平成十二年東京都議会会議録第十六号

   午後五時二十三分開議

○副議長(五十嵐正君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百六番土持正豊君。
   〔百六番土持正豊君登壇〕

○百六番(土持正豊君) 私は、都議会公明党を代表して、都政の重要課題について、都知事並びに関係局長に伺います。
 本定例会は二十世紀最後の都議会であり、今、歴史的な節目の二十一世紀を目前にして、日本と東京が直面している経済社会情勢を初めとする危機は、極めて深刻なものがあります。一方、IT革命の衝撃波は、社会の激変を不可避なものとしています。IT革命の進展によって、どのような社会変革が起きるのか、その期待と不安は日に日に膨れ上がっています。
 私たちが今、何よりも直視しなければならないのは、こうした危機克服のために、政治は今、何をなすべきかということであります。都民が今、都政に求めているものは、危機打開のビジョン、政策であり、それを実現できる政治的リーダーシップであります。
 就任以来、石原知事は、東京から日本を変えるとの信念から、さまざまな課題に真正面から取り組んでいることは、我が党の姿勢と軌を一にするところであり、評価するものであります。そこでまず、東京の新しい百年のスタートを前にして、知事は、この二十世紀をどう総括し、東京の今までの百年をどのように振り返るか、また、二十一世紀を展望し、東京の新しい百年をどのようにスケッチしているのか、率直な感想を伺います。
 次に、三宅島災害について伺います。
 六月二十六日以来の火山活動は、現在に至ってもなお終えんを見せず、島民の方々の日々の不安と焦燥を思うとき、衷心からお見舞いを申し上げるものであります。
 九月初めの全島避難命令以来、既に三カ月余りが経過しましたが、今なお日量二万トンから五万トンに及ぶ火山性有毒ガスの噴出や土石流の発生が続いており、仮にこのガスの発生がとまったとしても、島民の方々の生活に不可避なライフラインの復旧には、最低一、二カ月を要するとされています。これらの実情等を勘案するならば、今回の災害に対する措置は、当面の緊急的対応から中長期対応へと、各分野にわたる対策を転換、継続すべきと考えます。改めて認識を伺います。
 こうした事態の推移に、都議会公明党は先月十七日、避難島民の方々の都営住宅入居期間の延長を申し入れたのに対し、都は直ちに延長措置を決定されたことを評価するものであります。
 さらに、避難島民の方々は三カ月後の心配をされており、こうした心情を思うとき、戻れる状態になるまで入居可能とする方針を明らかにするとともに、居住に関する要望には、きめ細かく対応するよう強く訴えるものであります。所見を伺います。
 また、三宅村の長谷川村長は、島民の島外避難生活の長期化による経済的な逼迫を訴えております。具体的には、被害者生活再建支援法の早期適用、観光宿泊施設を併設した多目的避難場所の建設、降灰除去の補助事業実施、生活困窮者に対する電気・ガス代などの減免、仮設住宅の早期建設、帰島後の住宅補修費の援助、一次産業の早期基盤整備、個人経営者への経済的支援といった内容であります。これら今後の諸課題について、早急な対策を講ずべきであります。明確な答弁を求めます。
 とりわけ被災者生活再建支援法の適用については、公明党の要請を受けて、政府が先月二十四日、支援金支給の方針を明示したところであります。さらに、知事は私たちの緊急要望を踏まえ、さきの所信表明で、支援金の支給手続を早急に行うことを明らかにする一方、支給対象とならない世帯に対する都独自の支援金の支給を決定しました。
 このような迅速な対応は評価するところでありますが、避難生活の長期化が必至な状況の中、年の瀬を前に、生活逼迫への深刻な不安を持つ島民の方々の心情を考えるとき、今後は、年内の一日も早い支給が必要であります。この点について、見通しを明らかにしていただきたいのであります。
 また、雄山の噴火によって島内に降り積もった大量の火山灰の処理が、島の復興にとって大きな障害となることは目に見えております。そこで、復興作業が可能になった際には、島民の方々への緊急的な雇用対策として、畑や家屋等の火山灰除去の事業を提案するものであります。都の明快かつ具体的な答弁を求めます。
 さらに、産業技術研究所等の分析調査では、火山灰はガラス材料、建設材料等への利用が可能としており、産業用の製品開発に生かすことも考えられ、まさにピンチをチャンスに変える材料とすべきであります。都としては、火山灰の利用についての研究開発を早急に進めるべきと考えます。その内容と今後の見通し、あわせて火山灰による農作物への影響を最小限に抑えるための具体策についてお尋ねいたします。
 次に、都財政についてであります。
 まず、三宅島を初めとする伊豆諸島災害の復旧支援に対する十二月補正予算案は、さきの定例会において、我が党から、道路などの社会基盤の早期復旧や住民の生活再建等も含めた補正予算の編成を求めたことに対し、都の迅速かつ適切な対応がなされたものと評価いたします。
 今後、国の補正予算にも呼応して、IT関連、生活関連の都市基盤整備などについても補正予算で取り組み、景気の自律的回復に向けた都の積極的な対応を期待するものであります。所見を伺います。
 次に、今後の税収動向に関連して、何点か伺います。
 都財政を取り巻く状況は、依然として厳しい状況が続いておりますが、十二年度都税収入の見通しは、IT関連の情報通信産業の回復に伴う税収増により、相当程度の伸びが見込まれており、このまま推移すれば、平成八年度以来四年ぶりに当初予算を上回ることになり、都財政にとって明るい話題と受けとめたい気持ちであります。しかし、原油価格の先行き不安、高水準で推移する失業率、あるいは株価低迷などの現実を見ると、今回の増収は一過性の事態ととらえるべきとの指摘も、依然として根強いのであります。
 そこで、都は今後の状況をどのように予測しているのか、また、十二年度の都税収入を最終的に見込むことができるのは十二月中旬以降と仄聞しますが、現時点における今年度の都税収入の具体的な増収見込み額と、その根拠について伺います。
 さきの東京都税制調査会による初めての答申は、新税案だけがひとり歩きしておりますが、国からの税源移譲など、地方からの独自の税制改革として意義あるものと歓迎しております。しかし、新税の中には、都の政策と逆行しかねない点も見られ、今後、今回の答申を受け、知事が成案を得る場合、幅広い都民コンセンサスの醸成に努めるべきと考えますが、新税に対する知事の基本的見解を伺います。
 なお、小規模住宅用地にかかわる都市計画税については、軽減措置を廃止することになれば、該当地域に対して実質的な増税を強いることとなり、ようやく自律的回復軌道に乗りつつある景気動向に水を差すことになりかねません。したがって、平成十三年度も現行の軽減措置を継続するよう強く要望するものであります。
 次に、十三年度予算編成についてであります。
 税収増が多少あったとはいえ、依然厳しい財政状況であります。今後も財政構造改革を着実に進め、内部努力は当然のこととして、さらなる地方税源の充実確保や行政改革の道筋を明らかにすること、そして新しい計画との整合性を図りつつ、二十一世紀の都政の展望が開けるような、めり張りのある予算を編成していくべきと考えます。十三年度予算編成に向けた知事の決意を伺います。
 次に、行政改革について伺います。
 都は、我が党の強い主張を受け、監理団体の総点検を行い、十一月二十二日、その結果をまとめ、監理団体改革実施計画として公表したところであります。平成十五年までに監理団体の削減十五、都財政支出の七百二十億円の削減、役員数四十二人、職員数九百五十人の削減などを内容とする同計画をまとめた努力は多とするものでありますが、問題はこれをどう成功に導くかであります。そのために、以下伺います。
 第一に、事業のむだを排し、重複を整理し、効率的運営を行うことによって、都民サービスの向上を図りながら都の財政支出を削減するという難しい課題を克服し、団体改革を成功に導くためには何がポイントか、我が党は団体職員の意識改革であると考えております。そこで、この団体改革に当たって職員の意識改革にどう取り組むつもりか、まず伺います。
 第二に、この計画を確実に推進するためには、進行管理機能の整備が不可欠であることは、九月の第三回定例会で我が党が指摘したとおりであります。今回の計画ではフォローアップ組織のイメージは出ておりますが、具体的な実施方法が示されておりません。いつ、どのような方法で進行管理していくつもりなのか、伺います。
 第三に、経営責任の明確化という観点から、局長などの役員充て職を廃止して、民間人の登用も考えているようでありますが、監理団体は経営が厳しく、団体のトップは片手間では務まらないものと思います。まして、会社を捨てて監理団体に来て、孤立無援の中で仕事をする有能な民間人を見つけることは、たやすいことではありません。例えば、民間人をトップに起用する場合、単独ではなく、スタッフなどとセットで導入するなど、執行体制の強化に十分配慮すべきと思います。実際には団体の経営方針の中で決めるべきでしょうが、都としても充て職廃止の方針を打ち出した以上、何らかのフォローが必要と考えます。都として民間人の登用についてどのように考えているのか、伺います。
 第四に、東京女性財団の廃止問題についてであります。
