オリンピック・パラリンピック招致特別委員会速記録第三号

平成二十一年十月二十六日(月曜日)
第四委員会室
 午後一時開議
 出席委員 十七名
委員長吉野 利明君
副委員長三宅 茂樹君
副委員長泉谷つよし君
副委員長中嶋 義雄君
理事ともとし春久君
理事こいそ 明君
理事中村 明彦君
くりした善行君
鈴木 隆道君
高橋かずみ君
西崎 光子君
たぞえ民夫君
大西さとる君
いのつめまさみ君
門脇ふみよし君
相川  博君
木内 良明君

 欠席委員 なし

 出席説明員
東京オリンピック・パラリンピック招致本部本部長荒川  満君
技監福島 七郎君
企画部長細井  優君
参事重田 敏光君
参事梅田 弘美君
招致推進部長中嶋 正宏君
連絡調整担当部長藤森 教悦君
招致戦略担当部長保坂 俊明君
新施設建設準備室長末菅 辰雄君
公募準備担当部長野崎 誠貴君
知事本局局長吉川 和夫君
総務部長大井 泰弘君
計画調整部長梶原  洋君

本日の会議に付した事件
 二〇一六年に開催される第三十一回オリンピック競技大会及び第十五回パラリンピック競技大会の東京招致に関する調査審議及び必要な活動を行う。
報告事項(説明・質疑)
・第百二十一回IOC総会における招致活動について

○吉野委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック招致特別委員会を開会いたします。
 初めに、過日の委員会において紹介できませんでした幹部職員について、本部長から紹介があります。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 職員紹介の前に、一言御礼を申し上げます。
 去る十月二日、デンマーク・コペンハーゲン市で開かれました、二〇一六年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市を決定するIOC総会におきまして、東京は、力及ばず開催都市に選ばれることができませんでした。
 吉野委員長を初め当特別委員会の委員の皆様には、これまで多大なるご支援、ご協力をちょうだいいたしましたことに、心から厚く御礼を申し上げます。
 取り組んでまいりました招致活動につきましては、その成果をこれからの都政にしっかり生かすことが大事であると思います。都議会の皆様のご指導、ご鞭撻を何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、公務のため過日の委員会を欠席いたしました当本部の幹部職員を紹介させていただきます。
 連絡調整担当部長の藤森教悦でございます。
 なお、次長の並木一夫は、公務のため本日の委員会を欠席させていただいております。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○吉野委員長 紹介は終わりました。

○吉野委員長 これより第三十一回オリンピック競技大会及び第十五回パラリンピック競技大会の東京招致に係る事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取を行います。
 理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 それでは私から、お配りしております資料の、第百二十一回IOC総会におけるオリンピック・パラリンピック招致活動についてに基づきましてご説明申し上げます。
 去る十月二日、二〇一六年のオリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市を決定いたします第百二十一回IOC、国際オリンピック委員会総会が、デンマーク王国のコペンハーゲン市で開催されました。
 最後の決戦の場となるこの総会に向けて、石原知事は九月二十六日から現地に入りまして、投票権を持つIOC委員に対しまして、環境最優先の大会をアピールするなど、最後の最後まで投票への働きかけを行い、精力的なロビー活動を展開してまいりました。
 最終プレゼンテーションは、現地時間の十月二日、十時半から、東京はシカゴに続きまして二番目に登場いたしまして、四十五分間にわたりまして、IOC委員に対して最後の訴えを行いました。
 プレゼンテーションの登壇者につきましては、まず初めに若者を代表して十五歳の体操選手、三科怜咲さん、そして国の代表として鳩山内閣総理大臣、そして石原知事、オリンピアン、パラリンピアンなど、合計十二名の方々が登壇し、都民、国民の熱い思いを訴えかけました。
 資料の右側をごらんいただきたいと思います。IOC総会における投票結果でございます。
 IOCの投票の仕組みは記載のとおりでございます。
 投票の経過でございますが、記載のとおり、東京は二回戦に進みましたが、リオデジャネイロ四十六票、マドリード二十九票、東京二十票となり、大変残念ながら、ここで東京は次に進むことができませんでした。
 こういった結果ではございましたが、開催都市決定の十月二日は、本当に多くの皆様に応援をいただきました。
 国内では、都庁第一本庁舎五階の大会議場に、決定の瞬間を見守るため、都議会議員を初め、国会議員や都内の区市町村長、区議会議員、商工会議所の方々など、約八百名の関係の方々にお集まりいただきました。都議会の皆様にも、大変遅い時間までご声援をお送りいただきまして、本当にありがとうございました。
 また、このほかにも、東京タワーでのライトアップやサポーターズクラブによるイベント、新宿、渋谷でのパブリックビューイング、スポーツバーでの中継など、さまざまな場で応援をいただきました。
 現地コペンハーゲンでは、応援ツアーに参加した約二百五十名もの方々が、IOC総会へ向かうプレゼンターのホテル出発時の見送りや、東京のプレゼンテーションの中継を見ながら応援をしてくださいました。また、現地日本人会や学生の会からも力強い応援もいただいております。
 何より、田中議長、吉野委員長を初めとする十名の都議会派遣団の皆様には、プレゼンターの見送りやプレゼンテーション時の応援はもとより、間寛平氏のアースマラソンのコペンハーゲン到着イベントなど、さまざまな行事に駆けつけていただきまして、東京都や招致委員会と一体となった招致活動にご尽力をいただきました。改めて御礼を申し上げます。
 結果は非常に残念でございましたが、都議会を初めとする皆様のご支援、ご協力のもと、私どもといたしましては、全力を尽くし招致活動を行うことができました。招致活動を通して、東京の環境政策の先進性を世界に示すことができるなど、多くの成果を残すことができたと考えております。
 今後も、この招致活動のレガシーを生かし、環境政策やスポーツ振興などに積極的に取り組んでまいります。引き続きのご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 以上、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○吉野委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○中村委員 今の報告、本当に皆様方、大変なご苦労をなさった中での報告だと思います。十月二日、デンマークのコペンハーゲンで行われました二〇一六年オリンピック・パラリンピック大会のIOCの総会において、東京が選定されなかったことは、私自身も、オリンピック招致議連の副会長として活動していた中では、本当に残念でならない次第でございます。
 今、この招致活動について説明がございました。ここ一カ月で開催されました応援パレード、そしてイベントには、多くの世代を超えた方々が参加されてきました。IOC総会においても、東京のプレゼンテーションについては、鳩山総理を初め、東京都知事や多くのオリンピアン、パラリンピアンが全力でプレゼンテーションしたことが、今の報告からもうかがえるわけでございます。
 投票の結果は、まず第一回戦を勝ち抜き、総会会場、そしてまた都庁での応援団、また国内各地での応援団の方々が大いに喜び、期待が一気に集まったわけでございます。しかし、直後の二回戦であえなく落選となってしまいました。結果としては、ブラジルのリオデジャネイロが南米初の開催都市として選ばれたのでございますが、まずは招致本部長の、このことに関しましての所感をお伺いしたいと思います。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 会議の冒頭申し上げましたが、改めて所感を申し述べたいと思います。
 これまで、知事本局を初め全庁体制のもとで、職員と力を合わせて全力で招致活動に取り組んでまいりましたが、結果を出せず、心境は無念でございます。
 しかし、四年間にわたる招致活動に対しましては、都議会の招致議連を初め、日本全国から大変多くのご支援、ご協力をいただき、また最後のコペンハーゲンにも大勢の応援団に駆けつけていただきました。改めて感謝を申し上げたいと思います。
 東京が開催都市になれなかった理由については、後ほど報告書として整理をいたしますけれども、開催計画もプレゼンテーションも、どちらも東京の評価は高かったというわけですけれども、最終的には、リオデジャネイロのまさに国を挙げた南米初というキャンペーンに勝てなかったのが直接の敗因だというふうに思います。
 このように、東京の招致は成りませんでしたが、成果は十分あったというふうに確信しております。世界に対しては、地球環境の大切さを大いに訴えることができ、また、東京のすばらしさや強みもアピールすることができました。
 また、立候補ファイルの作成過程では、環境や情報など、いろいろな分野で新しいアイデア、技術を生み出すとともに、海外の国際競技団体とも親密なコネクションをつくることができました。
 また、招致をきっかけに、オリンピアンやパラリンピアンとのスポーツ交流が全国あるいは都内各地に広がりまして、そこでは、フェアプレーやチームワークといったオリンピック精神の普及啓発とともに、子どもたちとトップアスリートとの触れ合いの場ともなり、次代を担う子どもたちのために大きな財産を残したのではないかというふうに思います。
 今後も、必要な事業は継続していき、都市づくりやまちづくりに生かしていくことが重要であると思います。また、そうすることで新たな活力や、あるいは新たな挑戦も生まれてくるというふうに思います。
 改めまして、当委員会の皆様のこれまでのご支援とご協力に心から感謝申し上げます。
 ありがとうございました。

○中村委員 今回の招致活動、まことに残念、本当に残念、断腸の思いでございますが、日本におけるオリンピックに対する思い、またスポーツに対する意識が以前よりも高まったと私も感じますし、レガシーとして確かなことと考える次第でございます。
 これらの国内招致活動を通じてあらわれてきたスポーツへの意識の高まり、そして都内各所のスポーツクラブなどの活性化、スポーツ都市東京の実現に向けたさまざまな取り組みに反映していくことが今後大事なことでございます。このような意識を、今、本部長からもお話がありました次世代の子どもたちに続けていく、維持していくと、私も考えます。
 その点については、今後、次世代の子どもたちにつなげていくにはどういうふうにしていくのか、これもお示しいただけたらと思います。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 招致活動を進める中で芽生えました都民、国民のスポーツに対する意識の高まりは、招致活動のレガシーとして次世代に伝えていくことの重要性につきましては、中村理事と全く認識を一にしているところでございます。
 例えば、オリンピックムーブメント共同推進事業のスポーツ教室、実技指導などには、平成二十年度、単年度だけでも約三万七千人の子どもが参加いたしました。オリンピアン、パラリンピアンとのスポーツ交流により、子どもたちに将来の夢や勇気を提供できたものと考えております。
 オリンピック招致を機に、各局でもスポーツ振興策は盛んに行われておりまして、教育庁は子供の体力向上推進本部が設置され、子どもの体力向上やスポーツ教育の推進を目指す新たな施策が検討されております。また生活文化スポーツ局では、ジュニア選手の発掘、育成、強化プログラムも始まっております。このほか、学校芝生化の推進や地域スポーツクラブの育成など、多くの事業展開が各局で始まっているところでございます。
 週一回以上スポーツを行う人の比率でありますスポーツ実施率という比率がございまして、この二カ年間で、二年前の三九%から四三%へと四ポイントも増加したことも、この招致活動の成果であるといえるのではないか、このように思っております。
 今後も、さまざまな方法を用いまして、このレガシーを継承し、都民、国民の間にスポーツを根づかせていくことが極めて重要だと考えております。都議会議員の皆様のご理解と一層のご支援をお願い申し上げます。

○中村委員 これからも、スポーツに対して皆様方のご努力、大いに期待するものであります。
 今回の招致経験を国内の他都市も含めて伝え、そして協力していかなければならない、このように考えているわけでございます。
 そこで、先ほど報告の中にもありました二〇一六年オリンピック・パラリンピック招致活動報告書、これをいつごろ作成し、また公表できるのか、その辺をお示しいただけたらと思いますので、お願いいたします。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 都といたしましては、今回の招致活動により得られました貴重な経験や招致に関するノウハウを継承するため、JOCや招致委員会などと協力いたしまして、ただいまお話のありました招致活動報告書を作成してまいります。
 この招致活動報告書は、今回の招致活動の記録に加えまして、今後のスポーツ振興や都政にも活用していけるよう、招致活動の成果などを多角的に検証し、その全容を都民に明らかにするものでございます。これにつきましては、今年度内に公表できますよう、取りまとめていく予定でございます。

○中村委員 そうですね。なるべく早い時期に報告書が取りまとめられることを要望しておきます。
 そして、招致委員会の会長を兼務する知事も、積極的に、招致の経費を含めた実態を都民の目の前に明らかにすると述べられていることがございました。議会においても真摯な答弁を期待するものであります。
 私も、都議会オリンピック・パラリンピック招致議員連盟の副会長として、多くの都道府県や政令市、招致活動をしていただくなど、招致活動に深くかかわってきたのでございます。四年前に議連を立ち上げるときには、我が会派をまとめるのにも大いな苦労をいたして、ここまで来れたことは、私自身も万感の思いがあるわけでございます。
 私と同様に、招致本部の皆さん方も恐らくいろんな思いがあろうかと思います。その思いを、思いのたけを、知事本局長、述べていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

○吉川知事本局長 まずもって、このたびの招致活動にご支援、ご協力をいただきました、本当に数多くの都民、国民の皆様、また早々と招致決議をいただいた、今、理事の方からもお話もございましたが、全国の自治体の皆様、また、最終的には財政保証等でバックアップしていただきました国の関係者の方々も含みますが、さらに、寄附もしくはオフィシャルパートナーとなっていただいた企業の関係者の方々、そして何よりも忘れてはならないのは、我々のこれらの取り組みの先頭に立って行動していただきました招致議連の先生方、これらすべての方々に心から感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 石原知事を先頭に、招致本部、招致委員会の職員が中心となって、二十一世紀を担う多くの若者に夢と希望を送り、東京のさらなる成熟のための好機となるオリンピック・パラリンピック招致実現に取り組んでまいりましたけれども、結果としてかなわなかったわけでございます。私も残念無念であります。コペンハーゲンの地で、本当にプレゼンテーションもすばらしかったし、一回戦のときの感動、で、直ちに発表された二回戦での残念無念というのは、本当に深い思い出が心に残っております。
 しかし、先ほど荒川本部長からお話もございましたが、これまでの招致活動を通じまして、都政には多くのレガシーが残ったと思っております。第一に、地域におけるスポーツ活動の拡大、障害者スポーツの普及にかつてなく本格的な取り組みが開始されております。
 また第二に、世界に、治安のよさなど東京の本当のすばらしさ、そして何よりも日本人の平和を求める心、これらがアピールできたと思っております。
 最後に、第三点としては、初のカーボンマイナスオリンピックという、今後の新たなオリンピックのありようを東京から提起、また、国に先駆け、先生方のご了解をいただき早々と導入したキャップ・アンド・トレードに代表される環境施策を初め、さまざまな分野での先進的な施策を、「十年後の東京」計画に基づき具体的に既に始動させることができている。
 これら三点がレガシーであるというふうに私は思っております。
 いずれにしましても、これらを通じまして、「十年後の東京」計画で掲げました二十一世紀のモデルとなる都市東京、これをつくり上げるという、より高い次元での都市づくりに挑戦した今回の経験は、今後の都政運営にとって大きな財産であり、大きな成果であったと思っております。これらレガシーを東京のさらなる発展に何としてもつなげていきたいという決意でございます。

