平成十二年東京都議会会議録第十六号

   午後一時一分開議

○議長(渋谷守生君) これより本日の会議を開きます。

○議長(渋谷守生君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(渋谷守生君) まず、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(會田紳次君) 平成十二年十二月五日付知事名議長あて、本定例会に提出するため、議案二件の送付がありました。
(別冊参照)

○議長(渋谷守生君) この際、日程の追加について申し上げます。
 知事より、第三百十二号議案、心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例外条例一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(渋谷守生君) これより質問に入ります。
 百十二番山崎孝明君。
   〔百十二番山崎孝明君登壇〕

○百十二番(山崎孝明君) まず、最初の火山活動から既に六カ月、また、九月の全島避難から三カ月がたった現在も、困難な避難生活を余儀なくされている三宅島の皆さんに対し、心からお見舞い申し上げます。
 我が党は、率先してこの間、さまざまな支援を行ってまいりましたが、長期化する避難生活を踏まえ、今後も変わらず三宅島島民の皆様を全力で支援してまいります。
 さて、我が国経済は、景気回復を主眼とした国の経済運営により、今年度は一・五%程度の経済成長が見込まれ、景気回復の足取りは確かなものになりつつあります。
 政府は、こうした景気回復をさらに強化するため、この臨時国会で、IT関連を中心とする大型補正予算を提案いたしました。しかしながら、野党は、こうした景気対策を初めとする重要案件が山積する中で、何の政策的合意もないまま、首相不信任案を提出いたしました。こうした野党の態度は、国民生活を顧みることなく、いたずらに国政を混乱させようとするものであり、厳しく批判されなければなりません。
 一方、都財政は、依然として厳しい状況が続いており、さらなる都政の内部努力が強く求められております。こうした中でも、現在の危機的な沈滞状況を打開し、東京を力強く再生する最も効果的な施策に重点的に財源を充て、都民に夢と希望を持たせることが重要であり、そこに政治の役割があるものと考えております。
 東京は国際的な競争社会の中にさらされており、東京を再生させ、東京の活力を大きく高めていくことは、都政の喫緊の課題であることを申し上げまして、以下、都政が抱える重要な課題について、自由民主党を代表して質問をいたします。
 初めに、東京の再生にかける決意について伺います。
 知事が今回の所信表明において、引き続き財政構造改革を推進するとともに、東京の再生のため、施策を厳選し、財源を重点的に投入するということを明らかにしたことは、二十一世紀においても、東京が首都としての役割を果たし続けるという決意であり、長期的展望に立って都民の負託にこたえるという意味で、極めて重要な認識と評価するものであります。
 我が党としては、首都圏三環状道路の整備など首都機能の充実を図るとともに、IT産業の拠点としての秋葉原開発など産業の活性化や、子育て支援や障害者施策など福祉、医療改革の推進など、東京の活性化に資する施策に重点的、集中的に取り組んでいくことが効果的であると確信いたします。
 これからの財政運営に当たっては、財政構造改革路線を引き続き邁進する一方で、現在の危機的な沈滞状況を打開し、都民に夢と希望を与え、東京を力強く再生する最も効果的かつ真に必要な施策に事業内容を明確に定めた上、重点的に増収財源を充当していくことこそ肝要であります。こうした考えに立って、強く申し上げたいことがあります。
 今後、都税収入に一定程度の伸びが期待できそうでありますが、この増収は、景気の本格回復によるものというより、特例的な要因による、いわば税収バブルというべきものであり、中小企業及び都民の実感はいまだに不況感が強く、景気の回復を強く期待している状況であります。
 過去の都政運営を振り返ると、わずか十数年前のバブル期を背景に都税収入が急増した時期において、投資的経費を拡大し、箱物と呼ばれる大規模施設の建設に代表されるように、必ずしも緊急性、必要性が高くない事業であっても、積極的に施策展開を図ってしまったものであります。
 こうしたことが、維持管理経費や都債償還費の増大となって、現在の都財政に大きな負担となってのしかかっているのであります。あげくの果てに財政再建団体転落の危機に直面してしまったのであり、こうした悪夢を二度と繰り返させてはなりません。
 たまたま金ができたからといって事業を行うという発想ではなく、知事のリーダーシップのもと、まず首都東京の再生のために真に必要な骨太な事業を選び、財政危機下にあっても、必要な財源を長期的視点に立ってあらかじめ基金等担保し、その事業を必ず行うという方針を直ちに打ち立てるべきであると考えますが、まず知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、今回の補正予算案について申し上げます。
 我が党は、さきの第三回定例都議会において、三宅島噴火、新島・神津島等の地震に関する災害対策のために、都としても可能な限り速やかに補正予算を編成すべきである旨を知事に対して要望いたしました。
 知事は、我々の要望をいち早く受けとめ、年度途中の補正予算としては、平成十年の九月補正以来、規模としても一般会計で三百三十八億円と、災害関連のみの補正予算としては大規模なものを編成し、提案していただきました。
 今回の事業内容も、住民の方々の生活の安定化を図るための生活資金の貸し付けなどの災害応急対策から、道路や河川などの災害復旧、農林水産業などの産業振興まで幅広いものとなっており、まさに今後の島民の方々の生活にとって不可欠なものばかりであります。
 これらの措置は、住民の生命を守り、安全を確保するという、都が果たすべき行政の最も重要かつ基本的な役割を当然果たしたものではありますが、被害に遭われた伊豆諸島の方々、特に全島避難を余儀なくされている三宅島の方々に、希望の光を少なからず与えるものとして、今回の都の積極的な姿勢は評価に値するものであります。
 そこでまず、知事に、今回の補正予算案編成の基本的な考えをお伺いいたします。
 残念ながら、三宅島の火山活動は続いており、今も大量の火山性ガスが放出されています。こうした中、三宅島の方々の避難が長期化しており、現地においても被害状況が日々進行中であり、十分な災害復旧事業ができないところもあると聞いております。
 今回の補正予算案は、当面の緊急に必要な経費を計上したものでありますが、今後の被害状況や避難生活の長期化に対しても弾力的に対応し、最大限の配慮をすべきと考えます。今後、災害関連経費の増大に対して、どう対応していくのか、ご所見を伺います。
 三宅島から避難されている方々のケアについては、十分な対応をお願いいたします。とりわけ、ひとり暮らしの高齢者が、阪神・淡路大震災のときに、避難先でだれにもみとられずに亡くなられていたことが数多くあったと聞いております。三宅島から避難された高齢者の方に、そのようなことが絶対ないよう、区市町村とも連携したきめ細かな配慮が必要です。このことを強く要望しておきます。
 次に、国の景気対策のための補正予算について伺います。
 国は、景気の自律的回復の確立と多様な知恵の時代にふさわしい未来型社会への出発の二つを目的として、日本新生のための新発展政策を打ち出し、それを裏打ちするための総額四兆七千八百三十二億円の補正予算案がこの臨時国会で可決成立したところであります。
 その内容は、IT革命の飛躍的推進、循環型社会の構築などの環境対応、活力と楽しみにあふれた未来社会をつくる高齢者対策、便利で住みやすいまちづくりを目指す都市基盤整備の四分野に重点が置かれています。
 都としても、景気の持続的回復は依然として緊急の課題であり、また、おくれている東京の社会資本整備の推進を図っていく必要があるなど、今回の新経済対策に関しては軌を一にしている点もあり、積極的に対応していくべきであると考えます。
 今後、国の補正予算に合わせて、都として、都税収入の増収分をも活用して景気浮揚にも役立てる補正予算を年度内に編成すべきであると考えますが、見解を伺います。
 次に、十三年度予算編成について伺います。
 先月八日に来年度予算の各局要求状況が発表されました。都財政再建に向けた厳しい方針が貫徹された結果、一般歳出ベースで対前年予算比〇・五%増の非常につつましい要求内容となっております。これは、財政再建推進プランの歳出削減目標を前倒し実施するため、大幅なマイナスシーリングがかけられたことが大きな要因であります。
 このこと自体は、都財政の構造改革が待ったなしであることを踏まえるならば、やむを得ぬことと理解しますが、しかし、これで問題なしといえるのでしょうか。最大の問題は、シーリングの名のもとに、一律に経費の圧縮を行っている点にあります。そもそもシーリングは、目的ではなく手段であります。それぞれの施策の優先度を考え、都民に明るい夢を持ってもらえるような、めり張りのある予算要求とすべきであります。東京構想二〇〇〇や東京ベイエリア21に代表されるような中長期的な構想の中間のまとめには、全く都民が夢を持てるようなものがない内容でありました。
 しかしながら、都税収入の今年度見通しに関しては、さきの第三回定例都議会で我が党の質問に対し、主税局長が、相当程度上回ることが想定されている、と発言がありました。
 また、十三年度には、銀行業等に対する外形標準課税の導入により、固定資産税等の減免を差し引いても、約一千億円の増収が見込まれており、今後の都財政にとって明るい材料も出てきております。
 一方、来年度の予算編成における課題について、知事は、隠れた借金もたくさんあり、都財政は依然として厳しいと答弁されています。知事がいう隠れた借金とは、具体的に何を指しているのかについて伺います。
 確かに、一般会計で七兆円を超える都債残高があり、それに加えて隠れ借金があり、さらに二年連続で財政赤字が続いているなど、都財政は厳しい状況が続いているといえます。
 石原知事は、就任以来、前任者から引き継いだ巨額の負債の整理に忙殺されざるを得なかったわけでして、その無念さは私どもにも痛いほど伝わってまいります。
 しかし、種をまき、苗を植えることも大切ではありますが、停滞した現在の東京に活を入れていくためには、思い切って巨木を植えることも必要であり、それは、都民も強く願っていることであると確信いたします。
 都財政再建に向けた厳しい努力を継続しつつも、知事として二回目となる来年度予算編成では、都知事、ひいては政治家石原慎太郎としてのカラーを大胆に打ち出すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、財源確保の観点から、二点について伺います。
 まず、税制についてお伺いいたします。
 先日、東京都税制調査会から答申が出されました。国、地方を通じた税制の将来像を、地方の立場から初めて具体的に示した答申であると考えております。
 とりわけ、地方分権を推進するために不可欠な税源移譲については、地方交付税及び国庫支出金の削減による財源を原資として段階的に行うことを提言しており、従来の抽象論を脱却し、極めて現実的、具体的な内容となっております。
 国に依存した現行の地方税財政制度の改革は、地方自治体にとってみずからの痛みを伴うものであり、実現は容易ではありませんが、我が国の再生を図るためにも避けて通ることはできません。
 また、答申にあるように、特に東京において過重となっている商業地等の固定資産税や中小企業者の事業承継に伴う相続税負担の軽減も、大きな課題であります。
 かつて、一年半前の都知事選の争点の中で、都市政策がないとの議論がありましたが、大都市東京の都市政策を進めるためには、税財政構造の改革なくしてはなし得ないのであります。財源なくしては大都市政策はなし得ないのであります。
 そこで、知事は、今回の答申をどう評価し、また、今後どのように国に実現を迫っていくつもりか、ご所見を伺います。
 また、答申は、東京都にふさわしい法定外税として、具体的に四つの課税案を提言しておりますが、知事は、答申に盛り込まれた課税案をどのように受けとめ、どう扱っていくつもりか、ご所見をお伺いいたします。
 二点目として、都有財産の有効活用について伺います。
 都は、過去からの蓄積により、膨大な量と価値を有する土地や建物を保有しています。現在、財政再建推進プランに基づき都有地の売却を進めていますが、長年にわたり使われないまま放置されている未利用地や利用度の低い建物があるなど、財産の有効活用といった面ではまだまだ十分とはいえません。
 不用な土地については売却を図る一方、利用率の低い建物は他の用途への転用や活用を図るなど、さまざまな方策を用いて財産を活用していくべきであります。
 こうした中で、都は、先般、財産利活用総合計画を発表しましたが、この計画を策定した基本的な考え方は何か、また今後の財産活用にどのような方策で臨むのか伺います。
 次に、震災対策について伺います。
 本年は、三宅島や新島、神津島を初めとして、全国各地において、火山噴火、地震など大規模な災害が相次いで発生しており、その脅威をまざまざと見せつけられました。
 本年七月十五日の新島地震でも、新島本村と若郷を結ぶ都道二一一号の檜山地区の大崩落により、物資輸送や通勤通学は、村営船に頼っております。これから冬場を迎え、波浪等により村営船の欠航が心配されます。
 新島本村と若郷を結ぶ仮設道路の整備を進めると聞いていますが、島民の生活路線の確保のため、村からも早期完成の強い要望が出されております。この道路の通行が可能となるのはいつか、お伺いいたします。
 こうした火山や地震災害が起こると、一瞬にして多くの人命と財産が失われることから、常にその対策に万全を期すことが、都政の最重要課題の一つと考えます。
 知事は、就任以来、あらゆる災害事態を想定した危機管理の重要性を指摘されており、二十九年ぶりに東京都震災予防条例を全面改正することは、非常に有意義なことと思います。
 そこでまず、知事は、どのような理念のもとで条例の全面改正を行うのか、所見をお伺いいたします。
 また、その理念を具体化するに当たって、地震災害から都民や東京に集う多くの人々の生命や財産を守るために、都民、事業者や行政の責務と役割を明確にし、連携を図っていくとしていますが、この中で、行政の責務としてどのような点を強化していくのか、伺います。
 三宅島火山災害における災害対策活動でも実証されたところでありますが、基礎的自治体である区市町村の役割は、極めて重要と考えます。そこで、今回の条例改正では、区市町村の役割についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
 次に、行政改革について伺います。
 我が党は、これまで、行政改革は、目先のことだけをとらえて拙速に行動するのではなく、地方分権やそれに基づく大都市自治体としての責任、さらには、首都として今後果たすべき役割など、中長期的な視点で東京の将来像をしっかりと見据えた上で取り組むべきであると主張してきました。
 間もなく都庁改革アクションプランの最終のまとめが公表され、当面取り組むべき具体的な改革策が示されることと思いますが、この最終のまとめでは、中長期的な改革についてどこまで触れるつもりなのか伺います。
 また、行政改革の基本的視点について、中間のまとめでは、スピードの重視、コスト意識の徹底、成果の重視の三点を挙げていましたが、中長期的な改革を行うためには、東京の発展と都民生活の向上をみずからの判断と責任で行っていくという地方分権の視点も不可欠であると考えますが、所見を伺います。
 一方で、今日の財政危機から脱却し、さまざまな分野で東京をよみがえらせるためには、これまでの行財政システムを不断に見直し、変えることのできるものについては、勇気を持って変えていく姿勢が極めて重要であることはいうまでもありません。
 このような観点から、今回、行政改革の一環として都が発表した、「監理団体改革実施計画―監理団体総点検結果―」について伺います。
 今回の実施計画では、現在の六十二団体を四十七団体に統廃合するとしていますが、我が党は、従来から、団体改革は、単に数を減らせばよいというものではなく、本来の設立趣旨とメリットを十分検証した上で、見直すべきは見直し、活用すべきものは活用すべきと主張してきました。この改革において、団体統廃合はどのような考え方に基づいて実施されるのか、まず伺います。
 この実施計画では、統廃合等の計画だけではなく、団体別に経営改善計画を策定し、都民の前に明らかにしています。このことは、従来の改革案では見られなかったことであり、団体にとってみれば、大変勇気の要ることだと推察するものでありますが、今回、団体別の経営改善計画を明らかにしたことの意義は何なのかを伺います。
 今回の団体改革は、これまでのものと比べて、規模、内容とも、スケールの違う大幅な見直しとなっております。
 知事は、就任以来、団体改革については積極的な姿勢を貫いてこられました。この監理団体改革実施計画を今後どのように進められるのか、知事のご所見を伺います。
 ところで、この総点検結果では、東京女性財団について、事業の直営化及び、それに伴う財団の廃止の方針が出されました。本財団は、設立以来、研究、相談事業等を通して、男女平等の社会的風土づくりに一定の役割を果たしてきましたが、今や、男女平等参画をめぐる社会状況は、男女平等参画基本条例の制定など法制度の面で、また区市で多くの女性センターが設置されるなど、新たな段階を迎えております。
 このような中、企業での参画促進や、家庭内暴力問題対策などにも実効ある取り組みが求められており、そのためには、本庁と第一線とが連携して、行政機関として施策に取り組むことが必要となってきていると考えます。
 この監理団体総点検において、女性財団の事業を直営化すると判断した理由、また、直営化については、関係者、関係団体の理解がまだ十分に得られていないように思われますが、直営化を円滑に実施するためにどのように対処していくのか、伺います。
 次に、都民の健康を守るための健康都市を目指し、東京クリーン戦略をオール都庁で取り組むよう、公害対策について質問いたします。
 まず、公害防止条例の改正についてでありますが、東京の環境は、今まさしく危機的な状況にあります。ディーゼル車排出ガスによる大気汚染に加え、有害化学物質による土壌や水質汚染の広がりは、都民の健康を根底から脅かしております。また、地球と都市の温暖化は、異常気象の原因になっているといわれており、集中豪雨をもたらすなど、都市生活の安全性を損ないつつあります。
 都は、本定例会に、東京都公害防止条例の全面改正案を提出しておりますが、このような環境の危機の深まりを見るとき、今回の条例改正は、まさにタイムリーなものであります。
 今回の改正は、昭和四十四年の条例制定以来、初めての大きな改正であるといわれておりますが、今回の改正が何を目指したものなのか、改正の基本理念と改正条例案の主な内容について伺います。
 公害防止条例の改正は、環境の危機の克服にとって大きな意義を持つものですが、条例改正だけで、東京の環境再生がなし遂げられるわけではありません。東京の環境をよみがえらせるためには、公害規制の強化に加え、環境産業の発展を図ることや、まちづくりや事業活動での環境配慮を進めるなど、総合的な取り組みを進めなければなりません。
 東京の環境再生に向け、今までのような各局ごとの施策でなく、オール都庁として各局が連携するプロジェクトを組むなど、全庁を挙げた取り組みを推進すべきと考えますが、ご所見を伺います。
 次に、自動車公害対策について伺います。
 ディーゼル車排ガスは、発がん性を有することが明らかになってきており、呼吸器疾患や花粉症を悪化させることも指摘されています。自動車排出ガスによる健康被害をなくすために、ディーゼル車規制を実施することは、都民にとって重要な課題であります。
 しかし、条例による規制が、その意図する効果を上げるためには、幾つかの課題が残されており、都は、今回の条例が円滑に実施されるよう、これらの課題克服に全力を挙げるべきであります。
 第一は、規制の実施に伴うコストについて、負担の公平を図ることであります。
 都条例による規制が適用されると、ディーゼルトラックやバスを使用する事業者は、より低公害な車への買いかえか、DPFの取りつけが必要になります。DPFについては、普及が進めば価格低下が見込まれますが、現状では、大型車用は数十万円という高額なものであります。
 ディーゼルトラックやバスは、他方では、東京の物流や都民の足として重要な役割を果たしていることも事実であります。トラック事業者やバス事業者だけに多大な負担を強いるのは公平ではなく、都民全体、そしてトラック業者の荷主もひとしく負担を負うべきであります。
 そこで、先行的な装着を促進するため、積極的な経済的支援を行うべきと考えますが、ご所見を伺います。
 第二の課題は、ディーゼル車対策についての広域的な取り組み体制の確立です。
 東京の大気を汚染しているのは、都内に登録されているディーゼル車だけでなく、都外からの流入車も全く同様であります。
 都の規制の実効性を高めるためには、近隣の県や市との連携を強化して、ディーゼル車対策を共同して進めることが必要です。どのように連携を図り、広域的な取り組み体制を築いていくのか、ご所見を伺います。
 これまでの都政では考えられなかったような大胆なディーゼル車規制の実現に向け、国や産業界を動かしてきたのは、都知事のリーダーシップによるものであります。ここに指摘した課題のほかにも、規制の実現のためには幾多の困難があると考えられますが、そうした課題を乗り越えるため、今まで以上に、ディーゼル車規制の実現に向けた、石原知事の確固たる指導力の発揮が必要であります。知事の決意をお伺いいたします。
 次に、東京のまちづくりとヒートアイランド対策について伺います。
 東京のような密集している都市であればあるほど、緑や水を確保していかなければなりません。とりわけ緑については、公園緑地としてのレクリエーション機能だけでなく、防災や環境保全など、多面的な機能を持っており、都市のヒートアイランド化の抑制にも有効であると考えます。
 そこで質問ですが、知事は、こうした緑の果たす多面的な機能を踏まえ、今後、東京の都市づくりにおいて、いかに緑をとらえ、位置づけようとしているのか、所見を伺います。
 次に、都市づくりの中で緑豊かな東京を創造していくためには、行政施策のみならず、広く民間の協力を得て緑豊かな都市づくりを進めることも必要であると考えます。
 都市の更新にあわせて、民間の建築活動を適切に誘導し、計画的に都市緑化を進めていくためには、都市計画的手法の活用が不可欠であると思いますが、所見を伺います。
 次に、都市のヒートアイランド化の抑制のためには、屋上緑化などを積極的に促進していくことが重要であると考えます。このため、ビル建設事業者が屋上緑化に向け、みずから行動を起こすような、強力なインセンティブが必要と考えます。
 そこで、具体的な一つの提案でありますが、屋上緑化を進めるためのインセンティブとして、容積率ボーナスの付与が有効な方策と考えますが、所見を伺います。
 あわせて、中央防波堤内側に緑豊かな森をつくることについて伺います。
 都は、東京臨海地域の役割や目指すべき方向を示す、東京ベイエリア21の策定を進めており、去る九月に中間のまとめを公表しました。広く意見や提案を募り、年度内に最終的なまとめをすると聞いております。
 ところで、現在、明治神宮の森として東京のシンボル的な森となっている区域も、大正時代の初期、広く全国からの献木を、数年にわたって植えたものであります。以来八十年、世界に誇れる都市森林となって、東京の風格を上げ、人々に愛され親しまれており、都市気象を緩和する役割を果たしております。
 東京の輝ける未来を想定し、東京の玄関を美しく飾り、自然との共生都市のシンボルとなる、平成の森を創設して、次世代の人々にプレゼントすることを提案したいと思います。
 この贈り物は、多くの人々のささやかな気持ちを込めた小さな苗木から始まりますが、やがて大木となって、森となり、百年、百五十年後の人々に、その恵みをあまねく分かつことになります。
 東京ベイエリア21では、おおむね二十年から二十五年後を目標にした都市づくりを目指していると聞きますが、二十一世紀のまちづくりは、自然との共生を基本的なコンセプトに進めるべきと考えます。
