オリンピック・パラリンピック招致特別委員会速記録第十六号

平成二十年十二月四日(木曜日)
第十二委員会室
 午後二時二分開議
 出席委員 二十三名
委員長野村 有信君
副委員長吉野 利明君
副委員長中嶋 義雄君
副委員長大沢  昇君
理事西岡真一郎君
理事川井しげお君
理事石川 芳昭君
理事曽根はじめ君
理事三宅 茂樹君
鈴木 隆道君
たぞえ民夫君
高橋かずみ君
大西さとる君
長橋 桂一君
村上 英子君
大西由紀子君
松村 友昭君
鈴木貫太郎君
串田 克巳君
高島なおき君
山下 太郎君
田中  良君
名取 憲彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
東京オリンピック・パラリンピック招致本部本部長荒川  満君
次長松田 二郎君
技監福島 七郎君
企画部長並木 一夫君
参事重田 敏光君
招致推進部長中村 長年君
連絡調整担当部長藤森 教悦君
計画調整担当部長中嶋 正宏君
施設計画担当部長藤井 寛行君
参事山越 伸子君
参事保坂 俊明君
知事本局局長吉川 和夫君
総務部長大井 泰弘君
計画調整部長松浦 將行君

本日の会議に付した事件
 二〇一六年に開催される第三十一回オリンピック競技大会及び第十五回パラリンピック競技大会の東京招致に関する調査審議及び必要な活動を行う。
報告事項
・大会開催計画について(説明・質疑)
・IOC評価委員会について(説明・質疑)
・北京オリンピック・パラリンピックにおける招致活動について(質疑)
 閉会中の継続調査について

○野村委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック招致特別委員会を開会いたします。
 これより第三十一回オリンピック競技大会及び第十五回パラリンピック競技大会の東京招致にかかわる事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取及び閉会中の継続調査の申し出の決定を行います。
 初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 それでは、私からご報告をさせていただきます。
 お手元の資料、大会開催計画については、資料1の立候補ファイルの概要について、資料2、メディアセンターについて、資料3、オリンピック競技会場計画についてを、IOC評価委員会につきましては、資料4、IOC評価委員会訪問日程について、資料5、IOC評価委員会メンバーについて、その他で、資料6、今後の招致活動についてをお配りしてございますので、これらの資料に基づきましてご説明申し上げます。
 まず、一枚おめくりいただきまして、資料1、立候補ファイルの概要についてをごらんください。まず、東京大会の開催計画書である立候補ファイルの概要につきましてお示ししたものでございます。
 立候補ファイルは三巻から成ってございまして、十七に分かれたテーマの質問事項につきまして回答いたします。第1巻は、ビジョン、レガシー、大会のコンセプト、政治・経済状況、法制度、入国・通関制度、環境、財政、マーケティングの八つのテーマで、第2巻は、競技及び会場、パラリンピック、選手村の三つのテーマ、次の第3巻は、医療・ドーピング、セキュリティー体制、宿泊施設、輸送、技術、メディア運営の六つのテーマで構成されておりまして、それぞれのテーマごとの主な内容につきまして記載してございます。
 現在、IOC、国際オリンピック委員会への提出期限でございます二月十二日に向けまして最終的な調整を行っているところでございまして、その具体的な内容につきましては、提出以降、明らかにしてまいります。
 次でございます。資料2、メディアセンターについてをごらんいただきたいと思います。
 メディアセンターは、オリンピック・パラリンピック大会におきまして、取材、報道の拠点となります重要な施設でございます。北京での実地調査などを踏まえまして、よりすぐれた取材や報道の環境が確保でき、IOCからより高い評価が得られる計画といたします観点から、会場計画を築地市場跡地から東京ビッグサイトに変更することといたします。資料の図面の左上の紫色の印が築地市場でございまして、中央、黄色い部分が東京ビッグサイトでございます。
 東京ビッグサイトは、選手村やスタジアム、水泳会場、体操会場などの主要競技会場に近く、羽田、成田の両空港にもアクセスがすぐれていること、また、首都高速湾岸線、環状二号線、晴海通りなどの主要幹線道路にアクセスしやすいなど、メディアセンターとしての立地の優位性がございます。
 また、北京のメディアセンターの事例やロンドンの計画におきましても、自由なレイアウトがしやすいよう低層の大空間を利用しておりまして、各階に直接車が乗り入れ、機材の搬入ができる構造になっております。東京ビッグサイトはまさにそうした構造の建物でございまして、既存の施設を最大限に活用できます。
 また、メディアセンターとして床面積が不足いたします部分は、施設を増築して対応いたします。増築いたします部分でございますが、大会後、東京ビッグサイトの展示ホールとなりまして、オリンピック・パラリンピックのレガシーとして活用いたします。
 次に、資料3をごらんいただきたいと思います。オリンピック競技会場計画についてをごらんください。
 本年六月の立候補都市選定以降、招致委員会と連携いたしまして、各国際競技団体、いわゆるIFと個別に協議を行っておりますが、より高い評価を得られる内容といたすために、競技会場の一部を変更することといたしました。
 まず第一に、屋内競技でございますが、柔軟かつ効率的な大会運営などの観点から、体操につきましては、新体操を含みますすべての種目を夢の島ユース・プラザに、バスケットボールにつきましては、全日程を同じく夢の島ユース・プラザに、ハンドボールにつきましては、全日程を国立代々木競技場に、レスリングにつきましては、東京ビッグサイトにそれぞれ変更することといたしました。
 第二に、自転車競技のロードレースでございますが、競技性を高めるために必要な高低差を確保いたしますとともに、都心の名所、多摩の自然などの東京の魅力ある景観を世界に発信いたしますオリンピックにふさわしいすぐれたコースとするために、皇居外苑をスタート、フィニッシュ地点といたしまして、多摩丘陵部を周回いたしますコースを導入することといたしました。
 次に、資料4、IOC評価委員会訪問日程についてをごらんいただきたいと存じます。
 先日、IOCから各立候補都市に対しまして、評価委員の訪問日程が通知されたところでございます。評価委員会とは、IOC委員や輸送、環境など各分野の専門家が立候補都市を訪問いたしまして、各都市の計画の詳細や実現可能性を検証するものでございます。訪問結果は、評価委員会報告書といたしまして、平成二十一年九月一日までにIOC委員に提出され、開催都市決定の参考とされます。
 資料5といたしまして、IOC評価委員会メンバーも添付してございますので、後ほどごらんいただきたいと存じます。
 東京への訪問日程でございますが、四月十四日から二十日までとなっておりまして、このうち十六日から十九日が公式訪問でございます。この間、IOC側から示されましたスケジュールに従いまして、立候補ファイルのテーマごとに、プレゼンテーションや質疑、競技会場予定地の現地視察を実施いたします。
 右ページには、二〇〇五年に行われましたロンドンの事例を挙げてございます。公式訪問日程四日間のうち、一日目、三日目、四日目がプレゼンテーション、二日目が会場視察でございます。
 また、国を挙げて招致を推進している姿勢を示すことも重要でございまして、ロンドンの場合は、関係閣僚やIOC委員、オリンピアン、パラリンピアンなどの方々がプレゼンターとなってございます。東京におきましても、他都市の事例も参考にしながら積極的な対応を行ってまいります。
 最後になります。資料6、今後の招致活動についてをごらんいただきたいと存じます。今後のIOCスケジュール及び招致活動につきましてお示ししてございます。
 上段のIOCスケジュールの青い枠で囲っている部分の内容でございますけれども、IOCの総会の日程でございます。アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニア、アフリカの五大陸のIOCの総会におきまして、二〇一六年大会の立候補都市がIOC委員に対しましてプレゼンテーションができる機会が与えられております。既に三つの大陸で開催されましたが、残りの二大陸の総会におきましても、IOC委員に東京開催の魅力を十分にアピールしてまいります。
 また、十一月二十四日から二十七日にIOCデブリーフィング、北京オリンピックからロンドンオリンピックへの引き継ぎ会議が開催され、当本部から職員も派遣いたしました。大会に関した有意義な情報を得てまいりました。
 下段の主な招致活動でございますが、今後のイベント等のスケジュールについて、主なものを記載してございます。
 今月十二日には、代々木体育館におきましてサポーター大集合を開催いたします。また、東京マラソン、大マラソン祭りを初めといたしまして、評価委員会の東京への訪問時期を中心に国内の招致機運を盛り上げていきたいと考えてございます。引き続き、都議会の皆さん方のご協力をお願いいたします。
 以上でございます。
 簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野村委員長 報告は終わりました。
 なお、本件に対する質疑は、次の報告事項の質疑とあわせて行います。ご了承願います。
 次に、報告事項に対する質疑を行います。
 なお、報告事項、北京オリンピック・パラリンピックにおける招致活動については既に説明を聴取しておりますので、先ほど聴取した報告事項、大会開催計画について及びIOC評価委員会についてとあわせて本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○大沢委員 それでは私から、報告事項の大会開催計画について、また何点か質問をさせていただきます。
 ただいまの並木企画部長のご説明によりますと、資料1で立候補ファイルの概要というものが示されたわけでございますが、私が伺おうとするのは、まずはその中で、メディアセンターのいわゆる配置の計画を見直したというところでございますから、第1巻でいうと大会のコンセプトですとか、そういうところに当たるのかなと思いますが、先ほどの並木部長の説明によりますと、今回、築地の跡地から東京ビッグサイトにメディアセンターを移すことになったということでございます。
 そもそも私どもは、築地市場の跡地にメディアセンターをつくるのは築地市場移転が前提となってのことですから、多少不安も覚えておりましたし、また、さまざまな提案をさせていただいたわけでございますが、いよいよ築地市場の移転というものが豊洲の土壌汚染の関係でオリンピック計画と一致しないということで、メディアセンターが東京ビッグサイトに移転を余儀なくされたということなのであろうかなと思っております。
 そこで、先ほどの並木部長の説明でありますが、このメディアセンターをビッグサイトに移すということは、既存の施設を最大限に活用できるという説明もありましたし、また、北京、ロンドンのメディアセンターでも、低層で天井の高い、柱のない空間が最大限に利用できるという説明もあったわけでございますが、そもそもビッグサイトは十年前からあって、大会計画をつくるときに、なぜ当初からビッグサイトということをメディアセンターの計画にしなかったのか、単純な疑問を思うわけでございますが、この点についてお伺いをいたします。

