オリンピック・パラリンピック招致特別委員会速記録第十九号

平成二十一年六月一日(月曜日)
第十二委員会室
 午後三時二分開議
 出席委員 二十三名
委員長野村 有信君
副委員長吉野 利明君
副委員長中嶋 義雄君
副委員長大沢  昇君
理事西岡真一郎君
理事川井しげお君
理事石川 芳昭君
理事曽根はじめ君
理事三宅 茂樹君
鈴木 隆道君
たぞえ民夫君
高橋かずみ君
大西さとる君
長橋 桂一君
村上 英子君
大西由紀子君
松村 友昭君
鈴木貫太郎君
串田 克巳君
高島なおき君
山下 太郎君
田中  良君
名取 憲彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
東京オリンピック・パラリンピック招致本部本部長荒川  満君
次長松田 二郎君
技監福島 七郎君
企画部長並木 一夫君
参事重田 敏光君
参事梅田 弘美君
招致推進部長中村 長年君
連絡調整担当部長藤森 教悦君
招致戦略担当部長中嶋 正宏君
参事山越 伸子君
参事保坂 俊明君
新施設建設準備室長藤井 寛行君
参事末菅 辰雄君
知事本局局長吉川 和夫君
総務部長大井 泰弘君
計画調整部長松浦 將行君

本日の会議に付した事件
 二〇一六年に開催される第三十一回オリンピック競技大会及び第十五回パラリンピック競技大会の東京招致に関する調査審議及び必要な活動を行う。
報告事項(説明・質疑)
・IOC評価委員会の東京訪問について
委員会調査報告(中間報告書)について
 閉会中の継続調査について

○野村委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック招致特別委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議事課の担当書記の島村史郎君でございます。
 よろしくお願いいたします。
   〔書記あいさつ〕

○野村委員長 次に、先般の人事異動に伴い、本委員会に出席する幹部職員に交代がありましたので、東京オリンピック・パラリンピック招致本部長及び知事本局長からそれぞれ紹介があります。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 さきの人事異動に伴い、変更のありました当本部の幹部職員を紹介させていただきます。
 招致戦略担当部長の中嶋正宏でございます。参事で国際招致担当の山越伸子でございます。参事で招致戦略担当の保坂俊明でございます。新施設建設準備室長の藤井寛行でございます。参事で公募準備担当の末菅辰雄でございます。
 また、本日の報告事項の説明につきましては、企画部長よりご説明いたします。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○吉川知事本局長 さきの人事異動に伴いまして連絡員に交代がございましたので、ご紹介を申し上げます。
 総務課長の鈴木勝でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○野村委員長 紹介は終わりました。

