委員長 | 吉野 利明君 |
副委員長 | 三宅 茂樹君 |
副委員長 | 泉谷つよし君 |
副委員長 | 中嶋 義雄君 |
理事 | ともとし春久君 |
理事 | こいそ 明君 |
理事 | 中村 明彦君 |
くりした善行君 | |
鈴木 隆道君 | |
星 ひろ子君 | |
高橋かずみ君 | |
原田 大君 | |
たぞえ民夫君 | |
大西さとる君 | |
いのつめまさみ君 | |
門脇ふみよし君 | |
木内 良明君 |
欠席委員 なし
出席説明員東京オリンピック・パラリンピック招致本部 | 本部長 | 荒川 満君 |
次長 | 並木 一夫君 | |
企画部長 | 細井 優君 | |
参事 | 重田 敏光君 | |
招致推進部長 | 中嶋 正宏君 | |
連絡調整担当部長 | 藤森 教悦君 | |
知事本局 | 局長 | 吉川 和夫君 |
総務部長 | 大井 泰弘君 | |
計画調整部長 | 梶原 洋君 |
本日の会議に付した事件
二〇一六年に開催される第三十一回オリンピック競技大会及び第十五回パラリンピック競技大会の東京招致に関する調査審議及び必要な活動を行う。
報告事項(質疑)
・二〇一六年東京オリンピック・パラリンピック招致活動報告書について
閉会中の継続調査について
○吉野委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック招致特別委員会を開会いたします。
これより第三十一回オリンピック競技大会及び第十五回パラリンピック競技大会の東京招致に係る事項について調査を行います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
これより、過日の委員会に引き続き、報告事項、二〇一六年東京オリンピック・パラリンピック招致活動報告書についてに対する質疑を行います。
発言を願います。
○たぞえ委員 初めに、私は、オリンピック招致のための知事の海外出張について質問します。
まず、JTBなどに対する海外出張に係る業務委託の発注についてただしたい。
今、情報公開によって開示された関連する資料をお配りいたします。
〔資料配布〕
○たぞえ委員 まずお聞きします。海外出張の仕様書をつくるのは東京都ですね。その場合、業者から下見積もりをとるんですか。
○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 海外出張に当たっての下見積もりはとるのかどうかということでございますけれども、予定価格の算出に当たりましては、現地での物価水準やこれまでの出張の実績、事前の情報収集等を踏まえ積算してございまして、下見積もりは徴収してございません。
○たぞえ委員 私は、本当にそうなのか、疑問を持たざるを得ません。
今お配りをさせていただいた資料Aを見ていただきたいんですが、これはコペンハーゲンで行われたIOC総会出席に係る業務委託です。昨年九月十七日付の、都知事とJTB法人東京との委託契約書につけられた二枚目、そして三枚目の内訳書は、JTB法人東京の提出したものに間違いありませんか。
○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 契約書に添付されております内訳書については、JTB法人東京が提出したものでございます。
○たぞえ委員 委託を受ける方が出したものですから、見積書を書くのは普通だと思うんですが、公文書のように、内訳書となぜかなっています。それによると、JTB法人東京との契約金額は、一枚目に書かれていますように、一億一千九百二十四万四千六百九十一円です。落札率は何%ですか。
○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 コペンハーゲンの関係につきましては特命随契で行いましたけれども、落札率につきましては、予定価格を明らかにできませんので、ここではお示ししてございません。
○たぞえ委員 開示資料には九九・九九%という書き込みがありました。これは私どもが書き込んだものではなく、初めから書かれていたものです。恐らく九九・九%の落札率だと思われます。
次に、資料Bを見ていただきたいと思います。昨年の九月一日に起案され、九月四日決定された財務局長あての業務委託の原議です。最終プレゼンテーションに向けたリハーサル会場、記者会見場、事務局用執務室などの手配、設営等を委託するものです。
資料の十三枚目と十四枚目をお開きいただきたいと思いますが、内訳書は、招致本部が予定価格を積算し原議につけたものに間違いないですね。どうですか。
○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 間違いございません。
