オリンピック・パラリンピック招致特別委員会速記録第十三号

平成二十五年二月八日(金曜日)
第四委員会室
 午後一時開議
 出席委員 十七名
委員長いのつめまさみ君
副委員長淺野 克彦君
副委員長藤井  一君
副委員長吉野 利明君
理事高橋かずみ君
理事野上 純子君
理事くまき美奈子君
山内れい子君
佐藤 由美君
伊藤こういち君
鈴木 隆君
高橋 信博君
林田  武君
山口  拓君
吉田 信夫君
小沢 昌也君
川井しげお君

 欠席委員 なし

 出席説明員
スポーツ振興局局長細井  優君
次長理事兼務岸本 良一君
理事雜賀  真君
総務部長中山 正雄君
スポーツ事業部長板垣 一典君
スポーツ施設担当部長三浦  隆君
スポーツ祭東京推進部長川合  純君
大会運営担当部長松村  博君
招致推進部長松永 竜太君
連絡調整担当部長早崎 道晴君
広報戦略担当部長山中 康正君
競技計画担当部長延與  桂君
施設計画担当部長福田  至君

本日の会議に付した事件
 二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の東京招致に向けた調査研究及び必要な活動を行う。
報告事項(質疑)
・立候補ファイルについて
・IOC評価委員会について

○いのつめ委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック招致特別委員会を開会いたします。
 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の東京招致に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
 報告事項については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料については、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 去る一月三十日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしておりますオリンピック・パラリンピック招致特別委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりいただきまして、資料1、東京都が整備する競技会場等の工事費をごらんください。
 立候補ファイルに記載された競技会場等のうち、東京都が整備するものは、表に記載された十二施設であります。工事費用は、合計千五百三十八億円となっております。
 次に、一枚おめくりいただきまして、資料2、都市インフラ整備事業一覧をごらんください。
 立候補ファイルに記載された輸送インフラにつきまして、国土交通省、東京都、首都高速道路株式会社などの事業者別に整理したものを記載してございます。
 もう一枚おめくりいただきまして、資料3、首都直下地震の液状化危険度分布をごらんください。
 平成二十四年四月十八日に公表された首都直下地震等による東京の被害想定に基づき、液状化危険度の分布が示されたものでございます。全部で四種類の地震を想定し、その中から最も条件が厳しいものをお示ししたものでございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○いのつめ委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○淺野委員 オリンピック招致についての幾つか立候補ファイルを提出していただきましたので、それも含めまして、確認をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、ビジョンということについて少しお伺いしたいと思いますが、東京が立候補し、オリンピックを招致したいという、この熱い思いを持って挑む、これは非常に大切なことではありますが、逆にそれを評価する側というか、投票する側、実際のことしの九月七日に、IOCの総会におきまして、立候補された都市の中から開催都市を決める側の人たちにとってみれば、東京がオリンピックを開催することで、こういういいことがあるよというのは、東京、あるいは日本にとっていいことというのは、それはそれでプラスの観点もあるんですけれども、やはりオリンピックや、あるいは国際社会、世界のスポーツ界にとって、東京で開催することがどういうメリットを生むのかということをしっかり伝えていかなければならないと思います。
 東京がオリンピックの開催都市になることで、今後の、つまりこれから先のオリンピック・パラリンピック競技大会、そういったものにどんなことが貢献できるのか、この成熟した都市である東京ならではの観点から、オリンピックムーブメントの拡大にどのように貢献できるのか。その中でも特に国際社会に対して、国際社会全体にはどういったことが貢献できると考えているのか、まず伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会は、世界で最も先進的で安全な都市の一つである東京の中心で開催することを目指しております。
 東京はビジネスやファッション、テクノロジーなど、多くの分野において最も先進的な都市であり、世界じゅうの人々に影響を与えるなど、大きな発信力を有しております。
 東京には、卓越、友情、尊敬といったオリンピックと共通する価値が深く根づいていると考えております。また、日本人は東日本大震災に直面し、これらの価値観に加えて、尊厳、規律、フェアプレーといった特質を示してきました。
 こうした国民が、二〇二〇年にオリンピック・パラリンピック大会を東京で開催することによりまして、東京の持つ大きな発信力と相まって、世界じゅうのより多くの人々にオリンピックの価値を普及させていけるものと考えております。

○淺野委員 今のご発言で、確かに今あるオリンピックのすばらしさ、そういったものをより世界に伝えていく、それにプラスして日本人、特に今回、今おっしゃった中でいけば、選手というよりも、迎え入れる一般の国民の人たちの高い道徳心といったようなものが東京の発信力から伝わっていくということが、このオリンピックというものは非常にすばらしいものなんだと伝える、そういった一助になるということはよくわかります。
 しかし、じゃ、オリンピックそのものの価値を上げているかというと、今の部分だけでは少し足りないのかなという気もいたします。やはり、オリンピックを主体的にやっていらっしゃる世界じゅうの委員の皆さん方にとっては、東京で開催をすることで、オリンピックというものがより価値が上がっていく、オリンピックそのものの価値が、東京で開催することによって上がっていくんだという、そういった印象を持ってもらうように、これから先、三月にも評価委員会のメンバーが視察に訪れるわけですから、そこの場所も含めて、ぜひ伝える努力を全体としても、我々も含めてやっていかなければなりませんし、特に招致活動をやっていらっしゃる方々には強く求めておきたいと思います。
 次に、この大会の全体的なコンセプトについて伺います。
 これは申請ファイルの申請時から、あるいは二〇一六年の招致のときからずっと訴えられている非常にコンパクトな大会の開催であると。選手村から半径八キロメートルの間にメーンの会場がほぼあるということ。これが非常に大きな特徴ということになっております。
 しかし、一方で、大都市が抱える弱点というのは、まさにコンパクトであるがゆえに、そこに移動が集中する、特に開催期間中においては、観客も含めた人の移動が非常に強くあらわれます。
 前回の二〇一六年招致の、これはシカゴの例ですけれども、評価報告書の中身にも、シカゴも同じように非常にコンパクトな大会の運営をすることによって、物資、特に人の移動というのをどのようにするかということが課題として挙がっていったときに、評価委員会のメンバーは、シカゴの計画を見て予想以上に、つまりピーク時、朝のピーク時の二倍以上の人の動きが発生するよということをシカゴに対して意見として述べられております。これが評価報告書に載っております。
 そういったことを考えると、やはりコンパクトだということは、選手や、あるいは関係者の負担、移動時間の短縮といった運営面でのプラスの効果を生むと同時に、移動する、つまりそれを見に来てくださった世界じゅうの方々が非常に迷惑する、あるいは東京でふだんの経済活動を営んでいらっしゃる方々にとってもマイナスがあることをどうやって防ぐのかということはIOCの方々も気にされるところだと思います。
 そこで、コンパクトであるがゆえの交通渋滞などのリスク、こういったものをどのように回避していくのか、そして、そのリスクを防げるだけの輸送インフラというのがどのように整っているのかということについての見解を伺いたいと思います。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 東京には、高速道路と主要幹線道路だけで総延長千五百七キロメートルの高密度な道路がございます。さらに現在、効果的な輸送インフラの整備を進めており、今後、都内の交通渋滞がより緩和されるものと考えております。
 選手など大会関係者の輸送では、既存の道路網にあわせ、二〇二〇年までに完成する首都高晴海線や環状二号線などの輸送インフラを最大限に活用し、オリンピックレーンの設置を行うことにより、円滑な輸送を計画しております。
 オリンピックレーンの設置に当たりましては、関係機関と連携しながら、大会開催前の十分な準備期間をとり、代替ルートの利用の奨励を含めた包括的な広報活動などを実施してまいります。さらに、最先端の高度道路交通システムなどを活用し、適切な運行管理を図ってまいります。

○淺野委員 今のご説明で、さらにいろんな準備をして進んでいくんだという覚悟は伺いました。
 しかし、最初に申し上げたとおり、選手や関係者の移動だけがオリンピック期間の移動ではありません。世界じゅうから観光客もいらっしゃいます。そういった方々、関係者といっても、いわゆる特別扱いをされない方々の移動というのもしっかり考えていかなければなりません。
 例えば、今であれば、今の日本の中の携帯電話を使っていらっしゃる方は、多く利用されているものの一つに公共交通情報、あるいは、その乗りかえの案内をするといったようなソフトがあることも事実です。こういったものを東京都として民間に促しながら、アプリというものを開発していく。特に多言語でそれを開発し、世界じゅうの人が、東京に来ても自分の国の言語で、東京は最も世界で高密度化され非常に利用しやすいとはいえ、裏を返せば複雑になっている公共交通システムを自分の国の公共交通システムと同様に使いこなせるぐらいのそういったソフトを用意するという観点も必要だと思います。
 そういったものも含めて、今後さらに渋滞のリスクを防ぐこと、あるいは輸送インフラを整えることというのは終わりがありません。これだけやれば十分だということは決してないと思います。十分にやったということじゃなくて、もっとないかと、ほかにないかということを考えながらやっていただくことを求めておきたいと思います。
 そしてまた、あわせて、さきに行われたロンドンの大会では、開催期間中よりも、その前に百万点を超すオリンピックに関係する物資の輸送が通常の経済活動を非常に阻害しているというような報道もございました。
 東京におきましては、そういう事前の段階での輸送物資との間にこのオリンピックレーンを活用するなどの方法をとり、実際の開催期間中の混雑をそこの場で上手に訓練しておく。そういった発想での取り組みもやっておいていただきたいと思います。
 続きまして、政治、あるいは市民の支援ということに関してご質問させていただきたいと思います。
 報道にもあるとおり、招致委員会の支持率の調査で、最終的には今東京で賛成が七三%にまで上がったということがいわれております。スタート時点を思えば、半分を切る支持率だったところから、ここまで支持率を上げてきたことには、関係各位、そして招致委員会のメンバーの皆さん方、たくさんの人たちの応援があったからだと私は思っております。
 しかし、こういったもの、レガシーの継承という観点でいけば、東京都の行政として、ここまで支持率が上がってきたことをしっかりと分析をし生かしていく、そういった発想も必要ではないでしょうか。
 まだ招致活動の最中ですから、細かい分析が必要だとは思いながらも、それを今すぐ結果を求めるものではありませんが、少なくとも賛成が七三%にまで上がってきたということが、どのような経緯で、そして、どんな要因で上がったのかということを詳細に分析し、そして今後の行政の発信、あるいは、さまざまな施策の実行の際に活用していくという発想が必要だと思います。
 そこで、今、現時点で構いませんので、ここまで支持率が上がってきたということをどのようにとらえているのか、特にその理由について伺いたいと思います。

