オリンピック招致特別委員会速記録第七号

平成十九年九月二十日(木曜日)
第十二委員会室
 午後一時二分開議
 出席委員 二十三名
委員長野村 有信君
副委員長三宅 茂樹君
副委員長中嶋 義雄君
副委員長土屋たかゆき君
理事石川 芳昭君
理事曽根はじめ君
理事川井しげお君
理事吉野 利明君
理事大沢  昇君
西岡真一郎君
たぞえ民夫君
村上 英子君
串田 克巳君
大西さとる君
長橋 桂一君
高島なおき君
鈴木 隆道君
大西由紀子君
松村 友昭君
鈴木貫太郎君
高橋かずみ君
田中  良君
名取 憲彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
東京オリンピック招致本部本部長荒川  満君
技監福島 七郎君
企画部長宮川  昭君
招致推進部長岸上  隆君
参事梶原  洋君
参事中嶋 正宏君
参事藤井 寛行君
知事本局局長大原 正行君
企画調整部長川澄 俊文君
企画調整担当部長小林  清君

本日の会議に付した事件
 二〇一六年に開催される第三十一回オリンピック競技大会の東京招致に関する調査審議及び必要な活動を行う
副委員長の互選
理事の互選
報告事項
・東京オリンピック招致に係る最近の状況について(説明・質疑)
・東京オリンピック招致に関するスケジュールについて(質疑)
閉会中の継続調査について

○野村委員長 ただいまからオリンピック招致特別委員会を開会いたします。
 委員の辞任及び選任について申し上げます。
 議長から、去る八月二十一日付をもって山下太郎理事の辞任を許可し、新たに大沢昇委員を選任した旨、また、同じく議長から、去る九月十三日付をもって石井義修委員の辞任を許可し、新たに長橋桂一委員を選任した旨、通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の委員を紹介いたします。
 大沢昇委員でございます。長橋桂一委員でございます。
   〔委員あいさつ〕

○野村委員長 紹介は終わりました。

○野村委員長 次に、吉野利明副委員長から、本日付をもって副委員長を辞任したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件は、申し出のとおり辞任を許可することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認めます。よって、申し出のとおり、吉野利明副委員長の辞任は許可されました。

○野村委員長 次に、吉野利明副委員長の副委員長辞任に伴い、副委員長一名が欠員となっております。
 これより副委員長一名の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○西岡委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名していただきたいと思います。

○野村委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認めます。よって、副委員長には三宅茂樹理事をご指名申し上げます。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認めます。副委員長には三宅茂樹理事が当選されました。
 副委員長から就任のごあいさつがあります。

○三宅副委員長 ただいま野村委員長からご指名をいただき、委員の皆様からご承認をちょうだいいたしまして副委員長に就任をいたしました三宅でございます。
 二〇一六年が最終の目標でございますけれども、その前に数々乗り越えなければいけない障壁があろうというふうに思っております。野村委員長を補佐して、全力をもってこの特別委員会がオリンピック招致実現のために機能するよう努力を続けてまいります。よろしくお願いいたします。(拍手)

○野村委員長 次に、山下太郎理事の辞任及び三宅茂樹理事の副委員長就任に伴い、理事二名が欠員となっております。
 これより理事二名の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○西岡委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名していただきたいと思います。

○野村委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認めます。よって、理事には、吉野利明委員、大沢昇委員をご指名申し上げます。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認めます。理事には、吉野利明委員、大沢昇委員が当選されました。

○野村委員長 次に、議席について申し上げます。
 議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしたいと思いますので、ご了承願います。

○野村委員長 次に、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議事課の担当書記の望月翌可君です。よろしくお願いいたします。
   〔書記あいさつ〕

○野村委員長 次に、先般の人事異動に伴い、本委員会に出席する東京オリンピック招致本部の幹部職員に交代がありましたので、荒川本部長から紹介があります。

○荒川東京オリンピック招致本部長 さきの人事異動に伴いまして就任をいたしました当本部の幹部職員を紹介させていただきます。
 技監の福島七郎でございます。参事で調整担当の藤井寛行でございます。
 また、本日の報告事項及び先般の要求資料の説明につきましては、企画部長よりご説明いたします。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○野村委員長 紹介は終わりました。