 そこで提案ですが、東京臨海地域の中央防波堤内側区域を対象に、平成の森づくりをすべきと考えますが、知事のご所見を伺います。
 次に、都市の活性化を進めるための総合的な都市基盤整備について伺います。
 まず、三環状道路についてですが、首都圏中央連絡道や首都高中央環状線は、現在、事業に着手しており、早期供用が待たれていますが、外環道については、昭和四十一年の都市計画決定以来、凍結状態にあります。
 知事は、昨年十月に現地視察を行い、これを契機に、三十数年間途絶えていた地元との話し合いが持たれ、地元団体との話し合いが継続されております。この知事の外環に対する積極的な取り組みは、評価しております。
 去る十一月三十日に、地元団体との第三回目の話し合いが持たれ、その中で、東京都は新たな進め方を提案したと聞いておりますが、どのようなものなのか、伺います。
 ところで、知事の視察から一年二カ月を経過しましたが、事業予定者である建設大臣は、一度も現地を訪れておりません。三十数年間凍結した地元住民の感情を和らげ、話し合いを進展し、さらには事業予定者の取り組み姿勢を示すためにも、建設大臣の現地視察を要請することが必要と考えますが、知事の政治力で、扇大臣に強く要請すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 さらに、小田急線の複々線化事業と連続立体交差事業について伺います。
 本年三月、下北沢駅周辺の住民が主体となった、下北沢まちづくり懇談会が、下北沢グランドデザイン構想図を策定するなど、事業の実現に不可欠な、沿線のまちづくりに対する機運も盛り上がっております。
 このような地域住民の取り組みを踏まえ、早期事業化に向けて都はどのようなスケジュールで取り組んでいくのか、伺います。
 次に、首都圏の空港整備について伺います。
 これまで我が党は、東京の国際競争力を高めるとともに、東京のみならず日本の活性化にとって、首都圏の空港の整備が急務であるとともに、羽田空港の国際化が不可欠であると指摘してきました。
 今回、知事は、羽田空港の再拡張を行い、増加した発着枠を使って羽田の国際化を進めることについて、政府・自民党に協力を要請されました。
 東京都議会自民党としても、これまでの我が党の主張が反映されたものであり、できる限りの協力をしてまいりました。
 このような動きの中、きょうの新聞報道では、羽田空港の深夜、早朝の国際チャーター便の就航について、千葉県が受け入れることを決めたとのことであります。いよいよ羽田空港の国際化も実現の段階となってきました。
 そこでまず伺いますが、東京都が提案した羽田空港再拡張案は、過去議論されていた再拡張案と比べ、どのような特徴を持っているのでしょうか。
 さらに、航空需要の伸びを考えると、この羽田空港の再拡張案のほか、首都圏第三空港の整備など、首都圏の空港機能はさらに充実させる必要があると考えます。
 知事は、これまで、年内に、首都圏全体を視野に置いて、空港のあるべき姿や実現に向けた取り組みの方向を明らかにすると発言されております。具体的には、都として何を航空政策基本方針で打ち出す予定なのでしょうか。
 特に、その基本方針の中で、横田基地の軍民共同利用については、今後どのように取り組まれていくのか、あわせて伺います。
 次に、この基本方針を活用して、首都圏の空港機能の充実に努めていくことになると思いますが、今後、充実に取り組んでいかれる知事の決意を伺います。
 いよいよ、十二月十二日に大江戸線が開業します。都心部をぐるりと取り巻くことになるこの路線は、さまざまな面において、東京の都市づくりに大きく貢献していくものと期待されております。
 また、大江戸線沿線では、新駅設置を踏まえて、十カ所以上の地区で、まちづくりが進んでおり、センター・コア再生ゾーンの都市づくりに大きな役割を果たすと考えます。
 そこでまず、都心を環状にネットワークする大江戸線は、東京の都市構造にとってどのような意義があるのか、伺います。
 今後、中長期的に常住人口が逓減していく中で、都市の活力を維持していくためには、ビジネスでの来訪者はもちろん、都市観光を育成して、内外の多くの人たちが絶えず交流する環境整備が必要であります。
 大江戸線には、上野・浅草、門前仲町などの下町情緒あふれる地域、新宿や六本木などのビジネス、エンターテインメントエリア、月島などの臨海エリアなど、主要な観光スポットがあります。
 そこで、これらを利用して、海外からの観光客や修学旅行生などが便利に観光できる対策を進める必要があると考えます。また、このことにより、地域の活性化や、大江戸線の乗客の増加にも寄与すると思われますが、観光客の利便性の向上に対する具体的な方策について、事業者としてどのように考えているのか、お伺いいたします。
 知事は、かねてより、業務機能のみならず、居住、文化、観光などのさまざまな機能に着目して、国際都市としての東京の魅力を高め、活力あふれる都市にしていくとの方針を示してきました。
 私といたしましても、この大江戸線を活用し、世界の都市に誇れる都市づくりを進めるべきと考えておりますが、この点について、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、築地市場の再整備について伺います。
 都民の台所の名で親しまれている築地市場は、生鮮食料品の供給拠点としてだけでなく、東京圏にとっても極めて重要な都市施設であります。しかしながら、近年、老朽化により機能が低下し、抜本的整備が不可欠となっております。
 そうした状況で、平成二年、築地市場再整備に着手したものの、遅々として進まず、いまだ本格工事に入れません。このような状況がこれ以上続く場合、都民の食生活の向上、安定にも支障が生じることとなり、放置することはできません。
 二十一世紀の流通を展望したとき、これから求められる市場はどのようなものなのか、また、現在地でその整備が可能なのか、伺います。
 また、東京の都市づくりの面から見ると、築地は、区部中心部整備指針等により、都心部でのアクセスのよさを生かした、業務、居住環境をつくり出す地域とされており、近隣の汐留地区においても、現在、業務と住居の複合した大規模開発が進んでおります。
 東京の都市づくりを考える上で重要なベイエリアの開発にとって、環状二号線や晴海通りの整備促進は重要な課題であり、この課題を解決するためには、今後の方策を決定せざるを得ないと思います。
 このような状況で、二十年という歳月と莫大な費用をかけて、現在地で再整備を継続することは、現実的であるといえるでしょうか。今後の東京の将来を考え、また、二十一世紀にふさわしい市場とするには、候補地は別としても、築地市場は、移転等を含めて考えざるを得ないと思いますが、スピード重視の知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、東京におけるIT関連産業拠点の整備について伺います。
 近年、シンガポールや香港などのアジア諸都市が目覚ましい発展を遂げる一方で、緩やかな回復傾向にあるとはいえ、東京の国際競争力や産業の活力は、いまだ低迷を続けています。東京都は、このような厳しい状況を危機としてとらえ、東京の活力を取り戻すために、さまざまな取り組みを行ってきております。
 こうした中で、東京都は、本年七月、東京の産業と雇用の危機的な情勢を打開するために策定した、東京都産業振興ビジョンにおいて、世界的な電気街である秋葉原を初め、IT関連産業の拠点を各地域に整備していく構想を打ち出しました。
 我が党は、今や、あらゆる産業にとってIT化が焦眉の課題であり、東京の産業全体の活性化を図る上でも、IT関連産業の育成や拠点づくりが重要であると考えております。
 これらを踏まえて、まず初めに、ITに関連した新たな産業拠点の位置づけと、相互の関連についてであります。
 産業振興ビジョンでは、秋葉原のほかに、多摩地域のシリコンバレー化を推進するとしており、渋谷付近では、ビットバレーと呼ばれる、情報関連産業の自然発生的な集積が形成され、また、臨海副都心においても、通信産業を核にIT関連産業が集積する、国際的な情報の受発信拠点であるグローバルITエリアを展開していく構想が発表されました。
 これらの産業拠点は、東京全域、都庁各局にまたがっており、IT革命の時代にあっては、従来の縦割りを廃して、オール東京、オール都庁のプロジェクトとして取り組んでいくことが不可欠であると考えます。
 そこで、東京都の産業政策としてのこれらの産業拠点をどのように位置づけていくのか、また、それぞれがどのような役割を持ち、どのように関連しながら、東京全体の産業の活性化につながっていくと考えているのかをお伺いいたします。
 さて、知事も熱意を持っておられる秋葉原の開発について、具体的に伺います。
 産業振興ビジョンに続いて、九月には、秋葉原地区まちづくりガイドライン中間のまとめが公表され、今後の秋葉原地区のまちづくりに関するハード、ソフト両面の基本的方針が示されました。
 九月六日には、知事みずから秋葉原を視察して、地元電気街や自治会の方々と意見交換を行い、本定例会の冒頭に際しては、秋葉原が持つ集客力と情報発信力を生かして、新しい産業や技術が生まれ育っていく拠点にしたいと、秋葉原地区の開発に強い決意を述べられました。
 そこで、秋葉原を、ITを初めとする新たな産業の世界的拠点として整備するという構想に至った背景と理由、また、今後どのように進めようとしているのかを伺います。
 さて、秋葉原地区の開発に当たっては、秋葉原地区に存在する都有地や鉄道建設公団用地の有効活用はもとより、周辺地域にも配慮したまちづくりが求められています。また、開発を早急に進めていくためには、地元自治会や電気街を初め、都民や産業界に対しても、秋葉原で今後どのようなまちづくりが行われるのかを具体的に示すことが不可欠と考えます。
 そこで、秋葉原の開発に当たって、都有地や鉄建公団用地の活用方策と、具体的なまちづくりの方向をどのように考えておられるのか伺います。
 知事は、さきの秋葉原視察後、記者会見において、秋葉原の開発は東京のみならず、日本、世界にとってためになるものであり、この開発ほど採算性のあるプロジェクトはないと述べ、並々ならぬ意欲を示されました。
 そこで、二十一世紀の秋葉原開発の早期実現と、それを通じた東京全体の産業活性化に向けて、知事は今後どのように取り組んでいかれるのか、改めてその決意を伺います。
 次に、商店街振興について伺います。
 現在、商店街をめぐる環境は大変厳しい状況が続いております。これらの難局を打開していくためには、行政としても何らかの手を差し伸べ、事業の安定的な継承と地域の活性化の足がかりとなる支援として、相続税や固定資産税の軽減なども必要と考えます。我が党が平成十年にいち早く提案した元気を出せ商店街事業については、大多数の商店街が、地域の活性化に大きな力を発揮したと評価しております。また、景気対策として、この事業は即効性のある重要な事業であると考えます。
 そこで、平成十二年度の元気を出せ商店街事業の進捗状況とその効果について伺います。また、本事業の継続については、今までも我が党の多くの議員が強く要望した経緯に加え、現在の商店街の未曾有の厳しい状況を踏まえ、十三年度も引き続き実施していく必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、多摩地域の中小企業の振興について伺います。
 多摩地域における中小企業の育成、発展を図っていくためには産業振興の拠点が必要であり、そうした拠点としての多摩地域中小企業振興センターの設置は不可欠であると考えます。現在、多摩地域中小企業振興センターは立川基地跡に建設するという計画になっておりますが、都財政の厳しい状況などから順調に進んでいないと聞いております。しかしながら、多摩地域の中小企業の振興を図る上では、経営と技術等が一体となった支援拠点を一日も早く整備することが必要であると思いますが、ご所見を伺います。
 次に、区市町村に対する福祉施策の包括補助制度「がんばろう!東京福祉」の充実について伺います。
 この問題に関しては、本年第二回、第三回定例会においても、我が党は充実が必要との立場から質疑を繰り返してきたわけですが、これにこたえる形で、福祉局と高齢者施策推進室は、厳しい財政状況と、これまた厳しいマイナスシーリングの縛りの中で、それぞれ三十億円から五億円の増要求を行い、合計で七十億円の事業として育てていこうとする意欲を見せております。
 このおのおの五億円という増要求については一定の評価をするものでありますが、区市町村の熱い期待と、新しい施策に取り組もうする並々ならぬ意欲からすれば、本当にこれで十分なのかという懸念もあるのであります。また、区市町村の中には、この「がんばろう!東京福祉」について、とてもよい制度ではあるが、三年で終わってしまうのではないかという不安から、都民のための新しい施策展開にちゅうちょしている団体があるのも事実であります。
 こうした状況を十分に踏まえていただき、この「がんばろう!東京福祉」については、中長期的な将来の姿を都民や区市町村にも見えるような手法をとって、さらなる充実を図っていくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、少子化問題について伺います。
 年を追うごとに深刻化する少子化の問題は、基本的には、国において国家的なテーマとして取り組むべきでありますが、東京の合計特殊出生率が平成十一年には一・〇四にまで低下している状況を見るならば、東京都としても、この課題に対して、東京という大都市特有の条件を踏まえて主体的に取り組みを行うべきであります。
 東京にはさまざまな就労形態の職業があり、女性たちが働きながら子育てをするためには、多様なニーズにこたえられる保育サービスの存在が不可欠であります。こうした中で、平成十三年度の予算要求に、都の独自の制度として盛り込まれた新しい認証保育制度の創設は、まさに機をとらえたものと考えます。今回の新制度は、規制を緩和して、保育の分野にも民間企業を参入させ、認可保育所では対応できていない、より質の高い多彩なサービスの提供を可能とする道を開くものとなります。
 そこで、こうした制度の趣旨を生かすために、余り厳しく運営を縛る制度とせず、企業のアイデアを生かす自由度を持たせてほしいということであります。こうした点も十分に踏まえ、新制度の事業化を進め、ぜひとも軌道に乗せて、働く女性の切実なニーズにこたえていただきたいと考えますが、認証保育制度に取り組む考え方について所見を伺います。
 少子化の問題については、長期的な視点に立って、社会保障、子どもの健全育成、医療、労働などの各分野を包括した総合的な取り組みを図るための議論の場が必要です。こうした議論の場というと、とかくステレオタイプの審議会のようなものになりがちであり、内容も、おもしろみに欠ける興味のわかないものとなってしまうおそれがあります。東京の未来像を左右するようなこうした課題に関しては、既成概念にとらわれない先見性ある議論を展開し、社会に新しい問題提起を行っていくことが重要と考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 次に、高齢化問題についてですが、介護保険が導入され、都民がサービスを選択して利用するシステムが整いました。しかし、高齢者を介護している人が急に倒れた場合には、寝たきりのお年寄りがたった一人で残されてしまいます。このようなケースで、急にショートステイを使おうと思っても、実際にはすぐに使えないという問題があります。高齢者が在宅で安心して暮らしていくためには、二十四時間いつでも受け入れられるような緊急ショートステイを早急に実施すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 次に、重症心身障害児施設の建設についてお伺いいたします。
 重度の知的障害と重度の身体障害をあわせ持ち、特に手厚い医療ケアが必要な方々が地域の中で生活していくためには、医療を基本とした通所や緊急入所などの総合的な機能を持った重症心身障害児施設が必要です。ご家族は、可能な限り在宅で療育を続けていきたいと日々懸命な努力をされていますが、介護する方々の高齢化などから、いつかは施設に入所をと、だれもが切実に考えているところであります。このような施設の実態については、視察などにより知事も十分ご存じのことと思います。
 ところで、区部東部地域には、重症心身障害児のための入所施設も通所施設も全くありません。この地域に住む人々は、専門的医療を受けるにしても、家族の急な病気や、冠婚葬祭で一時的に介護できないときに預かってもらうにも、二時間以上もかかる遠くの施設に行かなければならないこともあります。障害が重くとも、住みなれた地域で生活できるように支援することが行政に求められております。
 都が都民の生命を大切にする立場と、必要な事業を確固として推し進めることを期待しますが、総合的な機能を持った重症心身障害児施設建設の必要性について、どのように認識しているのかお伺いいたします。
 都では、平成七年の児童福祉施設等検討委員会報告を受けて、平成九年三月に江東区新砂に用地取得後、都立重症心身障害児施設検討委員会において、新施設の規模や機能について検討し、本年三月に最終報告が出されたと聞いております。建設用地を確保して三年以上が経過しようとしているのに、いまだ基本設計すら着手していない状況であります。医療と深いかかわりが必要な重い障害を持つ重症心身障害児にとって、いっときのおくれは一生のおくれにつながるのであります。
 先月、私は毎年欠かさず参加している障害者の方々の運動会に行き、そこで、重度の障害を持つ子どもたちや母親と話をしてきました。あの子どもたちの目の輝きは何だろうと思いました。生きよう生きようとする激しいまでの訴え、叫びではないだろうかと思いました。その折、一人の母親から、その後手紙をいただきましたので、ここで披露させていただきます。
 途中、抜粋して読ませていただきます。
 介護の内容は大変に過酷なものであり、肉体的、精神的にも強靱さを要求され、母親の疲労ははかり知れません。母親は、もしかしたらあす召されるかもしれない、きょう一日悔いの残らぬようにと精いっぱい愛情を注いでおります。私たちは、子どもを育ててきた経過の中で、生かされてある命、輝いている命――生かされてある命、輝いている命と、そんな言葉を交わし合います。この子らから学んだことの多さが、この言葉にあらわれていると感じます。社会のお世話になるには余りにも膨大に税金を使う子どもたちです。ですが、すばらしい生き方を示してくれる子どもたち、短い命でも輝いて生きている彼らから、人間として生き方を考えさせられる人々がたくさんいました。重症児の必死に生きる姿に触発され、命の大切さを知る若者も少なくないようです。何とぞ代表質問におかれましても、一言で結構ですから、東部療育センターへ言及賜りますよう心からお願い申し上げます、というお手紙をいただきました。
 知事、あなたは強い心の中に優しい心があることは、知事の書かれた「弟」を読んで知りました。苦難を背負う重度の障害者とその父母の皆さんのために、知事の優しさを見せてあげてください。この施設は、従来の箱物とは全く別扱いで、実現に向けて前進すべきと思います。知事の英断を心から願うものであります。
 我が党は、これまでも、区部東部地域に重症心身障害児施設を早期に建設することが必要であると再三主張してまいりました。そのためには、公設民営といった方式なども十分に検討していく必要があると考えます。区部東部地域における重症心身障害児施設の建設に向け、運営形態の検討も含めた今後の取り組みと一日も早い開設に、知事の決断をお願いいたします。
 次に、集団給食施設に対する衛生管理対策について伺います。
 ことしの夏、関西地域を中心に発生した加工乳による大規模な食中毒事件は、集団中毒の怖さを改めて認識させられました。都は、食品衛生法による営業許可の対象となっていない学校や病院、社会福祉施設等の集団給食施設の食中毒を防止するため、その衛生管理対策について、東京都食品衛生調査会に諮問し、本年六月、届け出制の導入などについて答申を受けたと聞いております。
 この背景として、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者等が利用する集団給食施設における食中毒は、発生件数に比べ患者数が多く、症状も重くなりがちなのが特徴で、これらの防止対策は一層重要であることが挙げられます。そのような状況のもと、都が答申に基づき、全国に先駆けて条例改正に着手していることは、評価に値するものであります。その基本的な考え方及び実施の見通しなどについて伺います。
 一方、規制の対象施設には、ボランティア活動や保育所などの集団給食施設も含まれると聞いております。これらの給食施設における安全の確保はもちろん重要でありますが、地域における福祉活動を阻害しないよう配慮する必要も考えます。条例化に当たっては、実際に正確に把握するとともに、関係者の意見に十分耳を傾け、円滑な導入に向けた運用が必要と思われますが、その対応について伺います。
 次に、住宅問題について伺います。
 我が党は、さきの第三回都議会定例会において、都営住宅への期限つき入居制度導入を提案し、一部の都営住宅への導入を検討するとの答弁を得たところであります。また、今回の所信表明でも、知事は、期限つき入居制度の創設に取り組むと言明されました。このことは、既存ストックの有効活用や公平性の確保の観点から、一定の評価をするものであります。
 ところで、都営住宅は一度入居すると、終身、さらには子や孫まで利用できる制度となってしまい、現にそのような状況が生まれています。しかし、都営住宅が公の施設であり、都民共有の財産である点を考えると、このような利用形態は一般都民の十分な理解を得られるものではありません。今後新たに入居する方々には、都営住宅の一部に限らず、すべてに期限つき入居制度を導入すること、同居・使用継承制度を見直すことなど、かねてより我が党が主張してきた都営住宅制度の抜本的な改革が、今こそ必要と考えます。ご所見を伺います。
 また、現在、都営住宅の管理戸数は二十六万戸、その敷地は、港区の区域に相当する千九百ヘクタールに及んでおります。そのうち、昭和三十年代以前建築の住宅は既に建てかえ対象となっていますが、今後、昭和四十年代に大量に建設された住宅でスーパーリフォームを行わない住宅が、順次建てかえ対象に入ってきます。高い成長が望めない経済、厳しい財政状況や都民の多様な価値観などを考えると、今後建てかえを行う際には、千九百ヘクタールという、地価にして六兆円、あるいは七兆円ともいえる広大な敷地をいかに効率よく使うか、それにより、都財政の危機をも救える大方策をも考えていく必要があると思います。
 知事も、都営住宅建てかえの際の民間住宅併設を約束しているように、単に都営住宅の再生を行うだけでなく、民間の活力や、さまざまな住宅のほか、商業、文化施設等との都市コンプレックスを形成することも必要と考えます。
 特に、地価の高い都心地域での建てかえは、国際都市としての活力、品格の創造も視野に入れて、世界有数の国際都市東京の一角を占めるという自覚のもとに行う必要があります。そのためには、一層民間の知恵と工夫が有効になりますが、具体的な取り組みをお伺いいたします。
 次に、教育問題について伺います。
 教育は人なりというように、教員は、一人一人が徳と知識の双方を兼ね備え、師として、人間として、子どもや保護者から深い信頼と尊敬を得るために、社会の変化を敏感にとらえ、みずからの現状に満足することなく、絶えず自己研さんに励み続けることが必要であります。このためには、我が国の未来を担う人材の育成に直接当たる教員の資質を向上させ、意識を改革していくことが緊急の課題と考えます。
 都教育委員会においては、第一線で学校教育を担う教員の意識改革、資質、能力の向上を図るため、人事考課制度を導入するとともに、教員の研修のあり方を、研究機能や相談機能ともあわせて抜本的に検討し、現在の都立教育研究所や多摩教育研究所、総合技術教育センターを統合して、平成十三年度から、新たに教職員研修センター、教育相談センターを設立すると聞いております。そこで、教職員研修センター等を設置することで期待される効果について伺います。
 また、教師としての指導力に欠け、児童生徒を適切に指導できない教員がおります。このような教員に対して、都教委が責任を持って研修を命じ、教職員研修センターなどで鍛え直すべきであります。その上で、教師として適性を欠く者は、教壇に立たせないためにも退職させるべきでありますが、ご所見を伺います。
