委員長 | 大津 浩子君 |
副委員長 | 橘 正剛君 |
副委員長 | 服部ゆくお君 |
副委員長 | 増子 博樹君 |
理事 | 松葉多美子君 |
理事 | 吉原 修君 |
理事 | いのつめまさみ君 |
加藤 雅之君 | |
田中 健君 | |
鈴木 章浩君 | |
くりした善行君 | |
中屋 文孝君 | |
中谷 祐二君 | |
興津 秀憲君 | |
早坂 義弘君 | |
西崎 光子君 | |
吉田 信夫君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育長 | 比留間英人君 |
東京都技監建設局長兼務 | 村尾 公一君 |
総務局長 | 笠井 謙一君 |
主税局長 | 新田 洋平君 |
生活文化局長 | 小林 清君 |
都市整備局長 | 飯尾 豊君 |
環境局長 | 大野 輝之君 |
福祉保健局長 | 川澄 俊文君 |
産業労働局長 | 中西 充君 |
港湾局長 | 多羅尾光睦君 |
水道局長 | 増子 敦君 |
下水道局長 | 小川 健一君 |
消防総監 | 北村 吉男君 |
本日の会議に付した事件
東日本大震災を踏まえ、東京都地域防災計画の見直しに向け、今後、東京で発生が懸念されている大規模地震などへの対策をあらゆる角度から強化することについて調査・検討する。
報告事項(質疑)
・東京都地域防災計画の修正素案について
○大津委員長 ただいまから防災対策特別委員会を開会いたします。
これより、東日本大震災を踏まえ、東京都地域防災計画の見直しに向け、今後、東京で発生が懸念されている大規模地震などへの対策をあらゆる角度から強化することについて調査・検討を行います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
なお、本日の委員会に、お手元配布の名簿の理事者が出席しております。ご了承願います。
これより、報告事項、東京都地域防災計画の修正素案についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○笠井総務局長 九月十二日の当委員会におきまして要求のございました資料について、ご説明を申し上げます。
恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます資料の一ページをお開きください。東京都地域防災計画平成二十四年度修正素案と平成十九年度修正の対比表についてでございます。
東京都地域防災計画の平成二十四年修正素案につきまして、平成十九年に修正した現行計画からの主な変更点、新規事項などを対比表形式でお示しをしております。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○大津委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
この際、一言申し上げます。
質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております実施要領に従い運営してまいります。
委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますようご協力をお願いいたします。
なお、質疑時間の計測、振鈴等は行いませんが、質疑時間はお守り願います。
質疑に際しましては、答弁時間を含んだ持ち時間の範囲内で行っていただきますようご協力をお願いいたします。
次に、理事者に申し上げます。
答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されますようお願いいたします。
なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
これより順次発言を許します。
中谷祐二委員の発言を許します。
○中谷委員 それでは、私からは、ライフラインについてと避難生活での災害弱者対策について、それからインフラ政策、これは震災対策に伴うインフラ政策についてお伺いをいたします。
都は、このたび五年ぶりに地域防災計画を見直す、そして、その修正素案を公表いたしました。この計画では、十年以内に実現をしようということで、被害軽減と都市再生に向けた目標、いわゆる減災目標を定めております。具体的にいいますと、当初の被害想定から、死者では六千人減、避難者数も百五十万人減、建築物の全壊棟数も約二十万棟の減少を目指すというものであります。
この減災目標の実現に向けて、平成三十二年度までに、住宅の耐震化率を現行の八一%から九五%へ、木造密集地域の不燃領域率を五六%から七〇%へ、主要な都市計画道路の整備地域の整備率を五〇%から一〇〇%にそれぞれ引き上げるものであります。
当然このインフラの整備を進めながら、被災の現場では、自助、共助、公助、互いに連携し、一体になることによって被害を最小限にできる、そして早期の復旧、復興を目指すものでありますが、じゃ、実際、何をどこまで突き詰めていけば、当初の被害想定から約六割の減災が可能なのかどうか。それぞれ皆これを読んだと思いますけれども、この東京都の出しました地域防災計画素案、五百ページにも及びますけれども、それを読んだ限りでは、具体的に読み取れない事項もあるのも事実であります。その点について、きょうは幾つかただしていきたいと思います。
避難する人を少しでも減らすためには、やはり被災後のライフラインの整備、この復旧のスピードというものが大変大事になっていきます。東京湾北部地震による平成二十四年四月現在の都の被害想定、ライフラインについて申し上げますと、水関係は断水率が三五%、停電率が一八%、ガスの供給停止率は二七%から七四%となっております。これに対して目標では、発災後六十日以内に九五%のライフラインの回復を目指すとあります。電気は七日間、通信は十四日、上下水道は三十日、そして、ガスは一応六十日という予定になっております。
都民の暮らしを支えるライフライン、この中でも特にガスについてお伺いをしたいと思うのですが、東京都内のすべての世帯数というのが大体六百四十万世帯あります。それに対してオール電化の住宅は、これはまだまだ普及が限定的でございまして、これも実は、東京だけの数値がなくて、関東一都六県プラス山梨、静岡まで入れても、九十万世帯しかオール電化の住宅はないということです。六百四十万世帯に対して九十万以下であります。つまりは、多くの住宅は、ウィズガス住宅と呼ばれるガスも使用する住宅になっているということであります。
経産省が災害対策ワーキングチームで平成二十四年三月にまとめた報告書によりますと、今回の復旧活動は、都市ガス業界の総力を挙げて、復興、復旧は非常に早かったということが結果としてまとめられているんですけれども、特にガスの復旧というのは、二次災害防止に配慮することもあって、電気や水道なんかに比べると若干時間がかかるというのも理解はできるんですけれども、いかんせん、ガスに頼っている住宅が多いということを考えれば、より一層早い復旧、復興が望まれると。
そして、東京ガスというのは指定公共機関でありますから、業務を通じて防災に寄与する義務があるとは確かに書いてあるんですけれども、そうはいっても、民間であるガス事業者でありますから、都は具体的に、そういうガス事業者、ここでは東京ガスも含めてですが、どのような取り組みを促しているのか、お伺いをいたします。
○笠井総務局長 ガスにつきましては、生活を支える重要なライフラインであるとともに、事業者である東京ガスは、災害対策基本法に基づく指定公共機関として指定されていることを踏まえ、都は、同社に防災行政無線や災害情報システムを配備するなど、情報共有体制を整備しております。
また、ガスの復旧におきましては、ガス業界による応援体制が既に構築されておりまして、都といたしましては、ガス事業者を含め、全国から集まるライフライン事業者の活動拠点を確保するなど、発災後の迅速な復旧活動を支援する対策を講じております。
今後とも、被災者の生活の早期再建に向け、ガスを初めとするライフライン事業者との連携を確保してまいります。
○中谷委員 東日本のときを見ますと、復旧の対象戸数が四十万戸に対しまして、四週間後、一カ月たっても、実は、三八%のところはまだガスの供給が停止をされていたという数字が残っております。まして、ガスとか電気の工事業者というのは、いろいろな技術が必要でございまして、実は業者みずからが被災をする可能性もあるわけで、発災後に実際に作業に当たれる業者がどれぐらいいるのかというのは、現時点よりも、当然、発生した後には、想定する数が減少する可能性もあるということも視野に入れなくてはいけないと思います。
そしてまた、発災により、例えば都市ガス施設の被害が生じたり、あるいは、この防災計画書を見ると、避難所等には一時的にLPガスを救援物資として供給していくという計画もあるように書いてあります。このLPガス業界というのも、世の中の流れとしては、どんどんLPガスがふえているという状況ではなくて、やはり十年前、二十年前と比べると、業者の数自体も減っているし、LPガスの供給実績自体も減ってきている中で、そうはいいながらも、災害のときには、通常のガスの代替というか、LPガスに対する期待は非常に高いものがあると思います。
したがいまして、都の協力体制のもとに、このLPガスの事業者も含めて配置することによって、ガスの供給停止期間というのを少しでも短くすることができると思うのですが、災害時のLPガスの実際の利用、活用方法について、そのために東京都としてはどのような対策を講じているか、お伺いいたします。
○大野環境局長 LPガスは、持ち運びや設置が容易にできるという利点がございますので、東日本大震災では、発災の直後から、避難所などにおきまして、LPガスを利用して炊き出しや入浴が行われるなど、その有用性が実証されております。
こうした経験を踏まえまして、都では、今回策定が進められております地域防災計画に、新たにLPガスの活用方策の検討を位置づけました。
ただ、LPガスは、都市ガス用の器具では、そのまま使用することができませんので、都市ガスの普及率の高い区部などでは、発災時において、避難所等へLPガスとともに専用器具を供給する体制を構築することなどの課題がございます。
このため、今年度、既に、東日本大震災など過去の震災におけますLPガスの活用実態等の調査を開始しておりまして、また、先月には、学識経験者やLPガス事業者を含む検討会を設置し、協力体制づくりについて検討を進めております。
○中谷委員 今のお答えにありましたけれども、LPガスだけではなくて、専用器具も供給できる体制を構築することが課題であるということでございました。私も不思議に思ったのが、ガス管がだめで、LPガスを持ち込んだら、そのままつなげるのかなという、単純に素人の発想だったのですけれども、やはりとてもそういうことはできないので、その器具までの供給が必要であるということは、そんなに同時に物すごく多数のものが配置ができるかというと、これまた厳しい話でありますから、ぜひLPガス業界との連携もしっかりととっていただきたいと思います。
そして、先ほど局長のご答弁の中で、いろいろ防災無線なんかも駆使してというお話がありました。先般、我々に配られたこのA3判の資料の中に、防災関係機関相互通信の確保というのがありまして、通信手段の多重化に向けてMCA無線を配備、監理団体や協力機関に約百二十台を配備と書いてありまして、これだけを読むと、配備が済んでいるのか、まだこれからのところもあるのかというのは、実は読み取れないんですけれども、監理団体や協力機関というところだけを読んだときに、少なくとも、監理団体というのは、じゃ、平日の夜、人がいるんだろうか、土曜日、日曜日はどうなっているんだろうかという素朴な疑問があるんですね。震災を平日の昼間という想定に限るのであれば構いませんけれども、この防災の冊子だと、冬の夕方五時とか六時とかという想定に一応なっていますけれども、土曜日、日曜日の可能性もある、朝の可能性もある、深夜の可能性もあるということを考えたときには、このMCA無線百二十基をもし配備するのであれば、そういう休日、人がいないようなところにもし配置をするのであれば、全く意味のないことでありますから、当然、そこも含めてしっかりと検討していただきたいと思います。
続いて、災害時の燃料の供給体制の確保について伺いたいと思います。
さきの東日本大震災のときに課題となった事案の一つには、この燃料の供給体制の整備というものがありました。甚大な被害が発生した東北地方でも当然ですけれども、東北地方で発災したにもかかわらず、都内でも、ガソリンについては燃料不足が顕在化し、病院などの医療の現場でも若干混乱が起きたと聞いております。大体、震災後三日から一週間ぐらい、一般車両でガソリンを求める長蛇の列というものが町中に見受けられまして、まさにこの首都直下型地震が起きたときには、電気、ガス、そしてガソリンを含めたライフラインが途絶するわけでありますから、当然、停電ということも予想される。そうしたときに、初動の応急対策というものが大変大事になってくるにもかかわらず、このガソリンがないがゆえに、なかなか動けないといった事態も想定されるわけであります。
そして、東京都は、今までも協定を結んでいるんですけれども、石油連盟とか東京都石油商業組合と、いわゆる大規模災害時における石油燃料の安定供給に関する協定を締結しておりますけれども、では、前回の大震災のときに、果たしてそれが機能したのかどうかという疑問があります。
消防庁や警視庁は、それぞれ独自に備蓄をしておりますから、そこの部分の緊急車両というものは、ガソリンについては心配する必要はないのかもしれませんけれども、それ以外の各局の車両であるとか、例えば医療関係の車であるとか、そうしたところの燃料確保という部分は、しっかりと機能する体制をつくらないといけないと思っております。この協定などで燃料の供給体制を確保した上に、混乱なく燃料の供給を受けることができるためには、文字で、みんなで見詰め合っているだけでは、なかなか機能しないものですから、災害時の連絡体制が実際どうなのか、また、受け入れ体制がどうなのかということも確認しつつ、給油の手順を本当に検証するという部分で、できれば、やはり訓練も含めて平常時に実施することも重要であると考えております。
そこで、都として、災害時に備えた燃料の供給体制の整備というものを、この三・一一の震災後、見直しをしたと思いますが、具体的な方法についてはどのような取り組みを進めているか、お伺いをいたします。
○笠井総務局長 災害時における燃料の確保についてでございますが、都はこれまでも、石油業界との間で協定を締結してまいりましたが、東日本大震災の教訓を踏まえ、現行の協定を見直ししているところでございます。
具体的には、災害発生の時点で流通している燃料を可能な限り調達する方式から、年度当初に事前に必要量を購入し、実績に応じて生産するランニングストック方式へと変更した上で、災害拠点病院ごとに近隣のガソリンスタンドなどをあらかじめ選定し、発災時に確実に供給を行う仕組みを構築しております。
現在、災害拠点病院等の現況調査などを踏まえ、ガソリンスタンド等の選定を終了したところでございます。
今後、業界団体と、災害時の供給手順など詳細について調整し、早期に新たな協定を締結してまいります。
○中谷委員 今、ご答弁の中で、ガソリンスタンド等の選定を終了したところであるということでありました。実は今、都内のガソリンスタンドというのは、一千百件ぐらいスタンドがありまして、これが、ここ数年ふえているかというと、毎年七十件ずつぐらい減っている傾向にあります。したがって、どこに指定をしたのか、その地域の偏りがないように、また、震災が起きたときに、すべての地域が均等に被害が起きるということは考えづらいわけで、被害の濃淡とか当然あるわけですから、そのときの横の連絡関係も含めて、しっかりと構築をしていただきたいと思います。
続いて、今度は、都立公園の防災公園化に伴う非常用発電設備の件についてお伺いをしたいと思います。
都は、昨年の秋に、大規模な非常用ガス発電設備を舎人公園に設置するという計画を打ち出しました。そして、今まさに技術的な調査を進めているところだと思いますけれども、やはりガス管というのは、中圧管と呼ばれるのは非常に耐震性に強いということで、これは、東日本大震災や、あるいは阪神・淡路大震災においても損傷しなかったということでございますから、都として、電力供給がとまったときに、このガス発電を非常用電源とするということについては、一通りの理解をするところでございます。
そして、この地域防災計画においても、都立公園に非常用発電設備を設置しという記事が、当時、大々的に新聞にも載りましたけれども、実際、その後、舎人公園の検討状況、また、進んでいる状況を含めて--このガス発電とは別に、もう一つ、コージェネレーションシステムというものがありますけれども、この導入については、例えばこういう非常用のものとしてはどうなのかということも含めて見解を伺いたいと思います。
○村尾東京都技監 都立公園における非常用発電設備の設置につきましては、大規模救出救助活動拠点である舎人公園をリーディングプロジェクトとし、現在、応急、復旧活動に必要とされる電力量や発電設備の規模、構造について検討を進めております。
コージェネレーションシステムは、発電時の廃熱を継続的に利用することで総合エネルギー効率を高めるものであり、電力需要と熱需要が常時安定的に見込まれる場合に活用されるシステムでございます。
検討中の非常用発電設備は、発災時など電力の供給が途絶えたときのみ使用するものであり、常時稼働することを前提とするコージェネレーションシステムは適さないことから、導入は予定しておりません。
○中谷委員 コージェネについては、そういう非常用発電としては適さないというお話でありました。
今後、都の防災公園として、特に大きなものの整備が予定されているのは、杉並の高井戸公園、それから練馬城址公園という、これは今でいう、としまえんでありますが、今後、整備が予想される防災公園なんですけれども、そうした防災公園に対する非常用電源というものは、やはりガスに限定されてしまうのか。それとも、非常用発電というくくりを少しとって、常設の電源を設置して、防災にも役立つような施設の建設というものが視野にないのか。また、前回、防災のこの特別委員会でも、私、申し上げたんですけれども、防災公園の整備をするときに、いわゆる地下部分の利用を本当に検討しないのかどうか。
石原知事がよくいわれるのが、国でいう官僚、都でいう職員の皆様の政策に対する一貫性とか継続性というものは大変すばらしいものと、もちろん理解をしておりますけれども、いわゆる三・一一の大震災によって、今までの災害に対する備えだとかインフラ整備の優先順位についても見直しをする時期に来ているんだと思うんですね。
防災公園、すなわち空地の確保だということが第一前提に来ると、地下利用なんてあり得ないんですよね。ただ、そういう公園にしっかりとした設備をつくって、将来的にそこに、非常用発電ではなくて常設の発電設備も併用しているような防災公園というものも、ぜひ視野に入れていただきたいとご提言を申し上げます。
今回の舎人公園というのは、非常用発電という設備について非常に注目をされていると思います。コージェネは適さないということでありましたけれども、環境局の方にもう一度お尋ねしたいんですが、では、コージェネレーションシステムの特徴と、導入が適していると思われる施設はどのようなものであると考えていらっしゃるか、お伺いをいたします。
○大野環境局長 コージェネレーションシステムは、今までのやりとりにございましたが、電気と廃熱の両方を活用しましてエネルギー効率を高め、CO2の削減とエネルギーの有効利用を図るものでございます。したがいまして、廃熱をいかに有効活用し、エネルギー効率を高めるかが重要なポイントということになります。
この観点からいたしますと、病院やホテル、福祉施設など、熱需要の高い施設への導入が有効でございます。
ただ、熱需要が比較的少ない一般のオフィスビルにおきましても、熱需要に応じて発電規模を設定しまして、廃熱を冷暖房等に活用するとともに、電力需要のピーク時に稼働させることで、昼間などの電力供給のピークを抑制し、エネルギーの有効活用につなげることも可能と考えております。
低炭素な高度防災都市を実現する観点から、災害時のみならず、通常にも活用できる低炭素で高効率なコージェネレーション等の自立分散型電源を推進することが重要と認識しております。
○中谷委員 平成二十二年の六月に閣議決定をされているんですけれども、エネルギー基本計画において、二〇三〇年に向けた、目標実現に向けた取り組みの中で、やはり天然ガスコージェネレーションの導入促進を図り、二〇二〇年までに現状から五割以上の増加、二〇三〇年までに倍増させることを目指すということがありますので、低炭素社会実現のために、やはりコージェネというものはケース・バイ・ケースで検討していく必要があると思います。
まして、今、大飯以外ですが、原発の稼働がとまっておりまして、化石燃料への依存が非常に高まっていると。当然、CO2については、削減どころか、震災前よりもかなり多くのものが排出しているというのは、皆さんも認識をしていらっしゃるところだと思います。
今、お話にございましたけれども、コージェネの難しさは、その熱量と電気の比率だと思うんですね。建物内部で必要となる熱量を電力量で割った値を熱電比というようでありますけれども、この熱電比を今の技術でしますと、五年前、十年前と違って、かなり熱量を減らして電気をふやすということが技術的に可能になってきていると伺っております。ぜひ、そうした技術革新も進んでいるわけでありますから、コージェネについて--先ほど病院にというお話がありました。都立病院が今、七病院ありますけれども、そのうちの二つの病院については、既にコージェネを導入していると伺っております。ただ、今後、残りの五つの都立病院についても、いろんなそういう発電設備が更新時期を迎えたときには、コージェネの導入というのも検討していくんだと思いますけれども、そのときに、やはり生成される熱量と電気の割合というものを今以上に精査をし、むだをできるだけしないというようなエネルギー効率を求めて、立てていく必要があるのではないかと思います。
次に、避難生活における災害弱者の対策についてお伺いをしたいと思います。
全国の区市町村では、災害弱者の避難支援計画や災害時の要援護者名簿というものの整備が進められておりまして、いわゆる全体計画と個別計画という二つをつくっているところであります。この災害時の要援護者名簿というのは、地域、地域の民生委員であるとか地域の自治組織が災害弱者の安否確認、避難支援に活用するものでありまして、この名簿の登録者に対して個別計画のメニューが作成されていくわけであります。
当然、都もこれまでは、要援護者の支援計画の策定とか、この名簿の整備に関しまして、区市町村に包括補助事業としてしっかり支援を行っているという認識はあります。
ただ、私の地元の練馬区の例を挙げますと、身体障害者の方、それから知的障害者、精神障害者、ひとり暮らしの高齢者、難病患者など、行政データによりますと、七万人程度の方が見込まれております。練馬区の人口は、大体、今七十万人でございます。発災したときには、当然、近隣の共助として、民生委員の方や区民防災組織の方が協力をしていくことにはなっておりますが、現時点で、手挙げ方式での名簿登録者数は、実は三千五百人にとどまっております。この七万人のうちに、ひとり暮らしの高齢者で元気な方というのはたくさんいらっしゃるわけですから、七万人すべてが、もちろん要援護者とは思いませんけれども、名簿登録されている方というのは、実は三千五百人しかいないというのが現状であります。
だれが安否確認を行い、情報をどのように整理していくのかというのが、実は自治体によっては明確にまだ決まっていないところもありまして、区市町村の取り組みには差が若干生じているのかなという思いがあります。
都の今までの取り組みについては、もちろん評価をいたしますけれども、より一層、指導的な役割を果たしてもらいたいがゆえに、現状の認識と今後の対応についてお伺いをいたします。
○川澄福祉保健局長 都は、障害者や高齢者など支援を必要とする人が災害時に迅速かつ円滑に避難できるよう、災害時要援護者名簿の整備や避難支援プラン等を作成する区市町村を包括補助等により支援してまいりました。
また、災害時要援護者対策の指針を策定し、名簿作成に必要な情報収集方法を例示するとともに、福祉や防災担当者向けの研修会において、先駆的な取り組みを行っている自治体の事例を紹介しており、現在、四十六の自治体が名簿を整備し、十五の自治体が整備を進めているところでございます。
今後、情報の共有の方法も含め指針を改定し、区市町村の災害時要援護者対策がより一層進むよう働きかけてまいります。