○たぞえ委員 今、見ていただいております資料Bの十三枚目と十四枚目、そして先ほどの資料Aの二枚目と三枚目、両方の内訳書の書式は、うり二つです。しかも、一番上の右上の小計という文字が、傾きかけ方もぴったり一致しています。同じ組織、人間が書いたとしかいいようがないんです。どうですか。
○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 先ほども申し上げましたが、コペンハーゲンのIOC総会につきましては、鳩山総理を初め、各国のVIPが来るということですとか、IOC総会の出席者が多数に上ったということで、現地に詳しい法人が必要だということで、JTBと特命随契をしてございます。
そういった関係でございますので、JTBと調整の上、積算内訳書を作成しましたので、JTBの見積書と同一になったものでございます。
○たぞえ委員 資料Bの三枚目からの仕様書でありますが、これを見ますと、続いて四枚目の仕様書の二ページ目のところに、事務局用執務室における事務用機器の設置として、五枚目の、ページでは三ページですが、下の方に(イ)というところがあります。白黒プリンター一台というのがあります。次の六枚目のところにも、白黒プリンター一台と、このように書いています。
ところが十三枚目の内訳書を見ると、事務局用執務室における事務用機器の設置のところに、白黒プリンターというものはありません。かわりに、白黒コピー機というのが二カ所で示されています。明らかに都の作成した内訳書は間違っています。どうですか。
○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 確かに、仕様書の方はプリンター、内訳書の方はコピー機と書いてございますが、これは内容的には同じものでございます。
○たぞえ委員 次に、資料Aの契約書に戻りますけれども、二枚目を見ますと、驚いたことに、契約したJTB法人東京の提出した内訳書でもやはり、白黒コピー機と間違って書いてあるんです。都が書いたはずの原議の内訳書は間違い。そんなものを見ていないはずのJTBの内訳書も全く同じ間違いをしている。どう見ても、原議の内訳書とJTBの内訳書は、同じ人物が書いたのか、都がつくった内訳書をJTBに見せたとしか考えられないじゃありませんか。どうですか。
○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 先ほども申し上げましたが、IOC総会につきましてはITBと特命随意契約を結んでございます。したがいまして、積算内訳書につきましても、JTBと調整の上作成いたしましたので、JTBの見積書と同一になったものでございます。
○たぞえ委員 調整されているという答えでありましたが、しかし価格が異常に高い。資料Aの今ごらんいただいている内訳書ですが、白黒コピー機だとして、レンタル料四十四万八千円は異常な高価格で、これはぼられているとしか思いませんが、どうですか。
○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 IOC総会は、ご案内のとおり、先ほどいいましたように、四都市の元首がそろい踏みして入るとか、あといろんな方々が多数、大勢、コペンハーゲンという町に集まりました。したがいまして、ただでさえ物価水準が高いという中でそういった状況がございましたので、この金額については、現地の状況から考えますと妥当だというふうに考えております。
○たぞえ委員 同じ資料Aのごらんいただいている内訳書では、フルカラープリンター一台が三十八万二千百五十円と、白黒プリントより安くなっているんです。日本より物価が高いからといういいわけは通用しないんじゃないですか。
○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 物価水準については、全く当たらないというふうには考えてございません。
また、白黒プリンターにつきましても、当日六十名以上のIOC総会の出席者が一糸乱れぬ行動をするということを考えまして、いろいろな情報を即時その方々に伝えるということで、多数の紙ですとか、そういったコピーを使用しました。そういった考え方から、そういった積算になったというふうに考えてございます。
○たぞえ委員 そういう答弁が通用するのかどうか、不思議です。
おかしいことは、ほかにもいろいろあるんです。同じ資料Aの二枚目ですが、例えば都の原議の内訳書とJTBの契約書の二枚目に、ファクシミリ・電話という項があります。その備考欄を見ますと、両方とも、通信料は実費にて後日請求と書いてあります。JTBの方は後日請求でもいいわけですが、都の方は少なくとも後日支払いとなるのが普通じゃないですか。
○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 結果的には同じことでございますけれども、後日支出という内容でここは書かれているものと考えております。
