平成十二年東京都議会会議録第十六号

   午後三時二十三分開議

○議長(渋谷守生君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十五番渡辺康信君。
   〔百二十五番渡辺康信君登壇〕

○百二十五番(渡辺康信君) 私は、日本共産党東京都議団を代表して質問いたします。
 二十世紀も残すところ三週間となりました。まず初めに、不況、リストラ、介護保険の重い負担や、国と都の社会保障、福祉改悪などによって、都民生活が各層各分野にわたり厳しさを増しており、その厳しさを少しでも軽減するために都政が緊急に取り組むべき課題についてであります。
 その第一は、今なお避難生活を余儀なくされている三宅島の方々への支援です。
 全島避難から三カ月が経過し、島民の皆さんは、帰島への思いを強めながら、なれない都内での生活と本格的な寒さに必死に耐えて頑張っています。私は、島民の皆さんのご苦労と村及び都など関係者の活動に心から敬意を表するものであります。
 都は、今定例会に、三宅島の災害復旧や緊急雇用対策などを内容とした三百三十八億円の補正予算を提案しております。また、被災者生活再建支援制度の適用と都独自の適用も決定されました。おくればせながらもこれらの支援が動き出したことについて歓迎するものであります。
 同時に、私どもは、避難島民支援センターを設置し、支援活動に取り組みながら、島民の皆さんを訪問して、さまざまな要望をお聞きしてまいりました。これまで具体化された施策では、突然に島を離れ、収入も閉ざされ、島での隣近所との生活も分断されている方々の切実な要望にこたえるものになっているのかという点では、まだ不十分であると考えるものであります。
 そこで、まず、島民の皆さんの生活を少しでも支え、負担を軽くするために、緊急に取り組むべき最小限の課題に絞って質問いたします。
 ようやく適用となった再建支援法は、残念ながら、日常生活に欠かせない毎日の食費や日常品、交通費などは、対象になっておりません。雲仙普賢岳火山災害では、行政が食事供与事業という新しい制度をつくって、一日千円の食費を長期に支給してきた経験があります。
 知事、避難島民は毎日の食費を切り詰め、我が子に会う回数を減らしているのが現状です。少なくとも食費や日常生活の必需品に使える生活支援金は、何をおいても制度化して実施すべきと思いますが、どうでしょうか。
 また、医療費の自己負担分を軽減するための支援も必要と思いますが、あわせて答弁を求めます。
 公共料金の負担も大変です。上下水道料金の減免は既に都が実施しておりますが、電気やガスの料金の減免も強い要望となっております。我が党が東京ガスを訪ね減免を要請した際に応対した幹部の方は、東京都から協力を要請されれば何らかの支援ができる、といわれました。この問題では、我が党委員が早速委員会で取り上げ、総務局長は、東京ガスに要請することを約束しています。あとは、知事自身の気持ち一つです。知事が要請すれば、電気、ガス料金の減免が実現できる可能性があるのですから、決断することであります。答弁を求めます。
 また、島民は、親戚や友人と離れての生活に孤立感を深め、ストレスもたまる一方で、心のケアと健康の維持への支援も急がれています。まず、地域の医療機関や専門家などの協力も組織して、避難世帯を訪問し、生活、仕事、健康などの悩みを聞き、相談にも乗ること、そこで出された相談や要望は、地元自治体の協力も得て解決に当たるなどの、きめ細かい対応と支援が急がれておりますが、答弁を求めます。
 もう一つの問題は、いつ帰島することになっても大丈夫なように、今からその面での万全の対策を講じる問題です。この点でも、全国には、現在の法律や制度の枠を乗り越えた学ぶべき経験があります。鳥取県では、震災直後に一般財源を拠出して住宅を再建するための助成制度をつくっております。雲仙では、県が国の資金も使って災害対策の基金をつくり、住民の事業の再開や住宅の再建などの復興資金としても活用した経験があります。
 そこで、まず、都が国の協力も受けて、大手の会社など民間にも呼びかけて災害対策基金を設置し、復興のための個人補償や避難世帯の生活資金などに支給できるようにすることが必要と思います。
 また、三宅島噴火は、世界の噴火史に類を見ないものであります。周期的な活動も特徴です。こうした特性を踏まえて、都と村が対等に話し合える恒常的な協議機関も必要となっております。あわせて答弁を求めます。
 新たな問題として、国勢調査の結果、島民がカウントされず、地方交付税が受けられなくなる心配が起きています。国に対して弾力的に対応し、地方交付税が受けられるように国に要請することを求めます。答弁を求めるところであります。
 第二に、介護保険の負担軽減と福祉の充実です。
 十月から介護保険の保険料の徴収が始まり、利用料とともに重い負担は、多くの高齢者と家族に深刻な影響を与えております。
 その一端は、東京都がまとめた介護保険に関する苦情等の状況調査を見ただけでも、うかがい知ることができます。新聞でも、保険料への苦情が急増と報道されましたが、都と区市町村に寄せられた保険料に関する苦情の件数は、九月には八月の四倍、七月に比べると十倍と、まさに急増であります。その中身は、年金から天引きの徴収方法への不満や、保険料が高い、収入がなくて払えない、というものであります。
 また、立川市が十月にまとめた調査には、利用料が高くて年金では賄えない、介護保険制度になって負担が多くなるのは理解できない、などの切々たる声が寄せられました。知事に伺いますが、この現実をどう受けとめますか。
 東京都は、現行制度でも低所得者に配慮されているといってきましたが、それだけでは不十分だからこれだけ大きな問題になり、独自の負担軽減に踏み切る自治体が、大阪市、横浜市、川崎市など政令市を初め全国に広がっているのであります。東京でも、既に全体の三分の一を超える二十五の自治体が、保険料や利用料の負担軽減を行っています。そして多摩の市長会も、都の独自の保険料減免制度の創設を求めているのであります。
 国は、不十分とはいえ、保険料を一年間一律に半額免除するなどの当面の負担軽減を、国の税金を財源として実施しました。区市町村も、厳しい財政事情のもとで努力を開始しています。東京都だけ何もしない道理はありません。
 都の高齢者施策推進室は、ある団体の申し入れを受けた際に、低所得者対応は区市町村対応では限界がある、国のレベルで解決されるべきだと答えています。もちろん根本的には国のレベルでの解決が必要ですが、区市町村の対応だけでは限界があるのは明白であり、東京都が支援に踏み出すのが必要なのであります。都は、公平性に疑問があるようにいいますが、低所得者への減免は、社会保障本来のあり方から当然のことであります。
 ある介護雑誌は、十二月号で、低所得者層に対する保険料減免の動きが全国に広がってきたとして、四つの自治体をレポートしています。その中で、千葉県八千代市の担当課長は、最も救わなくてはならない人々を救うという社会保障の原点を大事にしたいと語っています。埼玉県所沢市の担当者は、低所得者対策は市民生活を守る上で欠くことはできない行政の責務ですと語っています。今、東京都に問われているのは、こうした社会保障と地方自治本来の精神に立ち返るかどうかであります。私は、改めて介護保険の保険料、利用料の負担軽減を国に要求するとともに、都として実施することを強く要求するものであります。お答えください。
 また、生活支援ヘルパー、介護予防・生活支援事業や高齢者の福祉サービス利用の援助など、介護保険を補うための施策の拡充が必要です。答弁を求めます。