○門脇委員 私はこれから、招致経費あるいは招致費用の赤字分のことについて質問いたしますけれども、これは決してネガティブな質問ではありません。私自身も今日まで、国内都市決定のときから、微力ではございますけれども、二〇一六年に東京にオリンピック・パラリンピックをぜひ招致できるように活動してきた議員の一人としてお聞き取りいただきたいと思いますし、また、二〇二〇年とかそういうお話が出ておりますが、それがどうなるかは別といたしましても、この機に、今の段階で明らかにできることはきちっと議会を通じて都民の皆さんに明らかにしていくことが、今後の将来を見通した上で最も大切なことだと思っております。そういう意味で質問いたしますので、冒頭、ご理解いただきたいと思います。
 まず、収入の方ですけれども、これは伝えられているとおり、税金で、公金で百億円、そして五十億円は企業の協賛金あるいは寄附金で賄われるということでございました。そして、これは仮にというか、成功していれば、企業、スポンサーも今よりももっと大きな金額を提供していてくれたかもしれませんが、残念ながら現状はそのようにはなっていないようであります。
 ショートしている分は七億円とも十億円ともいわれております。まだコペンハーゲンの精算の部分は終わっていないとは思いますけれども、現状の段階で、当初のスポンサーからの五十億円の協賛金及び寄附金について、そのショート額をお示しいただきたいと思います。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 招致推進活動経費の収入、支出の状況につきましては、現在集計中でございまして、いまだその内容については申し上げる時期ではないと思っております。集計後、報告できるような状態になれば、都議会の皆様、都民の皆様に公表させていただきたい、このように思っております。

○門脇委員 企画部長のお立場も理解しなくはありませんけれども、報道では、先ほど申しましたように、七億円から十億円の招致費用、招致経費が不足しているといわれておりますし、私、こういうことを余り申し上げたくないんですけれども、一部報道では、この不足した部分、すなわち赤字になった部分は、今後、公金、すなわち税金で補てんをするとの、これは報道でありますけれども、そのようなことも伝えられております。
 現在のところ数字をお示しいただけないということになれば、議論が先に進みませんけれども、大まか、その企業の五十億円に届いたのか、あるいはとても届きそうもないかということぐらいは、この場で明らかにしていただいても、私は、都民の皆さんもなるほどなと、じゃあそれからどうしようかという議論になると思いますので、そのことはお示しいただけませんでしょうか。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 先ほどもお答えしましたように、現時点ではまだ公表の段階ではないと思っております。よろしくお願いいたします。

○門脇委員 責任者である企画部長が繰り返し、お示しできないということであれば、これ以上お聞きしても答えは同じだと思います。
 じゃ、どうでしょうか、ちょっと視点を変えて、先ほどもちょっと申し上げましたように、仮の議論というのはお互いに余りしない方がいいと思いますけれども、仮にその企業の協賛金、寄附金という部分で少なくなった場合、その赤字をどのように補てんしなければいけないかという方法は一つではないと思いますけれども、少なくともですね、少なくとも、赤字になった場合、その部分について公金で、すなわち都税で、都民税でその分を埋め合わせるというか、不足分を補てんすることはしないということは、この委員会の場で申し上げることは難しいですか。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 現在、収入、支出の状況は集計中でございまして、経費の内容につきましては調査して、相手先との調整が必要な案件もございます。また、当初想定していなかったローザンヌでのIOC委員に対するブリーフィングの経費などの扱いも慎重に検討する必要があろうかと思っております。
 いずれにしても、平成二十年第一回定例会でお示ししました招致推進活動経費総額百五十億円、一般財源の投入が百億円の大枠につきましては守れるべく努めていくことが基本である、このように考えております。

○門脇委員 私も冒頭申しましたように、きょうは決してネガティブな議論をするつもりは全くありませんけれども、ただ、確かに金額は少ない。少ないというのは、新銀行東京などと一緒にするつもりはありませんけれども、これをまた足りない部分を税金で補てんするということになると、それはある意味、けたが違いますけれども、東京の第二の新銀行東京になってしまう。これは別に私の考えというよりも、都民の皆さんはそういうふうに判断をするということになってしまうのではないかと、私自身はとても危惧しているから、こういうふうに今、質問をさせていただいているわけです。
 答弁が出ませんので、これ以上質問をすることは避けますけれども、繰り返しますけれども、やはり皆さん方、本当に一生懸命、きょうお出になっていないというか、いらっしゃらない招致委員会の皆さんも本当に一生懸命やられてこられたことはよくわかっております。私も十月二日、第一庁舎の五階で一緒に一生懸命応援をしました。だからこそ、繰り返しますけれども、今後、東京がもう一度チャレンジするかどうかわかりませんけれども、そのためにも、現状の認識ということをこの段階でお互いにしっかりしておいた方が、まあ、いずれ出てくるでしょうけれども、この段階でやはり明らかにしていくということもむしろ必要ではないかと、私はそういうふうに考えております。
 質問の要点はあと一点でありますけれども、もう一点は、いろんな会社、企業にいろいろなお願いをして、そして業務を仕切ってきていただきました。そして、その中で、これもお答えはなかなか難しい部分もあるかと思いますけれども、広告会社が果たす役割というのは、私はこういう大きなイベントの場合は、私、民間企業にもおりましたけれども、大変重要だと思っております。その認識は多分皆さん方も私も全く一緒だと思います。
 ただ、これは総体の問題として、どのくらいの金額というものがふさわしいかというのは、はっきりとした数字はないと思いますけれども、伝えられるところによりますと、広告会社、一社しか多分ないと思いますけれども、日本を代表する大きな広告会社でありますけれども、この広告会社に対して、コペンハーゲンの分は入っているのか入っていないのか--コペンハーゲンの分というのは現地のあれですね、プレゼンテーションとかそういうことですけれども、入っているかいないかどうかわかりませんけれども、支払い金額ですね、五十二、三億を超えるのではないか。積算の仕方というか、これからの精算によっては、この日本最大の広告会社に対して六十億円に近い金額を支払う、もう終わっているところもあると思いますけれども。
 私はこのことが決して悪いとは思いませんが、しかし、これからその企業に対して、ある意味その値引き交渉ということも、まあ、皆さん既におやりになっていると思いますけれども、これ強力に進めていかないと、結局は、先ほど申しましたように、その足りなくなった分、税で補てんをすると。税で補てんするということになると、なかなか皆さん、次の戦いしづらいですよ。ですから、私は、繰り返しますが、こういう質問をしているわけです。
 数字的には難しいと思いますし、相手のあることでありますけれども、伝えられているように、この広告会社に、全体の金額を合計すると六十億円近い支払いが生じているというのは事実でしょうか。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 先般の決算特別委員会の分科会でもお答えしているんですが、現在まだ中途で、招致本部においては、十月六日までの期間で、その大きな広告会社、電通でございますけれども、三十二億八百万円、招致委員会の方における支払い金額は九月末の時点で二十一億三千四百万円、これを合わせますと、この時点で五十三億台というような数値になってございます。

○門脇委員 私はあえて会社名を申し上げなかったんですが、電通という、繰り返しますが日本で最大の広告会社、こういう大きなイベントのときには、やはりその業務の特殊性、あるいは世界各国、あるいは各人に対する人脈等もあるから、この電通がいいとか悪いとかいうことを申し上げるつもりはありませんけれども、これから税を投入しないで、そしてその担当していただいた電通、電通だけじゃありませんけれども--何といっても、今のご答弁でも、百五十億円のうち五十二、三億円ですね。これ、精算するともう少しふえる可能性が強いと私は思いますので、これからこの企業に対してもいろんな方法があると思います。いろんな方法があると思いますけれども、民間企業というのは、利益の先送りという、その営業のやり方ということも当然あるわけですから、この広告会社に対していろんな交渉というものを、強力な交渉というものを進めて、そしてそこで吸収をして、繰り返しますが、税は投入をしないと。税は投入しないということは、先ほどいわれたように、今の段階では答弁できないということでありますから、少なくとも強力な、値引きというと余り言葉はよくありませんけれども、交渉を強力に進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 先ほども申し上げておりますけれども、現在、経費の内容につきまして調査しておりまして、相手先との調整が必要な案件もあると申し上げております。
 招致推進活動経費の総額百五十億円、一般財源投入百億円の大枠については守れるべく努めていくことが基本である、このように考えております。

○門脇委員 わかりました。
 それは、あとは私たち議会も議員も今の答弁を信じるしかありませんが、やはり招致敗れて大変残念なことではありますけれども、これは招致本部や招致委員会だけの責任ではなくて、その業務を引き受けた広告会社電通にも、私個人としては大きな責任があることは事実だと思いますから、具体的な数字はきょうは残念ながら出ませんでしたけれども、これから、この企業だけではありませんけれども、六十億円に近い業務委託をしているわけですから、強力な値引き交渉をお願いいたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○いのつめ委員 招致を信じて活動されてきた皆様、本当にお疲れさまでございました。今回の経験を次のお仕事に役立てていただきたいと思っていますが、まず一点目の質問をさせていただきます。
 最近の報道で、国際オリンピック委員会総会出席者が着用したスーツの代金が取り上げられています。都民の皆様のご関心も強いようです。雨や汚れに強いスーツといいますが、一度しか着ない衣装が高額なのはむだ遣いではないかとの声も聞こえてきています。一着三十万円ということも聞こえてきますが、事実はどうなのでしょうか、お聞かせください。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 IOC総会におきましては、チームとしての一体感を醸成し、招致への熱意と取り組みをIOC委員に対して力強くアピールすることを目的としまして、統一したデザインのスーツを着用いたしました。スーツには、プレゼンター用に、紫木蓮と呼ばれますが、そういった明るい紫色、それと、総会出席者用に深川鼠と呼ばれるグレーを用いることによりまして、日本の伝統と文化を表現いたしました。いずれのスーツも招致委員会で準備したものでございまして、招致委員会から、支給ではなく貸与されたものでございます。
 お尋ねの価格についてでございますが、プレゼンター用のスーツ一式は、ネクタイやワイシャツなども含めまして、男性用が約二十六万円、女性用が約二十一万円、総会出席者用のスーツ一式は、男女とも約十五万円でございます。
 なお、これらの経費の支出方法につきましては現在整理中でございますが、都税を充てる考えはございません。
 せっかくでございますので、今回のスーツの着用につきましての見解をちょっと申し上げさせていただきたいと思います。二〇一二年大会……(「ちょっと時間がないから、そういうことは後にして」と呼ぶ者あり)
 わかりました。

○いのつめ委員 IOCが、総会での衣装も招致都市の採点に入れ込むと。以前、フランスは衣装で落ちたということもあるということですが、IOCのその決める基準が問題があるのではないかと思います。総会という舞台で映えればよいわけで、何も天然染料にこだわって、糸から生地を織ってつくる必要があったかどうか。また、税金はかけない、民間の資金をということですが、今、門脇議員の質問でも、民間からのご寄附が少なくなってきているんじゃないかという話もありましたし、また、寄附だから幾ら使ってもいいということではないと思います。一千二百万円かけてしまっては少し評価できない部分があると、私も思います。
 また、二十四日に武蔵村山市内で五輪関連イベントが七百万円の経費で開催されたということですが、結果が出た後の十月二十四日に開催されています。私は、このことに対しましても、都民の理解は得られにくいんじゃないかという思いでおります。今後、招致費用の決算が出されますが、しっかりと検証していきたいと思っております。
 二つ目の質問ですが、総会での石原都知事のスピーチは英国のコンサルタントが作成したと聞きました。石原知事が、何で人の書いたものを読むのだと不快感を示したと、十月二日の産経新聞が報じています。スピーチは、石原知事の招致にかける熱い思いを語らなければなりません。皆さん方、百人の招致にかかわった都の職員の方の汗と涙の努力を知っている人が、自分の言葉で語らなければなりません。魂を込めた演説は、自分が考えなくては意味がありません。私たち議員も、自分の魂を込めた演説をするから説得力があるのだと思っています。
 逆ならよいのです。石原知事の原案をコンサルタントに手直ししてもらい、よりよくするならいいのです。なぜ石原知事が原案を考えなかったのか、コンサルタントに任せたかをお伺いいたします。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 報道の真意はちょっとよくわからない部分もございますけれども、IOC総会のプレゼンテーションのスピーチは、プレゼンテーション全体を通じてIOCに何を訴えていくのかという観点から検討を重ねまして、招致委員会において全体の構成及び原案を作成いたしました。
 知事のスピーチにつきましては、当然ながら、知事と招致委員会とでやりとりを重ねましてまとめていったものでございまして、ですから、当然ながらこれは知事のお考えが十分入った内容でございます。コンサルタントからは、スピーチ原稿を決定する最終段階におきまして、表現をわかりやすく、特にIOC委員に対してどうインパクトのあるものにするかという観点から、専門的なアドバイスを受けたものでございます。
 知事ご自身、今回のプレゼンテーションにつきましては大変高く評価しておりますように、知事のスピーチ内容につきましては、知事の主張や思いが限られた制約の中で最大限に盛り込まれたものというふうに考えております。

○いのつめ委員 私の読んだ報道が違っていたということだと思いますけれども、ちょっと時間がなくなっておりますので、質問を一つ省略させていただきまして、今回の招致で多くのことを学び、私たちも多くのことに気づきました。
 そんな中で、IOC委員の総会後の発言に驚き、がっかりしています。次期IOC会長の最有力者といわれているドイツのバッハ副会長は、東京の計画はすばらしかった、今回はたまたま南米に行くタイミングだったと発言されたと、新聞が報道しています。十月二十日の東京新聞なんですが、この発言は、どんなに計画がすばらしくても、タイミングが最も優先されるのだととれます。だったら、南米の国々と相談して開催都市を決めたらよかったではないでしょうか。
 また、ほかの委員は、二〇二〇年はアジアと欧州との争いになる公算が大きく、日本にはより大きなチャンスがあると語っているそうです。だったら、二〇一六年ではなくて、日本は二〇二〇年に立候補をした方がよかったではないか。招致が決まった後にこういう発言をされては、全力で取り組み、税金を百億円も使って、IOCというのは一体何を判断基準にしているんだろうと思われます。
 私は、広島と長崎市の共同開催に賛成です。核の悲劇を全世界に発信できる、真に平和の理念を持ったオリンピックを開催することができると考えます。IOCは共同開催を認めないそうですが、ワールドカップは韓国と日本での共同開催を実現しました。サッカーの感動とともに、大きな親善という果実も残しました。IOCが共同開催を認めず、各都市に莫大な招致費用とパワーを使わせていては、オリンピックの未来は危ないと思います。
 現代は、ワールドカップを初め、野球のWBC、世界水泳に世界体操、世界陸上と、各種目ごとに世界大会が開催され、昔のように全競技が一堂に会するオリンピック開催という意味もやや薄らいできているのではないでしょうか。また、ソフトボールのようにアマチュアが多い競技をなくし、ゴルフのようなプロが力を発揮する競技を取り入れています。IOCはオリンピックの精神をもう一度取り戻すべきときだと考えます。そして、オリンピック旗に掲げられた五大陸を順番に回ればよい。一つの都市で開催が不可能なら共同開催すればいい。都市に負担をかけ過ぎ、商業ベースに走り過ぎると、せっかくのオリンピックが色あせてしまいます。
 もし、広島や長崎が立候補することになったときには、皆様方には、ぜひ今回の経験を生かし、協力をしていただきたいとお願いをして、質問を終わります。

