オリンピック招致特別委員会速記録第二号

平成十八年十一月六日(月曜日)
第十二委員会室
 午後一時四分開議
 出席委員 二十三名
委員長山崎 孝明君
副委員長野村 有信君
副委員長中嶋 義雄君
副委員長土屋たかゆき君
理事吉野 利明君
理事松原 忠義君
理事曽根はじめ君
理事石川 芳昭君
理事山下 太郎君
鈴木 隆道君
たぞえ民夫君
高橋かずみ君
大西由紀子君
西岡真一郎君
大西さとる君
三宅 茂樹君
川井しげお君
松村 友昭君
鈴木貫太郎君
石井 義修君
高島なおき君
田中  良君
名取 憲彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
東京オリンピック招致本部本部長熊野 順祥君
企画部長宮川  昭君
招致推進部長谷島 明彦君
参事梶原  洋君
知事本局局長山口 一久君
企画調整部長秋山 俊行君
参事小林  清君

本日の会議に付した事件
 二〇一六年に開催される第三十一回オリンピック競技大会の東京招致に関する調査審議及び必要な活動を行う
報告事項(説明・質疑)
・東京オリンピック招致活動について

○山崎委員長 ただいまからオリンピック招致特別委員会を開会いたします。
 初めに、議席について申し上げます。
 議席は、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○山崎委員長 次に、本委員会の運営について申し上げます。
 過日の理事会において、お手元配布の運営要領に基づき運営していくことを申し合わせました。ご了承願います。
 これより第三十一回オリンピック競技大会の東京招致に係る事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり報告事項の聴取を行います。
 この際、本日の委員会運営について一言申し上げます。
 本日からオリンピック競技大会の東京招致に関する調査をスタートいたします。このため、各会派の一人目の質疑の冒頭で、これから委員会に臨む上での会派としての基本的な考え方や意見を述べていただいた上で、質疑を行っていただきたいと思います。ご了承願います。
 次に、所管局の長からあいさつ並びに幹部職員の紹介があります。

○熊野東京オリンピック招致本部長 東京オリンピック招致本部長の熊野順祥でございます。
 当本部は、二〇一六年オリンピックの東京招致に向け、計画の策定、招致活動等に取り組んでおります。都議会東京オリンピック招致議員連盟の皆様を初め、多くの関係者のご支援を得まして、おかげさまで八月三十日にはJOCにより国内立候補都市に選定されました。今後は、二〇〇九年十月のIOC総会での開催都市選定に向けまして、本部職員全力を挙げ、一丸となって取り組んでまいる所存でございます。山崎委員長を初め、委員の皆様方のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 後ほど、東京オリンピック招致活動につきまして、これまでの経緯、開催概要計画書の内容、今後のスケジュールを企画部長よりご説明いたします。
 ここで当本部の幹部職員を紹介させていただきます。
 企画部長の宮川昭でございます。招致推進部長の谷島明彦でございます。参事で計画調整担当の梶原洋でございます。最後に、本委員会との連絡を担当いたします、総務課長の雜賀真でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○山口知事本局長 知事本局長の山口一久でございます。
 当局では、二〇一六年のオリンピック招致をぜひとも成功させるために、東京オリンピック招致本部と協力しながら、各局事業の総合調整を初め、所管の事務事業に全力で取り組んでまいります。また、IOCへ提出する立候補ファイルに反映させるため、これまでの先駆的な取り組みを一層推進し、より機能的で魅力的な東京の姿を示す二〇一六年の東京の都市像を現在策定中でございます。山崎委員長を初め、委員の皆様方のご指導、ご支援をよろしくお願いいたします。
 それでは、当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 企画調整部長の秋山俊行でございます。参事で企画調整担当の小林清でございます。本委員会との連絡を担当いたします、総務課長の塩見清仁でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○山崎委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○山崎委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○宮川東京オリンピック招致本部企画部長 それでは、私から東京オリンピック招致活動につきましてご報告させていただきます。
 資料といたしまして、第1号、国内立候補都市決定までの経緯、第2号、東京オリンピック開催概要計画書のポイント、第3号、東京オリンピック招致に関するスケジュール、及び附属資料といたしまして第三十一回オリンピック競技大会開催概要計画書をお配りしてございます。私からは、第1号から第3号までの資料についてご説明申し上げます。
 一枚おめくりいただきまして、資料第1号、国内立候補都市決定までの経緯をごらんください。これまでの経緯について記載してございます。
 昨年九月の第三回都議会定例会の所信表明におきまして、知事が正式にオリンピック招致を表明いたしました。そして、本年三月には、都議会におきましてオリンピックの招致決議及びパラリンピックの開催を求める決議を議決していただきました。四月には、当本部を設置するとともに、日本オリンピック委員会に対し、立候補意思表明書及び都議会の招致決議書を提出いたしました。その後、六月に開催概要計画書を提出し、七月の日本オリンピック委員会国内立候補都市評価委員会等による国内立候補都市調査を経て、八月三十日の第三十一回オリンピック競技大会国内立候補都市選定委員会におきまして、東京都が国内立候補都市に決定いたしました。
 次に、資料第2号、東京オリンピック開催概要計画書のポイントをごらんください。この資料は、附属資料としてお配りしております開催概要計画書のポイントを記載したものでございます。
 開催概要計画書は、全体として基本編、競技編、運営編等から構成されてございます。基本編では、アジアで初めてとなる二回目のオリンピックを東京で開催するという東京開催の意義、さらに東京開催の三つの基本理念等を記載しております。競技編では、東京しか持ち得ない集中と集積のメリットを最大限に生かし、世界一コンパクトな大会を実現するという考え方のもと、各競技ごとに競技会場、後利用計画などについて記載しております。運営編では、交通輸送、宿泊施設等、大会運営に必要な事項についての計画のほか、パラリンピック競技大会の開催計画等について記載しております。
 続きまして、資料第3号、東京オリンピック招致に関するスケジュールをごらんください。上段に、二〇〇九年IOC総会での開催都市決定に至る主なスケジュールをお示ししております。また、下段に、このスケジュールに対応した当本部及び招致組織の取り組みをお示ししてございます。
 まず、上段の主なスケジュールですが、二〇〇七年七月、来年の七月にIOCへ立候補申請いたします。その前に閣議了解と記載してございますが、これは、政府が東京都をオリンピック開催の国内候補地として了解するというものでございまして、立候補申請の前に得たいというふうに考えております。この立候補申請を行いますと、IOCから質問状が提示され、二〇〇八年一月にこの質問事項に回答することになります。IOCでは、この回答をもとに、同年六月に正式立候補都市五都市を承認いたします。この承認を受けた後、十一月に立候補ファイルを提出いたします。この立候補ファイルは、開催を目指すオリンピックの詳細計画のことでございまして、英語、フランス語版を提出することになります。その後、二〇〇九年二月にはIOC評価委員会による立候補都市の視察が行われ、同年十月のIOC総会で開催都市が決定いたします。
 次に、下段の私どもの取り組みでございます。
 まず立候補ファイル作成でございますが、今後、IF、これは国際競技連盟のことでございますが、このIF等との調整を経まして、世界の強豪都市との競争を勝ち抜ける質の高い計画を作成してまいります。二〇〇八年一月にはIOCからの質問事項への回答を行うほか、同年十一月には完成した立候補ファイルをIOCに提出いたします。
 次に、招致機運の盛り上げ及びロビー活動についてでございます。
 これらは、いずれも今後設立いたします外部招致組織が主に行うことになります。招致機運の盛り上げ活動は、二〇〇九年二月のIOC評価委員会視察の時期がピークになるように継続的に行い、また、ロビー活動については、開催都市決定の直前まで行ってまいります。そして、同年十月のIOC総会において、立候補都市がプレゼンテーションを行い、開催都市が決定するということになります。
 以上、東京オリンピック招致活動につきましてご説明申し上げました。これをもちまして説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山崎委員長 報告は終わりました。
 それでは、これより報告事項に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○高橋委員 東京都議会自由民主党として、二〇一六年、平成二十八年にオリンピック及びパラリンピックを再び東京で開催することに賛成する立場からお尋ねいたします。
 東京は、一九六四年、昭和三十九年にアジア初のオリンピックを開催いたしました。歴史的に見ると、第二次世界大戦後の荒廃から立ち直り、復興を遂げた日本が取り組んだ国家的イベントであり、日本が国際社会に復帰するシンボルの意味を持ちました。戦後復興の象徴として国立競技場が建設され、東海道新幹線や東京モノレールが開通するなど、オリンピック開催に向けての種々の整備がなされるとともに、金メダル十六個を含む計二十九個のメダルを獲得し、国際競技力のレベルで幾つもの競技で追いつき追い越せを実現するなど、日本のスポーツ界に有史以来のインパクトを与えました。
 当時高校生だった私は、大松博文監督率いる女子バレーボールチームが回転レシーブや変化球サーブを駆使して宿敵ソ連を破り、見事金メダルを獲得したのを茶の間の白黒テレビで真剣に見ておりました。東京で再びオリンピックを開催することは、世界平和を希求する強い意思を世界にアピールするとともに、知事もおっしゃったように、私たち日本人が失いつつある自信をこの手に取り戻すための大きなきっかけになるに違いありません。
 東京は、八月末にJOCの国内選考で国内立候補都市に決定しました。今後は、熾烈な国際選考に勝ち残るために、国内での機運の盛り上げはもとより、国際社会での招致活動を積極的に展開していくことになりますが、そもそもオリンピックを開催する意義をきちんと持ち得ていなければ、国際選考で勝ち残ることも厳しいと考えます。
 十月五日にオリンピック招致特別委員会が設置され、きょうは第一回目の質疑となります。この特別委員会では必要な調査審議を十分に行ってまいりたいと思いますが、最初に私は、オリンピックの意義、理念について改めて何点か、確認を含めてお伺いいたします。
 まず、そもそも近代オリンピックがどのような形で始まったのか、お伺いします。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 近代オリンピックは、フランスが普仏戦争に敗戦し、フランス国内が荒廃していた時期に、近代オリンピックの父といわれるクーベルタンが提案したものでございます。
 クーベルタンは、世界の若者がスポーツを通じて交流することが世界の平和に貢献するに違いないと信じ、フランス、イギリス、アメリカなどに必要性を訴えかけ、オリンピックを復活させました。一八九六年に第一回大会がアテネで開催されたときには、十四カ国二百四十一名の選手が八競技四十三種目に参加したとの記録が残ってございます。

