平成十二年東京都議会会議録第十七号

   午後一時開議

○議長(渋谷守生君) これより本日の会議を開きます。

○議長(渋谷守生君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(渋谷守生君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都教育委員会委員の任命の同意について外人事案件二件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(渋谷守生君) 昨日に引き続き質問を行います。
 四十四番倉林辰雄君。
   〔四十四番倉林辰雄君登壇〕

○四十四番(倉林辰雄君) 二十世紀最後の一般質問におきまして、最初に質問の機会をいただきまして、同志の皆さんに心からまず感謝を申し上げながら、順次質問を行ってまいります。
 最初に、多摩地域振興への取り組みについてお伺いいたします。
 多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面延伸は、多摩地域全体の自立性を高め、交通過疎を解消し、地域経済の活性化を図る上からも、極めて重要なプロジェクトであります。
 私は、何としてでもモノレール延伸を着実に推進していく必要があると考え、以前から新青梅街道については、モノレールの導入空間の確保を進めるべきであると主張してまいりました。
 幸い昨日の知事答弁でも、新しくできたモノレールをわずかに延伸するだけで、横田への立派なアクセスになるとの知事の発言がありました。私の最も信頼する知事の、モノレール延伸への意欲を感じ取ったところであります。
 そこでまず、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面延伸に関する現在の取り組み状況と今後の見通しについて、知事並びに局長の決意も含めてお伺いをいたします。
 私は、知事と同様、一日も早いモノレールの延伸の実現を願うところでありますが、一方、都内で唯一、鉄道のない市に住み、暮らす武蔵村山市の市民にとっては、日々の生活や通勤通学時の足となる路線バスの利用は必要不可欠なものであります。とりわけ、その定時性の確保と速達性のアップなど、市内と主要な鉄道駅とを連絡する路線バスの利便性が喫緊の課題となっております。
 また、この路線バスの中には、多摩都市モノレールの早期延伸を願い、一人でも多くの人にモノレールを利用していただけるよう、市内と多摩都市モノレールの上北台駅や玉川上水駅を結ぶ市内循環バスの運行も含まれております。
 しかし、それらのバスは、歩道も未整備で狭く、しかも一日約二万台もの交通量のある青梅街道等が主なルートのため、交通安全上の問題に加え、定時性に欠けた運行ともなっております。と申しますのは、当該地域の主要な幹線道路であります新青梅街道を通行するのが最短ルートではあるものの、新青梅街道は一日当たり約六万台から七万台も通過をしており、文字どおり、多摩西部地域の交通の大動脈となっております。
 さらに、新青梅街道は、総幅員十八メートルの四車線道路であり、主要な交差点では、一応右折レーンが確保されてはいるものの、車線幅は必ずしも十分ではありません。実態として、右折車がある交差点付近では、せっかく直進レーンが二車線あるにもかかわらず、大型車は幅寄せして一台で占用しながら通行せざるを得ないような状況が見られます。このため、大型車が走っている中で、多数の市民が利用する路線バスを安全に走行させるには、いささか危険が多く、新青梅街道を使って上北台まで路線バスを運行することは困難な状況であります。
 このような厳しい路線バスの運行環境を改善するには、武蔵村山市内と多摩都市モノレールの上北台駅を直結する路線バスが、安全、快適に短時間でシャトル便として運行できるようにすることが必要であります。新青梅街道の交通状況を改善するためには、三本榎交差点など、主要な交差点における右折レーンの整備を進めていくべきと考えますが、ご見解を伺います。
 次に、閉鎖が決まりました日産自動車村山工場の跡地についてお伺いをいたします。
 この工場跡地は、全体面積が約百三十ヘクタールにも及ぶ、東京に残された大変広大で貴重な空間でもあります。
