オリンピック招致特別委員会速記録第十二号

平成二十年六月十一日(水曜日)
第十二委員会室
 午後一時三分開議
 出席委員 二十三名
委員長野村 有信君
副委員長三宅 茂樹君
副委員長中嶋 義雄君
副委員長土屋たかゆき君
理事石川 芳昭君
理事曽根はじめ君
理事川井しげお君
理事吉野 利明君
理事大沢  昇君
西岡真一郎君
たぞえ民夫君
村上 英子君
串田 克巳君
大西さとる君
長橋 桂一君
高島なおき君
鈴木 隆道君
大西由紀子君
松村 友昭君
鈴木貫太郎君
高橋かずみ君
田中  良君
名取 憲彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
東京オリンピック招致本部本部長荒川  満君
次長松田 二郎君
技監福島 七郎君
企画部長並木 一夫君
参事重田 敏光君
招致推進部長中村 長年君
計画調整担当部長中嶋 正宏君
参事藤森 教悦君
参事山越 伸子君
参事保坂 俊明君
参事藤井 寛行君
知事本局局長大原 正行君
総務部長川澄 俊文君
計画調整部長小林  清君

本日の会議に付した事件
 二〇一六年に開催される第三十一回オリンピック競技大会の東京招致に関する調査審議及び必要な活動を行う
報告事項(説明・質疑)
・IOC理事会における正式立候補都市の承認について

○野村委員長 ただいまからオリンピック招致特別委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議事課の担当書記の谷口陽子さんです。
 議案法制課の担当書記の岸洋子さんです。
 調査情報課の担当書記の古川浩二君です。
 よろしくお願いいたします。
   〔書記あいさつ〕

○野村委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程表のとおり申し合わせをいたしました。ご了承願います。
 先般の組織改正及び人事異動に伴い、本委員会に出席する所管局の幹部職員に交代がありましたので、所管局の長から、それぞれ紹介があります。

○荒川東京オリンピック招致本部長 職員の紹介の前に、報告並びに一言御礼を申し上げます。
 昨日の本会議で知事から発言がございましたように、先週のIOC理事会におきまして、東京都は、二〇一六年オリンピック・パラリンピックの立候補都市に決定されました。これは、本委員会を初め都議会の皆様のご指導、ご支援によるところが大変大きく、この場をおかりして、厚く御礼申し上げます。
 また、同時に発表されましたIOCの評価レポートによりますと、東京都は総合評価第一位という結果でありました。このことは、職員にとって大きな励みとなり、また、招致機運盛り上げの弾みにもなると考えております。
 しかしながら、最終目標は、IOC総会において開催都市の指名をかち取ることでございます。今後、なお一層気を引き締め、立候補ファイルの作成、国内世論の盛り上げ、国際招致活動に全力を挙げて取り組んでまいります。引き続き、ご指導、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
 次に、さきの人事異動に伴い変更のありました当本部の幹部職員を紹介させていただきます。
 計画調整担当部長の中嶋正宏でございます。参事で連絡調整担当の藤森教悦でございます。参事で国際事業担当の山越伸子でございます。参事で運営計画担当の保坂俊明でございます。参事で施設計画担当の藤井寛行でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○大原知事本局長 去る四月一日付の組織改正及び人事異動に伴いまして就任いたしました私どもの幹部職員の紹介をさせていただきます。
 総務部長の川澄俊文でございます。計画調整部長の小林清でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○野村委員長 紹介は終わりました。