○野村委員長 これより第三十一回オリンピック競技大会の東京招致にかかわる事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取及び閉会中の継続調査の申し出の決定を行います。
 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○宮川東京オリンピック招致本部企画部長 それでは私から、東京オリンピック招致に係る最近の状況等につきましてご報告させていただきます。
 資料といたしまして、第1号、東京オリンピック招致にかかる最近の状況、第2号、東京オリンピック招致にかかる閣議了解及び招致決議、第3号、東京オリンピック招致ロゴと活用例、第4号、二〇一六年オリンピック申請都市と過去の投票結果をお配りしてございます。これらの資料に基づきましてご説明申し上げます。
 一枚おめくりいただきまして、資料第1号、東京オリンピック招致にかかる最近の状況をごらんください。
 初めに、国や区市町村等との状況でございます。
 去る九月十一日、二〇一六年オリンピック競技大会について閣議了解を得られました。これによりまして、オリンピック招致は国家行事として正式に位置づけられることとなりました。また、それに先立ちまして、九月七日には地方六団体による招致支援決議がなされており、全国からオリンピック招致に対する支持がいただけることになります。
 次に、区市町村との取り組みでございますが、十月上旬にオリンピック招致に係る都区市町村連絡協議会を設置する予定でございます。これは、区市町村、招致委員会、都で構成いたしまして、都と区市町村が共同してオリンピック招致や大会開催を行うための具体的な方策を検討するための協議会でございます。
 次に、庁内体制の強化でございますが、去る七月二十日に、東京オリンピック招致推進会議の部会といたしまして、都市づくり部会を設置いたしました。本部会は、知事本局を初め、都市整備局、財務局など十六局から成る庁内の横断的な組織であり、「十年後の東京」が描く都市像との整合性を図り、都市づくりの観点から招致計画を策定することを目的といたしております。
 なお、記載にはございませんが、東京オリンピック開催意義、会場コンセプト等を強化するため、去る八月二日に、東京オリンピック招致委員会において、建築家の安藤忠雄氏をチーフとするグランドデザインチームの第一回会合を開催するとともに、競技施設の配置内容等を検討するため、九月上旬に同じく招致委員会で、福田富昭氏をチーフとするスポーツテクニカルチームの第一回会合を開催いたしました。
 次に、国内キャンペーンの展開についてでございます。
 当面のキャンペーン目標ですが、十一月末までに予定しています都民等を対象とした世論調査を念頭に置いて、東京に勝機が十分にあることの周知を通じた賛同の拡大、理念の明確な発信、コンセプトを伝えることを目標としていきます。
 まず、賛同を得るための取り組みでございます。
 マスコミを活用した今後の取り組みといたしまして、文化界、芸能界からの招致大使の選任、テレビ等によるオリンピック理念の発信などを行ってまいります。また、著名人が出演する、オリンピックの理念とコンセプトを伝えるためのシンポジウムなどを開催する予定でございます。そのほかに、みんなのオリンピックやふるさと特使など、オリンピック出場者によりオリンピックのすばらしさを全国へ広げてまいります。
 次に、従来実施してきたオリンピック招致の周知活動をさらに深める取り組みでございます。
 十一月に向けた集中キャンペーンにあわせまして、商店街におきましてロゴ入りフラッグの掲出を行うとともに、招致ロゴのラッピングバスや東京タワーのディスプレーなど、大型の媒体を使ったPRなど目立つPRを実施してまいります。また、これまでも、各局、国、区市町村、民間などのイベントを活用したPRを行ってきておりますが、今後もなお一層のご協力をいただき実施してまいります。招致ロゴを活用したPRでは、秋田国体で招致ロゴ入り横断幕を掲げ行進する予定であり、今後、ロゴ入りグッズの販売も予定しております。
 続きまして、資料第2号、東京オリンピック招致にかかる閣議了解及び招致決議をごらんください。先ほどご説明申し上げました九月十一日付の閣議了解及び九月七日付の地方六団体による招致決議の内容をお示ししております。
 続きまして、資料第3号、東京オリンピック招致ロゴと活用例をごらんください。去る七月十日に発表いたしました東京オリンピック招致ロゴにつきましてお示ししております。
 招致ロゴは、結びをテーマに、水引をモチーフにして、オリンピックの五色を重ねて表現したものでございます。右側に記載しておりますように、これまで、歩道橋への横断幕の掲出、都庁第一本庁舎前バス停へのロゴの掲出のほか、イベントにおいて招致ロゴを使った五色ののぼり旗の掲出などを行っております。
 最後に、資料4、二〇一六年オリンピック申請都市と過去の投票結果をごらんください。
 九月十四日に二〇一六年オリンピック申請都市がIOCから正式に発表されました。東京を初め、シカゴ、マドリード、リオデジャネイロ、ドーハ、バクー、プラハの七都市で、いずれも各国を代表する都市であります。
 次に、IOC委員の大陸別構成でございます。オリンピック開催都市はIOC総会での委員の投票によって決定いたしますが、現在、IOC委員は、アフリカ十九名、アメリカ十九名、アジア二十三名、ヨーロッパ四十九名、オセアニア五名、計百十五名で構成されており、それらの委員が投票ルールに従って投票を行います。
 次に、IOC総会での開催都市の投票ルールですが、投票は無記名であり、どの委員がどの都市に票を投じたかはわかりません。一都市が過半数の票を獲得するまで、最下位得票都市が脱落していく方法で行われます。また、立候補都市所在の国から選出されているIOC委員は、自分の国の都市が入る投票には加われないことになっております。
 資料右側には、ことしの七月にロシアのソチが開催都市をかち取った二〇一四年冬季大会の投票の結果を初め、過去の夏季四大会の結果をお示ししてございます。
 開催都市の決定は、この百十五名のIOC委員の票をいかに獲得するかであり、今後は世界を相手にした招致戦略が必要となってまいります。
 以上、東京オリンピック招致に関する最近の状況等につきましてご説明申し上げました。
 これをもちまして説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野村委員長 報告は終わりました。
 なお、本件に対する質疑は、次の報告事項の質疑とあわせて行います。ご了承願います。

○野村委員長 次に、報告事項に対する質疑を行います。
 なお、東京オリンピック招致に関するスケジュールについての報告事項については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○宮川東京オリンピック招致本部企画部長 去る六月十四日開催の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明させていただきます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございますオリンピック招致特別委員会要求資料の表紙をおめくりいただきまして、オリンピックスタジアムの後利用状況をごらんいただきたいと存じます。
 本資料は、二〇〇四年のアテネ、二〇〇〇年のシドニー、一九九六年のアトランタの過去三回の夏季オリンピック大会におけるオリンピックスタジアムの後利用の状況についてまとめたものでございます。
 簡単ではございますが、要求資料の説明とさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○野村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、先ほど聴取いたしました東京オリンピック招致に係る最近の状況についての報告事項とあわせて、本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○たぞえ委員 私は、閣議了解に関連して伺います。
 十一日の閣議は、夏季五輪を東京都に招請することを了解しました。石原知事は、国を挙げての一大プロジェクトになったとコメントを出しています。東京都は閣議了解をどう見ているのか、まず伺っておきます。

