、日本はかつて中曽根時代に、世界一の高性能の次期支援戦闘機をつくろうと思って、アメリカの妨害でつぶされましたが、これは兵器の問題ですから、ほかにいろいろ余剰の問題があるでしょうが、人間がビジネスのために、旅行のために乗って歩く、今世界で一番需要の高い中小型の旅客機をアジアでつくる、そしてアジア人がアジアを飛んで回るということに何の支障もないわけで、私は、その可能性というものは如実にあるということを、改めて、今度はインドネシアにもそれを見て、痛感してまいりました。
 恐らくこういう認識を合わせることで、あとは日本の政府の問題でありますが、通産省は非常にアメリカに気兼ねして、アメリカがそういうプロジェクトを考えているなら、もっと小型の、三十人、五十人乗りぐらいのジェット機を考えたようですが、とても採算に合わないという結論を出したんです、当たり前のことですけれども。仕切り直しが来たわけで、私はやっぱり、アジアの数カ国が、むしろ日本のイニシアチブではなしに、インドなりインドネシアが声を上げて、マレーシアもこれに協力する、タイも協力するということで、私は、アメリカの鼻を明かすような、アジア所産のすばらしい旅客機がすぐにできるという確信を得てまいりました。
 これもまた、私は、アジアの大都市が連携を組むことの大きな所産であると思っております。
 そういう問題がこれからも幾つか出てくるでしょう。それは、白人たちが手がけた中南米、中近東、アフリカに比べれば、東南アジア、東アジアというのは、はるかにポテンシャルの高い地域でありますから、それをいろいろな形で私たちは実証していきたい。そのためにもやっぱり、各国を代表する大都市がいろいろな集中、集積を持っておるわけで、力を合わせることが肝要だと認識を改めて、戻ってまいりました。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔港湾局長成田浩君登壇〕

○港湾局長(成田浩君) 運河を活用した観光振興策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、魅力ある運河の実現についてでございますが、運河におけるにぎわいの創出のために、水辺への集客を可能とする規制緩和を行うとともに、遊歩道等の整備や管理への民間活力の導入などにより、魅力ある水辺空間を実現したいと考えております。
 現在、天王洲や芝浦地区において、地元の区や民間団体等と協議会を設置しておりまして、その中では、水上レストランや観光用桟橋などの活用策が提案され、その具体化について検討を進めているところでございます。
 運河ルネッサンスは、来年度の重点事業である東京の水辺空間の魅力向上の一翼を担う施策でありまして、天王洲等では、そのモデル地区として先行的に取り組んでまいります。
 次に、今後の運河ルネッサンスの展開についてでございますが、東京港内には六十キロにも及ぶ運河がございます。これらを活用したにぎわいづくりは、ご指摘のように、新たな観光振興策として高い効果が期待できるとともに、地域の活性化にも資するものと認識しております。
 こうしたにぎわいづくりには、何よりも地域からの発意と熱意が必要でありまして、地元の区や民間団体等の理解と協力を得て、運河の魅力向上に取り組んでまいります。
 具体的には、モデル地区での実施状況を踏まえまして、実現に向けた機運や熟度の高い地区から順次実施し、ベイエリアにおける運河のにぎわい空間を点から線へつなげていくとともに、そのネットワーク化を図ってまいります。
   〔産業労働局長関谷保夫君登壇〕

○産業労働局長(関谷保夫君) 商工業の振興及び雇用就業対策に関する四点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、商店街の空き店舗活用についてでございますが、都内各商店街では、不足業種の誘致やチャレンジショップの運営などにより空き店舗の解消に努める一方、空き店舗を商店街全体の活性化の拠点として活用するなど、多様な取り組みを展開しております。
 お話の地域と連携した事業への活用も、商店街がコミュニティの核としての役割を果たしていく上で有意義でございまして、都は、新・元気を出せ商店街事業において、このような意欲ある取り組みを積極的に支援してまいります。
 今後、先進事例の普及、事業化に向けた専門家のアドバイスなども含め、商店街の創意工夫ある取り組みが一層進むよう、支援を充実してまいります。
 次に、不動産担保によらない融資についてでございますが、都はこれまでも、物的担保の乏しい中小企業の資金調達を支援するため、制度融資による無担保保証枠の拡大を図ってきており、その結果、不動産担保つき融資の割合は、平成六年度の二八・六%から、平成十五年度には一一・八%まで低下するなどの改善を見ております。しかし、民間金融機関においては、いまだに不動産担保つき融資が大きな割合を占めているのはご指摘のとおりでございます。
 東京の産業力を高めていくためには、例えば、優秀な技術を持ちながら不動産担保がない中小企業などが円滑に資金調達できる環境整備が必要でございます。
 今後、不動産担保によらない融資制度の充実に一層努めてまいります。
 次に、しごとセンター事業の成果と今後の都の雇用就業対策についてでございますが、本年七月に開設した、しごとセンターでは、十一月までの約四カ月間に延べ二万八千人にご利用いただき、約二千三百人が就職するなど、着実に成果を上げているところでございます。
 今後とも、しごとセンターにおけるサービスを一層充実させるとともに、企業、教育機関や区市町村との連携を強めることにより、東京における雇用就業のさらなる推進を図り、雇用に関する都民の不安の解消に努めてまいります。
 最後に、時代に適応した職業訓練の実施についてでございますが、現在、都では、十七の技術専門校や民間の教育機関も活用しながら、職業訓練を実施しているところでございます。これからは、産業界の人材ニーズの変化を的確にとらえるとともに、都内に集積する民間教育機関のさらなる活用も視野に入れるなど、時代にマッチした職業訓練の必要性が一層高まっていると考えております。
 こうした認識のもとに、都における職業能力開発行政の基本的な方向及び講ずべき施策につきまして、年内に東京都雇用・就業対策審議会に諮問し、その答申を踏まえ、改革に取り組んでまいります。
   〔下水道局長二村保宏君登壇〕

