オリンピック・パラリンピック招致特別委員会速記録第十号

平成二十四年十一月十六日(金曜日)
第四委員会室
 午後一時開議
 出席委員 十七名
委員長いのつめまさみ君
副委員長淺野 克彦君
副委員長藤井  一君
副委員長吉野 利明君
理事高橋かずみ君
理事野上 純子君
理事くまき美奈子君
山内れい子君
佐藤 由美君
伊藤こういち君
鈴木 隆道君
高橋 信博君
柳ヶ瀬裕文君
山口  拓君
たぞえ民夫君
小沢 昌也君
川井しげお君

 欠席委員 なし

 出席説明員
スポーツ振興局局長細井  優君
次長理事兼務岸本 良一君
総務部長中山 正雄君
スポーツ事業部長板垣 一典君
スポーツ施設担当部長三浦  隆君
スポーツ祭東京推進部長川合  純君
大会運営担当部長松村  博君
招致推進部長松永 竜太君
広報戦略担当部長早崎 道晴君
競技計画担当部長延與  桂君
施設計画担当部長福田  至君

本日の会議に付した事件
 二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の東京招致に向けた調査研究及び必要な活動を行う。
報告事項(質疑)
・ロンドンオリンピック・パラリンピックにおける招致活動について

○いのつめ委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック招致特別委員会を開会いたします。
 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の東京招致に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
 報告事項については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料については、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 去る九月十二日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしておりますオリンピック・パラリンピック招致特別委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりいただきまして、資料、ロンドンオリンピック大会についてをごらんください。
 まず、1、大会概要でございます。
 ロンドン・オリンピック大会は二〇一二年七月二十七日から八月十二日にかけて開催され、二十六競技、参加は二百四の国と地域が参加し、三十会場で競技が行われました。
 続きまして、2、大会の特徴でございます。
 (1)、大会後の後利用に配慮した施設でございますが、まず、大会の中心でございましたオリンピックパークは、大会後もスポーツやレジャーの中心として展開される予定でございます。
 次に、仮設方式の活用でございます。オリンピックスタジアムは、大会時には収容能力が八万人でございましたが、大会後は二万五千人に縮小が可能なように設計されております。また、水泳会場につきましては、大会開催時は収容能力一万七千五百人でございましたが、大会後は二千五百人に縮小されます。
 最後に、選手村でございます。大会開催時の収容能力は一万七千人でしたが、大会後は二千八百戸の住宅として活用される予定となっております。
 次に、(2)、大都市における観客輸送でございます。市内の発達した公共交通機関を活用し、また、トラベルカードを効果的に活用するなど、円滑な観客輸送に十分な考慮が払われておりました。
 最後に、(3)、市民参加による大会運営です。街頭や会場での来訪者の案内など、多くのボランティアが積極的に活用されておりました。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○いのつめ委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山口委員 それでは、幾つか質問させていただきたいと思います。
 この夏のロンドン・オリンピック、そしてパラリンピックは、東京と同じように高度に発達を遂げた成熟都市で開かれた大会であり、東京としても参考とすべき点が多かったのではないかと考えているところであります。
 私たちも視察をさせていただいた中で、このロンドン大会から東京は何を学び、招致かつ成功につなげていくのかをまずお伺いしたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 ロンドン大会は成熟した大都市の中心部で開催され、二〇二〇年大会の開催を目指す東京にとって大いに参考になります。
 具体的には、大会後の後利用に十分に配慮した競技施設の整備や発達した公共交通機関を活用した観客輸送などでございます。また、ボランティアの活用など、市民参加を積極的に促していた点なども挙げられます。
 今後、招致活動を展開するに当たり、先進国の大都市における大会開催のモデルとして、ロンドンで学んだ点を立候補ファイルに盛り込んでいくなど、東京の優位性を一層アピールしてまいります。

○山口委員 委員会視察を通じて、私たちもパラリンピック現地を視察させていただいたわけでありますが、当然、地下鉄、そしてタクシー、バスと、さまざまな交通機関を利用して各会場に足を運ばせていただきました。懸念をされていたような心配というよりも、非常に便利かつコンパクトにできているなという実感を私たちもしたところであります。
 こういった経験がかように生かされていくのかというのは、東京にも当然注目が集まってこようかと思いますので、ぜひ生かしていただけるようにいたしていただければありがたいなと思います。
 また、国内に目を向けてまいりますと、ロンドン・オリンピックでは日本選手団が史上最多の三十八個のメダルを獲得したことで大いに盛り上がりました。銀座でのメダリストのパレードには五十万人の観衆が集まるなど、招致機運も一気に高まったように私は感じているところであります。
 さて、そこで大変気になるのが現在の支持率なんでありますが、これはどのような状況なのか、改めてお伺いしたいと思います。

○早崎スポーツ振興局広報戦略担当部長 IOCがことし五月に発表した調査では、東京における支持率は四七%でした。オリンピック・パラリンピック招致委員会が実施した調査によると、ロンドン・オリンピック・パラリンピック大会の直後の支持率は六六%であり、十月中旬に行われた調査では支持率は六七%となっています。
 ロンドン・オリンピック・パラリンピックでの日本人選手の活躍やさまざまな招致活動を通して、支持率は一定レベルを保っていると考えております。

○山口委員 そうすると、このロンドンが立候補都市であった際の最終的なIOCの世論調査では、支持率が六八%であったと聞いておりますから、現在の東京の支持率は、ようやくその水準まで高まってきているんではないかなと今伺っていて思ったところであります。
 ロンドン・オリンピック・パラリンピック後に東京の支持率が向上し、その支持率を維持している要因として、ロンドン・オリンピック・パラリンピックの盛り上がりのほかにも、東京都を初め招致委員会の取り組みも当然あったことと思います。
 さて、オリンピック・パラリンピック後、また、スポーツの秋というこの絶好の機会にどういった活動を行われてきたんでしょうか、お伺いしたいと思います。

○早崎スポーツ振興局広報戦略担当部長 スポーツイベントにおける招致活動としては、九月にお台場海浜公園で二〇一二東京・マラソンスイミング、十月に多摩川ウオーキングフェスタ、駒沢オリンピック公園のスポーツ博覧会・東京二〇一二で行いました。また、今月には味の素スタジアムで開催した味の素スタジアム六時間耐久リレーマラソンなどの場を活用し、グッズ配布やブースでの展示を中心に招致活動を展開しました。
 さらに、スポーツイベントばかりでなく、例えば、九月から十月の間に開催した全国都市緑化フェアでは、各会場で招致PR用ののぼり旗による会場装飾を行ったほか、海の森の会場では、ロンドン・オリンピックで活躍されたメダリストを招いて招致イベントを開催し、招致実現に向けて力強いメッセージを発信していただきました。
 こういった人出の多い機会を活用した取り組みにより、大勢の参加者へ招致活動をPRできたことに加え、積極的にマスコミへの働きかけを行い、新聞やテレビなどでの露出も高めることができました。

○山口委員 ここからさらに重要なこの一月、二月にかけてどのように戦略を立てていくかというのは非常に重要になってこようかと思います。東京都を初めとした各関係団体、機関のより一層のご協力をいただきながら、支持拡大にご尽力をいただければありがたいなと思っているところであります。
 さて、IOCが支持率調査を行うといわれているこの十二月から一月までの期間にかけて支持率を維持向上させ、さらに、来年三月の評価委員会の訪問に向けてさらに盛り上げていく必要があると考えているところでありますが、最近、まち中においてもポスターやのぼり等が大変目立つようになってまいりましたが、都が招致に向けてどのように広報を展開していくのか、都民の広報に関する今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○早崎スポーツ振興局広報戦略担当部長 都民から幅広い支持を得ていくためには、さまざまな広報媒体を活用し、招致PRを実施していくことが重要であると考えております。このため、のぼり、ポスターなど、招致マークの掲出をさらに徹底してまいります。
 また、「広報東京都」など、既存の広報媒体を積極的に活用し、招致の意義をPRしていくとともに、電車内映像広告、街頭での大型ビジョンを活用した招致PRを今後も実施してまいります。
 今後、年末に向けて、招致機運醸成のため、さまざまな取り組みを行い、支持率向上につなげていきます。

○山口委員 東京都内で電車に乗っても、タクシーに乗っても、ありとあらゆる場面で本当にこの招致を皆さんに呼びかける、また、東京でオリンピックをぜひ開催しようといったポスター、シール、広告、さまざまなものを目にする機会が本当にふえてまいりました。
 しかし、この十二月から一月にかけての調査というものは全国で行われるものであって、今後、この全国への呼びかけというのが非常に大きなかぎを握ってくるんだろうと思います。
 この全国への展開については、都議会が率先をして各道府県及び政令指定都市に招致決議等の協力依頼を行ってきているところでありますが、その後、どのような協力が得られているのかお伺いしたいと思います。

○早崎スポーツ振興局広報戦略担当部長 招致議員連盟の先生方が活動する前においては、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック招致に向けた決議は、道府県及び政令指定都市において一団体のみでございましたが、現在、東日本大震災で被災地となった岩手県、宮城県、福島県も含めまして道府県で三十四、政令指定都市では十もの団体から決議をいただいている状況でございます。
 また、今月十三日に千葉の幕張で開催された首都圏連合フォーラムでは、首都圏全体でより一層招致機運を盛り上げていくことを宣言していただきました。
 さらに、各地域からのぼり旗の掲出や招致グッズの配布を希望する声も多く受けているところでございます。
 今後も、全国の自治体と密接に連携しながら、招致活動に邁進してまいります。

○山口委員 これは、オリンピックが開催をされるまで継続的に行っていかなければいけない努力だと思っておりますし、当然のことながら、私たちも全力で、そのために努力をしていかなければならない、また、都の皆様にも、大変大きなご負担だとは思いますが、さまざまな場面を通じて広く道府県を初めとして発信をしていただく、ご協力の要請をしていただく、ここに尽きるんだろうと思いますので、ジャパン・オリンピックと東京が大変大きな理念を掲げたその理念をご理解いただけるように、また広く努めていただければありがたいと思います。
 さて、最後にもう一点お伺いしたいと思います。昨日、新国立競技場基本構想国際デザイン競技の審査結果が記者発表され、世界各国からの応募作品の中から最優秀作品として、イギリスの建築家、ザハ・ハディドさんの作品が選定をされました。このことは国内外に発信をされ、東京招致においても大変有意義なことであると思います。また、発表された概観イメージ図は、日本を代表する新国立競技場にふさわしい斬新なデザインであると感じました。
 これから国立霞ヶ丘競技場の建てかえは、国が中心となり着実に進められるものと考えておりますが、競技場整備に向けた今後の進め方についてお伺いしたいと思います。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 今回発表された内容は、新国立競技場の施設デザインイメージを具現化したものであると聞いております。
 今後、設計につきましては、選定された建築家との契約が調い次第、そのデザイン監修のもと、来年別途公募される設計者によって、本体建物や外構等を含めた具体的な整備内容についての検討が進められると聞いております。
 この新しい国立競技場が日本を代表するスポーツ拠点として整備され、二〇二〇年東京大会のオリンピックスタジアムとなることを世界に発信し、招致活動における新たなアピールポイントとしてまいります。