○山中スポーツ振興局広報戦略担当部長 支持率の向上に大きな影響を及ぼしていると思われますのは、まず第一に、ロンドン・オリンピック・パラリンピックでの日本人選手の活躍でございます。昨年八月に銀座で行われた凱旋パレードでは、約五十万人の方々が沿道に集まり、選手に惜しみない拍手や声援を送っていました。この様子はテレビでも中継放送され、多くの国民がオリンピックのすばらしさを共感する機会になりました。
 二つ目は、自主的な招致活動の支援の輪が広がっていることでございます。都議会の先生方のご尽力によりまして、道府県議会や政令指定都市議会からの招致決議は着実にふえており、東京商工会議所を初めといたしました民間団体も交えながら、オールジャパンの招致体制が整いつつあります。
 三つ目は、ツイッターなどのソーシャルネットワーキングサービスや、メディアなどを最大限活用し、必ずしもスポーツに関心が高くない層も含め、より広範な招致PR活動に努めてきたことでございます。
 こうした取り組みが積み重なり、相乗的に力強さを増した招致活動が展開されていることが支持率向上の理由だと考えております。

○淺野委員 確かにロンドン・オリンピック・パラリンピックでの活躍というのも非常に大きな効果があったと思います。
 しかし、私が非常に考えるのは、今回、議員たちも含めて、たくさんの人たちが招致活動に加わり、本当に草の根で、一人一人にオリンピックを頼むと、オリンピックを招致するんだと、その価値について語り続けてきたことが、ここまで支持率が上がった一つの要因ではないかと思います。
 大切なことは、一過性のイベントを繰り返したわけではないということ、一人一人が草の根の活動を展開したことが最も効果があるんだということがこれによって示されたんだということを、より深く自覚する必要があるのではないかと思います。
 外から見ていると、一過性のイベントというのは、非常に大規模なものであればあるほど、その招致活動が物すごく展開されている。いうなれば、関係者のやった感が出てくるものだと思います。しかし、実際の効果は、本当は一人一人に根強く根強く、細かく展開していく活動の方が効果があるのではないかと私は思います。
 今後、オリンピックももちろんそうですけれども、その他のものにおいても、一過性のイベントに頼ることなく、しっかりとした地に足のついた展開をしていくことが、今後の招致活動だけではない、オリンピックムーブメントの高まり、あるいは他の施策での行政に対する信頼、あるいは理解を促進していくためには必要であるということを一言申し添えておきたいと思います。
 次に、環境のこと、特に申請ファイル提出時からの件について伺いたいと思います。
 昨年の申請ファイルを提出した際に、IOCから幾つかの懸念されていた課題というのが与えられております。その中でも例えば地震や津波の問題、放射能汚染の問題、電力供給の問題などは、特にオリンピックを開催するに当たっては、非常に大きな足かせとなり得る課題でございますので、ここについては、きちっとした回答を出しておく必要があると思います。
 この申請ファイル提出時にIOCから懸念をされていた課題は、現在どの程度IOCの懸念が払拭されてきたと考えているか伺いたいと思います。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 これまで、さまざまな機会を通じて地震、津波などの懸念払拭への取り組みを進めてまいりました。
 立候補ファイルでは、日本の耐震基準がすぐれていること、東京湾の地形図を掲載して津波の影響が少ないことなどを記載しました。
 また、放射能は、東京都及び地方会場都市の空間放射線量が国際放射線防護委員会の防護基準を十分満足し、安全であることを示しております。
 また、電力供給に関しましては、東京電力管内の電力が回復し、既に十分に対応可能であることを記載したところでございます。
 これらの取り組みにより、一定の理解が得られていると考えておりますが、引き続き評価委員会訪問を含め、招致活動のあらゆる機会を通じて課題への懸念払拭に努めてまいります。

○淺野委員 IOCから懸念されていた課題というのが安全であるということが、はっきり立候補ファイルには示されている、そういった答弁でございました。
 私は常日ごろから、安全であること、そして安心であることというのは、似て非なるものだと考えておりますし、そう申し上げてまいりました。安全であるということは、今の発言で十分に伝わるものであります。しかし、安心というのは、安全であるということがより多数の人たちに理解され、浸透して初めて形成されるものです。安全であるということをより広くたくさんの方々に伝えていく努力をこれからもしていかなければなりません。
 先日、これは他の委員会でしたけれども、一月二十四日に総務省が出した、いわゆる携帯電話がペースメーカーには影響を出さないよという話がございました。常に今、電車の中でいわれている優先席付近で携帯電話の電源をお切りくださいというのは、現実には、その患者さんたちの団体の発言も含めて、意味のないこと、あるいは余計なお世話になりつつあるんだということが先日伝わってきたところであります。しかし、日本全体にはまだそういった感覚は生まれておりません。
 同じように、この電力や放射能、地震、津波の課題というのは、オリンピックにかかわる人たちだけに理解を促せばいいのではなくて、世界じゅうの人たちに対して発信して初めてオリンピック招致の方々に影響を及ぼすものだと私は思います。
 オリンピックの立候補ファイルや招致活動の際だけではなくて、東京都、あるいは国とも協力をして、国際社会に発信するありとあらゆる機会をつかまえて、日本が、そして東京が安全であるということを伝えていく、それを努力し続けることによって、世界じゅうの方々が安心してオリンピックを東京に任せることができると思えるようになる、そういった環境がつくれると考えます。
 ぜひ東京都として、これはスポーツ振興局だけではなく、東京都全体として、各局が共通してそういった情報を発信する努力を続けていっていただきたい。そして、我々議会側としても、いたずらに不安をあおる情報を出すのではなくて、確かな情報を使って、いろんなところに発信していくということが必要であるということも私見ではございますが、申し添えさせていただきたいと思います。
 次に、競技及び会場について伺います。
 今ではオリンピック招致の一部となりました反対をされる方々の中からは、そんなお金があるなら、そんな人員がいるなら、被災地の復興に使えばいいじゃないかという声がよく聞かれます。
 私もそういった発言をされる方に会うたびに、お一人お一人に、そもそも東京都の招致の機運が低い時期から、被災地の方々の方が東京でオリンピックをやってくださいという声が強かったんですよということを伝えながら、そして一つ一つ具体的に被災地の復興にだって貢献するんだと。何よりも、東京が大きなオリンピックという世界のイベントをやることによって、全体にプラスの感情、前を向いて、未来を向いて前に進もうという感情が生まれてくることこそが本当の意味での復興なんじゃないかということを伝えてまいりました。
 建物を復活させることが復興ではなくて、そこに住む人、かかわる人々の心が前に向くことが本来の復興であると私は考えておりますので、そういった意味でいけば、まさにオリンピックは最高のツールではないですかということをいって、それで反論を受けたことはございません。
 今回、立候補ファイルの中に、宮城県が当初の予定どおりサッカーの会場となりました。被災地三県との連携は、立候補ファイルに特に詳しく書くべき話でもないため、詳細は書かれておりませんけれども、これから先、どのような連携を図っていくと考えているのか、そして、このオリンピックを通じて、都として被災地には何が貢献できると考えているのか伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 都は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会が被災地の復興を後押しするものとなるよう、被災三県及び各県の体育協会、JOCを初めとするスポーツ団体等から成る復興専門委員会を設置して検討してきたところでございます。
 検討結果につきましては、昨年十二月に、スポーツの力で未来をつかむと題する最終報告書を取りまとめ、公表したところでございます。この最終報告書では、全部で三十二の事業を提案してございます。
 具体的に申し上げますと、具体的な連携策といたしまして、立候補ファイルにも記載しました宮城県でのサッカーグループリーグ開催のほか、聖火リレーのルートの一つに、被災地を縦断するルートを設定することなどを提言してございます。
 こうした取り組みを被災三県と連携して進めることにより、スポーツで被災地の人々を元気づけるだけではなく、復興した被災地の姿を世界に向けて発信できるものと考えております。

○淺野委員 今おっしゃられたことだけでなく、先ほど申し上げたとおり、被災地の方々、世界じゅうからオリンピックを通じて日本に来られた方々が、被災地を訪問された際、あるいは被災地の方と触れ合った際に、心から笑って前を向いて生きているという姿を見せることこそが本当の意味で復興した被災地の姿だと私は思いますので、そういった姿が実現できるように、我々も尽力させていただきますし、都としても、できる限りの力を発揮していただきたいと思います。
 次に、オリンピックだけではなく、パラリンピックの競技大会についても伺います。
 オリンピックとパラリンピック、この開催を通じて、障害者のスポーツというのをさらに盛り上げていくということも必要だと思います。特に日本は、障害者スポーツという分野でもかなり開催しているし、都市として東京はバリアフリーが、少なくとも私がパラリンピック大会を視察に行ったロンドンに比べると、まち中のバリアフリーは本当に進んでいるし、東京というまちは過ごしやすいまちになっているんではないのかなと思います。
 また、ことしはスポーツ祭東京として国体と、そして全国の障害者スポーツ大会、これもあわせて開催される、東京で開催されるということも非常にプラスの話だと思います。
 こういった障害者のスポーツを盛り上げている、盛り上げていこうとする気持ちがあるということをやはり評価委員会にも伝えていかなければならないと思いますが、そういったことを評価委員会にどのようにPRをしていくのかについて伺いたいと思います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 日本では、一九六四年に開催されましたパラリンピック東京大会を契機に、翌年から全国障害者スポーツ大会を毎年開催し、障害者スポーツの普及振興を継続的に行ってまいりました。
 さらに、今お話ございましたように、東京都は本年、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会を一つの祭典、スポーツ祭東京二〇一三として開催し、障害者スポーツを健常者スポーツと一体となって行うことで、一層の普及振興を図っております。
 これと同様に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会も六十日間の一つの祭典として実施いたします。これにより、障害者スポーツに対する理解が一層深まるように取り組んでまいります。
 このことは、二つのオリンピックとパラリンピックを一つの組織委員会で開催することを求めるIOCの考えとも合致するものでございまして、三月の評価委員会におきましても、都としての取り組みを十分に説明してまいります。