○中谷委員 区市町村の判断にゆだねるところも当然大きいのですけれども、要援護者名簿の、例えば更新のタイミングというのも、年に一回のところもあれば年二回やっているところもあります。個別計画の中で、要援護者一人に対して複数名の支援者を既に確定しているところまでやっている区市町村もあります。
実際、手挙げ方式で登録をされている方の数倍の方が、発災時には要援護者になるという可能性が非常に高いわけですから、その対応については、地元の民生、児童委員を初め地域の協力を得て、日ごろから、いわゆる見守りという形で支えていく必要があると思います。
情報の整理だけという観点ではちょっと限界がありまして、まさに共助の精神で、地域で支える覚悟と体制の構築が必要でありますので、今ご答弁がありましたが、指針の改定を含めて最善の策を模索してほしいと思います。
次に、平成二十三年四月一日現在で、都内の避難所というのは二千七百八十カ所、そしてまた、福祉避難所といわれる二次避難所が九百七十九カ所ございます。
障害児の方や障害者にとって、一般の避難所での生活というのは大変厳しいというのが、このたびの東日本大震災のいろいろな資料を読みますと、ございました。
区市町村では、都立の特別支援学校と協定を結んで、いわゆる福祉避難所として指定をしておりますけれども、現在のところで、都立特別支援学校が実際何校あって、そのうち二次避難所と指定されている学校は何校あるのか、ちょっと具体的な数字を挙げていただきたいと思います。
○比留間教育長 都外の学校及び他の学校に併設している分教室を除きまして、現在の都立特別支援学校は五十四校一分教室でございます。そのうち福祉避難所として指定されている学校は四十一校一分教室でございます。
○中谷委員 簡単にいうと、十三校は指定されていないということでございますが、学校の近隣の障害者の方にとっては、その学校が福祉避難所に指定されていれば、災害時にも、すぐ避難ができるという安心感があります。
そこで、十三校が指定されていないということでありますが、福祉避難所として指定されている学校と指定されていない十三校については、どういう事情でその差異があるのか、お答えをいただきたいと思います。
○比留間教育長 福祉避難所は、区市町村が、地域の実情に合わせて策定した地域防災計画に基づき指定をしております。
都立特別支援学校は、区市町村からの福祉避難所指定の要請については積極的に協力することとしておりまして、要請があった場合は、区市町村と連携して、学校内の避難場所や備蓄品の確保場所などを決め、指定のための協定を結んでいるところであります。
○中谷委員 福祉避難所は区市町村の指定であるということでありますが、都の教育委員会、また学校として、制度上、主体的にこの福祉避難所の指定を求めているものではないということがわかりましたけれども、ぜひ都と区市町村が連携をしまして、現状を踏まえた必要な福祉避難所の指定と確保に向けて積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
次に、災害時の医療体制、特に地域災害医療連携会議における検討内容についてお伺いをいたしたいと思います。
被災地も、当然、被害の激しい地域と比較的被害の少ない地域とに恐らく選別されると思います。東京都は、すべての病院を三つに分類いたしまして、患者の症状の程度に合わせて、それぞれの病院の役割分担を明確にいたしました。
仮に医療機関が被災をした場合には、その被災状況の把握と、被災状況に地域的な偏りが生じた場合には、地域間のバックアップ体制というものもしっかりと構築をしていかなければいけないと思います。特に発災から七十二時間の間の期間は、もちろんライフラインもそうですし、交通機関も途絶して、被災地の外からの人的な、物的な支援というのは、なかなか期待ができないと思います。
そうした中で、超急性期の傷病者に、この七十二時間の間は、やはり最適な医療を施すことが求められておりまして、その七十二時間を経過した後は、例えば慢性的な、透析の方だとか人工呼吸器の方というのは、もしかしたら、被災地から搬送されて外の病院で医療行為を受けるということも、今回の震災のときにはあったと聞いております。
例えば、医療圏が十二ありますけれども、その中で区西北部保健医療圏、これは板橋、豊島、練馬、北区が範囲でございますが、その中には、実は七つの災害拠点病院がありまして、練馬については、順天堂大学の練馬病院と、練馬光が丘病院というものが、この災害拠点病院に該当しております。
当然、個々の病院によって、収容できる患者さんの数や提供できる医療の内容というものはさまざまでありますけれども、都は、地域災害医療連携会議というものを設置いたしまして、今後、それぞれの十二の医療圏の中での検討を進めていくんだと思いますけれども、具体的な検討内容というものを今お知らせをいただければお願いしたいと思います。
○川澄福祉保健局長 都の十二の二次保健医療圏には、病院、診療所等の医療資源や人口、交通基盤など、おのおの地域特性がございます。
そのため、地域災害医療連携会議では、医療救護所の設置場所を初め、病院、診療所の役割分担、患者搬送方法など、地域の実情に応じた具体的な災害医療体制の構築について検討を進めることとしております。
また、地域の関係機関が連携を強化するための訓練、研修等の方法や内容についても、この会議で検討し、実施してまいります。
○中谷委員 地域災害医療連携会議というのは、第二次の保健医療圏ごとであるということでございますし、やはり災害時に求められる医療というのは、発災後、何時間経過したかによって大きく変わってくるものだと思います。大切なのは、リアルタイムに必要な医療を迅速かつ適正にマッチングして、それを提供できる体制、その仕組みをつくることが、この会議の目指すところだと認識をしております。ぜひとも実情に応じた具体的な体制を整えて、実践に即した訓練も含めてお願いをしたいと思います。
最後に、震災を見据えた都市インフラの整備についてお伺いをいたしたいと思います。
先月、外環道の東名-関越道間の工事が着工されて、練馬から世田谷へ行くわけでありますけれども、外環ができることによって、インターチェンジの周辺というのは、当然、車両の流れが大きく変わってくるわけであります。
例えば練馬の関越のインターチェンジは、災害時には、消防庁の進出拠点に指定されている上に、他府県からの応援車両でありますとか、もちろん関越道から、あるいは東北道、外環道を経由して練馬インターチェンジを利用する車両数というのは、相当に増加するものと予想がされます。
現在の予定では、都市計画道路については、平成十六年に策定をした第三次事業化計画の優先整備路線を整備するということになっているんですけれども、この関越道への導入路の一つである、例えば大泉街道とか、また、避難拠点に指定をされていながら、そのアプローチの弱いようなところも実はありまして、防災性の向上という視点から、いわゆる第三次の事業化計画外であっても、中には早急に整備を進めていく路線があるのではないかと思うのですが、そのことについて局の見解をお伺いいたします。
○飯尾都市整備局長 区部の都市計画道路につきましては、都と区によりまして、平成二十七年度までに優先的に整備する路線を定めました第三次事業化計画を策定しているところでございます。
策定に当たりましては、自動車交通の円滑化の視点のほか、震災時の救援活動や安全な避難路の確保等の防災性向上の視点などを総合的に評価した上で、有識者の専門的見地や都民からの意見を踏まえまして、優先整備路線を選定しているところでございます。
こうしたことから、優先整備路線を早期に整備することが重要だと、こう考えております。
○中谷委員 なかなか優先整備路線以外をやりますとはならないのでしょうけれども、ひとつ、そういうこともあるということはご検討いただきたいと思います。
そして最後に、震災対策として本当に必要なインフラ整備か否かという点で、首都高速道路の地下化についてお伺いをしたいと思います。
首都直下型の地震に備えるということと、首都高速も東京オリンピックのときの完成でありますから、五十年近く経過しておりまして、当然、老朽化しておりますから、老朽化対策を考えなければいけないということも理解をしております。
首都高は、現在、継ぎはぎで三百キロ以上も実はあるんですね。当時、やはり急速に工事を進めた関係、また、道路の用地買収を少なくするために、河川だとか、道路の上だとか、堀の上だとか、水路の上とか、そういう上空をかなり活用しているのが首都高であります。
この中の、実は三割の九十キロメートルが、もう経過年数が四十年以上経過している道路でありますから、そこの維持管理、補修は当然必要であると。ただ、メンテナンスを含めて再生の基本的な方針について検討する会議が、先般、国において、首都高速の再生に関する有識者会議というものがございました。その中で提言書が出されたのですけれども、老朽化した首都高速道路環状線については、いわゆる高架橋を撤去して、地下化などを含めて再生を目指すというのが、この有識者会議の結論めいた話だったのですが、首都直下型地震に対応する耐震力の強化という点については理解をするのですが、緊急輸送道路としてのリニューアルを訴えている有識者会議の提言書の見解というものについて、果たして局はどのようにお考えなのか、お伺いをしたいと思います。
○飯尾都市整備局長 都内の首都高速道路の耐震化につきましては、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、長大橋やトンネルなどの補強対策が今年度中に終了いたします。
さらに、老朽化に対しましては、今年度から、炭素繊維シートによる床版補強などの耐久性向上対策を実施しているところでございます。
お話の有識者会議の提言については承知しておりますけれども、首都高速道路株式会社からは、これらの対策によりまして、首都直下型地震に対する構造物の安全性や、老朽化に対する健全性は確保されていると、こう聞いております。
○中谷委員 この提言書では、財政状況が厳しいから、要は、税金に頼らず料金収入で賄うということをいっているんですね。ことしの一月一日から、首都高は距離別料金制度にして、実は料金収入が上がっているんです。年間二千五百億円程度あるんですけれども、これは実は、七年前の小泉内閣のときに、首都高を民営化して、四十五年後には首都高速道路を無料にしましょうという大前提で始まっているわけでありますから、上がっている料金収入を次の再生のために使うということは、四十五年後の無料化というのはあり得ないという話であります。
私は、この震災対策の名のもとに、さまざまなインフラの整備が進んでいくとは思いますけれども、例えば、東京都の財政状況も四年連続で減収をしているような状況を見たときに、今後は、いわゆる人口減少によって、一人当たりの更新の費用という負担は間違いなく増加をするわけでありますから、最適と思われる手法で、老朽化したいわゆる公共施設とか道路などの更新も含めて進めていくべきであるという意見を付しまして、私の質問を終わります。
○大津委員長 中谷祐二委員の発言は終わりました。
吉原修理事の発言を許します。
○吉原委員 今回の地域防災計画の修正は、東日本大震災発生以来、都のさまざまな経験や教訓に加えて、大地震という自然の脅威に挑戦する覚悟を持って、あらゆる防災対策の見直しを盛り込むものと理解をしております。
我が党といたしましても、東日本大震災直後から復旧・復興対策本部を立ち上げました。防災対策強化に向けての提言を昨年の十一月、そしてまた、ことしの八月には、地域防災計画の修正に向けた具体的提言というものを取りまとめまして、知事に提言をしてまいりました。特に重んじたのは、都民の命をいかに守るかでありまして、都民の目線に立った、地に足のついた防災を目指した具体的な提言を行ってきたものであります。
過日の第三回定例会におきまして、代表質問でも、こうした視点から質疑を行い、我が党の主張がしっかりと盛り込まれていることが確認ができました。この場においても、我が党としての提言事項を中心に、より具体的な内容についてお伺いをしたいと思います。
今回の震災では、被災地での被害の甚大さはいうに及ばす、電力不足による都市機能の麻痺、避難生活の長期化による被災者の健康影響など、これまでの震災対策では想定し得なかった数々の問題点が顕在化しました。平時であればすぐに解決できることでも、被災現場においては、都民の生命、健康に致命的な打撃を与えかねないことを特に痛感いたしました。災害発生時に都民の命をいかにして守るか、これが我々に課せられた使命であり、あらゆる手だてを講じなければなりません。
そこでまず、都民の生命を守る視点からお伺いをいたしますけれども、都民の命を守るために具体的な対策として、高齢者、障害者、そして乳幼児、さらには妊産婦など、災害時に弱い立場に立つ人々への対応の充実を提言いたしました。中でも、在宅で人工呼吸器を使用している方は、地震による停電などにより電源を確保できない場合、生命の危機に直面することになります。患者それぞれの状況に合わせて、災害時に関係者が具体的行動をとれるよう備えておく必要があります。
都は、どのような対策を講じているのか、お伺いをいたします。
○川澄福祉保健局長 東日本大震災以降、電力不足が懸念されたことから、都は、在宅で人工呼吸器を使用している患者の停電時における安全確保を図るため、緊急対策として、医療機関を通じ、非常用バッテリーや自家発電装置などを無償で貸与してまいりました。
また、区市町村や関係者等が災害時に患者の特性を踏まえ適切に支援できるよう、平常時からの備えや災害発生時の対応等を盛り込んだ在宅人工呼吸器使用者災害時支援指針を策定いたしました。
さらに、個々の患者の状況を踏まえた災害時の個別支援計画を作成できるよう、区市町村に作成の手引を配布し、説明会を開催するとともに、計画策定のための包括補助による財政的支援や、難病医療専門員による技術的支援を行っているところでございます。
○吉原委員 それでは、次に、医薬品の供給についてお伺いをいたします。
災害時におきまして、患者に対して的確な診療を行うためには、何といっても薬品等の確保は絶対に必要であります。東日本大震災では、医薬品や医療資器材の供給が滞って、病院、そして医療救護所等で大変不足をしていたことが大きな問題となっていました。
都では、今後、災害時の医療品等の供給について、どのような体制づくりをしていくのか、具体的な取り組みをお伺いいたします。
○川澄福祉保健局長 都はこれまで、医薬品等の関係六団体と協定を締結し、医療機関や医療救護所への供給について、都が設置する医薬品集積センターから区市町村を通じて行う体制を構築してまいりましたが、東日本大震災では、県の集積センターに業務が集中し、供給が停滞するなど、多くの課題が明らかになりました。
このため、今回の地域防災計画の修正素案では、専門的な人材や設備を有する卸売業者から直接医療機関等に医薬品等を供給する方式へと変更することといたしました。
今後、この仕組みが円滑に機能するよう、医療機関や救護所の設置主体である区市町村に対し、受け入れ体制の整備を働きかけてまいります。
また、関係団体には、災害時優先携帯電話や業務用無線機を配備し、緊急連絡体制を強化いたします。
さらに、発災時には、都の災害対策本部に関係団体の職員も参画し、医薬品等の需給状況の把握や供給調整を行う体制を構築してまいります。
○吉原委員 ぜひとも医療品の供給が滞ることのないようにお願いを申し上げたいと思います。
次に、避難者の健康管理対策について伺います。
避難所生活において、ふだんと違う環境での集団生活等は、特に体調の悪化が懸念をされるわけであります。東日本大震災での避難所でも、糖尿病あるいは高血圧などの生活習慣病等の持病のある避難者の健康管理が特に課題になりました。
そこで、避難所における健康管理体制について伺います。
○川澄福祉保健局長 災害時に避難所に避難してきた方の良好な健康状態を確保するため、区市町村は、保健師、栄養士等から成る保健活動班を編成し、健康管理のための活動を行うことになっております。
保健活動班は、避難所で巡回健康相談や健康調査を実施し、体調不良を訴える方には保健指導を行うとともに、状況に応じて医療救護班等と連携し、対応いたします。
また、生活習慣病等の持病がある方に対しましては、悪化防止のため、継続的に健康状態を把握し、必要に応じて、受診勧奨や生活状態の改善について助言を行います。
都は、こうした区市町村の活動を支援する役割を担っており、災害時には応援保健活動班の派遣や他自治体への派遣要請を行うほか、平常時から合同連絡会や研修を行い、情報共有と連携の強化を図っているところでございます。
○吉原委員 次に、発災時の初動対応力の強化について、中でも消防団資器材の状況と課題について伺います。
都民の命を守るためには、初動対応における自助、共助の取り組みが不可欠であります。その中核を担うのは、消防団の皆さんであります。東日本大震災以降、消防団には、地域防災のかなめとして、従来の消防活動はもちろんのこと、救出救助活動などにおいても一層の活躍が期待されております。
しかし、多摩地域の消防団では、財政的な制約などから、必ずしも資器材が十分に整備されていない地域がたくさんあります。
さきの第三定例会においても、我が党の代表質問に対しまして、東日本大震災で見られたように、団員の安全確保のための装備や、大規模地震の際に必要となる救出救助用の資器材の装備に課題が見られたとの答弁がございました。
地域を問わず、消防団としての役割や使命に違いはありません。何どきも団員の安全確保は何よりも優先すべきであると同時に、地域での都民の命を守るための初動対応の中核を担う消防団の必要不可欠な資器材確保に向け、迅速な対応等を講じる必要があると考えますけれども、所見を伺います。
○笠井総務局長 消防団は、消火活動はもとより、倒壊家屋などからの救出救助や地域住民の避難誘導など、発災直後の応急活動において重要な役割を担ってまいりました。こうした消防団の活動能力を最大限に発揮するためには、団員の安全確保や消防署等との情報連絡手段、人命救出等に出動する際の救助用資器材などが整備されている必要があります。
一方、都が実施した調査では、特に多摩・島しょ地域において、防火衣の経年劣化、携帯無線等の通信基盤の脆弱性、バールやハンマーなどの救助資器材の不足等の課題が明らかとなっております。
大規模災害発生時には、都内全域において、消防団がその役割を十分に果たすことが重要でありまして、こうした課題に対応するため、今後、具体的に検討を進めてまいります。
○吉原委員 今お話しいただきましたように、消防団の果たす役割というのは大変大きいものがあるわけでございまして、特に団員の皆さんの安全を確保するという面においても、防災着あるいは無線等については、なくてはならないものでございますので、ぜひご検討いただきますようにお願いをしたいと思います。
次に、首都機能を維持する対策の強化について、二点伺います。
まず一点目は、首都圏自治体における相互連携です。
都民の命を守るためにも、そして日本を守るためにも、震災時に首都東京の機能を維持することはとても重要であります。約一千三百万人の人口を有し、国家機能のみならず、日本の人、物、金の激しい流れや、活動の中心としてあらゆる機能が集積している首都東京が、万が一にでも停止するような事態になれば、日本全体に与える影響は、はかり知れません。首都直下地震による被害が生じた場合であっても、首都機能を途切れさせず、維持していくためには、重層的なバックアップ機能を首都圏全体で整えていく必要があります。
国は、去る七月十九日、首都直下地震対策について、中央防災会議の首都直下地震対策検討ワーキンググループの中間報告を発表いたしました。その報告の中には、政府機能の代替拠点を、大阪や、あるいは福岡などに選定しておくべきとの内容が盛り込まれております。
政府のバックアップ機能の確保という観点から、今回の中間報告にはどのような問題があるのか、見解を伺います。
○笠井総務局長 今回の国の中間報告では、首都直下地震などにより官邸が被災した際の首都圏内における代替拠点につきましては、これまでどおり、都心部と立川広域防災基地にとどめる一方で、新たに札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡等を、あらかじめ代替拠点として設定すべきとしております。
都といたしましては、東日本大震災の教訓を踏まえ、最悪の事態を想定し、遠隔地におけるバックアップについても検討することは否定するものではありませんが、しかし、都の被害想定にかんがみますと、首都圏全域が一挙に壊滅することはおよそ考えにくく、首都圏内における庁舎や施設を活用したバックアップについて十分な議論がなされていないまま、一足飛びに遠隔地の都市を候補地として提言することは問題があると考えております。
○吉原委員 次に、九都県市の相互支援について伺います。
首都機能を強固に維持していくためには、九都県市の連携がとても重要だと思います。これまでも九都県市では、災害時に備えて、相互応援など自治体間の連携を互いに進めてきました。
もし、首都直下地震によって、東京を初めとする首都圏エリアを担う各自治体の行政機能が停止するようなことになれば、確実に初動対応もおくれまして、大混乱に陥り、首都圏の都市機能も麻痺することにつながりかねません。そのためにも、首都圏の一翼を担う九都県市の相互連携の確保をさらに強くしていく必要があると考えますが、見解を伺います。
○笠井総務局長 首都圏の自治体が発災時にその行政機能を停止させないためには、おのおのによる防災力向上の取り組みとともに、自治体間の強固な相互連携関係の構築が重要でございます。
九都県市では、災害時相互応援に関する協定を締結し、ブラインドによる図上訓練を重ねるなど連携強化を図りつつ、災害時帰宅支援ステーションの拡充、ヘリサイン表示の規格統一など、広域的な対応が大きな効果をもたらす対策に共同して取り組んでまいりました。
また、全国知事会では、被災県への支援担当県を都道府県単位であらかじめ定めるなど、災害時等の広域応援に関する協定の見直しを行ったところでございます。
今後、具体的な支援内容や、その手順を整備し、協定の実効性を確保してまいります。
今後とも、自治体間の連携を強化し、大規模災害時の行政機能の確保に万全を期してまいります。
○吉原委員 次に、中小企業の防災対策について伺います。
我が党は、震災発生時に東京全体の被害を食いとめるためには、自助、共助の取り組みの強化が不可欠であると既に提言しましたが、この提言を受けた今回の修正案では、事業者の防災力を向上させるための対策として、これまで都が取り組んできたBCP策定への支援が位置づけられました。
昨年の東日本大震災では、都の支援事業によりBCPを策定した企業から、事業を早期に復旧できた、あるいは従業員の安否確認が迅速にできたなど、BCPの具体的な効果が報告されていると聞いております。
しかしながら、一方で、民間の調査機関の調査によれば、BCPを策定している中小企業は、いまだ八・六%にすぎず、このままの状態では、震災発生時に中小企業の事業継続がままならず、我が国の産業活動や都民、国民生活全体への影響は甚大なものになることが危惧されます。
今回の地域防災計画の見直しを機に、都内中小企業へのBCPの一層の普及を促進するため、策定支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
○中西産業労働局長 都内中小企業が地震等の災害から早期に復旧し、事業を継続していくためには、事業継続計画、いわゆるBCPの策定が有効でございます。
また、日本経済を支える製造業のサプライチェーンを維持するためにも、個々の企業がBCPを策定していくことが重要です。
都は、平成二十年から、セミナーの実施等、BCPの普及啓発に努めておりまして、東日本大震災発生前の平成二十二年四月にはBCP策定支援事業を開始いたしまして、中小企業のBCP策定を支援してまいりました。
ご指摘のとおり、今回の震災により、BCP策定の重要性が改めて認識され、地域防災計画の見直しにおいても、事業所による自助、共助の強化や、都がBCPの策定を支援することが明記されたことから、BCP策定支援事業により積極的に取り組んでまいります。
○吉原委員 BCPの策定の重要性が改めて認識されたわけでございますので、今後も引き続き、より積極的に取り組んでいただきたいと思います。
さて、中小企業の防災力向上のためには、BCPの策定というソフト面の対策だけではなくて、工場や事務所などの施設や生産設備についてのハード面の対策も重要であります。
都は、今年度から、製造業防災対策事業により、モデル的工場等の耐震化を支援してきているところですが、その事例をより広く普及していくべきであります。
製造業等の中小企業の建築物は、町中の事務所を兼ねた小規模な工場から、郊外の工業団地にある大きな工場までさまざまであり、耐震化の取り組みもそれぞれ異なってくるはずです。中小企業が自社の事情に応じた耐震化を検討する際に、工場の規模等によっては、じっくりと時間を要するケースもあると聞いております。