○下水道局長(二村保宏君) 流域下水道の浸水対策についての二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、浸水対策への取り組み状況及び事業の進捗についてでございますが、浸水被害の軽減に向けた関係市の強い要請を受けまして、全国でも初めての流域下水道による雨水幹線事業に取り組み、既に、小平、東村山、東久留米市にまたがる黒目川流域及び青梅、羽村、福生市にまたがる多摩川上流流域で供用を開始しております。
 その結果、計画の約九五%、十四・七キロメートルが完成しておりまして、現在、整備中の小平雨水幹線についても、今年度中に完成する予定でございます。
 次に、浸水対策の効果についてでございますが、流域下水道雨水幹線の整備区域では、今回の台風二十二号、二十三号におきましても、これまで頻発しておりました家屋への浸水や道路冠水などの浸水被害がほとんど発生せず、所期の事業効果が発揮されたものと考えております。
 今後とも、事業の効果を検証するとともに、関係市が流域下水道雨水幹線に接続することを促進するなど、浸水被害の軽減に向けまして、市町村との連携を一層強化してまいります。
   〔建設局長岩永勉君登壇〕

○建設局長(岩永勉君) 調布保谷線の西東京市内の整備状況についてお答えします。
 本路線は、交通の円滑化はもとより、多摩の自立性の向上や地域の活性化に不可欠な幹線道路でございます。整備に当たりましては、沿道環境に配慮して、車道の両側に十メートルの環境施設帯を設けるなど、質の高い道路の実現を目指しております。
 西東京市内では、青梅街道から都県境までの三・九キロを事業中でありまして、平成十五年度末までに七三%の用地を取得しております。
 今年度は、保谷庁舎付近におきまして環境施設帯のモデル工事を実施いたします。
 今後とも、財源確保に努め、地元市や地域住民と十分調整を図りながら、事業を着実に推進してまいります。

