平成十二年東京都議会会議録第十七号

○議長(渋谷守生君) 十六番木内良明君。
   〔十六番木内良明君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○十六番(木内良明君) 初めに、高次脳機能障害者対策についてであります。
 高次脳機能障害は、病気や事故などの原因で脳が損傷されたために、言語、思考、記憶、行為、学習、注意など知的な機能に障害が起き、生活に著しい差しさわりを来したり、また、外見上の身体機能は軽症の例が多く、障害を知らない人々から誤解を受けやすく、社会復帰の困難な障害であります。いわば時代が生んだ新しい病であり、これまで、医療や福祉の制度の谷間に置かれていました。
 東京都は、我が党の強い主張により、昨年度、全国に先駆けて高次脳機能障害者の実態調査を行い、都内四千二百人の推計実態とともに、多くの課題の調査結果を明らかにしました。
 この実態調査は、大きな社会的反響を呼び起こし、全国的にも多くの自治体が都に倣い、取り組み、検討を開始するなどの例が見られるようになったのであります。
 また、国においても、二年おくれながら、東京都の施策に呼応するかのように、来年度の予算原案に、高次脳機能障害者への対応として一億円を計上するに至りました。
 まさに、東京都が発信をし、施策構築第一歩を踏み出した努力が、全国的波及を呼び、国の施策を牽引する成果をもたらしました。今後、さらに、都における先進的取り組みを強く訴えるものであります。
 高次脳機能障害者対策は、調査により実態が把握された今後に、本格的取り組みがゆだねられます。都では、調査結果を踏まえて、今年度の事業として、高次脳機能障害者リハビリテーション等調査研究会をスタートさせましたが、この研究会の調査研究内容、スケジュール等について、まずご報告を願います。
 また、調査によれば、介護に当たる家族の精神的、肉体的負担が極めて大きいことが明らかで、その根底に、本人や家族の高次脳機能障害に対する十分な理解と認識がないまま、家庭の中で振り回されている実態があります。このため、医師などの専門家向けの診断技法等を含めたマニュアルのほかに、あわせて、手助けや援助に活用することのできる、家族向けのパンフレットの作成が必要と考えます。所見を伺います。
 さらに、高次脳機能障害者の方々を、小規模作業所等の法外施設においても積極的に受け入れるべきと考えます。
 また、本人の家族等が区市町村の福祉事務所等に相談に訪れても、具体的に対応できる相談窓口がない。都として、区市町村の福祉関係職員がこの問題への理解を深め、障害特性を踏まえて相談に応じられるよう、普及啓発を図るべきであります。相談が適切に行われるよう、都として支援していく必要があります。
 あわせて、ショートステイやデイサービスを利用できるシステムづくりについても、国に強く要請すべきと考えます。
 それぞれについて所見を伺います。
 次に、区東部地域に建設予定の重症心身障害児施設東部療育センターについてであります。
 本年三月、都立重症心身障害児施設検討委員会の最終報告が出され、百二十人規模の重症心身障害児の入所施設を整備し、同時に緊急入所や通所事業を行うとともに、心身障害児の外来診療にも対応することにより、これらの人々の在宅支援サービスにも積極的に努めるとされています。
 入所、通所、外来等の機能を備えた総合的な療育センター建設の計画ですが、現実には、江東区新砂に用地を取得して約三年以上が経過しているにもかかわらず、具体的な建設着手のめどが今なお立っていないのが実情です。
 区東部地域には施設がないため、緊急入所を利用する際にも、遠方の施設までの長時間の移動を強いられるなど、本人はもとより、ご家族の負担は大変なものとなっています。
 この施設の建設は、心身に重い障害を持つ子どもを抱える親や家族にとって、切なる長年の悲願であります。東部療育センターの早期建設を強く訴えるものであります。所見を伺います。
 あわせて、今年度の事業の進捗状況及び来年度事業としているフィージビリティー調査の概要についてもお尋ねいたします。
 次に、東京産業交流展についてであります。
 さまざまな業種、業態が一堂に会し、多様な交流を通じて、販路の拡大や技術の交流を行うとともに、雇用の拡大をも目指す、東京産業交流展は、取引等による経済波及効果だけをとってみても、一昨年の第一回は約七億三千万円、昨年第二回は約九億円に上り、それぞれ約五百社の参加企業の、活性化と意欲の喚起への大きな効果が評価されてきました。