○野村委員長 これより第三十一回オリンピック競技大会及び第十五回パラリンピック競技大会の東京招致にかかわる事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取、委員会調査報告について及び継続調査の申し出の決定を行います。
 理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取します。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 それでは、私からご報告をさせていただきます。
 資料といたしまして、資料1、IOC評価委員会の東京訪問について、資料2、東京オリンピック・パラリンピック招致スケジュールについてをお配りしてございます。これらの資料に基づきましてご説明申し上げます。
 まず資料1、IOC評価委員会の東京訪問についてをごらんください。
 去る四月十六日から四月十九日まで、IOC評価委員会の公式訪問が実施されました。訪問の目的でございますが、二月に提出いたしました立候補ファイルの内容を検証するため、立候補都市各都市を訪問いたしまして、計画のプレゼンテーション、会場視察、質疑応答などを実施いたします。訪問結果は、評価委員会報告書といたしまして、九月二日までに各立候補都市及び各IOC委員等に公表されます。
 評価委員会のメンバーでございますが、ナワル・ムータワキル委員長を初めとする九名のIOC委員、輸送、環境、財政の専門家、IOC統括部長のほか三名の事務局の合計十六名で構成されております。
 右側をごらんいただきたいと思います。日程及び訪問の様子でございます。
 プレゼンテーションでは、開催計画を詳細に説明いたしますとともに、麻生総理大臣を初めといたします関係省庁の大臣、経団連の御手洗会長など、政財界を挙げての招致活動をアピールいたしました。
 また、十七日には、八キロ圏内にございますほとんどの競技会場予定地の視察をいたしました。会場予定地では、多くの地元の方々やオリンピアン、パラリンピアンが評価委員を歓迎し、終始和やかな雰囲気で行われるとともに、極めて順調なスケジュールで進行いたしまして、東京の準備の周到さと運営能力の高さを印象づけることができました。
 十九日の最終日には、評価委員会による記者会見が行われました。ムータワキル委員長は、ビジョン、コンセプトは質が高く感銘を受けた、非常にコンパクトですばらしい、国を挙げての招致であることを感じた、数多くの人々の熱意を感じたなど、コメントをいたしてございます。
 一枚おめくりいただきまして、東京オリンピック・パラリンピック招致スケジュールについてをごらんください。十月の開催都市決定までのスケジュールをお示ししてございます。
 開催都市決定までの間には、今月十六日、十七日のローザンヌでのプレゼンテーション、七月のOCA、アジアオリンピック評議会総会、ANOCA、アフリカオリンピック委員会連合総会、八月のベルリンでの世界陸上、九月の東京で行いますアジアユースパラゲームズなど、さまざまなイベントが開催されます。これらのイベントを活用いたしまして、一人でも多くのIOC委員に投票してもらえますよう、東京のすばらしさをアピールしてまいります。
 また、国内におきましても、さまざまなイベント等を通じまして、引き続き招致機運の盛り上げに努めてまいります。
 以上で、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。
 どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野村委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○松村委員 IOC委員会への対応について伺います。
 まず、かかった経費は幾らか伺います。

○山越東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 平成二十年度、二十一年度合わせまして九億五千万となってございます。

○松村委員 IOC委員十三名、それから事務局三名、そして実質四日間に約九億五千万円の都民の税金が使われました。しかも、あの旅費、IOC委員の旅費の航空運賃やホテルの宿泊代はIOCの負担だということであります。
 ところで、今、二〇〇九年、平成二十一年度は四億四千七百九十三万円。しかし、これは議会での予算の議決は、ここに私、平成二十一年度予算見積もり、IOC委員視察等対応内訳というのがありますけれども、三億一千七百万円ですよね。これがどうして四億四千七百九十三万円なのかと。これでは議会の予算審議を形骸するような形になりかねないというふうに思いますけれども、この点についてのご説明をお願いいたします。

○山越東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 この評価委員会の二十一年度予算が想定より増加したということでございまして、当初の想定よりも、作業している中で費用が増加した項目が多々ございます。
 例を挙げますと、例えばホテルなどの会場使用料、これは、想定よりも外部のプレゼンターが同じ時間帯に多数見えられるといったような状況がございまして、それが部屋数をさらに確保するようなことが生じたこと、あるいは、それとあわせまして、先ほどご説明がありましたとおり、国を挙げての招致活動ということで、麻生総理を初めとする政界、財界の方がいらした関係で警備の関係の経費がふえたこと、さらには、リハーサルにつきましても、本番に近い形でのリハーサルを実施するといったような判断をしたことといったようなことで、経費が増加した原因となってございます。

○松村委員 後でもちょっと順次聞くんですけれども、これ、予算を議決したのは三月、年度末ですよね。それで、実際にはこの予算を、これは委託契約でやっているということは伺いましたけれども、これはいつですか、契約したのは。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 委託の契約でございますけれども、契約期間は四月一日から四月二十一日で、契約の日時でございますけれども、平成二十一年四月十一日でございます。