○議長(内田茂君) 六十七番近藤やよいさん。
   〔六十七番近藤やよい君登壇〕

○六十七番(近藤やよい君) 土地区画整理事業用地を含む暫定遊休地の利活用についてお尋ねします。
 石原知事は、家庭から出る生ごみを堆肥化し、農業に活用し、都市にとって深刻なヒートアイランド対策として、フナやメダカ、そしてヤゴがすむビオトープをつくり、雨水を活用するための雨水収集タンクを設置する取り組みを、NPOが区画整理事業用に確保された用地を活用して行っていることをご存じでしょうか。
 従来、土地区画整理事業の用地といえば、さくで囲まれ、その真ん中に役所の看板が立ち、雑草に覆われているものと思われがちです。事業用に活用されるまでの期間とはいえ、放置された土地は何も生むことはありませんし、逆に、雑草除去のために、厳しい財政下にある予算を浪費するのです。先ほどご紹介した土地はエコ農園といわれ、区の外郭団体が所有する暫定未利用地をNPOに無償貸与し、活用していただいているのです。
 こうして活用されている土地に隣接して、東京都が所有する区画整理事業用地があります。当然、NPOとしては、ヒートアイランド対策にもなり、雑草除去費用もかからないので、同じようにエコ農園として利用できないかと、管理者である都市整備局に投げかけました。もちろん、事業の用に供するときには、即刻、原状復帰して、お返しする約束の上でのことでした。区の所有地で可能なことですので、隣接の都有地でも当然可能であると、NPOの方々は考えられたわけです。
 都の回答は、行政財産の目的外使用は、あくまでも例外的な措置として必要最小限にとどめ、規則に限定列挙されている範囲内でしか認められない。また、たとえ地方公共団体が公共目的で使用する場合でも、減額措置はあるものの、土地の貸付料が発生するとの回答で、NPOには使用の許可は認められませんでした。
 しかしながら、この取り組みは、住民、行政、企業、学校、福祉施設など、立場や役割の異なるものが、それぞれの得意な領域で協力し合い、単体では持ち得ない大きな力を発揮する仕組みであり、ヒートアイランド対策、公費支出の節約という観点から、都の行政目的にかなうものであると考えていただけに、利用目的の是非よりも、規則に縛られ、利用が許されなかった都の現状が残念でなりません。
 もちろん、都の行政財産である以上、利用には厳密な縛りは必要ですが、それが行政目的に合致し、営利目的でないなど一定の条件をクリアした場合には、事業目的を阻害しない範囲内で、都民ニーズにもう少々柔軟に対応する方法もあるのではないかと考えます。ご見解を伺います。
 都は、各局が保有している土地建物などの遊休資産の洗い出しに入ったと聞いております。ここで難しいのが、遊休資産のとらえ方です。例えば、空き地で放置されている都有地について利用の可否を尋ねると、所管局は多くは、行政財産として将来的に使用予定があるので、遊休資産ではない、お貸しできないという答えが返ってきます。確かに、どの土地も、都が取得するに当たっては、一定の行政目的があって取得した行政財産ですから、たとえ事業着手に全くめどが立っていなくても、その事業そのものがなくならない限り、利用予定のある行政財産だという理屈です。
 しかし、都民の目から見れば、空き地のまま放置されていれば、それは遊休地であり、何年も放置するくらいなら、せめて実際に事業の用に供するまでの期間だけでも有効利用できないのかと考えるのは、至極当然のことです。
 都が今回行う遊休資産の洗い出しには、ぜひ、この将来の利用予定はあるが現在は利用されていない資産も対象として、ともかく一度、公営企業局も含めた全庁的な遊休資産の正確な把握に努めるべきと考えます。なぜなら、遊休資産に関して、局や会計を横断した情報が共有化されていないため、ある会計が事業用地を購入しているすぐ近くで、他の会計がみずから所有する遊休地を売却するというような事態もあったと聞いているからです。
 また、洗い出された遊休資産はリストアップし、その資産がどの局の所管であるかにかかわらず、局横断的な利用も含めて、全庁的な視点で広く施策に有効活用できるよう、仕組みを改めるべきです。
 局の有する財産は、所管事業に利活用が限定されているため、例えば職員研修所など、原則的に都がまとめて一カ所所有すれば事足りる施設を、各局がばらばらにそれぞれ所有しているという現実を生んでおり、私は疑問を感じております。
 効率的な遊休資産の活用を模索するためにも、庁内横断的な資産の利活用について、所見を伺います。
 平成十八年度には、都庁にバランスシートが導入されると聞いています。そうなると、今まで各局が決算時にばらばらに作成していた分厚い財産目録が一つにまとめられ、都が所有している土地建物などの財産が一目で都民にも明らかになります。そのとき、それらの資産がどれだけ有効に活用されているかという企業会計的な視点から、専門家を初め、都民の視線は今まで以上に厳しいものになるはずですが、現状は、都が一体どれだけの土地や建物を全体として保有しているのか、把握している職員は皆無に等しく、全庁的にむだのない遊休資産の利活用が図れる状況にはほど遠いのです。
 こうした現実を踏まえて、知事は、都の保有する土地や建物等の財産、特に遊休資産の利活用についてどのようにお考えなのでしょうか、ご見解を伺います。
 次に、児童相談所の体制強化策について伺います。
 さきの臨時国会において改正児童福祉法が成立し、都は、より困難性の高い事例への対応と区市町村の後方支援の役割を担うというように、都と区市町村の役割分担が法律上明確化されました。この改正により、児童相談所の業務が後退、縮小するのではないかとの危惧の声を聞きます。相談窓口が重層化することで、相談体制が強化こそすれ、万が一にも事案がたらい回しにされたり、制度の谷間に埋没するような相談事案が生じないよう、関係諸団体との連携をさらに密に図るべきです。
 今回の法改正により、児童相談所は従来にも増して高い専門性を有することが求められ、都は、児童相談所の職員の増員に力を入れるなど、体制の強化にさらに努める必要が生じます。
 ふえ続ける相談件数や事案の深刻化、複雑化を考えると、決して現状で満足することはできませんし、人員の増強が、イコール児童相談所の質的向上につながるものではありません。児童相談所の職員は、所長以下、児童福祉司の有資格者ですが、児童福祉司は、例えば大学で心理学などを修めていれば取得できる資格であり、有資格者が即、窓口で十分な対応ができるわけではないからです。
 そこで、職員の専門性を高める施策として、研修などをさらに強化することはもちろんですが、今年度から実施されて評価を得ている、民間からの児童福祉司の採用枠をさらに広げ、少なくともすべての児童相談所に民間採用の児童福祉司を配置すべきと考えますが、ご見解を伺います。
 児童自立支援施設を退所し、地元に戻ってきた非行児童に対して、十分な対応ができていない問題が指摘されています。現在は、自立支援施設の職員が必要に応じて、地域に戻った子どもの支援を行っていますが、職員数が限られていることや、施設と地域との距離的な問題もあり、対応は不十分です。そのため、地元に戻った後の家庭環境に問題があったり、以前の仲間たちと接触することによって、結局はそれまでの支援が水泡に帰すケースも多々見受けられると聞いています。地域に戻った児童の立ち直りを支えていくしっかりとしたネットワークづくりがどうしても必要と考えます。
 そのためには、地域でご活躍いただいている民生・児童委員の皆さんのお力をおかりするのも一つの方法ではないでしょうか。児童が近い将来、地域に戻るとわかった段階で、その児童を担当していただく民生児童委員の方を指名し、施設退所前からコンタクトをとって人間関係をつくり、地元に帰ってからも、何かあれば相談に乗りながら、児童が地域に溶け込んでいけるようお力添えいただく仕組みづくりが有効と考えますが、ご所見を伺います。
 次に、都立病院経営について伺います。
 都立病院は、他の医療機関では対応が困難な救急医療、感染症医療、精神医療などの行政的医療を担っており、これらは診療報酬だけではカバーし切れない不採算医療のため、税金で経費の一部を補てんすべきことは承知しております。
 しかし、それだからといって、経営を度外視し、赤字を垂れ流すことは、公営企業として許されるべきではありません。
 都の公営企業の効率化策は、経費削減の面から議論されることが多いようですが、収入確保策もまた重要です。昨今、ある民間病院の代表者が、その著作や講演などで引っ張りだこですが、都立病院にも高い専門性を有した日本有数のスタッフがそろっていると聞いています。現実に、外国からその先生を頼って診察に訪れるケースもあるそうですが、意外に都民にはそうした情報が行き渡っていないのではないでしょうか。
 また、先日、股関節を痛めた、都立病院でどこか専門のところを紹介くださいとの相談を受けましたが、私には、がんは駒込病院が専門くらいの知識しかなく、股関節の治療にはどの都立病院が最適なのか、とっさに判断がつきませんでした。
 そこで、法律的な制約があることは知っていますが、優秀なドクターや専門的な医療スタッフの存在、各都立病院の得意な医療分野などについて、あらゆる媒体を通じて都民に積極的に情報を提供し、都立病院を広くアピールしていくことが必要と考えます。
 この先生に診察してもらいたい、この都立病院で診察を受けたいと都民が思うような情報を提供することは、都立病院の信頼性の向上に資するとともに、新患の確保に大きく貢献し、都立病院の収益確保にもつながります。ご所見を伺います。
 患者さんの必要に応じて、十分な入院日数を確保すべきことはいうまでもありません。しかし、一方で、高度な専門性を追求する都立病院なのですから、重症な患者さんや困難な手術を必要とする患者さんを優先して受け入れていくことが必要であり、その受け入れが困難なようでは、使命を十分に果たすことはできません。
 そこで症状が改善した患者さんは地域の医療機関で対応していただく等の連携強化が求められるわけです。
 しかし、現在、地域医療機関に対して、そのような都立病院の役割や立場が単なるエゴではなく、地域の医療水準を引き上げることにつながるのだと理解していただくための努力が不十分であると考えます。都立病院の側から、豊富な症例や最新の医療技術などを積極的に紹介し、情報の共有化を図ることなどを通じて、都立病院と地域医療機関との役割の違いを明確化し、都民や地域医療機関の理解を得、信頼関係を構築していく必要があると考えますが、ご所見を伺います。
 病院本部ではなく、病院経営本部という局名をつけられたからには、病院事業を経営という視点からとらえるよう、さらに努めていただきたいと考えますが、会計の本職でも病院経営の監査は難しく、ましてや医療保険制度のイロハも知らない都の職員が病院事務に携わるような場合には、目の前の事務をこなすのが精いっぱいで、とても経営効率の面から病院の中長期的な視点に立った施策を講じる余裕はありません。
 これまでは、たとえ人材を育成しようとしても、仕事のイロハをのみ込んだところで異動になる都の職員管理の壁に阻まれ、高度な専門性を有した職員の育成は極めて困難で、熟練事務スタッフをそろえることができる民間医療機関に比べて、都立病院は極めて不利といわざるを得ませんでした。
 ところが、このたび、事業の専門性と継続性の確保を目的として、総務局が、一般職員、局間交流の基本方針を出されました。これは、都が安定的、効率的な病院経営を担っていくための高度な専門性と経営センスを有した人材の育成に乗り出し、都立病院経営にさらなる効率化の道を開いていく絶好の機会と考えます。所見を伺います。
 常磐新線は、主要な工事はおおむね終了し、十一月から全線の車両走行試験を実施していると聞いていますが、先般、施工不良等の記事が掲載されたことにより、その安全性に一抹の不安を覚える都民がいるのも現実です。
 都は、どのように安全性の確認を行ったのか、また、今後の安全確保策についてお尋ねします。
 本路線は、全長六十キロを全線一度に開業するという、都市鉄道としては前例のない事業とのことで、都は今までも関連諸機関と連携し、路線のPRに努めてきました。来年秋の開業を前に、今後さらに、利用客増強に向けて、例えば公募による試乗イベント等で都民の関心を喚起する取り組みや、開業を機とした沿線地域の活性化策を講じる必要があると考えます。
 沿線が一都三県、また都内も四区にまたがっていることから、一商店街や一自治体が単独でPR事業を行うよりも、都が旗振り役を果たし、さまざまな可能性やアイデアにあふれた統一感のあるイベントにする方が、よりインパクトがあり、沿線商店街を中心とする地域活性化にも貢献できると考えます。
 都の取り組みについてご所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 近藤やよい議員の一般質問にお答えいたします。
 都有財産、特に遊休資産の有効活用についてでありますけれども、いつも非常に鋭い質問、指摘をいただきまして、ありがとうございます。あなたの方が、どうもお父さんよりワサビが効いているような気がしますが……。
 前に近藤さんに叱責されまして、非常におくれていた都庁のIT化も進んで、かなりのところまで来ましたが、この都有地の遊休地の問題ですけれども、私も、どなたでしたか、やはり自民党の議員の方から指摘されまして、違う形の指摘で、あちこち端切れの土地があると。あんなものをとっくに開放すれば、曲がり角も楽になるし、川井さんでしたかね、いわれて、調べたんですが、あちこちあるんですけれども、余り部分部分に小さいんで、とにかく何とかしろよと。何とかなっているかと思ったら、何年たっても何もなっていない。みんな抱え合っていて、おっしゃるとおり、これで会計制度が変わってくると、少しは融通がきいてくると思うんですが、まさにご指摘のとおり、事業残地等が活用されていない。非常にむだな、こういう狭隘な大都市の中で、遊休地がまさに遊休して活用されていないうらみがございます。
 バランスシートを導入しますと、土地、建物等、資産の保有状況が一目瞭然となりまして、民間経営の視点に立った効果的、効率的な活用が必ず可能になると思います。
 これからの資産活用に当たりましては、これまでの管理中心の発想を転換しまして、局の壁、会計の壁、とにかくラインの縄張りを越えて、とにかく都の財産じゃなくて都民の財産でありますから、それを活用することを、都市再生や中小企業対策などにも活用し、都民の視点に立って幅広く都有地などの活用を進めていくよう、全庁的に既に指示を出しているんですが、なかなか動いておりませんが、なお督励して、ご期待に沿うようにいたします。
 他の質問については、関係局長から答弁いたします。
   〔都市整備局長梶山修君登壇〕