 介護保険の負担に加えて、高齢者の命綱ともいうべきマル福と老人福祉手当の廃止に向けた段階的削減やシルバーパス全面有料化など、石原都政による福祉切り下げの影響が、東京の高齢者を苦しめています。都の障害者医療費助成の有料化と所得制限強化も、高齢者に深刻な影響をもたらしています。その上、自公保政権による健康保険法等の改悪で、二十一世紀幕あけの一月一日から、高齢者医療費の大幅負担増が待ち受けています。長生きして何でこんなに苦しまなくてはならないのか、先行きが不安で仕方がない、という切ない声が上がっています。
 十一月の厚生委員会資料によると、シルバーパスの今回の見直しにより、交付枚数は昨年度の八割まで落ち込み、十四万六千人の方からシルバーパスを取り上げる結果となりました。今回五千円のパスは、来年一万円にはね上がりますから、負担ができずに交付を受けられなくなる人は、さらにふえることが心配されます。
 マル福は、ことし七月一日以降六十五歳の誕生日を迎えた人は、二年後の二〇〇二年七月まで適用を受けることができません。私どものところに先日、足立区に住む男性から電話がありました。心筋梗塞で倒れ、毎月一万円は医療費がかかる。六十五歳になればマル福が使えると楽しみにしていたが、区役所に行くと、もらえないことがわかった。こんなことをされては希望がなくなる、こういう話です。このような方々が、毎日ふえているのであります。
 全国十二の政令市のうち十市が、シルバーパスは所得制限なしの完全無料であります。老人医療費助成は、十二政令市のうち十一市に制度があり、そのまま継続されています。介護基盤整備のみならず、この分野で東京都は、今やおくれた自治体となってしまいました。
 さらに、老人福祉手当の削減は、介護保険の重い負担と重なり合い、既に食費にも事欠く事態さえ現実に招いています。中でも深刻なのは、月々三万数千円程度の国民年金しかない、ひとり暮らし高齢者であります。このまま老人福祉手当が毎年削減され、廃止されたら、本当にどうやって生きていけばいいのかわからない、そういう方々が続出しているのであります。
 住民の生活に責任を負うべき行政というものは、一度決めたことであっても、それが正しかったかどうか住民の立場から常に検証しながら、必要な軌道修正を行うことが求められます。場合によっては、立ちどまり、あるいは引き返すことが必要なのであります。
 マル福は六十五歳からの制度に戻すこと、老人福祉手当は削減をやめ、介護保険の欠陥を補えるように拡充すること、さらに、シルバーパスは無料に戻すこと、以上三点について、改めて検討すべきだと思いますが、答弁を求めます。
 なお、障害者施策の切り下げも深刻なものであり、これは、あすの一般質問に譲ることといたします。
 第三に、暮らしへの緊急支援です。
 十年にも及ぶ不況と、自民党政治が進める社会保障制度の相次ぐ後退は、都民の暮らしと営業に深刻な打撃を与えています。政府が発表した経済指標を見ても、都民の消費支出は二十年前と比べて五・五%ダウンし、勤労者の賃金もこの十年間で九六・四%に落ち込んでいます。このように、全国と比較しても、東京都民がいかに苦しい思いをしているかは明らかであります。
 そこで私は、すべての都民が安心して新しい年を迎えるようにするために、差し迫って解決が急がれているものについて、緊急の対策を提案するものであります。
 まず、生活支援です。仕事もなく、雇用保険も切れてしまった状態で新年を迎える都民や、さまざまな条件が障害となって生活保護が受けられない世帯がふえています。こうした毎日の生活資金にも事欠く人への越年、越冬生活つなぎ資金を直ちに実施すること、子どもと教育にかかわる支援も重要です。家庭の負担をふやしているさまざまな教材費への補助、父母負担の多い私立学校の生徒への支援として、リストラや倒産などで収入が絶たれた家庭に対する授業料の補助、あわせて私学助成の増額などは欠かせません。
 雇用と営業の支援では、何より都が福祉サービスなどを拡充することで雇用を創出することは当然ですが、あわせて国が認めた緊急雇用対策だけでなく、時限的なやり方で、土木や建設など需要の多い分野や、公園や道路の清掃など高齢者やだれもが就労できる公的就労を開始すること。
 中小企業にとっては、どうやって年を越すのかという時期を迎えています。短期、無利子で繰り返して使えるつなぎ融資をつくって支援すること、不況の影響をもろに受けている建設関連業種の仕事確保のために、分離分割発注を思い切って拡大することも必要であります。
 また、都民負担の軽減を進めるために、都市計画税の二分の一軽減措置の継続、公共料金の据え置き宣言など、都民生活支援の立場を貫くことであります。
 以上取り上げてきた三宅島避難島民への支援、介護保険や切り捨てられた福祉施策の復活、暮らしへの支援は、都が財源を新たに確保してでも最優先して具体化を図らなければならない切実で緊急のものばかりであります。
 知事は、所信表明で、これらの都民生活や介護の支援について一言も触れませんでしたが、今取り上げた切実で緊急な課題をこそ最優先するのが、自治体の仕事ではないでしょうか。直ちに実行に移すことを求めます。それぞれ積極的な答弁を求めます。
 そこで、問題は財源ですが、知事が相当程度の増加が見込まれると所信表明で明らかにしたように、都税の収入は法人二税を中心に、三千億円から四千億円もの大幅な増収となります。今年度は、その約半分が都の収入になり、来年度は銀行課税も加わって、ことし以上の増収が見込まれるわけですが、これは都がことし切り捨てた福祉施策のほぼ四倍の収入になるわけで、緊急の都民要求にこたえる上で新たに財源を確保しなくても、この一部を活用するだけで十分賄えるものであり、知事の施策として具体化することを強く求めるものであります。
 さて、二十一世紀を迎えて、国政、都政に共通して迫られているのが、大型公共事業に偏った政治の転換であります。長年の自民党政権のもとで進められてきた大型開発中心の公共事業は、土建国家などと指摘されてきたように、日本の環境を破壊するだけでなく、日本経済を大きくゆがめ、国家財政を破綻に追い込むものとして、その見直しが叫ばれてきました。
 ところが、石原知事は、大型開発優先の構想を相次いで打ち上げています。知事が年内に発表するとしている東京構想二〇〇〇や、九月に発表されたベイエリア21は、第三回定例会で我が党が指摘したように、都心再生や臨海部開発の拡大、三環状道路などの推進など、徹頭徹尾、大企業やゼネコンのための開発を進めようというものであります。
 しかも、知事は、十年間で十二兆円もの資金を大都市につぎ込むことを提言した都市再生推進懇談会で、旗振り役を務めただけでなく、首都移転の半分の費用、すなわち七兆円を東京圏につぎ込むことや、九兆円もの三環状道路を促進することなど、繰り返し発言しています。
 知事のこうした姿勢は、公共事業の見直しという時代の流れに逆行するものでしかありません。吉野川可動堰、愛知万博などに続いて、長野県では新知事がダムの建設を中止するなど、二十世紀型の浪費的公共事業の見直しは大きな流れとなっているのであります。
 そこで、問題は、知事が進めようとしているこれらの構想が、果たして二十一世紀の都政と都民生活をどういう方向に導こうとしているのかであり、環境、まちづくり、財政などの角度から厳しく吟味されなければなりません。
 まず、環境についてです。
 構想に基づく開発と、それを支える三環状道路などの建設によって、自動車排気ガス公害やヒートアイランド、緑や自然の破壊などが一層重大化しかねないことです。第三回定例会でも指摘しましたが、臨海部だけで二十五万台の自動車交通量がふえるというのですから、首都圏規模では一体どれだけの自動車交通量が発生するのか、想像を絶するものがあります。
 知事は、こうした批判に対して、東京は、ロンドン、パリ、ベルリンなどヨーロッパの主要都市と比べて環状道路が不足している、高速道路ができ渋滞が解消すれば公害が減るなどといっていますが、とんでもありません。我が党が調査した結果によれば、既に高速道路が行政面積に占める割合は、東京はこれらの都市と比べても低くありません。三環状が完成した場合には、ロンドンの高速道路の三倍の道路の長さに達するのであります。
