オリンピック・パラリンピック招致特別委員会速記録第六号

平成二十四年六月七日(木曜日)
第四委員会室
 午後一時開議
 出席委員 十七名
委員長山口  拓君
副委員長藤井  一君
副委員長小沢 昌也君
副委員長吉野 利明君
理事高橋かずみ君
理事野上 純子君
理事大西さとる君
山内れい子君
伊藤こういち君
淺野 克彦君
新井ともはる君
佐藤 由美君
中村ひろし君
高橋 信博君
たぞえ民夫君
鈴木 隆道君
川井しげお君

 欠席委員 なし

 出席説明員
スポーツ振興局局長細井  優君
理事産形  稔君
総務部長安藤 英二君
スポーツ事業部長板垣 一典君
スポーツ施設担当部長佐野 克彦君
スポーツ祭東京推進部長川合  純君
大会運営担当部長早崎 道晴君
招致推進部長松永 竜太君
競技計画担当部長延與  桂君
施設計画担当部長福田  至君

本日の会議に付した事件
 二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の東京招致に向けた調査研究及び必要な活動を行う。
報告事項(質疑)
・IOC理事会における正式立候補都市の承認について
 閉会中の継続調査について

○山口委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック招致特別委員会を開会いたします。
 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の東京招致に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑及び閉会中の継続調査の申し出の決定を行います。
 報告事項については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料については、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 去る五月二十九日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしておりますオリンピック・パラリンピック招致特別委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりいただきまして、資料1、JOCジャパンハウスについてをごらんください。
 まず、1、前提でございます。国際オリンピック委員会の規定により、立候補都市の国際プロモーション活動は二〇一三年一月の立候補ファイル提出以降となっておりますが、ロンドン・オリンピック大会期間中のみ、例外的に国内オリンピック委員会が設ける施設内で可能となってございます。
 次に、2、概要でございます。JOCは、日本選手団選手村外本部の統括拠点として、ジャパンハウスを設置いたします。ここでは、記者会見、スポンサー等へのホスピタリティー等を実施いたします。
 ジャパンハウスの場所でございますが、ハイドパーク沿いのフォーハミルトンプレイスという建物でございます。
 続きまして、ジャパンハウスの開設日程は、4のとおり、平成二十四年七月二十六日から八月十二日までとなっております。
 最後に、5、招致プロモーション体制でございます。日本、東京の魅力を発信するPRブースを設置し、効果的にアピールいたします。
 人員につきましては、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック招致委員会、JOC及び東京都で複数名を配置する予定でございます。
 一枚おめくりください。資料2、国立霞ヶ丘競技場の施設概要とオリンピックの要件との比較でございます。
 独立行政法人日本スポーツ振興センターの公式ホームページによる国立霞ヶ丘競技場の施設概要と、オリンピックにおける陸上競技場の主な要件を項目ごとに比較し、一覧表としております。
 まず、収容人員でございますが、国立競技場が身障者席四十席を含め五万四千二百二十四人でございまして、これに対しまして、オリンピックの要件は六万人でございます。
 トラック一周の距離は、国立競技場が四百メートルで、オリンピック要件も同様でございます。
 トラックのレーン数は、国立競技場が八レーンに対し、オリンピック要件は最少八レーンでございます。
 補助競技場及び投てき練習場につきましては、国立競技場はホームページ上の記載がございませんが、オリンピックの要件はそれぞれ必要となります。
 また、参考としまして、近年の大会のオリンピックスタジアム収容人員の事例と、東京の申請ファイルにおけるオリンピックスタジアム収容人員を記載してございます。
 一枚おめくりください。資料3、招致決議の状況一覧、都内団体、地方団体、都内区市町村、道府県についてでございます。
 現在、都内では特別区十六、市二十一、町村十三の招致決議をいただいております。また、道府県につきましては、茨城県のみとなっておりますが、全国知事会、全国都道府県議会議長会など、全道府県にまたがる、いわゆる地方六団体から決議をいただいております。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○山口委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○大西委員 五月二十四日、カナダのケベックで開催されましたIOC理事会において、東京が二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの立候補都市と選定されたことは皆さんもご承知だと思いますが、これまで政府へ働きかけ、本会議の質疑や招致に向けた提言などを通して招致活動を推進してきました私たち都議会民主党といたしましても、東京が立候補都市に選ばれ、招致実現に一歩近づいたことは大変喜ばしく思っております。
 そして、何よりも招致委員会、招致推進部の皆さんを初め、本日ご出席いただきました理事の方を初め、多くの関係者のご尽力に、心からまず敬意を表したいと思っております。本当にありがとうございました。
 私ども都議会民主党は、今後、何が何でも成功をかち取るんだという強い信念、これは当然、自民さんも公明さんもお持ちだと思いますが、都民、国民が一体となった招致活動を推進していき、そのためにも地元での活動などを通して、都民一人一人の賛同と協力をいただけるように努めて、また、政府や各自治体への引き続き働きかけも行っていき、総力を挙げて招致活動に取り組んでまいることをまず表明させていただきたいと思います。
 とはいえ、三都市の競合による少数激戦となるわけです。来年九月七日のIOC総会で栄冠をかち取るためには、東京、そして日本の総合力を結集して、全力で取り組まなければなりません。
 東京が高く評価された分、これに関してはさらに伸ばしていき、一方で評価が余り芳しくなかったところは真摯に受けとめ、その弱点を克服していき、むしろこれを強みに変えていく、それが招致活動成功の大きな秘訣だと思っております。
 そこで、先日報告いただいた資料のうち、IOCのワーキンググループによる二〇二〇年の大会申請都市の評価結果について幾つか質問、確認をさせていただきたいと思います。確認をさせていただいた上で、今後どのように勝利につなげていくのかということの参考にしたいと思います。
 そこで、一番最初はIOCワーキンググループレポートの評価に関して、まず定義といいますか、皆様とコンセンサスを持ちたいと思っております。まず、特に低かったところで結構なんですが、六番と十二番と十四番になりましょうか、環境及び気象のところとエネルギーのところ、そして政府及び市民の支持という、ここの三つは特に低いわけですから、そこについての定義をちょっとお伺いしたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 環境及び気象は、環境保護の取り組みや気温など、気象に関する一般的な事項についての評価を行ったものであり、エネルギーは、電力供給施設などに関する事項についての評価を行ったものでございます。
 政府及び市民の支持は、招致や大会開催についての中央政府や地方政府による支持、市民の支持などに関する事項についての評価を行ったものでございます。

○大西委員 それでは、評価の内容について、一応確認のために具体的に伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 環境及び気象に関しましては、コンパクトな計画により、大会に伴う環境への影響が最小と評価しております。
 一方、東日本大震災の地震、津波から、社会、経済、環境面では回復傾向にあり、東京は地震活動地域だが、建築物は高い耐震基準で建設されていると言及されております。
 また、放射線量については、東北の一部で制限値を超えているが、東京では一貫して制限値内であり、空気、水、食物に関する調査を当分の間継続すると記載されてございます。
 続いて、エネルギーに関しましては、震災の影響によって、東京ではピーク時での電力不足が生じ、また、現在行われている原子力発電所の調査及びその評価によっては電力不足のリスクが高まる可能性があることが言及されております。
 その上で、今夏に発表されるエネルギー基本計画の注視が必要で、今後、新たに特段の問題がなく電力供給が回復されれば状況は改善され、オリンピック開催は十分に可能であると評価されております。
 最後に、政府及び市民の支持についてでございますが、政府の支持については、国からも地方からも支持されている、都は四千億円を超える開催準備基金を用意していると記載されております。
 市民の支持については、IOCが行った調査では、東京とその周辺地域での支持は四七%、どちらでもないが三〇%、反対が二三%で、意見を示さない、どちらでもないという人が多く、今後、国内での強力なコミュニケーションプランが必要と記載されております。

○大西委員 今、お伺いしました三つの項目について、高い耐震基準や政府の支持、また、東京都の開催準備基金、四千億のことですよね、これなど好意的な評価コメントも見られる一方で、放射線量や大会開催のピークにおける電力不足の可能性、世論の支持率など、懸念も示されております。
 これらの懸念について、今回のワーキンググループレポートでの評価を踏まえた都としての見解を伺います。まずは環境及び気象とエネルギーの二つについてお伺いいたします。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 環境及び気象につきましては、IOCワーキンググループレポートで言及されております放射線量の状況などについて、IOC評価委員などに対し、安全性を示す具体的データを用いてご説明し、ご理解いただけるよう努めてまいります。
 また、エネルギーにつきましては、レポートで電力の供給に懸念を持たれていると認識しております。
 今後、安定した電力供給について、国のエネルギー基本計画などを踏まえつつ、IOC評価委員などへ丁寧に説明してまいります。

○大西委員 私は、このレポートを原文で取り寄せて読ませていただきました。その中身のちょっと気になったことを一つだけ述べさせていただきます。
 例えば、エネルギーに関しては、東京電力のことがはっきり書かれていますね。それが今回の皆さんのレポートの中には若干載っていない、こういうところもございます。そんなに大したページ数もないんで、この中のことをもうちょっときちんと見られてやられるということも大切かなと思いますので、一言つけ加えさせていただきます。
 その上で、今、環境とエネルギーについてお話を伺いましたので、次に支持率に関してちょっとお伺いいたします。
 IOCのワーキンググループの独自調査という結果、賛成が四七%という数字、私は正直なところ、どうも支持の実態とはかけ離れているんじゃないかなと。調査の妙というか、数字のマジックというか、私個人としてはいろいろ思うところも正直ございます。しかし、結果ですから、これを真摯に受けとめて、この年末から年明けに行われるといわれております第二回目の調査に向けて、支持の獲得に取り組んでいかなければならないと思います。
 一方、東京の申請ファイルに記された支持率は、全国では六五・七%、東京では前のときには六五・二%だった。これらの数字の裏には、隠れた、どちらともいえないという率に注目する必要が私はあると思います。
 それぞれの調査手法によって結果が異なってくることはわかりますけど、IOCの調査では三〇%、申請ファイル記載の電話調査では全国で一七%、インターネットの調査では全国で二三・五%の方が賛否を表明していないというところにあります。これは日本人の特色といいますか、そもそも日本人は、あいまいな態度をすることを是とすると。はっきりと物をいわないところに美徳を持つという風潮があると思います。それは、よくいえば奥ゆかしさとか、そういうことになると思うんですが、一方では、個人としての意見をはっきり表明できないとネガティブにやゆされることもあるわけです。
 IOCによる支持率の調査結果は、こうした事情を読み取った上で今後の対策を検討することが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 理事ご指摘のとおり、調査結果には、日本人の国民性が多分に反映されているものと認識しております。
 また、調査については、その方法や質問の仕方によって数値が変動するものでありますが、IOCからは、調査時期や調査方法等、支持率調査の内容については示されておりません。
 このため、現時点で支持率の高低を議論するよりは、むしろスポーツやオリンピックに関心が薄い方々へ積極的に働きかけることに重点化し、支持率向上を目指す取り組みに邁進すべきと考えております。例えば、スポーツに関心が薄いとされる女性に対して、女性雑誌への記事の掲載等で招致のPRを行うことなどでございます。これらの取り組みを実践する中で、潜在的な支持層の掘り起こしを積極的に図ってまいります。

○大西委員 それではここで、悪い点もあれば、いい点の方もちょっと聞かせていただきたいと思います。
 オリンピックスタジアムについてですが、今回のワーキンググループのレポートによりますと、東京の開催計画全般については、コンパクトにまとまった全体計画との評価がされております。東京の大会の開催の能力の強さについては高い評価を得られたものだという印象を持っているところではございますが、そこで、二〇二〇年大会が東京で開催される場合のメーン会場と今なっておりますオリンピックスタジアムについてお伺いをいたします。
 都の申請ファイルによれば、現在の国立霞ヶ丘競技場を改修して、八万人収容のオリンピックスタジアムにすると計画しています。国立霞ヶ丘競技場については、所有者である独立行政法人日本スポーツ振興センター、NAASHというんですか、これがことし三月に国立競技場将来構想有識者会議を立ち上げ、改築計画を進めていると聞いております。
 オリンピックスタジアムには、招致計画上の重要な施設というか、最も重要な一つですね。それで、立候補ファイルの作成にこれが間に合うように進むのか、また、東京都としては国との関係をどのように保っていくのか、お伺いをいたします。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 オリンピックスタジアムとして予定をしております国立霞ヶ丘競技場につきましては、独立行政法人日本スポーツ振興センターの有識者会議において建てかえに向けた検討が進められており、施設建築、スポーツ利活用、文化利活用の専門分野ごとのワーキンググループが設置をされております。
 都として、オリンピックスタジアムの重要性は強く認識しておりまして、来年一月七日までにIOCへ提出する立候補ファイルへの記載に間に合うよう、国及び日本スポーツ振興センターに対し、ことし十一月には施設の基本的な計画を固めることを要望してまいります。
 今後とも、世界に誇れるスタジアムの実現を初め、国と十分連携しながら、大会招致に向けた取り組みを進めてまいります。

