オリンピック・パラリンピック招致特別委員会速記録第十六号

平成二十五年四月十七日(水曜日)
第四委員会室
 午後一時開議
 出席委員 十七名
委員長いのつめまさみ君
副委員長淺野 克彦君
副委員長藤井  一君
副委員長吉野 利明君
理事高橋かずみ君
理事野上 純子君
理事くまき美奈子君
山内れい子君
佐藤 由美君
伊藤こういち君
鈴木 隆道君
高橋 信博君
林田  武君
山口  拓君
吉田 信夫君
小沢 昌也君
川井しげお君

 欠席委員 なし

 出席説明員
スポーツ振興局局長細井 優君
次長理事兼務岸本 良一君
理事雜賀 真君
総務部長中山 正雄君
スポーツ事業部長板垣 一典君
スポーツ施設担当部長三浦 隆君
スポーツ祭東京推進部長川合 純君
大会運営担当部長松村 博君
招致推進部長松永 竜太君
連絡調整担当部長早崎 道晴君
広報戦略担当部長山中 康正君
競技計画担当部長延與 桂君
施設計画担当部長福田 至君

本日の会議に付した事件
 二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の東京招致に向けた調査研究及び必要な活動を行う。
  報告事項(質疑)
  ・IOC評価委員会訪問の実施状況について

○いのつめ委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック招致特別委員会を開会いたします。
 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の東京招致に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
 報告事項につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、要求委員と理事者との調整の結果、取り下げられておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○淺野委員 オリンピック・パラリンピックの招致に関して、私から何点か確認をとりたいと思います。
 先月、IOCの評価委員会が、東京を皮切りに世界じゅう、三都市の立候補都市を回りまして、その概要について実地調査という形で調査を行っておりました。最終的には、まだ評価報告書は出ていないわけですけれども、この後、IOCからの評価を受けて、また国際プロモーション活動等も中心に展開をしていかなければなりません。
 その上で幾つかこちらで確認をさせていただきますが、まずIOCの評価委員会の正式な訪問というのが今回ありましたが、この正式な評価という評価報告書が七月に出されます。それを待つまでの間にいろいろやらなきゃいけないことがあると思うんですが、まず今回の訪問について、都として、この訪問の中身、結果についてどのように認識しているのか確認をさせていただきます。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今回の評価委員会訪問につきましては、知事みずから複数の機会にプレゼンテーションを行うなど、招致への熱意を伝えることができたと考えております。また、多くのオリンピアン、パラリンピアンが参加したことも好印象を与えることができました。
 さらに、予定どおりの時間で実施いたしました会場視察等を通じまして、大会運営能力の高さを印象づけるとともに、東京がIOCにとってよきパートナーであるとの信頼をかち取ることができたと考えております。

○淺野委員 今回のIOCの評価委員会の訪問の結果というのは、非常に高く評価していいとは私も思います。時間どおりに進めたこと、それから、例えば前回の報告の際にもありましたが、総理大臣みずから主催の夕食会を行う、前面に総理が出てくるというのも非常にありがたい話だと思います。
 前回の招致活動の課題と今後への提言、これは招致活動報告書ですね、二〇一六年の大会の招致のときの報告書にも、政府首脳の国際プロモーション活動への積極的な参加というのがございます。そういった意味では、今回、評価委員会が訪問した際に、総理みずからが対応していただいたことも非常にありがたいことだなと思います。
 しかし、今回の評価委員会の訪問というのがうまくいった、これはさい先いいぞといって、ただただ手放しで喜んでいいというわけではありません。九月のIOC総会で決まるまで一粒の油断もせずに、一つ一つ丁寧に活動を続けていかなければなりません。その活動の根拠となるのが、やはりその都度、都度、情報を得ることと、そして、それをしっかりと分析して、方針を、柔軟に対応を変えていくということが必要だと思います。
 この間の前回の委員会の際に報告がありました記者会見での言葉ですけれども、一応、記者の質問に対しては、英語として同じ意味なんだというふうに答弁をされていますよということがご紹介されておりましたが、これをこのまま真に受けているようでは私はだめだと思うんですね。この時点で既に各都市に対する差というのを感じ取っているでしょうし、また、それをわかる人にはわかるように伝えているんだと思います。
 残念ながら、英語圏ではない私たちにとっては、同じだといわれれば同じだと信じてしまいそうですが、一応、私もつたない英語の知識を使って調べてみました。オックスフォードのアドバンスト・ラーナーズ・ディクショナリー、いわゆる英英辞典といわれるものです。日本でいう国語辞典ですね。言葉の意味を英語で、英語の言葉を英語で解説してくれている本ですけれども、理解が非常に難しいと思いましたが、それによりますと、ヒュージェリー・インプレッシブ(「発音いいね」と呼ぶ者あり)発音には自信がありませんが、東京が受けたこの報告は、ヒュージェリーというのは、非常にということで、エクストレメリーという言葉で代用されております。
 マドリードについてはグレイトリー・インプレッシブ、グレイトリーもベリーマッチという意味だというふうに載っておりました。
 イスタンブールはエクセレント、これは偶然にもでしょうが、東京に使っていたヒュージェリーの置きかえがエクストレメリーだとすると、イスタンブールについてはエクストレメリー・グッドという意味なんですね。
 インプレッシブ、そしてインプレッションという、インプレッシブという言葉は印象的というふうに考えられる言葉であります。インプレッションは印象ということで、どちらも好感度を言葉の中に含有して、意味の中に含有しておりますが、あくまで印象と。いい意味での印象ということを出ているものではありません。
 ということを考えますと、東京とマドリードについては非常に印象的でしたという感覚でとるのが、私は、控え目にとるという、悲観的にとるという意味では、そういうふうにとるべきだと思います。
 それに対して、イスタンブールについては非常によい印象というふうに、つまり、印象的なのか、よい印象なのかという差ということで、それは差は小さいかもしれませんが、こういったことをかなり厳密に考えていかなければなりません。
 もちろん過去の言葉の使い方等も参考にしていかなければなりませんから、これは、過去の活動、つまり、前回の二〇一六年大会招致の際のことも当然参考にして分析をする必要があると思いますが、この二〇一六年大会招致の際に、IOC評価委員会は同様に、シカゴ、東京、リオデジャネイロ、そしてマドリードと訪問し、きちっとした評価報告書をつくるようにやっております。
 そして、各都市訪問後の記者会見でどのようなコメントを残したのかという疑問は当然わいてくるわけで、そしてさらに、二〇〇九年九月に公表された評価委員会報告書でそれぞれの都市がどのようになっていたか。つまり、記者会見の言葉と評価報告書での扱いの仕方、そして最終的な投票結果がどうであったか、これをきちっと分析することが必要だと思いますが、この件についてどうであったのかということについて伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 前回のナワル・ムータワキルIOC評価委員会委員長は、各立候補都市訪問時の記者会見において、それぞれの長所について述べるにとどめ、単純に比較可能なコメントはしておりません。
 具体的には、シカゴはしっかりとした構想と展望、スポーツへの熱意があった。東京、非常にコンパクトなコンセプトと高く評価。リオ、大会はブラジルの長期的な発展計画と合致する。マドリード、会場の七〇%以上が既に存在することは付加価値であるといったコメントでございます。
 評価委員会報告書では、要約の最終部分に、招致の主要関係機関から提供された関係資料や情報、プレゼンテーションの質に関する記載がございまして、シカゴは質が高い、東京、質が高い、リオデジャネイロ、非常に質が高い、マドリード、質にばらつきありと記載されております。ただし、評価報告書全体としては、各都市それぞれの長所と課題等を記述したものとなっておりまして、明確な順位づけはなされておりません。
 二〇〇九年十月二日のIOC総会での投票結果は、開催都市に選ばれたのはリオデジャネイロでございます。他の三都市は、一回目の投票でシカゴ、二回目で東京、決戦投票となりました三回目でマドリードが落選いたしました。

