平成十二年東京都議会会議録第十六号

○副議長(五十嵐正君) 百二十三番小林正則君。
   〔百二十三番小林正則君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○百二十三番(小林正則君) 私は、本会議場における名誉ある最後の代表質問をこれから始めさせていただきます。
 それでは、民主党を代表して質問に入ります。
 先日、都議会の控室に東京地検特捜部が家宅捜索に入り、また出資法違反容疑で山崎泰議員が逮捕されました。都議会控室に家宅捜索が行われたのは昭和四十年以来であり、また、現職都議が逮捕されたのは平成三年以来であります。まことに残念というほかはございません。私たちは、巨悪を逃すことなく、一日も早く事件の真相が明らかになるよう、東京地検特捜部における徹底捜査を求めるものでございます。
 さて、現在、平成十三年度予算の編成作業が進められておりますが、これらに関して何点かお伺いをしたいと思います。
 私たちは、このたびの財政再建に際して、平成八年来の財政再建路線に今度こそ決着をつけなければ都民の不安感は払拭されないとしてまいりました。
 幸い、本年度の税収は、IT産業などの高い伸びに支えられて、予想外の好調さを見せております。東京都の税収は飛行機の前輪というそうでありますが、まさに離陸時に前輪が高く上がるように、景気動向の最先端を示す税収動向を示しております。しかし、高い伸びを見せている業種の中でも、勝ち組あるいは負け組が出ており、建設業に至っては、平成十年度の八〇%にまで税収が落ちております。
 アメリカの景気回復がそうであったように、回復当初はハイテク産業を初めとした一部の先端企業に収益が集中し、すそ野にまでその収益が拡大するには、まだ時間を要するものと考えられます。
 知事は、昨今の税収動向についてどのように認識をされておられるのか、まず伺いたいと思います。
 知事は、さきの所信表明において、都財政は危機的状況が続き、まだまだ前途多難であるとし、思い切った構造改革を一層強力に進める必要があるとされました。しかし、私は、都税収入がこれまでの想定額を一定程度上回ることが予想されるという現下の状況が、思い切った構造改革にブレーキをかけることを危惧するものでございます。
 東京都は、鈴木元知事のもとで、バブル期の高い税収を基金化するという賢明な手だてを講じましたが、同時に、箱物に象徴されるむだも行ってまいりました。それが一転して、財政危機のもとでは、土地価格が低迷しているにもかかわらず土地の売却を迫られ、資材費も人件費も低下しているのに、投資的経費を抑えざるを得なくなっております。民間投資が活発な時期には公共投資を抑え、民間投資が低迷している今こそ、本来ならば必要な公共投資を拡大する必要があるにもかかわらず、全く逆の行為を余儀なくされているのであります。これは、コストの面からも明白であります。
 私は、ここで、これまでの経験を踏まえて、今後の都財政を運営していく上での基本的な考え方を示すべきであると考えますが、所見をお伺いいたします。
 一方、巨大銀行の再編成や、銀行、証券、保険の垣根を超えたグループ化など、金融状況が激変する中で、この五月、預金保険法が改正され、銀行などの金融機関が破綻をした場合には、預金のうちの一千万円とその利息しか保証されない、いわゆるペイオフの解禁が決まったわけであります。公金が対象となるのは平成十四年四月からであります。残すところ一年四カ月であります。新たな預金保険法では、地方公共団体の預金も一般預金者の預金と同様の扱いとなります。一般会計と特別会計を合わせただけでもおよそ十兆円、その出入りを考えれば年間二十兆円ものお金が動く東京都にとっては、その保証額は、ないに等しいともいえるのであります。
 都の公金は、いうまでもなく都民の税金が大半を占めており、いわば都民共有の財産であります。この貴重な財産を、今後の厳しい金融環境の中でどう保全、管理していくのかは、重要な課題であります。
 金融の自由化時代にふさわしい資金管理のあり方について、とりわけペイオフ解禁という新たな状況に、東京都の公金管理のかなめである出納長はどのように対応されていかれるのか、所見をお伺いをいたします。
 次に、東京都税制調査会の答申について伺います。
 このたびの答申は、調査会発足六カ月という短期間にもかかわらず、地方分権推進のための税財政改革について、包括的、具体的、現実的な提案を盛り込んだ、画期的な答申であると評価するものであります。この答申をまとめられた神野会長を初めとした関係者の皆様には、徹夜にわたる日も何日かあったと聞いております。心より感謝と敬意をあらわすものであります。
 この地方税財政制度改革は、この国の中央集権型システムを自治分権型システムに転換していく上で、事務権限の移譲と対をなすものであり、危機的状況にあるこの国を改革していくための緊急の課題でございます。