○大西委員 ちょっと話を変えさせていただいて、前回のときの話にちょっとだけ戻りますが、二〇一六年の大会招致が残念ながら失敗に終わってしまったことは、招致活動終了後にも報告書にまとめられましたし、私も在籍をさせていただきましたが、当時のオリンピック・パラリンピック招致の特別委員会でもいろいろ参考人質疑などをして、その要因を分析したところでもございます。
 その際、私も質問しましたが、敗因の一つは、開催都市となったリオデジャネイロが南米初という非常にインパクトのあるアピールを行ったこと。裏を返せば、東京にはリオの勢いを押しとどめる強いアピール力が不足していたことが挙げられております。また、別な敗因として、リオデジャネイロやマドリードが複数回の招致活動をして、IOC委員を初めとする国際スポーツ界に、既に一定の人脈を構築していたということも挙げられております。これは、東京の活動量が後発の劣勢を覆すには不足したということになるかと思います。
 しかし、今回は、二〇二〇年の大会日本招致には震災復興という明確な目標、展望がございます。また、前回の招致活動で培った国際スポーツ界へのネットワークもございます。あとは二年間の招致活動で、前のカルロス・ヌズマン会長ですか、五十万マイルも世界じゅうを飛び回ったと。これは日本-ニューヨーク間が六千七百マイル、近いところでいうと、北京で一千三百マイルですから、いかに行ったかと。いろんなところを飛び回られたわけですね。ヌズマン会長というのは、各委員に三回ずつお会いしたと。これは本当かうそかわかりませんけど、三回ずつすべてのIOC委員に直接会ったという話も漏れ聞こえてくるわけです。
 こういうヌズマン会長の行動力にどれだけ近づけるかというのも一つのキーにはなるかとは思いますが、今後どのようにして二〇二〇年大会の東京開催のよさ、すばらしさを国際的に訴えていくのか、その辺をお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 二〇二〇年の東京大会では、震災復興を一つの目標に掲げており、IOCのワーキンググループレポートでも明確な展望と言及されております。
 スポーツには人々を結びつけ、勇気づける力があり、震災からの復興の過程においては、スポーツが大きな役割を果たすものと認識しており、スポーツの力を世界に示すという文脈で今後もアピールしてまいります。
 今後の招致活動におきましても、JOC会長として、また、馬術競技のオリンピアンとして国際的にプレゼンスの高い竹田恒和招致委員会理事長、長年、IOCオフィシャルサプライヤーであるミズノの会長として、IOCとともにオリンピックムーブメントの中にあった水野正人招致委員会CEO二人を先頭に、東京の開催地としての魅力をあらゆる場面で訴え、精力的に招致活動に取り組んでまいります。

○大西委員 今回の大きな招致活動の中心の一つともいえると思います国際のプロモーションについてちょっとお伺いいたします。その中でも特に重要なのが、この夏、ロンドン・オリンピック期間中に開催されますジャパンハウスについてお伺いをさせていただきます。
 委員会の資料として本日提出をいただき、概要については説明いただきましたが、東京の招致チームはジャパンハウスを拠点として活動するとのことであります。来年からスタートするその前での、ことしでは本当のメーンとなりますこのジャパンハウスの活動はとても大切だと私は認識をしております。
 先月、私は個人的にロンドンを訪れることがございまして、ジャパンハウスの予定地を実際に見てまいりました。IOC本部が設置されるといわれているホテルのすぐ隣で、絶好のロケーションでもございますし、そこで投票権を持つIOC委員に東京をアピールする拠点としては本当にいいところをきちんととられたなとすごく思っております。
 現時点では、現地での体制というのは、まだきちんと固まっていないということもお伺いいたしますが、昨年の第四回の定例会の我が党の代表質問に対して、細井局長より、日本食文化や東京の観光スポットなども含め、日本、東京の魅力を広く発信するというふうな答弁もいただいているところでございます。もう少し詳しく、この拠点での招致活動の方向性についてお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 JOCジャパンハウスでは、日本選手団の記者会見場が設置されますが、記者会見に臨む各競技のメダリストにより、内外メディア向けに二〇二〇年大会招致についてもアピールしていただく予定でございます。また、ジャパンハウスを訪れる国際競技連盟や各国のオリンピック委員会の役職者等の国際スポーツ界のVIP向けに、日本ならではのホスピタリティーを提供いたします。さらに、限られたスペースでありますが、二〇二〇年大会の立候補都市としての招致ブースを設置し、東京の都市としての魅力、大会計画のすばらしさをPRいたします。そして、投票権を持つIOC委員に対しても、東京の優位性や魅力を直接訴える貴重な場として大いに活用してまいりたいと考えております。

○大西委員 先ほどいいましたように、IOCの方が泊まるホテルの隣にあるわけですね。IOCの方が、例えば競技を見て戻ってこられたときに、部屋に入る前にちょっと入ってもらう。これが一番の目的になるということだと思うんですけど、そのとき、これは私も見てきたんですが、フォーハミルトンプレイスは、イギリスの航空関係者が所有している伝統かつ由緒ある建物で、じゅうたん張りの厳かな感じのところなんですけど、その廊下にオープンスペースがあって、そこをらせん状の階段が横にはっているんですが、そこに多分、僕らから見たらわからないんですけど、過去に航空関係で頑張った方の肖像画がいっぱい張ってあるわけです。このぐらいの大きな額に人の顔がたくさん張ってあるんですけど、この肖像画というのは外すことはできるんですか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 JOCからは、取り外し可能と聞いております。

○大西委員 イギリスの航空関係者とは僕らは違うんで、その期間だけはちょっと外していただいて、かわりに、例えば震災の写真とか日本の文化の写真とか、例えば震災の写真ですと、下の方に震災当日の写真から、だんだんそれが復興していくような写真とか、そういうのも一つの例かなと思いますが、このような姿を見てもらう写真の展示などを、肖像画のかわりにどんどんつけていく、そういうことは効果的じゃないかと僕は提案させていただくんですけど、いかがでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 写真の展示を初め、魅力あふれるコンテンツをそろえ、ビジュアルに訴えることは非常に有効であると認識しております。
 一方、ジャパンハウスの予定地でありますフォーハミルトンプレイスは、理事ご指摘のとおり、英国における歴史と伝統ある建物でございます。この建物の持つ雰囲気と日本ならではの和のテーストとの調和を図りながら、ジャパンハウスを訪れる関係者に対し、東京、日本を効果的にアピールするしつらえにしてまいります。

○大西委員 ぜひ皆さんの衆知を集めて、すばらしいものにしていただきたいと思います。
 このジャパンハウスでもう一つ、ここはポイントかなと私が感じたのが二階のテラスでございます。テラスは公園側に向いてすごいいいシチュエーションでありますし、話をするにはうってつけの環境だと思っております。このテラスの活用方法を今どのように考えておられるのかお伺いします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 ジャパンハウスの建物の二階に設置されているテラスは、ハイドパークを臨むすばらしい環境にございます。オリンピック大会期間中には、二度、JOCの公式レセプションの開催が予定されております。国際VIP等を対象にしたそのレセプションの際、このテラスを活用して、最大限のおもてなしをする予定でございます。
 そのほか、ジャパンハウスを訪れる国際競技団体や各国オリンピック委員会等の関係者とのコミュニケーションの場、ホスピタリティーの場としても日常的にこのテラスを活用していく予定でございます。

○大西委員 IOCの方がいつ来られるかもわからないわけですし、二階の効果的な使い方、来たときにさっとだれかがぱっと話をさせてもらう、そういう常にだれかが待機している、そういうふうな体制づくりが一番必要だと私は思います。当然、現地の方でも話題豊富な方など、いろんな方がおられると思います。特に外人の方は、一日じゅうでもしゃべっているような人もおられますので、そういう人も必要かなとは思いますが、積極的なプロモーション活動をぜひやってほしいと思います。
 特に今回、前回のときに予算の関係で、我々もちょっと厳しいこともお話ししたこともございます。しかし、必要なところというのは絶対に予算をかけなければならない。今回の招致活動の前半戦の一つの大きな山は、やはりジャパンハウス。ここに、もし万が一せこるということがあって、それが敗因につながれば、これはもう大失敗になりますので、でも、全体から見れば、それは勝利する要因が多い割には予算的には少ないものだと私は思っております。ここはぜひこういうジャパンハウスのようなものには、しっかりとしたお金を、予算を立てて、招致成功にかけていただきたいと思います。
 昨日、定例会の開会の日に、所信表明にもありましたけど、石原知事も、大会期間中、ロンドンに行かれ、みずから活動されるということであります。また、先ほども申しましたように、一月の立候補ファイル提出以後にしか国際プロモーション活動はできないわけですから、今回のプロモーション、ジャパンハウスにはぜひ力を入れてほしいと思います。
 例えば、私どもの都議会議員の、うちの会派にいるんですけど、石毛議員なんかは、フランス語でしゃべれば一日でもフランス人としゃべっている。この間も、僕、一緒にちょっと海外に行かせてもらったんですけど、隣に座った人と二時間でも三時間でもぺちゃくちゃずっとしゃべって、向こうの人は大笑いしながら喜んでおられる。でも、その人は都議会議員ですよみたいな。例えばそういう人を使うとか、今回、鈴木隆道先生も大会期間中に行かれるわけです。私も家族を連れてプライベートで行こうと思っています。ほかの何人かを聞いていると、いろんな都議会議員も行こうかなと思っているという人もいます。
 都議会議員だけじゃなしに、国会議員や政府関係者もちょろちょろ聞いていると、期間中にはちょっと行ってみようと思うみたいな人もいるわけですから、そういう人もぜひ活用していただければいいんじゃないかなと。国会議員や政府高官、そういう人もいいと思います。また、海外に友人、知人がいる人や商社とか人的資源はたくさんいると思います。
 今回のジャパンハウスのみならず、これからのことも全部考えて、そのような方々とオールジャパンでやはり国際活動に取り組むべきだと思いますが、所見を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 招致活動におきましては、投票権を持つIOC委員から東京開催への賛同を得ることが何より重要でございます。そのため、東京都は、最高の計画を用意いたします。
 その上で、この夏にIOC委員に就任する予定の招致委員会理事長の竹田恒和氏、そして招致委員会CEOの水野正人氏が、先ほど申し上げましたとおり、招致の顔として積極的に国際プロモーション活動を展開してまいります。加えまして、国際競技団体に強いパイプを持つ国内競技団体の役職者を通じた働きかけも同時に行います。さらに、外務省の在外公館や世界各国にグローバルなネットワークを持つ商社を初めとする民間企業など、さまざまなチャンネルを活用して招致活動を推進いたします。
 以上申し上げましたとおり、国会や都議会の皆様を初め、オールジャパンで一丸となり、日本の総合力を結集して、招致実現に向けて戦略的に取り組んでまいります。

○大西委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、情報戦略についてお伺いいたします。
 過去の教訓を学び、生かすことが勝利への近道であることはだれもが否定しないと思います。二〇一六年招致を振り返ると、招致の活動の報告書では、当初、シカゴを想定して活動していたとはっきりと書かれております。シカゴは、ご存じのように、一回目の投票で落選したわけで、勝利をおさめたリオデジャネイロと最終的に戦ったのはマドリードでありました。そのマドリードは、先月、東京とともに立候補都市に選定されたわけですが、今回も非常に強力なライバルになることは間違いありません。
 イスタンブールも含め、この第二ステージ、いよいよ三都市の戦いになったわけでございますが、今後の国際招致活動を効果的に進めるには、ライバル都市の情報収集を的確に行い、その上での活動方針を決めていくことが極めて重要だと考えます。
 IOC規定で、他の都市については論評することが禁じられていることは承知しておりますので、他の二都市についての事実だけをお答えいただきたいと思います。
 まず、それぞれの都市が公式のウエブサイト、いわゆるホームページを立ち上げているのかどうかお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 東京はもちろんのこと、イスタンブール、マドリードとも二〇二〇年大会招致の公式ウエブサイトは立ち上がっております。いずれの都市も、各国の母国語と英語のページそれぞれを設けております。

○大西委員 では、その公式ウエブサイトや一般的な新聞やインターネットで得られる情報で、まずマドリードからその状況をお伺いさせていただきます。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 マドリードにつきましては、インターネットや現地新聞等では、スペインの経済状況に関連した報道が多いようでございます。また、先ほど答弁いたしました公式ウエブサイトでは、IOCワーキンググループで高評価を得たことをアピールしております。
 なお、マドリードは、申請都市の段階から王冠をかたどった招致ロゴを使用しておりますが、五輪マークがついた招致エンブレムについてはまだ公表されていないようでございます。