○くりした委員 IOC総会での二〇一六年オリンピック開催都市の決定から、はや一カ月弱がたとうとしております。このたびは、関係局の皆様、オリンピック招致における活動の数々、本当にお疲れさまでございました。改めて皆様の活動に敬意を表します。
 各種報道では、IOC総会でのプレゼンテーションが特に大きくクローズアップをされましたけれども、それ以外での活動でも、本当に多くの縁の下の力持ちに支えられ、オリンピック招致という大きな挑戦を最後まで続けることができたのだと思います。結果としては招致には至りませんでしたが、最終日まで続けられた職員の方々の努力は、都民の皆様に評価されてしかるべきだと考えております。
 しかし、一部で残念な報道もございました。総会出席者に一着約三十万円のスーツを支給する。先ほど、二十数万円で貸与したのだという話もありましたけれども、旅行経費が非常に高額であるなど、招致活動におけるコスト意識の低さについては、一部問題があるのではないかという指摘もなされてきました。都民の信頼を保つためにも説明責任を果たさねばならないというのは、都も同様の認識かと思われますが、招致費用の使途についての情報公開は、どのような形式で、期限で行われる予定となっておりますでしょうか。まず伺います。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 情報公開の時期等の質問でございますけれども、先ほどもご答弁しておりますけれども、今年度中に招致活動の報告や招致推進活動経費の使途を公表する予定でございます。ホームページにも掲載いたしますので、インターネットでもごらんになれるような形になろうかと思っております。

○くりした委員 インターネットでも見られる、情報公開をするということで安心をいたしました。
 それでは、ちょっと時間も押しておりますので、最後に一つだけ、オリンピック招致活動の総括を、コスト意識という観点において伺いたいと思います。
 もちろん、そういった報告等で、数字で出る使途公開も大切なことではありますが、招致活動を最も近くで見られておりますのは、ここにおられる皆様でございます。都の認識として、このたびの招致活動において十分な経費削減が図られていたのか、もしくは一部には反省点があり、今後の改善を目指していくという位置づけなのか、都としての見解を伺います。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 招致活動は、ライバル都市との競争に打ち勝つことが最大の目的でございまして、そのための招致活動経費は、限られた予算と時間の範囲内で、コストを十分意識しながら、あらゆる手段を検討の対象として、その中から開催をかち取るための最善の方法を選択してきたつもりでございます。
 また、個々の契約に際しましては、当然のことながら、地方自治法や契約事務規則などの法令に基づいて適正な手続を経ているわけでございます。コストの面でも、最終的な活動報告、招致活動経費の使途を公表する段階で、外部監査の目も入れて公表していきたい、このように思っております。

○くりした委員 このたびの招致活動において、都としてはコスト削減について十分な配慮を行ってきたとの認識。それであればなおさらのこと、その工夫を都民に徹底周知し、理解を求めていくことが今後重要になるかと思います。
 そして、今後、オリンピックを初めとする企画の際に、都民が都に信頼を寄せられるようにするためにも、経費の詳細な情報公開を進めることは避けては通れないかとも思います。ぜひとも、有効かつ先進的な取り組みを率先して都が行うことによって、オリンピック招致をしてよかった、次もまたやっていこうとなりますように、最後の締めの活動により一層ご尽力いただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終了させていただきます。

○鈴木委員 それでは、私から質問をさせていただきます。
 二〇一六年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市はリオデジャネイロに決定いたしました。心から祝福をいたしたいと思いますし、また、東京としては非常に残念であったというふうにも思います。リオデジャネイロには、すばらしいオリンピック開催に向けた努力をしていただきたいと思いますし、東京としても、最大限の協力を惜しまないという姿勢が非常に大切であろうかというふうに思います。
 私も、都議会派遣団の一員としてコペンハーゲンに赴き、最後の最後まで招致活動をともにさせていただきました。決定の瞬間を見守っていただけに、東京招致がかなわなかったことに対しては本当に落胆をいたしました。
 ただいまちょっと議論を聞いている中で、IOCの、または世界で議論をしていく場合に、日本の考え方だけがすべて正しいというのは、私は誤りのような気がします。世界の中で議論をしていくということは、やっぱりお互いがそれぞれの国の歴史、文化を理解し、そしてそういう中で、かく日本があるべしということをきちっといっていく姿勢が必要でございまして、必ずしも、日本から見て、あのことが違う、このことが間違っているというのは適切ではない。むしろ日本として、日本の文化、歴史はこうであると、その理解を求め、そしてアジアとして、また真にこのオリンピズムに基づいて議論を進め、努力をしていくことが、むしろ我々東京、日本が果たしていく責務であるというようなことは非常に感じるところであります。
 さておいて、招致に成功することは最大の成果ではあったわけでありますが、東京招致がかなわなかったということで、活動のすべてがむだであったということでは、私は決してそうとは思いません。そうではないと思います。これまでの招致活動は多くの成果があったと思いますし、多くの活動を支援してくださった多くの方々の心にすばらしい心の財産が残ったと私は思います。
 詳細な分析は先になると思いますが、現時点で招致活動をどのように総括をしているのか、改めて本部長に伺います。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 鈴木先生を初め都議会派遣団の皆様には、コペンハーゲンまでお出ましいただきまして力強い応援をちょうだいするなど、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 少し前の話になりますけれども、私が招致本部長に着任したときに、ちょうど海外事情にお詳しい鈴木先生から、招致活動としてはやるべきことはたくさんあるけれども、一番重要なのはIOC委員の票を獲得することだよと。IOC委員に直接働きかけることが大事なんだと。それには、世界のスポーツ界と強いつながりをつくらなくちゃだめだと。こういうご指摘、ご助言をいただいたのを思い出します。
 招致の結果は、ご承知のとおり、南米で初めてと主張しましたリオデジャネイロの勝利になりましたけれども、知事や河野事務総長を初め各界の人たちが力を合わせて、平和と環境の東京オリンピックを主張し、ロビー活動に全力を挙げて取り組んでいただいたというふうに思います。
 しかし、それでも東京が勝てなかったのは、直接的には、繰り返しになりますけれども、リオデジャネイロが、ブラジルだけでなく南米大陸の何億もの人口が開催を求めているんだと、希望しているんだというふうに訴えかけたことであると思いますし、それに加えまして、これまでの間、リオデジャネイロは過去に何回も招致に挑戦し、また一国の大統領が先頭に立ってIOC委員に働きかけたということがございます。さらには、直前に大規模な国際スポーツ大会を開催しまして、開催の能力があることをアピールする。こういった長期的、国際的な戦略を立てて招致活動をしてきた、そういうところが日本を上回っていたのかなというふうに思う次第であります。
 結果論になりますけれども、今後、日本が招致をかち取るためには、計画面での技術的な条件でなくて、IOC委員との太いパイプを築き、それを活用する戦略を持つことが重要な条件でありまして、改めて鈴木先生のかつてのご指摘を思い出す次第でございます。
 しかしながら、国内的には、都議会を初め全国道府県、都内区市町村、財界、地域の方々のご支援をいただいたことで、大いに成果が残せたというふうに確信しております。特に、都内、全国各地で開催いたしましたオリンピックムーブメント事業では、たくさんの子どもたちが、ふだんなかなか会えないトップアスリートのオリンピアン、パラリンピアンと交流しまして、あこがれの選手からわざを教えてもらったり、あるいは、どうすればオリンピック選手になれるのか、そういった話を直接聞いて、自分の未来を描いた子どももいると思います。あるいは、障害者であっても、それを乗り越えてトップアスリートになったパラリンピアンの選手の話を聞いて、勇気をもらった子どもたちがたくさんいたというふうに聞きます。
 私たちの挑戦はかないませんでしたが、こうした成果や事業を後に引き継いでいくことが、これからのスポーツ振興や新たな挑戦にとっても重要であるというふうに思います。改めて、これまでのご支援、ご協力に感謝を申し上げます。ありがとうございました。

○鈴木委員 四年にわたる招致活動により、日本国内はもとより、世界に向けて実にさまざまなことを伝え、また逆に、他の事業では決して得られないような貴重な経験をすることができたということは、今の答弁でもよくわかりました。
 では、招致活動における大きな成果の一つであると私は考えておりますが、都と区市町村によるオリンピックムーブメント共同推進事業について伺います。
 そもそもオリンピズムは、オリンピック憲章にもあるように、スポーツを通じて心身を向上させ、さらには文化、国籍などさまざまな差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことであり、より平和な世界の実現に貢献するという、オリンピックのあるべき姿そのものであります。オリンピズムの普及啓発を通して、地域社会に、スポーツ、文化の振興、青少年の健全育成、環境対策などのさまざまな価値をもたらすのが、この都と区市町村によるオリンピックムーブメントの共同推進事業であると思います。
 各地域で、スポーツ教室や講演会を初め、地域の特色を生かしたさまざまな事業が行われたと聞いております。特に、子どもたちにオリンピアン、パラリンピアンが話しかけたり、実技指導を行うなどのスポーツ教室などでは、子どもたちが最高水準の実技に直接触れることができました。また、苦難を乗り越え、友情をはぐくみ、国際的な体験をしたアスリートの声を生で聞くことができ、日々の学習や生活など、子どもたちの精神的な成長にも大きな影響を与えたと考えています。本当にすばらしい経験であり、事業であったというふうに私は思います。
 そこで伺いますが、この事業は平成二十年度から実施され、実に都内六十二区市町村で実施されたと伺っております。平成二十年度と平成二十一年度で、それぞれ幾つの事業が行われたのか、さらに、実施主体である区市町村や、実際にこの事業に参加した方たちからどのような声が寄せられたのか伺います。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 オリンピックムーブメント共同推進事業でございますが、平成二十年度は百三十九事業、平成二十一年度は百十七事業、合わせまして二百五十六事業がすべての区市町村で実施されました。二十年度につきましては、延べ七百五十万人もの方々がこの事業にご参加いただいております。
 事業を行いました区市町村からは、この事業をきっかけにスポーツやオリンピックへの関心が高まり、参加しただれもが、目標に向かって努力することの大切さなどが深くはぐくまれるとともに、地域間交流の向上が図られた、あるいは、来場した子どもたちは、オリンピアンが披露する演技の一つ一つに対し大きな歓声と拍手を送り、オリンピックに出たいですかとの問いかけに、ほとんどの子どもが手を挙げていた、会場の子どもたちにスポーツのすばらしさやオリンピズムが深く印象づけられた、といったご意見をいただいております。
 また、参加者からは、超一流のアスリートから子どもたちが指導を受けるなんて最初で最後ではないか、実に有意義な時間だった、あるいは、出会いや挑戦し続けることを大事にというオリンピアンの言葉に感動した、また、オリンピアンから努力する大切さを聞くことができた、子どもには何か打ち込めるものを探してあげたい、子どもと一緒に東京でオリンピックを見たくなりました、などの声が寄せられております。

○鈴木委員 都と区市町村がともにこの事業に取り組んできたことで、地域社会や子どもたちに大きな心の財産を残したといえることでありましょう。これは誇れる成果ではないかと私は思います。
 また、去る十月二十四日に行われたこの共同推進事業に対し、開催都市が決定された後に実施するのはむだな支出だと問題視をし、声高に主張する人たちがおるようであります。この事業の趣旨を全く理解していないんじゃないかというふうに私は考えるわけでありますが、見解を伺います。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 共同推進事業でございますが、この事業は単なるオリンピック招致が目的ではございません。スポーツのすばらしさを広め、地域のつながり、連帯感を深めることなどを目指しております。
 当日のイベントで行われましたトークショーでございますが、大変好評でございまして、立ち見を含む多くの方々が来場し、途中で席を立つ人もなく、パラリンピアンのお話に聞き入っていらっしゃいました。また、困難を克服し、いつも前向きに笑顔と感謝の気持ちを忘れないパラリンピアンに対しまして、来場者は感動を隠せない様子でございました。
 このイベントによりまして、目標に向かって努力するアスリートがもたらす感動や、スポーツをすることの喜び、すばらしさを多くの人々に伝えることができたというふうに考えております。
 さらに、出演していただきましたパラリンピアンからは、自分の体験やメッセージを人々に伝えることがしたかった、今回、そういう機会が与えられて非常にうれしかったとの感想もいただいております。
 二十四日のイベントにつきましては、この事業の目的を果たし、大きな成果を残したものであるというふうに考えております。

○鈴木委員 今、答弁があったように、オリンピックムーブメントとかオリンピアンとの会話とか、または触れ合いというのは、オリンピックが終わったとか、そういう時期の問題ではなくして、むしろそういうのは日常、オリンピアンまたはオリンピズムに基づいて、後で教育の現場でもどこでも通常の中でされていいような実は課題だというふうに私は思います。
 ですから、ただ単にその場だけのことでいうのではなくして、もっと大きな、若者たちの心とか青少年の健全育成とか、または、そういうような日本そのものの中で、そのオリンピアンの精神、オリンピックの精神というようなものをみんなで伝えていこうという、そういう道義的なものと考えるのが当たり前だと私は思っておりますので、つけ加えさせていただきたいと思います。
 さて、この事業が軌道に乗るまでには、区市町村では大変な苦労があったというふうに聞いております。二十年度にこの事業を開始した当初、事業は実施したいものの、初めての経験でノウハウの蓄積もないため困っている自治体も多く、なかなか手を挙げる自治体がなかったと聞いています。区市町村に対してはどのような支援を行ったのか、具体的に答弁を求めます。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 共同推進事業を実施するに当たりまして、区市町村は事業の企画、事業計画の策定及び事業の実施を行い、都は事業計画策定の支援、広報、PRの支援など、区市町村を積極的にサポートするという役割分担になっております。
 お話のとおり、事業開始当初、単なるスポーツイベントではございませんので、初めての事業で戸惑う区市町村に対しまして、個別の相談や要望にきめ細かく対応してきたところでございます。
 例えば、企画例の提案、地域資源の活用策のご提示、効果的にこの事業を実施することが可能な事業者の情報提供や、各区市町村の事業計画や事業実績など、必要な情報提供を行い、共有化に努めたところでございます。
 そうしたことから、徐々に都も区市町村も、お互いに経験やノウハウを積み重ねてまいりまして、それを生かしながら、地元の熱意や特性を生かした事業が実施されたものというふうに考えております。

