平成十二年東京都議会会議録第十七号

○議長(渋谷守生君) 三十八番谷口卓三君。
   〔三十八番谷口卓三君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三十八番(谷口卓三君) 石原知事は、何事につけ、歴史認識を踏まえつつ、論理、データや経験等に基づいて明快な判断をされる一方で、東京から日本を変えるとの強い決意と方針を明確にしておられることに敬意を表するものであります。
 そこでまず、新しき世紀、二十一世紀を迎えるに当たり、我が国の食糧問題についてのご認識を伺います。
 国際社会のボーダーレス現象、グローバリズム化が大きく進展する中で、我が国は食糧の大半を海外に依存し、自給率は先進国の中で最低であります。大規模機械化農業のアメリカから農薬にまみれた穀物を輸入し、飢餓に苦しむ国々からも数々の食品を仕入れて飽食時代を謳歌しておりますが、ここに大きな問題を内包しております。
 世界人口白書によりますと、一九六一年に三十億八千万人だった地球人口は、一九九五年には五十七億五千万人と、三十五年間で約二十七億人もふえております。そして、今から五十年後の二〇五〇年には何と百十九億人に達するといわれております。その結果、二十一世紀は穀物の生産量や漁獲量が人口増加に追いつかず、水不足も深刻化するなど、食糧危機の到来は必至といわれているのであります。
 戦後、日本は、産業立国、輸出立国を目指す中で、国内の農業政策をなおざりにした結果、今や日本農業は没落寸前となっており、やがては国家の存立基盤をも脅かされる危険性すら考えられます。
 私は、生活基盤産業である日本農業は、二十一世紀の日本人の食糧を確保するためにも、また国の安全保障の立場からも、いま一度産業基盤を整備して、農の再生を図り、後継者が育ち栄える農業を育成するとともに、自給率のレベルアップを図るべきと考えます。知事のご所見を伺います。
 都市化の急激な進行の中で、東京の農地は激減傾向にありますが、都内には今も随所に肥沃な農地が散在いたしております。
 都は先ごろ、緑の東京計画素案を発表いたしました。いわく、緑のベールに包まれる東京、こういう表現になっておるわけでございますが、この言葉から、東京都の五十年後、どんな東京が実現するのか、また、それに対して東京都がどんな施策を展開しようとしているのか、いまだに明確なところはわかりませんけれども、東京に豊かな緑の空間を呼び戻したいという意気込みは理解できるところであります。
 しかし、都市農業実態調査によりますと、後継者がいないと答えた農家が約五〇%となっております。高齢化が進む現在の農業従事者にもし不幸があれば、生産緑地のかなりの部分が宅地化されたり荒れ地になってしまい、加えて農家が保有する山林もいずれなくなる運命にあります。東京都が幾ら緑の計画を立てようとも、現実は待ったなしであります。
 知事は、区部の農地や多摩地域に残る農地、山林に対して、基本的に今後のあるべき姿をどう考え、いかに対策されようとお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
 生産緑地法制定の当時には、市街化区域内農地の宅地化を促進させるというのが時代背景でありました。しかし、今や時代は激変いたしまして、むしろ残された農地を積極的に活用して豊かな緑の空間を育てる時代に入ったのではないでしょうか。殊に東京の近郊農業は、やり方次第で未来性をはらんでおります。近年、農協などでは生産者のネーム入りの作物が販売されており、有機農法への安心感から、少々値段が高くても消費者に喜ばれ、生産が間に合わないとさえいわれております。また、地元の農業生産法人が提供する牛乳が人気を呼んでいるという例もあります。
 消費の場を直近に持つ東京の農業は、ここに活路を見出せるのではないでしょうか。知事はかねてよりベンチャー支援に力を入れておられますが、都内の農業経営もまた一つのベンチャー企業と位置づけて、支援策を講じられてはいかがかと考えます。新たなる都市農民の誕生、このことに手助けをされてはと考えるものであります。ご所見を伺います。
 先日、埼玉県日高市にありますサイボクハムという農業公園的な施設を視察してまいりました。社長にも会いましていろいろと伺ってまいったわけでございますが、ここでは、楽しい農業、つまり楽農でアグリトピア構想の実現を目指して、無添加で本物志向、緑の畑から直接台所へと新鮮な食を提供するとともに、加えて、いやしの空間づくりで大きな成果を挙げ、祝祭日には四万人、五万人という人々が集まって楽しんでおります。