○高橋委員 私は、今回のオリンピック招致に当たって、オリンピックに関する文献を幾つか読みましたが、それによると、オリンピックがつくられたそもそものねらいには、単なる記録や勝敗を競う大会ではなく、全世界の人々が祝う宗教的祭りによって平和な社会をつくり出すことがあったとあります。
 近代オリンピックが始まってから既に百年以上を経過しております。現在、オリンピックを開催する意義は変わっているのか、お伺いします。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 スポーツを通して心身を向上させ、文化、国籍などさまざまな差異を超え、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献するというクーベルタンが提唱したオリンピックのあるべき姿及びこれに基づく活動は、普遍的かつ恒久的なものでございます。これらは、二つの世界大戦を経ても、世代や国境を越えて共感を呼んでおり、オリンピック競技大会を開催する意義は現在も変わっていないと認識してございます。

○高橋委員 私は、オリンピックはそれぞれの国、地域を代表する選手の最高のパフォーマンスにより、その選手が代表する国、地域の人々に活力を与えるだけではなく、世界の多くの人々に夢と感動と希望を与える世界最高のスポーツ大会としての意義があるとも考えます。
 さきのトリノ冬季オリンピック大会においても、フィギュアスケートで荒川静香選手が完璧な演技で見事金メダルを獲得したのは記憶に新しいところでありますが、我が国に大きな感動をもたらしたばかりではなく、アジア勢初の金メダルということもあり、中国のメディアも大絶賛だと仄聞しております。
 オリンピック開催については十分意義があることを認識しましたが、今回なぜ東京で開催しようとするのか、その意義、理念を改めてお伺いいたします。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 日本は、戦後六十年以上にわたって徹底した平和を貫いてまいりました。中でも東京は、都市の拡大、成長のステージを経て、震災、戦災、大気汚染を初め数多くの難問を乗り越えてきており、その姿を明らかにし、世界の諸都市に模範を示すことこそが、東京でオリンピックを開催する意義でございます。
 また、オリンピックは、いかなる時代にあっても、スポーツを通じた人間の調和のとれた発達と平和な社会の推進という根本原則を、この時代に即した形で具現する必要がございます。このため、東京は、東京をさらに成熟した都市に発展させ都市と地球の未来を開く、日本が誇る最先端技術と独特の感性や美意識を融合させ新しい価値を創出する、次代を担う子どもたちにスポーツの夢と喜びを広め、オリンピックが生み出す有形無形の財産を未来に引き継ぐの三つの基本理念を掲げ、都市文明の英知と日本のわざを結集したオリンピックを開催いたします。

○高橋委員 ただいま東京でオリンピックを開催する意義について伺いました。
 世界の諸都市に模範を示すとお話があり、すばらしいものだと思います。このすばらしい意義を、今後はぜひわかりやすい言葉で世界に発信していってほしいと思います。これは、国際選考においてIOC委員の心を動かすことになるでしょうし、国内においても招致機運を盛り上げることになると思います。
 そこで、他の開催都市では世界に対してどのような言葉で発信しているのか、お伺いします。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 他の開催都市の立候補ファイル等によりますと、二〇〇〇年のシドニー・オリンピックでは、世界とともにオリンピックの精神を分かち合う大会、二〇〇四年のアテネ・オリンピックでは、オリンピックの伝統を選手や人々に取り戻す原点回帰の大会をスローガンに開催されました。また、今後開催されます二〇〇八年の北京オリンピックは、グリーンオリンピック、ハイテクオリンピック、人民のオリンピックをモットーに、そして二〇一二年のロンドン・オリンピックは、選手に一生記念に残る経験を与える、イギリスにスポーツの遺産を残す、再開発を通してコミュニティに利益を与える、IOCとオリンピックムーブメントをサポートするをテーマに掲げてございます。

○高橋委員 他都市の状況についてはわかりました。
 オリンピックの意義や理念はオリンピック憲章にうたわれておりますが、それをどう表現していくかは、地域や時代の相違を反映したものになるものと認識しました。そこで最後に、東京オリンピックでは東京から世界へ伝えるメッセージについてどのように発信するのか、本部長のお考えをお伺いいたします。

○熊野東京オリンピック招致本部長 先般私どもがロンドンを訪問したときに、ロンドンの組織委員会は、オリンピックのメッセージは何度も書き直したというふうにおっしゃっておりました。例えば最終選考のプレゼンテーションにおきまして、ロンドンの招致委員会会長が、それまで立候補ファイルには一言もなかった、今まで以上にこのオリンピックは君のためにある、こういったキャッチフレーズを若者に対して発しまして、これがIOC委員の好評を得たというふうなことも聞いてございます。
 いずれにいたしましても、東京オリンピックの世界に伝えるメッセージの発信内容あるいは手法につきましては、その時々の社会情勢あるいはIOCの動向など、そういった諸条件に応じて決めていくものでありまして、まさに招致戦略の一つでございます。今後、幅広く意見を聞きながら、招致組織を中心に検討していくことになりますけれども、多くの人々の心に残る、心に訴える、そういった東京オリンピックのメッセージを世界に発信してまいりたいと考えております。

○高橋委員 東京都は、オリンピックの招致を成功させるためにも、十年後を見据え、首都圏三環状道路の整備や自然エネルギーの多量普及による環境対策のさらなる推進など、東京をさらに機能的で魅力的な都市につくり変えることを目指した東京の都市像を早急に都民に明らかにして、夢を与えていただきたいと思います。
 八月三十日に東京は日本の立候補都市になりましたが、世界に向けてはこれからが本番であり、正念場であります。今後、外部招致組織を立ち上げて、国内招致機運の盛り上げが国際社会での招致活動を積極的に展開していくことになるかと思いますが、必ずや東京で二〇一六年のオリンピックを開催できるよう、我が党も積極的に応援していきたいと考えております。頑張りましょう。
 以上で私の質問を終わります。

○鈴木(隆)委員 それでは、引き続き私の方から質問をさせていただきます。
 ただいま我が会派の高橋委員が、特別委員会の幕あけにふさわしく、オリンピックの意義や理念について質問をいたしました。私は、今後のオリンピックの招致活動について、具体的な提案を含め、お伺いをいたしたいと思います。
 十月の決算特別委員会第一分科会において、私は、区市町村や民間企業など都内における招致機運の盛り上げについて質問をいたしました。そこで、本日は、エリア的により広げ、今後につながる招致活動について質問をいたします。
 まず、国内の機運盛り上げについてであります。
 東京都がこれまで行ってきた広報、PRなどの招致活動は、基本的には都内が中心でありました。七月に行った都民集会など、都も適宜イベントなどを行ってきたと思いますが、八月に東京が国内立候補都市に決まったからには、今後はその活動領域を全国に広め、国民全体の機運を盛り上げていかなければなりません。
 思い返せば、一九六四年東京オリンピックの際には、オリンピックを成功させようという国民全員の強い思いが日本列島を貫いていたような思いがいたします。それは、外国から多くの選手を迎えることに対する日本人としての意識の高まりであり、さらには、国民の愛国心のあらわれであったのではないでしょうか。今回のオリンピックも、そのような国民全体の運動論に高めていく必要があると私は考えています。
 その際、機運盛り上げの手法として、イベントの開催や各種広告媒体を使った国民や各種団体に対する働きかけはもちろん重要でありますが、地元や団体に影響力のある議員の力をおかりし、協力を仰ぐことも非常に有効であると考えます。一億二千万人の国民の意識を高めるには、都や招致組織だけで機運醸成に取り組んでも限界があります。地方自治体の議員や代議士の方々にもお願いをし、広告塔として積極的に活用すべきであります。前回の決算特別委員会では、都内区市町村のオリンピック招致議連の立ち上げを提言いたしました。国会議員についても同様に、招致議連を立ち上げるなど意識を高め、積極的に働いてもらうことが必要ではないかと思います。
 そこでまず、都は国会議員に対してどのように働きかけを行っていくのかを伺います。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 オリンピックを招致するに当たり、都民、国民の招致機運の盛り上がりは重要な要素の一つと認識してございます。
 都民、国民の招致機運の盛り上げは、都の外部に設置する招致組織に限らず、国会議員を初めとした議員と協力して行うことも効果的であり、国会議員による働きかけには大きな期待を寄せているところでございます。先日も、国会議員が組織するスポーツ議員連盟の総会におきまして、都の開催概要計画書の内容を説明し協力を依頼するなど、積極的な働きかけを行っております。
 今後も、さまざまな機会をとらえ、多くの国会議員に東京オリンピックの計画やその効果などを積極的に説明し、招致に向けた活動にご協力いただけるよう努力してまいります。

○鈴木(隆)委員 それでは次に、国の対応についてであります。
 知事が常々話しておりますとおり、オリンピックはナショナルイベントであり、国の全面的なバックアップが不可欠であります。IOCの評価を受ける際にも、開催都市だけではなく国がどれだけ支援をしているのかが大きなかぎを握るといわれております。都はこれまで、国内での競争が行われているため、本格的な国との調整は行っていませんでしたが、国内の立候補都市が一本化した現在、遠慮なく国に対して協力依頼を行っていくべきと考えます。その点、八月三十日に東京に決まった直後、石原都知事が電撃的に小泉首相と安倍官房長官を訪問し、オリンピック担当大臣の設置を要請したことや、十月下旬には安倍首相へも国立競技場建設などについて協力要請を行ったことは、知事の非常に的を射た対応であると考えるところであります。
 オリンピックが国家プロジェクトであるならば、国もオリンピック担当大臣を設置するなど、みずからの使命と認識して招致活動に参画すべきであります。そこで、国が積極的にオリンピック招致活動を行っていくよう、都として国に対しどのような働きかけを行っていくのか、見解を伺います。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 世界の強豪都市を相手にオリンピック招致を成功させるには、国の全面的なバックアップが不可欠でございます。
 そのため、まずは関係省庁と協議を重ね、閣議了解を求めてまいります。また、オリンピック招致に向けた国の取り組みとして、例えば在外公館や外交ルートを通じた日本の外交手腕の発揮や国際競技力の向上のためのナショナルトレーニングセンターの複数設置など、国の積極的な対応を要望してまいります。

