オリンピック招致特別委員会速記録第十号

平成二十年一月三十日(水曜日)
第十二委員会室
 午後一時二分開議
 出席委員 二十三名
委員長野村 有信君
副委員長三宅 茂樹君
副委員長中嶋 義雄君
副委員長土屋たかゆき君
理事石川 芳昭君
理事曽根はじめ君
理事川井しげお君
理事吉野 利明君
理事大沢  昇君
西岡真一郎君
村上 英子君
串田 克巳君
斉藤あつし君
大西さとる君
長橋 桂一君
高島なおき君
鈴木 隆道君
大西由紀子君
松村 友昭君
鈴木貫太郎君
高橋かずみ君
田中  良君
名取 憲彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
東京オリンピック招致本部本部長荒川  満君
次長松田 二郎君
技監福島 七郎君
企画部長並木 一夫君
参事重田 敏光君
招致推進部長中村 長年君
参事梶原  洋君
参事中嶋 正宏君
参事藤井 寛行君
知事本局局長大原 正行君
企画調整部長川澄 俊文君
企画調整担当部長小林  清君

本日の会議に付した事件
 二〇一六年に開催される第三十一回オリンピック競技大会の東京招致に関する調査審議及び必要な活動を行う
報告事項
・申請ファイルについて(説明・質疑)
・開催基本計画について(質疑)

○野村委員長 ただいまからオリンピック招致特別委員会を開会いたします。
 初めに、先般の人事異動に伴い、当委員会に出席する東京オリンピック招致本部の幹部職員に交代がありましたので、荒川本部長から紹介があります。

○荒川東京オリンピック招致本部長 初めに、都議会の皆様方のご協力をいただきまして作成いたしてまいりました申請ファイルを一月十日に提出いたしましたことをご報告させていただきます。
 今後もオリンピック・パラリンピック招致に向けまして職員一丸となって取り組んでまいりますので、引き続き都議会の皆様のご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
 次に、さきの人事異動に伴いまして変更のありました当本部の幹部職員を紹介させていただきます。
 招致推進部長の中村長年でございます。
   〔理事者あいさつ〕

○荒川東京オリンピック招致本部長 また、本日の報告事項及び先般の委員会で要求のございました資料につきましては、企画部長よりご説明いたします。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○野村委員長 紹介は終わりました。

○野村委員長 これより、第三十一回オリンピック競技大会の東京招致にかかわる事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取を行います。
 初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 それでは、私から、去る一月十日にIOCへ提出いたしました申請ファイルの内容及び昨年末に実施いたしました世論調査の結果につきましてご報告をさせていただきます。
 資料といたしまして、資料1、申請ファイルについて、資料2、世論調査の実施結果についてをお配りしてございます。これらの資料に基づきましてご説明をさせていただきます。
 まず資料1でございますけれども、申請ファイルについてをごらんください。申請ファイルは、IOCから八章、二十五項目にわたる質問に対する回答を取りまとめたものでございます。表の左上から下へ、Ⅰ章からⅧ章、記載してございます。
 第Ⅰ章は、動機、コンセプト、レガシーについて記載してございます。ここでは三つの質問がなされております。
 まず、オリンピック競技大会の開催日程でございますが、二〇一六年第三十一回オリンピック競技大会は、七月二十九日の金曜日から八月十四日の日曜までの開催といたしまして、パラリンピック競技大会は、八月三十一日、水曜日から九月十一日の日曜日までの開催といたしてございます。
 次に、動機とレガシーでございますが、東京大会は地球社会への贈り物である、スポーツを通じて人々に夢と希望を与えること、新しい都市モデルを提案し地球環境を再生することを開催意義としております。
 次に、コンセプトでございますが、東京大会は、成熟した大都市の中心で開催するオリンピックの新たな姿を提案するものでございます。資料の右上にございますように、特徴としまして、半径八キロメートル圏内のコンパクトな大会であること、東京の都心全体がオリンピックパークとなること、既存の競技施設の活用や公共交通網を最大限に活用した観客輸送などにより、環境への影響を極力抑えることとしてございます。
 第Ⅱ章は、政府等による支援についての記載でございます。ここでは三つの質問がなされております。
 まず、政府、国内オリンピック委員会、都市による支援でございますが、大会招致には、政府による閣議了解、地方六団体や都内六団体などによる招致決議など、国及び全国の自治体から積極的な支援を受けております。
 次に、招致委員会でございますが、招致委員会の組織と構成につきまして記載してございます。
 次に、法的側面でございますが、スポーツ関係法やドーピング対策などにつきまして記載してございます。
 第Ⅲ章は、財政について記載してございます。ここでは三つの質問がなされております。
 まず、招致予算でございますが、招致経費は五十五億円を想定しております。
 次に、八項目めのオリンピック競技大会予算でございますが、資料右下に記載のとおり、大会組織委員会予算はすべて民間資金により調達いたします。また、内閣総理大臣は、財政面も含めまして、オリンピック開催に対して総合的な支援を約束しております。
 なお、東京都の財政保証に関する保証書は、立候補ファイルの段階でIOCに提出することを予定してございます。
 次に、九項目めの組織委員会の歳入確保可能性でございますが、放映権料、トップスポンサー料を除き、組織委員会の運営経費は約千七百九十一億円を見込んでおります。
 第Ⅳ章は、会場について記載しております。ここでは三つの質問がなされております。
 まず、競技会場でございますが、全三十一競技会場のうち二十一会場を既存施設で、五会場を新規施設で、五会場を仮設施設で予定しております。
 次に、会場の立地でございますが、資料右側の地図をごらんください。オリンピックスタジアムを中心とする半径八キロメートル圏内の都心全体をオリンピックパークと位置づけ、競技会場は、ヘリテッジゾーンと東京ベイゾーンの二つのゾーンで構成されております。この両ゾーンが重なり合うところに結びクラスターがございます。資料右上のヘリテッジゾーンには、一九六四年大会のすばらしいレガシーを引き継ぐ代々木クラスターとパレスクラスターがございます。東京ベイゾーンには、夢の島クラスターと海の森プリシンクトがございます。
 次に、十二項目めの競技会場以外の施設でございますが、選手村及びメディアセンターの概要につきまして記載してございます。
 第Ⅴ章は、宿泊施設について記載してございます。ここでは二つの質問がなされております。
 まず、ホテルでございますが、IOCホテルの位置、ホテルの数、客室数と質につきまして記載をしてございます。
 次に、メディア向けの宿泊施設でございますが、メディア向けの宿泊施設の概要につきまして記載してございます。
 次に、第Ⅵ章は、輸送について記載してございます。ここでは五つの質問がなされております。
 まず、輸送インフラでございますが、輸送インフラである道路及び鉄道につきまして状況を記載してございます。
 次に、空港でございますが、成田や羽田など使用する空港の状況につきまして記載をしてございます。
 次の十七項目でございますが、これは地図でございまして、輸送インフラの状況につきまして地図上に記載しております。
 次に、輸送における課題でございますが、交通渋滞の解消やオリンピックレーンの設定などにより、大会時の選手、役員、メディア、観客の輸送を確実に行ってまいります。
 次に、距離と所要時間でございますが、主要施設間の距離、所要時間につきまして記載してございます。
 第Ⅶ章は、安全対策について記載してございまして、ここでは、資源と指揮系統について質問がなされており、セキュリティーの最高責任者、人的、物的資源につきまして記載してございます。
 第Ⅷ章でございますが、一般的条件、世論及び経験について記載してございます。ここでは、五つの質問がございまして、まず第二十一項目の人口でございますが、二〇〇七年の人口と二〇一六年の推計人口につきまして記載してございます。
 次に、環境でございますが、カーボンマイナスオリンピックの実現など、環境に関する取り組みにつきまして記載してございます。
 次に、気象でございますけれども、大会開催期間の気象、気温、湿度、風等について表により記載してございます。
 次に、世論でございますが、世論調査の実施につきまして記載してございます。後ほどご説明を、また別途させていただきます。
 最後の第二十五項目めの経験でございますが、過去の国際スポーツ大会の実績につきまして記載してございます。
 恐れ入ります。続きまして、資料2、世論調査の実施結果について、これをごらんください。この調査は、申請ファイルに記載するオリンピック競技大会開催に関する一般的な世論がどのようなものかを把握するために実施したものでございます。
 まず、調査の概要でございますが、平成十九年十二月一日から八日間を調査期間といたしまして、インターネット手法による調査を実施いたしました。対象者は、調査会社が提携するモニターから無作為抽出した東京在住者二千名、東京以外の四千名、計六千名の、十五歳から六十九歳の男女でございます。今回の調査は、自分の気持ちに最も近い場所をゼロから十までの十一段階から選ぶビジュアルアナログスケールを採用して実施いたしました。この方法は、個人の意識を細かく把握できることが特徴でございまして、医療現場を初め広く活用されているものでございます。
 次に、今回の世論調査の結果でございますが、開催の賛否につきましては、都民六〇%、国民の六二%が二〇一六年東京オリンピック招致に賛成をしております。左上のグラフでございます。認知率につきましては、都民の九五%、国民の八九%が二〇一六年オリンピックを東京が招致することについて知っていると答えてございます。観戦意向につきましては、右上のグラフでございますけれども、都民六八%、国民の六五%が東京で開催されますオリンピック・パラリンピックを生で見たいと答えてございます。
 以上、申請ファイル及び世論調査の結果につきましてご説明申し上げました。これをもちまして説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野村委員長 報告は終わりました。
 なお、本件に対する質疑は、次の報告事項の質疑とあわせて行います。ご了承願います。
 次に、報告事項に対する質疑を行います。
 なお、報告事項、開催基本計画については既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 去る十一月二十六日に開催の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明をさせていただきます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございますオリンピック招致特別委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 資料1、オリンピック招致に関連するイベント等についてをごらんいただきたいと存じます。
 まず、イベント開催例といたしまして、東京オリンピック招致委員会、東京オリンピック招致本部が主催、共催などを行いました主なイベントを、また、各局実施といたしまして、庁内各局が主催したイベントにおいて、ブースの出展、署名活動などオリンピックの招致機運を盛り上げるために活動を行った主なイベントを記載してございます。
 次に、主な招致機運盛り上げグッズの作成実績といたしまして、これまで招致機運を盛り上げるために作成いたしました主なグッズと作成数を記載いたしました。
 これらの事業を実施するに当たり、平成十九年度当初予算では、東京オリンピック招致本部一億円、東京オリンピック招致委員会六億円を計上してございます。
 次に、資料2でございます。変更した七競技、八会場の規模、変更理由等についてのご説明を申し上げます。
 このたびの申請ファイルの提出に当たりましては、一昨年六月に発表いたしました開催概要計画書と比べまして、馬術、サッカー、水泳、射撃、トライアスロン、セーリング、バレーボールの七競技につきまして、八つの競技会場を変更いたしました。本資料では、その変更いたしました八会場につきまして、競技会場の規模、変更理由等につきまして記載してございます。
 また、一ページおめくりいただきます。資料3についてでございますが、これは、その競技会場の変更の状況を図示したものでございます。
 最後に、資料4でございます。これは、オリンピックスタジアムの建設を予定しております晴海地区における観客輸送につきましてシミュレーションをしたものでございます。
 オリンピック会場計画の海外専門家による、対象となる十万人の輸送人員が一時間半以内で最寄りの交通機関まで移動できることが必要であるとの見解がありますことから、試算の結果、十分な輸送能力があることが確認されました。今後、さらなる調査、検討を行いまして、効率的かつ確実な輸送計画を策定してまいります。
 以上で、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、先ほど聴取いたしました報告事項、申請ファイルについてとあわせて、本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○村上委員 本年一月十日、東京都及び東京オリンピック招致委員会はIOCに対して申請ファイルを提出し、十五日、その内容を公表いたしました。また、都は、一月の十八日、平成二十年度予算の概要において、オリンピック招致予算等の今後の見通しについても発表いたしました。
 また、昨日と本日、渋谷の代々木第一体育館でハンドボールの再試合が行われております。三十二年ぶりに出場を目指したきのうの女子のハンドボールは大変残念な結果になりましたが、国民の皆様の関心は最高潮に達しております。
 本日は、こうした経過を踏まえ、申請ファイルの内容、招致予算、招致機運の盛り上げ等について、何点か質問していきたいと思っております。
 まず、申請ファイルの内容についてです。二〇一六年東京オリンピックの開催計画については、一昨年六月、開催概要計画書が発表されて以降、招致本部においてさまざまな検討が行われてまいりました。昨年十一月には、今回の申請ファイルに先立って、その内容の重要な柱である、主に競技会場の配置、施設整備費の見込み、晴海オリンピックスタジアムの観客輸送の三点について、開催基本計画として発表があったところです。
 これらについては、既に昨年十一月の総務委員会において我が党の鈴木隆道委員が質問をし、その考えをお伺いしてまいりましたが、我が党としては、この開催基本計画について、IOCなど世界から高い評価の得られる内容であると評価しており、招致に向け、できる限り応援していきたいと考えております。
 今般、この開催基本計画の内容を踏まえてIOCに提出された申請ファイルは、東京が国際舞台に打って出る最初の節目となる重要な意味を持つものと認識しております。そこで、今回は、開催基本計画の際の質疑と重複する部分もあるかもしれませんが、改めて申請ファイルの内容について質問したいと思います。
 まず、第一点目は、申請都市のファイルがこれで出そろったことになるわけですが、東京大会の特徴は何か、改めてお伺いいたします。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 申請ファイルにおきます東京大会の特徴でございますが、まず、東京の都心全体をオリンピックパークとしてとらえ、成熟した大都市の中心で開催する新しいオリンピックのあり方を世界に提案したことでございます。オリンピックパークは、一般に大会の中心となる競技施設を含む広大な公園のことを指しまして、シドニーや北京、ロンドンなどの計画に見られますように、郊外の再開発地区などにおいて新たに造成することが多いわけでございますが、東京の場合は、この都心のエリアそのものをオリンピックパークとして位置づけまして、まさに都市機能とオリンピックが一体となりました、いわゆるアーバンオリンピックとしての特徴を前面にアピールしてございます。
 次に、他のライバル都市にはない過去のオリンピック遺産の活用でございます。四十年以上も前の競技会場が現在でも数多くの国際大会に使用されておりまして、さらに、二〇一六年の大会におきましても、アスリートの活躍の舞台として未来に引き継いでいくことに世界は注目してございます。
 また、東京は、世界に誇る充実した交通インフラを有しております。また、オリンピックスタジアムを中心とした半径十キロ圏内に七万室以上のホテル客室を備えるなど、成熟した大都市ならではのすぐれた開催能力を有してございます。
 さらに、日本が世界に誇る環境技術を活用いたしまして、海の森を初めとした緑化を推進しますとともに、省エネ技術などを駆使した環境に優しいオリンピックを目指してまいります。
 こうした点も、今回の申請ファイルを通しましてIOCにアピールしているところでございます。