○梶原東京オリンピック招致本部参事 今回の閣議了解によりまして、オリンピックの東京招致は正式に国のプロジェクトとして位置づけられたというふうに考えてございます。このことにより、国からさまざまな協力や支援を得ることが可能となり、国を挙げて招致活動に取り組んでいく体制が整ったと認識しております。

○たぞえ委員 ナショナルイベントと位置づけられたといいましたが、それでは担当大臣は置かれたんでしょうか。

○梶原東京オリンピック招致本部参事 オリンピックの主管庁は文部科学大臣でございます。特別な担当大臣というのは置かれてございません。

○たぞえ委員 閣議了解のいわゆる別紙の全部を読んでみますと、〇八年オリンピックに立候補した大阪市への了解と同様に、国の全面的支援は見当たりません。それどころか、簡素を旨とし、国の所要経費は特別の措置は講じないと厳しい縛りをかけています。所管の文科省は、来年、〇八年度予算に向けての概算要求事項に招請に関する経費は一切盛り込んでおりません。知事がいっているようなナショナルイベントに位置づけられたという文字もない。これではとてもナショナルイベントとはいえないのではないでしょうか。
 さきの答弁で、国からさまざまな協力、支援を得ることが可能だといわれましたが、具体的にはどういうことなのか、説明をお願いしたいと思います。

○梶原東京オリンピック招致本部参事 国からの協力、支援といたしましては、競技施設の整備に対する財政支援、競技大会の開催に関連いたします公共事業に対する財政支援あるいは申請ファイル、立候補ファイルに必要な国からの各種保証書の発行、在外公館における情報収集、国際プロモーションなど日本の外交的手腕を発揮した国際的な招致活動などが挙げられます。
 なお、閣議了解は支援に当たっての国の基本原則を示したものでございます。今後引き続き国と協議を行い、財政支援については、国家行事にふさわしい国の負担を確保していく考えでございます。

○たぞえ委員 その財政支援ですが、二分の一です。その範囲なんですね。東京都は、施設は国立でやる、新規施設はない、一般の公共事業でやるからコンパクトだ、こういうふうにいい続けてきました。しかし、この閣議了解ではっきりしたことは、メーンスタジアムは国費ではつくらないということです。主要施設の国の負担割合は二分の一以内で、しかも、後利用の管理運営費は地元が負担するという条件がついていますし、公共事業としての特別枠は全くありません。IOCが求めている国の全面支援とはほど遠いといわざるを得ないのです。
 六四年開催のオリンピック競技大会の東京招致の際、政府、閣議が了解した文面を紹介してください。

○梶原東京オリンピック招致本部参事 一九六四年東京大会の閣議了解文は、第十八回オリンピック競技大会の東京招致について、政府としてもできるだけの努力をすることを了承するというものでございます。ただ、当時と社会経済状況は全く違っているというふうに認識しております。

○たぞえ委員 今いわれた閣議文書は、できるだけ努力する、可能な限り国がやるということです。敗戦から立ち直った日本が国際社会に復帰したことの象徴として、競技施設や道路、上下水道、地下鉄など、総額一兆円の事業を国を挙げて取り組むという姿勢でした。今回の了解と比べると大きな格差です。今回の了解は、都がやりたければどうぞということではないでしょうか。
 過去の大会で、オリンピックに公共事業費など特別枠が設けられたのは、六四年の東京オリンピックと七二年の冬季札幌大会だけです。その後開催された冬季長野大会では特別の枠はありませんでした。長野は冬季というオリンピックであっても、招致決定時は一兆円といわれていたのに、終わってみたら二・三兆円もの大プロジェクト決算に膨らんでいた。莫大な建設投資のために、今でも借金と後利用の問題で苦しむ結果です。
 〇八年のオリンピックに立候補した大阪市は、オリンピックのためといって、実際に千百九十三億円もの財政を投入して、メーンスタジアム会場のための人工島をつくったり、この人工島を結ぶ海底トンネルや可動橋、地下鉄までつくられ、結果的に招致できずに負の遺産を残しました。今でも莫大な借金を背負って、その負担は市民生活に大きくのしかかっています。都財政に深刻な影響を及ぼし、大阪市と同じ道を歩むことは絶対に許されません。
 東京オリンピック招致委員会が都庁内にありますが、事務総長のもとに計画専門委員会があります。この中に専門家プロデューサーチームが置かれています。そのメンバーは、東大生産技術研、京都造形大学、科学技術ジャーナリスト、そういう方々です。チーフは安藤忠雄氏です。このチームは何を検討しているんでしょうか。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 東京オリンピック招致委員会の専門家プロデューサーチームにつきましては、世界にアピールできるオリンピックの計画とするために、環境や景観など、おのおのの分野に高い識見をお持ちの方々にメンバーとなっていただきまして、行政とは異なる視点から検討を行っていただいております。具体的には、昨年都が策定いたしました「十年後の東京」が描く都市像を踏まえました開催意義ですとか会場コンセプトの強化などについて検討を進めているところでございます。

○たぞえ委員 そのチーフの安藤氏は、チームの中でどのような肩書で仕事をしているんですか。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 安藤忠雄氏は東京オリンピック招致委員会の理事でございまして、また、委員会に設置した計画専門委員会の委員でございます。したがいまして、計画策定に携わる立場にございます。また、国内選考の際にも、開催概要計画書の策定におきまして、グランドデザイナーとしてアドバイスをいただいております。
 今回、招致委員会は、この計画専門委員会のもとに、オリンピックのグランドデザインを検討する場といたしまして、専門家やプロデューサーによるチームを結成したところでございますが、安藤氏はそこのチーフということで活動していただいているということでございます。

