オリンピック・パラリンピック招致特別委員会速記録第四号

平成二十四年三月八日(木曜日)
第四委員会室
 午後二時三十分開議
 出席委員 十七名
委員長山口  拓君
副委員長藤井  一君
副委員長小沢 昌也君
副委員長吉野 利明君
理事高橋かずみ君
理事野上 純子君
理事大西さとる君
山内れい子君
西沢けいた君
伊藤 興一君
小山くにひこ君
淺野 克彦君
中村ひろし君
高橋 信博君
たぞえ民夫君
鈴木 隆道君
川井しげお君

 欠席委員 なし

 出席説明員
スポーツ振興局局長細井  優君
理事産形  稔君
総務部長安藤 英二君
スポーツ事業部長板垣 一典君
スポーツ祭東京推進部長川合  純君
大会運営担当部長早崎 道晴君
招致推進部長松永 竜太君
施設計画担当部長スポーツ施設担当部長兼務佐野 克彦君

本日の会議に付した事件
 二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の東京招致に向けた調査研究及び必要な活動を行う。
報告事項(質疑)
・申請ファイルについて
 閉会中の継続調査について

○山口委員長 ただいまからオリンピック・パラリンピック招致特別委員会を開会いたします。
 これより第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の東京招致に向けた事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑及び閉会中の継続調査の申し出の決定を行います。
 報告事項については既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料については、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 去る二月二十三日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしておりますオリンピック・パラリンピック招致特別委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりいただきまして、資料1、近年のオリンピック・パラリンピック競技大会開催都市選定投票結果をごらんください。
 開催都市の選定投票は、IOC総会において、いずれかの都市が過半数を獲得するまで続けられます。二〇一六年大会の投票は、皆様ご存じのとおり、三回目の投票でブラジル、リオデジャネイロに決定しております。また、以下過去五回とも、一度の投票で決定した大会はございません。
 一枚おめくりください。資料2、近年のオリンピック・パラリンピック競技大会における海外来訪者数等でございます。
 過去三大会における海外からの来訪者数を記載してございますが、二〇〇八年の北京大会では、海外来訪者数が五十万人を超えております。
 一枚おめくりください。資料3、申請ファイル作成に当たっての章別の契約件名、契約先、契約金額等についてでございます。
 申請ファイル作成のための委託契約でございますが、合計で七本ございます。契約先選定方法につきましては、契約金額三十万円未満の契約一本を除き、ほかはすべて見積競争で業者の選定を行っております。
 一枚おめくりください。資料4、競技会場等の整備区分と恒設工事費でございます。
 数字は申請ファイル表1より抜粋したものですが、整備区分を新設、計画中、仮設、既存及び既存(恒久工事あり)にそれぞれ整理した表でございます。
 一枚おめくりください。資料5、申請ファイル表4に記載された輸送インフラ(既に事業中)の事業主体別事業費でございます。
 事業主体別の事業費を記載しておりますが、記載した輸送インフラは、大会開催にかかわりなく、既に事業実施中のものであり、大会開催だけのために新たに整備される輸送インフラはございません。
 一枚おめくりいただきまして、最後に、資料6、二〇一六立候補ファイルの競技会場等と二〇二〇申請ファイルの競技会場等でございます。
 表の左側に二〇一六立候補ファイル概算工事費を会場、競技ごとに記載してございます。そして、右側に二〇二〇申請ファイル概算工事費として、二〇一六年から変更のあった会場名、競技名を記載してございますが、空欄になっておりますところは、二〇一六年から今回変更のなかったところでございます。
 概算工事費につきまして、東京都とその他に分けてございますが、その他は東京都以外の主体が費用を負担するものでございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○山口委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○小山委員 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会申請ファイルと復興専門委員会の中間報告について質問をいたします。
 東京は前回、二〇一六年大会招致の際、世界一コンパクトな会場計画を打ち出し、一次選考をトップで通過したものの、開催都市を決定する最終投票では、惜しくもリオデジャネイロ、マドリードに敗れました。
 前回招致のコンパクトはIOCに評価はされましたが、反面、多摩地域を初め、東京都全域での招致機運の醸成や支持率向上において、大きな課題になったと認識しております。
 今回再び申請ファイルにおいて、コンパクトを会場配置コンセプトの中心に据えられておりますが、改めてコンパクトとした意義はどこにあるのかお伺いをいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 コンパクトな会場配置は、IOCがオリンピックの開催計画に求めている条件の一つでありますが、主な理由といたしまして、一つ、選手を初めとする大会関係者の移動の負担を軽減する、二つ、輸送等大会運営に係る経費を低減させることが挙げられます。
 また、開催都市にとっては、この二つに加え、オリンピックレーンの短縮などにより、市民生活の影響を少なくするという効果も期待できます。一般的には、開催都市の郊外、または低未利用地に大規模なオリンピックパークを整備することで、オリンピックスタジアム、選手村ほか、主要な会場を集約いたしますが、東京はこうした開発型のオリンピックではなく、既存施設を最大限活用することで、都心部におけるコンパクトな会場配置を実現いたします。

○小山委員 ただいまのご答弁で、大変大事な部分、前回招致と異なる点が挙げられたかと思います。
 それは、開発型ではないということ、そして六四年大会の既存施設の再活用によるレガシーの実現がコンパクトな会場計画を可能にしたということだと思います。ぜひともこの既存施設の活用については、結果として整備コストもコンパクトになるような、最少の経費で最大の効果を生むような、そういった努力を求めておきたいと思います。
 昨年の第四回定例会一般質問におきまして、私は二〇二〇年招致のキーワードは、レガシーとエネルギーであると申し上げました。すなわち、オリンピック・パラリンピック招致の成功には、大会開催がその都市に何をもたらすのか、いわゆるレガシーが何かを説得力を持ってIOCに説明することが極めて重要だと思っております。
 また、都民、国民の支持を高めていくためにも、オリンピック・パラリンピック開催がどのようなメリットをもたらすかをしっかり訴えていくことが必要と考えます。
 そこで、都民、国民にとってのレガシーとして、都市の抱えるさまざまな課題の解決について、都としてどのように考えているのかお伺いをいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 オリンピック・パラリンピックの招致及び開催は、障害者スポーツも含め、都民のスポーツへの関心や参加を高めることにつながると考えております。
 また、さきの一般質問でもお答えいたしましたとおり、既存スポーツ施設の改修、改築や新規施設の整備により、東京のスポーツ環境が格段に向上するばかりでなく、緑化の推進や環境負荷の少ない輸送システムの構築、公共施設のバリアフリー化など、都市環境の改善も図られます。
 いずれにいたしましても、オリンピック・パラリンピックの開催は、前回約二兆九千億円と試算いたしました経済波及効果を初め、社会経済に大きな影響を与えるものと認識しており、さまざまな都市課題の解決に寄与する大会とすることとしております。

○小山委員 ただいま都市の課題解決についてそれぞれご答弁をいただきました。
 最後に、その経済効果というところで、前回の試算が二兆九千億円というご答弁がありましたが、やはりこの経済効果というのも非常に大事な点であろうと思っております。先ほどの説明資料の中にも、この近年のオリンピック・パラリンピック競技大会における海外の来訪者数の数値をお示しいただきましたけれども、こういったことも含めて、どれだけ東京都に対して経済効果、また社会的な効果をもたらすのか、さらに都市の課題解決がどのように図られていくのかということを、ぜひとも都民、国民に具体的に示していただくことを要望しておきたいと思います。
 また、レガシーという点から申し上げれば、ロンドンの大会の選手村は、大会後、低所得者向けの住宅として活用されることになっておりますが、これもロンドンの持つ都市の課題に対する解決策の一つと認識をいたしております。
 そこで、東京の選手村計画では、大会後に国際交流の拠点となる国際交流プラザとして活用することがこの申請ファイルにもうたわれておりますが、具体的にどのような施設になるのかお伺いをいたします。

○佐野スポーツ振興局施設計画担当部長スポーツ施設担当部長兼務 晴海地区には地域のまちづくりの計画といたしまして、豊洲・晴海開発整備計画が定められております。その中で、本計画地の土地利用は、国際交流拠点や住宅地、新設の小中学校及び公園用地などに位置づけられております。
 選手村の計画に当たりましては、既存の都市計画やまちづくり方針等を踏まえた計画としていく考えでございまして、オリンピック・パラリンピック大会開催後の利用につきましても、国際交流の拠点となる文化、教育目的の複合施設や住宅の計画を検討していくこととしております。

○小山委員 ただいまのご答弁、ぜひともこのレガシーという観点で事後の活用ということを十分検討していただきたいと思います。
 もう一点は、やはり晴海の選手村計画は、既存の都市計画やまちづくり方針等を踏まえて行うということでございましたが、これに関しては、築地市場の移転・再整備に関する特別委員会において、私たち都議会民主党が示した現在地再整備案に対して、他の会派から仮移転先の晴海の地元住民との合意形成など、難航することが容易に想像される全く不透明な要素を抱えており、解決の見通しも立たないとの指摘もいただいておりました。
 この指摘を真に受けるのであれば、今回のオリンピック選手村についても、同じく人口増に対応する新たな交通システムの具体案を示すなどして、地元自治体や地元住民との合意形成を図ることが極めて重要であることを指摘しておきたいと思います。
 次に、もう一つの招致のキーワードでございますエネルギーについてでございます。
 大会期間中の電力供給についてなんですが、先般示されましたIOCの委員、大陸別、国別一覧を見ますと、今のIOC委員はアフリカが十三カ国十五人、アメリカが十五カ国二十人、アジアが二十一カ国二十四人、そしてヨーロッパが二十六カ国四十七人、そしてオセアニアが三カ国六人ということで、計百十二名の構成となっております。
 これを見れば、IOC委員の半数を占めるヨーロッパ出身の委員は、チェルノブイリの経験から、今回の福島第一原子力発電所の事故についても非常に敏感になっていることが考えられます。現に昨年の海外調査におきましても、何人ものヨーロッパの関係者からその点について言及がなされました。
 そこで、申請ファイルでは、NBC災害リスクは極めて低いと簡単に済ませておりますが、実際にこれで納得するとは到底思えません。今後どのように説明し、原発事故に対する不安を払拭していくおつもりなのか、お伺いをいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 一般質問でもお答えしましたとおり、東京都内の空間放射線量は、福島第一原発事故発生以前のレベルに戻っておりまして、原発事故以後の一年間で都民が受ける年間推定積算線量は、国際放射線防護委員会の勧告値を下回っております。また、都外で協議が開催される地域におきましても同様の傾向でございます。
 これらの現状につきまして、国際スポーツ大会や国際スポーツ会議などの場を活用して、IOC委員や国際競技連盟に丁寧に説明していくことで不安の払拭を図ってまいります。

○小山委員 ただいま、これからの国際会議等の場でしっかり説明をされていくということでございましたが、ぜひロンドン・オリンピックの開催期間中の招致活動においても、十分な説明と不安や懸念の払拭を図っていただきたいと思います。
 さらに、エネルギーに関しては、都は「二〇二〇年の東京」でスマートシティープロジェクトを打ち出し、オフィスビルや住宅でのエネルギーの効率的制御を可能とするエネルギーマネジメントシステムを普及させることとしておりますが、このオリンピックのような一過性の大規模イベントに対して、どのように対応していくかは明らかにされておりません。
 そこで、二〇二〇年に東京で開かれるオリンピック・パラリンピックの大会運営に、スマートシティープロジェクトがどのように組み込まれていくのかお伺いをしたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 二〇二〇年東京大会で実施いたします環境対策は、「二〇二〇年の東京」の環境施策とも合致するものでございます。「二〇二〇年の東京」で掲げられておりますスマートシティープロジェクトの概念を採用し、大会関係施設において、可能な限り太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用するとともに、IT技術によるビルエネルギーマネジメントシステムなど、最先端の省エネ技術を導入して節電に努めてまいります。

○小山委員 次に、今回のオリンピック・パラリンピック招致においては、復興支援の視点が重要であります。IOCも東日本大震災に際して、発生直後に副会長が被災地入りし、TSUBASAプロジェクトと名づけた被災支援事業を実施するなど、非常に高い関心を持っております。
 まず、そのTSUBASAプロジェクトの概要についてお伺いをいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 TSUBASAプロジェクトにつきましては、IOCが被災地支援のために立ち上げたプロジェクトでございまして、JOCが実施いたします被災地でのスポーツイベントでありますオリンピックデーフェスタへのオリンピアンの派遣協力や、本年一月、インスブルックで開催されました第一回ユースオリンピック冬季競技大会への被災地の中学生の招待などを行っております。

○小山委員 海外からこのように支援を受ける一方で、国内のスポーツ界もさまざまな取り組みを行っていると聞いております。都も、オリンピック・パラリンピックという世界最大のスポーツイベントの開催を目指す以上、このスポーツの力を生かした支援事業をぜひ検討、実施すべきであると考えます。
 そこで、申請ファイルに合わせて出されました復興専門委員会の中間報告についてでございますが、特にスポーツの力で被災地の人々を元気づける事業について、今後どのように具体化していくのかお伺いをいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 スポーツの力で人々を元気づける事業につきましては、継続的に実施していくことが重要であると認識しております。
 そのため、復興専門委員会では、現在、都が実施しております事業に限らず、各委員から提案された事業につきまして、それぞれふさわしい事業主体、財源等について検討を深めることとしておりまして、年内に最終報告として取りまとめ、その後、具体化を図ってまいります。

○小山委員 今ご答弁いただいたことも含めて、復興専門委員会の意見や提案を都が共同していく中で、被災地支援につながる復興オリンピックという実現をぜひとも図っていただきたいと思います。
 次に、国際プロモーション期間が前回に比べて大幅に短縮された中で、ロンドン・オリンピック・パラリンピックの期間中に許されたジャパンハウスでの招致活動は、非常に重要であることはいうまでもありません。
 昨年の第四回定例会の一般質問に対する答弁では、ジャパンハウス内にPRブースを設置し、二〇二〇年東京大会の開催計画を初め、日本の食文化や東京の観光スポットなども含め、日本、東京の魅力を広く発信していくというご答弁がございました。
 そこで、その答弁などを受けまして、私ども都議会民主党が提案をいたしました二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック実現に向けた第一次提言というものを一月十七日に提出をいたしております。
 その中で、このジャパンハウスの中におきまして、日本独自の精神や文化のアピールも含めて、このジャパンハウスでの具体的なイメージをどのように考えていらっしゃるのかお伺いをしたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 ジャパンハウスにおける重要なテーマの一つは、来場者に、日本に興味を持ち、さらに日本に行きたいと思っていただくことであると認識してございます。
 このため、日本の特色をどうアピールしていくべきか、JOCとも協議を重ねておりまして、日本の誇る食文化や観光スポットのPRなど、具体策を検討しているところでございます。

○小山委員 今ご答弁の中で、一番大事なのは、やはり日本に行きたい、こう思わせること、これをこのジャパンハウスの中でしっかり実現ができるかにかかっていると思います。
 このロンドン・オリンピックでの招致活動がまさしく招致の関ヶ原であると思っております。ジャパンハウスの招致体制における全庁的な取り組みについてはさきの一般質問でも求めましたが、ぜひとも早急な体制づくりを要望しておきたいと思います。
 先ほど招致の関ヶ原と申し上げましたけれども、戦いにおいて、古来より、かを知りおのれを知れば百戦して危うからずといいます。東京としての戦略は、おのれを知るということはもちろん必要でありますが、それを立案するに当たっては、他都市の状況をいかに的確に把握、分析するかが重要であることは論をまちません。
 そこで、他の四都市の申請ファイルについて、それぞれどのような特徴があり、対する東京は、立候補ファイルに向けて、それらにどのように対応していくのかお伺いをいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 他都市の申請ファイルにつきましては、順次各都市のウエブサイト上で公開されておりまして、都もこれを入手して分析を行っているところでございます。
 例えば、東京が強みとしている会場計画につきましては、いずれの都市もコンパクトをアピールしておりますが、その表現方法や地図上で読み取れる実態はまちまちでございます。
 申請都市は、IOCの定める行動規範によりまして、他都市を評価することを禁じられておりまして、いずれにいたしましても、東京は立候補ファイルに向けて計画のさらなるブラッシュアップに努めてまいります。