 聞くところによりますと、工場跡地に隣接し、日産自動車の子会社が所有する約七ヘクタールの日産三ツ木寮跡地については、近日中にも、その土地の一部が物流系の会社と土地の売買契約が結ばれると伺っております。こうした土地売却処分の動きが、今後は、工場跡地本体についても徐々に本格化していくものと思われますが、せっかくの大規模な土地であります。土地利用の転換を図るのであれば、多摩地域全体の活力向上に寄与し、魅力あるまちづくりに役立つ跡地利用を進めるべきであります。
 しかしながら、跡地が二市にまたがっていることと、地元の基盤施設計画や土地利用計画に対する考え方と、日産自動車側の土地利用処分、跡地利用に対する考え方には、官と民との関係から、どうしても食い違いが出てくるのではないかと憂慮をいたしております。それゆえに、このまま放置しておくことは、地域経済等に与える影響が大きく、許されません。一刻も早い土地利用が必要であります。
 このため、東京都においては、跡地利用計画のマスタープラン策定と早期土地活用に関して、地元二市と日産自動車との調整役としての機能が期待をされておりますが、多摩地域の発展に貢献し、将来に誇れる土地の有効活用を実現していくための都の対応についてお伺いいたしておきます。
 続いて、本年四月に地方分権一括法が施行され、多摩の市町村は、住民に最も身近な基礎的自治体として、自主性、自立性を向上させながら、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図っていくことが強く求められております。
 このような中、一方で、多摩地域の現状を見ますと、都市計画道路など都市基盤の整備を初め、少子高齢化対策など、取り組むべき課題が数多く存在をいたしております。
 また、急激な社会経済状況の変化や多摩地域の変貌により、産・学・公の連携による産業振興への取り組みなど、新たな行政課題も生じてきております。
 今後、これらの課題に積極的に取り組むことにより、多摩地域は、東京の発展の一翼を担い、三百九十万人の都民が暮らす地域として、ますますその役割は重要性を増していくものと考えられます。
 二十一世紀における多摩地域の振興について、知事はどのように考えておられるのか、この際本音のご所見をお伺いしておきます。
 一方、こうした分権の時代の中で、それぞれの市町村が自立的な行財政運営を行っていくためには、何よりも財源を安定的に確保することが大前提であります。
 しかしながら、現在の多摩の市町村財政の状況を見ますと、長引く景気低迷などの影響により、平成十一年度決算では、財政の健全性を示す経常収支比率を見ても、全体で九一%となるなど、厳しい財政運営を強いられております。
 これまで、東京都は、多摩振興のために、さまざまな施策や財政支援を行ってまいりましたが、中でも、行政水準の向上などを図るために、市町村調整交付金、振興交付金、そして区市町村振興基金が果たしてきた役割は極めて大きなものがございます。
 この中で、区市町村振興基金は、地方債を補完するものとして、区市町村の公共施設などの計画的な整備に対し、良質な資金を安定的に貸し付けるための制度であります。
 現在の低金利の時代では、多摩の市町村がこの基金から有利な条件で資金を調達することができるわけですが、一方で、過去の高金利時代に借り入れた資金の返済の負担に苦慮している団体も多いわけであります。現在市町村に貸し付けている基金の残高は、平成十一年度末で総額二千二百億円余り、そのうち、高金利といわれる六%以上の貸付残高は百三十六億円余りと聞いております。
 私は、本年二月の決算特別委員会の中で、市町村財政の健全化を図る観点から、この振興基金の金利負担軽減策を行うべきことを強く申し上げておきました。
 現在の厳しい市町村の財政状況の中で、この金利負担軽減策は、市町村の財政の健全化に大きく寄与するものであります。都は、市町村の財政状況や貸付金利の状況などを見きわめながら、具体的に検討を行うとのことでありましたが、早急に実施に踏み切るべき時期に来ていると考えますが、この点についてのご見解をお伺いいたします。
 また、社会経済環境が大きく変化する中で、新たな行政課題に対応していくためには、これまで市町村の行政格差の解消などのための財政補完制度として大きな役割を果たしてまいりました市町村調整交付金、振興交付金の役割も一層重要化しております。
 これからの多摩振興のためには、限られた財源を重点的に配分しながら、これらの両交付金についても充実すべきであると考えますので、所見をお伺いいたします。
 次に、市町村合併についてお伺いいたします。