○松村委員 既に四月一日にはそういう契約の期間に入っている。正式に契約したのは十一日ということでしょうけれども、そうしますと--しかもその前の年に、このIOC委員の視察等準備で、実際、今の金額によりますと五億百五十万円も使っていろいろ準備してきているわけですね。会場の手配等、警備等云々と。五億以上もかけて実際準備してきて、そして、今いったような使用料が想定よりも増加したとか、新たな警備が必要とか、それはおかしいのではないでしょうか。
 しかも、これ委託契約だったら、見積もりは当然とっていますよね。この予算を議会に諮る、議決する以前に、とうに修正というか、そういう形で正しいこの委託内訳を出して議決を求めるのが当然ではないでしょうか。
 半年とかその先になるとかいうなら、いろいろやはり変更はあり得ると思いますけれども、やっぱり今の答弁で、三月末の議決で四月一日に、しかも、その前に内訳、見積もりが十分準備されてもきたし、やってきているものが、しかも少しの金額じゃありませんよね。一億ぐらい、これふえているんでしょう。三億一千七百万から、実際に契約した金額は四億四千八百万円。一億三千万円ですよね。もう一度、再度お答えいただきたいと思います。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 ただいまのご質問でございますけれども、まず、予算上はオリンピック・パラリンピック招致事業としまして、歳出内訳五億九千万円ということです。その内訳でございますが、国際招致活動費に四億六千万、この中には、ただいまご審議いただいていますIOC評価委員視察対応のほかに、テクニカルミーティング、それからIOC総会ということで、トータルでは国際招致活動費として四億六千万円を計上してございます。
 今回、IOCの視察対応につきましては、眼鏡で見ますMRという機械、それから映像、こういったものは、今後の国際招致活動、それから六月のローザンヌ、十月のIOCの総会、こういったものに使っていくというものでございますので、当初、IOC視察対応では三億一千万でございますけれども、トータルでは招致活動経費四億六千万円の内訳でございますので、問題ないと思います。

○松村委員 予算の全体的な経費の中の一環だというんですけれども、あくまでもIOC視察対応の内訳はどうなっているかということを議会に示して議決されておりますし、私この間、都民からも、テレビでいろいろ映し出されました、マスコミでも大きく報道されました、さぞかし、あれお金かかっているんでしょうねと。松村さん、あれどのぐらいですか、一億円ぐらいなんですかねというから、私は、既に議決されただけでも三億一千万円、それ以前のを合わせれば大変な額になると。この九億なんていう金額を示したら、本当に都民は驚くというか、やはりそういう感覚は、皆さん方は持ち合わせていないのでしょうか。
 そして、この点は聞きますけれども、委託業者はどこか、また委託契約金額は幾らか、契約の方式についても伺います。

○山越東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 委託は、平成二十年度約五億円、二十一年度約四億五千万でございまして、契約の相手先は、いずれも株式会社電通でございます。契約の形式は特命随意契約でございます。

○松村委員 いずれも電通と。しかも特命随意契約。おかしいのではないでしょうか。
 例えばこの中で、ユビキタスですか、これ会場でもテレビに映し出されて、私も初めて知ったんですけれども、完成後の競技場の仮想映像、これゴーグルみたいなもので、望遠鏡ですか、何か、見るとそこに映っているというのが、そういうユビキタス技術を使ったものですけれども、これも一億円のユビキタス技術活用ということでやられているんでしょう。それも一括して電通なんですよね。なぜ電通でなければいけないんですか。
 我々この間もいろいろ、これだけ都民の、例えばオリンピックで景気だとか雇用だとかいうことも含めれば、当然分割発注するとか、いろいろなそういうところに直接契約したってできるわけですよね。なぜそれが丸々電通に一括契約しなければならないのか。この点についてお答えください。

○山越東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 評価委員会の対応を電通に対して特命随意契約とした理由は、過去の経験上、長野の冬季オリンピック競技大会の招致、運営に中心的にかかわっていたこと、その他過去のオリンピック・パラリンピック競技大会に関する情報に精通していること、さらには、限られた短期間内に今回東京の大会開催計画の内容を効果的に表現できる準備を行うためには、立候補ファイルの内容、コンセプトに熟知している必要があることといったような理由がございます。
 特に、先ほどゴーグルで見るという技術のお話が出ましたが、これはMRという技術でございまして、オリンピックスタジアムが、今、更地のところを、いかにそのでき上がったものをリアルに見ていただくかということと、東京の持つ技術についてPRするといった観点から、この会場視察の中で対応いたしました。これにつきましても、極めてタイトなスケジュール、秒読みで刻んで会場視察をやっていただく中で、そのロジをうまく回す観点からも、株式会社電通に対して特命随契の中に盛り込んだものでございます。