○小山委員 他都市の申請ファイルについては十分分析をしていただき、その上で東京が招致に必ずかち得る立候補ファイルの作成がされるように強く求めておきたいと思います。
 そして先般、その各立候補ファイルに合わせて五都市の支持率が出ておりました。これは各委員の皆様も新聞等々で既にご承知だとは思いますけれども、日本が六五・七%ということで、東京は六五・二%でございました。他の都市はバクーが九〇%、イスタンブールが八七・一%、ドーハが八二%、マドリードが七五・三%ということで続いているということでございます。
 この支持率というのは、前回も大きな課題でございました。ぜひともこの東京招致に向けては、こういった支持率の課題を克服すると同時に、それは先ほど申し上げたさまざまな点を十分留意いたしまして、東京招致がぜひとも成功するような体制づくりに、都庁としても全庁的な取り組みを重ねてお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○鈴木委員 私からは、オリンピック・パラリンピックの国際プロモーションの活動に関して質問をさせていただきたいというふうに思います。
 いよいよ申請ファイルを提出し、来年の九月七日に二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催都市が決定をするというようなところになってきました。残りはあとわずか一年半ということであります。
 振り返ってみますと、前回の二〇一六年の大会招致活動では、開催能力の高さを最大限に打ち出した計画を日本は策定したと私は思います。また、IOCからも総合評価として一位の評価を得たということも事実だというふうに思いますし、今回の申請ファイルは、今の答弁にもありましたように、さらにブラッシュアップしたものであろうというふうに私も見させていただいてそう感じます。
 IOCから高い評価を受けることも当然だろうと思いますが、なお、今も答弁でもありましたように、立候補ファイル作成に当たっては、計画をより深化させて、より見た人たちが納得のできるすばらしいもの、自負をして、自分たちが立候補ファイルのときには世界の人たちにこういうものだということをいえて、おもてなしの心を持って迎えられるような立候補ファイルをぜひ作成してもらいたいと思います。
 ただ、このファイルが幾らよくても、はっきりいいますと、招致をかち取れるということにはならない。私たちも、きょう、オリンピックのここにいらっしゃるメンバーの中で相当な回数、海外も行き、そういう経験の中で学んできたことが多数あります。
 すばらしい計画を作成して、完成度の高いプレゼンテーションも、実は私はコペンハーゲンに行って、現実にその場にいさせていただいた者として、他都市に負けない、日本がやはりすばらしいものだったということは、世界じゅうがマスコミの関係者も入れて認めていたことではないかと思います。
 しかし、二回目の投票で残念ながら選に漏れ、招致獲得には至りませんでした。これに関しては、実は行っていた人たちがみんなでいろいろ反省して、いろんな面での戦略的なこと、また、そういうことをもう一度考え直そうということで今日まで活動をしてきたことも事実であります。招致活動に何が不足していたかということもありましょうが、もっときちっとした戦略を立てていくということですね。
 特に今、小山委員がいわれた相手のこと、敵のことをやっぱり知り得るというのは非常に大切なことでございまして、東京が戦略を立てれば、当然向こうの国、それぞれの都市も、自分のところの最高の戦略を立てることは当たり前でありますから、そういうことをよく考えて、東京だけがいいものをいっていればいいということではなくして、そういうような情報をきちっと正確につかんで、戦略を、要するに作戦を練っていくことも必要なんでありましょう。
 また、国内の招致機運を盛り上げることも必要であります。そして、いうまでもなく、今いったように招致を獲得するためには、IOC委員の票を獲得するということにもなります。ですから、そういう面で、今いっていましたように、国際プロモーション活動をしっかりとした戦略を持って進めていくことが必要であるというふうに考えます。
 今後、あらゆる機会をとらえて、あらゆる人脈を駆使し、東京の計画の優位性、日本のすばらしさ、また魅力をアピールして、IOCを初めとした国際スポーツの関係者、これはIOC委員だけではなくて日本でも同じでありますが、JOCという組織の中に二十人近い理事の方々がいらっしゃるということですから、それぞれの国にも同じ組織があります。ということは、当たるべき人間というのはIOCの百人ではないということでありまして、それの十倍以上の数の人と会わなければならないという現実があるということも考えておかなければならないと思います。
 そこで、改めて国際プロモーション活動のスケジュール等をお伺いしたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 国際プロモーション活動のスケジュールについてでございますが、今回はIOCにより、国際プロモーション活動の期間が短縮され、IOC委員に対して直接的なプロモーション活動を行うことができるのは、原則として来年一月の立候補ファイル提出後となっております。
 プロモーション活動解禁後につきましては、二月から四月に行われる予定のIOC評価委員会による大会開催計画の聴取や、競技会場予定地の視察、九月七日のIOC総会での最終プレゼンテーション等の機会に、IOC委員を初め、オリンピック関係者に計画の優位性や東京、そして日本の魅力をアピールしてまいります。
 さらに、国内外のスポーツ関係国際会議や国際スポーツ大会等の場面も有効に活用してまいります。
 また、今夏のロンドン・オリンピックの期間は、活動解禁前でありますが、特別に活動が認められている期間でもございますので、JOCを初め、さまざまな団体と連携して、精力的に活動を行ってまいります。

○鈴木委員 立候補のファイルが受理された後でなければ、原則としてはプロモーション活動はできないということで、実際には五月中に、まず日本が五都市から四都市、または三都市になるのかわかりませんが、そこに選ばれてからというような話になってくると思いますが、実はその後であっても、正式に今いったようなプロモーション活動ができるのは来年の二月以降になるんですかね。ただ、それまでの期間も、もう既に実際にはありとあらゆるところで、いろんな戦略を練って、今いった正式なプロモーション活動ではなくても、できることはすべての国、それぞれのすべてそこで選ばれた都市が行っていくということであります。
 前の小山委員がいわれたように、ロンドン・オリンピックの機会というのは、まさに大変重要な機会になるというふうに思います。私も全く同感でありました。
 前回の招致活動のときには、実は石原知事とともに北京オリンピックに議連の一員として行かせていただきました。北京オリンピックのときには開会式とパラリンピックの方の開会式と両方出させていただいて、ともに違う感動、またはオリンピックのよさというようなものを改めて再認識をさせていただいたところでもありました。
 やはり北京オリンピックの開催のときには、IOCの総会、理事会が開催されたことから、IOC委員と接触できるまたとない機会でもありました。北京市内のホテルニューオータニの方に設定されたジャパンハウス内、小山委員も先ほどおっしゃっておりましたが、非常に考えられたPRブースを展開して、IOC委員の方々に対して、開催計画や東京の魅力、または考えられる点もアピールしたというふうに思います。
 ただ、このときにやはり思ったのは、要するに東京のブースはそうであったかもしれませんが、ほかの都市のブースがどういうふうになっているのか、またはどのホテルで、どういう状況でそれをするのか。立地とか、そういうようなものというのは非常に大切だなということも感じましたので、もし我々がロンドンでそういうブースを開くということができる状況になれば、当然、相手の都市もあるわけでありますから、その都市が、どこのホテルで、どの場所で、どの規模で、そういうそれぞれのハウスを構えるのか。
 そして、それに付随して、どういうところまで施設を考えているのかも、もし入手できれば、そういう現実的な、相手の都市がどういう戦略を持ってやっているかというのも調べていただいて、そういうものを踏まえて東京も考えていく必要があるのかなというふうに思います。
 やはり、こういうオリンピックの経験、機会をいかに有効に利用して、IOC委員の方、それから先ほどもいいましたけれども、IOC委員だけじゃなくして、それぞれの国に、要するにIOC委員のいらっしゃる国、それから、ある面でいうと、世界じゅうのIOC委員を持っている方との接触まで本当は考えるのかどうかを踏まえて、それと先ほどいったように、それぞれの国にIOCの委員が十人とか二十人いらっしゃるんです。その方々も含めて、本当に戦略をどう練っていくのかというようなことにもなってくるかもしれません。
 ですから、そういうことを踏まえて、今回のロンドン・オリンピックにおける国際プロモーション活動をどのように進めていくのかを改めて伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 ロンドン・オリンピック期間における国際プロモーション活動についてでございますが、ジャパンハウスの中の限られたスペース内という制約はあるものの、プロモーション活動解禁前に東京招致のPRを行える絶好の機会であると認識しております。
 このスペースを活用して、IOC委員を初め、各国のNOC関係者やメディア等に対して、完成度の高い開催計画や東京の魅力を幅広く発信していくため、JOCとも連携して十分に準備を進めてまいります。
 また、この期間中はすべてのIF関係者とコンタクトできる機会でもございますので、会場計画に対する各IFからの同意を取りつけるためにも精力的に活動してまいります。

○鈴木委員 答弁としては、ジャパンハウス内の限られたスペース内での活動ということでありますが、IOCの委員に対しては直接的、または間接的にも働きができる点が僕はあるというふうに、先ほどいった前回の北京のオリンピックのときには感じていますので、知恵の出しっこかなと思います。大変重要な機会であることには間違いありませんので、ぜひとも精力的に、知恵を絞った活動をよろしくお願いしたいというふうに思います。
 同時に、こうした直接的なプロモーション活動といえば、例えば日本はすばらしい国だなとか、すてきな都市だなと思わせるような仕掛けが、実は間接的に招致を後押しするのではないかというふうに思います。
 実は私の知人がロンドンのオリンピック期間中に、ロンドンで、ロンドン市から日本での演劇をやってくれという、これはオリンピックの方からもあったというふうにも聞いていますが、やるというようなことを聞いております。かなりの期間、ロンドンでやるそうですが、日本文化のすばらしさをアピールするので、招致につなげるようなことを我々もこの演劇を通して努力をしたいという申し出もあります。
 こういうようなロンドンのオリンピックの期間を東京招致に有効に活用するためには、今いいましたような間接的な活動というようなものも十分にあると考えられますので、こういう活動も踏まえて、どういうふうに考えられるか所見を伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 委員ご指摘のとおり、ロンドン・オリンピックの期間に世界じゅうから集う多くの人々に対して、東京、そして日本の魅力を体感してもらえるような仕掛けをすることは、二〇二〇年大会の東京招致にとって有意義なものであると認識してございます。
 今後、ロンドンで活躍、活動するさまざまな文化団体とも連携し、世界に誇る日本の食文化や伝統芸能など、その魅力を十分にアピールすることで、効果的にプロモーション活動を展開してまいります。

○鈴木委員 ロンドン・オリンピックという好機をより一層生かすためには、我々都議会、そして国会、財界、スポーツ界など、さまざまな人たちが総力戦で臨んでいくという決意がなければならないと思います。
 例えば、提案でありますが、オールジャパンで二〇二〇年東京招致のためのミッション団をつくって、ロンドンまでチャーター便で乗り込むというようなことを考えてみたらどうでしょうか。全世界に向け東京の熱意を伝えることができ、またメディアを通して国内外に発信することが、相当なアピール効果も期待できるのではないかというふうに思います。
 他都市は当然そういうことを考えてくることもあるわけですから、他都市がどういう形で実際にロンドン・オリンピックに臨んでいくのかというのも、ぜひお調べをちょうだいできればというふうに思います。
 ロンドン・オリンピックの閉会後、八月二十九日からロンドン・パラリンピックが始まります。本特別委員会でも視察を予定しておりますし、また国際プロモーション活動という観点では、直接的なプロモーションのターゲットであるIOC委員は、フィリップ・クレイヴァン国際オリンピック委員会会長一名、IPCの方の会長一名だけであるということから、他都市はパラリンピックを余り重視していない可能性もあります。
 そうだとすれば、逆に東京は、ロンドンがパラリンピックの発祥といわれて、実際にオリンピックを冠したのは東京からと聞いておりますが、パラリンピックに非常に力を入れている、その理解者であるということをこの場で世界に示すというのは、私は招致にとって非常に大きなプラスがあるというふうに考えております。
 ですから、各国、各都市はいろいろな面での情報戦を始めているわけでありますので、ロンドンのオリンピック中、特にパラリンピックもそうでありますが、各都市がどのようなプロモーションを展開するかを非常に考え、先ほど申しましたが、拠点をどこのホテルにするのか、またはターゲットをどこに絞っているのか、こういうような情報収集を早急に行い、戦略的にプロモーション活動を展開する必要があると私は思います。
 国際プロモーション活動における戦略的な取り組みについて述べてまいりましたが、その戦略的な取り組みだけではだめでありまして、やはり国内盛り上げについても当然必要であるというふうに思います。
 前回、IOCによる支持率調査の結果が余り高くなかったことが敗因の一つであるといわれております。これはやはりある戦略と戦っていくわけでありますから、ネガティブキャンペーンを張られることもあるわけでありますので、当然それに対してネガティブをある程度覆していけるだけの東京の魅力とか、いろんな違う面でのものを発信していくということが大切になると思います。
 IOCの支持率の調査は二回あるようであります。特に立候補ファイル提出後に行われる二回目の調査結果は、IOC委員にも報告をされ、委員の投票行動にも影響を及ぼすというふうにいわれております。極めて重要であるというふうに考えます。
 したがって、招致機運の盛り上げは、ただやみくもに実施するのではなく、IOCの調査が行われるタイミングで盛り上がりが最高潮に達するよう、的確な情報をもとに、戦略的に実施することが重要であるというふうに私は考えます。
 この夏にはロンドン・オリンピックが開催され、多くの日本人選手の活躍も期待されます。都民、国民の招致の関心も高まるものと想定されます。夏以降、ロンドン・オリンピックの盛り上がりをさらに高めていく戦略的なアプローチが重要と考えますが、所見を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 最終的に招致を獲得するためには、都民、国民の皆様の幅広い支持を得ることも必要でございまして、IOCの支持率調査にターゲットを絞った戦略的なPR活動が重要と認識してございます。
 ロンドン・オリンピックの盛り上がりを維持継続し、さらに高めていくため、ロンドン・オリンピックで活躍した日本人選手や、かつてのメダリストの協力のもと、メディア等を活用したPR活動を積極的に展開してまいります。
 加えて、八月下旬のFIFAアンダー20女子ワールドカップ、九月下旬のアーチェリーワールドカップファイナルなど、さまざまなスポーツイベントを夏以降に集中的に実施し、戦略的な広報活動を展開してまいります。

○鈴木委員 るる少し早口でありましたが、申し上げてまいりました。国内招致においては、ただ単に国内招致の支持率を上げるということをいうだけではなくして、私もラーメン協会というのをつくって、駒沢で三十万人ぐらい集まっているところでオリンピックの旗を出してやったり、山東昭子さんがやっているネイリスト協会というのがありますが、これでも十万人の人たち、若い女性たちが集まるところでオリンピックの招致活動、またオリンピックの方々に来てもらったことも前回やりました。
 今回、この方々もそれをもっとバージョンアップして協力をしたいというふうにいってきていますし、お互いがお互いの持っているいろんな組織、または知人を通して、そういうようなものを通して、多くの方々に国内招致のものを伝えていくとか、そういう努力をお互いが持っている、都議会議員の人たちが持っている、それぞれの人が持っている人脈を駆使して、やはり互いに協力をさせてもらってやっていくということも非常に大切なことだなと思いますので、そういうことをぜひともにさせていただいていければ大変ありがたいなと思います。
 申し上げてまいりましたが、招致をかち取るためには、国際的にも、国内的にも、いずれの場面でも、戦略的なプロモーション活動が非常に重要になってくると思います。私もこの後、予算の代表でこの件も向こうでも触れますが、触れる前にこれから一年半の招致活動に向ける局長の決意を改めてお伺いをしたいと思います。

○細井スポーツ振興局長 開催都市決定まで、いよいよ一年半となってございます。本年四月には、招致委員会がNPO法人として、その体制の強化も図ってまいります。招致活動もいよいよ本格化いたします。
 ことし夏のロンドン・オリンピックでは、日本人選手の活躍によりまして、都民、国民の盛り上がりが期待できると考えております。この盛り上がりをメディア等を活用いたしまして、日本国じゅうに幅広く発信し、共有していくことが極めて大切だと思っております。
 さらに、秋に予定しておりますスポーツ祭東京二〇一三の開催一年前イベントなどとも連携した取り組みを展開するなど、国や財界、またスポーツ団体、それから被災県とも連携しながら、加速度的に国内の盛り上げを図っていきたいと思っております。
 年が明けますと、来年一月、東京での冬季の国体に始まりまして、東京マラソン、スポーツ祭東京二〇一三と続くスポーツイヤーとなります。スポーツの感動を多くの都民に体感してもらうことで、オリンピック・パラリンピックの招致機運の盛り上げにつなげていきたいと思っております。
 同時に、国際的にはいよいよプロモーション活動が本格化いたします。JOCや国と連携し、スポーツ関係国際会議や国際スポーツ大会など、あらゆる機会をとらえてIOC委員、さらにはIOC委員に影響力を持つIF関係者などに直接的に、また間接的に働きかけてまいります。
 国内招致活動、国際招致活動ともに、さまざまな団体と連携して、オールジャパンで臨み、めり張りをつけて戦略的に展開することで、何としてでも招致をかち取ってまいります。都議会議員の皆様の一層のご支援、ご協力もよろしくお願いを申し上げます。

○野上委員 決定まで一年半となってまいりましたけれども、オリンピック・パラリンピック開催の機運を盛り上げていくことが大変大事であるという観点から、六点にわたり質問させていただきます。
 東京都は、大会開催に必要な競技施設、また社会資本等のインフラ整備に当たって、四千八十八億円の開催準備基金を造成しております。これは今までずっと毎年にわたってこつこつとためてきた都民の税金でございます。都民に十分に納得いただけるように、これは説明をしていくことが大変大事であると思っております。
 そういう意味で、この四千八十八億円という開催準備基金を使っていくということに対して、都の所見を最初にお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 開催準備基金についてでございますが、この基金は都立の競技施設など、社会資本等の整備に要する資金に充当することが想定されております。
 競技施設などの社会資本は、オリンピック・パラリンピック競技大会のみに用いられるものではなく、大会終了後も都民に広く利用していただくことで、都民のスポーツ機会の拡大につながるなど、レガシーとして活用されます。
 このことについて、わかりやすく都民に説明を行い、理解を得られるよう努めてまいります。

○野上委員 四千八十八億円は社会資本の整備の対象として、生きたお金として使う、また大会終了後はレガシーとして残るということが確認をされました。
 二問目です。世界じゅうの経済も大変に低迷している状況の中で、なかなか先が見えない状況になっております。例えば、二〇〇八年には多分一ドル百十何円だったと思うんですけれども、百十円台だった価格が、二〇一一年、昨年は七十五円台になってしまったと。余りにもこの差が大き過ぎて、これから先の状況を見きわめるというのは大変な作業だと思っております。
 先日は日銀が介入いたしまして、八十一円台まで若干の円安にはなりましたけれども、これはいつまで続くかわからない状況だと思っております。
 こうした経済状況の中で、申請ファイルにおきまして、為替レートを一ドル九十円と設定をしておりますけれども、これをなぜこのように見積もったかについて、都の見解をお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 理事ご指摘のとおり、近年では為替変動が激しく、また著しく、二〇〇八年に百十円台でありました為替レートが、二〇一一年には七十円台と円高になりました。
 このように、約三年間で三十円以上も為替レートが変動しているため、直近の為替レートを採用することは好ましくないと考えまして、過去三年間の平均為替レートとして一ドル九十円を用いたものでございます。

○野上委員 三年間の平均為替ということで確認をいたしました。
 三番目です。大会組織委員会の収入といたしまして、二〇二〇年大会の国内マーケティング計画では、ローカルパートナーを十社、それからローカルスポンサーを十五社と見込んでおりますけれども、内容はまだこれからだと思うんですけれども、どのような企業を予定しているのか、都の見解をお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 国内スポンサーの階層として、上位からローカルパートナー、ローカルスポンサー、サプライヤーの三つの区分を設定しておりまして、それぞれにおいて使用できるマーケティングの権利が異なっております。
 過去のオリンピック・パラリンピック競技大会や、国内での大規模スポーツイベントでの事例を参考に、ローカルパートナーにつきましては、自動車や携帯電話など十のカテゴリーを、ローカルスポンサーにつきましても、スポーツ用品、航空サービスなど十五のカテゴリーを想定してございます。
 具体的なスポンサー企業については、開催決定後に詳細を詰めていく予定でございます。