 東京女性財団は平成四年七月に設立され、女性団体関係者のみならず、多くの都民の参加を得ながら、女性の立場から各種イベントや自主事業を推進するなど、国の施策とは一味違った活動を展開し、行政ではなく、民間による自主的な活動の場として、シンボル的存在であります。こうした実績があるにもかかわらず、都は単なる経営の効率化と行政のスリム化との理由で、女性財団を一方的に廃止を打ち出したことは納得できません。ましてや、来るべき二十一世紀は人権の世紀、女性の世紀といわれているのであります。
 我が党は、今回の実施計画は評価しますが、関係者の間では、東京女性財団の廃止は時代の要請に逆行するとの声も強く、懸念されています。したがって、安易に廃止すべきではないと考えますが、所見を伺います。
 行政改革と関連して、来年度から本格実施される行政評価制度について伺います。
 これまでの試行では、対象事業数が年間五十事業程度であります。このペースで、すべての事業を対象に画一的に評価を進めるならば、相当な時間がかかり、実効性が上がらないのではないかと危惧するものであります。現状に即して優先順位を決めるなど、工夫した取り組みが必要です。都としてはどう対応されるつもりか。
 さらに、今回公表された行政評価の試行結果では、事業所管局の第一次評価と総務局の第二次評価との間に、余りにも大きな隔たりが見られますが、これは双方の考え方の相違ばかりではないと考えます。都として、こうした乖離に今後どのように対応していく考えなのか。
 我が党は、行政評価制度のあり方について、都庁内部の評価では不十分で、都民の視点を活用すべきと主張してきたところであります。都庁内部での処理に任せるのではなく、都庁外のチェックがあってこそ真の行政評価であり、そうした外部によるチェック体制を確立すべきであります。見解を伺います。
 また、国の行政評価法制定への動きをにらみながら、都としてもこの際、行政評価条例などを制定すべきと考えますが、以上四点について所見を伺います。
 次に、安定した社会保障制度の確立について伺います。
 我が国は、世界に類例を見ないスピードで本格的な高齢社会を迎えようとしており、国においても、社会保障の基礎構造改革に取り組んでいるところであります。一方、都においても、新しい福祉のシステムを築く福祉改革推進プランの年内策定を進めております。
 こうした新しい展開の中で、十二年度予算では、見直しにより生み出された財源を上回る新たな施策の充実が行われ、さらに来年度予算要求でも、認証保育所制度や障害者施設緊急三カ年整備事業など、新たな施策が盛り込まれるなど、我が党の主張を受け、意欲的に取り組みが行われていることを評価するものであります。
 そこで、福祉施策の再構築の真の目的、そして福祉改革が目指す新世紀にふさわしい東京の福祉の姿をどのようなものととらえ、今後の福祉行政に当たられようとしているのか、知事の所見を伺います。
 第二に、年金、医療保険制度のあり方についてであります。
 都民にとって社会保障制度全体の改革の展望が見えにくい理由として、年金、医療保険制度に関する地方自治体の関与の余地が極めて限定されていることと、これらの制度改革に際して、地方自治体の雄である東京都としての全体的な提言などが行われてこなかったからではないでしょうか。
 最近、都政は税制や環境施策について国を先導する施策を打ち出しております。地方分権の時代にあって、二十一世紀にふさわしい我が国の公的年金制度や医療保険制度を築いていくためには、地方自治体が互いに力を合わせ、今後の我が国の社会保障制度全般についての提言を国に積極的に行っていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、介護保険制度について伺います。
 先月発表された介護保険に関する都民の苦情等についての調査結果によると、十月から始まった保険料の半額徴収に関しても、九月だけで千九件もの苦情が寄せられております。介護保険制度が保険料によって運営されることは十分承知しておりますが、高齢者の方々の生活実態を見ますと、調査でも明らかなように、介護保険料を納めることさえ厳しい状況の方がいることも事実であります。
 したがって、高齢者の生活実態が十分に反映され、安心して保険料を支払うことができるよう、保険料の設定について、現行の介護保険制度の枠内で何らかの工夫を尽くし、十分に配慮することも必要と考えます。所見を伺います。
 さらに、間接的な事務経費はできるだけ少なくするなど、介護保険にかかわる運営費全体のむだを極力排除し、介護保険のための社会的コストの総額を低く抑える取り組みが極めて重要であります。そのためには、根本的には介護予防、つまり寝たきりをつくらない、痴呆を発生させないことであり、具体的には、脳血管障害、転倒骨折、痴呆、社会的な孤立を介護ニーズを発生させる四つのリスクとしてとらえ、予防のための取り組みを強化することであります。
 そこで、寝たきりなどを予防するとともに、ひとり暮らしの高齢者を支えるために、保険者である区市町村が実施する介護予防・生活支援事業に対し、都としての支援をさらに強化すべきと考えますが、所見を伺います。
 あわせて、十二年度から開始された都としての福祉の包括補助事業については、区市町村の主体的な地域福祉の取り組みを支援するものでありますが、福祉の担い手である区市町村の職員が、みずからの知恵と工夫を発揮して独自の施策展開ができるように、今後とも充実していくことが必要と考えます。所見を伺います。
 高齢社会の到来に当たって、高齢者の社会生活の利便性を高め、積極的な社会参加の施策推進が重要となっています。東京の高齢者は、圧倒的にサラリーマンOBが多く、退職して所属する組織がなくなると、身分を証明するものがなくて不便を来しております。このことは、高齢者の生活像を考える懇談会報告書でも指摘しているところであります。したがって、我が党は、氏名、住所、生年月日など記載した、仮称シニアパスポート制度の創設を提言し、具体的に伺います。
 第一は、高齢者が安心して外出できるようにするため、自宅及びかかりつけ医師の連絡先、さらに血液型などをカードに表示し、緊急事態にスムーズに対応できるようにすることであります。
 第二は、公共施設や民間の文化芸術施設等の利用料の減免サービスをつけ加えることであります。
 第三は、ポイント制の導入であります。品川区や杉並区では、商店街単独で六十歳以上の方にシルバーカードを発行し、割引等を実施している例があります。こうした機能をシニアパスポートに持たせることも、一つの方法です。さらに、高齢者がボランティア活動に参加した場合、ボランティアポイントを蓄積することによって、そのポイントを自分のために使用するなどの機能を加えるべきであります。所見を伺います。
 福祉に関連した質問の最後に、特に要望しておきます。それは、乳幼児医療費の助成についてであります。この制度は、我が党の再三にわたる強い要望にこたえ、平成五年度に創設されたもので、乳幼児を抱える若年ファミリー層に大変喜ばれております。我が党としては、かねてより、この対象年齢を五歳未満から就学前までに拡大することを要望してきたところであり、その早期実現を望むものであります。
 あわせて、福祉改革プランの策定に当たっては、障害児の親亡き後の施策充実に十分に配慮すべきことを強く要望するものであります。
 次に、我が党がその充実強化を強く求めてきた小児の救急医療について伺います。
 近年、急速な少子化の進行等が一因となり、子どもの受療率は年々低下を続けており、これに伴い地域における小児科の医師や医療機関も減少傾向にあります。しかし、その一方、核家族化や共働き家庭の増加等、社会経済状況の変化を背景として、子どもを持つ若い世代は、子どもの急病や不測のけがなどに対する不安を抱えており、いつでも身近な地域で診療を受けられるよう、小児救急医療の充実を強く求めています。そこで、小児の救急医療の現状について都はどのように認識しているか、まず伺います。
 ところで、小児救急医療体制の整備に当たり、その根幹となる大きな問題は、小児科医師の減少にあると考えます。厚生省が隔年で実施している医師・歯科医師・薬剤師調査によると、小児科に従事する都内の医師数は、平成二年度が四千四百十三人に対して、平成十年度には四千九十三人と、八年間で三百二十人、七%強の減少となっています。この傾向は、今後とも続くのではないかと危惧するところであります。小児科医師の養成確保は基本的には国が対策を講ずるべき問題と考えますが、都はこのような状況を踏まえ、国に対しどのような働きかけをしているのか、伺います。
 都では、三百六十五日二十四時間の救急医療体制の確立を掲げていますが、小児科医師や医療機関が減少する状況の中で、子どもを持つ若い世代が、いつでも安心して受診できる小児の救急医療体制を早急に整備する必要があります。
 例えば、初期救急医療について、休日夜間急患センターなどの施設に小児科医師が常駐して、三百六十五日二十四時間対応するなど、都民にとってわかりやすく利用しやすい体制が必要と考えます。都として、具体的にどのような体制整備を図るか、お伺いいたします。
 次に、環境対策について伺います。
 公害防止条例を三十年ぶりに全面改正し、環境確保条例にすることは、この間の都民生活を取り巻く環境の変化を考えるならば、大変に時宜を得たものであります。
 東京の大気汚染は、工場などの固定発生源によるものから自動車へと大きく変化するとともに、CO2などによる地球温暖化、ヒートアイランド現象による気温の上昇など、早急に取り組まなくてはならない深刻な課題が生じています。