○淺野委員 今の言葉の中で、前回は、残念ながら記者会見の際には、明確にお互いを比べるような言葉というか、同じ言葉を使ったりとかということは、比較のコメントが出ていないというのがありましたが、であればこそ、なぜ今回、そのコメントが出ているのかということを意識すべきだと私は思います。
 さらに、前回の最終的な評価報告書の中身、質が高い、そして非常に質が高いというところで差がついておりまして、最終的な結果は、やはり非常に質が高いといわれたリオが圧勝していたということがあります。
 確かに言葉だけ日本語で聞くと、非常に質が高いのリオデジャネイロに対して、質が高いといわれた東京、シカゴが最初の方で落選し、質にばらつきがあるよと書かれていたマドリードは決戦まで残っていたということを考えると、単純に評価報告書に載っている言葉だけが投票結果を導いたともいいづらい面はあるとは思いますが、少なくとも最終的に招致を成功させたところは、やはり一番高い評価を受けていたんだというのは大切な事実であります。
 そう考えていきますと、今回の七月に出される評価報告書というのは、このIOCの訪問を受けて評価報告書がつくられ、それが発表されたときには相当程度いろいろなものが見えてくるんじゃないかと私は思います。
 とすれば、報告書が出されるのは七月、そして決定されるのは九月の頭ということで、実質的には二カ月ちょっとしか時間がないわけですから、今のうちからさまざまな準備をしなければなりません。その準備のためには、やはりきちっとした分析と対応策、さまざまなシミュレーション、シナリオというのを考えておく必要があると思います。
 今回、都は、評価委員会が訪問された三都市に対するそれぞれの評価、記者会見の情報しか出ていないとはいえ、この三都市に対する評価についてどのように分析していくのか伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 IOCの規定によりまして、各立候補都市は他都市との比較はできないことになっておりますが、報道によりますと、マドリードは会場の八〇%が既に建設済みであること、イスタンブールは交通渋滞対策として公共交通機関の整備を進めていることなどをアピールしたとのことでございます。
 今後とも、各種報道ほか活用可能なさまざまなチャンネルを通じて情報を入手し、東京がアピールすべき点などを詳細に分析し、今後の招致活動に反映させてまいります。

○淺野委員 前回も、それから今回はさらにですけれども、東京の大会の開催計画というのが非常にすぐれたものであること、これは日本国内のみならず、IOC評価委員というか、IOCの委員の皆さん方も同様に思っていることと私は思います。計画自体、そして運営能力、それから財政的な支援、さまざまな面で東京というのは非常に秀でている。それは皆が持っている周知の事実であると思います。
 しかし、実は前回の招致の反省点として東京が挙げているのは、ポイントとして、東京はすぐれた計画と完成度の高いプレゼンテーションということを持っていましたが、この二つのものは招致獲得の必要最低条件であって、直接プロモーション活動を補い、リオやマドリードに勝つまでの決め手にはならなかったという反省文があるんですね。つまり、どんなに高い評価を得るような計画、そして完成度の高いプレゼンテーションをしたとしても、それが最終的な決め手にはならなかったなというのが前回の反省なんです。
 もちろん、そこに手を抜いていいわけではありません。それは最低条件として担保した上で、それ以上のことをしなければならないということが前回の活動報告書の中に記載されているわけであります。せっかく一六年の招致活動をして、報告書までまとめて、きちっとした反省をしているのであれば、当然、これを生かさない手はございません。
 そして、開催都市の決定は、我々、投票を常に受ける身である政治家は全員わかっていることでありますけれども、例えば、その人が優秀だとか、その人がどんなにいい人物だということは、ある意味、これと同じで、必要最低条件であって、最終的な投票の結果というのは、それ以上の形で獲得するものだということがあると思います。
 九月七日のIOC総会において約百名のIOC委員が投票する、その意思決定にどうやってかかわっていくか。これこそが、まさに招致を決定づける大事な活動であると思います。そのためには、当然のことながら、高い計画だけではなく、直接IOC委員に対して活動することというのは、もちろん制限があるでしょうけれども、いわゆるロビー活動を通して、IOCの意識を東京に投票しようという方に向けていく、その活動が必要になってくると思います。
 今後、個々のIOC委員に対するロビー活動ということに対して、どのような覚悟を持って取り組んでいくつもりなのか、都の見解を伺いたいと思います。

○早崎スポーツ振興局連絡調整担当部長 副委員長ご指摘のとおり、個々のIOC委員がどの都市に投票するかは、開催計画やプレゼンテーションの内容だけで決まるものではなく、さまざまな要素が絡み合う中で、それぞれのIOC委員が決めるものでございます。したがって、個々のIOC委員に対する働きかけは、相手により最もふさわしいアプローチも異なるものとなってまいります。
 前回の招致活動では、招致委員会や東京都のほか、国やスポーツ界、経済界といった各界が連携した国を挙げての活動が十分ではなかったと考えております。
 現在、招致委員会が中心となって、それぞれの委員の関心事などの情報収集と分析を行っております。それらの情報をもとに、今回は外務省を初めとした関係省庁や政府機関などの政府外交ルート、JOCや各種競技団体といったスポーツ関係団体を持つスポーツ界ルート、民間企業などの経済界ルートなど多様なチャンネルを活用し、最善の方法で東京への支持を訴えてまいります。

○淺野委員 今の答弁の中で、前回の反省点、幾つか生かされている点があるということは非常にありがたいことだと思います。ぜひ前回の活動の反省点を十分生かした上で招致活動が成功にいくように、今回の訪問がうまくいったということを喜ぶのではなくて、うまくいったことが最低条件なんだと。その上で何を上乗せするのか、これが一番重要なんだということを招致委員会のメンバーと都は共有して頑張っていかなければなりません。
 その中でも、例えば前回も、国内調整の責任者と国際プロモーションの責任者を分けようと。そうすることで、国際プロモーションの時間を十分確保するようにできる体制を検討すべきだということも、ポイントとして載っております。
 今現在、水野さんが一生懸命頑張っていらっしゃるんですが、そういう世界に対して影響のある方々は、逆に世界に向けた活動に専念してもらえるように、国内における、あるいはプレゼンテーションの準備などは、ほかの部門が一生懸命背負ってやるなどの分担をしっかりやって、ぜひ九月七日に招致を成功させるように頑張っていただきたい。心からのエールと、これから我々も頑張って協力いたしますという決意を込めて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○高橋(信)委員 私からは、今後のオリンピック・パラリンピックの招致活動等についてお尋ねをいたします。
 先週、理事者側からご説明がありましたとおり、三月四日から七日までの四日間にかけて国際オリンピック委員会の評価委員会による現地調査が行われました。プレゼンテーションにおいては、東京都や招致委員会、JOCに加え、日本国政府関係者、経済界、スポーツ界が一体となったオールジャパンの体制で、強固な財政基盤、高度に発達した輸送インフラ、質、量ともに充実した宿泊施設、選手などの大会関係者や観客に対する安全性など、東京、日本が持つ強みや魅力を十分にアピールできたと聞いております。
 また、会場視察においても、ロンドン・オリンピック・パラリンピックなどで活躍したオリンピアンやパラリンピアンが参加し、非常にコンパクトな競技会場配置で選手に移動の負荷をかけないなど、アスリート本位の大会計画であることを伝えることができたのではないかと考えております。
 さらに、三月六日に安倍総理主催で行われました公式夕食会では、高円宮妃殿下を初め猪瀬知事、麻生副総理、下村文部科学大臣、岸田外務大臣、森内閣府特命担当大臣など日本国政府の代表者とともに、都議会オリンピック・パラリンピック招致議員連盟会長として我が党の川井しげお都議も参加し、IOC評価委員会と親しく懇談されたと聞いております。
 このような取り組みを進めた結果、公式日程最終日に行われましたIOC評価委員会の公式記者会見において、評価委員会のクレイグ・リーディー委員長から、すばらしい、そして非常にプロフェッショナルな準備をしていた、また、強い政府のサポート、非常に幅広い日本の経済界からの支持を理解することもできたとのコメントもありました。
 IOC評価委員会滞在中にIOCから伝えられた東京の支持率は七〇%と、昨年五月にIOCワーキンググループレポートで発表されました四七%から、実に二三ポイントもの大幅上昇が見られました。このことは、ロンドン・オリンピック・パラリンピックでの日本人選手の活躍のみならず、女子サッカーの澤選手やフェンシングの太田選手を初めとした著名なアスリートの招致アンバサダー就任、一月七日の立候補ファイル提出やその後の記者会見などの各種報道によって、オリンピック・パラリンピック招致に対する都民の皆さんの関心が大いに高まったことなどに起因するものと考えられます。
 また、都議会オリンピック・パラリンピック招致議員連盟が中心となりまして、我が党も尽力して行いました署名活動や、昨年十二月二十七日に二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京招致都民決起大会を開催し、メディアに多く取り上げられたこと、そして、すべての道府県や二十の政令指定都市を訪問し、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会への協力を依頼してきたことも要因の一つだと考えております。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会開催への都民、国民の支持は一定のレベルに達したと感じております。九月七日の開催都市決定までは、さらに国内の招致機運を盛り上げていくことが必要だと考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。