○松村委員 オリンピックに精通しているとか、そういう答弁ですけれども、幾らでもやはりそういう技術だって、電通からまたそこに、どっちみち契約するとか--しかし、それが幾らで出されてどこなのかということが全く、議会のこういう税金を使いながら、これまでもそうですけれども、不透明ではありませんか。だから、こういう内訳を出しながらも、しかも入念に五億もかけて準備をやってきながら、いざ実際その段階になってきたら、もうわずか何日間かですか、予算が議決されて、執行の四月一日に入ったら突然一億三千万円も、まさに電通がこういう形での契約だといってきたら、それを招致本部というか、東京都はのまざるを得ないような事態になっているのが、この特命随意契約なるものの実態になっているんじゃないでしょうか。公正性や、本当に透明性、または都民に対するやはり公正の点からも、非常に問題があるというふうに思います。
 では、この間、電通との契約金額、委託契約額に占める割合についてお答えください。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 平成二十年度末でございます。まだ二十年度につきましては最終決算が確定してございませんので、概数になりますが、三月末までにおける総委託契約額は三十二億二千百万円、うち電通が二十八億一千四百万で、八七・四%でございます。

○松村委員 三月の予算議会のときに我々いただいた資料では、電通に、招致本部がかかわった委託契約額は二十六億三百四十五万ですから、それから二億ぐらい、締めてみたら契約が上がって、この割合も八六・五%から八七・四%にということで、明らかに電通の比率が上がっている。
 それで、今度のこの四月の初めの四億四千万余の契約を含めれば、恐らく、私はもう電通が九〇%以上は限りなく超えていくというふうにいわざるを得ないというふうに思います。驚くべき、本当に電通オリンピックのような形になっているんじゃないかと。
 ところで、NPO法人の招致委員会に民間からの出向社員は、この四月一日現在で何人いらっしゃいますか。そのうち電通からの派遣社員は何人で、また、その役職はどういう役職についているのでしょうか。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 一点ほど、先ほど私が申し上げました数字は、平成十八年から二十年の末ということですので、よろしくお願いします。
 それから、ただいまの招致委員会への職員でございますけれども、同委員会が採用した固有職員は、民間は二十一名でございまして、うち民間企業派遣が十五名、うち電通が五名でございます。電通五名のうち、部長クラスの事務次長、一、それからエグゼクティブディレクター、一、チーフディレクター、二等でございます。

○松村委員 招致委員会の民間企業からの出向十五名の五名が電通というと、三分の一ですよね。しかも、次長とか主要なポストについていると。やはりこうしたことからも、きょうは招致本部だけでも、これだけ電通に偏った委託契約が行われていると。しかもそれが公正なあれでなくて随意契約、当初の一たん--例えば招致準備の基礎調査費、これ電通がとったのは九百八十七万円ですよね。最初そういう契約から始まって、基礎調査だから、電通がやったから、もう電通に任せる以外ないということで、どんどん契約金が膨れ上がってこういう形になっているということは、私は都民の目から見てもまずいと思うんですよ。このことは指摘しておきたいというふうに思います。
 次に、IOC評価委員会の視察に子どもたちが動員されたのではないかとの疑問や批判の声があります。招致本部は事前にこういう事実についてどうつかんでいたのか、また、何人参加したのか、これは学校行事なのか、伺います。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致戦略担当部長 IOCの評価委員会の日程の中で、四月十七日が競技会場の視察の日でございました。この日は、江東区が夢の島公園で、江東こどもスポーツデー、夢の島オリンピック体験教室というものが江東区主催で開催されました。小学生たちは、このイベントに参加するために夢の島公園に集まったものでございます。
 これの参加者は、江東区の方にお聞きしましたところ、大体五千名程度、五千名以上という小学生の方々が参加されたというふうに聞いてございます。
 ただ、私どもとしましては、これは都としましては、この事業につきましては事前には聞いてございましたけれども、これは江東区があくまで主催したものでございまして、IOCの視察のための関係は全くございません。しかしながら、公園を元気に駆け回り、スポーツに親しむ大勢の小学生の姿が東京の魅力を端的に伝えるものであることは確かでございますので、結果として都の判断でIOC委員にもこのイベントをごらんいただき、小学生と触れ合っていただいた次第でございます。
 繰り返しになりますけれども、そういうことでございますので、小学生を動員したという事実はございません。