○都市整備局長(梶山修君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、土地区画整理事業用地の暫定利用についてでございますが、これらの用地は事業を円滑に進めるために先行取得したものであり、これまでも、本来目的で使用するまでの間、土地の有効活用の観点から、一部は公共駐車場などとして公的な活用を図ってまいりました。
 ご指摘の都有地は、地権者用仮住まい住宅を建設するため、他の用途への暫定利用は困難でございますが、お話のような都の行政目的に沿う暫定利用につきましては、今後、事業に支障のない範囲で、有償を前提に民間団体への活用も検討してまいります。
 次に、常磐新線の安全性の確認と今後の安全確保策についてでございますが、一部施工不良の報道がなされて以来、運営主体である首都圏新都市鉄道株式会社及び建設主体である鉄道建設運輸施設整備支援機構が、鉄道総合技術研究所などの技術的助言も得ながら、不良箇所の補修、補強などの対策を実施いたしました。
 さらに、都、会社及び機構の職員、延べ七百人以上により安全確認を行った結果、運行に支障を及ぼすような異常は特に認められておりません。しかしながら、都といたしましては、公共交通の構造物の一部に施工不良が生じたことを重大に受けとめており、会社及び機構に対し、鉄道施設の安全と社会の信頼の確保に向けて、より一層の指導を行ってまいります。
 最後に、開業に向けた都としての取り組みについてでございますが、沿線地域を活性化し、利用者の拡大を図るためには、本路線の利便性などを広く訴えていくとともに、その知名度を高めていくことが重要であります。
 都は、これまでも、会社や沿線自治体などが主催するイベントなどを通じて、積極的なPRに努めてまいりました。また、開業を契機として、沿線商店街などと連携しながら、さまざまな取り組みを行っていくことは、地域の活性化にもつながる重要なことと認識いたしております。
 今後、会社や関係自治体などとより一層連携しながら、沿線でのさまざまなイベントが効果的かつ統一的なものとなるよう、企画面での支援や調整などを行うとともに、公募による試乗会や開業記念式典などを通じ、沿線地域の活性化と利用者の拡大を図ってまいります。
   〔財務局長松澤敏夫君登壇〕