○山口委員 今回の発表というものは大変大きな弾みになると思っておりますし、これからこの競技場がメーンスタジアムとしてどのように活用されていくのか、そして、どのように進化をするのかというものは、当然、東京都として私たちも注目をしているところであります。
 ありとあらゆることが想像されるわけでありますが、しっかりと前向きに今回の発表というものを受けとめ、そして、とらえられていくように、私たちも努めていかなければいけないと思っております。
 招致は何をおいても全力で協力をし、一致団結をして進めていかなければならないと思っておりますので、私としてもその思いをさらに強く思いながら、この質問を終わらせていただきたいと思います。

○高橋(信)委員 前回、九月に開催されました本委員会において、ロンドン・オリンピック・パラリンピックにおける招致活動について説明を聴取いたしました。その際に、理事者側の説明では、今後、ロンドン大会を通じて収集した情報も活用し、すぐれた開催計画を策定していく旨の発言がありました。
 私も、東京都議会オリンピック・パラリンピック招致議員連盟のロンドン・オリンピック視察団の一人としてロンドンを訪れ、大会の運営状況等について視察をしてまいりました。
 ロンドン市議会を訪問した際に、市議会議員や行政担当者からは、IOCに訴えるストーリー性、物語性が必要であるとのお話を伺いました。例えば、今回のオリンピックは初の何々、あるいは歴代一番の何々といったアピールが効果的であるとの指摘がありました。
 確かに、二〇一六年大会を開催するブラジルのリオデジャネイロは初の南米開催を掲げました。今回のロンドンでは、歴代一番の環境サステナビリティーにすぐれたオリンピックという点で訴求力があったとの評価もあります。こうしたことから、東京招致にもストーリー性づくりが必須であると感じました。
 IOC委員は初のものを好むようで、二〇一六年のリオデジャネイロの南米初の開催、ロンドン・オリンピック・パラリンピックのオリンピック史上初の水球専用施設、ウオーター・ポロ・アリーナ、オリンピック史上初の緑でないホッケーピッチ、リバーバンク・アリーナ、オリンピック史上最大の仮設会場、バスケットボール・アリーナ、オリンピック史上最も環境に配慮した大会というように、オリンピック招致のキーワードとして、最も、初めての、オリンピック史上初のが重要であると思います。
 また、在英国日本大使館を訪問した際に大使や公使から伺った話ですが、ヨーロッパでは、東日本大震災時における日本人の規律の正しさと治安のよさが評価される一方で、放射能事故により評価が下がっているとのことで、今後、日本大使館としても招致に向けて、EU各国が放射能事故についても誤解の解消と、日本の安全と安心を全面にEU各国に伝えていくとの報告を受けましたとのことでした。
 こうした貴重なお話を伺ったほかにも、カルチュラル・オリンピアード、これはオリンピック開催都市で行われる文化プログラムのことですが、その一環として開催されていたオノ・ヨーコ展示イベントを視察いたしまして、東京招致へ向けて、芸術、文化についても多くの取り組みが重要であると感じました。
 さらには、先ほども部長から説明がありましたが、オリンピックスタジアムや選手村などの施設は、大会後の後利用に配慮した施設となっておりましたし、また、ロンドン市内の充実した公共交通機関を活用した円滑な観客輸送なども、今後、東京の大会計画を策定する上で大変参考になるものであったと感じております。
 現在、来年一月七日の提出期限に向けて、大会の詳細計画ともいえる立候補ファイルの策定を進めているところと思いますが、東京の計画は、二〇一六大会招致のときも、また、今回の招致に際して二月にIOCに提出いたしました申請ファイルにおいても、ともに大変高い評価を得ておりました。例えば、世界有数の公共交通網や充実した宿泊施設、治安のよさなどが東京の優位な点として挙げられていたと記憶をしております。
 立候補ファイルは、高い評価を得た申請ファイルをベースに策定準備を進めていると聞いているので、大変すばらしいものができ上がってくるに違いないと大いに期待しているところでございます。
 しかし、各立候補都市は、当然、計画内容をブラッシュアップしてくると思いますので、油断することなく、より完璧を期すという意味で、IOCが東京の計画について懸念を示している事項についてしっかり説明していくことが重要であると考えます。
 そこで、本年五月に東京が立候補都市として選定された際に、東京の計画についてIOCから指摘を受けた事項について、具体的にどのように対応していくのか伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 本年五月に公表されましたIOCのワーキングレポートでは、東京の開催計画に対して非常に強力と高い評価がなされた一方で、市民の支持に関して強力な国内コミュニケーションプランの必要性や電力供給面のリスクなどについて指摘がなされました。
 市民の支持につきましては、これまでに積極的な盛り上げ活動を展開しており、IOCのワーキングレポートに記載された四七%の支持率から、十月に行った支持率調査では六七%にまで向上してきております。
 一方、電力供給面につきましては、現在、既に電力供給能力が需要量を上回っておりまして、大会開催時にも安定的に電力を供給する体制が整っております。
 また、大会時に競技会場などで必要となる電気量は、既存の東京電力の供給能力と比較して極めてわずかでございまして、電力供給には全く問題がないと考えております。
 さらに、競技会場などにおきましては、日本の最新の技術を活用した省エネルギー型の施設整備を行ってまいります。
 今後、来年一月にIOCに提出いたします立候補ファイルにこうした点を盛り込むほか、機会をとらえてIOCの関係者などに丁寧に説明することで、東京の開催計画に対する懸念を払拭し、一層高い評価が得られるよう努めてまいります。

○高橋(信)委員 懸念材料は、ただいまの答弁のとおり、しっかりアピールして払拭していただきたいと思います。と同時に、東京招致に向けては、東京、そして日本の強みをしっかりアピールしていくことも重要であると考えます。日本人の謙虚さを美徳とする面もありますが、IOC委員に対しては、東京の計画が一番であると自信を持って訴えていくべきです。
 例えば、古来より日本人がはぐくんできた歴史、伝統、文化、あるいは感性などは、世界に誇るべきものです。また、世界有数の先端技術を有しているのも、我が国の特徴の一つといえます。これらの両者を融合した今日の日本特有の優位性を堂々と世界に訴えていくべきだと考えます。
 また、日本人が持つホスピタリティーの精神は、世界のどの国もまねをすることのできないすばらしいものだと思います。
 こうした世界に誇るべき日本の優位性を積極的に世界に向けてアピールしていくべきと考えますが、所見を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 委員ご指摘のとおり、日本、そして東京の優位性を世界にアピールしていくことは重要なことであると認識しております。
 東京には、数百年の歴史に培われた伝統、文化の蓄積がございます。これに加えて、アニメやファッションなど、最先端の流行を生み出す先進性をもあわせ持った、世界でもまれなる大都市でございます。
 また、東京には、一日二千五百七十万人を輸送する鉄道網など、世界有数の公共交通や、選手村から半径十キロ以内に八万六千室を有する充実した宿泊施設がございます。
 国際連合の統計によりますと、人口十万人当たりの殺人事件の発生率は、世界の大都市の中で東京が最も低く、世界最高水準の治安のよさを誇っております。
 さらに、東京並びに日本各地では、数多くの国際スポーツ大会の開催実績がございまして、スポーツ大会開催に関する知識と経験は申し分ないものでございます。
 招致獲得のため、こうした世界に誇るべき東京の特性を十分に踏まえ、あらゆる機会をとらえて東京の持つ魅力を最大限にアピールしてまいります。

○高橋(信)委員 あらゆる機会をとらえてしっかりアピールしていくことをぜひお願いいたします。
 そのアピールの機会の一つとして、IOC評価委員会訪問があります。日程は来年三月四日から七日までの四日間に決まったようですが、二〇一六大会招致の際も四日間の日程で、立候補ファイルのテーマごとに計画内容のプレゼンを行ったり、競技会場を視察してもらったりしたと聞いております。
 また、迎賓館赤坂離宮で開催されました公式歓迎夕食会は、日本の文化に触れ、懇親と交流を深め、東京、そして日本の魅力を感じてもらう貴重な機会となったようです。
 今回のIOC評価委員会訪問において、歓迎の意を最大限に表現するという観点から申し上げますが、ぜひ皇室の関係者にご臨席を賜ることができれば、日本の格式を感じてもらう絶好の機会となるのではないかと私は考えます。
 評価委員会の調査結果は、評価委員会報告書として取りまとめられ、公表されるとともに、すべてのIOC委員に送付され、IOC委員が開催都市を選定する際の参考にするともいわれております。
 このように招致活動のプロセスの上で大変重要なイベントであるIOC評価委員会訪問に対して、今後、どのようなスタンスで臨むのか、基本的な考え方を伺います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 ご指摘のとおり、IOC評価委員会の訪問は来年三月に予定されておりまして、立候補ファイルの内容を検証するためのプレゼンテーションや質疑応答、会場視察などが行われます。評価結果は七月に公表の上、全IOC委員に配布されますことから、評価委員会訪問は招致活動の中でも極めて重要なものであると認識しております。
 このため、評価委員会訪問の際には、東京都、国、経済界、スポーツ界などが一体となりましたオールジャパン体制で取り組みまして、コンパクトでアスリート中心である東京の計画の優位性と大会運営能力の高さをアピールしてまいります。報告書において高い評価を獲得できるよう、全力を尽くしてまいります。
 同時に、訪問全体から、東京の都市としての魅力や細やかなおもてなしの精神など、日本の魅力を実感していただけるよう、万全の体制で取り組んでまいります。

○高橋(信)委員 立候補ファイルの策定と並行して、大変忙しい中での準備になると思いますが、IOCに対して東京の計画をアピールできる大変重要なイベントであるわけですから、しっかり対応できるよう、今から十分に準備して臨んでいただきたいと思います。
 さて、開催都市決定まで既に三百日を切りました。今月十一日が開催都市決定前三百日に当たる日であり、今週は開催都市決定三百日前記念週間として渋谷駅で記念セレモニーが実施され、三鷹市ではメダリストを招いた農業祭が開催されるなど、招致PRの各種イベントが行われております。明日は国立霞ヶ丘競技場で、ハンマー投げの室伏広治選手と子どもたちによる聖火台磨きが行われる予定とのことでございます。
 IOCによる支持率調査は、ことし十二月から来年一月の間に行われると聞いており、調査まで残された期間は本当にわずかとなっています。さらなる支持率向上を図るためには、東京都や招致委員会はもとより、あらゆる力を集結して招致機運の醸成を図ることが必要です。
 招致機運盛り上げの最終段階を迎えたこの時期において、活用できる手段はすべて活用する意気込みで都は取り組んでいくべきと考えますが、東京都の見解を伺います。