○村上委員 次に、競技会場のコンセプトに関してお伺いいたします。
 ただいまの答弁にもありましたように、昨年発表された開催基本計画において、オリンピックスタジアムを中心とした半径八キロメートル圏内に、射撃とサッカーを除くすべての競技会場を配置するとともに、今回の申請ファイルでは、この半径八キロ圏内のエリア全体を一つのオリンピックパークと位置づけ、成熟した大都市の中心で開催される新しいオリンピックのあり方を提案したところです。
 今回の申請ファイルでは、さらに、これらの競技会場を内陸部と臨海部の大きな二つのゾーンに分けるとともに、さらに五つのクラスターに区分するという考え方が示されています。
 そこで、今回のこうした競技会場の区分の考え方がどのような意義を有しているのか、また、どのような点でIOCにアピールするのか、その辺をお伺いしたいと思います。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 競技会場の区分の考え方でございますが、申請ファイルにおきましては、競技会場をヘリテッジゾーンと東京ベイゾーンの二つのゾーンに区分してございます。これは、二〇一六年の東京オリンピックが、ヘリテッジゾーンにおきまして過去の遺産を活用しつつ、東京ベイゾーンにおきましてはオリンピックを契機として新たな遺産を活用していくという東京のスタンスを明確に示すためでございます。
 過去のオリンピック遺産の活用と将来に向けたオリンピック遺産の構築は、いずれもIOCが重視している点でございまして、こうした姿勢を明確に示すことでIOCから高い評価を受けることができるものと考えてございます。
 また、クラスター化の意義についてでございますが、近接する複数の競技会場をクラスター化しますことで、運営諸施設、運営のための施設が幾つかございますが、そういったものの共有化ですとか、一体的なセキュリティー対策、安全対策、この構築など、運営面において効率化が図れますこと、さらには、エリア一体でオリンピックの祝祭ムードを醸成できるといったことから、同じくIOCが推奨しているものでございます。
 こうしたIOCの推奨する取り組みを積極的に取り入れることで、IOCから高い評価の得られる競技会場配置計画になったものと考えてございます。

○村上委員 次に、施設整備費についてお伺いいたします。
 施設整備費については、昨年十一月の開催基本計画発表の際に、恒久施設と仮設施設、それぞれの総額が示されたところですが、今回の申請ファイルでは、IOCの指示に従って、各競技会場が四つのカテゴリー別にリストアップされるとともに、各施設の個別の整備費が公表されました。施設整備費の積算はあくまでも現時点での試算であり、今後立候補ファイルの作成に向け、詳細に検討していく中で変更になる可能性も十分あるものと考えております。今般発表された東京の施設整備費は、他の申請都市に比べて高額であるとの情報もあります。
 そこで、施設整備費を積算するに当たっての基本的考え方についてお伺いいたします。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 施設整備に当たっての基本的な考え方でございますが、施設整備につきましては、IOCは可能な限り既存の会場の利用を優先いたしまして、レガシー、いわゆる遺産を残す必要がある場合にのみ新たに恒久施設を建設することを求めてございます。
 こうした観点に基づきまして、東京の計画では、大会の象徴でありますオリンピックスタジアムや、ボート、セーリングなどの水上競技施設など五会場を新たに恒久施設として整備することといたしました。
 具体的には、オリンピックスタジアムについて、最近の大会内容にふさわしい十万人規模で見込んでおります。これにつきましては、他の申請都市における観客席の、いわゆる常設観客席、仮設観客席という割合は不明でございますが、東京におきましては、この常設、仮設割合について今後検討いたしますことから、現在のところ、すべて常設として積算してございます。
 昨年、ロンドン大会におけるオリンピックスタジアムの概要が発表になりましたが、整備費につきましては、それと同程度でございまして、決して高くないものと考えてございます。
 また、オリンピックスタジアムにつきましては、避難経路の確保など、施設本体の整備に伴い不可欠な周辺整備についても施設建設費に含めて計上してございます。
 さらに、水上競技施設でございますが、大会後も水上スポーツのメッカとして、また、都民が水辺の憩いの環境に親しむレクリエーションの場として貴重な財産とすることを目的に、新たに整備するものでございます。
 東京の施設整備費につきましては、このような観点から、レガシーとしてふさわしい施設となるよう計画し、積算いたしました。
 なお、今後立候補ファイル策定に向けまして、競技会場の詳細につきましては、各国際競技団体との協議及びその承認が必要になってまいります。委員ご指摘のとおり、この過程で、より魅力的な、世界に勝てる計画とするために、個々の整備費については幾らかの変動も予想されるところでございます・
 また、施設整備費に関する他都市との比較でございますが、申請ファイルでは詳細が現在示されておりませんことから、現段階で比較することは困難であると考えてございますけれども、いずれにいたしましても、開催基本計画にも示しましたとおり、既存施設を最大限に活用いたしまして施設整備費を抑制しますとともに、国からの補助金や民間資金の活用を図ってまいります。

○村上委員 次に、招致予算についてお伺いいたします。
 申請ファイルには招致予算が五十五億円と記載されています。これはどのような考え方に基づき算出したのか、お伺いいたします。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 招致予算五十五億円の基本的な考え方でございますけれども、IOCの立候補受付手順書には、この招致予算に盛り込むべき具体的な予算項目の詳細は示されておりません。しかし、東京都は、国内招致活動などオリンピズムの普及啓発に要する経費は、オリンピックの開催の有無にかかわらず、その活動そのものが長期的な利益をもたらすものであることから、招致予算には含めず、IOCが求めてございます大会計画策定費、IOC委員の賛同を得るための国際招致活動費及び立候補申請料、立候補手数料の合計額を招致予算といたしました。
 また、経費負担につきましては、計画の決定や国際的な招致活動などを行う招致委員会と、計画案の作成や、国、区市町村との連絡調整などを行う東京都、それぞれの果たすべき役割に応じて積算をいたしたものでございます。

○村上委員 昨年十月、ローザンヌで開かれた申請都市セミナーでは、招致活動を通してどのようなレガシーを残すことができるかが重要であるとするIOCの考えが強調されたと聞いております。では、東京は招致活動を通して、日本そして世界にどのようなレガシーを残すことができるのでしょうか。高度な都市化や高齢化、成熟社会といった二十一世紀的課題を世界で最初に大規模に経験しつつある都市東京だからこそ、説得力を持つ発信ができるのではないでしょうか。
 すべての人々がスポーツを通じて健やかな生活を手に入れ、夢と希望を持って人生を送ることができる社会を実現する姿、また、深刻化する地球環境危機を最先端の環境技術や政策ノウハウを用いて解決する具体的な道筋を広く示していくことが、東京に求められているのだと思います。
 先般発表された平成二十年度予算原案では、オリンピック招致本部の予算が三倍にふえております。予算を有効に活用して、次代を担う子どもたちにかけがえのない財産を残すことができる招致活動を展開していただくよう、強く要望しておきたいと思います。
 次に、招致機運の盛り上げについてお伺いいたします。
 今後も都内におけるさらなる機運の盛り上げは重要であります。その際、どのような戦略で、どういったグッズを活用していくのか。効果的な手法を招致に携わる者が情報を共有して進めていく必要があります。しかし、ともすればこうした情報について、招致活動の一翼を担う私たちにも十分な情報提供がなされていない状況もありました。こうした点はぜひ改善を行っていただきたいと思います。
 世論の盛り上がりについて、先般の世論調査で六割を超えました。さらに高めていくために、私たち都議会は、二月の上旬から、行政やふるさと特使と連携して、すべての道府県を訪れたいと考えております。全国の道府県に対してオリンピックの開催意義や、もたらすものなどを伝えるとともに、招致への支援要請や協力依頼を行い、国を挙げた招致活動を展開する端緒としたいと思います。
 そうした中、都と招致委員会は、今後、招致機運の盛り上げをどのように展開していくのか。また、先般の世論調査についても、質問項目を明らかにし、客観性を高めていくべきと考えますが、あわせてお伺いいたします。

○重田東京オリンピック招致本部参事 ことしは、立候補都市の決定、北海道洞爺湖でのサミット、北京オリンピック・パラリンピックなど、世界の注目が集まる大きな催しがメジロ押しでございます。国内外におきますあらゆる機会をとらえまして、全力で招致活動に取り組んでまいりたいと考えております。
 まず、国内におきましては、世論の一層の賛同を得ることを目指しまして、都内区市町村との連携をより強化いたしまして、共同してオリンピズムの普及活動に取り組み、招致機運や開催への期待感を醸成していきたいと考えております。
 また、全国レベルでの浸透を図るため、都議会のご協力もいただきながら、全国の自治体に働きかけまして、広がりのある国内キャンペーンを実施してまいりたいと考えております。
 次に、海外におきます招致活動でございますけれども、現段階は解禁される前でございまして、活動に制約がございます。しかし、手をこまねいていることなく、東京開催の意義やオリンピックがもたらすものなどにつきまして世界の理解を求めていく必要があると考えております。そのため、IOCの規約等を遵守しつつ、国や民間におきます海外のさまざまな情報、人的、組織的チャンネル等を活用しまして実質的な活動を行い、他のライバル都市との競争に勝ち抜いてまいりたいと思っております。
 また、ご指摘いただいた招致活動におきます戦略や情報の共有化につきましては、至らない部分がございました。早急に今後の招致戦略を構築しまして、積極的に情報を提供するとともに、都議会とも手を携えて招致活動を強力に展開してまいりたいと考えております。
 また、世論調査の質問項目についてでございますが、主なものといたしまして、東京オリンピック開催の支持率、開催基本計画の内容の認知度、また、東京オリンピック開催の認知度、東京オリンピック開催効果の認知度、ロゴマークの認知度など、客観性を高めるため、今後公開をしてまいりたいと考えております。

○村上委員 開催基本計画や申請ファイルの公表、予算の大幅な増額など、オリンピック・パラリンピック招致への基盤も整いつつありますが、その中で職員の意識がいま一つ盛り上がっていないように感じます。都庁のかなめである知事本局長に、今後の取り組みについてのご決意をお伺いしたいと思います。

○大原知事本局長 オリンピックの招致活動でございますが、今月の十日に申請ファイルを提出いたしまして、これからがいわば正念場でございます。これに伴いまして、都民の招致機運をより一層盛り上げていかなければならないというふうに認識をしております。これまでも都庁各局では、オリンピック招致本部と連携をいたしまして、局主催の行事や会議においてオリンピック招致のPR活動を実施してきたところでございますが、ご指摘のように、これからはさらに都庁職員の意識を向上させまして、いわば職員一人一人が招致大使のつもりで都民に熱意を伝えていくことが不可欠であるというふうに考えております。
 知事本局といたしましては、さきに発表いたしました「十年後の東京」への実行プログラムにおきまして、都民、国民全体で盛り上げるオリンピックムーブメントを主要事業の一つに位置づけたところでございまして、各局が組織の垣根を越えて、隣の組織が何をしているのかを常に気にかけるなど連携を密にいたしまして、さまざまな機会をとらえて全庁を挙げてのPR活動が展開できるように体制を整えてまいりたいというふうに考えております。
 その一環といたしまして、例えば、東京マラソンなどの大規模なイベントですとか、緑の東京募金などの都民に協力を求める施策の実施に連動いたしまして、職員がみずから町に出てオリンピック招致を訴える場を積極的に設けることが必要だと考えております。
 今後とも、所管の副知事であります谷川副知事のもとにオリンピック招致本部をバックアップをいたしまして、これまでにも増して都庁職員が一致団結してオリンピック招致活動に取り組めるよう、知事本局としても庁内の意識を一つにまとめていくべく最大限努力をしてまいりたいと思っております。

○村上委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 また、今回申請ファイルを提出したことで、正式に国際舞台に立つこととなりました。国際競技での勝機を含め、実施部隊の隊長である東京オリンピック招致本部長、決意をお願いいたします。