 先日、川崎、尼崎に続いて名古屋公害裁判で、自動車排気ガスの差しとめ命令の判決が下されましたが、翌日のマスコミ各紙は、建設省は道路を整備することで車の流れを円滑にし、汚染を減らそうとする。だが、道路がよくなれば車がふえる。車の増加はまた汚染につながる。道路に偏した交通政策を改めることが必要だ。交通が渋滞するからバイパスを、との発想では大気汚染公害の根本的解決にはならないなどと、国の道路行政について厳しく批判をしているのであります。
 知事、これらのマスコミが社説で掲げた至極当然の主張について、どう受けとめていますか。また、今後の道路行政にどう生かしていくおつもりですか。
 ヨーロッパでは、LRTなどの環境に優しい公共交通への転換が進められているほか、イギリスのロンドンでは、環状高速道路は交通渋滞を解消するどころか、車を呼び込んでしまうとして、途中でこの建設が凍結されているのであります。世界の大都市に学ぶというなら、こうしたことをまず学ぶべきであります。見解を伺います。
 財政の問題も重大です。知事は、所信表明で、東京圏に国費を重点的、集中的に投入することを強く主張されましたが、国のお金なら幾らつぎ込んでもよいと考えているのであれば、とんでもありません。既に国家予算は六百四十兆円もの借金を抱えて、破綻の状況ではありませんか。都の税金もつぎ込まれます。
 例えば、三環状道路です。既に中央環状線を中心とする首都高速道路では、都が毎年数百億円の出資金と無利子貸付金を、国のいいなりに支出しております。今後の残事業費は二千億円を超えるものであります。首都高速道路の関連街路にも毎年数十億円の都のお金がつぎ込まれております。
 外郭環状道路は、事前調査や地元折衝まで東京都がやっております。構造が地下方式になって、その上を都道で整備することになれば、これまた莫大な資金が必要となります。圏央道のアクセス道路としてつくられている新滝山街道は、総事業費五百億円というものです。
 都民は、このような東京の環境を破壊し、しかも、都財政をさらなる泥沼に引き込む公共事業に偏った税金の使い方を変えてほしいといっているのではありませんか。
 私たちは、繰り返しいいますが、大型公共事業なら何でもやめろといっているわけではありません。環境や財政問題をもっと考慮すべきだし、お年寄りが安心して暮らせる生活基盤づくりや、子どもたちや青年に夢を与えるような都民生活に密着した公共事業をこそ、優先して実行に移すべきであると主張しているのであります。
 高齢化に対応して、多くの高齢者が心待ちにしている特別養護老人ホームや、全国最低水準のデイサービスセンター、老人保健施設、グループホームなどについては、緊急計画を立て、必要数を確保すべきであります。そして、二十一世紀に向けて、例えばスケボーやバスケットなど青年のための遊び場や、自由に使える公園、さらには都市交通では、自動車依存型を脱却して環境に優しいLRTなど新しい公共交通や自転車道の整備、公共住宅を中心にした都心居住、住宅の耐震補強を初め震災に強いまちづくり、本格的なバリアフリー化の推進など、都民の願いにこたえる公共事業に大きく踏み出すことが重要なのではありませんか。
 知事、ビッグプロジェクトばかりが公共事業ではありません。今、私が提案したような、都民に役立ち、夢を与えるような公共事業に、足を踏み出そうではありませんか。答弁を求めます。
 次に、行き詰まっている都財政を立て直すために、今何をなすべきかという問題です。
 メスを入れるべきは、都財政を苦しめ、さらに二十一世紀の長期にわたって都財政に負担を押しつけようとしている大型開発、とりわけ臨海副都心開発であり、開発型第三セクターであります。
 八兆円の計画で始まった臨海副都心開発は、基盤整備が終わり、企業の公募が開始されてから早くも十年たちましたが、いまだに企業の土地利用は二割にとどまり、毎日一億円の借金を生み出しています。税金は一円も使わないといっていたにもかかわらず、既に三兆五千億円の都財政が投入され、今後も三兆円近い資金を投入しなければならなくなっています。ここにメスを入れなければならないのに、都は、来年度、埋立会計、羽田沖埋立会計を臨海開発会計に統合することで、臨海開発会計がこれらの会計から借りている三千八百億円の借金を棒引きにしようとしているのであります。こんなやり方が許されるでしょうか。
 知事は、所信表明で、一般会計で八千億円の隠れ借金があるといい、税収が伸びても都民に回すお金はないとばかりのことをいわれましたが、隠れ借金のほぼ半分は、二つの埋立会計からの借り入れであります。一般会計の借金については、今すぐにも返さなければならないといいながら、臨海については、返さなくともよい、統合して、くれてやるというのでは、都民はだれも納得しません。
 それだけではありません。この二つの埋立会計には、二千五百億円分の土地が残されています。合わせて五千三百億円もつぎ込まなければならない理由はどこにあるのでしょうか。知事、こんなおかしな話を認めるのでしょうか。
 三会計統合はやめる。その上で埋立会計の財産を都民のために生かすのが、本来のあり方ではありませんか。そして、臨海開発については、今後の財政負担をどう抑え、都民本位の利用にするのか、抜本的な再検討こそ必要と考えますが、それぞれ知事の見解を求めます。
 日経新聞が先日、全国の開発型第三セクターの調査結果を発表しましたが、その結果は驚くべきものです。累積損失の多い三セク上位十社のうち四社が、臨海建設などの臨海三セクで占められているのです。これら四社の累積損失だけでも一千億円以上に上っています。これらの三セクの抜本的処理は待ったなしです。
 ところが、都が最近発表した監理団体改革実施計画は、都財政を食い物にしている肝心の三セクについて、経営分析まで行いながら、対策を部分的な経営対策にとどめ、破綻した三セクの清算などの抜本的解決をも回避してしまったのです。
 その一方で、女性財団の廃止を打ち出したことは許されません。女性財団はウィメンズプラザなどの運営を行っておりますが、男女共同参画を進める基本法や都条例ができ、いよいよ本格的な取り組みというときに、これを廃止しようというものです。多くの女性団体が、事業はこれからなのに、廃止は理解できないなどの反対の声を上げ、運動の輪を広げているのです。
 なぜ、都民がメスを入れることを望んでいる三セクを見逃して、都民が必要としている女性財団を廃止するのですか。開発型三セクこそ、清算を含めた抜本的処理を行い、女性財団は、関係団体の要望どおり存続すべきと考えますが、知事の答弁を求めます。
 今定例会直前に出された東京都税制調査会の答申も、知事の開発路線を容認し、都民負担を増大させるものとなっています。この答申の最大の問題は、石原知事の進めようとしている東京構想二〇〇〇の推進と、そのための財源対策としての庶民への増税を打ち出したことにあります。
 すなわち、住民税、個人所得税の課税最低限の引き下げや、所得の低い人の税率の引き上げ、高い人の税率を引き下げる税率の均一化による低所得者の増税であります。また、最大の大衆課税といわれる消費税の税率引き上げを容認しています。その一方で、高額所得者の所得税、住民税は減税してあげようというのですから、庶民増税、金持ち減税といわれても仕方がないのであります。
 財源対策としての法定外課税が打ち出されましたが、例えば大型ディーゼル車の高速道路利用税も、一般道に大型車がおりて排ガスがもっと多くなる、実際に排ガスの抑制に役立つのかという指摘や、徴税のやり方への疑問などが既に寄せられており、財源対策の増税先にありきではなく、ディーゼル規制の前倒しなど、やるべきことがあるのではないでしょうか。