 ところで、昨今の景気低迷の折、中小企業に対する貸し渋り救済制度として、中小企業金融安定化特別保証制度が設置され、有効に機能しておりましたが、過日、これを悪用して一連の事件が発生しました。まことに遺憾なことであります。都議会として、二度とこのような事件が起きないよう、改めて政治倫理の確立のため、議会としての意思を示すべきであると考えます。このため、我が党は、今会期中に議会として決議を発議したいと考えております。
 最後に、冒頭申し上げましたように、経済状況は好転しつつあるとはいえ、株価の低落など、いまだ不安定要素が残っております。確固たる景気回復を図るためにも、一貫した政策の展開が何よりも必要であり、与党三党が一致協力して責任ある政策を実行してまいります。政策的整合性を持たない野合は、国民にとって最も不幸なことであります。今後も我が党は、都民に信頼される都政運営が行われるよう、積極的にその役割を果たしていく覚悟であります。
 来年は、都議会議員の選挙の年であります。我が自民党は、都民一人一人の声を聞き、国政とはまた一種違った都民本位の姿勢で、東京から日本を変える原動力として、粉骨砕身、都民生活の向上のため、与えられた任務を果たしてまいります。
 これをもちまして二十世紀最後の東京都議会自由民主党の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 山崎孝明議員の代表質問にお答えいたします。
 首都東京の再生のために真に必要な事業の方針についてでありますが、今年度の都税の収入は、おっしゃるとおり相当の程度の増加が見込まれておりますが、しかし一方、隠れ借金や膨大な都債の償還などを考え合わせますと、都の財政の危機的状況はまだまだ続いて、前途は非常に多難であります。しかし、都の財政がいかに厳しくとも、東京の再生のために、今の時点で真に必要な施策については、時期を失うことなく、財源を重点的に投入していかなければならないと思っております。
 こうした視点から、財政再建を図りつつ、さまざまな工夫によって必要な財源を確保し、重点的に取り組む事業を、現在策定中の東京構想の推進プランにおいて具体的に明らかにし、緻密に推進していきたいと思っております。
 ちなみに、先般、国の各政党にいろいろ申し込みをしましたが、それに先んじて与党の政調会長に、東京の主要な道路の早期完成のために、新しい手法として、三十年間にわたって七千三百億程度の資金を無利子で貸し付けしてほしい、そしてそれを三十年にわたって償還するという方法を考えてほしいということを申しましたが、まあ前例のないことで、建設省はいろいろ異論があるようでありますけれども、ひとつこれは都議会も大いにバックアップしていただきまして、何といっても日本の首都圏であります東京七都県市のためにも、新しい手法であろうと思い切って行使して、東京都の再生を図っていきたいと思っております。
 それから、補正予算編成の基本的な考え方についてでありますが、三宅島を初めといたします伊豆諸島の災害関連の対策については、都としても万全の体制を整え、住民の生活の安定と、島の復旧、復興に向けて全力で取り組んでおります。帰島がかなう時点で速やかに復興作業が進むように、今からでも、安全な時期を選んで関係要員を上陸させ、その下準備の下準備をやっておりますが、その一環として、都財政は今日極めて厳しい状況にありますが、迅速に災害対策を、そういった点で講じるために、生活支援のための応急措置や、道路、河川の復旧、農林水産業などの産業振興といった、帰島した瞬間必要となる経費についても、今回所要の財源を確保し、補正予算を編成いたしました。
 次いで、災害関連経費の増大に対する今後の対応についてでありますが、三宅島では、現在もご存じのように有毒なガスがかなり多量発生しておりまして、島民全体が島外での避難生活を余儀なくされておりまして、災害対策も日々進行中とはいえ、時を選んでということにならざるを得ませんが、今後とも災害状況等の動向を踏まえながら、必要な財政措置について適切に対応していくつもりでございます。
 次いで、国の補正予算への対応についてでありますが、景気の持続的回復を確実なものとすることは、国、地方を通じての緊急の課題と思います。このためにも、今回の国の補正予算の内容を踏まえ、今後財源の確保を図りながら、最終補正予算において適切に対応していきたいと思っております。
 次いで、隠れ借金とは何かということでありますが、一般会計においては都債残高が七兆円を超えておりまして、十年前の四倍を超える水準となっているほかに、これまでの財政運営において、土俵を割らないためにも、緊急避難的な措置として行わざるを得なかった減債基金の積立金の不足額や、あるいは他会計からの借入金など、今後復元や返済しなければならないものが、現在明らかになっているものだけでも総額で八千億近くに達しております。このことを指して隠れ借金と申しておりますが、これを淘汰しませんことには、とても財政は健全化したとはいえないわけでありまして、ひとつそういう意味でご理解いただきたいと思います。
 次いで、十三年度予算編成における課題等についてでありますが、財政再建推進プランに基づきまして、十二年度予算において、財政再建に向け確実な第一歩を踏み出したとはいいながら、都財政は依然として厳しい状況にございます。したがって、十三年度の予算編成に当たっては、引き続き財政構造改革を一層強力に進める必要があります。
 また、東京を再生するために、首都機能の充実、新しい産業の創出、福祉、医療の改革などについては施策を厳選して、将来の財政負担を見通すことで、財政再建をなし遂げながら確実な実行を図っていくべく努めております。
 こうした二つの、なかなか、相反したともいえる大きな課題への対応を両立させるためには、来年度の予算編成に向けて懸命に取り組んでいかなければならないと思っています。石原カラーを出せといわれましたが、とてもとても石原カラーを出す余裕なんてまだまだございませんで、まあせめて、金がかからずに、しかし東京のイメージを強くする、紆遠なものでも、東京にそのうち再生の力として効いてくるようなものを選んで実行していきたいと思っております。
 次いで、東京都の税制調査会の答申でありますが、これはなかなか画期的なものだと思います。特に中間報告などについては、大蔵省も、仄聞しますと非常に高く評価をしていたようでありますが、関係省庁によって、その答申が具体的に出ますと、賛否あるようでありますけれども、いずれにしろ現実的かつ具体的な提言であります。
 真の地方自治を確立する上でも、極めて有意義な暗示性の強い答申であると評価しております。今後は、この答申を有力な武器として最大限に活用し、東京から新しい税の形をつくり上げる。税源移譲などの喫緊の課題については、私自身が先頭に立ちまして、国に対し強く建言していくつもりでございます。
 この実現は決して容易ではございませんが、都議会の理解と協力をいただきながら、全国自治体とも連携を図りながら、地方主権の時代にふさわしい税財政制度の構築に向けて全力で取り組んでまいります。
 東京に刺激されましたか、時々七都県市の首長の会議で顔を合わせます横浜の高秀市長なども、まだ東京が具体的に提言していないような新しい、新規の税なども考えておりまして、これはやっぱり、国がぼやぼやしているわけでありますから、地方自治体がその分よほどしっかりしなけりゃならないという、日本全体から見れば非常にいい傾向だと思っております。
 さらに、この法定外税についてでありますけれども、都の施策の実現に有効な提言であると受けとめております。
 今後は、この答申を踏まえて、議会も通じて、あらゆる角度から十分に検討して、必要性、緊急性、実現可能性などを総合的に判断していきたいと思っております。
 次いで、財産利活用総合計画の基本的な考え方についてでありますが、国を眺めてみますと、大蔵の管財というのは、随分金目な、役に立つような財産を持っていながら、がりがりに縛って離さないんですけれども、こういう時代に全くそれはもう錯覚した姿勢でありまして、都はやっぱりこういうものを有効に活用していきたいと思っております。
 その上に、この計画は、土地や建物を重要な経営資源と位置づけ、その積極的活用を図ることによって、財政構造改革を財政の面から推進するための総合的な指針でもあります。いずれにしろ、使わずに土地を抱えていてもしようがないわけでありまして、これを開放して利用することで、東京の活力の一つの足しになるという姿勢でこれを行っていきたいと思っております。
 今後は、ご指摘の未利用地の処分を促進するとともに、今年度初めて実施いたしました資産アセスメント調査に基づいて、施設の有効利用や定期借地制度の実施など、財産の一層の活用を図っていきたいと思っております。
 次いで、震災予防条例の全面改正に対する理念についてでありますが、これは、再三申してまいりました自助、共助、公助という原則によってのものでありまして、地震による災害から一人でも多くの生命及び財産を守るためには、まず、みずからの生命はみずからが守るという自己責任原則による自助の考え方と、次に、都民のそれぞれの地域での助け合いによって、自分たちのまちは自分たちで守るという共助の考え方、その二つを基本理念にして、都民が理解し、日ごろから地震への備えに努めるということが肝要だと思います。
 その上で、公助の役割を果たすべき都あるいは区市町村が都民と一体となって、これまでの予防対策にとどまらず、応急及び――これは全国で初めてのことでありますけれども、災害が起きた後の復興対策までを視野に入れた総合的な震災対策を推進していきたいと思っております。
 次いで、監理団体の改革の今後の進め方でありますが、今回の改革を確実に進めていくためには、まず、それぞれの団体がみずからの責任で、世間のあり方と自分を比べながら、主体的に取り組む必要がございます。
 そのために、団体みずからが改革意識を持って積極的な経営改善を図らなくてはならないと思います。この改革を机上の計画で終わらせないためにも、都としても、監理団体改革をしっかりと進行管理する組織を都として設けて、これによって、これを早急に立ち上げることで監理団体の改革をフォローアップし、場合によってはむちも加えていきたいと思っております。
 私自身、この改革には不退転の決意で全力で取り組むつもりでございます。先般の各団体の幹部の会合でもそれをはっきりと申し上げました。いつまでも甘ったれているような時代じゃございませんで、やれないならやれない、やらない人間にはあるペナルティーも当然加えるべきだという、かなり厳しい指導をこの間表明いたしました。
 次いで、事業者に対する経済的支援の必要性についてでありますが、規制に伴うDPFの装着等の経費については、一義的には排出者である事業者が負担すべきだと思います。
 しかし、自動車公害は、都民が被害者であると同時に一種の加害者でもあります。例えば、非常に生鮮な、しかも腐りやすい、そういった食品をクール宅急便ということで、かなりの長距離を走って都民の台所に着実に届ける、こういう便宜というものはかつてはなかったものでありますが、一種のぜいたくではありましょうけど、しかし、それを享受する一方では、それを運んでくる車がかなりの排気ガスを出し、それが大気を汚染するという、つまり都民のある意味で奢侈、ぜいたくというものの希求が、実は間接的に自分を損なっているということでありまして、そういう意味でも事業者だけではなく、社会全体でこれを負担する仕組みも構築していく必要があると思っております。
 こうした観点からも、事業者に対する経済的支援については十分検討していきたいと思っております。
 次いで、ディーゼル車規制の実現に向けた決意についてでありますが、東京の大気汚染を改善し、都民の健康を守るためには、私は、我が国でも最も厳しいディーゼル車規制に取り組む決心をいたしました。そもそも大気汚染が改善しない最大の原因は、軽油の問題も含めまして、自動車排気ガス対策の不十分さにあり、その責任はあくまでも国の不作為にあると思います。
 私は、都独自の規制に強い姿勢で臨むことによって、日本の環境政策をも変えていきたいと思っております。
 都市づくりにおける緑についてでありますが、東京を安全で快適な都市としていく上で、緑は大変重要な要素の一つであります。ヒートアイランド化の抑制のためにも、皇居や代々木公園などの豊かな緑あるいは表参道などの風格のある街路樹などなどを保全して、都市の更新による新たな緑のオープンスペースを創出していくことが必要だと思います。
 今問題になっております四三号線、実は私、環境庁の大臣をしておりましたときに、建設大臣を呼び出して、県警の本部長を呼び出して、深夜あそこで路上会談しまして、三年か四年かかってやるという周りに立ち木を植える計画を一年でやることに決めました。おかげで立派な木に育っておりますけれども、しかし、それで物事が根本的に解決するものでもございませんけれども、例えば東京の六、七、八といった環状線を眺めてみますと、ある部分には、かなりの立ち木があったりするんですけれども、ちょっとそれを過ぎるとあとは全く木がないという、あれなど思い切ってやれば木を植えるスペースはあると思いますので、そういった努力も割と微細にわたってしていくことが必要だと思います。
 いずれにしろ、広く都民や企業の協力を得て、緑づくりを進めていく観点からも、現在策定中の緑の東京計画の中で具体的方策を明らかにしていきたいと思います。(発言する者あり)次いで、外環についてでありますが――おれが怒られているんじゃないだろうな。(笑声)
 外環についてでありますけれども、外環の整備は、首都圏の交通渋滞を解消するためにぜひとも必要であります。
 私も昨年十月に現地を視察し、地域の状況を見ることの必要性を痛感しましたので、時の建設大臣の中山君にもお願いしたんですが、なぜかヘリコプターで上から眺めたら終わっちゃいましたけれども、今度、扇さんが留任しましたので、扇大臣にも、十二日に大江戸線の開通で会いますから、このごろは女性の方が勇気がありますから、いろいろ問題も起こるかもしらないけれども、とにかく凍結というものを解除をしていただくべく、現地を見ていただきたいということを私からも強く申し上げるつもりでおります。
 次いで、航空政策の基本方針についてでありますが、申し上げる前提に、このままでいきますと、間違いなく平成十七年には、日本の国際線は、成田が、あの第二滑走路が仮に予定どおりの長さで完成しても、十七年には完全にパンクします。国内線は平成二十三年にはパンクいたします。でありながら、どうも国というものは、空路のアクセスというものをどういうふうに政治的、文明的に評価しているかわかりませんが、こういった問題について問題意識が希薄としかいいようがない。
 その典型的な例は、あのばかばかしい首都移転の問題でありますけれども、これを論ずるために、そういう構想の中に、これからの新しい日本の首都に必要なはずの四千メートル級の滑走路を備えた空港というものが絶対必要条件として一向に論じられないというのも、認識がいかに欠落しているかということの証左でありましょうが、いずれにしろ、現在策定中の航空政策基本方針では、将来の空港のあるべき姿を視野に置いて、おおむね二十五年後の航空政策の方向と取り組み方針を示していきたいと思っております。
 具体的には、羽田空港の再拡張や国際化の推進のほか、横田飛行場の民間航空利用や首都圏新空港の整備などについても、その推進を提案してまいります。
 特に、横田飛行場の民間航空利用については、地元や関係機関などの理解と協力を求めながら世論を喚起するとともに、国に対し、日米間の合意を得るなどの引き続き必要な措置を強く求めてまいりますが、肝心の外務省が腰が引けて――引けているか、抜けているかわかりませんが、この問題に余り関心を示さない。残念でありますけれども、じかに総理なり関係者に私からも説得をしていきたいと思いますが、ちなみに、横田が仮に第一ステージとして共用という形になりましても、あんな遠いところという人がいますが、しかし、広島、岡山の新空港というのは、広島、岡山のダウンタウンから車でも一時間ぐらいかかります。これに比べれば、横田の飛行場は既に電車が通っておりますし、新しくできましたモノレールをわずかに横に延伸するだけで立派なアクセスになりますから、そういうことの認識も、東京の政治家だけじゃなしに国全体が持つことで、あの膨大なスペースのユーティリティーというものを考えてもらいたいと思っております。
 次いで、首都圏における空港機能の充実への取り組みについてでありますが、日本の活性化を図るためには、首都圏の空港機能の充実は一刻の猶予もございません。現に、平成十七年には国際線は完全にパンクいたします。既に三十数カ国が新規の乗り入れを希求しているのに、一向にその窓口がない。まあこれは、ある意味で日本の国力の衰退というものを暗示していると思いますけれども、とにかくこの整備に一刻の猶予もないと私は思います。
 人の往来というものが頻繁であることで初めて情報や物が往来するわけでありまして、文明というのはそれで進んでいくわけでありますから、このままでいくと日本は文明的にも世界で取り残されかねない。そういう意味で、私はやっぱりもっと真剣に、国も都もこの空港機能について考える必要があると思いますので、都市計画局の中に、一人新規に理事を設けまして、航空担当という役職をつくりました。羽田空港の国際化や、さきに提案した羽田空港の再拡張の早期実現のほか、首都圏新空港の整備あるいは横田飛行場の民間航空利用と横田空域の返還など、首都圏の空港機能の充実を国に働きかけてまいります。
 さらに、これらの空港が一体となって国際ハブ空港として機能し、首都圏が日本の活性化の牽引車となるよう積極的に取り組んでいきたいと思います。
 ちなみに、管制の問題はなかなか素人にはわかりにくい問題なんですけれども、もしあれでしたら資料をお届けしますが、羽田が抱えている航空管制圏よりも一・五倍に近い膨大な、しかも高い管制圏というものを立体的に横田は抱えているんです。これは、新潟県の下田といいましたか、あの地域まで及んでいまして、これは、つまり私たちにとって、日本人にとっては、日本の空の中のサンクチュアリー、私たちが入っていくことのできない領域でありまして、これが日本にきちっと返還され、日本のイニシアチブで運営されれば随分違った事情が派生してくるけれども、残念ながらこの問題について認知している国会議員はほとんどいない。
 次いで、大江戸線を活用した世界に誇れる都市づくりについてでありますが、大江戸線の全線開通により、東京は山手線とあわせて本格的な環状鉄道を二本持った世界初の大都市となります。これによって、山手線の圏内ではいかなる鉄道の駅にも徒歩で十分以内で歩いていけるという、世界にはない、初めての便宜というものが実現するわけでありまして、この利便性や東京を代表する地区をめぐる路線の特性を活用して、江戸東京の歴史的、文化的な蓄積を生かした風格のある都市づくりを進め、パリやニューヨークに匹敵する訪問客を国の内外から呼び込みたいと思っております。
 さらに、大江戸線沿線の開発プロジェクトについても積極的に誘導し、国際ビジネスセンターとしての機能強化など、都心の再生を図り、センター・コアの形成を加速していきたいと思っております。
 ちなみに、大江戸線沿線の主な観光スポットは、上野御徒町駅からは上野公園、アメ横、春日駅からは小石川後楽園、東京ドーム、両国駅からは国技館、江戸東京博物館、清澄白河駅からは清澄庭園、門前仲町からは富岡八幡、深川不動、青山一丁目駅からは神宮外苑、それからまた、今まで一種のデッドスポットでありました麻布十番のような非常にしゃれたまちも、アクセスが間近にできることで、新しい東京の名所になると思っております。
 次いで、築地市場の再整備についてでありますが、以前、都議会自由民主党の代表質問にお答えしたとおり、築地市場はもう狭くて、古くて、危ないと。再整備がもう喫緊の課題となっております。
 築地市場の現況を考えますと、現在地での再整備はとても困難であります。現在、卸売市場審議会においても、築地市場のあり方について検討をしていただいておりますが、早急にこれに対応していきたいと思っております。
 次いで、秋葉原地区のまちづくりの早期実現についてでありますが、この地域は、電気のまち秋葉原として、世界にもその名が知られております。そのマニアだけではなくて、家電製品にそれほど関心のない人でも、ここへ行けば珍しいものが買える、安く買えるという、そういうもっと開かれた名所にしたいと思っております。
 いずれにしろ、その周辺地域にはインターネット関連企業が集積しておりますし、また、ブロードウエーといいますか、メーンストリートのブロードウエーから外れたオフ、さらにオフ、オフオフの小路へ入りますと、戦後につくられたような真空管までがちゃんとしてニーズがあれば売られているという、非常に珍しい、世界に例のないまちであります。それをさらに発展させたいと思っておりますが、地元の意欲も非常に大きいし、期待も大きいし、関連したメーカーであります情報関連企業の進出意欲も高くて、この開発は必ず成功しますし、また必ずもうかります。お金もそんなにかからないと思いますし、ビッグサイトや東京スタジアムみたいにはならないと思いますので、これはご安心いただきたい。
 来年度じゅうには都有地を処分しまして、民間のアイデアを生かしながら、まちづくりの実現を図りたいと思っております。現に、松下電器の技術の育ての親でありまして、現在東海大学の教授をしておられる唐津一教授にいろいろ現地にも乗り込んでいただきまして、頻繁に人にも会っていただき、企業も説得していただいて着々準備を進めておりますが、これは二十一世紀における東京全体の産業活性化の起爆剤として、この地域を世界に誇れる日本のIT拠点として整備したいと思っております。
 次いで、認証保育所制度についてでありますが、どうも眺めますと、厚生省というのは、国の役所として全国をカバーしているせいかもしれませんが、東京のような大都市におけるケアというものの実態をそれほど心得ていないので、非常に考え方が保守的でありまして、それを待っているわけにいきませんので、福祉局長もいろいろ勘案しまして、東京で新規の、新しい東京ならではの試みを、多少国と衝突してもユーザーのために行っていきたいと思っております。
 いずれにしろ、この制度は、核家族化や女性の社会進出、就労形態の多様化に伴う延長保育や駅前保育など、大都市特有の保育ニーズに柔軟かつ的確にこたえていこうとするものでありまして、民間企業の参入を促し、事業者の創意工夫を生かせる自由度の高い制度とすることで、利用者本位の質の高いサービスを効率的に提供することをねらいとしております。
 今後、指導のあり方などを含めて、制度の具体化について検討していきたいと思っております。
 次いで、少子化問題の議論についてでありますが、少子化社会の急速な進展は、日本や東京の将来に重大な影響を与える問題でありまして、総合的な対応が必要と思います。したがって、都としても、福祉を初め産業、労働、教育、医療など、幅の広い視野からの議論の場を設けて、二十一世紀の東京の暮らしのあり方を考えていくつもりでございます。
 その際には、ご指摘のとおり、既成概念にとらわれない先見性のある議論が行われるよう工夫したいと思っております。
 次いで、重症心身障害児施設の建設の必要性についてでございますが、私も、先般、昨年ですか、調布のあの施設を眺めまして、非常にいろいろな強いショックを受けました。重度の知的障害と重度の肢体不自由をあわせ持って、常時医療ケアを必要とする重症の心身障害児を家庭で療育していくことは、障害児本人も、家族にとっても大変なことであると認識しております。
 このような重い障害を持つ方々が家族とともに地域の中で安心して生活していくためには、ご指摘のように、通所やあるいは緊急入所などの在宅支援機能を備えた総合的な施設が必要と考えております。これはなかなか民間に渡しても採算のとれない問題です。これはやっぱり公が相当、鋭意を持って手をつけなきゃならない問題と心得ております。
 次いで、都営住宅制度の抜本的な改革についてでありますが、現行の都営住宅制度には、必ずしも公的な住宅を必要としない都民が都営住宅に入居していたり、都民の貴重な財産である団地が有効に活用されていないなどの問題がございます。
 今後、公平性、効率性の確保の観点から、ご指摘のとおり、公営住宅法の適用を受ける都営住宅への期限つき入居制度の導入を初めとする入居管理制度の見直しや、来るべき成熟社会に向けた都営住宅の再編整備など、必要な法改正も国に強く働きかけながら、都営住宅制度の抜本的な改革を進めるつもりでございます。
 なお、他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
   〔教育長横山洋吉君登壇〕