○淺野委員 ぜひ障害者スポーツということについての取り組みも評価委員会には伝えていっていただきたいと思います。
 そして同時に、これは障害者スポーツだけではなくて、日本という国は、例えばプロ野球の世界でいえばマスターズリーグ、あるいは水泳にも高齢者が中心となってやっている大会がございます。年齢別に分けられて、それぞれの記録を競い合うというような大会も行っております。永続的なスポーツ環境というのは、次世代、若い世代だけではなくて、高齢者の方々もあわせて活躍する場が提供されているというのも非常に大きなプラスの点だと私は考えます。
 年老いても、あるいは極端な話、現役を退いたとしても、その高齢者の方々が長くスポーツにかかわっていける、そして何よりも人に感動を与えたり、あるいは自分自身の目標として何かチャレンジする大会、そういったものが存在する。
 人間は老いていけば、残念ながら体力も運動能力も落ちていきます。しかし、その落ちていく中でも、同年代の方々と競い合うことで、よりスポーツを楽しむことができるという環境を東京はさらにつくり上げていくんだよということも、これはぜひ評価委員会の方々に伝えていっていただきたい。そして先進国、高齢化が進むといわれております。ほとんどの先進国は、同じような悩みを抱えています。そういった先進国に対しても、東京がまさにトップランナーとして、フロントランナーとして、高齢者スポーツというものも世界を切り開いていく、これもオリンピックを招致するに当たっては非常に大切な観点だと思いますし、また、一番最初に申し上げたオリンピックに新たな価値を加えるという意味では、重要な観点だと思いますので、検討の上、ぜひとも実行していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 次いで、セキュリティーについて伺います。
 当初の立候補ファイルにも書いてありました、また、先ほどのご答弁にもございました、世界で最も先進的で安全な都市ということをうたっております。しかし、これをうたった手前、もちろん、どのようなささいなミスであろうが何だろうが、問題を起こすわけにいかない、危険な状態というのをつくり出すわけにいかないと思いますが、このオリンピック開催期間中、セキュリティーということについては、どんな体制をとっているのか伺いたいと思います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 東京は犯罪発生率が極めて低く、世界で最も安全な都市でございます。二〇二〇年東京大会は、こうした東京の安全性を世界に示す絶好の機会となりますので、世界じゅうから選手や大会関係者、観戦客をお迎えするに当たりまして、万全のセキュリティー体制を整備してまいります。
 具体的には、警視庁が中心となり、海上保安庁、防衛省、東京消防庁などの公的機関及び大会組織委員会とが密接に連携いたしまして、競技会場、選手村、メディアセンター等の大会関係施設の警備、テロ対策、選手や各国政府要人の警護などを実施いたします。
 このうち、大会組織委員会は、主として競技会場の警備におきまして民間警備業者を利用し、会場の出入り管理やスクリーニング活動、観客の案内、誘導等を実施してまいります。大会を安全に運営することで、各選手が全力で競技に打ち込める環境を提供できるものと考えております。

○淺野委員 大会開催中、選手及び関係者が全力で競技に打ち込める環境をつくる、そういったセキュリティーは非常に重要でございます。民間の会社も活用しながら、さまざまな体制を整えていっていただきたいというふうに考えております。
 ただ、一方で、選手だけではなくて、そこに訪れる世界じゅうの方々、この方々の安全も非常に高いレベルで提供できると私は思っております。東京というまち、この日本という国は、警察、あるいはその他の関係機関だけではなくて、そもそも国民一人一人の努力、道徳心によって、高い安全性が担保されている国だと私は思っておりますので、そういったものを伝える機会としても活用していただきたいというふうに思っております。
 そして、最後に、今度いらっしゃるIOCの評価委員会への対応について伺いたいと思います。
 前回、二〇一六年時のIOC評価委員会が来て、その後に評価レポート、評価報告書というのが出されております。これは、前回の投票の際に、やはりある程度の影響力があったと私は思っております。
 それはなぜかといえば、二〇一六年の招致の申請ファイル時で、やはり今回と同様に東京は高い評価を受けていたにもかかわらず、評価報告書のまとめの段階、これは点数化されませんので、文章を読む限り、最終的にシカゴと東京はハイクオリティーという評価を受けておりました。マドリードは、ただのクオリティーというだけの評価でした。それに対して、最終的に投票で勝ち上がったリオデジャネイロは、ベリーハイクオリティーという評価を受けておりました。その結果のとおり、リオが最終的に勝ち上がったわけであります。
 もちろん、ハイクオリティーの都市二つが最初、序盤で落選するという結果を見れば、評価報告書だけがすべてではありませんが、少なくとも評価委員会が視察をして、評価報告書をまとめたときに出されている文言、文章、内容といったものをしっかり詳細に分析をし、今回迎えるに当たって周到な準備を行っておくことは、当然、招致活動をやる側としては当たり前のことであると思います。
 私も英語のものを手に入れて、つたない語学力で一生懸命和訳しましたけれども、かなりいろんなことが書いてありました。例えば、東京につきましては、そのビジョンが、いわゆる試合時間、あるいは移動時間、そういったものの促進、つまりコンパクトな運営というのがメーンだというようなとらえ方をされているような気がいたします。
 そして、前回のものを見ると、シカゴ半径八キロ、東京半径八キロ、リオ半径十二キロ、実は東京がコンパクトだと確かにいっておりますけれども、どの都市もそれなりに小さい範囲でやろうというのが前回の招致活動のときには出ていて、それはそれなりにすべて評価されているんですね。
 問題の東京というのがどういうふうに書かれているかというと、一番の課題点は、東京の招致計画の後の開催計画、例えばスポーツ関連施設、会場等というのが、ほとんどまだできていないよと。つまり、開催が決まってからつくりますというものが非常にたくさんあったということから、評価委員会が視察した際には、東京がそれをどのようにやっていくのかということが、いまいちうまく伝わらなかったというような書き方がされています。和訳が間違っていたらごめんなさい。ということが東京の前回のところには書いてあります。
 つまり、何か明確さが足りないというような文章が載っておりました。もちろん、高く評価された点はたくさんあります。東京はいいところをいっぱい書かれているんですけれども、私、今あえてだめなところを、一つか二つしかないんですが出しました。
 そしてもう一つは、やはり他の都市を見ても、先ほども申し上げた交通渋滞、そういったものに対する懸念というのは、やはりあるなと思います。
 私が何を申し上げたいかというと、こういった前回の四都市の評価報告書を見れば、IOCの評価委員会のメンバーが、どういった点を気にして、どういった点を評価し、そして、どこに着目して見ていったのかということがわかるんですよね。そして、自分たちの説明がどういうふうに伝わっていったのかということも分析できる。やはり、こういう過去のものというのは非常に大切な資料であり、材料でありますから、詳細に分析をして、検証をして、迎える側の努力をしていかなきゃいけないと思います。
 そこで、今回、特にマドリードは前回と同様に立候補しています。東京とマドリードは双方に立候補しておりますから、そういった部分も含めまして、東京が指摘された弱点をどうやって今回の計画に反映していったのか。前回、評価委員会のレポートでリオデジャネイロが高い評価を受けたということと同様に、今回は東京がこの三都市の中では最も高い評価を受けるために、どうやって行動するのかということが非常に重要になってくると思いますので、そこについての見解を伺いたいと思います。

○早崎スポーツ振興局連絡調整担当部長 前回、二〇一六年招致では、コンパクトな会場配置計画など、東京は計画面で高く評価されました。今回の招致においては、前回の計画のすぐれた点を継承しつつ、さらなる改善を行っております。
 その一つとして、二〇一六年大会の招致時に、敷地面積の狭さが指摘された選手村を中央区の晴海地区に設置することで、面積四十四ヘクタールを確保し、前回の計画に比べ、約一・四倍の広さとしています。
 また、選手村を会場配置計画の中心に置くことで、選手のニーズを最優先で考慮していることを強調しております。
 こうした前回招致の課題を踏まえた改善点をIOC評価委員会対応において丁寧に説明することで、招致に向けた東京の熱意と開催計画の優位性を訴え、七月に公表予定の評価報告書における高評価につなげてまいります。

○淺野委員 ぜひ今いった計画においての改善点というのは非常に努力をされていることだと思いますし、私は何もこの計画がだめだといっているわけでありません。ただ、IOCの方々が来る、そして評価報告書をまとめる、ことしの九月七日に勝利をかち取るためには、いろんな努力をしていかなきゃいけない。
 例えば、前回の開催都市、視察順序は何番だったのか。今回は東京がトップバッターですが、マドリードより後だったのか先だったのか、そういったことがどのように影響しているのか、そういった多角的な視点での検証をした上で、評価委員会のメンバーが東京にいらっしゃったときに、最大限のプレゼンと、そして印象を持って帰っていただけるような努力をぜひともしていっていただきたいと思います。
 そして、今後の招致活動、最も大切な山場は、この三月四日から七日のIOC評価委員会の訪問でございます。立候補ファイルの計画の内容、そして東京の都市としてのすばらしさ、それを伝えるだけではなくて、日本のおもてなしのすばらしさ、おもてなしの心というものをぜひアピールしていただきたいと思います。
 私が考える日本が掲げるおもてなしというのは、まさに相手がどうやったら気持ちよく思ってもらえるのか、相手が本当にいい感情で帰っていただけるのか、それを細部に至るまで考え尽くしているのが日本人としてのおもてなしの心だと思います。
 自分たちのよさをPRするだけではなくて、相手の立場に立って、どういう動き、サービスがあれば、本当の意味で日本はいい国だと思ってもらえるのか。その観点を忘れずに、そこにプラスして都内のまち並みや、そして雰囲気づくりというものもあわせてやっていく。そういった形をぜひ対応を検討し、また実行に移していただくことをお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