○財務局長(松澤敏夫君) 庁内横断的な資産の有効活用についてのご質問にお答えいたします。
 各局が所管しております、いわゆる遊休地は、取得目的に沿って行政財産として取り扱っているため、長期間行政目的のために使用していない場合であっても、局の責任において管理されている状況がございます。このため、こうした遊休地は、ご指摘のとおり、都民サービス向上の視点から他の目的に活用することが困難となっております。
 こうした実態を含めまして、現在、本年九月に設置しました、公営企業を含む全庁的な都有財産利活用推進会議におきまして、各局が保有している行政財産全般について、その現況などの詳細な洗い出しを行っているところでございます。
 今後、その結果を踏まえ、利用実態をチェックするとともに、財産情報のデータベース化を進めながら、具体的な活用方法などについて明らかにしていく予定でございます。
   〔福祉保健局長幸田昭一君登壇〕

○福祉保健局長(幸田昭一君) 児童相談所の充実策に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、児童相談所の専門性の強化についてでありますが、複雑化、多様化している虐待、非行などの相談に適切に対応するとともに、区市町村への専門技術的な支援を充実していくためには、児童相談所の専門性の強化が必要であると認識しております。
 そのため、都は、今年度から、有益な知識と経験を有する民間人を児童福祉司として採用しております。民間から人材を登用した結果、その専門知識、経験が業務に生かされるとともに、職場の意識改革や活性化につながっており、今後、ご指摘を踏まえまして積極的に採用に努めてまいります。
 次に、児童の立ち直り支援の方策についてでありますが、非行及び家庭環境などの理由により児童自立支援施設に入所した児童が、退所後、再び非行を繰り返さないためにも、中途退学や離職をせず、就学や就労を続けられることが重要であります。
 そのためには、児童相談所が中核となり、民生・児童委員を初めとした関係機関と連携協力し、退所した児童を地域全体で温かく支える仕組みづくりが必要であります。ご提案を踏まえまして、都では今後、民生・児童委員の方々のご協力をいただき、施設入所中からの相談や退所後の見守りを適切に行えるよう、地域での支援体制を整備し、児童の自立に向けた取り組みを積極的に進めてまいります。
   〔病院経営本部長押元洋君登壇〕

○病院経営本部長(押元洋君) 都立病院の経営に関する三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、都立病院における情報提供についてでございます。
 医療機関を選択するために必要な診療機能や治療内容などの医療情報に対します都民の需要はますます高まっておりまして、都民が安心して納得のいく医療が受けられるよう、都立病院から都民に対し積極的に情報を発信していくことは極めて重要であると認識しております。
 このため、医療法の制約はございますが、ご提案の趣旨を踏まえまして、各都立病院における医療の特徴や医師などの専門分野等、都民が必要とする医療情報につきまして、パンフレットやホームページなど、さまざまな媒体を通じて、より一層わかりやすく提供してまいります。
 次に、都立病院における医療連携についてでございますが、ご指摘のとおり、地域医療を支える診療所、病院などと密接に連携し、医療機関相互のネットワークを強化することにより、地域や都全体における医療資源を最大限に活用し、都における医療の質の向上を図っていくことが都立病院の重要な役割であると考えております。
 このため、今後とも、地域の連携医療機関への技術支援や最新の医療技術、重要な症例に関する合同の研究会を拡充するなど、連携活動を積極的に推進し、信頼関係の構築に努めてまいります。
 最後に、都立病院における人材育成についてでございますが、激変する経営環境に迅速、的確に対応し、不断の経営革新を着実に推進するためには、何よりも都立病院の経営を担う職員の人材育成、意識改革が重要でございます。
 このため、経営センスに富む人材、より高い専門性を有する人材の育成を目指しまして、中長期的な視点から都立病院の組織や人事管理の見直し、研修のさらなる充実などを含めました人材育成計画を作成し、その推進を図ってまいります。

○議長(内田茂君) 以上をもって質問は終わりました。

○議長(内田茂君) 次に、東京都議会海外調査団について申し上げます。
 本議会において、去る十一月十三日から二十二日まで、ニューヨーク、シアトル及びロサンゼルスへ、去る十月十五日から二十三日まで、ベルリン、ストックホルム及びパリへ、それぞれ海外調査団を派遣いたしました。
 海外調査団を代表いたしまして、それぞれ報告のため発言の申し出がありますので、これを許します。
 九十三番山本賢太郎君。
   〔九十三番山本賢太郎君登壇〕