 この答申には、現実的であるがゆえの不満、これまでの税制へのこだわりから来る疑問もありますが、地方税財政制度の改革は、限られた場での議論のときはもはや過ぎ、具体的な提案を都民、国民の前に示し、都民、国民の声を踏まえた決断と実行のときを迎えているといわざるを得ません。
 知事は、地方税財政改革をめぐる現下の状況についてどのように認識をされておられるのか、まずお伺いをいたします。
 さて、北川正恭三重県知事、橋本大二郎高知県知事、浅野史郎宮城県知事、そして先ごろの福田昭夫栃木県知事、そして知事の後輩でございます田中康夫長野県知事、これらいずれの知事も、政党の枠を超え、従来の大きな業界団体や労働組合を支持基盤とせず当選をいたしました。その手法はより具体的で、市民の常識を代弁するものでございました。意図的であるのかどうかは別にして、結果としては、国のやり方を痛烈に批判をいたしております。もちろん、石原知事もその例外ではございません。
 二十一世紀は民族と宗教の対立の世紀といわれております。国内においては世代間の争い、そして国と地方自治体の争いになると識者は予測をいたしております。
 明治政府は、黒船の外圧によって江戸幕府が動転し、薩摩や長州の下級武士や農民によって誕生いたしました。日本は、今、第三の開国といわれております。欧米諸国による外圧はさまざまに試みられておりますが、一向に改善されません。二十一世紀のキーワードは、自治、分権でございます。自治体に活力がなければ、国に活力が出てくるはずがございません。
 しかし、今の政府には、残念ながらその改革をする意思も、リーダーも、能力もございません。もう待っているわけにはまいりません。今は自治体に優秀な人材が多数集まっております。
 知事、国の変革を待つのではなく、自治体から蜂起して、国を変えようではございませんか。そのための具体的な武器となる都税調の答申は、今、知事の手元に置かれております。大塩平八郎になることをいとわず、今こそ、この国を変えるために積極的に攻勢をかけるべきと考えますが、知事の決意を伺います。
 次に、公害防止条例の改正について、まず、COP6について伺います。
 先ごろまでオランダのハーグにて開催されていた気候変動枠組条約第六回締約国会議、いわゆるCOP6では、京都議定書の発効を目指し、排出権取引や森林の取り扱いなどに関する国際的な枠組みの形成が期待をされておりました。しかし、森林による吸収量を過大に見積もった日本政府の姿勢は、欧州連合と発展途上国の強い批判を浴び、期待された合意の形成には至りませんでした。
 国際的に見ても、都市の温暖化や巨大なハリケーンの発生など、地球温暖化の影響と見られる環境の変化が進行しており、対策の強化が緊急の課題となっている中での日本政府のこのような姿勢は、極めて問題があるといわざるを得ません。
 知事は、このたびの日本政府の姿勢についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
 私は、このような国の動向にかかわらず、大量のエネルギーを消費している東京は、率先してエネルギー使用の合理化に努める責務があると考えます。
 今回の公害防止条例改正案は、次の世代にまで都市の健全な環境を継承することを目的の一つに挙げ、温暖化対策として、大量にエネルギーを消費する企業に、温暖化対策計画書を提出させる制度などを導入するとしてございます。この制度が効果を発揮するかどうかは、企業がどの程度実効性のある取り組みを計画書に盛り込むのかにかかっているといえます。
 そこで、都はどのようにこの制度を活用し、企業の温暖化対策に対する取り組みを推進しようとしているのか、お伺いをいたします。
 エネルギーの浪費を抑えるという点で見逃せないのは、コンビニエンスストアやガソリンスタンドなど、深夜営業を行っている店舗の中に、過剰としか思えない明るい照明を使用する店が少なからずあることであります。こうした過剰な照明は、エネルギー使用の合理化という点でも大きな問題があるばかりでなく、深夜のまぶしい光により地域の生活環境を乱す、いわゆる光公害でもあるという点で、二重の環境問題を引き起こしております。
 これらの店舗は、一つ一つとれば小規模でありますが、全体としては大きな環境影響を与えているのではないでしょうか。大規模な施設とともに、これらについても対策をとるべきと考えますが、見解をお伺いをいたします。
 次に、自然保護条例の改正に関連して、東京の緑化推進についてお伺いをいたします。
 ことしの夏の異常な暑さを例に挙げるまでもなく、都心のヒートアイランド現象は、身にしみて感じられるほどになりました。三十年後の都心部は四十度を超える日があると予測もされております。まさに、今緊急に対処しなければならない問題であると考えます。