○山中スポーツ振興局広報戦略担当部長 課題であるとIOCから指摘されてまいりました支持率が七〇%を超え、最低限の数値をクリアできたと考えております。招致委員会が評価委員会訪問後の三月に実施した支持率調査でも七七%となるなど、高い支持率を維持しているところでございます。
 さらに、招致機運の高まりを九月七日の開催都市決定まで維持向上させることが重要であります。そのため、スポーツ祭東京二〇一三や各局事業との連携を通じて機運醸成を図るなど、あらゆる機会をとらえて支持率向上に取り組んでまいります。
 また、招致を応援する全国の大学や各種団体と連携し、それぞれの資源を活用させていただきながら効果的な招致活動を展開してまいりますとともに、「広報東京都」、電車内映像広告などの媒体を活用するほか、ツイッターなどのソーシャルネットワーキングサービスなども活用した広報展開を図ってまいります。

○高橋(信)委員 開催都市決定まで国内の盛り上げを維持継続することは非常に重要なことであるため、継続的に盛り上げ事業を実施していっていただきたいと思います。
 さて、今回の招致活動では、目的の一つとして、東日本大震災から九年後に開催される大会を震災復興の目標とするとともに、世界から受けた支援に対する返礼の場とすることを掲げています。
 昨年十二月に発表されました復興専門委員会の報告書、スポーツの力で未来をつかむでは、大会準備期間、大会開催直前、大会開催期間、さらには大会終了後のそれぞれの段階で実施すべき事業について、例えば被災地でのサッカー予選の開催、聖火リレーの実施など、具体的な事業内容を記載しているものでありました。
 国内の盛り上がりをさらに向上させていくためには、二〇二〇年大会の開催決定後から被災地の復興支援について動き出すのではなく、開催決定前においても、復興専門委員会の報告書に記載されている個別具体的な事業を一つでも実施していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 都は、二〇二〇年東京大会の開催が被災地の復興の後押しとなるよう、復興専門委員会において検討を行い、昨年十二月に最終報告を公表いたしました。
 この報告書は、開催都市決定後を見据えた各事業の実施主体に対する提言でございますが、招致活動中の今、実際に事業を実施することにより被災地に力を与えることができれば、二〇二〇年東京大会開催の意義をより多くの国民の皆様に理解していただくことにつながると考えております。
 都は、現在もスポーツを通じた被災地支援としてさまざまな事業を実施しておりますが、復興専門委員会最終報告に掲げた被災三県を通る東北復興ランニングイベントについても、ことし夏の実施に向けて各県と調整中でございます。
 こうした事業を通じ、国民の広範な支持を得て、さらなる復興支援につながる二〇二〇年東京大会の開催を現実のものとしてまいりたいと思います。

○高橋(信)委員 今後も、被災地と連携し、全国の招致機運の盛り上げにも取り組んでいっていただきたいと思います。
 さて、いよいよ九月七日にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されますIOC総会において二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市が決定します。ここでは、最終プレゼンテーションはもちろんのこと、現地ブエノスアイレスでの盛り上がりも重要であります。
 前回招致では、IOC総会が行われましたコペンハーゲンに向け、開催都市決定応援ツアーを催行したり、現地法人の協力を得て招致応援活動を実施いたしました。都議会からも議員団が派遣されまして、我が党からも、川井議員、吉野議員、高橋かずみ議員、鈴木隆道議員などが現地での招致応援活動に加わりました。
 今回の招致ではどのように現地での盛り上げを実施していくのか、都の見解を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 前回招致では、開催都市決定東京応援ツアーを実施し、コペンハーゲン市内での各種イベントに参加するとともに、開催都市決定の様子をコペンハーゲン市庁舎前のパブリックビューイングで見守りました。今回のIOC総会が開かれるブエノスアイレスは日本から遠方でございまして、来訪には一定の工夫が必要でございます。
 こうした中、現地の盛り上げのためには、現地に居住する法人、あるいは日系人の方々の協力が必要不可欠でございます。そのため、在アルゼンチン国日本大使館と連携して、応援活動への協力を要請してまいります。
 なお、現在、旅行会社独自の企画商品といたしまして、現地観光と組み合わせた日本からの応援ツアー等について検討しているところでございます。

○高橋(信)委員 ぜひ最終決戦の場となりますブエノスアイレスにおいても、国民的なオリンピック・パラリンピック招致へ向けた盛り上がりを伝えていっていただきたいと思います。
 九月のIOC総会へ向けては、今後、五月のスポーツアコード会議、六月の国内オリンピック委員会連合総会、七月のテクニカルブリーフィングなどの国際会議が予定されているとのことです。最終的に招致を獲得するためには、こうした国際スポーツ会議の場はもとより、さまざまな機会をとらえた個々のIOC委員への働きかけなど、国際プロモーション活動も重要となります。
 前回の招致活動では、東京の高い大会開催能力に対してリオデジャネイロが南米初を掲げ、国際プロモーション活動の場で強烈なインパクトを与え、最終的に勝利をかち取りました。
 IOC評価委員会訪問が終了した今、前回の経験を踏まえ、今後の国際招致活動のステージにおいて、東京、日本の強みを、開催動機などを情熱的にアピールし、勝利を呼び込む必要があると考えます。
 そこで、今後の国際招致活動にどのような戦略で臨んでいくのか、招致活動の先頭に立つ理事の見解を伺います。

○雜賀スポーツ振興局理事 国際プロモーション活動は、最終的には九月のIOC総会におきまして過半数の投票をとるというための活動でございます。
 まずは多くのIOC委員が集まる会議において、プレゼンテーション等の場で、東京でオリンピック・パラリンピックを開催するのが最も意義があるし、また開催能力もすぐれているということを訴えていきたいというふうに考えています。
 具体的には、五月の国際競技連盟の集まりであるスポーツアコード、それから六月の各国のオリンピック委員会の集まりであるANOC、これらは数十人規模のIOC委員が参加するというふうに予想されております。こうした場で相手方の興味や関心を踏まえまして戦略的にプレゼンテーション、あるいはブースでの説明などを行ってまいります。さらに、七月のテクニカルブリーフィング、これは全IOC委員が集まります。ここで大きな流れをつくっていきたいというふうに考えてございます。
 一方、個々のロビー活動でございますけれども、約百人のIOC委員、これはそれぞれの出身母体、例えば国際競技連盟であるとか国内オリンピック委員会であるとか、あるいはアスリートであるとか、それぞれの背景がございます。そういった背景を勘案し、また出身の地域を詳細に分析しまして、競技団体等のスポーツ組織のつながりを通じた働きかけ、あるいは政府の関係省庁、民間企業が持つ国際的なネットワークを通じた働きかけの両面から戦略的にアプローチしてまいります。
 これらさまざまな活動を総合的に進めまして、日本、あるいは東京の魅力を訴えて、それぞれのIOC委員が持つ票を一票ずつ獲得してまいりまして、九月にブエノスアイレスで開かれるIOC総会で大会招致をかち取っていきたいというふうに考えてございます。