 今回の条例改正により、我が党が十年来主張してきたディーゼル車規制がようやく実現にたどり着いたことは、遅きに失したとはいえ、知事の英断に心から敬意を表します。
 そこで、伺います。第一に、ハーグで行われた気候変動枠組条約第六回締約国会議、通称COP6で、CO2削減案が、日本、米国の主張とEUの主張が対立して、合意ができなかったと報道されています。これにより、京都議定書の二○○二年発効は、絶望的になったといわれています。今回の合意失敗について、環境問題に造詣の深い知事の所感を伺います。
 第二に、名古屋南部大気汚染公害訴訟の判決が、十一月二十七日に名古屋地裁で出されました。工場と自動車の排ガスの複合汚染を認め、国にも損害賠償を命じるとともに、国の道路、沿道の排ガス防止策は不十分と、SPMの一定濃度を上回る排出を差しとめるというものです。尼崎裁判に続くものであり、都のディーゼル車規制はタイムリーですが、実効が上がるまでに三年は要すると見られ、東京でも排ガスの公害訴訟が起きている現状を踏まえ、この判決についての知事の所見を伺います。
 第三に、ディーゼル車規制により、浮遊粒子状物質、SPMは確実に減少すると思いますが、他の自動車公害も深刻です。NOxやCO2騒音の削減にも全力で取り組まなくてはなりません。今後の取り組みについて伺います。
 第四に、DPFについてです。条例では、知事が指定する粒子状物質減少装置の装着を義務づけています。我が党は、さきに、DPFについて調査を行うとともに、走行実験に立ち会いましたが、現状では、性能、価格、耐久性などに不安があります。知事が指定する減少装置の必要条件を明確にすべきと考えます。所見を伺います。
 第五に、条例では、低公害車導入への義務づけや努力義務をうたっていますが、今日まで、低公害車の普及は低調です。高価格、安全性、走行距離、馬力、低公害車のためのインフラ整備などの課題を解決しなくては、飛躍的な普及は期待できません。低公害車購入に際しての補助金制度の改善と、今後の取り組みについて伺います。
 環境問題に関連して、来年四月に施行される家電リサイクル法について伺います。
 これによって、今後、テレビや冷蔵庫などの家電四品目がメーカー責任でリサイクルされることになり、メーカーに引き渡す運搬費用や集積所設置など、具体的なシステムづくりが必要となっています。
 このシステムの中で、二千五百店舗の東京電機商業組合に代表される、都内の家電小売店の存在と役割は極めて大きいものがあり、特に家電小売店は、地域社会を支える重要な役割を担っており、この方々の十分な納得と理解なしに、法の円滑な施行はあり得ません。
 しかし、その後、メーカーから発表された計画では、引き取り場所の数も少ない上、グループ別にされているため、家電小売店はこうした場所をそれぞれ回らなければならず、リサイクルのために、かえって本業に支障さえ出かねない状況であります。
 消費者からメーカーの引き取り場所までの費用の低減化を図り、利便性を向上させることは、小売店の過重負担の緩和をもたらすだけでなく、ひいては都民負担の軽減にもつながるものです。このため、都はこれまでどのような取り組みを行ってきたのか。また、研究会報告にあった、小売店ルートと行政回収の連携のコーディネートの進捗状況についても、あわせて伺います。
 次に、震災対策条例に関連して、防災まちづくりについて伺います。
 阪神・淡路大震災は、大都市の脆弱さを如実にしました。二十世紀後半の最大級の災害であり、神戸市内では、大被害をこうむった多くの地域で、懸命の復旧事業が実施されているところであります。
 この中で、顕著な事例が明らかにされているのであります。すなわち、地震に遭遇する以前から防災まちづくりを進めていた長田区の鷹取地区では、被災地区の土地区画整理事業が一番早く完了したということであります。
 阪神・淡路大震災の教訓が風化しつつあるときに、震災前に取り組む対策と震災後に取り組む対策を含んだ震災対策条例の提案がなされたことは、まことに時宜にかなったものと考えるものであります。
 今後は、この条例制定を踏まえ、震災対策を強力に進めていく必要があります。
 そこで、伺います。第一に、東京都震災対策条例の制定のもとに防災都市づくりを進める基本姿勢を伺いたいと思います。
 第二に、現行の防災都市づくり推進計画は、来年の三月をもって、既に四年経過いたしますが、事業の進捗や、新しい条例の制定などを踏まえて、この際、この推進計画を見直すべきと考えますが、所見を伺います。
 第三に、見直しを行う場合、不燃領域率の達成状況や、新しい危険度調査の結果等を踏まえ行うべきと考えますが、具体的な所見を伺います。
 次に、教育問題について伺います。
 報道によると、知事は、都庁外の有為の人材を講師に招き、特別講座を設けて、高校の活性化を図る意向を示しております。
 我が党は、平成十年第二回定例会一般質問で、NHKの「課外授業」という番組を例に挙げて、都庁外の人材を募って魅力ある授業、学校を築くため、教育人材バンクを設置すべきと提案いたしました。
 今回の知事の提唱も、同一線上の問題意識から発展したものであると理解しておりますが、ぜひとも実現していただいた上で、改めて教育人材バンクのようなシステムをつくり上げる考えはないか、知事にお尋ねいたします。
 いずれにしても、活力と個性に満ち、また、地域や生徒の特性、適性によく適合した学校教育が強く求められています。その観点から、ここではまず、小中学校のクラス編制の弾力化を求めたいと思います。
 現在、小中学校は四十人学級制をとっております。ある学年の生徒数が八十一人であるとすると、クラス数は、二十七人で三クラス。ところが、学年が変わる際、転出等で生徒が一人減り八十人になると、クラス数は、四十人ずつで二学級になるという実態であります。
 こうしたクラス編制の変化は、各学校でたびたび起こり、特に、小学校五、六年や中学校二、三年次などの進学期、あるいは小学校一年から二年に進級する際の、集団生活になれていない時期などでは、学級運営や生徒指導面でさまざまな問題が発生すると指摘されてきました。
 そこで、各学校の実情に合わせてクラス編制を弾力化すべきと考えますが、教育長の見解を求めます。
 ところで、都立高校への民間人校長登用については、我が党の主張を受けて、教育庁も積極的に取り組み、既に二人の民間人校長が採用されたことを評価した上で、現状と今後の展望について報告をいただきたいと思います。
 民間人校長の登用は、今後も拡大すべきであり、可能ならば、小中学校まで広げるべきと考えます。
 今後は、チャレンジスクールや、近い将来実現が予想される体育系、芸術系などのニュータイプの学校では、積極的に民間人校長を採用すべきです。教育長はいかにお考えか、答弁をいただきたいと思います。
 この民間人校長の登用も、さきに述べたクラス編制の弾力化にしても、要は、学校運営全般を、それぞれの学校の特性や地域性などに合わせて、柔軟かつ弾力的なシステムに改めていく必要があるということにほかなりません。
 我が党は、第三回定例会の代表質問で、東京版チャータースクールの実現を訴えました。これも、それぞれの学校の主体性や個性を高めて、活力ある東京の教育を築きたいとの思いのあらわれであります。
 その上で、チャータースクールの実現を視野に入れて、学校運営に広く民間の知恵やアイデア、意欲を生かす方策を検討すべきであります。教育改革全体の流れの中で、チャータースクールの早期導入、あるいは、その前段階として、都立の学校運営の活性化について、都の見解を伺います。
 さらに、我が党の提案で、都庁における社会人向け大学院開講の方針が明らかになっておりますが、その開講時期と、都庁のどの施設を使って開講するのか、明らかにしていただきたいと思います。
 全国各地の国公立大学や私立大学でも、同種の試みを行って好評を博しています。国は平成十五年に、いわゆるロースクールに関する法整備を行う予定であり、まさにその時宜を得た絶好の機会であるといえます。開設、開講のタイムスケジュールと、利用予定の施設及びその内容について、明らかにしていただきたいと思います。
 また、都立の大学改革全体に関しても、早期に、全体像、全体構想を、わかりやすく都民に提示する必要があります。大学改革には、都立四大学の今後のあり方と、都立大学の目指すべきもの、つまり、国立でもない私立でもない自治体立の大学、とりわけ首都が保有する大学の存在意義に対して明確な認識が不可欠です。こうした認識を明らかにした上で、その後に全体構想を具体的に提示すべきであると考えますが、都の見解を伺います。
 今、子どもの遊びの場所で、衝撃的な事件が起きております。それは、レーザーポインターという遊び道具であります。
 そもそもレーザーポインターは、会議などで遠くの図表を指し示すときなどに利用する器具ですが、最近では、子どもの遊び道具として、コンビニ等でも安価に手軽に購入することができます。しかし、レーザーポインターは、レーザー光線を発するものであり、目に照射すると網膜に支障を来す、極めて危険な道具であります。事実、このレーザーポインターの危険も知らず、友達の目に照射したことによって、目に障害を起こした事件が発生しており、この子どもは、生涯、完治しないと宣告されております。
 このような危険性が指摘されるにもかかわらず、子どもたちの間では野放し状態になっており、しかも、外国製の粗悪品が出回るなど、危険きわまりない状況であります。