○藤井東京オリンピック・パラリンピック招致本部施設計画担当部長 平成十八年に提出いたしました開催概要計画書の時点では、メディアセンターの位置を世界的な知名度の高い銀座から至近の築地市場跡地としてございました。この跡地に、IOCテクニカルマニュアルの規定を満たす施設として、地下二階から地上五階までを活用したメディアセンターを計画し、申請ファイルについてもこれをもとに提出したものでございます。
 しかし、北京オリンピックに際し現地調査を行ったところ、メディアセンターのうち、国際放送センターは地下一階地上一階の低層大空間で構成され、さらに各階への車両の乗り入れが可能な構造となっていることが判明いたしました。また、報道関係者の意見も十分に反映させることがメディアセンターの設計には重要であることから、北京オリンピックで実際に活動された報道関係者とのヒアリングを重ね、そのような広空間構成が望ましいという意見も聞いてございます。
 こうした観点から見直しを行ったところ、東京ビッグサイトの展示ホールは低層で天井が高く柱の少ない空間であることや、各階に車が直接乗り入れて機材搬入することが可能なことなど、メディアセンターとして既に望ましい構造形態を有しております。さらに、選手村やオリンピックスタジアム、水泳会場、体操会場など主要競技会場にも近く、また銀座にも比較的近いなど立地上の優位性があることなどからメディアセンターとして最適であり、さまざまな観点からIOCの高い評価にもつながります。
 こうしたことからメディアセンターとして東京ビッグサイトと変更いたしました。

○大沢委員 今のご説明を聞きますと、ちょうど視察に行って、メディアセンターに最適のところがあるし、築地の跡地にメディアセンターもできないので東京ビッグサイトに移したんだというようなことに聞こえますが、そもそも大会計画をつくるときから、築地を移転しなければならないというリスクもあったわけでございますから、私は、東京ビッグサイトを当初からメディアセンターとしての候補にのせてよくよく議論をしておけば、このようなことがなかったのかなと強く感じているところでございます。
 また、北京、ロンドンの事例を示しましたが、北京の前のオリンピックでも、多分メディアセンターというのは低層で空間の広いところ、そしてまた、機材を直接車で搬入ができるというようなところはメディアの皆様方の常識だったのではないかなと思っておりますので、意見としてつけ加えさせていただきます。
 次に、それではいよいよこの東京ビッグサイトでメディアセンターの建設をするのだという変更がありましたが、ビッグサイトでメディアセンターを建設する場合、整備主体は、だれがするのか、そしてまた、その費用はどうなるのかをお示しください。

○藤井東京オリンピック・パラリンピック招致本部施設計画担当部長 既存の展示会場内で、大会期間中のみ使用する仮設の構造物が必要となるものについては、仮設施設として、招致決定後に設立される東京オリンピック組織委員会が整備主体となります。メディアセンターとして床面を増設する必要がある場合、その増設部分につきましては都立で恒久施設として整備いたしまして、オリンピック後は東京ビッグサイトの展示会場として活用する予定でございます。
 現在、立候補ファイル策定に向けて施設整備費全体の精査を進めてございまして、メディアセンターの費用負担につきましてもその中で検討しているところでございます。

○大沢委員 東京ビッグサイトは結構稼働率が高くて繁盛していて、なかなか申し込んでもとれないというような状況で、これはこれで喜ばしいことであろうと思います。
 今の整備主体の中で、仮設である場合は組織委員会ということになりますと、仮設でありますと、今あるビッグサイトの中で間仕切りをして、メディアセンターと使うその間仕切りだとかというのは組織委員会が整備主体となると。それで足りなかったらまたほかに新しい公設のビッグサイトを増設するというか、そういうようなことで、それは都立で整備をして、その費用だとかというのは今後、この立候補ファイルの中で明らかにするという認識を持っておりますが、それでは、床面積が足りない部分を恒久施設として整備して、オリンピック後も展示会場として活用するという答弁の中で、それは、恒久施設としてはどのくらいの規模を予定しているのか、お伺いをいたします。

○藤井東京オリンピック・パラリンピック招致本部施設計画担当部長 東京ビッグサイトにおけるメディアセンターの施設計画については、現在、レスリング、フェンシング、テコンドーの三種目の競技会場や国際放送センター、メーンプレスセンターの配置及びこれに伴う観客、選手、メディア関係者の動線計画なども含めまして、既存の展示会場を最大限有効に活用し、最適な配置計画となるよう検討を進めてございます。
 既存展示会場内で床面が不足する場合は、現在のビッグサイト西展示棟に隣接し、屋外展示場及び西駐車場として利用されております約二・二ヘクタールの用地に、大会終了後の展示ホールとしての活用を視野に入れまして施設を増築することを検討してございます。また、駐車場に施設を増築するに際しては、大会中及び大会後の駐車需要を十分勘案いたしまして、駐車場の配置計画も適切に定めてまいります。

○大沢委員 今の西展示場の横の二・二ヘクタールのところに恒久施設をということでありますから、最大二・二ヘクタール、またそれよりも小さくなるという認識でよろしいですか。

○藤井東京オリンピック・パラリンピック招致本部施設計画担当部長 現在の西駐車場、これを活用することを検討してございます。

○大沢委員 大体メディアセンターについてはわかりました。皆さんが納得をするような形で、また理解をできるような形で立候補ファイルの中で費用とかを明確にお示しいただきたいと思います。
 次に、オリンピック競技会場の計画、また、その中で自転車競技、ロードレースの変更があったと思います。先般、私どももこの競技会場の変更を聞いたときに、今、さまざまなところで、これは皆様方、とらえ方が違うかもしれませんけれども、オリンピック招致機運というものの盛り上げ方、そしてまた支持の仕方、さまざまな立場によって違うと思いますが、一般になかなか招致機運が盛り上がっていないといういわれ方もあるわけでございます。私個人として、コンパクトなゆえに東京全体でオリンピックというものの招致が盛り上がらないのではないかな、そこにも一つ、私は問題があるのではないかなと思っております。
 おかげさまで、私の地元江東区は、近隣にオリンピック競技、そしてまたさまざまな施設もできるわけでございますから、その中でもそこそこは盛り上がっているようには思うわけでございますが、多摩の方々にとっては、なかなか二〇一六年のオリンピックというものが遠い存在になっているように私は思えてならないわけでございます。
 先般、このロードレースの会場のコースの変更を受けたときに、皆様方のお手元にもあるように、資料3のこの簡単な図でも、どこの橋を通って多摩に来るんだというようなことで、多摩の選出の議員たちは大変強い興味を持っていたような気がいたします。
 いろいろなところで、コンパクトというメーンテーマはあるんですが、その中でも東京全体でということになりますと、このように多摩の方にロードレースの会場が伸びるということにおいても多摩の方は大変関心を持ち、どこの橋を通ってどのコースを通るのかなと、この簡単な図だけでも大きく想像を膨らませているわけでございますが、それでは、このオリンピックについて、このような計画、多摩を入れたことによって多摩その他でも強い関心を持っているわけでございますので、今後、招致機運を盛り上げるためにもさらに会場の変更があるのかないのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部計画調整担当部長 本年一月に申請ファイルで公表いたしました会場計画につきましては、IOCからより高い評価を得るため、現在、国際競技団体と協議をし、専ら選手の視点に立ちましてオリンピック協議にふさわしい会場かどうかを精査しております。
 今回の自転車競技のロードレースコースにつきましても、国際競技団体から、高低差、これを十分に設けて選手にとって競技性の高いコースとするよう要望を受けたものでございまして、東京都では、これが同時に多摩地域の方々に直接オリンピックを体感していただける絶好の機会であるということも考えまして、今回、多摩地域に至るコースを設定したところでございます。今回の自転車競技の計画が、先生ご指摘のとおり、招致機運の盛り上げにつながれば幸いでございますし、また、私ども、そうした盛り上げにつながる努力をしてまいります。
 なお、八キロ圏内にほとんどの会場を抑えました、選手の視点に立った現在のコンパクトな会場計画は、海外からも非常に高い評価を受けてございまして、これはまた東京の最大のアピールポイントでもございます。今後、立候補ファイルに向けた競技会場計画につきましては、引き続きこうしたコンセプトを踏まえながら国際競技団体とも協議を重ね、招致に勝つという視点から精査を行ってまいります。
 お話の多摩での招致機運の盛り上げにつきましては、今回の自転車ロードレースのほか、オリンピック前に行われます世界各国からの事前キャンプの誘致、こういったものについても取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