○野上委員 一つの業界の中にも多くの企業、会社がひしめいているわけですから、一つの企業がスポンサー権をとったら、他の会社はスポンサー権を確保できないということを確認いたしました。
 四番目になります。日本は非常に安全・安心の国といわれております。夜でも子どものひとり歩き、また女性のひとり歩きも私たちは当たり前、安全だと思っておりますけれども、世界から見ると、日本は本当にすばらしい、大変安全な国ということがいわれるのではないかと思っております。
 オリンピック・パラリンピック競技大会は、国内外から開催期間中に延べ八百五十万人の観戦客が訪れる世界最大級の祭典であります。
 先ほど小山委員もご指摘ありましたけれども、NBC災害を初めとするテロに対して、これは最悪の事態を想定して、対策を十分にとるべきではないかと考えておりますが、都の所見についてお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 大会開催決定後に構築されます警視庁オリンピック警備本部におきまして、警視庁が中心となり、国の関係機関と連携して、選手村や各競技会場などの大会関連施設を初め、公共交通機関などの重要施設の警戒警備を強化する予定でございます。
 また、現在もNBCを初めとする各種テロを未然に防止するため、警視庁が中心となり、テロ関連情報の収集、分析活動を強化し、その分析結果を諸対策に活用するなどしておりますほか、テロが万一発生した場合に備えまして、NBCテロ対応専門部隊等を設置し、その充実、強化を図るなど、テロへの対処体制を強化しているところでございます。今後こうした取り組みを一層推進していくこととしております。

○野上委員 五番目に移ります。昨年十二月十六日に、政府は福島第一原子力発電所の原子炉が冷温停止状態に達したことを発表いたしました。海外のマスコミ等で、日本の安全性に疑問を抱く報道もまだまだ多いです。私も世界のお友達からメールをいただきまして、早く東京から逃げた方がいいとかというメールもたくさんいただきました。
 世界の人たちから見ると、まだまだ日本は厳しいというふうな見方をしているように私は感じます。招致を成功させるためには、東京や日本が安全であることを世界の人々に理解していただくことが必要であると思いますが、世界に日本の安全性をアピールしていく方途について、都の所見をお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 東京を初め、競技を開催する宮城県や札幌市の空間放射線量は、事故以前のレベルに戻っております。
 このような現状に加え、IAEAなど国際機関が発表しております情報を適宜収集し、日本の安全性について都庁の各局や国とも連携し、ロンドン大会や国際会議など、さまざまな機会を活用して広くアピールしてまいります。

○野上委員 六問目です。二〇〇六年のことなんですけれども、日豪議員連盟で、シドニー・オリンピックが終わった後にシドニーの選手村に行きました。ここは、選手村で使った住宅は一般住宅として分譲しておりました。
 それで、選手村を大会後に民間に販売する等の活用ということも大事ではないかと思っております。二〇二〇年の東京大会におきましても、民間の事業者を活用し、海外から数多くのアスリートを迎えるに当たって、例えば建てるところが埋立地でございますので、液状化対策についてもしっかりと手を打っておいて、また、地震対策にもしっかりと構造を強化したものを建てる等の地震対策を講じて、それとユニバーサルデザインを取り入れた施設としてこの選手村を整備して、大会終了後も住居用として販売するなど、レガシーとして活用していくべきと私は考えておりますが、都の所見を伺います。

○佐野スポーツ振興局施設計画担当部長スポーツ施設担当部長兼務 豊洲・晴海整備計画との整合を図りながら、二〇二〇年東京大会では、民間の開発事業者が選手村を整備する予定としております。その際には、理事ご指摘のとおり、液状化対策を初めとしたさまざまな地震対策を必要に応じて講じるとともに、ユニバーサルデザインを取り入れた施設として整備する予定でございます。
 今回の計画では、大会後の利用といたしまして、緑豊かな公園に隣接した国際交流プラザとして、国際交流の拠点となる文化、教育目的の複合施設や住宅などへの活用を検討してまいります。
 なお、これらの開発は民間資金によるものとし、住宅部分に関しては分譲や賃貸住宅とすることも想定されております。

○野上委員 最後です。シドニー・オリンピックへ行ったときに、向こうの開催を中心になってやった方々からいろいろと聞いたことがありますので、この際ちょっと意見をいわせていただきます。
 一つは、オリンピックで生じた産業廃棄物なんですが、これはどこかよそのエリアに持っていくのではなく、競技会場で出たものは競技会場で産廃物を全部埋め立てして、その上に粘土層をかけて漏れないようにして、その上にぐるぐる回る、こういうふうなサイクリングコースみたいな、一般の人がサイクリングできるように使っておりました。あくまでも危険物質が流れ出ないようにして、固め込んでいくというようなことでつくっておりました。
 それから、ボランティアでオリンピックに関連した方、無料で奉仕をしてくださった方のお名前を永遠に残すということで、無料でいろいろ手伝ってくれた人に対しては、名前を残していますよと。
 それから、お金を集めるときに、記念グッズをつくって、金でできたものは百万円、プラチナでできたものは三百四十万円で、これはオリンピックグッズとして売って、それを回収して資金に充てたということです。
 それから、何よりも国内の意見をまとめて、地域からの盛り上がりが大事だということで、これは先ほどいろいろ議論がありました。
 それから、コンパクトということでいえば、遠過ぎること、旅費がかかること、時間がかかるというのは非常に難点であるということで、私は東京都のコンパクトな施設は大変大事ではないかと思っております。
 最後がセキュリティー問題でございました。
 以上、いろいろ聞いてきたことも踏まえて質疑をさせていただきました。
 ありがとうございました。

○たぞえ委員 それでは、申請ファイルについて質問します。
 まず、世論調査の数値についてです。
 前回のこの委員会で、私は申請ファイルに記載される世論調査の結果について、サンプル数も手法も異なる調査結果を、単純に足して二で割る、例えば全国ではインターネット調査はサンプル数三千で招致賛成五八・七%、電話調査はサンプル数一千で賛成七二・五%と一四%も差があったわけですが、これを単純に足して二で割ったのは、統計的には正しくない、賛成率を引き上げるためのやり方ではないとただしました。
 これに対して招致推進部長は、IOCが最終的に評価する調査方法に合致したものとして記載したと、このように答えました。
 そこで伺いますが、IOCが前回招致のときに行った世論調査の結果として示した数字も、インターネットと電話調査、サンプル数も手法も違うものを単純に足して二で割った数字なのでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 IOCの調査におきましては、電話調査とインターネット調査を併用したということがわかってございます。

○たぞえ委員 IOCの調査方法では非公開と書いているんじゃありませんか。単純に二で割ることがIOCと同じ手法だということは、私はごまかしだと思います。
 私が前の委員会で、インターネット調査同士を比較すると、二〇一六年招致の申請ファイルのときの調査と比べて、今回の方が賛成が少なかったじゃないかと指摘したことに対して、前回招致は十一段階で賛否レベルを問い、今回は五段階だから比べられない、このように答弁されました。
 その一方では、だれが見てもおかしな数字を操作して、それを申請ファイルに載せる。そもそもインターネット調査が全体をどれだけ正確に反映しているかという点については、さまざまな問題点が指摘されているわけですが、賛成を多く見せたいからといって、信頼性に疑問を持たざるを得ない数字を申請ファイルに記載するやり方は、国民や都民に対して正確でない情報を与えるような、フェアではないやり方については私は慎むべきである、このことを強く述べるものです。
 次に、前回の委員会で部長は世論調査について、招致の賛否以外に複数の質問、別のところで伺いましたら二十五問程度というお話も聞いていますが、都民からと全国からの調査を行った、このように答えられました。
 二十五問前後の世論調査を行ったにもかかわらず、ファイルでの記載は賛成か反対かのただ一つです。ほかの設問事項をすべて明らかにしてください。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 ファイルに記載したものにつきましては、IOCが求めているものが開催への反対理由や反対割合については聞かれてございませんので、記載してございませんでした。
 また、世論調査のほかの項目につきましては、招致戦略上お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

○たぞえ委員 どのような設問がどのような流れで行われたかは、調査の結果も深くかかわります。だから、IOCも質問内容を明らかにしろといっているんでしょう。公表しないという今の答弁の姿勢は、事実を都民に明らかにせず隠していると私はいわざるを得ませんが、どうお思いですか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 さきの世論調査におきましては、好きなスポーツは何か、好きなスポーツ選手はだれか、東京都の立候補を知っているか、開催の賛成理由、反対理由などを調査いたしました。

○たぞえ委員 それじゃ二、三問じゃないですか。ほかにも二十何問あるのに、一切どこにも公表されませんよ。
 では聞きますけれども、二〇二〇年五輪を目指している五都市が提出した申請ファイルでは、各立候補都市が独自に世論調査をしました。そして、支持率をファイルに記載していますが、紹介してください。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 それぞれの申請ファイルに記載してあります内容を申し上げますと、各都市レベルでございますが、イスタンブールでは八七・一%、バクーは九〇%、ドーハは市及び周辺地域で八二%、マドリードは七五・三%が賛成となっております。

○たぞえ委員 肝心の東京をおっしゃらなかったので私がいいますと、六五・二%。東京以外の外国の都市では八割以上が三都市、七割以上が一都市という支持が示されているように、国と都市と国民は歓迎の意思を表明しているわけです。
 一方、六五・二%の東京は、各都市に比べて住民の支持は最低で、七割にも届いていません。招致委員会評議会の小倉事務総長は、「都政新報」紙のインタビューで、東京みたいなモダンな社会で支持率を上げようという発想自体がおかしい、このように語っています。都民からの支持はどうでもよいという姿勢はいかがなものかなと思います。
 私も、そもそも都民の意向を積み上げるのではなく、知事のトップダウンで上から押しつけていることの反映だと思いますが、どう受けとめられますか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 各都市との支持率の差でございますけれども、国民性であるとか、国情であるとかが違うことから、支持率には差が出るものと考えてございます。

○たぞえ委員 国民の暮らしの意向ではなくて、やはりこうした支持率というのは、その国の意向を表明する大事な数字ですから、このことについて支持を上げていくとか、そういう行政なりの努力というのは、私は一方であると思うんです。
 しかし、事務総長がいっておられるように、支持率を上げようという発想自体がおかしいという責任者の発言というのは、極めて重大な認識だというふうに思います。
 私は、復興のためというけれども、今復興のために何が必要なのか、それがオリンピックなのかどうか、都民は今、まじめに考えていると思います。国際的に支持が低いといわれると困るとも小倉事務総長がいっていますが、招致の道具の一つにすぎないかのように支持率を扱うのは問題だというふうに思います。
 具体的に伺いますが、ファイル四七ページで、IOCは、反対がある場合には、どのようなものか詳細を述べてくださいと記載を求めています。ファイルではどのように記載をされたのですか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 反対意見という項目に対して、二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の東京招致に対して、大規模な反対運動はないと記載してございます。

○たぞえ委員 IOCは、反対運動のあるなしを求めているのではないんじゃないでしょうか。国民の声について、それらの詳細な記載を求めているのではないでしょうか。それを大規模な運動のあるなしだけで表示するのは余りにも乱暴です。
 前回のファイルを改めて読んでみますと、世論調査で強く反対を表明しているのは、都民の一三%であると前回書きました。野党である一政党が招致に関して反対していると都議会の状況も紹介していました。
 このような詳細な内容が数年前には書かれ、今回はこのような事実に基づく記載は出されていないわけです。反対の声をなるべく隠したい、知らせたくない、そういうことじゃありませんか。
 オリンピックの招致は反対するが、運動するほどではない、そのように思う人だっているんじゃないでしょうか。そのような国民の意向が国際社会に伝わらないということではないでしょうか。
 次に伺いますが、四五ページの政府及び市民の支援ではこう書いています。衆議院及び参議院では決議が多数で可決された、このように書いていますが、都議会についてはどのように書いているんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 都市の支援という項目に、東京都議会においては、二〇一一年十月に、オリンピック競技大会及びパラリンピック競技大会の開催を求める決議がなされたと書いてございます。

○たぞえ委員 二〇一一年十月、決議が出されまして、我が日本共産党は反対をいたしました。また、生活者ネットワーク・みらいも反対をしました。
 国会の部分は多数で決議されたと書き、開催都市東京ではぼかす、事実を忠実に書くことは国際的な最低のルールじゃないですか。どうですか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 事実を記載しているものでございます。

○たぞえ委員 国会は多数が賛成したと。都議会では、私は読んでみると、全会一致のように表現はされているわけですよ。こういうものは正確に世界に伝えてほしいと思います。
 他の議会の招致決議についても疑義があります。ファイル四六ページでは、地方及び全国からの支援という欄で、全国知事会を初め、全国及び都内の団体等においても招致決議がなされていると記載がされています。団体等というと、私はスポーツ団体が入るのかなと読んだとき思いました。
 そこで、IOCに提出されているもう一冊の申請ファイル、英文、フランス語、これを読んでみました。そこの部分を比べてみました。これを見て大変驚いたわけです。日本語では、全国及び都内の団体等において招致決議がなされていると書いてあります。英語ではどうか。ベアリアス・ローカル・オーソリティー・オーガニゼーション、つまりさまざまな地方公共団体となっているわけです。英語と日本語は違うんじゃないですか。
 これは、IOCには,さまざまな地方公共団体、つまり県や区市町村、その構成員である日本国民の、住民の多くが支持している印象を与えたいけれども、実際の決議の状況を知っている日本人、都民にとっては、地方公共団体とは書けなかったから、団体という言葉で書いた。こういうふうに訳したということは、都民をだましているというふうにいわれても仕方ないですよ。団体というのはどうでも受け取れるんです。なぜ地方公共団体と書かなかったのか。
 改めて確認しますが、全国の県レベルで招致決議は、申請ファイル提出時点で東京を除いては茨城県だけでした。違いますか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 全国知事会や全国都道府県議会議長会を初めとした全国団体の招致決議のほか、地方六団体連名で招致決議をいただいていることから、日本語版につきましてこのような表記をしたものでございます。

○たぞえ委員 茨城県以外は出たんですか。もう一回お答えください。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 現時点で招致決議をいただいているのは茨城県議会のみでございます。ただし、今後、第一回定例会に向けて、各県議会で招致決議がなされるものと考えてございます。

○たぞえ委員 被災地、被災県の状況にしても、一部の自治体首長以外に被災地住民が東京五輪招致支持の意思を示した形跡もないのが事実です。
 申請ファイルは支持率を高いように見せたいと。そのためには、不都合なものはなるべく隠す、日本語を訳すこともごまかすという、私はおよそオリンピック精神とかけ離れた姿勢であるといわざるを得ません。
 長野五輪金メダリストの清水宏保さんは、一般新聞でのコラムでこういっています。オリンピックは、アスリートとしてはもちろんやっていただきたいと。でも、大まかなスローガンとして東日本大震災からの復興を掲げて招致活動をしていいのかどうかです。国民の理解を得られなければ、招致は絶対に実現しませんと疑問を投げかけています。
 そして、やらない利点というのも当然議論されるべきだと思います。その方が国民の負担が少なくなるケースが出てくるからです。スポーツは、人々に元気を与えるという単純な感情論ではなく、バランスシートを考えて、国民の納得を得るべきだと考えますと清水さんは述べているわけです。
 そして、税金をどう分配して、どのようにスポーツ基本法の理念を生かしていくのかという議論が進んでいない。ガラス張りの議論がいま一度必要ではないでしょうかと結んでいます。
 マスコミの世論調査でも、あなたは五輪開催は震災からの復興にどの程度役立つかの問いに、余り役立たない、全く役立たないは三七%を占めました。大いに役立つは一五・五%にとどまっています。
 震災はまだ解決をしていないんです。ファイルの三〇ページでは、その他の災害という欄でこういっています。福島第一原発発電所の事故が発生したが、日本政府の適切な対応により、事態は収束に向かっている。政府は、原子炉が冷温状態に達したことを発表した。したがって、大会へのNBC災害リスクは極めて低いといえる、このように書いています。
 東京などの他県に避難して、今なお故郷に戻れない数万人の人々にとって、こんな失礼な評価はありません。避難を余儀なくされている方々がもとの家に帰って、生活再建ができて初めて本当の収束といえるんではないでしょうか。
 東京を含めた放射能汚染の問題は解決しているとはいえません。今、被災各県は、一日も早い復興を求めています。東京都は、政府から必要な支援を確認したといっていますが、東北では一体どうなっているのか。
 宮城、福島など七県と、これらの県の五十九市町村が高台への集団移転を進める住宅整備事業や液状化対策、市街地道路事業など緊急を要する復興交付金を一月、政府に申請しました。しかし、認定率はわずか六割台で、十九の市町村は交付が見送られたのです。災害から一年たつというのに初めての交付で認定されない、とんでもない政府の措置だという報道に、私も大変心を痛めました。
 東北各県が財政の危機を抱え、待ったなしの財政支援が求められているときに、それはそれだといってわきに置いて、招致合戦を繰り広げていいのかという声が都にも寄せられているじゃありませんか。
 ファイルでは一体何といっているでしょうか。東京には長年の夢がある。都市と住民に恩恵がもたらされる。私たちは成熟し、さらに発展を続ける大都市の中心で開催されるといって、東北の被災地の恩恵については一言も触れられていません。
 こんな認識だから、本当に東京都は復興を考えているのかと都民の批判があるんじゃないですか。見解を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 オリンピック・パラリンピックの開催が日本を元気にするとともに、被災地をまた元気にする観点から、昨年末に復興専門委員会を設け、被災県の関係者を含めて復興支援策を検討しております。
 このようにオリンピック・パラリンピック開催に伴いまして、東京都といたしましては、被災地を元気にしたいという思いで事業を進めております。
   〔「そうだ」と呼ぶ者あり〕

○たぞえ委員 今、そうだという声がかかりましたけれども、それはまた後でお話しさせていただきたいと思います。
 次に、申請ファイルの経費についてです。
 申請ファイルの作成に当たって、章立てごとに契約件名と契約先、契約金額を答えてください。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 本日提出いたしました資料3に記載してございますが、主なものは競技及び会場、パシフィックコンサルタンツほか設計共同体、七千四百万円、宿泊施設、株式会社JTB法人東京、四千百万円、輸送、セントラルコンサルタント株式会社、千三百万円、申請ファイル全体に係る委託として、株式会社電通、一億五千万円となっております。

○たぞえ委員 今のご答弁をかみ砕いていえば、特に高額な契約だけに絞って述べますと、このファイルの五ページから八ページまでの四ページは競技及び会場という内容で、この記述では四社の共同企業体と契約を結び、契約金額は七千四百三十四万円、資料にも書いてあります。
 この資料で企業名が書かれていますように、四社で四ページ、一社で一ページです。これに七千万円以上かけてやることなんですか。なぜ四社共同になったんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 それぞれの契約件名に係ります委託契約につきましては、委託契約がそのページの分量と比例しているというものではございません。そのページに記載するに当たってさまざまな調査等を行う必要があることから、それぞれに適切な契約目途額を定め、契約したものでございます。
 なお、ご指摘の点につきましては、いろんな業者のノウハウを活用した方が好ましいと考え、共同企業体での応募を認めたものでございます。