そうした多様なケースに的確に対応できますように、内容の充実を図るべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
○中西産業労働局長 中小企業が震災後も事業活動を維持するためには、その活動拠点でございます工場、事務所等の建築物の耐震化が必要です。
都は今年度から、都の支援を受けBCPを策定した企業の中から、工場等の耐震化をモデル的に支援いたします製造業防災対策事業を実施しております。
中小企業が工場等の耐震化を進めるに当たっては、その立地や周辺環境、規模に加えて、事業計画などを十分踏まえる必要がございます。
都は今後、より有効な耐震化の事例を都内中小企業に幅広く提供できるよう、事業のあり方を検討してまいります。
○吉原委員 我が党の提言の中で、被災地域でボランティア活動等が円滑に行われるよう、コーディネートの強化を図ることを要請いたしました。そこで、災害ボランティアコーディネーターについてお伺いをいたします。
東日本大震災では、被災地の復旧支援にボランティアが大きな力を発揮いたしました。東京都も、都民ボランティアを派遣し、その一翼を担ったところであります。
その一方で、現地では、ボランティアが来ても、災害ボランティアセンターのコーディネーターが不足していたために、ボランティアを受け入れることができずに支援がおくれた地域もあったとも聞いております。
いわゆる災害ボランティアコーディネーターが極めて重要な存在であることが明らかになったわけでありますけれども、災害ボランティアコーディネーターとは具体的にどのような役割を担っているのか、お伺いをいたします。
○小林生活文化局長 災害ボランティアコーディネーターは、災害時において、被災者のニーズとボランティア活動をつなぐ重要な役割を担っております。
具体的には、被災地に設置される災害ボランティアセンターにおきまして、ボランティア希望者の受け入れ、被災者からの支援ニーズの収集及びそれに基づくボランティアの活動先の調整、ボランティアの安全、衛生面の管理などを行ってまいります。
日々刻々と被災地のニーズやボランティアの参集状況が変化する中、ボランティアが円滑に活動を展開していくためには、災害ボランティアコーディネーターは必要不可欠な要員でございます。
○吉原委員 都は、被災自治体からの要請にこたえまして、都民ボランティアに引き続き、災害ボランティアコーディネーターを派遣してきました。今回の地域防災計画の修正素案では、そこで得られた教訓を生かして、首都直下地震等に備え、災害ボランティアコーディネーターを養成することとしております。
今後、どのように災害ボランティアコーディネーターを養成されていくのか、加えて、今後、どの程度の人数の災害ボランティアコーディネーターを養成していくのか、あわせてお伺いをいたします。
○小林生活文化局長 都は、東京ボランティア・市民活動センターと連携して、災害ボランティア活動経験者等を対象とした講座を実施し、災害ボランティアコーディネーターを養成してまいります。
養成講座は、事例演習等を取り入れた実践的な内容といたしまして、災害時に果たすべき役割に応じまして、S級、A級、B級の三つのコースを設定しております。まず、S級では、災害ボランティアセンターの運営全般について指導的な役割を果たせる人材、A級では、サブリーダーとして、被災地ニーズの把握やボランティア活動先の調整などを行うことのできる人材、B級では、ボランティアの受け付けや事前ガイダンスなどの業務を担える人材の養成をそれぞれ目指しております。今年度は、全部で六回の講座の開催を予定しております。
また、養成する人数についてでございますが、東日本大震災の経験を踏まえまして、中核的な役割を果たすコーディネーターを、センター一カ所当たり七名程度配置することが望ましいと考えております。このため、そうした職責を担うことのできるS級、A級の災害ボランティアコーディネーターをおおむね一千人程度養成してまいります。
○吉原委員 災害ボランティアコーディネーターをせっかく養成しても、都外に転居する場合もありますし、また、コーディネーター自身が被災者になる場合もあるわけであります。災害発生時に必ずしも全員が集まれるわけではないわけでありまして、できるだけ多くのコーディネーターを養成していくことが重要であろうかというふうに思います。都は、息長く、継続的に災害ボランティアコーディネーターの養成にぜひとも取り組んでほしいと願っております。
さらに、災害時に十分な力が発揮できるように、講座終了後においても、都や市区町村の防災訓練にコーディネーターが参加する機会を設けるなどして、その後のフォローアップにもぜひ努めていただくことが効果的ではないかというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
最後に、水道について伺います。
さきの大震災では、水道施設の被害による断水は二百万戸を超え、その期間も長期にわたり、避難生活に大きな影響を及ぼしました。発災後の都民生活や都市活動を守るには、水道施設の早期復旧が必要不可欠であります。地域防災計画で示されている被災後三十日での復旧、そして、先日の本会議における復旧日数の大幅な短縮を目指すとの答弁は、ぜひとも実現をしていただきたいというふうに思います。
地域防災計画素案では、被災後の復旧日数を三十日としていますけれども、どのように取り組んでいかれるのか、また、十年後の復旧日数の大幅な短縮に向けた取り組みをお伺いいたします。
○増子水道局長 水道局では、発災後の早期復旧に向けて、被害箇所を速やかに調査の上、水道工事事業者と連携し、復旧に努めていくこととしております。
この実効性を高めるため、今年度、電子メールの情報連絡への活用や、緊急通行車両に必要な通行証の発行窓口拡大などを内容とする震災時行動マニュアルを作成し、工事事業者の迅速な復旧活動の強化を進めました。
また、災害時の復旧に協力していただける水道工事事業者の団体をふやすことで、より円滑な復旧体制の確保を図ったところでございます。
一方で、早期復旧を行うためには、被害を最小限に抑えることが重要であります。
そこで、さきの大震災の発生や都の被害想定の見直しを踏まえ、想定地震動や液状化危険度等を考慮した優先的な水道管路の取りかえ等を行うこととし、これらを盛り込んだ新たな耐震継ぎ手化十カ年事業の検討を進めております。これにより管路被害の軽減を図り、復旧日数の大幅な短縮に取り組んでまいります。
○吉原委員 ぜひお願いをしたいと思います。
我が党はこれまでも、水道管路の耐震化の施策を強力に推進することを主張してきました。こうした中で、水道局では、重要施設への供給ルートの取りかえとして、災害拠点病院を初め二次、三次救急医療機関への供給ルートについて耐震化に取り組んでいます。
今回の地域防災計画素案において、災害拠点連携病院が新たに示されました。そこで、今後指定される災害拠点連携病院についても耐震化を図るべきと考えますけれども、見解をお伺いいたしまして、質問を終わります。
○増子水道局長 災害時において、医療活動の拠点となる病院において、水の確保は極めて重要であると考えております。
そのため、水道局では、その供給ルートとなる水道管路の耐震化を積極的に推進しており、既に、災害拠点病院や三次救急医療機関へ供給する管路については、現在、総延長の八三%が耐震継ぎ手管への取りかえを完了しております。
ご指摘のあった災害拠点連携病院についても、同様の施設として位置づけ、順次優先的な耐震化を実施してまいります。
これらにより、災害時における医療機関への給水確保に全力で取り組んでまいります。
○大津委員長 吉原修理事の発言は終わりました。
田中健委員の発言を許します。
○田中委員 それでは、質問を開始させていただきます。
東京の沿岸部は、南西に開口部を持つ比較的浅い東京湾の最も深い位置に位置をしているため、高潮の影響を極めて受けやすい地形となっております。そのため、東京の沿岸部や低地帯では、過去、幾度かの高潮等による水害に見舞われてまいりました。
このことから、高潮に対する防護というのは、過去に国内で最大の高潮被害をもたらした伊勢湾台風が東京に襲来してきた場合を想定し、堤防高を設定してきたということであります。
一方、津波に対する防護というのは、関東地震を想定した平成三年の東京都の防災会議のシミュレーションによる隅田川、荒川河口部での津波高一・二メートルをこれまで水準としてきました。
今回の東日本大震災では、東北地方から関東地方の太平洋側を中心に広い範囲で津波が観測されて、多くの死者を出し、また、堤防、水門等の施設にも大きな被害をもたらしました。
東京においては、津波による直接的な被害はなかったものの、津波高は晴海において一・五メートルが観測され、これまでの想定を超えるものでありました。このため、従来の地域防災計画では、水害対策といえば高潮対策中心でありましたが、今回のこの素案の中には津波対策を大きく取り上げることとなりました。
都は、今回の地域防災計画の中では、区部東部地域の海抜ゼロメートル地帯を中心に、河川施設にかかわる新たな整備計画や、ゼロメートル地域での広域避難シミュレーションを実施することとしておりますが、そもそも、水門が機能しなければ、また堤防が決壊してしまえば、大きな被害が生じるおそれがあります。今回の被害想定でも、最大二千五百棟が全半壊するとの試算も出ております。
そこで、東京港の質問について、まず伺います。
まず、現在の水門は建設当時からどの程度の年数がたち、また、それぞれの水門の耐震化というのはどのような対策がとられているのか、伺います。
○多羅尾港湾局長 東京港の十九カ所の水門については、昭和三十七年度から五十二年度に建設され、築後三十五年から五十年程度経過しております。
平成十八年度に策定した海岸保全施設の整備計画に基づき耐震対策を進めてきており、十五カ所の水門については今年度中に完了する予定でございます。
また、新たな被害想定に対しては、改めて耐震性を確認し、このほかの四カ所の水門も含め、必要な対策を講じてまいります。
○田中委員 水門を実際に見ても、大変古い、五十年というものもありますから、耐震化は大丈夫なのかという声は多々あったのでありますが、今年度じゅうにその耐震化が、十五の水門が済むということでありますので、順次進めていただきたいと思います。
また、水門がその機能を果たさないと大きな被害が出るおそれがあることから、このたび、水門の管理運営体制を強化してきたということでありますが、どのように変わって対応がなされているのか伺います。
○多羅尾港湾局長 東京港においては、高潮対策センターからの遠隔操作などにより、東日本大震災当日も、支障なく全十九カ所の水門を閉鎖いたしました。
今後の災害においても、水門がその機能を確実に発揮することが極めて重要であり、あらゆる不測の事態を想定した対策を講じてまいります。
具体的には、今後の管理運営体制をより強化するため、高潮対策センターの二拠点化等を図ってまいります。
○田中委員 二拠点化については、この委員会でも話が出て、バックアップ機能ということでは物すごく大事なことでありますので、ぜひ進めていってほしいということがありました。
その二拠点化も受けて、地震・津波に伴う水害対策のあり方に関する提言というのが検証委員会から出されておりまして、このハードの面からさらに進んで、非常時に水門等の操作をする方が住んでいる住宅の耐震性まで確保しなければ、しっかりと機能しないというような提言も出ております。
そこまで考えるかという方もいるかもしれませんが、この水門も、二拠点化にしたとしても、運転するのは人でありますし、操作するのは人でありますので、ハード面が進んできたということではありますが、ぜひ今度は人というものにも着目して対策を進めていただきたいと思います。
水門の話を続けますと、十五の水門、耐震化が進んだということでありますが、残りの四つは、私の住む大田区の水門であります。この大田区の水門は、他の水門と違い、手動での開閉がなされており、今回の遠隔操作からは外れております。
そんな中、このたび防潮堤への切りかえがなされるということでありますが、その内容と今後の計画について伺います。
○多羅尾港湾局長 大田区の四カ所の水門のうち、南前堀水門については、地元区のまちづくりや周辺水域の利用状況等を勘案し、水門を廃止して防潮堤を整備していくこととし、必要な調査を進めてまいります。
この周辺では、地元大田区が海辺の散策路の整備を計画しており、防潮堤の整備が地元のまちづくりや安全性の向上に資するものと考えております。
また、貴船、呑川、北前堀水門については、引き続き地元区と協議しながら、まちづくりとの整合や周辺環境への配慮など総合的な視点から検討し、対応してまいります。
○田中委員 わからない方は、ちょっと想像が難しいかもしれないのですが、この四つの水門は、ほかの水門と違って、水が流れているわけでもなくて、行きどまりであります。水門としての役割というのは終えているというか、今はしておらないと思います。ですので、残り三つも、これは耐震化が進んでいないということでありますので、ぜひ早急にこの対応をお願いして、次の質問に移りたいと思います。
七月の九州の北部豪雨で、河川の堤防決壊やはんらんが相次いだことから、国が全国の河川の堤防を緊急点検したところ、荒川の下流域においては、点検したうちの七五%で強度や高さが不足して対策が必要と判断されたという報道が先日なされておりました。中でも、水浸透による決壊への対策が急がれることとされております。
荒川というのは国の管理でありますから、都が直接対応をとることはできないのでありますが、しかしながら、防災を総合的に考える上では、この現状も踏まえて対策をしていかなければなりません。
そこで、都の管理の河川の堤防における、この浸透への対策の現状について伺います。
○村尾東京都技監 今回の国の点検は、堤防高が局所的に低いなど流下能力の不足箇所や、堤防の浸透に対する安全性などについて調査したものでございます。
浸透に対する安全性の確認調査は、土でできた堤防を対象としており、コンクリートで被覆された高潮区間の堤防などにつきましては、浸透対策が講じられていることから除外されております。
都の管理河川では、秋川、浅川など五河川が対象となりますが、平成十七年、十八年度に既に調査を実施し、対策の必要なしとの結果を得ております。
なお、中川など高潮区間の河川では、堤防の裏面をコンクリートで被覆するなどの浸透対策を行っており、今後とも、巡回点検を的確に実施し、必要な対策を講じるなど、安全・安心の確保に努めてまいります。
○田中委員 この報道を見たときは大変ショックで、都民の方も、ほかの河川は大丈夫なのかという方が多数いたものですから、お聞きをさせてもらいました。
今、都の管理の河川は大丈夫だということで一安心をしたわけでありますが、しかし、この調査をさらに読んでいきますと、国土交通省の関東地方整備局は、荒川を含む八水系を調査しておりまして、その結果を見ると、荒川だけではなくて、江戸川でも点検したうちの二五%、さらに多摩川でも一四%が、同じく強度、高さ不足で対策が必要なこととなっておりました。
先ほども申しましたが、荒川や江戸川や多摩川は国の管理であるため、都がどうこういえる立場ではありませんが、だからといって関係ないというわけではありません。住んでいる都民にとっては、どこの管理であろうとしっかり対応してほしいというのが本音だと思っております。
そして、さらに、この下流域は避難場所になっておりまして、実際、流下能力の不足によってボトルネック部分が大変弱くなっておりまして、避難場所に対しての危険もあるということであります。
私は、五月の質疑の中で、避難場所の設置基準についてを質問させてもらったとき、津波の対策も考えて、この避難場所を決めていかなきゃならないということがありました。今回、このような結果によって、豪雨においても対策が必要ということがわかりました。ぜひ国と連携して、危険度の高い地域から優先順位をつけて対策を進めることを要望して、次の質問に移りたいと思います。
区部における水害対策について聞いてきましたが、ここでは、さらに島しょ部についてお聞きをします。
まず、都が四月に発表した被害想定では、元禄型の関東地震による津波として、島しょ部では最大津波高を二十二・四メートルの想定がなされました。
この都の被害想定に加え、先般、内閣府から南海トラフの巨大地震による被害想定が公表されて、都民を初めとする全国の人々の注目を集めました。この国の報告によりますと、南海トラフの被害想定においても高い津波の到着が想定されておりまして、島しょ地域の皆さんも非常に心配しておると聞いております。
そこでまず、南海トラフの被害想定の内容と、それに対する都の取り組みについてを伺います。
○笠井総務局長 内閣府の南海トラフの巨大地震による津波の想定でありますが、発生頻度は極めて低いものの、現時点の最新の科学的知見に基づき、発生し得る最大クラスの津波を推計したものでございます。
また、この被害想定では、都の島しょ部に最大で三十・九メートルの津波が想定され、津波による都内の全壊棟数は最大で千二百棟、死者数は最大で千五百人とされております。
しかしながら、各島ごとの詳細な被害状況が示されていないことなどから、都は、独自に南海トラフの巨大地震に関する被害想定を行うことといたしまして、先般、東京都防災会議の地震部会で検討に着手したところでございます。
○田中委員 南海トラフの巨大地震が引き起こすといわれる高い津波は、今おっしゃったように、大変発生頻度は低いということではありますが、しかしながら、このような津波に対しては、命を守るため、ないしは万が一というために、確実に避難を実施するための準備が重要になると思っております。
島しょ部の対策においては、今回の地域防災計画には、津波対策として避難場所の設置、漁港施設等の耐震性向上が挙げられておりますが、具体的にはどのような計画がなされているのか。また、この計画においても南海トラフへの想定に対応できるようになっているのか伺います。
○多羅尾港湾局長 南海トラフの巨大地震については、今後の東京都防災会議で示される被害想定等を踏まえ、避難施設の設置、漁港施設等の耐震性の向上など、島しょの必要な対策を検討してまいります。
島しょ部の津波対策としては、現在、短時間で津波の到達が想定され、岸壁にいる観光客等が迅速に高い場所へ避難することが困難な大島の岡田港において、避難施設整備に向けた検討を進めております。
なお、南海トラフの巨大地震等による最大クラスの津波に対しては、ハード対策のみで浸水を防ぐことは困難であり、ソフト対策も含め、各局と連携を図ってまいります。
○田中委員 南海トラフにおける東京の被害というのは、今回の東京都が出した首都直下型や元禄型の関東大震災による被害に比べれば、先ほど被害想定もいっていただきましたが、かなり限定的ではあります。避難経路やハザードマップといった確実な減災対策をとれば、対応が不可能な今回の災害ではないと考えておりますので、そのためには島しょ部の町村とも連携をして、ぜひ確実な対策を進めていってほしいと思っております。
次に、広域連携についてお聞きをいたします。
首都直下型地震などの大規模な災害が発生した場合、自衛隊というのは、都の災害派遣要請に基づき、警察、消防など関係機関と連携を図りながら、さまざまな災害活動を行うことになります。
さきの東日本大震災においても、自衛隊による災害派遣部隊の活動は、人命救助、捜索活動、物資輸送のほか、さらには給食や給水や入浴、医療の各種支援に至るまで、実に多岐にわたるものでありました。
地域防災計画では、自衛隊への災害派遣要請に関して、都と自衛隊との連携体制や部隊の受け入れ体制など、具体的な対応について述べられておりますが、災害時においては、陸上の災害活動はもとより、船舶や航空機を利用した救出活動、また救助物資運送といった活動も円滑に進めていくことが必要であります。
そのためには、訓練などを通じて、平素から陸、海、空それぞれの自衛隊との連携を深める取り組みを進めることだと思いますが、都の考えを伺います。
○笠井総務局長 首都直下地震などの大規模災害時におきましては、都と自衛隊による災害活動の連携が不可欠でございます。
そのため、これまでも総合防災訓練におきまして、陸上自衛隊による救出救助活動はもとより、海上自衛隊の船舶による帰宅困難者輸送や、ヘリコプターによる負傷者の搬送、さらには航空自衛隊による救援物資搬送など、都と連携したさまざまな訓練を行い、陸、海、空の自衛隊との協力体制を強化してまいりました。
加えて、本年七月には、三つの自衛隊が都庁に参集いたしまして、都も参加して、首都直下地震を想定した図上訓練を実施いたしました。
今後とも、実践的な訓練を重ねるなど、自衛隊との連携をさらに深め、災害対応力を強化してまいります。
○田中委員 九月一日に行われた都の総合防災訓練を、私も見学させていただきました。木密地区を想定した警察、消防、自衛隊による救出救助などが行われてきたことは大変実践的であって、その効果がこれから見込まれることと思っております。
また、今おっしゃっていただきました七月の図上訓練においては、これは自衛隊の統合防災訓練の一つだと思っておりますが、初めて、都だけでなく二十三区の区役所にも隊員を派遣する訓練が行われたということで報道もされておりました。図上訓練も行われたとのことですが、やはり一緒になって何かをやっていく、何度も何度も訓練をしていくという中で、お互いの力が何倍にも発揮できるものだと思います。
ぜひこういった訓練を進めてもらい、お互いの訓練を通じ、行政とも、また--どうしてもこの防災訓練、都がやるものは大きいものでありますし、海上や、また船を使った、空を使ったというのは、なかなか一般の人には身近な訓練ではないので、ぜひ一般の都民にももっと身近な存在となって連携ができますように進めてもらうことを要望して、次の質問に移ります。
広域連携のもう一つの柱は医療についてであります。
昨年三月の東日本大震災において、都は、宮城県の災害医療コーディネーターと連携して、全国から参集した医療救護班のリーダー役を担って、長期間にわたって医療救護班の派遣先の調整、市の災害対策本部との連絡調整を行ってきました。
その経験を生かして、昨年の十二月に災害医療協議会を設置して、都における災害医療体制のあり方について検討を開始して、ことし九月に、災害医療体制のあり方という報告書を作成いたしました。そして、この報告書をもとに、今回の地域防災計画の修正を行ってきたとお聞きしております。
報告書によれば、これまで、発生後おおむね四十八時間以内の初動期と、それ以降の二区分であったフェーズの区分というのを、東日本大震災での活動内容を踏まえて、二から六区分に細分化したとのことであります。
そこで、この地域防災計画における医療救護活動のフェーズ区分の見直しについて、都の考えをお伺いします。
○川澄福祉保健局長 都は、東日本大震災の経験を踏まえ、発災後、刻々と変化する医療ニーズに応じて必要な医療救護活動を的確に実施できるよう、フェーズ区分の見直しを行いました。
新たなフェーズ区分では、外傷治療や救命救急が中心となる発災後七十二時間までを、発災直後と超急性期の二区分に、また、その後、ライフラインが回復し、人的支援や物的支援の受け入れ体制が確立するまでの間を、急性期、亜急性期及び慢性期の三区分に、さらに、三カ月以降で通常診療機能がほぼ回復している時期を中長期と分類し、この六つのフェーズごとに、区市町村や医療機関など関係機関の役割分担を明確にしたところでございます。
○田中委員 この医療救護活動を六つの区分に明文化して役割を明確にしたということではありますが、災害時にこの医療救護活動を迅速かつ的確に実施するためには、災害拠点病院などの傷病者の受け入れ体制を整備するのが、同じく必要であります。
また、慢性期への対応を考えますと、災害拠点病院以外の病院、診療所の役割や、また区市町村が設置する医療救護所の役割も重要になってくると考えます。
都は、すべての病院を、災害拠点病院、災害拠点連携病院、さらに災害医療支援病院に、このたび区分しました。災害拠点病院は、国が指定要件を定めており、現在、都には七十病院あるとお聞きをしておりますが、災害拠点連携病院と災害医療支援病院は、従来にない考え方での区分であります。
そこで、この災害拠点連携病院と災害医療支援病院のそれぞれの役割についてお伺いします。
○川澄福祉保健局長 災害発生直後には、建物の倒壊、火災の発生等による多数の負傷者に的確に対応するとともに、慢性疾患や精神疾患患者等への継続的な医療を確保する必要がございます。
このため、今回の地域防災計画の修正素案では、都内のすべての病院が災害時の医療に参画し、役割に応じた機能を発揮できるよう、災害拠点病院、災害拠点連携病院、災害医療支援病院の三つに分類したところでございます。