○野村委員長 これより第三十一回オリンピック競技大会の東京招致にかかわる事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程に基づき、報告事項の聴取を行います。
 理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 本日は、お手元の資料に基づきまして、立候補都市の選定についてご報告をさせていただきます。
 資料といたしまして、資料1、立候補都市の発表について、資料2、二〇一六年申請都市の評価結果をお配りしてございます。
 まず、資料1、立候補都市の発表についてをごらんください。
 現地時間の六月四日、アテネで開かれましたIOCの理事会におきまして、立候補を申請した七都市の中から、東京を初め、シカゴ、リオデジャネイロ、マドリードの四都市が立候補都市として選定されました。
 立候補都市の選定に当たりましては、国際オリンピック委員会、いわゆるIOCの中に作業部会が設けられ、申請都市から提出されました申請ファイルをもとに、各都市の開催能力、成功の可能性を評価した報告書を作成し、理事会に提出されました。
 作業部会は、IOC委員や国際競技連盟、いわゆるIFの関係者、そして輸送や環境など各分野の専門家など十三名により構成されております。この作業部会における総合評価は、東京が一位となり、以下、マドリード、シカゴ、ドーハ、リオデジャネイロ、プラハ、バクーの順でございました。
 また、個別の事項に関して、東京が特に高く評価された点でございますが、まず宿泊施設では、IOCは大会関係者用に四万室の客室を要求基準としておりますが、東京は、既存の客室数でこの基準を大きく超える十万室以上の客室を有していることが高い評価を得ました。
 次に、選手村については、サッカーの予選会場を除く競技会場と選手村との平均移動距離が九キロメートルと短いことが高い評価を得ました。
 次に、安全については、オリンピックを実現するに当たり、警視庁を初めとする十分な警備資源と、大規模なイベントを開催した幅広い経験を有していること、これらが高い評価を得ております。
 次に、環境についてですが、これまで都が取り組んできました緑地の増加、再生水利用、排出ガス規制などの環境対策や、その結果としての東京の環境について、高い評価を得ております。
 次に、インフラでございますが、東京の高密度で効率的な鉄道インフラと高速道路ネットワークにより競技会場への良好なアクセスが可能であるとして、高い評価を得ております。
 また、このほか競技会場については、半径八キロ圏内にほとんどの競技会場を配したコンパクトな計画が高い評価を得るとともに、臨海部に新しく建設される施設は「十年後の東京」の達成に大いに貢献とされ、輸送におきましても、「十年後の東京」の計画実現でオリンピックに必要な交通インフラは担保されると記述されるなど、「十年後の東京」とオリンピック計画との関連について、IOCが好意的に受けとめていることがうかがわれます。
 一方で世論調査におきましては、IOC独自の世論調査で、支持が五九%となっており、昨年招致委員会が実施しました世論調査の結果とほぼ同様の結果となりましたが、他の立候補都市の状況を踏まえますと、世論の盛り上げが今後の課題であると認識しております。
 続きまして、A3の資料2、二〇一六年申請都市の評価結果をごらんいただきたいと思います。
 これは、インフラや競技会場など十一の判断基準のおのおのについて、最高得点の高い順に、都市別に記載したものでございます。表頭に記載してございますが、表の左から、報告書の十一の判断基準とその内容及び最終評価を導く際の各基準のウエートを、一から五の五段階で記しております。
 また、内容欄の右端に括弧で数字がございますが、これは判断基準の評価を導く際の割合を示してございます。例えば、1の内容にもございます世論調査の結果等は、最終評価を導く際のウエートが二であります「政府保証、法的問題、世論」の一五%を占めていることになります。
 なお、判断基準に付与されている点数は、十点満点で、六点が基準点となります。それぞれ最高点と最低点を付与しています。東京は、十一の評価基準のうち、オリンピック選手村、環境面における状況及び影響、宿泊施設、安全確保及び安全対策の四項目で、七都市中一位の評価を得ております。
 他の評価基準でも、六項目で二位の評価を得まして、最終結果、いわゆる総合評価で一位の評価を得ております。
 今後は、こうした結果を踏まえまして、他の三都市との競争にかち抜くために、立候補ファイルの作成、国際プロモーション活動、国内における招致機運のより一層の盛り上げに精力的に取り組んでまいります。
 以上、立候補都市の発表について及び申請都市の評価結果の内容につきましてご説明をさせていただきました。
 これをもちまして説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野村委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○村上委員 去る六月五日未明、東京は、最高の評価で二〇一六年のオリンピック・パラリンピックの立候補都市に正式に決定をいたしました。これが、我が党を初め都議会、東京都、オリンピック招致委員会が一体となって、何としてもオリンピックを東京、日本に招致したいという強い熱意が実を結んだ結果であります。
 また、経済界、JOC、スポーツ界、全国の自治体など、多くの関係者の方々のこれまでのご支援、ご協力に対し、我が党としても厚く御礼申し上げます。
 しかし、今回の決定はあくまでも通過点であり、私たちの目標は、あくまで来年十月のIOC総会での二〇一六年大会開催都市をかち取ることであります。これからが、いよいよ熾烈なレースの始まりであります。国際招致活動はもとより、国内招致活動の盛り上げにおいては、関係者の一層の努力を期待したいと思います。
 ところで、オリンピック招致を現実のものとするためには、ナショナルイベントとしての国からの全面的な支援が必要であることはいうまでもありません。知事は所信表明の中でも、招致をかち取るためには、国による財政保証が必須であるとおっしゃっております。
 そこで、財政保証についてお伺いいたします。財政保証とは何なのか、都はどのように認識しているのか、お伺いいたします。

○藤森東京オリンピック招致本部参事 財政保証は、IOCが求めます保証の一つでございまして、オリンピックの運営を行う大会組織委員会が万が一資金不足に陥った場合、その不足分の補てんを関係当局が保証することを求めております。
 来年二月までにIOCに提出をいたします立候補ファイルとともに、大臣の署名済みの保証書を添付しなければならないとされております。オリンピック招致のためには、財政保証は必須なものであると認識をしております。

○村上委員 財政保証の意味はわかりました。
 それでは、過去、大会での立候補都市の財政保証はどうなっていたのでしょうか、お伺いします。

○藤森東京オリンピック招致本部参事 過去、大会におけます立候補都市の財政保証でございますが、二〇一二年の夏季大会では、ロンドン、パリ、マドリード、モスクワが政府による財政保証をIOCに提出をしてございます。
 また、二〇一四年の冬季大会におきましては、ソチ、平昌、ザルツブルクの各候補都市が、政府による財政保証をIOCに提出しております。

○村上委員 知事もよくおっしゃっておりますけれども、都は、財政力の健全さは客観的に見ても万全であるし、格付機関の評価も、国より東京都の方が高い。それでも国による財政保証は必要なのでしょうか、お伺いいたします。

○藤森東京オリンピック招致本部参事 近年のオリンピック招致に成功した都市では、中央政府が財政保証を行っております。中央政府による財政保証は、国を挙げての招致の姿勢を示すものとして重要なものとなっております。
 したがいまして、IOCの高い評価を得るためには、政府による財政保証が必須であるというふうに認識をしてございます。