○たぞえ委員 だって発注者が請求するということはあり得ないでしょう。受注者が請求するんでしょう。そんな日本語の基礎的なことで--私、だからその問題は、まさにこの中身が、JTBと東京都との関係がどうなのかということを指摘しているわけです。
では、続いて、アジアオリンピック評議会の出席に係る知事の海外出張についてただします。資料は、お配りしている資料CとD、この二つです。
これも業務委託ですが、近畿日本ツーリストが委託を受けています。Cの一枚目に書かれています。これも資料Cの二枚目の近畿日本ツーリストの見積書、こちらはJTBと違って、内訳書ではなく御見積書ですが、これと資料Dの東京都の原議の四枚目の内訳書とはほとんど同じであります。単価と単位が〔1〕、〔2〕、〔3〕で表示され、合計は〔1〕掛ける〔2〕掛ける〔3〕と、〔1〕足す〔2〕足す〔3〕と、少し違うだけです。これも近畿日本ツーリストが両方とも書いたのか、見せてもらった疑義が強いと思いますが、どうですか。
○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 資料Cの御見積書につきましては、これは近畿日本ツーリストでございますが、資料Dの内訳書、これにつきましては招致本部の方で作成いたしました。
○たぞえ委員 重大なことは、JTBが委託を受けたものと、近畿日本ツーリストが委託を受けたものと、様式が違うことです。一部、例外はあっても、委託された会社ごとに様式が変わるんです。間違いも一緒です。いろいろいいわけをされましたが、どう見ても、JTBや近畿日本ツーリストが出した下見積書に基づいて都の内訳書がつくられていたとしか思えません。
私は、知事の海外出張をめぐるこうした疑惑に都が正面から向き合い、真相を都民に明らかにするべきことを強く求めるものです。
同時に、知事のオリンピック招致のための海外出張にかかわってこのような問題が起きるのは、JTBや近畿日本ツーリストが電通を通じたオフィシャルパートナーになって、招致委員会に対して協賛金を納めていることと無縁ではないといわざるを得ません。
それでは、オフィシャルパートナーとして契約した企業は何社で、どんな企業が名を連ねているのでしょうか。
○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 オフィシャルパートナーとして招致委員会と契約した企業でございますけれども、十七社ございます。申し上げますと、株式会社アシックス、株式会社デサント、ヤフー株式会社、TBCグループ株式会社、株式会社大塚商会、株式会社日本航空インターナショナル、全日本空輸株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、AIU保険会社、株式会社ジェイティービー、近畿日本ツーリスト株式会社、株式会社読売新聞東京本社、株式会社バンダイ、丸大食品株式会社、大和ハウス工業株式会社、ヤマト運輸株式会社、アサヒビール株式会社でございます。
○たぞえ委員 いわれたように、JTBや近畿日本ツーリストという旅行代理店や、全日空、ヤマト運輸など十七社の企業が名乗りを上げています。オフィシャルパートナーになった企業は、東京五輪を再び実現したいという招致委員会の活動趣旨に賛同して多額の協賛金を払うことによって、東京二〇一六招致のオフィシャルパートナーですとか、二〇一六年東京招致活動を応援していますなど、呼称する権利や招致ロゴの使用権を招致本部や招致委員会から与えられ、招致ロゴを使用する権利を得ることができるということですね。そうですか。
○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 招致活動におけますオフィシャルパートナーとは、招致委員会に協賛金を支払うことによりまして、招致委員会が著作権を有する招致ロゴの使用権や、二〇一六年東京招致活動を応援しておりますといった呼称権を使用できる権利を付与され、企業の広報宣伝活動においてそうした権利を活用できる企業のことでございます。
招致活動を通じて、最終的には十七社のオフィシャルパートナーとなったわけでございますけれども、例えば航空会社のパートナーでは、招致ロゴの機体ラッピングを行った特別塗装機を就航させ、旅行者にPRするなど、招致機運盛り上げを後押ししたところでございます。
また、オフィシャルパートナーは、招致活動において、民間からの資金調達の面でも、招致機運盛り上げの面からいっても、必要不可欠な役割を果たす重要な協力者でございます。
民民の契約形態では一般的でございまして、IOCやJOC、国内外の大きなスポーツ大会でも採用されているところでございます。
○たぞえ委員 これらの企業十七社からは、幾らの協賛金収入があったのですか。
○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 オフィシャルパートナーからの協賛金収入の額については、相手方との信頼関係もございまして、個々の企業については明らかにすることができません。総額で申し上げますと、約五・七億円ということでございます。