○荒川東京オリンピック招致本部長 昨年夏にIOCに立候補を表明いたしましたけれども、その後、閣議了解、地方六団体の決議、世論の盛り上げ活動、そして、このたびの申請ファイルの提出と進んでまいりました。ここまで参りましたのも、当委員会を初め都議会の先生方のご支援があったればこそと、心から感謝申し上げる次第でございます。
 今後、招致活動は本格化していくわけでありますけれども、招致獲得のポイントは、なぜ東京が再びオリンピック・パラリンピックを開催するかと、この答えを明確に全国や世界の人々に示していくことであるというふうに考えております。その答えの大きな柱として、一つは、まさに危機に瀕する地球環境を救うために世界都市を代表する東京がオリンピック・パラリンピックを開催しまして、地球環境を大切にした都市のあり方と、IOCが求めております地球環境に優しいオリンピック・パラリンピックの新しい姿を世界に示していくことであるというふうに思います。
 もう一つは、金メダルを争うトップアスリートだけではなくて、年齢、性別、障害の有無に関係なく世界のすべての人々が心を一つにしまして、スポーツを楽しみ、感動し、将来の希望につなげていくことができますように、新しいオリンピック・パラリンピックの姿を、まさにスポーツ振興を今後の都市政策の重要な柱のテーマの一つにしておりますこの東京において示していくことであるというふうに思っております。
 これらの二つを柱にしまして、具体策を明らかにし、全国、世界に訴えれば、必ずや人々の心を動かし、IOC委員の票を獲得できるというふうに信じております。現在、その具体策の詰めを行っているところでございますけれども、いよいよことし六月初めには立候補都市が選ばれまして、国際活動が解禁され、国際競争の火ぶたが切って落とされます。七月の洞爺湖サミット、八月の北京オリンピック・パラリンピック、そして十月の大都市気候変動会議など国際的な行事がございます。そういった機会をとらえまして、また、海外にも積極的に出かけていきまして、オール都庁、オール東京、オール日本が連携して、東京オリンピック・パラリンピックをアピールしてまいりたいというふうに思います。そのためには、来るべきIOC総会でのプレゼンも含めまして、解禁後の国際活動を全力で走るための準備を今から進めてまいります。
 そして、都議会の絶大なるご支援をいただきながら、知事本局とも連携をいたしまして、区市町村、全国自治体、国、経済界と一緒になって盛り上げ活動に拍車をかけてまいります。重ねまして、当委員会の先生方のご支援を心からお願い申し上げます。

○村上委員 大変今は厳しい状況の中ではありますけれども、今お話があったように、北海道洞爺湖サミット、北京オリンピック・パラリンピックの競技大会など、あらゆる機会をとらえて、東京オリンピック・パラリンピックの東京開催の意義や目標などを広く世界に理解が得られるように積極的な招致活動となるよう、ともに頑張っていきたいと思います。
 ありがとうございました。

○斉藤委員 それでは、申請ファイルについて幾つか質問をさせていただきます。
 今回の申請ファイルの原文と日本語版を見せていただきました。まず、全体を読み進むうちに最初の入り口のところの、特に02の動機とレガシーのところで、ちょっとおやっと思いましたので、伺います。
 動機とレガシー、02については、これまで見ていた文章と大きな差はないようです。
 また、もう一つ気になったのは、全体を見て、割と抽象的な言葉が多いなと、形容詞が多い表現になっているなという印象を受けました。逆に、私以外の人にも見てもらったんですが、ややもすると、ちょっとイメージが具体的なものがつけにくい、そういった文章になっている、これでいいのかな、そんな感想をいただきました。
 そこで、もともとのタイトルにもあります動機とレガシーというものは、一体どういうものだったらいいのか。特にレガシーという言葉について、余り日本ではまだ一般的ななじみのある単語という印象がありません。ですから、ひょっとしたら人によっては取り方が違ってくるんじゃないかと思います。
 そういう意味で、まず最初に、このレガシーというのはどういう意味でここでは使われているのか、これについて確認をしたいと思いますので、ご説明いただきたいと思います。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 レガシーと申しますのは、直訳いたしますと遺産という意味でございますが、これはオリンピックを通じまして都市にもたらされます有形無形の資産を指してございます。レガシーには、具体的に大きく分けて二つの意味がございます。一つは、オリンピック招致活動を通じましてもたらされるものを指してございます。申請ファイルの動機とレガシーにおけるこのレガシーは、今申し上げましたオリンピック招致活動を通じてもたらされるものを指してございます。
 東京の計画では、若者から高齢者まで、すべての人々が楽しめるスポーツ社会の創造や国際的なスポーツ交流の推進などを掲げてございます。
 もう一つは、オリンピック競技大会の開催によってもたらされるものでございまして、これはインフラの設備ですとか競技会場など、都市の貴重な財産として大会後も次第に引き継がれていくものを指してございます。IOC委員は、このような都市にもたらされるレガシーを大変重視しておりまして、申請ファイルの中でも重要な項目の一つとなってございます。

○斉藤委員 はい、ありがとうございました。大体意味はわかりました。そうなりますと、本来、これを日本語訳にするときに、レガシーとそのまま書くのではなくて、相応の日本語で書いて示すべきだったなというふうに思いますので、そこはぜひこの後ご配慮いただきたいと思います。
 というのは、やはり今回オリンピックに東京が手を挙げているという、本当に何十年かに一度の珍しい機会でありますので、どうしてもこういったものが出て、皆さんにこういう申請ファイルのコピーがありますけど、ちょっと見てみますかなんという話をしますと、一般の都民の方は、それはぜひ見てみたいねと興味を示していただきます。その際に、厳しいいい方をすれば、こんな抽象的なことで世界の人の心をつかむのかなというような意見が出てしまいますと、もしくはいっている意味がよくわからないよということになってしまいますと、大変都民や国民の気持ちを引っ張るという点で、かえって気持ちのトーンを落としてしまいます。ですので、その辺の心配から、ちょっと質問させていただきました。
 同時に、内容から少し具体的な感じがしないというのは私もご意見でいただいていますので、逆に、動機とレガシーというのは、大体これぐらいの少しふわっとした感じのことでいいのかな、この程度でいいのかなという疑問が残りますので、どういったものをこの動機とレガシーというところで求められているのか。そしてまた、今回このような文章に至った理由というものについて、背景について、ぜひご説明をいただきたいと思います。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 申請ファイル全体につきましては、これは昨年十一月に発表いたしました開催基本計画、これをベースにして作成してございます。IOCからは、二十五項目の質問につきまして、一項目一ページで簡潔にこれを記載することが求められてございます。動機とレガシーにつきましてもこれに準じてございまして、このルールに従いまして、私どもとしては開催基本計画で盛り込みましたオリンピックの開催動機ですとか理念といったものを、海外の事情に精通いたしました専門家の意見も聞きながら、IOCの支持を得ることができるように十分な記述を行った次第でございます。
 なお、来年二月に提出いたします予定の立候補ファイルでは、競技会場や環境に関する具体的な記述がさらに求められてございまして、都市環境の改善など、東京大会の開催意義やレガシー、遺産でございますが、これはその中でよりわかりやすい形で具体化していきたいというふうに考えてございます。
 都民、国民の皆様に対しましては、よりわかりやすい形で東京オリンピック・パラリンピックの開催意義を今後とも伝えまして、東京オリンピック・パラリンピックに対する賛同の輪を広げてまいりたいと考えております。

○斉藤委員 では、動機とレガシーについては大体わかりました。つまり、今後出てくる立候補ファイルでは、恐らく都民の皆さんがなるほどとひざを打つような、心に響くものが出てくるというふうなことになると思いますので、ぜひとも期待をいたしますので、よろしくお願いします。
 では、もう一つ伺います。07、08の招致予算、そしてまたオリンピック競技大会予算について伺います。
 先ほど村上委員の方からも、少し招致予算についての話が質問でありましたけれども、昨今のいろんなほかの東京オリンピックなどの招致における報道を聞いてみると、これは一都市というよりは国レベルの話ではありますが、相当額のお金を出しているとか、そういった報道が随分されました。なかなかそういった報道を一般の人が見てしまうと、いや、これは東京ではどのぐらいかかってしまうものかなという不安を持ってしまうことがあるかと思います。あくまで報道の部分についても、いろんな試算がありますので、なかなか現実に私どもが東京都から伺っているデータなどと必ずしも同じものを指しているかどうかというのがよくわからない上での報道ではあります。ただ、そういったものをいずれとしても一般の方が聞いてしまいますと、東京都がいっている数字と一緒の話というふうな感じにとってしまうかと思います。
 そこで確認をしたいんですが、オリンピックに係る予算というものについては、どのように分類をされているのか、ぜひとも細かくご説明をいただきたいと思います。特に申請ファイルの中には、招致予算を初めとして、時期、段階の異なるさまざまな予算経費について記載があります。それぞれ何を意味をするのか、説明を願いたいと思います。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 申請ファイルで記載が求められておりますいわゆるオリンピック関係の経費についてでございますが、まず、招致予算でございますが、これはオリンピックを招致するための経費でございまして、東京では、IOCが求めております大会計画の策定費、IOC委員の賛同を得るための国際招致活動費及び立候補申請料、立候補手数料の合計額を指してございます。
 次に、大会運営費というものがございますが、これは二〇一六年に実際にオリンピック・パラリンピック競技大会を運営するに当たりまして、大会の組織委員会が支出する経費でございます。具体的には、選手や関係者の輸送にかかる経費ですとか、選手村の運営経費などを想定してございます。この大会運営費の当該経費につきましては、来年二月にIOCに提出いたします立候補ファイルの中で明らかにしてまいりたいと思います。
 また、このほかに申請ファイルにおきましては、組織委員会以外の経費といたしまして、いわゆる競技施設の整備費がございます。さらに、この申請ファイルの巻末に表の3というのがございますけれども、ここにおきまして、申請都市における交通インフラ整備に係る経費についての記述も求められております。

○斉藤委員 はい、ありがとうございました。今の質問を踏まえてちょっと発言させていただきますけれども、こういった申請ファイルという一つの通過点であり、また今回はIOCのレギュレーションにのっとって一問一答的なことで回答していますので、当然、なかなかこれに組み込めないような、伝えづらいような、一般の人が見てなかなかわかりづらいような部分というのがあります。今こういった説明を伺えばある程度理解できるわけですけれども、大変注目があればあるほど、こういったものについても報道されますので、ぜひ一般の都民の方が見て、さまざまな報道に関しての不安や、もしくはイメージみたいなものがあります。こういったものにうまく対応できるような広報活動というのをきちんと東京都の方で、フォローアップというふうにもなるのかもしれませんけれども、広報して、都民の気になるところ、そしてまた不安に思うところ、もしくはイメージで思い込んでしまう部分、こういったものがバランスを崩さないように、ぜひとも努力をしていただきたいと思います。
 と同時に、今、不安という話をしましたが、最後に一つ申し上げます。今週行われております北京五輪のある競技の予選に関係した中で、ある団体の幹部の方が、東京オリンピックの招致に関したことを踏まえて発言をされて、大変不安を持たれた方もあるかと思います。私どもとしましても、東京オリンピックに関しては実際に東京でやることがどのような課題を持っているか、時に厳しく検討していきたいとは思いますが、その一方で、今の北京五輪に関してみれば、また別問題であります。これは逆に、正しいと思ったことを正しいというふうなことでしっかりと信じて行動していただきたいと思いますし、同時に、そういった流れの中での報道で東京都そのものが、変に脅かされるような発言を受けて動揺してしまってはいけないと思います。この部分は、北京五輪と東京五輪、また別に考えることでありますので、しっかりと毅然とした態度で準備を進めていただきたいと思います。
 以上で発言を終わります。

○長橋委員 私からも、本日の委員会で初めて質問させていただきます。
 申請ファイルを私も読ませていただきました。いわゆる環境への配慮、コンパクト設計、また、二十一世紀の都市型モデル、また、高齢社会、成熟社会、そうした中でのモデルのオリンピックを開こうという、読ませていただきまして、自信にあふれた申請ファイルだなと思ったわけであります。東京しかないというような自信にあふれた申請ファイルだと思うわけでありまして、これに関連して、ぜひ本年は招致活動に向けてさらに取り組みを強化していかなければならない、そういった観点から質問をさせていただきます。
 もちろん全庁挙げての取り組みが大事であります。そういう中で、世論調査の結果がきょうのご説明でもございました。申請ファイルにも載っているわけでありますが、世論調査を見ますと、観戦意向、東京は六八%、全国は六五%、ところが、開催の賛否については東京は六〇%、そして国全体では六二%と記載をされているわけであります。結果を見ますと、賛成意欲は六二%ですけれども、東京の方がちょっと低いわけでありますが、この六〇%という数字が高いのか低いのかという判断は、まだこれからの活動だと思いますけれども、まずはこの世論調査に向けたこれまでの東京都の取り組み、そして、あわせて、今回のこの結果に対しての都の認識についてお伺いいたします。