○鈴木委員 ですから、この事業に、ある程度裏方で、長い期間、計画を本当に遂行しようとして努力をしてきた方々がいるわけですよね。そして、そういう方々、本当にこの大会を盛り上げるために裏方になって一生懸命やってきた人の心を理解していかないと、それはやっぱり政治ではないということに、僕はならざるを得ないというような気がしています。人には、お互いに、そこに向けて努力してきたことを認めるという素直な姿があってこそ、私は、このオリンピックのムーブメントにふさわしいというふうに思います。そのことだけはいわせてもらいたいと思います。
 時間がないので、ちょっと飛ばしていきますが、次に契約についてであります。
 先日の決算特別委員会の分科会質疑で、招致本部、そして招致委員会による委託契約の多くが随意契約であるとの答弁が理事者からありました。オリンピック・パラリンピック競技大会招致は、他に類を見ない、国際都市間の競争という特殊な事業であります。私は、熾烈な招致レースに勝ち抜くというその目的に近づくためには、相手先業者を適切に選択する必要があり、結果として随意契約が多くなることは、ある意味当然のことであるというふうに考えます。
 例えば、東京大会の開催計画書である立候補ファイルは、英語とフランス語による五百ページ以上にも及ぶ書類をIOCに提出することが求められているわけであります。しかも、内容が多岐にわたり、膨大な計画でありますので、東京都単独で作成し得るものではない、東京都にはそこまでの力量はないということをいっても過言ではないと思います。ですから業務委託をすることが必要になるということであります。専門性を有しない業者が請け負ったのでは、勝負する前から実は結果がもう見えているといっても過言ではない世界であります。もちろん、契約の基本が入札であるということはいうまでもありませんし、公平で公正な契約手続がなされるべきことは当然であります。
 改めて伺います。招致本部が行う契約はなぜ随契が多いのかを伺います。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 当本部の委託契約の件数におきましては、予定価格百万円以下の少額案件が多いわけでございます。現時点での委託契約件数の約四四%を占めております。必然的に随意契約の割合が高くなっているということでございます。
 契約は競争入札が原則でございますけれども、予定金額の設定が適切であるならば、金額が小さい場合は競争により生ずる格差も小さく、必要となる事務コストに比べ効果が少ないわけでございます。そのため、地方自治法施行令及び東京都契約事務規則により、例えば委託契約については、予定価格百万円以下の案件については随意契約によることができることとされております。ただし、競争原理を働かせるため、予定価格三十万以上の案件は常に三者の見積競争を行っております。
 さらに、予定価格百万円以上の案件についても、地方自治法施行令によりまして、性質または目的が競争入札に適さないものをするときに随意契約によることができるとされております。
 例えば、首都高速道路株式会社に委託しております横断幕の設置などの業務委託や、株式会社東京スタジアムに委託しております看板掲出委託については、設置管理者である当該業者以外との契約は認められていないわけでございます。また、申請ファイル、立候補ファイルの作成につきましても、例えば株式会社電通に委託しています立候補ファイル作成業務委託については、IOCなどから高い評価を得るための特別な実績とノウハウが必要であること、東日本電信電話株式会社に委託しております通信技術の最新状況等に関する調査委託については、調査に必要な通信網に関する情報や分析、設計能力を唯一所有していることなどの個別具体の理由により特命随意契約としている例が多く存在いたします。
 これまで申し上げたとおり、当本部では、少額の契約案件が多いことや、必要な成果を得るために特命随意契約を結ぶことが必要不可欠である場合が多いため、随意契約が多くなっているということでございます。

○鈴木委員 事務処理を効率的に行うため、また、予定価格に応じて随意契約が認められるということと、性質または目的が競争入札に適さない、そのために特定の業者と契約を結ぶ必要がある場合、そういう結果として随意契約が多くなったというふうに確認できたと思います。
 では、次に、契約金額が多くて原則として入札によるべきとされている業務委託について、招致本部では電通が占める割合が大きいと聞いておりますが、なぜなのか、理由を伺います。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 当本部において、申請ファイル、立候補ファイル作成に係る業務委託など、一件当たりの金額が大きい案件については、株式会社電通を委託先とする必要が生じて、委託契約に占める割合が高くなっております。
 オリンピック招致事業は、熾烈な国際競争を勝ち抜くという特殊な目的を持っているため、計画策定や国際招致活動など、招致事業に関する根幹的な業務については、IOCなどから高い評価を得るための特別な実績とノウハウを持つ業者でなければ実施できないという特質を持っております。
 株式会社電通は、長野冬季オリンピック競技大会の招致、運営に中心的にかかわっていた実績があること、IOC公式スポンサーの関係業務も行っていること、過去のオリンピック・パラリンピック競技大会に関する情報に精通していること、オリンピック・パラリンピック招致に関して人的なネットワークを既に構築していること、オリンピック以外にも、陸上、競泳、サッカーなど主要な大規模スポーツイベントの運営、マーケティング等にも国際的にかかわっていることなど、特別な実績とノウハウを有する業者でございます。
 しかし、立候補ファイル作成などに関しても、先ほど申し上げたような特別な要因のない一般的な調査業務、例えば環境アセスメント実施委託や施設予定地環境調査委託などについては、競争入札により業者を決定し、可能な限り多くの業者に門戸を開くように努めているところでございます。

○鈴木委員 なるほど、オリンピック・パラリンピック招致事業には特有の理由がある、そのために電通しかできないということだと思われます。
 私が調べて聞いている限りでは、日本市場において、テレビ放映に関して、または五輪の商標管理、これに関しては、電通が、過去の大会を含め、これは北京オリンピックも同じでしたが、すべて契約をしているということです。しかも、その辺のノウハウ、それから今いった人脈、知見、すべてを持っているということですから、現状としてはこれはやむを得ないというよりも、ある程度独占という言葉が的確か、的確ではないかもしれませんが、それに近い状況がある。それはむしろ電通の営業努力のたまものであるといっても過言ではない部分があると私は思います。やっぱり企業が成り立っていく上では、それぞれの企業が自分たちの企業の能力、知見、それから今いった努力をして、ほかの企業に負けないように努力するのは、これは当たり前のことで、その結果、今いったそういうようなものを、例えば電通がつくり上げているということであれば、それはむしろ世間一般は認めるべきだというふうに思いますし、それぞれの企業がみんなそういう努力をしているのが、民主主義のやっぱり企業だと思います。私も企業経営者として思うところであります。
 特別な理由がない場合には、可能な限りの競争入札を行っていることもわかりました。
 では、先ほど取り上げられた、都と区市町村ムーブメント事業の契約についても確認をさせてもらいたいと思います。
 区市町村が事業計画を踏まえて業者の選定や契約を行うことについて、都が制約を課すものではなく、実施主体である区市町村や実行委員会が、それぞれの定めた手続に従い適正に行っているところだと私は考えています。
 しかし、先週行われた決算特別委員会の質疑の後、二十年度に行われた共同推進事業における委託契約九十九件のうち、九三%に当たる九十二件が随契で、入札はわずか七件という、あたかも適正になされていなかったかのような報道がされましたが、これは事実でございますか。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 平成二十年度、百三十九の共同推進事業を実施するに当たりまして、区市町村あるいは実行委員会と交わされたさまざまな契約のうち、東京都が把握しております九十四事業において交わされた委託契約の主な契約件数が九十九件でございます。実際は、物品購入や役務の提供、数多くの契約が存在しておりますが、九十九件のうち九十二件の随意契約には、アスリートの派遣など、所属事務所を通さなければならないなど、事業の性質上、委託先が特定されてしまうもの、企画コンペを実施しておりますが、契約上、随意契約に分類をされるもの、少額のため地方自治法で随意契約が認められるもの、さらには、地方自治法の適用を受けない実行委員会の契約も含まれておりまして、随意契約が多くなっております。
 都といたしましては、実施主体である区市町村及び実行委員会が適正に処理しているものと認識をしております。

○鈴木委員 質問内容がまだかなりありますので、答弁ちょっと短く、ご努力をお願いしたい。
 なるほど、委託契約について報道があったことは、ないということがわかりました。せっかく実施されるこの事業が、金額の安さだけにとらわれず、企画コンペなどの内容を重視する随意契約でなされたこと自体、決して否定されるべきことではないと私は思います。
 では、電通との契約について具体的に伺いますが、改めて開催計画を例にとり、招致本部の業務委託にかかわる契約方法についてただしておきたいと思います。具体的な説明を求めます。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 招致活動におきます大会開催計画の作成は、東京都がいまだかつて経験したことのないものでございまして、ノウハウを有した業者の力をかりることが不可欠でございます。
 そこで、都としましては、今回の開催計画の作成に当たりまして、オリンピック・パラリンピック競技大会に関する情報に精通し、その招致に関する人的な深いつながりを持ち、国際的な大規模スポーツイベントの運営やマーケティングなどの豊富な経験を有します唯一の業者でございます株式会社電通と特命随意契約を締結したところでございます。
 なお、契約に際しましては、当然ながら、地方自治法や東京都契約事務規則に基づき適正な手続を経てございます。

○鈴木委員 なるほど、東京都の招致本部における委託契約は、招致レースを勝ち抜くために経験豊富な業者を選定すると同時に、法律や都の定める条例、規則に従い適切に行われているということがわかりました。
 恐らく都政史上でもまれな都、市区町村、そして民間団体が一体となって行った、大変広範な大規模な事業であったというふうに私は思います。そこで、ちょっと全体の活動を振り返ってみたいというふうに思います。
 都議会招致議員連盟においては、賛同の署名活動や道府県を訪問しての協力要請活動、さまざまな催しへの積極的な参加などを通して、東京での大会開催をアピールしてまいりました。こうした活動には、民間団体、例えば商工会、商工会議所や商店街、町会など、多くの皆様が労を惜しまず協力をしてくれたのであります。
 ここで私が感じたのは、都民、国民の底力であります。協力いただいた方々が、一九六四年東京大会の感動をもう一度という思いや、あらゆる人々がスポーツに親しめる環境をという思いを胸に、誇りを持って大会に積極的に取り組む姿が私は印象に残っているのであります。スポーツと平和の祭典、オリンピック・パラリンピック競技大会を開催できる国は日本をおいてないというような思いを強くした次第であるし、立候補できたことを誇りに思うところでもあります。
 そこで伺いますが、民間団体等と協力して行ったオリンピック・パラリンピック招致推進活動にはどのような活動があったのか、具体的な例を挙げて説明をお願いいたします。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 都民、国民の招致機運の盛り上げを図るため、商店街や経済界などの民間団体と広範に連携いたしまして招致活動を展開してまいりました。
 まず、都内の千を超える商店街の協力を得て、二度にわたり、延べ八万七千枚の招致PRフラッグを掲出していただきました。また、さまざまな業界団体や企業からもご協力の申し出を受けまして、都内のタクシー、バス、トラック合わせまして十四万台にステッカーや幕を掲出するとともに、多くの都民が利用する交通運輸機関の協力を得て、広範に招致PRを行いました。さらに、スーパー、コンビニなどの小売流通業界や観光業界とも連携するなど、多くの企業、団体のご協力を得て招致PR活動を実施いたしました。

○鈴木委員 私がかかわっただけで、民間団体でありますが、これは女性は大好きでありますが、日本ネイリスト協会、ビッグサイトで五万人の方々を集めていただいて--若い方ばかりですね、女性。皆さんネイルをして、そういう若い、むしろオリンピックに興味がないなと私が思った方々が、非常にオリンピックに賛同してくれました。本当に若い二十歳、三十歳代の女性ですね。僕はそれは驚きを隠し得なかったという現実があります。
 また、ラーメン協会。日本の今、有名なラーメン屋さんがみんな集まって、ラーメン協会をつくりました。私、名誉顧問をしていますが、これが駒沢公園で三日間で十二万人集めて、これをもう全部、オリンピックやろうじゃないかということで、それぞれの人たちが積極的にボランティアで、自分たちでやったんですよ。
 そういう活動というのは、私だけじゃなくて、恐らく皆さん、議員の方もいっぱいかかわっていると思うんですね。そういうものがまさしく、民間団体や都と市区町村が一体になって、今回、さまざまな招致活動を行ってきたことが確認できるわけですよ。
 こうしたつながりというのは一朝一夕にできるものではなくて、都や区市町村、民間団体の多くの関係者が、オリンピック・パラリンピック招致推進活動に大きな夢を抱いて、思いを一つにしてつくり上げていったものだと私は思います。そして、そうした活動を通して招致機運も大いに盛り上がり、一つの大きな輪ができ上がったと思います。だからこそ、最後に、弾丸ツアーで大勢の方々がコペンハーゲンに行き、決戦の舞台で東京を大いにアピールしたものだというふうに考えます。
 私も現地でともに活動していてよくわかるのでありますが、コペンハーゲンでの盛り上がりは、私は東京が一番だったと思うし、そのような声を現地でも本当によく耳にしたものであります。
 その中でも私の目を引いたのは、ボランティアの大学生の方々であります。自費でコペンハーゲンに乗り込み、自費でですよ、コペンハーゲンに乗り込み、連日コペンハーゲン市内を所狭しと活動していました。こうした方たちの活動も、オリンピック・パラリンピック招致推進活動のいわば成果であるというふうに思います。多くの人に、そうした活動についても知ってもらいたいと私は思います。
 そこで、このボランティアの学生の活動について伺います。この学生の会とはどのような団体で、これまで、どのような経過で、どのような活動をしてきたのか伺います。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 お尋ねの学生の会は、東京でオリンピックが実施されることを願って集まった学生たちが組織するボランティア団体で、平成十八年一月に設立されました。これまで、国内でのシンポジウムやイベントの開催、メディアを通じた情報発信、全国縦断オリンピックキャラバンなど、さまざまな活動を通じて東京招致を応援していただきました。
 中でも、IOC総会が開かれたコペンハーゲンでは、間寛平氏のアースマラソンのイベントや、市役所前での東京のプレゼンテーションのパブリックビューイングなどで、アニメのキャラクターの着ぐるみを着て市内を駆け回るなど、精力的な応援を行い、現地のマスコミに対しましても、東京の盛り上がり、存在感を示してくれるなど、力強い応援をいただいたところでございます。