○早崎スポーツ振興局広報戦略担当部長 都が招致を獲得するためには、国内支持率の向上が不可欠であると認識しております。このため、来年開催されるスポーツ祭東京二〇一三と連携して機運醸成を図るなど、あらゆる機会をとらえて支持率向上に取り組んでまいります。
 具体的には、TOKYOウオーク二〇一二や東京スポーツタウン二〇一二など、各種スポーツイベントと連携し、招致活動を展開してまいります。
 さらに、この次の日曜日、月曜日に開催される東京ネイルエキスポ二〇一二など、スポーツ以外のイベントも活用することで、招致を支持する層のすそ野を広げてまいります。
 また、都営大江戸線においては、一編成すべてをオリンピック・パラリンピック招致の広告にしたメディアライナーが走行するとともに、都営地下鉄、りんかい線、「ゆりかもめ」、多摩モノレールなどの自動改札機に招致ステッカーを掲出していきます。
 また、東海道・山陽新幹線にも招致ステッカーを掲出するとともに、都内を走行するバス、トラック、タクシーにも招致ステッカーを張るなど、公共交通機関や民間団体の皆様と連携し招致PRを実施し、支持率の向上を図ってまいります。

○高橋(信)委員 改めて申し上げるまでもありませんが、東京は、この暮れから年明けにかけて最高の大会計画を策定してIOCに提出し、また、国内招致機運も最高潮に高めていかなければなりません。そして、年明けの立候補ファイル提出後には、いよいよ国際招致活動も本格始動することになります。
 そこで改めて、招致実現に向けて取り組む局長の決意を伺います。

○細井スポーツ振興局長 来年一月の立候補ファイル提出以降は国際プロモーション活動が本格的に開始され、招致活動は新たなステージに入ります。
 東京都への招致を獲得するためには、国内支持率の向上とあわせ、完成度の高い立候補ファイルの策定、その後の戦略的、効果的な国際プロモーション活動が不可欠でございます。
 今後は、来年一月以降開催されます国際スポーツ大会及び国際会議、さらにIOC評価委員会訪問対応などの機会をとらえまして、積極的に日本、東京の魅力を世界に向けてアピール、発信してまいります。
 また、オリンピック・パラリンピック招致につきましては、これまでも、東京都、招致委員会だけでなく、国、経済界、スポーツ界が一体となったオールジャパンの体制で取り組んでまいりました。
 今後も、都の招致推進体制に全く揺るぎはなく、オールジャパンの連携をさらに強固にいたしまして、東京招致に全力で取り組み、必ずや招致をかち取る決意でございます。

○高橋(信)委員 ただいま局長の力強い決意を伺いましたが、来年九月の開催都市決定までは、あっという間だと思います。本当に時間がありません。日本に元気を取り戻すためにも、次世代を担う子どもたちのためにも、何としてでも東京招致を実現しなければなりません。
 今回の三回目の招致に成功したロンドンの視察をいたしまして、今後、二回目を目指す二〇二〇東京招致を実現するためには、ただ単なるスポーツの祭典としてのコンパクトな開催計画ではなく、スポーツと文化の融合、すなわち、招致段階で日本らしい感性としての伝統、芸術、文化、芸能、和の文化、演劇、音楽、お祭りなどについて多くの取り組みが大変重要であり、また必要であると感じております。このことは世界じゅうのIOC委員も意識していることと思います。
 二〇二〇東京招致実現に向けて、やれることは何でもやるという気概を持って全力で邁進していただくことを強く強くお願いいたしまして、質問を終わります。

○伊藤委員 それでは私からも、ロンドン・オリンピック・パラリンピックにおける招致活動について質問をさせていただきたいと思います。
 ロンドン・オリンピック・パラリンピック競技大会では、日本人選手がまぶしいほどの活躍を見せてくれ、日本じゅうにたくさんの感動と勇気をもたらしてくれました。その感動はいまだ冷めやらず、大会直後の支持率が六六%から、この十月には六七%に上がったということでございました。これから今後、さらにこの東京招致に向けて機運の醸成が高まりますよう、私自身も努めてまいりたいというふうに思います。
 ロンドン・パラリンピック大会には、当委員会のメンバーとして私もロンドンに出張させていただき、競技大会やロンドン市内の視察、調査を行い、二〇二〇年東京大会の開催に資するさまざまな情報や知見を得ることができました。
 とりわけ、パラリンピックはイギリスが発祥の地ということもあって、障害を乗り越え、限界まで自身を鍛え上げて競うパラリンピアンが世界を舞台に活躍する雄姿とともに、想像以上に競技会場には、各国各国からは入場券が手に入らないというほど多くの観客が訪れ、選手を応援していたことが大変に印象的でありました。
 本日は、パラリンピックに焦点を当てて、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 視察の際には、都が設置したジャパンハウスなども訪問させていただきましたけれども、ここで改めて、ロンドン・パラリンピックで行われた招致活動の内容を伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 パラリンピック競技大会は八月二十九日から九月九日まで開催され、二十競技、百六十四の国と地域から四千人以上の選手が参加し、競技が行われました。
 パラリンピック期間中は、IOCのルールにより、国際プロモーション活動は認められておりませんでしたが、そうした状況の中、エクセル会場近接のホテルに設置したパラリンピックジャパンハウスでは、大会期間中を通じ、日本人観戦客など六百人以上を対象に、競技車いすの展示、体験や日本選手のメダル獲得状況の提供、映像によるパラリンピック競技の紹介や競技関連資料の配布などを行いました。
 また、すべてのパラリンピックの国際競技連盟との調整、IPC、国際パラリンピック委員会及びロンドン大会組織委員会が開催したオブザーバープログラムへの参加、大会運営状況や公共交通機関のバリアフリー等の状況の視察を行いました。

○伊藤委員 私たちが訪問させていただいたジャパンハウスでは、車いすバスケット用の車いすに試乗させていただくという大変貴重な経験もさせていただいたり、また、元日本代表経験者などと競技について意見交換もさせていただきました。
 その際、日本人だけでなく、海外の方々もジャパンハウスを訪れているようでありましたけれども、ジャパンハウスのみならず、現地でのこうした招致活動の成果はどうだったのか伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 ロンドン・パラリンピックでは、都からは秋山副知事が、都議会からはオリンピック・パラリンピック招致特別委員会の委員の先生方に現地に赴いていただくことによりまして、パラリンピックに対する都の取り組み姿勢を国内外に強くアピールすることができました。
 また、大会関係者や現地日本人の方々との意見交換のほか、オブザーバープログラムへの参加や、パラリンピックの国際競技連盟等との調整を通じまして、大会運営に関する多くの貴重な情報やノウハウを得ることができたと考えております。
 そのほかには、ロンドン・パラリンピックでは、大会組織委員会による継続的な事前の啓発活動によりまして、イギリス国民の関心が非常に高まり、パラリンピックの観客数は過去最高を記録いたしました。こうしたことから、パラリンピックに関する事前の普及啓発活動の重要性を再認識したところでございます。

○伊藤委員 私も、パラリンピックに行かせていただくということで、改めてこのパラリンピックの競技等も事前に見せていただきましたけれども、本当に申しわけないけれども、知らなかったこうした競技もたくさんあったわけでございます。
 また、現地でパラリンピック本番を見させていただく中、たくさんのことを学んだわけでありますけれども、また、都としてもパラリンピックに対する関心が高まったという今のお答えをいただきましたけれども、こうした成果を今後どのように招致活動に生かしていくのかを伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 パラリンピックにつきましては、近年、日本国内での競技開催経験が少なく、非常に情報が不足しておりましたことから、ロンドン大会での視察等を通じまして、パラリンピック競技大会に関する理解が非常に深まったと考えております。
 ロンドンで得られました貴重な情報やノウハウ、技術的なアドバイスを最大限に有効活用しまして、競技の特性に応じた会場配置や大会運営など、立候補ファイルをさらにブラッシュアップさせてまいります。
 また、来年の三月四日から七日にかけて来日いたしますIOC評価委員会でのプレゼンテーションや競技会場視察にも役立ててまいります。

○伊藤委員 ロンドン大会では、競技会場はもとより、オリンピックパークや会場最寄り駅においてはバリアフリーが進展をしておりました。しかし、ロンドン中心部においては、横断歩道の段差や、あるいは地下鉄等、駅ホームの間にかなりの段差が見られたり、また、エレベーターが設置されていない駅も多く、日本からパラリンピックに参加した選手からも移動に苦労したという話を聞きました。
 一方、東京においては、まだまだ完全とはいえないものの、ロンドンにまさるバリアフリー化が進んでいることを私は実感いたしました。東京は福祉のまちづくりを計画的に進めており、歩道の段差や信号機、公共交通など、都心部のみならず東京全体にバリアフリー化が進んでいるということを改めて海外に行って実感をした次第でございます。私は、オリンピック・パラリンピック東京招致に向けて東京が誇るべきものの一つが、このバリアフリー先進都市東京であるというふうに思いますけれども、こうしたことをもっとアピールすべきと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 バリアフリーの観点からロンドン市内を見ますと、競技会場周辺やロンドン東地区の駅などは比較的バリアフリー化が進んでおりましたが、先生ご指摘のとおり、市の中心部では、電車とホームとの間にかなりの段差が生じていたり、エレベーターが設置されていない駅も多く見られました。
 都ではこれまでも、鉄道駅へのエレベーター設置やノンステップバスの導入、駅や公共施設、病院等を結ぶ道路のバリアフリー化などを積極的に図り、ユニバーサルデザインのまちづくりを推進しております。
 二〇二〇年パラリンピック競技大会を東京に迎えるに当たりまして、都におけるユニバーサルデザインのまちづくりのすばらしさにつきまして、IOC評価委員会対応等でさまざまな機会を通じまして、IOCやIPCなどの大会関係者に積極的にアピールしてまいります。