○たぞえ委員 いろいろ仕事をされているという方であるそうですが、しかし、都市計画の専門家ではありません。この方も知事の側近ということで席に座っているようでありますが、この問題について、七月二十四日のマスコミ紙で記事が報道されました。都市づくりで体制強化という見出しです。谷川副知事が安藤氏と話し合った際に、東京の未来像と臨海地域に主要な施設を置くことなど、計画との関係について説得力のある説明が必要だという安藤氏からのアドバイスがあったと報道されています。特定非営利活動法人である招致委員会のチームが、東京の都市の未来像について検討しているわけです。
 招致本部が、先ほど伺った都市づくり部会、この設置した目的でありますが、オリンピックが「十年後の東京」で掲げた臨海部全体のまちづくりやインフラ整備の方向性と合致している、だから、招致委員会のプロデューサーチームと共同、連帯して東京の未来像と開催計画の整合性をとっていく、このように文書でも書かれているわけです。そうなると結局、オリンピックの本来の競技とは別に、これを機会に大いに東京の十年、五十年の未来を絵をかいていこう、こういう開発を行おう、これではとても、コンパクトなオリンピック、三千億円で済むという話ではないのではないでしょうか。
 国は周辺インフラ負担についての方針は示していません。新たな費用はどこからも出てこないのです。したがって、都立メーンスタジアムを初め、各競技会場などの新規の建設、メーンスタジアムに運ぶ交通や三環状道路など巨額の投資が必要です。これはオリンピックを契機にした都の直接の投資そのものです。インフラというのは大変お金がかかります。しかも手法は、新たな地下鉄やLRTを通すために国の運政審を通さなければなりませんし、そうすると既存の交通計画を後回しにしなきゃいけない。そうなれば、結局都の負担がふえ、都民に直結する交通インフラがおくれていく、こういう問題も出てくるわけです。
 招致を合い言葉に、アクセルを踏んで臨海部のおくれているまちづくりを加速させる、立ち行かなくなっている臨海副都心開発を、オリンピックをもって起爆剤として、一石二鳥で都市づくりを行おうという、こういうことがありありです。このような都市再生の新たな検討にオリンピックを利用するのは間違っています。巨大開発の大号令は再検討するべきということを主張して、終わります。
   〔発言する者あり〕

○野村委員長 見解ございますか。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 繰り返しになりますけれども、現在の安藤忠雄氏をチーフといたしますプロデューサーチームにつきましては、昨年都が策定いたしました「十年後の東京」、これが描く都市像を踏まえたオリンピック競技大会の開催意義、会場コンセプトの強化などにつきまして検討を進めているところでございますので、ご指摘の点は当たらないというふうに考えてございます。

○松村委員 前回の委員会で立候補スケジュールの報告もありましたが、立候補申請に引き続き、来年一月にIOCに申請ファイルを提出すると伺います。我が党はこれまで、各競技団体からの意見を聞き、開催概要計画書、この問題点を取り上げてきましたが、いまだにその検討結果についての報告は聞いていません。きょうの委員会にも資料も出されていません。
 そこで伺いますが、この開催概要計画書で、二十九競技ありますけれども、どの競技種目の見直しを行い、IOCに提出するんですか。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 二〇一六年の東京オリンピックにおきましては、既存の競技施設や都有地、また、交通網などが集中、集積しているという東京しか持ち得ないメリットを最大限に生かしまして、世界一コンパクトで高密度な大会の実現を目指してございます。その施設の配置等につきましては、今後世界に向けて東京が勝ち抜くため、申請ファイルに向けて質の高い計画になるよう、現在検討を進めているところでございます。

○松村委員 なぜこの時点で明らかにできないんですか。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 開催概要計画書の内容につきましては、先ほども申し上げましたように、世界の競争に勝つまで質の高い計画となりますよう、IOCが求めるレベルですとか、あるいは国際競技団体が求める内容、また、他の立候補都市の状況というものを詳しく調査しながら、なおかつ複数のパターンを考えながら戦略的に検討してございます。
 また、各競技会場とそこへの競技種目とか配置につきましては、競技日程などの大会運営の面など相互に密接に関連し合っておりますので、現在の検討過程におきまして、個々の競技会場、競技種目の検討状況について、確かなお答えをすることはできません。

○松村委員 それでは、この概要計画書どおりでいけるものと、また見直しが必要となるもの、今検討しているもの、それを数でお示しいただきたいと思います。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 先ほど申し上げましたが、競技会場と競技種目の配置につきましては、相互に密接な関係をしているということもございますので、現在、どの競技種目がどうだというところの個々のお話を、個別にここで確かなお答えをすることはできません。

○松村委員 我々が各競技団体などとヒアリングしたところでは、半数は見直しとなります。
 それでは、見直しによる競技施設整備費はどのぐらいに膨れ上がるのか、その見通しについてお示しください。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 現在、IOCからより高い評価を得られる施設計画とするために鋭意検討を進めているところでございます。現在のオリンピックスタジアムを初めとしまして、施設整備費についてもその中でより精査をしてございます。

○松村委員 おかしいですよ。都民の税金がかかった大きな問題です。だから、当然都民の立場に立って、私ども、このことをたださなければならないというふうに思うんですけれども。
 それでは、陸上競技が行われるメーンスタジアムについては都立施設で建設する見直しを行いましたよね。報告されました。また、閣議了解によって国の財政負担の枠も決まりました。石原知事はこれまで、オリンピック競技にかかわる施設整備費の都の負担分はわずか四百五十三億円だ、このようにいってきましたけれども、では、現時点で幾らふえることになるのか、お示しください。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 繰り返しになりますけれども、現在の計画全体の精査の中で、オリンピックスタジアムの施設整備費につきましても精査しているところでございます。