○村上委員 財政保証について、国はどのように対応をしようとしているのでしょうか。また、保証を取得する見込みはあるのでしょうか、お伺いいたします。

○荒川東京オリンピック招致本部長 私の方から答弁申し上げたいと思います。
 先生ご指摘のように、今後、東京都が厳しい招致活動をかち抜いていくためには、政府による財政保証は必須でございます。このことは、オリンピック招致の主務官庁でございます文部科学省も、政府による財政保証の必要性は十分認識しているところでございます。
 現在、昨年末から開始されました国と都の実務者による協議や、オリンピック招致関連省庁会議などを活用しまして、財政保証の発行について、調整を精力的に進めております。
 また、国会の側では、超党派による二〇一六オリンピック日本招致推進議員連盟の発起人会や自民党スポーツ立国調査会が開催されまして、知事もみずから出席して、政府による財政保証の発行に向けた支援を強く訴えたところでございます。
 こうしたことから、政府による財政保証に向けた機運は大きく高まっており、保証書の発行の見込みはあるものというふうに考えてございます。今後とも、都議会のご協力を得ながら、国に対し、保証書の発行を強く求めてまいります。

○村上委員 日本政府は、過去、オリンピックはもとより、国際競技大会の招致においても、財政保証をしたことがないとのことであります。かつて大阪市が立候補した際に、財政保証をしなかったようですが、そうした前例を踏襲するような事態だけは絶対に避けなければなりません。
 財政保証について、もちろん行政内部での事務的に努める努力は必要ですが、行政だけに任せておくのではなく、むしろ政治がリーダーシップを発揮していくことが解決への近道です。幸い、我が党の呼びかけによって、国会においても、東京が立候補都市として決定した五日に、超党派による二〇一六オリンピック日本招致推進議員連盟設立に向けた発起人会が立ち上がり、今後、すべての会派の国会議員に参加を呼びかけ、臨時国会において、正式に国会議員による招致議連が発足すると聞いています。これで、都議会、国会という政治の場において招致推進体制が整ったことになります。
 今後、都議会は、国会招致議連とも一体となって、国会での招致決議、政府による財政保証の発行などの実行を促し、必ずや日本へのオリンピック招致を成功に導くよう、関係者の一層のご支援、ご協力をお願いいたします。
 次に、招致委員会の資金調達等についてお伺いいたします。
 先月二十七日、東京オリンピック招致委員会の理事会、総会が開催され、平成十九年度の決算が承認されたと聞いております。そこで、会議終了後、公表されました決算報告書を私も見せていただきました。その中の収支計算書によると、収入が十一億三千万余、支出が十六億八千万余とあり、経常収支差額はマイナス五億四千九百万円となっております。これは、いわゆる赤字決算ということになりますので、一般の方がこのことについてよく説明のないまま耳にすれば、招致に関して不安を抱いたりする方が出てくるかもしれません。
 そこでお尋ねいたします。オリンピック招致委員会のこのマイナスの経常収支差額は、どのような理由でそうなっているのか。また、今後の収支見込みはどうなっていくのか、お答えください。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 マイナス五億五千万円の経常収支差額でございますが、さきの総務委員会でご報告いたしましたとおり、寄附金、賛助金の総額は三十一億円ございます。ただ、会計手続上、年度内に収入した寄附金が四億八千万円であったことから、形式上はマイナスとなったものでございます。
 これは、当初から予定していたものでございます。このマイナス分は、民間からの短期借入金で賄っておりますが、今年度の寄附金の収入に伴い、解消いたします。

○村上委員 わかりました。民間からの資金調達が進んでいるとのことですが、今年度には、収支はバランスがとれるということですよね。
 ところで、問題なのは、その民間資金五十億円の調達見込みについてです。約三十一億円という見込み額でも、目標の五十億円までは、あと十九億円不足しております。民間企業の景況感が冷え込んでいく傾向にある中、寄附や協賛金を上乗せしていくことは並大抵のことではないと思います。
 改めて、現時点での調達見込み額と、五十億円という目標額の確保に向け、今後どのような資金調達活動、PRを行っていくおつもりなのか、お伺いいたします。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 現時点での民間資金の見込み額でございますが、三月の総務委員会でご報告の後、さらに複数の寄附、協賛企業が決まりました。現時点では、四十億円近くの見込みでございます。
 これまで、経済団体や各種団体などに対し資金調達活動を行ってまいりましたが、今後は、それに加えまして個人や法人の寄附金調達組織を新たに設置いたしまして、幅広く資金調達活動を行ってまいります。
 なお、この組織の会長には山本寛斎氏を迎えることとしてございます。招致委員会の資金調達活動がスムーズに進むよう、引き続き効果的なPR活動を行ってまいります。

○村上委員 民間からの資金調達に弾みをつけるのは、何よりも東京招致の可能性が高まっていくこと。それは、東京が有力な候補地であると日本じゅうの皆さんが認識してくれることだと思っています。先日のIOCの立候補都市発表では、東京は他の都市を抑え、一番高い評価をいただきました。私は、この客観的事実を日本全国の皆さんに知っていただき、東京の課題といわれる招致機運を一気に高めていくべきだと考えます。
 東京都と招致委員会は、いま一度ここで気を引き締め、東京がすばらしい理念と計画を持ち、オリンピック・パラリンピックが実現することによってもたらされる具体的なメリットを、わかりやすく、さまざまなチャンネルを通じて訴えていく必要があります。
 以上、資金調達の問題は今後の招致盛り上げと表裏一体の関係にあり、公と民とがお互いに一致団結して今後の招致活動に当たれば、必ずや勝利の日がやってくると確信いたしております。
 次に、メディアセンターの計画についてお聞きいたします。
 メディアセンターは、現在の築地市場の移転後、その跡地に建設が予定されております。築地市場の豊洲地区への移転は、平成十三年に既に決定したものであり、オリンピックの計画とは全く関係のないものです。その後、豊洲地区の土壌汚染について、専門家による検討が重ねられております。五月三十一日の第七回豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議では、高濃度のベンゼンやシアン化合物などの土壌汚染対策の素案についての議論がなされ、実施すべき対策の基本方針も検討していると伺っております。
 そこで、この土壌汚染対策により築地市場の移転スケジュールにおくれが出れば、メディアセンターの計画に影響が生じるのではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか、お伺いいたします。