○高橋(信)委員 ぜひとも、今後予定されているさまざまな国際スポーツ会議やIOC委員へのロビー活動において、東京や日本の魅力を積極的にアピールするなど、精力的に国際招致活動を推進していっていただきたいと思います。
 さて、先月来日いたしましたIOC評価委員会の訪問団が皇太子殿下を表敬訪問し、スポーツを通じた国際親善のきずなを深めました。皇太子殿下へのご接見後、クレイグ・リーディー委員長が皇太子殿下とお会いできたことが国民的なサポートがあるということの象徴だと述べたように、IOC委員にとっても相当のインパクトがあったものと思います。
 また、公式夕食会には高円宮妃殿下がご臨席され、流暢な英語ですばらしいスピーチを披露されたと聞いております。
 近年のIOC総会では、ロンドンのアン王女、スペインのカルロス国王など、王室が出席し、国民を代表して招致をアピールしています。日本では、皇室の招致活動への関与について、いろいろ難しい問題が多々あるものと思いますが、IOC総会において、日本国民の代表として皇室が、国民のスポーツ、国際親善、平和を大切にする心とオリンピック開催へ向けた思いを伝えることが極めて大きな意味を持つと考えます。ぜひとも九月七日のIOC総会へ皇室にご参加いただき、招致をかち取れるよう、政府とも連携し、調整を進めていただきたいと思います。

 最後になりますが、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の日本開催を確実に実現するため、今後、国内招致機運の維持向上、国際招致活動に全力で取り組んでいただくことを強く希望いたしまして、私の質問を終わります。

○藤井委員 今回のIOC評価委員会の受け入れ、大変にご苦労さまでございました。猪瀬知事を初め安倍総理、そしてまた皇太子等も交えた国を挙げての招致ということで、大変いい評価を残していったということで、関係者の皆様のご努力に敬意を表したいと思います。
 私はこれまで、東京にオリンピックを招致実現するためには二つのハードルがあると思っておりました。一つは、国内の支持率の向上ができるかどうか。もう一つは、国際招致活動がどのように展開されるかということだと思います。
 そういった意味で、評価委員会の訪問の際、IOC側から発表されました支持率の話と、また今後、国際プロモーションの中で最大のライバルの都市になると思われますイスタンブールの計画について何点か伺いたいと思います。
 その前に、私の個人的な思いでは、IOCの評価委員がスペインのマドリードに行った際、ご承知のとおり、マドリードではオリンピック反対のデモがありました。テレビでも放映されておりましたが、私が見たときには、マドリードでオリンピック反対と。なぜならば景気が悪いんだということと、そのデモ隊があわせまして、オリンピック反対と同時に、オリンピックをやるなら東京でやれという、私はあれを見て非常に感動いたしました。
 いろんなとり方がありますが、いずれにしてもスペインは東京を応援してくれていると。IOC委員の前で反対デモがあったら、多分これでだめでしょうね、局長、答弁は要りませんが。そういう意味では、九月七日、東京とトルコのイスタンブールの戦いであるというふうに私は感じております。
 そこで、前回配布されました資料によりますと、東京の支持率は七〇%、マドリードは七六%、イスタンブールは八三%となっております。東京の支持率も、ようやく七〇%を超えたとはいえ、三つの都市の中では、まだ一番低い世論調査の数字でございますので、この結果について、東京都はどのように受けとめているのか、まず伺いたいと思います。

○山中スポーツ振興局広報戦略担当部長 オリンピック・パラリンピックの開催に対する支持率は、国民性や国の情勢などに大きく左右されるものと考えております。日本のような成熟社会では価値観が多様化しており、オリンピック・パラリンピックの開催について、どちらともいえないという中間層も多く存在している現状でございます。
 二〇一二年開催都市のロンドンが招致活動の際に、IOC評価委員会報告書に記載された支持率が六八%であったことを踏まえますと、今回の七〇%は、招致活動に必要な最低限のラインはクリアしたものと考えております。

○藤井委員 ただいまありましたように、国民性とか国の情勢が支持率に影響を与えているということでございますが、特に日本は、オリンピックの開催のときには、去年のロンドン・オリンピックのように大変盛り上がりますけれども、その開催が現実になるまではなかなか盛り上がらないという国民性もあると思います。
 一方、二〇一二年のオリンピック・パラリンピックの開催都市ロンドンの支持率を超えたということは、東京オリンピック・パラリンピック招致に向けての弾みがついたというふうに感じております。
 ところで、昨年五月にIOCから発表されました東京オリンピックへの支持率が四七%と大変低い世論調査であったわけですけれども、それが、わずか一年たたないうちに、ここまで支持率が上昇した要因について、都の見解を伺います。

○山中スポーツ振興局広報戦略担当部長 支持率が上昇した要因についてでございますけれども、いろいろな要因が考えられますが、まず第一に、ロンドン・オリンピック・パラリンピックでの日本人選手の活躍によりまして、多くの国民がオリンピック・パラリンピックのすばらしさを共感する機会となったことが挙げられます。
 次に、招致活動の支援の輪が全国的に広がっていることが挙げられます。都議会議員の皆様方のご尽力により、署名活動では百六十万人もの方から署名をいただきました。また、全国の道府県や政令指定都市を訪問し、決議文の議決や招致に協力を訴えていただきました。三十六の道府県や十六の政令都市において招致決議をいただきましたのは、都議会議員の皆様方のご支援のたまものであると感謝申し上げる次第でございます。
 また、知事もメディアに積極的に出演し、オリンピック・パラリンピック招致をみずから呼びかけるなど、PRに努めたところでございます。何よりも、国、JOC、スポーツ団体、経済界など、オールジャパンの体制で招致に取り組んだことが挙げられるものと思われます。

○藤井委員 まちを回っていますと、招致フラッグやのぼり旗、あるいはポスターなど、本当にオリンピックのこういった関係のものを見かける機会が大変多くなっております。また、地元を回りますと、オリンピック招致に賛同する声も非常に多く寄せられております。
 特にオリンピックバッジ、いいデザインで大変好評です。もらった人が、自分の子どもや孫にあげるからまたくれとか、再三要求してまいりまして、皆様方には大変ご苦労をおかけしておりますが、こういった国内招致機運の盛り上がりを肌で感じながら、これまでの招致活動が大変進んでいるという実感をしているところでございます。
 九月七日の開催都市決定までこの勢いを持続して、さらに向上していくように、招致機運醸成のための継続的な取り組みをぜひお願いしたいと思います。
 さて、国内の支持率の問題は克服されつつありますけれども、これからの課題は国際招致レースをどう戦い抜いていくかということでございます。
 今回の招致レースで一番の強敵となってくるのは、初のイスラム圏開催となりますトルコのイスタンブールであるというふうに考えます。トルコでは経済成長が著しいということで、また八三%という高い地元の支持率を持っておりますし、ヨーロッパとアジア、双方の雰囲気を取り入れて、多くの観光客を引きつける都市として魅力があるというふうにいわれておりますが、そこで、このイスタンブールの計画について何点かお伺いをしたいと思います。
 東京とほかの都市との比較や、あるいは優劣にかかわる論評は、オリンピック招致のルール上、できないということでございますけれども、ライバル都市の計画を確認していく中で、東京の置かれている立場を再認識し、これからの国際プロモーションに役立てていっていただきたいと、こういうふうに思うわけでございます。
 そこでまず、オリンピックの開会式を、ヨーロッパとアジアをつなぐボスポラス海峡を挟んで双方で開催するという計画だそうですけれども、この計画について、もうちょっと具体的にお伺いします。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 イスタンブールの立候補ファイルによりますと、東西のかけ橋としてヨーロッパとアジアの二大陸にまたがる大会を開催するという点が強調されております。
 開会式につきましては、アジア側に整備される計画のボスポラススタジアムに七万席、さらに五十万人がユニークな大会の祝祭をボスポラス海峡沿いに見ることができるというふうな記載になっております。
 ボスポラス海峡をイスタンブールの歴史的、地理的、文化的場所のシンボルとして打ち出して、インパクトのある開会式を開催するということでございます。