○松村委員 精査しているのは結構ですけれども、例えば、今このメーンスタジアムを変えましたよね。今までは国立だと。だから、これまで私ども都議会に出されていた資料、オリンピックにかかわる施設整備費、この四百五十三億円というのは都負担分ですけれども、メーンスタジアムはこの当時は一千百七億円としておりました。これについても、いわゆる国立の施設だと。だから都の負担はゼロというふうにしているんですよね。それが都立施設のない--このメーンスタジアムは国の負担が二分の一というふうにはっきり示されたわけです。
 また、そのほかの競技施設一千億余、この施設整備費については国からの補助金二分の一を見込んでいると。しかし、国の閣議了解では、これは何も東京だけではありません。大阪もそうです。それから長野もそうです。主要施設に限って、それ以外の施設整備は、二分の一というか、国庫の補助はないということをはっきり閣議了解でも示しているんです。
 そうなれば、今私が尋ねたメーンスタジアムは少なくとも五百億、それから今まで都のそのほかの施設競技四百五十三億円、これは二分の一の国の負担を見込んでいたわけですから、それが倍になると。それだけでも一千億円ふえるということはほぼ確定というか、いえることではないんですか。もう一度お答えください。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 確かに国立から都立の整備に変わったということに伴いまして、施設整備費全体にも影響があろうかと思いますが、また、スタジアムの建設につきましては、民間資金の導入などを検討してまいりますので、今後そういった全体の精査の中で、都費について、施設整備費について、どのようになるかということにつきましては明らかにしてもらいたいというふうに考えてございます。

○松村委員 これ、おかしいと思うんです。例えば民間資金、確かにそれを当てにするということは結構でしょう。しかし、今までだって、新銀行の場合だって、東京都がそうしたいといったってなかなかならない。そういうさまざまな状況があって、少なくともそのリスクをきちっと見込む。ですから、やはり五百億は少なくともこの閣議了解とか、またみずから都立施設にするといったわけですから、きちっと見込み、さらに国に--今まで例えば大阪の場合もそうなんですよ。閣議了解が起きたときの委員会の報告では、いろいろ努力してこの施設もこの施設もということをやったけれども、結局大阪もメーンスタジアムというか主要施設、ここに限るということに残念ながらなりましたということを、きちっと閣議了解の後のそういう議会の委員会にも発表しているんですよ。
 今まで石原知事は、四百五十三億円だと都の財政負担をいっていた。それが少なくともそういう閣議了解を得たり、またみずから、もうメーンスタジアムは国立じゃなくて都立施設にするということがはっきりしたんですから、そのことぐらいは、こうなりましたとご了解をというか、いうべきではありませんか。
 それから今いった一千億円ふえて、既に一千五百億円は--東京都の施設競技費に限ってもですよ、インフラじゃなくて--ふえる見通しになった上、ここには今見直しを恐らく検討しているだろうと思われる中身は全く入っておりません。私どもは、少なくとも水泳会場の新設、トライアスロンの水質改善費用、テニス屋内競技場の新設、中央防波堤沖の防風林対策、ボートコースの新設、ヨット競技場の増設などなどが加われば、さらにオリンピック事業費は膨らみ、これに伴い都の財政負担もはね上がっていくというふうに考えます。
 都民負担となるこうした問題を都民に明らかにせず、一月十三日にIOCに申請ファイルを提出する。提出されたら、今度は国際公約などといって、都民に貸すためにだということでそれをごり押しするようなことは、絶対にあってはならないというふうに思います。一刻も早く全容を明らかにすることを強く求めます。
 次に、主要三施設について伺います。
 まず、陸上競技を行うメーンスタジアムについてです。晴海に都立施設で建設するとしますが、都内に二つの大規模な陸上競技施設が本当に必要なのでしょうか。どのような検討がなされて、その結論となったのでしょうか。
 また、晴海のオリンピックスタジアムの後利用についてはどのように考えているのか伺います。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 晴海にスタジアムを建設した経緯でございますけれども、都はこれまで、オリンピックスタジアムにつきましては、国立で晴海に整備をすることとして国に要望してまいりました。
 しかし、国は、東京に二つの大規模な競技場を建設することはできないという立場をとっているため、都は開催都市としての責任を果たすべく、晴海に都立でオリンピックスタジアムを整備することとしたものでございます。
 また、晴海のオリンピックスタジアムの後利用についてでございますけれども、これは男子陸上競技場として大規模競技大会の開催を行うほか、コンサートですとか展示会など、多目的に活用していく考えでございます。