○大沢委員 わかりました。選手の視点で計画、配置をしているということでございますので、選手の視点でよりよい会場が見つかったら、臨機応変に、柔軟に対応をしていただきたい、そのように思っております。
 次に、この資料4でございます。オリンピックを国家的な行事としてとらえるのであれば、先ほど並木部長からもありましたように、さまざまな形で国家的行事としての機運の盛り上げをしていかなければいけないと思っているわけでございます。そしてまた、国家的行事というのであれば、やはり国の支援が不可欠であると私は考えております。国の支援が必要となるのであれば、国会の招致決議が必要と考えておりますが、今現在、どのような状況になっているのか、お伺いをいたします。

○藤森東京オリンピック・パラリンピック招致本部連絡調整担当部長 オリンピック・パラリンピック競技大会の招致は熾烈な競争でございまして、国の支援が不可欠でございます。今月一日に開催をされました国と東京都の実務者協議会におきまして、IOCから高い評価を得られるよう、関係省庁と連携して最大限の協力を行う旨の発言をいただいたところでございます。
 ご指摘のとおり、国を挙げて東京招致を全面的に支援している姿勢を示すためには、国会による招致決議は極めて大切であると考えます。去る六月五日、超党派の国会議員によります二〇一六オリンピック日本招致推進議員連盟の発起人会に知事みずから出席をいたしまして、国会招致決議や政府による財政保証の発行などに向けた国の支援を強く訴えたところでございます。
 国会による招致決議は、IOCから高い評価を得るためにも必要と考えております。都議会の皆様からの協力あるいは働きかけをぜひお願いいたします。

○大沢委員 国、省庁は最大限の協力をするということでございますが、国会になりますとさまざまな政党があるわけでございますし、また、衆議院、参議院とそれぞれ招致決議を挙げていかなければならない、そのように思っております。
 そしてまた、六月五日に超党派の議員連盟があって、そこに知事が説明に上がったという答弁でございましたが、それ以降は知事の積極的な姿勢が余り見られないのではないかな、そのように思っておりますし、また、衆議院と参議院では今、皆様方もご承知のように状況が違っているわけでございますから、これは、私どもも協力するところは協力をいたしますが、やはりそれなりに都、知事の姿勢も問われてくるのであろう、私はそのように思いますので、意見として申しつけさせていただきます。
 最後になりますが、資料4の中で、成功したロンドンの事例でございます。評価委員会の訪問に当たって、ロンドンは、エリザベス女王主催の晩さん会や、さまざまな、国家元首を総動員して評価委員会に対してのプレゼンテーションをしたというような例がありますが、それでは、東京都はどのような対応で来年の四月十四日からのIOCの評価委員会の訪問を準備しているのか、お聞かせいただければと思います。

○山越東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 IOCの評価委員会の訪問に当たりましては、IOCから指名されるガイドラインに従いまして、プレゼンテーションあるいはサイトビジットといったスケジュールを設定して対応してまいることになります。特に立候補都市側が希望する場合には、評価委員会の訪問三日目の一回に限り、公式の夕食会またはレセプションを実施することを認められております。
 東京における具体的な対応につきましては、ロンドンやパリなどの過去の事例を参考に現在検討を行っているところでございます。いずれにしろ、他の立候補都市に負けないよう積極的な対応を行ってまいりたいと思ってございます。

○大沢委員 他の都市に負けないような形でプレゼンテーションを行い、そしてまた、一回の晩さん会をというようなことでありますが、我が党は、平成十九年に、田中幹事長が代表質問という形で、皇室の招致に対しての利用というものを慎むべきだということを申し上げさせていただきましたし、そしてまた、さまざまな知事の発言をとりまして、平成二十年七月に知事への申し入れというのもさせていただきました。そして、何度かやっているんですが、その中でもまた知事が懲りずに、さまざまな発言の中で--平成二十年九月に土屋議員が一般質問という形の中で、皇室の政治利用というものは慎むべきだということを申し上げさせていただきました。
 私も、一貫してそのような思いでございますし、また、さまざまな申し入れでもありましたように、品位を保った招致活動をしてほしいということを申し上げさせていただいて、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○長橋委員 私からも、きょうご説明をいただきましたオリンピック招致に向けての取り組みについてお伺いをいたします。
 ご説明にもありましたとおり、立候補ファイル、明年の二月の提出に向けて大変な佳境に来ているだろうと思っているわけでありますし、大詰めに来ているというふうに思っているわけであります。
 その中で、私も前回の本委員会でも取り上げましたけれども、やはり世論調査、オリンピック環境を盛り上げていくためにはいろんな取り組みが必要だ、その結果として世論調査がついてくる。前回の申請ファイルのときには、東京が行った世論調査では、東京は六〇%、IOCは五九%という世論調査で、立候補都市の中では一番低いわけであります。この数字がどうなのか、そのときには、それぞれ世論調査のやり方、方法があるし、いろんな見方がある、そんなご説明もいただいたわけでありますが、立候補ファイルにもこの世論調査の結果をお示ししなければならない、こういうことでございます。
 そういう中で、さまざまなスケジュールの中で、主な招致活動というのに取り組んでまいりました。私が前回質問した中で、オリンピックムーブメントの推進事業、これについて質問させていただきました。そのときはまだ、その事業が委託事業でございますので、手を挙げていただいたところもそんなになくて、六億二千万という予算が明らかになったわけでありますけれども、この予算が余るようだと、これは東京と区市町村の温度差がある、ぜひこれを起爆剤にしてもらいたい。東京も、大分オリンピック招致の皆さんもご努力をして、戸惑いもあったかと思います。受ける方の区市町村ももちろん戸惑いがあったんだろうと思いますが、最近のご報告では、その事業が百三事業選定されたということでありまして、各区市が取り組んできた結果、市によっては二回やったところもありますし、また、今お話あったとおり、多摩の方もこの事業については取り組んだ。また、島しょ部においてもこの事業が展開された、小笠原村でもこの事業があったということであります。
 そういう中で、その第一号が足立区の日暮里・舎人ライナーの開業記念イベントであったわけでありますけれども、このオリンピックムーブメント事業、現在も進行中であろうかと思いますけれども、まずその成果、どんな成果だったのか伺います。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 区市町村からご提案いただきました事業計画書のうち、今、委員おっしゃられたとおり、現時点で百三の事業が事業選定委員会で選定済みでございます。さらに現在、約三十事業が区市町村と都の間で事業選定に向けて調整を行っているところでございます。大変多くのご提案をいただいております。
 十一月末までに六十八事業が実施されておりまして、オリンピズムの普及啓発を図る事業を通じまして、スポーツ競技を通じた友情や連帯の醸成、文化の向上、子どもたちの健全育成、平和の実現、環境への配慮など地域社会にさまざまな価値をもたらしております。