○藤井委員 イスタンブールの招致スローガンは、「BRIDGE TOGETHER」、ともに橋をかけようというものだそうでございますが、この開会式のプランから夢やチャレンジを感じることができると思います。
 しかし、このような計画を実際に実行するためには、多くの観客が海峡を行ったり来たりするための、そういった交通インフラを初め、開会式をきちんと予定どおり進めることができるかどうか、こういった運営能力が必要だというふうに考えますが、そこで、このイスタンブールの計画では、ボスポラス海峡を挟んでアジア側とヨーロッパ側を、どういう手段で観客を移動させることになっているのか、この点を伺います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 立候補ファイルによりますと、現在、イスタンブールのボスポラス海峡を結ぶ旅客輸送手段といたしましては、鉄道、道路、フェリーなどがあるということでございます。
 また、イスタンブールの輸送インフラ計画では、二〇〇九年から二〇二三年の都市交通マスタープランによる地下鉄の建設を中心とした公共交通輸送網の開発が計画されておりまして、現在も複数のプロジェクトが進行中であるというふうに記載されております。

○藤井委員 イスタンブールでは、今でも交通渋滞が社会問題だというふうにいわれておりますけれども、二〇二〇年に向けて、今計画している交通インフラの整備を急ぐというふうに考えますが、イスタンブールでは、今後のインフラ投資額は相当高額なものにならざるを得ないものだと考えております。
 一方、我が東京は、「Discover Tomorrow―未来(あした)をつかもう」という招致スローガンを掲げて、国立競技場が交通至便な都市部に位置しており、そこで、この開会式は、東京の卓越した大会運営能力とあわせまして、感動と興奮に満ちたものにしていただきたいというふうに考えております。
 東京の計画では、選手に負担のかからないアスリートファーストの考えを前面に打ち出しまして、競技会場の八五%、二十八の競技会場が選手村から八キロ圏内に配置をされているわけですけれども、コンパクトにしたプランでございます。
 そこで、イスタンブールの競技会場の配置は東京と比較してどうなっているでしょうか。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 イスタンブールの提案によりますと、大会はヨーロッパ大陸側に三つ、ボスポラス海峡を挟んでアジア側に一つ、合計四つのゾーンに分かれて開催されることになっておりまして、地方のサッカー会場を除く計三十三の競技会場がこの四つのゾーンに配置されております。
 この三十三の競技会場のうち、選手村から十キロ圏内に位置する競技会場は十四競技会場。一方、先ほど申し上げた閉会式を行うボスポラススタジアムを含む六つの競技会場は、二十キロ圏の外側ということになってございます。

○藤井委員 東京が八キロ圏内でほとんどおさまっているのに対して、イスタンブールでは二十キロ圏近い、そういった離れているということだと思います。選手村から約二十キロ離れているということですので、そういった意味では、東京の計画の方が大変コンパクトで、また、輸送インフラを含めて東京の開催能力を考えますと、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる環境を提供できるんではないかというふうに考えております。
 次に、観客、あるいはメディア用の宿泊施設についてはどのようになっていますか。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 立候補ファイルの記載によりますと、現存する施設としましては、半径十キロ圏内のホテル客室数が四万五千二百二十室、半径五十キロ圏内で五万五千二百二十九室となっております。
 観客用には既存ホテルのほか民間のアパート、新しく建設するホテル等を利用し、二万五千人分を確保するというふうに記載されております。
 また、メディア向けには、新たに二人から四人で一部屋のメディア村を建設し、一万七千五百人分を確保すると、このように記載されております。

○藤井委員 これに対して東京は半径十キロ圏内に八万七千室、それから半径五十キロ圏内で十四万室を超える客室があるというふうになっております。また、メディア用についても、既存のホテルに十分な数の良質な客室を確保しているというふうに聞いております。
 こういったように、東京の計画は大変すぐれておりまして、今後の国際プレゼンテーションに向けて、インパクトのある効果的なアピールを行えるかが大変重要だと考えます。
 そういった意味で、効果的なアピールをメディア戦略と絡めて展開していくべきと考えますけれども、最後に、この東京オリンピック・パラリンピック招致実現に向けて、今後の国際プロモーション活動にどのような広報戦略を持って臨んでいくのか、この点についてお伺いをいたします。

○早崎スポーツ振興局連絡調整担当部長 九月七日のIOC総会において招致をかち取るため、国際プロモーション活動がいよいよ正念場を迎えます。
 今後のプレゼンテーションでは、九月の開催都市決定投票を見据え、すぐれたインフラ、最先端のテクノロジー、ハイレベルな安心・安全など、東京の相対的な強みをおのおのの場面に応じ強調してまいります。相手方の興味や関心を踏まえ、戦略的に内容を組み立てていくことが重要であると認識しております。
 プレゼンテーションの機会とメディア戦略を効果的に連動させ、オリンピック関係者に影響力のある海外スポーツメディアなどを活用し、IOC委員や関係者へ多面的に働きかけを実施してまいります。
 スポーツ界を初め経済界、国などとも緊密に連携し、あらゆる場面を広報機会ととらえ、東京、日本の魅力、招致にかける熱意を発信してまいります。

○藤井委員 いろいろとお聞きしてまいりましたけれども、東京の強敵はトルコのイスタンブールだというふうに思っております。
 このイスタンブールは、ことしの二月一日にアンカラの米国大使館で自爆テロと見られる爆発が発生をいたしまして、二人が死亡、二人が負傷した事件がありました。トルコにおきましては、反政府組織クルド労働者党というのが、過去にもイスタンブールやアンカラといった都市や、外国人観光客が集まるアンタルヤというところの観光地でも爆弾テロを実行しているそうでございます。
 そういった意味では、東京が世界の中でも治安がよく、また先ほどありましたように、コンパクトなこういった競技施設を含め、そして交通網が十分整備され、そしてまた非常に財政的にもいいということで、ぜひ九月の決定まで残る五カ月間、しっかり総力戦で招致実現をかち取っていきたいと考えております。
 我が党も、都民、国民の支持率アップに向けて協力をしてまいりたいと、このように考えております。東京都と招致委員会も、IOC評価委員会訪問のときに一層きずなが強化されたオールジャパンの体制をより強固なものとしながら、招致合戦を勝ち抜いていただけるようご健闘をお祈りいたしまして、私の質問を終わります。

○吉田委員 私からも、IOC評価委員会訪問に関連して何点か質問いたします。
 その一つは、地震、津波、放射能などの危険性とそれへの対応に関してです。
 報道でも内外記者の関心の一つは、地震、津波、さらに放射能の危険性について、評価委員会がどのような説明を受け、どう認識したかという点だと思われます。この点についてはいうまでもありませんが、招致にマイナスであったとしても、リスクに関して明らかにすべき点を明らかにするという態度をとることは当然必要だと思います。
 記者会見でも、放射線や地震、津波のリスクをどう考えますかという質問が出され、それに対してリーディー委員長は、招致委員会に報告書を出してほしいとお願いをしていた、それは受け取ったと答えています。私は、この報道で初めて、申請ファイルや立候補ファイル以外にIOCから要請があり、報告書の提出があったということを知りました。
 そこで伺いますけれども、IOCから、いつ、どのような要請があり、そして、いつ報告書を提出したのか、また、その報告書の概要はどのようなものであったのか、ご説明をお願いいたします。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 IOCからは、東京の放射線レベルについての報告依頼がございましたが、地震、津波についての報告依頼はございませんでした。
 具体的な報告内容や時期につきましては、招致戦略上の観点からお答えはできませんが、東京の空間放射線量の原発事故後の影響分は、国際放射線防護委員会の基準を大きく下回っていることなどを述べております。
 こうした内容は立候補ファイルに記載するとともに、評価委員会訪問時にも丁寧に説明し、懸念払拭に努めているところでございます。