 今日の厳しい財政事情の中で、第三回の開催が危ぶまれた今年初頭、我が党は、いかなる困難な状況のもとであっても、この効果的な事業は断じて継続をし、東京の産業の活性化に資するべきであると強く訴えたのであります。
 この主張を反映して、都は、去る十一月九日、十日、第三回を継続開催しましたが、私どもは、会場である東京ビッグサイトを訪れ、すぐれた製品技術などを持つ中小・ベンチャー企業の極めて意欲的な取り組みなどを、つぶさに見聞してまいりました。
 知事は、この交流展に昨年に引き続き出席をされて、そして、ことしのベンチャー技術大賞の表彰式では、ここに来るのは大変楽しみだ、こういう人たちの技術が世の中を変えていくという、そういう激励あいさつをされています。
 そこで、知事に、ぜひ、都内の中小企業のすぐれた技術や製品を展示した、この産業交流展に対する率直な感想を、まずお聞かせいただきたいと思います。
 都は、第一回、第二回、そして今回第三回の産業交流展について、雇用創出効果、経済効果をも含め、いかなる認識を持っておられるか。同時に、都内中小企業から具体的評価をいかに掌握しておられるか、お尋ねします。
 今回は、二日間の開催中に限定せず、十二月末まで、インターネット上で出展企業を紹介する「バーチャルトレードショー」を開催する試みが持たれましたが、ビジネスチャンス拡大の要素となりました。
 来年度の第四回、さらにその後の開催についても、財政難の中でありますが、こうした創意工夫を種々重ねて継続させることが重要であると考えます。答弁を求めます。
 次に、三宅島災害対策についてであります。
 既に触れられているように、雄山の活動が終えんを見せない中、現地災害対策本部にありましては、日々必死な作業が続けられておりまして、私も、さきに現地を視察し、そのご苦労を見聞してきました。
 避難島民の方々の一日も早い帰島を実現するためには、観測体制の維持強化と、道路やライフラインの維持、復旧が必要であり、このため、都や関係防災機関のスタッフの方々は、神津島の対策本部から漁船で現地に渡り、その作業に当たっています。安全のためガスマスクを携行し、ガス検知器で濃度を測定しながらの作業は、危険性や天候のために中止になることも多いとのことであります。
 ともすれば、私たちは被災者の方々の窮状に目を集中しがちでありますけれども、長期にわたって厳しい作業に取り組んでおられる現地災害対策本部のスタッフの皆さんのその苦労にも、思いをいたさなければならないと思います。知事の率直な感懐をお聞きしたいと思います。
 あわせて、最近における現地作業の実施状況と作業内容の進展についてもご報告を願います。
 また、漁船で往復三時間を要する、日々の二島間の行程は、寒風の吹く中、かっぱとライフジャケットに身を固め、冷たい荒波をかぶりながらの厳しいものでもあります。現地作業に向かう手段として、ヘリコプターの活用や、船室のある船舶の利用へと切りかえるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、臨海副都心と東京臨海地域の今後の整備についてであります。
 臨海副都心は、住宅建設が進み、災害時の医療はもとより、既成市街地への医療貢献をも視野に入れた大規模病院の建設が決定し、さらには、商業施設や情報関連産業の集積、国際研究交流大学村の進捗も図られるなど、二十一世紀に向け、都民共有の財産として、各分野にわたって着実な歩みを進めています。
 そこで、臨海副都心において科学技術系の連携大学院や研究所の誘致を行うとともに、都内各地域の中小企業・地場産業が持っている高度な技術力の活用を促す、ものづくりセンターなどの設置を行い、国際研究交流大学村などとも相まって、新たな産業シーズ創出の共同研究開発や企業化に取り組んでいくべきと考えます。所見を伺います。
 また、臨海副都心における土地処分の促進方針がさきに発表されましたが、公募対象区画を広げ、常時登録・常時受け付け方式とすることは、より積極的な対応として評価できるものであります。さらに、今後は、暫定利用についても常時受け付け方式の導入を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 以上、二点について伺います。
 また、海上公園は、昭和四十年代末に整備が始まり、これまでに約七百七十ヘクタールもの広大な面積の整備が行われ、我が国最大の規模を誇るまでになりました。しかし、残念なことですが、地味で魅力に乏しいことや、アクセスが悪いため、都民にとって利用しにくい面があります。このままでは貴重な都民の財産が十分活用されない懸念があるのであります。海上公園事業は、昭和四十五年に策定された海上公園構想を基本として実施されてきましたが、管理運営方法について何回かの修正は行われてきているものの、抜本的な見直しはされていません。