○伊藤委員 ぜひとも、この東京のバリアフリー先進都市をアピールしていただきたい、このように思います。
 ロンドン大会では、イベントではよくありがちな、べたべたと張りつける会場図などの表示による案内はほとんど見当たりませんでした。逆に、来場者に対し多くのボランティアによる親切で真心のこもったサポートがあり、国や言語を超えた笑顔のコミュニケーションの花が随所で咲いており、まさに人によるバリアフリー化の姿がありました。
 これはスポーツ振興局からお借りいたしましたけれども、(実物を示す)これはロンドン・パラリンピックで、オリンピックも使っていたんでしょうか、ボランティアの方が全員これを持っておりまして、そのかわり表示が少ないということで、私たちが英語をしゃべれないものですから、日本語で何か聞いても、笑顔でこっちといわれたら、いわれるとおりに行ってしまうという感じでございます。
 非常に工夫してありまして、例えばトイレを聞けば、こっちというふうに、トイレがこっちにあれば、これをこうすればいいだけのことでありますので、非常に簡単なことかもしれないけれども、ただ、私が思ったのは、これもすばらしいんですけれども、これを持っているボランティアの人たちが本当に市民参加で、つまり、学生さんのような若い人たちから、恐らく、これとボランティアのジャンパーを脱げば、もしかしたら、まちのエプロンを提げたおばちゃんかなという、おじさんかなという、こういう感じの方々が、高齢者なども含めて市民参加で、こうした世界じゅうから来られたお客様を本当に親切に迎え入れてくださっていた、これが本当に印象的でございました。
 一方、残念なことに、人によっては案内や振る舞いが不十分であったなど、大会を支えるボランティアの資質と育成の重要性を痛感したものでございます。
 そこで都は、二〇二〇年東京大会を目指し、また、招致の機運を醸成していくに当たって、今後、教育庁や、あるいは生活文化局、そしてまた産業労働局などとも連携をして、今の小学生、中学生、高校生、あるいは青年たちがボランティア精神をしっかりと学べるような、そしてまた、外国語をしっかりと今のうちから身につけておく、また、江戸・東京の歴史や文化、さらには東京観光の魅力などを学ぶ取り組みを行って、都として計画的に、資質と教養を備えた、仮称でありますけれども、マルチボランティアを育成していってはどうかと提案をしたいと思います。見解を伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 ロンドン大会では、学生から年配者まで幅広い年齢層の数多くのボランティアが、最寄り駅から会場への道案内やセキュリティーチェックを行うなど、大会運営におきまして重要な役割を果たしておりました。
 都においても、東京マラソンで給水所運営や交通整理などで約一万人ものボランティアを活用するなど、実績を積み重ねております。
 二〇二〇年東京大会では、若者や学生を含めボランティアの活用が大会運営上、極めて重要であると認識しております。このため、大会組織委員会が質の高いボランティアの育成を計画的に実施してまいります。
 その際には、先生ご指摘の担当業務のみならず、東京の歴史や文化、観光なども紹介できるようにし、日本ならではのホスピタリティーあふれる大会を実現してまいります。

○伊藤委員 ロンドンでは日本大使館を訪問させていただきまして、大使との意見交換をした際に東京招致のポイントを聞きました。そのときに大使がおっしゃっていた一つに、開催後に日本が世界に貢献できるレガシーを世界へアピール、レガシーをアピールできるようなことを一つに挙げておりました。
 私が先ほど申し上げた江戸・東京のもてなしの心を備え、そして資質と教養を備えた、仮称でありますが、マルチボランティアなどの人材は、人による東京オリンピックレガシーとして、将来にわたって、国内外で世界平和のために活躍することができると思います。
 ボランティア育成も着実に推進をしていただきながら、何としても二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが実現できるよう、私も、都とともに頑張っていくことを申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。

○たぞえ委員 それでは、質問いたします。
 石原慎太郎前都知事は、二〇一六年オリンピック東京開催に落選した直後に、私の都議会本会議代表質問に答えて、また他のさまざまな場でも、再挑戦については、都民、国民の意向を十分そんたくし、東京として結論を出していくと述べていました。
 にもかかわらず、昨年六月に、突然トップダウンで二〇二〇年の夏季オリンピックへの立候補を表明しました。そして、知事は、オリンピック招致という戦いに望む限り勝たなかったら意味がない、東京は汗をかいて血みどろになって金をつくるし、施設もつくると決意を述べられていました。
 しかし、ことし四月以降は、専ら都政の仕事ではない尖閣諸島の購入などに熱中して、ロンドン・オリンピックでの招致活動などを行うための出張は直前にキャンセル、あげくの果てに知事を辞職し、都政を投げ出してしまいました。
 しかも、九月七日の招致委員会のイベントの際、石原氏は、総力戦で五輪招致をかち取りたいと述べていたにもかかわらず、辞任表明の記者会見では、オリンピックの主催者はJOCであって、体育協会であって、首長の出る幕がほとんどないんだと立候補の都市の首長とは思えない発言をしていました。
 石原前知事がトップダウンで二〇二〇年招致をいっておきながら、任期途中で都政を投げ出したことについて、無責任だという都民の声がありますが、どう受けとめているでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今回の招致活動では、既に国や経済界、スポーツ界などが一体となり、オールジャパンで取り組んでおります。このため、今後の招致活動に対しては大きな影響はないものと考えております。

○たぞえ委員 オールジャパンといっても、きょうは衆議院の解散・総選挙と、そして政権がどうなるのか、都の首長もかわる。まさに国政も都政もがたがたな状況です。オールジャパン体制だといっていても、今、国の政治も都の政治も事態は深刻な状況に置かれている。
 そればかりか、二〇二〇年オリンピックを東京に招致するということについても、当初は震災復興のためとか、ところが、それは海外向けのアピールが弱いという話になって、とにかく夢が必要なんだなど文字が躍り、定まっていません。
 最近、招致委員会がつくったパンフレットには、東京開催の意義について、巨大マーケットの創出、世界における日本のプレゼンス向上、オリンピック・パラリンピックの力で被災地支援、東京の次世代都市化を加速、こういう言葉が挙げられて、オリンピックを手段として開発促進剤にしていこうという意図が見え隠れしています。
 今、都民、国民が本当にオリンピック招致を必要としているのかが問われていると私は思います。
 二〇二〇年オリンピック招致の今後は新しい知事にゆだねられます。こういうもとで、都としてどうするんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 国や経済界、スポーツ界など、各界の代表者から成ります招致委員会の評議会を初め、オールジャパンで取り組む体制が既にできております。新しい知事のリーダーシップのもと、引き続き、東京都や招致委員会を初め、各界の総力を挙げて取り組んでまいります。

○たぞえ委員 二〇二〇年オリンピック招致については、本当に今のまま突き進んでいいのか、新しい知事のもとで都民参加で再検討すべきであることを申し述べておきたいと思います。
 次に、ロンドン・オリンピック・パラリンピックにおける招致活動にかかった経費、都費ですけれども、これは幾らでしたか。そのうち、ジャパンハウスでの活動にかかった経費は幾らでしょうか。示してください。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 最終的な経費は、現在、精査中でございますが、職員の出張旅費や事務経費など、概算で約一億三千万円でございます。
 また、ジャパンハウスについてでございますが、これはJOCが設置したものでありまして、都はこの中で大会開催計画を紹介する招致PRブースを展開いたしました。これにかかる経費は約四千五百万円でございます。

○たぞえ委員 これには、先ほど申し上げた知事の出張のキャンセル料金や代理で出張した猪瀬副知事の旅費なども含まれていたわけですね。ということでよろしいですか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 含まれております。

○たぞえ委員 それでは、次に支持率についてです。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック招致委員会は、この間、ロンドン・オリンピック閉会後の八月と先月十月の二回にわたって電話による支持率調査を行い、結果を発表しました。八月の調査では支持率六六%、十月は六七%ということでした。
 そこで伺いますが、今回の調査は何人に聞いたのか、また回答者の年齢構成、何歳が何人、そして男女比、質問項目を示してください。

○早崎スポーツ振興局広報戦略担当部長 オリンピック・パラリンピック招致委員会が十一月六日に発表した資料によりますと、調査サンプル数は四百であり、調査対象者は十八歳以上の男女ということでございます。質問項目は、強く賛成、賛成、どちらでもない、反対、強く反対の五項目と聞いております。
 この調査は、あくまでも招致委員会が実施したものであり、回答者の年齢構成や男女比については公表されていません。

○たぞえ委員 サンプル数は四百だと。しかし、年齢構成や男女比は公表されていない。質問項目は強く賛成など五項目ということでありますが、これは回答の選択枠でなくて、質問項目というのにはなり得ないものですよ。
 私、以前にも申し上げましたけれども、アンケートというのは質問の仕方によって回答も変わってくるんです。その質問項目も明らかにできない。そして、例えばオリンピック招致は、四十代の女性の賛成が少ないということもいわれていますが、年齢構成も男女比も非公開で、サンプル数も四百と。調査結果は本当に都民の意向を代表したものになっていたのかどうか、かなり疑わしい点もあるといわざるを得ません。
 そして、支持率六七%という数字ですけれども、招致委員会は、五月に公表されたIOCの調査結果、四七%を起点にして、この間の調査で支持率が上がった上がったと、このように声を大にしていっています。
 しかし、電話調査ということでは、オリンピック招致委員会自身がことしの一月に行った調査では、全国の支持率七二・七%、東京での支持率は七〇・五%でした。この調査と今回の調査が比較可能なものかどうかということはありますけれども、招致委員会自身の調査と比較すれば、むしろ下がったということじゃないでしょうか。
 そして、いえることは、招致委員会自身が行う調査は支持率が高くなる傾向があるということなんです。これは前回招致のときもそうでした。ちなみに民間調査では、例えば産業能率大学スポーツマネジメント研究所の調査では、二〇二〇年の東京招致に賛成が四六・一%、また、最近行った日本リサーチセンターの調査では賛成五六・八%。反対の理由で多いのは、ほかに優先すべき社会問題がある、東日本大震災からの復興に力を注ぐべき、税金の使い道として不適切、こういう声も集約をされているわけです。
 東京招致の一番のネックは支持率だという見方がされていますが、とにかく招致が先で、調査方法も内容も公表しない。あたかも支持が広がっているような印象を広げるということは、非常に都民に対しては欺くやり方だといわれても仕方がありません。
 それでも、いい出しっぺの石原前知事が都政を投げ出したもとで、本当に都民の声、願いは何なのか、都政に反映させる努力こそが求められている、このことを指摘しておきたいと思います。
 次に、招致活動を支える資金について伺います。
 今回の招致委員会の活動資金は三十八億円です。これを民間資金ですべて賄うことになっています。招致委員会の民間資金の調達状況ですが、現在まで幾ら集まっているんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 招致委員会につきましては民間の団体でございますので、金額については公表できません。

○たぞえ委員 民間同士の契約といいますけれども、今は個々の企業の契約額を示してほしいと求めたわけじゃないんですよ。総額を聞いたんです。
 前回招致のときは、三十一億円集まったとか、四十億円は確保できる見込みとか、議会にも報告をしていたじゃありませんか。招致委員会の活動は招致の成否を左右するものですから、それを支える資金の調達状況はきちんと都民に明らかにするべきです。それでも明らかにできないというのなら、民間資金が集まっていないから、少ないから、そして恥ずかしくて公表できないといわれても仕方ないと思います。公表できないことはそうじゃないですか。どうなんですか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 招致委員会は民間団体でございますので、東京都からは公表できません。

○たぞえ委員 それでは、別の角度で伺いますが、現在、二〇二〇年招致のオフィシャルパートナーは何社ですか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 招致委員会のオフィシャルパートナーは、現在のところ七社でございます。