○たぞえ委員 一五、一六ページの二ページ分ですが、ここは宿泊施設という内容で、ホテルの評価、ホテル数、客室数、宿泊料金で一ページ使っています。メディア向け宿泊施設ということでもう一ページつくられています。合わせて二ページで、そのための契約金額は四千百六十三万円です。
 契約はおなじみのJTBとなっていますが、宿泊のことなら何でもわかっている旅行業者じゃありませんか。一ページ二千万円、二ページで四千万円もかける、その必要性はどこにあったんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 ただいまも申し上げましたとおり、この申請ファイルに記載したページ数だけで判断していただくのは適当ではないと考えております。ここに記載するに当たって、その背景にはさまざまな調査を、例えば宿泊については、都内にあります宿泊施設すべてを調査する必要がございます。
 また、契約先でございますけれども、今ご指摘ありましたけれども、複数の業者からの見積競争によって決定したものでございまして、固有名詞のところができるということではございません。

○たぞえ委員 すべての調査が必要であるといったって、こういう旅行代理店は、新宿に、都庁周辺にどれだけホテルがあるか知らないはずはないですよ。初めから数え直すんですか。そんなことはないと思いますよ。
 このファイルで全体を仕切ることになった作成支援業務委託は電通です。委託した経費は、電通で一億五千九百四十九万円です。
 今後、電通が申請ファイルをもとにオリンピック招致を仕切るということですが、どうでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 ご指摘の申請ファイル作成支援業務委託は、この申請ファイルを作成するための業務委託でございます。

○たぞえ委員 仕切っているのはわかっているんですよ。今後のオリンピック招致運動に、中心的な位置としてどうやって電通が仕切るんですかと聞いているんです。そこをもう一回お願いします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 この申請ファイル作成等の契約に当たりましては、今後とも見積競争で行う予定でございまして、電通を特別視するものではございません。

○たぞえ委員 示された委員会資料でも書かれておりますが、申請ファイルの作成費は総額二億九千八百七十一万円です。前回より格安だ、節約をしたと皆さん方はおっしゃいますが、今述べたように、一つ一つの契約で見ればどれも格段に高いという印象は否めないと私は思います。
 次に、施設整備や輸送インフラについてです。
 申請ファイルの四九ページに、大会開催に関連する社会資本等の整備に当たり、四千八十八億円の開催準備基金を既に造成しているとあります。
 では、競技施設に幾らかかって、それ以外の社会資本には幾らかかる見込みですか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今回の招致計画では、競技会場など、恒久的な施設整備に係る費用として三千五百五十七億円、このうち東京都負担分として千五百九十八億円を予定しております。
 また、申請ファイルに記載しました輸送インフラの総額は七千五百九十八億円でございますが、これは大会開催の有無にかかわりなく整備されるものでございます。

○たぞえ委員 きょういただいている資料では、競技施設建設工事の都負担は千五百九十八億円、約千六百億円となっています。基金は四千八十八億円ですから、そこから千五百九十八億円を引くと二千四百九十億円、約二千五百億円が残ります。これは何に使うんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金は、開催に関連する社会資本等の整備に要する資金に充てるとされておりまして、具体的にどこに充てるかは未定でございます。

○たぞえ委員 ファイルの一八ページでは、輸送インフラは、既存のインフラと「二〇二〇年の東京」の計画などにより、オリンピックに関係なく整備、改善される輸送インフラで十分なので、大会のための新設のインフラは必要がないと、このように記載をしています。
 大会のための新設インフラは必要がないとしている以上、オリンピック基金四千八十八億円は輸送インフラ整備、すなわち道路建設には使わないということでよいんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金につきましては、開催に関連する社会資本等の整備に要する資金に充てるということを条例に記載しておりまして、具体的にどう充てるかは未定でございます。

○たぞえ委員 オリンピックに影響を与える可能性がある輸送インフラとして中央環状品川線が挙げられていますが、これにオリンピック基金を使う可能性はあるんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 基金の具体的充当先は未定でございます。

○たぞえ委員 外環道は、オリンピックに影響を与える可能性のあるインフラに含まれていませんけれども、これはオリンピック基金は使わないといえますか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 繰り返し申しておりますように、基金の充当先は未定でございます。

○たぞえ委員 ファイル一九ページで、二〇二〇年には三環状の約九割が完成する予定であると書いています。
 国の国交省副大臣は、オリンピックまでに外環道をつくるといっていますけれども、外環には四千八十八億円を使うのか使わないのか、もう一回はっきり答えてください。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 繰り返し申しておりますように、基金の充当先は未定でございます。

○たぞえ委員 未定という日本語は未定なんですよ。(笑声)わからない。使う、使わないという、イエスとノーの答えの世界じゃないんです。結局、オリンピックとは関係ないといいながら、オリンピックのための基金を未定だとおっしゃることは、私、記憶にしっかりとどめておきたいと思います。
 今出ている「二〇二〇年の東京」の前身である「十年後の東京」には、二〇一六年オリンピック招致をてこに都市戦略を進めるとして、その大きな柱として三環状などの建設が掲げられました。「二〇二〇年の東京」も、それを引き継ぐものとして作成をされています。
 結局、オリンピックのためといっていた基金をため込んで、知事や国交省副大臣が九月に述べていますように、二〇二〇年にオリンピックがあるからと、それを口実にして、オリンピック基金やそれを上回る税金が外環道など巨大道路建設につぎ込まれていく、そういうことになるんではないかと思います。そんなことはとても認められないということを申し上げておきたいと思います。
 次に、競技施設について伺います。
 今回の競技施設の配置では、メーンスタジアムを晴海から霞ヶ丘にしたことや、選手村を有明北から晴海にしたことなどが前回招致から大きく変更になった点で、臨海部の競技などは前回と同じ配置になっているものが多くあります。
 例えば、カヌーのスラロームの競技施設は、前回に引き続き葛西臨海公園に新設するとされました。葛西臨海公園は、野鳥の楽園、生物の宝庫といわれている場所です。この公園には二つの広大な干潟があり、ずっと沖の方まで人間のひざぐらいの深さの浅瀬が続いていて、多くの魚介類が生息し、それをえさとする渡り鳥などがたくさん飛来をしている場所です。
 私もつい先日、現地を見てきましたが、本当に数え切れないほどたくさんの鳥たちを見ることができました。野鳥の観察を続けている方にお話を伺いましたが、この干潟には、十月から三月ぐらいの間は一日二万羽から三万羽、多いときは五、六万羽のスズガモという鳥がいるということだそうです。ラムサール条約で湿地に登録されている湿地の基準の一つは、定期的に二万羽以上の水鳥を支える湿地ということですが、登録されてもおかしくない場所となっているという話でした。
 また、公園の東側の陸地の部分は、淡水池や汽水池があって、鳥類園となっています。先日、その裏の水族館からペンギンが逃げ出したというニュースがありましたけれども、さらに競技施設の建設予定地になっている場所は、海辺にもかかわらず、太い幹の樹木林、大きい木がうっそうと茂っており、陸の鳥、特に小さな鳥の格好の隠れ家、生息地になっているというお話を聞きました。全体としても、この季節は六十種類もの鳥が生息する貴重な公園です。
 しかも、葛西臨海公園には大観覧車があるんですが、大変高い観覧車がありました。当初、この観覧車のどの位置からも海が見えるように、丸い形の観覧車が海に向かってつくられるという計画だったそうです。
 しかし、それでは海から飛んでくる鳥がぶつかってしまうということで、海に面した観覧席が九十度向きを変えて、今、西の方に向かってついているわけです。それほど鳥たちに配慮した公園だということだと思うんです。
 そこで伺いますが、葛西臨海公園に新設予定のスラロームの競技施設はどういう施設で、観客席の数、建設工事費が幾らと見込んでいるのでしょうか。

○佐野スポーツ振興局施設計画担当部長スポーツ施設担当部長兼務 江戸川区の葛西臨海公園内に建設する計画となっておりまして、座席数は一万二千席、公設施設の建設費は十四億円を見込んでおります。

○たぞえ委員 観客席一万二千というだけでも随分大きな施設だと思いますが、このスラロームという競技は、いわゆる急流下りというんでしょうか、東京でいえば、御獄駅前にある渓谷でカヌーをよくやっておりますが、ああいう感じ。物すごい高低差があって、一秒間に何トンという単位の水の流れる激流を下ったり上ったりという競技で、これを人工的につくろうとしたら、高さ十メートル近いコンクリの塊のような施設が必要だといわれていますし、大量の水を引いてきて回す設備も当然必要になります。
 前回の計画では、施設計画に当たり支障となる木は移植をするということでしたが、それは樹木だけではありません。現場には小さな川が流れていまして、ちょうど私が行きましたら、大きなガマガエルの繁殖期で、芋の子を洗うような状態で、川の中で卵を産んでいました。その姿を見て、私、人生でこんな姿を見たのは初めてで、大変びっくりした姿でありました。これも失われてしまう。
 前回招致のときも、このような自然を壊してよいのか、国境を越えて生息する渡り鳥を初めとする鳥たちの生態を脅かしていいのかということが問題になって、毎日新聞など一般紙の一面で大きく報道され、都議会でも見直しを求める陳情が提出されました。
 今回の競技施設の計画をつくるに当たり、このようなことは検討しなかったんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 前回招致の際に、葛西臨海公園に計画したカヌースラロームの会場について、日本野鳥の会から東京都議会に反対の陳情が届けられ、後に取り下げられた経緯は承知しております。
 今回の計画に当たりましても、会場整備に伴う緑の減少や自然環境の破壊を心配していると認識しておりますけれども、前回の計画では、公園の中にふさわしい体育施設、競技施設をつくっていき、既存樹木はできるだけ移植し、公園としての緑を保全する予定でございました。
 今回の計画につきましても、今後、立候補ファイルを策定する中で、地元に説明し、理解を得ていく予定でございます。

○たぞえ委員 江戸川区議会では、つい最近の議会の答弁の中で、区長が公園を恒久施設のためにつぶしてはならない旨の発言をしたと聞いています。この声に今後どう対応されるんですか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今回の計画につきまして、今後、立候補ファイルを策定する中で、地元に懇切丁寧に説明し、理解を得ていく予定でございます。

○たぞえ委員 つくるために懇切丁寧に説明されるというお話ですが、野鳥保護の方たちは、どうしても建設をするということであるならば、葛西臨海公園以外の鳥たちの生息圏を脅かさない、長い年月をかけてせっかくつくってきた、育ててきた自然を壊さないところ、例えばカヌーのスプリント競技が行われる海の森につくってほしいと、このようにいっています。
 私も、東京都としては、本来ならこの自然環境を保護する立場に立って、ラムサール条約に登録しようという動きをしてもいいくらいだと思いますが、全く逆の計画になっている。少なくとも、葛西臨海公園にスラローム施設をつくるのはやめるべきです。葛西臨海公園以外にも夢の島公園や辰巳の森海浜公園などもかなりの面積の緑をつぶしてつくる計画になっています。ただでさえ緑の公園が不足している東京で、緑をつぶして施設をつくるというやり方には疑問を感じざるを得ません。
 次に、招致予算について伺います。
 民間資金三十八億円、東京都三十七億円を合わせて七十五億円と述べています。大会予算では、スポンサーやチケットなどで千八百二十五億円を集めることができると述べています。万一不足した場合は、どうすると検討しているんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 一九八四年に開催されましたロサンゼルス・オリンピック以降、大会組織委員会が赤字になった例はございません。

○たぞえ委員 赤字は起こらないんですね。四九ページに、日本国政府、東京都からの約束という欄があります。ここで、日本国政府は財政面で支援を約束していると書いています。日本政府が財政支援を約束したという事実を証明してください。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 二〇一一年十二月に行われました二〇二〇年第三十二回オリンピック・パラリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会を東京が招請することを了解するとした閣議了解のことでございます。

○たぞえ委員 政府からの財政面での約束じゃないんです。あるのは四六ページにも書いていますように、オリンピック憲章を尊重する、そういう誓約書だけなんですよ。四九ページの財政、マーケティングの欄を見てみますと、予算に不足が生じた場合においても、財政的な心配は全くない。なぜなら、東京都の二〇一一年予算は十一・八兆円であると述べています。
 東京都は、大会組織委員会の予算が万一不足した場合には、補てんすることを約束しているとここに明確に書いているんです。赤字が出たら東京都が背負うということが書いてあるんです。そうじゃないんですか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 IOCは、大会組織委員会の予算に不足が生じた場合、開催国や開催都市による補てんを求めております。
 そのため、先ほど答弁申し上げましたように、赤字になった例はございませんが、万が一、大会組織委員会の予算に不足が生じた場合、東京都が補てんするとの意思表明を行ったものでございます。

○たぞえ委員 いつ、だれが都民の税金で補てんすることを約束されたんですか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今申し上げましたとおり、大会組織委員会の予算に万一不足が生じた場合は、それを補てんすることを約束していると書いてございますけれども、大会組織委員会が赤字になった例はございません。

○たぞえ委員 赤字になった実績がないとかおっしゃったって、私が聞いているのは、東京都は十一・八兆円のお金を持っていると。万一不足した場合は、補てんすることを約束していると書いたんだから、だれがそれをしたんですか。もう一回いってください。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 大会組織委員会は現在できておりませんが、現存しない大会組織委員会の資金不足に対する意思表明でございます。

○たぞえ委員 要するに、(実物を示す)こちらの英語版とフランス語版を出したことによって、赤字が出た場合には補てんをするという、これが担保になっているわけですよ。だから、今、部長は、いつ、だれがと聞いてもなかなかいえない。赤字になった場合に、これ自身がそういう踏み絵になっているんです。確かに赤字になった実績はないかもしれないけれども、これがなった場合の担保なんです。そういうことをぜひ私は指摘をしておきたいと思います。
 さて、最後に民間資金について聞きます。
 今回の招致では、申請ファイルによれば、民間資金が七十五億円の五一パーセントで三十八億円です。これに加えて、前回招致の電通からの借入金六億九千万円は、電通からの前受け金で返済をしたということですが、その分も集めなければならないことは当然ですから、合わせて民間資金は四十五億円を集めなければならないということですね。確認をしたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今回の招致経費につきましては、民間が三十八億円、東京都が三十七億円と予定してございます。
 この民間の三十八億円につきましては、今回の招致活動における支出の限度額というふうにお考えいただければいいと思いまして、収入に見合った形で支出を行っていくというものでございます。

○たぞえ委員 よくわからないんですが、前回の招致では、招致委員会が民間資金として集めたのは約四十二億円でした。今回は、それを上回る金額を集めなければならないということです。
 民間資金を集めるときは、実はこのうち七億円は前回招致の損失分です、こういって明らかにして集めるんですか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 前回の借入金につきましては、既に返済済みでございまして、今後は前回招致の経験、ノウハウを活用し、効果的な招致活動を行うとともに、必要な招致経費につきましては、資金の確保に最大限努めていく所存でございます。

○たぞえ委員 結局、前回の招致失敗の穴埋めを、これから電通が全員で寄附を求めるということは、都民にそれを求めるということになるわけです。
 また「都政新報」をご紹介して失礼でありますけれども、先日、招致委員会の評議会事務総長の小倉和夫氏のインタビューが掲載されました。小倉氏は、スポンサーからの寄附は厳しいのではと記者から問われて、いや、もっと厳しいと思う、震災もあったし、景気も低迷している、ヨーロッパの金融危機があって国際的な情勢も複雑だから、前回より今回の方が難しい、こういうふうに答えているわけです。
 前回より難しい。それなのに、前回よりも多く集まる前提での予算を組むというのは随分甘いんじゃないですか。前回よりも多い四十五億円もの民間資金をどのようにして集めるのですか。その目算といいますか、見通しを説明してください。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 確かに現在の経済環境は厳しいものがございます。また、前回二〇一六年につきましても、リーマンショックが起こるなど、大変厳しい状況でございました。
 いずれにいたしましても、必要な資金につきましては、最大限確保できるよう努めてまいります。

○たぞえ委員 要するに、すべて皆さん方の期待にすぎないんではないかと思います。経済効果だって、前回もすごい効果、約三兆円が見込めると。その根拠はともかく、宣伝したわけです。前回よりも多く集める根拠になると私は思えません。
 民間企業などの状況は、前回に比べても大変厳しいといわれ、また、前回は東京電力が多額の寄附をしたといわれているわけですが、今回は原発事故を起こした責任が問われ、また、電気料金の値上げも取りざたされているもとで、これらの問題を差しおいてオリンピックに寄附をしている場合ではないだろうという状況だということだと思います。
 さらに、前回は、民間企業だけでなく、都の監理団体からも寄附をもらい、税金の還流ではないかという批判も受けましたが、こうした手法も慎むべきだと思います。
 こうしたもとで、今回も前回と同様、電通と民間資金調達のマーケティング専任代理店契約を結んだということです。前回、目標額を集めることができなかった電通と、なぜまた随意契約のような形で契約を結んだのかが疑問です。今回は集めることができる保証はどこにあるのか。電通はどこまで責任を持ってくれるんですか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 専任代理店契約についてでございますが、現在の厳しい経済環境の中で、資金調達が確実に図られるという点で、電通以外にはないということで招致委員会が判断したものでございます。
 また、電通は、この専任代理店契約に伴いまして最低保障の条項を結んでおりまして、その金額については電通が負担するものとなっております。

○たぞえ委員 最低保障額というのは約四十五億円、全額ではありませんよね。
 今回、民間資金が目標額まで集まらなかったらどうするのか、また前回と同じように電通から借金をするのか、それとも都が税金で補てんをするのか伺っておきます。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今回につきましても、資金調達に最大限努めてまいるところでございまして、前回のようなことのないようにしっかりと監督をしていく予定でございます。

○たぞえ委員 いろいろと聞きましたけれども、甘い見通しでは、また招致活動で大きな負債を生みかねないと思います。
 結局、申請ファイルには、事実をありのまま書くのではなく、招致に都合のいいように書く。例えば復興を掲げることについても、広く支持を得られている状況ではありません。競技施設の場所についても、環境破壊につながりかねない問題もある。招致予算の確保の見通しも私は甘いと思います。
 しかも、オリンピック基金は、オリンピックと関係のない道路建設に使われる可能性を残しているということでは、私は、到底都民の支持を得た、前向きなオリンピック招致はできないというふうに答弁を聞いて痛感をしました。
 この申請ファイルが、まだ多くの都民には知られていません。どういうオリンピックを目指しているのか。また、そのためにどういう税金を都が負担していくのか。それは東京の将来の都市づくりとどうかかわっていくのか。こうした都民にとっての素朴な質問についても、スポーツ振興局として前向きにぜひ答えていただきたいし、そういう機会もつくってもらいたいということを要望して、私の質問を終わります。