 東京都は、今年度末までに、市町村合併に関する検討指針を策定することとしております。合併は、市町村が広域行政に対応し、行財政運営の効率化や基盤を強化するために重要な課題であります。都の検討指針の内容について、多摩の市町村は非常に関心を持っております。かつ注目しております。
 そこで、その指針には具体的にどのような内容が盛り込まれているのかをお伺いいたします。
 次に、車体利用広告についてお伺いいたします。
 屋外広告物条例や規則が改正され、本年四月に施行されて以来、路線バスの車体を利用した、いわゆるラッピングバスが東京において多数走行し、都民が目にする機会がふえておりますが、我々も、東京が身近なところから変わりつつあるということを実感できるケースとして評価をいたしております。
 しかしながら、中には、デザイン的に派手で、東京の景観に対し違和感のあるものも見られます。一部の好ましくないデザインの広告が、ラッピングバス全体の評価を悪くする懸念もございます。
 行政がデザインのよし悪しを判断することは難しく、多くの課題があることは承知をいたしておりますが、景観面への配慮が重要であることは、だれもが認めるところであります。
 この点について、今後、都としてどのように対応していくのか、伺います。
 既に車体利用広告が認められている路線バス及び路面電車に加え、他の車体への広告規制の緩和について、現在、広告物審議会で検討がなされていると聞いております。
 都内における車体利用広告が無制限に緩和された場合には、広告がはんらんするなど、その影響ははかり知れないものがあります。東京の都市景観に配慮した適切な対応が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、文化財について伺います。
 文化財は、我が国の長い歴史の中で生まれ、はぐくまれ、今日の世代に守り伝えられてきた貴重な民族の財産であります。我が国の歴史、文化等を正しく理解するために欠くことのできないものであり、将来の文化の向上、発展の基礎をなすものであります。
 東京都においても、貴重な文化遺産を保護し、活用することに多くの努力がなされているものと思われます。
 しかしながら、先月発覚した東北旧石器文化研究所の藤村新一前副理事長による前期旧石器捏造事件は、文化財に対する国民の信頼を裏切っただけではなく、歴史をゆがめ、誤らせるもので、許しがたい行為だといわざるを得ません。全く残念な事件と申し上げるところでありますが、こうしたことが起こったことについては、考古学界だけではなく、自治体や教育関係者、マスコミにも問われるべき点が多いと思われます。
 なぜ歴史の捏造というこのようなことが起こったのか、それぞれが深く反省するとともに、今回の事件の検証を進め、その全体像を明らかにすることで、一日も早く国民の信頼回復に努めるべきものと思います。
 そこで、石器捏造事件の藤村氏の関与について教育長にお尋ねをいたします。
 東京都においても、多摩ニュータウン内の遺跡で、この石器捏造事件を起こした藤村氏の関与があったとされるが、どのような関与があったのか、また、藤村氏の関与が明らかになったことから、東京都としてどのような対応をしているのかも伺っておきます。
 今回の石器捏造事件は、さきにも述べたとおり、地域や日本の歴史をゆがめ、正しい歴史教育に重大な影響を与えるものとして、大変に遺憾なことと考えておりますが、教育委員会としては、どのように考え、こうした事件の再発を防ぐためにどのような対策をとっていくのかを伺います。
 最後に、住宅問題について伺います。
 知事は、今回の所信表明で、都営住宅制度の見直しを民間住宅施策と連動させるとして、マンションの建てかえに都営住宅の空き家を仮住まいとして提供すると述べております。
 今、都内の分譲マンションはおおよそ六十万戸、老朽化して建てかえが必要となるものが、今後急速に増加していくものと思われます。これを放置すると、大きな社会問題となることも予想されます。建てかえには、合意形成や資金調達などさまざまな課題がありますが、建てかえ期間中の仮移転先の確保も大きな課題であります。
 マンションの円滑な建てかえを促進するために、都営住宅を活用することは、有効な施策であると思いますが、今後、どのように取り組むお考えなのかをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 倉林辰雄議員の一般質問にお答えいたします。