○松村委員 実際に六千五百名近くの方々がバス八十五台で行ったと。それはもう学校、教育委員会も、その一週間前に聞いてもわからないと、知らないと。ただその日はスポーツデーで、とにかく夢の島公園や、幼稚園の方は辰巳の森公園に行ってくれということで、急遽いろいろな行事を変更して、例えば全校遠足、これを取りやめてそちらの方に振りかえたとか、さまざまな学校現場で混乱がありながら、責任ある説明が一切なかったと。三日前になって初めて、それは区でも教育委員会ではなくて、総務の方がイベント会社に二千万円、バスのチャーター代などを払ってこの取り組みが行われていたと。
 今、例えば夏休みを短縮してでもやらなければいけないというときに、本当に丸々一日、貴重な時間をつぶすようになったとか、本来学校行事としては、全校遠足とか、いろんなことはやっぱり計画的に、事前の下見もし、計画書もつくって、父母とも十分な対応のもとにやっていたのが、やはりそうやられていないということなんです。
 経費の点について、今、話がありませんでした。このバスのチャーター代だけでも二千万円というふうに聞いておりますけれども、この経費、幾らかかったんですか。だれがというか、どこが負担したのでしょうか。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 江東こどもスポーツデー、これは都と区市町村によるオリンピックムーブメント共同推進事業ということで実施をしております。
 経費といたしましては、これは三つの事業がございまして、保護者と幼稚園児を対象とした事業、それから小学生、それから中学生を対象とした三つの事業、合わせまして二千三百万ほどでございます。

○松村委員 区市町村と都の共同推進事業といえば、これは招致本部が、まさに都民の税金。しかし、これは一千万円を上限とすると。区市町村がいろいろな企画を立てたら、それについて決めていくということなんですけれども、なぜ江東区、この事業だけが一千万円をはるかに超える二千三百万円なんでしょうか。
 それからもう一つ、この経費の委託経費の内容を見ると、ゲストオリンピアンとかアスリート、それぞれの三会場に数名ずつ出しておりますけれども、ここには謝礼金が払われております。この全体金額が出ているんですけれども、ゲストオリンピアンやアスリートなどにどういう金額の謝礼金を払われたのでしょうか。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 オリンピックムーブメント共同推進事業でございますけれども、原則として一自治体一千万という上限を設けておりますけれども、当然、実施する事業の内容によりまして必要経費が異なるため、すべてが一千万を必要とするわけではございません。また、その一方で、大変いい事業、地域の住民に喜ばれる事業ということで、追加で実施をしたいという自治体もございます。そうしたことから、オリンピックムーブメントを推進するために効果的な事業であると認められた場合に、議会でお認めいただいた予算の範囲内で効果的な事業実施を行うため、一千万を超えた事業についても認めているものでございます。
 それから謝礼でございます。諸謝金、ゲストオリンピアン、アスリート、そういった者の出演料ということでございます。それぞれ三つの事業ごとに出演していただいたオリンピアン、アスリートにお支払いをするという、これはまだ事業計画の段階の金額でございます。