○教育長(横山洋吉君) 教育に関します二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、教職員研修センター等を設置する効果についてでございますが、さまざまな教育課題を解決する上で、教員の意識改革や資質向上が不可欠であることは、ご指摘のとおりでございます。
 そのため、現在、都立教育研究所、多摩教育研究所等がそれぞれ企画、実施しております研修を、教職員研修センターに一元化することによりまして、すべての研修を教員のライフステージに応じた研修として体系化しまして、効率的、効果的に実施してまいります。このことによりまして、教員の意識改革や資質向上を図ることができるものと考えております。
 また、教育相談センターの設置につきましても、相談に当たります専門職員の総合的な取り組み体制を構築しまして、相談者の実情に応じた迅速かつきめ細やかな対応を図ることができ、区市町村の教育相談所など関係機関との連携を強化することにより、全都的な教育相談機能の一層の充実を図ることができると考えております。
 次に、指導力不足教員への対応についてでございますが、このことにつきましては、現在、教育改革国民会議でも大きな議論になっております。
 都教育委員会におきましては、教員の研修体制を整備する中で、指導力不足の教員に対しまして、新たな指導力ステップアップ研修を実施し、区市町村教育委員会や学校とも連携を図りながら、教育公務員としての自覚や指導力について再教育を行っていく考えでございます。
 この研修等によっても指導力の向上が見られず、教壇への復帰が困難と判断されれば退職を勧告するなど、適切な対応を図ってまいります。
   〔建設局長古川公毅君登壇〕