○九十三番(山本賢太郎君) 長時間お疲れのところ、大変恐縮でございますが、しばし私の報告を聞いていただきたいと思います。
 ただいま議長さんからご報告がありましたように、平成十六年度東京都議会海外調査の報告をさせていただきます。
 去る十一月十三日から二十二日までの十日間、アメリカ合衆国のニューヨーク、シアトル、そしてロサンゼルスを訪問し、調査を行いました。
 調査団員は、野島善司君、臼井孝君、山田忠昭君、鈴木あきまさ君、そして私、山本賢太郎の五名でございます。
 今回の調査に当たりましては、昨日来大いに議論のあります東京都の安全対策、特に治安対策や地震対策を中心にテーマを絞りましていたしましたが、海外調査という貴重な機会を有効に活用すべく、ホームレス対策等福祉施策、環境施策あるいは産業施策等についても調査をいたしてまいりました。
 よくいう、百聞は一見にしかず、我々はいろいろなものを見、知り、そして思いを抱いてまいりました。以下、調査の概要についてご報告申し上げます。
 私たちは、ニューヨークのケネディ空港に着きました。その途端に、アメリカは戦時中にあるということを思い知らされました。外国人に対する厳しい安全対策に遭いました。靴を脱ぎ、上着を脱ぎ、指紋をとられ、瞳孔まで見られました。アメリカ全土は、今、学校、市役所、福祉施設までがボディーチェックが行われております。
 考えてみますと、三年前、ニューヨーカーたちが最も誇りにしていた世界貿易センターが一瞬にして廃墟と化し、その広大な跡地に私どもは立ってみて、その思いを深くいたしました。
 ニューヨークで、危機管理、治安対策を中心に調査を行いました。ニューヨークでは、夜の地下鉄には乗らない方がいいといわれるように、いまだ治安が余りよくなっていない中で、ニューヨーク市警当局者によると、約二万五千人ほどの若年の非行者がまだいるということであります。
 非行に走る原因は何かというと、それは貧困である、貧しいからだということです。警察当局が今最も力を注いでいるのは、犯罪の取り締まりという対症療法ではなくして、根本的な治療として犯罪の予防だというんです。このため警察は、地域との連携体制の構築を重視しており、市民ボランティアとの協働による犯罪予防活動、市民の通報システムの構築、学校での警察活動の紹介等に取り組んでいるということでした。
 また、特に力を入れている対象としては、青少年、外国から来た移民、さらに生活困窮者、そして地域コミュニティの育成の四つでございました。
 私ども、今東京都が懸命にやっている犯罪予防策と相通ずるものがあること、そして幼年期にしっかりと善悪の区別を教育することがいかに大事かということを痛感してまいりました。
 続いて、ニューヨークの市の危機管理室、通称OEMを訪問いたしました。これは、ジュリアーノ市長が危機管理局として立ち上げたものでありますが、二〇〇一年九月十一日のあのテロを契機として、州の知事を本部長として恒久的に設置されたものであります。
 ここは、あらゆる分野の専門家が集められており、緊急事態発生時の対策マネジメントを行い、また州政府及び連邦政府との連携をつかさどる組織でもありました。
 危機とは、ここでは建物の崩壊、ガス爆発、建築現場における事故等であり、さまざまな事故に対応しており、一日当たり約四十件に及ぶとのことであります。
 さらに、常に想定しておくべきこととして、ハリケーン等の自然災害、猛暑等の異常気象、生物化学兵器対策、核爆発対策等を挙げておりました。
 次の訪問先であるシアトルでは、危機管理やリサイクルへの取り組みを調査したほか、産業の現状視察としてボーイング社を訪問いたしました。
 リサイクル調査で訪問したのは、ラバンコリサイクル社といい、全米で最初に組織的リサイクルに取り組んだシアトル最大のリサイクル会社であります。
 市民は、ごみを生ごみと資源ごみとの二区分に分けて出し、この会社においてごみの分別を最終的にかなり細かいレベルまで行い、分別されたものはそれぞれ再資源として資源化されて売り出されます。規模が大きく、かつ近代化された工場でしたが、分別の最終的段階は、依然として人の手によっており、労働集約型となっておりました。
 この地では、かつて市民はごみを細かく分けて出していたんですが、現在では収集の利便性やスピードの関係から、二区分にしたということであります。
 このような仕組み、そして工場を、では東京ではどうだろうかと、同じように運営できるかといえば、私どもは甚だ疑問であると思ってまいりました。
 産業視察として訪問したボーイング社は、従業員約十六万四千人を抱える航空機産業における大企業であります。
 私どもは、会社概要と企業戦略等の説明を受けた後、二〇〇八年に、今から四年後に世界を羽ばたく最新鋭機ボーイング7E7生産ラインを実際に視察いたしました。その巨大さに圧倒されましたが、考えてみますと、航空機産業はさまざまな技術が結集したものであります。このような基幹となる産業は、国内産業への波及効果は絶大であります。また、航空機産業は、宇宙開発にもつながる多くの可能性を秘めた分野でもあります。
 ボーイング社で日本企業が分担し、生産している部分が何と三五%を占めるという、この現実は、かつて日本が航空機生産分野で世界に誇れる技術を持っていたこととを思いあわせると、その主導権が今外国にありますが、今後、知事のいうように、努力によってぜひ復権したいものと思ってまいりました。
 最後の訪問地であるロサンゼルスでは、防災対策を中心に調査をいたしてまいりました。ロサンゼルスは、サンフランシスコと同様に、サンアンドリュース断層の上にありまして、地震の頻繁発生地帯に位置しております。ですから、市民も、我々は断層の上に住んでいるということをよく承知しているようであります。それゆえに、地震に関する研究、そしてその対策が活発に行われております。
 そこで、私どもは、まずカリフォルニア工科大学の地震研究所、ラボといいますが、ここを訪れました。これは事実上、南カリフォルニアだけではなく、世界じゅうに地震情報を発信する機関としての役目を担っております。
 この地も、いずれ大地震に見舞われることは必至であり、震度七・九の地震が発生した場合、人的被害は死者一万五千人、経済的損失は一兆三百億ドルに及ぶと試算されているようであります。我が東京も、同じく地震発生の危険性は増加しております。他人事ではないと思ってまいりました。
 そこで、我々が最も関心のある地震の予知について、予知は果たして可能かという我々のしつこい質問に対して、考慮すべき変数が多過ぎて、現在のレベルでは、日、時まではとても特定できない。しかしながら、一週間、二週間という程度であれば予測は可能であるという回答が出ました。
 続いて、市民生活に密着したレベルでの防災対策を視察すべく、ロサンゼルスの消防署を訪問いたしました。
 そこでは、厳しい状況下のレスキュー隊が作業しておりました。その作業に備えて、日々消防士がトレーニングを行っておりました。例えば、レスキュー作業に当たり、消防士が体につける装備は、何と皆様、合計五十キログラムであります。私どもも五十キロならばと挑戦いたしてみましたが、これは装備して我々がレスキュー活動などできる代物ではありませんでした。
 災害発生時の対応につきましては、消防署間の連携体制、そして地域コミュニティとの協働を重視しているとのことでありました。
 以上、もっともっとありますが、概略を報告させていただきまして、他の事項につきましては、後日書類をもって配布させていただきたいと思います。
 お疲れのところ、ご清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(内田茂君) 続きまして、三十番柿沢未途君。
   〔三十番柿沢未途君登壇〕