○高橋(か)委員 私から、オリンピック・パラリンピック招致への支持率と、IOC評価委員会の訪問等についてお尋ねいたします。
 先週一月三十日、招致委員会が発表した最新の支持率調査によりますと、都民の支持率は、初めて七割の大台を超えたということであります。招致に賛成する方は七三%、前回、十一月末に行われた調査から七%も増加したということで、大変喜ばしいと思います。
 女子サッカーの澤選手を初めとした著名なアスリートの招致アンバサダー就任、一月七日の立候補ファイル提出や、その後の記者会見などの各種報道によって、オリンピック・パラリンピック招致に対する都民の皆さんの関心が大いに高まったことなどに起因するものと考えます。
 東京都議会オリンピック・パラリンピック招致議員連盟が中心となり、我が党も尽力して行った署名活動におきまして、目標をはるかに上回る百五十万人もの方から署名を得たことも大きな要因の一つであると認識しております。
 去る二月一日、スポーツ祭東京二〇一三の幕開けとして、東京で開催した冬季国体が閉幕したところでありますが、このスポーツ祭東京二〇一三と連携したPRを初めとして、あらゆる機会をとらえて実施されてきた機運醸成の取り組みが結実したものと思います。こうしたこれまでのさまざまな取り組みの効果が今日の数値としてあらわれているものと確信しております。
 一月から二月ごろに行われると聞いておりますIOCの世論調査でも、私はこの七三%を超える支持率が出るものと信じております。そして、現状に甘んずることなく、九月に開催都市が決定するそのときまで、さらに高い支持率を確保できるよう、引き続き招致機運の盛り上げに努めていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○山中スポーツ振興局広報戦略担当部長 都議会の皆様方には、全国にわたる署名活動や、昨年六月から二カ月に及ぶ全国行脚など、数々のご支援、ご協力をいただいておりますことに深く感謝しております。その結果、各道府県を初め、多くの自治体から招致決議をいただき、全国的な盛り上がりが見られております。
 昨年、オリンピックが開催されたロンドンが開催都市に選出されたときのIOCによる世論調査では支持率が六八%だったことを考えますと、開催に向けて必要になる支持率は最低限達成する状況に来たと考えております。
 現状に満足することなく、来月に迫った評価委員会訪問対応の際には、評価委員の方々に機運の盛り上がりを体感していただけるよう、シティードレッシングなども行うとともに、九月のIOC総会において招致をかち取るまで、引き続き支持率のさらなる向上に努めてまいります。

○高橋(か)委員 まち中を見回してみますと、招致のフラッグやのぼり旗、ポスターなどが大変多く掲げられており、招致機運が高まってきたように思います。評価委員会訪問の対応に向け、一層の盛り上げがなされることを期待しております。
 そのIOC評価委員会の来日まで、いよいよ残り一カ月を切りました。関係者としましても、準備に余念のないことと思っております。
 東京の計画は、他都市に比べ、すぐれているとのことでありますが、立候補ファイルはIOCからの質問に答える形式のものであります。このため、立候補ファイルだけでは十分に伝え切れないところがあるのではないかと考えます。評価委員会で何を伝えるべきか、それは二〇一六年大会招致活動を経験したことにより、おのずと明らかになるのではないでしょうか。
 振り返ってみれば、私は今から四年前、二〇一六年東京招致を確信して、開催都市が決定されるIOC総会が開かれたコペンハーゲンへ参りました。しかし、残念ながら二〇一六年東京招致はなりませんでした。
 そこで今回、二〇一六年の招致活動報告書を改めて読み直ししました。活動報告書には、開催理念や開催準備基金を初めとした強固な財政基盤などの高く評価された点と同時に、二〇一六年のIOC調査で五六%とされた当時の支持率を初め、課題とされた点も記載されています。
 支持率については、先ほどの答弁にもありましたように、改善されてきたと思いますが、評価委員会訪問の際に、二〇一六年招致で課題とされた点をどのように改善したのかを強く訴えることが重要であると考えます。
 そこで、評価委員会対応に向けて、二〇一六年招致を踏まえて、どのように進めていくのか伺います。

○早崎スポーツ振興局連絡調整担当部長 二〇一六年招致において、支持率以外にもIOCから指摘された事項がございます。
 例えば、選手村の敷地面積が狭いという指摘です。今回の二〇二〇年の招致計画においては、選手村を有明から晴海に変更し、敷地面積も三十一ヘクタールから四十四ヘクタールへ一・四倍拡大しました。
 また、選手村とオリンピックスタジアム周辺の交通について、豊洲新市場の動線と重なることなどにより、交通混雑の懸念があるという指摘もございました。二〇二〇年の招致計画では、選手村の場所に加え、メーンスタジアムを国立霞ヶ丘競技場に変更することで、交通についての問題を解決しました。
 さらには、ホテルの客室料金の上限保証期間が開会式から閉会式までの間であり、大会の前後の期間が含まれていないという指摘もございました。今回の招致計画策定に当たっては、開会式十四日前から閉会式二日後までの期間の保証を取得しております。
 このように、二〇一六年招致で課題にされた点について十分に改善を図ってまいりました。プレゼンテーションや会場視察の中で、二〇一六年招致からの改善点については、とりわけ重点的に、丁寧に説明してまいります。

○高橋(か)委員 ただいま答弁をいただき、私がこれまで考えていた以上に計画がブラッシュアップされていることがよく理解できました。招致戦略もあるでしょうから、改善点のすべてを本委員会でつまびらかにすることはできないと思いますが、二〇一六年招致でIOCが課題であると指摘した点については、しっかり改善して計画を策定していると伝えることは非常に重要であります。くれぐれもよろしくお願いいたします。
 しかし、それだけでは二〇一六年の東京の計画と比べて、よりすぐれたことを示すだけにすぎません。他都市との差別化が必要だと考えます。目前に迫った評価委員会の来日に対し、どのような点に重点を置き臨むのか、見解を伺います。

○早崎スポーツ振興局連絡調整担当部長 最終的には、他都市との競争になる中で、他都市に比べた東京の優位性を訴えることが非常に重要だと考えております。
 具体的には、コンパクトな会場計画、強固な都市基盤や財政的裏づけなどをアピールしてまいります。
 また、都としては、オールジャパン体制で招致が進んでいることも強く訴えるつもりでございます。中でも安倍政権からも強力な支援を得ていることをIOCにしっかり伝えることが最重要だと思っております。
 招致体制や計画内容はもちろん、日本人ならではのホスピタリティーなども伝えながら、東京の優位性を訴えてまいります。

○高橋(か)委員 七月にまとめられるという評価委員会報告書は、非常に重要なものだと思います。評価委員会訪問対応は、立候補ファイルの提出に次ぐ非常に重要なミッションであると思います。これを成功裏に終えることが、東京招致実現に向けて大きく前進することになると考えます。ぜひとも、東京の強みをしっかりと伝えていただきたいと思います。
 評価委員会の訪問を目前に控え、検討を要する課題も大変多いのではないかと推察いたします。部を挙げ、局を挙げ、さらには都の有する資源を可能な限り注力することが必要ではないかと考えます。この点、先般、紹介のありました招致担当理事が着任するなど、体制がより強化されたことは安堵を覚えるところであります。
 そこで、目前に迫った評価委員会訪問対応に臨む理事の決意をお伺いして質問を終わります。

○雜賀スポーツ振興局理事 九月七日の開催都市決定までには、今回のIOCの評価委員会の訪問を含めて、IOCにプレゼンする機会が三回ございます。スポーツアコード、ANOCの総会、そしてテクニカルプレゼンテーションということであります。
 その中でも今回の評価委員会が取りまとめます報告書は、すべてのIOC委員に送付されるということで、非常に重要なものでございます。評価委員会のスケジュール、あるいはその内容等は厳格にIOCから指定がございまして、いわば我々、試験を受ける立場でございますので、そのIOCの指示に従いつつ、開催への情熱、それから我々のおもてなしの誠意というものを示す最大限の対応が重要であるというふうに考えております。
 このため、評価委員会の訪問対応に当たりましては、都はもとより、招致委員会、あるいはJOCを初め、国を含め、関係者が一丸となって、あらゆる力を結集して臨む体制を整えております。既に庁内では各局にも応援を依頼し、全庁を挙げて取り組み体制を整えたところでございます。
 また、都議会の招致議員連盟の先生方のご尽力によりまして、前回をはるかに上回る署名をいただいたということも心強い限りでございます。シティードレッシングなどによりまして、歓迎ムードを最高潮に高めて評価委員会をお出迎えするなど、東京の熱意を評価委員会に伝えてまいりたいというふうに思っております。
 人の思いとか人の心は、必ずや人に伝わるものというふうに確信しております。幸い、我々には高い評価を受けました前回の経験がございます。事前のリハーサルをこれから入念に行うなど、万全の体制で臨みまして、高い評価を得て、招致の獲得に向けて大きく前進していきたいというふうに考えております。

○伊藤委員 では、私からも、立候補ファイルとIOC評価委員会に関連して何点か質問させていただきます。今まで質疑があった部分と重複する部分もありますけれども、もう少し掘り下げて聞かせていただく部分もございますので、よろしくお願いいたします。
 立候補ファイルを、都と、また招致委員会が提出をしたと。そして、約一カ月後には評価委員会が東京に来訪されるということであります。
 このたびの立候補ファイル、しっかりクオリティーの高さを見ていただくのと同時に、実際に東京の都市としてのクオリティーの高さ、またオリンピックを開催するにふさわしい可能性をぜひ高評価していただいて招致に結びつけていきたい、このように思う気持ちでいっぱいでありますけれども、そのためにも、この東京には、ほかの都市にはない優位点がたくさんあると思いますけれども、こうした優位点を積極的にアピールしていく必要があると思います。
 先ほどの質疑とちょっと重複をしますけれども、こうした意味で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に当たって、何が東京の強みということなのか、改めて都の見解を伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 東京の強みといたしましては、まず選手村を中心とした半径八キロ圏内に多くの競技会場を配置したコンパクトな会場計画が挙げられます。
 次に、都議会を初め、国、経済界、スポーツ界などからの幅広い支援を得ていることが挙げられます。
 さらに、質量ともに充実した宿泊施設や世界一安全な治安、経済力、財政力なども挙げられると考えております。

○伊藤委員 ご答弁いただいたコンパクトな競技会場の配置、あるいは宿泊施設、治安、経済力、財政力ということが東京の強みだということで答弁があったわけでありますけれども、私は東京オリンピック・パラリンピックの同時開催、そして競技大会を開催するに当たって、ハード面、ソフト面、両面において東京の強み、私が思うにはバリアフリーの東京であるということが東京の強みであると。また、このことが非常に重要なポイントになってくるんではないかというふうに思っております。
 決してまだまだ十分であるわけではありませんので、ハード面において、オリンピック開催に向けて、選手や大会関係者のみならず、観客対応を含めた都市全体の東京のバリアフリー化や、ユニバーサルデザインのまちづくりについて、都の見解を伺っていきたいと思います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に伴いまして、世界じゅうから選手や大会関係者、観客をお迎えするに当たって、競技会場や宿泊施設のみならず、都市全体をバリアフリー化していくことは非常に重要なことであると考えております。
 東京都は「二〇二〇年の東京」計画を策定し、ユニバーサルデザインの考え方に基づき、だれもが安心して暮らすことができるような福祉のまちづくりを推進しております。
 大会が開催される二〇二〇年には、東京のすべての駅のエレベーターやスロープ、障害者用トイレの設置、すべての都営バスのノンステップ化などがほぼ完了し、現在でも高いレベルにある東京のアクセシビリティーは一層向上いたします。
 オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機に、都市のバリアフリー化がより一層進展いたしますよう、関係機関と連携して取り組んでまいります。