○吉田委員 招致戦略上の観点から、いつかということの説明ができないというお話ですけれども、改めてお伺いしますが、こうした内容について報告してはならない旨の規定がIOCの方から求められているのでしょうか。改めて、いつこうしたやりとりがあったのか、そして、私は何ら招致戦略にかかわる問題ではないと思いますので、公表していただきたいというふうに思いますが、再度ご答弁をお願いします。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 立候補ファイルなどの質問状につきましては、IOCのホームページ等にもその質問項目が出されて公開をされております。また、各立候補都市のホームページでも、それを踏まえて出しているところでございます。
 それ以外のIOCからの個々のやりとり、個々の報告事項等につきましては、非公開とする直接の指示はございませんけれども、立候補ファイルの質問状などとは異なり、公開されている内容ではございません。対IOCとの非公表を前提としたやりとりという認識でございます。
 また、その他の立候補都市も、IOCとのやりとり等は一切公開していない中で、他都市との関係がある中で、こうしたものについては招致戦略上も非公表とすることをぜひご理解いただければと存じます。よろしくお願いします。

○吉田委員 今のご答弁ですと、IOCの方から特段、これは非公式にすべきであるという旨の規定はないわけですよね。しかも、招致戦略にかかわるというふうにいっても、これは具体的に皆さん方からすれば、国際放射線防護委員会の基準を下回っているというふうに胸を張って報告をされるんだったら、きちんとこれを明らかにするのは当然のことだと思います。
 私どもとしては、一体どのような数値を示されたのか、それはどこのモニタリングポイントなのかということについても極めて興味のある問題であり、改めて、こうした問題について公表しないということは納得することはできません。
 続けてお伺いいたしますけれども、IOCへの報告書という形で問われたのは、東京の放射線に関してだけであったと。地震、津波については、そうした報告書は求められなかったというご答弁でしたけれども、それでは、この評価委員会の訪問、ブリーフィング等を通して、地震、あるいは津波のリスクについてどのような質問があり、都としてどのような説明をされたのでしょうか。
 なぜこのことを私がどうしても聞きたいかというふうにいえば、既に以前指摘をしましたけれども、申請ファイルでの地震、津波に関する報告には問題があり、私は、是正、修正すべきだというふうに考えるからです。
 申請ファイルでは、自然災害(地震・津波)に関する報告で、津波に関して次のように書かれています。日本での津波災害の史料によると、過去三百年にわたって東京湾岸での津波被害は確認されていない、こう書かれています。なぜ過去三百年で区切って津波被害はないと報告したのでしょうか。
 史料によれば、一七〇三年、申請ファイルの提出の二〇一二年から三百九年前に元禄関東地震があり、本所、品川に二メートル程度の津波が到来し、品川で浜に逃げた者が波にさらわれたという記録が残っていると。これは、昨年の予算特別委員会で総務局長が行った答弁です。三百年で切るということで、津波被害を隠そうとしたのかというふうに思われてもやむを得ない報告ではないでしょうか。
 私は、こういう誤解を招く報告というものは、当然、何らかの形で是正すべきであり、今回のやりとりの中でそうしたことが是正されたのかどうか、ご答弁をお願いいたします。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 先ほどもご答弁いたしましたとおり、IOCとのやりとりにつきましては、評価委員会につきましては非公開の場で行われているということであります。また、それ以外のやりとりも非公表を前提としたやりとりというふうに認識をしております。
 また、評価委員会での記者会見等でその概要等をご説明することは、もちろん行っておりますけれども、それ以外の個々のやりとりについては非公表、招致戦略上も非公表ということで考えております。
 なお、今、津波についてのお話がございました。申請ファイルの中の、過去三百年にわたって東京湾岸での津波被害は確認されていないという内容につきましては、一七〇三年の元禄地震において、品川に推定二メートルの津波が来襲して被害が発生したのを最後に、東京湾で津波による被害があったことは確認できていないということを記したものであり、訂正の必要はないと考えております。

○吉田委員 申請ファイルは、そういう記述はないんですよね。三百年で区切っていますから、三百九年に起きた元禄関東地震による津波の被害は全く触れられていないんです。これは明らかに誤解を招くものですよね。
 しかも、三百年で区切るということについて何か学問的な知見がありますか。津波被害について、三百年で区切って過去にあったか否かを判定するなどということは、私の知る限りではありません。
 それどころか、東日本大震災を受けて、津波の被害については可能な限り過去にさかのぼって調査をするというのが今の学問的な到達であり、そういう実態を意図的にわざと三百年で区切って、東京湾岸では津波被害はないんだということは、極めてやはり事実をゆがめる欠陥になるものであり、だからこそ私は、具体的なやりとりはいえないというお話ですけれども、こうしたことについては何らかの形できちんと是正をするのが当然の態度ではないかというふうに改めて指摘をしておきたいと思います。
 さらに、津波の報告だけではありません。申請ファイルの中で、その他の災害の項目では、福島第一原子力発電所の事故が発生したけれども、日本国政府の適切な対応により事態は収束に向かっているというふうに報告されています。
 しかし、つい先日の四月八日、衆議院原子力問題特別委員会での参考人質疑で、事故調査委員会の黒川清元委員長は次のように述べています。事故はまだ明らかに収束していないという答弁でした。こうした関係者からの発言を見ても、申請ファイルの報告は不正確であり、認識を誤らせるという点についても、あわせて指摘をしておきます。
 さらに、これに関連して、前回の委員会でも質問いたしました液状化の問題です。前回、資料を出してもらいましたけれども、その後、三月末に都が最新の液状化の予測図を発表いたしました。それでお伺いいたしますけれども、発表された予測図によって、オリンピック関係施設で、液状化の可能性が高い地域にかかわる施設は具体的にどの会場施設なのかということをご答弁願いたい。
 あわせて、そうした新たな予測図に基づく液状化対策ですけれども、もちろん施設自体は液状化に耐えられるような構造がつくられると思いますが、問題は会場周辺地域の液状化対策です。この点ではどのような対策を進めようとしているのか、また、その総事業費はどの程度と推計しているのか、お答えをお願いいたします。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 液状化についてでございます。発表されました予測図ですが、液状化の可能性を判定している領域について明確な境界線を示したものではなく、また、地盤改良などの効果を考慮していないものでございます。
 その前提で、競技会場の計画エリアを重ねた場合に、液状化の可能性が高い地域にかかる会場としましては、臨海部の辰巳の森海浜公園内のウオーター・ポロ・アリーナなどの一部のエリアがその対象と考えられます。
 また、対策についてでございますが、大会会場施設の整備に当たりましては、事前に地盤調査を十分に行い、必要に応じて地盤改良やくいの打設など、液状化対策を適切に実施してまいります。
 また、周辺地域の対策につきましては、「二〇二〇年の東京」で位置づけられている施策として、全庁的に都市施設やライフラインなどの耐震化が進められているところでございます。
 なお、これらの事業につきましては、会場に限定されたものではないことなどから、事業費についてのお答えはできません。

○吉田委員 今、ちょっと聞き取れなかった面があるんですが、一例だけ挙げられたと思うんですが、明らかに液状化の危険の高い赤く塗られたところと会場の配置図を合わせれば複数あると思うんですが、もう一度、一つだけじゃなくて重なるところすべてお答えください。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 液状化の可能性を判定している領域が明確な境界線でないというのは、先ほど答弁したとおりでございますが、あえて会場計画において液状化の可能性の高い地域にかかると想定をされます会場は十カ所程度でございます。ただし、この中には既に地盤改良などの液状化対策が実施されている会場も含んでおります。