 東京都は、この四月から規則を改正して、屋上緑化の指導を開始いたしましたが、緑の東京計画においても、ヒートアイランド現象を緩和し、大気を浄化するなどの環境改善効果があるとし、屋上等の緑化を推進するとしております。この屋上緑化の指導は、全国的に見ても新しい取り組みでありますが、この四月から始めた屋上等緑化指導のこれまでの実績はどの程度のものなのか、また、今後一層推進していくために、住民等関係者との話し合いも含め、どのような取り組みを考えておられるのか、お伺いいたします。
 また、今後、都民や企業の理解と協力を得ていくには、まず東京都みずからの関連施設の屋上緑化から始めるべきということは、いうまでもございません。
 そこで、この都議会議事堂、この屋上は非常に広くて殺風景でございます。近隣の高層ビルからちょうど真下に見える議事堂の屋上を緑化することは、西新宿のビル群のヒートアイランド現象の緩和に効果があるばかりでなく、都民へのPR効果が非常に大きいと考えます。まず隗より始めよで、都庁から着手すべきと考えますが、この都議会議事堂の屋上緑化について、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
 ところで、市街地における緑のネットワークづくりには、例えば学校ビオトープという考え方があります。
 これは学校の校庭の一角にビオトープをつくり、それぞれの学校や公園のビオトープによりネットワークが形成されるというものであります。行政が既に所有する空間を利用して、すぐにでも実施できるという利点もあり、また、生徒への教育効果も大いに期待できるものであります。ヨーロッパのいわゆる環境先進国などでは、学校などの地面を覆うコンクリートをはがして、土地と草を取り戻そうという運動が始まっていると聞いております。
 そこで、緑化推進の一環として、こうした学校などの敷地を利用したビオトープネットワークづくりについて検討すべきと考えますが、見解をお伺いします。
 また、この学校ビオトープを推進するに当たり、ドイツなどでは、地元の環境NGOが計画段階からかかわって、コーディネート役を果たすなど、非常に大きな役割を担っていると聞いております。都も、NPOとの連携による活発な活動が大事であるとの認識を示されておられますが、ビオトープづくりの推進に当たり、NPOなど都民との連携のあり方、その仕組みづくりについてどのように進めておられるのか、お伺いをいたします。
 次に、障害者福祉についてお伺いいたします。
 間もなく二十世紀が終わり、二十一世紀を迎えようといたしております。しかし、日本における社会保障全体の将来像はいまだ明確に示されておらず、自助努力だけをいたずらに強調する声も、一部にございます。
 東京都においては、福祉改革推進プランを今月中に策定する予定ですが、石原知事が所信表明で述べられたように、事業者間の競争を促しながら、都民が質の高いサービスを住みなれた地域の中で選択し、利用できる条件を整備していくことは、私たちも当然のことと考えております。
 一方で、障害者福祉においては、平成十五年度から、措置から契約へと制度が移行することになっておりますが、事業者間の競争を促すだけでは、特に障害者施設の分野では、十分なサービスが整備されることは困難ではないでしょうか。介護保険のように、制度のスタート時にサービスの質や量が十分に確保されていないなどという問題は、絶対に避けなければなりません。
 私も知的障害者を抱える父親の一人として、石原知事に障害者施策の充実に向けた取り組みを期待するものでありますが、見解を伺います。
 さて、福祉局は、概算要求の中で、心身障害者施設緊急整備三カ年計画を掲げ、平成十三年度に六十二カ所、平成十五年度までの三カ年で二百カ所の入所施設や通所施設を整備するとしております。
 昨日も、私は、都議会民主党の仲間とともに、知的障害者の施設を視察してまいりました。入所施設の待機者が常に千人を超え、地域的な偏在も多く、地域住民の合意を得ることが難しいといった中で、果たして計画どおり整備が進むのだろうかといった声も聞かれます。
 私は、施設整備費や用地費の貸し付けの補助割合の引き上げなどに加え、こうした課題にも適切に対応することによって、心身障害者施設緊急整備三カ年計画を着実に推進し、待機者の早期解消を実現すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、通所施設や入所施設だけでなく、これからは障害者が地域で安心して暮らしていけるように、生活寮やグループホームなどの居住の場を整備していくことも重要な課題でございます。
 これらの整備は、保護者のもとで生活をしている障害者にも、地域で自立して生活をしていくことを可能にするものであり、今後積極的に取り組んでいく必要があります。しかし、そのためには、用地費や整備費の補助を新設するだけではなく、家賃補助の充実や重度加算などについても、きめ細かく対応していくことが求められております。