○鈴木(隆)委員 わかりましたが、今私たちが行っているのはオリンピックの招致であります。招致に成功しなければ開催もあり得ないということを国がきちんと理解するよう、重ねて都の働きかけを要請しておきます。
 続いて、他の都道府県との関係でありますが、オリンピック招致機運を日本全体に広めていくには、国のみならず、道府県、その傘下の市町村についても全面的に協力をいただくことが必要であります。特に九州の各県については、これまでの福岡市との競争のしこりが残らないよう、オリンピックの意義や開催したときの地方の効果などを丁寧に説明していかなければなりません。この点については、八月三十日に決まった後、熊野本部長が早々に福岡市を訪問し、招致担当者に対して協力の要請を行ったことを高く評価いたしたいと思います。
 国民全体がオリンピックを熱望するような日本列島の運動論をつくり上げていくには、全国自治体の支援が不可欠と考えます。そこで、全国の自治体に対しどのように東京オリンピックの理解と協力を得ていくのか、都の考え方を伺います。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 国内での招致機運の盛り上がりを進めていくには、全国の自治体の積極的な協力が欠かせません。これまでも、八都県市首脳会議や関東地方知事会などにおきましても広域的に東京オリンピック招致に関しての説明を行い、招致決議をいただくなどしてまいりました。
 今後は、招致機運の盛り上がりを全国に広めるため、全国知事会などの団体を通じまして東京オリンピックの計画やその効果などを積極的に説明し、理解と協力を求めてまいります。

○鈴木(隆)委員 二〇〇二年のワールドカップサッカーでは地域サポーターという制度が実施され、各自治体が出場国のキャンプ地として手を挙げ、積極的な国際交流を行いました。当時の中津江村とカメルーンの交流が有名でありますが、この縁がきっかけで、中津江村とカメルーンのメヨメサラ市が姉妹都市提携を結び、現在でも活発な交流が続いていると聞いております。また、長野オリンピックでも一校一国運動によって小中学校と参加国との交流が行われ、子どもたちが国際的な見聞を広げるとともに、外国人と触れ合うさまざまな事業が行われました。
 一つの提案でありますが、例えば東京オリンピックが開催されるということを念頭に置いたときに、都内の各商店街、その商店街と世界各国とが積極的な交流を図るような、そんなような企画があっても非常におもしろいと私は思いますが、これは一つの提案として考えていただければありがたいというふうに思います。また、このようにした世界との交流など、日本の各自治体や全国各地の住民が二〇一六年の東京オリンピックを身近なものと感じられるよう、積極的な対応をお願いしたいと思います。
 先ほど高橋委員の質問に答弁があったように、オリンピックには、スポーツを通じて平和な社会をつくり上げていくという理念があります。それを全国民が一体となってつくり上げていく。さらに、日本人のおもてなしの心が、海外からの選手、来訪者を温かく迎え、世界平和の安定につなげていく。それがオリンピックムーブメントというものではないでしょうか。また、海外から多くの方々をお迎えするに当たっては、成熟した東京の魅力をさらに高め、ハード、ソフトの両面から東京をさらに住みやすい都市にしていくことは当然のことであります。そうした世界平和を求め、都市の魅力をさらに高めていくオリンピックの意義について、すべての会派の方々にご理解いただきたいと思います。
 次に、国内の盛り上げ活動から少し離れ、国際的な招致活動についてお伺いをしたいと思います。
 今から三年後、コペンハーゲンでIOCの総会があります。まさにその場所で二〇一六年のオリンピックの開催都市が決まるわけでありますが、その決定のための方法は、立候補都市のプレゼンテーションを行った後のIOC委員の投票であります。開催都市に選ばれるには、各都市に劣らない、すぐれた大会計画をつくることはもちろんのことでありますが、総会での投票の結果がすべてであることは、ことしの夏、私たちが経験したとおりであります。
 IOC委員に東京に投票してもらうためには、委員に対するさまざまな働きかけ、いわゆるロビー活動を行っていく必要があり、今後はそのロビー活動の舞台を海外へ広げていく必要があると思います。一方で、IOC委員に対する働きかけなどは、ソルトレークでの買収疑惑以降、一定の制限や基準があるということも聞いておりますが、そこでまず国際的な招致活動を行うに当たってのIOCのルールについて、確認のためにお伺いをいたします。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 IOCは、オリンピック競技大会開催希望都市に適用される行動規範を策定し、原則として立候補都市にオリンピック憲章やIOC倫理規程及びその細則に厳格に従わなければならないと定めてございます。
 具体的には、立候補届け出手続が開始された日、すなわちIOCが各NOC、これは各国のオリンピック委員会でございますが、に対して立候補届け出を招請した日以降、IOC委員への訪問の禁止、オリンピックの関係者に対する贈与の禁止、ライバル都市のイメージを害する行為や他都市との比較の禁止など、さまざまな制限が行われることになります。
 また、IOCの行動規範によれば、立候補都市は、IOCが立候補ファイルを受理した後にそのプロモーションをすることができるとなってございまして、結論的にいえば、その前はプロモーションはできないということになってございます。

○鈴木(隆)委員 招致活動に関しての厳しいルールがあるということはわかりました。
 そうしたルールのもとでは、常に効果的な活動を行っていく必要がありますが、残念ながら、都にはそうしたノウハウは不足をしているのではないでしょうか。海外での招致活動を展開していくには、国の外交ルートだけではなく、民間企業の海外担当者など、官民を問わず国際的な友好関係を積極的に活用していくことが必要であります。例えば、元外交官でヨーロッパの要人に詳しい人やグローバルな経営を行っている日本企業のトップなど、広く人材を求めるべきと考えます。また、IOCの委員の中には各国の王族や貴族の方も多く入っていると聞いておりますので、日本の皇族の方々にも活動の一端をお願いすることも考えられるのではないでしょうか。
 ここに新聞の記事がありますが、今月の四日の新聞でありますが、東京の最大のライバル、米オリンピック委員会が国際部門の強化というような記事があります。ちょっと文を紹介しますが、米国オリンピック委員会は次々に経験豊富な人材を要職に配し、国際的なパイプづくりを急いでいる。国際協力・政策部長へは国際オリンピック委員会から引き抜いたコロンビア出身の方が組織委員会についた。また、国際戦略・発展部長にはロサンゼルス五輪重量挙げ銅メダルのドラゴミル・チオロスラン氏を起用というようなことが書いてあり、それぞれスポーツ界に幅広い人脈を持つというようなことが記載されています。それに関して、統括するロバート・ファズーロ局長は、両者の起用は国際コミュニティで信頼されるパートナーになることを目指すアメリカ・オリンピック委員会の強い決意を示すものだということを話したということであります。
 今申し上げましたように、やはりこれから東京が世界のそういうIOCの委員の方とアプローチまたは政策提言をしていくときに、今いった幅広いことを、ただ日本人の感覚だけではなくして、相手の国の立場まで考えたような幅広い思考、考え方を持って対応していくべきだということをこの新聞はいっているのではないかというふうに私は思います。ぜひそういう点も今後参考にしていただければ大変ありがたいというふうに思います。
 また、そうした中で我が都議会自民党は、ことしの八月と十月、東京都議会自由民主党中華人民共和国訪問団を結成し、北京オリンピック関係者と会談し、北京オリンピックへの協力と東京オリンピック招致への協力依頼を行ってまいりました。中国は、アジアだけではなくアフリカ、南米とも有力な外交関係を有しており、そうした関係から、それらの地のIOC関係者に対する影響力を持っているといわれております。二〇一六年のオリンピック招致に当たって、中国の力をかりることは非常に重要と考えます。あえて申し上げますが、北京オリンピックに対して東京都または日本がどのような協力体制を組むかということが問われるといっても過言ではないというふうに思います。北京オリンピックの大成功に向けて日本が最大の努力をしていく、最大の努力をする姿勢がある程度目に見えることが非常に大事なことになるということをあえてここではいわざるを得ないというふうに考えています。
 また、二〇〇八年の北京オリンピックには全IOC委員が北京を訪れることになります。さらに、前年にはプレオリンピックと称して、北京オリンピック選考会を兼ねたさまざまな競技の国際大会が行われます。したがって、来年、再来年の北京は、二〇一六年のオリンピック招致の最も重要なロビー活動の場になると考えられ、その地でオリンピック関係者の協力を得ることは、活動に際して非常に有利になると考えられます。
 そこで、二〇〇八年の北京オリンピックに当たり、都が北京オリンピックをどのように活用するつもりなのか、見解を伺います。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 北京オリンピックには、IOC委員のみならず国際競技連盟の役員やスポンサー企業など、いわゆるオリンピックファミリーが数多く訪れまして、先生のお話のように招致活動には大変重要な機会と考えてございます。
 そこで、北京オリンピックの開催時期の前後も含めまして、東京オリンピック招致を紹介するブースの設置やオリンピックファミリーも交えたパーティーを開催するなど、さまざまな招致活動を展開していく所存でございます。