 ある新聞は社説で、たっぷり時間をかけた総合的な検討が必要と指摘しております。庶民への増税路線はとるべきではありません。法定外課税については、都乳幼児が一日を過ごす生活の場であります。温かい雰囲気の中で人間として成長していくことができるよう、保育の質の充実のために最善の努力を尽くすことが重要な課題であると考えますが、所見を伺います。
 同時に、認可保育所の整備拡充による待機児解消を都政の重点課題として位置づけ、保育所整備促進緊急事業に取り組むよう提案するものであります。見解を求めます。
 少子化対策の最後に、経済的支援の充実についてです。民とともに十分検討、研究することが必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 我が党が繰り返し提案してきたように、大型開発優先、借金依存型の都財政運営を切りかえることで、庶民への増税なしに都財政を立て直すことと都民施策を拡充することは、十分可能なのであります。
 次に、二十一世紀を展望して都政が全力で取り組むべき課題について伺います。
 まず少子化対策であります。
 この問題の大きな要因の一つは、働くことと子どもを産み育てることの矛盾が広がり、深刻化していることにあります。したがって、打開のためには、男女とも子育てに責任を果たせるように、職場の労働環境を改善すること、すなわち、働き方を子育てに合わせていくことが重要であります。そして、日本の現状は、この肝心のところで余りにも大きく立ちおくれています。
 現在の育児休業法が、育児休業や育児時間を対象としているのは、一歳未満の子どもを持つ従業員に限られています。子どもが病気のときの看護休暇の保障もありません。東京都が行った従業員や企業の意識・実態調査には、産休明けで職場復帰したら、遠い職場に異動させられ、やめざるを得なくなった、気兼ねなく育児休暇がとれるようにしてほしいなどの声があふれています。中小事業者からは、多少なりとも行政からの支援がないと対応は難しいとの訴えが寄せられています。
 そこで、私が注目しているのは、こうした問題の改善に自治体として取り組もうという新しい機運が生まれつつあることであります。我が党の調査では、高知、鳥取、愛媛、和歌山の四県が、育児休業や育児時間、家族看護休暇などの充実を図り、従業員が利用している中小企業に対し、県として助成を行うなどの支援事業をスタートさせています。
 高知県では、五十一の事業所が県の助成を受けており、実際に制度を利用している若い従業員の方から話を伺うと、本当に気が楽になったと喜んでいます。そして、企業の側も、育児支援に取り組むことで働き続けてもらえることは、貴重な人材確保の上で企業にとっても大きなメリットがあると、積極的に受けとめています。
 知事、全国で最も深刻な少子化傾向にある東京都として、もはや国と企業の努力だけに任せているときではありません。企業における働き方の改善は、都としても取り組みを強めていくべき重要課題であると考えますが、知事の基本認識を伺います。
 同時に、企業における育児休業、育児時間、看護休暇などの制度を拡充し、気兼ねなく利用できるようにするための中小企業への助成や育児休業制度推進相談員の派遣などを行う、家庭と仕事の両立支援事業を実施するよう提案するものであります。また、両立支援のシンポジウムや経営者セミナーなどは、直ちに具体化できるものです。見解を求めます。
 さらに、保育の拡充も少子化対策の重要な課題です。東京の保育所の待機児は、九〇年代に二千九百人から七千四百人までふえ、待機児率が高い全国第三位であります。
 しかし、都政が本気になって取り組むなら、保育の抜本的な充実ができることは、十二年間で保育所の数も定員数も二倍以上にふやした革新都政時代の経験で証明済みであります。革新都政はまた、親の通勤時間まで含めて保育時間の延長を行う特例保育や、ゼロ歳児保育のための保健婦の配置など、保育の量とともに質についても、全国に誇る水準を築いてきたのであります。
 ところが、自民党都政にかわると、保育所整備は停滞し、九一年を境に待機児が増加に転じたにもかかわらず、ふさわしい対応をしないまま、保育所に子どもたちを目いっぱい詰め込む定員の弾力化など、小手先の対応に終始してきた結果が、今日の待機児問題であります。
 この十年間に、保育所の数は十四施設減らされ、定員数は五千九百人も減らされたのであります。その上、ことし九月には、職員配置や施設面積の保育所設置基準を極めて不十分な国基準にまで引き下げ、三十年以上も前の水準に後退させました。さらに、来年一月には、パート保育士の大幅削減につながる補助金の見直しが強行されようとしており、大問題になっております。
 今、必要なことは、こうしたやり方をきっぱりやめ、保育所の量と質の両方の拡充に本気になって取り組む方向への転換であります。保育所は、人格形成にとって大事な時期にある
 第一に、出産と妊婦健診の費用の負担軽減であります。
 出産費用は、妊婦健診や分娩費を入れて五十万円程度かかります。後で健康保険から支給される出産育児一時金と差し引き、およそ二十万円以上が自己負担となります。これが若い夫婦にとって重い負担となっており、せめてお金の心配なく、妊娠、出産できるようにしてほしいとの声が多数寄せられております。こうした声にこたえて、妊婦健診や出産費用の無料化や負担軽減のための助成、あるいは貸付制度についての具体化を求めるものであります。
 第二に、不妊治療への保険適用の拡大です。
 これも、都民の皆さんからたくさんの要望が寄せられています。現在は、最も簡単な排卵誘発法しか保険適用されておらず、一回数万円かかる配偶者間の人工授精も、全額自己負担であります。既に都議会は国に対する意見書を採択しています。都としても、不妊治療の保険適用範囲の拡大に向け全力を尽くすとともに、助成を行う必要があると考えますが、所見を伺います。
 第三に、積年の課題である乳幼児医療費助成の拡充であります。
 小学校入学前まで子どもの医療費はゼロにしてほしい、親の所得の多い、少ないに関係なく子どもたちを守ってほしいという都民要望は切実です。中でも、対象年齢を、現在の五歳未満から、あと一歩、小学校入学前まで引き上げることは急務であります。二十一世紀幕あけの来年度予算で何としても実現するよう求めるものであります。
 また、所得制限については、全国の六割を超える二十八の道府県が所得制限なしであります。都は、負担の公平の観点から所得制限は必要と答弁してきましたが、公平性を問題にするのであれば、所得制限なしが特別区は既に十六の区に及ぶのに、財政が厳しい多摩市町村ではゼロという多摩格差解消のため、都として所得制限撤廃に踏み出すべきであります。お答えください。
 次に、教育問題について伺います。
 今、若者の基礎的な学力の低下や、子どもたちの間で学習離れが急速に広がっていることが、マスコミなどで取り上げられ、大問題になっております。
 文部省の学校教育に関する意識調査によれば、勉強がよくわかると答えた子どもは、小学校三年生で二二%、中学校では四・七%、高校ではわずか三・五%にすぎず、国際数学・理科教育調査によれば、小中学生の四人に一人は学校の授業以外全く勉強せず、調査を行った三十八カ国で最低水準という状況です。さらに、数学嫌いが二位、理科嫌いがトップという状況は、大変深刻であります。昨年、都が行った調査によれば、東京の子どもたちの状況も同様で、都としてもこの問題を放置できないことが浮き彫りになっています。
 なぜ全国的、全都的に学力の低下が広がっているんでしょうか。それは、子どもたちの学習内容の大もとにある学習指導要領に大きな問題があるからであります。