 この問題について、都は早急に実態を把握し、発売禁止等の厳正な対処をすべきであります。都の積極的な取り組みを伺います。
 次に、中小企業対策について伺います。
 第一に、ベンチャー企業への支援についてであります。
 ベンチャー企業の振興に当たっては、創業支援施設を整備したり、資金の支援や必要なノウハウについて相談体制など、創業時に適切な支援を行うことが重要であります。
 先ごろ、都が保有する空き庁舎を利用した「ベンチャー・SUMIDA」がスタートし、ベンチャー企業に対して無料で貸し出ししたことは、我が党の提案を受けたものとして評価するとともに、こうした空き庁舎を利用した創業支援施設は、今後とも拡充すべきであります。とりわけ、地域バランスを考慮するならば、多摩地域に設置すべきと考えます。所見を伺います。
 第二に、産・学・公の連携による技術支援についてであります。
 東京の中小企業は、長年培った高度な熟練技術の応用や、新たな技術開発に懸命に取り組んでいますが、中小企業単独では、新技術の研究や人材面での限界があります。一方、東京には、多くの大学や研究機関が集積しており、ここには蓄積された膨大な技術資源が存在しています。そのため、中小企業が大学等からその資源を活用できれば、国際的にも競争力ある新製品の開発も可能といえます。
 今後、都は、産・学・公の連携による中小企業への技術支援を積極的に進めるべきと考えます。所見を伺います。
 第三に、フリーター対策についてであります。
 最近、定職を持たずにアルバイトで暮らす若年層、いわゆるフリーターがふえており、二○○○年版の労働白書によると、一九九七年には全国で百五十一万人であり、過去五年間で五十万人も増加しております。これは、若年層の職業に対する目的意識が希薄化していることなどが背景にありますが、その反面、定職志向が強い現状もあると指摘されています。
 経済の国際化が進展する中で、東京の経済活動が今後も大きな力を維持し続けるためには、将来の戦力である若者たちがその持てる力を十分に発揮できる社会づくりを進めていかなければなりません。そのことは、ひいては中小企業の活性化にもつながるのであります。
 そこで、都は、フリーターに対する総合的な支援体制を構築すべきであります。所見を伺います。
 第四に、観光産業の振興についてであります。
 東京は、世界を代表する大都市でありながら、海外からの観光客が、ロンドンやパリなどの都市に比べて少なく、都市産業にもたらす効果が低い状況にあります。そのために、都は、観光を、二十一世紀に向け東京の発展を誘導していく重要な施策として、東京の魅力を世界に向けてアピールしていくことが重要であります。東京の経済をさらに活性化し、ひいては雇用や税収増につながるような都市政策として、観光産業を、戦術的に全庁的な取り組みとすべきであります。知事の所見を伺います。
 次に、羽田空港の国際化について伺います。
 第一に、今回提案された、桟橋方式による滑走路の実現の可能性についてであります。
 桟橋方式による滑走路建設は、我が国ではいまだ例がありませんが、都としては、この桟橋方式の滑走路の実現可能性をどのように考えているのか、伺います。
 第二に、羽田空港の再拡張を行うための課題解決についてであります。
 羽田空港の再拡張案は、これまで、国を初めとしてさまざまな議論があったと聞いております。その議論の中で、再拡張の位置について種々課題があったと思いますが、それをどのように考えて今回の案を打ち出されたのか、伺います。
 第三に、羽田空港の国際化の推進についてであります。
 今回提案された羽田空港の再拡張が実現すれば、羽田の発着枠は大幅に増大することになります。現在、地方空港から羽田空港に乗り入れを希望している国内線が多いことは承知いたしておりますが、羽田空港の国際化を推進するためにも、増加した発着枠の多くを国際線に利用すべきであると考えます。
 今後、この提案をもとに、羽田空港の国際化に取り組まれる知事の決意を伺います。
 次に、地下鉄八号線の整備推進について伺います。
 国では、本年一月、運輸政策審議会答申第十八号で、豊洲―亀有―千葉県の野田市を結ぶ地下鉄八号線について、目標年次整備を推進すべき路線とし、少なくとも目標年次までに整備着手することが適当であると位置づけられたのであります。
 綾瀬川以東の交通不便地域に居住する足立区民は、亀有から野田市に向かうルートとして、葛西用水を北上してもらいたいと熱望しているのであります。都として、綾瀬川以東の足立区民の声に応ずるべきと思いますが、いかがでしょうか。担当局長の所見を伺います。
 最後に申し上げます。
 中小企業金融安定化特別制度が設置され、有効に機能しておりましたが、これを悪用しての事件が発生し、まことに遺憾にたえません。二度とこのような事件が起きないよう、都議会として改めて、政治倫理の確立の意思を示すべきであると考えます。
 このため、我が党は、今会期中に議会として決議を発議いたしたいと思います。
 以上をもって私の代表質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 土持正豊議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、二十世紀をどう総括し、二十一世紀における東京をどうスケッチするかということでありますが、既に、東京構想二○○○ということで、できるだけ具体的に、五十年間ぐらいは通用する東京のあり方を、あと十五年ぐらいかけて完成しようじゃないかというドラフト、原案をつくっておりますが、二十一世紀がどういう時代になるか、なかなか難しい展望だと思いますけれども、いずれにしろ、その前の百年間は、私たち、中世で数百年かかったような大きな変化というものを体験してきたわけでありまして、東京は、江戸開闢以来、首都として四百年の歴史を持っております。また、今世紀に入ってからは、非西洋社会、つまり有色人種の社会の中で初めて誕生した近代国家として、その首都として発展も遂げてまいりました。
 ただ、東京に限らず、日本全体が、長く続いた平和と繁栄の中で、実はそれを支えている国家というものを余り考えない風潮が蔓延しまして、現在いろんな混乱が見られておりますが、私が政治家として肝に銘じておりますのは、トインビーが「歴史の研究」の中で、いかなる国家社会も衰亡し、場合によったら崩壊し滅亡もするが、それらの要因は決して不可逆的なものではない。ただ、やっぱり最もやっかいなものは、自分で自分のことを決められなくなった国家社会というのを、ローマを例にしておりましたけれども、非常に早く衰亡して、場合によったら滅亡もするといっておりましたが、どうも現行の日本を眺めますと、自分の力も知らずに、もてあますというか、それを他人に利用されるだけで、みずからのために使うという自己決定ができない。そして、要らざる、何というんでしょうか、負担を国民にかけているような気がいたしますけれども、そういう政治情勢の中で、幸いこの議会では、国会に比べて非常に合理的な現実的な議論が行われておりますし、例外もございますけれども(笑声)そういうことで、この東京からやはり新しい政治のフォーマット、あり方をつくり出して、何といっても首都でございますから、そこから日本に普遍していけたらなというつもりで頑張っておりますし、また、皆さんのこれからのお力も、お知恵もかりたいと思います。
 次いで、三宅島災害における中長期的対策でありますけれども、なかなか島の中まで踏み込むことができませんので、こうむっている災害がどれほどの量か、なかなかわかりませんが、ただ、堆積している火山灰一つ見ても膨大な量でありまして、一千万トン超すそうでありますけれども、これをどうやって除去するか。また、これから、どういう天候によって、それがどういうふうに加速して、大きな被害をもたらすかわかりませんが、いずれにしろ、島民がとにかく島へ帰れるという時点で、できるだけ早く復興が進んでいくように、今からでも、神津島に災害基地を設けて、鬼のいぬ間にというんでしょうか、ガスの状況なんかが比較的いいときには上陸して、いろんな作業も進めておりますが、いずれにしろ、都は、島外に退避している村民に対して、避難当初から、長期にも対応できる住宅等のあっせんも含めて、緊急支援措置を実施してまいりました。
 今後も、中長期の視点に立って、三宅村など関係機関と連携協力しながら、必要な生活支援を積極的に講じていきたいと思っております。
 次いで、国の補正予算への対応でありますが、景気の持続的回復を確実なものとすることは、国にとっても、とにかく地方にとっても喫緊の課題であります。
 このため、今回の国の補正予算の内容を踏まえて、今後、財源の確保を図りながら、最終補正予算において適切に対応していきたいと思っております。
 次いで、今回の東京都の税調の答申の中にある法定外税でありますけれども、いろいろ斬新な、またショッキングな、非常に刺激的な提案がございました。特に、四つの課税案については具体的な提案をいただきましたが、今後、都としては、この答申を踏まえて、あらゆる角度から十分に検討して、必要性、緊急性、実現可能性などを総合的に判断していきたいと思っております。
 もちろん、議会のご意見も聞いて、できるものならば有力な財源としても実施していきたいとも思っております。
 次いで、十三年度予算編成についてでありますが、十二年度予算においては、財政再建推進プランに基づいて、財政再建に向け確実な第一歩を踏み出したとはいえ、都の財政は依然として厳しい状況にございます。