○伊藤委員 ご答弁いただいたとおり、東京のバリアフリー化は本当に世界トップクラスなんだなというふうに思います。この特別委員会の代表メンバーでロンドンのパラリンピックに行かせていただいた折にもつくづく思いましたけれども、確かにロンドンのまちもすばらしい、バリアフリーもそれなりに競技会場、また周辺はできておりましたけれども、まちの中心部、あるいは細部まで見ていくと、バリアフリー化、なかなかなっていない部分もありました。
 一方、東京に戻ってみると、競技会場のみならず、東京は本当にバリアフリーがトップクラスなんだなということを改めて感じたわけでありますけれども、一方で、ロンドン・パラリンピックの際には、オリンピックの後に開催されたわけですけれども、このパラリンピック競技大会に、イギリス国じゅう挙げて大変な盛り上がりであった。
 また、世界じゅうの各国の障害のある方々のトップアスリートでありますけれども、こうした方々を国を挙げて応援に来ている諸外国の姿を見て、私は逆に日本、あるいは東京は、ハード面では確かにバリアフリーはトップクラスかもしれない、だけれども、ソフトの面でいうと、障害者への理解、これはまだまだこれからだ、このようなことを痛感したわけであります。障害者スポーツの振興やパラリンピック競技大会の開催を通じて、障害者への理解をこれまで以上に深めていくことが重要であると私は考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 東京都では、昨年、東京都障害者スポーツ振興計画を策定するなど、障害者スポーツを体系的、継続的に推進しております。
 その先駆的な取り組みとして、国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会を一つの祭典、スポーツ祭東京二〇一三として今年度開催しているわけですけれども、スポーツを通じて、障害のある人とない人がともに経験を分かち合うという大きな機会となっていると思っております。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会も六十日間の連続した一つのスポーツの祭典として実施してまいりますけれども、パラリンピック競技大会において、障害のあるアスリートの挑戦を間近に見ることは、日本の人々に大きな感動を与えるだけでなく、障害者や障害者スポーツに関する理解を深める最大の契機となると、そのように考えております。

○伊藤委員 ぜひとも来月、IOC評価委員会が来訪されたときに、東京の強み、東京の魅力、これはハード、そしてソフト両面にわたるバリアフリーが東京はなされているんだというあたりも、ぜひ積極的にアピールをしていただきたい、このように思います。
 この東京の強みについて、先ほど宿泊施設についての答弁がありましたけれども、宿泊施設について、質量ともに充実した宿泊施設との説明でありましたけれども、具体的にどのような東京の強みなのか、その辺を伺いたいと思います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 大会関係者や観客が宿泊するホテルは、オリンピック・パラリンピック競技大会を開催する上で、非常に重要なインフラ施設でございます。二〇二〇年東京大会におきましては、大会の中心である選手村から半径十キロ圏内に約八万七千室、半径五十キロ圏内に十四万室を超える豊富な宿泊施設がございます。
 また、宿泊施設の数のみではなく、日本人が持つおもてなし精神など、世界的にも最高水準のすぐれたサービスを提供することができると考えております。

○伊藤委員 この宿泊施設についても十分に東京の強み、また魅力であると思います。また、大会の関係者、また応援の方々、こうした方も多く集まるわけでありますから、最高水準のすぐれたサービスの提供、ぜひこれを進めていただきたい。
 これもロンドン・パラリンピックに行かせていただいた折に、淺野副委員長が泊まった部屋は、ベランダ側のドアのノブがとれていたりとか、うまくお湯が出てこなかったりとか、さまざまエピソードとしてあるわけでありますけれども、ぜひ東京に来られた方々は、本当に世界最高の水準だったなといっていただけるような宿泊施設の確保も引き続きお願いしたい、このように思います。
 次に、治安についてでありますけれども、東京は世界一安全な国だというふうにいわれておりますけれども、治安についてはどのような強みがあるのか伺いたいと思います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 東京は諸外国と比べましても犯罪発生率が極めて低いなど、非常に安全な都市でございます。それに加えて、セキュリティー上の強みといたしまして、警察官、消防隊、海上保安官、民間警備員、セキュリティーボランティアなど、豊富なセキュリティー要員を有していること、また、サミット、APEC、IMF会議など、大規模国際イベントのセキュリティーの実績を有していることなどが挙げられると思います。
 二〇二〇年大会におきましては、警視庁、警察庁、消防庁、海上保安庁、防衛省など、各セキュリティー機関が密接に連携いたしまして、大会の安全性を確保することで、選手が安心して競技に臨むことができるというふうに考えております。

○伊藤委員 セキュリティーを初め、十分に対策はとられているということが強みであるということもよくわかりましたけれども、本当に世界の情勢を見てみると、何が起きるかわからない状況もございます。治安対策についても、さらにまた強化を進めていく必要がある、このように思います。
 続きまして、東京の強みについて、経済力、財政力についても挙げられておりましたけれども、具体的にどのような強みがあるのか伺いたいと思います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 国際的なコンサルティング会社であるプライスウォーターハウスクーパース社の二〇〇八年の調査によりますと、東京圏のGDPは世界の大都市圏で最も大きく、二〇二五年におきましても最も大きいと予測されておりまして、東京は大規模かつ活発な経済力を有しております。
 次に、二〇一二年の東京都の予算規模は十一・八兆円と非常に大規模かつ堅実な財政力を有しております。また、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金として既に四千億円以上を積み立てているところでございます。
 東京の大規模かつ安定的な経済力、財政力を背景に、大会組織委員会の国内スポンサーシップやチケット収入が確実に得られる見込みであること、競技会場施設などの大会関係施設を確実に整備できることなどが強みであると考えております。

○伊藤委員 これまでいただいた答弁から東京の強みである宿泊施設、また治安、経済力、財政力の具体的なアピールポイントについてよくわかりました。これを大いにIOC委員にアピールしていただいて、東京の計画のすばらしさを理解していただくことが重要であると思います。
 しかしながら、一部の都民の方、国民の中には、オリンピック・パラリンピックの開催には莫大なお金がかかるんではないかという懸念を持たれている方もいらっしゃいます。実際に支持率の調査、五回目の招致委員会の調査で賛成が七三%になった。これは大変に喜ばしいことでありますけれども、これに油断することなく、まだどちらでもないという方も一五%いるわけでありまして、私が実際に話したこのどちらでもないという方の中には、莫大なお金がかかるからどっちともいえないなと、こういうふうにいう人もいるわけであります。
 こうした観点から次の質問に入るわけでありますけれども、大会運営にはどのぐらいの費用がかかるのか改めて伺いたいと思います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 大会の運営主体は開催決定後に東京都及び日本オリンピック委員会、JOCによって設立される大会組織委員会となります。大会組織委員会は競技会場や選手村での運営のオペレーションのほか、開閉会式、大会関係者のセキュリティー、輸送、仮設施設の整備などを行います。
 大会組織委員会の予算は約三千億円で、その収入は主にIOCから拠出されるテレビ放映権料や国際スポンサーシップのほか、国内スポンサーシップやチケットの売り上げなど、民間資金によって賄われることとなっております。

○伊藤委員 それでは、大会組織委員会の予算には都税は投入されることになるのか、また、投入されるとするとどのぐらいの金額であるのか、その辺を伺いたいと思います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 大会組織委員会の予算のうち、オリンピックにつきましてはすべて民間資金によって賄われ、都からの支出はございません。
 一方、パラリンピックにつきましては、IOCからの求めによりまして、大会運営費の半分を公的機関が負担することとなっております。そのため、パラリンピック競技大会の運営費として見込まれております約百四十億円の半分に当たる七十億円を日本国政府と東京都で負担することとなっております。

○伊藤委員 オリンピックについてはすべて民間資金によって賄われると。また、パラリンピックについては、IOCが求めている求めによって、行政がパラリンピック競技大会の運営費の一部を補助すると。つまり、パラリンピックには税金を投入することをあえてIOCがこれを求めているということでありました。
 あえて行政、税金を投入するということをIOCが求めている。この理由の一つに、これは私の思いでありますけれども、障害者のスポーツの振興につなげていく、そしてまた障害者への理解を社会全体で深めていくためにも、あえてそうしていることを私はIOCが求めているんだなというふうに理解をしております。
 最後に、大会に関係する施設整備費について伺いますけれども、この施設整備費についてはどのぐらいかかるのか、また、そのうち都で負担する金額はどのぐらいになるのか伺いたいと思います。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 大会に関係する施設整備のうち、大会のためだけに使用する仮設施設の整備費は大会組織委員会が負担をいたします。
 一方、大会終了後も活用される恒久的な大会関係施設の整備費は、整備主体が負担をいたします。恒久的な大会関係施設として整備するものは、競技会場、選手村、メディアセンターでございます。それらの大会関係施設の整備費は約三千八百三十一億円を見込んでおります。
 その整備費のうち、都が負担する費用は、夢の島ユース・プラザ、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナなどの都立競技会場及びメディアセンターの整備費として約千五百三十八億円を見込んでおります。

○伊藤委員 答弁いただいたとおり、大会に関係する施設整備費として、都の負担額は約一千五百億円ということでありました。先ほどもありましたけれども、都では、既に東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金として四千億円を積み立てており、その基金の範囲内で大会、関係施設の整備が十分可能であるというということはわかりました。
 夢の島ユース・プラザ、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナなど、大会開催に伴って整備される都立競技会場は、大会が、オリンピックが終了した後、貴重なレガシーとして広く都民に利用されることで、都民のスポーツ環境が大きく向上するものであると私は思います。
 いよいよ来月にはIOC評価委員会が来日をして、二〇二〇年大会の開催計画の精査や会場視察が行われてまいります。評価委員会では、東京や日本の強みを十分にアピールするとともに、招致獲得に向けて、今後も招致機運の盛り上げに全力を挙げていただきたいというふうに思います。また、私自身も全力を挙げて、この東京招致ができるようにこれまで以上に取り組んでまいりたいという決意を申し上げて質問を終わります。