○藤井東京オリンピック招致本部参事 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策についてでございますが、現在、中央卸売市場の設置いたしました、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議で検討中でございます。この専門家会議の提言は七月に予定されてございまして、それを受けて、都としての具体的な対策をまとめると聞いております。
 したがいまして、東京オリンピック招致本部といたしましては、専門家会議の議論や中央卸売市場での検討の動向を踏まえ、コンパクトなオリンピックという東京の招致計画のコンセプトに基づいた、IOCから高い評価が得られるメディアセンターの計画を進めてまいります。

○村上委員 専門家会議や中央卸売市場の検討を踏まえ、IOC委員から高い評価を得られる計画策定を要望して、質問を終わらせていただきます。

○松村委員 二〇一六年夏季オリンピック開催候補地の一つに東京都が選出されましたが、石原知事が進めるオリンピック招致は、とんでもない税金の浪費につながるものであること。つまり、招致経費は既に当初の三倍の百五十億円に膨れ上がり、オリンピック招致をてこにした大型幹線道路や大型箱物などの投資は九兆円規模になること。さらには、オリンピックのメディアセンターをつくるために、築地市場を土壌汚染が重大となっている豊洲に無理やり移転させようとしていることなどが全く隠されたまま選考されていることです。
 そこで、まず、選考四都市中一位となったといいますが、どういう選定方法によるものであるか。先ほども説明がありましたけれども、この申請ファイルについてのIOCの作業チームからの内容についての質問や、また現地調査があったのでしょうか。

○中村東京オリンピック招致本部招致推進部長 四都市の選定方法についてのご質問でございますが、立候補都市の承認は、オリンピック憲章に基づくIOC理事会の権限でございます。IOC理事会は、各都市からの申請ファイル、そして専門家などにより構成された作業部会の報告書などを参考に立候補都市を決定いたします。
 IOCの作業部会の決定に当たりましては、申請ファイルはもとより、IOCの専門家たちがさまざまな資料を収集いたしまして、その中で決定されるものでございます。
 なお、二〇一六年オリンピック競技大会については、七都市の申請都市の中から、東京を初めとする四都市が、六月四日のアテネで開催されたIOC理事会において決定されたものでございます。

○松村委員 要するに、七都市から提出された申請ファイルに基づいてそれを評価するということであり、実際には、聞き取り調査とか現地調査が一切やられていないと。確かに評価レポート、この中には専門家からの意見も聞くということがありますけど、ただその一行で、具体的にはどういう形でやられたかといえば、専らこの申請ファイルに基づくものでありますから、つまり高く評価されるようなプランをつくって提出すれば、それがそのまま評価されるということになるのです。
 東京のプランも、まさにそのたぐいのもので、申請ファイルとIOCの評価、現実の実態とは大きく乖離し、それがIOCに正しく伝わっていないということにほかなりません。唯一、ありのままに写し出されたのが世論調査です。世論調査、もちろん事実のごまかしようがなく、七都市中六番目の低さということが明らかとなったのです。
 そこで、幾つかの事例で伺いますが、まず、一般的インフラ、競技会場で、既存の輸送インフラの充実や計画中の輸送インフラの実現可能性、または既存施設の利用度や会場配置の合理性などが高い評価となっておりますけれども、インフラ整備費と競技施設整備に幾らかかるのですか、お聞きします。

○藤井東京オリンピック招致本部参事 申請ファイルに記載されましたインフラの総事業費ということでございますけれども、輸送の関係で申し上げますと、申請ファイルに記載したものにつきましては、「十年後の東京」等において計画されておりますインフラ整備の中から、大会の開催に直接的に必要とされるインフラのみを記載してございます。
 具体的には、既存インフラの改良工事にかかわる事業費は、臨港道路などの整備費として一千億円、計画中のインフラ整備にかかわる事業費は、首都高中央環状線、首都高環状品川線などの整備費として九千五百八十億円、総事業費といたしましては一兆五百八十億円と記載してございます。

○中嶋東京オリンピック招致本部計画調整担当部長 申請ファイルにおける競技会場の整備費につきましては、申請ファイルの巻末に、競技会場に係る表が掲載されてございます。この中で個々の競技会場の整備費を記載しておりますが、これらに記載されております整備費の合計は、恒久施設整備費が二千三百三十八億円、仮設整備費が百二十三億円でございます。
 ちなみに、評価レポートについてのお話でございますけれども、他都市におきましては、例えばシカゴが、会場の建設予算が低く見積もられており、吟味を要するというような指摘を受けてございます。
 また、リオデジャネイロにおきましても、整備費関係におきましては、追加で建設される十二会場のコスト、工程及び資金の管理が必要であると。それぞれ他都市につきましても、こういった今後の課題を指摘されておりますが、東京につきましては、そのような課題についての指摘は一切ございません。

○松村委員 インフラ整備費で一兆五百八十億円、競技施設でも、合計しますと三千二百四十九億円といいますが、今の都民生活を考えたら、私はとんでもない金額だと思います。この莫大な経費を一体だれが負担するのですか。

○藤井東京オリンピック招致本部参事 輸送インフラにつきましては、もともと都市に必要なインフラということで、例えば「十年後の東京」などの計画に既に載っているものについて記載してございます。したがいまして、各事業の中で実施されるというふうに認識しております。