○建設局長(古川公毅君) 新島における都道の復旧についてですが、今回の地震により、新島本村と若郷地区を結ぶ都道二一一号線は、檜山地区においてたび重なる落石が発生し、通行不能となりました。このため、現道を迂回する延長約四百五十メートルの仮設道路を整備することとし、年内開通を目標に進めてまいりました。工事の大半が完成し、現在、舗装や安全施設の整備を行っており、この仮設道路の開通時期は十二月二十五日を予定しております。
 引き続き、新しいトンネルについて、国等関係機関と協議を急ぐなど、都道の本格的な復旧工事に全力を挙げて取り組んでまいります。
   〔総務局長大関東支夫君登壇〕

○総務局長(大関東支夫君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、震災予防条例における行政の責務の強化についてでございますが、地震における被害を軽減するためには、震災を予防する防災都市づくりを一層進めるとともに、震災が起きた場合に、迅速な応急及び復興の対策を実施する必要がございます。
 今回の条例では、知事の責務といたしまして、新たに、救出、救助の活動拠点となる空き地等の事前指定や利用計画の策定、あるいは帰宅困難者対策の推進、復興体制計画の策定などを規定いたしまして、震災対策の一層の強化に努めているところでございます。
 次に、災害に対する区市町村の役割についてでございますが、災害対策基本法では、区市町村の責務といたしまして、避難勧告、指示など、被災地域を直接管轄する区市町村が第一義的責任であるというふうに定めております。
 新しい条例では、こうした区市町村の役割を重視いたしまして、都は、区市町村が行う地域における総合支援ネットワークづくりなどに対し支援、協力するとともに、災害時における帰宅困難者対策など震災対策全般について区市町村と連携、協力を図り、施策の総合的な推進に努めてまいります。
 次に、中長期的な都政改革についてでございます。
 都庁改革アクションプランの最終まとめでは、東京圏における人々の活動範囲の広がりや都市問題の拡大など、改革が求められる必要性を述べまして、自治制度改革に向けての基本的な考え方、方向性を示す予定でございます。
 具体的な改革内容につきましては、今後、都議会を初め各方面の意見を取り入れながら、都政改革ビジョンⅡとしてまとめていきたいと考えております。
 次に、都政改革の基本的視点についてでございますが、中間のまとめでは、行政改革の基本的視点といたしまして、スピードの重視、コスト意識の徹底、成果の重視の三点を挙げたところでございます。
 今回、最終のまとめでは、分権型社会における都の果たすべき役割、都民や企業の参加意欲の高まりなどを踏まえまして、新たに、地方主権の確立及び都民、企業との協働の視点を加えてまいります。
 次に、監理団体統廃合の考え方でございますが、今回の改革では、団体そのものの必要性や活用のメリットを検証する等、団体の設立趣旨にまでさかのぼった見直しを行いました。見直しの結果、効率的経営のもとに都民サービスの向上が期待できるものにつきましては、引き続き活用することとし、一方、社会経済状況の変化によって必要性の薄れたもの、あるいは事業を統合することでより効率的に都民サービスの向上が図られるものにつきましては、団体事業または団体そのものを統廃合することといたしました。
 最後に、団体別の経営改善計画を明らかにした意義でございますが、これまでの団体改革は、ややもいたしますと、都側の考え方が先行してまとめられた傾向がございます。団体みずからの責任と取り組み方策が具体的に示されてこなかったため、表面的な改革にとどまり、団体の経営改善という面からは実効性の乏しいものとなっておりました。
 今回の改革では、平成十二年度から十五年度までの経営改善計画を団体みずからの責任で策定することにより、都と団体が一体となって改革を実施し、これを進行管理することといたしました。
   〔生活文化局長高橋信行君登壇〕