○たぞえ委員 報告書の三二七ページに、今いわれた五億七千万円と、そういう収入額が表示されています。そして、あわせて三二八ページに年度ごとにその協賛金収入が記載され、十九年度、七千百二十六万四千円、二十年度、二億四千七百七十三万四千円、二十一年度、二億五千五百五十一万三千円、合わせて五億七千四百五十一万一千円、このように書いております。
前段でいろいろただしました十七社のうち、旅行代理店である株式会社ジェイティービーからは一体幾らの協賛金の受け入れがあったのでしょうか。
○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 JTBからの協賛金でございますが、先ほどお答えしたとおり、相手方との信頼関係もございまして、明らかにすることはできません。
○たぞえ委員 全体はいえるが個々はいえない。全体額は報告書でも、しかも年度別にしっかり明記しているのに、個々になると明らかにしない。これでは到底、都民に報告する中身とはいいがたい。このようにいわざるを得ません。
我が党は、招致本部や招致委員会の資料から調べてみました。そうすると、JTBは判明しているだけで一億八千八百五十九万円、十七社の受注総額は四億七千百七十一万円です。協賛金を納めてもらう、その一方で、招致本部や招致委員会、さらには電通を含め、これらの組織が大量の仕事を発注する、そういう構造がつくられてきたんです。
最後に、知事は、この報告書が二〇二〇年オリンピックへの日本の再挑戦の海図、このように位置づけて再立候補への道を開こうとしています。都民の暮らしの支援に多くの財源を振り向けるべきときに、またまた招致活動に湯水のように税金をつぎ込むことは許されません。オリンピックを口実に積み立ててきた四千億円の基金を温存するのではなく、直ちに目的を変えて都民に計画的に使うべきです。このことを強く要求して、質問を終わります。
○星委員 よろしくお願いいたします。
知事は、十七年九月二十日、第三回定例会の所信表明で、二〇一六年のオリンピック招致を表明しました。この日の演説の抜粋が報告書の五ページに掲載されています。ただ、私はこの時期、市議会議員で、その後、招致委員会から要請があった市区町村決議の取りまとめをめぐり議会が紛糾したのを鮮明に記憶しています。今にして思えば、滑り出しから前半戦、いま一つ世論の盛り上がりを欠いていたといわれる要因の一つに、政策決定過程の情報の共有と幅広い参加が足りなかったということがあるのではないかと考えます。
市区町村議会の決議に対して判断の資料の一つとなったのは、この報告書に載っていませんが、十八年の第一回定例会での知事施政方針と、大会の基本コンセプトと開催概要です。知事は、日本人としての志を置き去りにしている、今なすべきことは、国家、民族として真に立ち向かうべき方向を見定めて、みずから立つ国としての自己を取り戻す、そうした意味からも、二〇一六年の開催を目指す東京オリンピックは、日本の底力と成熟都市東京の存在を世界に示すと述べられており、国と国、国家戦略という勇ましいことでなく、ただ純粋にスポーツが好きであるという方々からも異論が聞かれ、世界一コンパクトな大会として、都心の半径八キロ圏内に二十八競技中二十六競技を配置という大会コンセプトは、都民の、特に多摩地域の都民に夢が持てないものでした。恐らく多くの意見が市町村から出ていたと思います。
その後、最先端技術や環境ということを前面に打ち出してきましたが、不況の真っただ中で地域経済は疲弊している中で、多額の税金が投入される招致活動には最後まで慎重論がありました。
私からは、報告書でも課題として示された招致機運の盛り上げについてお聞きをしていきたいと思います。
まず最初に、IOCの世論調査では、支持率が四都市最低でした。この間の議会の議論を聞いていると、招致は国際的なレースであり、国家的な事業であるとのことですが、それほど大きな事業なら、戦略的に招致に向けた都民、国民の機運を盛り上げ、招致への合意を形成していく必要があったのではないかと思います。
そこで、招致を決めた当初、どのような戦略で機運を盛り上げようと考えていたのか、お伺いいたします。
○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 二〇一六年招致に向けました都民、国民の機運を高めていくためには、その時々の世論の動向や社会経済情勢などを踏まえながら、臨機応変に戦略を練りながら効果的な事業展開をしていく必要がございました。そのため、招致活動の初期段階におきまして、機運盛り上げの事業計画をすべて固めていたというわけではございませんけれども、二〇一二年の招致をかち取りましたロンドンの活動実績等も参考にするなど、都及び招致委員会では、招致活動を三つの段階に分け、戦略的に機運の醸成に取り組むこととしておりました。