○三十番(柿沢未途君) 続きまして、海外調査団の報告をさせていただきます。
 都議会民主党の土屋たかゆき、相川博、そして私、柿沢未途の三名は、去る十月十五日から二十三日までの九日間、ベルリン、ストックホルム、パリの三都市において調査を実施してまいりました。
 以下、調査の内容についてご報告いたします。
 まず最初の訪問地ベルリンでは、建物における外断熱工法について調査をいたしました。
 外断熱工法とは、建物の体の外側に断熱材を張りつける工法です。建物の体が断熱材ですっぽりと覆われた形になりますので、蓄熱性にすぐれ、冷暖房効率が上がることで省エネルギーにつながるといわれています。
 また、建物の体が断熱材で覆われていることで、外気温の変化や雨風による建物体の劣化、老朽化を防ぐことができ、建物の寿命を飛躍的に伸ばすことができるとされています。
 ドイツでは、一九七〇年代のオイルショック以来、建物における省エネルギーが重要視されるようになりました。建築申請に当たって、断熱材の使い方、熱還流率、そして建物内部を二十度以上に保つためにどれだけのエネルギーが必要かなどを記載した書面を必ず提出することになっているほどです。
 私たちの現地調査では、旧東ベルリンのパンコウ地区、ヘラースドルフ地区において、集合住宅の外断熱化の工事現場を見て回りました。
 旧東ドイツの統治下にあった東ベルリンの住宅は、その多くが無断熱のプレハブ工法で建てられており、建築から三十年余りが経過した今、その多くが激しく老朽化し、建てかえを余儀なくされています。無断熱のプレハブ工法は、建築時は安上がりだったかもしれませんけれども、結果として建物の寿命が短くなり、ライフサイクルコストとしては高くつくことになっているのです。
 これは、日本の集合住宅でも全く同じことがいえます。日本では、建物体の内側に断熱材を張りつける内断熱工法が一般的で、工費こそ安上がりなものの、建物の体が直接雨風にさらされるため、それだけ劣化が早く進みます。
 日本の団地やマンションを見てください。わずか三十年で建て直しを迫られているではありませんか。築百年以上の建物がざらなヨーロッパのまちとは、対照的といえるでしょう。日本でも、外断熱工法への転換が必要であると感じました。
 続くスウェーデン、ストックホルムでは、新しい市街地として建設されているハンマビー臨海都市を視察いたしました。もともとは、ごみの埋め立てでできた工場地帯でしたが、二〇〇四年のオリンピック誘致を目指したストックホルムの、環境に優しいオリンピックの理念を具現化するエコロジー都市として建設が進められました。
 ハンマビー臨海都市では、循環型社会が現実に形成されていました。まちから出されるごみのうち、燃えるごみは廃棄物発電所に送られ、発電と地域冷暖房の燃料として使われます。また、生ごみと下水からはバイオガスが取り出されて、各家庭の台所に供給されています。
 このハンマビー臨海都市では、年間エネルギー使用量、水道使用量、ごみの排出量を半減しようという目標が立てられており、環境先進国スウェーデンの意気込みを強く感じさせるものでした。
 最後の訪問地パリでは、上下水道事業を行う民間会社べオリア社を訪ねました。フランスでは、水道事業の八〇%以上が民間会社に委託されており、最大手であるベオリア社は、そのノウハウを生かして、世界六十五カ国、人口にして一億一千万人に水を供給しています。こうした民間会社を活用することでの運営効率化のメリットなどについて有益な知見を得ることができました。
 さらに、パリでは、少子化対策についてのヒアリングも行い、フランスにおける手厚い家族手当の効果について調査いたしました。フランスでは、二番目の子には月約一万五千円、三番目の子どもからは約一万九千円の家族手当が、子どもが二十歳になるまで支給されています。その効果もあってか、九四年には一・六五であった出生率が二〇〇三年には一・九一まで回復しています。
 昨日の本会議で石原知事がサジェスティブと話されたように、出生率が一・二九まで低下するという深刻な状況になっていながら、いまだ決定打といえる効果的な施策が見出せない日本にあっても、こうしたフランスの事例は参考になるものと感じました。
 以上、概略の報告とさせていただきます。
 なお、今回の調査の詳細につきましては、後日、海外調査報告書として取りまとめ、配布させていただきます。
 ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)

○議長(内田茂君) 以上をもって東京都議会海外調査団の報告は終わりました。

○議長(内田茂君) これより日程に入ります。
 日程第一から第四十二まで、第二百十一号議案、東京都行政手続条例の一部を改正する条例外議案四十一件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事福永正通君。
   〔副知事福永正通君登壇〕