○松村委員 答弁になっていないと思うんですね。どこがというか、だれが負担するのかと。確かに、この申請ファイルの表を見れば、国とか民間とか東京都とかいうことがありますけれども、例えば国といっても、インフラ整備費も、中央環状品川線を見てもわかるように、本来国でやるべきものまで都が負担する羽目になっているようで、本当に当てにならないものですね。競技施設に至っても、盛んに石原知事は国に出してもらうといっていますが、既に閣議了解ではっきりしているように、主要施設の二分の一以内ということなんです。しかも、国も国立霞ヶ丘競技場や代々木公園競技場などの改修計画があるようですから、どこまで当てにできるかわかりません。メーンスタジアムはすべて都費の可能性が高いといわなければなりません。
 仮設費用はすべて大会経費といいますが、赤字になったらその保証もありません。だれがその負担をするのでしょうか。だからこそIOCも、赤字になったときは政府が責任を持ちますとの政府保証を求めているのではないですか。もう一回、先ほどありましたけれども、政府保証は出るのですか。

○藤森東京オリンピック招致本部参事 先ほど答弁をさせていただきましたが、財政保証を含めまして政府保証については、オリンピック招致について絶対必要不可欠なものでございます。現在、国と鋭意協議をしておりまして、必ずや財政保証等の保証を取りつけるということになっております。

○松村委員 政府保証の出る保証があるかどうか、大阪の事例もあります。結局、赤字や莫大な費用は、インフラや競技場整備も含めれば、もうおっかなくて、私だったら本当に--政府の気持ちもわかりますよね、ちゅうちょしているのが。それがなければ、これは全部都民への負担となることは明らかではありませんか。
 競技施設整備費は三千二百四十九億円としていますが、これには主要三施設の用地費が含まれていないんです。そして、いよいよ大問題となってきた豊洲の汚染対策費、また豊洲の土地購入費、当然オリンピック関連費用として見込まなければなりません。それに恒久施設の維持管理費などを含めれば、我が党の試算によると、競技施設だけでも二兆円に迫る競技会場費がかかるオリンピックとなるのです。
 それに加えて、インフラ整備費も一兆五百八十億円でとどまらない危険が高いのです。「十年後の東京」計画は達成されるといっているのです。しかし、外環道路整備費は入っていません。また、石原知事が検討構想としている高速道路多摩新宿線や羽田-築地トンネル、これらを入れれば、インフラ整備費、これも我が党は試算いたしましたけれども、七兆二千億余もかかるんです。その事実を隠して申請ファイルでIOCに説明していることは、東京の道路は、都心部まで高速道路が整備されるなど高密度な道路ネットワークへと進化している、または世界最高の水準にある東京の鉄道インフラは、安全性、快適性を高め、輸送力を増強するために、さらなる整備が進められていると、そういうことが描かれているんです。そして、輸送インフラは、現在の規模に加えて、「十年後の東京」の計画達成が十分見込まれるので、十分な規模が見込まれる、大規模な投資が行われる追加のインフラ整備はないとしているんです。
 ところが、東京の実態は、石原知事の都市再生や一極集中で、都心の車の慢性渋滞、耐えがたい通勤通学地獄が続いているのが現実ではありませんか。石原知事は、本来都市再生や一極集中を抑えるべきなのにそれをやらずに、オリンピックをてこに、三環状だ、インフラ整備だと、まさにそういう莫大なむだ遣いをやろうとしているのです。
 そこで、一般インフラの項にメディアセンターの立地条件、後利用がありますが、どう評価されたのでしょうか。

○藤井東京オリンピック招致本部参事 メディアセンターについての評価レポートでございますけれども、IBC、MPCですけれども、ともに基本計画は良好で、オリンピック会場にも近接、ただし、予定地内の施設配置計画については詳細が不明という指摘がされております。

○野村委員長 松村委員のご質問の中に、「十年後の東京」、既存計画について触れていますので、大原知事本局長、ご説明をお願いします。

○大原知事本局長 松村委員ご指摘のように、二〇一六年のオリンピックが開催をされたときに「十年後の東京」に記載をされているいろいろな事業でもって完成をしたインフラが使われるということはあると思います。ただ、それは、万が一オリンピックが招致できなくても、「十年後の東京」の計画に基づいて着々と実施すべき事業でございますので、二〇一六年にオリンピックがあった、そのときに使われた道路が全部オリンピックのために整備されたというふうには私どもは考えておりません。

○松村委員 都民生活が大変なときに、そういうインフラを含めた開発計画の是非が問われている。しかし、今はそれがオリンピック、オリンピックだということで、まさにそれをてこにしてやっているところに大きな問題があるわけで、今、道路特定財源の問題も国でいろいろあります。やっぱり都民本位でよくその是非について検討しなければならないのにそういうことをやろうとしていない、今の答弁は全く私は本末転倒だというふうに思います。
 そこで、今メディアセンターについては、IOCは築地市場の移転問題について知れば、オリンピックメディアセンターのために築地市場を土壌汚染にまみれた豊洲に移転させることなど、オリンピックの名を汚すもの以外の何物でもないと、私は評価されないというふうに思います。メディアセンターについてはどう対応するのか。先ほどの答弁では、七月の専門委員会の結論を待っている状況といいますけれども、私は、それはおかしいのではないかと思います。環境のオリンピックというならば、豊洲の土壌汚染がはっきりしてきたのだから、まず、やめにしたというべきではないでしょうか。知事は記者会見で、メディアセンターの建設予定地としては築地にこだわらない、それはほかにもありますからと発言しているんです。あそこでなければならない何か理由があるんですか。