○鈴木(隆)委員 今答弁であった、特にオリンピックを紹介するブースの設置とかパーティー、要するにある程度日本が目指していることを外国の方に直接我々からメッセージを伝えられるという場は非常に大事になると思いますので、このような招致展開はぜひ積極的な対応をしていただきたいということもあわせて要望をしておきます。
 また、アジア大都市ネットワークにおいて北京が会議から脱退するなど、都と北京との関係には課題があることも承知をしております。オリンピック招致実現に向けて、今後ぜひ友好な関係を築いていただくよう、あえて要望をしておきます。
 オリンピック招致を実現していくには、今後三年間、あらゆることを想定し緻密な招致戦略を立てていくことが重要であります。二〇一二年のオリンピック招致の例を調べましたが、立候補ファイルを提出した五都市のうち、IOC評価委員の評価が一番高かったのはパリでありました。にもかかわらず、最終的な投票でロンドンが勝利したのは、IOC評価委員の評価結果の発表後、ロンドンが精力的にロビー活動を展開した結果といわれております。都もそうした分析は行っていると思いますが、こうした事実をきちんと見据え、計画策定や機運盛り上げ、ロビー活動など、招致活動を全体的に考えて対処していかなければなりません。
 そこで、最後に今後三年間の招致活動の進め方と決意について本部長にお伺いいたします。

○熊野東京オリンピック招致本部長 オリンピック招致を実現するに当たりましては、緻密な大会計画の策定、招致機運の盛り上げ、都市の魅力の向上、積極的なロビー活動、こういったことが極めて重要であると認識してございます。とりわけ招致機運の盛り上げあるいはロビー活動につきましては、さまざまなチャンネルを通じまして、IOC委員はもとより、できるだけ多くの方々に訴えていくということが必要でありますし、また、三年後のコペンハーゲンに向けましては、時間軸をどうしていくか、こういった要素も大変重要であろうというふうに認識してございます。
 今後の招致活動におきましては、外部招致組織やJOCと連携しつつ、国の全面的なバックアップを受けて、都議会はもとより、都民、国民の幅広い協力を得ながら複合的、戦略的に活動を展開いたしまして、全力を挙げて熾烈な招致レースを勝ち抜いてまいりたいと考えております。

○鈴木(隆)委員 我が自民党は、今後もオリンピック招致議連の中心となって、今日提案した内容の実現を含め、積極的に招致活動を展開していくことを表明して、質問を終わります。

○西岡委員 オリンピック招致特別委員会において議論を始めるに当たりまして、都議会民主党として、オリンピック招致に関する考え方についてまず述べさせていただきます。
 東京都が二〇一六年に二度目のオリンピックを招致すると宣言して以来、我が会派はまず、オリンピックとは何か、二十一世紀の東京や都民にもたらされる波及効果や影響はどのようなものかを研究するため、多くの調査検討を重ねてまいりました。そして、招致決議に賛成するに当たりまして、会派内で徹底的な議論と意見集約を行いました。
 次に、議会では、言論の府としての責任を全うするため、オリンピックに関する議論を深め、実際の招致に結びつけられるよう、都に対して適切な情報提供などの注文をするとともに、都議会民主党独自の提案も行ってまいりました。
 東京の将来ビジョンとオリンピックの関係では、目指すべき東京の未来像がまず先にあって、その中にオリンピックが位置づけられるべきとして、都民の理解を得て、熱い支持のもとでオリンピック招致を行っていくために、総合的な長期構想の策定を求めました。
 大会理念に関しましては、オリンピックとはスポーツ推進を通じての平和運動であるを基本に、オリンピック史における我が国の位置づけと世界への貢献と共感を得る考えとして、悲惨な戦争を忘れないという先人の思いを現代につなぎ、今戦火に苦しむ世界の人々に平和構築への連帯意思を示すメッセージを発信することを提案いたしました。
 スポーツ振興におきましては、オリンピック、パラリンピックを控えた多摩国体、障害者スポーツ大会に質を高めるトップアスリートの参加施策やジュニア育成とJOCとの連携などの検討を求め、まちづくりの観点では、福祉的機能が入ったユニバーサルデザインの競技施設の建設、まちのバリアフリー化の推進を求めました。
 環境面では、カーボンマイナスオリンピック施策として、都内での緑化義務や開発許可制の見直しや自然エネルギーの普及、東京湾の水質改善などを推進していくべきと訴えました。景観改善やにぎわいのあるまちの促進のために、日本橋周辺の高速道路の移設、撤去にも言及しております。
 財政に関しましては、まず都財政の健全性を念頭に、関連経費もコンパクトな、品格のあるスマートなオリンピックが理想であり、閣議了解を初め招致から開催に至るまで、国や関係自治体、民間の全面的バックアップを得ることを求めました。
 今回の国内選考は、東京によい効果をもたらしたと思います。福岡市はまさに好敵手でありました。バルセロナ、トリノ冬季オリンピックなどの施設建設に実績のある磯崎新氏は、福岡オリンピックの制作総指揮者として、二十一世紀型にふさわしい、博多湾全域を会場に百五十万都市での持続可能なオリンピックモデルを示しました。結果として東京都が、世界的知名度と強い財政基盤などの総合評価で勝利をおさめましたが、さまざまな面で東京オリンピック計画の見直しにつながるのではないかと考えます。
 今月、東京オリンピック招致委員会が結成され、再来年の正式立候補都市承認と三年後の開催都市決定に向けて、招致機運の盛り上げ、立候補ファイルの作成、世界各国のNOC、IOC委員からの賛同を得るロビー活動を行っていくのですが、その招致活動では、民間企業などからの資金収集の効果を高める努力をしていくことなどが求められる一方、いたずらに華美で派手なものではなく、長野や大阪の問題点を教訓としたものであってほしいと強く考えているところであります。
 具体的な招致活動に関しても、我が会派では、在京大使館や海外都市との交流によるオールアジアの体制構築と世界各国の支持獲得、都内全区市町村による一自治体一国運動、各自治体の国際交流を活用したオリンピック招致のムーブメントなどを提案してまいりました。
 都議会民主党として、都民が歓迎し、東京と調和し世界とつながる東京オリンピックの招致成功に向け、議論を積み上げ、積極的に提案を行っていくことなどによって、招致活動としっかり連携していきたいと考えております。
 続いて、質疑に入ります。
 東京都は昨年、オリンピック研究のため、大手広告代理店にロンドン市のオリンピック招致活動の調査を依頼し、その報告を受け取りました。また、ことし五月二十八日には知事が訪英、三十一日にはケン・リビングストン・ロンドン市長と会談し、三年間の政策提携協定書に調印いたしました。大都市に共通する課題の解決に向け、六分野、都市再生、交通政策、環境問題、治安対策、スポーツ振興と観光振興、文化交流にわたり緊密な協議を行っていくことになっております。ロンドン市は、ベルリン、モスクワ、ニューヨーク、パリに次いで大都市間での五番目の協定となり、都としては初めての都市政策協定となりました。リビングストン市長は、二〇一六年オリンピックの東京招致が成功するよう協力していくとエールを送り、都はロンドン市による二〇一二年オリンピック招致成功のノウハウの伝授を受けるということです。知事も会見で、非常に参考となるサジェスチョンがありましたと語っています。
 翌六月一日には、知事はセバスチャン・コー、ロンドン・オリンピック組織委員会会長と会談し、コー会長が、開催予定地はロンドンでおくれた地域で、オリンピックを機に再生を試みると語り、知事も、ロンドンと同じことを考えていた、二都市には共通項があると述べました。その後、大会関連施設の建設現場を空から視察しております。
 それから五カ月が経過をいたしました。東京都とロンドン市による政策提携協定は、私どもも歓迎するところでありますが、その後、実務的な協力関係の中で、オリンピックに関して具体的な取り組みは行われたのか、まず伺わせていただきます。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 オリンピック招致に当たりましては、本年八月三十日に国内立候補都市に選定されて以降、招致のための組織立ち上げ準備を行うほか、招致活動全般にわたる情報を収集しているところでございます。先日も、ロンドン市を初めロンドン・オリンピック組織委員会に職員を派遣し、計画作成や招致活動の体制などについて情報提供を受けるなどしており、今後、一層の協力体制を構築して積極的に招致活動を展開してまいります。

○西岡委員 先ほど部長からご答弁いただきましたけれども、具体的な中身、都の職員の方が派遣をされたということでありますけれども、どういった情報提供を受けてきたのかということについて、具体的な中身について、もしわかればご答弁いただきたいと思っております。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 計画づくりあるいは招致活動の体制につきましては、アドバイザーあるいは専門の作業チームの活用の仕方につきまして、あるいは、IOC委員のアプローチの仕方についてやIOCの評価委員会への対応等、これまで仄聞しているところの確認作業も含めまして、情報の提供を受けたところでございます。

○西岡委員 ロンドンは、二〇一二年オリンピック大会の招致に当たり、スポーツ、ビジネス、広報、行政などの実務者、専門家を集めた民間会社組織の招致委員会と、招致計画を最終承認する英国政府、ロンドン市、英国オリンピック委員会の三者の代表から成る専門委員会をつくりました。また、政府や市、英国オリンピック委員会は側面支援を行いました。オリンピック金メダリストで議員でもあったセバスチャン・コー招致委員会会長をビジネス界の役員たちが支えていたとも聞いております。この招致委員会は、招致の成功の後に組織委員会に衣がえしました。リビングストン市長も、オリンピック出場経験者が招致計画に関与したことを招致成功の要因に挙げております。
 都におけるロンドン・オリンピック招致委員会の評価と、東京オリンピック招致委員会に実際に活用する部分があれば、お聞かせをいただきたいと思います。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 先生お話しのように、ロンドンは、ロンドン二〇一二と呼ばれる招致組織に各界が参加して、国内が一体となって招致活動を展開したこと。それから、その組織の人事面におきましては、お話しのように、競技関係者のみならずさまざまな、経済界も含めてバランスのとれた人材配置を採用したこと。また、各組織をメンバーとする戦略会議を設置しまして、招致活動の意思統一を図ったこと。こうしたことの相乗効果によりまして、効果的な招致活動が推進できたと聞いております。
 ロンドンと東京では社会環境等も大きく異なりますが、今後、我が国にとって具体的にどのような招致活動が適当なのかは検討しているところでございます。