 一九七二年実施の学習指導要領と、二〇〇二年実施予定のものとを比較すると、例えば小学校の主要四教科の授業時間数は、年間で約一千時間も削減されております。その一方で、学習内容の面で見ると、例えば平仮名七十一文字、これについて、今の子どもの親の時代は、小学校一年生のとき丸々一年かけて学びましたが、今はこれを一学期だけで覚えなければなりません。また、算数についても、親の時代は、小学校一年生で一けたの足し算、引き算だけを学べばよかったのに対して、今の一年生は二けたまで学ばなければなりません。これでは、子どもから、授業が速くてわからない、ついていけないという声が出るのも当然であります。
 最近、平岩外四元東京電力会長が理事長を務めるシンクタンク、地球産業文化研究所が、学力の崩壊を食いとめるためと称して、平成十四年度から実施予定の新しい学習指導要領の中止や、小中学校での少人数学級の実現などを求める異例の提言を発表しました。基礎学力の充実こそ必要という認識が、今、立場を超えて広がりつつあるのです。
 知事、子どもたちの学力の危機や、基礎的な学力をしっかり身につけさせることの重要性について、どう認識されておるのでしょうか。
 多くの子どもたちが勉強がわからないという問題は、学級崩壊など学校病理の打開にとってもかぎを握っている問題です。
 今、教員と父母が力を合わせて、学級崩壊克服の努力が強められておりますが、マスコミでも注目を浴びた都内のあるケースでは、荒れている子どもたちが変わっていったきっかけは、教師や親の集中的な努力の中で、算数がわかるようになったという問題でした。子どもがわかるまで教える、そういう教育を進めれば、子どもは、人間として自分が大切にされていると安心し、すくすくと成長していくのであります。その中で、人間にとって大切な道徳性も身につけていくのではないでしょうか。すべての子どもが基礎学力を身につけられるよう、十分な条件整備を進めることは、政治や行政に課せられた本来の重要な責務です。学習指導要領を見直し、基礎学力を身につけるために、本当に必要な内容を精選することが必要だと考えますが、所見を伺います。
 同時に、現行の四十人学級から三十人学級へ速やかに移行を開始し、さらに少人数学級へ進むことが必要不可欠であります。十一月の文教委員会で横山教育長は、我が党議員が少人数学級こそ世界の趨勢であること、アメリカでは十八人学級に向けた取り組みが始まっていることに触れ、東京都でも三十人学級実施に踏み出すよう求めたのに対し、学力の向上だけを考えれば、学級人数が少ない方がいいに決まっていると述べ、少人数学級の意義を認める重要な答弁を行いました。知事、あなたはいかがですか。すべての子どもたちに基礎学力を保障するために、都独自に三十人以下学級の実現に足を踏み出してはどうでしょうか。答弁を求めます。
 次に、米軍横田基地の返還の課題です。
 首都に外国の軍事基地があるのは、世界でも東京だけであります。二十一世紀に一日も早く解決すべき問題です。その点で、横田基地に関する都と周辺市町連絡協議会が、これまでの方針を発展させ、基地の整理縮小とともに、返還を協議課題にすることで合意したことは大変な変化であります。
 それは、子どもがおびえている、我慢の限界だなどとの苦情に見られるように、NLPなどの基地被害が激しさを増し、返還を求める世論が、厚木でも横田でも基地周辺で大きくなったからにほかなりません。新横田基地公害訴訟団が極めて心強いと声明したように、周辺住民も大いに歓迎し、今後の動きに期待しております。
 今、東京都に求められていることは、軍民共用ではなく、関係自治体で合意した返還を実効あるものにしていくことです。我が党としては、その立場から知事に次のことを強く求めます。
 まず、知事自身が直接、アメリカ政府に基地返還を強力に求めること、また、返還を進めるためにも、都として基地被害に関する実態調査を行うべきと考えます。知事、お答えください。
 今、神奈川県の岡崎知事は、基地調査を行い、米国大使に被害を訴え、大和市長は友好関係の中断を表明し、NLPを中止させました。今こそ都も共同歩調をとることが、返還にとっては大事であることを申し述べておきたいと思います。
 最後に、知事及び副知事、そして都議会の都民に対する責任の果たし方にかかわって質問いたします。
 一つは、中小企業金融安定化特別保証制度をめぐる不正事件についてであります。
 東京地検による捜査は、いまだ継続中であります。ついに、都議会史上三十五年ぶりとなる現職都議会議員の逮捕、起訴という事態を迎え、都政と都議会に対する信頼を深く傷つけたことはまことに重大であります。中小企業を救うためにつくった制度を金融ブローカーが食い物にして、これに政治家秘書や都議会議員が関与して、法外な仲介料を分け合うなんて絶対に許せないと、不況と銀行の貸し渋りに苦しめられてきた中小業者が怒りの声を上げているのは当然のことであります。
 今、問われているのは、東京都と東京都議会がみずから真相を究明し、問題点をえぐり出して、再発防止の方策を明らかにするために、真摯な努力をするかどうかではないでしょうか。この立場から、我が党は、都議会に地方自治法第百条に基づく調査特別委員会の設置を提案したところであります。
 同時に、今回の事件を理由にした新たな貸し渋りや融資制度の後退があってはなりません。東京都が四月の家宅捜査以来、今まで何ら事件の調査もせず、再発防止の手だても講じてこなかったことは重大です。直ちに都として事実と問題点の解明を行い、再発防止策を講ずることが、都民への果たすべき責務であると考えますが、知事の所見を伺います。
 もう一つは、去る九月二十八日未明、浜渦副知事が目黒区内の路上で、酒に酔った上、都民との間で起こしたトラブルの問題です。
 副知事自身が事実として認めている、もみ合いになった際にズボンのベルトを右手に巻いて威嚇したことや、目黒署で事情聴取を受け、署長あてに始末書を提出したことなどは、テレビや新聞、週刊誌などで広く都民に伝えられましたが、それを見た多くの都民が、浜渦副知事のとった行為が、副知事という重い責任を持つ公人の立場とは決して両立しないとの批判の声を上げたのであります。
 一般の公務員は、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合、法により懲戒処分として戒告や減給、停職または免職の処分を受けるのであり、そこまで至らない場合でも、口頭注意や訓戒などを受けることになるのであります。まして副知事の場合であれば、なおさら厳しく律するのは当然のことと考えます。
 そこで、浜渦副知事に伺います。あなたは公安委員会を所管する副知事です。その副知事がみずから警察署に始末書を提出したことをどのように認識しているのですか。また、あなたは、都政にかかわりのないことでお騒がせをしたと釈明しておりますが、当日は副知事として公用車を使用していたのであります。そのことをどう考えているのですか。副知事として、みずからもっと厳しい反省に立って、都民に対して謝罪を表明すべきと思いますが、どうでしょうか。
 以上三点について、それぞれ明確な答弁を求めます。
 同時に問われているのは、任命権者としての知事の責任です。知事が任命し、議会に同意を求め、さらに指導し監督すべき副知事にかかわる問題である以上、私事で済ますことができないのは明白ではありませんか。速やかに浜渦副知事に関する一連の事件を調査し、厳正に対処するよう求めるものであります。
 明快な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 渡辺康信議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、介護保険についてでありますが、本年度から実施された介護保険制度は、すべての被保険者が公平に保険料を負担する社会保険制度として創設されたものでありまして、おおむね順調に滑り出し、都民の理解も深まりつつあると認識しております。