○重田東京オリンピック招致本部参事 これまでの取り組みでございますが、招致委員会を中心に、招致大使やマスメディアを活用したPR、シンポジウムや決起集会などによりますオリンピックの理念やコンセプトの発信、プロ野球の公式戦、夜さ来い祭り、大相撲初場所などと連携したPR、みんなのオリンピック事業の実施や、ふるさと特使の任命など、地域でオリンピックのすばらしさを伝えていく取り組みなどを織りまぜまして、戦略的に国内プロモーションを実施してまいりました。
 加えまして、都民、国民一人一人に賛同の輪を広げ、招致機運を盛り上げるとともに、IOCに対しまして日本の招致にかける熱い思いを伝えるため、都議会オリンピック招致議連とともに署名活動を展開いたしました。
 また、庁内各局、区市町村、民間のイベントや、事業と連携した継続的なPRやグッズの配布、都庁舎のライトアップのほか、都、区市町村、監理団体等の施設や庁舎、歩道橋、商店街等において招致ロゴ入り横断幕、フラッグ、ポスターなどを掲出することなどを行いまして、オリンピック招致の周知と機運盛り上げに努めてまいりました。
 次に、世論調査の結果についてでございますが、昨年春に新聞各社が行った世論調査では、オリンピック招致賛成が三〇%でございました。今回の実施結果では、都内が六〇%、全国が六二%となってございます。これは、これまで行ってまいりました東京オリンピック・パラリンピックの開催意義や経済効果などの説明、積極的な招致PR活動などの結果のあらわれであると認識しております。今後とも二〇一六年東京大会招致に向け、都民、国民からより一層の支持が得られますよう、招致機運の盛り上げに取り組んでまいりたいと考えております。

○長橋委員 今、署名活動についてもお話がありました。私も昨年の十月にやりました署名活動に参加をいたしました。当日は、新宿や渋谷、原宿など八カ所で署名活動を行いました。私は地元なので巣鴨駅でやらせていただきました。きょういらしている委員の先生方も参加をしていたと思いますけれども、巣鴨駅は私一人でございましたけれども、地下のコンコースでしたので、みんな急いでいて、なかなか署名をしていただくのが厳しかった。私だけじゃなくて招致本部の皆さんも一緒にやったわけでありますけれども、その時点では、もう列も切らぬような署名ではなくて、中には追いかけて署名をしてくださいというようなこともやりましたけれども、そういった行動が今回の世論調査にも大きな反響、影響を与えたのではなかろうかと思うわけであります。この申請ファイルにも、最後に百三十万名の署名を集めたとあるんですけれども、その後も引き続き継続して、また、今後もこの署名活動についてはいろんな形で進めていかれると思いますが、まずはこの署名活動、どれぐらいの実績があったのか。
 それから、さっきいった六〇%という話ですけれども、ほかの申請都市、七都市あるわけでありますけれども、七都市にも当然、この申請ファイルの質問項目の一つに世論調査はどうだったかと書いてあるわけでありまして、七都市はどんな結果だったのか、あわせてお伺いいたします。

○中村東京オリンピック招致本部招致推進部長 署名活動の実績と他都市の世論調査の結果でございます。二〇一六年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を望む方々による署名の総数は、平成二十年一月二十四日現在で百五十一万四千人でございます。
 次に、他都市の世論調査の結果でございますが、シカゴでは賛成が都市で七九%、国で九三%、リオデジャネイロでは賛成が州で七八%、国で六〇%、マドリードでは賛成が都市で八六・七%、国で八九・一%、ドーハでは賛成が地域で八六%、プラハでは賛成が五〇%、バクーでは賛成が九一・九%となっております。
 各都市の世論調査の結果を比較いたしますと、確かに東京の支持率は低くなっておりますが、あの日本じゅうが熱狂いたしました一九六四年の東京オリンピック開催時の二年前に行いました都民の世論調査でさえ、支持率は七二・三%でございました。今後は、より高い支持率を目指しまして鋭意努力いたしますとともに、東京開催の意義などを広く訴え、招致機運のさらなる盛り上げに取り組み、都民、国民の広い支持を獲得してまいりたいと思います。

○長橋委員 百五十一万以上の署名が集まったということでございます。これは大変大きな数字であろうかと思います。また、今、他都市との比較がございました。東京はそれに比べると決して高くない、こういう判断でございますが、当然、私も資料をもらいましたら、サンプルの数字も全然違うわけでありますし、今比べて低いからというのではなくて、これから盛り上げていく。ただし、ほかの都市は東京よりも高い方が圧倒的に多いわけで、これからの招致機運の盛り上げをどうつくり上げていくのか、ムーブメントをつくっていくのか、これは大事であろうと思います。
 で、自分の国で、自分の都市での世論調査だけではなくて、IOCはIOC独自で世論調査をやると聞いております。恐らく六月四日、正式立候補都市の承認までの間に、この世論調査、独自にされるのではなかろうかと思いますけれども、IOCの世論調査、これはどのようなスケジュールで行われるのか、把握しているのか、お尋ねいたします。

○中村東京オリンピック招致本部招致推進部長 今後の世論調査のスケジュールでございます。まず、IOCによる世論調査についてでありますが、各申請都市でIOCが行う世論調査の実施時期は明らかにされていませんため、過去のIOCワーキンググループレポートなどによってみますと、立候補都市の承認前に行われております。二〇一六年の大会につきましても、同様な調査がなされると見込んでおります。先ほど委員からご指摘がございましたけれども、立候補都市の承認は本年の六月四日でございます。この前にIOCの世論調査が実施される見込みでございます。
 また、IOCが各立候補都市で行う世論調査の実施時期については、過去の実例を見ますと、立候補ファイルの提出前後に実施されており、二〇一六年の大会についても、二〇〇九年二月の立候補ファイル提出前後になされるものと見込んでおります。
 次に、東京オリンピック招致委員会による世論調査についてでございますが、今後の招致機運の盛り上げに向けた取り組みなどを踏まえ、実施時期や内容について現在検討しているところでございます。

○長橋委員 IOCの世論調査が、いわゆる各都市が行った世論調査が本当にIOCと一緒なのかどうかという判断もあると思うんですね。余り高くて、IOCがやったらそんなに高くなかったというのでは、信憑性が問われるわけであります。
 そういう中で、来月には第二回の東京大マラソン祭りが行われるわけであります。決していつになるかわかりませんけれども、できたらこの東京大マラソン、大変な第一回の反響を呼びました。第二回目も数多くの方が申し込みをされて、当然マスコミを含めて注目をしているわけであります。
 そこで、オリンピック招致の機運を盛り上げるには、この東京大マラソン、これを大きく活用するといいますか、あわせて機運を盛り上げていかなければならないと思うわけであります。この東京大マラソン、昨年はオリンピック招致本部が開催部局、ことしは生活文化スポーツ局でありますけれども、そういった意味で、昨年ももちろんこのオリンピック機運の大会に向けて東京大マラソン、開催をされたと思うわけであります。第二回目、去年以上の注目を浴びているわけでありますが、オリンピック招致本部としてどのような取り組みをするのか、伺います。

○重田東京オリンピック招致本部参事 東京マラソンにおける取り組みでございます。マラソンレースに先駆けまして始まるマラソンエキスポでは、オリンピック招致大使の有森裕子さんによるトークショー、ランナー全員に配布いたしますオリンピックカラーの五色の靴ひものご紹介、TOKYO二〇一六カフェの展開などを行います。
 レース当日のマラソンコース沿道では、都庁舎への大型ロゴの掲出、区政会館やビッグサイトへの大型懸垂幕の掲出、また、都バス停留所への広告の掲載、にぎやかに要所要所へのぼり旗を設置するほか、マラソン応援ウオークとして五千人の人たちが招致小旗を振りましてランナーを応援するなど、オリンピック招致を積極的にアピールいたします。
 また、十キロのフィニッシュの日比谷公園では、ゲストランナーによるステージイベントやブース出展、フルマラソンのフィニッシュでありますビッグサイトでは、二〇一六年東京大会の競技種目でございますフェンシングやテコンドーの実演、オリンピック競技オブジェの展示を行います。マラソン祭り会場では、招致グッズや招致小旗の配布のほか、有明会場では、障害者スポーツ体験、障害のある方への情報保証ツールの体験など、障害者のイベント参加の支援と、健康づくり応援キャンペーンも実施いたします。
 委員ご指摘のように、東京マラソンはオリンピック招致機運盛り上げの絶好の機会でございますので、大マラソン祭りと一体になったオリンピック・パラリンピック招致PRを実施し、マラソンの感動と成功をオリンピック招致や開催への期待感へとつなげていきたいと考えております。

○長橋委員 ありがとうございます。私も昨年の大マラソン、選手としては参加しませんでしたけれども、フィニッシュ会場で皆さんのゴールをお待ちをいたしました。昨年は雨が降りましたけれども、大変なにぎわいだったと思います。ぜひことしは晴天の中で絶好のコンディションで開催されることを望むわけでありますし、そういう中で、昨年、第一回目開催に当たって、我が党はその前の年の一昨年の第四回定例会で、東京マラソンがある、これをぜひ大成功させる、そして、それを都民に周知して、オリンピックの機運を盛り上げていくためには、アフターイベントもやったらどうか、こういう提案をいたしました。急遽だったんですけれども、終わった後のイベントとしてフォトコンテストをやっていただきました。
 これはことしの東京マラソンのパンフレットですかね。これにはきちっと、ことしもフォトコンテストをやりますということでございます。プレイベント、当日のイベントとあわせて、このフォトコンテストをやるわけでありますから、また、四月には北京のトーチランが東京へ来るということもあるわけでありまして、このアフターイベントも、オリンピック招致委員として、オリンピック機運の盛り上げとしては必要ではなかろうかな、こう思うわけでありまして、こうしたアフターイベントを活用したオリンピック招致への機運の盛り上げ、これに対してもぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○重田東京オリンピック招致本部参事 アフターイベントについてでございますが、お話のとおり、昨年に引き続きまして、ことしも東京観光財団が主体となりましてフォトコンテストを実施する予定でございます。この取り組みは、ランナーの走る喜び、観戦者の応援する楽しみ、ボランティア等の大会を支える誇り、さらに、マラソンコース沿道の魅力を写真撮影を通じて表現することによりまして、東京マラソンへの参加意識を高めるとともに、入賞作品を都庁舎に展示するなど、東京の都市の魅力のPRに大きな効果を上げていると聞いております。この事業は、マラソンに限らずオリンピック・パラリンピックの盛り上げにも効果があると考えておりますので、今後具体的な連携方策について招致委員会とともに検討してまいります。

○長橋委員 私も昨年のフォトコンテスト、入賞作品を見させていただきましたが、大変すばらしい写真を応募していただきました。写真の好きな方、今、デジタルカメラが普及しまして、一般の方も大変興味を持っておりますし、皆さん方も、私も持っていますけれども、カメラをみんな持っているわけでありまして、こうしたイベントをぜひオリンピックに向けて考えてもらいたいと思うわけで、検討するということでございますので、ぜひ一緒になってやっていただきたいと思います。
 そういう中で、いよいよこの六月四日に正式に立候補都市は承認されるわけであります。まだ承認が決まったわけではないわけでありますので、ここでもし立候補都市、正式に、七都市から五都市というふうに聞いておりますけれども、ここで承認をされれば、ちょうどこの六月というのが大きなターニングポイントになるかと思います。ここでさらに招致活動を盛り上げていかなければならない、こう思うわけであります。いきなり六月になって盛り上げようとしてもだめなわけでありますから、それまでに招致活動を盛り上げてきて、一つの大きな山を六月につくるということだと思いますけれども、もし立候補都市が承認されれば、この立候補都市決定のキャンペーンを行うと思いますけれども、その内容については検討されているのか、伺います。

○重田東京オリンピック招致本部参事 六月の正式立候補都市承認は、第一関門突破の歓喜とともに、いよいよ国際舞台へ打って出る招致レースの大きな節目となるものでございます。招致活動の上では、国際プロモーションが解禁となり、五輪をあしらった招致エンブレムの使用が許可されるなど、招致活動の幅が大きく広がってまいります。この時期に行う立候補都市キャンペーンにつきましては、招致委員会と連携いたしまして、二〇〇九年十月の最終決戦に向け、都民、国民が一丸となって盛り上がるようなプロモーションを展開してまいりたいと考えております。

○長橋委員 そういう中で、オリンピック招致本部の二十年度予算の見積もり概要の中に、区市町村オリンピックムーブメントの推進、六億三千万つけたとあるわけでありまして、それぞれ今度は区市町村に対してオリンピックムーブメントを推進されるための事業委託経費、これが計上されているわけであります。区市町村オリンピックムーブメント推進事業で六億二千万、区市町村連絡協議会運営費で一千万、こういうことでございます。
 このオリンピックムーブメント推進事業、区市町村に委託をするということでありますから、一〇〇%だということだと思いますけれども、この内容について伺います。

○重田東京オリンピック招致本部参事 オリンピックムーブメント推進事業についてでございます。この事業は、スポーツ競技などを通じました友情や連帯の意識の醸成に加え、環境や文化の向上、子どもの健全育成、平和の実現など、さまざまな価値をもたらすオリンピズムの精神を区市町村とともに普及していくことを目的といたしまして、区市町村または区市町村を構成に含む実行委員会から主体的に事業の企画、ご提案をいただき、都から事業の実施を委託するものでございます。
 事業の一例といたしまして、高齢者、障害者、子どもなど、だれもが参加できるスポーツイベント、相互理解と友好の精神をはぐくむ国際交流、二〇一三年国体開催準備と連携した地域振興等、オリンピックムーブメントの推進につながる取り組みを想定しております。
 このような地域に根差した形でのオリンピックムーブメントの推進は、行政区域で完結するものばかりといえず、複数区の共同実施も想定しております。地域を担うさまざまな主体が共同いたしまして、オリンピズムを活用した地域の振興や青少年の健全育成、スポーツや文化の向上等を効果的に推進する事業を区市町村に積極的にご提案いただけるよう、区市町村連絡協議会の場を通じて働きかけてまいりたいと考えております。