○山内委員 私からも質問いたします。
 二〇二〇オリンピック・パラリンピック招致は、震災からの復興をスローガンとしています。震災復興は日本全体の民意であることは間違いがありません。しかし、復興を掲げて招致活動をしていいのかという声が都民の間からも出ていることは事実です。
 援用がちょっとダブりますが、メダリストのお一人が新聞記事にこう書いておりました。
 ローマの断念は、ご存じのとおり、イタリア政府が財政再建を優先したため、財政保証を拒否したためです。五輪は巨額の税金を使います。招致活動をするだけでも多額の血税を必要とします。
 アスリートとしてはもちろんやっていただきたい。でも、大まかなスローガンとして東日本大震災からの復興を掲げて招致活動をしていいのかどうかです。やらない利点というのも当然議論されるべきだと思います。スポーツは人々に元気を与えるという単純な感情論ではなく、バランスシートを考えて、国民の納得を得るべきだと考えますと、アスリートの中にも疑問視をする声があるということです。
 そこで、ローマは財政再建を優先し申請を断念いたしました。都税収入が五年連続減少し、経済の明るい兆しが見えない中、東京都は招致活動や大会開催に税金を使うことについてどのように考えているのか、都の所見を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 都の財政は、委員ご指摘のとおり、都税収入が五年連続で減少するなど厳しい状況ではございますが、起債依存度は八・〇%と、国の四九%と比較してはるかに健全でございます。
 また、東京都は、前回招致時におきまして、平成十八年度から四年間かけて大会開催に必要となる競技会場等の社会資本等の整備に要する資金に充当するため、約四千億円を積み立ててございます。そのため、二〇二〇年東京大会の開催に関しまして、都の財政的な不安はないと考えております。
 なお、大会開催に伴いまして大きな経済波及効果が生まれ、日本経済が活性化することが見込まれておりまして、そういった点も開催が必要だという理由でございます。

○山内委員 石原知事は、オリンピックはもうかると再三述べていらっしゃいますが、経済の波及効果とはいっても、新しい産業を生み出すのではなく、既存の施設の改修や道路の建設などで、国内のお金が右から左に動くだけで、名目を変えた公共事業投資に変わりはないのではないかと思います。海外からのお金が入ってきて国内が潤沢になるわけではないのではないでしょうか。
 今回の招致は東日本大震災からの復興を掲げていますが、津波や震災だけであれば、二〇二〇年には、ある程度は復興可能だとは思います。しかし、放射能汚染は十年や二十年では解決しません。開催中、開催後に被災地に足を伸ばしてもらうことも大事でしょうが、復興への道のりは始まったばかりです。
 これから、できるだけ早く被災地の方々の生活がもとに戻ることを被災地の方々は望んでいるのではないでしょうか。
 そこで、観光という復興支援だけでは大きな力にはならないと思いますが、今後、被災地支援にどのように取り組んでいこうと考えているのか、都の所見を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 先ほどもご答弁しましたとおり、二〇二〇招致計画委員会の専門部会として復興専門委員会を設置しまして、被災三県のスポーツ関係部署や体育協会からも委員として加わっていただきまして、被災地の支援策について検討を行っております。
 具体的な支援策といたしましては、大会準備期間では、被災企業への優先発注、被災地からの大会組織委員会のスタッフ募集、大会開催期間では、宮城スタジアムでのサッカー予選の開催などを挙げてございまして、今年末を目途にさらに検討を重ね、実現可能性の高い事業案を最終報告として取りまとめる予定でございます。

○山内委員 復興専門委員会とはいっても、スポーツに関係する方々ばかりなので、本当に被災地の方々に寄り添ったオリンピックとなるのか疑問に思います。被災地の人たちの声を聞き、被災地の方々の生活が豊かになる開催を考えてこそ、復興支援だといえるのではないでしょうか。
 次に、地震対策についてお伺いしたいと思います。
 地震のない国の人にとっては、地震は大変怖いものだと聞きます。昨年八月にアメリカのバージニア州でもマグニチュード五・八の地震が起きましたが、その際もパニックになったそうです。
 先日の本会議中にも地震はありました。都は大会開催中に地震が起きた際の外国人観戦客への対応をどのように考えているのか、都の所見をお伺いします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 東京都では、地域防災計画におきまして災害発生時の避難誘導や医療救護等の応急対策等について定めております。二〇二〇年東京大会では、都の地域防災計画に基づきまして、各競技会場の避難誘導や医療救護等の計画を策定する予定でございます。
 実際には、大会の開催前から、大会組織委員会が東京都や市区町村と密接な連携をとり、外国人観戦客に対しても多言語で適宜適切な情報を提供し、速やかな避難指示や誘導などを行うことができるよう準備を整えてまいります。

○山内委員 申請ファイルでは、地震、津波、台風、洪水、その他の災害に対してリスクは低いとしておりますが、地震の被害想定の見直しが行われている中、想定外はあってはならないことです。正しい情報の提供、万全の対策が必要です。
 外国人観光客に対する災害対策のマニュアルをつくると聞いておりますが、競技中にせよ、滞在中にせよ、地震が発生した場合には、例えば八万人を収容する計画のある国立競技場で地震が発生した場合、日本人観戦客に加え外国人観戦客、外国人選手など、避難誘導や情報が行き届かないということがないよう、安全対策を十分に図っていく準備も必要だと思います。そのところを考慮いただきたいと思います。
 次に、世論についてお伺いいたします。
 申請ファイルによりますと、二〇二〇招致計画委員会は、二〇一二年一月に民間会社に委託して東京開催の賛否について調査したとのことですが、本来なら、二〇一一年九月一日に国際オリンピック委員会へ立候補を申請する前に、都民が招致を望んでいるかどうか調査をすべきだったのではないでしょうか。立候補以前に世論調査等を行ったのかお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 立候補申請前には世論調査は実施しておりません。
 今回の立候補は、第二回定例都議会の知事の所信表明でのオリンピック・パラリンピック招致の呼びかけを受けた、JOCなどスポーツ界や経済界、被災地からの要望、また、賛否を含めた都民の皆様からのご意見などを踏まえて総合的に判断したものでございます。

○山内委員 申請ファイルの国民の支持の項目では、反対意見として、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の東京招致に対して反対運動はないと記載しておりますが、反対運動というのはどのようなことを指すのか、反対意見とは違うのか、また、世論調査で反対意見はなかったのか、お伺いしたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 IOCが質問しております貴都市のプロジェクトに対する反対とは、大規模なデモ等を伴う反対運動を指すという趣旨でございますので、そのように記載したところでございます。
 また、世論調査につきましては、大会開催の反対理由について自由回答で聞きましたところ、税金の使い方として適切ではない、震災復興などほかに優先すべきことがあるとの意見がございました。これらの反対意見に対しましても真摯に耳を傾けますとともに、招致に賛同していただけるよう、大会開催の意義や被災地支援策などについてわかりやすくPRしてまいりたいと思います。

○山内委員 前回同様、初めに招致ありきでは都民も国民もついてきません。二〇一六年招致に失敗したメンツであってはならないと思います。
 今回の招致の調査は、東京都内のサンプル数が千二百人とのことでしたが、通常、東京都が行っている世論調査では、サンプル数は三千本、有効回数はおよそ二千本です。信頼性は十分とはいえないと考えます。私たち都民の肌感覚とずれない調査であることを望みたいと思います。
 また、大会を阻止しようとする反対運動はないかもしれませんが、巨額の税金を使うなら使い道を十分検討してほしいという都民の声は根強くあります。都立の競技施設の整備や大会開催の関連する社会資本等の整備に約四千億円の基金があるということですが、反対する方々の中には、被災地の復興や放射能対策に使うという考えがあってもよいのではないかという意見もあると聞いています。
 招致費用についてに関しては、二〇一六招致費用の半分に圧縮し七十五億円といいますが、それでもマドリードの三十億五千万円の倍です。招致費用七十五億円のうち、東京都は四九%に当たる三十七億円を資金提供するとしています。申請段階として五億円、立候補段階として七十億円としていますが、その概要をお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 申請段階に係る経費といたしましては、申請都市手数料や申請ファイルの作成などでございます。
 一方、立候補段階に係る経費といたしましては、立候補都市手数料、立候補ファイルの作成、IOC評価委員会やIOC総会などの対応、国内外広報活動、国際プロモーション活動などに要する費用でございます。

○山内委員 今年度、招致推進費としては二十億四千九百万円が計上されていますが、その内訳を具体的にお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今年度の予算の主な経費といたしましては、立候補ファイル等の各計画策定に要する費用、IOC評価委員会対応等の国際招致活動に要する費用、招致機運の盛り上げに要する費用などを見込んでございます。

○山内委員 都が資金提供する三十七億円のうち、五五%に当たる二十億五千万円を来年度に使うわけで、その内訳が情報提供されないのはおかしいと思います。家計でも特別なことに使う場合には、何にどれだけかかるからと積算して予算を見積もります。都民の税金に対してざる勘定は許されないと思います。
 二〇一六年のオリンピック招致では、ムーブメント事業が地域の不評を呼び、税金のばらまきと批判を浴びました。その反省から、今回の招致にはムーブメント事業は余り行わないとのことで、結構なことだと思います。とはいっても広報活動は行われるのであるから、費用対効果を十分に念頭に置き、都民にきっちり説明がつくようにすべきと考えます。
 次に、オリンピック・パラリンピック開催に係る予算についてお伺いしたいと思います。
 都立競技場の建てかえとともに、神宮球場や都営住宅がある周辺地域の再開発を検討しているとも聞いています。予定している三十五競技場のうち十五会場が既存の施設で、二十会場が建設予定とのことで、施設の整備には合計三千五百五十七億円がかかります。そのうち都費は千五百九十八億円となっているといいますが、とてつもない費用です。
 また、大会開催中も膨大なエネルギー量が使われるわけです。
 そこで、二〇二〇年大会の運用で使用される電気量は幾らぐらいを想定しているのかお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 大会の詳細が決まってございませんので、大会運営で必要とされる電気量は未定でございますが、二〇一六年大会の招致時に試算いたしました競技会場等における大会運営に必要となる電気量は、ピーク時で約七万キロワットと見込んでおりまして、これは東京電力の発電量の〇・一%程度でございます。
 二〇二〇年東京大会では、環境への負荷を最小限にするため、競技会場等を省エネ型施設として整備するとともに、可能な限り太陽光発電施設などを導入し、節電に努めていく予定でございます。

○山内委員 私たちは、昨年の夏、一生懸命節電をいたしました。エネルギーについても真剣に考えました。原発事故後、日本のエネルギー政策が決まらない中、議論もされず、膨大なイベントにエネルギーを使うというのでは、オリンピックを手放しでは喜べないのです。
 二〇一三年にはスポーツ祭東京が開催されますが、巨大イベントを相次いで開催することは、市民不在の急テンポの開発となってしまうことを生活者ネットワーク・みらいでは危惧しています。大きなお金が動くという点では景気の起爆剤となったとしても、一時的であり、日本経済の明るい兆しが見えない中、大きな財政負担のみが将来世代への負の遺産になることを懸念しています。
 ロンドン・オリンピックでも、テロ対策の警戒強化等で予算を大きく上回ると聞いています。東京オリンピック、長野オリンピック、札幌オリンピック等、日本で行われたこれまでのオリンピックには、予算と実際にかかった経費では、さまざまな理由で予算を上回るケースもあると聞いております。
 オリンピックに一体どのぐらいかかるか、終わってみなければわからないというのでは困ります。物質的な充足から精神的な充足に時代の流れは変わっていることを十分認識する必要があると考えます。
 次に、障害者のスポーツ支援についてお伺いしたいと思います。
 今回の招致では、都は、パラリンピックスポーツへの一般市民の関心が高まることで障害者スポーツが発展し、障害者の社会参加が大きく進むと推測しております。
 そこで、オリンピック・パラリンピック競技大会を招致することで障害者の社会参加に貢献しているとしますが、今回の招致では具体的にどのようなことを考えているのか、都の所見をお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 パラリンピック競技大会を開催することで、スポーツ施設はもとより、公共交通機関のバリアフリー化が促進されるなど、ユニバーサルデザインのまちづくりが推進されます。そのことによりまして、スポーツ分野のみならず、障害者の社会参加が推進されるものと考えてございます。

○山内委員 選手村のことについてお伺いいたします。
 選手村は、選手の移動しやすさを考慮し、東京にある三十一会場のうち二十八会場が選手村から八キロ圏内にある晴海ふ頭にすることで、オリンピック・パラリンピックの地理的、理念的な中心にするということにしています。
 生活者ネットワーク・みらいでは、築地市場に関して、移転するならば晴海案を主張してきました。この晴海案に対して、都は、通学路の問題や渋滞が回避できない等、アクセスの問題があるとしてきました。にもかかわらず、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村に晴海を選んだ理由をお伺いいたします。

○佐野スポーツ振興局施設計画担当部長スポーツ施設担当部長兼務 前回招致では、選手村を有明北地区に配置する計画でございました。今回の招致では、オリンピックスタジアムが国立霞ヶ丘競技場に移ったことから、有明北地区よりもさらに広い用地が確保できること、それから、半径八キロ圏内の中心地である晴海地区に選手村を配置することで、選手中心の大会を実現するとしたものでございます。
 なお、選手村では、大会開催期間中に選手を各競技会場に輸送することにより、平常時と異なる一時的なバス輸送が発生いたしますけれども、専用の輸送ルートを確保するなど、大会計画の中で適切に対応してまいります。

○山内委員 障害者のスポーツの社会参加等、支援の手の届かない分野はたくさんあります。
 多摩の問題も同様で、そこで最後に、大会は二十三区内に会場配置され開催されますが、多摩地域に及ぼす効果はどのようなものであるか、都の見解を伺い、生活者ネットワーク・みらいの質疑を終わりたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 多摩地域におきましては、味の素スタジアムや今後整備される予定の武蔵野の森総合スポーツ施設において、サッカーの予選や近代五種の競技が行われる予定でございます。また、オリンピック・パラリンピック競技大会の映像などを流すパブリックビューイングの場として、ライブサイトを多摩地域の公園に設置する予定でございます。
 さらに、大会開催に伴い、さまざまな文化・教育プログラムを実施する予定でございまして、多摩地域を含めまして都内全域でオリンピック・パラリンピック競技大会の楽しさを享受できるようにしてまいります。

○山口委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
 午後四時四十二分休憩

   午後四時五十六分開議

○山口委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○中村委員 それでは、IOCに提出した申請ファイルと復興専門委員会の中間報告に関連して質問します。
 オリンピズムの目的は、人間の尊厳保持と平和な社会の推進にあります。広島、長崎を経験した日本人だからこそ、平和を希求する思いは極めて強いものがあります。
 現在、日本は、東日本大震災からの復興に国民が一丸となって取り組んでいます。日本の平和の象徴である広島、長崎と、大震災からの復興を果たした神戸、復興に今まさに取り組んでいる東北を聖火リレーでつなぐことにより、困難に直面してもそこから立ち上がる姿をメッセージとして訴えることは、東京でのオリンピック・パラリンピック開催を意義深いものとします。
 とりわけ今回の震災では、東京からも多くの都民が東北に支援に行きましたが、阪神大震災を体験した神戸からも恩返しといわんばかりに駆けつけ、体験を生かして支援活動をしていただいたと聞いています。
 まさにオールジャパンで東北の復興を支えるという点では、神戸と東北がつながり、そこに東京もつながることが国を挙げての盛り上がりになります。申請ファイルは、もう提出をされましたが、できれば神戸を含めた関西地域も巻き込めるような大きな潮流をつくっていただきたいと思います。
 さて、今回、申請ファイルが発表された際、報道では、なぜ東京かという疑問が改めて投げかけられました。国内、海外ともに支持を得るには、その理念が受け入れられることが最も大切なのはいうまでもありません。
 招致に際しては、復興や経済効果等がありますが、やはりオリンピックはスポーツの祭典であり、そのスポーツが持つ魅力や意義をどれだけ東京が発信していけるのかが原点になります。
 そこで、まず最初に、スポーツの持つ意義、魅力をどう世界に発信するのか、そして、それはなぜ東京なのかということを改めてご説明願います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 先日の東京マラソンで東京じゅうが一体となり、また、なでしこジャパンの活躍で日本じゅうが熱狂したように、スポーツには国民を一つにする大きな力がございます。
 今から八年後に、復興を果たした日本で大会を開催することは、スポーツの持つ力がいかに困難に直面した人々を励まし勇気づけるかということを世界じゅうの人々に示すことになります。
 東京は、大都市の中心で最高の大会を開催することが可能な都市でございまして、大会開催を通じまして、スポーツの力を広く世界に発信していきたいと考えております。

○中村委員 さて、今回の東日本大震災では、地震、津波、原子力発電所の事故などの映像が海外に大きな衝撃を与えました。日本の安全性に不安を覚えている外国の方も多いと思います。
 招致活動において復興を強調することは、同時に災害も注目させることになるわけですから、訴え方にも注意が必要です。そのため、大会運営の安全対策に万全を期すとともに、その安全性を訴えることは、招致活動にとっても極めて重要です。
 海外から重要なお客様をお招きするわけですから、そのための準備が必要です。特に大会で最も重要な施設の一つである選手村を安全にするために、防災危機管理センターや自家発電設備などを設置することで、災害時にも自立して存在できる高度防災村とすることも検討されてよいかとも思いますが、ご所見を伺います。

○佐野スポーツ振興局施設計画担当部長スポーツ施設担当部長兼務 選手村や競技会場などの大会施設に関する具体的な計画は、立候補ファイルに向けて今後検討していくことになりますけれども、地震や津波などの自然災害に対しまして、ソフト、ハード両面において十分な安全対策を講じることを検討してまいります。

○中村委員 オリンピックはスポーツがメーンですから、前回の環境も、そして今回の復興も、それだけを訴えるものではありませんが、それでも選手村や競技施設を含めて最新の震災対策の技術を生かし、安全に配慮することが大切です。
 人類が自然との共生を図るには、自然災害とどう向き合っていくかは万国共通の課題であり、震災を多く体験してきた日本こそがそのための最先端の技術を有しているのですから、その技術を生かして安全な会場づくりに努めることを招致活動においても積極的にPRすることが必要だと思います。
 最先端の震災対策の技術を紹介していくことについて、ご所見を伺います。