○吉田委員 私からも、立候補ファイルについて何点か質問をさせていただきます。
 私たちは、オリンピックの開催そのものに反対するものではありません。ただ、それによって暮らしや福祉にしわ寄せが行われたり、ないがしろにされたり、さらに、招致をてこにした過大な都市インフラの建設を推進すること自体に対して厳しく批判をしてきました。
 私たちが考えるオリンピックを理由とした過大都市インフラの一つが、総事業費一兆二千八百億円の外環道計画です。前石原知事はオリンピックまでに整備することを打ち出し、強引に推進をしてきました。
 ところが、今回の立候補ファイルでは、お伺いしますけれども、オリンピック関連の輸送インフラとして道路整備事業が示されましたが、そこには外環道は記載されておりません。前回の立候補ファイルの際になぜ外環道が示されていなかったのかという質問に対し、当時の担当者は、外環の整備計画が決定していないからだという旨の答弁がありました。既に外環の整備計画はご承知のとおり決定しておりますが、今回、外環道を輸送インフラに記載しなかった理由についてお答えください。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 立候補ファイルに示されている輸送インフラは、「二〇二〇年の東京」などに計画されている輸送インフラの中から、会場配置等を踏まえ、大会時に確実な輸送を行う観点から、大会に直接的に必要とされるインフラを記載しております。このため、東京外かく環状道路については記載をしていないものでございます。

○吉田委員 大会に直接に必要とされるものではないという認識だということですね。しかしながら、一メートル一億円かけて建設をする外環道に対して都民の中からも批判の声があるにもかかわらず、都は二〇二〇年、早期に東名まで開通させるということで進めているわけです。
 それならば、あえて二〇二〇年完成に向けて、通常の事業スケジュールを圧縮し、しかも、事業費を賄うために、有料道路事業でありながら、事業費の大半を国と都で負担するということは、これは別の場で議論すべき課題ですけれども、検討されるべきだというふうに私は思います。
 さらに、私たちが浪費的な投資としてただしてきた事業の一つとして、石原知事が前回のオリンピック招致で打ち出した羽田-築地間の地下トンネル道路計画があります。推計でも一兆円になるんではないかということを指摘し、この中止を求めてまいりましたが、今回の立候補ファイルでは、輸送インフラに関連する既存計画は進めるけれども、新規事業はないという旨の記載になっています。そうすると、石原前知事が打ち出した羽田-築地間の地下道路計画はどのようになっているんでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 先ほども申し上げましたとおり、立候補ファイルに示している輸送インフラは、「二〇二〇年の東京」などに計画されている輸送インフラの中から、大会時に確実な輸送を行う観点から大会に直接的に必要とされるインフラを示したものでございます。このため、ご指摘の路線は記載をしておりません。

○吉田委員 結論的にいえば、この路線も必要ではなく、事業化はしないということですよね。一切記載がありませんから、他の新規事業はすべて行わないということで認識をすれば、前知事が打ち出した中では、多摩と新宿を結ぶいわば弾丸道路ともいわれる多摩新宿線もありましたけれども、これも記載がなく、事業化なしということで確認をしておきたいというふうに思います。
 続いて、今もお話がありましたが、オリンピック・パラリンピック開催準備基金、利子分も含めれば、たしか四千百二十六億円になっていると思いますが、この扱いについて質問をさせていただきます。
 そもそも当初、開催準備基金として一千億円を積んだ根拠、あるいは想定していた使途はどのようなものだったのか、そして、現時点で立候補ファイルが策定されて計画が事業費ベースでも具体化されましたけれども、この現段階で具体的な使途と、その使途額についてお答えをお願いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金条例によりますと、この基金はオリンピック・パラリンピック開催に関連する社会資本等の整備に要する資金に充てることを目的としております。オリンピックに関連して実施される事業のうち、競技会場や選手村、メディアセンター、また、オリンピックに関連して行うべきインフラ整備など、社会資本等の整備に要する資金に充当することを想定しております。
 オリンピック開催に万全を期すためには、早い段階から負担の平準化に取り組むことが安定した財政運営に資することになるという観点から、基金の設立段階において、できる限り多くの額を積み立てることが望ましいと考えたものでございます。こうした点を踏まえつつ、現実にどの程度の積み立てが可能かを考え、平成十八年度予算から四年間にわたり毎年一千億円を積み立てたものでございます。
 お尋ね、もう一点でございますが、基金の使途につきましては、今申し上げましたように、オリンピックに関連して実施される事業のうち、競技会場や選手村及びメディアセンター、また、オリンピックに関連して行うべきインフラ整備など、社会資本等の整備に要する資金に充当することを想定しておりまして、現時点におきましてもこの考え方に変わりはございません。

○吉田委員 基本的な考えはもちろん変わっていないんでしょうけれども、ここまで計画が具体化されたわけですから、具体的に使途と額というものはある程度明確にされていく必要があるのではないかなということで質問をさせていただきました。
 基金の理由として、負担の平準化をするという必要があるという点で考えれば、確かに競技場等は開催が決まったら集中的に整備をするということになりますから、その理由としては成り立つというふうに思います。
 しかし問題は、それ以外に何に使うのかと。一般的に社会インフラという点ですけれども、それでお伺いしますが、立候補ファイルで輸送インフラとして具体的な事業が明らかになりました。道路関係でいえば都道八本、駅一カ所、そして首都高二本ということが示されましたが、これらの整備事業が基金の投入対象ということなんでしょうか。ご答弁をお願いいたします。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 現時点では基金の活用については未定でございます。

○吉田委員 ここまで来ながら未定というのは非常に理解しにくいわけですけれども、それで改めてお聞きしますが、競技会場の場合は、開催が決まらなければ、新規建設は基本的に整備しないというふうに聞いておりますけれども、ファイルに記載された今の道路事業の中で、招致が決定しなかった場合は中止、ないしは完成年度をおくらせるというふうな事業はあるのでしょうか。お答えください。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 オリンピック開催時に利用する輸送インフラは、既に「二〇二〇年の東京」などに定められており、オリンピック招致実現の有無にかかわらず整備するものでございます。

○吉田委員 そうしますと、もちろんこれらの道路は何らかの形でオリンピックとかかわるものではあるかもしれませんが、今の答弁だと、オリンピック招致の有無にかかわらず整備をするということですよね。これまで都が従来から計画的に、その賛否は別にしても進めてきたと。こうした事業まで基金の対象にするという点については、私は納得することはできません。
 さらに、このような道路事業の残事業費がどれだけあって、一体、実際の東京都の負担はどの程度になるのかということで資料をお願いしましたが、都負担についてはさまざまであるという理由で、資料として提出していただけませんでした。また、実際の残事業費等、都の実際の残負担というのはどの程度あるのかということについても明確に示されておりません。
 そこで、例えば一般の都道の場合には、五十数%の国の交付金、補助金を受け入れる可能性は極めて大ですが、最終的には未定です。しかし、首都高速道路の場合には東京都負担というのは極めて明確だというふうに私は思います。
 それで具体的にお伺いしますが、最大の事業費が計上されている首都高速中央環状品川線、残事業費、資料で示された表でも二千百億円というふうになっています。ただ、この事業は、予定では来年度、二〇一三年度完成予定ですね。そうしますと、東京都の残りの負担はどれだけかということになれば、来年度の予算で出資金と合併事業の事業費が既に計上されていますが、それはどの程度の金額になっているんでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 立候補ファイルに示しておりますのは、所管局から残事業費について聞いたものでございます。私どもは、必要としていたデータとしてその事業費を聞いたものでございます。ご質問の数字については把握をしておりません。

○吉田委員 これは建設局と都市整備局二つにそれぞれ計上されております。出資は、これは都市整備局、合併施行は建設局ということになっていて、合わせて来年度予算原案では百四十五億八千万円というふうに聞いています。
 品川線でいえば、出資金だけでなく、合併方式として一本分は丸々都が施行するという形で、極めて過大の都負担で強引に進められているものでありますし、しかも来年度で既に完了するということになれば、先ほど基金が事業負担の平準化のためだということで説明がありましたけれども、そういうことならば、開催準備基金四千億円余をこうした事業に投入する必要性というのは改めてないと思いますし、また、他の道路についてもそうしたことがいえるのではないか。
 これは意見として申し上げますけれども、そもそも準備基金は本来、これを積まなければもっと都民施策に回すことができる財源を、あえて削って準備基金に回し温存してきたということになります。当然ですが、四千百二十六億円という金額は決して小さなものではありません。例えば、鳥取県の一年間の一般会計の予算よりもはるかに多く上回るものであり、高知県等の予算額にも匹敵をするというものだと思います。
 他の基金の場合もそうですけれども、私は、暮らしや防災など、都民から施策の拡充を求める声が広がっているもとで、この一千億円に、しかも、先ほどの質問に対しても具体的な使途について現段階でも示すことができない。ただ多く積んでおいた方がいいということかもしれませんが、この一千億円に指一本も触れない、取り崩しはまかりならないということは、やはり見直すべきだということを強く求めておきます。
 次に、地震への対応について先ほどもちょっと議論がありました。もちろん、地震への対応というのは、オリンピックの開催の有無にかかわらず万全な対応が求められていることはいうまでもありません。ただ、世界のアスリート関係者が集い、国民が集まる事業を計画する場合に、地震の切迫性をどう認識し、どう対策をとるのか、特別に重大な課題だと私は思います。
 招致本部として、東京を直撃する地震の切迫性についてどのように認識しているのか。可能性という点で見れば、開催前にも大規模地震が起きる可能性というものは否定できないと思いますが、この認識と対応について改めてお答えください。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 オリンピック開催の有無にかかわらず、地震、津波、水害などの自然災害に備えて防災対応能力を高め、世界に誇れる安全な都市を実現することが重要であると認識をしております。

○いのつめ委員長 吉田委員、今対応まで伺いましたか。

○吉田委員 はい、対応まで聞きました。

○いのつめ委員長 福田部長、対応についてお答えいただきましたか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 大変失礼いたしました。都市の防災機能を向上させるさまざまな施策に加えまして、二〇二〇年東京大会では、大会関係施設の耐震性能の向上や盛り土、防潮堤の設置など、万全な震災対策を講じてまいります。