○長橋委員 今、複数で共同でやってもいいですよ、こういうことでございます。六億二千万ですから、各区市町村で一千万つくんじゃないかと思うんですけれども……(発言する者あり)各区一千万でございまして、共同でやれば、それはさらに膨れ上がる。委託事業ですから、手を挙げていただかなければならないということが条件だろうと思うんですけれども、この予算が余るようだと、東京都は一生懸命やっているんだけれども、区市は温度差があると、いろいろとこれからの招致に差しさわりがあると思いますが、もう一度聞きますが、六億二千万、各区市一千万つくんですか、どうですか。ちょっとお伺いします。

○重田東京オリンピック招致本部参事 各区市町村一千万を上限にというふうに考えております。

○長橋委員 最大一千万、このムーブメントの事業で使う。私も地元区に聞きましたら、いろいろ悩んでおりました。ぜひ、どういうことをやればいいのか、何をやってもいいというわけじゃないと思いますし、そこら辺のサジェスチョンを、東京都がきちっと区市と連携をとっていただきたいと思うわけであります。
 そこで、私は地元、豊島区池袋でありますが、ちょうど正式立候補都市承認が六月、あわせて東京メトロ十三号線、副都心線も六月に開通をするわけであります。東京メトロも東京大マラソンの協力企業であります。東京メトロは渋谷、新宿、池袋、ちょうどオリンピックのヘリテッジゾーンに沿って開通をするわけでありまして、この副都心線は東京都の都市計画事業でもあります。副都心線という名前の由来が、池袋、新宿、渋谷という三大副都心を縦断して走るというイメージで、この名称がついたというふうに聞いております。
 また、この副都心線の開通は、私も池袋から都庁へ来る際には車の渋滞に悩まされているわけでありますし、交通渋滞の緩和、それからまた、大変多くの路線とそれぞれ駅で結束をしている、連携が図られている。さらには、開通することによって、オリンピックの開催時には、競技会場である例えば東京体育館とか国立の代々木競技場とか、五つの会場でアクセスが向上をするわけであります。
 そうした中で、副都心線は東京のまちを大きく変える、このようにもいっている人がいるそうであります。この副都心線の開通は大変大きな反響も呼ぶのではなかろうかと思いますし、取り上げられると思います。これを利用しない手はない、こう思うわけでありますので、副都心線の開通に当たって、ぜひ地元区、池袋、新宿、渋谷といったらどこの区だかわかりますけれども、連携を図って、区市町村のオリンピックムーブメント推進事業など、今いった一千万出るわけですから、活用していただいて、区と連携をとって、招致機運を盛り上げる大きなチャンスにしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○重田東京オリンピック招致本部参事 お話の副都心線は、池袋、新宿、渋谷の三つの副都心を結ぶ地下鉄の新設路線でございます。本年六月に開業が予定されておりまして、都民からの期待も大きく、マスコミにも大きく取り上げられる大事業でございます。
 このような地下鉄副都心線の開業に当たりまして、オリンピック招致推進会議のもとに設置してございます関連事業部会を通じ、事業を所管する建設局や地元三区等とも十分連携を図りまして、オリンピック招致機運を盛り上げる企画を検討、実施してまいりたいと考えております。

○長橋委員 以上で質問は終わりますけれども、ぜひオリンピックムーブメント推進事業、地元区にも説明をしてあると聞いておりますが、さらに、二十年度からでございますので、今年度中に区市と連携をとって、区でも、予算入れていいのか、補正を組まなければいけないのか、こういう問題もあるわけでありますので、きちっと、これが終わったら余っちゃったというのではなくて、これを大きな起爆剤にして盛り上げていただきたい。
 副都心線はちょうどこのヘリテッジゾーンの外側を走っているものですから、一部渋谷の中にも入っていますけれども、そういった意味では周辺の区も盛り上げることが必要だと思いますので、ぜひ招致本部のご努力をお願いしまして、質問を終わります。

○野村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
 午後二時二十分休憩

   午後二時三十三分開議

○野村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○松村委員 まず、オリンピック競技会場、競技施設について質問します。
 申請ファイルでは、競技会場、規模などが明らかにされましたが、これまで我が党は、開催概要計画書の問題点を明らかにし、競技施設の見直しが必至であることを指摘してきましたが、結局我が党の指摘どおり、水泳競技、トライアスロン、テニス、射撃、ボート、ヨットなどなど、大幅に見直されました。
 そこで、その変更理由を、都民や議会の納得のいく説明をすべきですが、水泳競技についてはどういう理由でしょうか、お答えください。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 水泳会場についてでございますが、これは開催概要計画書上、東京ビッグサイトという予定でございました。この間、私どもとしましては、水泳会場につきましてさまざまな検討を行ってきたところでございますが、東京ビッグサイトでは水泳の競技施設がすべて仮設ということで、大会後に残りません。これは、先ほどの答弁でもいたしましたように、貴重なレガシーを残すという観点からも、水泳は人気競技でございますので、私どもとしては独自の視点から、IOCに勝てる計画をどうしたらいいのかという観点から、これまで検討してきたところでございます。
 水泳競技につきましては、今回、既存施設の活用がIOCの高い評価につながるという観点から、既存の東京辰巳国際水泳場を活用しつつ、水泳の四種目、これは競泳、飛び込み、水球、あとシンクロナイズドスイミング、この四種目でございますが、これを同一のエリアで実施できる会場として、新たに現在の辰巳の森海浜公園を選定した次第でございます。
 また、今回、辰巳の地区にこの水泳会場を置くことによりまして、隣接する夢の島の馬術会場、ユース・プラザなどとあわせまして、オリンピックの六競技の会場をこの一帯に集積できることになりまして、オリンピックの雰囲気を体感できる空間を創出でき、より魅力的な計画とすることができるというふうに考えた次第でございます。

○松村委員 我が党はこれまで、現状のビッグサイトでは技術的にも物理的にも不可能と、繰り返し指摘してきました。
 これに対する答弁は、例えば昨年二月八日の当委員会では、当時の谷島招致推進部長は、今後とも、開催概要計画書に記載のとおり、ビッグサイトにおいて特設会場として水泳会場を整備すると断言しましたし、梶原招致本部参事も、ビッグサイトの土地、用地全体を活用した特設会場で開催する計画でございますと答弁しているのです。これは議会の公式発言ですよ。これでは議会軽視のそしりを免れないではありませんか。もう一度この点を含めて、都民にはっきりさせてください。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 昨年発表いたしました開催概要計画書は、福岡と争った国内選考のときの計画書でございます。このときも詳細な計画を立てまして、今回の計画もそれをもとに、さらに精査した次第でございますけれども、昨年は昨年で、東京ビッグサイトにおきましては、選手村から非常に近いという利点があることから、こういった会場を選んだという、昨年は昨年なりの経緯がございます。
 その後、国内の立候補都市に正式に東京が選ばれました後、私どもとして正式に国内の競技団体あるいは海外のIOCに精通した専門家、こういった方々の意見を聞きながら、計画を精査してきたところでございますので、昨年の事情をそのまま横引きということは、これは指摘に当たらないというふうに考えてございます。

○松村委員 物事には私は経過というものがあるというふうに思います。もともと競技団体との話し合いの中でも、ビッグサイトの現特設場といわれていた会場では、技術的、物理的にできないんですよ。やるとすれば大幅改修しかない。では、皆さん方は、この隣接を含めた特設会場、特設会場と。しかし、どこにその土地があるんですか。結局当時の競技団体に説明していたように、隣地の民有地、民間の土地を取得するなりして建てなければならない。
 しかし、新たな土地取得は一つもないんだ、そのような大前提ですから、結局それができないでとんざし、こういう変更になった。そのことを私は素直に認めるべきだというふうに思いますよ。そういう経緯が、議会の指摘があった中でのこういう変更ですから、今みたいに、新たな視点で考えればそちらのがよかったんだ、そんな説明で済むわけはないというふうに思います。
 では、なぜ最初から辰巳国際水泳場にしなかったんですか。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 先ほどもご答弁申し上げましたが、昨年は昨年なりに、東京ビッグサイトが選手村から近いというような利点を考慮いたしまして、東京ビッグサイトを選んだ次第でございます。
 その後、繰り返しになりますが、国内の競技団体やIOCに精通した専門家、こういった方々と本格的に議論して、検討しました結果、私どもとして、現在は辰巳の海浜公園を選んだという次第でございます。

○松村委員 結局、現辰巳の会場はオリンピックの水泳競技種目ができる規模でないということで、ここが選定されなかったんですよ。そういうことがわかっていながら、当初の選定の失敗をまたこういう形に持ってくる。私はこんな都民をごまかすやり方がIOCに通ずるわけはないというふうに思いますし、もっとオープンにし、フェアなやり方でやるべきです。
 しかも、こうした無理なやり方が新たな矛盾を呼んでいます。そこで、申請ファイルで明らかにされた競技会場について、幾つかの問題をただします。
 申請ファイル、これを私は手元に持ってきておりますけれども、この一五ページから競技会場の表1の1から1の4まで出ていますが、この表に基づいて、水泳など申請ファイルに、開催された競技会場と現状の施設を比較する表を、私、きょうつくってきましたので、こちらとともに質問したいというふうに思います。(パネルを示す)見えるというふうに思います。
 まず、水泳の辰巳の国際水泳場、これは今どういう規模か。この現状は、水泳場が八千百五十平米、観客席、固定が三千六百三十五で仮設が一千四百、合計五千三十五席、こういう規模が現在の辰巳の国際水泳場の規模であります。
 しかし、この申請ファイルには、ここで競泳、シンクロナイズドスイミング、それから飛び込み、水球をやるわけですね。そのために、開催概要計画書でもIF基準に基づく規模が載っておりますけれども、七万二千四百平米この競技会場には必要です。現状は八千百五十平米しかないんですよね。しかも、競技会場に必要な観客数、席は二万人、これは競泳とシンクロナイズドです。飛び込みが五千人、五千席、水球も五千席ということで、当然、前段に答弁があったように、現辰巳の競技場の施設では入り切れません。だから、この辰巳の森海浜公園で、今の答弁では一体的にできる、同一のエリアで開催できるというふうにおっしゃいましたけれども、どのように配置計画を立てるんですか、お答えください。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 各競技会場共通でございますけれども、今回提出の申請ファイルにおきましては、競技施設の配置については求められてございません。競技施設をその会場の予定地にどのように配置をするかという詳細な配置は求められてございません。これにつきましては、今後、立候補ファイルを策定していく中で、関係団体と調整しながら進めてまいる所存でございます。

○松村委員 今、申請ファイルの競技会場、施設の配置というのは、ここにも書きましたけれども、既存競技施設、恒久施設の工事が不要なものですよ。ここに水泳会場で、この四競技を持ってきているんですよね。しかし、現の辰巳の国際水泳場の規模からいったら、これは五千三百席あるから、飛び込みか水球、どちらかの競技しかできないわけですね。あと競泳、シンクロナイズド、または水球、これはどういう形になるんですか。規模からいったら、現の辰巳の水泳会場の、これは何倍になりますか。九倍以上の面積の敷地のところに、今皆さん方仮設ということをいいましたけれども、建てる、競技をするということになって、どうして既存の競技施設、しかも恒久施設の工事が不要なものに、水泳ですよ、四競技全部を入れているんですよ。これを申請ファイルで提出している。これはやはり虚偽というか、ごまかしなんじゃないでしょうかね。一般の都民はそういうふうに受け取らざるを得ませんよ。だって、既存の競技施設、恒久施設の工事が不要なものと。実際、じゃ、水泳競技はここでできるんですか、お答えください。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 申請ファイルの表1の1におきましては、「辰巳国際水泳場(辰巳の森海浜公園)」というふうに載ってございます。現在、水泳会場は、既存の辰巳の国際水泳場を活用しつつ、先生ご指摘になりましたような、オリンピック仕様にたえ得るような観点まで、オリンピックのためには不足するプールですとか観客席、運営諸施設などを、この辰巳の森海浜公園全体を今後考慮に入れまして、仮設で計画する予定でございます。
 水泳というその単一の競技が一つのセキュリティーの境界内で実施されるという観点から、この会場は素直に考えて、水泳の一会場であるというふうに私ども考えまして、あえて既設部分と仮設部分とに分ける理由がないために、申請ファイルでは全体として既存の競技会場の表1の1の区分に入れさせていただいた次第でございます。