災害拠点病院は重症患者の収容、治療を担い、救急告示医療機関を中心とした災害拠点連携病院は、主に、中等症患者や拠点病院での治療後に容体の安定した患者を受け入れることとしております。その他の病院は、災害医療支援病院として、精神科医療や透析医療など、災害時に不足する医療を継続して提供する役割を担うこととしております。
○田中委員 都が発表したこの被害想定を見ますと、マグニチュード七・三の北部地震が発生した場合、負傷者は約十四万七千六百人という数ですね。そのうちの重傷者が二万一千九百人に上るとされております。東京じゅう、あちらこちらに負傷者がいるという現状が想定できます。
被害が甚大で被災地の医療が不足している場合などは、今いった六区分のフェーズ、また、三つの病院区分というので機能的に働くかとは思うのですが、近隣県や遠隔地への負傷者の搬送も必要になってくると思います。
こうした地域連携については、その対策を私たち都だけではできませんから、近隣県、また国に働きかけるとともに、都としても十分にこれからも検討していただきたいと思います。
続きまして、放射性物質対策についてお聞きをします。
東日本大震災では、福島第一原子力発電所の事故により、発電所から約二百二十キロ離れていたこの東京においても、都民の間に不安が広がり、都や区市町村の窓口にも相談が相次ぎました。
これまで、都において地域防災計画の原子力災害編が策定されておりましたが、遠隔地の原子力発電所の事故において大きな影響を受けるという事態は、これまで国内において発生した事例はなく、国においても想定がなされていなかった事態であり、具体的な対応が定められておりませんでした。
今回、この地域防災計画の修正素案には放射性物質対応が盛り込まれましたが、東日本大震災で明らかになった課題に対応するために、具体的にどのような対策を講じていくのか伺います。
○笠井総務局長 東日本大震災の経験のもとに、これまで各局でとられてきたさまざまな対応策を踏まえ、庁内における役割分担を明確化するとともに、都民の不安払拭に向けた情報提供の仕組みを構築する必要がございます。
このため、今回の地域防災計画の修正素案では、放射性物質等による影響が生じた際に、都の災害対策本部のもとに、関係局で構成する放射能対策チーム、これは仮称でございますが、設け、被害情報等の共有化や必要な連絡調整を行うなど、円滑かつ的確に対応できるようにいたしました。
また、放射性物質及び放射線による影響の特殊性を考慮し、大気、農林水産物、浄水場等の放射線量を測定、公表するとともに、健康相談に関する窓口を設置するなど、各局連携のもと、都民に対する情報提供や広報活動を迅速かつ的確に行うこととしております。
○田中委員 原子力災害における住民避難などの基準を定めた国に原子力の防災指針というものがありますが、この中でも、住民の避難等に直結する防災対策の重点地域といわれるのは、あくまで原発から半径八キロないしは十キロ程度でありまして、もちろん、これに都は含まれる距離ではありません。その中でも、今回、放射性物質対策が地域防災計画の中に盛り込まれたということは、都がやる気があるというか、意気込みを感じると思っております。
しかし、忘れてはならないのは、都内の浄水場から微量の放射性物質が検出されて、大変にこの東京じゅうが混乱したことも記憶に新しいことであります。
また、放射能対策チームをつくるということでありますが、情報の共有化、一元化をできることというのが一つの前進ではありますが、デマの情報や不確定の情報をどのように処理し、また発信していくのかといった課題もあるかと思います。
さらにいえば、この原子力の問題は、これから日本での事故だけではなく、お隣の中国等の海外の原発事故が起きないという可能性もあり得ません。あらゆる可能性を考えて、これからも対策をとっていただきたいと要望いたします。
それでは、火災対策についてお聞きをします。
東京においては、同時多発的に火災が起こることが想定をされて、すべての火災現場に消防車が来てくれるというのは到底無理な話であります。今回の防災計画素案の中でも、柱は、何といっても初期消火や救助など地域住民の防災力であります。
その中で、この委員会の中でも、また、さきの本会議でも、消火栓を使ったスタンドパイプの議論が何度かされてまいりました。また、今回の素案の中にも、木密地域の火災への備えと称して、スタンドパイプの活用促進という項目が掲げられておりました。まさに自分の地域は自分で守るの精神のごとく、火災が起きたら、だれもが消火できる地域づくりというのは急務であります。
しかし、課題も多いのが現状であります。まず、消火水槽、消火栓、排水栓それぞれの水利が、どのようなもので、どう利用できるのかと。消火栓といっても、まず、あけなければならないですから、先ほど消防団の中で、バールを含め器材も不足しているというのもありましたが、そのようなものも必要になってまいります。消防団の方、多々おられるかと思いますが、ふだんからそのような消防水利を使ったり、消防ホースを使っているのであればいいのでありますが、一般の都民にはなかなか、まず、水利の区別から、また、どこにあるのか、その位置からわからないことが多々あるかと思っております。
消防訓練におきましても、これまで、三月十一日以降、一年以上がたって、各地域でそれぞれ町会や自治会、商店街でも行われているかと思いますが、まだまだ避難場所の小学校に集まって消火器訓練を行う、煙体験を行う、また地震体験を行うと。もちろん必要なことでありますから、それは大事なことでありますが、そこから進んでスタンドパイプの訓練というのが広がっていっていないのが現状であります。
災害時において火災による被害を軽減するためには、住民が利用できる、活用できる消防水利を周知するとともに、地域の消防水利を利用した実践的な放水訓練、これまでの防災訓練というより、放水訓練をさらに推進すべきと考えておりますが、いかがですか。
○北村消防総監 震災時に火災による被害を軽減するためには、地域住民が防火水槽、消火栓、排水栓などの水利を活用し、初期消火を効果的に行うことが重要でございます。
このため、当庁では、軽可搬消防ポンプによる防火水槽からの取水を初め、スタンドパイプを活用した消火栓、排水栓からの放水など、水利の特徴に応じた資器材の取扱要領や放水技術の習得を目的に、防火防災訓練の機会を通じて周知、啓発を図っているところでございます。
今後とも、消防団、関係機関と連携し、実践的な放水訓練をより一層推進して地域防災力の向上に努めてまいります。
○田中委員 実践を進めていくということですので、ぜひ進めていっていただきたいのですが、お話をしていますスタンドパイプというのを、まさに今回、活用促進という項目まで上げられていたのでありますが、これが、私は、あれに書いてあって、すべての市区町村に装備がされるのかと思ったら、そうではないということでありました。また、どれだけこれが普及しているのかというのも、まだ詳細なデータもないということをお聞きしました。
前回の委員会の中でも、杉並区は、すべての小中学校で震災救援所になったりしまして、ここに一本ずつ、もうスタンドパイプが配置をされているということであります。私たち大田区も、全町会にスタンドパイプを配布することが補正予算で決まったり、その対応は区市町村によってまちまちであります。スタンドパイプを初期消火の強化として掲げるのであるならば、物がないのでは話になりません。区市町村によってばらつきがないように、ぜひしっかりと都は現状を把握して、普及を早急に進めていただきたいということを要望して、最後の質問に移ります。
環状線を中心に、今、都は、緊急避難道路の耐震化等の対策が進んでおるのは周知の事実でありますが、木造密集地の火災等の対応が大事なことは、さらにいうまでもありません。
建築基準法の第四十二条の二項に該当する道路、個人が所有し道路として使用されている場合には、固定資産税等が非課税として扱われると聞いております。しかし、そこには花壇が置かれていたり、ひどい場合には車が置かれていたりという場合があって、火災時の通路として防災上問題があるのではないかと思っております。
まず、このような道路についても非課税として取り扱っているのかお聞きをします。
○新田主税局長 お話の建築基準法第四十二条第二項に規定いたします、いわゆる二項道路におきまして、個人等が所有し道路として使用されているものにつきましては、所管の都税事務所におきまして、非課税申告書の提出を受けた後、職員が現地調査を実施いたしまして、地方税法第三百四十八条第二項第五号に定める公共の用に供する道路と認められました場合には、固定資産税等の非課税として扱っております。
ご指摘の花壇や車が常態的に置いてある場合など、非課税要件を満たしていないことが確認されました場合には、非課税を認めておりません。
○田中委員 この非課税申請というのは、一度申告すれば更新する必要はなく、その効力は続いております。
この道路の非課税の確認調査というのをしておるということでありますが、どのようにして行っているのかを伺います。
○新田主税局長 道路非課税の確認調査につきましては、当初の非課税認定の際に行います現地調査以降におきましても、各所管の都税事務所が、定期的に行う土地の現況調査にあわせて道路非課税地の利用状況確認を実施しておりまして、それにより要件を満たしていないことが確認されました場合には、非課税の取り消し処理を行っているところでございます。
○田中委員 しっかりと要件を満たしていない場合は取り消しているという話でありますが、これもお聞きしたところ、これまでの取り消しの件数はデータにはないということでありますから、これ、課税の問題ではありますが、災害時の妨げにならないためにも、ぜひしっかりとした現地調査の対応をしていただきたいと思っております。
逆をいえば、四十二条二項道路でありながら、しっかりと自分の私権を主張して、また、税金を払ってほかを通さないという方もいらっしゃるかと思います。そのような場合は、ぜひ公共に資するように道路として申請しませんかということで、皆さんが、火災のとき、また震災のときに人、車が通れるようにしてもらうように、インセンティブとしてこの非課税制度を利用すればいいかとも思っております。
どちらの場合も、結果的にそのことが災害時の道路確保にもつながることかと思っておりますので、周知徹底するためにも、この紙一枚が、一応できますよという申請があるのですが、これだけではなくて、ぜひ--本来の趣旨とは違いますが、なかなか木密の解消というのは、そこを再開発するとなると、五年、十年、十五年、二十年と大変長い時間がかかります。できることから、何を使ってでも、その避難路を確保する、また、木造密集地に対して対応を図るということにしていただければと思っておりますので、以上をもちまして質問を終わります。
○大津委員長 田中健委員の発言は終わりました。
橘正剛副委員長の発言を許します。
○橘委員 まず、地域防災計画の修正に関する基本的な考え方について伺います。
今回の修正素案では、減災目標として、死者を約六千人減少させるという、人的被害の大幅な軽減に向けた大胆な目標が掲げられております。また、女性、高齢者等、きめ細かい配慮も盛り込まれるなど、大胆さと繊細さを兼ね備えたバランスのとれた内容となっており、その点については大いに評価したいと思います。
今後大事なことは、この計画の内容をいかに着実に実行していくことができるかどうかであります。
さきの第三回定例会における我が党の代表質問に対し、石原知事からは、国民の生命、財産を守る防災対策は、政の根幹であるとの強い決意が示されました。改めて肝に銘じなければならない至言であると思います。
東京都地域防災計画は、来月には策定されるスケジュールとなっておりますが、これをもとに今後見直しが行われる区市町村の防災計画とも細部にわたって整合性を図り、東京が一体となって、被害を抑制する実効ある対策を講じなければなりません。
そこでまず、新たな地域防災計画の策定後に、東京が一体となった防災対策を推進していくことについて、都の基本的な認識を伺います。
○笠井総務局長 都民の生命、財産を守るための防災対策は行政の基幹的な業務であり、都や区市町村などの行政機関は、その責任の重要性を十分に認識した上で具体的な対策を推進する必要があります。
このため、今回の地域防災計画修正素案では、都民の命と暮らしを守るため、被害軽減と都市再生に向けた目標として、死者を約六千人減少させる、建築物の全壊、焼失棟数を約二十万棟減少させるなどの具体的な目標を掲げ、その実現に向け、耐震化の推進などの個別対策においても到達目標を明確に示すとともに、その内容も大幅に充実強化をいたしました。
今後、都民の生命、財産の安全の確保に向け、区市町村とも連携し、こうした計画の内容を、東京の総力を結集して着実に推進してまいります。
○橘委員 次に、今後の事業推進における関係機関や各局等の連携について質問いたします。
区市町村との連携とあわせ、関係機関や都の各局等の連携を密にして対策を推進することで、より大きな効果が期待できると考えます。
例えば、既に連携して実施している取り組みとして、水道局と東京消防庁が連携した排水栓の初期消火への活用などがあります。現代の経営学的な表現を用いれば、コラボレーションとかシナジーという言葉に該当するかと思いますが、こうした協働、協力して働くこと、そしてまた、相乗効果を事業相互の連携によって生み出していくことが重要であると思います。
都は、行政にありがちな縦割りの落とし穴に陥ることなく、都庁の各局を初めとして関係機関の連携を十分に図りながら対策を進めていくべきと考えますが、総務局長の見解を伺います。
○笠井総務局長 防災対策を推進する上では、都庁各局はもとより、国、区市町村、自衛隊、ライフライン事業者などの防災機関が相互に連携して対策を推進する必要がございます。
このため、今回の地域防災計画修正素案では、関係機関が、みずからの対策のみならず、他の機関の対策も理解した上で相互に連携して対策を推進できるよう、対策の全体像や業務手順を体系的に示しております。
また、発災後に関係機関による一体的な応急対応が可能となるよう、災害対策本部のもとに、関係機関で構成する救出・救助活動調整会議や対策連携チームを設置し、初動態勢を強化するなど、対策を充実させました。
今後も、関係機関相互で緊密に連携、協力し、東京の防災力向上に向けた取り組みを進めてまいります。
○橘委員 今、連携についての答弁がございましたけれども、この連携の重要性が最も問われるのは大震災の発生時であります。とりわけ、都民の生活を支え、東京を日本の頭脳、心臓として機能させている道路やライフラインといった都市基盤を早期に復旧させていくことが重要であります。
地元で平時の工事を見ておりますと、工事が同じ地域内で重複するケースや、道路が繰り返し掘り起こされるケースも間々見受けられます。こうした工事は、それぞれの工事の主体となるライフライン事業者によって、インフラの整備状況も異なっているという事情もありますけれども、連携や調査に一定の限界があることは、これもまた理解できます。
特に大震災の発生時には、非常時にふさわしい連携体制を構築して、関係者が一体となって都市基盤の復旧に当たる必要があります。
そこで、都市基盤の復旧を関係事業者が連携して実施できるよう、具体的にどう取り組んでいくのか、都の考え方を伺います。
○笠井総務局長 道路や上下水道、ガスなどのライフラインは、都民の生活と都市の機能を支える重要な都市基盤でありまして、大震災の被害から東京が早期に立ち上がるためには、関係機関が連携して迅速に復旧を図る必要があります。
このため、今回の地域防災計画の修正素案では、道路やライフラインの復旧活動を一体的に実施するため、東京都災害対策本部のもとに、関係機関で構成するインフラ等応急復旧対策チームを設置し、相互に連携して復旧活動を円滑かつ迅速に実施する体制を整えました。
今後、道路やライフラインの被害情報の共有化や復旧の緊急性などを勘案した上で、一体的に復旧作業を進めるための連携のあり方などについて具体的に検討を進め、実効ある復旧体制を構築してまいります。
○橘委員 次に、避難道路について質問いたします。
東京都は、現在、都立公園等の避難場所に至るまで三キロメートル以上の距離がある地域については、避難道路を指定しております。そのルートは、国道、都道など比較的幅員が広く安全と思われる道路が選定されておりますが、そうした幹線道路から幅員の狭い区道等を経由して避難場所に至るという避難道路も見受けられます。避難住民の安全な避難体制を考えれば、区道の部分の拡幅、周辺住宅の不燃化、電線類の地中化等を総合的に整備すべきと考えます。
都は、避難道路の縮小を考えているようでありますけれども、このことは、裏を返せば、三キロ以上も移動しなくても安全が確保できる状況になったということで、むしろ喜ばしいことではあります。
しかし、現在残っている避難道路は、近くに避難場所の確保が難しいといった理由で残っているのが現状でございまして、指定を解消するまでには、まだかなりの時間を要すると思われます。
そこで、今後の避難道路対策について見解を伺うとともに、参考となる整備例があれば伺いたいと思います。
○飯尾都市整備局長 都は、震災対策条例に基づきまして、区部の避難場所や避難道路等を指定しておりまして、市街地状況の変化や人口の増減を考慮いたしまして、おおむね五年ごとに見直しを行っております。
昭和四十九年当時、避難道路の延長は三百七キロメートルでございましたけれども、市街地の不燃化が進んだことによりまして、現在は七十八キロメートルにまで縮小しております。
都は、今後も区と連携いたしまして、避難場所等について必要な指定の拡充を図ることによりまして、避難道路の縮小を進めてまいります。
また、区の取り組みといたしましては、品川区におきまして、避難道路に指定されている滝王子通りを拡幅し機能を強化したものや、また、荒川区におきましては、円滑な避難のため、避難場所に直結する都市計画道路の整備に当たりまして、電線を地中化した事例などがございます。
都は、区のこうした取り組み、あるいは避難場所周辺の市街地の不燃化等の取り組みを引き続き支援してまいります。
○橘委員 これは先ほど申し上げましたように、避難場所というのは簡単に指定できるようなものではございません。ましてや区の段階でそれを指定するということは、また大変なことでもございます。
実際にこの避難道路を通じて住民の皆さんを誘導するのは、町会の役員の方、町会長であるとか、自治会長であるとか、そういう役員の方でございまして、この人たちが安全な避難場所まで誘導するというのは、本当にこの安全が確保できているという、そういう前提のもとで誘導していくわけであります。
しかしながら、先ほど申し上げましたように、現在は、国道を通って、都道を通って、そして避難場所、例えば都立公園等に到達するまでに、狭い道を通らざるを得ないという地域も間々見受けられます。私は全部調べたわけではありませんが、幾つかそういうところを目にしておりますけれども、こういったところについては、区道ですから区にお願いせざるを得ないわけですけれども、これは区の今後の事業に期待する、そういったものではなくて、東京都が積極的にかかわっていくべきものだと私は考えております。
そして、わずか百メートル、二百メートルかもしれませんけれども、避難場所に到達するまでのその区間というのは、住民の命を最優先という考えならば、やはり区に全部お願いするということではなくて、東京都も積極的に関与すべきであると私は思いますけれども、局長、もう一度答弁をお願いします。
○飯尾都市整備局長 委員ご指摘のとおり、国道、都道などの広い道路を通りました後、避難場所へ到達するような場所が多く存在するのは事実でございます。このような場所では、やはり区が主体となって取り組みをしていくということになりますけれども、東京都といたしましても、そのような区の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
○橘委員 わかりました。
次に、災害医療体制について何点か質問いたします。
初めに、災害現場での活躍が注目されている東京DMATについて伺います。
東京DMATは、平成十六年の創設以来、約三百五十件の都市災害の現場で活動してきた実績があるとのことであります。また、東日本大震災においても、十四チームが被災地に派遣され、迅速な医療救護活動を展開したとの報告も聞いております。
首都直下地震等の巨大地震の発生を想定しますと、東日本大震災の負傷者とは様相を異にし、建物の倒壊によるクラッシュシンドローム、すなわち、体の一部が長時間挟まれるなどして圧迫されて、その解放後に起きる症状のことでありまして、そうした負傷者が多数発生することが予想されております。
クラッシュシンドロームは、実は重傷であるにもかかわらず、外見的には重傷ではないように見える、そういったふうにして見落とされる場合も間々あるとのことでありまして、致死率は比較的高いといわれております。実際、阪神・淡路大震災では、クラッシュシンドロームと診断された三百七十二人のうち、五十人の方が亡くなっているとの報告があり、もし早期に医療救護を行っていれば避けられた災害死ともいわれております。
したがって、一人でも多くの命を救うためには、迅速な医療救護活動が必要になります。さらに、多数の負傷者が発生した場合には、活動の長期化も見込まれるわけであります。このため、首都直下地震等が発生した際には、東京DMATが発災直後から迅速な医療救護活動を行うことができるように、平時から備えておくことが重要になってくると考えます。
今回の地域防災計画で想定している人的被害を前提に考えた場合、東京DMATの体制を強化し、救える命は一人でも多く救うための対策を講じていくことが、今回の地域防災計画のねらいに沿うものと考えます。
今後の取り組み方針について福祉保健局の見解を伺います。
○川澄福祉保健局長 東京都内において大規模な地震災害が発生した際に東京DMATが迅速に医療救護活動を開始できるよう、都は、今回の地域防災計画の見直しにあわせ、東日本大震災の教訓も踏まえながら、東京DMATの詳細な活動要領を新たに策定したところでございます。
要領では、出場方法や被災現場における活動内容を改めて明確にするとともに、東京消防庁や、本年一月に設置した東京都災害医療コーディネーターとの連携などについても定めております。
また、発災直後から長時間現場にとどまって医療を提供できるよう、水や食料などを備えたDMATカーを、今年度末までに二十五すべての指定病院に配備いたします。
今後とも、東京消防庁と連携しながら実践的な研修や訓練を積み重ね、東京DMATの体制を強化してまいります。
○橘委員 同じく災害医療に関連いたしまして、トリアージについて質問いたします。
地域防災計画の修正案では、都内すべての病院を災害拠点病院、災害拠点連携病院、災害医療支援病院に区分けして役割分担するとともに、災害拠点病院等の近接地に緊急医療救護所を設置して、傷病者に対する医療を確保することとしております。
発災直後には、重症、軽症にかかわらず多数の負傷者が医療機関に殺到することが予想されます。そこで、医療従事者や医療物資が十分に確保できていない状況においても、可能な限り多数の負傷者に対応するためには、傷病の緊急度や重症度に応じて振り分けるトリアージが極めて重要になるわけです。
また、中には、トリアージの結果に納得できない被災者や家族が発生することも十分予想されます。
このため、災害時においてトリアージが十分機能するよう努めておく必要があると考えますが、迅速かつ的確なトリアージを行うための都の対応について見解を伺います。
○川澄福祉保健局長 災害発生時において迅速かつ的確にトリアージを実施できるよう、都は平成八年から、病院、診療所の医師等を対象としたトリアージ研修を実施し、これまで延べ二万人が受講しているところでございます。
研修の中では、実施方法等に加え、結果について傷病者やその家族が納得できない場合には、災害や傷病者の状況等を丁寧に説明し、可能な限り理解を得るように努めることなど、実施の際の注意事項も伝えているところでございます。
また、毎年行っている防災訓練では、トリアージの訓練も実施しており、都民が災害時におけるトリアージの意義について理解を深める機会ともなっております。
今後とも、医療機関や医師会等と連携して研修内容の充実を図るとともに、患者等への説明も想定した、より実践的な訓練を行ってまいります。
○橘委員 実は、このトリアージの体制については、私の地元でございます板橋区の防災担当者とも意見交換をいたしました。そうしましたら、私のこの問題提起に対しまして、確かにそういうことは十分想定されます、しかし、だれかがそれを仕切ってくれるということを頼みにしていては対応ができない、したがって、このトリアージを担当する医療従事者の人たちが、医療に基づいて、科学的に基づいて、そして毅然とした対応でトリアージをしていく、これが重要であると考えていますと。つまり、訓練をして、そういう仕切る、または仕分けをきちっとするということも大事であろうかと思います。