○西岡委員 日本の国内選考が東京に決着した八月三十日、都は、JOCとの間で国内立候補都市契約書に調印いたしました。この契約には、JOCと密接に協力し、両者で効果的な組織づくりを行うとともに、JOC及びJOC加盟団体などと協力し、招致活動を行うとの文言があります。JOCの竹田会長は、東京オリンピック招致委員会の副会長に就任する予定ですが、以前、招致は都市を売り込むビジネス、ビジネス経験者など適した人材を集めて勝つ招致委員会をつくると発言し、その準備を始めていると聞きます。竹田会長は、大阪招致の招致委員でもあり、また、長野冬季では招致に成功し、国内に成功体験が残されております。これらを生かすことも重要であります。
 一方、ロサンゼルス・オリンピック組織委員長でIOCとの関係も深いピーター・ユベロス氏は、現在アメリカ・オリンピック委員会会長であります。ユベロス会長は、ロンドンに敗れたニューヨークの教訓から、二〇一六年招致に勝てる都市を選考しています。日本の候補都市が決まった翌日の八月三十一日には、IOCやIFに長年従事してきたボブ・ファズーロUSOC国際関係局長をJOCに訪問させております。
 リオデジャネイロやローマも立候補の意思を表明するなど、招致に対する動きが具体的になる中、東京が招致を成功させるためには、IOCや各国NOC、国際的なスポーツ業界に精通した招致アドバイザーの存在が必要ではないかと考えますが、最後に見解を伺わせていただきたいと思います。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 これまでの招致に成功してきた都市の招致活動におきまして、IOCやIFなどに精通した特定の人物や専門の団体が大きな役割を果たしてきたことは承知しています。今後の円滑かつ効率的な招致活動を展開するに当たりましては、そうした人物や団体を活用することは十分考慮すべきと考えてございます。

○大西(さ)委員 私は、一九九六年に開催されましたアトランタ・オリンピックに、当時、民間企業の仕事で約二カ月弱会場に詰めておりました。緊急時の対応要員として派遣されたわけですが、結局、緊急事態は一切起こらず、結果的に毎日会場及び周辺をふらふらしていたわけでございます。さらに、期間中は、すべての競技会場の特別席、一番前のところに入れるパスをもらえるという、いわばおいしい仕事をさせていただいたわけでございますが、そのおかげで、期間前、期間中、そして期間が終わってからの後片づけに至るまで、通してその雰囲気をこの肌で直接味わわせていただきました。
 その肌で感じた感動というものは、どれだけ言葉を尽くしてもいいあらわすことはできません。徐々に盛り上がっていき、最後は皆涙して、知らない者同士、全く違う人種が抱き合う、そのような平和の祭典でもあったわけでございます。あの感動がこの東京で、都民の方、また日本人が味わうことができるなら、これは私は何物にもかえがたいものと確信しております。ぜひともオリンピックをこの東京で開催したい、そういう気持ちを持ちまして、何点か質問をさせていただきます。
 まず、国内外の招致PR活動、たくさん考えておられ、質問もされておりますが、それに関して、今、その中で具体的に考えておられるものをぜひ教えていただきたいと思います。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 国内での招致活動は、東京マラソンや東京国体などのスポーツイベントに加えまして、商店街が行う地域のイベントなども活用し、さまざまな招致機運盛り上げ活動を実施してまいります。また、国外での招致活動は、国際的なスポーツの大会や会議を大いに活用し、オリンピック関係者への効果的なロビー活動を行うなど、招致の段階に応じ適宜適切に行ってまいります。
 これらの活動は、外部招致組織が中心となりますが、私どもも積極的に協力して取り組んでまいる所存でございます。

○大西(さ)委員 先ほど西岡議員の方からロンドンについてのお話がありましたが、海外の活動につきまして、特に私は、他国、今まで勝利をしてきた国々について、いろいろ分析する必要があると思います。例えば北京、例えばシドニー、アテネ、アトランタ。特にアトランタに関しましては、当時、百年記念の本命と目されていたアテネに突然勝ったわけでございます。アテネの失敗というのもあるみたいでございますが、そのときの、なぜ勝てたのかという要因、これをきちんと分析し、評価することが大切だと思いますが、どのような評価をお持ちでしょうか。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 招致活動につきましては、今、先生のお話のように、さまざまな環境を背景に、IOCの意図あるいは国際社会の動きなども念頭に置いて行うことが効果的といわれております。
 北京を初め、もちろん、アトランタもそうでございますが、これまでの招致に成功した都市における招致活動は、それぞれの時代背景やIOCの行動規範が異なる中で行われてきたものでございます。そこで、どのような招致活動が最終的な評価に結びついていったのか、これは今後の私どもの大きな検討課題であるというふうに認識してございます。

○大西(さ)委員 ありがとうございます。
 一方、破れた都市の負けた理由もぜひとも私は検討課題に入れていただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 どのような招致活動が効果を上げなかったかにつきましては、今後、多くの方々から意見を聞きながら、外部招致組織の中でも戦略的に検討されるものと考えてございます。

○大西(さ)委員 ありがとうございます。
 国外では、ぜひ勝った方、負けた方の各分析を徹底的にしていただき、参考にしていただき、また日本の独自の方策をつくっていただきたいと思います。
 一方、国内の方では、残念ながらオリンピック招致に反対だという方もおられます。このような方々を納得させる、だれもが熱望するオリンピックの開催が必要だと思っておりますが、この点はいかがでございますでしょうか。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 オリンピックという中長期にわたる国家的な一大プロジェクトを成功させるためには、一人でも多くの賛同者を得ることが重要であると認識してございます。そのため、東京オリンピックの計画内容や波及効果などを適宜適切に説明し、段階的、継続的に招致活動を高めることで、都民、国民の理解と賛同を得られるものと確信してございます。

○大西(さ)委員 ありがとうございました。
 ぜひ衆知を集めて、私たちも一緒に頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。

○石井委員 公明党としても、二〇一六年のオリンピック東京招致に賛成であります。
 昭和三十九年のオリンピックが、新幹線をつくり、高速道路をつくり、そしてちょうどあたかも水飢饉でありましたけれども、多摩川水系、小河内ダムの水がからからになってしまって、急遽、利根川から武蔵水路を掘り、さらに秋ケ瀬用水を掘って、オリンピックに合わせて東京に水を持ってきた。まさに東京の大きな発展のきっかけになったのが、この昭和三十九年のオリンピックであります。
 十年後のオリンピックは、安全・安心の東京をつくる、環境都市、福祉都市東京をつくるきっかけにしていきたい、そんな意味で私たちは賛成しているわけであります。
 一点だけお尋ねしたいんですが、二〇〇九年九月にIOCの評価委員会の報告書が提出されて、十月に開催都市の決定、こう出ているんですけれども、東京のライバル都市はどこと見ているんでしょうか、一般論で。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 現在、IOCに正式に立候補を表明した都市はございません。したがいまして、仄聞ではございますが、これまで、アトランタ大会以降二〇一六年まで、アメリカ大陸では二十年間オリンピックが行われていないという状況を見ますれば、やはりアメリカ大陸が最大のライバルかと思いますが、そのほか、さまざまな大きな都市が立候補していますので、私どもとしては、今のところ、どこどこの都市をターゲットにという競争相手の感覚ではなく、広く見ながら対応をしていきたいというふうに考えてございます。

○石井委員 もう一点、これは知事本局だと思うんですけれども、二〇一六年に東京にオリンピックを招致する。ちょうど来年は知事選ですから、石原知事は長期計画というのは余り好きじゃないんだけれども、かつて美濃部都政も、また鈴木都政のときも、十年間の計画をつくって、そして三年ごとのローリング計画をつくって、また毎年の予算がある。長期計画を転がしながら、具体的に東京の都市整備を進めてきたという歴史がありますから、やはり、今後十年間で安全・安心の面ではこうするんだ、また福祉、環境の面ではこうするんだという長期計画をきちんと打ち立てて臨むべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○小林知事本局参事 東京にも長期構想をつくるべきだというお話でございます。オリンピックの開催は、東京をさらに機能的で魅力的な都市につくりかえていく絶好の機会でございます。先ほど先生お話しありましたように、前回のオリンピック開催後は、GNPが世界第二位の経済大国になるということで、東京は都市の姿を一新した、大きく成長したということでございます。
 今回、このオリンピックを契機に東京はどういう姿になっていくかということは、成長というよりも、より成熟した都市の姿、これを世界の各国に示していくということが大切だと思います。そういったことから、現在、知事本局で、二〇一六年の東京の都市像を策定中でございます。この中では、成熟した都市といたしまして、都市のインフラの整備のみならず、環境でありますとか、生活、文化あるいは福祉といったさまざまな分野で、東京がさらに高いレベルの成長を遂げた姿を世界に対して示していきたい、このように考えているところでございます。

○松村委員 まず、日本共産党の基本的立場を述べます。
 我が党は、オリンピックそのものに反対するものではありませんが、石原知事が進める浪費型オリンピック、地震対策を無視したオリンピックは反対であることを表明するものです。
 石原知事が進めるオリンピックは、これまで我が党が議会で指摘してきたように、オリンピックをてこにインフラ整備などに莫大な財政をつぎ込む計画が明らかとなり、しかも、その額も定例会ごとに膨れ上がり、今や八兆五千億円が見込まれるなど、都政と都民に深刻な影響を及ぼすものです。さらに、防災対策に重大な欠陥があり、世界のトップアスリートや世界じゅうから集まる観客を危険にさらすおそれがあります。こういう問題を解決することなくして前に進むことは許されません。今こそ、議会がチェック機能を果たすために、これらの問題を都民の前に明らかにすることが非常に大事だと考えます。したがって、本委員会が設けられたことを歓迎し、以下、質問します。
 我が党の三定本会議代表質問の答弁で、熊野招致本部長は、臨海部に主要施設を配置するのは地震に対する危険度が低いからとの趣旨の発言をしましたが、首都直下地震による東京の被害想定報告書、これですけれども、この報告書では、首都直下地震の発生についてどのように記述していますか。被害想定報告書では、液状化の発生可能性の高い地域に臨海部は入っていますか。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 冒頭で申しわけございませんが、熊野本部長、地震に対する危険度が低いからでございまして、その当該地域は危険度が低いという表記があるという事実を述べたところでございます。
 首都直下地震による東京の被害想定報告書では、東京湾北部地震の場合、震度六強が区部東部を中心に発生、建物被害は区部の木造住宅密集地域を中心に発生、人的被害は、死亡は火災を原因とするものが多く、負傷は建物倒壊及び屋内収容物の転倒を原因とするものが多いと想定されてございます。
 また、同報告書の被害想定におきましては、臨海部地域は液状化の発生可能性の高い地域に入っていますが、建物の耐震化、不燃化が進んでいることから、倒壊や火災の発生は想定されていません。