 保険料の負担については、制度の円滑な実施のための特別対策や、低所得者に配慮した仕組みが設けられております。こうした保険料軽減の仕組みを含め、制度全般について都民の理解がより一層深まるよう、区市町村とも連携し、制度内容の周知徹底に引き続き努めてまいるつもりでございます。
 次いで、都市計画税及び公共料金についてでありますが、都市計画税の軽減措置は、既に課税標準を三分の一とする特例が法制化されていることなどから、制度的には見直しが必要な状況にあります。
 使用料などは、地方自治体の提供するサービスが特定の受益者のためである場合において、一般の納税者との負担の均衡を確保する観点から、適切な料額を負担いただくものでありまして、今後とも適切に見直しを行ってまいります。
 次いで、今後の道路行政についてでありますが、尼崎公害訴訟などの大気汚染訴訟において、国などの被告側に厳しい判決がいい渡されておりまして、これは文明論的な認識を欠いた国の排出ガス対策への取り組みが不十分だったことのあらわれだと思います。
 都としましては、大気汚染を改善し、都民の健康を守るため、ディーゼル車対策を強力に進めております。
 また、どうやら共産党は反対のようでございますけれども、外環など三環状道路を初めとする道路整備は、交通渋滞を解消し、東京圏の高コスト構造の是正や環境の改善にも資するものであります。このため、交通需要マネジメントとあわせ、道路整備を積極的に進めてまいります。
 ちなみに、参考で申し上げますけれども、道路整備によって環境が著しく改善された幾つかの事例がございますが、阪神高速湾岸線の整備による効果として、平成六年四月に阪神高速五号湾岸線が開通して、内陸部の阪神高速三号線と国道四三号線の大型自動車通行量が約二〇%減少しました。
 また、環状八号の井荻トンネルの整備による効果として、平成九年四月に環状八号線の井荻トンネルが開通しまして、交通量が約三万台から六万台に増加したにもかかわらず、二酸化窒素、浮遊粒子状物質の大気濃度が著しく減少しております。
 また、千葉県富津館山道路の整備による効果として、平成十一年三月に一般国道一二七号線に平行する富津館山道路が開通しまして、渋滞していた現道の窒素酸化物の排出量が約三、四〇%、二酸化炭素の排出量が約三〇%減少しております。
 同じことが東京にもいえるはずでありまして、私は、できるだけ速やかに幹線道路の完成が必要だと思います。
 次いで、公共事業についてでありますが、公共事業は、東京の都市基盤を形づくるもので、これまで都は、広域的自治体として、事業の緊急性や必要性を考慮しつつ、その着実な実施を図ってまいりました。
 中でも、東京における空港、鉄道、道路などの都市基盤施設は、次世代に引き継ぐ財産となるものでありまして、その着実な整備は、産業の活性化や国際競争力の向上はもちろんのこと、生活基盤の質を高める上でも重要であると思います。厳しい財政状況を踏まえつつ、今後とも、限りある財源を投資効果の高い事業に重点的に配分して、その着実な整備に努めてまいりたいと思っております。
 臨海開発についての会計の統合についてでありますが、来年度の予算要求において、所管局から、現行の三会計を統合し、新たな会計を設置するという要求が出され、現在、検討を進めているところでありまして、それも十分承知しておりますが、その結果を得たいと思います。このことについては、今後の予算編成過程を通じて十分に検討してまいります。
 臨海開発の再検討についてでありますけれども、臨海副都心開発は、二十一世紀の東京の活力と創造力を生み出し、都民生活を支える新しいまちを創造する重要な事業であります。現在、臨海副都心では、道路等の地域内都市基盤の約八割が完成し、既に七百を超える企業などが活動を行っております。
 また、臨海副都心は、最近の都民への調査によりますと、東京で自慢できる場所、外国人を案内したい場所のいずれでも上位にランクされておりまして、現に多くの来訪者でにぎわうなど、世界に誇る東京の新しい名所として親しまれております。どうか一度おいでいただきたいと思いますが、こうしたことから、今後とも、これまでの投資を最大限生かしながら、着実に開発を進めてまいります。
 次いで、監理団体の存続と統廃合の考え方についてでありますが、今回の改革では、団体の設立趣旨にまでさかのぼった見直しを行いました。この結果、効率的経営のもとに、都民サービスの向上が期待できるものについては、引き続き団体を存続し、活用することといたしました。
 一方、社会経済状況の変化によって必要性の薄れたもの、あるいは事業を統合することで、より効率的に都民サービスの向上が図られるものについては、団体事業または団体そのものを統廃合することといたしました。女性財団の廃止に関してはその結果であります。
 東京都税制調査会の答申についてでありますが、答申は、二十一世紀の地方主権を支える国と地方の税財政制度のあり方を示したものでありまして、極めて有意義なものであると考えております。
 法定外税については、今後、答申を踏まえ、議会も通じてあらゆる角度から十分検討し、必要性、緊急性、実現可能性などを総合的に判断したいと思います。
 少子化状況における、企業での働き方の改善に関する基本認識についてでありますが、働く人々が、職業生活と家庭生活を両立しながら働くことのできる職場環境づくりは、企業が主体的に取り組むべきことと認識しております。
 しかしながら、少子化は、労働力の減少をもたらし、経済活動の衰退など地域社会の広い分野にも影響を及ぼすものであります。このため、都としては、企業における職業と家庭の両立支援の取り組みがより円滑に進められるよう、さまざまな施策を講じてまいります。
 次いで、子どもたちに基礎的な学力を身につけさせることの重要性についてでありますが、これは論をまたない話でありますけれども、現在、二十一世紀の日本を担う、個性豊かで創造力に富んだ人材を育成することが強く求められております。
 今の教育方針が、みずから学び、みずから考え、主体的に判断し、行動するなど、生きる力をはぐくむことをねらいとしていることは、ご存じのとおりであります。そのためにも、子どもたちの個性や創造性、感性をはぐくむとともに、人として生きていくために必要な基礎的な学力を身につけることが重要であります。
 しかし、残念なことに、指摘されるような傾向がございまして、かつては、子どもたちの世界的な数学のコンテストでは、いつも日本の子どもがトップを占めておりましたが、最近は、残念ながら、その地位をシンガポールとか韓国に譲るような傾向がございます。私たちは大いに反省しなくてはいけないと思います。
 次いで、横田飛行場についてでありますが、都の最終目標は返還であり、これまでも、そのための必要な措置を国に求めてまいりました。
 返還までの対策として、首都圏の空港機能を補完し、多摩の振興を図るために、横田飛行場の民間航空利用の実現について国に働きかけてまいりましたが、国からは確たる返事もございません。今後も、これらの目標を実現するために、あらゆる手だてを講じていくつもりです。
 また、周辺地域における実態調査や、それに基づく対策については、本来は国が実施すべきものでありまして、引き続きその実施を国に強く求めてまいります。
 次いで、浜渦副知事に関する質問でありますが、あの出来事が起こりましたとき、私から副知事に対して既に厳重に十分注意をいたしました。さきの議会運営委員会理事会で本人は既に遺憾の意を表しており、真意はおおむねご理解いただけたと受けとめております。本人も十分自戒することと思います。
 その他の質問については、副知事、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔副知事浜渦武生君登壇〕