○大西委員 では、次に、イスタンブールについてですけど、同じ二〇二〇年のサッカーの欧州選手権に立候補しているとの新聞報道を見ましたが、ほかに何か知っておいた方がよい事実があるのかお伺いをいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 イスタンブールがありますトルコは、年八%という経済成長を遂げている国でございまして、人口も比較的若い層が多く、招致関係者の発言には、そのような事実が引用されて報道されております。
 招致活動に関しましては、イスタンブールは、立候補都市に認められる五輪マークのついたエンブレムはまだ公表されておらず、また、申請都市段階に認められておりました招致ロゴも発表はございませんでした。
 なお、トルコ西部に位置するイズミールという都市が、同じ二〇二〇年の万国博覧会の招致に立候補しているという報道もございます。

○大西委員 ありがとうございます。きょうは六月七日、二〇一三年九月七日まで残り一年とちょうど三カ月ということでございます。今後、この活動を推進するに当たり、今のような情報収集活動はより大きな意味を持つと考えております。地道かもしれませんが、相手の状況をより知ることにより、また戦い方も、攻め方も変わってくるものと思っております。また、敵を知ることはおのれを知ることでもございます。情報収集についての重要性、どのような認識であるのかお伺いをいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 理事ご指摘のとおり、招致活動において積極的な情報収集を行うことは非常に重要であると認識しております。
 特に、国際プロモーション段階においては、確固たる情報戦略を構築して、世界の強豪都市との戦いを勝ち抜いていく必要がございまして、スポーツ界、経済界、国の在外公館など、あらゆるネットワークを最大限活用して、最新の情報収集に努めてまいります。
 それとともに、関係機関が相互に緊密な連携のもと、適時適切に情報共有を図り、招致実現に向けて邁進してまいります。

○大西委員 ありがとうございます。ぜひ頑張っていただきたいと思いますが、我々も頑張ります。
 最後に、具体的な施策といいますか、状況を一つ申し上げさせていただきます。
 先日、東京とマドリード、イスタンブールの三都市が立ち上げておりますフェイスブックのページをちょっと見てみました。そうしたら、それぞれの都市がライク--いいねというぐらいの表現かと思うんですけど、いいねと支持を得ている数を見て、私はちょっと驚きました。マドリードが群を抜いて多いんです。三万五千を超えておりました。イスタンブールは千三百をちょっと超えたぐらい、東京は千四百をちょっと切るぐらい、ほとんど一緒ぐらいだったわけです。
 このいいねというのは、各都市の招致に共感して、いいね、ライクというところを押した人、その本人の支持を得られたというあかしになって、その数が反映されているということはいうまでもありませんが、加えて、フェイスブックの上でいいねと押した人につながっている多くの人たちにそのいいねが伝わるので、どんどんどんどん横に広がっていくと。それゆえ、ソーシャルネットワークといわれるものなんですけど、私は東京招致の支持率向上には、ソーシャルメディアの効果的な活用が一つのキーにもなると考えております。もちろんフェイスブックは実名のため、必ずしもすべての世代が登録しているわけでもありませんが、一つの起爆剤になるのは間違いないと思います。
 ソーシャルメディアの活用を推進して、支持を拡大していくべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 ソーシャルメディアにつきましては、二〇一六年大会招致の際には、現在ほどは普及しておりませんでしたが、ここ数年の間に全世界で利用者が爆発的に拡大し、今では欠くことのできない重要なコミュニケーション手段の一つとなっております。
 日本でも、フェイスブック、ツイッター、ミクシィなどのソーシャルメディアを活用した情報発信は極めて効果が大きいと認識しております。今後、招致活動におきまして積極的に活用していき、東京開催への支持拡大を図ってまいります。

○大西委員 いろいろ提案もさせていただきましたが、最後に部長がいわれました、あらゆる手段を活用して支持向上を図る、これが一番大切かなと思っております。一つにまとめてもだめですし、全体に、また、必要なところには重きを置いて、私たち都議会民主党も一緒になって頑張ってまいりますので、ぜひともみんなで一緒になって成功をかち取りたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。本当にありがとうございます。

○高橋(か)委員 謹んで申し上げます。このたび、生前、スポーツマンで、札幌五輪委員会事務局に勤務された寛仁親王殿下におかれましては、昨日、六月六日、薨去されました。心から哀悼の意を表します。
 それでは、質問をさせていただきます。
 オリンピック・パラリンピック招致に係る国内盛り上げについてお尋ねをさせていただきます。
 去る五月二十四日早朝、東京は非常に高い評価を得て二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の立候補都市に選定されました。これは我が党を初め、都議会が東京都とともに、何としてもオリンピック・パラリンピックを東京に、そして日本に招致したいという熱い思いが結実したものと確信するところであります。
 東京の都市の力を考えれば当然の結果かもしれませんが、今後、来年一月が提出期限とされている立候補ファイル策定に当たっては、今回、IOCから示された評価レポートの内容を十分に分析していくことが重要となります。つまり、高く評価された点はさらに磨きをかけるとともに、課題として浮かび上がってきた事項については、着実に対策を講じていくことが、これから本格化する三都市による熾烈な招致レースを勝ち抜くための前提条件になると考えるわけであります。
 そこで、まず初めに、東京がIOCから特に高く評価された点はどのような点であったのかを改めてお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 ワーキンググループによる評価で、東京は十四項目中七項目で最高評点を獲得いたしました。
 全体としては、二〇一六年招致の経験を生かして、計画をさらに改善して、非常に力強いものとなっており、アスリートにとって最高の環境が整えられているという評価を得たところでございます。
 特に、財政面では、四千億円に上る開催準備基金が評価されているとともに、国の財政的能力の格付は、イスタンブールとマドリードのA4に対しまして、最上位のA1でございます。宿泊施設では、最高の評点である十点満点の評価を得ており、全申請都市、全項目の中で十点満点を獲得しているのは、東京の宿泊施設のみでございます。

○高橋(か)委員 ただいまの答弁でも確認できましたとおり、東京の強みは他都市にまさるものであります。
 しかしながら、来年九月七日に、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催されるIOC総会において、二〇二〇年東京招致をかち取るまでは気を引き締めて招致活動に邁進しなければなりません。
 今後、IOC委員の票を獲得することが最終的な目標となるわけでありますが、一方で、オリンピック・パラリンピックを東京で開催しようという盛り上げこそが、今、まさに喫緊の課題として浮き彫りになったわけであります。
 私は、本年一月に開催された本特別委員会において、二〇二〇年大会に伴う経済効果について、できるだけ早い段階で試算し、公表することで、世論の支持につなげていってもらいたいとの意見を申し述べました。オリンピック・パラリンピックの開催は、新規競技会場建設等の設備投資や大会運営費、国内外からの大会関係者や観戦客による消費支出など、大きな経済効果が必ず生まれるものと思います。
 東京開催の支持率が四七%という結果を目の当たりにした今こそ、オリンピック・パラリンピック開催による経済効果を都民、国民にわかりやすい形で示していくことが重要ではないかと考えますが、見解を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 二〇二〇年大会に伴う正式な経済効果は、立候補ファイル作成とあわせて試算する予定でございますが、現時点での仮の試算では、経済波及効果は全国で約三兆円、雇用誘発数は全国で約十五万人と見込んでおります。
 このように、オリンピック・パラリンピック開催に伴う経済効果は、東京のみならず、全国にも大きく波及するものでございます。
 今後、経済波及効果や雇用誘発数を、都民、国民の皆さんにわかりやすく伝えていくことで、二〇二〇年東京開催の支持率向上に努めてまいります。

○高橋(か)委員 仮の試算ということでありますが、全国で約三兆円の経済波及効果があることがわかりました。オリンピック・パラリンピックの開催により日本全体が元気になり、また、被災地の復興が加速することで、さらに大きな効果が期待できると思います。
 また、オリンピック・パラリンピックを開催することによる効果は、経済効果にとどまらず、東京のスポーツ環境や都市環境の改善、バリアフリー化の進展など、多岐にわたると考えられます。
 これから夏祭りや秋のイベントなど、地域で多くの人々が集う機会があると思いますが、こうした機会を利用してオリンピック・パラリンピック開催の意義や効果を積極的にPRしていくことが重要だと思います。
 先月十三日に、駒沢オリンピック公園で開催された都民体育大会、東京都障害者スポーツ大会の合同開会式に出席してまいりましたが、ここでもスポーツ祭東京二〇一三のPRとともに、オリンピック・パラリンピックの招致PRが行われておりました。
 私は、公益社団法人練馬区体育協会の会長を務めておりますが、来月一日には、三十四の加盟団体が日ごろの成果を発揮する場として、区民体育大会の総合開会式が開催されます。このほかにも年間を通じて体育協会主催の各種大会を開催しております。
 このような地域団体の行事やイベントを活用して、招致機運の盛り上げに力を注いでいくことも有効だと思います。
 そこで、今後、地域団体や地域に根差した基礎的自治体である区市町村とどのように連携して招致機運を盛り上げていくのか伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 地域の団体や区市町村など、都民一人一人に向けた草の根での招致活動は大変重要であると考えております。
 五月に開催されました特別区長会、市長会、町村長会において、招致機運をさらに盛り上げていくため、ともに力を合わせていくことを確認したところでございます。
 また、その後、速やかに区市町村の担当課長を招集して開催しました連絡会議では、今後の連携策について協議したところでございます。
 区市町村と連携した具体的な取り組みとしましては、例えば地域で行われる盆踊り等で、招致ロゴをプリントしたうちわを来場者に配布したり、夏祭りや秋のイベントなどが開催されるときにアスリートを派遣し、オリンピック・パラリンピックのすばらしさをアピールすることなどを予定しております。

○高橋(か)委員 今回の評価レポートにおいて、無関心層ともいえる、どちらともいえないという三〇%の人たちを賛成に取り込んでいくことが国内支持率の向上には不可欠であるということはいうまでもありません。
 IOCに高く評価された計画の内容や、オリンピック・パラリンピック開催がもたらす非常に大きな効果などを都民、国民に十分に伝え切れないために、いわゆる無関心層といわれる人たちが二〇二〇年東京招致に対して賛成に踏み切れないでいるとしたら、余りにももったいないのではないでしょうか。予算の制約もあると思いますが、考えられることは何でもやるという強い気概を持って臨み、何としても支持率を向上させなければならないと思います。
 そこで、これから熾烈な招致レースに臨む局長の決意を伺い、質問を終わります。

○細井スポーツ振興局長 IOCから示された評価レポートの結果、立候補ファイル提出までに取り組まなければならない課題が明確になりました。それによりますと、東京に対しましては、強力なコミュニケーションプランが必要であるとして、世論喚起が必要であることが指摘されております。
 今、まさに必要なのは、都民、国民のオリンピック・パラリンピック東京招致への支持でございます。今回のIOC発表の支持率を正面から受けとめまして、今後、都民、国民の支持が招致獲得につながることを強く訴えてまいります。
 どちらともいえないという人たちを賛成に取り込むため、具体的にPRしていくターゲットの重点化を図りまして、ターゲットごとに地域に根差したPR、メディアを通じたPR、あるいはフェイスブック、ツイッター、ミクシィなどのソーシャルネットワーキングサービスを活用したPRなど、最も有効と考えられる手段を駆使しまして、重層的、複合的に取り組んでまいります。
 こうした取り組みにより、一人でも多くの方から東京招致に対する賛同を得まして、支持率を向上させ、そして一人でも多くのIOC委員の賛同を得まして、必ずや招致をかち取る決意でございます。