○吉田委員 今の、極めて一般的な答弁だったと思うんですよね。東京を地震が直撃する切迫性ということは、もうこれはいうまでもなく明白な、さまざまな分野で指摘をされていることです。
 先ほど懸念を払拭するという話がありましたが、懸念は現実に存在しているんです。問題は、それに対してどう対応するかということをセットで示すことが必要であって、懸念はない、懸念はないということは、私は正確な事実に反するものだというふうに思います。
 ご承知と思いますが、文科省は南関東でマグニチュード七クラスの地震が発生する確率は三十年以内に七〇%というふうに指摘をし、さらに東日本大震災によって切迫性が高まっているということがさまざまな専門家によって示されています。都の被害想定も、これを重視して、具体的になぜ三十年以内に七〇%なのかということが記載されています。
 しかも、都の防災会議で地震部会の責任者として被害想定をまとめた学者の方は、マグニチュード七クラスの地震は南関東で平均二十八・三年に一度起きる、直近では一九八七年の千葉県東方沖地震、ことしで二十四年が経過するわけですが、だから高い確率で南関東に地震が起きる可能性があるということは肌感覚としてご理解いただけるというふうにあるビジネス誌のインタビューに答えておりました。さらに、東京都の被害想定では、関東大震災から七十年余が既に経過をしているということも切迫性の理由として挙げています。
 問題は、対策強化とともに、実際に地震をめぐる情報、被害想定、都の対策など、正確にIOCに情報提供を行うことは、私は招致をする側の責任だと思いますけれども、IOCに対してどのように情報提供を行ってきたんでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 今回の立候補ファイルはIOCからの質問に回答するものでございますが、その中には地震や津波に関する質問はございませんでした。
 しかしながら、国内外を問わず、来訪するすべての方々が安全に過ごせることが重要と考えまして、特につけ加えたい項目の中で、東京都の耐震対策の取り組みや津波への安全性などを記載したところでございます。

○吉田委員 耐震対策の取り組み、津波についての見解は、IOCの質問はなかったけれども、確かに立候補ファイルにつけ加えられていることは承知をしています。さらに、申請ファイルでは、リスクについて関係当局による分析を示してくださいという問いがありました。その一つとして地震も挙げられています。
 しかし、国の文科省が三十年で七〇%という具体的な事実、危険性を指摘し、切迫しているという認識がありながら、申請ファイルにも立候補ファイルにもそうした記載は全く具体的には示されていないということは、私は見過ごすことができません。
 さらに、今回の立候補ファイルでは、今述べられましたけれども、地震への備えのところで、日本の場合には新耐震基準があって、それがいかに効果的かということしか書かれていないんですよね。地震の切迫性ということを抜きにして。しかも、その新耐震基準がいかに効果があるかという記載の中で、次のように書かれています。
 その後発生した兵庫県南部地震や二〇一一年の東北地方太平洋沖地震などの大地震において、倒壊を免れ、軽微な損傷にとどまった建築物によって証明されたというふうに記載されていますが、この新耐震基準の建物は倒壊を免れ、軽微な損傷にとどまったというふうにIOCに説明した具体的な根拠はどこから持ってきているんでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 平成七年阪神・淡路大震災建築震災調査委員会中間報告や東日本大震災に触れている国の報告書では、新耐震基準を満たさない昭和五十六年以前の建物に被害が集中していることが報告をされております。このことから立候補ファイルでは、ご指摘のような記載をしたところでございます。

○吉田委員 もちろん昭和五十六年の新耐震以前の建物に被害が、どちらが多かったかといえば、多いのはそれは明白なことなんですよ。問題は、立候補ファイルで、新耐震基準の建物は倒壊を免れ、軽微な損傷にとどまったという記載をしていることは、私は記載としては極めて不正確な記載ではないかということを指摘したいんです。
 私も今紹介があった阪神・淡路大震災の中間報告を読みました。しかし、私が読んだ限りにおいては、この新耐震基準の建物でも、倒壊または崩壊は新耐震基準の建物の中の一五%、また大破は二四%というふうに記載されている箇所を読みました。したがって、立候補ファイルの新耐震の建物は倒壊を免れ軽微な損傷というのは、私は正確さから逸脱しているということを指摘せざるを得ません。
 さらに、東京都の被害想定を策定する過程で、震度に応じた旧耐震、新耐震、木造、非木造のどの程度の倒壊が起きるかという計算方式を示していますが、東京都の被害想定でも、新耐震で、かつ非木造、そして震度七の場合は、全壊が二〇・二%、半倒壊が四三・三%というふうに推計しているんです。したがって、東京都自身の被害想定の根拠から見ても、私はこの記載は不正確だというふうにいわざるを得ません。
 また、資料を出していただきましたけれども、競技施設等の建物そのものはもちろん耐震化の努力はされるでしょう。しかし、競技場が集中する臨海部、東京湾湾岸地域全体の耐震性がどう保証されるのかということもきちんと見ていかなければなりませんが、きょう出していただいた資料を見ていただいても明らかなとおり、臨海部を初め、東部低地帯の場合には、この資料ではPL値が五以上で液状化の危険がやや高い、あるいは高いという地域になっていますから、建物が耐震基準を満たしているから安全だということも、短絡的に結論を出すことはできないというふうに思います。
 これはオリンピックの有無にかかわりませんけれども、改めて地震に対する備えを真に万全なものにしていくことが求められていると思いますし、さらに、先ほども指摘しましたが、懸念そのものは現実に存在するわけですから、これを意図的に消すようなことではなく、地震をめぐる正確な情報、被害想定、そしてそれに対して東京都がどう対策をとっているのかという総合的な情報提供を行うことがやはり東京都の国際的な責務ではないかということを重ねて主張いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○山内委員 私からも幾つか質問させていただきます。昨年のロンドン・オリンピック開催直前、タクシー運転手が観光名所でデモを行ったことが話題となりました。市内の幹線道路などの車線がオリンピック専用レーンになることで、道路が混雑することへの抗議であったと報道されていました。
 今回の立候補ファイルによりますと、約三百十七キロメートルのオリンピックレーンを設置することになっています。そこで、オリンピックレーンはどのような利用をするのかお伺いいたします。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 オリンピックレーンとは、選手、IOC委員、メディアなどの大会関係者の円滑な輸送を目的として、大会期間中に道路上の一車線以上をオリンピック関係車両専用に利用する車線をいうものでございます。

○山内委員 市民生活への影響を少なくすることが必要と考えますが、その対応についてお伺いいたします。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 ご指摘のように、大会開催時にはオリンピックレーン導入に伴う市民生活への影響を最小限に抑えることが重要であると考えております。
 このため、関係機関と連携し、一般車両の都心部への流入抑制などの交通需要マネジメントを実施してまいります。具体的には、広報キャンペーンを通じた代替ルートの利用の奨励や公共交通機関の利用を促進する施策の実施などを行ってまいります。

○山内委員 オリンピックレーンということですけれども、鉄道等の公共交通のさらなる混雑とか、あるいはルート変更などで生活道路への通過交通の流入などということが懸念されていると思います。大会関係者の円滑な輸送を優先する余り、一般の、庶民の、そして市民たちの救急車両等、市民生活への悪影響が出ないことを要望しておきます。
 次に、市民生活への影響という観点から、オリンピック病院についてお伺いいたします。
 オリンピック病院とは何か教えていただければと思います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 オリンピック病院でございますが、選手やIOC委員などの大会関係者向けにあらかじめ指定する病院のことでございます。
 オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に当たりましては、競技会場には医務室、また選手村に総合診療所を設置いたしますが、そこでは提供し切れない医療ケアが必要だった場合に、患者をオリンピック病院に搬送して処置を行うと、そういうものでございます。
 今回、立候補ファイルの提出に当たりましては、聖路加国際病院、都立墨東病院など東京会場向けに十病院、地方会場向けに四病院を選定しております。

○山内委員 選手、国際競技連盟、国内オリンピック委員会、国際オリンピック委員会関係者のための病院ということになるんでしょうか。オリンピックファミリーと呼ぶのだそうですけれども、関係者のための病院ということですよね。
 しかし、申請ファイルでは、オリンピックは二〇二〇年の七月二十四日から八月九日、パラリンピックは八月二十五日から九月六日となっております。そのころ、日本の場合には高温多湿で、日本の夏というのは出場選手だけ、またオリンピックファミリーだけではなくて、観客にとっても過酷な時期であります。
 以前も私も質問させていただいたかと思いますけれども、熱中症等の対応も求められるのではないかと思っております。一般の観光客、市民のそういった対応とかというのがおろそかにならないように、そういったことも考えていただきたいと思います。
 次に、カヌーのスラロームの競技の会場予定地についてお伺いいたします。
 二〇一六年の招致に引き続き、二〇二〇年招致の立候補で、江戸川区の都立葛西臨海公園にカヌーのスラローム競技場を建設する予定となりました。そこで、江戸川区議会や日本野鳥の会から会場変更の要望があったと聞いております。その後、都は日本野鳥の会と協議を行ってきたと聞いていますが、にもかかわらず、今回の立候補ファイルでも変更は行われませんでした。
 計画では、公園内にある鳥類園、水族園、大観覧車、ホテル施設などを除く地域の約半分を競技施設にするといいます。スラロームという急流下りの競技場を東京湾に建設するとなると、開園以来二十年という時間をかけて築き上げた自然環境を破壊することになります。
 土壌、植生も豊かになり、海、池、湿地、草原、林などの変化のある環境に恵まれ、多様な生態系が形成され、地盤沈下をようやく乗り越えて、東京二十三区では絶滅危惧種に指定されている生物二十六種も生息する自然環境となり、自然観察や文化活動、漂着ごみを減少させるNPO活動などの市民活動も盛んに行われ、都民の憩いの場にもなっているところです。
 オリンピック終了後もカヌーやラフティングの施設として残すという計画は、改めて開発優先か、自然保護かという問題を突きつけていると思います。開催都市決定後に会場を変更することは可能なのか、また、過去の事例についてお伺いいたします。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 カヌースラローム会場につきましては、効率的な運営を可能とする選手村からの近さや国際競技団体が要求する施設基準、また、大会後、都民が水辺に親しめる施設とするのにふさわしい場所であることなどを考慮いたしまして、葛西臨海公園を計画地として選定いたしました。
 本件につきましてはさまざまなご意見をいただいていることも踏まえまして、整備に当たりましては、計画地内にある主要な樹木については可能な限り園内に移植するなど、公園の緑や野鳥などに極力影響の少ない整備計画とする方針でございます。
 お尋ねのオリンピック開催決定後の会場変更につきましては、例えば二〇〇八年、北京大会のトライアスロン会場や、昨年開催されたロンドン大会のバドミントン、新体操会場など変更が行われた例もございますが、IOCは該当する国際競技連盟とIOC理事会の承認を条件としておりまして、あくまでも例外的なものと考えております。