○長橋委員 百三事業掲載がある、なおかつ今後も三十事業が選定済みで、開催をされるということでありますから、東京の大きな起爆剤に私はなったのではなかろうかなと思うわけであります。
 そういう中で、私の地元でももちろんこの事業がありました。地元のイベントとあわせてやりまして、大変な反応もあったように思います。さらに広げていくことが必要であろうかと思いますし、この事業は今年度六億二千万、明年が本番でありますから、引き続き継続をすべきだと思いますけれども、継続するに当たって、ことしやったけれども来年もやりたい、こういう声もあったのかどうか。また、やったことによってどういう声があったのか、そんなことを含めて、各区市町村の反応と、来年に向けてこの事業はどうなるのか、あわせてお伺いをいたします。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 この事業は本年度開始をしたものでございますが、おっしゃるとおり開始直後は、区市町村での補正予算の手続でございますとか、実行委員会の立ち上げ、実施方法など、初めて行う事業に、私どももそうでございますが、戸惑う区市町村が多くございました。
 しかしながら、都と区市町村が連携して事業の調整実施に取り組んでいくうちに、次第に事業への理解が得られるようになり、実際に事業を実施した区市町村からは、子どもたちを初め参加した人々の心に残る事業となった、地域のイベントの中で実施することによりイベントがより充実したものになった、あるいはスポーツ、文化の振興、環境を大切にする意識の醸成など地域社会に大きな効果があったなどの感想をいただいております。
 特にうれしい感想としましては、この事業をきっかけに、参加したスタッフそれから事業の参加者の交流が活性化し、住民相互の理解が生まれ、オリンピックムーブメントの推進につなげることができた、これらのイベントを経験した子どもたちが地域への愛着を増進させ、地域や東京への貢献の心を持った社会人として次代を担うことにより、よりよい地域社会の実現につなげていくことができると確信しているというような感想をいただいております。また、事業を実施してよかったということに加えまして、来年度もぜひ実施したいというご要望も多く寄せられるようになっております。
 また、都と区市町村が協力して取り組むことで、都と区市町村の一層強い連携も生まれております。この事業の実施を通しまして、オリンピズムの普及が促進され、ひいてはオリンピック・パラリンピック東京招致への賛同の輪が広がっていると確信をしております。
 来年度におきましても、開催都市が決定されます十月二日を目指しまして、区市町村と連携して重点的、効果的な事業が展開できるよう、今年度と同様の規模で予算要求を行っているところでございます。どうか今後ともご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

○長橋委員 今お話があったとおり、この事業を実施して大変よかった、こういう反応が--私も、地元で公立小学校にオリンピアンが来まして、子どもたちにとってみれば、テレビでしか見たことがないオリンピアンと直接交流をして、大変に喜んでいる姿、そしてまた、オリンピアンが、二〇一六年東京オリンピックは皆さん方がぜひ頑張ってもらいたい、夢をあきらめないで、こういうふうな格好いいことをいっておられまして、これだけ取り組んできたわけでありますから、この世論調査、前回の六〇%、IOCは五九%、これはぜひともクリアしてさらに上積みをしていただきたい。東京の最大の課題は、一つはこれだというわけであります。
 そして、その盛り上げ、明年三月二十二日ですか、東京マラソンが行われます。ことしも二月十七日に三万二千人ですか、参加をして、オリンピックニュースを見ますと、沿道では二百二十六万人の方がこのマラソンを観客として見たということで、オリンピック招致に向けての大きなポイント、イベントであろうかと思うわけであります。
 ことしが二月十七日で、来年が三月二十二日にやる、IOCの世論調査がいつなのかわからない、こう思うわけでありますけれども、四月にIOCの評価委員がいらっしゃるということでありますから、三月ももしかしたらIOCの世論調査があるかもしれない、そういうことを考えると、その時期にぶつけたのかな、こういうふうにも思うわけでありますけれども、この東京マラソン、そしてまた大マラソン祭り、ことし以上に機運が盛り上がるように、また世論調査も意識してやるべきだと思うのでありますが、取り組みについて伺います。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 来年三月二十二日に開催されます、第三回目となります東京マラソンは、フルマラソンで三万人、十キロマラソンでは五千人の全国から集まったランナーが東京の都心を疾走する大規模な大会でございます。多くのメディアの注目も集まる大会でございます。さらに、一万人を超えるボランティアが大会を支える、また大勢の観客も一緒になって、まさに東京が一つになる大イベントでございます。スポーツに対する都民の情熱を内外に発信する絶好の機会であるというふうに考えております。
 この機会をとらえ、招致機運をさらに高めていくため、マラソンに先立って行われます東京マラソンEXPOやコース沿道で展開される大マラソン祭り、こうした場などで、招致PRブースの出展やオリンピアン等の参加によるイベントなど、前回の大会を上回る招致PR活動を実施していきたいというふうに考えております。
 今後、東京マラソンを運営します東京マラソン組織委員会や都の所管局とも緊密に連携しながら、機運盛り上げのための効果的な企画を詰めてまいります。

○長橋委員 大きなイベントであります。招致機運の盛り上げのために、ぜひ大成功をさせていただきたいと思いますし、私自身も協力をしてまいりたいと思っております。(発言する者あり)走れれば走りたいと思っておりますけれども、無理だと思います。この中にも走った先生はいらっしゃると思いますけれども。
 次に、ことし九月、この委員会を代表して、野村委員長を団長として北京パラリンピックを現地調査、視察をしてまいりました。もちろん東京都からも、八月のオリンピックを通して、相当数の職員が北京オリンピックの調査に行かれたと思います。現地でも荒川本部長にお会いしましたけれども、精力的にさまざまなところを見て回っているお話もお伺いをいたしました。
 そういう中で、私もIOCの関係者にお会いをいたしましたし、北京のIOCの関係者にお伺いをすると、情熱的な熱意というものをひたひたと感じて、何としても北京でオリンピックを開催するんだと、この熱意がひしひしと伝わってきたわけでありますし、また、具体的な取り組みであるとか、それから政治的な戦略も含めて種々意見交換をしてきたところであります。
 私たちは二泊三日でありましたけれども、皆さん方は長期間にわたって行かれた中で、この北京オリンピック、皆さん方としてどんな成果があったのか、そしてまた、逆に課題もあっただろうと思います。その辺についてお伺いいたします。

○保坂東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 北京大会におきましては、当本部からも各部門ごとに担当職員を派遣いたしまして、さまざまな成果を上げてまいりました。
 具体的には、まず施設関係につきましては、主要施設の一つであるメディアセンターの構造などにつきまして、つぶさに現地調査を行った成果を東京のメディアセンターの施設計画の変更に生かしたところでございます。
 広報関係につきましては、JOCのジャパンハウス内に設置した東京招致のブースにおきまして、コンパクトな会場計画や東京の環境施策など、その魅力を余すことなくPRしたほか、関係者に対し、東京招致に向けたロビー活動を展開いたしました。
 さらに、パラリンピックにおきましても、競技の特性に応じた会場配置や大会運営など、東京の計画の策定に資する知識や情報を多数持ち帰ってまいりました。セキュリティーや観客へのアクセスなど、大会の運営面におきましては幾つかの課題も散見されましたが、いずれにせよ、今回得られた成果と課題につきましては、障害者や高齢者に配慮したスムーズな観客誘導や負荷を最小限にとどめたセキュリティーなど、東京の計画に最大限に生かしてまいりたいと思っております。

○長橋委員 今、課題もあったということもあったわけであります。私もあの鳥の巣のオリンピック会場に行って、大変長い距離も歩いたわけでありますけれども、障害者や高齢者の方の電動式カート、こんなものも走っていまして、そういうところも参考になったのかなと思うわけであります。
 知事もオリンピックに行かれました。知事はどんな感想を持たれておったのか、知事本局長はどのように聞かれていますか、ちょっとお答え願います。

○吉川知事本局長 私も、七月に知事本局長になって、八月の北京に、知事と全く行動はともにいたしました。でございますので、わずか短時間の北京滞在でしたけれども、知事がキーポイントでおっしゃったのは、とにかくボランティアというんでしょうかね、北京の方々というか、中国の国民の方々が、総意として北京のオリンピック、パラリンピックを盛り上げようというふうなことで一生懸命努力されている姿、それについては知事も現地での取材に答えていたなというものを強く印象に持っております。
 なお、答弁の機会をいただきましたから、私の感想をいわせていただくと、私は環境局長だったのは皆さんご存じのとおりなものですから、空港に降りて、あののどの刺激というのは非常に印象に残りました。
 それから、現地の滞在時間は短かったですが、あの中で私は二カ所、ポイントで行きましたけれども、一つはバレーボールの競技を見に行きました。あのときのセキュリティーの非常な厳重さ、それから、応援の意図的なつくり出し、そういうのが非常に私は印象に残りました。何でこんなに、何というのですか、中国が出ていないのに、会場盛り上げのために中国の方々が一生懸命声援を合唱させるというか、そういうのを感じました。
 それからもう一点行ったのはメディアセンターでして、先ほど来、招致本部側が答弁していますように、メディアセンターへ行ってみて、つくづくやっぱり現場を見るということは大事だなというふうに私は思いました。