○松村委員 配置はどういう形になるのか、これからだということですけれども、結局、現地を見ても芝生公園、ここしかない。ここに建てるのではないでしょうか。しかし、本体の現施設の面積の九倍ですよ。観客席では五倍もの施設を隣地につくる。これでどうして既存の競技施設、しかも恒久施設の工事が不要などという、こういう分類にするのか。全く都民にはこれではわからないじゃありませんか。今、IOCのそういう規定といいますか、そういうことはいっても、やはりIOCの理念というのは、既存の施設を活用して、少しでもお金がかからないため、有効活用にいっているのであって、そういう分類が違反しないからといって、私は、言葉を強くいえば、こういうごまかすやり方といいますか、これでは逆にIOCの精神に反するというふうにいわざるを得ないと思います。
 じゃ、大多数が仮設というならば、なぜこちらの申請ファイルの1の4の仮設施設に入れてないんでしょうか。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 申請ファイルの表1の4に記載すべき競技会場は、建設予定の競技会場で仮設施設のみという分類のものでございます。ここでは、記載にもございますように、トライアスロンをお台場海浜公園でやるというようなものが一つございますが、トライアスロンの会場というのは今全くございませんので、これをお台場公園に新たにつくる、しかもオリンピックの大会期間中につくるということで、この分類として入れているわけでございます。
 水泳につきましては、先ほど来申し上げておりますように、辰巳の国際水泳場、この既存施設を活用しつつ、辰巳の森海浜公園全体の中で、仮設会場も増設しながら、オリンピックにたえ得る競技会場をつくっていくという視点でございますので、この表1の4には当たらないというふうに考えております。

○松村委員 だったら、やはりこちらを、例えば飛び込みでやるんだったら、あと競泳、それからシンクロ、水球、仮設の方にきちんと記載すべきだというふうに思いますし、それでは、この費用はどうなんですか。仮設費用ということでそれぞれ、例えばお台場海浜公園、トライアスロンは二十二億とか、潮風公園のビーチバレーは二十二億と書いてありますね。この仮設費用は金額も示されておりません。この表にも入っておりません。一体どこがこの費用負担を持つんですか。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 この競技施設の表の分類につきましては、私ども、IOCに計画を提出して、確実に立候補都市として選ばれるということを重視いたしまして、IOCの求めを厳密に守りながら記載をしてございます。それを最優先すべきというふうに考えてございます。
 そういった観点からいきますと、既存施設ですとか新たに恒常施設としてつくる新設施設、これについてのオリンピックのときだけの仮設部分の経費というものは、このIOCの申請ファイル上どこにも記載することは求められてございません。したがいまして、私どもとしては、既存の辰巳国際水泳場に附属するオリンピック大会時における仮設部分の経費というものは、この申請ファイルには載せてはおりません。
 また、この施設整備全体につきましても、先ほどいいましたように、辰巳の森海浜公園の中でどのようにこれから水泳四種目を行っていくのかという配置を、各競技団体や海外の専門家なども通じまして、詳細に計画、検討してまいりますので、その中で立候補ファイル策定に向けて、今後、施設整備については詳細を詰めてまいりたいと考えております。

○松村委員 結局、現地を知っている我々だから、そういう点でのイメージがわかり、こういう質疑をするわけですけれども、だって、IOCはこういうふうに出されたら、ああ、じゃあ現在の辰巳の国際水泳場は、そういう規模が--これは規模は書いてないんですから、現施設の--できるというふうに受け取らざるを得ないじゃないですか。しかも、こういう国際的な申請という公約ですから、もし仮設に載っていなかったら、後で仮設に入っていないと。仮設というのは大会運営費で賄うんですよね。この招致が終わって、決まれば、IOCが厳格に管理するわけですから、本当に一円の狂いもないというか、しっかりやると思うんですよ。だったら、仮設に入っていなかった、今後いろいろ都民負担にかかっていく、こういう問題も出てくることを指摘せざるを得ないというふうに思います。後で認められませんといわれて、だれが一体責任をとるんですか。
 それから、話を進めますけれども、アーチェリーも、既存の競技施設、恒久施設の工事が不要なもの、こういうところに分類しておりますよね。でも、これもまたひどい話だと、皆さん思いませんか。こういう計画を立てた人、こういう分類に入れて申請した人、現地へ行って、見ているんでしょうか。だって、今あるユース・プラザのアーチェリー競技場というのは、射程が最長で七十メートル、十人が立ってやれる規模ですよね。もちろん観客席というか、こういうのはありません。
 ところが、オリンピックのアーチェリーで求められる規模というのは、フィールド面積で一万五千四百四十ですよ。これにいろいろな控室だとか更衣室だとか、そういう建築面積が七千八百二十平米。これだけじゃないんですね。練習場はさらに大会競技よりも九十メートルの射程で二十二レーンとる。これは開催概要計画書にどんな規模かということは、イメージパースが載っているので、ぜひ見れば、私も専門家じゃないからわかるんですけれども、(「わからないだろう」と呼ぶ者あり、笑声)これが公式大会のあれですよ。
 ところが、これが練習場でしょう。ほぼ同面積ぐらいをとり、こちらの練習場の二十二レーン、練習場は九十メートルの射程、こちらは残すんですよね。そうすると、必要な観客席も四千人ですよ。現在何もないんです。どうしてこれが、これまたそういうくくりだ、IOCがそうやってもいいというふうにいっているからといって、既存の競技施設を使うんだ、で、恒久施設の工事が不要なものと、これまたおかしいのではありませんか。逆に私は、都民は理解できないというふうに思いますけれども、これについてもご説明ください。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 昨年の開催概要計画書において記載しましたいわゆるイメージ図は、あくまでイメージでございますので、この内容をどうするかということも含めまして、これから立候補ファイルに向けて策定していくということを、まずお答え申し上げたいと思います。
 また、アーチェリー会場につきましては、現在ユース・プラザという、夢の島公園にあります体育館がございますけれども、これはかなり古うございますので、これを改築するというものがございます。そのユース・プラザ内にアーチェリー場を改修して、整備する予定でございますが、申請ファイルにおける会場の分類では、既存の会場でも、恒久的な工事が必要なものでありましても、その金額がかなり小さいものにつきましては、あえて記載しないというようなものが通例でございます。これに従いまして、表の1の1にアーチェリーについては記載したものでございます。
 また、このアーチェリーの競技全体を、予選、決勝を含めまして、常設としてやるのか、あるいは仮設をどう組み込ませていくのかということもこれから検討してまいりますので、そういった不透明な中で、私どもとしては既存会場として区分をした次第でございます。

○松村委員 これもこの程度にしますけれども、大体今の競技場と練習場を合わせて二十倍規模にやらなければ、オリンピックの基準に満たないんですよね。今のあそこのユース・プラザ全体の敷地面積を全部アーチェリーの競技場にするわけですよ。こういう分類の仕方があるといっても、先ほどもいいましたけれども、IOCの今のオリンピックの精神というのは、そういうことではないんです。少しでも既存施設の活用という中での競争といいますか、世界で、オリンピックの計画の優劣を見る、そういうものとして出されているわけですから、これまた大きな問題だということを指摘しなければならないというふうに思います。
 最後に、もう一つは既存の競技施設、これは恒久施設の工事が必要なものということで、開催概要計画書どおり、バスケットボール、体操、トランポリンも含めて、それからバドミントン、こういう四競技を今のユース・プラザを活用してやる。これもその規模をぜひ見ていただきたいんですけれども、今のユース・プラザの規模は、メーンアリーナ二千七百八、サブアリーナを入れても三千八百程度ですね。これが要するにアリーナAをつくるということなんです。しかも、現在メーンアリーナには五百八十二席ありますけれども、これを今度は三万二百平米が必要だと、ユース・プラザ・アリーナAという計画です。これは三万二百平米ぐらいが必要なんです。総座席数一万五千人。ところが、現在五百八十二席しかない。
 もう一つのバドミントンをやる、こちらの方はどうかといったら、今ここは、恐らくBというところは屋内プール、これのところの規模しかありませんから、二千百十五平米ですね。しかも、プールには座席はありません。これも五千人の観客数の座席をつくるということなんです。
 これがどうして、バスケットボール、バドミントンなどのユース・プラザA館、B館も、既存の競技会場の改修といっておりますけれども、改修どころか全くの新規施設の建設じゃありませんか。これは当然区分からいえば、こちらの新設の恒久施設の方に入れなければならないんじゃないでしょうか。どうでしょうか。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 申請ファイルの表1の3におきましては、建設予定の競技会場、恒久施設ということで、いわゆるここに新設会場を記載することになってございまして、オリンピックスタジアムですとか、先ほど申し上げましたボートやカヌーの水上競技場、ここが記載されることになります。
 これらの施設につきましては、今現在、全く存在してございません。オリンピックのためにこれからつくるという内容のものでございまして、これを記載することがこの表1の3に求められているわけでございます。
 このユース・プラザというのは、夢の島公園に既に、老朽化しておりますが、体育館としてございます。これを改築いたしまして、新たにこの敷地内に新しい体育館をつくるわけでございますので、私どもとしては、既存の競技会場の恒久的な工事が必要なものという区分で出させていただいたわけでございます。

○松村委員 この問題でも、昨年の二月八日の当委員会の答弁でいっているんですよね。つまり既設であれば、そこを全面改修して新たなところに建てても、それは改修というふうにいっておりましたけれども、しかし、JOCが国内選考の二〇〇六年八月二十一日の国内立候補都市評価委員会、私、これ持ってきておりますけれども、ここでは東京都が同じような、それは新規じゃないんだ、改修なんだ、既存施設の活用だというふうに、IOCでもそういうことがいわれているというので、出したけれども、当時、国内立候補選考委員会のときに、JOCがそれは違う、国内の建築基準法に基づいても、これは新規施設だと、新設施設に入れている。これは公式文書ですよ。これをあなた方も認めているんです。もうこの問題については決着がついているんですよ。それをまたまた申請ファイルでこういう形で分類して出す。今盛んに、そういうことが認められているんだ、そういう書き方を求められているんだというふうにいわれますけれども、それは全く私は違うと。オリンピックの精神からいっても、こういう姑息なやり方ではなく、もっと都民にもわかるように、正々堂々とやるべきじゃありませんか。
 結局、開催概要計画書では、競技施設の新規は、この当時は二つとしていたんですよ。JOCによって、それは違うと。当時、国内選考のときには、駒沢も新規だ、それから、ユース・プラザのA館、B館も新規施設だと。このときの選考委員会のところで、そういうふうに新規に認められたということなんです。
 まさに今度の申請ファイルを見ても、逆に競技施設の新規は、当初していた二つどころか、七つにも八つにもふえる計画となってきます。まさに箱物行政の復活のオリンピック計画になってきたといわなければなりません。改めてそれぞれの競技施設の配置図と施設整備費を明確にすべきです。お答えください。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 先ほど、国内選考時のJOCの評価委員会のお話がございましたが、一言申し上げさせていただきますと、今回の申請ファイルにつきましては、JOCとも随分協議した上で策定して、IOCに提出しているものでございます。
 また、今後詳細な配置図等ということでのご質問でございますけれども、私どもとしては、十一月の開催基本計画におきまして、大会全体にかかる競技施設の整備費の現在の見込みとして、恒久施設が二千四百六億円、仮設整備費が八百四十三億円という一定の見込み数字を出してございます。こういったことで全体像を示すことで、私どもとしては、オリンピック招致に対する都民、国民の皆様への説明というものは十分してきているのではないかというふうに考えてございます。
 また、その上での個々の競技会場の施設整備費についてでございますが、これも先ほどご答弁申し上げましたように、今後、舞台が国際舞台になってまいりますと、各国際競技団体が現地を見たり、あるいは図面を見ながら、我々と協議しながら、最終的にIOCに勝てる競技計画をつくっていくという今度のステージがございます。こういった意味では、個々の競技施設の整備費については、その中で当然変動があり得るというふうに考えてございますので、今この段階で個々の競技施設の整備費の規模を詳細に議論すること、これは余り意味がないのではないかというふうに考えてございます。

○松村委員 都民の税金を多大に使い、その是非が問われているんですよ。あなた方が勝手に使えるというものではないわけですよね。
 しかも、先ほどトータルでは過少な数字を出しているんですよ。私は過少としか思えません。そういう数字を出しているんだったら、積算根拠があるわけです。現時点の配置図を出し、それぞれにかかわる施設の経費をきちっと示すのが当然じゃないでしょうか。国際競争に勝てるんだ、勝てるんだと。そのためには都民に、そういう税金の使い方の問われるこの問題について、ひた隠しに隠して進めていくやり方というのは許せないと思います。
 また、このような箱物施設がふえれば、当然その後の維持経費も膨らんで、都民負担になります。どう見込んでいるんですか。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 競技施設の構造や機能につきましては、繰り返しになりますが、今後詳細を詰めてまいりますので、大会後の維持管理につきましては、それらが決まった後、詳細に詰めてまいりたいというふうに考えております。

○松村委員 それらを含めて、オリンピックにかかわる費用についての全体像を一刻も早く都民に明らかにするように求めておきます。
 次に、招致経費について伺います。
 申請ファイルに招致経費が記載されています。招致経費についての招致本部の考え方が整理されたとして、説明を受けました。先ほども予算概要の表の話が出ておりますので、改めて説明いただいた資料をもとに、私どもこの表を作成したので、これをごらんに入れながら質問いたします。(パネルを示す)
 まず、開催概要計画書では、招致経費、一番下にトータルを書いておりますけれども、開催概要計画書では招致経費とムーブメント推進経費、これを合わせて五十五億円、これは全部含まれていたんですね。そのうち招致本部の実施分、これが十五億円、それから招致委員会の実施分、これは四十億円というふうに出されていたんですね。
 それが、今度の新たな考え方が示された中で、百五十億円ですよね。招致本部実施分が七十五億円。招致委員会実施分七十五億といっても、そのうち二十五億円を都が出す。招致本部を経由して、都が直接の補助金で出す、百億ですよ。結局百五十億、そして、そのうち百億が都負担、それで民間が五十億というふうになりましたけれども、なぜ百五十億円必要なのか、お聞きします。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 概要計画書における招致経費五十五億円でございますけれども、開催概要計画書策定時には、IOCなどからの情報も少なく、他都市の状況、例えばロンドンなどの申請ファイルを参考にしまして、基本的な部分、五十五億円と見込みました。
 その後、東京都では、オリンピック・パラリンピックの開催に向けまして、さまざまな活動を展開する中、政府の閣議了解がなされるなど、オリンピックの招致が、都はもとより、国家的なプロジェクトとなってまいりました。
 これらを踏まえまして、今後、海外有力都市と熾烈な競争を勝ち抜きまして、傘下の区市町村の強力なご支援をいただく、こういったことから、改めて必要な経費を算定いたしました。
 その結果、先ほど委員のご指摘もありましたように、オリンピック招致本部実施分が七十五億、委員会実施分が七十五億、うち二十五億は都の補助となったわけでございます。