○たぞえ委員 招致委員会の民間資金は答えられないが、オフィシャルパートナーは答えられた。不思議だと思いますね。
 二〇一六年の招致のときに十七社がオフィシャルパートナーになっていました。随分今回は少ないといわざるを得ません。前回はパートナーになっていたが、今回は参加しない会社、例えば、ヤフー、大塚商会、JR、ヤマト運輸など、大手が軒並み入っていません。民間会社のこうした動向については、どう受けとめているんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 現在、招致委員会におきまして幅広い企業に対して強く働きかけを行っておりまして、今後、多くのオフィシャルパートナーを確保できるものと考えております。

○たぞえ委員 いずれにしても、オフィシャルパートナーにしても民間資金についても、なかなか前回に比べると大変だというのは数字で明らかです。その大きな原因になっているのが日本の景気後退の事態です。
 先日、財政委員会に主税局が提出した委員会資料でも公表されていますが、東京の資本金十億円以上の企業ですら、半分が赤字経営だと明記されました。ここ五年間で赤字企業は毎年一割もふえ続けているわけです。こういう中で、民間企業から資金が集まらずに、招致活動の活動費がまた赤字になったら、だれが出すのか、だれがこのことについて責任を負うんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 委員会が万が一、赤字になった場合は、東京都から補てんする考えは現在のところございません。

○たぞえ委員 この八月、東京都区市町村振興協会は、サマージャンボ宝くじの配分金、収益から招致委員会に二億七千万円を拠出しましたね。五輪招致機運醸成事業などの名目で特別区長会への助成として五億円出し、そのうち二億三千万円を各区に一千万円ずつ配り、二億七千万円を招致委員会に拠出をしたということです。この宝くじの配分金は民間資金なんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 宝くじの収益金でございますので、民間資金と考えております。

○たぞえ委員 宝くじというのは、そもそも自治体の財源とするために発売することができる、地方財政法で定められていて、民間資金とはいわないんです。それを一〇〇%民間資金で賄おうとしている招致委員会に拠出するのはおかしいんじゃないですか。見解を述べてください。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会招致につきましては、都や招致委員会以外にもオールジャパンの体制でさまざまな団体が招致活動を行っております。
 特別区長会におきまして、今お話のありました招致機運のための事業でございますけれども、区民祭りや地域のスポーツ大会での招致PR活動やイベントへのアスリート派遣等が行われております。
 この財源が今申し上げました宝くじの収益金でございまして、このように、民間団体や、あるいは各団体が自主的に行う事業であると考えておりまして、民間資金であると考えております。

○たぞえ委員 都費ではない、税金ではないとしても、自治体の財源の一部として、普通は小中学校の耐震化とか保育園の整備とか、そういうことに使われているお金なんですね。前回、税金のむだ遣いと批判されて、招致委員会の三十八億円すべて民間資金で賄いますよとしたのに、結局、公的な宝くじ金をつぎ込むということをやっている。これじゃ、まさに公的資金を民間に投入するやり方じゃないでしょうか。
 しかも、公的資金の投入という点では、招致委員会はサッカーくじの収益からも二億五千三百万円もらいました--ですよね。年度当初は予定されていなかったものが、九月に助成項目として追加されました。これは新聞でも大きく報道されている点です。サマージャンボ宝くじとサマーくじと合わせて五億二千三百万円。オフィシャルパートナーも集まらない。民間資金もどうなるかわからない。苦肉の策で考えたのは、このくじじゃないでしょうか。招致経費の半分以上、三十八億円は民間資金だといった約束に反するんではないでしょうか。どうでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今、先生ご質問の件につきましては、totoにつきましてはそういう制度があるということ、また、先ほどの特別区の件につきましては団体の意向であることということから、すべてそれぞれの団体の判断によるものと考えております。

○たぞえ委員 ちなみに、宝くじから招致委員会や区に渡った五億円、市町村も含めれば約十億円になりますが、何にこれが使われているかといえば、学校の施設に掲げる横断幕やのぼり旗、またクリアファイルなどの招致グッズに使われる、こういうことになっているんですよ。
 それについて新聞にこういう投書が寄せられていました。十月の朝日新聞ですけれども、四十三歳の母親からの投書です。「五輪招致より公教育に予算を」というタイトルで、このようにこの方は書いています。
 娘が通う高校では、冷房のレンタル費用不足で文化祭が一日短縮された。息子の中学校では、体育館で使うストーブの購入費が認められず、PTA会費から購入せざるを得なかった。公立学校に支給される予算は限られている。その一方で、立派な招致横断幕やのぼりが息子の学校に配られた。そのほか、うちわなど、さまざまな招致グッズも企画されているようだ、ということですね。予算不足で学校の教育活動に支障が出ている一方で、立派な招致横断幕が配られるとはどういうことかということなんですね。
 そして、このお母さん、こういっています。私は、オリンピック・パラリンピックが東京で開催されることは反対ではない。しかし、招致の方法や予算の使い方はもっと吟味してほしい。そして、子どもたちの学校生活に必要な備品はきちんと予算をつけていただけることを願うと、このように結んでいます。招致に反対でない人も、これはお金の使い方がおかしいんじゃないか、そういう疑問を投げかけているわけです。
 私のところにも都民の皆さんから、社会保障の負担増が相次ぎ、保険料が払えなかったり、医療費を払えなかったり、深刻な生活実態がある中で、宝くじの公的な資金をばらまくのはお金の使い方が間違っている、こういう声も寄せられています。
 招致委員会の経費はすべて民間資金でやると約束をしているわけですから、宝くじなどの公的資金で税金をもって穴埋めする、こういうことは認められない、このことを重ねて主張します。(発言する者あり)公的な新聞が書いた記事をそのまま紹介しているんですから、間違ったやじは述べないでいただきたいと思います。
 次に、立候補ファイルに記載をしようとしている問題について聞きます。
 申請ファイルでは、競技日程として、二〇二〇年七月二十四日の開会式に続く二十五日から八月九日までの十六日間としています。また、パラリンピックは八月二十五日から九月六日まで開催するとしています。
 申請ファイルはこう述べています。この時期の快適な夏の気候はアスリートにとって理想的である、この日程は最適であるとしています。しかし、本当に日本の気候が競技に適切なのかどうかという問題です。
 今回の選考でカタールは落選をしましたが、カタールでは、夏はとても野外でのスポーツができる環境はないからと、十月に開催する案をつくって提出して、落選をしました。
 夏季オリンピックの開催時期は、IOCが七月から八月の間と求めていることですけれども、なぜこの時期にならなければならないのでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 オリンピック大会の開催都市の立候補受け付けに関する国際オリンピック委員会の定めによりますと、二〇二〇年大会は同年の七月十五日から八月三十一日までの間に開催することとされております。
 今、先生、質問ございましたけれども、この東京の夏でございますけれども、東京の夏は非常に暑いんじゃないかということ、ご質問ありましたけれども、過去に国内でこの時期に、一九九一年に東京で、二〇〇七年に大阪で世界陸上選手権を開催するなど、国際競技大会の開催経験を有しておりまして、気候については問題はないものと考えております。

○たぞえ委員 IOCが決めたからというのは、これは理由じゃないですね。なぜこの日程を日本が提案したか。IOCはそういう原則を持っていますよ。その原則はどこから来たのかということを今答えられなかったですよね。
 この夏の開催にこだわっていますのは、IOCもテレビ視聴率と集客を考えているからというふうにいわれています。しかし、以前は、東京オリンピックも十月、メキシコも十月、ソウルやシドニーは九月に開催をしてきました。
 申請ファイルでは、この時期は学校の休暇期間で子どもやボランティアが参加しやすい、公共機関が混雑していない、大規模イベントが行われていない、このようにいっています。そして、この時期の快適な気候はアスリートにとっても理想的だと、こういうふうにいっています。本当にアスリートにとってこの時期は理想なんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 七月から八月にかけましては、世界の各国で夏休み、バカンスの期間でございまして、より多くの人々がオリンピック大会を観戦するのに最もふさわしい時期であると考えております。
 また、今申し上げましたとおり、国内ではこの時期に世界陸上選手権を開催しておりまして、気候については問題ないものと考えております。

○たぞえ委員 見る方はいいですよ。涼しいところで見るんだからね。戦う方ですよ、大変なのはね。
 じゃ、実際この時期は、東京の気温を調べてみますと、今回の開催予定期間を過去三年間の平均で見ますと、運動は原則禁止、危険が一回から二回、ほぼ毎日が厳重警戒日に当たっています。厳重警戒日というのは激しい運動は中止というレベルで、これは日本体育協会と日本生気象学会の指針になっているんです。
 昨年の東京消防庁が発表した熱中症データ、救急搬送された都民は、七月、千五百十八人、八月、千七百六十五人で、発生場所は、住宅等居住施設、そして道路と交通施設が断トツです。発生時間も午前十時から午後五時に集中をしています。こういう環境がアスリートにとって理想的なのか。逆に、東京が二千メートル、三千メートルという高地ならともかく、激しいスポーツに適していない季節ではないかと私は考えますが、もう一回見解を伺います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 夏の期間の競技の開催についてですけれども、現在、立候補ファイルの作成に向けまして、各国際競技団体と会場施設についての説明をし承認を受けるということをしております。その中で、気象データ等についてもきちんと提供いたしまして、それぞれ承認を得ているところでございます。
 また、中には、マラソンですとか馬術などの一部の屋外競技につきましては、団体とも調整の上、気温の低い午前中や夕方に開催するとか、さまざまな競技団体としての工夫もございますので、問題なく開催できるものと考えております。

○たぞえ委員 問題ないというふうにおっしゃっていますけれども、実は、来年開かれますスポーツ祭東京、いわゆる国体は秋口の九月二十八日から十月八日まで。国内の主要なマラソンは、一月が大阪国際女子マラソン、二月、東京マラソン、横浜国際女子マラソン、青梅マラソン、別府大分毎日マラソン、三月になると名古屋ウィメンズマラソン、びわ湖毎日マラソン、四月、長野オリンピック記念長野マラソン、八月二十六日ですけれども、北海道マラソン、ちなみにスタートは午前九時、十一月、神戸マラソン、十二月、防府読売マラソン、福岡国際マラソン、そして、一月の箱根大学駅伝。国内のマラソンは、この八月、七月、北海道を除いてはほとんどやらないわけです。
 アスリートのことを考えるなら、東京で最も気温が高い、湿度も高い、こういう七、八月ではなくて、将来もっとよい季節にやりたいとIOCに提案するぐらいの熱意があってもいいんじゃないでしょうか。このことを述べておきます。
 次に、立候補ファイルに記載する競技施設計画についてです。
 競技施設については、オリンピック招致そのものには反対しないという方も含めてさまざまな意見が、要望が上がっています。
 まず、葛西臨海公園に建設予定のカヌーの競技施設です。
 カヌーの競技施設会場については、日本野鳥の会などが葛西臨海公園ではなく別の場所で建設するよう計画の変更を求めています。その要望にこたえるべきと思いますが、見解を伺います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 競技会場計画につきましては、現在、立候補ファイル作成に向けて国際競技団体と調整中でございます。このため、具体的な検討状況についてはお答えできませんが、カヌースラローム会場につきましては、日本野鳥の会などから会場変更の要望がございました。
 その際、野鳥の会に対しましては、葛西臨海公園を競技会場予定地とした理由といたしまして、効率的な運営を可能にする選手村からの近さや、国際競技団体が要求する施設基準を考慮したこと、大会後、都民が水辺に親しめる施設とするのにふさわしい場所であることなどをご説明いたしました。
 また、公園の緑や野鳥に極力影響の少ない整備計画とする方針につきましてもご説明をいたしました。