○長橋委員 今のご答弁は吉川知事本局長の感想であったわけであります。北京オリンピック、知事は知事で、北京とは全く違う、日本ならではのオリンピックをやるんだということであろうかと思いますけれども、やはり参考になるところはあったと思いますし、あわせて課題が見つかったというふうに思うわけであります。
 次に、先ほど大沢副委員長からありました国会招致決議についてであります。
 きょうの資料にもロンドンの事例があります。北京大会は国を挙げてやってきた。いまだに東京は国会招致決議がなされていない。前回の大阪でのオリンピックのときも、お伺いをしますと、十一月には衆参で決議がされているわけであります。前回のときには立候補ファイルは一月の提出だったということでありますから、約二カ月前に決議がなされている。今の国会の状況の中で、決議がされていないのかと思うわけでありますけれども、間違いなく招致決議はされなければならない。これは当然であります。
 そういう中で、来年四月の評価委員会の訪問、これも大きなターゲットであるわけでありまして、ロンドンの事例にあるとおり、東京だけでできることでないわけであります。ロンドンでは首相官邸を訪問してブレア首相と会ったとか、バッキンガム宮殿での晩さん会とか、こういうこともあるわけでありまして、ぜひこの招致決議を、国を挙げて全面的にオリンピック招致をしようという機運を盛り上げるためには、四月のIOCの評価委員にどう評価されるかということによって、もちろん節度あることも必要であると思いますけれども、国会招致決議の中にIOCの評価委員の対応も入れて、そしてこの決議をすべきでなかろうかと思うんですが、いかがでしょうか。

○藤森東京オリンピック・パラリンピック招致本部連絡調整担当部長 国会による招致決議を得ることは、オリンピック・パラリンピックの東京招致に向けまして、政府の協力を公式に約束するということでございまして、今後都が厳しい招致活動を勝ち抜いていくためには大変有意義であると認識をしてございます。
 先生ご指摘のとおり、過去、東京、札幌、名古屋、長野、大阪の各大会招致におきましては、いずれも衆参両議院から国会招致決議をいただいております。IOC評価委員会の対応につきましては、関係閣僚による対応など、政府による全面的な支援がぜひとも必要でございまして、先生ご指摘の趣旨を踏まえまして、国に対して具体的に働きかけてまいります。

○長橋委員 今のお話は、本部長に最後にお伺いをいたします。
 先日の新聞に、マイケル・ペインさん、前IOCマーケティング局長が寄稿されておりました。四都市伯仲である、まさにどこが勝ってもおかしくない、全くのオープンレースだ、こういうふうにいわれておりまして、申請時には一位であったということでありますけれども、これは全く白紙に戻して、立候補ファイル提出からさらに熾烈な競争が始まるのであろうと思うわけであります。
 そういう中で、オバマ大統領が決定をいたしました。シカゴ出身の大統領でありますし、そういった意味では、見せていただいたシカゴ通信についても、各報道機関は大変有利になったということがありますし、ここにはオバマ大統領が来年十月二日にコペンハーゲンで行われるIOCに出席してスピーチしてくれることをぜひ期待している、こういう報道もなされているわけであります。
 また、同じようにオバマ大統領出身のアフリカ、これは十七票あるけれども、オバマ大統領の影響で、ふるさとのアフリカ票十七票がこっちに行ってしまうのではないか。全部で百十票ぐらいあると聞いておるわけでありますけれども、結果はどうなるかわかりませんけれども、今のマイケル・ペインさんのとおり伯仲している中で、一回目の投票ですんなり過半数をとるということはなかなか難しいことになると思います。いろんな戦略が必要であろうかと思いますけれども、こういった状況について、アメリカは好材料だ、こう受けとめているわけであります。そういう中で勝ち抜くための本部長の決意、取り組みをお伺いいたします。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 ただいまお話のございましたアメリカの次期大統領につきましては、途中の選挙報道などを聞くにつれまして、バラク・オバマ氏が選ばれるだろうというようなことは我々としても心づもりをしておりましたし、結果としては想定の範囲内ということでございます。
 お話の報道内容も含めまして、現在マスメディアの取り上げ方が非常に大きくなっておりますけれども、これは大統領決定直後でございますし、また、そういう大統領に対するさまざまな期待が反映してのことだろうというふうに思っております。
 しかしながら、今後、実際に大統領に就任しまして、具体的な政策立案あるいは政策展開をしていく中で、また、さまざまな見方もなされていくんだろうということも想像されるところでございます。
 事実、IOC関係で申し上げますと、先日、イスタンブールでヨーロッパのオリンピック委員会の総会が開催されまして、そこで、シカゴのプレゼンテーションが行われました際に、最後にオバマ氏のビデオメッセージが流れて、ビデオでオバマ氏が登場したということがございますけれども、これに対して海外の有力メディアの報道によりますと、IOCの中の意見としまして、オバマ氏の登場に対するIOC委員の意見はさまざまに分かれているという報道がなされております。
 具体的には、会場にいたIOC委員の意見としまして、例えば次期大統領による招致支援のショー、まさにオバマ氏が出て、ビデオでメッセージを流したということを指しているんだろうと思いますけれども、それよりもやはり大会のコンセプトの方が非常に重要であるとか、あるいは、オバマ氏当選で確かにシカゴにスポットが当たっているようだけれども、招致レースというのは短距離ではなくてマラソンである、こういったようなことも紹介してございます。
 シカゴに限らず、どの立候補都市も東京にとって強力なライバルでございます。シカゴもいろいろな課題を抱えておりまして、これも報道によりますと、合衆国政府の財政保証問題がどうなるか、あるいは鉄道、道路の老朽化の問題とか選手村をどうするか、こういったようなさまざまな課題を抱えております。
 我々としましても、各都市がどのような状況にあるか、あるいはどんな課題を抱えているのかということをしっかりと情報収集、分析をしまして、同時に、私どもの東京の大会コンセプトを含めまして、IOC委員に評価される東京の計画書をきちっとつくって、立候補ファイルとして提出させていただきたいと思います。
 それをもとにしまして、IOCに対して誠実に説明をして、また、先ほど来お話のあります国民の支持、都民の支持をしっかりと得るための努力を続けていきたいというふうに思っております。
 特に、これから残された月日が十カ月でございます。お話のアフリカの委員を含めまして、五大陸に及ぶIOC委員がたしか百名の投票というふうに聞いておりますけれども、そういった百名に及ぶIOC委員の票獲得のための活動がますますこれから重要になっていくわけでございまして、その際にはIOCのルールに反しないような工夫を凝らしながら、濃密な招致活動を展開してまいりたいというふうに思っております。
 それから、先ほど国会の招致決議についてお話がございましたけれども、これは世論調査とともに国民の意思を示す非常に重要な決議であろうというふうに我々思っております。なかなか我々行政レベルではできないものがございますので、ぜひとも都議会の先生方のご支援をいただきながら、国会招致決議を賜りたいというふうに思っております。今後とも先生方のご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

○長橋委員 本部長の決意もお伺いしたところでありまして、あと残り十カ月、皆様大変お疲れであろうかと思いますけれども、頑張っていただいて、招致実現に向けて私どもも取り組んでいきたいと思っております。
 以上でございます。

○たぞえ委員 初めに、メディアセンターの変更について伺います。
 なぜ今回、変更ということが起きたんでしょうか。

○藤井東京オリンピック・パラリンピック招致本部施設計画担当部長 開催概要計画書の時点では、築地市場跡地に、IOCテクニカルマニュアルの規定を満たす施設として、地下二階から地上五階までを活用したメディアセンターを計画してございました。
 しかし、北京オリンピック視察に際し、国際放送センターは低層大空間で構成されまして、さらに各階への車両の乗り入れが可能な構造となっていることが判明し、報道関係者からもそのような空間構成が望ましいということを伺いました。
 こうした観点からこのたび見直しを行ったところ、東京ビッグサイトがメディアセンターとして最適であり、さまざまな観点からIOCの高い評価にもつながるということが判明いたしました。
 こうしたことから、今回メディアセンターとして東京ビッグサイトと変更いたしました。

○たぞえ委員 そうしますと、メディアセンターの変更はIOC国際オリンピック委員会の要請ではなかったということになりますか。

○藤井東京オリンピック・パラリンピック招致本部施設計画担当部長 今回のメディアセンター計画の変更は、IOCからの直接的な要請に基づくものではございません。北京オリンピック・パラリンピックの事例などを参考に、IOCからより高い評価が得られるよう会場計画を変更したものでございます。