○佐野スポーツ振興局施設計画担当部長スポーツ施設担当部長兼務 委員ご指摘のとおり、日本の技術は多くの分野におきまして世界で認められていると考えております。地震や津波などの自然災害に対する日本の高い技術に裏づけられた安全対策につきましては、立候補ファイルにおける記載やプレゼンテーションなどの機会を通じて、IOCなどに対し十分に説明してまいりたいと考えております。

○中村委員 今回の計画では、多摩地域にも会場が設けられることにはなりましたが、申請ファイルに記載された競技会場は、残念ながら、味の素スタジアムの一カ所のみでした。多摩地域も当然のことながら東京都ですから、東京都としての一体性が感じられなければ、支持率に影響を与えかねません。
 前回の東京オリンピックでは、まさに味の素スタジアムの目の前の甲州街道にマラソンの折り返し地点があり、競歩はさらに先の府中が折り返し地点でした。それが甲州街道に看板で大きく今でも表示してあるため、当時生まれていなかった私も含めて、多摩地域に住む多くの人にとっては、よく知られた歴史的な出来事になっています。
 先般行われた東京マラソンでは、本体のマラソンとは別に大東京マラソン祭りが行われました。オリンピック開催時においても、こうした関連イベントを多摩地域で実施するなども、機運の盛り上げとしてはあってもよいかと思います。
 もちろん多摩地域だけを特に盛り上げるという意味ではありませんが、東京都全体で一体性を持った機運の醸成を図るためには、多摩地域の対策も必要だと思いますが、ご所見を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 都は、多摩地域を含めまして招致機運の醸成を図るため、スポーツ祭東京二〇一三の開催機運盛り上げと連携したPR活動を展開しております。
 ご指摘の多摩地域につきましては、先ほどご答弁いたしましたとおり、サッカー予選や近代五種の競技を実施するとともに、ライブサイトを多摩地域の公園に設置するほか、文化・教育プログラムを実施する予定でございます。
 こうした競技大会の具体的なかかわり方を伝えていくことで、多摩地域における招致機運醸成につなげてまいります。

○中村委員 多摩地域で競技会場が一カ所ということで、機運醸成について質問しましたが、競技会場だけではなく、練習会場や事前のキャンプなどの開催を呼び込むことで盛り上げることもできるかと思います。
 二〇〇二年に日韓でサッカーのワールドカップを開催した際には、大分県中津江村がカメルーンの選手団を招いたことが話題になりました。こうしたこともそれぞれの市区町村でこれから取り組むことにもなりますが、そのためには情報提供が必要です。
 まだ申請ファイルの段階で、練習会場までは記載がないのですが、各市区町村で練習会場となり得る施設がどこにあるのか、使用できるのか、都から協力を求めていくことも必要ですし、また、海外の選手団を誘致するにも、招致から開催までの流れについて情報提供し、緊密に連携していく必要も出てきます。
 既に競技会場となっている区市とは話をしていると思いますが、幅広い連携をするために、都から市区町村に練習会場の協力要請や、キャンプなどを誘致するための情報提供を行うなど、都から市区町村への連携をしていく必要があるかと思いますが、ご所見を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 二〇〇八年の北京大会開催前には、地理的条件や練習環境の良好さから、多くの外国人選手団による事前合宿が日本の各地域で行われ、地元の方々との交流が深まると同時に、地域においては開催機運が一気に高まったところでございます。
 このような事前合宿の実施に限らず、大会開催中に使用する練習会場などが身近な場所に設置されることが決まれば、選手や大会を応援しようとする機運が高まり、自発的な盛り上がりが期待できるところでございます。
 練習会場につきましては、競技会場以上に選手村から近いことが望ましいとされておるところでございますが、招致機運の醸成にもつながる事前合宿に関する情報提供なども含めまして、都内市区町村との連携体制の強化を図ってまいります。

○中村委員 連携の強化を一層図っていただきたいと思います。
 次に、オールジャパンとしての体制について質問をします。
 報道によると、多くの招致関係者が声をそろえて、国のバックアップが前回とは全然違うと述べているそうです。昨年、スポーツ基本法が制定され、国会での決議もいち早くなされ、メーン会場も国立競技場が改装されることになるなど、オールジャパンの体制構築が早くから進んでいます。オリンピックは都市開催なので、東京都が手を挙げたのですが、今や国を挙げての活動になっている中で、政府の動きは大変評価できるものです。
 そこで、前回と今回で国の動きはどのように違うのか、そのことが国際的にどのような評価につながっているのか伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今回の招致活動では、昨年十一月に立ち上げました招致委員会の評議会に、総理大臣を初め全閣僚が参加するなど、オールジャパンの体制が構築されております。
 また、昨年十二月には閣議了解が、前回は立候補ファイル提出後となっておりました国会決議が申請ファイル提出前になされるなど、招致活動の早い段階から国の支援が得られておりまして、こうした点については申請ファイルにも記載しているところでございます。
 IOCは、政府保証書を初めとして、招致活動に対する国の支援を非常に重要視していることから、今回の動きはIOCから高い評価を得られるものと考えております。

○中村委員 オールジャパンの体制ということで今伺いましたが、そういう中で、やはりスポーツ選手や団体等の当事者の盛り上がりが大切です。
 これは、仕事をしながらのアマチュア選手にも積極的に参加をしてほしいのですが、特にスポーツというジャンルで生活をしているプロスポーツの選手にとっては、みずからの業界を育てるためには、行政が頼まなくても積極的に参加をしていただきたいと思っています。
 最終的にはIOC委員の投票で決まるわけですから、あらゆる人脈を使うことが必要であり、海外で活躍するスポーツ選手や監督、さらには、日本では有名ではなくても、海外では著名な選手やタレントも起用するなど、その国で有名な人を起用することも必要です。こうした多彩な人材の協力を得ての活動についてのご所見を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 東日本大震災の被災地における熱心な支援活動が人々に勇気や元気を与えている例を挙げるまでもなく、著名人による情報発信力の高さには目をみはるものがございます。現在では、そのグローバルな活動により、スポーツ界のみならず、文化芸術の分野におきましても活躍する日本人がふえてございます。
 海外でのプロモーション活動は、IOCの行動規範により、原則として立候補ファイルの提出後でなければ行えませんが、効果的なプロモーションが展開できるよう、海外で活躍する著名人にも協力をいただけるような働きかけを行ってまいります。

○中村委員 次に、都民の理解をどう得ていくのかについて伺います。
 招致費用には当然税金が使われるのですが、それが適正に効果的に使われることは当然ですが、理解を得るためには、招致戦略に支障がないものは積極的に公開していくことも必要だと思います。
 特に招致活動が単なるイベントに終わるのではなく、実際に被災地の方々にとって復興支援につながっていくこと、また、都民にとっては、スポーツが身近なものとなり、日常的に健康のため、地域社会の親睦のため、スポーツ振興につながることも大切です。
 招致活動が復興支援やスポーツ支援につながること、そして、それをPRすることが大切だと考えますが、ご所見を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 招致費用の一部は公金で賄われておりまして、その執行に当たりましては、透明性や公正性等が求められることはいうまでもございません。透明性の確保のため必要と考えられるものにつきましては、適切に情報公開を行うとともに、より多くの都民、国民の皆様に招致活動について理解していただけるよう、積極的な情報発信を行ってまいります。
 また、大会開催は、スポーツが持つ力を通じて被災地を元気づけることにつながるとともに、都民、国民のスポーツへの参加が拡大し、都市の中心にスポーツが根づくことになります。
 このような開催意義を、メディアへの露出を意識しながら、さまざまな招致活動に織りまぜ、積極的にPRしてまいります。

○中村委員 ご答弁ありがとうございました。今回、さまざまな角度から招致活動について質問しました。支持率については、単純に数値だけで他の国と比較はできませんが、都民の中には、招致活動よりも被災地の復興支援にこそ使うべきという声も聞くことはありますが、一方では、こうしたときだからこそ招致すべきという意見もあります。
 復興には経済的支援が必要ですが、精神的な支援も必要です。招致を通じてスポーツの振興になり、交流が活発になり、活力につながり、招致活動そのものが復興支援につながっていると認めてもらえるようになることが重要です。
 なぜこんなときにではなく、こんなときだからこそと思ってもらえるような活動が必要です。今後の活動を期待して、質問を終わります。

○伊藤委員 では、私からも、報告のありました申請ファイルと復興専門委員会中間報告について質問をさせていただきます。
 二〇一六年招致以上に、都民、国民の心が一つになって招致実現に向かっていけるよう、私も特別委員会の一員として頑張ってまいりたいと思います。心を一つにしていくためには、招致について、都民、国民が抱える疑問に明快に答えていかなくてはならないと思います。
 世論調査では、約六五%の人が賛成、反対が約一四%、そして、どちらともいえないという人が約二〇%となっておりますけれども、このどちらともいえないという方々が抱いている疑問に対し、しっかりと答えていくことで、これまで以上に多くの人に賛同を得られる招致活動となっていくものと考えます。
 私は、あえて、このどちらともいえないという方々から何名かから意見を聞いてまいりました。その中で意見が多かったレガシーや経済効果、そして、復興、復活について質問をしたいと思います。
 まず、レガシーについてでありますけれども、確認も含めてでありますが、一九六四年の東京オリンピック開催により、さまざまなレガシーが残されたはずであります。この約五十年間、これらのレガシーが都民、国民に果たしてきた役割、逆にいえば、都民、国民が享受してきたものは何であったのか。一九六四年以来継承されている施設等のハード面及び運動、あるいは魂といったものを伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 一九六四年大会が日本のスポーツ界に残したレガシーは非常に多岐にわたっております。
 ハード面では、国立霞ヶ丘競技場、国立代々木競技場、日本武道館、駒沢オリンピック公園総合運動場などがその代表でございまして、当時最新鋭の施設として整備されたこれらのスポーツ施設が、大会後も五十年にわたって日本のスポーツ界を支えてきました。
 また、オリンピック翌年に設立されたサッカーの日本リーグを初めさまざまな競技で、それまでなかった全国規模のリーグ戦が組織されたほか、大会直前にスポーツ少年団が設立され、東洋の魔女の活躍がママさんバレーブームをもたらすなど、市民レベルでのスポーツの振興に大きな役割を果たしました。
 さらに、パラリンピック開催のレガシーとしては、大会翌年に日本障害者スポーツ協会が設立され、障害者スポーツの振興が図られたことが挙げられます。

○伊藤委員 約半世紀にわたって六四年大会のレガシーが引き継がれてきたということは、ハード面、またソフト面、両方たくさんあるんだということがよくわかりました。
 私も少年時代にサッカー小僧でありましたので、オリンピック開催から約十年後くらいだったと思います。今、話にあったスポーツ少年団で、駒沢競技場で、少年サッカー大会の試合に行きまして、そのグラウンドに立ったときに、オリンピックが開催されたグラウンドに立てたという子どものときの喜びは、今も覚えております。
 六四年大会のレガシー施設のリニューアルも含めて、今回、新たな施設の建設も予定されておりますけれども、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックにより得られる財産を次の五十年へどのように継承していくのか。これも、ソフト、ハード両面について伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 六四年大会のレガシーであります国立霞ヶ丘競技場は改築、日本武道館については改修し、二〇二〇年のレガシーとして将来に引き継いでまいります。
 これに加えて、臨海部には、新たな体育館や、これまで不足していたボート、カヌー等の水上競技の施設を新たに整備し、東京のスポーツ環境の向上を図ってまいります。
 また、オリンピック・パラリンピック開催によるスポーツムーブメントの高まりと、こうしたスポーツ環境の整備とが相まって、都民のスポーツ参加が拡大していくことも期待しております。
 さらに、パラリンピックの開催により、障害者スポーツのさらなる振興と障害者の社会参加の拡大、スポーツ施設や公共交通機関を初めとする公共施設のバリアフリー化も加速させ、二〇二〇年大会のレガシーといたします。

○伊藤委員 先ほど申し上げた、どちらともいえないという方々の疑問の二点目でありますけれども、経済効果について伺いたいと思います。
 大震災で甚大な被害をこうむった被災地、そして、日本経済の復興が本当に果たせるのか。オリンピック開催によって、経済活動の復興を世界に示していくことができるのかと、こういう疑問もあるわけであります。
 そこで、東京オリンピック・パラリンピック開催によって、どのような経済効果がもたらされるのか、わかりやすい事例を用いながら、都民、国民に示していくべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 オリンピック・パラリンピック競技大会には、海外二百カ国から訪れる一万人以上の選手を初め、大会関係者や観戦客が数十万人規模で訪日する見込みでございます。また、日本国内からも多くの方が観戦に訪れ、海外を含めた延べの観戦客数は八百万人以上を予想しております。オリンピック・パラリンピック双方の競技大会を通じ、およそ四十日間という短期間での集客としては、他に類を見ない大会でございます。
 前回招致時の試算では、これらの人々が交通費、宿泊費、飲食費、買い物代などに用いる消費支出に加え、競技会場等の施設整備費や大会運営費などを含めた需要増加額から、日本全国で約二兆九千四百億円の経済波及効果を見込んでおりました。

○伊藤委員 ただいまの答弁では、二〇一六年招致時点での試算が約二兆九千四百億円の経済効果ということでありました。その後、日本は、世界経済の影響から、歴史的な超円高、そして大震災による打撃を受けております。今後は、二〇二〇年招致として、経済効果の試算をなるべく早い段階で、都民、国民に示せるようにしていただきたいというふうに思います。
 次に、先日の申請ファイル発表記者会見において、日本復活オリンピック・パラリンピックと掲げられました。当然、東日本大震災からの復興も含めて復活であると思いますけれども、震災復興に当たっては、都市インフラなどのハード面での復興はもとより、若者が将来への夢や目標を持てるよう、心の復興も重要であります。
 三日後には、大震災から一年になります。この一年の間に、悲しみや困難を乗り越えて、過酷な練習環境を克服しながら見事な活躍をしてきた被災地の若者が大勢おります。
 例えば、一月にオーストリアのインスブルックで行われた第一回ユースオリンピック冬季競技大会では、被災地の在学生が懸命になって競技に取り組む姿がありました。また、皆さんも記憶にあると思いますが、昨年の夏の甲子園では、津波被害や、あるいは放射能の影響で困難な状況にあった高校生たちが活躍をし、日本じゅうを感動に包みました。
 そのほか、被災した中高生の中には、練習するものがなければほかのもので代用し、グラウンドのように広い場所がなければ自分たちでトレーニングを積み重ね、逆境をばねにして活躍できる可能性を示してくれました。まさに、スポーツを通した人間としての強さ、勇気に、逆に私たちが励まされた思いでありました。
 私は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックにおいて、今回の大震災で一番苦労した人が栄冠をつかむことで、また一つ日本が強くなり、復活の象徴的存在として世界に示せるのではないかと考えます。
 そこで、今から二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催までの八年の間に、東京都が被災地におけるアスリートの可能性を引き出すための支援に積極的に取り組むべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 都は、今回の震災を受け、被災地のジュニアアスリートを対象とした支援として、ジュニアスポーツアジア交流大会に被災地からジュニアアスリートを招待し、海外のジュニアアスリートと交流してもらう事業を実施しております。
 一方、復興専門委員会では、大会開催準備期間中に実施する事業として、被災地からオリンピアン、パラリンピアンを輩出するための強化事業も今後さらに検討すべき案として中間報告に記載してございます。
 ジュニアアスリートの発掘や育成に関しては、現在、被災地も含め、各県単位で実施しているものでございまして、復興委員会においても、これを前提に、スポーツ団体の協力のあり方などについて、年内の最終報告に向け、検討を継続してまいります。

○伊藤委員 ぜひ都が積極的に被災地のアスリートを支援して、また、東京オリンピック・パラリンピックへの夢を被災地の青少年たちに与えてほしいと強く求めたいと思います。
 そして、東京オリンピック・パラリンピックが実現の際、東京の、そして被災地のアスリートたちが各種競技の表彰台に立ったときには、その大きな感動は世界じゅうの人々への恩返しになると私は思います。
 最後に、日本復活オリンピック・パラリンピックについて、都民から私のもとに届いている疑問として、被災地を会場に設定した上で復興を掲げるならわかりやすいんだけれども、実際にはサッカーの予選会場として宮城スタジアムが予定されているのみだということであります。
 そこで、最後に、復興の観点から、オリンピック・パラリンピックを東京で開催する意義を改めて局長に伺い、質問を終わりたいと思います。

○細井スポーツ振興局長 世界最大のスポーツの祭典でございますオリンピック・パラリンピック競技大会の開催は、復興を目指す我が国に明確な目標と連帯感をもたらし、震災からの復興の大きな後押しとなります。
 先日、私は、宮城県で行われました、スポーツを通じた被災地支援事業であるアスリート派遣事業を視察してまいりました。現地で、被災地の中学生の生徒たちが困難な境遇にもめげずに楽しそうにアスリートと交流する姿を見て、若者が将来の夢や目標を持てるようにすることが復興を図る上で重要であると改めて感じたところでございます。
 また、先般の東京マラソンでも、被災地の高校生百三名が完走しまして、やはり日本でのオリンピック開催を大勢が期待していたところでございます。
 一月に行った世論調査でも、被災地三県の支持率は全国平均や東京を上回る六六・四%となっております。このことからも、オリンピックに対する被災地の期待は高いと思っております。
 オリンピック・パラリンピック競技大会の開催は、スポーツの持つ大きな力で被災地の人々を元気づけるとともに、復興した姿を全世界に発信することで、支援を寄せてくれた人々への感謝を示す機会となります。
 日本のダイナモである東京が日本を代表してオリンピック・パラリンピック競技大会を呼び込み、日本の再生を牽引していくことは、首都である東京の使命でもあると考えております。日本復活のために何としてでも招致をかち取っていく決意でございます。よろしくお願いいたします。