○松村委員 霞ヶ丘とは別に、臨海部の晴海にメーンスタジアムをつくることによって、後利用も重大問題となります。閣議了解で後利用もくぎを刺されました。都立で申請するメーンスタジアムの陸上競技場は、将来にわたる管理運営も、つまり後利用もすべて都の責任と負担でやりなさいということです。
 過去三回のオリンピック開催都市のメーンスタジアムの後利用の資料を出していただきましたが、これを見ても、アテネは今大変な事態だということはいろんな報道でされておりましたから私も想像ついておりましたけれども、シドニー、アトランタもうまくいっておりません。
 私自身、昨年、このアトランタのさらに四年前のスペインのバルセロナのメーンスタジアムなどの競技施設の後利用を、私個人としてたまたま行って、見る機会がありました。この目で見て、本当に惨たんたる状況だったんですね。本当に私は唖然とする思いでした。日本においても、長野県は長野オリンピックの後利用に苦しんでいます。東京の場合、二つの国立競技場が成り立つわけがないと私は思います。都が勝手に霞ヶ丘をサッカー専用にするといい出したことについて、日本陸連がそれはだめだとはっきりいっています。国立霞ヶ丘競技場こそ、陸上の聖地として今後も使っていく方針であると言明しておりました。
 メーンスタジアムへの交通アクセス問題も重大です。だれしも認める晴海の弱点は、交通アクセスにあります。短時間に十万人もの観客を安全に誘導するためには、新たな大量輸送手段を講じなければお話にもならないと思います。晴海を会場とすることしの大江戸花火大会では、帰りは身動きもできない大混雑状況が起きております。これからも明らかです。一体どういう新たな交通インフラ整備が必要となるのか。晴海とするからには、その検討状況を示してください。
 また政府は閣議了解で、道路、鉄道など、オリンピック競技大会の開催に関連する公共事業は通常の公共事業費の中でやりくりしなさいと。国による特別の財政措置は講じないと、くぎを刺しています。メーンスタジアムにかかわる交通インフラ整備の事業費とその財源手当てについても明確にしてください。伺います。

○藤井東京オリンピック招致本部参事 晴海のオリンピックスタジアムへの交通アクセスについては、本年七月に東京オリンピック招致推進会議のもとに設置した都市づくり部会において、現在、さまざまな角度から検討しているところでございます。
 お尋ねの財源等につきましては、まさに交通について検討しているという段階で明確に申し上げられませんが、先ほどの閣議了解との関係で申し上げれば、都市インフラの整備につきましては、オリンピックの開催の有無にかかわらず東京の機能をさらに向上させるために必要な将来への投資ということで、閣議了解につきましては、支援に当たっての国の基本原則を示したものでございます。具体的な補助内容までは決まっておりません。具体的な補助施設及び補助額については、引き続き国と協議を行っていくということでございます。

○松村委員 それは甘いですよ。この文章を閣僚が見れば、はっきり国の財政措置はとりませんと。それは交通インフラ整備も同じなんです。
 では大阪や長野を調べてくださいよ。現に、閣議了解は全く同じこの文章、文言です。出てないではありませんか、これから努力するといっても。
 それから、聞けば、指摘されれば、検討しています、検討していますと。いつまでもそんな答弁で済むはずがないというふうに思います。このことも指摘しておきます。
 もう一つの問題は、地震対策です。晴海は三方海に囲まれ、液状化など災害発生時のリスクマネジメントが高いと指摘されています。震災対策の検討状況はどうなっていますか。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 オリンピックスタジアムの建設に当たりましては、災害発生時のリスクマネジメントの観点から適切な安全対策を講じていくことは、これは当然なことであるというふうに考えております。
 現在、液状化対策ですとか、災害時の非難誘導等を含めまして検討しているところでございます。

○松村委員 当然のことだといいながら、やはりメーンスタジアムを晴海と。そこが、やはり非常に液状化や側方流動だとか私たちも指摘しました。だからこそ、やはりその震災、地震対策のそういう検討を行ってきた結果、大丈夫だったんですね。こういう課題があるけれども、これはこうこうこういうふうに解決するから、だからメーンスタジアムもそこに、やはり晴海にしたということでなければおかしいんじゃないですかということなんですよ。検討結果を明らかにすべきです。
 そうでないというならば、やはりメーンスタジアム晴海にありきと、私はいわざるを得ないというふうに思います。これじゃ本当に世界に評価されるのでしょうか。
 主要施設の二つ目の施設としてメディアセンター。メディアセンターは築地市場の豊洲移転を前提としていますが、豊洲は土壌汚染で再調査をする事態となっています。市場関係者の多くも築地の現在地再整備を求めています。このことからも築地のメディアセンターは、私どもはやめるべきだと考えます。しかも、このまま進めてもオリンピックに間に合わないということが懸念されます。これは指摘だけにとどめます。
 三つ目の施設、有明北の選手村は、JOCからの指摘で高層棟の見直し、これは必至です。しかし、高層棟にしなければオリンピック後の民間売却は、私は現在の需給関係を見ても不可能といわざるを得ません。しかも、それまでこの有北の土地は凍結のままになります。莫大な埋立経費の利息を払い続けなければなりません。こういう問題を抱えています。これまた根本から計画の見直しが求められているんではないでしょうか。
 次に、水泳競技場について伺います。
 前回、二月八日の委員会で、開催概要計画書で、水泳競技はビッグサイトの特設会場で仮設で行うとなっておりますけれども、現ビッグサイトは構造上、いわゆるプールというか、水泳会場には構造上、物理上できないということが、かつて国際水泳大会の申し入れが二年前ですか、あったときに検討して、そういう結論が出ているということも指摘しながら、この水泳競技はどこでどうするのかということに対して、当時の梶原東京オリンピック招致本部参事は、概要計画書に記載があるとおりと、ビッグサイトにおいて特設会場として水泳会場を整備するとの答弁を繰り返しました。
 私は改めてお聞きするんですが、ちょっと皆さんに資料を配るか、大きなパネルにしてくればよかったんですけれども、ここにビッグサイトの、国際展示場の局が出している地図があります。ビッグサイトです。こちらに、私はその周辺の空き地、駐車場もつぶさに見て、都有地が活用できるのかということからも、どうしても前回の参事の答弁は納得できません。
 改めて、この水泳競技場、ビッグサイトに特設会場でつくると。どこにつくるんですか、示してください。