○たぞえ委員 都側、招致委員会の都合で変更したということです。
 東京都は十八年の開催概要計画書で、国内選考に選ばれるために、また申請ファイルで立候補都市に選ばれるために、競技施設会場を何度も何度も変更してきました。一たんは駒沢オリンピック公園総合運動場の屋内競技場をバレーボールの大会会場と決めて、次はバレーボールは代々木公園に変更。さらに今回、新体操は東京体育館から夢の島に、ハンドボールは東京ビッグサイトから国立代々木競技場に、レスリングは東京武道館から東京ビッグサイトに変える。また、会場の規模も膨らみ、そのたびにどんどんお金がふえるという計画になっています。
 二月に提出する立候補ファイル以降も計画が変わるということがあり得るんでしょうか。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部計画調整担当部長 立候補ファイルに記載いたします会場計画は、国際競技団体などと調整を重ね、オリンピックにふさわしい最適な計画として提出するものでございますので、この計画をもちまして、東京への招致をかち取ってまいります。

○たぞえ委員 二月以降、提出後は変更があるのかどうか、もう一度答えてください。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部計画調整担当部長 繰り返しになりますが、立候補ファイルは、国際競技団体と調整しまして、オリンピックにふさわしい最適な計画ということで提出するものでございますので、立候補ファイル提出以降、招致決定までの間、この計画を変更することはございません。
 ただ、開催都市決定後のことをもし考えるとしますと、例で見ますと、北京はどんどん、これは恐らく現地での実際の実施計画の段階と思われますが、国際競技団体やIOCとの調整結果を経て、かつIOC理事会の決定をとった上で、会場変更となった例が幾つか見受けられております。

○たぞえ委員 十月以降、変更の可能性はあるということでありますが、これまで概要計画、申請ファイル、今度の立候補ファイル、そのたびごとに会場が変わっていては、都民は何を信用したらいいんでしょうか。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部計画調整担当部長 オリンピックの招致をかち取るという目的のために、現在計画を最善のものにしていく努力をしているところでございますので、当然そういう観点から都民の皆様のご理解はいただけるというふうに考えております。

○たぞえ委員 なぜこんなに提出のたびに会場が変わっていったのか。知事が〇五年夏に突然立候補を表明しましたけれども、その後、概要計画書までの計画策定は十カ月しかありませんでした。我が党は、どだい無理な話だ、このように指摘をしてきましたけれども、そのとおりに次々変更という事態が続いております。これが発端となって、次々と変更になっているんじゃないでしょうか。私の地元の駒沢公園も、本来会場になるのではないかといったら外れるという事態があるんだそうです。
 メディアセンターを東京ビッグサイトに変更するということでありますが、これは豊洲の汚染で間に合わないからということでしょうか。どうですか。

○藤井東京オリンピック・パラリンピック招致本部施設計画担当部長 このたびの変更は、先ほどもご答弁いたしましたとおり、北京オリンピックの現地視察、それから報道関係者の意見、これらを踏まえて再検討したところでございます。

○たぞえ委員 ということでありますけれども、招致本部は初めから築地市場の豊洲移転は無理だというふうに思っていたのではありませんか。豊洲汚染地への無理やりの移転は、立候補都市に選ばれる上で負ける要素だったので、築地跡地へのメディアセンターを今まで引っ張ってきたと思います。そのことが市場関係者や地元の中央区、さらには食の安全を願う都民にどれだけ過大な困難をもたらしてきたか、このことは十分に認識をしてほしいというふうに思います。
 ビッグサイトを使用することで、新たにビッグサイト内で施設を増設するとしていますが、その費用はだれが出すんでしょうか。

○藤井東京オリンピック・パラリンピック招致本部施設計画担当部長 今回の東京ビッグサイトでのメディアセンターの計画は、既存の展示会場内で大会期間中のみ使用する仮設施設は、東京オリンピック組織委員会が整備主体となります。メディアセンターとして床面を増設する必要がある場合、その増設部分につきましては、都立で恒久施設として整備いたします。
 現在、立候補ファイル策定に向けて、施設整備費全体の精査を進めておりまして、メディアセンターの整備費についてもその中で検討してまいります。

○たぞえ委員 施設の改築が仮にビッグサイト側になれば、その費用負担は大変大きいものです。もともとメディアセンターの建設資金は民間資金によって調達される、税金や使用料の負担にならないと申請ファイルでも述べていました。ところが、今回の増設は施設側の負担なのかどうか、この委員会の段階でも不明です。
 一方、はっきりしているのは、屋外会場は、既存の屋外店までどかして、駐車場を使って増設するとしていますから、屋外店までできなくなるし、また、駐車場を建物に切りかえたら、今でも駐車場が不足しているときに、駐車スペースがますます足らなくなるのでないでしょうか。展示場を使用する企業や都民にその施設建設の負担、駐車場減少の負荷を与えてはならない、そのことを述べておきたいと思います。
 次に、今後の招致活動に係って、第一に、招致活動の委託業務が特定の企業に傾斜がかかっているという問題です。十九年度の招致活動経費の委託費は総額八億二千十万円で、契約件数は十七件です。そのうち広告代理店の電通との契約数と契約額は幾らか、伺います。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 平成十九年度におきます株式会社電通との契約件数は六件、契約額は七億六千七百三十万円でございます。

○たぞえ委員 申請ファイルは、十九年度当初予算では幾ら予算化したんでしょうか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 十九年度の申請ファイルの当初予算は二億八千万円でございます。

○たぞえ委員 では、決算ではどのような推移になったんですか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 決算額は約七億四千七百万円でございます。

○たぞえ委員 その差は四億六千七百万円、予算よりも二・七倍に膨れました。他の局で予算が年度内に二倍、三倍になるという例は私は聞いたことがありません。電通が金額を変更してほしいといえばそうせざるを得ない、これでは電通のいいなりではないでしょうか。
 電通との契約について、招致本部は、IOCの公式スポンサーの関係業務を行っているとか、過去の競技大会に関する情報に精通している、いろいろ理由を述べられますが、要するに電通にしか事業は委託していません。これでは電通におんぶにだっこです。十八年度で見ても、委託契約の七割以上の金額が電通です。特定の企業にオリンピックをゆだねるということは契約の平等性が保たれていないといわざるを得ません。今後、このようなやり方がどんどんふえてしまいかねないことを改めて指摘をしておきます。
 第二は、都営バスの車体全体を広告物とする制度、ラッピングバスです。招致本部が実施した十九年度の都バスへの広告制作委託は三件で、六千八百五万円、一台の車体全体を広告物で覆うと、約八十万円の制作費と掲出費がかかっています。これはどの企業と委託契約をしたのでしょうか。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 契約の相手先は株式会社電通でございます。

○たぞえ委員 そのラッピングの三件とも電通に委託です。ラッピング都営バス、四百台広告がついていますが、オリンピック招致広告はそのうち百台です。委託契約の際、競争入札で契約に至らなかった企業はあったんですか。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 都営バスのラッピング広告のデザインには、ご案内のとおり招致ロゴを使用してございます。この招致ロゴの著作権は招致委員会が有しておりまして、その使用に当たっては招致委員会の承諾を得る必要がございます。
 一方、国際オリンピック委員会、IOCにより招致ロゴの変形等が禁じられておりまして、非常に厳格な管理が求められることから、招致委員会は招致ロゴの制作管理を株式会社電通に一元的に委託をしております。このため、招致委員会が都にラッピングバス広告での招致ロゴの使用を承諾するに当たりまして、都が電通にラッピングバス広告の制作及び掲出に係る業務を委託することを条件としたため、株式会社電通に特命で契約を行っております。

○たぞえ委員 結局落札がなくて、そうした業務は全部電通に初めから特命で決まっていく、まさに電通様々じゃありませんか。
 渋谷から六本木を走る路線ですけれども、ラッピング広告費用は一台当たり一カ月税込みで四十二万円、年間三百十五万円の都バス広告の料金がかかります。オリンピック招致宣伝を行っている都営バスのラッピング費用は交通局に払っているんでしょうね。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 デザイン料、ラッピングフィルムの制作費、取りつけ撤去費用は当本部が負担しておりますが、広告掲出料につきましては、負担してございません。
 失礼しました。広告掲出料の決定につきましては、交通局のご判断によるものでございますが、オリンピック開催時には、日本じゅう、そして世界じゅうから多くの観客が東京を訪れ、都営交通利用者の大幅な増加が期待できる。このため、他の一般的な公共広告とは異なりまして、オリンピック・パラリンピック招致のPRは交通事業経営と密接に関連をするものであり、広告掲出については交通局事業として実施すると判断されたものというふうに伺っております。