今、局長の方から、こういう研修を十分にやっていきますというお話がございましたので、医療的な分野と同時に、こういった対応の仕方についても十分な研修をしていただくようにお願いしておきます。要望としておきます。
次に、医薬品の確保について質問いたします。
東日本大震災では、病院や医療救護所等において、医薬品や医療資器材が不足したとの新聞報道がございました。実は、これは後でわかったことですけれども、物資は、医療器材、また医薬品は十分にあった、全国からも寄せられていた、ところが、それをどこにどういうものを送ったらいいのか、その仕分けの仕方が全くわからなかった、つまり専門家がいなかったことが大きな要因であるということが後にわかってくるわけでございます。
首都直下地震の発生の際も同じようなことが起こり得る事態であることから、東京都は昨年度、被災地における医薬品の供給実態調査を行いましたが、どのような問題点が明らかになったのか、また、その結果を今回の地域防災計画に具体的にどう反映させたのか伺います。
○川澄福祉保健局長 都が実施した実態調査によりますと、今回の震災では、医薬品を一括して受け入れ、市町村に供給する県の集積センターに、仕分けや配送の専門知識を持つ人材が不足していたため、医療機関等への供給が停滞したことが明らかになりました。
また、被災規模が大きく、集積センターに大量の医薬品等を搬入、搬出する必要が生じた場合には、大型トラックを横づけできる施設やフォークリフト等の機材が必要となることもわかりました。
そのため、今回の地域防災計画の修正素案では、集積センターを医薬品の供給拠点とするこれまでの体制を見直し、専門的な人材や設備を有している卸売業者から医療機関等へ直接供給する方式へと変更することとしたところでございます。
○橘委員 今、答弁にございましたように、都が新たに構築した体制というのは、簡単にいえば、行政主体の医薬品等の供給体制から、民間である卸売業者が供給のかなめになるというシステムでありまして、これは大きな転換であると思います。したがって、これまでと違って、連携体制であるとか、運搬の手段、それから人員の確保など、行政が今まで主体となって配送する仕組みをつくってきたそれとは違って、民間は民間ならではの課題が出てくるかと思います。
民間主導とはいえ、これは民間任せにならないように、発災時に卸売業者が医薬品を迅速かつ確実に供給できるように、都もしっかり後押しをすべきと考えますが、見解を伺います。
○川澄福祉保健局長 新たな供給体制で医薬品等を円滑に配送するため、都は卸売業者に対し、保有する搬送車両を災害時の緊急通行車両として事前に登録し、輸送手段を確保するよう働きかけてまいります。
また、卸売業者が被災した場合に、いち早く業務を再開し、医療機関等に医薬品を供給できるよう、地域防災計画の修正を踏まえた卸売業者のBCPの見直しを支援するとともに、災害時優先携帯電話や業務用無線機を配備し、緊急連絡体制を強化してまいります。
今回の地域防災計画の修正素案では、卸売業者が被災した場合、早期に機能を復旧できるよう、自衛隊等関係機関の協力を得ながら支援することも盛り込んでおり、こうした取り組みを通じて、災害時における卸売業者の供給体制を確保してまいります。
○橘委員 総務局長にもう一回お聞きします。
これまでの質疑を踏まえまして、発災時に民間事業者などの協力を得て応急対策を進めなければならないという分野は、医薬品の分野だけではございません。今回の地域防災計画に示された協力機関を見ても、その業務の範囲は多岐にわたっております。
個別の分野ごとに、協力機関と都の該当する部局が連携することはもちろん重要でありますけれども、通信の確保や情報の共有化など応急対策全般に共通する事項については、防災対策の取りまとめ役である総務局がかなめとなって、協力機関が活動しやすい環境が整うよう、積極的に支援、調整に取り組んでいくべきと考えます。総務局長の所見を伺います。
○笠井総務局長 大震災の発生時に実施する応急対策業務は極めて多岐にわたるものでございまして、こうした業務を円滑に実施するためには、ご指摘の協力機関などとの連携が不可欠でございます。
このため、都は、協力機関に通信を確保するための業務用無線を配備するとともに、これらの機関が行う訓練に際し、訓練場所の提供や訓練参加機関との連絡調整を行うなどの支援にも努めてまいりました。
また、今回の修正素案では、発災後の被害状況や各機関による応急対策業務の実施状況など、さまざまな情報を共有するための体制整備を盛り込むとともに、今後、訓練の実施等を通じて、協力機関相互の、いわゆる顔の見える関係を築き上げてまいります。
こうした取り組みにより、協力機関が円滑に活動を実施できる環境を整えてまいります。
○橘委員 次に、水道局さんにお聞きします。
給水拠点の施設改造について質問いたします。
発災後の都民の暮らしを支え、都市機能を維持するためには、生活に不可欠な水をいかに確保し、都民へ提供するかが重要であります。しかし、その実現には、行政による対応のみでは限界がございまして、地域の力を活用することが不可欠であります。
我が党はこれまでも、震災時に水を配る給水拠点において住民の方々が自分たちで応急給水ができるように、施設の改造が必要であると指摘してまいりました。
まず、こうした施設の改造について、地域防災計画の修正案ではどのように取り組んでいこうとしているのか伺います。
○増子水道局長 給水拠点のうち、浄水場や給水所については、水道局が応急給水に必要な資器材等を設置し、区市町が住民への応急給水を行うこととなっております。しかし、震災直後の混乱時には、水道局の職員が給水拠点へ速やかに参集できないことも想定されます。
こうしたことから、職員の参集を待たずに、住民みずからが円滑に応急給水を行えるよう、施設用地内に応急給水エリアを区画し、そこに専用の給水栓を設置するなど、施設を順次改造することとし、これを今回の地域防災計画の修正素案に盛り込んでおります。
○橘委員 浄水場は、水をきれいにする施設ではありますけれども、震災時におきましては、都民への水を供給する大事な役割も担っているわけでございます。
私の住んでいる板橋区にある三園浄水場でも、住民が自分たちで応急給水できるように施設の改造が予定されていると聞いておりますが、その進展状況を伺います。
あわせて、都内の浄水場でも、今後、順次、施設整備を進めるとのことでございますが、その際、重要になるのは、住民との訓練の実施についてであります。この訓練をきちっとやっておかないと、宝の持ちぐされになる可能性もございますので、この辺について水道局の見解を伺います。
○増子水道局長 三園浄水場は、周辺に高島平団地などがあり、多くの住民が暮らす地域の重要な給水拠点の一つであります。震災時には、一人一日三リットルとして、板橋区の全人口五十四万人に対して、十日分に相当する一万六千立方メートルの水を確保しております。
現在、三園浄水場では、年内の完成を目指し、施設の改造を進めております。
このほか、改造が必要な板橋区内の二つの給水所についても、順次、整備を行ってまいります。
また、ご指摘のとおり、住民との訓練も重要と認識しており、施設の整備工事が完成した後には、地域への周知を図るとともに、それを活用した応急給水訓練を実施してまいります。
○橘委員 今こういう施設を推進しておりますよ、できつつありますよといったお話をしましたら、地元の皆さん方は非常に期待しておりました。災害時に職員がいなくて入れない、しかしながら、自分たちであけて給水できるということは、これほど安心できるものはない、そしてまた、ふだんは余り意識しない浄水場ではありますけれども、こういうことができるのであれば身近に感じるようになりますねと、そういった声もお聞きしております。どうぞ、これが地域住民の皆さんに定着していけるように取り組んでいただきたいと思います。
次に、下水道管の耐震化について質問いたします。
震災時に急ぎ復旧すべき都市機能として、水道や電気、ガスなどの供給に加え、都民生活からの排水を受け入れる下水道の機能を確保することも重要であります。
過去の大規模な震災では、多くの人が集まる避難所で、トイレに行くのを我慢しようと水分を控えたこと等が原因となって、エコノミークラス症候群で倒れる人が少なからず発生いたしました。震災時のトイレ機能を確保するためには、何よりも下水道管の耐震化を着実に進めることが最も基本的な備えとして欠かせません。
そこでまず、下水道管の耐震化の取り組み状況について下水道局長に伺います。
○小川下水道局長 震災時においても下水道の機能を確保するため、地震時に被害を受けやすい、下水道管とマンホールの接続部を柔軟性のある構造に変更し、耐震性を向上させる取り組みを進めております。
まず、避難所や災害拠点病院などから優先的に対策を実施しており、昨年度までに、対象とする約二千五百カ所のうち約八割を完了し、残りの箇所についても、計画を二年前倒しし、来年度完了の予定でございます。
今後は、東日本大震災の状況を踏まえ、下水道管とマンホールの接続部の耐震化の対象拡大を図ってまいります。
○橘委員 この下水道管の整備というのは、非常に私も、被災地に視察に伺いまして、半年後だったのですけれども、それでもまだ下水道管が整備復旧していないために、周辺をずうっと回ってもなかなかトイレが見つからなかったという、そういったこともございましたので、災害時には、やはりトイレを確保するという、こういったことが非常に大事かと思いますので、精力的に取り組んでいただきたいと思っております。
まず、下水道管の耐震化について今お話がございましたけれども、下水道局では、避難所や災害拠点病院などを対象に耐震化を進め、対象施設の拡大も図るとのことで、これは評価したいと思います。
今回の地域防災計画の修正素案には、新たに災害拠点連携病院が位置づけられ、大規模な地震発生時には多くの負傷者を受け入れる重要な医療施設となっております。そこで、新たに指定される災害拠点連携病院も下水道管耐震化の対象にすべきと考えます。
さらに、帰宅困難者対策の視点から見ると、発災後三日間は会社内などにとどまった人が、四日以降は、一斉に徒歩などで帰宅することが想定されております。こうした事態を想定すると、帰宅支援道路の沿道の帰宅支援ステーションなどからの排水を受ける下水道管についても耐震化を図る必要があると思います。
こうしたことを踏まえ、下水道管の耐震化を今後どう進めていくのか、災害拠点連携病院や帰宅支援ステーション等への対応も含め、見解を伺います。
○小川下水道局長 災害拠点連携病院や帰宅困難者を支援する施設のトイレ機能の確保も大変重要であると認識しております。これらのうち、一部の施設につきましては、これまでに対策を実施した施設の中に含まれるものもございます。
今後、一日当たりの乗客数が十万人以上の大規模なターミナル駅約四十カ所や、災害復旧の拠点となる国、都及び区の施設など約一千カ所へと対象を拡大いたします。
また、発災時に多くの人がとどまる地区内残留地区においても、優先度を定めて対策を実施してまいります。
このように、今後、対象施設を拡大していく取り組みにより、お話の施設のトイレ機能の確保にも寄与してまいります。
さらに、区と連携して、し尿の収集、運搬の必要のない仮設トイレの設置ができるマンホールを指定しております。
引き続き、下水道管の耐震化や、震災時のマンホールトイレの設置に向けた取り組みを積極的に進め、下水道機能の確保に全力を挙げて取り組んでまいります。
○橘委員 水再生センターのネットワーク化についても質問する予定ではございましたけれども、時間の関係で別の機会に質問させていただきますので、よろしくお願いします。
以上です。
○大津委員長 橘正剛副委員長の発言は終わりました。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
午後三時二十二分休憩
午後三時四十分開議
○大津委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
鈴木章浩委員の発言を許します。
○鈴木委員 東日本大震災を通して、私たちは、改めて国家とは何なのかということを考えさせられたわけでございます。不条理な大災害に見舞われながらも、あのとき、国民は、ともに助け合い、体を張って、あの国難に立ち向かったわけであります。
そして、そのことを通じて、私たちは、国民のきずなの大きな力を感じることができたわけであり、震災の復興なくして我が国の復興はないものとの思いで、今、私たちは取り組みをさせていただいているわけであります。そしてさらに、震災の教訓を、今後いつ来てもおかしくないといわれている大災害の備えにつなげていくことが、今、私たちの責任であるというふうに思っております。
東日本大震災は、かつてない未曾有の震災であったわけでありますけれども、私たちは、二度と未曾有という言葉を使うわけにはいきません。首都東京の備えを再構築し、都民の命を守る、そのような観点で質問をさせていただきます。
初めに、発災時の初動対応力の強化として、初動対応の強化についてお伺いいたします。
災害時に都民の命をいかに守るか、我々に課せられた使命であります。この使命を果たしていくためには、自衛隊、警察、消防を初め、あらゆる関係機関が総力を結集し、迅速に対処していくことが必要であることはいうまでもありません。特に、発災後の初動対応力を徹底的に強化していく取り組みは重要であります。
我が党は、先般、都に提出した地域防災計画の修正に向けた具体的提言において、自衛隊、警察、消防等防災機関との連携強化や、発災後七十二時間の具体的な活動工程表の作成を求めたところであります。
さきの第三回定例会での知事の答弁では、今後、都において、初動時における災害対策全般を統合した基本戦略となる首都直下地震等対処要領を新たにつくり上げるとのことですが、各機関の具体的な活動工程が明確になるような要領を望みます。
この対処要領の基本的な考え方、内容について、まずお伺いいたします。
○笠井総務局長 発災時におきましては、自衛隊、警察、消防を初めとする関係機関と緊密な連携のもと、あらゆる手段を講じて被害を最小限に抑え込むことが必要であります。
そのため、いただきました提言も踏まえ、都の対応全般を統合的に運用する対処要領を策定することといたしました。
対処要領では、発災直後から七十二時間の応急対策活動を時系列で整理し、例えば医療救護であれば、被災現場の確認と緊急輸送道路等の経路の確保を行った後、災害医療コーディネーターによる助言や調整とその後の医療搬送まで、応急対策の主体となる各機関の動きや連携内容がわかるようにいたします。
この対処要領をもとに、さまざまな事態を想定した図上訓練を重ねることで、初動時の対応力を向上させてまいります。
○鈴木委員 七十二時間の救助、応急対策においては、自衛隊との連携が欠かせません。そこで、自衛隊との連携についてお伺いいたします。
大規模災害発生時には、自治体と自衛隊との連携が不可欠であることはいうまでもありません。昨年の東日本大震災でも、自衛隊は、瓦れき処理、行方不明者の捜索、炊き出し、入浴支援など、被災地での支援において非常に大きな貢献をされました。
首都直下地震など大規模地震が発災した場合には、自衛隊と迅速に連携し、災害対応に当たることが重要になってきます。この際、特に大切なことは、朝霞にある自衛隊の東部方面総監部との連携であります。
東部方面総監部は、首都直下地震の発災時には全部隊の司令塔としての機能を担うこととなっており、都の災害対策本部が自衛隊と連携して初動対応を実施する上で、最も緊密な連携が求められる機関であります。こうしたことから、本年七月には、東部方面総監部を中心とした都と関係機関による図上訓練が行われたと聞いております。
実災害においても訓練の成果を生かしていくためには、これまで以上に東部方面総監部との連携が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
○笠井総務局長 大規模災害発生時には、あらゆる防災関係機関が総力を結集し、対応していくことが重要であり、自衛隊との連携は不可欠であります。
首都直下地震が発生した場合には、陸、海、空の三自衛隊は、お話の東部方面総監部の指揮のもとで統合運用されることとなっております。
本年七月に、東部方面総監部が主体となり、三自衛隊が都庁に参集して行った首都直下地震を想定した図上訓練では、都庁と東部方面総監部との間で通信訓練を行うなど、発災時の円滑な情報連絡について検証を行ったところでございます。
今後、首都直下地震に備え、東部方面総監部との情報連絡体制をさらに強化するなど、迅速かつ確実な連携を図ってまいります。
○鈴木委員 随分前になりますけれども、阪神大震災発災のときは、その連携不足が被害の拡大につながったとの指摘もある中で、ぜひとも機能する連絡、そして備えをしていただきたいと思っております。
次に、業界団体への業務用無線機の導入についてお伺いいたします。
都では、災害時における応急復旧を円滑に進めるため、多くの民間団体と応援協定を締結し、災害時における協力を依頼しています。こうした団体の行う活動は、道路の警戒、医療品や医療資器材の提供、救援物資の調達、搬送、燃料の供給など多岐にわたります。都や関係団体は、こうしたさまざまな業務を相互に連携して実施することが求められており、そのために必要不可欠なのが関係団体との連絡手段の確保であります。
このような中、都は、災害協定締結団体を初め、関連する民間団体の通信手段の確保策として、業務用無線機の導入を新たに始めることになるわけであります。
いつ襲ってくるかわからない大震災に備えるためには、配備した無線を有効に活用して、関係団体と実効ある連携体制を構築していくことが重要であることはいうまでもありません。我が党は、さきの提言において、こうした業界団体との連携強化に向けた業務用無線機の導入に当たり、導入先の精査、運用方法の検討、訓練の実施などを行うよう求めたところであります。
さきの第三回定例会において、我が党の代表質問に対して、初動時の対応を担う業界団体に十月から業務用無線機を配備していくとの答弁がありましたが、今後、都は、業務用無線機の配備、運用等を具体的にどのように進めていくのかお伺いいたします。
○笠井総務局長 発災時におきましては、都は、さまざまな応急復旧活動を担う協定締結団体等と密接に連携して対応をとる必要があることから、都と団体、団体同士の確実な連絡手段の確保が不可欠でございます。
このため、今月から、発災時の道路警戒や食料、医療品、燃料等の供給を担う団体などに業務用無線の具体的な配備を進めてまいります。
配備に当たりましては、担当者向けの説明会の開催やマニュアル整備を行うとともに、定期的な通信訓練の実施などにより円滑な運用が図られるよう、都としても十分な支援をしてまいります。
今後、業務用無線機を効果的に活用し、発災時における協定締結団体等との連携強化を図ってまいります。
○鈴木委員 国民のきずなこそ復旧、復興の大きな力と申しましたが、その力を効果的に活用していくことは私たちの責任であります。ぜひ連携強化に向けて取り組んでいただきたいと強く要望いたします。
次に、ヘリサインの整備についてお伺いいたします。
東日本大震災では、津波被害や道路の寸断などにより、地上での災害活動が困難をきわめる中、機動性のあるヘリコプターによる上空からの救出救助活動が大きな効果を発揮いたしました。発災時において迅速な救出救護活動を行うためには、ヘリの活用が不可欠です。
一方で、こうしたヘリの救援部隊は全国から駆けつけてくるため、すべてのパイロットが被災地の地理に精通しているわけではありません。その際に重要な役割を果たすのがヘリサインであります。
ヘリサインが整備されていれば、現地の地理に不案内な他県からの応援航空部隊でも、上空から具体的な場所を即時に特定することができます。ヘリサインは、パイロットの道しるべとして非常に重要な存在なのであります。
そこで、都は、ヘリサインの整備に向けた取り組みを推進するべきだと考えますが、今後の取り組みについて所見をお伺いいたします。
○笠井総務局長 発災時にヘリによる救出救助活動を行う際には、避難所などの災害対策上重要な施設を上空から即時に特定できるヘリサインは大きな効果を発揮いたします。
このため、都は、都立高校や都立病院などの都立施設の屋上にヘリサインを整備するとともに、広域的に連携した取り組みを進めるため、九都県市においてヘリサインの表示方法の基準を設けるなど、着実に取り組みを進めてまいりました。
一方、ヘリサインは地域によって隔たりがあり、整備数が少ない地域が存在するなどの課題もございます。
このため、今後、ヘリサインが未整備である防災上重要な都立施設について、整備の推進に向けた検討を進めるとともに、小中学校等を所管する区市町村に対して働きかけを行うなど、都内全域での整備を促進してまいります。
○鈴木委員 このことは、東日本大震災の教訓として大変重要なものでございますので、ぜひとも市区町村と連携を密にして早期の対応を要望いたします。
次に、緊急通行車両についてお伺いいたします。
発災時には、自衛隊、警察、消防などの機関による救出救助活動や消火活動はもちろんのこと、負傷した患者の搬送、緊急物資の輸送など、緊急通行車両を使った対策が重要な役割を果たします。緊急通行車両の役割は多岐にわたっており、多くの車両が必要となるわけであります。
一方で、都内は、今なお交通渋滞という都市としての課題を抱えております。
東日本大震災の発災時には、鉄道停止に伴い、タクシーの稼働車両が増大したほか、高速道路からおりてきた自動車や緊急通行車両証を発行された自動車などによって、都内は大渋滞に陥ったわけであります。
都内には、平常時から多くの車が通行しており、発災時に、こうした車に加えて緊急通行車両が一度に侵入すると、交通渋滞を引き起こすことも懸念されます。都民の命を救いに来た車が、かえって都市の機能を麻痺させてしまう事態を招いてしまっては、まさに本末転倒なことであります。
こうした状況に陥ることなく、緊急通行車両の機能をしっかりと発揮させることが重要だと考えますが、都の取り組みについてお伺いをいたします。
○笠井総務局長 緊急通行車両は、救出救助活動や緊急物資の輸送など重要な役割を担っており、発災時にはこれを適切に活用し、応急対策を実施する必要があります。
このため、今回の修正素案では、発災直後には、消防車や救急車など人命に直結する車両を優先し、災害がある程度落ちついた段階で物資輸送を担う車両を通行させるなど、災害の状況を見据えた交通規制を実施することとしております。
また、関係機関が車両を使用して応急対策を実施する際に、道路の被災情報など必要な情報の共有化を図りながら連携して対応できるよう、災害対策本部の機能を強化いたしました。
こうした取り組みを通じ、緊急通行車両を適切に活用することで、都民の命と暮らしを支えてまいります。
○鈴木委員 次に、被災者対策の強化を図る視点から幾つかお伺いいたします。
まず、避難所運営への支援についてであります。
修正素案では、避難者が最大で約三百三十九万人発生し、うち約二百二十万人が避難所に避難すると想定されております。この膨大な避難者を受け入れる避難所や二次避難所は区市町村が指定し、管理運営することになります。
避難所を円滑に運営するためには、あらかじめ区市町村において避難所管理運営マニュアルを整備する必要があります。
また、都は、広域的な立場から、必要な物資の供給、調達等に役立てるため、避難所の開設情報を一元的に把握する必要があります。
今後、区市町村の円滑な避難所運営を支援するために、どのような取り組みを行っていくのかお伺いいたします。
○川澄福祉保健局長 今回の地域防災計画の修正素案において、都は、平常時から区市町村が指定する避難所や二次避難所の情報について関係部署で共有化を図るとともに、区市町村の要請に応じてボランティアを派遣できるよう、福祉関係団体等と調整を行うことといたしました。
また、発災時においては、区市町村を通じて避難所の開設状況を速やかに把握し、物資の供給等、広域的な支援を迅速に行えるよう、高齢者や障害者、乳幼児の人数等の情報を収集することとなっております。
避難所の円滑な運営のためには、安全の確保や要援護者への配慮が必要であり、今後、関係団体等の意見も聞きながら避難所管理運営の指針を改定し、区市町村に対しても、避難所管理運営マニュアルの作成や改定を働きかけてまいります。
○鈴木委員 次に、災害時要援護者の避難対策についてお伺いいたします。
都は、災害時要援護者への災害対策推進のための指針等を策定し、区市町村の取り組みを支援しておりますが、残念ながら、すべての区市町村で対策が整えられているわけではありません。
特に障害者は、知的、身体、精神と、障害区分や程度もさまざまで、障害の特性に応じた避難の支援が重要であります。実際、東日本大震災では、被災した障害者の安否確認や被災支援など、多くの課題が明らかになったわけであります。
今後、指針を改定すると聞いておりますが、障害者の視点を踏まえたものとし、区市町村が要援護者にきめ細かな支援ができるよう改定すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