○鈴木委員 私も彼らと話したんですが、もう一年前からアルバイトをしたり、みんなで声をかけ合ったりして、それぞれの大学に声をかけて大きな輪をつくってきましたと。そして、私たちはいてもいられない気持ちで、自分たちで働いたお金で、自分たちで、自分たちの心で応援に来ましたということを彼らがいっていました。
 私はもう感動したですよ。そういう人たちがいるということをやっぱり我々は知るべきであるし、その人たちの心を本当に大事にしなければいけないというふうに思っています。
 学生の会の活動については、今いったように確認ができました。私は、これもまたオリンピック・パラリンピック招致活動の財産だというふうに思います。結果はどうあれ、こうしたさまざまな活動に本当に多くの人がかかわって、大きな一つの輪になって結びつき、その輪がどんどん大きく広がっていったのが今回の活動の姿であったというふうに思います。
 だからこそ石原知事も、コペンハーゲンからの飛行機の中で、あいさつをした後、みずからファーストクラスから出てきて、一番最後の、飛行機の一番奥まで歩いていかれて、一人一人の人にありがとうという声をかけて、あいさつをして回られ、それを受けて、そこにいたみんなが立ち上がって拍手をして、やっぱり励ましをしたというか、お互いに、そういうような感動の場面を経験して、また、その熱い心のきずなを感じた。恐らく石原知事はそれで涙したというのが、私は本当のところだと思いますね。あれは知事の感動の涙であるかというふうに私は思います。そして、その結びつきは、二〇一六年のオリンピック招致活動の結果によって評価されるようなものでは、私は決してないというふうに思います。
 冒頭にも確認したとおり、この間の招致機運の盛り上がりは、地域や職場を通して、都民、国民に大きな感動や感激を与え、活動に携わった方々の心の財産になったことは間違いないと、私は確信をしたいというふうに思います。私としては、ただ百五十億円を投資した以上--お金から得られない効果があったとは思っておりますが、この東京招致がかなわなかったからといって、そのような事実を認めずに、招致活動がむだであったという主張は、私は考えを変えていただきたいというふうに思います。改めてそのことは強調しておきたいと思います。
 といっても、招致活動に百五十億円が使われました。石原知事のいうとおり、財政再建はなし遂げたとはいっても、また盤石の都財政だといっても、影響を受けるようなことはないと思いますが、しかしながら百五十億円というのはやはり大金であります。百五十億円の招致推進活動経費については、いわれるまでもなくきちんと精査がなされ、議会や都民に説明すべきと考えます。明快な決算報告となることは当然でありますが、単なる数字の羅列ではなく、この間の成果と課題をあわせて記載することで、招致活動のノウハウとしてしっかりと継承されることが重要であります。
 今年度の執行分も含めて全体像を明らかにするのはいつごろになるのか、決意を含めて、本部長に伺います。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 今回の招致活動につきましては、これまで各部長からご答弁申し上げましたように、事業自体、非常に都民、国民にとりまして有益であり、また、契約も含めまして会計処理も適正に行われているというふうに確信しております。百五十億円に及ぶ活動経費につきましては、都議会のご理解や民間企業、団体、個人の方から多大なるご協力をいただいた結果でございまして、その結果、使うことができるものと認識しております。
 今後、招致委員会やJOC等と協力しまして、これまでの招致活動を多角的に検証しまして、できるだけわかりやすく、かつ将来に役に立つ形で、活動記録、資金収支、成果などについて報告書としてまとめる予定でございます。特に百五十億円の使途につきましては、外部の機関にもチェックを受けるなど、公正なまとめをしたいと思っております。
 報告書の公表の時期としましては、年度内を目途に作業を進めております。都議会を初め、都民、国民の皆様に適切な時期に十分ご説明してまいりますので、引き続きご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

○鈴木委員 ぜひ、財産として残る報告書としていただくような努力を最大限していただくことは、もうこれは強く申し述べさせていただきたいと思います。
 ちょっと時間がありましたので、先ほどスーツの件が出たわけでありますが、IOC総会というのは、国王とか国家元首が出席し、そして次のオリンピック、四年間努力をしてきた成果がそこで論じられ、そして、その招致の集大成であるところで、それぞれの国が発表していく、非常に厳粛で神聖な場であるというのは、行った方々にはもうおわかりになる。また、テレビで見ていた方々もおわかりになると思うんですね。そういうところで、あそこでネクタイをしない姿で行けるわけないですし、それから、各国国王も、それぞれの大統領の皆さんも、全員が同じブレザーを着て、きちっと礼儀正しく、そして、すばらしいプレゼンテーションにしようと最大の努力をしてきている場であります。そういうところに着ていくものに関して、私はむしろ、日本がもっと誇れるような、いろんなものを着ていくようなことがあってもいいし、文化をあらわしてもいいし、いろんな知恵を出してもいいと思いますし、むしろそういうことが、そのプレゼンテーションの中身で、日本のよさ、それからオリンピックのとうとさ、それを日本人の歴史観、文化、そういうものをもって体現し、表現するようなプレゼンテーションであったら。私はそんなところを逆に望みたいと思っていたわけでありますが、そういうような場ですから、むしろ、ごめんなさい、スーツをどうこうとかいうんじゃなくて、もっと格調高い議論をして、本当にオリンピックの精神とか、オリンピックというのはすばらしいもので、その心を我々が、やっぱりそれをやっていくということが私は非常に大事だというふうに思っています。
 開催都市の招致活動は終了はいたしましたが、しばらく、恐らく時間が必要ということでありますけれども、我々は、先ほどいった活動報告書に関しては、知事とともにこの招致活動を自民党として担ってきた立場から、改めて総括はしっかり行うということを表明しておきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○木内委員 六人目の質疑であります。審議促進に資する意味から、これまでの質疑との重複を避けて、問題を絞ってまいりたいと思います。
 今回のオリンピック・パラリンピックの招致活動のレガシーという言及がございました。これは今後に、いよいよ時間とともに光彩を放ってくるものだというふうに思うわけでありますけれども、とりわけこのレガシー、遺産というものを、負の遺産にするのではなくて、プラスの遺産としてしっかりと、今後、都政が歴史を刻む中で生かしていかなくてはならない、こう思うわけであります。
 そういう意味では、今回の結論というものは一定のゴールでありますけれども、新しい都政進展への、またスタートにしていかなくてはならないとも思うわけでありますが、さて、オリンピック学習読本について先に触れます。
 私も寡聞にして十分な理解をしておらなかったわけでありますけれども、中学校の教育現場においては平成二十年の三月、高等学校においてはことしの三月、学習指導要領というものが改訂になりまして、オリンピック学習というものが明確にこの分野で位置づけをされているわけであります。オリンピックや国際的なスポーツ大会などが国際親善や世界平和に大きな役割を果たしているということをテーマにした、中学校のこのオリンピックへの言及、あるいは高等学校では、現代のスポーツは国際親善や世界平和に大きな役割を果たしていて、その代表的なものがオリンピックムーブメントである、こういうことなどを含めた学習指導要領の改訂がありました。
 私は、今後、中学あるいは高校の教育の現場においてこの学習読本が活用されるということ、実は当初、聞きまして、にわかに着想したのが、六日のアヤメ十日の菊という言葉でありました。オリンピックのこの招致活動が一定のピリオドを打ったときに、なぜこの議論なんだというふうに率直に思ったわけでございますけれども、こうした今申し上げた学習指導要領、あるいはこの中に盛り込まれた位置づけなどなどを考えますと、これは極めて重要な都政の課題の一つである、こう認識をするに至ったわけであります。
 そこで、このオリンピック学習読本、現物はここに持ってきておりますけれども、何度読んでも非常によくまとまっておりまして、これに対する作業の関係者のご苦労というものが感じられるわけであります。その内容は、子どもたちの健全な育成につながるものであるとともに、同時に、教育の現場に即したものでなければならないと思うわけであります。私はこの読本に一定の大きな評価をいたしますけれども、これまで教育現場の声を具体的に取り上げてきた、その取り組みの方針、内容についてまずご報告を願います。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 学習読本の作成に当たりましては、オリンピックの競技内容のみならず、オリンピックの理念、歴史など総合的な内容とするとともに、環境や科学など最先端の視点からもオリンピックの現代の姿を学習できるように意を用いたものでございます。さらに、スポーツマンシップ、友情、国際理解など、道徳面を含め、子どもたちの精神的な成長にもつながるよう工夫をしております。
 この編集に当たりましては、学識経験者や都教育庁を初めとした教育関係者から成る編集委員会を設け、検討を進めるとともに、小中高等学校の現場の先生方の視点で内容をチェックしていただくなど、教育の現場に即したものとするよう努めたところでございます。

○木内委員 確かに長野や北京でも、この読本は作成されたわけですけれども、いずれも招致決定後につくられておりまして、大会の概要を振り返って紹介をしたりする内容が中心であったわけであります。
 その点、招致活動が東京ではこういう結果になりましたけれども、招致段階からこの読本を作成したということは、恐らく、これまでの各都市の招致活動の中では極めて画期的なことであっただろうと思いますし、これを今後の教育現場でしっかりと活用、生かしていかなければならない、このことを強く要請するわけであります。
 そこで、既に一部、各学校の現場では、この学習読本が活用されているわけでありますけれども、現場からの率直な反響についてお述べいただきたいと思います。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 学習読本は、都内の小中高等学校に約八十万部配布しておりまして、保健体育などの補助教材としてご活用いただいております。
 例えば、都内百校のスポーツ教育推進校での活用の例でございますけれども、高等学校では、総合的な学習の時間を活用し、二学期に六回に分けてオリンピックの学習を行った。生徒は、興味、関心を持って意欲的に学習に取り組み、オリンピックの意義を理解した。
 また中学校では、体育の授業を通して、オリンピックの歴史、オリンピックにかける多くの選手の生き方、その目標に向けた取り組みなどを学習し、これから先の自分たちの生きていく力となるよう指導した。
 また小学校では、オリンピック学習読本を活用しまして、オリンピックに関する調べ学習を行った。オリンピックの歴史、日本とオリンピック、オリンピックとフェアプレー、スポーツの進歩など、活動テーマを児童一人一人が設定し、調べたことを新聞形式でまとめたなど、有効に活用され、それぞれの反響が届いております。

○木内委員 それぞれの学校現場でさまざまな創意や工夫を凝らして、今の話にもありましたけれども、こうしたスポーツ教育推進校の活用事例というものもさらに広く周知をして、学習読本の一層の活用を図るべきである。
 これだけの都民の熱意と都議会の協力、執行機関の皆様のさまざまなご苦労、ご努力の結果、三年、四年に及ぶ招致活動があって、これをむだにしないため、先ほど来の質疑にもありましたけれども、世界平和への発信も含めて、国際親善等のこういう思いのたいまつというものを次の世代につないでいくためにも、こうした学習読本の一層の活用を、若い中学校や高校などの教育現場で図っていくべきである、このことを強く望むわけでありますが、どうでしょうか。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 木内委員ご指摘のとおり、オリンピック学習読本の一層の活用を促すためには、各学校で創意工夫を凝らした活用事例を相互に情報交換することが重要であるというふうに考えております。このため、先ほどご答弁申し上げましたスポーツ教育推進校での取り組みは、教育庁が実践報告書として取りまとめ、区市町村の教育委員会を通じて各学校に情報提供しております。学習読本のさらなる活用を促進しているところでございます。

○木内委員 私は、余り細部にわたる質疑はきょうは避けるつもりでおりますけれども、きょう、この委員会には、コペンハーゲンに都議会代表十名のメンバーとして行かれた方も何人かおられまして、そういう方にはまさに戦友という印象を強く持っているわけであります。物議を醸した知事の発言等もあったわけでありますけれども、私も実は知事にさまざまな機会に会いまして、特に、今回の招致活動に一定の結論が出たときの知事の無念さというものを肌身で感じたことも事実であります。やはりさまざまな因数分解できない構造的な問題、あるいはまた、より根源的な民族的な資質の問題にまで言及をしなければならないであろうと。
 これは誤解を招くような表現でありますけれども、例えば語学一つにしても、ロビー活動を行う際に、やはり声、言葉、言語というものの持つ力をもっと日本人は評価しなければいけない。理解しなければいけない。けんかやユーモアを、ネーティブな英語を駆使するように、自在に使えるような国民性、資質も必要であっただろうと思います。あのプレゼンテーションの質疑の中で、本当に答弁に立つ方がごく限定されている。それも本当に大変な、少ないボキャブラリーの中から懸命に駆使されてご努力されるような姿を見ますと、私も一緒になって壇上で立ち往生するような、そんな思いにとらわれたようなこともありました。
 加えて、冒頭申し上げましたけれども、因数分解できないいろんな要素というのはあったと思うわけでありますが、それはさておいて、きょうの議論の中では、先ほど、いずれ総括が出るという話でありましたけれども、この招致活動に成功しなかった原因はいろいろあろうかと思うのでありますが、例えば、この国際招致活動の具体的な内容に対してどう対応されてきたのかということであります。
 例えば、IOCの招致活動ルールに従わなければいけないという、大きな前提条件の規制があった、あるいはまた、ロビー活動やプレゼンテーション、あるいはブース展示、さらにはローザンヌのブリーフィングの場におけるいろんなエピソードも聞いているわけでありますけれども、こういう一つ一つのケースに光を当てながら、そこから教訓を酌み取って、今後のさまざまな展開にまた資するような努力も必要であろう、こういうふうに思うわけであります。
 国際招致活動の具体的な内容をどう振り返るか、ご答弁願います。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 都は、立候補都市承認以降、招致委員会やJOCを初めとするスポーツ界関係者と連携いたしまして、国際招致活動に全力で取り組んでまいりました。国際招致活動につきましては、ただいま委員からご指摘ありましたように、IOC委員に対する個別訪問や都市への招聘が禁止されるといった制約がございまして、この招致活動のルールに従って活動しなければなりません。このため、私どもとしましては、各国のIOC委員が集まります機会を最大限にとらえまして、さまざまなプロモーション活動をしてまいりました。
 具体的には、昨年夏の北京オリンピック・パラリンピック大会以降、アカプルコやイスタンブール、あとアフリカのアブジャというところがございますが、それとシンガポール、こういうところで行われました大陸別の各国のオリンピック委員会総会というのがございます。また、デンバーでの国際競技連盟などスポーツ関係者の会議ですとか、八月のベルリンで行われました世界陸上、さらには、IOC委員に対する直接的な計画説明の場として今回初めて設けられましたローザンヌでのテクニカルなブリーフィングなどの場におきまして、ロビー活動やプレゼンテーション、ブース展示を行ってまいりました。
 また、オリンピック専門の海外メディアを初めといたします内外のメディアに対しましても、招致活動に関するニュースの発信を行うなど、積極的な情報発信に努めてまいりました。
 そして、最後の決戦の場でございますコペンハーゲンのIOC総会におきまして、関係者の総力を挙げた取り組みを行いまして、効果的なプレゼンテーション及び積極的なロビー活動を展開してまいったところでございます。