○たぞえ委員 いろいろ無料の理由づけを述べられていますが、それほど公共的な要素が強いならば、なぜエイズや乳がんの検診の啓発、それから消防団員の募集、これが有料なんでしょうか。こんなに公共性の高い、こうした事業は有料で、オリンピックは公共だといって無料扱いになる、これは余りにも別格扱いになっていると思います。
 招致本部は、無料扱いにしてほしい、そのように交通局に文書で依頼をされたんでしょうか。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 ラッピング広告につきましては、広告掲出について交通局と事前に協議を進める中で、オリンピック開催時には都営交通利用者の大幅な増加が期待できるなど、招致PRは交通事業経営と密接に関連するものである。広告掲出については交通局事業として実施するとの交通局の判断があったため、当本部からは文書による依頼等は行ってございません。

○たぞえ委員 要するに口頭だけの連絡なんですよね。今、ラッピングバスが走れば乗客がふえるといったけれども、乗客はラッピングバスが来たら乗る、ついていないのは乗らない、そんなことないですよ。たまたま来たバスに乗るんですよ。そういう広告の効果を、オリンピックというマークだけでそれを選ぶというのは、余りにもむちゃじゃないでしょうか。
 もともと広告事業というのは、東京都のいろんな事業局がそれぞれ交通局に文書などをもって依頼をし、そして、例えば議会局の定例議会のポスター、これも交通局に文書を出す。そこで初めて、身内のものだから、じゃ、三割まけてやろうというので取り決められて、七割議会局が負担をするわけなんです。そういう手続も何もなく、とにかくオリンピックならば別格扱いだ、そういうふうに突進していくというのは、都政の中にそういう格差があるということ自身、私は問題だと思います。
 そういうさまざまな状況の中での招致活動ですから、税金の使い方も物事の決め方も、オリンピックは聖域になっているというふうにいわれても仕方ないのではないでしょうか。この東京都議会に寄せられた都民の声でも、そういう指摘がされています。そのことを述べて、質問者をかわります。

○松村委員 オリンピック・パラリンピック招致を質疑するわけですが、今、金融危機が深刻な影響を与え、非正規の解雇や雇いどめが三万人を超えるとされていますし、中小零細企業を取り巻く経営や資金繰りの状況はかつてない深刻な状況を示しています。
 こういう状況をしっかり認識することがオリンピック招致のあり方を議論する大前提だと考えますが、この場に知事がおりませんので、知事本局長の認識を伺います。

○吉川知事本局長 その点は、昨日の開会日の知事の発言を聞いていただければ十分よくおわかりいただけると思います。そういう認識があるからこそ、二十年度においても、さきの第三回定例会で補正を提案し、ご了解いただきましたし、今回は補正を提案しております。

○松村委員 我々が提案していた失対事業とか信用保証料のこれまでにない軽減策だとか、我々も主張していた点ですから、評価できますが、その額も五百億円ですよね。今オリンピック基金だけでも三千億円、また来年度でも一千億円積み立てるということを考えれば、まだまだやはり不十分なんですよ。そういう点の認識があるのかどうか、今の都民の置かれている、そういう状況のしっかりしたとらえ方と認識がなければならないというふうに思います。
 本当に今の都民の暮らし向きがまだまだわかっていません。都民の声の十月分に寄せられた意見に、妊婦受け入れ拒否事件は東京の恥、日本の恥だ。道路もオリンピックも要らない。医療、介護、教育を優先せよなど、こういう意見がありました。また、私たちの今取り組んでいるアンケートにも、五輪開催や誘致活動には莫大な金がかかり、無駄遣い。石原知事の道楽とも思えるオリンピック誘致と新銀行東京への追加融資は私財でやってほしいとか、生活が大変なのにオリンピックどころじゃない、もっとほかにやることがあるなどの、本当に怒りに満ちた声もたくさん寄せられているのです。
 ところが、石原知事は、何が何でも賛成世論を高めようと金と人をつぎ込み、上からまさに押しつけるようなやり方で、オリンピックということなら何でも通ってしまうような異常な都政の現状に都民が厳しい意見を寄せていることを、私はもっと知るべきだというふうに思います。
 これまでもこれからも招致活動に莫大な税金を使いますが、その使い方もひど過ぎます。既に報告があった北京のジャパンハウスでの招致活動には、宣伝用DVDや冊子などの制作費を含めて、総額四億二千九百万円も都民の税金が使われています。今後の招致活動についても報告がありました。
 そこで、招致活動のあり方について、これまで招致活動の一環として招致本部が取り組んできた世界選手権大会のスポンサー活動や国際大会への協賛金などについて、本日は伺いたいと思います。
 平成十九年に行われたノルディックスキー世界選手権と世界フィギュアスケート選手権に、招致本部はどういう委託契約を行ったのでしょうか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 ノルディックスキーと、それから今スケート等ございました。こちらに関しましては、ノルディックスキー札幌大会及びISUフィギュア世界大会で、東京都といたしまして、TOKYOボードという広告を掲載してございます。

○松村委員 契約金額はそれぞれ幾らなんですか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 契約金額は三千百五十万でございます。

○松村委員 スポンサーボードを掲出した、その委託です。こういうブルーのTOKYOというデザインの、一つには縦が六十センチメートル--これはどのぐらいのイメージかということで、部屋にあったものを急遽持ってきたんですけれども、これは縦が七十センチ。これよりも十センチ短い。横がこれは大体一メートル五センチでした。これが六メートル。これに、今いったロゴというか、TOKYOというものを書いたボードを、世界フィギュアの場合には横が五メートルで縦が六十センチ、それから、札幌のノルディックスキーは縦が一メートルから一メートル五十、横が六メートルというものでした。
 これを札幌のノルディックスキーは、札幌ドームに二枚、大倉山ジャンプ場に一枚、宮の森ジャンプ場に一枚、白旗山に二枚です。私も宮の森ジャンプ場には行ったことがありますが、あの広いところにこのボードを一枚掲げているわけです。札幌のノルディックは、今いいましたように全体三千百五十万。ですから、これ一枚当たり割り返しますと、五百二十五万円かけて宮の森に掲げたわけです。
 それからもう一つの世界フィギュアスケート選手権大会には、左右にかけたのか前後かわかりませんけれども、それを一枚ずつ、二枚掲示して、これまた三千百五十万円です。これは一体どういう意味があったのでしょうか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 今いろいろご指摘いただいておりますけれども、これは、東京が国際スポーツ競技大会を積極的に支援している姿勢を示しまして、オリンピック招致への支持率の獲得の一助となるために行ったものでございます。
 また、都が国際スポーツ競技団体の競技大会を積極的に支援している姿勢を示しまして、オリンピック招致への支持率の獲得の一助となるために行ったものでございます。

○松村委員 国際大会を支援すると。私は全くの浪費ではないかというふうに思います。
 そして、平成十九年度もこうした招致活動を行うことで、招致本部は十四国際大会、一団体五千万円で総額七億円の予算が組まれました。
 しかし、予算成立後の四月二十五日に、IOCがその前の二月の理事会で、招致期間中は世界選手権を初め主要国際大会を禁止する方針が盛り込まれたとの報道があったとして、招致本部は国際大会への支援を取りやめたと、さきの決算委員会では答弁しています。
 ところが、招致本部はその後も国際大会招致を続けています。二〇〇七年、平成十九年五月二十日に、国際体操連盟が東京での世界選手権大会を決めています。同じく六月十五日に、国際レスリング連盟も東京大会を決めています。もう一つ、国際卓球連盟も東京での開催を六月に決めておりますが、それぞれどういう内容でしょうか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 大会の内容についてご説明いたします。
 まず、世界体操選手権大会でございますけれども、これは二〇一一年に開催されるものでございます。それから、女子レスリングでございますけれども、これは先般、二〇〇八年に開催されたものでございます。それから、先ほどございました卓球でございますけれども、こちらにつきましては、二〇〇九年十月に開催するものでございます。なお、こちらの開催につきましては、先ほどロゲ会長の発言という趣旨がございましたけれども、ロゲ会長が発言する前に、既に国内競技団体の方から国際競技団体の方に申請をしてございまして、そういう経緯でこちらの方は決まってきたものでございます。

○松村委員 それでは、例えば国際体操連盟、これが契約、調印式を平成十九年六月二十六日に行っていますが、調印式を設定したのは生活文化局、調印の契約は招致本部ですね。これはどういうことでしょうか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 今のご質問でございますけれども、契約につきましては招致本部ではございません。