○中嶋東京オリンピック招致本部参事 ビッグサイトのご質問に答える前に、先ほどの選手村とメディアセンターについてご意見がございましたけれども、それにつきまして一言。
 選手村につきましては、先ほども申し上げましたようにIOCから高い評価を得られる施設計画とするために、現在、検討を行っているところでございます。
 また、メディアセンターにつきましても、築地の市場跡地といいますのは、晴海のビックスタジアムに近く、各競技会場にもアクセスしやすいというだけではございませんで、ファッションや食などの日本の文化、商業を代表する繁華街という銀座へ至近での最高のロケーションという観点からも、私どもとしてはメディアセンターとして最適な候補地というふうに考えてございます。
 お尋ねのビッグサイトの問題でございますけれども、開催概要計画書におきましては、水泳会場は日本最大規模を誇ります東京ビッグサイトに特設会場を整備すると示されてございます。
 具体的にどこをどうという先ほどのご質問でございますが、既設施設を活用いたしました競技会場につきましては、その施設ごとに構造などの諸条件が異なりますので、施設のハード面だけでなく、選手や観客の使用するスペースですとか、あるいは運営のための施設の配置などにつきまして、こういったソフトの面からも複合的に検討する必要がございます。現在、水泳会場につきましては、そういった観点から検討しているところでございます。

○松村委員 メディアセンター、選手村、さまざまな課題を抱えて、やっぱり今行き詰まっているというのは、これは立候補ファイルにもはっきりさせなきゃいけないんですよね。今の状況で申請ファイルですか、出しておいて、これが今いったようにさまざまなメディアセンターとか選手村、また変更したら、そんなこと世界に通用するんですか。
 だからこそやっぱりはっきりと--一年間以上ですから、出されているような問題点が指摘され、また今進行中なんですから。やっぱりはっきりさせなければ、幾ら勝つためといっても、これは大いに問題があるということを指摘しておきます。
 それから、今の水泳の問題ですけれども、ソフトじゃないんですよ。物理的にこれだけの開催概要計画書の面積を占めるためには、やはり新たな土地を求めなければなりません。または、このビッグサイト、現在これできないんですよ。できるようにするためには莫大なというか、やっぱり根本からの改修計画が必要なんです。そんなことになればビッグサイト、一年も二年もあそこを閉じなければならない。その間、お客さんはどうするんですかと。こういう問題について、私はビッグサイトの管理者に聞きましたけれども、その後、全く何の話し合いもないということを率直にいっていました。やっぱりこれは驚くべきですよ。こういうことも指摘し、これもきちっと早く都民に明らかにしなければならないというふうに思います。
 以上、幾つかの問題点に絞ってただしましたけれども、もう一つの問題は、やり方の問題です。ほとんど何一つ都民や都議会に明らかにしようとしない東京都と比べ、二〇〇八年開催を目指した、招致を目指した大阪市との違いです。大阪市の場合、閣議了解を得て、その後開催都市決定に向けた立候補ファイルの作成の過程では、国内立候補時の開催概要計画書を基礎に、大阪オリンピック基本理念検討委員会、また大阪オリンピックスタジアムプール施設構想検討委員会、三つには大阪オリンピック環境委員会、この三つの委員会を設置し、文字どおり議会や市民に広く公開し、英知を集めて、開催概要計画書から、さらに申請ファイルや立候補ファイルを練り上げているんですよ。私は、東京都みたいに全く何を聞いても検討します、検討しますということの、本当にその一点張りでいいのでしょうか。全く東京の場合は密室でのやり方といわざるを得ません。
 その根底にあるのが、石原知事のトップダウンによるやり方によって都政がゆがめられているところから来るものだということを、やはりこれまた指摘しなければなりません。事前の検討や調査もなく、見通しのないまま走り出し、とどのつまりは破綻を来す。その事例は既に三宅島のオートバイレース、または築地の豊洲移転、新銀行などなどがあります。そして今、オリンピックもその方向に走り出しているといわざるを得ません。
 しかもオリンピックは、その規模や財源からしても巨大な影響を都政にもたらします。我が党は、この間違ったトップダウン政治ですね、やはり敢然と立ち向かって、そのてこに使われるオリンピック東京招致は、改めて白紙に戻すべきだということを述べて、きょうは時間が区切られましたので、この程度で終わらせていただきます。

○梶原東京オリンピック招致本部参事 今、手続論、それから委員会の内容、さまざまなご指摘をいただきました。大阪の場合については、閣議了解を得てから招致委員会を開催し、その後策定委員会をやる。東京の場合には、既に福岡と開催概要計画書をやって国内の選考を戦い、その上でさらに計画をつくっていく。それから私どもの中の基本政策、基本理念というところの部分についても、既に昨年、基本構想懇談会で検討をいただいたところでございます。
 大阪は、結果として数票しか取れずに国際都市、国際競争には負けた都市であります。私どもは、その負けた大阪の例をも見て、さまざまな情報を踏まえ、これからIOCに評価される、そして海外の専門的なコンサルタントや皆様方のご意見も聞きながら、適宜適切に計画の進捗状況についてはご報告申し上げていきたいというふうに考えてございます。