○野上委員 それでは、初めに、五月二十三日のカナダのケベックで開催されたIOCの理事会におきまして、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催都市として選定されたことに喜びを禁じ得ません。
 五月二十四日の早朝、私も田舎の方に住んでおりますので、五時半に家を出てまいりまして、朝六時五十分、大変蒸し暑い日でございましたけれども、かなり狭い会場の中で、みんなで喜びを分かち合った気持ちを大事にして、忘れずに頑張りたいと思っております。
 また、そのときの様子を写真で撮りまして、やはりフェイスブックに載せさせていただいて、多くの方々からオリンピックよかったねという、賛同のいいねという表示をいただきましたことを伝えておきます。
 これからは、イスタンブール、そしてマドリードとの決戦になるわけでございます。東京都のよいところを伸ばし、また、弱みを克服してオリンピック・パラリンピック招致を、開催決定をかち取るための前向きな質疑をしていきたいと思っております。
 いろいろ打ち合わせした結果、電力の不足とか放射能とかいろいろな質疑がもう先にございましたので、重複するところは割愛をさせていただきます。
 まず最初に、日本が地震多発国ということが挙げられると思うんですね。地震に関しては、競技会場等の建物の耐震化は当然のこととして、例えば天井とか電気とか、附帯構造物についても安全性を確保していく必要があるのではないかと思っております。
 三月十一日、九段会館で、専門学校の卒業式で天井が落ちてきて、残念なことに二人の方がお亡くなりになったということがございました。建物の構造そのものは耐震でしっかりしておりましても、附帯物が落ちてくるということも考えられると思うんですね。非構造物ともいうんですけれども、この安全対策が一つ大事なことではないかと思っております。
 それともう一つ、まとめて聞きますけれども、例えば競技会場等で地震が発生したと。そうしたときに、避難誘導表示などについても、日本人のみならず、外国人観戦客に対しても適切に情報提供を行う必要があるのではないかと思っております。この二点について、都の見解をお伺いいたします。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 地震対策につきましては、まずハード面につきまして、耐震基準を上回る強度の競技会場の整備をするとともに、建物躯体以外の外壁、建具、天井などの非構造部材につきましても、耐震安全性を確保するために必要な対策を講じてまいります。
 また、ソフト面につきましても、大会開催に当たりまして、自然災害など万一の事態にも備えまして、競技会場や選手村などの大会関係施設の災害発生時の避難誘導、あるいは医療救護等の応急対策などを策定する予定でございます。
 さらに、世界じゅうから多く訪れる外国人観戦客などに対しましても、避難誘導や医療救護について多言語で適宜適切な情報を提供することができますように、大会組織委員会、東京都、関係区市町村が密接な連絡をとりまして準備を整えるなど、安全・安心な大会運営に努めてまいります。

○野上委員 多言語につきましては、これからどういう語学を表記していくかという、いろいろ検討していくと思いますけれども、世界じゅうの方々が日本に来られるということで、しっかりと対応をしておく必要があると思っております。
 次に、大きく評価の対象となっていて、日本が少しおくれぎみの受動喫煙対策についてお伺いいたします。
 北京やロンドンなどのオリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市は、受動喫煙防止に取り組んでおります。
 アスリートで喫煙をしている方は余りいないと思うんですが、それを指導する監督やコーチなど、いらいらすることも多い立場の人たちだと思うんですが、選手を取り巻く人々の中には喫煙者も存在すると思っております。
 選手や、それから、観戦客を受動喫煙から守ることは非常に重要なことであると思いますが、競技会場における喫煙環境について、立候補都市段階におけるIOCからの求めについて都の見解をお伺いいたします。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 立候補都市段階で求められます開催計画書である立候補ファイルの作成に当たりましては、受動喫煙防止策についての記載は特に求められておりません。
 しかしながら、実際のオリンピック・パラリンピックの開催に当たりましては、IOCからの要件といたしまして、選手村の建物内は禁煙で、宿泊者や従業員用に屋外の定められたエリアに分煙スペースを設置すること。また、競技会場においても分煙エリアを設置することとされております。
 二〇二〇年東京大会におきましても、選手村や競技会場等の大会関係施設において、IOCの規定を遵守した受動喫煙防止策を講じてまいります。
 なお、東京都におきましては、健康増進法の施行を踏まえ、受動喫煙の健康への影響を減少させることを目的に、平成十六年六月に、東京都受動喫煙防止ガイドラインを作成して、受動喫煙防止対策を推進しているところでございます。

○野上委員 立候補都市の段階では、受動喫煙に対しては厳しくは求められていないということですが、もしも東京が開催都市に決定したときには、選手村は建物内禁煙、屋外に喫煙所を設置、それから、競技会場は分煙エリアを設置等が求められているわけでございます。
 開催国に決定すると、IOCの規定にのっとった受動喫煙防止を行っていかなければなりません。それから、IOCは、一九八八年より会場の禁煙化を選択しております。分煙ではなく禁煙です。それから、たばこ産業のスポンサーシップを拒否しております。それから、二〇一〇年七月から、WHO、世界保健機構とたばこのないオリンピックを目指す協定にも調印をしております。実際には、バルセロナ、アトランタ、シドニー、アテネ、北京、ロンドン、リオデジャネイロ、このオリンピック開催都市にはすべて罰則つきの厳しい受動喫煙防止、あるいは条例が存在しております。
 世界一喫煙率の高い中国、男性が十人のうち六人が吸っている非常に喫煙率の高い中国でも、北京オリンピックの開催のために、北京市に受動喫煙防止条例を制定したわけです。オリンピックを東京へ招致するためには、すべてのレストラン、バー、それから、移動手段を含む受動喫煙防止の方策が求められていることがあります。福祉保健局を中心に、店における分煙については、今現在、取り組んでいただいております。
 分煙についても、狭い飲食店では分煙場所を設定するのが非常に難しい場合、例えば時間帯による分煙、お昼のランチの時間だけの禁煙、それ以外は喫煙とか、いろいろ考えられると思うんですけれども、東京都全体で取り組みを進めていただいているわけでございます。
 ライバルでありますイスタンブール、それから、マドリードは、いずれも罰則つきの厳しい受動喫煙防止法を既に設定しております。国際情勢を踏まえて、東京都が開催をかち取るための一つの条件として、受動喫煙防止を強力に推進していくことが大事だと私は思っております。全面禁煙ではなく受動喫煙防止なので、喫煙をされている先生方も守られるわけです。野田総理もたばこを吸っていらっしゃるそうなんですけれども、政治家も喫煙者が多い中で、受動喫煙防止にこれから真剣に取り組んでいく、その姿を見ると日本は本気だなと、どうしてもオリンピックをかち取りたいんだなというイメージを強烈にまた打ち出すことになるのではないかと思っております。
 この前ございました、招致にどちらでもない方、三〇%の方がいらっしゃいますけれども、現在、日本では、たばこを吸っている男性が三二%、女性が八・四%で、平均すると一九・五%で、たばこを吸っている方は二割を切ってございます。
 ですから、賛成、どちらでもない、反対の中の一対四の割合で、一が喫煙者、四が禁煙者ということで、受動喫煙防止が進めば進むほど、どちらでもない方の招致活動への意識が振り向いていく可能性があると思うんですね。そういう割合であるがゆえに、大事ではないかと思っております。
 それから、国際オリンピック委員の八〇%の方は、禁煙法が制定されている国に住んでいるわけでございます。たまたま日本の国にいらしたときに、入ったレストランが物すごいたばこ臭いと、すごくイメージが悪いので、そういう対応も非常に大事ではないか。環境が大事ではないかと思っております。
 世界各国から日本に集う人々の健康保障のためにも、これは私の考えですが、受動喫煙防止をさらに推進していくことが勝利の一因になると感じておりまして、質疑をさせていただきました。
 以上でございます。

○たぞえ委員 東京は、二〇二〇年開催候補地の一つに選ばれましたが、私からは、東京招致と申請ファイルの問題点についてただしたいと思います。
 まず、立候補都市を選考した際のIOCの独自世論調査についてです。
 IOC調査では、東京での開催について、賛成は四七%、どちらでもないが三〇%、反対が二三%でした。申請ファイルをIOCに提出する際の都が行った世論調査での賛成率をまず示していただきたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 申請ファイルには、世論調査では都民の六五・二%、国民の六五・七%が二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の東京開催に賛成していると記載したところでございます。

○たぞえ委員 答弁のとおり、都民の賛成率が六五・二%でしたが、それは前回の委員会でも私から厳しく指摘したように、サンプル数も手法も結果も大きく異なる、電話調査とネット調査を合わせて二で割ったもので、加工的な数字でした。その東京の賛成率の六五・二%と比べると、今回の四七%は一八・二%、実に約二〇%も低い。また、二〇一六年招致のときのIOC調査では、賛成、どちらかというと賛成を合わせると五四・五%です。この数値と比べても七・五%も低いわけです。反対で見ると、今回二三%、前回一九・四%ですから、反対は三・六%ふえています。
 知事は、先日の日本外国特派員協会での講演後の質疑で、こうした五輪招致への支持率が低迷したことにこういいました。都民はうぬぼれているし、自分のことしか考えなくなった、ほかの日本人とは違う人種になった、東京でのオリンピックが実現したら、都民は来なくていい、日本じゅうから国民が来ますからと発言をしましたが、自分の思うような結果でなかったからといって、とんでもない暴論だと思います。
 都民はうぬぼれているんではなくて、オリンピックよりも先に今やるべきことがある、被災地の復興や防災、福祉、雇用などを優先してほしいというのが気持ちなんではないでしょうか。都民に的外れな攻撃を加えることは謝罪をするべきです。少なくとも、真摯にみずからのやり方、言動を慎むべきだと思いますが、いかがですか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今回の知事の発言につきましては、IOCの評価結果を受けて、賛成が低いこと、また、どちらでもないという層が多かったことについての感想を述べたものもでございますが、いずれにしましても、東京に招致をしたいという意思のあらわれであると思っております。

○たぞえ委員 選考に残ったマドリードは、前回のIOC調査では賛成は九〇%、今回は七八%でした。前回は立候補をしていなかったイスタンブールは七四%、選考から落ちたバクーは前回八六%、今回九〇%で、どちらも高い支持率を示しています。これらの都市がなぜ支持率が高いのか、スポーツ振興局はこれについてどう分析をしたんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 オリンピック・パラリンピックの開催に対する支持率は、国民性や国情などにも大きく左右されるものと考えておりまして、他の都市の支持率と東京の支持率と単純に比較できるものではないと考えております。
 日本のような成熟した社会では、価値観が多様化しておりまして、IOCの調査結果でもそうでありましたように、どちらともいえないという中間層も多くございます。
 今後も、さらに招致機運を盛り上げていくように、招致理念や意義などについてさまざまな機会をとらえまして、都民、国民の皆様に広くアピールしてまいりたいと考えております。

○たぞえ委員 ほかの都市では、やっぱり市民の盛り上がりがはっきりとある。これに対して、東京都民の皆さんは、このオリンピックを支えようというふうに三〇%の数字でもあらわれているように、やはり市民主体というところにはない、ここが結果の大きな原因だというふうに思います。また同時に、知事のトップダウンで進められていることも、ここも違う点だと思います。
 これから、支持率を上げるPR活動に力を入れるとして、この夏、当初予算で知事がロンドンに行く費用は一億円と説明を受けています。前回招致時の北京では、知事が一泊二十四万円の高級ホテルに宿泊して招致活動を行うなど、莫大なお金をつぎ込みました。このことは多くマスコミでも取り上げられたことであります。税金のつぎ込み方が私は間違っていると思います。
 ジャーナリストの横田一氏はマスコミ誌で、今後の東京は、高齢者が激増して医療や福祉の施設が不足する、都民のお金を使う施策の優先順位が間違っていると厳しく指摘をしておりますが、私は都民の声を代表しているというように思います。優先順位が間違っているという指摘について局の受けとめを伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 東京都におきましてさまざまな施策を展開しておりまして、そのうちの一つがオリンピック・パラリンピック招致でございまして、オリンピック・パラリンピック招致がすべての課題に優先するというわけではないと考えております。
 また、先ほどたぞえ委員、おっしゃいましたけれども、知事の出張が一億円であるという主張がございましたけれども、現在調整中でございまして、まだ日程等もはっきりしておりません中で、一億円という数字は、まだどこからも出ていない数字であると考えております。

○たぞえ委員 あえていえば、二十四年度予算の説明の中で、そうした数字を私はお伺いしています。(発言する者あり)それはあくまでも振興局の予算ですよ。福祉や中小企業、雇用対策の抜本的な充実など、地に足がついた経済施策、そして防災対策、国も被災地の復興、原発事故の収束に全力を尽くすべきであります。
 次に、施設計画についてです。
 申請ファイルでは、競技施設を湾岸部に計画していますが、施設の種別ごとに会場位置を述べてください。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 一億円というのは当局の予算では計上しておりませんので、私どもとしてはお答えのしようがございません。
 それでは、お尋ねですけれども、臨海部に位置する競技施設についてですけれども、臨海部には、東京ベイゾーンには、お台場地区、海の森、夢の島の三つの会場群がございます。会場群ごとでは、お台場地区にはバレーボールなど九競技、海の森には馬術など六競技、夢の島には水泳など五競技の会場を計画しております。このほか、大井にホッケー、葛西にカヌーの単独会場を計画しております。

○たぞえ委員 合わせても二十二種もの競技が実施されるというわけであります。
 先日、防災会議による首都直下型地震等による東京の被害想定が発表されましたが、震度六、震度七の地震が来る可能性に基づいて想定が行われました。そして、臨海部といえば、地震による液状化や津波が非常に心配されます。
 IOCに申請ファイルを提出する際、自然災害の可能性の記載を求めましたが、どのように記載をされたんでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 申請ファイルのうち、環境及び気象の項目にあります環境地図につきましては、自然災害の可能性に加えて、申請都市とその周辺の地理的特徴や自然保護地域、環境が損なわれやすい地域、文化遺産の図面への記載が求められておりますが、すべてを記載すると地図が煩雑になり、また、地震などの自然災害は、その発生の可能性を地図で示すことが困難であることから、自然災害の可能性はこの地図には記載しておりません。同じ申請ファイルのセキュリティーの項目におきまして、地震、津波、台風、洪水などの自然災害について、発生状況などをわかりやすく記載しております。