 私は、このようなことを踏まえ、地域社会で障害者が暮らしていけるように、重度障害者の受け入れ可能な生活寮やグループホームを積極的に整備していくべきではないかと考えておりますが、見解をお伺いいたします。
 障害者が地域で生活し続けていくには、就労支援にも取り組んでいく必要がございます。
 私は、就労支援については、平成十年六月の本会議の質問でも取り上げ、昨年度、区市町村障害者就労援助モデル事業が創設をされたところでございます。この事業は、障害者が作業所などでの就労から一般就労に安心して移行できる仕組みをつくり、区市町村と連携しながら、拠点整備も含め、就労面と生活面との支援を一体的に提供していくという事業でございます。
 私は、このような就労援助事業を大幅に拡大するなど、障害者の就労を支援し、身近な地域での社会参加を進めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、障害者施策についてお伺いをいたします。
 平成五年の障害者基本法制定により、精神障害者も身体や知的と同じ障害者として定義をされました。また、平成七年の法改正により、精神障害者にも手帳の制度が創設をされました。
 精神障害者は、このように他の障害者におくれて法整備が図られたがために、他の障害者との施策の格差がいまだに残されております。例えば、相互利用が前提となっている授産施設についても、職員の配置基準などで格差が残されております。授産施設が所有する自動車にかかる自動車税も、精神障害者施設だけは免除されておりません。都営住宅でのグループホーム事業も、知的障害者だけが先行して実施されております。さらに、民間バスの運賃も、精神障害者は他の障害者と異なり、割引がございません。
 私は、精神障害者と他の障害者との格差是正に向け積極的に取り組むべきと考えますが、石原知事はこうした精神障害者施策のおくれについてどのように認識をしておられるのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
 また十一月二十八日、地方精神保健福祉審議会に、精神障害者社会復帰施設あり方検討会の中間のまとめが報告されました。中間のまとめでは、社会復帰施設整備計画の策定を掲げ、グループホームや共同作業所などの社会復帰施設を新たに五百六十カ所程度整備すべきとしております。
 私は、こうした目標を掲げたことは評価いたしますが、他の障害者が、緊急整備三カ年計画として、財源的な試算も含めて具体的な計画が定められようとしているのに比べると、精神障害者への取り組みがおくれているといわざるを得ません。
 私は、中間のまとめの整備目標を踏まえた整備計画を早期に策定すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、人権施策推進指針について伺います。
 私たちが平成十年九月の本会議質問で人権行動計画を策定すべきとしてから二年余を経て、このほどやっと東京都人権施策推進指針がまとまりました。当初予定より大きくずれ込んだとはいえ、東京都が都政の最重要課題の一つとして、全庁的に人権施策を推進していくことを示したことは、評価されるべきと考えております。
 そこで、二点に絞ってお伺いします。
 この指針では、これからの人権施策の体系化を図っていますが、差別や人権侵害は、個々の人の生活の中に、社会の中に存在するものであり、この現実を具体的に変えていかない限り、なくなりません。この指針にも触れられているように、女性や子ども、HIV感染者、犯罪被害者、路上生活者などの個々の取り組みと同時に、従来の人権施策の手法や体制の枠組みを超えた、人権問題を解決するための総合的な取り組みが必要となっております。
 そこで、これらの事業を責任を持って統括をして、総合的に調整、推進する体制が必要であると考えますが、所見をお伺いいたします。
 さて、人権救済制度のあり方については、既に人権擁護推進審議会にて検討が進められております。この指針にも、救済・保護、啓発・教育、支援・助成が盛り込まれております。しかし、これらのどの施策も、当事者をその中核とした具体的な取り組みがなければ、施策の実を上げることはできません。今後、この指針に基づいた人権施策を推進するに当たって、都民やNPO、企業、とりわけ差別や人権侵害を受けた当事者との協働をどのように進めていこうとしているのか、お伺いいたします。
 最後に、浜渦副知事に関して、一言苦言を申し上げたいと思います。
 既に過ぎたことを蒸し返すのは本意ではございませんが、今後のことを考え、あえて申し上げさせていただきます。
 公権力を行使する公務員には、常日ごろから高い倫理性が求められており、これまでにも、その倫理基準から、不適切な行動には処分が課せられておりました。東京都副知事という職は、十八万人職員の最高位に位置する職であり、それゆえに、一般職員以上の高い倫理性が求められております。