○松村委員 倒壊や火災の発生が少ないから危険度が低いなどというのは、既に我が党の討論や先日の決算委員会での質疑でも、これは決着済みなんですよ。人がほとんど住んでいないことから被害が少ないと。
 私どもは、首都直下地震による東京の被害想定にどう記述されているのか、また、今の臨海の液状化について聞いたところ、こちらを出してお答えになりました。しかし、今いいましたように、人がほとんど住んでいないことから、被害が少ないというものにすぎません。液状化の発生問題については、今、答弁がありました。
 パネルを持ってきましたので。(パネルを示す)首都直下地震による東京の被害想定は、このように図示されております。まさに東京湾の埋立地。江東区や足立区に至るまで埋立地ですよね。しかも、当然、臨海部が入っておりますけれども、重要なことは、臨海部が液状化が非常に高い地域ということなのです。これは多摩の方、全然真っ白ですよね。文字どおり、臨海部を中心としたかつての東京湾の埋立地、ここに集中していることがおわかりいただけるというふうに思います。
 ですから、この首都直下地震による東京の被害想定でも、地震発生の蓋然性が高く、被害規模も大きい東京湾北部地震について書いてあるんです。専門家は、今後三十年以内に起きる可能性が七〇%と指摘しているのです。オリンピックが開かれる十年後にはさらにその危険が増すことは明らかで、十年後のオリンピックも、当然、地震の発生を考慮に入れなくてはならないし、臨海部は液状化の危険が最も高い危険な地域なんだということも、当然、視野に入れたものにしていかなければならない。これは当たり前じゃないでしょうか。
 液状化現象が起きればどういうことになるのか。地面全体が土砂を噴き上げ、建物は耐震化で安全かもしれません、しかし、周り全体が地盤沈下などを起こせば、十万人もの人は完全に逃げ場を失い、大惨事になるではありませんか。命がたとえ助かっても、周囲のライフラインが寸断され、陸の孤島になりかねないのです。そうじゃありませんか。
 JOCからも、評価報告書で、メーンスタジアムの立地が三方海である点は、災害発生時のリスクマネジメントの点から課題とされたのではありませんか。どうするんですか。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 オリンピックスタジアムが予定されております晴海地区は、地域危険度測定調査におきましては、地震に対する総合危険度のランクが低い地区でございます。JOCの国内立候補都市評価委員会からの指摘は、オリンピックスタジアムの立地が三方海である点は、災害発生時のリスクマネジメントの点から課題と考える、との指摘でございまして、液状化等の指摘は受けてございません。

○松村委員 だめですよ、そんなことをいっても。先ほどの繰り返しだけじゃありませんか。大体、皆さんだって現地に行ってみたでしょう。私どもも何度も行きました。晴海地区のメーンスタジアム会場には、建物とか家が建っているんですか。選手村はどうですか。ペンペン草というか、草原の中で、建物などはどこにも、周囲を見渡しても見当たりません。確かに幾つか建って、それらは当然、耐震化や不燃化は行われているでしょう。しかし、だからといって、人が住んでいない、建物もほとんど建っていない、だから火災または建物の倒壊が少ない、人も住んでいないんですから、総合危険度が低いと。つまり、想定されないわけですよ。載っているのは当たり前ですね。それをもって、メーンスタジアムを初め主要三施設をここにつくる、危険度が少ないなどというのは、私はとんでもないすりかえの答弁だというふうにいわざるを得ないと思います。
 また、JOC評価委員会から液状化については指摘されておりませんと。これもひどい私は答弁だと思います。だからこそ、東京都がここに主要施設を配置するならば--かつて東京都みずからが、それこそ招致本部長がいう専門家も入れた被害想定の中で、先ほどの図も示したように、多摩地域などはどこも液状化が起きないんですよ。みんなこういうところなんですよ。だから、JOCの評価委員会から液状化については指摘されておりません、だから大丈夫だとはいわないんでしょうけれども、そんなことは絶対、都民がそういう答弁を聞いて、納得できるものじゃないというふうに思います。
 具体的にどういう対策をとるんですか、課題があるとされたことについて。今は液状化が指摘されていないから、何ら対策を立てずにそのまま、あの晴海にメーンスタジアムなどを建設するというのですか。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 臨海部の整備に当たりましては、これまでも、地盤の液状化対策等、安全対策を講じてきたところでございます。
 今後、臨海部におけるオリンピックの施設整備に際しましては、建物の耐震性を確保するなど、これまで以上に安全性を高めるようなさまざまな対策を検討しているところでございます。

○松村委員 臨海部、液状化対策を講じてきたなどといっても、それは臨海副都心の共同溝の、全部ではありませんよ、一部です。実際、じゃ、この晴海地区に液状化対策が行われているというんですか。そうではないじゃありませんか。確かに、メーンスタジアムなど建物をつくるときには、強固な地盤で、直下地震で液状化が起きても、建物は安全かもしれませんけれども、十万人もの観客はどうやって逃げるんですか。周辺が液状化するわけでありますから、ただメーンスタジアムだけの建物を強固に安全にする、そんな答弁は私は通用しないと思います。
 ましてや、一般的な都民のための震災対策をとるのと場合が違うんですよ。例えば都民は、建物が崩れず、そこに逃げていて、待っていればいいかもしれないけれども、世界のトップアスリートと十万人の観客を世界じゅうから集めるオリンピックなわけです。そういう液状化の高い臨海部だからこそ、万全な対策をとらなければならないわけです。そういう立場で全く検討していない。
 もう一回伺います。安全にオリンピックを開催するためには、どういう防災対策が必要と考えますか。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 都はこれまでも、区市町村や警視庁、東京消防庁のほか、首都圏の自治体、さらには自衛隊や在日米軍とも一体となった総合防災訓練を実施するなど、大規模な自然災害に備え、広域的な連携を強化しております。東京オリンピックに際しましては、こうした連携も含めまして、万全の防災対策を講じてまいります。

○松村委員 世界のトップアスリートや多くの観客が危険にさらされていいのかということを聞いたのです。(発言する者あり)危険地域でやることの是非をただしているんですよ。かつての震災予防条例は、地震の発生は防ぐことはできないが、起こった地震からいかに災害を少なくするかという立場からの防災対策を重視しておりました。被害を最小限に抑える減災の取り組みが必要なのです。その保障なしに進めるのは、無責任といわれても仕方がないではありませんか。
 次に、築地市場の豊洲への移転計画はどうなっていますか。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 豊洲新市場は、平成十六年七月に発表されました豊洲新市場基本計画に基づき、平成二十四年度に開設されることとなっており、計画どおり進捗していると聞いております。

○松村委員 豊洲の市場移転予定地の東京ガスの所有地の土壌汚染は、発がん性物質のベンゼンは基準値の千五百倍、砒素は四十九倍、検出されないことが基準のシアンが四十九ミリグラム・リットルを記録するという、極めて深刻なものです。しかも、全体が埋立地ですから、土壌汚染されている可能性があります。
 築地市場の豊洲移転に反対する仲卸業者らでつくる市場を考える会は、直下型地震などの災害時に、汚染除去が施されていない地下六メートル以下の汚染土が液状化によって噴出し、市場機能が失われるおそれがあるとして、十月十一日に千四百名もの豊洲移転反対デモが行われました。
 専門家たちも、豊洲は埋立地のため液状化が起こりやすく、地震などが起こったときに、有害物質を含めた土壌がせり出してくる危険があると一様に指摘しているのです。
 今やるべきことは、移転計画を根本的に再検討することではありませんか。オリンピックの名で移転を強行し、都民の食の安全を危機にさらすことは許されません。
 液状化ばかりではありません。加えて、新たに側方流動という現象が起きることが知見されるようになりました。側方流動というのは、地盤が四メートルから五メートル水平方向に移動する現象です。側方流動によって、護岸、橋梁、建物、鉄塔などの基礎あるいは土に埋設されるライフラインなどに重大な被害、影響を及ぼすことになるのです。
 この写真のパネルを見ていただきたいと思います。これは兵庫県南部地震のときの地盤の流動による橋脚の落下等、地盤割れの様子です。このような事態が、メーンスタジアムの晴海、選手村の有明北、築地市場が移転する豊洲のどこでも液状化が起こり、こうした側方流動する危険があるのではありませんか。
 国の方では、国交省が神奈川県の川崎市浮島、千鳥、水江という埋立地コンビナート地区で、側方流動予測の分析対象地で調査しています。地質調査をやって、問題を全面的にとらえ、一体ここでオリンピックをやっていいのかどうか、その是非を検討すべきです。これが世界に対する最低限の責務ではありませんか。
 石原知事のやろうとしているオリンピックの安全について、これからも徹底的に問題を明らかにすることを表明して、質問を終わります。

○熊野東京オリンピック招致本部長 まず冒頭、先生のご質問で、私が本会議で、臨海部に主要施設を配置するのは、地震に対する危険度が低いからというふうに答弁したとありますが、これは全く論理が逆でありまして、私どもが主要施設を配置する場合には、いろんなファクターを考えて配置するわけでございます。本会議での質問は、専門家の意見を聞いたのか、防災の立場から検討したのかというご質問でございましたので、専門家を入れた委員会の報告でございます地域危険度測定調査において、安全、ランクが低いというふうに事実を答弁したまででございますので、誤解のないようにお願いを申し上げたいと思います。
 それから、液状化等々、防災につきましては、先生の論理でいえば、地震国ではオリンピックをやれないという話になりますし、それから、江東区等では集客施設をつくれないという話になりますので、私どもは、防災の原則である、被害が発生しないよう、発生したとしても最小限にするように、耐震化、不燃化を促進する。また、万が一、不幸にも被害が発生した場合には適切な対応を行う。こういった観点から、オリンピックに限らず、一般的な防災対策を臨海部において行っていきたいというふうに考えております。