まず、初期段階といたしまして、平成十八年八月の国内立候補都市決定から平成二十年六月のIOCによる立候補都市選定までの時期を事実周知期と位置づけました。東京が二〇一六年の大会に立候補している事実、これを広く周知することに力を注いでまいりました。招致大使などによる記者発表会や開催基本計画発表会、署名活動などを実施しまして、立候補の事実や、東京が目指すオリンピックの理念を広くアピールしてまいりました。
次に、第二段階といたしまして、立候補都市選定から昨年四月のIOC評価委員会の来日までを支持層拡大期と位置づけました。東京から全国へと取り組みを拡大してまいりました。また、世論調査の結果を分析するなどいたしまして、若者の支持を高めることが必要と判断をいたしまして、一九六四年の東京オリンピックを知っていらっしゃる中高年層から知らない若年層へと支持を拡大するための取り組みなどを行いました。全国自治体や大学、あるいは経済団体などの各種民間団体との連携や、若者の集まるイベントでのPR活動などにより、支持層の拡大を目指した活動を行いました。
最終段階でございます、IOC評価委員会来日から昨年十月の開催都市決定までをカウントダウン期と位置づけました。最後の盛り上げに向けまして、国内外のメディアへの発信力の高い事業を実施いたしました。開催都市決定百日前などの節目をとらえたイベントや大規模なパレードなど、インパクトのある事業を実施いたしまして、招致に向けた東京の熱意を内外に強く訴えてまいりました。
○星委員 盛り上げの期間を三段階に分けて、周知期、また支持拡大、あるいはカウントダウン期という、今考え方をお伺いいたしましたけれども、そしてまたこの報告書には、盛り上げのための事業が数多く記載をされております。本当にたくさんの事業が実施をされています。このように多くの事業を実施した割には、私は効果が余り上がらなかったのではないかなというふうに考えておりますが、見解をお伺いしたいと思います。
○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 報告書に記載しております事業は、招致機運の醸成とともに、スポーツの振興、オリンピズムの普及を図ることを目的として実施したものでございます。
それぞれの事業の中では、ふだん接する機会のないオリンピアンやパラリンピアンとの交流などを通じまして、次代を担う子どもたちに夢や希望を与えるなど、かけがえのない心の財産を残すことができたというふうに考えております。
さらに、オリンピック教育を推進し、フェアプレーの精神やスポーツを通じた友情などを学ぶことにより、児童生徒の健全育成に資することができたというふうに考えております。
これら、今回の招致活動のレガシーとして、将来に引き継がれていく大きな成果であるというふうに考えております。
なお、先ほどお話のございました支持率でございますが、IOCの調査は昨年二月に実施されたものでございまして、未曾有の経済危機などの影響を強く受けるとともに、IOCが調査時期を公表しなかったため、同年四月のIOC評価委員会来日に合わせました集中的なPR活動の効果が反映できなかったといったことも結果に影響しているというふうに考えております。
なお、IOC評価委員会来日後に招致委員会が実施しました調査では、全国で八〇・九%、東京で七三・五%と高い支持を得ておりまして、機運盛り上げの効果も十分あったというふうに考えております。
○星委員 レガシーという言葉が本当にこのオリンピックの招致活動で非常に使われ始めましたので、私も非常に興味を持ったんですが、つまり遺産とか後世に引き継ぐものということだと思うんですけれども、招致活動におけるレガシーというところの中の部分では効果があったというふうにおっしゃっておりますけれども、具体的にどのようなレガシー、効果があったというふうにお考えなのでしょうか。
○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 招致活動のレガシーでございますが、例えば区市町村とのオリンピックムーブメント共同推進事業では、子どもたちを初めとしました参加者から、将来オリンピックに出場したい、あこがれの選手に教えてもらってとてもうれしかった、あきらめずに夢に向かって努力していくことの大切さを感じたなどの声が多く寄せられておりまして、子どもたちに将来の目標を与えることができたというふうに考えております。
また、スポーツは他の人たちを感動させられるすばらしいものだと認識を新たにした、地域住民の相互理解や友好の精神の醸成につながったなどの声も寄せられておりまして、スポーツの振興や交流、地域住民の交流の活性化、相互理解の促進など、オリンピズムの幅広い意義を都民に伝えることができたと考えております。