○松村委員 質問に答えられていないんです、最後は。でも、これを見ますと、例えば辰巳の森のところの親子の体操には、ゲストオリンピアン一名プラスサポーター二名で、百二十五万七千円ですよね。ちょっと私は、そういう謝礼の中身について、やっぱり非常に問題があるということも指摘しておきます。
 やはり最後に、私は幾つか、メディアというか新聞にも、本当に批判的な投書などを目にしました。例えば、これは小学校の全校遠足で、本来は全校を挙げていろいろ縦割りの班をつくって、学年を超えた子どもたちのつながりを築く絶好の機会にしていたのが、ことしは国際オリンピック委員会の評価委員会の視察に合わせて行かされたと。五輪招致のために子どもを利用されるようで残念でならないとか、そういう本当に手厳しい批判が載っておりましたよ。
 本当に今、都民の暮らし、その中には、やっぱり私、地元でもいろいろ聞いてみましたけれども、黒板が書けないというか、本当にそういうのが放置されていると。この二千万円もかけるんだったら、そういうことに金をかけてほしいという、そういう意見が多数ですよ。私は、都民の暮らしが本当に大変なときに、こんな税金の使い方は許されないというふうに思います。東京都がオリンピック立候補を辞退し、招致活動を中止すべきことを強く求めて、質問を終わります。

○たぞえ委員 初めに、招致をめぐる都民の動向について伺います。
 オリンピック招致委員会が四月に招致に関する意識調査を行いましたが、まず調査による都民の動向を伺います。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 本年四月二十一日から二十三日にかけまして、オリンピック招致委員会の方でオリンピック・パラリンピック二〇一六年の東京招致に関する意識調査を実施しました。その結果でございますけれども、インターネット調査で支持率は全国で七二・六%、東京で六九・七%でございます。

○たぞえ委員 IOCが二月に都民の動向などを調査して、四月の東京視察の際に東京側に伝えたと聞きますけれども、どのような内容だったのでしょうか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 開催されております四月十九日のIOCの評価委員会の記者会見で、IOCのオリンピック統括部長でありますジルベール・フェリ氏から発言がありました。IOCが独自で行った世論調査について、プレゼンテーションの中で示したという発言がございました。
 しかし、プレゼンテーションの中のIOCと立候補都市のやりとりの内容については、IOCから非公開とするよう指示を受けており、IOCも、IOCの世論調査についても公開することは現在できません。
 また、IOCは、九月二日に予定されております評価委員会の報告書の公開まで、このIOCの世論調査の結果は発表しないこととしてございます。調査の実体であるIOCが結果を公表しない中で、立候補都市であります東京が公表することはできません。
 以上でございます。

○たぞえ委員 公開できないという答弁でありますが、世論調査は四都市それぞれ行われて、各国にそれが伝えられ、マドリードは八五%という調査結果を公表しています。公表はそれぞれの国の判断で行われることになっているんじゃないですか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 マドリードは、IOCの委員でございますアントニオ・サマランチ・ジュニアが発言したものでありまして、招致活動に取り組んでおります立候補都市が発言したものではございません。東京同様、シカゴ、リオも公表してございません。
 先ほど申し上げましたけれども、IOCが実施しました世論調査につきましては、実施主体であるIOCが公表するものでありまして、立候補都市が公表するものではございません。

○たぞえ委員 立候補ファイルを提出した際に、東京は六九%の結果だ、大変都民から好感を受けている、こうして胸を張って公表されたわけですが、今回は各国に任せているわけで、今いわれたように、マドリードはその関係者が語っているわけです。
 東京がその賛成率を語れない、これは賛成率が低下したという背景があるのかないのか、この事実を確認したいと思います。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 先ほども申し上げましたとおり、IOCの世論調査に関する事項につきましては、IOCが実施するものでございまして、我々立候補都市がここで公表することはできません。