○木内委員 そうした一連の動きの中で、今回は石原知事も大変な、魂魄をとどめる思いでこの戦いに臨んでおられたことを、私は知悉している一人であります。
 先ほど、鈴木委員の質疑の中で随分つまびらかにされましたので、この部分は割愛をさせていただきます。
 それから、コペンハーゲンで大変招致活動に規制があった中で、さまざまな工夫を凝らしてまた東京のアピールを行ったというのも、さっき申し上げた戦友の皆さんとともに現地で私は肌で見聞をしたわけでありますけれども、この具体的な中身についても割愛をいたします、重複しますので。
 ただし、さっき鈴木委員がいわれた、若い学生の皆さんたちが、いわば勝手連みたいなグループを組織して、夕刻に至って大変な雨が降る中、自転車部隊で銀輪を輝かせて、東京を世界の舞台にということで、懸命に雄たけびを上げ、一生懸命若い情熱を発揮しておられた、あの姿には胸を熱くしたということも、ここであえて私は触れておきたいと思うのであります。
 エモーショナルな部分が足りなかったという指摘も、ある段階ではありましたけれども、そんなことはなかった。私は、四都市のあのプレゼンテーションをしっかり現地で見ました。あるいは、今申し上げたような若い学生のグループの動きも見ました。現地の日本人会の皆様の熱烈たる支援体制にも触れることができました。それはそれで、いわゆるハードとは別のソフトの部分における日本人の日本人たる面目を躍如とさせた最高の努力の経過があったんだと私は思うんです。
 さて、そこで、冷たい聞き方をするわけでありますけれども、国内外、特に国外のメディアに対する努力というものも、現地で、大分これは難しいものだなということを実感いたしました。ちょうど私たちがコペンハーゲンにおりましたときに、例のオバマ大統領の奥さんがホテルに到着するというので、ちょうど私ども、バスでその前を通りましたら、アプローチの部分、歩道からホテルの入り口まで赤いじゅうたんが敷いてあって、もうメディアのカメラといわず記者さんが何十人も並んで、実はすごい取材網をしいているわけですよ。その直後に我々日本人のグループが来たら、どっちかというと身内だけの会合であったというような、実はいい知れぬ寂寥感にとらわれたようなコペンハーゲンの一夜もあったわけでありますけれども、私は、メディアとのコミュニケーションというのが非常に重要であろうと。国内メディアについては、かなり取り上げられる分量は上昇したように見えますけれども、海外メディアが、私たちの意図のとおり、あるいは努力、苦労の結果を反映するように、この東京のアピールに直結する報道をしただろうか。
 日本らしさ、東京らしさを、IOCあるいは現地のメディアに売り込むために、今後どういう苦労が必要なのか、努力が必要なのか。いずれ出てくる総括の中には明らかになると思いますけれども、私が一番ひっかかった点の一つでありますので、明らかにされたいと思います。

○梅田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 国内外のメディアに対しての取り組みでございますけれども、最終プレゼンテーションの直前には、三日間連続で記者会見を実施しまして、東京開催の意義あるいはアスリートからのメッセージ、また最終プレゼンターとしての意気込みなどを直接語っていただきまして、これには、国内だけではなく海外のメディアの方にも参加していただきました。
 また、ロビー活動やプレゼンテーションの準備の合間を縫っては、アスリートあるいはプレゼンターへの囲み取材や、記者の方々へ懇談会などの機会を提供し、東京開催を望む熱い思いが伝わるように努めました。
 また、現地では、特に迅速かつ緊密なコミュニケーションが求められたため、できる限り記者とスタッフとの意思疎通の場を設けたほか、各種の案内及びプレスリリース等については、内外の記者五百人以上の方に、メールを活用し、きめ細やかに情報提供を行いました。
 また、知事やプレゼンターが移動する際には、最先端の日本の電気自動車を利用しまして、環境問題に積極的に取り組む姿をアピールしたり、記者会見の場には、少女をモデルとするロボットを紹介しまして、日本の最先端技術の一端を披露するなどの工夫を行いました。
 とりわけ、コペンハーゲン空港から電気自動車に乗り込む石原知事の姿につきましては、国内のメディアはもとより、現地メディア、それからオリンピックメディア、AFPなどにも取り上げられ、環境最優先という東京のコンセプトを世界的な規模で効果的にアピールすることができたと考えております。

○木内委員 今ご答弁のあった電気自動車、あるいは新世代の環境先端技術を駆使した、こうした機材の披露というのは、私どもの党がかねてから訴えてまいりました環境という視点からも非常に合致するものでありまして、大変にグッドアイデアなんですね。ところが、やっぱり何が足りないのか。これから総括の中で議論してもらいたいんですが、これだけのいい素材があって、日本のよさ、東京の吸引力というか、評価というものが、現地のメディアの間でなかなか盛り上がらなかった。これは今後の大きな課題だと思いますので、強く要請をしておきたいと思います。
 それから、最終のプレゼンテーションについては、先ほど来質疑が出ておりますので、割愛をいたします。
 それから、三科さんの起用も大きなサプライズでありました。私どもはプレスセンターのわきの部屋で、もう涙を流して感動している人がいるぐらい。有名人ではない、しかし、未来の役割を担った若い世代の代表が、まさにアマチュアが出てきて、懸命に英語と日本語で訴えたというあの映像には、本当に感動を深くしたことでございました。この意図についても確認したいと思ったけれども、これはもう結構です。
 それから、先ほど来、知事のプレゼンについての厳しい指摘がありましたけれども、私はむしろ逆でありまして、現地で知事と何度も、戦友の議員の皆さんとも懇談の機会がありましたけれども、我々よりも早く現地に到着して、ロビー活動やさまざまな努力の時間の中で、何度も何度も、何十回も実はこのスピーチについては練習し、また大事な身ぶり、言動についてもアドバイスを受けながら、大変な苦労をした。実は、これが一番大変な今回の戦いだということも率直に心情を吐露されておりまして、そこに知事らしさをよく反映したプレゼンであった、スピーチであったと、むしろ私はこういうふうに思うわけでございます。
 東京以外の三都市も、それぞれ特色のあるプレゼンテーションを行ったと思います。これは中身についても細かくお尋ねをしようと思いましたが、省略をさせていただきます。
 最後になりますけれども、結果は、今回大変残念でありましたけれども、プレゼンテーションの内容も理念も、私は、何度もいうように、東京がすべて最高であった、こう思うわけであります。荒川本部長、また吉川局長も大変なご努力をされていました。東京のプレゼンテーションに対する思いと、招致を終えた率直な感想、それから今後への感懐、これも含めて述べていただければと思います。これは荒川本部長と、吉川局長も答弁いただいていいんですか。--一人にするの。じゃあ、荒川さん。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 ことしの春の時点になりますけれども、IOCの評価委員が各都市を訪問しましたけれども、それ以前までは、東京が計画の面では一歩リードしているというふうにいわれておりましたけれども、評価委員会が来日後、あるいは各都市を回った後は、どうも横一線といわれるような状況になりました。
 招致の最終決定は投票という政治的な手法で行われるために、いろいろな要素が左右することは十分承知はしておりましたけれども、知事からも先が見えない戦いという表現がなされましたけれども、大変複雑な様相を呈してきたなというような思いを感じた次第でございました。
 その後、ローザンヌでの説明会や、シンガポールあるいはベルリンでのロビー活動を経験しまして、いよいよコペンハーゲンでの最終プレゼンを制すれば勝利が手に入ると、こういう思いで、知事も、先ほどの先生のお話にもありましたとおり、全力投球で、招致チーム全員が全力投球で準備に進み、また本番のプレゼンテーション自体も、若い世代の起用というサプライズを入れまして、大変なさまざまな工夫を凝らしまして、非常に大成功であったというふうに思います。
 そして、私自身は、一国を代表する総理に対して、何としてでも総会にご出席をお願いしたいという思いで、総選挙直後の政治日程の中で、なかなか先が不透明な状況で、出席も明確なご返事をいただけなかった状況でございましたので、出張の日程を変えまして、最後のしんがりとして東京に残りまして、官邸の方などに要請をし続けまして、ようやく出席の朗報にこぎつけたということがございます。そのときには本当にほっとすると同時に、よし、これでいけるという気合いを入れて、最終の応援ツアーの皆さんと一緒にコペンハーゲンに向かったことを思い出します。
 結果は非常に残念でありました。しかし、プレゼンは大変すばらしい内容、演出、パフォーマンスでございまして、IOC委員や招致関係者、あるいは報道機関なども、あらゆる方面から非常によかったと、あるいは、情熱にあふれ印象に富むものだったと、こういう評価をいただいております。
 総会での投票の結果が出まして、その終了後、日本から駆けつけてくれた二百人、三百人の応援団が集まる会場で、あいさつのために知事がややおくれて入ってきたわけでございますけれども、そのときに木内先生が知事に向かいまして、知事、ありがとう、ありがとう、ありがとうと、会場全体に響き渡る声で呼びかけられたときには、知事はもちろん、会場にいた私たちも胸に込み上げるものを感じたということでございます。
 招致という目的は達成することはできませんでしたが、この間の取り組みを通じて、都政にとって大変貴重な経験を積むことができました。この成果をむだにすることのないように、今後の都政に、先ほど知事本局長からもお話がありましたけれども、生かしていただきたいというふうに思っております。
 これからは、招致本部は委員会などと協力しまして、実務的に成果や決算、それから、今先生からお話のありましたメディア対応のあり方も含めまして検証し、取りまとめを行ってまいります。
 これまでのご支援に心から感謝を申し上げますとともに、これからのご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
 本当にありがとうございました。

○吉野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
 午後二時四十九分休憩

   午後三時開議

○吉野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○たぞえ委員 二〇一六年オリンピックの開催都市にリオデジャネイロが選定され、東京都は落選しましたが、最大の敗因は、今回のオリンピック招致が石原知事のトップダウンで決められたものであり、都民そっちのけで、しかも都民の支持が得られなかったことは明白であります。
 我が党は、スポーツの祭典であるオリンピックには反対ではありませんが、都民の暮らしが今こんなに困難なときに、しかも都民の支持が得られていない、今回のような莫大な財政負担を伴うオリンピック招致は行うべきでないという立場をとってきました。
 招致レースが終わった今、招致活動をきちんと総括すること、とりわけ石原都政がオリンピック招致のために都民の貴重な税金をどのように使ってきたのかを明らかにすることは、東京都と都議会に課せられた責務であります。
 そこで私は、とりわけ都民から批判の多い百五十億円の招致活動経費などについて質問をするものです。
 九日の定例記者会見で、石原知事は、百五十億円の招致活動費について、財政再建の余剰分であり、東京の財政は痛くもかゆくもないと述べましたが、この発言に、知事の言葉に唖然とした、都民として怒り心頭、知事は傲慢な言動を改めるべきと、都民の批判の声はますます高くなっています。
 そればかりか、東京が落選した日以降、都民から、わずか五日間にメールや電話、ファクスなどで約三百二十件の意見が寄せられ、そのうち約三分の二が招致に対する批判の声でした。招致費用の内容を公表してほしい、立候補のためにどれだけの費用がかかったのかと思うとぞっとする、こういう声も寄せられ、議会局にも、オリンピックに百五十億円を使うお金があれば他の都民サービスができるはずなどの声も寄せられました。知事の百五十億円の支出は痛くもかゆくもないという発言は、到底許されるものではありません。
 百五十億円といえば、都民の暮らしが今、苦痛な状況に置かれている、この暮らしをどれだけ救済できるお金か。例えば特養ホームなら二千五百人分、認可保育所なら三千五百人分の整備が可能な金額です。暮らしを少しでも支援してほしい、その都民の苦痛軽減の声を全くかんがみない知事の立場をただすためにも、本特別委員会に知事の出席を求めることが必要だということを申し述べておくものであります。
 さて、百五十億円をかけたという問題の中で疑問を持たざるを得ないのが、IOC委員の訪問受け入れです。
 ことし四月十四日から四月二十日まで、IOC評価委員十三名と事務局三人が来日し、一日は競技会場視察、二日間は評価委員会会議、三日間は会議室でのプレゼンテーションが、ホテルオークラ東京などを舞台に開かれました。このIOC評価委員受け入れに当たって、東京都は、最大限高い評価を得られる訪問対応を実現する、そのために、この業務を適切に実施するため、立候補ファイル作成業務を受託して熟知している業者でなければ履行できないとして、電通に準備業務委託が行われました。七日間の視察に当てられた経費は幾らだったのでしょうか。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 本年六月の当委員会でもご答弁申し上げましたけれども、IOC評価委員会訪問に係ります委託業務の契約金額は、平成二十年度、二十一年度を合わせまして約九億五千万円でございます。

○たぞえ委員 IOC委員のホテル宿泊代や旅費はIOC委員会持ちなんですね。わずか一週間の滞在で、一日だけの競技施設視察に六千百万円、ホテルでの委員に対するプレゼンテーションに二億円、メディア対応に五千五百万円。ひど過ぎやしませんか。
 それに加えて、計画コンサルタントからの助言等二千二百万円とありますが、これは何ですか。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 コンサルタントのご質問でございますが、東京都としましては、万全な準備体制を構築して評価委員会訪問に臨むため、過去のオリンピック・パラリンピック招致活動を経験した海外コンサルタントからアドバイスを求めました。
 具体的には、過去にIOC評価委員会対応に深く携わりましたコンサルタントに助言を仰ぎました。評価委員会による視察時の現場対応ですとか、プレゼンテーションの心得、各委員に対するホスピタリティー面での注意点やメディア対応など、さまざまな点につきまして広範なアドバイスを受けました。
 また、大会計画に関するプレゼンテーションや質疑応答などの技術的な面につきましては、申請ファイル及び立候補ファイルの作成に携わりましたコンサルタントから助言を得ました。
 加えて、パリの招致を初め、国際スポーツ大会に関する経験が豊富なコンサルタントから、競技会場などの視察対応や、IOCの公用語でありますフランス語などに関するアドバイスを受けました。
 これらコンサルタントは合計七名でございまして、その経費の内訳は、アドバイス報酬や旅費、宿泊費等でございます。
 結果としましては、東京の評価委員会対応は、プレゼンテーション、質疑応答、そして競技会場等、視察のすべてをスムーズに行うことができまして、高い評価を得ることができ、効果的であったと考えております。