 石原知事から見ればささいなことであるかもしれませんが、副知事に許されることは、それ以上に一般職員にも許されることになってしまいます。ひいては、都庁全体のモラルハザードにつながることになります。私は、自分の選挙区でも、何度か酔った客に絡まれたことがありますが、私は都議会議員の職にあることを忘れたことはなく、うまくその場を乗り切っております。
 知事、私は、このいわゆるささいなことが、都民の熱い期待に支えられた石原都政の足元を突き崩すことになることを危惧するがゆえに、あえて注意を喚起するものであります。
 石原知事におかれても、浜渦副知事におかれても、これらの点に十二分に留意され、今後の職務に当たられるよう、強く求めるものであります。
 最後に、先ほどの本会議場における浜渦副知事の答弁は、石原知事の答弁の中の反省の言葉とはかけ離れた感を、私は持たざるを得ませんでした。感想を申し上げ、私、都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 知事並びに関係局長の誠意ある答弁をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 小林正則議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都税収入の動向についてでありますが、今年度の税収については、情報通信関連業種などの好調に支えられまして、かなりの増収となる見通しであります。
 今後、好調な業種のすそ野がさらに広がって、さらに税収が上向くことを、都としても期待しておりますが、ただ、世界の経済が互いに連動する時代になりまして、日本と非常に重要なかかわりを持つアメリカの経済は、非常に不自然な頂点にあるような気がしますが、当然、このバブルも縮小していくと思いますけれども、そういったアメリカの経済動向などのリスク要因もありまして、税収の先行きについては十分に注意していく必要があると思います。
 今後の財政運営の基本的な考え方についてでありますが、基本的に、税収がふえたとはいえ、まだまだとても油断のできるような状況ではございません。そういう認識のもとに、財政運営を行うに当たっては、社会経済環境が変化する中でも、都民ニーズに的確にこたえた施策展開を行い得る強靱な、弾力的な――長野の人は、しなやかというようですけれども、財政体質の確立に常々意を払うことが肝要であると思います。
 ひるがえって、現下の都の財政は、バブル経済崩壊後の財政運営の転換のおくれなどから、依然として極めて厳しい状況にある上に、今後、都債の償還費や退職手当の増大など、団塊の世代の方々が非常に多いこともありまして、財政の硬直化がさらに進行することが予想されておりまして、引き続き財政構造改革を一層強力に進める必要があります。
 また、やってくる新しい世紀においても、東京を再生するために、首都機能のさらなる充実、新しい産業の創出、福祉、医療の改革などについては、施策を厳選して、将来の財政負担を見通すことで、税財政再建をなし遂げながら、確実に実行を図っていきたいと思っております。
 こうした、ある意味で相反した二つの大きな課題への対応を両立させるためにも、来年度予算の編成に向けて厳しい姿勢で取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、地方税財政改革をめぐる現下の状況でありますが、地方財政は、中央のあおりを食って、現在、危機的な状況にあります。
 一方、分権一括法は施行されましたが、再三いっておりますけれども、大切な地方税財源の分与は、中長期的な課題で、棚上げされました。まともに期待すれば、ある案件については、百年河清を待つということにもなりかねませんし、地方財政を立て直し、真の地方自治を実現するためには、一刻も早く税財政制度の改革を行い、自治体の自立的な行財政運営が可能となるような大幅な税源移譲を行うことが不可欠であると考えております。
 レーガン時代に、アメリカは見事に財政を立て直して、その恩恵にクリントン内閣もあずかってきたといえますが、あの場合にも、国の事情は違いますけれども、思い切った地方分権をしまして、それによって実は中央も浮かび上がったという事例もありますし、私は、国家全体のためにも、税財源の分与をしっかり伴った地方分権、地方主権の確立が、この国全体の健全な運営に不可欠なものと思っております。
 次いで、自治・分権に向けた取り組みについてでありますが、こんな状況の中で国を待っていては、なかなか変革はできないということで、都プロパーの東京都の税制調査会を立ち上げました。
 今回の答申は、国と地方の税財政制度のあり方について、初めて地方の立場から忌憚ない意見も吐露し、具体的にそれを示した、画期的なものだと思います。
 先ほど申しましたが、中期の報告を、仄聞といいましょうか、見た大蔵省の幹部が、これを基本的に非常に評価していたということも聞きますが、いずれにせよ、褒め言葉だけではどうにもなりませんので、国とのかかわりもありますが、この東京の財政を強化するためにも、議会とも相談しながら、討論して、できるものから実践していきたいと思っております。