○たぞえ委員 五億円近くもかけて評価委員会のメンバーに対応したけれども、しかし五月二日の読売新聞でも報道されていますように、東京の招致関係者の証言として、IOCの世論調査は五六%と報道されているんです。仮にこれが公式の見解でなくとも、招致関係者が語っているという事実を見ましても、数値は決して、立候補ファイルの時点よりもかなり低下しているということがいえると思うんです。
 NHKも五月に世論調査を行いましたけれども、東京への招致について賛否を尋ねますと、賛成と答えた人が四七%です。社団法人日本民間放送連盟も五月中旬に世論調査を実施しましたが、招致賛成が四六・八%、反対が四八・二%、三十歳代以上はすべての世代が反対が賛成を上回る、こういう結果であるという傾向を示しました。
 居住地域別に見た場合、東京は反対が過半数を超えています。ところが、JOCが調査すると賛成が異常に高いという、こういう結果が出てくるわけです。NHKや民間放送連盟の調査結果と比べてみましても、乖離は極めて大きい。こういう事実を招致本部としてはどのように考えているのか。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 四月以降、読売新聞の調査によりますと、七四%が賛成という話も聞いてございます。世論調査につきましては、設問の設定の仕方、また、前後にどのような質問があるかによって影響を受けるかと思います。したがいまして、東京都の支持率につきましては実勢を反映しているものと、このように考えてございます。

○たぞえ委員 NHKの調査といえば、かなり正確な調査をやるところですね。各種の選挙でも、出口調査で大体当選確実が出てくるぐらい、相当正確な調査をやるところですよ。
 その放送連盟の調査の中で示された反対の理由に、もっとほかのことにお金をかけるべきだと、こういう意見が一番多かった。次いで、東京で開催することに意義を感じないという声も出ているわけです。都民は招致について冷厳に見ているというふうに私は思います。
 今、雇用破壊や経済の危機が深く進行して、暮らしをめぐって深刻な事態の中で、各地の商店会は次々廃業に追い込まれて、シャッターを閉めた店が急増しています。私の地元世田谷区が行った商業調査でも、商品が売れなくて、今後五年間に廃業すると答えた方が四軒に一軒です。
 区の金利ゼロ、限度額五百万円の小口零細資金緊急特別融資、申込相談は何と八千件来られました。営業の深刻な事態がうかがえます。景気が悪くて生活も営業も大変なときに、オリンピックどころではない。もっとやるべきことは、都民の営業や暮らしを応援してほしい。これが世論の声だということが、これらの調査にもはっきり出ています。
 今度のNHKと放送連盟の二つの調査で共通しているのは、賛成が五割を切っていると。これが都民の世論です。あなた方が行っているさまざまな調査との差ですね、これは事実そういう数字が出ていますけれども、乖離しているという事実は打ち消すことはできないというふうに思います。
 次に、IOCのロゲ会長がいっておりますが、財政的な側面に特別な注意を払っていると、オリンピック委員会はいっています。
 そこで、招致本部は、一六年開催に向けてオリンピック基金を毎年一千億円積んで、累積額が四千億円になりますが、この基金の使途は、開催期間中の経費なのか、開催までに使う経費なのか、どちらなのでしょうか。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金でございますけれども、基金の設置目的につきましては、これは条例で定めてございまして、その基金の目的でございますが、オリンピック・パラリンピック開催に関連する社会資本等の整備に要する資金に充てるというふうに定められてございます。

○たぞえ委員 開催都市決定の十月の時点で開催都市にもし選考されなかった場合、この基金はどうなるのでしょうか。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 ちょっと質問の趣旨が、もし十月二日に……
〔たぞえ委員「もし決まらなかった場合に、この基金はどうするのか」と呼ぶ〕

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 すみません。
 開催、招致することを目的としてございますので、招致しなかったことは想定してございません。

○たぞえ委員 社会資本に使うというふうに先ほど述べられましたが、石原知事は、盛んに三環状、外環を含む三環状だといっています。外環をオリンピックまで整備することは否定していませんが、この社会資本に外環は加わるのでしょうか。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 恐れ入ります、質問の語尾がはっきり聞きとれなかったのでございますけれども。