○副知事(浜渦武生君) まず、発言の機会を与えてくださった日本共産党に感謝申し上げます。
 過去、コミンテルンの共産主義は、暴力革命を肯定していますが、私は、現在に至るまで暴力は否定しております。しかし、降りかかる火の粉はみずから振り払い、みずからの身はみずからが守るという自己防御、自主防衛の気概は持ち続けているところであります。(発言する者あり)
 ご質問いただきました件は、既に議会運営委員会の理事会で申し上げたとおりでございます。
 なお、ご指摘の点につきましては、謙虚にご激励と受けとめ、一層都政改革に励んでまいります。
   〔「今の答弁は何だ」「議事進行」と呼び、その他発言する者多く、離席する者あり〕
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、子どもたちが基礎学力を身につけるために、必要な内容を精選することについてですが、新しい……
   〔発言する者多し〕

○議長(渋谷守生君) ご静粛に願います。

○教育長(横山洋吉君) 新しい学習指導要領では、子どもたちが基礎的な学力を身につけるために、学習内容を基礎的、基本的な内容に厳選しますとともに、各学校がそれぞれの実情に応じて、弾力的に教育課程を編成するようにしております。(「議長」と呼び、その他発言する者多し)
 また、各学校が創意工夫を行い、学習到達度に応じた指導や指導方法の改善ができるよう配慮されており、都教育委員会はこの趣旨の徹底を図っております。(「教育長下がって、下がって」と呼び、その他発言する者多し)
 次に、三十人以下学級の実現についてですが、学級規模を考えるに当たりましては、教育効果の観点から、生活集団としての学級の児童生徒数を議論するのみでなく、少人数指導のための学習集団の活用等を含めて、総合的に検討することが必要でございます。
 こうした点につきまして、文部省は本年八月に、公立小中学校の第七次教職員定数改善計画を策定し、基礎学力の向上と教科等の特性に応じたきめ細かな指導に対する支援として、教員定数を改善する予算要求を行っておりまして、都教育委員会としましては、これらの動向を踏まえて対応してまいります。
   〔発言する者多し〕

○議長(渋谷守生君) ご静粛に願います。
 緊急に協議をしたいことがございますので、交渉会派の幹事長さんは議長席までおいでいただきます。
   〔発言する者多し〕

○議長(渋谷守生君) お静かに願います。
 緊急に協議をしたいことがございますので、交渉会派の幹事長さんは議長席までおいで願います。
   〔発言する者多し〕

○議長(渋谷守生君) ご静粛に願います。
 今、私は幹事長にここにおいでいただきたいということを申し上げました。おいでいただきました。――議事を進行いたします。
   〔発言する者多く、離席する者あり〕

○議長(渋谷守生君) 議事を続行いたします。
   〔発言する者多し〕
   〔福祉局長高齢者施策推進室長兼務前川燿男君登壇〕

○福祉局長高齢者施策推進室長兼務(前川燿男君) 十点のご質問にお答えいたします。
 まず、三宅島の避難島民の方々への生活支援についてでありますが、(発言する者多し)都はこれまで、避難島民の皆さんに対し、独自に種々の支援策を講じてまいりました。生活必需品の支給品目の拡大、生活福祉資金の無利子貸付、都営住宅等の無償提供などに加え、今回、国の被災者生活再建支援制度の対象とならない世帯についても、支援金を支給することといたしました。また、各種医療費助成制度の活用、生活保護の適用など、個々の生活実態に即した対応を図るよう、区市町村に対し協力要請しております。今後とも、村や国等関係機関と連携しながら適切に対応してまいります。(発言する者多し)
 次に、介護保険について、まず介護保険料等の負担軽減についてでありますが、介護保険制度においては、すべての被保険者が公平に保険料を負担するとともに、利用者が費用の一部を利用料として負担することが、制度の健全かつ円滑な運営のために不可欠であると認識をいたしております。
 また、本制度においては、低所得者への配慮として、所得に応じた保険料の設定方式や、利用料負担が著しく高額とならないための仕組みが既に設けられております。
 したがって、都としては、ご提案のような国への要望や独自の取り組みは考えておりません。
 介護保険を補うための施策についてでありますが、既に転倒予防教室、配食サービスなどの介護予防・生活支援事業、家族介護教室などの家族介護支援特別事業、住宅のバリアフリー化など都の包括補助事業である高齢者いきいき事業……
   〔発言する者多し〕