○西沢委員 では、私の方から、局長の力強い答弁の後押しとなるために質問をさせていただきたいと思いますが、そのためには、都民の皆様には、どうしてもお金が適正に使われていくことが、ちゃんとしていくことが求められていると思っております。
 それで、今回、申請ファイルが提出されたことによって、さまざまなことがわかってきております。
 まず、四九ページの大会組織委員会のことについてお伺いをしたいと思いますが、これは先ほど質疑がございましたので、確認をするだけにとどめておきたいと思いますが、この大会組織委員会の収支についてですが、私の手元の資料ですと、二〇〇八年の北京オリンピックの際には、当時のレートで約百七十四億円の黒字、アテネ・オリンピック二〇〇四年の場合には百七十五億円の黒字、二〇〇〇年のシドニー・オリンピックの際には約二百三十四億円の黒字であったというようなことがわかっているわけであります。
 こういったことです。東京都は、大会組織委員会の予算に万が一不足が生じた場合には、それを補てんすることを約束しているということで、不安に思われる方もいらっしゃるかと思いますので、二〇二〇年東京大会においても大会組織委員会に赤字が発生することはないと考えていいのか、改めて伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 二〇二〇年の東京大会における大会組織委員会の収支予算は、来年一月に提出いたします立候補ファイルの中で明らかにしていくものでございますが、先生の今のご指摘にありましたように、一九八四年のロサンゼルス・オリンピック以降、すべての大会で収支は黒字となっていることからも、実際に大会を開催した際には、大会組織委員会に赤字が生じることはないと考えております。

○西沢委員 ありがとうございます。
 それでは、次の質問に移りたいと思いますが、今回の招致においては、これまでも質疑を幾度も重ねていますが、前回の招致経費百五十億円から半減をさせる七十五億円で、そして、今回、東京都が三十七億円、招致委員会が三十八億円ということですが、それぞれどのような経費を見込んでいるのか伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 招致経費七十五億円のうち、東京都支出分の三十七億円には、立候補ファイル等の計画策定に要する費用、IOC総会対応等の国際招致活動に要する費用、招致機運盛り上げに要する費用などを見込んでおります。招致委員会支出分の三十八億円には、ロビー活動や海外でのPR活動といった費用を中心に見込んでおります。

○西沢委員 先ほど山内委員が質問した二十億五千万円というものを差し引いても、同じ答弁でしたから、三十七億円すべてが、この計画策定に要する費用、国際招致活動に要する費用、招致機運盛り上げに要する費用だということがわかります。
 それでは次に、今回の招致活動の経費と前回がどのように違うのか伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 まず、東京都支出分でございますが、立候補ファイル等の計画策定に要する経費につきましては、前回の計画策定の中で得られた成果物、経験等を最大限活用することで、前回の半分程度に圧縮しております。
 国際招致活動に要する経費につきましては、IOC関連の公式行事については大幅な圧縮ができないため、海外PRとあわせて圧縮が可能な部分を縮減することで、全体費用を微減としております。
 招致機運の盛り上げ、広報等に要する経費については、前回招致活動の経験を踏まえ、招致に直接つながる機運盛り上げ事業に絞って実施することとしておりまして、前回から大幅に圧縮しております。
 招致委員会支出分については、招致戦略上の理由により、内訳を明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

○西沢委員 東京都支出分の三十七億円ですけれども、大きく三つ。計画策定に要する費用は、前回の半分程度にしますと今ご答弁をいただきました。国際招致活動に要する費用、二つ目ですけれども、これは大幅な圧縮ができないということですので、少しだけ下がる、微減となっているということでございますが、招致機運盛り上げに要する費用については、前回から直接つながっているので、大幅に圧縮しているというようなお話でございました。
 今回、都費が投じられて、今まで百五十億円、前回ありましたが、七十五億円プラス二十五億円の百億円が都民の税金から支出されていたわけですが、半減半減とよくいわれますけれども、私もいっていますけれども、それが三十七億円ということですから、約三分の一強ぐらいにまで下がっているということは、招致に成功しなければ元も子もありませんけれども、招致に成功すれば、少ない費用でできたということが証明されるということにつながると思っております。
 それで、招致委員会支出分については、戦略上の理由により、内訳を明らかにできないということですが、先ほど中村委員の方から質問させていただいた際に、理解を得るためには、招致についてお金がかかるのは当然だと思うが、積極的に公開していくことが必要ではないのかということについては、適切に情報公開を行っていくというご答弁だったと思いますが、適切に情報公開するのは当たり前のことだと思うんです。私は積極的に公開していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 情報公開についてでございますが、積極的に情報公開していく方針でございますが、やはり招致戦略上の理由により明らかにできないものは差し控えさせていただきたいと思います。

○西沢委員 基本的には積極的に情報公開をしていく方針ということをご答弁いただきました。
 それでは、この招致機運の盛り上げについて、質問を移らせていただきたいと思いますが、招致機運盛り上げについては経費を大幅に圧縮していくということでございます。前回実施したのは、区市町村のオリンピックムーブメント共同推進事業というものがありました。
 これは、例えば世田谷の多摩川花火大会が六百万円ぐらいをかけて、花火と、あと帽子をPRにつくったと。そういったことに、事業効果としてどうなのかという指摘を私どもはさせていただきましたし、武蔵村山市のデエダラまつりにおいては、クイズラリーの景品に無料で配る洗剤にお金が充てられていたと。それでムーブメント事業につながるのか、むだではないのかという指摘をさせていただいたところでございますが、このムーブメント共同推進事業については、前回幾ら経費が投入されて、今回はどのように見込んでいるのかお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 ご答弁いたします。
 前回、各区市町村が中心となって実施いたしました区市町村オリンピックムーブメント共同推進事業については約九億四千万円の経費を支出いたしました。今回については、前回の招致活動を通して、既に都民、国民の間でオリンピックへの理解が一定程度深まったということから、本事業は実施しないこととしておりまして、そのための経費は見込んでおりません。

○西沢委員 今回はゼロ円ですというような話でありました。ゼロ円でできるんであれば、それにこしたことはありません。
 続いて、前回も同じように招致活動についていろいろと議論もありましたが、アスリートに対する出演料、そして、最終プレゼンテーションの映像についてお伺いをしたいと思いますが、アスリートに対する出演、オリンピアンのイベント、JOCのイベントというのは、一回当たり五万円から十万円が相場であると。しかし、前回、一回当たり百万円ぐらいのイベントもあったということで、アスリートに対しての出演はどうなのかというような議論がありました。また、十分間で五億円という最終プレゼンテーションの費用がどうなのかというような議論もありました。
 ですので、同じように、前回幾ら経費が投入されて、今回はどのように見込んでいるのかお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 前回の招致活動で実施いたしました各種イベントでのアスリートへの謝金及び運営スタッフの経費を含めた出演者関係経費は約三億三千万円でございました。今回の招致活動では、アスリートに対しては、原則としてボランティア的な立場で招致活動に協力してもらうこととしております。
 また、最終プレゼンテーションにおける映像についてでございますが、前回は映像作成に約五億円の費用を要しました。今回は、前回の経験やノウハウ等を活用し、費用対効果を十分に考慮した上で対処いたします。

○西沢委員 アスリートに対しては、原則としてボランティアでやってもらうというようなことでございました。アスリートの方々も生活があるのでというようなご答弁も前はありましたけれども、アスリートの生活を支えるためにオリンピックをやるんではないんだと。アスリートの皆さんとしても、自分たちもそれを応援したいんだというような気持ちも当然ございますから、そういった方針を今ご答弁いただいたのは、今回かなり大きいことだと私は思っております。
 そして、最終のプレゼンテーションの費用五億円というものは、やはり都民の理解を得るためにも、民民の契約だとは思うんですが、費用対効果を十分に考慮して対応するということですが、圧縮をしていくというところまで踏み込んでご答弁いただけないものなんでしょうか。お伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今回は、前回の経験やノウハウを十分に活用することができると考えておりまして、費用対効果を十分に考慮して対応します。

○西沢委員 では、続いての質問に参りたいと思います。
 電通とのかかわり合いの件でございますが、前回の招致委員会には電通からの出向者というものが五名いらっしゃったと。その電通と招致委員会との間で、いってみれば受発注の関係があったわけですね。招致委員会が発注者であり、そして、受注者である電通。発注者である招致委員会の中にも同じ企業の職員の方、社員の方がいるというのはどうなのかというような指摘もさせていただきましたし、議論にもなりましたので、今回はどういうふうになっているのかお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今回の招致については、電通からの出向者はいないところでございます。

○西沢委員 今後も入る予定はないんでしょうか。一応確認しておきたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 今後についても電通からの出向は求めない考えでおります。

○西沢委員 わかりました。
 それで、前回招致の際は、随意契約の多さであったり、今も議論があります電通への契約が集中しているんじゃないかという問題がございました。前回の随意契約の割合と電通との契約の割合がどの程度あったのか、そして、今回はどの程度になるのかをお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 前回招致の際は、招致本部の契約全体に占める随意契約の割合は、金額ベースで約九割、件数ベースにおいても約九割でございました。また、招致本部の契約全体に占める電通との契約割合は、金額ベースで約八割、件数ベースでは約一割でございました。
 今回の招致活動におきましては、原則として競争入札や見積競争など競争性を担保した発注方法によることとしております。

○西沢委員 基本的には、電通と随意契約をしないというようなご答弁だと認識をしております。
 今回はノウハウがあるので、前回とは違うんだというようなことだと思いますが、確認をしたいのは、前回招致の際には、招致ロゴのデザインの管理を理由にして特命随意契約をするケースが目立っていたということがありました。
 前回の分厚い招致活動報告書を見ても、前回、随意契約が多かったということに関しても、問題はないというようなことでありました。ですから、今回もそういう競争性を担保した発注方式でやるとはいっても、ふたをあけてみれば、適正にやったら結果的にそうなったというようなことではよくないんじゃないかと思うわけです。
 招致ロゴのデザインというものがありますが、要するに、この招致ロゴを管理しているのが電通で、ですから、招致ロゴを使った制作物であったり企画、イベントというものを電通にしか頼めない、だから随契にしたんだということでありましたが、今回、競争性を担保した発注方法とするということですが、ロゴのデザインの管理を理由として、特命随意契約について見直されるということでよろしいんでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 前回招致の際は、招致委員会の持つ重要な知的財産でございます招致ロゴについて厳格なデザイン管理を行うため、電通との間で特命随意契約を行ったケースがございました。
 今回については、前回招致活動を通じ、ロゴのデザイン管理のノウハウ等が得られているため、招致委員会においてデザイン管理を行っております。したがいまして、招致ロゴのデザイン管理を理由とした特命随意契約は行わない予定でございます。

○西沢委員 電通一つとのつながりというものの決別じゃないですけれども、そういった形で、より発注の方法も見直していくということは、私は理解を得られる方向に向かっているんだろうというように感じているところでございます。
 それで、きょう、委員会資料の3のところで、同じく契約先、電通、全体、先ほど質疑もございました申請ファイル作成支援業務委託。先ほどの質疑の中では、これによって電通が仕切り屋になることはないという答弁があったところでございます。
 なので、同じように招致ロゴを理由とした形で電通に発注する、今回の申請ファイル作成支援業務委託を理由にして特命随意契約を今後行わないということでよろしいのかの確認と、この見積競争の相手先がどこだったのか、今もしわかれば教えていただけないでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 本日の委員会資料、資料3にございます申請ファイル作成支援業務委託契約先は株式会社電通でございますが、この契約は申請ファイル作成支援業務のみの契約でございまして、その後の招致活動につきましては全く白紙でございます。
 申請ファイル作成支援業務委託は見積競争でございますが、見積競争は五社で競争いたしました。具体的な社名につきましては、競争上の秘密と営業上の秘密等がございますので、明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

○西沢委員 わかりました。これに限らず、疑義のあるような契約がないように求めて、私の質問を終わらせていただきます。

○大西委員 私の方からは、資料1と2の方をお願いいたしましたので、まずこの辺から質問させていただきます。
 資料1は、今までのアトランタ以降の星取り表を簡単にまとめていただいたわけでございますが、この中から、じっくり見ていると、やはりなかなか一筋縄ではいかないのかなという思いがします。すんなりいったのは前回の北京ぐらいで、それ以外は、手前まで一位になっていたのに、急に最後で負けてしまうと。こういうふうなこともよくあるわけです。
 前回の二〇一六年招致のことを振り返ってみますと、一回目では東京は二十二票をとっていたのに、二回目では一回目よりも票を減らしているという状況になってしまっています。ほかの開催都市決定投票においても、東京と似たような現象がちらりちらりと見られますが、このことをどのように今感じておられるのか、見解をお伺いいたします。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 お手元の資料1にお示ししておりますとおり、東京と同じく今回の招致を争っているイスタンブールにつきましては、北京に決まった二〇〇八年の招致では、第一回目の投票では十七票を得て、次に進んだところでございますが、二回目の投票では九票と大きく票を減らしております。
 これは、IOC総会での投票が機械による無記名投票でありまして、どこの国のどの委員がどの都市に投票したかが明らかにならないことが原因であると考えております。したがいまして、IOC委員の投票行動を正確に把握することは不可能でございまして、非常に難しい戦いであると認識しております。

○大西委員 この中で見ていると、特に一九九六年のアトランタが勝ったときなんですけれども、これに関しては前にもお話ししたかもわかりませんけれども、アテネがちょうど百年記念だったわけですね。オリンピックを行って百年の記念大会だという意味で、アテネは物すごく頑張ったんですけれども、インフラとかいろいろな問題がちょっと指摘はされたんですけれども、結局最後にはアトランタにとられたと。その次の年のシドニーが勝ったときは、今度は北京が有利に進んでいたのに、最終的にはシドニーにとられてしまったと。両者とも結局一回置いて八年後に、臥薪嘗胆、頑張ってとったわけでございます。
 いろんなところの理由、原因はあろうかと思いますが、これらの失敗をしている方を研究事例にすることが一つ次の勝つ要因にもなろうと思いますが、その辺は都はどのように把握しておられるのか、見解を伺います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 IOCは、開催都市選考の結果について公式見解を発表しておりません。したがいまして、結果的に毎回勝った都市がすぐれた計画を持って的確な招致活動を行って、IOC委員の理解を得たということになると受けとめております。
 そのため、東京は、二〇二〇年招致を勝って、東京の招致はすばらしかったといわれるよう、大会計画策定や国際プロモーション活動等を万全に推進してまいりたいと考えております。

○大西委員 IOC、この結果に関しての公式見解なんか出さないのは当たり前です。それに頼っても、また仕方がないと思いますが、独自に敗因とか勝因を分析してやっていく。特に過去のことについて徹底的に調査することは絶対にマイナスにはならないと思いますので、ぜひそこはやっていただきたいと思います。
 今回、東京、一回目の投票を通過した上、二回目以降の投票では、敗退した都市の票を積み上げてこそ、初めて最終的に勝利につながっていくものだと思います。
 ただ、今回、ローマがおりて少数激戦となった、この二〇二〇年の招致レースを勝ち抜くための戦略というのが必要だと思いますが、その辺はどのように考えておられますでしょうか。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 先ほど申し上げましたとおり、IOC委員の投票行動は極めて読みにくいため、どのような働きかけを行うべきかという問いに正解はないと考えてございます。
 しかしながら、理事お話しのとおり、少数激戦の中、複数回の投票があることを想定して、すべてのIOC委員に対して、東京の開催能力の高さや都市の魅力、そして、オリンピック・パラリンピック開催に対する熱い思いを理解していただくべく、適切にアピールしてまいりたいと思います。
 最終決戦投票の相手都市がどこになったとしましても、過半数のIOC委員の共感を確実に得て、勝利につなげたいと考えております。

○大西委員 今おっしゃいましたけれども、すべてのIOC委員に対するアプローチも本当に必要だと思います。ぜひみんなで頑張っていきたいと思います。
 資料2の方にちょっと目を向けてみますと、二〇〇〇年、二〇〇四年はそんなには多くないんですが、二〇〇八年の北京には海外から五十万人が来ていると。同じアジアということを考えれば、やはりこの北京の数字というのがある程度参考になるかとは思います。
 要するに、勝てたとき、五十万人以上の来訪者が海外から東京に来ると。そのときに、日常でも朝夕のラッシュアワーの混雑が激しい東京の道路とか交通網に関して、期間中の混雑解消とか緩和対策は必要だと思います。特にロンドンでも、今回は交通が一つの大きな問題だと指摘されているわけですけれども、この辺はどのように考えておられるのかお伺いいたします。

○佐野スポーツ振興局施設計画担当部長スポーツ施設担当部長兼務 道路交通につきましては、道路整備の着実な実施によりまして、都内の交通渋滞の緩和が図られ、一方、鉄道輸送につきましては、東京の鉄道網は非常に大きな輸送能力を有しております。
 また、大会の開催期間は学校等の休暇期間となりまして、交通機関が混雑しない七月下旬から八月上旬としております。
 加えまして、交通情報システムを活用した交通管理を行うことなどにより、大会開催時の交通混雑を最小限にとどめてまいりたいと考えております。
 今後とも、関係機関と連携しながら詳細な検討を進め、大会期間中の関係者の円滑な移動を確保しつつ、都民に与える影響を最小限にとどめるよう取り組みを進めてまいります。

○大西委員 今、大きな輸送能力を東京は持っているという答弁でございましたが、私は正直、これは甚だ疑問でございます。道路に関しては、ある程度の整備ができているかもしれません。一方、電車に関しては、類を見ないほどの交通網が発達しているといっておりますが、ただ、この基準というのが、我々日本人の基準で物を考えていいのかという非常に大きな問題があると思います。
 といいますのは、これは昔のこの委員会でも私もお話ししたことがあると思いますけれども、アトランタに行ったときの話なんですけれども、ちょうど私が見た競技が終わって、みんながだあっと地下鉄に殺到したときなんですけれども、そのときに、僕らで考えると十分あいているスペースがある、ゆったりしているときに、中の大きな外人の白人の方が、チルドレン・ヒア・ノーモアとでっかい声でいったわけですね。そうしたら、入ろうとしていたほかの人たちが、オーという感じでそこでストップしちゃってとまる。要するに、ある程度いっぱいになったら、もうそれ以上、日本みたいに、へしくら押しくらするような、そういう状況じゃないんですね。
 先日、パリに行ったときにも、ちょっといっぱいだったらもう次の人は乗らなくて、その次の電車を待っている。こういうのがやっぱり特に白人の方の感覚。その感覚を考えないで、日本の掛ける何%とやれば、それはその人たちは何ぼでも、何分でも待って後ろがつながっていくと、そういう状況にもなるということがあります。
 ぜひともこういう日本のラッシュ、混雑率というのが当てはまらない外国人に特に配慮しなければならないと思いますが、その点の見解をお伺いいたします。

○佐野スポーツ振興局施設計画担当部長スポーツ施設担当部長兼務 東京の鉄道網は、世界最大級の規模を誇っておりまして、十分な輸送能力があると考えております。
 大会期間中は、鉄道や路線バスなどの柔軟な運行を交通事業者に要請するなど、発生する輸送需要に適切に対応することで、理事ご指摘のような懸念の解消に努めてまいります。