○野村委員長 中央卸売市場がいないから、招致本部でご答弁願います。

○藤井東京オリンピック招致本部参事 先ほどもご答弁しましたが、現在、中央卸売市場の設置いたしました専門家会議で検討中でございます。この専門家会議の提言は七月に予定されておりまして、それを受けて都としての具体的対策をまとめると聞いてございます。したがいまして、本部といたしましては、この会議の議論や中央卸売市場での検討の動向を踏まえ、メディアセンターの計画を進めてまいります。

○松村委員 これも申請ファイルで、環境の先駆者だ、すべて環境優先のオリンピックだというふうにうたっていながら、豊洲の土壌汚染はどうなんですか。まさに築地の跡地を利用するから、そこが問題だということが、事実がはっきりしてきたんですよ。そういう事実があるんだったらば、やっぱり環境のオリンピックというんだったら、都民や国際的にこういうことで明らかにするんだったら、まずそこの点をオリンピック招致本部、招致委員会が判断しなければならない問題ではないでしょうか。
 次に、競技施設についても、IOCより評価を得るためにコンパクトにした、三十一会場のうち二十一会場が既存施設で、一九六四年の東京オリンピックのレガシーの持つすばらしさを今も示しているなどとしています。しかし、半径八キロ以内におさめたという東京の競技施設計画は、知事は、東京の計画は公園は一つもつぶさないといいながら、公園の有効利用であると開き直る公園つぶしの配置計画です。申請ファイルで明らかにされた計画では、代々木公園を初めとし、公園に与える影響、また仮設使用においても公園が大きな犠牲になります。恒久施設と仮設を合わせれば三十三万八千平米、約四十ヘクタールも公園がつぶされる計画が石原知事の進めるオリンピックです。
 一九六四年の東京大会は、選手村をつくった代々木公園にしても、織田フィールド、駒沢公園など、公園をつくって競技施設などをそこに配置して、跡を公園としてレガシーで残しました。石原知事の計画とは理念、考え方が大きな違いではありませんか。公園を一つも減らさないとの公約はどうなったのですか。お答えください。

○中嶋東京オリンピック招致本部計画調整担当部長 競技会場としまして緑豊かな公園を積極的に活用することは、アスリートたちに最高の力を発揮できる舞台を提供するものでございます。公園に恒久施設として設置をする競技会場は、公園施設として設置するものでございまして、何も公園の中に住宅ですとかオフィスビルを建てるというようなことではございません。オリンピックのときには注目される会場になりますし、またオリンピックの後には、都民が多く利用する体育施設になるということで、やはりこれは緑豊かな公園の中にあるということが非常に大きなコンセプトになるというふうに考えてございます。したがいまして、競技会場を公園の中に建てるという計画は、公園の面積を減少させるというものではありませんで、むしろ公園の機能を増進させるというふうに私どもは積極的な活用を考えてございます。

○松村委員 とんでもない答弁だと思いますよ。大体、だって、公園の緑やグリーンをつぶして建物を建てるんですよ、幾ら競技会場だといっても。ここから排出されるCO2はどうなんですか。今、環境が、地球温暖化が大問題のときに、公園を四十ヘクタールも減らして、そこに競技会場というか、建物を恒久的、またはそういう施設を仮設なんかでつくって、減らすんですよ。それでどうして環境に最も--トップランナーが走るような、そういう計画というふうにいえるんですか。
 最後にもう一つ、時間がないので。ほかにもいろいろ聞きたいんですけれども、オリンピック選手村、これについても高い評価を、一位の評価を得ておりますけれども、大体これ、四十九階建ての高層棟三棟、三十六階建ての高層棟二棟などの計画で、これは国内選考時、福岡と争ったときに、JOCから、高層棟については、IOCの評価を得るために課題を残していると指摘されましたよね。そうしたら、申請ファイルで九階以下が選手の宿泊施設といいました。一体いつこれを変えて、どういう選手村の計画となっているんですか。全く私たちには示されておりませんし、これがIOCにどう示されてその評価を得たというのでしょうか。矛盾しているんじゃないですか。

○藤井東京オリンピック招致本部参事 選手村についてでございますけれども、申請ファイルでは、選手村について、選手の移動時間の公平性の観点から、選手の宿泊は建物の九階部分まで使用するなど、今後施設計画を策定するに当たっての基本的な考え方を述べております。
 選手村の具体的な建築計画などにつきましては、現在検討を進めており、立候補ファイルの中で定めてまいります。

○中村東京オリンピック招致本部招致推進部長 選手村とあわせまして、一言答弁させていただきます。
 先ほどからIOCの評価は申請ファイルのみというような形でいわれておりますけれども、先ほど申し上げましたが、申請ファイルをもとに、それからIOCの委員、専門家がそれぞれ独自の調査を行っております。ですから、これは申請ファイルだけではなくて、IOCが独自に調査をした結果であるということはご認識いただきたいと思います。