○たぞえ委員 知事が盛んに三環状といわれているが、この社会資本整備の中に外環は含まれるのかということです。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金の使用目的は、先ほど条例に定めているということでございますけれども、実際にどの事業に充当するかにつきましては、それぞれの年度ごとの予算に計上して行いますので、そのときの判断になるかと思います。

○たぞえ委員 そうすると、使われないということを、否定はしないわけですね。どうですか。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 設置目的につきましては、オリンピック・パラリンピック開催に関する社会資本等の整備でございまして、具体的にどの事業に幾ら充てるかにつきましては、これは予算に計上いたします。議会のご審議をいただきます。そのときに、予算につきましては、どの事業に充てるかを予算上明確にいたしまして議会のご審議を経ると、このようになってございますので、現時点ではこういったご答弁でございます。

○たぞえ委員 もう時間ですので終わりますが、八キロ圏内でコンパクトな大会をやると、こういう設計を絵をかいているわけですが、外環道路の地点というのは、メーンスタジアムから十五キロ地点を経過される地点ですよ。圏内に入っていない道路です。
 だから、このオリンピックを招致する看板で、こういった三環状をあわせて進めていく、そのこと自身も今、否定していないようですが、このような巨大な一兆八千八百億円という道路計画に税金をつぎ込むことよりも、今、深刻な東京の経済の活力活性、ここにこそ私は税金の投入が必要であるというふうに考えています。
 以上です。

○野村委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○野村委員長 次に、委員会中間報告書について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布のとおり、委員会中間報告書(案)として取りまとめられました。
 朗読は省略いたします。

   〔委員会中間報告書(案)は本号末尾に掲載〕

○野村委員長 お諮りいたします。
 本件は、お手元配布の案のとおり、中間報告することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 次に、委員会調査に関する委員長の口頭報告について申し上げます。
 本件は、理事会において協議の結果、第二回定例会におきまして、委員長による口頭報告を行うことを申し合わせました。ご了承願います。
 なお、口頭報告の内容につきましては、理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○野村委員長 次に、本委員会に付託されております調査事件についてお諮りいたします。
 本件は今定例会中に調査を終了することができませんので、閉会中の継続調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○野村委員長 この際、理事者を代表して、東京オリンピック・パラリンピック招致本部長から発言を求められておりますので、これを許します。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 当委員会所管局を代表いたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 当委員会が設置されましてからこれまでの間、申請ファイルや立候補ファイルの作成、国内世論の盛り上げ、北京オリンピックの調査、そしてIOC評価委員の対応など、多方面の事項にわたりまして調査、ご審議いただきました。また、数々の貴重なご意見を賜り、まことにありがとうございます。
 二〇一六年オリンピック・パラリンピック開催都市決定まで、残すところ約四カ月となりました。職員一同、必ずや招致をかち取る決意で引き続き全力で招致活動に取り組んでまいります。
 今後とも、野村委員長を初め委員の先生方には、よろしくご指導、ご鞭撻のほどお願い申し上げまして、簡単ではございますが、御礼のごあいさつとさせていただきます。
 本当にありがとうございました。

○野村委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも一言あいさつ申し上げます。
 平成十八年十月に当特別委員会が設置されまして、理事、委員の皆様には熱心な調査活動にご参画いただきまして、大変ご苦労さまでございました。
 また、招致本部、知事本局におかれましては、当委員会の調査に対しまして絶大なる協力をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。
 また、同時に、皆さんのご努力で、十月二日のコペンハーゲンでの招致のすばらしい結果を、私ども期待申し上げております。
 なお、昨年は、九月、北京で開催されましたパラリンピックを当委員会が視察をいたしましたが、皆さんには熱心な視察調査をされまして、大変ご苦労さまでございました。
 どうか皆さんにおかれましては、再度この委員会にご参加され、すばらしい東京オリンピックが開催されるよう期待して、再度皆さんとお会いできることを期待申し上げて、私のごあいさつとさせていただきます。
 どうも大変ご苦労さまでございました。(拍手)
 以上をもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後三時五十二分散会

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