○吉田委員 施設は当然でしょうけれども、私は、やはり周辺の液状化が本当に対策をとられようとしているのかどうかということについては、今の答弁では納得できません。
 次に、評価委員会は三月六日に、カヌー会場として計画されている葛西臨海公園を視察していますね。その視察の概要について説明をお願いしたいわけですが、その際、これまでも本委員会でも質疑がありましたが、自然環境、あるいは野鳥の会などからの要望と対応などについても説明がされたのでしょうか。ご答弁をお願いいたします。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 葛西臨海公園につきましては、三月六日に会場視察を行っておりますが、その際、公園内の会場整備予定地付近をバスで通過しながら視察を行いました。
 バスには、招致委員会、東京都の競技計画担当者などが同乗いたしまして、施設規模、選手村からの所要時間、鳥類園や水族館などの公園施設などについて説明したところでございます。

○吉田委員 今のご答弁だと、自然環境や、あるいは野鳥の会などからの要望等については、ご説明はされていないということですね。
 それで、オリンピック施設の整備に当たって、貴重な自然環境の破壊があってはならないことは、オリンピックの諸原則からも明白だと思います。しかし、葛西臨海公園は自然の宝庫ともいえる場所であり、カヌーの競技施設の建設は自然環境を破壊しかねない。それだけに、日本野鳥の会はカヌー会場の変更を強く求めてきたと思います。
 改めて、日本野鳥の会からどのような申し入れがされているのか、その対応も含めてお答えください。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 日本野鳥の会東京からは、昨年の八月、オリンピックには反対ではないが、カヌースラロームの会場は他の遊休地などに計画変更すべきとの申し入れをいただいております。
 東京都はその後、複数回にわたって野鳥の会東京さんから直接ご意見を伺っております。こうした機会に東京都からは、葛西臨海公園を競技会場予定地としております理由といたしまして、効率的な運営を可能にする選手村からの近さ、また国際競技団体が要求する施設基準に考慮したこと、また大会後、都民が水辺に親しめる施設とするのにふさわしい場所であることなどをご説明しております。
 さらに、整備に当たっては、公園の緑や野鳥に極力影響の少ない整備計画とする方針についてもご説明し、理解を求めているところでございます。
 本年二月に、日本野鳥の会東京から、昨年八月と同様の趣旨の申し入れをいただいておりますけれども、これは、昨年十二月に猪瀬知事が就任した折をとらえて改めて申し入れたものと伺っております。
 引き続き幅広いご意見を伺いながら、オリンピック招致にご理解を得られるように努めてまいります。

○吉田委員 日本野鳥の会という鳥類保護の、日本で多分、最大の団体だと思うんですけれども、そうした団体の申し入れというのは重く受けとめるべきだと思いますし、今後とも伺う、理解を得るという旨のお話がありましたが、野鳥の会は建設予定地の変更を求めているわけですよね。
 しかも、具体的に建設予定地の公園西側だけでも生息する鳥類は七十六種、昆虫百四十種、クモ八十種、樹木九十一種、野草百三十二種、かつトラツグミ、チョウトンボ、ウラギクなど、二十三区では絶滅危惧種に指定されている生物二十六種が確認されているというふうに具体的に指摘をされています。自然環境が消滅すれば、その影響が公園全体の生態系に及ぶことは避けられないというふうに訴えています。
 かつ注目すべきは、単に野鳥の会単独の要望ではなく、これに対して五十二団体が支持を表明しています。その中には、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン、公益財団法人日本生態系協会などの団体もこうしたことに賛同しているんだということは受けとめるべきだと思います。
 この点に関連して、オリンピック憲章及びオリンピックムーブメンツアジェンダ21などでは、施設の設置に当たって環境への配慮について規定していると思いますが、この点、どのように認識しているでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 オリンピック憲章では、IOCの使命と役割が十六項目定められておりますが、そのうちの一つとして、環境問題に関心を持ち、スポーツ界において、特にオリンピック競技大会開催について持続可能な開発を促進することとの記載がございます。
 また、オリンピックムーブメントの持続可能な開発方針として、IOCが一九九九年に採択したオリンピックムーブメンツアジェンダ21の中には、競技施設は、自然か人工かを問わず、地域状況に調和して建築、改装されるべきであると記載がございます。

○吉田委員 私もオリンピックムーブメンツアジェンダ21を読みましたけれども、その3・2・2では、環境保全地域及び地方の保護では、スポーツ活動、施設やイベントは、環境保全地域、地方、文化遺産と天然資源など全体を保護しなければならないと規定しています。
 また、3・2・3、競技施設では、新規施設の建設に関して、周りの自然や環境を損なうことなく設計されなければならないというふうに規定しております。
 明らかに、こうしたオリンピックの諸原則に反しかねないということ、私は明白だというふうに思います。かつ、改めて東京都がIOCに報告した立候補ファイルでも、会場に関して、そこに息づく多様な生物に特別配慮するということまで、わざわざ立候補ファイルでIOCに報告をしているわけですよね。こうした報告に対しても反しかねないということは、野鳥の会自身のこうした申し入れによっても明らかだということを改めて指摘しておきたいと私は思います。
 しかも、江戸川区長は現時点でも、このカヌー会場計画に対して同意をしていないんじゃないですか。お答えください。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 IOCに立候補ファイルを提出するに当たりましては、競技会場計画に関しまして、会場所有者とそれぞれの国際競技連盟の同意を書面で提出するように求められております。
 葛西臨海公園は都立公園でございますので、会場所有者である東京都知事と国際カヌー連盟の同意書を提出しておりまして、江戸川区長の同意は特に求められておりませんけれども、区に対しましては随時情報提供を行っております。
 江戸川区長からは、葛西臨海公園が区民にとって大変重要な公園であり、会場整備に当たってご懸念があることも伺っております。
 また一方で、区としてはオリンピック招致には賛成であり、会場整備については開催都市決定後に改めて協議したいというふうに伺っております。
 都といたしましては、先ほど申し上げた理由で、オリンピックのカヌー会場としては最適な場所であることや、公園の緑や野鳥に極力影響の少ない整備計画とすることをお伝えするとともに、開催決定後、十分ご意見を伺いながら具体的な調整をさせていただきたいと、そのようにご説明しているところでございます。

○吉田委員 一たん決めた計画であったとしても、私は、見直すべきことは見直すという態度をとるべきだと思います。江戸川区議会での昨年第四回定例会の区長の答弁を見ても、葛西臨海公園の問題ですが、この考え方は変わっておりません、あの公園ができたいきさつからすれば、これは恐らく、あの公園を半分壊してしまうようなことをすれば、区民が黙っているはずはありません、そのことは重々東京都に伝えてありますというふうに発言をされており、こうした答弁をきちんと重く受けとめるべきだというふうに思います。
 最後に、報告された中で、今後の国際プロモーションについてありましたから、その点についてお伺いをいたします。
 今後四回の国際プロモーションが行われるということが報告されました。前回の招致では、ご承知のとおり、プレゼンテーション映像などの経費に対する批判が上がりました。
 そこでお伺いいたしますけれども、プレゼンテーションの映像等はどのように準備をし、計画をしているのか。映像の発注先及び事業費はどの程度見込んでいるのか。また、今後の国際プロモーションへの都幹部の出席計画及び経費としてどの程度予定しているのか。あわせてご答弁をお願いいたします。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 今後の国際プロモーションの機会といたしましては、開催都市決定を行う九月のIOC総会までに四回のプレゼンテーションが予定されております。
 これらの機会におきまして、東京の大会開催計画を最大限効果的にPRできるよう、映像の活用も含めたその内容、また、これらのプロモーション活動の場へ都幹部の参加をどうするかにつきましても、あわせて現在検討中でございます。
 これら国際プロモーションにかかる経費といたしましては、映像のほかブース展示など、さまざまかかる費用を含めまして約九億円、一般職員分を含めた出張にかかる経費といたしまして約一億三千万円を見込んでございます。