○たぞえ委員 この申請ファイルの三〇ページで、セキュリティーの地震、津波の項目では、日本が世界的に厳しい耐震基準を採用している。だから、東日本大震災でも、東京では家屋の損壊がごくわずかで済んだと、自慢そうにこのように記載がされていますけれども、そもそも東京では震度五ではなかったか。震度五で建物が壊れないのは当たり前ではないかということについて、我が党は予算特別委員会でこの問題について指摘をいたしましたが、首都直下型地震の可能性の切迫や競技施設が集中する湾岸部で震度七の危険性が文部科学省から指摘されながら、こうした危険性については一切記載がありませんでした。
 津波の問題はどうでしょうか。申請ファイルではこう述べているんですね。東京湾は二つの半島に囲まれた閉鎖型の海域で、津波の影響を受けにくい地形になっていると。日本での津波被害の史料によると、過去三百年にわたって東京湾での津波被害は確認されていない。過去三百年、津波が来なかったから、まあ心配ありませんよということが印象づけられているわけです。
 この申請ファイルで、過去三百年と区切った記述をしたのはどうしてですか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 大きな地震が直近で起こったのが三百九年前であるためでございます。

○たぞえ委員 ことしの予算特別委員会で、我が党の質問に総務局長は、専門家の調査によれば、一七〇三年の元禄関東地震、一八五四年の安政東海地震、一九二三年の大正関東地震による津波の記録がございます。
 元禄関東地震では、本所、品川に二メートル程度の津波が到来し、浜に逃げた者が波にさらわれたという記録が残っている。安政東海地震では、船堀に一・五メートル程度の津波が到来したと。大正関東地震では、品川に一・三メートルの津波が到来した。このように答弁されました。さらに、昨年の東日本大震災では、晴海で一・五メートルの津波が観測されている、このように総務局長が答弁されました。
 元禄関東地震は、三百九年前の地震ですけれども、犠牲者が出ています。申請ファイルは、なぜか三百年で区切って、津波被害は確認されていないと記述して、三百九年前の津波を無視したわけです。申請ファイルの記述は都の方針と違うものです。
 都は、昨年の十一月に策定した東京都防災対応指針では、東京の抱えるリスクを十分認識し、これを正しく理解する必要があるとして、都民に対して公表しました。そして、実際に都防災会議の被害想定では、三百九年前の元禄型地震に基づく想定を行っているではありませんか。IOCに対して、津波に関しては安全だと印象づけるために、申請ファイルではあえて三百年と区切って記載をしたと私は指摘をせざるを得ません。
 しかも、東部低地帯などの堤防は、耐震化されたものでも震度七はもとより、二十三区の七割で発生する危険が指摘されている震度六強に耐えられる設計になっていないわけです。違うというなら責任あるデータをお示しするべきですが、どうなんですか。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 申請ファイルに記載いたしました、過去三百年にわたって東京湾岸での津波被害は確認されていないという記載につきましては、一七〇三年の元禄地震において品川に推定二メートルの津波が来襲して被害が発生したのを最後に、東京湾で津波による被害があったことは確認できていないということを記したものでございます。
 皆様ご承知のように、東京の地理的な特徴といたしまして、津波の被害よりも台風による高潮の被害の方が大きな被害をもたらしてきたのが東京の歴史だと思います。そのため、例えば臨海副都心などについては、地盤高を六メートルから八メートル確保し、それ以外の地域においても、防潮堤、河川の護岸などを整備して、そういう被害から守ってきております。
 そういう意味で、過去に二メートルの津波の被害があったといたしましても、現在、それを上回る対策を進めているというのが現実だと思います。
 また、今回の招致に当たりましては、臨海部を、発展する東京の未来を象徴する東京ベイゾーンと位置づけまして、選手村を初め多くの大会施設を配置し、コンパクトな大会計画を実現しております。臨海部に位置する大会施設につきましては、必要に応じて盛り土や防潮堤の設置など、また液状化対策も含めて対策を講じてまいります。
 また、先ほども答弁いたしましたけれども、東京都で整備する競技会場は一般の耐震基準を上回る整備をいたしますし、また万が一の事態に備え、災害発生等の避難誘導、医療救護等の応急対策もしてまいります。
 このように、安全・安心な大会運営をしていける自信があると思っております。

○たぞえ委員 地震と台風は性格が違うでしょう。ごちゃごちゃにしないでくださいよ。三百九年前の地震による津波でも、やっぱり事実を伝えた方がいいんじゃないですか。区切らないで。ちょっと時間がないから次へ行きますけれども、IOCには正確にやっぱり申請するべきですよ。
 次に、今、部長がおっしゃった臨海部について伺います。
 東日本大震災では、豊洲や有明、辰巳、また夢の島公園のある新木場などで大変な液状化現象が起きました。新木場駅の近くなどは水が噴き出して道が川のようになりましたし、夢の島公園などの都立公園の中でも地盤が沈み、大きな段差やずれが至るところで生じました。
 私は、先日、都立辰巳の森海浜公園の周辺を視察しました。辰巳の森公園は、観客席、競泳、飛び込みの二つの水泳競技施設をつくる計画になっています。行ってみて、現在でも、昨年の三月の震災の跡が至るところに残っていることに大変驚きました。
 きょうはパネルを持ってまいりましたので--これは辰巳の森公園のすぐ近くの歩道です。歩道に車が入らないように放置しているさくが、この下が通常のさくです。ところが、このように、上の写真のように、大きく傾いて地中に沈んでしまっています。ここはきれいにカラー舗装してあったんですが、大きく沈み込み、大きな水たまりになっているので、今とりあえずアスファルトで平らにして応急処置がされていますが、このさくは一年前のそのまんまの姿に、一個だけじゃなくて、あちこちこういう状態になっているわけです。
 公園内のトイレのあった場所にも行きましたら、そこは更地になっていました。ほかのトイレはあっちですと矢印があるんですけれども、トイレの建物が液状化で地中にアリ地獄のように沈み込んでしまった。それで、撤去されました。ほかにも、歩道橋のつなぎ目が上下にずれたままに今でもなっています。
 震度五での当時の液状化のすさまじさ、こうしたことがあちらこちらで確認がされ、今も残っています。
 都の被害想定では、この辰巳一帯はマグニチュード七・三の東京湾北部地震が発生した場合、液状化の危険度が高く、重要な構造物についてはより詳細な調査が必要であるエリアだと、このように指摘をしています。今回の地震は震度五ですから、それでもこのような被害が生じたのに、この液状化しやすい場所に巨大な水泳場施設をつくり、そこに何万人もの人を集める。私は大変危険だと思いますが、認識を伺います。

○延與スポーツ振興局競技計画担当部長 地震等の災害につきましては、建物ですとか、道路、橋梁ですとか、ライフラインなどの主要な都市施設に被害を与えないことが何よりも大事だと思っております。
 今回、二〇二〇年東京大会で使用する競技会場などについては、選手村になるべく近接していることや交通アクセスがよいこと、施設整備に当たり十分な敷地面積を確保できることなどの点で立地を選定しております。開催が決まりましたら、競技会場や選手村など、大会関係施設の建設に当たりましては事前に地盤調査を行い、必要に応じて地盤改良やくいの打設など液状化対策を着実に実施していく予定でございます。
 また、先ほどから申し上げておりますけれども、耐震強度を上回る強度の競技会場を整備するとともに、地震に伴う津波等に備え、また必要に応じて防潮堤の設置や盛り土を行うなど万全な対応をしてまいります。

○たぞえ委員 その地盤の改良というのは、これはオリンピックでなくても大変大事な行政の役割だと思います。少なくともその場所に万という方が来るわけですから、二〇二〇東京であってもなくても、それはぜひスポーツを振興する局としての役割として要請をしておきたいと思います。
 しかし、同時に、この辰巳が仮設の競技施設もつくるということになります。これは常設の建物と同じにつくるわけではないですね。どうですか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 仮設の施設につきましては、その後、撤去されることを前提につくっていくものでございますが、強度については同等の強度が保てるようにしていく予定でございます。

○たぞえ委員 液状化に関する記述は、申請ファイルには一つもありませんでした。しかし、液状化の危険が高い臨海部に今回競技施設が集中しているにもかかわらず、地震や津波による大会の中断リスクは低いといえると、こういう内容で記載、申請をして、IOCから評価を受けようとすると。これは大変災害の危険性を軽視しているんではないかということを私はいわざるを得ません。
 しかも、原発事故は収束にはほど遠いのに、原発の事故の事態は申請ファイルで収束に向かっているとか、都内には放射能のホットスポットが放置されている現状があるのに、災害リスクは極めて低いと、このようにしています。
 さらに、自然災害の可能性について、申請ファイルの環境及び気象の部分で地図上に記載を求められているわけですね。その答えとして、地図九ページから一〇ページを参照というふうに書いていますが、それを見ると、地震や津波などの自然災害の可能性については記載が全くありません。非常にこの問題が軽視をされている、このように指摘をしたいと思います。
 今回の申請都市の評価結果が環境及び気象は最低が五・五点となっているのも、大災害、大震災が起きた直後にもかかわらず、原発事故の影響、地震や津波を大変軽視して安全だ、安全だと印象づけようとする、そうしたところも見られるんではないかというふうに私は思います。
 次に、自然環境の問題です。
 環境及び気象の部分で申請ファイルではどう書いているかといいますと、競技場会場周辺の緑の創出も行うと。大会開催に伴う建設によって東京の自然環境が破壊されることはないとこのようにいい切っています。
 しかし、私は前回のこの特別委員会で、葛西臨海公園にスラロームの大規模競技場を建設することで野鳥の生態が脅かされるんではないかという点を指摘しました。そして、葛西臨海公園にとどまらず、夢の島公園や辰巳の森海浜公園など、都民の憩いの場であり、二十三区の貴重な緑である都内の公園内に、たくさんの競技施設を建設する計画についても危惧を覚えています。
 今回、都立辰巳の森海浜公園内に水泳競技場施設をつくることが提案されていますが、どのような規模のどのような場所につくるのか、説明をしてください。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 現在、立候補ファイルの作成に向けまして、前回二〇一六年の計画を参考としながら水泳会場の計画は検討中でございます。

○たぞえ委員 前回の立候補ファイルの計画を参考とするということで、前回のファイルを見てみますと、観客数二万人の競泳と五千人の飛び込みの水泳場二つと附属施設などをあわせて、今は樹木や芝生で覆われている公園の三分の一から四割程度をコンクリートなりアスファルトなりで固めてしまうというような図になっています。公園の片隅につくるというものではありません。
 そして、前回の計画では、二つのうち一つの施設を大会後も恒久施設として使用することになっていました。この場所を水泳会場とすることで公園面積は確実に減少します。このことをどのように考えて、今回、設定をしたんでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 具体的な会場計画につきましては今後検討いたしてまいりますけれども、二〇一六年計画の考え方では、公園に隣接した未開園区域の圃場、この圃場というのは植樹用の樹木を育成する用地でございますが、その圃場を活用することや、施設の一部を仮設施設として暫定整備することにより、公園面積が減少することはないと考えていたものでございます。