 また、他の地方自治体とも連携をとりながら、それぞれがそれぞれの個性を生かした案を実現するということで、地方主権の時代にふさわしい税財政制度の構築に向けて全力で取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、温暖化対策に関する政府の姿勢についてでありますが、私は、環境庁も預かったことございまして、水俣で苦労し、国の責任を私が最初に認めましたけれども、そのときにも、既にマスキー法なども、日本が最初にアダプトして、マスキー上院議員が日本に来て、その車に乗って感動しておりましたが、そのおかげで彼は向こうで落選した。そして、並行してフロンの問題が出てきて、中には、環境庁というのは若い役所でありますが、ほとんど幹部は、通産とか大蔵、厚生省から出向してくる人が多いんです。そのある一人が、だれといいませんけれども、またアメリカがやっかいなことをいい出したと。これでまた日本の産業の足を引っ張ることになりかねないといっておりましたけど、私は、アメリカもいろいろ誤謬はありますが、こういう問題に非常に神経質なところは、私たち評価すべきであって、この問題はやっぱり、環境庁はちゃんとフォローすべきではないかといって、時期が来て、やめましたけれども、それから十年がたたぬうちに、実はオゾン層を破壊するという重大な事態が起こって、しかも、今回のオランダの会議でも、いろんな国が対立して、論がまとまらない。
 ただ、私は、環境問題を総体的に眺めますと、オゾン層が破れたというのは、これは大変なことで、先ほども申しましたが、これは、何か物を持っていって、パッチしてふさぐわけにいかない。下手をすると、かつてガガーリンが宇宙から地球を眺めて、地球は青かったといった、その表現が当てはまらずに、宇宙から眺めて、地球の色の印象が違ったものになりかねないぐらいのところまで、私は来ていると思います。もはや環境問題はトレードオフでは済まない、もっと深刻な本質を露呈してきたということを、それぞれの個人、それぞれの国家が考えて、これを防ぐ手だてを講じなくてはならない時期に来ているのではないかという気がいたします。
 そういう点では、私はやっぱり、日本の政府はいつも後手後手で、繰り返して申しますけれども、正確な文明論的な認識を欠いているとしかいいようがないと思います。
 化石燃料の多量消費は、二酸化炭素を初めとして、温室効果ガスの増加を招いて、地球の気候に決定的な大きな影響を与えつつあります。こうしたガスの排出量は、実は日本が世界で四番目に多量でありまして、将来の世代に対しても、国そのものが、実はそれを構成している私たち個人個人が、大きな責任を持っていると思います。
 こうした状況を強く自覚して、我が国は、省エネルギー対策を一層強力に進めるとともに、自然エネルギーへの転換を図って、温室効果ガス削減目標の達成に向けて取り組むべきだと私は思います。
 実は、先年のアルゼンチンですか、で行われました環境サミットでも、結局アメリカは、大国としてのこれに対する責任を回避して、数字を出すことを拒否しましたし、今回は、アメリカに日本も同調したという形で、この結果がまとまらなかったということは、非常に残念だと思います。
 ただ、私は、この問題についてそれほど精通しておりませんから、いずれの国のいい分が決定的に妥当であるかどうかということをつまびらかにいたしませんけれども、いずれにしろ、地球全体の状況が刻一刻悪化しているということだけは、これはだれも否めないと思うのでありまして、そういう危機感をこそ私たちは今はっきりと持つべきではないかと思っております。
 次いで、障害者施策への取り組みについてでありますけれども、障害者福祉の充実のためには、障害を持つ方々が、必要なサービスを自分で選択して、地域の中で生きがいを持って生活できるようにしていくことが、行政にとっても肝要だと思います。
 そのためには、在宅生活と施設入所の両面にわたって、多様なサービスが十分に得られるような、多様なサービスを十分に利用できるような基盤を整備するとともに、重い障害を持つ人でも安心して利用のできる仕組みづくりを何とか進めることが必要だと思っております。
 都としては、多様な事業者の参入を促しながら、区市町村と力を合わせて、福祉サービスの一層の充実を目指していきたいと思っております。
 先ほどちょっと、質問の中に就労の問題がありましたが、これは、障害を抱えている方の個人個人の能力の差にもよると思いますけれども、経済の態様が変わってきまして、ホームオフィスのようなものが十分にあり得る時代に、その方の持っている能力をそういう形で生かすということも、私はやっぱり、そういう方を雇用する企業の立場として、しんしゃくされるべきではないかなという気がいたします。これは本当にパーセンテージとしては少ないかもしれませんけれども、やっぱりそういう凡例をつくることが、彼らに、障害を持つ方々に勇気を与えるすべになるのではないかという気がいたします。