○松村委員 選手村だって、最初に出した高層棟の計画が全然通用しないで、抜本から変えなきゃならない。今検討中だという。検討中で、ただ記載が、九階以下にするんだとか、こういう宿泊施設だというようなことを言葉で書けば、それがそのまま一位となってきているということにほかならないではありませんか。
 まあ、それだけを指摘しておきますし、それから最後に、安全確保や安全対策について、治安や対外警備による安全の確保は当然としても、世界で起こり得る自然災害発生の四割は日本が占めている現状からいっても、とりわけ今後三十年間以内に首都直下地震の発生が七〇%で起こるという震災対策はどうするのですか。地震を初めとする自然災害から世界のトップアスリートや観客の安全をどう確保するのかが、東京の場合、最大の課題であるといわなければなりませんけれども、その計画はこれに示されてないんですよね。それでもって、テロリストだとか、それは世界ではテロリストとか会場の安全性が最優先されるけれども、やっぱり本当の安全対策というんだったら、そのことがきちっと示されて、フェアにそのことを評価してもらう、そういうことが大事なのではないでしょうか。
 いずれにしても、以上何点かをただしましたが、これほどさように実態と全くかけ離れた計画を出して、一位という評価をもらったにすぎません。こんなごまかすやり方はオリンピックのフェア精神に反するものです。これは一番やってはならないことを厳しく警告して、きょうは残念ながら、後でたぞえ議員の質問がありますので、終わらせていただきます。

○中村東京オリンピック招致本部招致推進部長 地震対策について一言答弁させていただきます。
 IOCは、申請ファイルでは地震対策について各都市にその回答を求めてはおりませんが、IOCの作業部会の評価レポートでは、東京は地震対策の基盤が整っていると評価しております。今回こうした評価を得たことは、IOCが客観的に東京の地震対策について安全であるということを公式に認めたものというふうに申し上げます。

○野村委員長 では、たぞえ委員さんですが、持ち時間の残りはおおむね十分程度ですので、その確認をさせていただきます。

○たぞえ委員 第一次選考で東京を含む四都市が選ばれましたが、世論の支持は、一次通過四都市で最下位、六割を切る低調ぶりでした。石原知事は、君らのせいだ、メディアが足を引っ張るからこうなる、マスコミが原因だと反発していますが、知事本局のあなたたちもそう思っているんでしょうか。知事本局長、どうですか。

○大原知事本局長 知事が記者会見でも申しておりますように、やっぱり日本の国民性といいますか、それは、本当にオリンピックを持ってくるんだ、あるいは立候補都市に一番で選ばれた、こういう事実があれば、日本の国民はぐっと燃えてくるというふうに知事も申しております。私どもも、こういう日本人のいわば心情的な特性というものも十分考えて、これから招致機運を精いっぱい盛り上げていきたいというふうに考えております。

○たぞえ委員 知事の発言と知事本局長の考えは一致しているのかどうか、そのことを聞いたんですよ。マスコミの見解、メディアの見解。

○大原知事本局長 マスコミ云々という話が今ございましたけれども、やっぱり知事も、日本人の特性あるいは東京の人間の心情的な特性も考えて、客観的な、あるいはみんなでオリンピックを持ってくるという機運の盛り上げについて、マスコミの皆さんにも、知事独特の言葉で協力をお願いしたんだというふうに考えております。
〔「協力要請したんだよ、表現は違えども」と呼ぶ者あり〕

○たぞえ委員 明らかにメディアが足を引っ張っているという表現をしているんですよ。協力要請しているといっても、原因はマスコミだという指摘をしている発言が残っていますよ、記録に。私はそもそもマスコミのせいで低調になったというふうには思いません。例えばパンも牛乳も、それからバターも値上げして、毎日皆さん買い物して苦しんでいる。後期高齢者医療制度、お年寄りの負担がふえた。派遣や請負、安い賃金で働く若者がふえていますよ。そういうときに都民の生活実態は、オリンピック招致という方法では解決できない、そういう状況にあるんじゃないでしょうか。
 六月五日付の日本経済新聞、こう書いていました。巨額な税金が投入されているが、都民が本当に開催を望んでいるのかどうか疑問だと、都の職員の話です。これが今の都民感覚だと思います。暮らしが大変なときに何がオリンピックか、ほかに優先すべき社会問題がある、税金の使い道として不適切、これは招致本部がやった世論調査の中身に出てくる答えです。ですから、六月六日、朝日新聞の都の幹部の声は、マスコミのせいだと思わないと、こう語っていますよ。メディアに原因を求めるのは、都民生活から大きく逸脱している。現実を、その低調ぶりという事実をどう分析するかというものがない。ある部分に責任を負わせるなんていうやり方は大変ひどいというふうに初めに申し上げたいと思います。
 次に、私は、招致経費の百五十億円の使い方について絞って伺いたいと思います。
 都は、招致をする際から、民間主導でやるから税金は使わない、このようにいってきました。招致委員会は、その収入を確保するため、民間からの協賛金を十九年度はどう見込んでいたんでしょうか。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 十九年度の予算でございますけれども、民間からの資金でございます寄附金収入につきましては五億五千万、それから協賛金等のマーケティング収入は一億五千五百万円です。

○たぞえ委員 〇七年度の招致委員会決算で、民間からの協賛金の実績はどうだったんでしょうか。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 寄附金収入の十九年度決算でございますが、四億八千五百万円、マーケティング収入、これが七千百万円でございます。

○たぞえ委員 その金額の個人と企業の数、口数は幾らですか。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 十九年度の寄附金四億八千万円の、企業数で六社でございます。それから、マーケティング収入、これは協賛金でございますが、これにつきましては、協賛金は六社、そのほかにロイヤルティー収入等二社ございます。

○たぞえ委員 収入十一億円に対しての経常支出はどうだったんでしょうか。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 経常支出につきましては、十六億八千百万円でございます。

○たぞえ委員 十六億八千百万という答えでしたが、収支のバランスでは、招致委員会は五億五千万円の予算オーバーになっているんじゃないですか。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 経常収支差額は、先ほどご答弁させていただきましたけれども、マイナス五億五千万円でございます。これにつきましては、民間収入の歳入の手続、この期の手続上のことから赤字になりましたけれども、当初予算でも四億七千七百万円のマイナスを見込んでおりました。