 最近、総理大臣を先頭にIT、ITばやりであります。そのうち一人に一台のコンピューター時代がやってくるかもしれません。しかし、情報へのアクセス量が多くなればなるほど、人々はテレビだとかコンピューターとのつき合いに疲れまして、いやされる空間が欲しくなるに違いありません。都市近郊の緑や農地こそ、そのニーズにこたえられる、いやしの空間としてのアグリトピアに活用すればと考えます。所見を伺います。
 次に、東京の農業を発展させるには、何といっても経営環境の改善が必須条件であります。近年、若者の間にも農業を志向する人が生まれつつあるといわれますが、現行の税制や高い地価のもとでは、都市農業への新規参入は極めて困難であります。他方、父祖伝来の農地を守りたいという自作農家も、後継者不在という現実には勝てません。この難問に道を開かなければ、東京の農業は生き残れないのであります。
 そこで最後に、東京の農業を守るための今後の対応についてご所見を伺います。
 さて、さきの国会で、すべての国民がインターネットを容易に利用し、その恵沢をあまねく享受できる社会の実現を目指すために、IT基本法が制定されました。本法に基づいてIT化を推進する上で、自治体の果たす役割はまことに大きいと思います。都庁にもITを導入して電子都庁を実現し、都民サービスの飛躍的向上を図っていくことは重要であります。
 国は、IT基本戦略を策定し、二〇〇三年度には電子政府を実現して、電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現することで、国民や事業者のIT化を促していくとしております。
 そこで都が、今後、電子都庁をどのようなスタンスとスケジュールで実現していくおつもりかということをお伺いをする予定でおりました。そうしたところが、昨夜付の新聞で、いち早く推進計画の一部を新聞報道されたわけであります。あくまで新聞紙上のことでございますから、これがすべてかどうか、私は存じ上げませんが、都が既に具体的な検討を進めておられることは高く評価するものであります。
 そして、ここに報道された考え方以上に、知事はもっともっと総合的で高度なIT化、電子都庁というものをお考えであろうかと思いますので、改めて知事のお考えをお伺いするものでございます。
 次に、いわゆるデジタルディバイドの解消についてであります。
 ITを活用した質の高い都民サービスの提供を目指すことが行政をIT化する目的でありますが、そのためには、都民がひとしく情報通信機器を容易かつ主体的に活用する機会を持ち、その恩恵を享受できなければなりません。
 国は補正予算で、広く国民を対象にIT講習会を計画し、自治体が行う講習事業に支援すると聞いております。都としてはどのように対応するのか、所見を伺います。
 さらに、パソコン利用が困難な都民への対応についてであります。都民の中には、パソコンを所持していない人や身体上のハンディキャップ等により使えない人もおります。また、手続の性格や内容によっては、悩みを相談したり疑問点を質問したい、こういう場合も考えられます。こうしたケースへの対応を含め、都はどう対応されるのか、伺います。
 四点目は、都民の利便性を一層高めていくため、身近な行政機関で各種の行政サービスを受けられる、高度なIT化の推進が大切であります。このため、国と東京都、区市町村との業務のネットワーク化を図る総合行政ネットワークを構築することとなりますが、国や区市町村と綿密に協議をし、東京都にふさわしいものとすべきであります。都の総合ネットワーク事業への取り組みを伺います。
 次に、教育問題について伺います。
 都教育庁の調査によりますと、平成十一年度の不登校生徒は、小中学生で一万百三十一人、都立高校の中途退学者は、全日制課程で四千五百三十人、定時制課程で二千二百五十七人に上っております。発生数としてはこのところ横ばいまたは減少傾向を示しているとはいえ、依然として深刻な状況に変わりがありません。
 世間一般を見ますと、激動に耐え抜いて生き残る企業は、社会情勢の変化をいち早く察知し、素早い改革で時代を先取りしております。その点、今日の教育現場の荒廃ぶりは、旧態依然とした教育行政を象徴しているといっても過言ではありません。
 都では、かねてより我が党の主張を取り入れ、単位制高校やチャレンジ高校などの新しい教育環境の構築に果敢に挑戦し、大きな成果を上げている点は高く評価しております。
 反面、従来型の教育現場では、今なお不登校生や中途退学者が絶えないわけで、二十一世紀の日本を担う若者たちが、基礎的学力を身につけないまま放置されることは、社会全体の大きな損失であります。
 そこで伺います。