○たぞえ委員 それだけではないんです。評価委員会訪問の対応のため、前年度に、準備だとして五億二千万円が執行されましたが、なぜ前年度にこんなにも使うのか、説明してください。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 IOC評価委員会は、IOCを代表する立場で各立候補都市を訪問いたしまして、IOCの目となり耳となって都市からの説明を受け、質疑応答を行い、また競技会場などの現場視察を行い、その都市の開催計画につきまして技術的評価を行う役割を担っております。そのまとめられた報告書は、IOC委員が投票する際の参考とされます。したがいまして、評価委員会への対応は、オリンピック・パラリンピック競技大会の招致過程におきまして極めて重要な位置づけでございます。
 東京としましては、その対応に万全を期するために、平成二十一年の三月下旬に実施した競技会場視察の予行演習を初め、平成二十年度の段階から会場調整やプレゼンテーションの内容づくり、メディア対応等、準備を行いました。
 IOC評価委員会の来日は、本年四月の十四日から二十日まででございまして、東京都の会計年度でいえば平成二十一年度でございますが、早い段階から予行演習を行うなどの必要がございましたため、平成二十年度からの準備作業に入ったものでございます。

○たぞえ委員 答えの中で、二十年度、いわば評価委員も来ていない、料理も食べていない公式夕食会に一晩一千百万円とは、これは何ですか。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 公式夕食会に関します二十年度の業務委託の内容につきましては、その企画構成案作成のための人件費ですとか、あと資料作成費、それと、装飾ですとか、その会食の間に行われますエンターテインメント関係の制作費などの事前準備業務がございます。
 この夕食会は、立候補都市側がIOCから公式に認められました唯一のホスピタリティーの機会でございまして、都としては、国と連携しながら、万全な準備をして臨んだものでございます。

○たぞえ委員 幾ら準備だからといって、公式夕食会、食べていないものに何千万とか、何億円とか、そんなことが許されるのでしょうか。準備と本番を合わせて九億五千万円です。これも電通のいいなりではありませんか。都も電通も金銭感覚がわかっていないんです。都民の暮らし応援に生かせば、例えば老朽化した都立体育施設の改修や都民スポーツの多様な活動に広く助成しても、おつりが来る。お金の使い方の優先度が間違っていると指摘せざるを得ません。
 次に、IOC評価視察団に対する歓迎ムード演出に子どもたちを動員した問題についてです。
 四月の十七日、江東区の都立夢の島公園と辰巳の森公園で、江東こどもスポーツデーというイベントが開かれました。このイベントは、都が江東区に委託したオリンピックムーブメント事業で、同じ日に二つの公園で三つのムーブメントが同時に行われたものです。
 IOCのメンバーが夢の島競技施設予定地を視察した際、ちょうどそこに校外学習で来ていた小中学生、幼稚園児と出会って交流があったと報道されましたが、それは事実でしょうか。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 これにつきましても六月の当委員会でもご答弁申し上げましたけれども、IOC評価委員会の日程の中で、四月の十七日が競技会場等の現場視察の日でございました。この日は、先ほどお話がございましたように、江東区の夢の島公園で江東こどもスポーツデー、夢の島オリンピック体験教室というものが江東区主催で開催されました。このイベントに参加するために、江東区の小学生の方々が夢の島公園に約五千名以上集まったというふうに聞いてございます。
 都としましては、この事業につきましては事前に聞いてはおりましたが、あくまで江東区が主催したものでございまして、IOCの視察との関係は全くございません。しかしながら、公園を元気に駆け回り、スポーツに親しむ大勢の小学生の姿が東京の魅力を端的に伝えるものであることは、これは確かでございますので、結果として、都の判断でIOC委員にもこのイベントをごらんいただき、小学生と触れ合っていただいた次第でございます。

○たぞえ委員 このイベントには、幼稚園の園児と保護者千百六十六名、小学生五千五十名、中学生二百人、先ほど五千名以上といわれましたが、合わせて六千四百人、その中でも小学校は、江東区四十三校のうち三十四校が校外学習として集められました。このイベントには二千三百五十八万円の委託費が都から払われ、当日、子どもたちには、オリンピックグッズや飲み物、菓子パンなどが配られ、IOCの面々が昼ごろ到着すると、集まっている子どもたちから歓迎され、委員は笑顔で応じたと報道されています。
 IOCの規範では、IOC委員が都市を訪問する際、都市は立候補のプロモーション、いわば宣伝のためにこの機会を利用することはできないとしています。この規範に抵触するんじゃないですか。いかがですか。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 先ほどご答弁申し上げましたように、江東こどもスポーツデーのイベントは江東区の主催で行われたものでございまして、東京都としては全く関知してございません。
 繰り返しになりますが、この小学生たちと触れ合うことが、結果的に東京の魅力を端的に伝えるということで、せっかくの機会でございますので、夢の島公園でIOC委員にもこのイベントをごらんいただいたということでございますので、規定に違反するというご指摘は全く当たらないというふうに考えてございます。

○たぞえ委員 では、事実に基づいて指摘をさせてもらいます。
 現実に教育委員会は、各学校長あての文書で、IOC評価委員の視察訪問の対応についてと、こういう表題で、各会場で地元の歓迎ムードを演出すると書いているんですよ。で、小学校長から保護者へのお知らせには、来る四月十七日、オリンピック、IOC視察団が江東区に見えますという文書が準備されました。これは明らかにIOC視察を迎えるための行事だったということを示すもので、しかし、これではまずいと思ったのか、その日の夕方には各小学校長あてに、校長会の役員から、IOCという言葉は使わないようにということでつくり直した保護者あてのお手紙をつくりましたと、訂正のメールが流されたんです。
 しかも、江東区教育委員会は、四月十七日は学校行事を組まないように、あけておくようにと、上から一律に学校に指示したこともわかっています。これは、子どもたちの実情に沿って教育課程を編成する学校の権限を縛るものです。同時に、授業時間を確保するために夏休みも短縮する指導を行っている教育委員会が、一方で、区内一斉に授業をカットして数千人の子どもたちを夢の島に集めるというのは、おかしいんじゃないでしょうか。
 中には、子どもたちが楽しみにしていた春の遠足が、このイベントで振りかえになったという事例もあります。学校の行事や授業を中止してまでIOC委員と交流する場がつくられていたんです。小学生のある親は、このために子どもたちを商売道具にしていないだろうか、子どもたちは感動は残っていない、二度と思い出にしたくないイベントになった、しかも帰りは一時間以上もかけ徒歩でへとへとと、新聞に投書まで出ているんです。
 オリンピックのためならばといって学校教育の現場を混乱させることは、オリンピックの精神にも反するとんでもないことだと私は指摘をしておきたいと思います。
 これだけ問題が明らかなわけです。百五十億円の使途を徹底的に明らかにする必要があります。では、招致費の百五十億円以外にも、オリンピックにかかわって全庁的に税金が支出されていると思いますけれども、どうなっているのでしょうか。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 招致本部、招致委員会での招致経費は百五十億という枠でやっております。他の局では、それぞれの施策に基づきまして、それぞれの施策を推進する中で、オリンピック招致もアピールをしていただいているというような状況でございます。

○たぞえ委員 アピールしているという発言でありました。
 二十三日、我が日本共産党都議団が招致本部長に、血税を使った以上、一円たりとも使途と支払い先が不明瞭であることは許されないと申し入れを行った際、本部長は、すべての情報の公開を基本に対応すると答えたわけであります。今後、この今いわれたアピールしている、開示して明らかにする必要があると思いますが、見解を伺いたいと思います。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 他の各局は、それぞれの施策の中で対応をしております。例えば生活文化スポーツ局は、スポーツの振興という形でいろいろなイベント事業をやっているかと思います。そちらに関しては、私の方でいろいろ意見を申す立場にはございません。

○たぞえ委員 生文はスポーツ関係をやっているというお話でありますけれども、私は、であるならば、百五十億円の招致費以外でも各局が税金や料金収入を招致で使っている、このむだについて、きょうはたださなくてはなりません。
 石原知事は昨年十二月十二日の記者会見で、オリンピック招致に向けたスポーツムーブメントを一層盛り上げるために大きなイベントを開催しますと突然表明しました。その大きなイベントというのは、ことし三月七日と八日に、この都庁前の狭い都民広場で、三日間にわたって百人を動員してジャンプ台をつくり、人工雪を二日間降らせ続けたイベント、東京スノースタイルです。これは、都心でスノースポーツを体感することが目的だとして、高さ十五メートルの仮設のスキージャンプ台から超高層ビル街に向かってトンボ返りをする、スキー選手が行うイベントであります。イベントに使われた大量の人工雪を解かすために、二日間にわたって石油を燃やし、温風を吹きかけた。これらすべての経費は六千八百万円です。
 このイベントは、実施はいつ決まったのでしょうか。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 これは生活文化スポーツ局が所管しておりまして、私どもが答える立場にはございません。

○たぞえ委員 実施日の三カ月前の十二月十二日、記者会見と同日に起案が決裁されました。当初の予算にはなかったものであります。主催は東京都でありますが、共催者である全日本スキー連盟に経費の全額六千八百万円を分担金として都が支出するという、こういう仕掛けの中身です。我が党が情報公開条例で手に入れた起案文書によると、予算については別途流用で対応すると記載されています。この分担金は、当初の予算に計上されていなければ、計画にもなっていなかった。まさに突如開催したものであります。
 この事業費は、東京国体や東京オリンピックに向けたスポーツの振興から捻出をしたもので、その予算額の半分に当たるものです。都民のスポーツ権を保障するための予算はけちっておいて、一方で、オリンピック招致機運を盛り上げるためのイベントには、知事の一声でオリンピック招致のイベントにつぎ込むということは、都民の納得は得ることはできません。きちんと都として全容をつかんで明らかにするべきだと思いますが、知事本局長、答えてください。

○吉川知事本局長 先ほども荒川本部長の方から答弁ございますように、今回の招致経費については、今後、きちっとした会計上の説明がつくように対応するというふうに答弁しております。

○たぞえ委員 ぜひ都民の皆さんに明らかにしていただきたいと思います。
 次に、知事や特別秘書などがオリンピック招致のために海外出張している問題であります。この問題についても、招致経費では足りず、知事本局の予算も使われています。
 知事本局長、海外出張分の負担額を明らかにしてください。

○大井知事本局総務部長 ただいまの質問の数字、今手元にございませんので、後ほどお答えいたします。

○たぞえ委員 我が党の調査では、招致経費以外にも五千六百四十七万円も使われ、この中には、〇六年五月のロンドン、マン島訪問も含まれています。マン島訪問はオートバイレースのためですが、ロンドン訪問は東京招致に向けた戦略に生かすためでありました。これを案分して、招致関連は千七百八十七万円にも及びます。

○九年八月の世界陸上ベルリン大会では総額四千四百十六万円、そのうち知事本局負担分一千四百四万円。〇九年九月から十月までのコペンハーゲン、IOC総会では、予算総額三千四百二十九万円、うち知事本局負担分一千九十七万円。これは明らかにオリンピックのための招致経費です。ベルリンでは、世界選手権に集まったIOC委員に対して、市内に東京をアピールするブースを設けるなど、明らかに招致活動ではないでしょうか。その使い方もすさまじいものです。
 ことし六月、ローザンヌでのIOC委員のブリーフィングは、知事の航空運賃だけで往復二百三十四万円、宿泊費は条例定額の三万三千五百円の三倍、十二万円も払っております。こんなにあるじゃないですか。明らかに国際招致活動ですよ。招致活動費に加えるべきじゃないですか。見解を伺いたい。

○大井知事本局総務部長 私ども知事本局といたしましては、日ごろから、都市外交の推進に向けまして年間の事業を計画的にやっているところでございます。ベルリンにおいては世界陸上という機で、ベルリン市長からご招待がございましたけれども、姉妹友好都市の関係もあり、十五周年を迎えるということもあって、そういった会合を設定したわけでございます。
 その他、先生がおっしゃったことについては、私どもも、必要な諸外国都市との連絡調整あるいは外交の推進という立場で適正な予算の支出をしたものでございます。

○たぞえ委員 次に、人件費についてです。
 招致運動は、平成十八年四月から組織がスタートいたしましたが、各年度末の職員の実員数と決算ベースの人件費と今年度の予算額を示してください。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 当本部の各年度末の職員数でございますけれども、平成十八年度は四十人、平成十九年度は七十三人、二十年度は九十一人でございます。
 各年度の職員費の金額は、十八年度は三億八千五百万円、十九年度は五億九千三百万円、二十年度は八億七千二百万円、二十一年度は十億一千三百万円でございます。

○たぞえ委員 職員数の実員は急激に増加いたしました。その結果、当初予算では職員費を賄い切れないために、青少年治安対策費から九千万円以上、教育費、社会教育費から一億二千万円など、流用して充てることまで行われてきたんです。招致本部のこれらの職員は、招致活動のためだけに働いてきた方で、この四年間で二十八億六千三百万円の人件費が支出されているわけです。
 ところが、百五十億円の招致活動費には入っていない。オリンピック招致委員会は招致活動を中心に行っている部署でありますが、人件費は招致に加えています。だったら当然、招致本部の人件費も招致経費の中に入れるべきなんですよ。どうなんですか。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 百五十億円積算の当初から、職員費は招致推進活動費百五十億円の中にカウントされておりません。東京都におきましては、予算の概要や「十年後の東京」への実行プログラムなどにおきまして、事業費に職員費を含めないのが通例でございまして、それに倣ったものでございます。

○たぞえ委員 事業を推進する職員の皆さんの人件費を含めてこそ、その事業の姿全体が見えてくるんです。招致経費に入れるべきだというふうに、私も今ここで主張しておりますが、その問題以外にもあります。
 例えば女子レスリング世界選手権大会への一億五千万円、水道局でのテレビコマーシャル、首都高を四時間交通規制してのレインボーウオークなど、明らかにオリンピックのイベントとして行われております。
 我が東京都議団は、情報公開を含めて調査を進め、現段階で、招致にかかわる経費は全体で五十億円を上回る税金を投入していることが明らかになりました。
 ここにパネルを持ってきました。招致経費以外の税金投入額です。今述べましたように、招致本部の人件費二十八億六千二百五十三万円、知事等の招致関係の海外出張経費の知事本局負担分五千六百四十七万円、他局の予算で行われた招致にかかわる宣伝物の作成やキャンペーン六億六千五百四十四万円、生活文化スポーツ局のスポーツイベント等十四億二千五百七十万円、合わせて五十億。そのほか入れて、五十億を超えているわけであります。
 知事は、監査を入れて、使途が妥当だったかどうか都民の目に明らかにすることが最低の責任だと、このように述べています。監査でやったからいいということで済ませようということは認められません。都議会として、すべての情報の公開を受け、知事、関係局長が出席して、さまざまな執行による経費は当然明らかにするべきです。このことを強く要求をしておくものであります。
 最後に、招致活動を進める民間資金の調達です。
 民間資金五十億円、都の負担百億円という仕切りでありますが、民間からの資金は、開催都市決定段階で現金は幾ら集まったのでしょうか。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 お約束いただいている寄附金、協賛金がすべて入金済みではないというようなことでございまして、九月末での収入額は約四十億弱ということでございます。