 次いで、精神障害者施策についてでありますけれども、疾病と障害をあわせ持つ精神障害者に対する施策は、従来、歴史的には、医療を中心として展開してきた経緯がありまして、平成五年にようやく、障害者基本法の改正において、障害者として法的に明確に位置づけられたわけであります。
 入院医療中心から地域ケア中心へという大きな流れの変化の中で、今後は、より一層、精神障害者に対する福祉サービスの充実が必要であると認識しております。
 現在、東京都保健医療計画等に基づきまして、精神保健福祉施策の充実に取り組んでおりまして、今後とも、国への提案も含めて、精神障害者の自立と社会参加の実現に努めていきたいと思っております。
 なお、他の質問については、出納長及び関係局長から答弁いたします。
   〔出納長佐々木克己君登壇〕

○出納長(佐々木克己君) 都の資金管理につきまして、金融の自由化、とりわけペイオフの解禁という新しい状況にどのように対応すべきか、こういうご質問をいただきました。
 ご案内のとおり、平成八年に始まる金融改革の進展によりまして、金融機関には透明で公正な行動が求められまして、厳しい情報開示が義務づけられておりますけれども、預金者に対しましても、自己責任が強く求められるようになっております。
 こうした中で、お話にありました平成十四年にはペイオフの解禁を迎えるわけですけれども、これに備えた公金の管理、運用についても、この自己責任原則に基づいた安全性の確保と運用の効率性の追求が重要な課題になってまいります。
 こうした観点から、私どもとしては、これまで以上に、金融機関そのものの選択基準を明確にするとともに、金融商品についても、国債や地方債などの債券や、新たに開発される商品を幅広く検討いたしまして、金融環境の変化に即した公金の管理、運用に万全を尽くしていく、こういう決意でございます。
   〔環境局長中野英則君登壇〕

○環境局長(中野英則君) 五点の質問にお答えいたします。
 まず、地球温暖化対策計画書の提出等による企業の取り組みの促進についてでありますが、今回の公害防止条例改正案では、温室効果ガス排出量の多い事業所の地球温暖化対策を進めていくため、事業者に計画書の作成を求めることとしております。
 事業者の取り組みを実効性あるものとするため、計画書に盛り込むべき具体的対策などを示した指針を定めるとともに、計画書の内容や実施結果について、事業者みずから公表することを義務づけることとしております。
 次に、コンビニエンスストアなどのエネルギー使用についてでありますが、店舗数の高い伸びに伴い、そのエネルギー使用量は、十年前と比べ二倍以上にふえております。
 このため、都としては、コンビニエンスストアにおいても、エネルギーの効率的使用に着目した取り組みは重要と考えておりまして、今後、省エネルギー対策の推進について働きかけてまいります。
 次に、屋上等緑化実績と今後の取り組みについてでありますが、緑化実績は、四月から九月までの六カ月間で百九件、約一万七千五百平方メートルであります。
 今後、屋上緑化等の一層の推進を図るため、建築設計業界の代表者等から成る推進会議を設置し、屋上等を緑化可能な構造にするよう理解を求め、普及拡大を図ってまいります。
 次に、学校などにおけるビオトープネットワークづくりについてであります。
 ご指摘の学校や公園は、町の中にほぼ均等に配置されていることから、鳥や昆虫などの生き物の豊かな生息環境を形成する、ビオトープネットワークづくりに非常に有効であり、緑の東京計画中間のまとめにおいても、重要な施策として位置づけております。
 今後、学校や公園などの敷地を利用したビオトープネットワークづくりに積極的に取り組んでまいります。
 次に、ビオトープづくりにおける都民との連携についてでありますが、ビオトープづくりに当たっては、子どもたちを含む都民やNPOなどが主体的にかかわることによって、自然への関心や理解を高めていくことが重要であります。そのため、ビオトープづくりに関するマニュアルを作成するとともに、区市町村と連携しながら、ビオトープの計画や設置、管理など、さまざまな場面で都民が参加する仕組みをつくってまいります。
   〔財務局長木内征司君登壇〕

○財務局長(木内征司君) 屋上緑化についてでございますけれども、都庁舎を初め、都の公共建築物の新規建設に当たりましては、従来より、できる限りの緑化に努めてきたところでございます。
 その中で、屋上の緑化につきましても、豊島病院や中央卸売市場食肉市場などにおいて既に実施したところでございまして、今後施工する高齢者専門病院や高等学校でも実施を予定しております。
 都議会議事堂の屋上緑化につきましては、施設管理上、検討すべき課題も多く、現状のままでは困難であり、今後、大規模改修を計画する中で研究してまいります。