 第一に、これまで我が党は、学校にスクールカウンセラーを配置し、生徒や保護者の相談に応じるとともに、教員へも専門的な助言を行い、学校の教育相談機能を高めることなどを提案してまいりました。実際に、スクールカウンセラーを配置した大方の学校では、不登校生が減少していると聞いております。さきの第三回定例都議会でも、今後のスクールカウンセラーの配置の考え方や計画について回答を得たところでありますが、これまでのスクールカウンセラー配置の成果をお伺いするとともに、今後の配置内容や計画について伺います。
 次に、各種調査によりますと、不登校や中途退学した生徒の中には、いじめや学業の習熟度、教員に対する不信感など、学校生活上の問題から不登校になっているものが多いと指摘されております。
 こうした不登校生や中途退学生を対象に、都内には数多くのフリースクールやサポート校が存在し、個別学習や小集団による教育活動などを行っておりますが、そのあり方については近年、各種の議論があります。しかし、学ぶ意欲がありながら何らかの理由で教育現場を去らざるを得なかった子どもたちには、学校以外のところであれ、学習機会を与える努力も必要かと考えます。
 現実問題として、フリースクールやサポート校に通うためには、通学費や高額の学費等に加えまして、卒業資格を取得したいと考える子どもは、私立高校の通信制に在学をする。そうしますと授業料の二重払いになりまして、保護者の負担は大変です。そこで、せめて、一般定期ではなく通学定期扱いにだけでもしてほしいという意見があります。都の対応を伺います。
 最後に、都市計画道路の整備について伺います。
 町田市の南部地域では、特に町田街道の渋滞が日常化し、東名高速道路の横浜・町田インターから市の中心部までの五・七キロは、終日渋滞状態が続いております。このため、一般車両はもちろん路線バスの運行が阻害され、住民生活に大きな障害となっております。
 原因は、JR横浜線を越える道路が町田街道だけで、交通集中が起こることに起因しておりまして、この解決には、都計道町田三・三・三六号線の未着手区間を整備し、交通を分散させる以外に決め手はありません。特に、東名横浜・町田インターの出口付近では、国道一六号線バイパスの高架化事業が進行中でありまして、そのおり口部分で町田三・三・三六号線とつながる計画となっております。
 そこで、この結節部から町田街道を通らずに北へ向かう当該道路の整備が急がれるところであります。町田市南部地域の交通事情と地域住民の環境確保の観点から、今後の取り組みを伺いまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 谷口卓三議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、東京における農業の問題について、極めて啓示的なご質問をいただきましたが、私もかねてから、我が国の食糧問題を考えますと、まさに寒心にたえない――感じておりまして、ともかく先進国の中で食糧の自給率がこんなに悪い国はないわけでありまして、国際政治というものを考えても、決して安閑としているわけにいかないと思います。
 まして地球規模で考えますと、これは正確な数字かどうか知りませんが、私、この間ある専門家から、この地上で一番数の多い哺乳類というのは、ネズミなんかではなしに人間だということを聞きまして、ぞっとしましたが、とにかく食糧というものの危機がもう目の前に迫っている、人間に関して迫っているのに、どうも我が国の抱えている状況というのは、非常に危険というか危ういというか、想像をたくましくすると、ぞっとするものがございます。我が国の食糧の確保とそれを支える農業の再生は、食糧安全保障の上からも極めて重要であると思っております。農業は、食糧の生産だけではなくて、自然環境の保全や地域文化の伝承などの側面からも極めて大切であります。
 このため都としても、農業を重要な産業と位置づけ、今後とも、消費地に近い特性を生かした都市農業の振興に努めていかなくてはと思っております。
 おっしゃるとおり、これだけ広大な消費地を間近に控えている農産地というのは他にないわけでありまして、そういう点からでも、私たち、東京における農業の意味合いを考え直す必要があると思います。
 それに、いやしの空間としての農地ということでありますけれども、先般も、あきる野市でありましたか、地域の物産を展示している大きな施設に行きまして、その後ろにかなりの土地を、極めて小さな、せいぜい十坪ぐらいの空間に仕切って、都民の方々が週末にはそこへ出かけていって作物をつくるという施設を見てまいりまして、非常に強い印象も受けました。