○たぞえ委員 圃場を活用するから公園面積を減少することはないと、このように今おっしゃいましたが、圃場というのは公園隣接地と、あたかも公園でないかのようにおっしゃいましたけれども、現在、都民に公開をしていないだけで、辰巳の森海浜公園のかなり広い一角なんですね。確実に緑は減ると私は思います。
 私、その辰巳の森海浜公園に先ほどいいましたように行ってまいりましたが、都民の多様な活動が活発に行われていました。
 前回計画では飛び込み施設をつくる予定の多目的広場では、伺ったときには大人のグループが草野球をやっていました。少年広場は小学生たちが何チームも入り乱れてサッカーをやっていました。午前中だったんで、バーベキュー広場には道具を抱えたグループが肉を焼く準備をしていました。
 二〇一〇年度の利用実績は、少年サッカーは学校のない日ということで年間百四日間、参加人数三万九千三十六人、ラグビーは年間百五十八件、バーベキューは五千七百九十八人ということで、これでは現在の利用者も大きな影響を受けることになります。
 都民の水泳施設というなら、既に隣の辰巳国際水泳場もあるわけです。オリンピックのための巨大施設建設のために、二十三区の区内の緑の樹木や芝生の茂った公園を、ここに広い土地があるからちょうどいいといって、これでは緑を減らすことになるんじゃないでしょうか。
 申請ファイルでは、競技施設の周りに先ほどもいいましたように緑を創出すると、自然環境が破壊されることはないと、このようにいいますが、葛西臨海公園などもあわせて実際には逆さまではないかという疑問を感じざるを得ません。
 以上、述べてきましたように、今回の立候補都市選定のもとになった申請ファイル、特に随所で支持率を高く見せよう、環境をよく見せよう、震災や放射能問題も安全だと見せよう、こういう内容になっていると思います。そして、都民が本当はどういう気持ちなのか、東京都に何を都民は願っているのか、こういうことについてはファイルにも記載がされず、ともかく支持率を上げるための膨大なお金をかけて支持率を向上させようとすることが、私は今回の申請ファイルを読む中で非常に強く感じました。
 改めていっておきますけれども、私はオリンピックそのものに反対ではありません。しかし、現在のトップダウンによる東京招致については私は反対です。防災対策や予防、都民の暮らしや福祉の拡充にこそ力を入れるよう改めて求めておきます。
 次に、メーンスタジアムとされている霞ヶ丘の国立競技場についてです。
 今回、国立競技場がメーンスタジアムということですが、都民の皆さんからは、国立施設とはいっても東京が招致するオリンピックに使うんだから、改築に当たっても法的なさまざまな手法を駆使して、都費を入れることになるんではないか。また、近隣の都立公園である明治公園や都営住宅がありますが、スタジアムの規模も現在の五万四千人から八万人と大きくなるし、サブトラックなども必要ということで、住民の方々からは、自分の住宅に影響が出るんではないかという不安の声が寄せられました。
 そこで伺いますが、都の計画では競技場をどのような規模にしようと考え、申請ファイルをIOCに提出したんでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 国及び日本スポーツ振興センターが現在の競技場を八万人規模での建てかえに向けて動き出したことを踏まえまして、近年のオリンピックスタジアムの事例などを参考に、総座席数八万人は妥当な規模であると判断し、申請ファイルに記載をいたしました。

○たぞえ委員 国立競技場の改築については、施設の運営を行っているNAASH、独立行政法人日本スポーツ振興センターですね、このもとに国立競技場将来構想有識者会議が設置されて、石原都知事や建築家の安藤忠雄氏も加わった十四人のメンバーで議論を行っているわけですね。
 三月六日には、スタジアムの規模、球技と陸上の両方の活用、世界規模の機能、そして文化の発信を含めた利活用という四点を確認したと、このように発表がされています。
 現在の敷地の中で八万人規模の客席を置いた場合、敷地内でおさまるんですか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 事業者である日本スポーツ振興センターの検討事項でありまして、現段階では公表されておりません。

○たぞえ委員 陸上競技施設としては、どのような副施設が必要な要件となっているんでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 オリンピック・パラリンピック競技大会の施設要件としましては、選手のウオームアップのための補助競技場や投てき練習場が必要とされております。

○たぞえ委員 いわゆるサブトラックですね。どのぐらいの規模が求められているんですか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 オリンピック・パラリンピック競技大会のサブトラックとしましては、一周四百メートルで周回部は四レーン、直線部が六レーンのトラックなどが求められております。
 なお、観客席などの施設は必要とされておりません。

○たぞえ委員 そのサブトラックは、国立競技場の近くでなければいろんな支障が生まれると思うんですよ。どこに設置すると検討しているんでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 メーンスタジアムとサブトラックの位置は、選手の移動や運営上の利便性からも近傍に設置することが望ましいと考えます。どこに設置するかにつきましては、日本スポーツ振興センターの検討事項であり、現段階では公表されておりません。

○たぞえ委員 その改築が明治公園や都営霞ヶ丘住宅に影響を与える可能性があるのか、また、サブトラックの建設場所として明治公園や都営住宅は考えられるんでしょうか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 繰り返しになりますが、設置場所につきましては日本スポーツ振興センターの検討事項であり、現段階で公表されておりません。

○たぞえ委員 申請ファイルでは、メーンスタジアムの建築工事費は一千億円となっていますが、その根拠を教えてください。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 国立競技場の建てかえ主体となる日本スポーツ振興センターから、オリンピックスタジアムの概算建設工事費として提示されたものでございます。算定の根拠は示されていないため、お答えできません。

○たぞえ委員 前回の委員会でいただいた資料でも、国立の施設なので国費を初めとする資金で賄い、都費は入れないと、このようにいっていました。一千億円の中にはサブトラックの費用は含まれるんですか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 日本スポーツ振興センターから提示された概算工事費には含まれているものと認識しております。

○たぞえ委員 そうしますと、サブトラックには都費は入れないと、こういうことでよろしいですか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 国立競技場の建てかえは、国策として国及び独立行政法人日本スポーツ振興センターが責任を持って推進すべきものと考えております。

○たぞえ委員 じゃ、都費は入れないということでよろしいですね。有識者会議では、この改築に向けた基本構想はいつまとまるとしていますか。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 第一回の有識者会議の後、日本スポーツ振興センターによる記者会見が開かれましたが、そこでは、ことし十一月までに構想をまとめたいと説明しております。

○たぞえ委員 毎日新聞の五月十日付では、このNAASHの理事長である河野一郎氏が、八万人収容のスタジアムになると現在の敷地におさまり切らないことは明らかだと。競技場周辺には東京都の条例で風致地区が指定されており、建築制限を緩和するには条例改正を検討する必要があると述べています。また、改築費は一千億円がスタートラインだろうといって、最後に、新国立競技場への国民の理解を切に願っていると結んでいます。
 ところが、NAASHに設置された有識者会議は、議事録などは非公開です。私も一度も見ていません。今、都に、都というのは皆さんですね、お伺いしても、敷地におさまるかどうかや、サブトラックの場所は回答できない、NAASHが検討しているということでした。
 もともと国立競技場の今後の整備方針は、今まで文科省の協力者会議で検討したわけなんですね。それが今回、振興センター、NAASHのもとに有識者会議を置いたことで、都民や国民の目から議論が非常にわからなくなってしまった。本当に見えなくなってしまったんですよ。都民から見れば、都知事がメンバーなんだから、都がどんな要望をしているのか知りたいなと普通は思いますよ。それもわからない。
 だから、非公開だからしようがないよといわれたって、情報がなければ理解のしようがないんですね。そうしたところも都民の支持が得られない理由の一つだと思います。オリンピック招致をするかどうかはともかくとしても、私たち都民や国民のスポーツ施設ですから、ぜひその有識者会議の検討内容は公表するように要請をしていただきたいというふうに思います。
 でなければ、この会議が何回か開かれて、今、公表しないという立場だから知っていないのに、皆さんはこれから情報をとることはできないんですよ。情報をとれなければ、立候補ファイルだってつくれないと思いますよ。そういう点では、ぜひ情報公開を求めていかなければいけないというふうに思います。
 次に、マーケティング。
 一六年招致では、電通とマーケティング契約を結んで、招致活動資金に関する専任広告代理店との契約、招致ロゴの使用に関する商標登録手続、そして、アスリートビジュアルの使用に関する選手との交渉などを行ったことが、一六年招致活動報告書で記載がされています。専任契約を結んだ広告代理店の電通にとっては大変重要な位置にいるわけで、それなりの利益を得ることができると、このようにいわれています。
 今回も招致委員会と電通は専任契約を結んでいますが、前回の主な事業と今回の事業はどこに差があるのか、あるとすればどういう差か、示してほしいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今回、招致委員会が株式会社電通と結んでおりますマーケティングに関する契約につきましては、協賛企業を集め、また協賛金を集めるところの契約でございます。

○たぞえ委員 オフィシャルパートナーという機運を盛り上げる活動がありますが、その役割とパートナーになる要件は何でしょうか。教えてください。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 オフィシャルパートナープログラムは、オリンピック・パラリンピック招致活動及びオリンピックムーブメントの推進のため、企業の皆様にサポートをお願いするもので、協賛企業にはオフィシャルパートナー等の呼称権、招致ロゴの使用権などが付与されます。
 オフィシャルパートナーには、それぞれの企業活動分野において招致活動をサポートしていただくことで、招致機運盛り上げの後押しをしてもらうことを期待しております。
 オフィシャルパートナーの要件につきましては、東京都とは独立しました招致委員会が定めておりますので、東京都としてお答えする立場にはございません。

○たぞえ委員 パートナーは寄附金を出すことが義務づけられているんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 その点につきましては、東京都としてはお答えできません。

○たぞえ委員 都としては答えられないという答弁ですけれども、招致委員会のこととなると、肝心な資金に係る部分は答えられない。では、今回パートナーになった企業は何社が手を挙げて、前回招致の際の初めの段階、最終段階は何社だったんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 去る五月二十九日に招致委員会が発表しましたところによりますと、オフィシャルパートナー四社と契約を行ったと発表したところでございます。
 前回招致につきましては、前回招致の活動報告書によりますと、申請都市段階の最終時点で九社と契約しており、招致活動の最終段階では十七社と契約しておりました。

○たぞえ委員 前回は十何社が参加していたのに、なぜ前回入っていた企業は今入ってこないんでしょうか。教えてください。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今回の招致活動では、招致委員会がNPO法人となりました、ことしの四月でございますが、この二十四年四月からオフィシャルパートナーの募集を開始し、約二カ月間で四社と契約に至ったものでございます。
 前回につきましては、オフィシャルパートナーの募集を開始したのが平成十九年の九月からで、今回より七カ月早い段階でのスタートでございました。申請都市段階でのオフィシャルパートナー数の違いは、オフィシャルパートナープログラムの開始時期によるものと考えております。

○たぞえ委員 東京の各企業は、前回の招致より不況で厳しい状況にありますから、自腹を切って招致に乗り出そう、そういう状況にはないというふうに私は思います。
 今回、そのパートナーから幾ら集まっているのか、民間資金全体の集まり状況を示してください。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 オフィシャルパートナーは先日発表いたしました四社でございますが、金額については、民間同士の契約でございまして、東京都としてはお答えする立場にございません。

○たぞえ委員 尖閣諸島の募金となると、なおかつまたと毎日毎日発表しますけれども、こういう協賛金、民間からの資金は、招致委員会の事項だからいえない、いえない、こういって口は閉ざしてしまう。
 開かれたオリンピック招致だというんならば、資金の出入り、大いに都民に明らかにして、皆さんの立場だったら、資金が少ないからぜひよろしくお願いしますというのがあなたたちの仕事だと私は思うんですよ。でも、幾ら集まっているかも公表もしません。それは招致委員会の事項ですから。これじゃ、やっぱり、本当に民間の状況を見据えた招致活動であるなどということはいえないと思います。
 時間が来ましたので、終わりますけれども、いずれにしても、この立候補都市に選ばれたもとで、招致活動費でも七十五億円で高過ぎると。今回、七十五億円ですけれども、批判を浴びた前回の百四十九億円の半分とはいえ、三十億円のマドリードの二倍以上、今回使うわけですから、国民の暮らしが大変なとき、この四千億円の基金も含めて、都民のために使うという立場に立つべきである、私はこのことを改めて申し上げて、質問を終わります。

○山内委員 私からも質問させていただきます。
 生活者ネットワークでは、これまで再三、市民不在の招致であることを指摘してまいりました。今回、一次選考を通過しましたが、IOCによる世論調査では賛成四七%と三都市の中で際立って低く、半数を切っています。しかも、二〇一六年招致の支持率五九%よりさらに低くなりました。反対は三都市の中で最も高い数字です。申請ファイルに記載した支持率とは約二〇ポイントも違い、IOCの調査とのギャップがあります。
 そこで、申請ファイルでは、支持率は東京で六五%、日本全体では六六%としていましたが、申請ファイルの支持率は、いつ、どのように調査したのか、改めてお伺いいたします。
 また、IOCの数字をどのようにとらえているのか、この課題をどう解決していくのかお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 申請ファイルに記載しました世論調査は、ことしの一月七日から九日にかけて、東京都を含む全国の十五歳から六十九歳の男女について、インターネット調査で三千人、電話調査で千人を対象に調査を実施したものでございます。
 質問内容は、二〇二〇年東京大会開催の賛否のほか、好きなスポーツは何か、好きなスポーツ選手はだれか、東京都の立候補を知っているか、開催の賛成理由、反対理由などでございました。
 調査時期、調査手法、調査対象者数、質問内容など、IOCの調査方法が不明でございますので、単純には比較できませんが、IOCの調査では、どちらでもないという中間層が多いということが指摘されております。
 こうした中間層にも、今後でございますけれども、招致理念や意義、開催効果などを訴え、さらに招致機運を盛り上げていくよう、都民、国民の皆様に広くアピールしてまいりたいと考えております。
 具体的には、EXILEなどの有名人を活用したポスターの掲出などとともに、メディアを活用した効果的な露出、あるいは地域に根差した招致PR活動をバランスよく行いながら、招致活動の趣旨をより多くの方々の心に浸透させられるよう努めてまいりたいと考えております。