 今こそ、旧来の海上公園の概念を打破し、より時代のニーズと都民の要請に見合ったものへと転換を図る必要があります。東京臨海地域の水辺環境や景観資源を生かした都民のための海釣り施設やマリーナ機能を初め、近年のマリンスポーツやレジャー人気を反映した施設の整備などを進めるとともに、シームレストランスポーターとしての水陸両用車等の移動手段の導入なども含めて検討を進めるべきであります。いわば、海上公園のあり方は今日大きな転換期にあり、時代の要請にこたえるための新たな海上公園構想を策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 この点をお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 木内良明議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、産業交流展に対する感想でありますが、私、東京はいろいろ催し物をしておりますけれども、その中でも最も好きな、会場に行っていろいろ興味をそそられる、胸のときめく催し物でございまして、聞くところ、三年で当初の目的を達したということでありますが、つぶすにもったいないんで、日本が狭くなったとはいえ、他県との共同主催も考えて、巡回をするとか、存続を今考えております。多分残すことになると思いますけれども、ご理解いただきたいと思います。
 東京にはすぐれた技術を持つ多くの企業がございまして、そうした企業がその力を存分に発揮していければ、東京も再生し、世界に負けない都市になると思います。
 今回の産業交流展にはこうしたすぐれた企業が多数出展しておりまして、特にベンチャー技術大賞で表彰を受けた株式会社アソボウズのスコアメーカーや――これは、私は何かたかだか野球やサッカーのゲームのカウンターかといったら、審査委員長の技術大学の学長さんに怒られまして、素人はすぐそういう発想をするが、そうではない、これは、これをもとにして非常に多様な利用が可能で、世界の画期的な商品になるだろうということで、不明を恥じましたが、あるいは本当の思いつきで、わずか擁壁を百五度に傾けるだけで、非常に保全性の強い技術や製品、これはすばらしいひらめき、発想によってこういう製品技術が開発されたと思いましたが、本当に行くたんびにいろいろ感銘を強く受けます。
 多くの元気な意欲のある企業が、この交流展をきっかけにさらに販路拡大や技術開発などを進めていくことが、東京の経済を活性化し、ひいては日本の活力を取り戻すものであると思います。可能ならば他県の知事さんとも話しまして、東京に飛んでくるのは簡単なようでも、しかし、地域を移すことでもっと多くの観客を得て、いろんな刺激を関係者に与えることができると思いますので、そのつもりで相談をしていきたいと思っております。
 次いで、三宅島復旧作業に当たっているスタッフについての感想でありますが、これは、今の質問、現地作業をしている当事者たちには非常にありがたいお言葉でありまして、九月四日の全島民の島外避難以来、ホテルシップを利用した現地作業を続けておりましたが、非常に経費もかかりますので、十月六日からは、現地対策本部を神津島の村営ロッジに移して、小型船舶で三宅島に渡っておりますが、冬場はあそこ海が荒れまして潮のきついところで、多分往路を非常に皆さん難渋していらっしゃると思います。
 そういった苦労を重ねながら、とにかく三カ月を超える長期の島外避難を余儀なくされている島民を思えばということで、防災機関の要員としては当然の務めとはいいながら、上陸すれば目に見えない火山ガスの危険もございまして、先般も担当の青山副知事が上陸して、ちょっとしたくぼみに入っていって、ガスの堆積に気づきませんで窒息しそうになったようなケースもございますが、いずれにしろ、そういった危険の中で全力を傾けて作業に従事されている自衛隊、警察、消防、ライフライン関係者等の方々のご苦労に対して、知事としても心から敬意を表したいと思っております。
 一日も早い帰島のために、各防災機関の皆様には、引き続き安全に留意の上、頑張っていただきたいと思っております。
 次いで、臨海副都心における新産業シーズの創出でありますが、臨海副都心は、国際研究交流大学村や非常に大きな量の情報通信網、あるいは先端技術の集積などから、新たな産業シーズの、種の創出が期待され、その多くの要因があそこにありまして、非常に将来の期待される地域であります。