 モスクワでは、市民が夏場、ダーチャという、これは極めてちゃちな、小屋に近い別荘をみんなが持って楽しんでおりますけれども、これは結構ですが、こういう都民への農地の提供というものを、東京も、農業生産ということもあわせて、しかしまさにいやしのためにも講じていく必要があるかなという気がいたします。
 次いで、電子都庁の実現についてでありますが、昨今のITブームで、しかも、東京のそういうシステムというのが非常におくれていまして、先般も自民党の近藤議員からも鋭い指摘を受けまして、このリカバリーに心がけておりますが、いずれにしろITを積極的に活用することは、都政の抜本的な改革にもなりますし、都民サービスの向上と行政の簡素化のためにも欠かすことのできない要件であると思います。
 このため、今年度中に、平成十三年度から十五年度を計画期間とする電子都庁推進計画を策定しております。
 この中で、情報基盤の整備とともに、インターネットを活用した新しい時代に向けての都民サービスの具体的な方向を示し、社会の動向に即応できる電子都庁の実現に向けて、全庁を挙げて取り組んでいきたいと思っておりますが、これはしかし、しょせん効率といいましょうか、便宜というものを提供する手だてでありまして、技術体系でありまして、先般、シリコンバレーの幹部たち、日本人も交えてこちらに来たあるグループと会談しましたときに、向こうでもそういうシリコンバレーのそれぞれ中枢にいる人たちの会合で、ITというのは一体何だろうかという話し合いをしたときに、結局、中世の終わりにグーテンベルクが開発した印刷技術に毛の生えたものでしかないと。そういうくくり方というか、自覚を持っているということを話していまして、大変印象的でありました。
 ただ、どうもはやりでありますから、これにいたずらに振り回されて、何か私たちがそういう便宜性の中で、本質的な感性というか、情操といいましょうか、そういうものを失ってはならないと思いますが、またそれも、そう考える人間の古さかもしれませんで、やっぱりITならITが徹底して進んでいきますと、新しい情操なり、あるいは精神までもが派生していくのかなという気もしないでもございませんが。
 ただ、一つ、いろいろ問題がございまして、この間も都の幹部と会議をしておりまして、これに関する一つのプロジェクトの文章をつくるときに、よほど注意しませんと、電子取引なるものを掌握しきれないと、税金が取れなくなっちゃうというおそれもないでもない。
 アメリカで、そういう、Eコマースというんでしょうか、電子取引にフィルターをかけて民間の活動を正確に把握する手だてというか、法律を講じたようですけど、非常に猛反対に遭ってつぶれたようでありますが、同じ懸念をやっぱりアメリカもしているのかなという気がいたしました。
 いずれにしろ、新しい技術体系でありますから、都民のためのサービスにこれを講じることは結構でありますけど、逆に、それが思いがけない損害をもたらさないような、やはり先の先を読んだ考慮も必要ではないかという反省といいますか、自戒を、都庁の幹部でしております。
 余計な答弁になったかもしれませんが、以上をもって終わりまして、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、スクールカウンセラー配置の成果と、今後の配置内容及び計画についてでございますが、成果としましては、お話しのように、不登校の減少やいじめ等の問題への対応に加えまして、教員のカウンセリング技術の向上などが挙げられます。
 今後の配置内容や計画についてですが、国におきましては、このスクールカウンセラーにつきまして、これまでの研究委託事業から、平成十三年度を初年度とします新たな五カ年の国庫補助事業として制度化しまして、全国の中学校に配置する予定でございます。
 都教育委員会としましても、こうした国の動向を踏まえつつ、適切に対処してまいります。
 次に、フリースクールやサポート校に通う児童生徒に対する通学定期の扱いについてですが、都教育委員会は、文部省の通知に基づきまして、区市町村教育委員会に対して、フリースクール等に通う小中学生の負担軽減措置として、通学定期乗車券制度の適用を周知してきたところでございます。
 今後とも、この制度の周知徹底を図り、該当する児童生徒が通学費の負担軽減措置を受けられるよう、一層努めてまいります。
   〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕

○労働経済局長(浪越勝海君) 都市農業についての四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都内の農地や山林のあるべき姿と保全対策についてのお尋ねでございますが、農地や山林は緑豊かな東京を形成する重要な要素であり、後世に引き継ぐべき都民共有の財産であると認識しております。農地や山林については、農林業の生産活動を通じて維持管理されることが最適であり、今後とも市街化区域や中山間地域など、それぞれの特性に合った農林業振興施策を実施してまいります。