○川澄福祉保健局長 今回の震災では、被災地での支援活動の経験を踏まえ、多くの障害者団体から、災害時の障害者への情報提供、安否確認等について数多くの要望が寄せられたところでございます。
また、昨年の十月に、障害者団体を対象に改めて実施した災害時における障害者支援調査におきましても、日ごろからの区市町村と障害者団体との連携や要援護者の把握、障害特性への理解、避難時や避難所生活での支援、情報提供の配慮などについて多くの意見をいただきました。
今回の地域防災計画の修正素案におきましては、こうした意見や要望等を区市町村の取り組みに盛り込んでおり、今後、区市町村が障害者団体等と協力しながら、障害特性に応じたきめ細かな支援ができるよう、災害時要援護者対策の指針につきましても、障害者の視点を踏まえ、改定してまいります。
○鈴木委員 次に、救援物資の調達、輸送体制についてお伺いいたします。
第二回定例会では、我が党の質問に対し、必要な物資の不足、物資ニーズの変化、非効率的な物資の搬出入、物資受け入れスペースの不足などの課題があり、今後、関係機関や区市町村とも協議しながら実効性の高い方策を具体化し、地域防災計画の修正に反映させていくとの答弁があり、今回、素案が示されたわけであります。そこで、それぞれの課題について、今後どのように対応していくのかお伺いします。
まず、物資の確保についてでありますが、東日本大震災では、道路状況等により避難所に物資が届かない事態もありました。
このため、発災直後は、必要な物資を地域で確保することが重要であると思いますが、都の見解をお伺いいたします。
○川澄福祉保健局長 都はこれまで、区市町村と協力し、避難者用に、クラッカー、アルファ化米など、おおむね二日分の食料や毛布、肌着等の生活必需品を備蓄してまいりました。
しかし、東日本大震災のような大規模な災害の発生直後は、道路に障害物があることや人命救助活動が優先されることなどにより、長距離の物資輸送は困難なことが予想されます。このため、今回の地域防災計画修正素案には、発災後三日間で必要となる食料、生活必需品は、原則として地域内の備蓄などにより対応するところを目標として盛り込んだところでございます。
今後は、区市町村との役割分担等を整理した上で、都と区市町村が連携して、発災後三日分の物資を地域で確保できるよう取り組んでまいります。
○鈴木委員 物資を地域の避難所まで確実に届けるためには、搬送体制の強化も必要です。
職員による物資の搬出入は非効率的であったと聞いておりますが、物資供給においては、特に備蓄倉庫や広域輸送基地などの物流拠点までの効率的な作業が重要であると思います。
物資搬送の効率化に向けた取り組み状況をお伺いいたします。
○川澄福祉保健局長 東日本大震災では、全国から大量の支援物資が被災地に送られましたが、物流の専門家ではない行政職員だけで物資の搬入、搬出を担うには限界があり、避難所への物資の配送に遅滞が生じました。
こうしたことを踏まえ、計画の修正素案には、民間の物流事業者の専門的なノウハウを活用して、支援物資の荷さばき機能の強化を図ることを盛り込んだところでございます。
現在、スタッフや機材の提供など災害時に協力を要請する事項について早期に協定を締結できるよう調整を行っており、民間物流事業者と連携した効率的な物資輸送の体系づくりを進めてまいります。
○鈴木委員 都内においては、当面の物資を供給する仕組みが強化されたということで大変評価しておりますけれども、しかし、被災者の物資ニーズは、時間の経過に伴い刻々と変化するわけであります。
発災直後は、飲料水やパン、クラッカーといった調理が不要な食料に対するニーズが高いわけでありますが、発災から一カ月もたつと、生活用品を中心として多品目にわたって避難者のニーズが発生してまいります。
こうしたニーズに的確に対応するためには、被災した都内だけにとどまらず、広域的に連携して物資を調達できる体制を構築することが必要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○笠井総務局長 大震災の発生時に被災者の生活を支えるためには、そのニーズを踏まえて必要な物資を確保する必要があります。
都はこれまで、東京都生活協同組合連合会との間で、災害時における応急生活物資の供給に関する協定を締結し、物資の調達体制を整えてまいりました。
しかしながら、被災者の多様なニーズや、物流網の寸断への対応が必要となった東日本大震災の教訓を踏まえ、物資の調達ルートを多様化する必要があります。
このため、今後、全国規模のネットワークを持つ小売事業者やメーカーなどと協定締結に向けた検討を進めてまいります。
○鈴木委員 物資の供給に関し、広域的な対応が必要なものとして救援物資の取り扱いも重要であります。
災害時には、都外から大量の救援物資が送られてきますが、東日本大震災では、大量の救援物資によって、かえって物流機能が停滞する事態も発生したわけであります。
都内においても、こうした救援物資の取り扱いについて、現状の物資拠点だけでは不足することも懸念されます。都が被災した場合に、万が一、物流拠点に救援物資が山積みし、荷さばき機能が麻痺してしまうと、避難者の生活に甚大な影響が及ぶわけであります。
こうした事態を回避するため、救援物資を一時的に保管する場所を確保するなど、物資にかかわる広域的な受援の体制を整えることが重要であると考えますが、都の取り組みをお伺いいたします。
○笠井総務局長 被災者に救援物資を確実に届けるためには、物資輸送のかなめとなる物流拠点の機能を確保するなど、救援物資にかかわる受援の体制を整えることが重要であります。
東日本大震災では、被災地において多くの救援物資が集積拠点や倉庫等に滞留し、救援物資にかかわる物流全体の効率性が低下しており、こうした教訓を踏まえ、実効ある体制を構築する必要があります。
このため、都は、救援物資の一時保管場所としての民間倉庫等の活用に向けて、関係団体と協議を進めるとともに、地域防災計画の修正素案において、災害対策本部のもとに、物資対策全般を調整する専管部門の設置を盛り込んだところであります。
こうした取り組みを通じ、広域的な救援物資の円滑な受け入れを実現してまいります。
○鈴木委員 都市施設の耐震化についてお伺いいたします。
東日本大震災では、津波の影響が甚大な被害の拡大につながったわけでありますが、東京湾においても、地形的に大津波は起こりにくいとしても、先般の被害想定の見直しにおいて二メートル強の津波が指摘されております。そこで、想定外となることのないよう、津波、高潮対策について幾つかお伺いいたします。
東京は、日本の首都中枢機能を担っており、万が一にも市街地が水浸しになってしまうと、東京のみならず、日本経済全体に甚大な被害をもたらすことになります。
我が党が出した具体的な提言の中でも、防災対策は、地域の特性をしっかりととらえ、具体的な対策を着実に進めていくことを求めております。特に津波からの被害を防ぐには、東京湾の第一線の防御となる水門や防潮堤の役割が非常に重要となってまいります。そのため、東京湾の水害に備えた水門や防潮堤などの耐震化等について一層の促進を図ることをこれまでも提案してまいりました。
津波や高潮から都民の生活と財産を守り、高度に集積している都市機能を確保するとともに、日本の中枢機能を麻痺させないためにも、東京湾に面する東京港の海岸保全施設の耐震性等のさらなる強化が必要であります。
そこで、さきの東日本大震災や新たな被害想定を踏まえ、地震や津波、高潮に備えた海岸保全施設の強化を着実に進めるための具体的な取り組みについてお伺いいたします。
○多羅尾港湾局長 先般の新たな被害想定では、津波に対しては現行の防潮堤の高さで対応可能ですが、想定地震の規模が従前より大きくなるなど、施設の耐震性の強化が課題となっております。
このため、新たな被害想定で示されたマグニチュード八・二の海溝型地震等、最大級の地震への対策に取り組むべきとした技術検証委員会の提言などを踏まえ、八月に対策の基本方針を取りまとめました。
具体的には、最大級の地震に対する防潮堤等の耐震性の確認を進め、この結果を踏まえて現行の整備計画を年内に見直し、地震、津波、高潮対策を強化してまいります。
○鈴木委員 新たな被害想定を踏まえ、専門家の助言も受け、海岸保全施設の耐震対策を着実に進めていくということはわかりました。ハードの整備には時間がかかりますが、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
あわせて、防災対策を進めていくには、あらゆるリスクを想定し、万全な対策を講じていくことが必要であります。特に水門は、平常時には船舶が航行し開放されていることから、震災時に確実に閉鎖が行われることが、とりわけ重要と考えられるわけであります。
そこで、震災時に水門を確実に閉鎖するために、どのような仕組みでその機能を担保しようとしているのか、お伺いいたします。
○多羅尾港湾局長 委員ご指摘のとおり、水門については、その機能確保のために、何重にも対策を講じることは極めて重要でございます。
水門はこれまで、江東区辰巳の高潮対策センターで集中的に管理することとしておりましたが、東日本大震災を踏まえ、緊急時のバックアップ機能を抜本的に強化するため、高潮対策センターを二拠点化することといたしました。
これにより、一方の高潮対策センターが万が一、機能不全となっても、他方のセンターが全く同等の機能を果たすことで、迅速かつ確実に水門閉鎖を行う手段を確保することが可能となります。
新しいセンターについては、平成二十七年度の稼働に向けて、既に調査、設計に取り組んでおり、あわせて、二つの拠点と各水門を結ぶ通信網を多重化するなど、さらなる機能強化も図ってまいります。
なお、現在も、通常の電力が喪失した場合には、水門操作の動力として非常用発電による電力を備えており、また、万が一、遠隔操作が機能しない事態には、職員が水門に急行し、現場で閉鎖できる体制となっております。
○鈴木委員 水門については、幾重にも閉鎖手段を準備している上、さらにその体制を強化しようとしていることがよくわかりましたが、このような地道な努力を今後とも続け、防災機能の強化を図り、高度防災都市東京を実現してもらいたいと強く要望いたします。
次に、津波発生時の避難対策についてお伺いいたします。
これまでの質疑の中で確認してまいりましたが、施設整備などのハード対策にあわせた、津波発生時の避難対策といったソフトの対策も重要であるわけであります。
特に東京港の水辺は、都民が多く集まるエリアであります。私の地元大田区にもすばらしい海上公園が整備されており、例えば城南島海浜公園などは、砂浜の海岸があり、都民、区民が羽田空港に離発着する飛行機を間近に眺めながら潮干狩りやバーベキューなどを楽しめる場として大いに利用されております。
このような海上公園は、海に直接触れ合える施設となっておりますが、先般公表された被害想定では、最大津波高想定がTP二・六一メートルとなっております。海上公園は、水辺に親しめるという魅力がある一方で、津波等災害時において弱点にもなるわけであります。
これらの施設の管理者である都としても、避難対策の主体である区とともに、子どもから若者あるいはお年寄りまで、さまざまな世代が楽しめる海上公園の利用者への避難対策にしっかりと取り組むべきと考えますが、現在の防災対策についてお伺いをいたします。
○多羅尾港湾局長 海上公園においては、これまで、指定管理者に対し、災害対策マニュアルの策定や防災訓練の実施を指導するなど、震災時における利用者の安全確保に向けた体制の整備に取り組んでまいりました。
ご指摘のとおり、海上公園、特に、大都市東京の中でありながら水辺と直接触れ合うことのできる海浜公園は、その魅力を維持した上での災害対策が重要でございます。
そこで、今年度は、さきの東日本大震災の教訓を踏まえ、東京港野鳥公園において、津波を想定した来園者の避難訓練や情報伝達訓練などの総合的な防災訓練を実施いたしました。
今後、海上公園における実践的な防災訓練などを引き続き実施していくとともに、多様な公園利用者への情報提供の充実に向け、わかりやすい海抜表示や避難経路図の新たな設置を検討するなど、より一層の防災力の向上に取り組んでまいります。
○鈴木委員 我が党の提言の趣旨を踏まえ、都民の命を守る対策を、海上公園においてもしっかりと取り組んでもらいたいと思います。
また、東京港には、首都圏四千万人の生活と産業を支える重要な物流インフラである大井や青海、品川などのコンテナふ頭があり、多くの港湾労働者が荷役作業などに従事しております。
東日本大震災では、八戸港や仙台塩釜港など多くの港が、津波により甚大な被害を受けたわけであります。
東京港においては、さきの東京都防災会議が公表した被害想定によると、東京湾沿岸部の最大津波は、数値を見る限り、コンテナふ頭の岸壁の高さを超えるものではなく、大きな浸水被害は生じないと考えられます。
しかしながら、今回の震災においては、ご承知のとおり、想定外の大津波による多くの人命が失われたわけであり、被災地では、日ごろの訓練のおかげで津波から無事に避難できたとの声も聞かれます。日常の備えが重要であることが改めて認識されたわけでありますが、万が一のときに備え、港湾労働者の命を守り、同時に、発災後のふ頭機能の早期復旧のためにも、コンテナふ頭における津波避難対策を万全にしておくことが必要であると思います。
そこで、今回の震災の教訓を踏まえ、コンテナふ頭における津波避難対策に積極的に取り組むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○多羅尾港湾局長 コンテナふ頭においては、さきの東日本大震災の教訓を踏まえ、津波に対する港湾労働者の安全確保に万全を期するため、従来の防災対策に加え、今年度初めて、津波を想定した実践的な避難訓練を実施いたしました。
訓練は品川コンテナふ頭において行い、津波警報を聞いた港湾労働者が避難場所までおおむね二十分で避難を完了するなど、避難誘導の有効性を確認することができました。
今後とも、港湾関係団体などと連携し、実践的な避難訓練を実施していくとともに、避難誘導体制のさらなる強化に向け、放送設備の拡充を検討するなど、津波発生時における港湾労働者の安全確保の向上に取り組んでまいります。
○鈴木委員 発災後の都民生活を支える対策の強化など、まだ幾つか質問させていただきたいわけですけれども、また別の機会にさせていただきたいと思います。
○大津委員長 鈴木章浩委員の発言は終わりました。
興津秀憲委員の発言を許します。
○興津委員 それでは私からは、質問が多岐にわたっておりますので、多少、質問の方を整理整とんさせていただきまして、まとめて質問させていただきたいと思います。
今回の地域防災計画の見直しに当たりまして、報道によりますと、都総合防災部は、災害が起きても首都が活動をとめることは許されない、市民が早く生活を取り戻すことで都市機能や経済活動を維持し、災害に強い高度防災都市を実現したいとされています。まさしくこのことこそが、都が取り組むべき重要な施策であると思います。
今回、具体的な施策も盛り込まれておりまして、都民の安心・安全の確立のために前進していることと存じます。これを踏まえまして、多方面になりますが、以下、何点か質問並びに確認、要望も添えたいと存じます。
まず、自助、共助、公助を束ねた地震に強いまちづくりについてです。
都のいう自助、共助を推進していくためには、地域住民が自発的に組織する自主防災組織の活動の活性化が不可欠です。
自主防災組織の支援、育成は、一義的には基礎的自治体である市区町村が担っています。
例えば、私の在住する国分寺市では、防災まちづくり推進地区という事業をもう三十年以上も継続しており、現在十一地区あり、市と地域が一体となって地域の防災活動の充実に取り組んでいます。
この防災推進地区は、安全で住みよいまちづくりを実現するために、具体的には、一、地区単位の防災コミュニティづくり、二、市民と行政が協力して地区の防災計画をつくる、三、市民の意向と合意を基本とした安全な環境づくり、四、災害時における市民の活動体制づくり、この四点を目標にして活動しています。
そして、地区団体と市は、役割などの違いはあるにせよ、対等の関係にあり、その役割は、一、地区住民の共同あるいは合意で行うもの、二、地区住民と市及び関係機関と協力して行うもの、三、市あるいは関係団体が行うものに分けて、それぞれの地域に合った防災まちづくりを進めています。
この経験から、やはり行政の力は非常に重要であろうというふうに感じているところです。月に一回の会議、そして会報の発行、避難訓練に至るまで、行政との連絡は非常に重要な要点であると考えています。
今回、都においても、大都市東京における共助の仕組みとして、地域において意欲的な防災活動を行う団体を、東京防災隣組として三十六団体を認定し、広く都内に普及していくとしています。私は、組織立ち上げ後の継続に向けての活動こそが重要な視点であると考えています。
都は、こうした東京防災隣組の活動をさらに活性化すべく、防災隣組の活動の継続、充実に向けて、具体的な支援策をどのようにお考えなのかお尋ねいたします。
引き続きまして、消防団についてであります。
消防団は、地域の実情に精通した防災の担い手として、発災時に大きな力を発揮されています。現在、都全域で九十八の消防団があり、約二万四千五百名の団員が所属していらっしゃいます。市区町村において活動されている皆様は、生業をお持ちの傍ら、消防団活動に日々努力いただいているところであり、心から感謝を申し上げるところであります。
一方、こうした重要な役割を果たす消防団が直面している課題が、人材の確保、育成であります。
近年の核家族化あるいは地域コミュニティの欠如において、消防団員の確保が徐々に困難になってきており、現在、消防団員の定員割れの地域もあると聞いています。団員の確保という切実な問題の解決に向けて、具体的な手だてを講じることが重要です。
今回の計画修正素案でも、消防団員の定員の充足が課題であり、欠員となっている約二千人の団員の確保や人材育成を進めていく旨が明確に示されました。
組織を支えるのは人であり、消防団においても同様です。地域の共助の中心となる消防団の人材の確保、育成に向けて、都は今後どのように取り組んでいくか、お尋ねいたします。
さて、引き続きまして、罹災証明です。東京都版被災者支援システムについてお伺いいたします。
過日の当委員会でも私の方で取り上げさせていただきましたが、被災者支援システムの構築は、災害発生前においてこそ準備しておくべき重要な施策であると考えています。
昨年の東日本大震災では、罹災証明の発行が大幅におくれたため、被災者のもとに生活再建の資金や義援金の給付が滞ったという記事が連日報道されました。罹災証明の発行は、被災者が生活再建を始めるための第一歩であり、その発行のおくれは生活再建に大きな影響を与えてしまいます。
今回想定されている四つの地震発生時においても、都内市区町村においても迅速に罹災証明書を発行することは、生活再建支援を進める上で極めて重要であります。したがって、都は、それらの課題を解決するため、東京都版被災者支援システムを開発し、今年度、中央区、新宿区、豊島区が本システムを導入するというふうに伺っています。
このシステムは、罹災証明書の発行を大幅に迅速化し、さらに、同時に構築される被災者台帳は、被災者の現状を一元的に市区町村が把握できるものと伺っています。
今後、多くの人口を抱える都内市区町村にとって、このシステムの導入は必要不可欠なものであります。都は、システムの必要性について、より積極的に市区町村に働きかけ、その早期導入を図るべきと考えていますが、都の取り組みにつきましてお伺いいたします。
引き続きまして……(「一問ずつじゃないの」と呼ぶ者あり)局について質問しています。
次は、帰宅困難者対策です。
東日本大震災時には、首都圏では約五百十五万人の帰宅困難者が発生し、大きく混乱したことは、今でも記憶に鮮明に残っています。
首都圏において最大の鉄道会社であるJR東日本は、早々と発災当日の運転再開をあきらめ、駅のシャッターを閉め、お客様を締め出すなど、およそ公共的な責務を担う鉄道事業者としてはあるまじき行為を行い、都民からの批判を浴びたところです。
その後、JR東日本は、災害対策基本法に定める国の指定公共機関であり、同法に基づく防災業務計画を策定しております。本年六月には、この防災業務計画を改正し、駅における帰宅困難者対策を盛り込んでおります。
また、都と国が設立した帰宅困難者等対策協議会の構成員として参加し、先般、協議会の最終報告が取りまとめられ、その中で、JR東日本は、防災業務計画に基づき、駅での待機場所の指定、備蓄の準備、地元自治体との連携について、取り組み状況が盛り込まれています。
そこで、JR東日本を初め鉄道事業者に、東京都帰宅困難者対策条例の実効性を踏まえ、いかに利用者保護を徹底させていくか、都の見解を伺います。
総務局さんにつきましては最後になりますが、次に、情報提供についてです。
東日本大震災では、電話のふくそうなどにより携帯電話等の通話ができず、これが混乱に拍車をかけた面があります。
これに対して、都は、本年二月、三ターミナル駅での帰宅困難者対策訓練、九月の目黒駅での訓練でも、エリアメール、SNS、デジタルサイネージなどの多様な情報提供手段を活用しております。これは一定の効果もあらわせました。
メール配信サービスの一環として、例えば国分寺市でも実践している生活安心・安全メールのように、都民に向けた各種情報を提供する一斉メールシステムの構築を要望いたします。
しかし、反面、私は、このようなデジタル系の情報提供手段ばかりに偏るのは、災害時には、かえって危険ではないかというふうに懸念しております。電子機器にふなれな方々もいらっしゃいますし、高齢者や障害者など災害時要援護者には伝わるのか、停電などになれば機能を停止する可能性も否定できません。
そこで、拡声機や紙などによる掲示板などの、いわゆるアナログ的な手法にも目を向けるべきではないかと思います。東京都の見解を伺います。
以上、よろしくお願いします。
○笠井総務局長 五点の質問にお答えをいたします。
まず、防災隣組への支援策についてでございますけれども、地域住民による自助、共助の取り組みを推進していくためには、地域防災の中核としてその牽引役を担う東京防災隣組の活動をさらに充実させていくことが重要でございます。
こうしたことから、都はこれまでも、東京防災隣組の認定団体同士の情報交換やノウハウ共有の機会を設けるなど、行政区を越えた防災隣組の自主的なネットワークづくりを促進することで、その活動を支援してまいりました。さらに今後は、認定団体における防災活動のより一層の充実に向け、専門的な見地からアドバイスを行う仕組みについても検討してまいります。
こうした支援を通じ、東京防災隣組の活動の継続や、さらなる活性化を図ってまいります。
次いで、消防団についてでございますが、消防団は、地域における共助の中核的役割を担う団体であり、発災時にその能力を十分に発揮するため、団員の確保や育成を着実に推進する必要があります。
このため、都はこれまでも、市区町村との役割分担のもと、団員の確保や消防訓練所での教育訓練など、消防団活動の支援を行ってまいりました。
今回の地域防災計画修正素案では、こうした取り組みも含め、人材確保や技能向上など多面的に消防団の活動を支援し、その体制の強化を推進することとしており、引き続き、団員確保に向けた幅広いPR活動の検討を進めるなど、東京消防庁や市区町村と連携して消防団の人材の確保、育成に努めてまいります。
次いで、生活早期再生策についてでございます。
都は、東京都版被災者支援システムの開発を推進して二十三年度に完成させ、現在、本システムの市区町村への導入促進に向けた取り組みを行っております。具体的には、昨年度、豊島区と調布市において実証実験を行ったほか、本年八月に、罹災証明に必要な住家被害認定調査等の研修を、三十を超える自治体の参加を得て行いました。また、九月の総合防災訓練では、罹災証明書の円滑な発行の手順やシステム操作のための訓練を実施し、多くの自治体職員に対し、システムの有効性を周知したところであります。
今後とも、さまざまな機会を活用し、本システムの必要性や有効性について周知を図るなど、市区町村への働きかけを積極的に行ってまいります。
次いで、鉄道事業者への利用者保護の徹底についてであります。
大量の帰宅困難者の発生など、発生時の混乱を防止するためには、企業等における従業員の施設内待機に加え、駅などの集客施設において利用者を保護することが不可欠であります。
そのため、都は、本年三月に制定した東京都帰宅困難者対策条例におきまして、駅や集客施設での利用者保護の徹底を規定したところであります。
この条例の具体化を図るため、鉄道事業者も参画した帰宅困難者等対策協議会において議論を重ね、駅などの集客施設における誘導方法や、要援護者への対応などを盛り込んだ利用者保護ガイドラインを策定いたしました。