○松村委員 この点は後でというか、別に、生活文化局の方も含めて、ただしていきたいと思いますけれども、保留にしておきます。
 それで、IOCの理事会で、国際大会の招致は先ほどいったように禁止するというふうになったけれども、もう申請していたから引き続き三大会をやるというのは、これはおかしいんじゃないですか。事実、決算委員会では取りやめたと。で、その年の七億円提示していたものは執行残、そのうちの半分は、先ほどたぞえ委員が質問したように、電通の契約額がふえたというので、七億円の半分ぐらいは電通の方で流用というか、使われた。あと残は残しているんです、このように答えておりまして、既に申請していたから引き続きこの三大会を、では、招致本部がやるんですね。先ほど生活文化局--招致本部ではないといっておりましたが、その関係はどうなんでしょうか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 開催の決定につきましては、十九年度という期間がございました。その中では、招致本部に国際招致に関する予算がございましたので、国際競技団体または国内競技団体の意向、それからスポーツの振興などを総合的に勘案して、決定したものでございます。
 なお、今後の実施につきましては、招致本部ではなく、生活文化局の方で実施することとなっております。

○松村委員 結局IOCの理事会のそういう決定があったから、招致本部では、余りにも露骨でまずいということで、生活文化局に所管をかえただけではありませんか。
 ところで、この三つの大会で、都の負担額は幾らになりますか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 金額についてはまだ決定してはございません。

○松村委員 だって、シニア女子レスリングは、既にもう十月十二日、十三日で行われて、このときの協定書も私はいただいております。ここにも、開催経費約三億円、開催都市負担は最大一億五千万円、これは上限としますけれども、恐らくこれは一億五千万円支払うことになるだろうというふうに聞いております。
 それから、既に調印式が、これは石原知事の署名がある協定書がありますけれども、この調印された国際体操世界選手権も、開催経費が約十億円、開催都市負担は最大で五億円と。もう一つの国際卓球連盟のカデットチャレンジ・世界ジュニアサーキットファイナル二〇〇九、来年の十月、これも開催経費が三千四百万円。開催都市負担は未定となっておりますが、恐らく共催で開催都市となれば、さきの例からいえば、半分が都側の上限としての負担ということになるのではないでしょうか。この合計額を私は聞いているんです。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 予算上の合計額については、今理事の方から説明があったように、その金額を足せば出ると思います。ただし、先ほどのレスリングもありますけれども、これまで予算が決定している段階で、実際にどれだけ費用がかかったか、どれだけ支払われるかについては決定しておりません。
 なお、これにつきましては、我々招致推進本部の管轄ではございませんので、私の方からはこれ以上お答えすることは差し控えさせていただきます。

○松村委員 招致本部ではないといっても、招致本部が申請して、国際大会の実績を上げようというので、開催を進めてきたんでしょう。今になって、それは招致本部じゃないということは全く私はおかしいと思いますし、今お答えがありませんでしたけれども、既に協定によっても、上限六億六千七百万ですよね。これは上限ですから、やはり払うようなことになってくるわけですよ。
 それで、招致活動経費、百五十億円の枠の中に入っているのでしょうか。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 活動経費、百五十億円には入ってございません。

○松村委員 ございませんと。招致本部の招致活動の一環としてこれは進めてきたものでありますし、招致活動経費に含まれないなんというのは今さら話が通らないというふうに思います。
 それでは伺いますが、招致活動経費、百五十億円は守るのですか。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 総経費百五十億円につきましては、今年度の第一回定例会で五十億円から百五十億円に変更を議会審議でお願いしたところでございます。現時点では百五十億円ということになっております。

○松村委員 微妙に現時点という言葉が非常に気になるんですね。守るようなことをいいますけれども、来年度の予算でオリンピックムーブメントの普及など移行準備予算として招致本部は十四億一千万円を百五十億円と別枠で要求しているではありませんか。しかも、他局でやらせているオリンピックムーブメントと称する予算を含めれば、百五十億円どころか、大変な金額になります。都民生活が大変なときに、なぜ少しでも節約しようと考えないのですか。本当に許せない話だというように思います。
 都民のスポーツについても同様です。知事がオリンピック招致をいい出し、今まで国際大会などに目もくれていなかったのが、急に支援だとお金をばらまき始める。協賛団体になったとして、さきのシニア女子レスリングに一億五千万円も出すようなことに今なってきているんです。
 その一方で、四苦八苦している地域のスポーツ団体のわずかばかりの補助金も打ち切り、しかも施設維持の公共責任も放棄したために、高い利用料金でスポーツ団体は苦しめられているんです。私はこんなやり方は改めるべきだということを強く申し上げまして、時間ですので、質問を終わります。

○大西(由)委員 先ほどの答弁で、申請ファイルは当初予算で二億幾らだったのか、ちょっと確認できませんでした。これを教えてください。そして、決算では七億四千七百万になったということ。じゃ、今作成中の立候補ファイルについては幾らの予算なんでしょうか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 十九年度の申請ファイルの当初予算は二億八千万円でございます。決算額は七億四千七百万円でございます。
 ちなみに、なぜこのように五億円近くふえたかと理由を申し上げますと、申請ファイルの原案の作成を進める中で、海外の専門的なアドバイザー等を通じて多くの情報を収集したところ、IOCが各都市の申請ファイルを評価するに当たり、特に重視する項目が判明しました。それらについて広範な調査分析を行うために必要な経費がふえたものでございます。
 具体的には、輸送計画においては、道路や鉄道の混雑状況などについての調査を実施いたしました。宿泊施設については、東京ばかりでなく半径五十キロ圏、さらには大阪市や札幌市などのホテルについても実地調査を行いました。また、安全対策や環境、財政分野についてもより詳細な調査を行いました。これらによって得られた十分なバックデータに基づき、精度の高い申請ファイルを作成することができました。
 その結果、去る六月に発表されたIOCの理事会の作業部会の報告におきましては、東京の申請ファイルが申請都市七都市の中で総合評価で第一位となったものでございます。
 なお、立候補ファイルにつきましては、十四億九千五百万でございます。

○大西(由)委員 これは当初予算として認識していいんですか。これがまたふえるとか、そういう可能性もあるんでしょうか。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 当初予算でございます。

○大西(由)委員 わかりました。こうやっていいファイルができて、現状になって、立候補ファイルについては今作成中で、そしていろんな変更をしながら、今一生懸命つくっているところですが、開催都市が決定後、この立候補ファイルに申請したとおりやるわけでもなく、また変更の可能性もあるというのがきょうの答弁だったのかなと思います。
 それから、ビッグサイトに変更になって、いろいろその中、ビッグサイトの担当と協議があって、こういう形で発表になったと思うんですけれども、ビッグサイトはある意味いろんな契約を何年かずっとやっていたと思うんですけれども、それへの影響はなかったのか。そして、ビッグサイトはいつからいつまで使用ができなくなるんでしょうか。

○藤井東京オリンピック・パラリンピック招致本部施設計画担当部長 先ほどご説明申し上げましたビッグサイトにおける競技施設、例えばレスリング、フェンシング、テコンドーの三種目であるとかメディアセンターの位置、そういったものを詳細に現状詰めているところでございます。それに伴って、どのような形でビッグサイトが使えなくなる期間が発生するか、これについても精査を行っているところです。当然今後においてはそういう施設管理者さんとも十分調整をして計画を決定していきたいというふうに考えてございます。

○大西(由)委員 こういうものは当事者に最初にしっかり協議をして、そうだねと納得がいって、初めてビッグサイトをどうぞお使いくださいというようなのが世間の常識だと思うんですけれども、まずはオリンピックありというところで進んでいるということでとらえていいのかなと思いました。
 じゃ、最後に、オリンピックの経済効果は三兆円だといわれておりますし、その根拠も発表しているところであるということなんですが、夢が描けるように、ここでまた新たにご説明ください。

○保坂東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 十八年七月に都が行った試算によれば、都内で一兆六千億円、全国で二兆八千億の経済波及効果が生まれると予測しております。

○大西(由)委員 全く夢が持てないんですけれども、具体的にどのようなものがということは今いえるんですか。

○保坂東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 経済波及効果でございますが、これは経済連関表を用いて積算しておりまして、具体的には、オリンピック競技大会の開催に伴い発生いたします公共投資や民間投資、施設の建設や大会の運営に伴う支出はもとより、観光客の入場や移動、宿泊、飲食、買い物などさまざまな部門の投資や消費を喚起するということで、川上から川下まで広く財やサービスの移転が発生するために、雇用や売り上げの増加など、個人や中小企業の方たちにも効果が及ぶということでございます。

○大西(由)委員 ご丁寧な答弁ありがとうございました。終わります。

○野村委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 次に、本委員会に付託されております調査事件についてお諮りいたします。
 本件は、今定例会中に調査を終了することができませんので、閉会中の継続調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後三時四十七分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る