さらに、オリンピック教育では学習読本を作成いたしまして、都内の公立小中高等学校を初め、多くの学校で活用されており、実際にオリンピアンを招いた特別授業を行うなど、それぞれの学校で工夫を凝らした取り組みを行っております。そうした教育の現場からは、総合学習の授業でオリンピックの歴史が学べた、道徳の時間でフェアプレーの精神や友情について、またパラリンピックを通じて障害者スポーツに対する理解を深めることができたなどの声が寄せられておりまして、オリンピズムの普及と子どもたちの健全育成に寄与しているというふうに考えております。
○星委員 一定の効果があったというふうに当局はおっしゃいますけれども、感動体験を味わえた子どもたちも味わえない子どもたちもたくさんいるというふうに私は思います。
次に、この機運の盛り上げの一環として行われた区市町村とのオリンピックムーブメント共同推進事業についてお伺いいたします。
中には盆踊りや花火など、自治体が通年行っている祭りやイベントに乗じて開催されたものがありますけれども、共同推進事業の応募条件はどのようなものであったのか、そして自治体から提出された事業計画をどのように精査して事業を実施したのか、お伺いをいたします。
○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 お話の共同推進事業でございますけれども、先ほどちょっとお話がございましたけれども、まさしくその競技会場のあるなしにかかわらず、都内すべての区市町村が招致活動に積極的に参画できる方策を、都と区市町村とで検討する中ででき上がってきた事業でございます。多摩地域や島しょ地域の自治体からは、競技施設の設置予定はないけれども、事業の実施を通じて住民と一体となって招致機運が盛り上がったなどの声が寄せられております。
ご質問の共同推進事業の応募条件でございますけれども、この事業の目的は、オリンピズムの普及啓発を通じ、地域社会にスポーツ、文化の振興、青少年の健全育成、環境対策などのさまざまな価値をもたらすとともに、招致機運を高めることでございまして、この目的に合致した事業であることが第一条件でございます。
区市町村から提出されました事業計画につきましては、ただいま申し上げた事業目的に合致しているかどうかということのほか、事業を効果的かつ円滑に実施するためのプロセスが計画書に明示されており、その実現可能性が明確になっていること、法令その他の規定を遵守した取り組みとなっていること、事業目的に対する経費の支出として的確さを欠かないことなどの観点から精査をしております。さらに、事業の選定に当たりましては、外部委員を含みます選定委員会を設けまして、事業内容を十分に審査の上、事業の実施を行っております。
なお、お話の盆踊りや花火大会などは、地域に根差した多くの集客が見込めるイベントでございまして、効果的に招致のPRとオリンピズムの普及を図ることができる有効な場だというふうに考えております。
○星委員 この推進事業に限らないんですけれども、今回の招致活動では、オリンピアンなどの著名人が出演した事業に対して、本当に高額であるという都民の批判が多くあります。このことは、情報が十分に伝わらない中で多額の税金を投入することへの都民の当然の意見として受けとめ、説明責任を果たすべきと考えます。
私の地元の例ですけれども、恒例の新春駅伝に花を添えるためにアスリートを招きまして、スターターと講演会を依頼いたしました。この部分にかかった費用は八十三万円ほどですけれども、これは派遣委託ですので、この方と派遣会社の契約の中身により、この方の出演料というものは変わってきます。マスコミなどで報じられている金額がイベント全体の予算と分けられていない場合が多くあり、非常に私はアスリートにもお気の毒な面があるのではないかなというふうに思っています。
都はこの間、都民にもっと丁寧な説明をしてくるべきではなかったかと思います。これは私の意見です。
次に、盛り上げや招致活動に対して中心的な役割を担ってきた特定非営利活動法人東京オリンピック・パラリンピック招致委員会の活動から、何点かお聞きをいたします。
まず、ライセンスグッズについてお聞きします。この目的は何でしょうか。
○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 ライセンスグッズの目的でございますけれども、ライセンスグッズは招致ロゴを配してございまして、これの目的は、一番大きなものとしましては、招致活動を世間に幅広く知らしめること、それによりまして招致活動のすそ野を広げ、招致機運のさらなる盛り上げが図れることでございます。また付随的な目的としましては、ライセンス収入を得ることで収益機会の拡大を図ることも目的の一つでございます。
○星委員 周知活動、そしてすそ野を広げるというふうなお答えですが、私は地域で余り見かけなかったんです。PRはどのようにされましたか。