今後、都は、鉄道事業者に対し、このガイドラインを踏まえた防災計画等の策定を働きかけるなど、駅における利用者保護の徹底を図ってまいります。
最後に、アナログ的手法での情報提供でありますが、多くの帰宅困難者に適切な時期に正確な情報提供を行うためには、デジタル、アナログを含めた多様な情報提供手段を活用していくことが重要であります。
このため、都は、従来の防災ホームページに加え、市区町村とも連携して、エリアメール、ツイッターなど複数の情報提供ツールを整備してまいります。また、お話の停電時を想定した掲示板の利用など、あらゆる手段を活用し、帰宅困難者に対し、正確な情報を提供してまいります。
○興津委員 ご答弁ありがとうございました。
防災隣組に関連してですけれども、この認定に引き続きまして、その後の継続的な支援こそが重要であるというふうに私は感じております。したがいまして、その継続した支援、また、新たに組織を立ち上げようとする地域団体さんに向けた組織づくりのマニュアルづくりとか、あるいは立ち上げの支援策も視野に入れて、今後検討していただければなというふうに思います。
そして、消防団員ですけれども、今回の計画では、女性の視点を生かした重要な施策もございます。近年では、女性にも入団いただいている消防団もありますけれども、女性団員の入団についても視野を広げ、また、本会議でのご答弁にあったと思いますけれども、今回もありましたが、消防機器の不足も指摘されています。この消防機器についての装備の増強は、限りなく早く整備を進めていただきたいというふうに思っております。
若干、関連するんですけれども、生活用水ということなんですが、現在、東京都では、飲料水の確保は整えられているというふうに伺っています。しかし、生活用水は一人一日二百リットルを使うというふうにいわれています。そこで、生活用水としての井戸水の活用は、災害時に給水が途絶えたときには、地域の重要な生活用水の給水拠点となると考えております。また、東日本大震災のときには、津波でこうむってしまった泥などの洗浄に、簡便な海水の淡水化プラントが大きく貢献したというふうにも伺っています。都において、災害時の井戸水並びに海水の淡水化プラントにおける生活用水の利用についても視野に入れて検討をしていただければというふうに思っております。
また、ガソリンなんですけれども、さきの大震災のときには、物資輸送に欠かせないガソリンの不足が都民生活に重大な影響を与えたことはご記憶に新しいところと存じます。
給油ができずに大変苦労した車両がまちにあふれました。燃料の補給は、緊急車両が第一義的に優先されるべきとは思います。しかしながら、都民生活を支えている生活資材の運搬は、民間業者も大きな役割を持っています。緊急車両への燃料補給の次には、生活物資の運搬にかかわる車両への燃料供給は欠かせない事態であります。
国家備蓄とか国との整合性もあるとは思いますが、運送用のトラックに対しての燃料補給策を考えておくべきだと思いますので、要望させていただきます。
総務局さんの関係で最後なのですけれども、本計画の広域的に連携して実施する対策の中に、自衛隊、警察、消防の応援部隊の主な活動、進出拠点、広域医療搬送拠点、救出救助の活動拠点となる都立公園が示されています。多摩地区においては、立川の防災センターに、自衛隊、警察、消防の応援部隊の主な活動、進出拠点、広域医療拠点が定められています。
しかし、救出救助の活動拠点となる多摩地区三カ所の都立公園は、多摩東部に集中しており、人口、住民の多い八王子市、町田市、青梅市など多摩西部、南部を中心とした地域には、国、政府の防災会議による計画に基づいて、高速道路のインターチェンジや市立公園などが活動拠点となる対策はあるものの、都が指定した救出救助の活動拠点となる都立公園は一カ所もありません。
活動拠点となる都立公園の指定は、被災、災害状況などの想定、具体的な施設にかかわる利用方策の検討や道路などのインフラ整備状況、都の総務局、建設局を初めとする各局や地元市区町村、並びに自衛隊など救助部隊等との調整など、さまざまな検討が必要であることは理解しています。
しかしながら、新たな被害想定では、多摩地区でも揺れの強い範囲が広がっており、命を守る組織の強化、充実が必要なのは、東京都全域どこであっても変わることはありません。ぜひ多摩西部、南部地域への大規模救出救助拠点の拡充に向けて積極的に検討していただきたいと強く要望させていただきます。これは要望で終わります。
次から一問一答にさせていただきます。
次に、災害緊急時において、道路に倒壊した家屋などの障害物除去についてです。
災害時の緊急的施策として、救急救護活動はもとより、緊急物資の輸送を行うためにも、早急な障害物除去作業は、通行路を確保し、緊急車両の通行並びに都民の生命を守るためにも極めて重要であります。そのため、第一次、第二次交通規制の実施、緊急車両等の確認、道路、橋梁の情報収集、そして緊急道路障害物除去が必要になり、その対策が進んでいることと存じます。
今回の計画見直しにおいては、緊急道路障害物除去作業に当たり、被害の規模や状況によっては自衛隊に支援を要請するとありますので、円滑な支援を受けられるよう、事前から十分な調整を行っていただきたいと存じます。
さて、さきの大震災におきましては、災害時の協定を結んでいた地元建設業者による障害物除去作業が発災直後から開始され、その後の復旧に当たり、大きな力となったと聞いています。緊急輸送道路の障害物除去作業には、地元協力業者や各種団体との協力が不可欠であり、事前に災害時協定を結び、実施することこそが重要だと考えています。
そこで、都内の緊急輸送道路の大半を占める都道における障害物除去作業について、現在の都の取り組みについて確認させていただきます。
○村尾東京都技監 震災時の都道における障害物除去作業は、迅速な救急救援活動や早期の復旧、復興を着実に行うため、極めて重要でございます。
建設局では、阪神・淡路大震災を契機といたしまして、建設業団体などと資機材や労力の提供などに関する具体的な項目を定めた協定を結び、現時点で約五百者の地元協力業者により、早期に障害物除去を行う体制を整えております。
また、毎年、地元協力業者との間で作業割り当て区間を定め、障害物除去作業マニュアルに基づき、具体的な作業内容を確認するとともに、総合防災訓練などにおきまして障害物除去作業を合同で実施し、相互に習熟度を高め、防災対応力の向上を図っております。
○興津委員 ありがとうございます。発災時においては、緊急交通路以外にも障害物は発生いたします。むしろ、市区町村道等、いわゆる生活道路の方が障害物の発生箇所が多いのではないかと思われます。この生活道路は市区町村の管理になりますが、まさしく、家屋倒壊などにより助けを求めている方のところに、それこそ一分一秒を急ぐ必要が発生する場合もあります。その際には、日ごろより大型、小型の重機などを地域で運用されている方々のご協力も視野に入れて、各種団体、協会様と事前に東京都が包括的な災害協定を結び、微細は市区町村の個々の判断にゆだねていく準備を行っていてもいいのではないかと思っておりますので、この点に関しては要望とさせていただきます。
次に、土砂災害対策についてお伺いいたします。
都が四月に公表した被害想定では、新たに立川断層帯地震が対象地震として加えられ、またフィリピン海プレートの上面の深さが従来よりも浅くなったことから、多摩直下地震についても、以前の想定よりも震度が強くなっています。多摩都民は、こうした想定結果に対して不安を感じている方もふえ、都としても多摩地域における防災対策をしっかりと推進していただきたいと思っています。
そこでまず、多摩地域の土砂災害対策についてお伺いいたします。
ことしも既に、福岡県や熊本県などで、気象庁がこれまでに経験したことのない大雨と表現する豪雨により、急傾斜地崩壊や土石流等の土砂災害が約七百件発生し、死者、行方不明者も二十名を超えています。東京においても、今週初めに台風十七号が関東地方を直撃し、強い雨や暴風雨に見舞われたところであります。
東京都西部には山地があり、多摩地区には丘陵地帯が広がっております。土石流危険渓流、土石流危険区域、地すべり危険箇所、急傾斜地崩壊危険箇所といわれる土砂災害危険箇所の多くは、青梅市等多摩西部、また、八王子、町田市等多摩南部に数多く分布しております。都民のベッドタウンとしての多摩地区にこれだけの多くの危険箇所があるということは、被災した場合において、人的被害想定は、大変多くの方々の生命、財産を奪うのではないかと危惧いたしております。
現在、徐々に多摩西部が土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域の指定が行われていると伺っていますが、都民の生命、財産を守るために危険箇所を周知するとともに、重大な危険箇所などは、対策工事並びに事前の地質調査などもあわせて行っていくべきではないかと思います。
そこで、都の多摩地区の土砂災害への取り組みについてお伺いいたします。
○村尾東京都技監 集中豪雨や台風などによる土砂災害から都民の生命や財産を守るため、都は、ソフト、ハード両面からの対策を推進しております。
ソフト対策といたしましては、がけ崩れなどが発生した場合に危険が生じるおそれのある範囲を土砂災害警戒区域などに指定し、都民が安全な避難行動をとれるよう、区市町村による警戒避難体制の整備を促進しております。
区域指定は平成十七年度から順次進め、平成二十三年度末までに多摩地域で約四千カ所を指定しており、引き続き指定の拡大に取り組んでまいります。
また、ハード対策として、土石流やがけ崩れの危険性が高い箇所や、過去に災害が発生した箇所において、事前に地質調査を実施した上で、砂防事業や急傾斜崩壊対策事業などを実施しております。
今後とも、関係自治体と連携して土砂災害対策を推進し、安全・安心な都市東京の実現を目指してまいります。
○興津委員 ありがとうございます。
次に、瓦れき処理対策です。
さきの大震災における瓦れきの処理対応を、東京都はいち早く行動に移されました。東日本大震災において被災された地域においては、瓦れき処理は生活復興期の重要な案件であり、政府は懸命な努力をしていますが、膨大な量であり、一年半以上経過した現在でも大変大きな問題であります。
都環境局といたしまして、瓦れき処理部会を立ち上げ、その対応を進めていかれると存じております。そこには、市区町村の被害状況や委託要請を踏まえ、一時集積所を確保しとありますが、想定されている四つの地震において、東京都も一時集積所の想定を図っておられるのでしょうか。また、さらには長期的視野に立った最終処分場の準備をどのように考えていらっしゃるのかお伺いいたします。
○大野環境局長 これまでの東京都地域防災計画では、一般廃棄物の処理自治体である区市町村が震災発生後に行うべき対策や、それに対する都の支援について定めてまいりました。
しかしながら、東日本大震災の経験を受けまして、瓦れき処理につきましても、震災発生前の予防対策の重要性が明らかになったところでございます。
それで、都は、今年度、処理自治体である区市町村が実践的な瓦れき処理マニュアルを作成できるように、宮城県及び仙台市の職員を講師にお招きしまして、その経験やノウハウを共有する区市町村職員向けの勉強会を四回開催しております。
また、区市町村を越えた広域的な処理が必要となることから、新たな地域防災計画では、区市町村の被災状況や、都への瓦れき処理の委託要請を想定し、都としても、あらかじめ一時集積場所や最終処分場の候補地を選定しておくことといたしました。具体的な候補地につきましては、今後、オープンスペースの利用見込みや、最終処分場の残余容量等も勘案し、関係者と調整を図ってまいります。
○興津委員 ぜひこの一時集積所等に関しましては、地元の市区町村と従前の打ち合わせを先駆けて行っていただきたいと思います。
それでは、次に、医療機関との連携についてお伺いいたします。
避難所における災害時要援護者対策についてお伺いいたします。
一時避難所には、高齢者や障害者など災害時要援護者も避難されます。要援護者は、一義的には市区町村が把握をし、その救護対策を進めるところでありますが、その支援体制を事前に市区町村と共同して準備を進めておくべきと考えています。
要援護者の中には、要介護度や障害の程度により、市区町村の判断により、発災時には、一時避難所ではなく医療機関や福祉避難所に避難誘導するとされていると思いますが、一時避難所において、要援護者の中に障害をお持ちの方々への支援を踏まえた支援がなされることは重要であると思います。
東日本大震災では、障害児者を持つ家族が、周囲への気遣いから避難所で孤立化したり、いづらくなって、食料等の十分な支援もない自宅へ戻ったという例もあったと聞いています。特に、障害が見た目にはわかりづらい精神障害をお持ちの場合などは、環境の変化に適応しにくく、不眠に陥るなど症状が悪化する場合もあり、それが周囲の方々にとっても負担になり、周囲の皆さんの理解を得られず、つらい思いをすることも十分に考えられます。障害児者を家族に持つ都民の中には、そうした不安を抱えていらっしゃる方も少なくないと思います。
さきの大震災の際、東京都でも避難者を受け入れてまいりましたが、この経験を踏まえ、避難所における精神障害児者に対する支援をどのように考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
○川澄福祉保健局長 東日本大震災の際、都が設置した東京武道館などの避難所におきましては、避難者の健康相談に応じるため、保健相談室を開設し、精神面の専門的な支援が必要なケースにも対応してまいりました。また、精神保健福祉センターの医師、保健師等の専門職が避難所を訪問し、保健相談室と連携して、相談や病状の見立てを行うとともに、医療機関への受診に同行し、必要に応じて入院へつなげるなどの支援を実施いたしました。
地域防災計画の修正素案では、都は、精神疾患の発症や急変に対応するため、巡回精神相談チームを編成し、区市町村の保健活動班と連携を図りながら避難所等に派遣することとしており、災害発生時には、東日本大震災での経験を踏まえ、医療機関とも連携し、避難所におけるきめ細かな支援を行ってまいります。
○興津委員 ありがとうございました。
次に、災害医療コーディネーターを中心とした情報連絡体制についてお伺いいたします。
今回、想定されている地震が発生すれば、瞬時にして膨大な数の方々が被災し、負傷者への対応が迫られることになります。その例を見るまでもなく、発災直後は、行政機関自体も被災するなど、さまざまな混乱から、被害の全容把握に時間を要し、情報発信もおくれ、医療救護活動が必ずしも円滑に行われない事態も想定されます。
そのため、都は、東日本大震災の教訓を踏まえ、災害時において円滑に医療機能の確保を行えるよう、本年一月に東京都災害医療コーディネーターを任用し、五月には、二次保健医療圏ごとに十二名の地域災害医療コーディネーターを任用したと伺っております。
今後、コーディネーターを中心とした情報の一元化の体制整備と、各医療機関との情報交換に向け、どのように取り組んでいらっしゃるのかお伺いいたします。
○川澄福祉保健局長 災害発生時に迅速かつ的確に医療救護活動を行うためには、都全域の被害状況や医療資源の情報を、司令塔である東京都災害医療コーディネーターのもとに一元的に集約し、東京DMATや医療チームをいち早く現地に派遣することが重要でございます。
そのため、各地域の災害医療コーディネーターは、通常の電話回線に加え、防災行政無線、衛星電話、広域災害救急医療情報システム等、さまざまな通信手段を活用して医療機関と連絡をとりながら、最新の情報を都のコーディネーターに逐次報告し、相互に共有することとしているところでございます。
今後、情報連絡手段の具体的な運用方法を検討するとともに、訓練等により検証を行い、実効性のある情報連絡体制を整備してまいります。
○興津委員 ありがとうございます。まさしく今回の計画素案では、すべての医療機関との連携がうたわれています。発災時には医療機関同士の連絡体制も重要でありますので、いざというときに実効性のある情報連絡体制の確立をぜひともお願いいたします。
次に、東日本大震災においては、多くの犠牲者が発生し、不幸にもお亡くなりになられた方の検案のため、都では、監察医務院から多数の医師を派遣し、貢献したというふうに聞いております。
発災時において迅速な検案活動を実施するためには、検案医等の平時からの研修体制整備が必要であると思います。
そこで、東京都医師会とのご協力のもと、検案医の確保に向けた東京都の取り組みについて伺います。
○川澄福祉保健局長 東京都二十三区は、死因が不明な死体を検案、解剖する監察医を置くべき地域として政令で定められており、都は、独自の組織として監察医務院を設置しております。
監察医務院では、全国的に法医学の医師が少ない中、常勤医師に加え、大学医学部等の協力を得て非常勤医師を採用し、後継医師の確保に努めているところでございます。また、検案医を育成するため、平成二十二年から、医師会や大学の法医学教室と連携し、検案実技も取り入れた研修を実施しております。
大規模災害時に備えるためにも、今後とも検案医の育成に努めてまいります。
○興津委員 ありがとうございます。ぜひ進めていっていただきたいと思います。
次に、病院が保有する放射性同位元素の安全管理についてです。
都内には、細菌、ウイルスや、放射性同位元素、ラジオアイソトープ、RIを扱う医療機関や研究機関が存在しています。そうした施設における管理体制の徹底や、事故、災害等の緊急時の対応については、法の定めにより国が管轄しているというふうに承っています。
細菌、ウイルスは、厚生労働省が、病原体の所持の許可及び届け出、取扱施設の施設基準、病原体等の適正管理、立入検査並びに事故対応等を所管しています。また、放射性同位元素については、文部科学省が使用の許可、施設、検査及び事故対応を所管し、それぞれの対応を定めることにより、それぞれ国が厳重に安全を確保しているというふうに認識しております。
さらに、病院が取り扱う診療用放射性同位元素、RIについては、病院を管轄する東京都がその安全を確保しています。
しかし、住民の中には、災害発生時にそうした施設が被災すれば、人体に大きな影響を与える物質が飛散するのではないかと不安を募らせる都民さんもいらっしゃいます。
そこで、特に東京都が所管する病院のRIについて、取扱病院数と、都が実施している安全管理体制についてお伺いいたします。
○川澄福祉保健局長 都内には、診療用の放射性同位元素、RIを使用している病院が、現在、百六施設ございます。
都は、これらの施設に毎年立入検査を実施し、機器の保守点検の状況や、定期的な空気中のRI濃度の測定記録の状況等、安全管理体制を確認しているところでございます。
また、東日本大震災後は、災害発生時の対応マニュアルの整備や訓練の実施状況等についても確認をしております。
さらに、地域防災計画の修正素案におきましては、災害時の放射線等使用施設への対応につきましても定めており、施設に被害が発生した場合には、RI管理測定班を編成して放射線の測定、危険区域の設定、立入禁止措置を行い、地域住民の不安除去に努めることとしているところでございます。
○興津委員 最後のRIですけれども、本当に都民の方々が、ウイルスとか細菌の飛散というものに関して、非常に敏感になっていらっしゃると思います。今回、このRI管理測定班については、時間の関係もありまして、質問の方は差し控えますけれども、この班が迅速な編成ができ、そして、日ごろより準備をしていただいて、また、国、政府の厳重な管理体制下ではありますけれども、万が一、このような事故が起きた場合には、地域住民の避難誘導、その後の対策についてもご準備いただきたいというふうに心からお願いをさせていただきます。
最後になります。BCPについてであります。先ほど、BCPにつきまして質問がございましたので、質問に関しましては割愛をさせていただきます。
しかしながら、私の方の視点といたしましては、今回のこのBCP対策の策定は非常に重要でありまして、東京都内、都直接では、二年間で百十件という制定でしか現在ところありません。しかしながら、一方、この百十件は、都のモデル事業としての件数でありますので、今後とも、このBCP策定に向けて努力していただきたいというふうに思っているところであります。
と同時に、このBCP策定に関しましては、会社内におきまして、三日間等の飲料水とか食料を備蓄するという観点もありますので、この条例に基づいた中で、都民の安全に大きく貢献することと思いますので、ぜひ強力にBCP策定事業推進をお願いいたします。
そして、中小企業対策ですけれども、被災した中小企業が事業再建に当たって直面するのが二重債務問題です。復興に向けて事業所や工場等を建て直し、新たな一歩を踏み出そうとしても、被災前の借入金の返済負担を背負いながらでは、その道のりは大変困難なものになります。東京において大規模災害が起こった場合に、この問題についてはどうなるのか、中小企業経営者の方々は大きな不安を感じています。
東日本大震災においては、政府の主導で、被災県ごとにワンストップの相談窓口が立ち上げられ、事業再生の相談に応じるとともに、被災前の借入金債務を金融機関から買い取る公的機関に案件をつなぎ、旧債務の解消を図りつつ事業再生を支援する流れがつくられています。
新聞報道によりますと、政府が立ち上げた東日本大震災事業者再生支援機構の中小企業支援案件が着実に積み増しをしており、事業者のバックアップとともに、復興への大きな足がかりになっていることと認識しております。また、税の減免策は、国における震災特例法成立を受け、税の延納、減免、免除、還付などの施策が着実に行われており、東京都においても延納、減免等の施策を行っていらっしゃいます。
二重債務等への対応は、財源の問題や金融機関との連携も必要であり、国が中心になって行うべきものではありますが、東京都といたしましても、この前例に学びまして、いざというときには国と協力をし、二重債務問題、税の減免施策等に対して速やかに必要な対策がとられるようにすべきであることを最後に要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○大津委員長 興津秀憲委員の発言は終わりました。
早坂義弘委員の発言を許します。
○早坂委員 首都直下地震の被害想定によると、最悪の場合、九千七百人の死者が発生するとされています。その四割が火災による焼死であることをかんがみれば、火災対策の充実が、首都直下地震から命を守るための重要なポイントであります。
歴史を振り返れば、我が東京は、ここ百年のうち二度の大火災に見舞われています。その一つは八十九年前、大正十二年関東大震災であり、もう一つは六十七年前、昭和二十年東京大空襲です。どちらも一日ないし二日間で十万人を超える焼死者を出す結果となりました。
当時の記録を見ると、余りのおぞましさに胸が悪くなるような思いがいたします。東日本大震災は千年に一度といわれましたが、関東大震災も東京大空襲も、わずか百年足らずの出来事です。もう二度とこのような大火災を起こしてはなりません。
墨田区にある江戸東京博物館のほど近くに横網町公園があり、この二つの大火災に対する慰霊堂と復興記念館が設置をされています。貴重な資料が所蔵されているにもかかわらず、近年まで十分な整理がなされていなかったこともあり、ここを訪れる人は多くはありません。現地を訪ねてみると、展示物に対する解説が乏しく、それゆえに、二つの大火災がどのようなものであったのか、あるいは、そこから学ぶべき教訓が何なのかがわかりにくいと感じました。
首都直下地震の発生が切迫する今日、関東大震災、東京大空襲の二つの大火災を改めて見直すことが必要であります。
そこで、横網町公園の管理者である東京都は、復興記念館の展示についてどのように考えているのか伺います。
○村尾東京都技監 横網町公園の復興記念館には、関東大震災や東京大空襲による火災の熱で変形した懐中時計などの遺品を初め、炎に巻かれる人々を描いた絵画や写真、図表などを展示しております。これら二つの大火災がもたらした被害の状況、そこから学ぶべき教訓や復興に向けての歩みなど、都民にわかりやすい展示とするため、都は、指定管理者である公益財団法人東京都慰霊協会とともに検討会を立ち上げました。
具体的には、展示品の充実、解説板の設置、展示室のレイアウト、順路などにつきまして見直しを行う予定でございます。
なお、来年は関東大震災から九十年でございまして、九月一日には記念事業を実施する予定でございます。
こうした取り組みにより、多くの来館者を迎え、関東大震災などの惨事を後世に伝えるとともに、都民の防災意識を高める記念館としてまいります。
○早坂委員 もう一つ、墨田区にある施設について伺います。
墨田区は、木造住宅密集地域が大規模に広がり、延焼危険度が非常に高い地域です。東京都は、昭和四十年代に地域開発構想をまとめ、長い時間をかけて白鬚東地区に大規模な防災団地をつくりました。防災公園や三千立方メートルに及ぶ貯水槽などを設けた立派な施設です。