 なお、屋上緑化に限らず、広く公共施設の緑化には引き続き努めてまいります。
   〔福祉局長高齢者施策推進室長兼務前川燿男君登壇〕

○福祉局長高齢者施策推進室長兼務(前川燿男君) 障害者福祉につきまして、三点のご質問にお答えいたします。
 まず、心身障害者施設の整備についてでございますが、ご指摘ありましたように、障害者福祉の充実を図る上で、待機者の早期解消は重要な課題であり、区市町村と連携し、地域住民の理解を得ながら、地域的バランスにも配慮した施設整備を促進していく考えでございます。
 現在、お話のように、心身障害者施設緊急整備三カ年計画の策定に向けて検討を進めており、待機者の早期解消に向け、積極的に努めてまいります。
 次に、重度障害者の居住の場の整備についてでありますが、重い障害を持つ方が地域の中で自立して生活していくためには、ご指摘のように、生活寮やグループホーム等、地域に密着した居住の場を整備していくことが重要であると考えております。
 このため、都は、独自に重度知的障害者生活寮や重度身体障害者グループホームの整備費や運営費の補助を行い、設置促進に努めております。
 今後とも、区市と力を合わせ、事業の積極的な展開を図ってまいります。
 最後に、障害者の就労支援についてでありますが、障害者の方々が地域の中で自立して生活し、積極的に社会参加をしていくためには、何よりも一般就労の促進を図ることが重要であると考えております。
 このため、今年度から、区市町村障害者就労援助モデル事業を開始し、身近な地域の中で障害者の方々が安心して働き続けられるよう、職場開拓や職場定着を支援することといたしました。
 今後、このモデル事業の成果を検証しながら、より効果的な一般就労の促進策の展開を図ってまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 精神障害者社会復帰施設の整備計画の策定についてお尋ねがございました。
 あり方検討会の中間のまとめは、精神障害者の社会復帰に必要なサービス総量を試算し、その充足に向けた社会復帰施設の整備の方向性を示したものでございます。
 今後、この検討会におきまして、来年秋を目途に、社会復帰施設の目的に応じた役割や施設間の連携方法等の検討を進め、最終報告をまとめていく予定であります。
 都といたしましては、これらを踏まえ、整備計画を策定しつつ推進してまいります。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 人権問題に関しまして、二問のご質問にお答えいたします。
 まず、人権問題を解決するための体制づくりについてでございますが、人権に関する問題は、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題など、多岐にわたっており、その解決に当たっての考え方も多様でございます。
 都は、これまで、それぞれ固有の経過と状況を踏まえ、公平性に配慮し、主体的に施策を実施してまいりました。
 今後とも、これまでの成果を踏まえ、各施策体系のもとで、個別施策を推進してまいります。
 さらに、課題が複雑に絡み合ったり、これまでの施策や手法で対応できない問題につきましては、救済・保護、啓発・教育、支援・助成の三つの観点から、総合的に人権施策を推進していく考えでございます。
 こうした考え方のもとに、全庁的な人権施策が推進できるよう、体制を整備してまいります。
 次に、都民、NPO等との協働についてでございますが、さまざまな人権問題を解決するためには、都民、NPO、企業などの意見を幅広く聞くとともに、都民の共通の理解を得ながら施策を推進することが大切であると考えております。
 このような認識のもとに、民間と行政との適切な役割分担を図り、都民、NPO、企業などとの新しいパートナーシップをつくってまいります。
 今後、人権施策の推進に当たって、どのような連携、協働ができるのか、具体的に検討してまいります。

○六十七番(三宅茂樹君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、散会されることを望みます。

○議長(渋谷守生君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(渋谷守生君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 念のため申し上げます。
 ただいまご着席の方々には改めてご通知いたしませんから、さようご了承願います。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時四十六分散会

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