○議長(渋谷守生君) ご静粛に願います。

○福祉局長高齢者施策推進室長兼務(前川燿男君) 苦情解決など利用者保護のための仕組みづくりなど、各種事業を積極的に実施しております。都としては、引き続きこうした総合的な事業展開を図ってまいります。
 次に、老人医療費助成制度、老人福祉手当、シルバーパスの見直しについてでありますが、これらの事業については、事業を開始した昭和四十年代に比べ、社会経済状況が大きく変化したことや、国の施策が充実されたことなどを踏まえ、負担の公平、介護保険制度との整合性の確保の観点などから見直しを行ったものであります。見直しと同時に、新たな時代にふさわしい施策を積極的に展開いたしております。したがって、もとの制度に戻すことは考えておりません。
 次に、越年、越冬の生活支援についてでありますが、冬期に限らず都民が生活に困窮した場合には、雇用保険などの社会保険制度や各種の手当、貸付金等の社会福祉施策、さらに、最後のよりどころとしての生活保護制度など、さまざまな社会保障制度がセーフティーネットとして用意されております。区市町村と連携しながら、これらの制度を活用し、個々の実情に応じた対応を図ってまいります。
 次に、少子対策について、まず保育施策についてでありますが、都においては、これまでゼロ歳児保育や延長保育など、都民の多様なニーズにこたえるため、区市町村と連携し、保育事業の充実を図ってまいりました。現在では、質、量ともに東京の保育サービスは相当な水準に達していると考えております。今後は、利用者本位の保育サービスのさらなる展開を図ることが課題であると考えております。
 保育所の待機児童についてでありますが、待機児童の実態は、基本的には地域による需給の不均衡と、年齢や保育時間等による保育内容のミスマッチに基づくものと考えております。したがって、待機児童の解消のためには、こうしたミスマッチへの対応が必要であり、今後、区市町村と連携しながら、新たな施策展開を図ることにより対応してまいります。
 次に、出産に要する費用についてでありますが、お話のように健康保険法等により、出産育児一時金を支給する制度が設けられており、低所得世帯については生活福祉資金を利用する道も用意されております。お尋ねの趣旨については、これらの制度を活用して対応すべきものと考えております。
 次に、乳幼児医療費助成制度についてでありますが、本制度は、少子化対策の一環として、平成十年十月に対象年齢を一歳拡大して四歳未満といたしましたが、本年十月には五歳未満とし、さらに一歳拡大いたしました。現在、関係者の協力を得ながら、新しい制度内容の円滑な実施に努めております。
 最後に、乳幼児医療費助成制度の所得制限についてでありますが、子育て家庭に対する経済的支援策である本制度については、今後とも一定の所得制限を設けることが必要と考えております。
 都の基準を上回る助成をしている区市町村については、基礎的自治体として独自の判断に基づいて行っているものと理解をいたしております。
   〔「休憩」と呼び、その他発言する者多し〕
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、避難している三宅村民に対する電気・ガス料金の減免についてでございます。
 三宅村民に対しましては、既に災害救助法の適用に伴い、電気・ガス料金の支払い期限の延長等、災害特別措置が実施されております。しかし、避難の長期化が見込まれることから、国に対して、料金の減免措置など一層の支援を要請しております。今後とも、国及び電気・ガス供給事業者に対しまして強く働きかけてまいります。
 次に、三宅島から避難している村民の相談や支援についてでございます。
 都はこれまで、生活必需品の提供や生活福祉資金の貸し付けなどに加え、心の健康相談なども行ってまいりました。村も、住民説明会や避難世帯に対する巡回相談などに取り組んできております。しかし、何分にもふなれな都会生活を送るために、ストレスも生じ、生活面や仕事面などでさまざまな悩みを抱えていると伺っております。このため、今後とも村と連携、協力し、村民の方々のさまざまな悩みの解消に努めてまいります。
 次に、三宅島火山災害に対する基金の設置でございます。
 都はこれまで、村民の経済的困難に対応するため、さまざまな支援策を実施してまいりました。また、避難の長期化も見込まれるため、既に被災者生活再建支援法の早期適用も決定したところでございます。今回、新たに基金を設置して対応することは考えてございません。
 次に、協議機関の設置についてでございますが、三宅島に対する今後の対策に当たっては、各方面からさまざまなご意見を聞きながら、適切に対応してまいります。
 次に、国勢調査の実施に伴う三宅村に対する地方交付税の取り扱いについてでございます。
 先般、十月一日付で行われました国勢調査におきましては、三宅村について、避難先を居住地とみなし実施されたため、人口はゼロとなってございます。このままでは、三宅村の平成十三年度以降の普通交付税の激減が憂慮されるところでございます。
 このため、都といたしましては、三宅村の普通交付税の算定に当たり、国勢調査人口を用いず、別途算定の特例を講じるよう、国に対して、十月に緊急提案要求を行ってまいりました。今後とも、所要の交付税額の確保を図るため、村とも十分連携をとりながら、国に対して強く働きかけてまいります。
 最後に、リストラなどにより収入が絶たれた生徒の家庭に対する支援についてでございます。
 都は、私立学校の授業料等の負担を軽減するため、私立高等学校等授業料軽減補助制度を設け、保護者の所得状況に応じ、授業料の一部を補助しております。また、失業や倒産など家計の急変に対する措置といたしまして、学校の授業料減免額の一部を補助するほか、育英資金の特別貸付を実施しており、これらの総合的な取り組みにより保護者負担の軽減に努めてまいります。
 私学助成につきましては、私立学校が東京の公教育に果たしている役割も踏まえ、今後とも適切に対応してまいります。
 以上でございます。
   〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕

○労働経済局長(浪越勝海君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、だれもが就労できる公的就労を開始すべきとのお尋ねですが、いわゆる公的就労として実施していた失業対策事業については、事業の非効率性や就労者の本事業への長期滞留等の問題が生じたことから、国の方針に基づき、平成四年度に廃止したところでございます。
 都は、現下の厳しい雇用失業情勢を踏まえ、臨時応急の措置として、国が設けた緊急地域雇用特別交付金の活用などにより、中高年失業者などの雇用機会の創出に努めているところでございます。また、今後ともハローワークなどとも連携して、民間における就業機会の確保に努めてまいります。
 次に、中小企業者へのいわゆるつなぎ融資についてでございますが、都は金融機関、信用保証協会との協力のもとに制度融資を運営しており、現行の制度融資の中に短期資金融資を設け、六カ月以内の短期資金需要に対応しているところでございます。今後とも、中小企業の資金需要や景気動向に応じた資金調達の円滑化に努めてまいります。
 次に、職業と家庭の両立支援についてでございますが、働く人々の職業生活と家庭生活を両立できる環境をつくり上げていくことは、重要なことと認識しております。
 このため、都は、男女労働者に優しい職場推進企業の表彰を行うとともに、受賞企業の担当者をパネリストとするシンポジウムや、企業の人事担当者を対象としてセミナーを行うなど、企業における両立支援の普及啓発に努めているところでございます。また、地域において育児援助を会員相互で行うファミリー・サポート・センターの創立を促進してまいりました。今後とも、これら両立支援のための施策の推進に努めてまいります。
 最後に、中小企業金融安定化特別保証制度をめぐる不正事件についてでございますが、本制度は、平成十年十月に、貸し渋りに対応するため、全国統一の制度として国が創設したものでありますが、中小企業の金融制度にかかわる今回の事件については、まことに残念なことであります。現在、東京地検による捜査が継続中であり、都としては、その状況を慎重に見きわめているところであります。
 中小企業の資金調達の円滑化を図っていく上で、信用保証制度は極めて重要であり、今後とも、都の制度融資の適正な運用に努めてまいります。
   〔財務局長木内征司君登壇〕

○財務局長(木内征司君) 公共工事の発注についてのご質問にお答えいたします。
 東京都は、分離分割発注や共同企業体方式の活用など、中小企業の受注機会の確保を基本としつつ、コスト縮減の観点を踏まえた対応を図ってきたところでございます。今後とも、こうした考えのもと、適切な公共工事の発注に努めてまいります。
   〔都市計画局長山下保博君登壇〕

○都市計画局長(山下保博君) 環状道路の計画について世界の大都市に学ぶべきとのことでございますが、都市の形成や道路整備の歴史が異なるロンドンなどの事例を、一概にそのまま東京の道路計画に当てはめることはできないと考えております。
 都においては、三環状道路の整備が重要であると認識しておりまして、環境保全などを図りながら、これらの整備を推進しているところでございます。とりわけ外環につきましては、従前の高架構造から地下化を基本とする方向に変更するなど、万全な環境対策を施すことといたしております。今後とも、欧米大都市に比べおくれている環状道路の整備を積極的に推進するなど、交通渋滞の解消に向けて努力をしてまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 少子化対策に関連して、不妊治療の保険適用範囲の拡大と助成についてのお尋ねであります。
 現在、国において、保険適用の前提となる不妊治療の安全性や倫理面、法的側面等からの検討が行われていると聞いております。都としては、こうした国の動向を見守ってまいります。

○議長(渋谷守生君) この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後四時五十二分休憩

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