 したがって、十三年度予算の編成に当たっては、引き続き内部努力や施策の見直しなど、財政構造改革を一層強力に進める必要があると思います。
 また、東京を再生するために、首都機能の充実、新しい産業の創出、福祉、医療の改革などについては、施策を厳選して、将来の財政負担を見通しつつ、財政再建をなし遂げながら、その確実な実行を図っていきたいと思っております。
 こうした二つの命題は、なかなか並列して実現するのは難しい問題でありますけれども、その困難をなお意識しながら、来年度の予算編成に向けて全力で取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、監理団体への民間人の登用についてでありますけれども、私は、官僚の世界に最も欠けているのはコスト感覚といいましょうか、なお詳しくいえば、金利に対する敏感、それからもう一つは、保険、保障というものの意識が欠落していて、非常にむだが多いと思うんですけれども、そういう意味では、そういう敏感な民間人の登用を監理団体のためには行って、都民へのサービス精神や徹底したコスト意識など、民間人としての鋭敏な経営感覚で実現していってもらいたいと思っております。
 既に写真美術館、最初は徳間さんにお願いしましたが、残念ながら亡くなりまして、今回、資生堂の会長にお願いをしましたけれども、今後も団体経営者としてふさわしい方々がおられれば、次々に就任を要請していきたいと思っております。
 ついでに申し上げますが、やっぱりいろいろ問題のあります監理団体を、思い切って合理化する素案をつくりまして、この間も団体の幹部を集めてかなり強い要望をいたしましたが、都の中にもこれをフォローアップして管理する機関をつくりまして、常時監視というと行き過ぎでありますけれども、いい過ぎでありますけれども、都民が念願しているような合理化というものが各団体に及ぶような体制をとっていきたいと思っております。
 さらに、福祉改革についてでありますけれども、新しい世紀にふさわしい福祉のあり方は、高齢者や障害者などがそれぞれの生活実態に合わせて、それぞれの地域の中で必要なサービスを選択して利用できる社会の実現が必要と思っております。
 厚生省などは、先ほど申しましたが、国全体を見回しているせいか、東京のような大都会の特異な条件というものを正確に認識しておりませんで、非常にそういう意味では、余計な規制がまだ多くて、こういうものを東京から崩していく努力を、今福祉局でも新しい発案として考えておりますが、いずれにしろ、結果としては民間企業を含む多様な事業者が競争する中で利用者サービスを向上させ、開かれた福祉というものを東京から実現していきたいと思っております。
 こうした福祉を東京で実現することが日本全体の福祉改革にもつながると思いますし、さきの一連の施策の見直しも、その基礎を築くために行ったものでありまして、今後も見直しの成果を生かして、福祉改革に本格的に取り組んでいきたいと思っております。
 次いで、先般のオランダで行われましたCOP6についてでありますが、これは私も刮目して眺めておりましたけど、国と国とのエゴがぶつかって結局まとまりませんでした。何かやっぱり、それぞれの国にそれぞれのいい分があるようですけれども、しかし、参加国全体に正確な文明意識というものが欠けているような気がいたします。
 私かつて、ブラックホールの発見者であったホーキングが日本に来たときに講演を聞きに行きましたが、あの人自身がいつ死ぬかわからない奇病にかかった気の毒な立場で、言葉も出ず、コンピューターの言葉を使って講演していましたけど、そのときにある人が質問を許されて、この宇宙に地球並みに文明というものが進んだ惑星が幾つぐらいあるだろうかといったら、ホーキングが言下に、我々が望遠鏡で視認できる宇宙全体の中では二百万ぐらいあると、どういう根拠でかいいまして、みんなびっくりしたんです。
 そして、さらにある人が、それだけの文明の進んだプラネット、惑星があるのに、何で私たちは、小説とか映画では見たり聞いたりするけれども、実際に宇宙人や宇宙船を見ることができないのだろうかと質問しましたら、ホーキングが言下に、地球のように、ここぐらいまで文明が進み過ぎると、あとは非常に大きな危機が来て、非常に加速度的にそういう惑星というものは生命の存在として崩壊しちゃうということをいって、私はぞっとしてそれを聞いた覚えがございます。
 現にオゾン層の破壊などが起こっておりまして、これはもう破れた着物を縫い合わせるみたいに修復のできない状況でありますから――そして温暖化が進んでいく。これが進みますと、ロシアやアメリカや中国やインドのような非常に大きな内陸国家の中は砂漠化が進んでいって、食糧というものが枯渇していく。非常に大きな問題を抱えているのに、どうもそういう長期の展望が、想像力の枯渇のせいかききませんで、今回のああいう世界会議も非常にみじめな結果に終わりました。
 日本ひとりがばたばたしてどうなるものでもありませんが、私たちはやっぱり人間としてこういう状況を強く自覚して、私の国は国なりに省エネルギー対策を一層強力に進めなくてはならぬと思いますし、自然エネルギーへの転換も図り、悪い意味での温室効果をもたらしているガスなどの削減の目標の達成に向けて取り組んでいかなくてはならないと自戒しております。
 次いで、これにかかわりのある名古屋の南部の公害訴訟の判決でありますけれども、これも当然のことだと私は思います。尼崎にしろ、あるいは現在東京で行われているこの訴訟にしても、実はもう、要するに、この国に生存している人間はすべて被害者であり、同時に、先ほど申しましたが一種の加害者でもありまして、これをつかさどる国そのものがそういうものに対する強い意識がないままに、ほとんど不作為に終わってきました。
 ヨーロッパのような先進国では、同じ先進国でありながら、日本に比べて、例えば軽油に含まれている硫黄分を、向こうは五〇ppmまで削減を強制していますけど、日本の場合にはその十倍もある。あるいは税法そのものが非常にずさんで、東京の主税局は苦労しておりますけれども、いろんな点で脱税の抜け道をつくったりして、これも国が動けばすぐ済むことですけれども、なかなか進まない。
 その中で、東京は東京なりに努力をして、ひとつ国に引き金を引こうと思っておりますが、先般も森総理と話をしましたが、私が政府の、あのときは通産、運輸、環境の三省庁が合議して結局まとまらずに、いつものような伝でこれを先送りするような結論を出しました。文句をいいましたら、どうも関係省庁の意見がまとまらないというから、そんなことは当たり前だ、それを強引に束ねるのが総理大臣という君の責任であって、いつまでやっているかわからぬけれども、とにかくやっている間は頑張ってやってくれ、とにかく日本で一番偉い人なんだからあなたは、といいましたら、さしたる返事はございませんでした。
 次に、防災都市づくりについてでありますけれども、東京は多くの都民の生活の場であるとともに、日本の首都として中枢機能が集中しておりまして、もし大地震が来て東京が壊滅しますと、これは東京や国内のみならず世界に波及する、大きな大きな損害になります。
 このような災害から都民と東京を守るために、地震に強いまちづくりを目指しまして、最大限の努力を行うことは我々に課された使命でもあると思います。
 今回の東京都震災対策条例の制定により、防災都市づくりを推進するための計画を明確に位置づけ、本条例に基づく都民や事業者などと一体になって、防災都市づくりを強力に進めてまいりたいと思っております。
 次いで、教育人材バンクについてでありますが、現在、二十一世紀の日本を担う個性豊かで創造力に富んだ人材を、若いうちから育成することが何といっても肝要だと思います。先般、私の知人のある有力な、しかも自分一代で企業をつくった人から、既に私立高校でやってみたが、非常に子どもたちに喜ばれたので、都立の高校でも、諸君も高校を卒業して大学生になるだけで、その気があれば企業家になれるという講演をして、みんな目を輝かせて聞いてくれたということで、もうぜひそれを東京でも、都立の高校でやってみたいと申しました。既にそういうご提案があったそうでありますけれども、今後も産業界と連携しながら、継続的に人材活用ができるような仕組みを整備していきたいと思います。
 何しろ、この東京にはそういう人材がまことに豊富でありますから、これはもう本当にバンクなどという形で一々登録していただかなくても、本当にそこらじゅうにそういう人がいるわけでありまして、あとは行政の姿勢といいますか、要するにそれを受け入れる都立高校側の姿勢だと思います。教育長にも申しまして、そういう新しい体制を東京からつくっていこうといい合わせております。
 次いで、観光産業振興の取り組みについてでありますけれども、東京の活力の低下という危機的状況の中で東京を再生していくためには、やっぱり多くの人々に、国内からも国外からも来てもらって、とにかくそういう交流の中で文明が刺激されていく、物も情報も入ってくるということになると思う。ゆえにも、シティーセールスや観光産業の振興にもっともっと重点を置かなくちゃいけないと思いまして、従来は生活文化局に観光がセクションとして設けられたようでありますが、これはやっぱり経済、産業の問題でありますから、今回から労働経済局の方に移しまして、それによって、もっともっと積極的に東京のセールスをしていきたいと思っております。