 二十一世紀の多摩地域の振興についてでありますが、多摩地域は、日本の経済の成長とともに急速に発展をしてまいりました。しかし、地域的に見れば、まだまだ道路整備等の立ちおくれなどの課題があるのは十分に承知しております。
 一方、多摩地域は、豊富な人材や多数の大学、研究機関の立地、先進技術産業などの集積がありまして、また一方では、都心部と比べて非常に豊かな自然環境などもございまして、将来的に活力と魅力に満ちた地域として存在していると思います。
 今後、地方分権の流れの中で、多摩地域の発展の可能性やあくまで地域の特性を十分に生かしながら、IT関連産業を初め、将来成長が望める産業の育成を図るなど、二十一世紀の多摩振興に積極的に取り組んでまいりたいと思います。これはまさに本音でございます。
 それは、しかし、決して二十三区を多摩に実現するものではなくて、繰り返して申しますけれども、あくまでこの地域の特性を十分生かしながら、多摩の新しい振興に努めてまいりたいと思っております。
 その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。(発言する者あり)
 これは、まあなかなか採算なども考えまして、慎重に考えていきますが、ただ、横田などが返還なりあるいは共同使用になりますと、またそういった新線の創設もあると思いますし、それとあわせて、いずれにしろ、お客を開拓しなくちゃいけませんから、なかなか採算点で難しいと思いますけれども(発言する者あり)はい、慎重に積極的に考えてまいります。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 石器捏造事件に関します三点の質問にお答えします。
 まず藤村氏が関与した遺跡についてでございますが、当該遺跡は稲城市坂浜に所在しまして、「多摩ニュータウン・ナンバー四百七十一のB遺跡」と命名された遺跡でございます。東京都埋蔵文化財センターが昭和六十二年に発掘調査を行いまして、南関東最古の約五万年前とされる旧石器十三点が出土しております。この調査に藤村氏は二回参加し、藤村氏自身が発掘した石器もあるとの報告を受けております。
 次に、当該遺跡に関する都教育委員会の対応についてでございますが、この遺跡は既に開発によりまして現存せず、その実態の解明は困難を伴いますが、藤村氏が関与した発掘調査の信憑性を明らかにするため、外部の学識経験者等による調査委員会を発足させ、石器の出土状況等について検証してまいります。あわせて関係者への事情聴取についても、文化庁等関係機関と協議の上、進めていく予定でございます。
 次に、今回の事件に対する認識と再発の防止策についてですが、お話のとおり、遺跡調査によって発見される文化財は、地域や日本の歴史を明らかにする貴重な歴史的財産でございます。正しい調査や資料に基づくべきものでございます。
 今回の事件は、遺跡調査に対する信用を著しく損ない、文化財の活用や歴史教育に重大な影響を与えるものでございまして、まことに遺憾なことと認識をいたしております。
 都教育委員会としましては、今回の事件を契機とし、遺跡調査の実施機関に対しまして、その調査体制や調査方法について指導を強化するなど、このような事件の再発防止に努めてまいります。
   〔都市計画局長山下保博君登壇〕

○都市計画局長(山下保博君) 多摩都市モノレールにつきましてでございますが、この路線は、多摩地域の交通利便性の確保あるいは地域の活性化にとりまして、大変重要な路線であるというふうに認識しております。
 現在の多摩都市モノレールについての取り組み状況でございますが、箱根ヶ崎方面への延伸につきましては、本年十月に、東京都や多摩都市モノレール株式会社及び地元市町で検討会を設置し、導入空間の確保方策やコスト縮減策あるいは需要喚起策など、整備のあり方につきまして検討を進めているところでございます。
 本区間の事業化につきましては、この検討結果を踏まえつつ、事業の採算性や沿線のまちづくりの動向などを勘案しながら、積極的にかつ慎重に検討してまいりたいと思います。
 次に、日産村山工場の今後の土地利用についてでございますが、この工場用地は、ご指摘のとおり、非常に大規模なものでございまして、地域に与える影響が大きいために、多摩地域全体の活力を維持、向上する視点から、将来の土地利用を検討していくことが望ましいと考えております。