○たぞえ委員 当初の民間資金から比べても、現在でも約十億不足をしています。報道によれば、都庁内では、赤字になれば公金で補てんする可能性も浮上すると書かれていますが、足らない分も結局税金で穴埋めをするつもりでしょうか。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 先ほど門脇委員にもお答えいたしましたとおり、現在、経費の内容について調査をしておりまして、相手方との調整の必要な案件もあるということでございます。
 また、平成二十年第一回定例会でお示ししました招致活動経費総額百五十億円、一般財源投入百億の大枠につきましては、守れるべく努めていくことが基本であると、このように考えておるところでございます。

○たぞえ委員 仮に赤字になっても、税金での穴埋めなどというのは絶対に許されないことだと思います。招致失敗と景気の低迷のあおりを受けて、寄附金の全額支払いに難色を示す企業が出てきて、この穴埋めのために外郭団体に支払いを強制するようなことがあっては絶対になりません。このことを強く指摘をしておくものです。
 最後に、特別委員会の今後についてであります。
 きょうの質疑を通じて明らかなように、東京都は、都民の暮らしをそっちのけに、オリンピック招致を石原知事のトップダウンで決め、推し進めてきました。しかし、都民世論は盛り上がらず、招致活動の致命的欠陥となりました。そこで東京都は、招致機運を盛り上げるとして、都民の税金をつぎ込んで、なりふり構わぬムーブメントを展開しました。その結果が、異常なイベント支出や電通いいなりの招致活動という事態を生み出したんです。
 したがって、この特別委員会は、招致に使った費用とその中身の全貌を明らかにする責任があります。一回のイベントに一億円もかけたり、知事にかかわる海外出張だけで約二億円使うなど、オリンピック招致の名で湯水のように税金を使ったことに都民の疑問と批判が渦巻き、招致活動の全容を明らかにすべきとの声が高まっています。これに対して、石原知事は、妥当だったかどうか都民に明らかにすることが最低の責任といわざるを得ませんでした。
 東京都は、正規の招致活動費以外にも、招致を最大の目的にした多くのイベントなどを行っていることを私は先ほど明らかにしました。しかし、都みずからがこの全容を明らかにしていません。しかも、都が直接行った招致活動を含め、都が特定団体、企業に委託して事業を実施した場合、何に幾ら使われたか、民間同士の問題だとして、詳細も明らかにしていません。招致委員会の活動についても、なおさらやみの中であり、大体、年度末にならなければ、すべての決算が明らかにならないわけであります。
 都民の血税を使った以上、一円たりとも、その使途と支払い先が不明瞭であることは許されません。したがって、次の委員会であらゆる角度から検討を加えることが必要であり、招致委員会の最終報告を受けての質疑もやらなければなりません。
 また、知事及び関係局長が出席して議論することはどうしても必要です。このためにも、きょうをもって質疑を行わないなどということは断じて許されないことを申し述べて、私の質問を終わります。

○西崎委員 八番目で最後の質問者になりました。質問が重なっている部分もあるので、なるべく重なっている部分は意見に変えていきたいと思いますけれども、答弁の方よろしくお願いいたします。
 二〇一六年のオリンピックの開催地がブラジルのリオデジャネイロに決定しました。この間の関係者の皆さんのご苦労には敬意を表するものです。
 二〇〇五年、知事は、前回の東京オリンピックから四十年余り経過し、成熟した東京の都市の姿を世界に示し、改めて日本の存在をアピールする絶好の機会であると述べて、オリンピック招致を提案しましたが、なぜ今、東京が二度目の開催を目指すのかという点については、その意義について打ち出されていなかったように思います。
 今回、十月二日のIOC総会における評価では、その国の支持率も一つの審査基準になったと思います。そこで、世論調査について伺いたいと思います。
 招致委員会が行った支持率の調査回数、質問内容、サンプル数、調査方法はどのように行ったのか、また、年代別の支持率はどのようになったのか、確認の意味でお聞かせください。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 委員会が行いました支持率の調査は、三回実施してございます。
 第一回目は平成十九年十二月、サンプル数六千名、インターネット調査で、支持率は全国六二%、東京都六〇%、招致の認知度や観戦意向、賛成の理由、反対の理由などについて質問しました。
 二回目は平成二十一年一月、サンプル数三千名、インターネット調査、支持率は全国七〇・二%、東京都六八・六%、招致計画のコンセプトの中で重要だと思われるものはどれですか、観戦したい競技は何ですか等について質問したわけでございます。
 三回目は平成二十一年四月、インターネット調査三千名、電話調査一千名でございます。支持率は、インターネット調査では全国七二・六%、東京都六九・七%、電話調査では全国八〇・九%、東京都七三・五%、認知度、IOC評価委員会の来日などにつきまして質問したわけでございます。
 年代別でございますが、二十代、三十代の若い層の支持率が低く、五十代、六十代の高い年代層の支持率が高い傾向でございました。

○西崎委員 それで、支持率が東京よりも全国の方が非常に高かったというところが気になるところでありますけれども、その結果を受けて、支持率を上げるために具体的にどのように取り組んだのかということは、先ほど鈴木先生がラーメン協会とか若い女性とかに働きかけて、その熱い思いはよくわかりましたけれども、総括の意味で、確認の意味で、具体的に都としてはどのように取り組んだのか、お聞かせください。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 支持率の向上には、さまざまなオリンピックムーブメント事業を行うとともに、世代に応じた対応も必要であるということから、小中学生や高校生には、オリンピック学習読本による理解の促進、みんなのオリンピックなどでアスリートの学校訪問など、若者向けには、人気ブロガーが出演するトークショーや、携帯電話、インターネットを活用した情報発信、中高年層には、各地のお祭りとタイアップした全国祭りプロモーションなどのイベントやオリンピアンによるシンポジウムの開催など、世代に応じたさまざまな取り組みを実施したところでございます。

○西崎委員 いろんな取り組みをされて、八〇%台に持っていったということなんですけれども、過去二回、IOC委員会が行った調査では五〇%台で、行った調査からかなりの乖離があったということが大変気になります。
 私どもも、まちに出て、対面で調査を行いましたけれども、オリンピックに反対するものではないけれども、オリンピックよりも福祉や医療や、今の自分たちの生活をもっと改善してほしいという声や要望が非常に強かったのが印象に残っています。大変民意が冷めていたのではないかと思います。
 二点目に、区市町村ムーブメント事業についてですけれども、これもかなりの委員の方が触れています。ただ、最後ですので、確認の意味で伺いたいんですが、一自治体、上限一千万円で、六億二千万の予算が毎年組まれていたわけですね。この区市町村のムーブメント事業の目的は本来何だったのか、お聞かせください。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 オリンピックムーブメント共同推進事業の目的でございますけれども、オリンピックの理念でございますオリンピズム、これは、スポーツを通じ、フェアプレーの精神のもとに身体と精神を鍛錬し、若い人々が国や文化などさまざまな差異を超えてお互いに理解し合い、友好を深め、さらには世界の平和にも貢献するというものでございます。このオリンピズムを具現化するための活動がオリンピックムーブメントでございまして、この共同推進事業は、オリンピズムの普及啓発を通じまして、地域社会に、スポーツ、文化の振興、青少年の健全育成、環境への配慮などさまざまな価値をもたらすことを目的としているものでございます。

○西崎委員 昨日の新聞に、先ほどもお話がありました、二十四日、武蔵村山市、五輪関連イベントが開かれたことが書かれていました。都の負担が七百万円ということで、十月二日にオリンピック開催地が決まった後で何の意味があったのかという、疑問に感じる都民の声が書かれてありました。本来、常にオリンピズムを具現化する活動であるならば、何も一年間、一自治体一千万という上限を設けて予算化する必要はなかったのではないかと思います。
 これまで百三十九事業が区市町村で実施されてきているわけですけれども、その成果はあったのでしょうか。どの自治体も高額のお金をかけてイベント事業を実施しています。例えば世田谷では、花火大会に六百万円、世田谷公園の花壇、イベントに二百万円、安藤忠雄さんとアーチェリーの山本選手のトークに四百万円かけてイベントを行っていました。
 ほかの自治体でもトークショーが主なものだというふうにいわれていますけれども、それぞれの事業、各自治体に費用対効果を検証してもらい、報告書を提出してもらうべきと考えますが、この点はどのような見解でしょうか。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 報告の中身でございますけれども、具体的な数値化というのは困難でございますが、平成二十年度は全区市町村で百三十九事業が実施されまして、延べ七百五十万人もの人々にご参加いただいている。二十一年度も百十七事業が実施されたものでございます。
 参加した人々からは、スポーツは自己実現のためのものではなく、他の人たちを感動させられるすばらしいものだと認識を新たにした、また、あるいは、自分もスポーツを通じて世界じゅうの人たちと交流がしたいと思うというような声が寄せられるなど、地域住民に夢や希望、感動を与えたということで、実施した区市町村からは報告を受けております。それはこの事業の大きな成果でございまして、地域に残したレガシーであるというふうに認識しております。

○西崎委員 行政がイベントを行う場合に、社会的貢献の意味から、その講演料というのは民間で行うよりも安く設定することができるのではないかと思います。スポーツ選手の知的財産権を守ることも必要なんですけれども、むしろオリンピック招致に向けて機運を高めるのであるならば、自治体としての安く上げる努力というのは本当に今回されたのかどうか、その辺をちゃんと検証していただきたいと思います。
 例えばNPOなどが行事などをやる場合は、やっぱりつぶさにその内容を東京都からもチェックされると思いますし、今回行われた事業、世田谷でも、東京都から直接そのイベント会社にお金が払われたと聞いていますので、その辺の報告もぜひよろしくお願いします。
 それから、今回、二〇一六年のオリンピック招致に向けて取り組んだことで、荒川招致本部長が決算委員会で、成果としては、全国の子どもとの交流が広がったとお答えになっています。トップアスリートたちとの交流は子どもたちに大きな夢を与えますし、そのような取り組みはオリンピックに関係なく進めていくべきだと考えますが、どのような交流が行われたのか、お聞かせください。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 オリンピック・パラリンピックは次代を担う子どもたちに大きな夢と希望を与えるものでございまして、その感動は子どもたちの心の中に大きな財産として刻まれております。このため、招致活動におきましても、オリンピアン、パラリンピアンなど、日本を代表するトップアスリートとの触れ合いを通じて、オリンピック・パラリンピック、そしてスポーツのすばらしさを子どもたちに伝えていくよう努めたところでございます。
 具体的には、都と区市町村とのオリンピックムーブメント共同推進事業におきまして、多くの子どもたちの参加のもと、オリンピアンによりますマラソン、あるいはサッカー、水泳、野球などのスポーツ教室や実技指導などを実施してございます。ふだん接することができないトップアスリートとの触れ合いを通じまして、参加した子どもたちからは、こんな有名な人にコーチをしてもらって、とても自信になった、また、きょう教わったことを励みに頑張っていきたい、一生の思い出になると思うなどの声が寄せられるなど、かけがえのない夢と希望を与えることができたというふうに考えております。
 さらに、全国の学校などにオリンピアンを派遣する、みんなのオリンピック事業を、平成十九、二十、二十一年度合わせまして六十回実施し、オリンピアンの実体験に基づいたトークショーなどにより、努力することの大切さ、そして勇気など、スポーツやオリンピックがもたらす意義を子どもたちに伝えてきたところでございます。

○西崎委員 大変触れ合い事業が有効であったというお話なんですけれども、先ほど、ここはちょっと私は意見が分かれるところなんですが、公立、私学などの小中学校に副読本を八千万かけて配布したということで、活用されているというお話だったんですが、八千万もあるんだったら、今の子どもたちの教育を充実させることとか、ほかに何か子どもたちが本当にスポーツに対する夢を描けるような扱い方もあったのではないかと私は思います。
 それから、IOC委員への働きかけについては、これは質問が出ましたので、省かせていただきます。
 最後に、今後の招致活動報告書について伺います。
 年度内にこの報告書をつくられるということですが、その内容はどうなっているのか、どのように公表するか、その点についてお聞かせください。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 招致活動の報告書でございますけれども、オリンピックムーブメントの共同推進事業ですとか、招致機運の盛り上げ事業、こういったものを含めまして、これまで行った国内外の招致活動を総括するために、JOCや招致委員会などと協力して作成をいたします。
 この報告書は、今回の招致活動の記録に加えまして、今後のスポーツ振興や都政にも活用していけるよう、招致活動の成果などを多角的に検証しまして、その全容を都民に明らかにしてまいります。年度内に公表できますよう取りまとめていく予定でございまして、しかるべき段階で議会の方にもご報告をさせていただきたいと考えております。

○西崎委員 招致委員会では企業から五十億円の寄附を集めることになっています。ここでは、十月二日のIOC総会でかかった費用など、民間から集めた五十億円から支出されると聞いていますが、それでは、招致委員会では幾つの口座を持ってお金を管理されているのか、また企業からの寄附はどのような手段で振り込まれるのか、お聞かせください。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 招致委員会の口座でございますが、収入用と支出用の口座、外国通貨の口座、定期預金の口座を開設しまして資金の出入りを管理しているところでございます。
 民間からの寄附金の振り込みにつきましても、口座は二つございまして、一つがオフィシャルスポンサーからの入金用、もう一つがサポーターズクラブなどその他の入金用でございまして、寄附者からそれぞれの口座に入金されているところでございます。

○西崎委員 長野オリンピック開催後、調査委員会の報告で、長野冬季オリンピック招致委員会会計帳簿問題などが発覚しました。ここには六つの口座があり、口座間の意図不明な資金の差しかえや、九千万円の使途不明金など、このことについて長野県の広報紙で公開されています。
 東京でも、オリンピック招致にかかわる、今のお話ですと七つの口座があると認識しましたが、どのように使われてきたのか、収支についてはきちんと都民に情報公開していくべきだと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

○細井東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 何回かお答えしておりますけれども、今年度中に、活動報告書とともに、百五十億円、資金収入も含みます詳細につきまして公表いたしますので、その中で明らかにしてまいります。

○西崎委員 きょう、いろいろな質疑がされて、オリンピックにかかわる皆さんの熱い思いとか、都議の方も十名も行かれたということで、その熱い思いはよくわかりました。
 しかし、オリンピックは組み上げて行うというようなイベントでもあり、やっぱり一部の人だけではなくて、都民、日本全体にそれが理解されなければ、招致のムードは盛り上がらないんだと思います。
 特に、百五十億もかけて本当に招致の機運を盛り上げようとした、その内容がほとんど、ちゃんときちんと使われているのかどうか公開することを最後にもう一度求めまして、質問を終わります。

○吉野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉野委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後三時五十三分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る