○松村委員 今の答弁でいうと、大阪は負けたと。だから今のような東京のやり方がそれでよしなどということでしたら、私はとんでもないと思います。やはりこれは、都民の税金を使い、最終的には都民の世論の支持がなければ絶対開催などできないということは、あなた方も承知していると思うんです。大体、IOCは覆面世論調査をやるんですよね。恐らく七割以上の支持がなければできないと。
 今マスコミは、きょうは時間がないので私は指摘しませんけれども、世論調査ではどうでしょうか。半々とか、いや、やる必要がないとか、この前、申請ファイルを提出した--NHKテレビでも東京都民の男女を放映しておりましたけれども、皆さん、シカゴの場合は、オリンピック関係者は胸を張って、シカゴでは九二%の世論が支持していると。ところが東京都民の男女二人は全然関心がないとか、東京都はやるべきではないとそういう声を、NHKいろいろ私インタビューしたと思いますよ、その代表的な二人がそういう意見を述べている。これはやはり都民に、きちっと今いった東京のオリンピックの進め方を明らかにしていないということだということもよくよく踏まえて、早く都議会や都民に明らかにすべきだということを重ねて指摘して終わります。

○野村委員長 今、松村委員からオリンピック運営の基本に関するご見解が述べられたので、この際、荒川本部長のご見解を求めたいと思います。また、都政の基本にかかわる、石原知事の基本姿勢にかかわるご発言もございましたので、この際、せっかくお越しの大原知事本局長にもご見解を求めますので、ひとつ荒川本部長からご発言をお願いしたいと存じます。

○荒川東京オリンピック招致本部長 発言の機会をいただきましてありがとうございます。
 私ども現在進めておりますのは、大きくいいまして三点ございまして、一つは、やはり招致競争に勝つための計画をつくっていくということが一点でございます。
 二番目は、今お話がございましたけれども、まさに都民、世論の周知というよりも賛同票を高めるということが二番目の取り組みでございます。
 三番目は、先ほどの資料説明でもございましたけれども、最終的には百十五人のIOC委員の過半数を取るということが目標でございまして、それに対する、まさにIOC委員に対する売り込み作戦を展開していかなくてはならない。それを今、作戦を練り、実際に行動をとっているところでございます。
 最初の開催計画につきましては、まさにアスリート自身が最高の成績を出すという会場計画をつくるだけではなくて、まさにオリンピックのときに東京が目指す姿を世界に示すことによって、そのオリンピックの開催の意義というものを東京都民だけではなくて社会の人、あるいはIOC委員にも理解してもらうと。そういったことが理解できるような開催計画をつくることによってかち取りたいというふうに思っております。
 また、都民、世論の賛同票獲得のためには、東京が不利だから負けるかもしれないということで、今はなかなか賛同票が得られないというところがございます。そのためには、やはり東京がこうすれば、力を尽くせば勝てるというような話、あるいは東京オリンピックの開催の意義を、さらにより強化、明確にして、都民に理解を得て賛同票を得るという作戦を現在立てて、まさに十一月までに予定しております世論調査に向けて展開していきたいということでございます。
 それからIOC委員につきましては、確かにIOC委員の制約によりますと、来年の立候補都市、五都市程度に選ばれるまでは、正式な国際招致活動はしてはならないということでございますが、しかし実態は、世界はそうではなくて、それぞれ制約に反しない範囲でいろいろ行動をとっておるわけでございまして、私どもも東京、国内におけるスポーツ大会あるいは国際会議の場を活用しながら、いろいろな形でIOC委員の理解を得るべく現在行動をとっていることでございます。
 こういった三点につきまして重点的に行動をとっておるところでございますけれども、それを招致委員会、招致本部だけで行動をとるというのは、なかなか人的にもあるいは財政面でも制約がございます。ここで国の閣議了解を得たところでございますので、全国並びにまさに国を挙げての行動をとるべきだというふうに思いますので、ぜひとも都議会の先生方のご支援もいただきたいというふうに思っております。
 また、都庁の中でも全局を挙げて取り組みたいというふうに思っておりまして、これから答弁をするであろう大原局長ともいろいろと今考えておるところでございます。
 さらに、今共産党の先生からお話がありましたけれども、危ないということも先生お感じであれば、一緒になってぜひ共産党の先生も都民の世論の獲得のために行動していただけたら大変ありがたいというふうに思います。
 大変長くなりました。

○大原知事本局長 私からは二点申し上げたいと思います。
 まず、オリンピックの意義でございますけれども、知事が昨日の本会議で施政方針でも申し上げましたように、世界のトップアスリートが日本に来る、そしてそれを肌で感じる子どもたちが、ほかでは絶対に得られないかけがえのない経験を、あるいは体験をして、それをばねにして新しい世紀を生きていく。こういう、子どもたちに夢を与えるという大きな目標がございます。そういう意味で、オリンピックをこの日本に招致するという意義について、まず私どもはしっかり認識をして知事を支えていきたいというふうに考えております。
 もう一点は、先ほどその施設あるいはまちづくりの点についてもご指摘がございましたけれども、単に競技場が充実している、あるいは交通が便利だというような、そういう機能的なことだけで二十一世紀のオリンピックを東京に招致できるか。それは必ずしもそうではないと思います。やはり東京の持っている安全だとかあるいは環境の面でも、非常に世界に範を示すだけの進歩したもの、そういう都市の魅力、そういったことが根底にあってこそ東京にオリンピックを招致することができるんだろうと思います。
 決してオリンピックのためだけにまちづくりをする、あるいは開発をするというような開発優先の考え方で施設整備等を考えているわけではございません。そういったオリンピックが与えてくれる夢というもの、そしてオリンピックを契機にして、この東京のすばらしい都市像というものを世界に発信をしていく。そのためにオリンピック招致に名乗りを上げたわけでございます。
 都民、国民の皆様が理解をしてくださるように、私どもも一生懸命やってまいります。都議会の先生方にもぜひ応援をよろしくお願いいたします。

○野村委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○野村委員長 次に、本委員会に付託されております調査事項についてお諮りいたします。
 本件は、本定例会中に調査を終了することができませんので、閉会中の継続調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後二時四分散会

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