○松村委員 局長、だめですよ。よく本会議での我が党の質問を読んでくださいよ。主要施設をこういう臨海部に集めたことに対して、さっきいったトップアスリートや十万人も観客を集める、その安全がどう対策としてとれるのか、そういうことを聞いたんでしょう。そして、専門家を集めて、その上に立っての液状化を含めた安全対策について検討されたのですかと。それは違うでしょう。本部長が答えたのは、平成十四年のこれでしょう。これに答えて、先ほどいったように、人がいない、建物も建っていない、だから災害の危険度が低いというふうに、これはそういう結果としての報告を出している、そういうものにすぎないんです。そこに液状化が起きる事実もここでは指摘されている、そういう危険の高い地域だという認識は、本部長、持っていないんですか。(熊野東京オリンピック招致本部長発言を求む)手を挙げてもいいですよ、全く無責任というか、本当に真剣になって、招致を進める最高責任者だったら、もう一回今の論議を私はぜひ、都民が検証すると思いますよ、どちらのいっているいい分が、本当に都民の立場、世界のトップアスリートやそういうことを考えた--最低限日本が果たさなければならない責務なんです。
 今、そんなことをいったら、地震国では開けないというけれども、東京は今、そういう意味では切迫性があるし、最も危険な時期にも入っているんですよ。(「東京だけじゃないよ」と呼ぶ者あり)いや、東京は、世界でも最もそういう意味では危険度が高くなっているんです。そういう時期のオリンピックだからこそ、先ほどいったみたいに、起きる地震は防げないけれども、減災という考え方で、じゃ、液状化現象を万全に阻止することができるのか、そういうふうになっているのかということを強く指摘して、終わりたいと思います。

○熊野東京オリンピック招致本部長 先ほどの答弁でも申し上げましたし、さきの本会議でも申し上げましたが、観客が集まるオリンピックに際しまして、万全を講じていくことは当然のことでございます、というふうに考えてございます。

○曽根委員 知事は、五月二十八日から六月二日まで、ロンドンとマン島の視察を行いまして、ロンドン市長及びオリンピック関係者とも会談したというふうになっておりまして、二定の所信表明では次のように述べております。今回、ロンドン市やオリンピック組織委員会の関係者と議論を重ねる中で感じたのは、オリンピックを契機として成熟した都市を再生しようとする彼らの強い意欲でありました。ロンドンの招致活動は、東京のよき手本であり、成熟を遂げてもなお新しい発展を模索するロンドンの姿勢から、東京も学ぶべき点が数多くあると思います。なかなか謙虚な姿勢だと思うんですけれども、知事はロンドンでオリンピックについてどういうことを学んできたんでしょうか。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 ロンドンでは、ケン・リビングストン・ロンドン市長やセバスチャン・コー、ロンドン・オリンピック組織委員会会長など、ロンドンのオリンピック関係者を訪問いたしました。その訪問では、東京の計画について概略を説明し、コンパクトな施設配置はIOCの評価が高いであろう、あるいは用地取得が必要ない東京の計画はすばらしいといった意見もいただき、さまざまなサジェスチョンとともに、私どもは東京招致への自信も深めたところでございます。

○曽根委員 今のお話の中には、知事自身の向こうで話したり聞いたりしたことと同時に、招致本部の行ったことも含まれていると思うんですが、率直にいって、知事自身はこの正味五日間のロンドン、マン島視察の中で、現地のオリンピック関係者とどれぐらいの時間お話をされたんですか。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 リビングストン・ロンドン市長との会見の時間、それから、セバスチャン・コーあるいはポール・デイトン事務総長との会見時間、ただいま手元に記録がございませんので、正確な時間はわかりませんが、一時間以上にわたって会談をさせていただきました。

○曽根委員 リビングストン市長とは政策協定のことを中心にお話をされたというふうに記録が残っています。報告書が出ていないので、私どもは復命書という内部的な文書を取り寄せて、時間を調べてみたんですが、そのセバスチャン・コー組織委員会会長及びポール・デイトン氏との会談そのものは、六月一日の十五時三十八分に始まって、十六時過ぎには終わったと思うんですね。で、十六時二十五分にはぶら下がりと書いてあります。つまり、会場から出られて、記者のいろいろな取材を受けている。そうすると、正味でいうと、四十分そこそこの会談だったのではないですか。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 ロンドン組織委員会の建物内における二人との会談時間でございますが、ヘリの視察も含めて、知事がロンドンのオリンピック関係者と言葉を交わし、意見を聴取した時間のトータルは、それよりもはるかに長いものでございます。

○曽根委員 時間が短いからどうこうというだけではないんですが、正味四十分の話し合いで、しかも、当然、通訳を介しての、日本人同士というわけではありませんから、それだけで本当にロンドン・オリンピックについてきちんと学んだといえるのかなと、五日間も行っていて。
 私、たまたまことし七月に、日豪議員連盟で、これは私費ですけれども、オーストラリアのシドニーに行って、シドニー・オリンピックについて、私どもは批判的立場ですけれども、オリンピックの経験について学びました。午前中から始まって夕方まで、たっぷり視察も含めて調べてきたんですけれども、ヒアリングだけでも正味三時間近く受けたんですけれども、シドニー・オリンピックの全体像の把握には到底足りないぐらいです。
 ロンドンの視察自体が、本当にロンドンのオリンピックの全体像を学び、知事が所信表明でおっしゃったように、ロンドンがオリンピックを契機に新たな都市像を目指す強い意欲、新しい発展を模索する内容について、ちゃんと学んだのかなということが大変疑問なんですけれども、ここで知事がおっしゃっているロンドンの新しい発展の模索というものは、どういうものを指しているというふうに受けとめておられますか。

○熊野東京オリンピック招致本部長 知事のロンドン訪問は、別にオリンピックだけを目的としたものではございませんで、マン島視察もあれば、ロンドンとの政策協定もあれば、オリンピックもあるということでございます。しかも、それプラスアルファ、私どもは事前にセバスチャン・コーあるいは組織委員会の人間と会いまして、ちゃんとヒアリングをした上で、知事にはその内容につきましてはご報告を申し上げております。
 それから、ロンドンで学ぶべき点というのは、知事の真意はわかりませんが、多分、ロンドン・プランの中でロンドンの都市戦略とオリンピックの整合性がとれている、こういった点を学んだのではないかと推測しております。

○曽根委員 リビングストン市長も、ロンドンのオリンピック会場でもって一つの地域の底上げというんですか、そういう効果があるというようなお話をされたって、さっきちょっとそういう話題もありましたが、私も、ロンドン・オリンピックにもし学ぶのであれば、ロンドン・オリンピックそのものの計画はもちろんですけれども、やはり、オリンピックを契機に、ロンドンの町全体をどういうふうに発展させようとしているのかという、いわゆるロンドン・プラン、私も読んでみたんですけれども、こういうロンドンの都市づくりにこそ本当に学ぶべきじゃないかというふうに思いますが、知事が本当に真摯にこういうロンドン・プランの中身について学んだとはちょっと私は思えないんですね。
 たしかロンドン・プランというのは、サッチャー改革のときに、一回、グレーターロンドンというのが廃止になりましたのを、ブレア政権になって復活して、初代の市長がたしか現リビングストン市長ですね、彼のもとで改めてグレーターロンドン規模の都市のあり方を目指すということでつくられたものです。それはこれまでのロンドンの発展が、経済成長に任せて明確な見通しや戦略的計画を欠いていたために、景気浮揚の恩恵がすべてのロンドン市民に分配されず、ロンドン市民はイギリスの失業の一七%を抱えていて、渋滞や高い家賃だとか、深刻な住宅不足とか、企業の格差、社会の貧困、二極化、少数者の差別、そうした都市問題、環境問題が生まれているという、ある意味では東京と共通した都市問題の認識の上に立って、それをどう打開するかという方向を示したものです。
 二十一世紀、どういう都市を目指しながらオリンピックを目指すのかという点では、私、都市像という問題はオリンピック問題と切り離せないと思っているんですが、これをきちんと読みますと、一部報道されているような超高層のビルをつくっていくんだということが中心ではなくて、もっと非常にトータルなもの、バランスのとれた持続可能な都市の発展というものを目指すものだということがよくわかります。
 六つの政策目標というのが掲げられているので、ちょっと紹介したいんですけれども、例えばロンドンの中で新たな開発を進める場合に、残された貴重な緑やオープンスペースをいかに確保するか、そのためには建物を高度化してオープンスペースを残す、こういった形で位置づけられておりますし、また開発をする場合には、公共交通のキャパシティーや、長時間勤務にならないように、長時間の通勤にならないような住宅対策を行いながら調整するというようなことだとか、それから、ロンドンを住みやすい都市にするという点でも、これからつくっていく住宅の半分は、公共もしくは公的な関与の住宅にするとか、また、力強い経済成長を進めるためには中小企業の対策が必要だ。特に少数民族などが経営しているところにも全域的に手当てをするとか、社会的な包容力、いわゆるソーシャルインクルージョンによって二極化の問題に光を当てていくとか、一つ一つ見ていきますと--それから、東京との最大の違いだなと私が思うのは、ロンドンの交通政策は、今後、道路については、例外はあるが、道路の輸送能力を拡大することによって、都市渋滞を解決する余地は少ないという確固とした立場を確立した。新しい道路は、基本的には大型道路はつくらないという立場のもとで、計画上残っている三環状のうち、一つだけしかできていないものは中止して、そのかわり、ロードプライシングなどをやりながら、既に成果を上げているということが報告されています。
 例えば、炭酸ガスの地球温暖化防止の問題でも、ロンドン全体で二〇一六年までに九〇年対比で二三%減らすというような目標が、現実の目標として設定されている。
 これが六つの政策目標そのものなんですよ。どれを見ても、東京が本当にこれに学んでいたら、今の都市再生の石原さんの路線というのは違ったものになるだろうと思うんですが、この六つが相乗効果を上げて初めて、持続可能な都市の発展が可能になるというふうになっています。
 もちろん、これはオリンピックの計画とも無関係ではなくて、その中に、イーストロンドンのローワーリーバレーに、ここは貧困世帯が多いところだそうですが、オリンピックのメーン施設を配置して、地域の住環境全体の底上げを図っていく。これがオリンピックが残すレガシー、いわゆる遺産になっていくんだという点を市長も強調していたと思うんです。こういう点こそ、もし知事が本当にオリンピックを契機に、ロンドンの都市づくり、新たな模索に学ぶとするならば、こういうロンドンの都市政策にこそ学ぶべきじゃないかと私は思うんですが、どうお考えになりますか。