○生活文化局長(高橋信行君) 東京女性財団事業の直営化の理由でありますが、今般の監理団体総点検におけるゼロベースでの見直しの中で、当財団は自律的な経営体として存続することが難しく、他団体との統合なども含めて検討しましたが、適切な統合先が見当たらず、直営化により普及啓発事業等を継続する必要があると考えたものであります。
 また、ご指摘のとおり、東京都男女平等参画基本条例など法制度が整備され、男女平等参画は新しい段階を迎えております。現在緊急の課題となっております企業における参画促進や家庭内等における暴力などの対応には、本庁と第一線が一体となり、行政機関として取り組む必要があります。こうした点からも、直営化が最も適切と判断したものであります。
 次に、直営化の円滑な実施に向けた対応についてでありますが、何よりもまず、都として、男女平等参画施策を積極的に推進していく基本姿勢に今後とも変わりがないことを申し上げたいと思います。
 この考え方に基づきまして、今後、東京都男女平等参画基本条例に基づく総合的な行動計画を策定し、ウィメンズプラザにおける事業の推進はもとより、企業における参画促進等の重要課題に関係部局が連携して取り組んでまいります。
 男女平等参画の新たな段階に対応するためには、直営化により、行政として施策を推進していくことが必要であり、こうした点も都民、関係者に十分説明し、ご理解、ご協力が得られるよう、最善を尽くしてまいります。
   〔環境局長中野英則君登壇〕