○松村委員 ならば、申請ファイルで百五十億となぜしなかったのか。招致経費を五十五億で、そのうち都が三十一億、招致委員会二十四億円と、このように記載しておりますよね。百五十億かかるんだったら、きちっとそのことを申請すべきじゃないですか。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 申請ファイル上の招致経費でございますけれども、先ほどもご説明をさせていただきましたけれども、IOCの立候補受付手順書には、招致予算に盛り込むべき具体的な予算項目、詳細は示されておりません。
 東京都は、国内招致活動などオリンピズムの普及啓発にかかる経費は、オリンピックの開催の有無にかかわらず、活動そのものが長期的な利益をもたらす、こういうことから招致予算には含めず、先ほどご説明しましたが、IOCが求めている大会計画の策定経費、それからIOC委員の賛同を得るための国際招致活動経費及び立候補申請料、こういった合計五十五億円を招致予算としたものでございます。

○松村委員 今度の答弁では、IOCがそういう基準というか、それを示していないから、何をやってもいいというか、どういう形でやってもいいということで、都の考え方で今までは五十五億円で一体だったのが、分けたと。
 しかも今の--先ほど来の答弁もそうですけれども、ひどい話じゃありませんか。オリンピックの開催の有無にかかわらず、これから遺産として残ると。冗談じゃないんでしょうか。賛成世論を高めるためにそういうキャンペーンをやる、その費用ですよ、多くは。開催がだめになったら、何でそれが残るんですか。全くおかしな、今盛り上がらないから、ますますそういう予算を本当に投入するという、これはひどい話だというふうに思いますし、もちろんこうした招致本部や招致委員会だけではなく、各局の予算も、先ほど資料にも出されましたけれども、どんどん膨れ上がってくる。そういうことを考えたら、際限のないオリンピック招致ということになりはしないんじゃないでしょうか。
 他都市でも同じようなやり方をしているのか、大阪の招致経費は四十八億円と聞きますけれども、ムーブメント費も含めたもので、まさに東京の場合、異常な金をかけたやり方になっているというふうに思います。
 もう一つ、じゃ、民間資金はこれまでどのぐらい集まったんでしょうか。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 招致委員会におきます民間企業からの寄附金、賛助金につきましては、既に現在協力をいただいているサポート企業等につきましては、新聞、プレス等で発表いたしているところでございます。
 その他の企業と団体、現在最終調整を行っている状況でございます。したがいまして、現時点では、資金調達の戦略上のことから、金額を公にすることは控えさせていただきます。

○松村委員 いえないということは、集まっていない裏返しであります。この表で見ると、結局招致が決まるのが来年の十月ですよね。昨年の九月から来年の十月までの招致経費予算ですよね。これが百五十億円と。その年度ごとの経費を私は出してもらって、手持ちで持っております。これを見ますと、平成十九年度、合計二十六億円なんですよ、招致経費とムーブメント推進経費を合わせると。ところが、東京都の予算では、一億と六億、七億ですよね。しかも、最終補正で、これからやるから、七億出されております。どこかはいいません。これは今度の補正予算ですからね。それを含めたとしても十三億円でしょう。ところが、皆さん方では二十六億円、平成十九年度使った招致経費とムーブメントをやっているというんですよ。
 もう今、二月に入ります。二月、三月と。あとの十三億円、これは全部民間資金ということですか。しかも、そういう資金が当てになっているのかどうかわからない。予算は七億、しかも今度の補正を入れたって、十九年度は十三億しかないんですよ。ところが、皆さん方は二十六億の事業をやるという。予算もないのに事業を執行しているのですか。その資金手当てを含めて、これらについてもお答えいただきたいと思います。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 オリンピック招致活動経費につきましては、東京都招致本部と招致委員会と、こちらの役割分担に基づいて、今まで事業をやってまいりました。具体的には、申請ファイル、立候補ファイル等の国際的な招致活動、全国による啓発事業の推進など、これは委員会で行う。都の方は、招致委員会が円滑にできるよう実施していくということでございまして、今までの事業につきましては、その性格につきまして、本来都がやるべきものを委員会が代替する、それから補完するということで、役割分担を見直すということで、今回補正を行うものでございます。

○松村委員 そんなことを聞いているんじゃないんですよ。予算が再度の補正を見ても十三億円しかないのに、何で二十六億円の予算執行をやるんですかと。それは民間から、先ほどお答えしませんけれども、あと十三億円は集まって、そして、事業をやっているということなんですか。端的にお答えください。

○野村委員長 松村委員に申し上げますが、予定時間が経過していますので、おまとめください。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 平成十九年度の補正前の事業実施でございますけれども、招致委員会分につきましては、民間企業によります資金、こういったものが集まらない場合につきましては、借り入れ等ございます。こういったもので今まで事業をしてございまして、こういった事業を後ほど振りかえるものでございます。

○松村委員 これも恐ろしいものですね。予算が見込めないのに事業をやって、その分は借り入れでやっていると。結局民間が集まらなければ、本当にこの招致経費もとめどもない都の負担。下手したら百五十億、そのままそっくり都民の税金を使わなければならないような事態も、万が一というか、本当に出てくるという、これをやはり都民の前にきちっとしなくて、勝つためだ、勝つためだということでどんどん進めていくようなことは絶対許されないというふうに申し上げ、環境問題は、ちょっともうないので、最後に一言だけ、安藤忠雄氏が基本計画発表会で提案した計画は、どこでオーソライズした公式なものであるのか、招致本部の見解を伺って、私の質問を終わります。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 安藤忠雄氏を中心といたします、いわゆるオリンピックのグランドデザインチームにつきましては、オリンピックの招致委員会に設置されておりまして、この招致委員会の決定のもとに、今回発表したものでございます。

○曽根委員 それでは、一時間の残りの時間の範囲内で、私からも何点か簡潔に質問したいと思います。
 まず、最近の知事を初めとした都の動きを見て、率直に聞きたいんですが、東京都政にとって一番大事なのは、都民のことなのか、オリンピックを呼ぶことの方が大事なのか、どっちなんでしょうか。

○中村東京オリンピック招致本部招致推進部長 我々の認識といたしましては、どちらも大事だと認識しております。

○曽根委員 都民のために本当にオリンピックは役立つ、活性化になるというんだったらば、私はほかにやるべきことが山のようにあるはずだというふうに思います。
 例えば昨年の都民意識調査でも、都政に対する要望の第一は治安であり、高齢者、医療、防災となっております。しかも、これからの暮らしはどうかという質問に対して、毎年じりじりと、これから悪くなるという方がふえまして、昨年九月の調査では、よくなっていく、楽になっていくという人が三・九%しかいないのに、苦しくなっていくと考えている人が四〇・六%という状況です。
 こういうときに、東京都が東京オリンピックで夢をもう一度ということが通用するのかどうかが、私は厳しく問われていると思います。東京都は、オリンピックだとか、また、それと一体の「十年後の東京」で盛り込まれたインフラ整備など、私たちの試算では総額九兆円にも及ぶような投資に膨らんでいきかねない。直接の招致経費だけでも、今松村委員が質問したように百五十億円、加えて生活文化スポーツ局などでオリンピック対策のさまざまな予算が、「十年後の東京」の中にも五十五億円盛り込まれています。
 これに対して、知事の公約の都民減税とかもやめちゃいましたし、中学校までの医療費無料化とか、福祉の公約が幾つか先送りになっているという現状で、率直にいえば、都民が本当に求めている施策よりも、とにかくオリンピック招致というふうになっていやしないかということを、まず問題提起をしたいと思うんです。
 ちょっと具体的に聞きたいんですが、若い世代の夢を育てるとか、都民スポーツを育てることがレガシーになるんだというふうに、今度の申請ファイルにも書いてありますね。しかし、都民の、若者の状況を見ると、とにかく就職しても半分ぐらいアルバイトになってしまうとか、月十万前後の収入の方が多いとか、正社員になってもゴールデンウイークあたりでもう疲れてやめちゃうとか、暮らしで手いっぱいだという声を、私は多くの都民から聞くんですけれども、こういう中で、じゃ、その若者、ワーキングプア問題は何をやっているかといえば、例の低所得者安定プログラム事業ですけれども、これが、はっきりいえば、オリンピックにかけている人、物、金に対して、直接の給付は二十億円弱しかないし、窓口の区市町村はいまだに実施の見通しが立っていないという状況で、率直にいえば、どっちに力を入れているのかといえば、オリンピックの方に都民そっちのけで力が入っちゃっているんじゃないかという実態を感じるんですが、どうですか。オリンピック本部として、そういうふうに都政全体から見て、思いませんか。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 今回、昨年策定いたしました開催基本計画の中にも、二〇一六年の東京オリンピック・パラリンピックは地球社会の贈り物ということで、目の前でアスリートの最高の力を発揮した姿を見て、子どもたちに夢と希望を与える、そういったことから、都の施策の中でも、例えば「十年後の東京」の施策の中でも必ず関連してくる、大きな事業だと考えてございます。
 したがいまして、オリンピック招致の事業に全局を挙げて取り組むことは、東京都の最重要課題との認識でございます。

○曽根委員 招致本部だけじゃなくて、全局を挙げてオリンピック招致に全力を挙げると。先ほど、都民のことも両方大事だというふうにいいましたけれども、実態としては、オリンピック招致の名前で、いろんな事業を各局がやらざるを得ない。その中で、本来の都民のために使われるべき事業がゆがんできているというふうにいわざるを得ない問題について、具体的に聞きたいと思います。
 一つだけ取り上げたいんですけれども、一つは、新・元気を出せ商店街事業の予算を使った商店街のフラッグのことです。かなりたくさんつくって、商店街におろしたようですけれども、どれぐらいの枚数をつくって、だれが費用を負担したのか、総額でどれぐらいになるのか、教えてください。

○中村東京オリンピック招致本部招致推進部長 フラッグの枚数でございますけれども、約二万三千枚でございます。
 また、掲出商店街数ですが、百を超える商店街と九つの区の商店街連合会が実施しております。
 なお、総額につきましては、当事業は保護事業でございますので、額は確定していないため、お答えすることはできません。

○曽根委員 商店街には負担を負わせないで、都が本部とそれから産労局の予算の中でやったという話ですが、しかし、確かに元気を出せ商店街事業の予算が残っている、これを使えということで、一億円以上になりますね、二万三千枚ということになれば。これがいわばこの事業に使われたわけですけれども、本来、今商店街は数がどんどん減ってきて、地元負担があるわけですね、この元気を出せ事業は。それを負ってまでこの事業を活用したいという商店街も限られてきているわけですよ。
 ですから、複数回数使わせてほしいとか、地元負担をなくしてほしいという声がやっぱり出ているわけですね。本来は、そういう方向に元気を出せ商店街事業も活用していくのが姿であって、東京都から企画を持ち込んで、たとえ都が負担しますといっても、上から押しつけるやり方は、この事業をねじ曲げるものですよ。
 しかも、十一月から十二月にかけて、これがクリスマスとか年末セールの大売出しのキャンペーンの時期にぶつかったために、商店街独自ののぼりや横断幕と競合したという声もたくさん聞いています。本来、商店街から企画を出して助成を受けるという点に反するといわざるを得ないと思うんです。
 しかも、このフラッグを今度の夏の招致の候補の決定時期だとか、さらに来年、五都市に選ばれれば、IOCが東京を訪問する。その時期にもまたかけさせるということまで計画があるというふうに聞いたんですが、事実ですか。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 元気を出せ商店街の各事業でございますけれども、実は私も、商店街のイベント等に実際に顔を出しまして、その状況を見てきますと、商店街の皆さんからは、非常に活気が出ていいというおほめの言葉をいただいたのも事実でございます。
 それで、ことしの六月以降につきましては今のマークが、今度は五輪を使った新しいマーク、今準備中でございますけれども、これに変わります。この機に、また商店街の皆様と一緒に招致機運を盛り上げるということで、新たな取り組みを考えているところでございます。