 何しろ東京にはいろんなものもございますが、秋葉原の話も出ましたけれども、片っ方には江戸東京四百年の歴史とか伝統、さらに多摩とか島しょのような、非常に豊富な自然がまだまだございまして、こういったものの紹介がどうもちょっとおくれているような気がいたします。
 今後、東京の魅力を積極的に世界に発信して、観光客やコンベンションを誘致するためにも、民間企業や関係機関にも働きかけて、都の組織体制を整備し直し、全庁的に、東京のセールスを観光の事業として展開していきたいと思っております。
 最後に、羽田空港の再拡張による国際化の取り組みでありますけれども、既に桟橋方式というのは、ニューヨークのラガーディア空港が一部継ぎ足して、海の中に桟橋をつくってやっております。
 日本では初めてでありますが、これはやる気になって決めましたら、工事をだらだら続ける必要はないんで、あちこちに分担して大きなパーツを組み立てて、あそこでくっつければいいわけでありますから――先般、横須賀沖の附帯の飛行場も見てまいりまして、あれはわずか千メートルでありましても、実に簡単に迅速にでき上がっておりますし、また、解体するときもあっという間に解体してしまいましたが、決して夢物語でないと思うんです。
 いずれにしろ、首都圏の活性を図るために、羽田空港の国際化を初め首都圏の空港機能を充実することが不可欠であると思います。
 ゆえに、既にお聞き及びと思いますけれども、都市計画局に新規に航空担当の理事を据えまして、東京の中に専門のセクションも設けてこれからいろいろ検討し、かつ実行、実現を期していきたいと思っております。
 仮に――仮にじゃありません、これはやらなくちゃいけないと思うんですが、今回の三千五百メートルの空港がああいう形でできますと、現在二十五万回の羽田が四十一万にふえまして、これは非常な経済効果もあります。このままいきますと、逆に平成十七年には、繰り返して申しますが、日本の国際路線というのは完全にパンクいたします。
 ということで、私はこれはまさに焦眉の問題だと思いますので、この間も亀井政調会長に会いまして、間々ひざ突き合わせて、その場で電話をとらせて、運輸省を半ば恫喝して踏み切らせたわけでありますけれども、今後とも、羽田空港の国際化や再拡張の早期実現を初めとして、首都圏の空港機能の拡充に向けて、全庁挙げて積極的に取り組んでいきたいと思っております。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します四点の質問にお答え申し上げます。
 まず、公立小中学校におけるクラス編制の弾力化についてでございますが、お話のとおり、学年全体の児童生徒数のわずかな変動に伴いまして、学級編制基準に基づき学級数が増減するため、編制がえを実施する場合もございます。
 学級の編制がえは、集団生活での児童生徒の適応力を高めるなど望ましい面も多い反面、卒業や進学を控えた時期などには、実情によって現学級を維持できるようにするなど、一定の配慮が必要になる場合もあると認識いたしております。
 今後、こうした点も踏まえまして、学級編制基準の運用のあり方につきまして十分に検討してまいります。
 次に、民間人校長登用の現状と今後の展望についてですが、民間企業で培った経営感覚や組織運営の能力を学校経営に生かすため、都立高校の校長に、今年度二名の民間人を採用いたしました。
 現在、一名は平成十四年度に開校を予定しています羽田地区総合学科高校の担当校長として、開設準備に当たっております。また、もう一名は都立高校の経営調査に携わっておりまして、来年四月には既設の高校の校長として任用する予定でございます。
 今後につきましては、これら二校の成果を踏まえ、新しいタイプの高校等への登用を検討してまいります。
 次に、チャータースクールの早期導入及び学校運営の活性化についてでございますが、チャータースクールの導入につきましては、法の制約から、現時点では困難でございますが、今後、多様な教育ニーズにこたえるため、現行制度にとらわれない教育システムの創設が必要であると考えております。
 また、学校運営については、新しいタイプの高校を先導的に設置するなど、特色化、活性化を進めておりまして、今後、私立学校における教育実践、経営手法の導入や、特定分野の高校に公設民営方式の導入について検討してまいります。
 最後に、都立の大学改革の全体像についてでございますが、本年八月に教育庁に担当組織を設置しまして、各大学とも意見交換を行いながら、大学が抱える課題やこれに対応する改革の方向性を検討しております。
 お話のとおり、改革に当たりましては、都立としての大学の存在意義をまず明確にすることが重要でございます。今後、改革を進めるに当たりまして、この点を踏まえ、改革の理念、方向性などの改革の基本方針を、平成十三年二月を目途に都民に明らかにしまして、都議会を初め各方面のご議論をいただき、その後に改革の具体的な方策を策定してまいります。
   〔住宅局長戸井昌蔵君登壇〕

○住宅局長(戸井昌蔵君) 三宅島避難住民の都営住宅入居期間の延長についてでございますが、三カ月延長後の対応につきましては、帰島が困難な状況が続いていれば都営住宅の提供を継続してまいります。
 また、今回住宅提供に協力していただいております他県や区市などに対しましても、都と同様の取り扱いをしていただくよう要請をいたします。
 なお、都営住宅の居住に関するさまざまな要望につきましては、引き続き、きめ細かく対応をしてまいります。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、三宅島からの要望への対応でございます。
 都は、島外避難した島民に対しまして、住宅のあっせんを含め、緊急就労対策、災害復旧資金の融資、上下水道料金の減免及び被災者生活再建支援法の早期適用などを実施してまいりました。心ならずも避難されている村民の方々が一日も早く帰島できるよう、現在、有毒な火山ガスを避けながらライフラインの仮復旧、火山観測機器の整備、泥流等の被害状況調査を行っております。
 今後、本格的な復旧ができる段階におきましては、ご指摘の諸課題も含め、帰島後の生活及び産業基盤の整備について、村及び関係機関と連携協力し、精力的に必要な対策を講じてまいります。
 次に、監理団体職員の意識改革でございますが、今回の団体改革は、団体みずからが現状の危機を認識し、経営改善計画を着実に実行しようとするものでございます。
 この中で、役員につきましては、業績に応じた報酬、賞与を支給し、経営改善へのインセンティブを高めてまいります。また、固有職員の人事・給与制度につきましても、都との横並びを廃止して、能力、業績が十分に反映され、努力した者が報われる制度としてまいります。
 このような団体みずからの取り組みを通して、団体職員の意識改革を積極的に図るよう、所管局を通じて各団体を指導してまいります。
 次に、監理団体改革のフォローアップ体制についてでございますが、改革の実現のためには、実施計画の厳格な進行管理が必要でございます。このため、庁内に、副知事を筆頭に総務局、財務局及び所管局等関係局で構成する組織を平成十三年四月に設置する予定でございます。
 この組織では、改革の実施主体である各団体及び所管局から定期的に進捗状況の報告を受けるとともに、外部専門家の意見も必要に応じて取り入れながら、調査及び指導監督してまいります。このことにより、団体改革を確かなものとしてまいります。
 次に、行政評価制度における評価対象の選定の考え方についてでございますが、行政評価制度は、時代の変化を踏まえ、より質の高い行政サービスを効率的に提供していくため、成果重視の観点から、施設、事業を不断に見直していくことをねらいとしております。
 このため、都の政策や事務事業のうち、都政の重要課題で新たな方向へ動き出した後、検証が必要なもの、方向性の転換や見直しが求められているものなどから、緊急性、必要性に応じて選定し、来年度からの本格的実施に向けて実効ある行政評価制度としてまいります。
 次に、第一次評価と第二次評価の乖離への今後の対応についてでございますが、これまで第一次評価と第二次評価とが異なった原因といたしましては、事務事業の評価に当たって、評価基準が必ずしも十分に明確ではなかったこと、また、事業を実施している立場と全庁的な立場から来る視点に相違があることによるものと考えております。
 しかしながら、事業所管局、総務局とも、質の高い行政サービスを効率よく都民に提供していくという基本的な考え方は同一であると考えておりますので、今後の本格実施に向けて、より明確な評価基準の設定に努めてまいります。
 次に、都庁外におけるチェック体制でございます。
 行政評価の実施に当たりましては、より客観性を高めていくことが必要であると考えております。このため、都における行政評価は、まず事業所管局がみずから第一次評価を行い、次に総務局が第二次評価を行う際、高度な専門性や実践的な知見が必要な場合など、必要に応じて外部専門家の意見を聞き、その内容を生かすことにより評価の客観性を高めていくこととしております。さらに、多様な手段で都民にわかりやすく公表し、意見をいただくことで、都民の視点からの客観的な評価を確保できるものと考えております。
 最後に、行政評価条例などの制定についてでございます。
 行政評価制度は、成果重視の都政への転換、施策事業の不断の見直しをねらいとしており、行政改革の有力な手段でございます。現在、本格実施に向け、試行の検証を進めており、今後、国の動向も参考にしながら、より実効ある行政評価制度の構築に取り組んでまいります。