○熊野東京オリンピック招致本部長 ロンドンと東京の置かれた状況というのは相当違いますので、学ぶべき点もあろうかと思いますが、学ぶべき点は学び、それ以外のところはそれなりにというところでいいと思います。
 それから、これからIOCから東京都に質問状が来て、その中に都市戦略とオリンピックの関係という質問が入ることは確かでございますので、それに我々は答えられるようにしなければいけないということは事実ですが、必ずしもロンドン・プランとオリンピックというのは、オリンピックを前提にロンドン・プランがつくられたわけではなくて--その戦略とオリンピックの東ロンドンの開発が整合性を持ってやられているということは、確かにいわれております。しかしながら、その東ロンドンの開発につきましても、評価が分かれておりまして、先生方は非常に評価されているんですが、我々一部には、あそこに選手村をつくりまして、半分を移民で来られた非常に貧しい人たちに低家賃で提供する、これはすばらしいことですけれども、貧しい方々全員に行き渡るわけではない。それから、プレスセンターの後も、会社を連れてきて雇用を創出するということをいわれています。これもオリンピックレガシーだというふうにいわれておりますが、これとて貧しい方々全員が雇用されるわけではない。
 そうすると、個人的な見解にはなりますが、あそこで何が起こるかというと、交通が便利になり、住宅ができ、地域が開発されると、家賃や土地が上がって、貧しい人たちはそこに住めなくなって、さらに郊外に行かなければいけなくなるというふうな事態も予測されるわけで、確かにロンドン・プランとオリンピックの東ロンドンの開発、整合性があるというふうにはいわれておりますが、一部にはまだ懐疑的な考えもあることをご承知おきいただきたいと思います。

○曽根委員 私も、ロンドン・プランのすべてが、細かい、さまざまな地域ごとの計画なども含めて、オールマイティーだとか、すばらしいとかいっているわけじゃないんですよ。政策目標を先ほど紹介したように、一つ一つの政策目標が全体として、東京の中でも深刻な二極化問題、格差の広がっていく社会に対して、それを打開していこうという基本的な方向を明確にしたということの中でオリンピックも位置づけられている。だからといって、東京のように、二〇一六年までにいろんな反対がある外環を何が何でも間に合わせるというようなことはいっていないです、向こうの人は。それとは別物として、きちんと都市政策として一つのトータルなプランを出しているというところが大事だと私も思っているんです。
 これに本当に学ぶならば、石原知事も、オリンピックと同じ十年後に、それに向けての東京の都市像を明らかにするというふうにおっしゃっていますけれども、今の都市再生を進んでいけばどうなるかというと、全くあべこべの方に行くんじゃないかと。例えば、道路一つとったって、東京の交通政策の中心は道路であり、しかも、三環状にも大半のエネルギーを費やしているという現状とロンドンを対比しても、大きな違いがありますし、それから、住宅についても、東京は基本的に市場任せにしていくというのに対して、アフォーダブル住宅というふうな考え方で、確かに不十分さはあるでしょうが、公共住宅もしくはそれに準ずる住宅を半分ぐらいつくっていくんだという姿勢を示しているとか、東京の経済は、この間、大企業はこの世の春を謳歌していますけれども、中小企業予算は毎年減っているというのと比べても、二極化問題について知事は無関心ですけれども、そういう格差、階層の拡大についても対策が必要だという点でも、やはり、オリンピックにふさわしい都市を目指すと同時に、都市として一つの、だれもが住み続けられるという点での都市政策を、今、模索していると。まさに模索だと思いますけれども、こういう方向に私は率直に学ぶべきじゃないかというふうに思っております。
 改めて、オリンピックを契機に、都市再生のあり方、都市のあり方、自治体としての都市のつくり方が根本から問われているということを、今後も、この角度からも私たちはオリンピック問題を通じて明らかにしていきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

○熊野東京オリンピック招致本部長 ロンドン・プランの中に、オリンピックを行うために、環状道路とか、そういった道路建設の話はないというふうにおっしゃいましたが、これは当たり前の話で、先ほど申しましたように、ロンドン・プランはオリンピックを前提につくられた計画ではありませんので、そういった記述がないのは当然でございます。
 それからもう一つ、格差是正ということで先生おっしゃいましたが、社会的包容力というふうに先生がおっしゃいましたソーシャルインクルージョンという言葉は、前副知事の青山さんがロンドン・プランを訳されたときに、非常に苦労されて、社会的包容力というふうに訳されたんですが、これは格差というよりも、むしろ人種の問題が非常に根深くて、移民が非常に多くて、その移民の方々が非常に貧しい地域に育って、今、オリンピックをやろうとしている地域に定住しているというふうな問題をとらえて、むしろ格差というよりは、人種の問題というふうにご理解いただければと思っております。

○曽根委員 一言だけ。ロンドン・プランを読めば書いてありますが、ソーシャルインクルージョンの部分には、何よりも女性、若者、こういうことの中に少数民族も出てくるというふうに、記述が明確にあります。
 以上です。

○大西(由)委員 オリンピック招致について、生活者ネットワークの基本的見解を述べておきたいと思います。
 二〇一六年のオリンピック国内候補地として東京が決定し、二カ月が経過しましたが、一向にオリンピック招致に向けての盛り上がりが見られません。八月三十日の国内予選では、東京都の知名度と安定した財政力に評価が高かったという、当然過ぎる結果だったともいえます。
 一九六四年に開催された東京オリンピックは、復興を遂げた日本の姿を全世界に発信していくという明確なコンセプトに、多くの国民が賛同しました。しかし、今回は、なぜ今、東京に二度目のオリンピックを招致するのかという新たな意義が市民に共有されないまま、市民不在で進められていることは、大きな問題があります。
 東京都は、今年度、オリンピック開催準備金一千億円を積み立て、今後、四千億円を積み立てるという提案をしました。生活者ネットワークは、このように財力を示すことで招致を有利に進めようとしていること自体が、海外の国々との共存を前提とした、平和や人権をベースとした人類の祭典をつくろうとする趣旨と矛盾するものであり、むしろ開催したことのない国や都市にこそチャンスを与えるべきとして、東京都のオリンピック招致には反対しました。しかし、オリンピック開催が大きな財政負担となり、将来世代の負の遺産となることだけは避けなければなりません。
 今、オリンピックは大きな岐路に立っています。開催国の国威を示すオリンピックから、世界の連帯を深め平和を希求する祭典への道筋を示さなければなりません。巨大化するオリンピック経費に歯どめをかけ、次世代のための五輪像を示すことこそ求められていると思います。
 よって、当招致特別委員会で、以下のことの実現を求めたいと思っております。
 まずは、開催に当たっては、安心に、そして楽しく、安全に開催することが何よりも求められます。事故、災害対策への対応とともに、テロ対策は外交が第一です。特にアジアの近隣諸国とは日常的な信頼関係を築き、友好関係を持つことが大切です。知事の不規則な発言等に対しても、当委員会でも厳しく指摘することを求められていると思っております。
 また、世界一コンパクトなオリンピックを目標に掲げていますが、同時に、省エネ、省資源の環境優先のまちづくり、さらに開発整備に当たっては、バリアフリーのまちづくりを当事者とともに実現させることが必要だと考えています。
 特に以上のことを求めておきたいと思っております。そして、真に都民の平和の祭典となるよう、都民参加で招致に向けての議論を当委員会でもできるようにということで、この委員会に臨んでいるということを、まずは申し上げておきたいと思います。
 せっかくいただいた時間ですので、一つだけ質問させていただきます。
 世界一のコンパクトな大会を目指すということで、ここのいただいた資料にもあるわけですが、これはもう少し具体的なイメージを教えていただきたい。できれば、ロンドンのコンパクトにまさる世界一ということですので、その辺の比較等も含めて教えていただきたいと思います。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 都は、競技会場や選手村などの主要施設を集中的に配置し、環境への影響を極力抑え、選手や大会関係者、さらには観客の移動時間の軽減や安全面の強化を図るなど、コンパクトな大会を目指しております。
 こうした考えに立ちまして、開催概要計画書におきましては、東京しか持ち得ない集中と集積のメリットを最大限に生かし、都心の半径十キロメートル圏内にほとんどの競技会場や選手村、メディアセンターを配置したところでございます。
 このようなコンパクトな計画は、近年のオリンピック大会にはないものであり、世界一のコンパクトな大会であるというふうに自負をしているところでございます。
 ちなみに、ロンドンは、すべての競技会場をカウントしますと、半径十一キロ以内に六五%の会場を配置して、コンパクトであるというふうに説明をしておりました。

○大西(由)委員 最後に一つだけ。物事すべてメリット、デメリットがあるわけですが、確かにこういう打ち出し方というのは、非常にIOCに向けて有利だとは思いますが、そのコンパクトな大会をするメリット、デメリットを東京都としてはどのように分析しているのか、そこまでお聞きしたいと思います。

○谷島東京オリンピック招致本部招致推進部長 先ほどコンパクトな大会のメリットとしまして、環境影響評価が抑えられるあるいは移動時間の軽減、安全面の強化等、お話をさせていただきましたが、負の面としましては、一つところに多くの方が集中することによる逆の意味での安全性の問題、さらには、多くの方が実際には徒歩によらないと移動ができなくなるという意味での、障害者に対しての移動時間については、逆に広がるおそれがあるといったところも相反してあることは、承知してございます。

○山崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 報告事項に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後二時五十七分散会

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