○たぞえ委員 東京野鳥の会や日本野鳥の会の皆さんは、葛西臨海公園以外の場所に建設してほしいという要望をしております。その要望にこたえていただくよう強く求めておきたいと思います。
 次に、メーンスタジアムとされている国立競技場の改築について伺います。
 独立行政法人日本スポーツ振興センター、NAASHは、七月二十日、国立競技場の改築に当たっての新国立競技場基本構想デザイン案を募集すると発表しました。二〇二〇年オリンピックを視野に入れ、どのような施設に建てかえるのか、デザインを競技形式で募集するというもので、十一月七日に最終審査が行われ、その結果が昨日発表されました。
 私は、六月のオリンピック特別招致委員会で、国立競技場の改築が競技場に隣接する都立明治公園や都営住宅に影響を与える可能性があるのかと質問しました。答えは、日本スポーツ振興センターが検討することで、現段階では公表されていないと、まるで人ごとであるかのような答弁でありました。
 ところが、今回発表され、きのう見た絵柄は、募集要項ですけれども、結果は、明治公園や日本青年館の土地も新しいスタジアムの施設建築敷地にすると。都営住宅のところは関連敷地として、来場者が滞留できる広場的なものにする。都営住宅を廃止して都民の皆さんには出ていってもらうという、そういう絵になっています。つまり、改築に都有地を利用する、都民は立ち退くということで、都民にも重大な影響を与えることになったわけです。
 都として、NAASH、スポーツ振興センターが検討することなどといって決め込んでいましたが、都民、住民には秘密のうちにこれを進めて、非常に私は不誠実な対応だといわざるを得ません。
 そこで改築費用ですが、申請ファイルでは、国立競技場の改築は一千億円となっていましたが、デザイン競技募集要項では、工事費は千三百億円と三百億円ふえました。しかも、既存施設の解体費などを含めないため、実際にはさらに膨らむことになります。
 新聞などでは、この財源のめどが立っていないとか、この財源とするために、スポーツ振興くじ、いわゆるtotoですね、この制度を変えて、海外のプロサッカーリーグやワールドカップなども対象にして当選金額を引き上げたり売り上げをふやして、それを国立競技場の改築費用とする案があるなどということも報道がされています。ギャンブルの上がりに頼る状況でいいのかという社説を書いた新聞もありました。
 国立競技場の改築費用は国費で賄うとの話もずっとされてきたわけですが、一体幾らかかるのかはわからない。財源確保も厳しい状況にあるということです。
 実際、私も文部科学省やNAASHからの直接伺った話を聞きましたが、文部科学省は、国の予算で全額出すかどうかわからない、NAASHも、一〇〇%国にお願いするのが筋だと思っている、こういうことを述べられていました。
 このデザイン募集は、主要五紙に全面カラー広告を打って大々的に宣伝され、競技の賞金の総額は三千万円、これは文部科学省からの補助金ということで税金で賄うそうでありますが、非常に派手な、豪華なコンペになっているわけです。
 一方で、肝心の実際の改築費用がはっきりしないという点では、非常にアンバランスでおぼつかない感じがします。
 そうすると、改築した国立競技場を二〇二〇年オリンピックのメーンスタジアムに使いたいといっているのは東京都ですから、申請ファイルでは都の負担ゼロとしていましたが、やはり都で何らかの財政負担があるのではないかということになってくるわけです。
 そこで聞きますが、朝日新聞は十一月七日付で、国立競技場の改築に当たり都スポーツ振興局幹部は、都はびた一文出さないと語っていると報道されていますが、それはどの範囲の経費のことをいっているんでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 国立競技場の建てかえについては、国策として整備されるものと考えております。

○たぞえ委員 国策として整備するというお答えですが、都は少なくともどの経費は出さないという明確な答えはありませんでした。
 では具体的に伺いますが、現在、明治公園や都営住宅がある都有地も新国立競技場の一部として使われるわけですけれども、明治公園や都営住宅などの都有地は、国もしくは日本スポーツ振興センターに売却をするんですか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 これらの用地につきましては、スポーツ振興局の所管ではないため、お答えすることはできません。

○たぞえ委員 所管外といいますけれども、施設整備の経費は立候補ファイルにも記載をするわけですよね。デザイン募集要項では、東京体育館と国立競技場を人工地盤で結ぶことも可能とされていますし、実際公表されたデザイン案はそういう形になっているわけですよ。
 東京体育館ももちろん都有地ですし、国立競技場側の東京体育館とつながる細長い部分の緑地も明治公園であり都有地、その間を走る道路も都有地の道路、都道なんです。つまり、人工地盤は都有地に建設されることになるんです。その建設費が千三百億円の中に含まれているのか、都が負担する可能性はあるんでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 昨日、デザイン競技の最優秀案が発表になったところではございますが、現時点で公表されている資料では、具体的な整備内容や事業費の内訳が示されておりません。このため、現時点ではお答えをできません。
 今後、設計など具体的な検討が進められる中で、整備内容等が明らかになるものと考えております。

○たぞえ委員 明確に都の負担はないということはいえないわけですね。可能性があるということだと思います。
 それでは、都営住宅などをつぶして人だまりにする関連敷地の整備や、また、東京体育館の部分を関連敷地ということで、国立競技場と一体感を持たせるような整備も必要になることが予想されますが、これらの関連施設の整備費は千三百億円の中に含まれるんですか。都が負担する可能性はあるんでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 具体的な整備内容が不明のため、現時点ではお答えができません。今後、設計など具体的な検討が進められる中で、整備内容等が明らかにされるものと考えております。

○たぞえ委員 関連敷地の整備費は千三百億円には含まれていないんじゃないでしょうか。デザイン募集項目に千三百億円に含まれない経費として、既存建物の除去費など六項目が示されていますが、その一つに、スタジアムの施設建設敷地以外の工事費とあるんですね。関連敷地はスタジアムの施設建築敷地ではありませんから、千三百億円には含まれないわけなんです。そして、関連敷地の大部分は都有地なわけですから、都が費用負担することもあり得るんじゃないでしょうか。
 それから、都営住宅の取り壊し経費や住民の移転経費などはだれが負担するんですか。都が負担をするんでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 都営住宅につきまして所管ではないため、お答えができません。

○たぞえ委員 またお答えできないという答えですけれども、これだって都市整備局所管ということになれば、なおさら都で負担する可能性が高いことになりかねないと思います。
 オリンピックでは補助競技施設が必要ですけれども、国立競技場の改築のデザイン募集では補助競技場を設けることになっているんでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 コンペの公募条件の中におきましては、補助競技場の設置は求められておりません。

○たぞえ委員 デザイン募集の中に補助競技場は含まれないとしたら、どこにどのようなものをつくるんですか。その建築経費はどこが負担するんですか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 大会で必要となる補助競技場等につきましては、明治神宮外苑軟式野球場にサブトラックを、明治神宮第二球場に投てき練習場をそれぞれ設置することを想定しております。仮設による暫定的な整備とした場合の整備費用は、大会組織委員会の負担となる予定でございます。

○たぞえ委員 私が六月に質問したときは、補助競技場の費用も申請ファイルの国立競技場改築費用一千億円、今は千三百億円ですけれども、この一千億円に含まれているというふうにいっていたわけですね。ですから話が違うんですよ。
 それから、補助競技場の場所についても、サブトラックとして明治神宮外苑軟式野球場、明治神宮第二球場を投てき練習場として既定していると、このようにデザイン募集要項に書いてあるんです。
 そして、補助競技場の整備主体が未定ということは、費用負担も未定、都が費用負担をする可能性も否定できないということになってしまいます。この点でも費用が膨らむことがいよいよ明らかになるんではないかと思います。
 結局、国立競技場だけといっても、申請ファイルでは改築経費一千億円で都の負担はゼロとしていたのですが、既に一千三百億円に膨らんで、しかも、国がそれを捻出するかどうかはおぼつかない状況、そして、千三百億円には既存施設の解体経費も関連敷地の整備費も含まれない。巨額な費用がかかる人工地盤も千三百億円には含まれているとはいえないと。補助競技場も全く別につくらなきゃいけない。都営住宅の移転費用も必要だ。しかも、ここに都費、都民の税金が投入される可能性もいよいよ濃厚になってきたということも明らかであると思います。
 今、ほかに優先すべき税金の使い道があるのではないか、年金、医療、介護の優先順位は高いし、震災復興も重要じゃないか、オリンピック基金四千億円があったら都民生活支援に使ってほしい、こういう声は引き続き私たちのところにも届いています。こうした声に耳を傾けていただきたいと思います。
 今、都民は、こうした東京開催が巨額な資金が必要で、多くの税金を使いかねない。そのために都民の、国民のスポーツ環境整備がおろそかになる。震災復興や原発事故対応が急がれる時期に、しかも不景気で国民生活が困窮している中で、あえて五輪を開催することが今必要なのかどうか、こういう声も歴然としてあることを受けとめるべきであります。
 私ども日本共産党は、東京招致への立候補は断念をするべきだ、このことを最後に述べて質問を終わります。

○山内委員 私からは、ロンドン・オリンピック・パラリンピックに対しての日本選手団の派遣にかかった予算はどれぐらいだったのか、選手団の人数、関係者数、競技数、スポンサー数などの金額をお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 JOC、日本オリンピック委員会が公表した資料によりますと、ロンドン・オリンピック大会の日本選手団の内訳は、選手が男子百三十七名、女子百五十六名、合計二百九十三名、役員、これは監督、コーチ、メディカル関係等でございますが、役員が二百二十五人となっております。参加競技数は男子が二十二競技、女子が二十二競技でございます。JOCスポンサーであるゴールドパートナー、オフィシャルパートナーは合計で二十六団体でございます。選手団派遣に伴う予算額は約三億円となっております。
 また、日本パラリンピック委員会が公表しました資料によりますと、ロンドン・パラリンピック大会の日本選手団の内訳は、選手が男子八十九名、女子四十五名、合計百三十四名、役員が百二十一名となっております。参加競技数は十七競技でございます。スポンサーであるオフィシャルパートナーは六団体となっております。なお、選手団派遣に伴う予算額は公表されておりません。