○曽根委員 元気を出せ事業は、先ほどからいっていますように、あくまで商店街が企画して、それに対して支援をするという事業であって、上から持ち込むのはやっぱりおかしいといわざるを得ませんし、それから、さらに繰り返し、それを一定の時期を決めて、商店街にその時期にかけさせるという事実上の押しつけになっているんですよ。
 商店街は行政からいろいろ面倒を見てもらっているのは事実ですから、断れるものじゃありません。自由な意思なんていうのは、そう簡単に表明できないんですよ、それは署名と同じですけれども。
 都内の小さい商店街ですけれども、このフラッグをおろされたときに、街頭に横腕がない。だから、横腕がないからかけられないんだけれども、わざわざ商店街がお金を出して横腕をつけて、それでかけたというところもあるんですよ。
 だから、商店街って本当にまじめで、行政がこういうふうにしたいといったら、いろいろあっても、まじめに従ってきているんですよ。しかし、年間百万も事業費がない商店街の中で、十数万もかけて腕木をつくらせて、それで協力させる。厳しいですよ、商店街は本当に。
 そういう中で、商店街の期待、信頼にこたえられるだけの招致活動をやっているのか、まじめに、本当に都民のためにオリンピックをやろうとしているというふうには、先ほども計画、松村委員から指摘したように、なっていないという実態を私はいわざるを得ないと思うんですよ。
 それから、その一つの問題点として、私、世論調査について、先ほどもう各都市との比較はありましたので、それについては省略しますが、少なくともこれだけキャンペーンを東京都が一生懸命やっても、支持が六割だった。しかも、東京の方が支持が低いというのは、都民の目は厳しいということ、全国よりも東京都民の方の反応が厳しいということを率直に見なければならないと思います。
 大体インターネットを使ったものは限界があるというのは、四定でも私たち指摘をしました。率直にいって、中身について、一回に三千、二回で六千、回答を得たといいますが、一体どれぐらいの人に依頼を出して、回答率がどれぐらいだったのかということも公表されていない。これぐらいは少なくとも公表していいんじゃないですか。いかがですか。

○中村東京オリンピック招致本部招致推進部長 今回の調査は、ビジュアルアナログスケールという独特のインターネット調査を行いました。この調査は、委託いたしました日本リサーチセンターにモニターとして登録している約二十一万七千人の中から、都内や全国の人口構成や男女比を反映するよう、無作為に抽出し、回答をお願いしたものでございます。
 調査については、東京二千名、全国六千名という十分な標本数が得られるまで実施したものでありまして、回答率という形でこれをはかるものではございません。

○曽根委員 この会社には二十万ぐらいの登録があるというふうに会社のホームページに出ていましたけれども、その全部に依頼を出したわけじゃなくて、全国をブロックに分けて、人口比になるように、男女比になるようにということで、そこからピックアップしているわけですよね。もともと登録者自体が二十代、三十代が六割を占めるという、明らかに若い世代、インターネット利用世代に偏った登録者の中で、しかも指名して、個別にピックアップして、依頼を出しているんですよ。で、回答が六千になるようになっているんです。一体どれぐらいの人に出したのかわからないと、要するに無関心度が見えないわけですよ、今の発表の仕方では。
 少なくとも生の回答者の声だとか、一体どれぐらいに出して、回答率がどれぐらいあったのかというのは、普通の調査だったら、新聞でも全部出していますから、これぐらいは、今ないんだったら、近く出していただきたいんですが、いかがですか。

○中村東京オリンピック招致本部招致推進部長 今回の世論調査につきましては、科学的な実証に基づいて実施していると我々は認識しております。
 なお、回答率などなどという問題もございましたけれども、こちらにつきましては、調査のやり方等が科学的であるという形で、我々はこれを進めていると認識しております。
 また、先ほど委員の方から、公表したらどうかということがございましたけれども、調査の項目につきましては、先ほど答弁いたしましたように、今後公表を検討してまいります。
 以上でございます。

○曽根委員 時間ですので、これぐらいにしておきますけれども、ただ、今お話があった、科学的で公平性があるというふうにいいますが、これは無作為抽出じゃないんですよ。インターネット会社が直接割り振らなきゃできないんですから、これは。個別に指名して、依頼を出しているんです。
 ということと、それから、これは私、会社の方に直接聞いたので間違いないんですけれども、謝礼が出るわけですよね。それも、幾つかのメニューからインターネットで選んで、好きなものを選んでもらって、プレゼントするわけです、謝礼を。数百円程度のものだと一生懸命強調していましたけれども、会社の人は。明らかに主催者は東京都、その依頼を受けて、調査会社がやる。謝礼が出る。公平ではあり得ないんですよ、この調査は。はなから賛成が多くなるようにシステムができているといわざるを得ないし、会社のホームページにも、代表性に問題があるということは、インターネット調査の限界として認めているものであります。
 したがって、私は、都民の賛成、反対でいえば、厳しい目線があるということを受けとめるべきだし、招致経費の問題にしても、それに伴うさまざまな投資の計画にしても、いいかげんな浪費の計画をやめて、本当に都民に必要なものという点での抜本的な見直しが必要だ。オリンピックの招致計画は白紙撤回、もう一回本当に都民の意見を聞くべきなんですよ、ということを申し上げて、質問を終わります。

○大西(由)委員 最後にいきたいと思います。まず最初に、私も世論調査のこの表を見たときに、私の立場からすると、オリンピックは好きだけれども、今、東京オリンピックがこの時期に必要かということには少々疑問を持っているという立場です。
 でも、意向調査が出て、どうかなと思っていたときに、認知率、観戦意向、主語がないんですよね。何の認知率なのか。また、オリンピックということなのか、東京でオリンピックを招致することなのか。こういう結果を見たときに、ああ、なるほど、みんなこういうふうに考えているんだと、普通感じるものがあるんですけれども、何となく、何が--何というんですか、ぴたっと、これを見て、そうだなというふうに自分も思いを入れられないというような調査で、どういう調査なんだろうと思ったんです。まず質問項目とかいろんなことがあれば、こっちも、ああ、こういうふうに皆さんが思っているんだということがわかるんだけれども、これは結果だけが出ています。
 そこで、このオリンピックの世論調査のビジュアルアナログスケールというやり方、これは余りなじみがなかったので、どういうものかということを、まず聞きたいと思います。
 そして、いろいろいわれていますけれども、この調査のメリット、デメリットは何でしょう。

○中村東京オリンピック招致本部招致推進部長 ビジュアルアナログスケールについてでございます。
 ビジュアルアナログスケールは、質問に対して回答者が相反する答えを両端とする横一線につき、該当する部分に印をつけて、回答する方法でございます。
 この方法によるメリットといたしましては、個人の意識を細かく把握することができること、またこの手法が多く用いられている医療現場では、例えば手術前と手術後の痛みの違いなど、機械では測定することができない個人の主観的な認識を細かく測定する場合などに用いられております。
 今回の世論調査にこの方法を採用したのは、回答者の意向をより正確に把握し、東京の招致に対する正確な意向を把握するためのものでございます。
 また、デメリットでございますけれども、強いていえば集計量がふえること、また多少煩雑なところがあることなどでございます。

○大西(由)委員 デメリットとして、ある意味特にないというふうな、集計量がふえることというようなことですけれども、デメリットというのは、今説明を聞いても、どういう調査なのかというのがなかなか私もわからないし、皆さんわかっていらっしゃるのかなというふうな気持ちになりますし、これを見たときに、本当だ、みんなこんなに思っているんならやろうというような気が、色もそうなんですけれども、余りわき上がりませんでしたね、ということがいえるかと思います。
 先ほどから問題になっております招致予算五十五億円の内訳と協賛金の集まりぐあいを、ちょっと重なりますが、お聞きします。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 招致予算五十五億円の内訳でございますけれども、先ほど来ご答弁をさせていただきますけれども、大会計画策定としまして、申請ファイル及び立候補ファイルの原案策定費用に約二十億円、それから立候補申請及び立候補手数料に一億円ということで二十一億円、それから国際招致活動といたしまして、情報収集や国際候補PR活動、IOC委員視察対応、それからIOCの総会、北京オリンピックのプレゼンテーションに要する経費など、計三十四億円を見込んでいます。先ほどの二十一億円と合わせて、五十五億円ということでございます。
 それから、協賛金の集まりぐあいでございますけれども、先ほどもご答弁させていただきましたけれども、企業からの寄附金、協賛金につきましては、既にご協力をいただいていますサポート企業等につきましては、新聞、プレスなどで発表をさせていただいたところでございます。
 その他の企業につきましては、今現在、企業、団体と最終調整を行ってございます。したがいまして、資金調達のやり方、戦略上でございまして、金額等につきましては、ここで公にすることは差し控えさせていただきます。
 以上です。

○大西(由)委員 戦略上公開しない方がいいというような考えなんですけれども、集めるにしろ、戦略上は、普通は公開した方が、少なければもっとやろうとかそういうふうに、何か考え方が--戦略上隠そう、隠そうじゃなくて、もっともっと広げようというような方向の方が集まるんじゃないかなと思います。
 それから、先ほど質問の中でもありましたけれども、私も最初、五十五億円、申請ファイルの招致費用という部分を出されて、そのときに、東京都が十五億、それから委員会の方が四十億という説明がありました。その後、二十年度の予算を見ると、いつの間にか百五十億に膨れ上がり、都の負担が百億、委員会が五十億ということが出されているわけです。
 今そういう質疑があったので、その辺は聞きませんけれども、そこでちょっと気になったのは、IOCが求めている基準がなかったということで、国内のムーブメントは入れてなくて、五十五億で申請したということがありました。
 ここに参考にいただいた他都市の状況、シカゴ五十七億、マドリード四十六億、リオ四十八億、ドーハ五十五億、これも同じような基準とはいえないわけですよね。ひょっとしたら、ここは国内のムーブメントも入れているかもしれない。
 もう一つあわせてお聞きしたいのは、先ほど、大阪は四十八億円だったということはこちらの委員からいっていましたけれども、ムーブメントを含めた費用だったという発言がありましたけれども、その辺はこちらでどのように把握していらっしゃるのか。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 まず前段のご質問の協賛金について、公表した方がいいんじゃないかということでありますけれども、今現在、資金調達に向けてちょうど相手と交渉しているというようなのがあると聞いてございます。
 したがいまして、現時点では公にすることは控えさせていただくということでございますので、今後しかるべきに公にするかどうかは、また別途協議をさせていただきます。
 それから、他都市の状況でございまして、委員ご紹介ございましたシカゴ五十七億円、マドリード四十六億、リオ四十八億円ということで、他都市の申請ファイルの内容を詳細に今分析しているところでございますけれども、現時点では、基本的に東京都の考え方と近いんじゃないかという認識でございます。大阪についても同じでございます。

○大西(由)委員 皆さんがお聞きになったので、あえてこの質問はしないんですけれども、ある意味知事の思いつきでここまで来たオリンピック招致だと思います。しかし、これは都民の税金を多額に必要とするということが大きな問題だと思います。そういう意味では、今このような厳しい委員会の質問こそ必要だと思うんですけれども、何よりも今欠けていると思うのは情報公開だと思います。先ほど来、オリンピックの招致の金額も、五十五億だと私たちは思っていたら、いつの間にか百億、百五十億とかふえていく。そしてまた、いろんなところに、商店街の旗とか、そういうところにもお金が要るということで、だれもが今後どのようにお金がふえてくるのかなということを思っているわけです。
 ところが、なかなかオリンピックだけのお金を追いにくいんですよね。マラソンがある、そして多摩の国体があるというようなことで、一応スポーツという意味からは重なる部分もあるわけで、理解するところもあるんですけれども、やはりこれは大きなイベントであり、そして、これは東京だけの問題じゃなくて、オリンピックはお金がかかるということを含めれば、本当にしっかりと公開をしていく、この姿勢が私は大事だと思うんです。
 一方で、機運が盛り上がらないということがあります。特に私は多摩ですので、ここの都と地元に帰っての格差にはびっくりするんですよね、オリンピックの「オ」の字も出ない地元にいますので。しかし、ここではどんどん私たちの大事な税金が使われて、このオリンピックの方向に動き出しているわけです。やはりそこは考えていただきたい。
 だから、ぜひ公開です、お金も含めて。そして、要るものも含めて公開することによって、機運の盛り上げができるんじゃないかと思います。あえていいますけれども、いいことばっかり出していたら、機運は盛り上がらないんです。今回の相撲のあれも同じですよね。よい子ばかりいても盛り上がりません。いろんなものがあってこそ、盛り上がるわけです。
 オリンピックも同じだと思います。本当に必要なもの、それから、こういうものもあるんだとだれもが承知していますよ、オリンピックのプラスマイナス。そういうものも含めた上での東京オリンピックにしないと、成熟都市のオリンピック招致とはいえないと私は考えておりますので、幸いにも六割の人たちが、この調査によると、オリンピック招致を望んでいるという結果が出ているんですから、自信を持ってどんどん公開していただきたいということを申し上げます。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 オリンピック関係招致経費につきましては、平成二十年度予算につきましては議会に付議すべく、ただいま準備中でございます。
 その概要につきまして、先般予算原案ということでお示ししました二十年度予算、それから今後十九年度補正予算、こういった中で手前ども本部としましても、できるだけ詳細に議員の皆様にご説明して、ご審議をいただいております。手前どもでも決して隠すようなことはございません。オープンにしまして、よりよい意見を聞きまして、その中で、確実にオリンピック招致に向けていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○大西(由)委員 急激にオリンピック招致というものをいいますけれども、知事の思いつきでスタートしたということで、やはりどこかで無理が来ていると思っております。それは承知ですので、でも進んでいるわけですから、あえて公開をまた改めてお願いしておきます。

○野村委員長 よろしいですか。

○大西(由)委員 いいです。時間を十分残して、終わります。

○野村委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後三時四十五分散会

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