○山内委員 二〇二〇年の大会運営で使用される電気量をどのぐらい想定しているかということを以前質問した際の答弁では、大会で必要とされる電気量は未定、前回の招致時に試算した競技大会等における大会運営に必要となる電気量は、ピーク時で約七万キロワットと見込んでいたとのことでした。
 そこで、競技大会運営だけでなく、来客数も多くなることを考えますと、東京全体の電気量を試算しなくてはならないと考えます。節電、省エネが進められるべき今、エネルギー政策も不透明な中で、今の状態でも電力は足りるとする根拠は何かお伺いいたします。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 大会の詳細が決まっておりませんので、運営で必要とされる電気量は未定でございますが、二〇一六年の招致時に試算した競技会場等における大会運営に必要となる電気量は、ピーク時で約七万キロワットと見込んでおり、これは、東京電力株式会社が公表しているこの夏の電気供給力の〇・一%程度でございます。
 来客増に伴う電力需要につきましては、例えば観客輸送の面で見ると、主に観戦などの外出には鉄道を利用することが考えられますが、夏季期間中は輸送需要に余裕があることなどから、増加する要素は少ないと想定しております。
 これらのことから、大会に伴う電力需要増の影響は少ないものと考えております。

○山内委員 前回同様、支持率がアキレス腱となりました。電力の需要と供給も二〇一六年の招致の際の試算のままです。
 開催予定としている夏の暑い時期に、日本から、あるいは日本全国から、海外からも東京に観光客が集中するわけで、原発をどうするか決まらない中で、都民は、このままなし崩しになっていくんではないかと不安に感じている人もたくさんいらっしゃいます。
 三・一一以降、原発の安全神話が崩壊し、電力そのものが三・一一以前とはさま変わりいたしました。東日本大震災から復興をスローガンに掲げていますが、オリンピックを歓迎できる社会情勢とは思えません。
 先日、六月一日のNHKの「時論公論」によりますと、開催立候補都市に選定された二十四日の深夜零時からの「NEWS WEB 24」に千三百六十三もの声が全国から寄せられたそうです。その中では、震災復興なら仙台で開催を。経済効果は一時的である。電力不足、放射能の不安の中で行う必要があるのか。税金のむだ遣いになるのではないかというものが寄せられたということです。
 二度目を目指す理由が見当たらないというのが世論の大半ではないかと思います。三・一一以降の分析と対策が必要ではないかと申し上げ、質問を終わります。

○中村委員 東京が正式に立候補都市に承認されたとの報告について何点か質問します。
 今回、ドーハが落選をして、同じアジアのライバルが減ったということで、有利になったという報道もありますが、前回はマドリードに負けているという事実があります。また、イスタンブールにはイスラム初という大義があり、決して東京が有利という楽観できる状況ではありません。
 都は、他の二都市をどう見ていて、その対策をどうするのか伺います。
 また、今回の発表で、項目ごとに点数が出ているのですから、この点数がすべてではないとはいえ、具体的にすべての項目で他の都市を上回ることを目指して取り組むべきだと考えますが、対応はどのようにするのか伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 東京とともに立候補都市に選定されたイスタンブール、マドリードは、いずれも強力なライバルでありまして、我々としては、立候補都市になってからが本当の勝負であると考えております。
 東京は最高の計画を示していくことはもちろんのこと、オールジャパン体制で一丸となって招致実現に取り組んでまいります。
 今回、立候補都市選定のもととなりましたIOCのワーキングレポートでは、東京は全十四項目のうち、宿泊、輸送など七つの項目で最高評点を獲得しております。加えて、総合評価で非常に強力と書かれていることからも、我々の開催計画は高く評価されていると認識しております。
 来年一月に提出いたします立候補ファイルでは、こうした東京の強みを一層アピールするなど、計画のブラッシュアップを図ってまいります。
 また、環境、エネルギー、市民の支持など、一部懸念された項目につきましては、機会をとらえてIOC関係者へ丁寧な説明を行い、あらゆる面で最高の評価を得られるよう努めてまいります。

○中村委員 次に、国内の支持率について伺います。
 今回、IOCが発表した調査結果では、賛成四七%、反対二三%、どちらでもないも三〇%と多かったのですが、日本の国民性から、事前には冷めていても本番は盛り上がることが多いのも実態だともいえます。
 ワールドカップなどの過去のイベントで、事前の支持率と実際の盛り上がりの差があったということを証明し、最大限のおもてなしをすることができたということをもっとPRすべきだと思います。
 また、国内の支持率そのものを上げることも必要ですが、そもそも各国の国民性は同じではないので、IOC委員の方には、単なる数字で判断せず、日本ではこの数字でも支持率が高いんだということを知っていただかざるを得ません。
 決定する際に、せっかく日本を選んでも歓迎されないのではないかという懸念を払拭することについて取り組むことが必要だと考えますが、見解を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 元来、日本人はお祭り好きな国民であり、必ずといっていいほど、オリンピック開催時には国内が沸き立っている状況がございます。大会開催が現実のものとなれば、国民が一致団結して盛り上がるものと確信しております。これまで数多くの大型スポーツイベントが我が国において成功をおさめてきたことが何よりの証左でございます。
 先生ご指摘のとおり、このような日本人の特質をアピールし、盛り上がりについて不安がないことを対外的に訴えてまいりたいと思います。
 しかしながら、開催都市は最終的にIOC委員の投票によって決まるものであり、その投票行動には支持率が重要な意味を持つものでもありますことから、支持率向上に全力で取り組んでまいります。

○中村委員 今、支持率のお話もありましたが、都としてもアンケート調査をやっていたのですが、今回のIOC委員会の調査による支持率の低さには驚かれたということだと思います。
 実際には、どういう設問で、どういう調査が行われたかなどの詳細は不明なわけですが、いずれにしても、支持率調査に回答する都民、国民があいまいな選択肢を選ぶのではなく、明確に意思表示をしてもらえるような招致活動を展開することが大切になります。
 そういう意味では、これまで以上に厳しい見方で活動しなければならないと思いますが、ご所見を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 都はこれまでも、招致活動に関するプレスリリースやイベントでの招致PRなど、さまざまな取り組みを行い、オリンピック・パラリンピック招致の理念を伝えてまいりました。このため、オリンピック精神や大会の開催計画などにつきまして、ある程度の支持は得ているものと考えております。
 今後は、支持率の向上はもちろんのこと、オリンピック・パラリンピック招致実現のために、より積極的な賛成の意思表示をしてもらうことが必要であると考えております。そのためには、具体的な開催効果や、開催都市の決定が間近に迫っていることなどを強烈にアピールするなど、訴えかける内容や手法を工夫してまいります。

○中村委員 今の質問でも述べましたが、状況は決して楽観するものではなく、特に支持率については、明確な意思表示をしない傾向にある国民性でも明確に意思表示をさせなければならないとすれば、知事を先頭にこれまで以上の取り組みが求められます。
 ただ、立候補都市の発表の後に、その都知事みずからが都民に来るなという趣旨の発言をしたと報道されました。後日の会見で釈明をされたとの報道もありました。トップの不用意な発言は、ますます支持率が下がることにつながりかねません。知事には、自分のことは支持しなくてもオリンピックは支持してほしいというお願いを都民にするぐらいの姿勢が必要です。
 とりわけ、詳細が不明な方法で調査は行われるわけですから、知事は常に都民に対して、調査が来たら賛成してほしいといい続けることも必要です。改めて、知事を先頭に一丸となって取り組んでいただくことを要望します。
 さて、都民の中には、震災の復興を優先すべきだという方々もいます。しかし、これは二者択一というものではないわけですし、実際には東京都は、現在でも、岩手、宮城、福島に職員を派遣して支援活動をしています。応援してもらうために復興支援を行うわけではありませんが、東北地方が元気になって、東北からも東京にエールを送ってもらい、そのことで一体感をもたらすことができるような広報や説明をきちんとすることも大切です。
 外とのコミュニケーションも、中のコミュニケーションも、どちらもきちんとして今後の活動を行うことを求めて、質問を終わります。

○伊藤委員 では、私からも質問させていただきます。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会立候補都市として、東京が選定されました。ワーキンググループの評価結果を見ても、東京が高く評価された点が多数あるということは大変に喜ばしいことだと思います。しかし、油断することなく、いよいよの思いで、来年の開催都市決定に向けて、東京勝利を目指して、全力で招致活動を進めていかなければならないと思います。
 一方、先ほども何度も皆さんからお話が出ているとおり、今回の評価結果の中の賛成、反対、どちらでもないという方が三〇%いらっしゃる。この層の方々をどこまで賛成に近づけていけるのかが勝敗のかぎとなると思います。そこで、これまで以上に招致機運を高められるように、あらゆるPRを行う必要があると私は思います。
 このところ毎日のように、バレーボールやサッカーなどの大規模なスポーツ大会が開催をされておりますけれども、ある都民の方からは、日本じゅうがスポーツ応援で盛り上がっているときこそ、何でもっとオリンピック招致のPRをしないのかという声がございました。
 今後行われるオリンピック・パラリンピックの最終予選、日本国内での国際大会や大規模スポーツイベントを活用して積極的にPRを行ってはどうか。一方で、招致PRの規制、制限はどうなっているのか、都民にわかるように説明をお願いしたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 日本国内で行われる大規模スポーツイベントにおいて、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の招致PRを実施することは、スポーツが有する魅力や迫力を存分に活用しながら訴求できる点におきまして、大変効果的な取り組みであると考えております。
 しかしながら、IOCが定める行動規範により、国際的な招致活動ができるようになるのは来年一月の立候補ファイル提出後であります。そのため現在は、日本国内で開催される国際スポーツイベントでの招致PRは制限されておりまして、実施できるのは国内大会のみとなっております。
 そのため、これまでも東京では、二月の東京マラソン、四月に福岡県で行われましたウエートリフティングの全日本選手権、同月に東京辰巳国際水泳場で行われました水泳の日本選手権、あるいは五月に東京体育館で行われました日本車椅子バスケットボール選手権などの場におきまして、のぼり旗の掲出やブース出展などの取り組みを行ってまいりました。
 今後も、九月に開催予定の東京シティサイクリングや東京・マラソンスイミング、十月に開催予定のスポーツ博覧会、十一月に開催予定の日本トライアスロン選手権など、国内のさまざまなスポーツイベントにおきまして、国内競技団体やイベント主催者と連携しながら、招致活動の意義や日本開催のメリットなどにつきまして積極的なPR活動を実施してまいります。

○伊藤委員 ご説明でよくわかりました。今この時期は、要するに、日本国内で行われる国際大会の中では招致PRはできないと。ただし、国内の大会においては十分にできるチャンスがあるということでありますので、ぜひ積極的に国内大会、この時期はPRをしていただきたいというふうに思います。
 振り返ってみますと、二〇一六年の招致のときに、このPRについて、私は大変に印象的だったことがございました。それは、都庁内の各局ができる、また各局らしい取り組みを、この招致PRをやっていたわけでありますけれども、その中のちょっと印象的だったのは、東京都交通局が行った取り組みでありました。
 これは、交通局が都営地下鉄大江戸線の駅を競技会場に見立てて、オリンピック種目二十九競技を疑似体験することができる体感型の展示を大江戸線の三十八駅中の三十駅のコンコースで行っておりました。
 これにあわせて、スタンプラリーも交通局がやっておりました。例えば新宿の西口においては、競技はホッケーをテーマにして、駅構内にホッケーコートが出現したということもありました。
 また、牛込神楽坂においてはバレーボールをテーマにとって、世界的な男子バレーの選手がジャンプしてボールを打つ打点の高さを表現するような、こうした展示もされておりましたし、赤羽橋ですかね、これは卓球をテーマに、福原愛選手がスマッシュを打った高速ラリーを体感できるなんていうことを交通局が取り組んでおられましたけれども、いずれにしても、ロンドン・オリンピック・パラリンピックの開催まで、あと残り五十日間と迫ってまいりました。
 ロンドン五輪が始まれば、日本国内は当然、オリンピック・パラリンピックについて機運が盛り上がってくると思います。ロンドン大会開催時期に合わせて、スポーツ振興局がこの夏、ヘッドとなって、都庁各局からオリンピックの情報を発信していけるようにしてはどうかというふうに思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 委員ご指摘のとおり、庁内で連携し、各局がオリンピック・パラリンピックの情報を発信していくことは極めて重要でございます。
 今回の招致活動におきましても、オリンピック・パラリンピック競技大会招致幹事会を昨年八月に設置したところでございますが、直近では、立候補都市選定を受け、一昨日にメンバーを招集し、今後の連携策について協議したところでございます。
 今後とも、各局が実施するさまざまな事業の場を活用いたしまして、ピンバッジやPRパンフレット等の配布、あるいは共同で招致PR活動を実施するなど、各局と密接に連携して、オリンピック・パラリンピック招致に関する積極的な情報発信を実施してまいります。