○山内委員 パラリンピック発祥の地といわれるイギリスでは、障害者のスポーツに対する理解や市民参加がすばらしかったといわれています。
 一方で、日本でのパラリンピックの放送時間や速報等、マスコミ、メディアの関心度は低かったのではないかと思います。マスコミは連日オリンピックのメダルの数をうたい上げ、祝賀パレードは行われましたが、それはオリンピアンの、しかもメダリストのみのパレードでした。パラリンピアンのパレードは行いませんでした。
 そこで、日本のパラリンピックや障害者のスポーツに対する理解がまだまだ貧しい中で、東京都としても見習うべきことが多くあったと思うんですが、見解をお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 ロンドン・パラリンピックは、チケットが過去最高の二百七十万枚販売されるなど、多くの市民が観戦し、競技会場はどこも大いに盛り上がる、すばらしい大会であったと評価されております。
 二〇二〇年東京大会の開催に向けて、ロンドン大会を見習うべき点は多々ありますが、中でも多くの観客動員を達成したことは特に評価すべきであると考えております。その要因として、大会前の早い段階から継続的に啓発活動を行ったこと、チケットを比較的安く販売したこと、複数競技を観戦できる共通チケットを販売したことなどが挙げられます。こうした点も参考にして、二〇二〇年東京大会を多くの人に親しまれ、人々の記憶に残るすばらしい大会としたいと考えております。

○山内委員 マスコミの取り上げ方では、ほかにも偏りを感じました。ロンドン・オリンピックでは、北京大会で行われた野球とソフトボールが除外され、その一方で、女子ボクシング、女子競輪、テニス混合ダブルスなどが加わりました。北京大会であれだけ盛り上がったソフトボールが、ほとんどマスコミで取り上げられなくなるなど、オリンピックの競技になるかならないかでこんなにも違うものなのかと思うほど、マスコミに翻弄されている気がいたします。
 競技種目の選定には、テレビ視聴率なども調査され検討されていると聞きますが、そこで、競技種目の選定はどのように行われているのか、また、検討に対して、東京都として申し入れなどができるのかお伺いいたします。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 オリンピック競技大会への競技の追加は、オリンピック憲章の規定によりまして、大会七年前までの総会で決定されることになっております。IOCに対する競技追加の申請やその実現に向けた活動は、当該競技を統括する国際競技団体によって行われますが、立候補都市が関与するような仕組みにはなっておりません。
 二〇二〇年大会に向けましては、現在、野球、ソフトボールを初め八競技がオリンピック競技への追加を申請していると伺っております。

○山内委員 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック招致でメーン会場に予定されている国立競技場が大規模改築されますけれども、ロンドン・オリンピック・パラリンピックでは、メーンスタジアムは八万人収容のうち五万五千人を仮設で賄ったとも聞いております。五輪後に大きな施設が残るのではなく、日常のスポーツ普及に役立っていくような工夫の例など参考になるのではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 今回のロンドン大会では、オリンピックスタジアムを初め、水泳会場やバスケットボール会場など仮設建築物を活用した競技会場が多用されておりました。
 東京招致における会場計画に当たりましても、大会に向けて効果的かつ効率的な計画としつつ、大会後のスポーツ振興への活用や安定的な施設経営など、有益なレガシーの視点を踏まえた施設づくりを検討していきたいと考えております。

○山内委員 ロンドン・オリンピック・パラリンピックでは、テロ対策に予算以上の経費が加算されたと聞いています。また、予想したように観光客数が伸びなかったという報道もありました。
 東京都は三兆円の経済効果があるとしていますが、こうした結果を参考にして計画を再考すべきと考えますが、見解を伺います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 オリンピック・パラリンピックのような大規模イベントにおきましては、計画段階から大会実施を見越した実現性の高い計画とすることが重要であると考えております。
 二〇二〇年東京大会の計画策定に当たりましては、過去のオリンピック・パラリンピック競技大会はもとより、二〇〇二年FIFAワールドカップ等の大規模スポーツイベントでの実績を参考にしております。
 また、大会のセキュリティーにつきましても、過去の大規模スポーツイベントでの運営実績を有している大手の民間警備会社に委託いたしまして必要なセキュリティー体制を積算するなど、適切な計画となるように努めております。
 なお、二〇二〇年東京大会開催に伴う経済波及効果につきましては、大会開催時に東京を訪れる通常の観光客が一時的に減少する一方、オリンピック・パラリンピックに訪れる観戦客の増加効果もございまして、それらさまざまな要因を考慮に入れ適切に推計をしております。

○山内委員 招致予算は、二〇一六年の半分に当たる七十五億円に圧縮しているといいます。特別区共同事業では、特別区と招致委員会が連携協力して招致に取り組んでいるということで、お金の出どころは違っても、二十三区に一千万円ずつ招致PR用に出ているわけです。二〇一六年の招致の際に批判を浴びたばらまきと変わらないのではないか、また、招致費用は膨らむのではないかという疑念を抱く方もたくさんいらっしゃいます。
 そこで、この特別区共同事業からは総額幾ら出ているのか、そういったほかからの助成を含めると招致にかかる総額はどのくらいになるのかお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今回の招致活動経費は総額七十五億円でございまして、そのうち都費は三十七億円でございます。これは、前回二〇一六年のときの招致経費の都費百億円から約三分の一となっております。
 一方、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会招致は、東京都と招致委員会以外にも、国、経済界、スポーツ界など、オールジャパンの体制でさまざまな団体が招致活動を行っております。
 特別区長会におきましては、お話の特別区共同事業として、招致機運醸成がスポーツ振興に資すると自主的に判断したものでございますが、この招致機運醸成のために、特別区と招致委員会に総額五億円を拠出したものでございまして、区民祭りや地域のスポーツ大会での招致PR活動やイベントへのアスリート派遣等が行われております。この五億円につきましては、先ほどもありましたように、宝くじの収益金を原資とした公益財団法人東京都区市町村振興協会からの助成金が充てられております。
 このように、私ども東京都や招致委員会が直接行う招致活動のほかにも、官民さまざまな団体が自主的に行う招致活動が展開されていることをご理解いただきたいと考えております。

○山内委員 申請ファイルでは、一九九八年、長野パラリンピック冬季大会後に経験したように、夏のパラリンピックスポーツへの一般市民の関心が高まることで、障害者スポーツがさらに発展し、障害者の社会参加が大きく進むとともに、スポーツ施設や公共機関を中心に、公共施設のバリアフリー化が大きく加速するであろうとしています。
 障害者スポーツに関しては、リハビリとしてのスポーツから、生涯のスポーツ、競技スポーツとつながるような、日常的、総合的な支援の体制をつくることが求められています。そうした体制があってこそ、高齢になっても、障害があっても、いつでも、だれでもスポーツを楽しみ、豊かな人生を送ることができるのだと考えます。
 日本のオリンピック招致の支持率は相変わらず三都市の中で最下位となっていますが、東京マラソンの応募者数を見るように、スポーツを生活に取り入れ、日常的に楽しみたいという人たちは年々ふえています。普通の市民は、オリンピック招致ではなく、身近でいつでも気軽にスポーツができる環境づくりを求めています。
 また、招致予算が圧縮しているとはいっても、民間からの寄附が目標に達しない場合には、都の負担も多くなるのではないかということを指摘して、私からの質問を終わります。

○淺野委員 これまでの質問を聞いて、実に、例えば先ほどマスコミに翻弄されたという話もありました。確かにそうだなと思います。だから、なおのこと、生で見られるように東京でやらなきゃいけないなという思いを新たにしたわけでありますし、なお金銭的なところも非常に重要だと思います。
 だけど、今の日本にとって一番必要なこのメッセージがありました。日本には、今、この夢が必要だというメッセージがありますが、私は本当にこれは正しいと思います。今の日本に前向きな見方、それから、何かをやろうとしたときに、ただただ批判をするのではなくて、もっといい方に、プラスに考えていこうという姿勢は、これからの子どもたちに絶対必要だと。
 かつて、メダル、そして国際舞台でも活躍されましたマラソンの瀬古選手は、先日のイベントの際にはっきりいっていました。オリンピックを見せれば必ず子どもたちが変わると。絶対に変わるといい切っておりました。その変わる姿を大人たちが見れば、日本の雰囲気ももっと変わるのかなと。だとしたら、なおのこと、私はこのオリンピック、絶対に招致を成功させなきゃいけないと思いましたので、その観点で二つだけ質問をさせていただきます。
 一つ目ですけれども、これまで招致活動をずっとやってまいりました。そして、申請ファイルの評価が高いというのも、これは二〇一六年の招致のときも、そして、この今回二〇二〇年の招致のときもいわれていることであります。非常にありがたいことでありますが、実は二〇一六年の招致の際、立候補ファイルを出した後、その評価レポートについては、結局、最終的には招致をかち取ったリオの評価が最も高かったんですね。
 申請ファイルの時点では、東京、シカゴ、確かに評価は高かったんですが、やはり、近年、IOC委員に対して過大な接待等、あるいは招致活動をするというのを防ぐために、決められた委員以外は現地には行かないようにするというIOCの取り決めがあって、行った人、あるいはそれを客観的に評価したレポートというものを参考にして投票するというIOC委員がいることも、これは事実だと思います。
 さまざまな形のロビイスト活動も含めた招致活動は必要だと思いますが、やはりここは立候補ファイルのIOCでの評価というのを絶対に高めたものを出させなければ、そここそが最大の勝負どころだと私は思っておりまして、そのIOC評価を高めたものを出させるために、これからどのような方針で、どのような取り組みを行うつもりなのかを確認したいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 他都市と比べて東京の優位な点につきましては、世界有数の公共交通網や、質、量ともに充実した宿泊施設、治安のよさ、盤石な財政などが挙げられます。一方で、本年五月に公表されたIOCのワーキングレポートでは、国内でのコミュニケーションプランの必要性や電力供給面のリスクなどが指摘されました。
 現在、先生ご指摘の、過去に招致に成功した都市の事例を十分に分析するとともに、ワーキングレポートにおいて計画面で高く評価された部分はより充実させ、課題については改善を図る、あるいは事実を丁寧に説明するという観点から立候補ファイルの作成を行っております。
 さらに、来年三月のIOC評価委員会の訪問時には、この立候補ファイルをもとに質疑応答や会場視察などが予定されておりまして、IOCからの評価を一層高められるよう、万全の体制で計画のアピールを行ってまいります。