○大西委員 ぜひこれ、日本が勝っていけば、もっと一緒に考えていきたいとは思いますが、当然海外から五十万人も来ます。日本人もまた当然、期間中はなるたけ車を使わない、そういうふうに考えるのも当たり前でしょう。
 また、アトランタに行ったとき、僕はチケットを買ったら、そのチケットで全部の交通機関、公共交通、タクシーを除くバスや電車がただで乗れたんですよ。聞くところによると、ほかのところの大会でもそういうのがあったというふうには聞いておりますけれども、日本で開催が決まったら、この申請ファイルではどのように考えておられるのかお伺いいたします。

○佐野スポーツ振興局施設計画担当部長スポーツ施設担当部長兼務 二〇二〇年東京大会におきましては、現在、東京ではSuicaやPASMOなど、既に都内で広く活用されている前払い型のIC共通乗車カードと観戦チケットを統合いたしまして、一枚のチケットで競技観戦と都内の公共交通機関を利用可能とする予定でございます。
 具体的なサービスの内容など詳細につきましては、今後、関係の諸機関と調整を進めてまいりたいと思います。

○大西委員 続きまして、この申請ファイルについてちょっと質問させていただきます。
 すばらしい申請ファイルであって、私もいろいろゆっくり見させていただきましたが、この中で地図Aですか、これを見て、私は、すごいわかりやすくて、コンパクトでいいなと思った。ただ、文句をつけることは基本的にはしたくないんですけれども、どうしても一点だけポイントを指摘させていただきたいと思います。
 この地図の中で僕がすばらしいなと思うのが、一カ所に集まっている、これも一つですけれども、もう一つ大きなポイントが、ここに羽田飛行場があるわけですね。これだけの近くに飛行場があるということは、外人の向こうの方が見れば、どれだけ便利かと。すべてホテルも競技場も空港も近くにあって、これは便利だなとだれもが思うと思うんですよね。
 ところがです。ところが、その横に成田空港というのが書いてあるんですね。五十キロ先と。この距離が五キロですから、この十個先ぐらいにあるわけです、向こうの方に。みんなイメージされるんですが、成田を書くことは構わないんですけれども、僕は表5を見てちょっとがっくりしたわけなんです。
 それは何でかというと、二〇一一年における距離と所要時間という表なんですけれども、これがどこから、例えばバドミントン会場から主要ホテルまでは幾らぐらいかかりますかとか、そういう表なんですけれども、なぜかこれ、一番最初に成田空港から書いているわけですね。本来は、主要ホテルからとか、選手村からの距離が書かれるのが筋かなと思って、これは聞いたら、申請ファイルの要件でなっていると。ただ、一番最初には空港を書けと書いてあるから、それは仕方ないという話なんですけれども、なぜか成田がある。
 東京で開く東京都のオリンピックですし、もう既に羽田は国際化しているわけですから、やはりここは第一空港を羽田というふうにしてアピールする方がさらによくなると思いますが、見解を伺います。

○佐野スポーツ振興局施設計画担当部長スポーツ施設担当部長兼務 羽田空港は、二〇一〇年に四本目の滑走路が完成いたしまして、国際定期便が就航したことに伴い、今回の申請ファイルでは、成田空港とともに主要な国際空港と位置づけております。
 一方、現時点で、成田空港が世界九十三都市と結ばれ、年間発着枠が十九万回に及んでいるのと比較いたしまして、羽田空港の国際線の就航は世界十六都市、年間発着枠は六万回となっていることから、今回の申請ファイルでは、成田空港を先に記載したものでございます。
 なお、二〇二〇年大会の招致では、より都心に近く、二十四時間利用可能であるといった羽田空港ならではの魅力を十分アピールできるよう努めてまいります。

○大西委員 言葉じりをつかまえていうのは申しわけないんですけれども、年間発着枠は六万回だということで、ただ、一三年には九万回にもなるわけですね。
 僕は、今のご答弁を聞いてもちょっと納得できないのは、やはり一月の最終立候補ファイルでは、この順番は変えた方がいいと思うんですけれども、いかがですか。

○佐野スポーツ振興局施設計画担当部長スポーツ施設担当部長兼務 先ほども答弁いたしましたけれども、今回の申請ファイルでは、羽田空港、成田空港とも主要な国際空港と位置づけ、より国際線の輸送量が多い成田空港を先に記載したものでございます。
 しかしながら、二〇二〇年大会招致では、都心に近く、東京都内にある二十四時間利用可能であるといった羽田空港の魅力につきまして、十分にアピールしてまいりたいと思います。

○大西委員 今、羽田、成田と、先に羽田をいわれたので、ぜひそれは考慮していただきたい。特に、僕も議員の方とよくお話をしますけれども、成田の不便さというのは、よく強調されます。すごく評価が低いのは事実です。ただ、この図のように、こんなところに羽田があるんだよと。
 都市の名前でいうと、先ほど九十三都市といわれましたか、羽田がまだ十六都市しか来ていないということですけれども、例えばシャルル・ド・ゴールとか、ヒースローですとか、フランクフルトとか、ニューヨークとか、そういうメーンの大きなところは全部羽田に入っているわけですから、ぜひそういう方向で考えて、地理的にも交通の便でも有利な東京というのをアピールすることが勝つことにつながると僕は思いますので、ぜひご検討いただきたいというお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

○淺野委員 私からは、この申請ファイルの中身について幾つか確認をさせていただきたいと思います。
 もちろん皆さんわかっていらっしゃることだと思いますけれども、例えば、弓道における弓矢ということを考えますと、矢を放つときというのは、放つことに意味があるわけじゃないんですね。的に当てることに意味があるということだと思います。
 これは、普通に考えれば、当然招致を成功させるということにつながっていくと思うんですが、例えばこういった申請ファイル、こういった資料を出すときには、この資料の中に込められた私たち東京からの思いというか、伝えたいことというのが正確に相手に伝わるということがすごく重要だと思います。
 そこで伺いますけれども、私も英語は全然だめなので日本語であるのはすごく助かるんですけれども、私たちが読むためにわざわざ日本語のものがあるのであって、お伺いしたら、当然、申請したものは英語とフランス語が正規なものであると。
 この申請ファイル、英語、フランス語の併記で出しているんですが、IOCに提出した申請ファイル、この中の外国語の表現というのが、やはり相手にとって本当に適正に伝わっていかなきゃいけない、記述されていなければいけないと思いますが、この申請ファイルを作成する際に当たって、外国語の表現というのを本当に相手に伝わるようにきちっと考え、どのように対応したのかということについて、まず伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 申請ファイルの英語及びフランス語の作成に当たりましては、それらの言語が母国語で、かつオリンピック・パラリンピックに精通している海外アドバイザーが監修し、ネーティブにとってもわかりやすい表現としております。

○淺野委員 今のご答弁をいただいたとおり、しっかりやっていらっしゃるということだったんですが、先ほどの質問の中でもございましたとおり、これから先、ジャパンハウスだとか、あるいは国際プロモーション期間というのがあると思うんですけれども、実は、この中におけるさまざまなアクションを起こすときの発言というか、JOCの方々だったり、招致の方々だったりが接触したときに、相手と話すときにその言葉にもそれは非常に強くあらわれていなきゃいけないと思うんですね。
 つまり、これから先の招致の活動をしていくに当たって、今から、できれば通訳であるだとか、あるいは直接会いに行く人たちに対しては、そういった今のこの申請ファイルの際にレクチャーを受けた方々から、もう一度レクチャーをしっかりしていただいて、選ぶ言葉をちゃんと考えてほしいと。東京のことが誤解されないようにやるということは、今から準備をしておいていただきたいと思います。
 また、先ほどから、例えば六五・二%の支持率だとかという数字の話が出ておりますけれども、数字もぱっと見ると非常に客観的な指標のように見えますが、そこが意味するもの、あるいはそれが伝えるものというのは、国によって違うと思うんですね。国民性であったり、その国が置かれている状況によって八〇%というのが、多分日本であれば、八〇%の支持率なんていったら、国民全員がいっているといってもいいんじゃないかというぐらいの高い支持率だと思いますけれども、ほかの国にとっては、八〇%なんていうのは通常一般的だよねというぐらいの話というのは普通にあるわけですね。それは投票率だとか政権支持率、いろんなのを見ていても、数字はばらばらで、それを一概に自分の国の尺度ではかるというのは余り褒められたことではないと思います。
 これ、逆にいうと、私たちの数字というのも、ただ数字を載せるだけではなくて、相手にどう伝えるかということを意識していかなければいけない。今後の立候補ファイルを作成する際には、例えば六五・二%は、私からすれば六五・二というのは、東京という大都市においてはかなり高い。日本という国民性を考えても、六〇%以上の人が支持しているというのは結構高いことだと私は思うんですね。そういうことを参考資料のようなものを、数字を載せて伝えるような努力というのもしていっていただきたいと思います。
 この中のファイルの中で、第六章の方に医療サービス及びドーピングコントロールというところがございますが、ページでいうと二五ページ、二六ページのところですね。この二五ページ、二六ページも、今申し上げたように、相手にどう伝えるか、どう伝わるかということを意識して見ていかなければいけないと私は思っていろいろ見させていただきましたが、まず、前回の招致の申請ファイルというか、立候補ファイルにおいて、さらにこの中で、数字で書いてあるのはちょっと見づらいんですけれども、24というのが感染症科というのをしているわけですけれども、こういった例えば感染症科であるとかER、救急診療科が前回からさらにプラスされて載せられることになっている。
 これは非常にすばらしいことだと思うんです。PR効果を考えたら大切なことだと思います。東京というのが医療的にもかなり皆さんのバックアップ、来た方々のバックアップができるんですよということを伝えるという意味ではすごくいいと思うんですが、残念なことに、この感染症科については、もし表だけを見てしまうと、感染症科がある病院というのは、実は余り多くないのかなというふうに見えてしまいかねない。この24のところを見ると、白い空欄がばたばたと目立って流れているように見えるんですけれども、ここで一つ確認をしておきます。
 このオリンピック・パラリンピック競技大会、先ほどのお話にもありましたが、日本のみならず、諸外国からもたくさんの選手や大会関係者、観戦客が来日するということになると思うんですね。そのときにこの感染症対策というのは、東京は大丈夫なのかということについて確認をしておきたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 国内への重大な感染症の侵入を防止するため、日本の入国時に検疫が実施されておりまして、一定のスクリーニングがかけられております。
 また、申請ファイルには、選手村等に近接している一定規模以上の病院を記載いたしましたが、東京都には独立行政法人国立国際医療研究センターや都立駒込病院を初め、重篤な感染症に対応可能な病院が数多く存在しており、感染症法に位置づけられた特定の感染症以外の疾病については、一般の医療機関においても診療しているところでございます。そのほか、東京以外の競技開催地域においても、感染症に対応可能な病院がございます。
 感染症対策については、大会組織委員会が東京都や保健所、医療機関等と密接な連携を行いながら適切に対応してまいります。

○淺野委員 一九六四年の大会から、東京というのが世界の中で物すごく成長してきて、先ほどのお話にもありましたが、大都市でありながら治安がよくて、そして病院等の整備も非常に整っていて、交通の便もよくなっている。大都市ならではの課題ももちろん持っているんですけれども、世界に、私たちはこの六四年大会以降、物すごく成長してきたんだということを見せるということも非常に大切だと思うんですね。
 私なんか、個人的にはこのファイル、東京である日本の非常にいいところがいっぱい書いてあるので、これ自体をそれこそ中学校、高校で学んだらどうかと思うぐらい、読んでもらうと、本当に東京ってすごいまちなんだな、世界と比べてもいいんじゃないかということが伝わるようにできていると思うんですが、ただ、この中で、ぱっと見た感じ、随分思い切ったことをいっちゃったなと私は一瞬思ったことがあるので、これも確認をさせてもらいます。
 これは大変細かい話ですが、その前のページの二三ページに記載されているんです。外国人観戦客、つまり大会関係者とかじゃなくて、本当に見に来た人に対して、この大会のために日本に滞在している期間中、公的機関による救急医療サービスが無償で提供されると書いてありますね。私はぱっと見たとき、これはすごいと。何だ、ただで病院にかかれるんだというふうに思っちゃったんですけれども、一応確認をさせてもらいます。
 ここでいう救急医療サービスということが、どこまでの範囲を指すのかということ。それから、この救急医療サービス、英語版の方、なれないあれで見ましたが、エマージェンシーケアと書いてありますね。このエマージェンシーケアという言葉をIOCの方々が読んだときに受ける印象というのも、日本人が考える対象範囲と認識が同じだといっていいのかどうかということについて確認をしておきたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 救急医療サービスとは、通常日本国内において、行政により無償で提供されている急病者に対する応急手当てや病院への救急搬送を指してございます。
 この救急医療サービス、英語でエマージェンシーケアでございますが、この対象範囲につきましては、さきの海外アドバイザーに確認いたしましたところ、一般的に諸外国においても同様であるとのことでございました。

○淺野委員 安心しました。安心したというか、一般の話だなということでよかったと思います。そういった誤解も招かないようにしていかなきゃいけないと思います。
 さらに、今度輸送の方で、先ほど大西理事の質問にもございましたけれども、観客輸送についてというところで、先ほどの話と私もちょっと重複するんで、重複するところは答弁なくていいんですが、この観戦チケット、ICチップ内臓のいわゆるSuicaやなんかといったものを利用して、公共交通機関も利用できるものとするという記述もあるんですね。ぱっと思ったときに、チケットでどうやってやるのかなというのを私はちょっと思ったものですから、これについての具体的なイメージについて、ちょっと教えていただきたいと思います。

○佐野スポーツ振興局施設計画担当部長スポーツ施設担当部長兼務 二〇二〇年大会では、ICカードと観戦チケットを統合いたしまして、一枚のチケットとして競技観戦と都内の公共交通機関を利用可能とする予定でございます。
 IC共通乗車カードと観戦チケットの統合につきましては、具体例といたしましては、Jリーグですとか、プロ野球の一部で既に導入されておりますなど、技術的には、現段階においても実現可能な状況でございます。
 詳細につきましては、今後、関係の諸機関と調整を進めてまいります。

○淺野委員 細かい点はこれから調整ということですけれども、チケットで一日乗り回せるという形であれば、それは非常に便利ですし、また、日本の非接触型の、ぴっとやって通れるものというのも、海外の国によっては非常に珍しいというか、先進的なイメージを与えるものだと思うので。これなんかは逆に、IOCの委員が実際に来たときに体験してもらっちゃったぐらいにしてもいいのかなというふうに思いますので、ぜひやってみていただきたいと思います。
 最後に、今、細かいことをいろいろ聞かせていただきましたけれども、ニッポン復活オリンピック、ニッポン復活パラリンピックということで、白黒でプリントアウトしてきましたが、東京都のホームページから見て、招致委員会の方のホームページを見ますと、トップページに書いてある文章というのは非常にすばらしい言葉が書いてあるんですね。本当に日本人向けの申請ファイル、国内向けの申請ファイルの一面に載っけてもいいんじゃないかと思うぐらいすばらしい文章が載っております。
 ただ、これも序盤の文だけじゃなくて、実は全文を読むとクリックした後に出てくる文章の方が私は非常にすばらしいなというのが書いてあるんですが、若干紹介させていただきますと、「私たちはいつから目的をもつことがヘタになったんだろう。私たちはいつから勝たなくてもいいと斜に構えて挑戦することから逃げるようになったんだろう。私たちはいつから経済大国という言葉に甘えて情熱を特別なものにしてしまったんだろう。たくさんの困難にあった今、復興と戦う今、私たちは未来とも戦わなければいけない。そのことを忘れないでください。現在を理由に未来を閉じないようにしてください。」と書いてあります。これは本当にすばらしい言葉だと思いますね。ぜひこのつもりでやっていかなければいけない。
 ただ、この文章の中に、ずっと後ろの方に、「私たちは具体的に東日本に経済効果が及ぶようなオリンピック・パラリンピックにしたいと切望しています。」と書いてあるんですけれども、その後に、「招致アクションそのものがきちんと日本全体を活性化させるものにしたいと願っています。」と書いてあります。
 そこでお伺いいたしますが、この招致活動によって、日本全体を活性化させるということで、招致活動による効果というものをどのように考えているのかということについて、都の所見を伺いたいと思います。

○松永スポーツ振興局招致推進部長 招致活動を通じて、東京都のスポーツ施策の強化に加え、IOCや国際競技連盟などのスポーツ界との人脈構築など、スポーツ振興が図られると考えております。
 また、アスリートが子どもたちと触れ合うことで、特に震災で傷ついた被災地の子どもたちに将来の夢や勇気を与えることができるなど、オリンピックムーブメントのさらなる推進が図られます。
 さらに、さまざまな機会を通じて、東京や日本の魅力を広く世界に発信することにより、世界における東京や日本のプレゼンスの拡大がもたらされるなど、日本全体が活性化されると考えております。

○淺野委員 ありがとうございます。ぜひ招致を通じて活性化をしていかなければいけない。先ほど申し上げた、現在を理由に未来を閉じないようにしてくださいというんですが、ちょっと調べてみましたところ、前回の一九六四年の大会は、一九五二年の五月に東京都議会で招致を決定しているんですね。五二年の五月とはどのくらいの時期かというと、サンフランシスコ講和条約が調印されたのが五一年、発効したのが五二年ですね。つまり、独立国として認められた直後に、招くぞ、やるぞと決めていると。
 今回の東日本大震災、復興の話がよく出ますけれども、私は、復興してから招致をするのではなくて、復興しながら招致活動を続けて、そして、招致が成功したときに、まさに復興の完成形としてオリンピックをやるというのは、当時の戦後の考え方と本当に近いものがあると思っております。
 日本は、大切なことは、未来をどう見据えて、我々行政に携わる者たちというのは、未来をどのようにつくっていくかということですから、復興した瞬間にオリンピックが来たぞというのが、やっぱり日本が一番盛り上がるという気が私もしますので、これからも精いっぱい私たちも協力をさせていただきますので、さまざまなこと、先ほどの空港の話もありましたけれども、細かいことも注意しながら、ぜひ招致を成功させていただきたく、一緒に頑張っていこうという気持ちを込めまして、私の質問を終わらせていただきます。

○山口委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山口委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○山口委員長 次に、本委員会に付託されております調査事件についてお諮りいたします。
 本件は、本定例会中に調査を終了することができませんので、閉会中の継続調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山口委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○山口委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせをいたしました。ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後六時十五分散会

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