 現在、都は、地元二市及び日産自動車と跡地利用の協議を進めるための準備を行っておりまして、今後、この協議などを通じまして計画的なまちづくりが行われるよう、適切に誘導してまいりたいと考えております。
 次に、ラッピングバスの景観への配慮についてでございますが、デザインの良否につきましては、行政が許可事務の中で一律に判断することは適切でないというふうに考えております。
 車体利用広告の健全な普及のためには、事業者の自主的な審査が適切に行われることが望ましいというふうに思っております。
 ご指摘のとおり、ラッピングバスのデザインの中には、東京の景観に対し違和感のあるものも見られますので、事業者によるデザイン審査のあり方などにつきまして、現在、東京都広告物審議会におきまして検討しているところでございます。
 最後でございますが、路線バス以外の車体利用広告の規制見直しについてでございます。
 車体利用広告の規制緩和が各事業者から期待されているということはございますが、その緩和範囲を無制限に拡大することは、景観全体に対する影響が非常に大きいというふうに考えております。
 景観は、都市の豊かさと潤いをもたらす都民の共有財産でございます。そのため、車体利用広告の規制につきましては、東京都広告物審議会における検討結果を踏まえまして、東京の景観に配慮した仕組みとなるよう、見直しをしてまいりたいと考えております。
   〔建設局長古川公毅君登壇〕

○建設局長(古川公毅君) 新青梅街道の交通状況の改善についてですが、本路線は、多摩地域北部を東西に結ぶ主要な幹線道路であり、武蔵村山市内における重要なバスルートです。
 ご指摘の三本榎交差点付近は、武蔵村山市役所に近く、市の拠点地区としてまちづくりが進められており、交通の円滑化が望まれています。
 このため、当該交差点付近において、バスベイの設置や交差点の改善などの方策を検討いたします。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 多摩振興に係る三点のご質問にお答えいたします。
 まず、区市町村振興基金の金利負担軽減策についてでございます。
 都内市町村の財政状況は、長引く景気低迷の影響などを強く受けまして税収が低迷する中で、依然として厳しい状況が続いております。
 このような状況を踏まえまして、東京都といたしましては、市町村の振興基金の貸付残高にかかわる金利負担軽減策について、これまでさまざまな観点から検討してまいりました。
 今後、高利率の貸し付けにつきましては、現在認めている繰り上げ償還に加え、借りかえ制度につきましても、新たに創設する方向で検討してまいります。
 次に、市町村調整交付金、振興交付金についてでございますが、両交付金は、都内市町村の各種施策に対する一般財源を補うことを目的とした包括的な財政補完制度として、これまで、市町村の行政水準の向上や均衡ある発展などに大きな役割を果たしてきたものと認識しております。
 都財政は厳しい状況にありますが、今後とも、この両交付金につきましては、市町村の行財政運営を十分考慮しながら適切に対処していく考えであります。
 最後に、市町村合併に関する検討指針の内容についてでございますが、市町村合併は、行財政運営の効率化を図りつつ広域的な行政需要に対応していく上で大きな効果をもたらすものであり、この検討指針は、都内市町村における合併機運を高めるとともに、市町村の合併検討に活用することができるよう策定するものでございます。
 このため、市町村合併をめぐるこれまでの経緯、合併の必要性、都内市町村の特性と地域的なつながり、客観的なデータを用いた市町村のゾーニング、合併がもたらす効果など、市町村が合併を自主的かつ主体的に検討するに当たっての基本的な内容を盛り込む予定であります。
   〔住宅局長戸井昌蔵君登壇〕

○住宅局長(戸井昌蔵君) マンションの円滑な建てかえを促進するための都営住宅の活用についてでございます。
 ご指摘のとおり、老朽化したマンションの建てかえの促進は重要な課題であると思っております。
 かねてより東京都は、国に対しまして、マンション建てかえ事業法の制定を提案、要求しているところでございますが、今後は、この法の制度のほか、建てかえ支援の一環といたしまして、都営住宅の空き家を仮住居として提供するなどの方策につきましても、鋭意、国と協議を行いながら、その制度化に向けまして具体的内容の検討を積極的に進めてまいります。

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