○環境局長(中野英則君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、公害防止条例改正の基本理念とその内容についてでありますが、今日、東京においては、都市・生活型公害や地球環境問題など、新たな課題の解決に向けた緊急な取り組みが強く求められております。
 このため、都民の健康と安全な生活環境の確保を図り、良好な環境を将来の都民に継承していくということを基本に、現行の公害防止条例を、名称も含め全面的に改めることとしたものであります。
 改正の主な内容としては、ディーゼル車規制などの自動車公害対策、有害化学物質対策、さらに、事業者に対する環境負荷低減の措置などの新たな仕組みを盛り込んでおります。
 次に、環境の再生に向けた全庁的な取り組みについてでありますが、東京の直面する環境問題を解決するためには、産業政策、都市基盤整備、税制の活用なども含め、庁内各局の連携した取り組みが必要であると認識しております。
 このたび、平成九年に策定いたしました東京都環境基本計画を、時代の変化に対応したものとなるよう全面改正することとしましたが、これに合わせ、全庁的な環境施策の推進体制を整備し、総合的な取り組みを展開してまいります。
 次に、ディーゼル車対策についての広域的な取り組み体制の確立についてでありますが、都はこれまでも、七都県市とともに、国に対し、ディーゼル車対策の強化を強く働きかけてきました。本年十一月の七都県市首脳会議では、ディーゼル車対策について共同、協調した取り組みを進めていくことを確認し、表明したところであります。
 今後は、新市場創造戦略会議の取り組みを通した低公害な車の普及やDPFの装着促進に共同して取り組み、規制の実効性を高めてまいります。
   〔都市計画局長山下保博君登壇〕