○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 ライセンスグッズのPRに当たりましては多様な方法をとっておりまして、一つはプレスリリースなどメディアを利用した告知、それから招致委員会のウエブサイトを活用した周知、また、都庁舎内の展望室や東京観光情報センターはもとより、博物館や招致委員会主催のイベントへの出展など、さまざまな販売チャンネルを活用した露出の拡大など、工夫を行っております。
○星委員 先ほど収益は付随的なものというふうにおっしゃいましたけれども、やはり民間で大いに寄附を集めようではないかというようなところの中の部分では、収益も私は大事なものだというふうに認識をいたしますが、実際に収益はどのようなことだったのでしょうか。
○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 収益でございますけれども、ライセンシーの売り上げの一部が招致委員会の収入となってございまして、その額は約四百万円でございます。
○星委員 四百万円ですね。わかりました。
次に、サポーターズクラブについてお聞きします。
この目的は、まさに資金調達、そして盛り上げ活動ですが、目的達成に向けて計画はどのようなものだったのでしょうか。これは法人、個人のそれぞれでお聞かせください。
○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 サポーターズクラブの目的でございますけれども、招致活動資金のうち五十億円は民間資金で調達するということになっておりまして、サポーターズクラブを活用することでその調達間口を広げまして、あわせて招致機運の醸成を図ることとしたものでございます。
したがいまして、サポーターズクラブでは寄附を広く募集してきたところでありまして、特に目標の金額は設けることをしておりません。法人、個人にかかわらず、広く募集をしてきたところでございます。
○星委員 目的が資金調達ということで寄附を幅広くというところの中の部分で、理解できるような、しかしその目標額は設定していないという、そんなにラフなことで本当によかったのかというふうに私は疑問が残ります。
最後に意見ですけれども、盛り上げ活動を中心にお伺いをいたしました。私は、この招致活動でレガシーというものが残ったとしたらば、ぜひ東京でオリンピックを開催することの是非論というものが--この間繰り返されてきたということもありますし、今後もまた、東京あるいはこの国でオリンピックを開催するということに対しての議論というものが続くというふうに思います。
そして、ふだんはあいまいにしがちなスポーツの価値とか、スポーツを通してどのように幸せになれるかということ、オリンピックの意義ということも含めて、国民的論議というものがこういうことからできるんだということが実証されていると、いいか悪いかは別にしても。こういった議論というものをする機会があったということがレガシーの一つではないかなというふうに思います。
そして、私はこのことを教訓に、地域のスポーツ振興あるいは発展ということに対しても、このレガシーをぜひぜひ生かしていっていただきたいということを最後に意見として申し上げて、質問を終わります。
○吉野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本日の質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉野委員長 異議なしと認め、本日の質疑は終了いたしました。
この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。
午後一時四十四分休憩
午後二時十分開議
○吉野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
過日の委員会で提出されました、二〇一六年オリンピック・パラリンピック招致の審査に関して参考人招致を求める動議を議題といたします。
これより採決を行います。
お諮りいたします。
参考人招致を求める動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉野委員長 異議なしと認めます。よって、本動議は可決されました。
なお、参考人招致の詳細につきましては理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○吉野委員長 次に、本委員会に付託されております調査事件についてお諮りいたします。
本件は、今定例会中に調査を終了することができませんので、閉会中の継続調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後二時十一分散会
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