   〔福祉局長高齢者施策推進室長兼務前川燿男君登壇〕

○福祉局長高齢者施策推進室長兼務(前川燿男君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、被災者生活再建支援法に基づく三宅島島民の皆さんへの支援金についてでございますが、一千九百世帯に及ぶ三宅島の長期避難世帯に対し、十二月一日、国の支援金制度の適用を決定するとともに、お話にもありましたように、国制度の支給対象とならない世帯で、避難により収入を失った方々についても、都として独自の支援金を支給することといたしました。
 現在、都は一日も早く支給できるよう、三宅村及び国の支援基金と鋭意協議し、手続を進めておりますが、十二月二十五日には、国や都の支援金の支給を開始できるよう全力を挙げてまいります。
 次に、我が国の社会保障制度についてでございますが、公的年金制度や医療保険制度につきましては、負担と給付との適切なバランスを図り、将来にわたり制度を安定的に維持することが最大の課題であります。とりわけ急速な少子高齢化が進展する中にあっては、世代間の公平を図るとともに、だれもが将来に対して希望を抱ける、国民の信頼を得られる制度とすることが重要と考えております。
 都は、これまで医療保険制度の改革などに関連して、将来にわたる十分な財政措置や低所得者への配慮などを国に提案要求してまいりましたが、今後とも、その動向を見守りながら、必要な提案を行っていきたいと存じます。
 続いて、介護保険料についてでございますが、介護保険制度は、国民がお互いに助け合う仕組みである社会保険制度に公費負担を組み入れたものであり、すべての被保険者に保険料を負担していただくことは、制度の根幹をなすものと認識をいたしております。
 ご指摘の低所得者への配慮については、現行制度で認められている五段階設定の保険料率の弾力化であるとか、五段階をさらに一段階ふやす方式の活用を各保険者が検討することは意義があることと考えております。
 今後、区市町村からこうした方式の活用に関し相談があった場合には、都として適切な助言に努めてまいります。
 関連いたしまして、介護予防・生活支援事業についてでございますが、高齢者が寝たきりなどの要介護状態に陥ることを予防し、自立を支援することは、高齢者自身が元気で生きがいある生活を続ける上で有効な施策であるとともに、ご指摘のとおり、介護に要する社会的コストの軽減を図る上からも極めて重要でございます。
 こうした観点から、都は既に事業主体である区市町村に対し本事業の重要性を十分説明いたしておりますが、さらに国に対し補助要件の緩和を働きかけるなど、区市町村の取り組みが一層促進されるよう必要な支援に努めてまいります。
 次に、福祉の包括補助制度についてでございますが、この制度は、実施主体である区市町村がみずからの発想を自由に生かせるという点で、これまでの補助とは性格が異なるものでございます。各区市町村に積極的な取り組みをいただいた結果、既に都内各地で多彩な事業が展開されつつあります。
 都としても、説明会、ヒアリング等さまざまな機会をとらえて本事業の活用方法について説明するなど、事業の促進に協力をしてまいりました。
 今後とも、区市町村の創意工夫がより発揮できる制度となるよう、事業の一層の充実に向け努力してまいります。
 最後に、シニアパスポート制度についてでございますが、高齢者が安心して外出でき、積極的に社会参加をしていくためには、お話のシニアパスポート制度は大変有意義であると考えております。しかし、制度の導入に当たっては、身分証明に加えて付加する情報や機能の内容、さまざまな事業主体の協力、他のカードシステムとの関連など解決すべき課題もございます。
 今後、住民に身近な区市町村とも相談をしながら、制度の具体化に向け検討を進めてまいります。
   〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕

○労働経済局長(浪越勝海君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、三宅島の火山灰の除去に島民を雇用することについてのお尋ねですが、三宅島の人々の帰島の折には、産業復興や生活再建に向けて火山灰が大きな障害となるため、農地などの火山灰の除去が不可欠と考えております。このため、一刻も早く農地災害復旧事業などにより火山灰の除去を行うことが必要となりますが、機械による除去が困難な場所が多数想定され、人力による作業が必要となると思われます。
 こうしたことから、事業の実施に当たっては、関係機関などと協議を進め、島民の雇用の場ともなるよう努めてまいります。
 次に、三宅島火山灰の有効利用についてのお尋ねですが、三宅島の火山灰については、都立産業技術研究所にプロジェクトチームを設け、利用技術の研究開発に鋭意取り組んでおります。現在、火山灰の化学組成を分析した結果を踏まえ、ガラス製品、歩道用敷石、タイルなどの開発を進めているところでございます。
 今後、製品化に向けて材料強度やコストなど解決すべき課題が数多くありますが、年度内には試作品を完成させるなどの研究成果を出していきたいと考えております。
 また、民間企業からも路盤材、セメント原料などさまざまな提案を受けており、これらについても民間と共同で火山灰の利用開発を積極的に進めてまいります。
 次に、農作物に対する火山灰の影響への対応についてのお尋ねですが、農業試験場において、火山灰の成分分析やアシタバ、レザーファンなどの発芽、生育試験を行った結果、生育阻害等の影響があることが判明しました。そのため、農作物への影響を可能な限り低減するよう、畑の火山灰は極力除去するとともに、堆肥による土壌改良を行っていきます。
 また、畑の回復後は、栽培方法や新たな作物の導入などについて、農業改良普及員による技術指導を行い、一日も早く農業生産が復旧するよう積極的に支援してまいります。
 次に、中小企業対策のベンチャー企業への支援についてでありますが、東京の産業の活性化と雇用の創出を図るにはベンチャー企業の育成が重要なことから、都では、企業の創業から各成長段階に応じた技術、経営、資金面の相談や指導、場の提供など各種支援策の充実に努めてきたところです。
 さらに今回、空き庁舎を活用して開設した「ベンチャー・SUMIDA」については、公募二十二室に対して百七十件の申し込みがあり、公的な創業支援事業に強いニーズがあることを示しています。
 今後、空き庁舎を活用した創業支援施設は、地域バランスなども考慮して、多摩地域にも整備できるよう努めてまいります。
 次に、産・学・公連携についてのお尋ねですが、物づくり現場の技術や知恵と大学等の研究成果を結びつけることは、新製品、新技術開発の大きな力になるとともに、産業の活性化に大いに寄与します。
 都は、これまでも、普及啓発や助成事業により産・学・公連携の機運を高めてきました。本年五月から産業技術研究所に産・学・公連携窓口を開設し、中小企業と大学等とのコーディネートを図るなど、支援機能を強化しました。
 今後は、さらに、中小企業と大学などが一堂に会し、産が抱える技術課題と学が持つ知識や情報を直接マッチングできる場を設け、新製品開発など実用的な共同研究が一層推進されるよう取り組んでまいります。
 最後に、いわゆるフリーターに対する総合的な支援体制についてでありますが、フリーターの増加は、技能、技術の発展を阻害し、労働生産性や経済活力の維持等の面で、我が国の経済社会にとって極めて大きな影響を与えることが予想されます。
 都は、これまで、若年者を対象とした職業訓練や就職ガイドセミナーなどの啓発活動を実施してきたところです。現在、フリーターの職業意識等に関する実態調査を進めています。この結果も踏まえ、今後、国や教育機関等とも連携し、職業意識養成のための啓発セミナーや就職情報の提供、技能習得など安定した就労への移行を促進する総合的な支援策の充実に努めてまいります。
   〔主税局長大塚俊郎君登壇〕

○主税局長(大塚俊郎君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、税収のグラウンドについて、今後の状況をどのように予測をしているかでございますが、日本経済は公的需要主導から民間需要主導へとその軸足を移しつつあり、政府も今年度の経済見通しを上方修正をしています。このようなことから、今回の増収は必ずしも一過性のものとは見ておりません。
 しかしながら、景気の先行きには、アメリカ経済の動向や原油価格の高騰及び株価の低迷などのリスク要因がございます。したがって、今後の税収の動向につきましては、十分注意をした見方が必要であると考えております。
 次に、都税収入の増収見込み額等についてでございますけれども、今年度の都税収入の見通しにつきましては、現在鋭意算定作業を行っているさなかであります。最終的な確たる数字を申し上げられる状況にはございません。しかしながら、第三回定例会以降の都税収入実績及び三月決算法人の今九月中間期の決算動向などを勘案すれば、間違いなく相当程度の増収が期待できるものと考えております。
   〔生活文化局長高橋信行君登壇〕

○生活文化局長(高橋信行君) 女性財団について安易に廃止すべきではないとのお尋ねでありますが、女性財団は、民間とも連携して、男女平等の社会的風土づくりに一定の成果を上げてきました。しかしながら、法制度等の整備が進み、男女平等参画は新しい段階を迎えております。今後は、普及啓発だけではなく、現在緊急の課題となっております企業等における参画促進や家庭内等における暴力対策など、より個別的な問題に、本庁と第一線とが一体となって、行政として責任を持って取り組んでいく必要があります。