○淺野委員 ぜひしっかり頑張っていただきたいなと思います。
 先ほども世論調査の結果の話もございました。私は、もちろん世論が高まっているというのはあります。先ほど他の委員からの発言にもありましたが、もちろん質問のやり方、それから聞き方、データのとり方、いろんな形で数字って変わってしまうんですね。
 ただ、私は、はっきりいって、今の時期の世論調査の結果がどんなに高くても意味がないんです。それは、世論に対するアピールという意味では意味はありますけれども、最も大切なのは、IOC自身がやった調査で高い数値が出るかどうか、ここにかかっているわけですね。
 だからこそ、IOCがやる調査を綿密に分析して、どういうふうにやるのか、なかなか公開されていないと伺っていますから、大変だと思いますけれども、それを十分分析して、別にそれを外に公開しろとはいいません。IOCがやるであろうやり方の調査でやったときにどういう数値が出るかということを常に検討しながら、その数値の出方を高めるような機運の醸成という取り組みが実に必要なんだという意識で招致委員会の方にも頑張っていただくように、これは要望としてお伝えをしておきます。
 そして、二点目の質問に入らせていただきますが、先ほどからのお話の中でもありましたとおり、今回はオールジャパン、オール東京、もう本当にたくさんの団体、個人の方々も賛同して、さまざまな活動に参加していただいている方がいらっしゃいます。
 そして、今現在、招致委員会としても、この機運の醸成のために一生懸命頑張っているところがあると思いますが、私は、実は、先ほどもいったように予算の規模も減らされている、ましてや、この今の不景気の状況、いろんなことを考えたときに、こここそが日本人の腕の見せどころだと思うんですね。先ほどいった日本人のよさ、日本のよさを世界にアピールする、それは招致活動でこそ見えてくるだろうと私は思います。
 いろんな団体のツールだとか、知恵だとか、そういったものをどうやって活用するのか。お金があれば何でもできるんです。莫大な予算をかけて、それこそ何兆円もの例えば招致費用があれば何でもできるでしょう。やりたい放題だと思います。だけど、それじゃ意味がないんですよね。
 私たちが招致活動を通して子どもたちに見せなければいけないのは、招致を絶対かち取るんだという覚悟とともに、実は、知恵を使えばいろんなことができるんだよということも同時に見せること。それこそが、どんな状況に陥っても夢を持つことは大切なんだと伝えることに絶対つながるわけで、招致活動そのものに意味が発生すると私は思っております。
 そして、そうなったときに必ず招致は成功するんだと私は思いますから、ぜひ各種団体のツールや知恵を活用して、お金だけじゃない、そういったものを活用しながら、招致の機運を高めていくというやり方をやっていただきたいと思いますが、ぜひその効果的なやり方について都はどう考えているのかを伺いたいと思います。

○早崎スポーツ振興局広報戦略担当部長 先生ご指摘のように、オリンピック・パラリンピック招致については、都、招致委員会だけではなく、各種団体の協力を得ながら招致PRを実施していくことが、招致機運を高める上で重要でございます。
 現在、各団体の皆様の自主的な取り組みにより、招致機運醸成のための招致PRを実施していただいているところでございます。具体的には、フラッグ、ポスターの掲出、会員へのピンバッチなどグッズの配布などご協力をいただいております。また、各団体が実施するイベントにおいてブース出展にご協力いただき、招致PRを行っております。
 今後とも、各団体のツールなどを教えていただきながら、各団体とよく協議し連携を図ることで、招致機運の醸成を図ってまいりたいと思います。

○淺野委員 ぜひ頑張っていただきたいんですが、ちょっと私が今のこの委員会の間に考えただけでも、もう五つ、六つのアイデアが出たんで、一応参考までに私も述べておきたいと思います。
 今いったフラッグやポスターの掲出やグッズ配布なんていうのは、大体どこでもやれることなんですね。招致の活動をやる上で一番大切なのは、熱の伝導です。これはもう、ここにいる委員の皆さん全員議員ですから、よくわかると思うんですが、選挙、戦いと一緒なんです。どれだけ自分たちが持っている熱を冷まさないように先まで伝えていくかということが一番重要で、それは物では伝わらないんです。思いをどんどん継続していかなければいけない。
 その思いをどうやって伝えるかというところに、知恵とツールというのが非常に大切になってくるわけで、例えば、各団体の皆さん、連絡網は絶対あります。メールなのかファクス網なのかわかりませんが、そこに、強い思いを持っているのはだれか。ついこの間、ロンドンのオリンピックに行って、あるいはパラリンピックに行って活躍してきた方々、そのメダリストであったり選手の方々が直筆で書いたものをファクスで一枚送ってあげるだけで、どれだけの効果があるかと私は思います。
 そういったものを送ってあげるというのも一つの手ですし、あるいは逆に、IOC委員が三月にいらっしゃるんだったら、そのときまでに予定されている会場で、例えばスタンプラリーをやってみる。そこに子どもたちが来て、設置してある動画に、自分たちが本当に東京オリンピックをやってほしいんだというメッセージを残してもらう。メッセージを残してくれた人には、それこそ何かのグッズをあげてもいいですよ。
 そうやってメッセージを残してもらって、そのメッセージを加工したものを、IOCが来たときにしょっぱなに見せたら、日本の国民は東京でオリンピックをやってほしい、待っているよというメッセージを出すとか、思いをどう伝えるかということをぜひ招致委員会の皆様にはわかっていただくように、皆様からもお伝えいただくことを強く要望いたしまして、招致をぜひともかち取ることに私たちも一生懸命協力することをお誓い申し上げて、私の質問を終わります。

○野上委員 三時までに終わるように頑張ります。
 今、日々、オリンピックの招致機運の醸成を図るべく、地域の祭りや体育イベントにのぼり旗とか、ポスターとか、またイベント参加等、日々の行動で頑張ってくださっております。また、まち中にもオリンピックバッジをつけている方々がだんだん目立つようになっております。また、都営地下鉄でも大型ビジョンで、オリンピアンの活躍を繰り返し繰り返し流してくださっている風景にも出くわします。
 私は今回、お友達がシアトルに住んでいるんですけれども、東京が放射能で汚染されて、まだすごい大変なんだねというようなメールとかがまだまだ来るので、そういった意味で、この不安の払拭の意味で質問させていただきたいと思います。
 五月二十三日のIOCの理事会において東京都が二〇二〇年大会の立候補都市に選定された際に、IOCから公表されたワーキンググループレポートの中に、日本の電気エネルギーの生産への懸念とか、地震、放射能についても触れられておりました。
 今後の招致活動において、これらの事柄に関してIOCの委員等に丁寧に説明して、もう日本は電力も大丈夫だし、地震に対する手だてもしているし、放射能についても本当に万全の対策をとっているんだというような不安の払拭に努めていくべきと考えるんですけれども、都の見解について最初にお伺いいたします。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 IOCなどの大会関係者の懸念事項等について丁寧に説明し理解を求めていくということは、委員ご指摘のように、招致活動において非常に重要なことと考えております。
 放射線量については、東京及び地方会場都市の観測結果が、国際的な機関の基準値に比べ大幅に低い水準で推移し、安全であることを主張してまいります。
 また、電力については、この夏の電力の需給動向や、国がこの九月に策定した革新的エネルギー・環境戦略を踏まえつつ、二〇二〇年大会において安定した電力供給が可能であることを丁寧に説明してまいります。
 さらに、地震や津波については、東京都で実施している都市インフラや建物の耐震化などの取り組みに加え、二〇二〇年大会では耐震基準を上回る強度の競技会場を整備するとともに、必要に応じて防潮堤の設置や盛り土を行うことなどをさまざまな機会を通じてアピールすることで、不安の払拭に努めてまいります。

○野上委員 いろいろなマスコミ等も通じて、しっかりとアピールしていっていただきたいと思っております。
 レガシーという面で、ちょっと前になるんですが、一九九八年の長野の冬季オリンピック、この長野の目玉は禁煙オリンピックだったそうなんですね。それで、禁煙オリンピックの精神にのっとって、オリンピック会場内を禁煙にしたということが報道されております。
 二〇二〇年東京大会においても、参加選手や大会関係者、観戦客などの健康を守るために、大会会場内の禁煙を実施していくべきと私は考えているんですけれども、都の見解についてお伺いいたします。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 立候補ファイルの作成に当たりましては、大会会場内の禁煙に関する記載は特に求められておりません。
 しかしながら、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の開催に当たっては、IOCが求める要件といたしまして、選手村の建物内は禁煙で、宿泊者や従業員用に屋外の定められたエリアに分煙スペースを設置すること、また、競技会場においても分煙エリアを設置することとされております。
 そのため、二〇二〇年東京大会におきましては、選手村や競技会場等の大会関係施設において、選手や大会関係者、観戦者などの健康を守るという観点から、IOCの規定を遵守した受動喫煙防止対策を講じてまいります。

○野上委員 本来ならば、選手村は建物内を禁煙にしているということなんで、競技会場も禁煙にすべきと考えております。例えば分煙スペースをつくると、それなりに非常に価格が高くなって、価格にも反映してまいります。ぜひ検討事項の一つに会場禁煙ということで入れていただきたいことを、これは要望としておきます。
 最後に、ロンドン・オリンピック・パラリンピック競技大会では、二百四の国と地域から約一万四千七百人もの選手が参加をいたしまして、国際色大変豊かなものでありました。海外から多くの観戦客を東京、日本にお迎えするに当たって、競技会場の案内のみならず、二〇二〇年東京大会の紹介パンフレット等、多くの方々にご理解いただけるように多言語表示が必要になってくると思っております。
 ロンドンに私も行きましたけれども、オリンピックじゃなく別の機会に行きましたけれども、地下鉄表示等、非常にわかりやすい表示になっております。また、私の地元、葛飾柴又の方は、日本語、英語、韓国語、中国語というように、やはり多言語でいろいろな施設が表示をされております。
 二〇二〇年の東京大会の開催に当たり、海外からの観客に対し、わかりやすく快適に大会を観戦していただくためにどのような工夫を行っていくのか、都の見解を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 都では、外国人旅行者や障害者、高齢者の方々が東京の観光を楽しめるように、絵文字でございますピクトグラムや多言語で表記した観光案内標識を設置してきております。
 二〇二〇年東京大会では、こうした都の取り組みに加えまして、大会の運営を主体的に担う大会組織委員会が、都や関係区市町村などの関係機関と密接に連携しまして、最寄り駅から競技会場までの道案内を多言語表示で行うとともに、ボランティアを活用した道案内を実施する予定でございます。
 また、競技会場等におきましては、複数言語で記載された競技スケジュールや大会概要などを記載したパンフレットを提供いたしますとともに、語学ボランティアの配置や多言語で適時適切にアナウンスできる環境を整えるなど、海外からのお客様に対しても親しみやすい大会運営に努めてまいります。

○野上委員 先ほど伊藤都議からもマルチボランティアの話が出ました。今からもしっかりと語学ボランティアの育成も含めて頑張っていただきたいことを要望して、これで終わります。

○いのつめ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○いのつめ委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後二時五十九分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る