○たぞえ委員 招致委員会の招致活動、推進活動経費のうち、ムーブメント推進経費五十億円をすべて民間資金に依存する、こういう計画であったわけですが、実際、今の答弁でも、〇七年の招致委員会は民間からの資金が全部集まらず、赤字決算であります。税負担はないといっていたのに、明らかに、この決算書を見てみますと、補助金等収入という表現と金額が入っています。例えば十九年度決算では六億一千万円、都からの補助金が入ってきた。税金は使わないといっていたのに、こういう決算の結果です。
 この決算を見て、二つ思います。一つは、民間のお金が集まらなくても税金の投入が行われる。もう一つは、予算があってもないようなもので、使い放題。こんなやり方がまかり通るんでしょうか。東京都は、福祉予算は決算で不用額を残して、予算が足らなくて困っている特養ホームには差し伸べられない。しかし、オリンピックという事業ならば何でも使える。それを都民は一体納得するでしょうか。こんな状態だから、個人や法人寄附金調達組織を創設するという、そういう手も出さなければならなくなったと思います。
 民間から資金が来ないのは、信用調査会社帝国データバンクが五月に実施した企業意識調査でも事実が物語っています。日本での五輪開催が経済活性化に有効と答えたのは五五%で、半分です。民間企業からの資金が集まらない、来ない。だから、二十年度予算でも補助金収入を十二億円充てているのではないでしょうか。まさに際限のない税金投入、こういうことは、まるで新銀行と同じだというふうに実感をするものです。仮に丸々税金をどぶに捨てるようなことになりかねないということを指摘して、次の質問に移ります。
 都民の支持を得る上で行っているムーブメントがありますが、区市町村オリンピックムーブメントについて伺います。
 オリンピズムを普及させるため、六十の区市町村に対して六億二千万円、一自治体百万円の経費を委託するというわけですが、そういう事業は都の事業の中でほかにあるんでしょうか。そこだけ答弁してください。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 民間資金の調達状況でございますけれども、先ほどご答弁しましたが、予算五十億円のうち四十億円のめどがついてございます。ただ、相手方の契約により、資金の歳入手続、この関係で十九年度末では、先ほど申しましたように寄附金で四億八千万、協賛金で七千百万ということでございますので、民間資金につきましては十分見込みができるということでございます。
 それから、サポータークラブの話も出ましたが、これはいわゆる協賛金の制約にかかわらず、ぜひとも賛同したいという企業、個人がおりましたので、新たな制度として設けたものでございます。

○重田東京オリンピック招致本部参事 都と区市町村によるオリンピックの共同推進事業に類似したというご質問でございますけれども、申しわけございませんが、私、今ちょっと把握をしておりません。

○たぞえ委員 四十億円めどがついたといっても、現金が入ってこないじゃないですか。収入が確実に現金で予測されて、そういうもとならば執行があるでしょうけれども、現金がいつ入ってくるかわからないもとで支出だけが先行するというのは会計上おかしいと思います。
 もう時間がないので、次に行きます。
 今の区市町村ですが、この申請は上限いっぱい一千万円出す、こういう内容です。補助率がありません。手を挙げているところはありますか。

○重田東京オリンピック招致本部参事 これまで、六十二のうち五十六の区市町村から多くの事業計画が提出されております。

○たぞえ委員 しかし、それは区市町村のさまざまな事業に全部使えるわけではない。オリンピックに関連しなければ執行できない、こういうものであります。まさに竹下内閣時代の創生一億円の小型版、焼き直しであるというふうに私は思います。
 最後に伺いますが、知事は、昨日の所信表明で、新たなスポーツ振興基本計画をこの夏策定すると語りました。既に基本計画、基本理念実現の目標が設定されていますが、オリンピック競技大会で東京都出身選手のメダル獲得数、この案が出されています。十個です。メダル十個目標、これはオリンピックの精神をゆがめるものであると考えますが、見解を伺います。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 スポーツ振興計画は、生活文化スポーツ局が現在所管しているものでございますが、現在、外部有識者等から成ります東京都スポーツ振興審議会におきまして検討が進められております。現時点で計画の内容が確定していませんので、その辺についてはお答えできませんけれども、私個人的には、オリンピックに参加するアスリートがメダルを目指すのは当然のことと考えてございます。

○たぞえ委員 国際オリンピック委員会副会長の猪谷千春さんはこういっています、「オリンピックのすべて」というこの著書の中で。オリンピック競技大会は、四年に一度世界じゅうの若者が一堂に会し、スポーツを通じて心身の調和のとれた人間を育成し、相互理解と国際親善を通して平和な社会の実現に寄与すると述べて、さらに、このような思想を十分理解してムーブメントを展開する必要がある、さもないと、オリンピックヒーローやメダルにしか関心のないオリンピック愛好家を育てることになりますと副会長は警告しています。いわばムーブメントは何だ、一体どういうことなのか。それはオリンピックのためのものではなく、東京都の十六年度スポーツ振興審議会が示した提言でも書いてありますが、だれもが、いつでも、どこでも、いつまでも、スポーツを楽しむことができる社会を目指す、そのためにさまざまな誘導策を設けることが最もスポーツの精神である、私はその言葉を改めて読んで、今都が推進しているオリンピックのムーブメントというのは、まさにメダル獲得のための競技、こういうことになりかねないということを指摘して、質問を終わります。

○野村委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後二時六分散会

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