 次に、農業におけるベンチャー的経営の支援についてのお尋ねでございますが、都内でも、酪農家みずからが独自のブランドで牛乳やアイスクリームの製造、販売をしたり、野菜農家がハーブなどの新しい食材を高級レストランと共同開発するなど、全国的にも数少ないベンチャー的な取り組みがふえています。こうした独創性にあふれる意欲的な農業経営を育成していくことは東京農業の活性化のためにも重要であり、都としては、今後ともチャレンジ農業推進事業などを通じて支援に努めてまいります。
 次に、都市近郊の農地などの緑を、いやしの空間として活用することについてのお尋ねですが、農地などの緑が有する機能として、都市に安らぎや潤いをもたらすいやしの空間としての効用も重要であると考えます。このため、都はこれまで、イチゴやブルーベリーの摘み取り農園や、都民が種まきから収穫までをみずから行う体験農園の設置などを支援してきました。今後とも、都市農業の振興に当たって、こうした交流型農業をも育成し、都民が農地などの緑と触れ合う機会をさらにふやしてまいります。
 最後に、東京の農業の振興についてでありますが、農業を職業として選択し得る魅力ある産業として育成し、後継者を確保することが、東京農業の振興において極めて重要であると考えます。このため、都は、活力ある農業経営育成事業などにより、付加価値の高い農作物生産や、企業的経営に取り組む意欲ある農家を支援してきました。今後とも、東京の農業の維持、発展のため、農業振興プランに基づき、総合的、計画的な施策の推進に努めてまいります。
   〔政策報道室長安樂進君登壇〕

○政策報道室長(安樂進君) 国の交付金を活用したIT講習事業についてのお尋ねでございますが、この事業は、IT革命の急激な進展に伴って懸念されております、情報通信機器を使いこなせる人と使えない人との、いわゆる情報格差を解消するために、今年度の国の補正予算により設けられたものであります。東京都には約三十九億円が交付される見込みでありますので、これをむだにすることのないよう、区市町村や民間団体と協力して、一人でも多くの人がパソコンやインターネットの講習に参加できるように、できるだけ早く事業を立ち上げる予定でございます。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 電子都庁にかかわる二点のご質問にお答えいたします。
 まず、パソコンの利用が困難な都民などへの対応についてでございます。IT化による都民サービス向上の効果は、基本的にはあまねく都民に行き渡るものでなければならないと考えております。しかし、一方では、ITが万能でないことも確かでございます。このため、煩瑣な各種の手続そのものを簡素化し、使いやすいサービスに改善するとともに、パソコンの利用が困難な人に対しましても、安心して相談や手続、あるいは支援のできる窓口サービスを確保したり、その他の多様な手法も活用いたしまして、都政を一層親しみの持てるものにしていきたい、このように考えております。
 次に、総合行政ネットワークの構築でございます。都民にとって利便性の高い行政サービスを実現していくためには、国、都、区市町村相互のネットワーク化を図り、行政の総合化を推進していくことが不可欠であると考えております。総合行政ネットワークは、平成十三年度までに都道府県及び政令市が、そして十五年度までに区市町村が接続される予定となってございます。東京都は、これらに先立って、本年度から行われる実証実験に積極的に参加し、国や区市町村との連携を図りながら、東京都にふさわしい総合的なネットワークの構築に努めてまいります。
   〔建設局長古川公毅君登壇〕

○建設局長(古川公毅君) 町田地域の都市計画道路の整備についてですが、町田三・三・三六号線は、混雑している町田街道のバイパス機能を持ち、町田市内の円滑な交通と、安全で快適な生活環境の確保に必要不可欠な路線です。現在の整備状況は、延長十八キロのうち三・四キロが完成し、二・六キロについて事業を進めています。今後の取り組みについては、前期事業化予定路線に選定されている国道一六号付近を含めた三・四キロを順次事業化してまいります。また、残るJR横浜線交差部付近などの区間は、今後の事業化計画に位置づけ、着実に整備を進めてまいります。

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