○吉田委員 たしか一番最初の国際的なプロモーションがもう五月ですか、スポーツアコード会議、サンクトペテルブルクで開催されますが、当然、もうこのプレゼンテーション映像というのは準備されていると思うんですが、発注先及び経費は幾らなんでしょうか。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 現在、五月に予定されておりますスポーツアコードにつきましては、ブース出展のみ契約を締結しております。契約締結に当たりましては、五者を指名して見積競争を行い、最低価格を提示した株式会社電通を契約の相手方としてございます。

○吉田委員 前回はIOC総会のプレゼンテーション映像が五億円ということで、都民的にも批判の声が上がったことは、皆さんご承知のとおりだというふうに思います。招致のためだとして過度な財政投入は行うべきでありません。
 さらに、招致事業が結果的に特定企業に偏って行われるというようなこともあってはならないということを改めて指摘をして、私の質問を終わります。

○野上委員 先月三月四日から七日の四日間の日程で行われましたIOCの評価委員会の訪問から、はや一カ月以上が過ぎました。東京訪問のプログラムを終えて記者会見に臨んだクレイグ・リーディー委員長は、招致委員会のプロフェッショナルな準備と協力に熱意を感じた、政府と経済界の強い支援も知ることができた、皇太子殿下にお目にかかれたことは国民的支持がある象徴だという好意的なコメントを述べていらっしゃいました。東京は招致実現に一歩近づいたのかなという感想も持ちました。
 その後、マドリード、イスタンブールの訪問と委員長コメント、先ほど淺野副委員長が辞書で調べた内容をおっしゃっていました。私も、この三つの言葉の深い意味は何なんだろうなと思って調べてみました。でも、最終的には、ちょっと辞書が安かったせいもあって、すばらしいという大体似たような意味なのかななんて思ったところなんですけれども。
 これから立候補都市全体も、どことなく優劣もそんなに大きくなく、今は、これから横一線でどこが招致レースに勝っていくのかというスタートラインに立っているのではないかなというふうに思っております。そうだとすると、今後は招致委員会が中心となって行うロビー活動、また国際プレゼンテーションの成否に勝敗がゆだねられると思っております。
 前回、二〇一六年招致の際にも、南米初開催という、わかりやすくて情熱的なプロモーションを行ったリオデジャネイロが終盤から俄然注目を浴びて、最終的な勝利を得たわけでございます。やはり招致実現には、その都市ならではの強烈なメッセージを発することが一つのポイントになってくると思っております。
 そこで、今後予定されている四つの国際プロモーション活動、スポーツアコード会議と国内オリンピック委員会連合総会、テクニカルブリーフィング、IOC総会があるわけですけれども、メッセージの発信のポイントをどういうふうに考えているのか。余り出しても、多分、秘密裏にしっかりと計画をしていらっしゃるんだと思うんですね。余り情報が漏れてもいけないことだと思っているんですけれども、この内容について、わかる範囲で、出せる範囲で、都の計画についてお伺いいたします。

○早崎スポーツ振興局連絡調整担当部長 今後、IOC委員が多数参加する主な国際プレゼンテーションでございますけれども、五月にはIOC委員のほか国際競技連盟の関係者が多く集まるスポーツアコード、六月には各国の国内オリンピック委員会の連合の年次総会でありますANOC、七月には全IOC委員を対象としたテクニカルブリーフィング、九月にはIOC総会での最終プレゼンテーションが予定されております。
 九月の開催都市決定投票を見据え、プレゼンテーションの対象の興味や関心に応じ、おのおのの場面で東京の魅力を効果的、戦略的にアピールしていきたいと考えております。
 例えば、五月に予定されているスポーツアコードでは、各国際競技連盟の幹部が多く来場することでございますので、アスリートファースト、競技者第一の東京の計画や、各国際競技連盟にとっての東京開催のメリットなどを具体的にPRする予定でございます。
 一方、先ほどお話にあったとおり、リオデジャネイロは情熱的なプレゼンテーションでIOC委員の心をつかみ、開催をかち取ったといわれております。今後のプレゼンテーションでは、ディスカバー・トゥモローという東京の明確なスローガンを基軸に、東京のすぐれた開催計画とともに、我々の招致にかける思いや、スポーツを通じた世界への貢献などについて熱い情熱を訴えてまいります。

○野上委員 こうした国際会議の場では、立候補都市としてのプレゼンテーションのほかにブース出展が認められております。IOC委員やメディア関係者などに直接、東京招致のコンセプトや計画の特色をPRできるチャンスがあります。
 プレゼンテーションだけでは伝えられない部分や東京の強みを売り込む貴重な機会だと思いますが、このブース展示について、心をつかむために、今後どのような工夫を行っていくのかについてお伺いいたします。

○早崎スポーツ振興局連絡調整担当部長 海外での招致ブース展示については、先ほど申し上げた四つの国際会議の中では、スポーツアコードとテクニカルブリーフィングにおいて立候補都市のブース展示が認められております。これらは、東京の大会開催計画の内容やすぐれた点をIOC委員などへ個別に説明し、具体的にPRできる絶好の機会でございますので、大会開催能力を確実に説明し、IOC関係者の信頼をかち得るよう、映像や展示とも組み合わせて、万全の対応を行ってまいります。
 あわせて、装飾や展示内容などの工夫により、東京ならではのホスピタリティーやすぐれたイノベーションの側面を十分に伝え、都市としての魅力をこの場でも最大限アピールしてまいります。

○野上委員 プレゼンテーションやブース展示においては、効果的なアピールを行っていくことは非常に重要であると思っております。
 また、IOCの委員の心を動かすことができるのは、やはり招致に向けた私たち日本人の厚い心情を伝え切ることも大事だと思っております。大震災を乗り越えて、老いも若きも、健常者も障害者も、世界最大のスポーツの祭典を通じて一つになっていけるという、プレゼンターやスピーチの内容は当日までは秘密だと思いますけれども、オリンピック・パラリンピック開催にかける多くの日本人の希望を、ぜひこれからの招致活動で伝えていっていただきたいと思っております。
 私たちも、九月七日の開催決定の日まで、都民、国民に招致支持を真剣に呼びかけ、招致実現に向けた風を送りたいと思っております。
 そして、ちょっとつけ加えさせていただいて、前回も少しお話をさせていただいたんですけれども、国際オリンピック委員会というIOCは、一九八八年以来、オリンピック大会で禁煙方針を採択して、会場の禁煙化のみならず、たばこ会社によるサポーターシップすら拒否しております。
 その中で、実はリオデジャネイロというのは、ずっと受動喫煙防止はやっていなかったんですけれども、本当に招致決定の直前に受動喫煙防止条例を制定したわけです。本当に、ちょっとずるいなんていうような感じもちょっとあるんですけれども、シカゴはもともと受動喫煙防止の条例には、決定をして、二〇〇六年にもう既に施行していたわけでございます。
 前回の招致のとき、リオ、シカゴ、東京、マドリードの中で、東京は全くそういうものがなされていなくて、マドリードは不完全な受動喫煙防止法といわれておりまして、これはスペインモデルといわれた、大したことないんだけれども、一応していますよみたいなアピールをしていたわけです。それに対して、シカゴはしっかりと受動喫煙防止条例を制定しておりまして、リオは直前に、しかもぎりぎり、招致の本当に二カ月前ぐらいに制定をしてアピールしたということ、八月ですね、アピールをしたということもありまして--ですから、今回は、逆にマドリードはスペインモデルを廃して、正式な条例制定をきっちりとしておりまして、それからイスタンブールも、これは、たばこを吸う人口が多い割には、二〇〇九年七月に受動喫煙防止条例の制定をしっかりとやっておりまして、東京だけがまだそれが制定されていないということは非常に、ここの招致レースにおいては少しマイナスなのかなというふうに思っております。
 ぜひ東京も、まだ時間がありますので、受動喫煙防止条例の制定等を考慮しながら、オリンピック招致に勝っていきたいなというふうに思っております。
 意見表明をさせていただきました。

○いのつめ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○いのつめ委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後二時二十八分散会

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