○山内委員 例外とはいえ、過去の事例というのをお伺いできたことはありがとうございます。
 東京都はスポーツの持ついやし、団結させ鼓舞する力を招致のビジョンとして掲げています。しかし、メダルを確保することばかりに過剰になっていることが選手への負担、関係者への負担となって、人権を無視した行動を招いてはいないでしょうか。女子柔道の日本代表選手が監督のパワハラを告発した事件は、勝つことよりも参加することがオリンピックの精神だったころとはかなりかけ離れてしまったと改めて感じざるを得ません。
 東京招致への影響が懸念され、IOC評価委員会が訪問する予定の三月までに信頼を回復するよう文部省から指示が出たと聞いていますが、パワハラ問題の解決には時間がかかり、小手先ではなく、選手の思いに寄り添い、信頼の回復を目指すことが求められています。
 知事は定例記者会見でこの問題を問われて不愉快であると述べましたが、四千億円の基金を積み立てて招致を進めている東京都としても、積極的に改善策を求めていく責任があることを申し上げ、質問を終わります。

○野上委員 私の方からも、東京のクオリティーの高さについては、先ほど伊藤委員から質疑もありましたけれども、二〇二〇年の東京大会の強みとして大会期間中、選手の方々が宿泊する選手村について少し取り上げさせていただきたいと思っております。
 この選手村に関しましては、地理的にも、コンセプト的にも大会の中心となって、アスリートファーストがより徹底されているということと、もう一つは、選手村の敷地面積が前回の三十一ヘクタールから一・四倍に当たる四十四ヘクタールに増加し、練習スペースなどを配置できたと、アスリートにとってよりよい環境になったということが挙げられると思います。
 この選手村は民間資金を活用して開発していくということでございますけれども、この整備内容について都の見解をお伺いいたします。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 立候補ファイルにおける選手村の整備スキームでございますが、選手が大会期間中に滞在する宿泊棟は、大会後も使用する恒久的な施設として民間の開発事業者がみずから資金調達して整備をいたします。メインダイニングやオリンピックビレッジプラザなど、大会時に一時的に使用する仮設施設につきましては大会組織委員会が建設を行います。
 都は、事業者の公募から建設段階まで責任を持って管理し、選手村を期間内に確実に完成させてまいります。

○野上委員 今のあれで、選手村は民間資金を活用して整備していくということがよくわかったと思います。
 次に、選手村の予定地であります晴海地区などの臨海部は、先ほども質疑がありましたけれども、地震による液状化の心配が予測されておりますが、選手村や競技会場等の施設整備の対策について都の見解をお伺いいたします。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 選手村や競技会場の選定に当たりましては、選手に移動による負荷をかけないコンパクトな会場配置とすること、必要十分な敷地面積を確保できることなどから立地を選定したところでございます。
 選手村や競技会場などの大会関係施設の整備に当たりましては、事前に地盤調査を十分に行い、必要に応じて地盤改良やくいの打設など、液状化対策を適切に実施してまいります。

○野上委員 ただいまの答弁からは、選手村などの整備に当たっては適切な液状化対策がなされていることがわかりました。地震による液状化の懸念があるからといって、オリンピック・パラリンピック競技大会を開催することができないといっていたら、すべてのイベントが開催できなくなってしまいます。むしろ、二〇二〇年東京大会を契機に「二〇二〇年の東京」で掲げている防災対策を積極的に推進し、都市としての防災能力を高めていくべきではないかと考えます。
 次に、オリンピック・パラリンピック競技大会では、大会終了後のレガシーが重要となります。大会終了後、選手村の利活用について都の見解を伺います。以前にも少し質疑をしておりますけれども、つくったものを壊してしまうのは非常にもったいないという観点でいかがでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 立候補ファイルでは、選手村の宿泊棟につきましては、先生ご指摘のように、壊さずにそのまま使うということで、主として定住型の住宅となり、一部はスポーツや教育などの面からさまざまな人が集い、交流する国際交流の拠点として利用することを想定しております。
 また、晴海ふ頭の先端には緑地が創出され、二〇二〇年大会の開催を記念する都民に開かれた公園とする計画でございます。
 大会のレガシーとなる視点を十分踏まえて、東京の中心に位置する立地にふさわしく、環境にも配慮した都市居住のモデルとなるよう検討を行ってまいります。

○野上委員 もう一つ、東京、日本の強みとしては、薬物禁止、いわゆるアンチドーピングに関する取り組みが挙げられます。先月、ドーピング違反で国際自転車連合から永久追放処分を受けたアメリカのランス・アームストロング氏がテレビ番組で薬物使用を告白したことが話題となっております。
 スポーツにとって正々堂々、フェアプレーで戦うことが最も大切であると考えておりますが、二〇二〇年の大会に向けてアンチドーピングに積極的に取り組むことが重要であります。
 そこで、日本のアンチドーピングに関して、具体的な強みについて都の見解を伺います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 日本はスポーツにおけるドーピング防止に関するコペンハーゲン宣言に最初に署名した国の一つでありまして、アジア地域を代表して、WADA、世界アンチドーピング機構の常任理事国に就任するなど、アンチドーピング活動に関して世界のリーダー役を果たしております。
 日本の国際アンチドーピング機関であるJADA、日本アンチドーピング機構は、ドーピング検査員の養成、実務研修の実施などを国内はもとより、アジア各国に対して行っております。とりわけ国内では、検査による取り締まりだけでなく、教育によってドーピング自体を根絶することを目指し、アスリートに対する教育はもちろん、高校の学習指導要領でドーピングに関する記述が盛り込まれまして、平成二十五年度から実施されることになっております。
 また、アジアで初めてWADA、世界アンチドーピング機構の認定を受けました東京ラボラトリーは、世界で約三十しかない認定の試験所の中でもトップクラスの検査能力を誇っております。
 以上のように、日本は国内はもとより、アジア、世界のドーピング防止に大きな貢献を果たしておりまして、三月のIOC評価委員会におきましても、こうした点をご理解いただけるようアピールしてまいります。

○野上委員 日本ではドーピング防止に関する取り組みが積極的に行われておりまして、二〇二〇年大会招致においても大きなアピールポイントになることがわかりました。
 また、選手の健康管理上、都内においても受動喫煙の防止が求められると考えております。過去の開催都市に関しまして少し話させていただきますと、一九九二年のバルセロナでは、この国は受動喫煙防止条例が制定されておりまして、以下、一九九六年のアトランタ、二〇〇〇年のシドニー、そして二〇〇四年のアテネ、これは四都市ともすべて受動喫煙防止条例の制定がなされておりました。
 二〇〇八年に関しましては、落ちたパリ、イスタンブール、大阪は、その時点では受動喫煙防止条例が制定されておりませんで、北京とトロントは制定がなされておりまして、最終的にはこの時点では北京が決定をいたしました。
 また、二〇一二年におきましても、落ちたのはパリ、それからマドリード、モスクワ、これは受動喫煙防止がなされておりませんでした。ロンドンはこの受動喫煙防止条例が制定をされておりました。
 また、二〇一六年の大会のときには、東京、マドリードは受動喫煙防止がなされておりませんで、シカゴとリオデジャネイロはもう既に受動喫煙防止がなされておりまして、シカゴとリオデジャネイロではリオが勝ったと。
 最後、今回は二〇二〇年なんですけれども、既にマドリード、イスタンブール、これは、マドリードは二〇一一年の一月に受動喫煙防止条例が施行されております。また、イスタンブールは二〇〇九年七月に施行されておりまして、まだ施行されていないのが東京だけなんですね。そういった意味で、受動喫煙防止条例の制定がオリンピックには大変不可欠ではないかと。
 過去におきまして、一九九二年以降、オリンピックを開催した都市はすべて罰則つきの条例が制定されておりますが、罰則あるなしにかかわらず、日本以外の候補地はもう既に条例が制定されておりますので、受動喫煙防止条例に向けての動きですか、そういったものが大事ではないかなというふうに思っております。
 特に、二〇〇三年に世界保健機構、WHOの総会で、たばこ規制枠組み条約、FCTCが、たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが死亡や疾病、障害を引き起こすと科学的証明によって明白に証明されていることを明らかにした上で、たばこの需要を減らし、たばこの煙にさらされることを防ぐための措置を求めているということで、日本も実は翌年にこの条約に署名しているんですね。条約に定められた措置を講じる義務と責任を有しているということでございます。
 遅くても、九月までに受動喫煙防止条例制定に向けた対応がオリンピック招致に大変有効ではないかと思っております。約九千人のデータによります、東京都民の約七六%が受動喫煙防止条例の制定に賛成をしておりまして(「オリンピック支持率より高いじゃないか」と呼ぶ者あり)そうなんです。約六〇%の東京都民は飲食店で不快な思いをしたという回答も寄せられておりますし、また、七四%の東京都民は受動喫煙防止条例の制定で住みやすくなると回答をしております。
 ですから、WHOとIOCが合意している内容や、FCTC批准国としての責務をかんがみると、受動喫煙防止条例対策がオリンピック招致においては非常に重要な要因だと考えられます。オリンピック招致のタイミングでは、WHOとIOCの精神を尊重して、受動喫煙防止対策に取り組んでいることはアピールポイントになります。
 市場調査の結果においても、受動喫煙防止条例の制定が喫煙者を含め、東京都民にとって肯定的であるということが示されております。また、飲食店において、たばこにより不快な目に遭った都民も多いですけれども、海外からの観光客は分煙の意識が高いため、たばこに関する国際的な批判も想定されます。オリンピック期間だけでも飲食店は禁煙にしてはどうかというようなことも含めて、今回、この受動喫煙防止条例の対策を提案して終わります。

○いのつめ委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○いのつめ委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後二時五十九分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る