○副知事(福永正通君) ただいま上程になりました四十二議案につきましてご説明申し上げます。
 第二百十一号議案から第二百四十五号議案は条例案で、新設の条例が五件、一部を改正する条例が二十九件、廃止する条例が一件となっております。
 初めに、新設の条例についてご説明申し上げます。
 第二百十二号議案の東京都行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例は、都民の利便性の向上を図り、行政運営の簡素、効率化に資するため、都の機関に係る申請等の手続等に関し、情報通信の技術を利用する方法により行うことができるようにするための共通事項を定めるものであります。
 第二百二十九号議案の公立大学法人首都大学東京に係る地方独立行政法人法第四十四条第一項の条例で定める重要な財産を定める条例は、公立大学法人首都大学東京の設立に関して、法の規定により重要な財産である不動産または動産を条例で定めるものであります。
 第二百三十九号議案の東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例は、三宅島災害により、村民が長期にわたる避難生活を余儀なくされ、住宅等の生活基盤に著しい被害を受けていることにかんがみ、村民の帰島に際し、東京都がその生活再建を支援するものであります。
 ただいまご説明申し上げました条例を含め、新設の条例は五件となっております。
 次に、一部を改正する条例でございます。
 第二百十六号議案の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例は、寒冷地手当の支給額等の見直しを行うほか、規定を整備するものであります。
 第二百二十四号議案の東京都個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例は、個人情報の保護に関する法律の施行等に伴い、東京都が保有する個人情報の保護措置のさらなる徹底を図るとともに、民間部門における個人情報の取り扱いについて都の役割を定め、個人の権利利益を保護するため改正を行うものでございます。
 第二百二十五号議案の東京都情報公開条例の一部を改正する条例は、都が地方独立行政法人を設立することに伴い、同法人における情報の取り扱い等に関する規定を設けるほか、所要の改正を行うものでございます。
 第二百三十五号議案の東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例は、薬事法の改正に伴い、医薬品製造販売業の許可等に関する手数料に係る規定を設けるほか、規定を整備するものであります。
 第二百四十四号議案の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例は、繁華街等において都民が迷惑または不安を覚えている客引き、勧誘、客の誘引、客待ち及び暴力団の威力を示す行為を規制するとともに、ピンクビラ等の配布行為等の規制を強化するほか、規定を整備するものであります。
 第二百四十五号議案の性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例の一部を改正する条例は、都民生活の平穏及び清浄な風俗環境を保持するため、不当な客引き行為等を用いる性風俗営業等を新たに規制するものであります。
 ただいまご説明申し上げました条例を含め、一部を改正する条例は二十九件となっております。
 次に、廃止する条例でございます。
 第二百三十一号議案の東京都立大学条例等を廃止する条例は、公立大学法人が設立する首都大学東京の開学に伴い、東京都立大学条例、東京都立科学技術大学条例、東京都立短期大学条例、東京都立保健科学大学条例を廃止するものであります。
 次に、第二百四十六号議案から第二百四十八号議案までが契約案でございます。
 第二百四十六号議案の都立青梅地区総合学科高等学校(仮称)(H十六)改修工事など、契約案は合計三件で、契約金額の総額は約四十一億円となっております。
 次に、第二百四十九号議案から第二百五十二号議案までが事件案でございます。
 第二百五十号議案の東京都水道事業の事務の委託の廃止及び瑞穂町公共下水道使用料徴収事務の受託についてでございます。地方自治法の規定に基づき、瑞穂町に対する都水道事業の事務の一部の委託を廃止し、瑞穂町の公共下水道使用料徴収事務の一部を受託するものであります。
 第二百五十一号議案の公立大学法人首都大学東京定款についてでございますが、地方独立行政法人法の規定に基づき、東京都が設立する公立大学法人の定款を定めるものであります。
 ただいまご説明申し上げました事件案を含め、事件案は四件となっております。
 上程になりました四十二議案についての説明は以上でございますが、このほか人事案を送付いたしております。
 東京都教育委員会委員で十二月二十四日に任期満了となります國分正明氏の後任には、高坂節三氏を任命いたしたいと存じます。
 同意につきまして、よろしくお願いをいたします。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議をお願い申し上げます。

○議長(内田茂君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(谷村隆君) 人事委員会の回答は、第二百十六号議案から第二百十八号議案、第二百二十号議案から第二百二十二号議案、並びに第二百二十六号議案から第二百二十八号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。

一六人委任第一二二号
平成十六年十二月一日
東京都人事委員会委員長 内田 公三
 東京都議会議長 内田  茂殿
   「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成十六年十一月二十四日付一六議事第二九一号をもって照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
  記
   提出議案
一 第二百十六号議案
  職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
二 第二百十七号議案
  職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例
三 第二百十八号議案
  職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
四 第二百二十号議案
  東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
五 第二百二十一号議案
  職員の結核休養に関する条例の一部を改正する条例
六 第二百二十二号議案
  東京都職員の公務災害補償等に伴う付加給付に関する条例の一部を改正する条例
七 第二百二十六号議案
  学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
八 第二百二十七号議案
  義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特例措置に関する条例の一部を改正する条例
九 第二百二十八号議案
  学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
   意見
異議ありません。

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第一から第四十二までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第四十二までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一、東京都教育委員会委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔谷村議事部長朗読〕
一、東京都教育委員会委員の任命の同意について一件

一六財主議第四二九号
平成十六年十二月一日
東京都知事 石原慎太郎
 東京都議会議長 内田  茂殿
   東京都教育委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都教育委員会委員國分正明は平成十六年十二月二十四日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
  記
     高坂 節三

      略歴
高坂 節三
昭和十一年七月二日生(六十八歳)
昭和三十四年三月 京都大学経済学部卒業
昭和三十四年四月 伊藤忠商事株式会社入社
平成元年六月   伊藤忠商事株式会社取締役伊藤忠アメリカ会社執行副社長
平成三年四月   伊藤忠商事株式会社取締役中南米総支配人
平成五年六月   伊藤忠商事株式会社常務取締役中南米総支配人
平成六年六月   伊藤忠商事株式会社常務取締役
平成七年六月   栗田工業株式会社代表取締役専務取締役電力事業部長
平成九年六月   栗田工業株式会社代表取締役専務取締役水処理事業部長
平成十年四月   栗田工業株式会社代表取締役専務取締役管理本部長
平成十一年六月  栗田工業株式会社取締役会長
平成十二年四月  拓殖大学客員教授
平成十三年六月  栗田工業株式会社顧問
平成十五年六月  コンパスプロバイダーズL.L.C.ゼネラルパートナー日本代表
平成十六年六月  日揮株式会社社外取締役
現在       拓殖大学客員教授
大学評価・学位授与機構運営委員
日揮株式会社社外取締役

○議長(内田茂君) 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、知事の任命に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

○議長(内田茂君) 起立多数と認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(内田茂君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願二十一件及び陳情十二件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(内田茂君) お諮りいたします。
 明十日から十五日まで六日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内田茂君) ご異議なしと認めます。よって、明十日から十五日まで六日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、十二月十六日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時四十八分散会

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