○伊藤委員 続いて、オリンピック、そしてパラリンピック競技大会について、ちょっと力点を置いた質問をさせていただきたいと思います。
 オリンピック・パラリンピック競技大会で使用する施設については、既存の施設のバリアフリーや、あるいはユニバーサルデザインを拡充していくことはもとより、新規の施設の整備については、国際都市東京としてアピールしていくためにも、世界一、障害者などにも配慮した施設として整備をしていく必要があると思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○福田スポーツ振興局施設計画担当部長 オリンピック・パラリンピック競技大会の施設整備に当たり、障害者にも配慮した施設とすることは非常に重要なことであると考えております。
 選手村や競技会場などの大会関係施設について、ユニバーサルデザインの視点に立ち、障害者を初め高齢者、子ども、外国人など、だれもが使いやすい施設として整備してまいります。
 大会の開催を契機として、障害者の社会参加が大きく進むとともに、スポーツ施設のみならず、都市全体のバリアフリー化が加速するよう積極的に取り組んでまいります。

○伊藤委員 障害者の方々へのこうした施設の整備に関連をいたしまして、最後にもう一点お伺いしますけれども、最初に、どちらともいえないという方々が今回の調査でも三〇%いたということでございます。私は、この三〇%の中に、ご自身が障害がある方もいらっしゃるというふうに思います。
 障害があるがゆえに、発信されていることが届いていないということも十分に考えられると思います。今後の招致PRについては、例えば視覚障害者の方など、障害がある方へも十分に情報が届くように配慮と情報提供を行っていく。あらゆることを考えながら、こうした障害のある方にも、ぜひオリンピック・パラリンピックに、一緒に招致のところから参加していただけるような機運をつくっていくべきだと、このように思いますけれども、いかがでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 オリンピック・パラリンピック競技大会の招致PRにつきましては、障害のあるなしにかかわらず、広く働きかけていく必要があると考えております。
 特にパラリンピック競技大会は、障害者の最高レベルの競技大会でございまして、障害者の方のみならず、すべての人にとって夢と感動を与えるものでございます。
 都はこれまでも、障害者対応となっております「広報東京都」への招致に関する記事の掲載や、パラリンピアンと連携した障害者スポーツのPRなどを実施してまいりました。今後はさらに、これらの取り組みに加えまして、障害者スポーツ協会、国内競技団体などと協力しながら、障害者に対する一層の情報提供を行ってまいります。

○伊藤委員 どうか障害があるなしにかかわらず、あらゆる場面で、常に健常者もいれば障害者もいらっしゃるということも意識をして取り組んでいただきたいというふうに思います。
 いずれにしても、招致決定に向けて、この夏が勝負だと私は思います。多くの都民、国民が賛成に回っていただけるように私たちも努力をし、またスポーツ振興局におきましても、局長を中心に全力で取り組んでいただけますようお願い申し上げて、質問を終わります。

○淺野委員 予定では私が最後でしょうから、ちょっと早目に頑張りたいと思います。
 これまでいろいろな質問がございました。私の方からも、このオリンピック、ぜひ招致を成功させていただきたいという思いで、さまざまなことをちょっとお聞かせいただきたいと思うんですけれども。
 まず、先ほどからのさまざまな委員の質問の中で、草の根運動をやっていく、それからさまざまなスポーツイベント、それから各局の取り組み、いろんなことをやる。局長の決意の中にも、ターゲットごとにいろんなメディアを使ってやるんだという話が出ておりました。
 前回の招致活動もそうですし、今回のその話を聞いて思うんですが、要は、そういうイベントごとに力を入れるって全然悪いことじゃありません。草の根活動も本当に必要だと思います。ただ、機運を盛り上げようと思ったら、やっぱり多数をばくっととるという発想で動いていかなきゃいけないと思うんですね。
 例えば、これは多分、活動的にちょっと、ルール的にできるかどうかわかりませんが、きのう、ある芸能グループの総選挙というのがありましたね。生放送、一八%の視聴率です。もうこれは四回目らしいんですが、多分、何年か前にはメンバーの人なんか知らなかった人たちも、今、少なくとも上位五名ぐらいの人たちの名前をいえるんじゃないでしょうか。卒業する人、だれかと聞いたら、答えられるんじゃないかと。
 ああいう戦略を見習うべきですし、ちょっと思えば、私だったら、ちょうどきのうの生放送の最中に、例えばAKBのメンバーが、競争があったから自分たちは成長できたんだと。だから、東京も国際的に他都市と競争することで、もっといい都市なりたい。だから、みんなでオリンピックをとりましょうみたいなことを、あの放送中にAKBのメンバー全員でやるCMを流したら、物すごい効果が高かったと思うんですね。
 こういう発想をもって取り組んでいかないと、機運の醸成といっても、出会っている人たち一人一人って、これも重要なんですけど、一方で、全体に対してメッセージを発していくというのをどれだけ効果的にやるかって、すごく重要なことなんだと思うんです。
 やっぱりテレビメディアを活用するということは、そういう意味では、本当に最も効果が高いと私は思いますから、先ほどの話もありました。もうすぐやっぱりロンドン・オリンピックをやるんですね。ロンドン・オリンピックのときは、やっぱり国内はオリンピック一色になると思います。なったら、そのタイミングをやっぱり逃さずに、オリンピックの関心が高い時期に何らかの形で、東京にオリンピックを招致することに意味がある、意義があるんだということを伝える努力をすべきだと思います。
 確かに先ほどの意見の中にも、震災復興だとか防災対策をしてほしいという声も私のところにも来ますけれども、それは皆さんもご存じのとおり、六四年大会の事例を見れば、当然、戦後復興のさなかに招致活動をスタートさせて、国内は復興をやらなきゃいけないのにオリンピックを呼ぼうといって、結果的に一回失敗して、十二年後の六四年に大会にこぎつけると。
 それからちょうど高度経済成長期入り口になって、起爆剤となって、みんなの夢と希望の象徴みたくなったというのがあるわけですから、震災から立ち上がる時期にやっぱりこういうことを意識して、そういった内容も含めて歴史的な経緯とか、ちょっといえば、例えば先ほど、悪いとはいいませんよ。お祭りの盆踊りのうちわにロゴを入れるって、悪いとはいいませんが、よく考えてください。去年の盆踊りの配られたうちわのロゴが何だったか覚えている人はほとんどいないと私は思うんですね。
 それよりも、例えば「白い巨塔」の内容をいえるかって、いえる人はいっぱいいるわけですよ。そういうドラマをつくるとかという発想で動くべきだと私は思うわけですから、そういうテレビメディアを使って、放送する時期とかもよく考えて、今から準備していくべきじゃないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 テレビなどのマスメディアは、不特定多数の視聴者に対しまして情報を即座に伝えることができます影響力のある媒体でございます。IOCによる独自調査では、どちらでもないが約三〇%となっておりますことから、マスメディアを使って広く招致活動の意義などを訴えることは、大変重要であると認識しております。
 先生ご指摘のとおり、ロンドン・オリンピック・パラリンピックの開催時には、テレビを視聴する都民、国民の皆様の数がふえるものと予想されますことから、これに合わせて、招致活動の露出をどのように高めていくかという点を検討してまいります。

○淺野委員 ぜひ前向きに進めていっていただきたいとは思います。ただ、私は先ほど、たしかロンドン・オリンピックの話もしましたが、一月に例えば立候補ファイルも提出するわけですから、例えば一月の新年、お正月の時期、みんなテレビを見ています。ああいう時期に、新年ドラマ企画、オリンピックを招致した男たちみたいなやつをつくるというのも、(笑声)ある意味おもしろいことです。脚本をちゃんとつくれば、相当いろんなことができると思うので、ぜひ招致委員会の方々にもいって検討していただけるようにお願いをしたいと思います。
 次に、震災復興の関係でちょっとお話を伺いたいんですが、二〇二〇年大会を、世界からの支援に対する感謝のメッセージを伝える場とするということですけれども、招致活動の中でも、やっぱり美しい日本人の心を美しい日本語に乗せて訴えていくということ、これ、前回もやっていますよね。
 前回では、招致活動、結びというキーワードでやっているという話を聞いていますけれども、例えば今回だったら、私が自分で考えるんだったら、おかげさまだとかお互いさまだとか、あるいは思いやりとか、そういうきれいな日本語ということを世界に対して、象徴する言葉として、キーワードになってくるのかなと思うんですけれども、まず、前回の結びというものを使った経験も踏まえた上で、こういう考えについてどう思うかということについてちょっと伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 昨年の震災に際しましては、避難所で整然と行動する被災者の姿や、略奪などもなく、治安の維持された被災地の様子が海外に広く報道され、世界の人々の感動を誘ったところでございます。こうした日本人の規範意識や思いやり、譲り合いなどの美徳を世界に訴えていくことは、オリンピック・パラリンピック招致にとっても重要と認識しております。
 一方、前回の招致活動では、今お話のありました結びをキーワードにして、ロゴマークやスローガン、会場配置コンセプトの説明などにおいてイメージの統一を図ったところでございますが、日本語をそのまま使用することには、コミュニケーション上の問題から困難な面もあったと考えております。言語の壁を超えて、日本のよさをどのように伝えていくか、今後の招致戦略の中で検討してまいります。

○淺野委員 今、言語の壁を超えてというお話がありました。先ほどの質問の中でも、招致のホームページというんですか、公式の各国のホームページ、いずれも母国語と英語でやっているというのが書いてありましたけれども、日本人の気持ちの伝え方というか、言葉を超えた、日本人の持っている相手の立場に立って考えるということを考えれば、例えば、百人のオリンピック委員の全員の母国語でのホームページをつくっておくとか、他国がやっていないことをやっていけばいいと私は思うわけですね。
 そういう発想で取り組んでいかないと、日本が、ほかがやっているからうちも一緒でいいでしょうじゃなくて、日本人で、相手の立場に立ったら、どうしてもらったらうれしいかなと。逆の立場で、日本に招致を協力してくださいといわれたときに、その国のホームページが日本語で書いてあったら、やっぱり日本人はうれしいと思うんですね。読みやすいし。そういう観点でいろんなことに取り組むということをぜひ要望しておきたいと思います。
 そして、最後に、オリンピック・パラリンピック、招致を成功させるには、機運の醸成というのはすごい大切だということはよくわかりますけれども、先ほどの話にもありましたが、庁内の各局がこの招致活動、その答弁の中に、すべての課題で優先していると考える、これはもちろん、最優先してこればかりやるというわけにいきません。同時進行でいろんなことをやらなきゃいけないから、それはそれでいいんですけれども、少なくとも、物すごい重要な課題だということを各局が認識して、主体的に取り組んでもらう。
 スポーツ振興局からいわれたからとか、お願いされてから取り組むのではなくて、むしろ、スポーツ振興局に、こういうことをやらないのかどうなんだとか、これ、国際的にルールでオーケーだったらどんどんやるぞというふうに進んでいく体制というのをつくっていかなきゃいけないと思うんですね。
 本当は私、個人的には、だれか副知事をトップにして、各局の代表者を集めたプロジェクトチームを組織しちゃって、そのプロジェクトチームでもどんどん話を詰めて局間連携をしながらやっていくという体制を、本当は行政として、本当に最大のバックアップ体制をしくという、そういう招致活動に対してのバックアップ体制をしっかりと積むという姿勢をまず庁内に示す。そして、それが外に伝わるという形に取り組んでいくべきだと私は思うんですよ。
 それで、今後、どういうふうに庁内連携を図っていくこととしているのかについて伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、昨年八月にオリンピック・パラリンピック競技大会招致幹事会を設置し、庁内で連携を図ってきたところでございます。直近では、立候補都市選定を受け、一昨日に会のメンバーを招集し、今後の連携策について協議したところでございます。
 今後も、各局の取り組みにそごが生じないよう、また、都民を盛り上げるためには、まず庁内の盛り上がりが必要との共通認識のもと、庁内一丸となって取り組んでまいります。

○淺野委員 一言だけ。今の最後の言葉、都民を盛り上げるためには、まず庁内の盛り上がりが必要と。都民から四七%でショックを受けた。これを例えば六〇にしたい、七〇にしたいと思うんだったら、やらないと思いますけれども、都の職員全員に意識調査をしたら、当然、八割、九割の人が絶対とるんだという気持ちでいるというぐらいの体制を庁内につくるんだというつもりで、ぜひとも進んでいっていただきたいと思います。
 以上で終わります。

○山口委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山口委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○山口委員長 次に、本委員会に付託されております調査事件についてお諮りいたします。
 本件は、本定例会中に調査を終了することができませんので、閉会中の継続調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山口委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○山口委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり申し合わせをいたしました。ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後三時三十分散会

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