 また、今後もウィメンズプラザの事業を継続するとともに、運営に当たっては、都民等との連携に配慮いたします。こうしたことを関係者に十分説明し、直営化についてご理解、ご協力を求めていくつもりであります。
 次に、レーザーポインターの事故防止についてでありますが、レーザーポインターを遊び道具として使用した子どもの事故例が報告されており、都としても、消費者向け情報誌等を通じて、都民に注意を呼びかけているところであります。
 今後、国における実態調査や商品テスト等の結果も参考にしながら、早急に都内における使用や販売の実態把握を行い、効果的な事故防止対策について検討してまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 小児の救急医療について三点のご質問にお答えいたします。
 まず、小児救急医療の現状についてでございますが、少子化の進行する中で、地域において休日や夜間に受診できる小児科医療機関の減少等から、子どもの急病に対する親の不安が増大しており、小児救急医療の充実への要望が高まっております。
 安心して子どもを育て、万が一急病の場合にも、こうした親の要望に十分対応できるよう、小児医療、特に小児の救急医療を充実することは重要な課題であると認識しております。
 都といたしましては、今後とも、小児救急医療を含め、都民の信頼にこたえる救急医療体制の整備に積極的に取り組んでまいります。
 次に、小児科医師の養成、確保に関する国への働きかけについてでございます。
 小児医療は、診療や看護などに多くの人手と時間を要する上に、診療報酬も十分でないことや少子化の影響などから、ご指摘のとおり、小児科を専門とする医師の数は減少しております。
 このため、都は国に対して、小児医療、小児救急医療の不採算性を解消するなど、診療報酬の改善を求めるとともに、小児科医師の計画的な養成、確保を図りますよう提案しているところでございます。今後とも、引き続き国に対して強く要求してまいります。
 次に、小児救急医療体制の整備についてでございますが、初期救急医療については、診療施設を固定するなど、都民にわかりやすく、利用しやすい体制を目指し、モデル事業を計画するなど、区市町村が地域の実情に即した事業を展開できるよう支援してまいります。
 二次救急医療につきましては、原則として施設を固定化し、三百六十五日二十四時間、小児科医師による対応が可能な体制の整備を図り、小児救急医療の一層の充実に努めてまいります。
   〔環境局長中野英則君登壇〕

○環境局長(中野英則君) 環境対策五問についてお答えいたします。
 まず、今後の自動車公害対策の取り組みについてでありますが、東京都のディーゼル車規制は、PMの削減を目的としておりますが、より低公害な車への転換により、NOxもあわせて削減することができます。また、CNG車等の低公害車の導入促進は、CO2の削減や騒音の軽減にも寄与いたします。
 自動車公害対策は、こうした単体対策とともに、交通需要マネジメントの推進や道路構造の改善など、総合的な取り組みによって大きな成果を生むものでありまして、今後とも多様な取り組みを進めてまいります。
 次に、粒子状物質減少装置についてでありますが、装置の指定に当たりましては、粒子状物質の減少性能を基本とし、耐久性などを考慮する必要があると考えております。
 今後、専門家の意見を聞きながら、年度内を目途に、粒子状物質減少装置が備えるべき条件を明らかにしてまいります。
 次に、低公害車の普及についてでありますが、低公害車の大量導入を進めていくためには、ご指摘のように、インフラ整備や車両価格の低廉化など克服すべき課題が残っております。
 このため、多くの都民、事業者が活用しやすい支援策を検討するとともに、自動車ユーザー、メーカー、スタンド事業者から成る新市場創造戦略会議の取り組みを広域的に展開するなど、さまざまな角度から低公害車の普及に取り組んでまいります。
 次に、家電リサイクル法の施行に向けた都の取り組みについてでありますが、法の施行に伴い、小売店は、家電四品目を他の品目から分けて二グループのメーカー別の引き取り場所に運搬しなければならず、大きな負担を強いられることになります。
 この家電リサイクル法が円滑に行われるためには、小売店の理解と協力が不可欠であります。
 このため都は、地域小売店代表の委員の参加も得た家電リサイクル研究会からの報告を受け、効率的な収集運搬システムが構築され、都民負担の軽減が図られるよう協議を重ねているところでございます。
 次に、回収に当たっての都のコーディネートの進捗状況についてでありますが、家電四品目で小売店の引き取り対象とならないものにつきましては、区市町村が粗大ごみ収集を見直し、収集運搬業者による民間収集が行われることとなります。
 また、都は区市町村とともに、設置箇所が少なく不便なメーカーの引き取り場所を補完するため、中間的な集積所が民間の収集運搬業者により設置されるよう、調整を進めているところであります。
 この集積所は小売店の利用も可能であり、今後、行政ルートとの連携が進むこととなれば、小売店の負担も大幅に軽減できるものと考えております。
   〔都市計画局長山下保博君登壇〕

○都市計画局長(山下保博君) 五つのご質問にお答えいたします。
 まず、防災都市づくり推進計画の見直しについてでございますが、平成九年の計画策定以降、厳しい財政状況下におきましても、不燃化促進事業を初め、各種事業を着実に実施してきているところでございます。
 この間、都市づくり分野におきます地方分権の進展や、みずからの命はみずからが守るという都民の自立意識の高まりなど、社会状況は大きく変化しております。これらの動向を踏まえまして、地震に強いまちづくりを一層促進するため、新たな方策や事業主体の多様化などを検討しながら、平成十四年度改定を目指して推進計画の見直しに取り組んでまいります。
 次に、見直しの際の調査についてでございますが、現行の推進計画の改定に当たりましては、市街地の防災性能について調査をする必要がございます。そのため、ご指摘の市街地の燃えにくさを示す不燃領域率と、地域が持っている危険性を示す地域危険度の二つが有効であると考えております。
 今後、既に実施している地域危険度調査に加えまして、不燃領域率の現況調査等を行い、それらの最新データに基づき推進計画を見直してまいります。
 次に、桟橋方式による羽田空港の再拡張案についてでございますが、海上におきます桟橋方式による滑走路建設の実績といたしましては、一九六七年に完成いたしましたニューヨーク・ラガーディア空港の滑走路拡張工事の例がございます。これは、二本の滑走路をそれぞれ六百メートルと三百十二メートル延長したものでございまして、おおむね三年で完成させております。
 近年、海上構造物の建設では新しい工法の開発や建設資材の改良が進んでいること、さらに、今後の技術開発も期待できることなどから、桟橋方式は十分実現可能であり、新空港建設に比べ、工期と経費も大幅に圧縮できると考えております。
 次に、再拡張案の位置についてでございますが、これまでの再拡張の議論の中では、新しい滑走路と東京港の第一航路などの港湾機能とをどのように共存させていくかということが課題でございました。
 今回の再拡張案は、現在のC滑走路の沖合約一・三キロの位置に、C滑走路と平行に、かつ南に二キロ程度ずらして新しい滑走路を建設するものでございます。この滑走路は桟橋構造とし、その高さを干潮時の海面上十五メートルとするともに、既存空港と結ぶ誘導路を橋梁形式としてございます。
 このことから、第一航路を初めとする港湾機能との共存を図ることが可能と考えられ、水域環境にも配慮した再拡張案として取りまとめたものとなってございます。
 最後でございますが、地下鉄八号線の足立区内のルートについてでございます。
 本路線は、都内の通勤混雑の緩和や東京全体の均衡ある発展にとって欠くことのできない路線でございまして、ことし一月の運輸政策審議会答申におきまして、豊洲から亀有を経由し野田市に至る路線として二〇一五年までに整備着手することが適当と位置づけられております。
 具体的なルートの選定に当たりましては、鉄道ネットワークの形成や導入空間の確保、まちづくりとの整合性などを総合的に検討する必要がございます。
 今後とも、ご指摘の趣旨を踏まえまして、関係機関とともに早期実現に向けて取り組んでまいります。
   〔都立大学事務局長川崎裕康君登壇〕

○都立大学事務局長(川崎裕康君) 社会人向け大学院の開設についてでありますが、大学院におけます高度専門職業人の養成は、これからの大学にとって大変重要な課題であると認識しており、企業経営や法律実務等に関する社会人向けの大学院の開設を検討してきているところであります。
 お話のロースクールにつきましては、国においては、早ければ平成十五年度の開設に向けた法整備が行われると聞いております。
 都立大学としては、その時期に合わせ、都庁舎を利用した新たな大学院を開設したいと考えておりますが、現在教育庁を中心として取り組んでおります都立の大学改革全体の中で、関係局とも調整しながら検討を進めてまいります。

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