○都市計画局長(山下保博君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市計画的手法の活用による都市緑化についてでございますが、緑豊かな東京を実現していくためには、大規模公園を初め、幹線道路等の整備にあわせ、都市の骨格としての緑の形成を図る必要がございます。それとともに、それらにつながる市街地の緑を、民間建築物の適切な誘導により創出していくことが必要であると考えております。
 そこで、都市の再開発に当たりましては、緑づくりを積極的に推進するとともに、地区計画制度などの活用により、道路に面した宅地内緑化を促進するなど、緑のネットワークの形成に努めてまいります。
 次に、屋上緑化に対するインセンティブについてでございますが、都市のヒートアイランド化を抑制し、安全で快適な都市を実現する上で、民間建築活動を適切に誘導し、屋上緑化を促進することが重要でございます。
 今後、特定街区、総合設計制度等の都市開発諸制度の運用に当たりまして、都市緑化を推進していく見地から、屋上緑化に対する容積率の割り増しを行う仕組みなどの導入を図ってまいります。
 次に、外環についての新たな進め方の提案についてでございますが、十一月三十日の地元七団体との第三回会合におきまして、都は、相互理解や意思疎通などを図るため、代表者による事前の打ち合わせの場を設けることを提案いたしました。地元団体からは、その会合の場において、同意する方向で検討する旨の回答がございまして、現在、正式な回答を待っているところでございます。
 今後、都といたしましては、この場を活用して、地元団体との話し合いを進展させたいというふうに考えております。
 次に、小田急下北沢駅付近の連続立体交差事業の取り組みについてでございますが、地域分断や踏切渋滞の解消及び混雑緩和、速達性向上の観点から、この区間の整備を進めていくことが重要であると考えております。
 こうしたことから、沿線まちづくり計画などの具体化を進め、関係機関と連携を図りながら、できる限り早期に都市計画素案の説明会を開催し、計画の内容等について地域住民に周知するとともに、理解と協力を得てまいりたいと考えております。
 次に、都が提案した羽田空港再拡張案の特徴についてでございますが、今回の再拡張案は、現在のC滑走路の沖合約一・三キロの位置に、C滑走路と平行に、かつ南に二キロ程度ずらして三千五百メートルの新しい滑走路を建設するものでございます。この滑走路を干潮時の海面上十五メートルの高さの桟橋構造とするとともに、既存空港と結ぶ誘導路を橋梁形式とすることなどにより、従来の案と異なり、海上交通への影響が少ないものと考えております。
 次に、東京の都市構造にとっての大江戸線の意義についてでございますが、大江戸線は、環状部の二十一駅で交差する他の路線に乗りかえが可能でございまして、東京の公共交通ネットワークが飛躍的に充実し、地域間、拠点間の連携が強まってまいります。さらに、新駅設置によりまして、駅から徒歩十分圏がふえ、利便性が格段に向上し、都市開発の可能性も高まってまいります。
 このため、職と住の近接した都心居住の推進に寄与するとともに、下町地域では歴史と文化の蓄積を生かした都市づくりが、都心部ではまた、業務・商業機能と居住機能が融合した質の高い都市空間の形成が可能となります。
 次に、秋葉原地区の具体的まちづくりについてでございますが、本地区では、現在、土地区画整理事業による基盤整備が進められているところでございまして、開発に当たりましては、まず、情報関連産業の育成やまちの利便性の向上を図るため、土地利用の方針や駐車場等の施設計画を都市計画として定めてまいります。その上で、民間の活力やアイデアを積極的に活用するため、民間から開発計画の提案を受け、都市計画や産業振興ビジョンとの整合性に十分配慮の上、土地の処分を行い、IT拠点にふさわしいまちづくりを進めてまいります。
 また、その際、地元商店街など周辺市街地との調和にも配慮し、秋葉原地区全体の活力とにぎわいの創出が図られるよう、適切に誘導してまいります。
   〔港湾局長齋藤哲哉君登壇〕

○港湾局長(齋藤哲哉君) 中央防波堤内側区域に平成の森をつくることについてのお尋ねでございますが、「東京ベイエリア21(中間のまとめ)」では、中央防波堤内側及び外側地区の開発の例といたしまして、東京港の中央部における大規模海浜公園の整備を提案いたしております。
 ご提案の平成の森づくりは、大規模海浜公園のあり方の一つとして大変に夢のある構想でございます。今後、自然環境の創造や都民の親しみやすさなど、多様な観点から検討を進め、東京ベイエリア21を最終的に取りまとめる中に反映させてまいります。
   〔交通局長寺内広壽君登壇〕

○交通局長(寺内広壽君) 大江戸線の持つネットワーク機能を利用した観光客対策についてでございますが、大江戸線を観光客などのお客様に利用していただくことは、沿線地域の活性化につながるとともに、大江戸線の乗客増となり、経営上大変効果があるものと考えております。
 交通局では、大江戸線開業に合わせまして、都営と営団地下鉄との共通一日乗車券を発売するほか、内外からの観光客などを対象といたしました沿線観光ガイドブックを作成することとしております。さらに、周辺の文化施設や地域の商店街等とタイアップいたしました乗車券の発売など、利便性の向上に積極的に取り組んでまいります。
   〔中央卸売市場長大矢實君登壇〕

○中央卸売市場長(大矢實君) 築地市場の再整備について、これからの求められる市場と現在地での整備は可能かというお尋ねについてお答えをいたします。
 近年、消費の変化、産地の大型化や小売業態の変化、インターネット取引の登場などにより、生鮮食料品の流通は大きく変化をしております。
 このような中で、築地市場が将来にわたって基幹市場としてその役割を果たしていくためには、取引の情報化、環境・衛生対策の充実、流通コストの削減などの課題に対応することが不可欠となっております。
 しかしながら、現在地では、営業を続けながら二十年以上の工事となるため、その間、市場機能への深刻な影響が避けられず、また、たとえ完成させても、将来の流通変化に対応した市場とはなりません。このため、築地市場を現在地で再整備することは極めて困難でございます。
 現在、都としての大局的な見地から、関係局で築地市場のあり方について鋭意検討を行っているところでございます。
   〔労働経済局長浪越勝海君登壇〕

○労働経済局長(浪越勝海君) 五点の質問にお答えいたします。
 まず、都の産業政策として、IT関連産業拠点をどう位置づけているかについてのお尋ねでございますが、東京には、世界に例のない電気街を背景に新たな産業の集積が見込まれる秋葉原地区や、ネット関連産業が自然発生的に集積した渋谷地区、豊かな自然と大学集積を背景に産学連携が期待される多摩地域、さらには、都心に近く、大容量の通信インフラを備えた臨海副都心などのIT関連産業拠点が形成されてきております。巨大都市東京の産業活性化にとっては、こうした各地域での特徴ある産業拠点の発展が必要不可欠でございます。
 今後、これらの産業拠点が互いの利点を生かして連携し、一体となってネットワークを形成していくことが、東京の産業全体の活性化につながると考えます。
 次に、秋葉原地区開発構想の背景と理由、今後の進め方についてでございます。
 秋葉原地区は、先端情報機器や電子部品、顧客ニーズに関する膨大な情報を発信しており、丸の内、大手町などの中心業務地域にも近接し、IT関連産業にとって大きな魅力をつくり出しています。
 こうした特徴を生かし、新製品発表の場や新産業創出のための機能などを整備することにより、電気街の魅力を高め、さらに、新たなIT産業の集積と周辺への波及を通じて、東京の産業活性化に大きく貢献するものと考えております。
 開発に当たっては、地元や関係機関と十分な調整をしながら、民間を主体として、必要な機能の導入を図ってまいります。
 次に、元気を出せ商店街事業の進捗状況とその効果についてでございます。
 本年度の事業の実施については、現時点で九百六十五の商店街から利用申し込みを受け、そのすべての商店街に対して、区市町村を通じ助成の決定を行ったところでございます。この結果、都内各地で地域と一体となったイベントなどが行われております。
 また、平成十年度に実施した効果調査によれば、売り上げの拡大、地域コミュニケーションの増大、商店街の組織力の向上、商店街の活性化やイメージアップなどに効果があったとの結果が得られております。平成十二年度の事業においても、同様の効果が得られるものと考えております。
 次に、元気を出せ商店街事業の事業継続についてのお尋ねですが、商店街をめぐる経済環境は、お話のとおり、依然として厳しい状況にございます。こうした状況の中、これまでの元気を出せ商店街事業の成果等を踏まえ、他の商店街振興施策と連携を図りながら、商店街みずからが地域と一体となって取り組むイベント事業等を積極的に支援するなど、商店街の活性化に努めてまいります。
 最後に、多摩地域中小企業振興センターについてのお尋ねでございますが、都は、これまでも立川基地跡地での開設に向け検討を進めてきました。しかし、厳しい都財政などを踏まえると、当初計画を変更せざるを得ない状況にございます。
 しかしながら、お話のとおり、多摩地域の産業振興を図るためには、経営と技術が一体となって中小企業を支援することが喫緊の課題と考えております。このため、都としては、施設開設までの当面の措置として、多摩の中小企業に対する経営と技術の支援拠点の整備について検討してまいります。
   〔福祉局長高齢者施策推進室長兼務前川燿男君登壇〕

○福祉局長高齢者施策推進室長兼務(前川燿男君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、今年度創設した包括補助制度「がんばろう!東京福祉」についてでありますが、事業の実施主体である各区市町村には積極的な取り組みをいただいており、多彩な事業展開が図られております。今月中には、今年度実施予定のほぼすべての案件について補助決定を行う考えでございます。来年度以降につきましても、ヒアリング等を通じて、意欲的な取り組み方針が寄せられております。
 こうしたことから、都としても、区市町村が安心して新たな事業展開を図れるよう、ご指摘の点を踏まえ、事業の一層の充実に向け努力してまいります。
 次に、高齢者の緊急ショートステイについてでありますが、高齢化の進展とともに、介護を必要とする高齢者が増大していますが、家庭において介護に当たっている家族が急病等により倒れた場合の対応が問題となっております。
 こうした場合に備え、ご指摘のとおり、高齢者を緊急に受け入れ、介護サービスを提供するシステムが必要と考えています。介護を要する高齢者が在宅で安心して生活できるよう、都としても、二十四時間いつでも入所できる緊急ショートステイ事業を早急に実施してまいります。
   〔衛生局長今村皓一君登壇〕

○衛生局長(今村皓一君) 三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、区東部地域における重症心身障害児施設の建設に向けた今後の取り組みでございますが、これまで進めてまいりました地盤調査や土壌汚染調査に加え、日影、緑化計画など周辺環境との調和や防災計画のあり方等、施設建設に当たっての諸条件について総合的に整理していくとともに、建設のスピードを速めるためにも、ご提案のございました公設民営方式による運営形態の検討も含め、引き続き早期建設に向けて最大限の努力をしてまいります。
 次に、集団給食施設に係る条例改正の基本的考え方についてでございます。
 ご指摘のとおり、集団給食施設については、食中毒が発生した場合、患者が多数に及ぶこと、また、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者も対象としていることから、その安全確保対策が一層重要と考えております。このため、食品衛生法による許可を要しなかった学校、病院、社会福祉施設等に対し、新たに届け出制を導入し、あわせて、施設基準及び衛生管理運営基準の設定を内容とする条例改正を行うものであります。
 なお、この改正案については、できるだけ早期に都議会に提案してまいる所存でございます。
 また、条例改正に当たりましては、円滑な導入を図るべきとのご指摘でございますが、今回対象となる集団給食施設に対しましては、原則として、食品衛生法に基づく飲食店営業の施設基準と衛生管理運営基準を適用することを考えております。しかしながら、ボランティアによる給食等の小規模施設に対しましては、施設の使用実態や関係機関等のご意見を踏まえまして、洗浄設備等について施設基準の一部を緩和するとともに、経過措置を設けるなど、円滑な導入に向けまして適切な対応を図ってまいる所存でございます。
   〔住宅局長戸井昌蔵君登壇〕

○住宅局長(戸井昌蔵君) 都営住宅の建てかえの際の民間活力の活用についてであります。
 建てかえに当たりましては、単に都営住宅を再生するのではなく、民間を含むさまざまな事業主体による住宅供給や、福祉、医療、産業、防災などの施設の導入を図りながら、地域の活力を増進させるまちづくりに活用することが重要であります。特に都心地域におきましては、敷地の有効活用がより一層求められますことから、例えば南青山一丁目の建てかえにおきましては、民間の知恵と工夫を活用しながら、新しい手法により、国際都市東京にふさわしい都市コンプレックスの形成を図ってまいります。

○議長(渋谷守生君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時二分休憩

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