 また、高度な技術を持つ中小企業と先端技術を持つ連携大学院等を結びつけて事業化する、物づくりのための緊密なネットワーク、これは別に大きな箱をつくるわけじゃありませんから、組織として、機能として設定していけば非常に有効に働くと思いますし、時代の要請にかなうものであると思います。
 このため、今後、臨海副都心に連携大学院や民間研究所を誘致しまして、これらと大学村及び中小企業との連携を促し、この地域を新たな産業シーズの創出の場として、また、日本全体の新しい技術産業の創出の一つの有力なコアとしても発展させていきたいと思っております。
 なお、他の質問については関係局長から答弁いたします。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、高次脳機能障害者リハビリテーション等調査研究会についてでございますが、高次脳機能障害は、日常生活の場面で障害があらわれやすいこと、適切なリハビリテーションを行う必要があること等が調査で明らかとなっております。
 そのため、日常生活場面を考慮した診断技法の確立及び障害の特性に応じた専門的リハビリテーションについて調査研究を行う目的で、この十月に、ご指摘の高次脳機能障害者リハビリテーション等調査研究会を発足いたしております。
 この研究会は、医師、作業療法士等の専門家で検討を行っておりまして、来年夏を目途に報告をいただくこととしております。
 また、高次脳機能障害に関するマニュアルやパンフレットの作成についてでございますが、高次脳機能障害は、その障害自体が十分解明されておらず、また、医師や都民の方々に広く認識されていないため、この障害について理解をしていただくことがまず重要であると考えております。そのため、診断技法や専門的リハビリテーション等についての専門家向けマニュアルと、日常生活を援助するための家族向けパンフレットについても、先ほど申し上げた研究会におきまして内容の検討を行い、作成してまいる所存でございます。
 次に、東部療育センターの早期建設についてでございますが、重度の知的障害と重度の肢体不自由をあわせ持つ方々が、ご家族とともに地域の中で生活していくためには、通所や緊急入所などの在宅支援機能を備えた重症心身障害児施設が必要であると考えております。
 区東部地域にはこうした施設がないことから、ご本人はもとより、ご家族も大変な思いをされており、この地域における施設整備の必要性については十分認識しております。
 また、事業の進捗状況及び来年度の調査についてでございますが、これまでの建設用地に係る地盤調査や土壌汚染調査に加えまして、来年度は、施設建設に当たっての諸条件となる敷地環境の特性や、日影、緑化計画など周辺環境との調和、防災計画のあり方等を総合的に整理してまいりたいと考えております。
 今後とも、東部療育センターの早期建設に向けまして、最大限の努力をしてまいります。
   〔福祉局長高齢者施策推進室長兼務前川燿男君登壇〕

○福祉局長高齢者施策推進室長兼務(前川燿男君) 高次脳機能障害者対策につきまして三点のご質問にお答えいたします。
 まず、高次脳機能障害者の小規模作業所等への受け入れについてでございますが、高次脳機能障害者につきまして、都はこれまでも、障害者の手帳を所持している場合はもちろん、手帳を取得していない場合でも、小規模作業所等へ受け入れるよう区市町村へ働きかけてまいりました。その結果、現にかなりの数の高次脳機能障害者の方々が、小規模作業所等に通所している状況にございます。
 今後とも、区市町村等の関係者の理解が深まり、受け入れが一層促進されますよう、啓発用パンフレットを配布するなど積極的に働きかけてまいります。
 次に、区市町村における相談の充実についてでございますが、都としては、区市町村に高次脳機能障害についての理解を深めていただき、相談窓口の設置等を含め相談体制の充実を図っていただくことが重要と考えております。
 今後とも、相談窓口の職員を対象とした講習会を開催するなど、区市町村を支援してまいります。
 最後に、高次脳機能障害者施策に関する国への働きかけについてでございますが、都はこれまでも、国に対して、高次脳機能障害の特性に応じた施策の実施について提案要求してまいりました。
 今後、ご指摘の点を踏まえて、きめ細かな施策を一層推進するよう強く働きかけてまいります。
   〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕

○労働経済局長(浪越勝海君) 産業交流展に関します二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、産業交流展の効果と出展企業からの具体的評価についてのお尋ねでございますが、産業交流展は、産業の活性化と雇用の創出を目的に平成十年から開催しております。今回、雇用の創出については、約二千人日の計画に対しまして約二千百人日の実績となりました。また、約五百社の出展と二日間で二万六千人以上の来場者がございました。本年の経済波及効果については、現在推計をしているところでございます。
 さらに、出展企業へのアンケートでは、約五割の企業が取引の開拓・拡大に役立ったと答えております。また、自社のPR、イメージアップや異業種交流に役立ったと答えた企業が約七割に達しており、企業から一定の評価を得られたものと認識しております。
 次に、創意工夫を重ねて産業交流展を今後も開催すべきとのお尋ねですが、中小企業にとって、多様な交流を通じ、販路の拡大や技術の交流、さらには人材の確保など、さまざまなビジネスチャンスと出会うことは極めて重要であると考えております。
 産業交流展は、技術や製品の展示、受発注商談会などを通じて、中小企業にさまざまなビジネスチャンスを提供しております。今年度は、新たにインターネット上に、お話のありましたバーチャルトレードショーを開催しておりまして、多くのアクセスを受けるなど大きな成果を得ております。
 今後とも、都内中小企業の販路拡大のために、すぐれた製品・技術の紹介を行うなど、種々の工夫を凝らしながら、積極的に市場開拓の支援に取り組んでまいります。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 三宅島復旧にかかわります二点のご質問にお答えいたします。
 まず、三宅島における現地作業の実施状況と作業の進捗についてでございます。
 村民の方々が一日も早く帰島できるよう、現在、有毒ガスを避けながら火山観測機器の増設及び維持、それから住宅、道路や水道施設等のライフラインの被害状況の詳細な調査、あるいは自家発電装置への燃料補給などの作業を続けております。
 神津島から荒波にもまれまして三宅島に向かう行程は、厳冬期を迎え季節風のため小型船舶が就航できない日も多く、ここ一カ月では二日に一度程度しか作業できない状況にございます。いまだに島に戻れない島民の方々の心中を思いますと、作業の進捗はまことに歯がゆいものがございます。
 次に、三宅島の復旧作業に向かうに当たっては、ヘリコプターの活用や船室のある船舶を利用すべきじゃないかとの大変温かいお言葉をいただきました。現在、神津島から小型船舶で冬の冷たい波しぶきを受けながら三宅島に渡らなければならないという大変厳しい条件下にある作業を安全かつ効率的に進めていくためには、ヘリコプターの活用も有効な手段であると考えております。このため、現在、臨時ヘリポートを設置するところでありまして、自衛隊の協力を得て、三宅島での活動に利用できるよう準備を進めております。
 お話のように、小型船舶での航行は厳しいものがあるため、御蔵島村が三宅島との間に定期運航しております中型船舶を東京都がチャーターし、来年早々には運航できるよう準備を進めております。これによりまして、現地作業の厳しさをわずかでも軽減できるものじゃないかと、このように考えております。
   〔港湾局長齋藤哲哉君登壇〕

○港湾局長(齋藤哲哉君) 東京臨海地域の整備に関する二点についてお答え申し上げます。
 まず、臨海副都心における土地の暫定利用についてでございますけれども、これまで、当面の利用予定がない区画について、利用期間を十年としまして、受け付け期間を定めて公募を行ってまいりました。
 今後とも、これらの区画については、土地のより一層の有効活用や継続的なにぎわいを確保していく観点から、効果的な暫定利用を図っていく必要があると認識しております。このため、利用目的などを総合的に勘案し、利用期間の弾力化やご指摘の常時受け付けなど、公募に当たっての新しい方式の導入を検討してまいります。
 次に、新たな海上公園構想の策定についてでございます。
 現在の海上公園構想が策定されまして、海上公園の整備が進められてから約三十年が経過し、周辺地域の開発の進展等、取り巻く環境も当時と比べてさまざまに変化しております。
 したがいまして、現在の状況や都民ニーズを踏まえた新しい海上公園のあり方について検討する時期に来ていると認識しております。
 検討に当たりましては、都民の貴重な財産である海上公園がより有効に活用され、東京臨海地域の特色や魅力が一層高まるよう幅広くご意見を伺いながら進めてまいりたいと思います。

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