この白鬚東地区は、東京都が整備した防災都市づくりの代表例でありましたが、時代の変遷とともに、この施設の位置づけは地域防災計画からなくなりました。また、施設の老朽化に伴い、貯水槽などの維持更新が大きな課題となっています。
本年八月、我が党の桜井浩之議員を初めとする墨田区選出の東京都議会議員、さらには墨田区長、墨田区議会議長、地元住民の皆さんなど、オール墨田のメンバーで、この白鬚防災団地を改めて地域防災計画にしっかりと位置づける旨の要望が東京都に対してなされました。貯水槽など防災設備の維持更新、都立公園の設備の充実、災害時の行動マニュアルの作成などがその内容です。
これに対して、東京都からは、この要望を墨田区の総意と受けとめ、検討を進める旨の表明がなされました。
そこで、東京都は、墨田区の総意としてのこの白鬚東防災拠点に対する要望をどのように受けとめ、今後対応していくのか伺います。
○笠井総務局長 白鬚東地区は地域住民の避難場所として指定され、備蓄倉庫や貯水槽などを備えた防災上の拠点として高い防災機能を有しております。首都直下地震等の発災時には、こうした機能を最大限に活用していくことが重要であると認識をしております。
このため、今回の地域防災計画の修正素案では、本地区を地域の防災上の拠点として位置づけた上で、既存の施設等の活用を基本方針として明確に示し、発災時に給水拠点として活用できる貯水槽などについて適切に維持管理、更新を行い、機能の確保を図ることとしております。
お話のご要望につきましては、地元区や住民の意向を踏まえながら、災害時行動マニュアルの作成を含め、本地区の防災機能が最大限に発揮されるよう取り組んでまいります。
○早坂委員 さて、東京における震災対策のポイントは、木造住宅密集地域の解消にあります。東京都は、本年一月より木密地域不燃化十年プロジェクトに取り組んでいますが、その柱は三つです。第一に、地域の耐震化、不燃化を進めること、第二に、延焼遮断帯となる道路を整備すること、第三に、住民の意識啓発を進めることであります。
このうち第二の延焼遮断帯となる道路整備に関して、東京都は、整備地域七千ヘクタールにおいて特定整備路線を整備することとしています。特定整備路線については、先日の我が自民党代表質問に対し、間もなくすべての区間が公表されるとの答弁がございました。
目標として掲げられた二〇二〇年度までの八年間で特定整備路線を整備するためには、スピード感を持って強力に推し進めなければなりません。今後、公表する区間も含めて、特定整備路線の速やかな事業化を図っていくとともに、移転が必要となる住民への支援が不可欠であります。
そこで、特定整備路線の整備に向けた取り組み状況を伺います。
○村尾東京都技監 特定整備路線は、震災時に特に甚大な被害が想定される七千ヘクタールの整備地域の防災性の向上を図る都施行の都市計画道路でございます。
都は、六月に、二十三区間、延長約二十三キロメートルの特定整備路線の候補区間を公表し、道路構造の検討を進めるとともに、地元区と調整会議を設置するなど、事業化に向けた取り組みを進めております。
また、一定の道路幅員が確保されている概成区間等につきまして、延焼遮断効果の詳細な検証などを行い、すべての候補区間を今月中に公表いたします。
特定整備路線の整備を加速するためには、関係権利者の建物の再建や移転先の確保が重要なかぎとなります。そこで、生活再建に向けたサポート体制の充実を図るなど、特別の支援策の制度案を年内に示すとともに、準備が整った路線から速やかに地元説明会を開催し、測量に着手いたします。これにあわせ関係権利者の意向を確認し、きめ細かく対応するとともに、事業効果の早期発現のため、土地収用制度の機動的、積極的な活用も図りながら事業を進めてまいります。
今後とも、地元区と連携を図りながら、命を守る道となる特定整備路線の整備に全庁を挙げ全力で取り組んでまいります。
○早坂委員 次に、第三の住民の意識啓発に関して、東京都は地域密着型集会を開催しているとのことでありますが、その実績と今後の取り組みについて伺います。
○飯尾都市整備局長 都は、昨年度から今年度上半期にかけまして、九つの地区で、お互いの顔が見える規模の地域密着型集会を開催し、延べ二百四十二人が参加いたしました。
これらの集会では、木密地域のまちづくりの重要性、緊急性を伝えるとともに、お招きした神戸市の消防士だった方からは、阪神・淡路大震災の際、救助された人の九五%が地域住民に助けられたことや、戦災復興により道路や公園が整備された区域では、大規模な延焼を免れたことなどの話をしていただきました。
また、地域住民の方からは、不燃化に当たっての課題や意見など生の声を聞いてまいりました。
都は、今後も、不燃化特区の拡大を目指しまして、引き続き地域密着型集会を精力的に開催してまいります。
○早坂委員 九つの集会で、平均すれば一回二十六人、全体でも二百四十二人とは少ない気もいたしますが、肝心なのは、参加者の心にどれだけ木密解消への意識を植えつけられたかどうかだと私は思います。そう考えれば、ひざ詰めでじっくり話をするというのは有効な手段かもしれません。そういう強い意欲を持って、今後も活動をしていただきたいと存じます。
ところで、火災に対する防災まちづくりや初期消火、避難といったことを考える前に、そもそも必要なのは、個々の家から火災を出さないことであります。阪神・淡路大震災で頻発したといわれる通電火災を起こさないために、避難の前にブレーカーを切るといった意識啓発、あるいは、大きな揺れを感じたら電気を遮断する器具の普及など、さまざまな取り組みを図られるよう、東京消防庁を初めとする関係ご当局にお願いをいたします。
ところで、阪神・淡路大震災では、多くの方が転倒した家具の下敷きになって死亡したり、負傷したことが報告をされています。
そこで、地震時における家具類の転倒、落下、移動による負傷者をなくすため、東京消防庁ではどのような取り組みを行っているのか伺います。
○北村消防総監 東京消防庁では、平成十五年に発生した宮城県北部を震源とする地震等を契機に、関係機関などと協力し、都民に対する家具類の転倒、落下防止対策の普及啓発を着実に推進してまいりました。
さらに、東日本大震災における長周期地震動等による家具類の移動被害に着目し、移動防止対策を加えるなど、地震に対する事前の備えや身の安全の図り方などの総合的な安全対策を取りまとめました。
この安全対策を都民や事業所に普及するため、関係業界等と広く連携した室内安全セミナーや展示広報を行い、防災週間や防災とボランティア週間をとらえて、家具類の転倒、落下、移動防止対策キャンペーンを集中的に展開するとともに、池袋防災館に長周期地震動対応型振動台を設置するなど、防災意識の啓発に努めております。
昨年、当庁が実施した世論調査では、家具類の転倒、落下、移動防止対策の実施率は五三・六%となっており、今後とも、都の関係部局、区市町村及び関係業界等とのより一層の連携強化を図り、減災目標の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
○早坂委員 さて、東日本大震災では、津波によって道路や鉄道が失われ、応急活動や物資の輸送が滞ったことは記憶に新しいところです。一方、東京に大地震が起これば、旧耐震基準の建築物が倒壊することにより緊急輸送道路が遮断され、被害が拡大し、国内外に多大な影響を及ぼしかねません。
こうした中、昨年、東京都は、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に向けた耐震化推進条例を制定いたしました。その内容は三つです。第一に、これまで耐震診断を行ったことがあるかどうかの報告書と、その診断結果提出を義務づけること、第二に、その上で、必要なものに対して耐震診断を義務づける、その際、原則として建物所有者の自己負担なしというのが、この政策の目玉です。第三に、その結果報告書に基づき、耐震工事や建てかえに努力をしてもらうということであります。
この原則自己負担なしの耐震診断助成制度は、平成二十三年度から二十五年度までの三年間となっています。義務化が施行されてから半年が経過をいたしましたが、今日の状況とその評価に対してご見解を伺います。
○飯尾都市整備局長 耐震診断助成につきましては、八月末までに、昨年度の実績の十倍を超える約千百件の申請がございまして、条例制定の効果と所有者に対する戸別訪問などの取り組みの成果があらわれているものと認識しております。
また、設計、改修助成も昨年度に比べて大きく増加しておりまして、耐震性能が明らかになることによって、所有者の主体的な取り組みに結びついているものと考えております。
一方、今後の進め方がわからない、相談できる専門家がいないといった所有者の声もあり、引き続き丁寧な対応を行っていく必要があると認識しております。
耐震化を一刻も早く完了するためには、診断結果を設計や改修工事に確実かつ速やかにつなげていくことが重要でございまして、今後とも、条例に基づく施策や助成制度などの支援策を、区市町村とも連携して強力に進めてまいります。
○早坂委員 耐震診断の実績は大幅に増加しているとのご答弁でありましたが、診断をどんなに行っても建物は強くなりません。それを耐震工事や建てかえにつなげることこそが今後の課題であります。
また、診断受診にしても、耐震性が乏しいと予想される、とりわけ脆弱な建物所有者は、最後まで受診に二の足を踏むだろうと思います。受診率向上には、これからが本番だろうと思います。
沿道建築物の状況は一つ一つ異なり、補強設計や改修工事といった所有者の具体的な取り組みを促すには、行政の取り組みに加えて、民間の技術やノウハウを最大限に生かしていくことが重要です。
東京都は、我が党の提案を受け、建築士や建築業の団体と協定を結びましたが、今後どのように連携して取り組んでいくのか伺います。
○飯尾都市整備局長 耐震化を円滑に進めてまいりますためには、民間のすぐれた技術力や豊富な実績を生かしていくことは、ご指摘のとおり大変重要でございます。
このため、昨年には建築士の団体と、ことしの七月には建設業の団体とそれぞれ協定を締結いたしまして、耐震化の一層の促進に向けて、相互に協力、連携した取り組みを開始したところでございます。
診断の実績が上がるにつれまして相談もふえておりまして、十月一日には、建設業の団体と連携いたしまして、さまざまな改修工法や実績のある施工業者を紹介する新たな相談窓口を開設したところでございます。
都としては、こうした窓口を積極的に周知するとともに、関係団体との連携を深め、沿道建築物の耐震化に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
○早坂委員 さて、東日本大震災では、JRが早々に駅のシャッターを閉めてしまい、行き場を失った数多くの帰宅困難者が発生いたしました。一方で、六本木ヒルズでは、大規模な吹き抜け空間に多くの帰宅困難者を安全、快適に受け入れたことが社会から大きな評価を受けています。
帰宅困難者の受け入れで考えるべきは、単なる広場でなく空間にあると思います。すなわち、雨風をしのぐのみならず、夏の暑さと冬の寒さをどう防ぐか、避難者のトイレや照明をどうするかなどの観点が必要だからです。六本木ヒルズでいえば、自家発電設備が有効に働き、テナント企業の業務に支障がなかったこともマスコミで盛んに報じられました。
これまで、都市開発というと、利便性、快適性の向上のためという印象がありました。しかし、今日では、防災面から、事業継続や地域住民の安全確保という役割を果たす上でも重要だと認識されています。このことは、東京の信用力や国際競争力の向上にもつながります。
そこで、都市開発あるいは都心の機能更新が、防災という観点からどのような成果が期待されるか伺います。
○飯尾都市整備局長 東日本大震災におきましては、都内でも強い揺れを経験いたしましたけれども、機能更新を進めてまいりました都心の再開発地区では、ビルの被害がほとんどなかったことが確認されております。
特に、六本木ヒルズを初め、東京駅前の新丸ビルや銀座三越などでは、災害時に、耐震性の高い大規模な室内空間に多数の帰宅困難者を安全、快適に受け入れたところでございます。
また、都市開発を行い、自家発電設備を導入したビルは、震災後、特に海外企業などの入居選択に優位であると事業者からも聞いております。
こうしたことから、都市再生を推進することは、国際競争力の強化はもとより、防災対応力の向上の面でも非常に効果が大きいと認識しております。
○早坂委員 東京駅周辺などの都市開発が進んでいる地区では、帰宅困難者にも十分対応できたというご答弁でありました。
ことしの建築基準法の関連法令の改正により、防災用備蓄倉庫や自家発電設備を設ける部分は、容積率に算入されなくなりました。このような法改正を開発に反映させて、安全な都市をつくっていくことが重要です。
こういった都市開発における防災面での成果を、今後の都市づくりに波及させるべきと考えます。ご見解を伺います。
○飯尾都市整備局長 お話の法改正の趣旨も踏まえまして、都心の機能更新を進めていきたいと考えております。例えば渋谷駅周辺では、老朽化した駅舎と周辺の地域を一体的に開発いたしまして、防災機能を高めていくよう民間開発を誘導しております。
また、都有地を活用した竹芝地区都市再生ステップアッププロジェクトにおきましては、防災対応力を備えた開発とともに、エリアマネジメント活動による地域全体の防災性向上を図ることを条件に事業者を募集しております。
今後とも、中枢業務の事業継続はもとより、震災時に安全、快適に人を受け入れることができる都市開発を積極的に誘導し、高度防災都市づくりの実現を図ってまいります。
○早坂委員 さて、立川断層帯は、埼玉県飯能市から東京都青梅市、瑞穂町、武蔵村山市、立川市、国立市、府中市に至る長さ三十三キロメートルの断層帯です。立川断層帯地震は、発生確率は、首都直下地震と比べると低いものの、もし発生すれば、多摩地域を中心に大きな被害を与えるおそれがあります。
東京都は、こうしたことを受けて、ことし四月に公表した被害想定で、立川断層帯地震を想定の対象に新たに加えました。この被害想定によれば、立川市を中心とした二十四平方キロメートルの地域で、震度七の強い揺れが起こり、最大で二千六百人の死者が発生するとされています。このような中、国は、今年度から新たに立川断層帯の重点調査を始めました。
そこで、国の調査の概要と、この調査に対する東京都の対応について伺います。
○笠井総務局長 立川断層帯地震につきましては、国の発生確率に関する発表を踏まえ、都は国に対し、立川断層帯に関する詳細な調査の実施を働きかけてまいりました。
国は、都の要望を受け、今年度からの三年間を調査期間として、重点的調査観測を新たに行うことといたしました。本調査では、大規模な掘削調査などにより、立川断層帯の形状の解明や、地震動の予測精度を高める研究などを実施する予定であります。
本調査には、都はメンバーとして、また、地元の関係五市一町はオブザーバーとして参加しており、都としては、地元市町と相互に連携を図りながら積極的に調査に協力し、その結果をさらなる対策の強化につなげてまいります。
○早坂委員 ところで、本年八月に内閣府が発表した南海トラフ巨大地震、すなわち東海、東南海、南海の三連動地震の新たな被害想定では、全国の最大死者は三十二万三千人とされています。東京都の島しょ地区においては、最大震度五強、二十メートルを超える津波が短時間で発生する可能性が指摘されています。
国によれば、この地震、そして津波の発生頻度は極めて低く、また発生時期を予測することは非常に困難であるとされていますが、いつ来るとも知れない大津波に対して、ふだんから十分な備えをしておくことが必要です。
東京都では、この十一月に神津島で総合防災訓練を行う予定です。今回の国の被害想定では、神津島の津波の高さは二十四メートルと推定されています。住民を迅速に高台に避難させるためには、事前の十分な訓練が必要です。
そこで、東京都は、この神津島での訓練を住民参加による実践的なものにすべきと考えます。ご見解を伺います。
○笠井総務局長 島しょ地域における津波対策の推進は喫緊の課題であり、都では、来月、神津島村と合同で総合防災訓練を実施いたします。
この訓練では、地震の発生により短時間で到来する津波を想定し、速やかな高台への住民避難や、自衛隊、警察、消防による救出救助などを予定しております。
この訓練による成果と課題を検証し、その内容を、神津島村による新たな避難計画の策定や、今後、順次行う予定の他の島の総合防災訓練に生かしてまいります。
○早坂委員 国による南海トラフの被害想定においては、最大津波高などは示されているものの、人的被害や建物被害については、都道府県別の数値までしか示されておりません。例えば、津波による東京都内の死者は一千五百人とされたものの、それが都内のどこで発生する被害なのかは非公表であります。今後、東京都の防災対策につなげるためには、より詳細な想定が必要です。
このような状況を踏まえ、東京都は、南海トラフに関する独自の被害想定の検討に着手しました。今後の取り組みについて伺います。
○笠井総務局長 津波を想定した島しょの防災対策を推進していくためには、都として、南海トラフに関する独自の被害想定を行うなど、島の実情を踏まえた検証を行う必要があります。
先日、開催されました地震部会でも、島の実態に適した被害想定手法を検討すべきといった、各島の状況を考慮した議論がなされたところであります。
今後、島ごとの最大の被害像の把握を目的に、地震断層モデルや津波断層モデルを設定いたします。さらに、島内における一棟ごとの建物データに基づいた詳細な検証を進め、来年春を目途に、都独自の被害想定を取りまとめてまいります。
○早坂委員 ところで、今年度からすべての都立学校で実施している一泊二日の宿泊防災訓練は、実践的な防災教育として全国的にも高い関心を集めています。
もとより学校教育とは、単に知識を身につけるだけのものではありません。どんな状況にあっても、みずからたくましく生きていく力を身につけ、家族や地域に貢献できる力を養うことにこそ、その目的があります。
東日本大震災において、岩手県釜石市では、一千人を超える死者、行方不明者が発生いたしましたが、その中で、小中学生の犠牲者はわずか五人でありました。このことは、釜石の奇跡としてよく知られています。
ある中学生のグループは、みずから率先して避難し、さらに、小学生の手を引き、あるいは幼児の乗るベビーカーを押して津波から避難しました。釜石の中学生たちは、単に助けてもらうだけの存在ではなく、みずから率先して危険を回避し、さらに、自分より弱い立場にある人を助ける側に回ったのです。
今後、東京で大災害が発生した場合に、みずからの身を守り、ともに助け合うことが重要であり、高校生にもさまざまな役割を果たしていただくことが期待されています。
そこで、一泊二日の宿泊防災訓練を、今後どのように改善、充実させていくのか伺います。
○比留間教育長 一泊二日の宿泊防災訓練は、災害発生時、自分の命を守り、身近な人を助け、さらに避難所の運営など地域に貢献できる人間を育てることを目的として、すべての都立高校で実施をしております。
この訓練では、首都直下地震などを想定し、消防、警察、自衛隊等と連携した初期消火訓練やAEDを用いた応急救護訓練、備蓄食準備訓練や体育館での就寝訓練などを行い、緊急時の心構えや対処について学んでおります。
今後は、学校が立地する地域の特性や実態を踏まえ、避難所等の運営補助訓練や、東京防災隣組を初めとする地域の関係団体と連携した訓練を取り入れるなど、防災活動の一端を担う意識と実践力をより高める内容となるよう、一層の改善、充実を図ってまいります。
○早坂委員 さて、阪神・淡路大震災で助け出された三万五千人のうち、八割が近隣住民もしくは家族の手によるものでありました。一方で、警察、消防、自衛隊、いわゆる公助によるものは二割。このことを考えれば、災害時に地元コミュニティが果たす役割は重要です。
しかし、近年、地域住民同士のつながりが希薄化し、さらに、多くの地域では、町会、自治会の高齢化が進み、地域の防災力が低下しているともいわれています。そこで、今後、自助、共助の意識を持ち、地域防災に対して積極的な役割を果たすことができる若者を育てていくことが必要です。
東京都教育委員会は、今年度から防災教育推進校を十二校指定しました。そこで、この取り組みを通じて、地域防災の担い手となる若い人材をどのように育成していくのか伺います。
○比留間教育長 防災教育推進校は、自校の防災だけでなく、近隣住民の安全を支える高い社会貢献意識と実践力を持ち、災害時に活躍できる人間を育てることを目的としております。
各学校では、地域の実態に応じ、区市の防災担当部署や町会等と連携した住民参加型の防災訓練を行っております。また、東京消防庁の協力を得て、都立高校生向けに初めて実施している消防学校での宿泊防災訓練では、小型ポンプを使った消火訓練、簡易器材を利用した救助法など実践的な技術を初め、集団において基本的な行動を徹底することの大切さを学んでおります。こうした取り組みを通して、地域防災の担い手としての意識を高めております。
今後、推進校の生徒が、東京防災隣組等の役割を理解し、地域に貢献できるよう、東京消防庁災害時支援ボランティアなどへの加入を促進してまいります。
○早坂委員 さて、先ごろ東京都が発表した地震、津波対策に関する東京都の基本方針では、今後の進め方として、年内に整備計画を策定し、早急に対策を推進していくとしています。
江東デルタ地帯のような低地帯や沿岸部において、地震、津波などによる水害から人々の生命や暮らしを守るため、万全の備えを講じることは、まさに喫緊の課題です。
そこでまず、河川事業における整備計画の内容について伺います。
○村尾東京都技監 想定される最大級の地震に対して耐震性の調査を行ったところ、水門や堤防の一部が損傷し、満潮時に想定される津波が重なった場合に浸水する可能性があるのは、調査地点の約三割であることがわかりました。
都の基本方針は、最大級の地震時にも浸水を防止することを目標として取りまとめたものでございます。この基本方針にのっとり、年内に策定予定の整備計画におきまして、今回の調査結果で新たに対策が必要となった区間や、これまでの対策が未完了だった区間など、事業の対象区間を示してまいります。あわせて、目標年次など整備目標を示してまいります。
○早坂委員 この地震、津波に伴う水害対策に関して、河川施設の耐震化の取り組みについて伺います。
○村尾東京都技監 いつ発生するかわからない大地震に対して、ゼロメートル地帯のような低地帯や沿岸部の安全性向上を図るためには、スピード感を持って進めていくことが重要でございます。
そこで、隅田川の大島川水門など四水門の設計に直ちに着手し、その際、設計の効率化や一層の品質確保を図るため、プロポーザル方式も併用して、基本設計と詳細設計の一括発注を行う予定でございます。
今後さらに、設計や工事のそれぞれの段階におきまして、債務工事の活用により、年度内工事の平準化や、発注規模の拡大による効率化、民間技術力の一層の活用など、さまざまな工夫を行いまして、事業を全力で推進してまいります。
○大津委員長 早坂義弘委員の発言は終わりました。
松葉多美子理事の発言を許します。
○松葉委員 初めに、女性の視点に立った防災対策について質問いたします。
公明党は、女性防災会議を立ち上げ、全国に約九百名いる女性議員が、防災対策における女性の参画について行政総点検を行い、国に対して提言を行うなど、積極的に取り組み、国は、我が党の提言を受けて災害対策基本法を改正いたしました。
また、東京都地域防災計画修正に当たり、代表質問、また私の一般質問でも、女性の視点の重要性を継続的に訴え、女性の意見を踏まえた検討を進めるべきであることなど、具体的な提案をしてまいりました。
都は、こうした指摘を踏まえて、今回の地域防災計画の修正素案において、女性の視点に立ったきめ細かな対策を盛り込んだものと考えております。
そこで、改めて、こうした対策を地域防災計画に反映するに至った検討経過について、具体的な取り組み状況について伺います。
○笠井総務局長 女性の視点に立った防災対策を検討する上では、女性から見た防災対策上の課題を明らかにする必要がございます。
このため、地域防災計画修正素案の策定に当たりましては、東日本大震災の際、被災地で女性の被災者を支援するボランティア活動を行った女性の専門家を東京都防災会議の専門委員として任用し、区市町村を初めとする防災機関との間で意見交換会を開催いたしました。
また、この専門家と被災地に派遣された保健師や栄養士などの都の女性職員との間で意見を交換し、被災地を支援する立場の女性から見た防災対策の課題について、具体的な検討を行いました。
さらに、この検討の成果を踏まえて作成した修正素案の原案について、改めて専門家に意見を求め、その意見も反映させて素案を取りまとめたところでございます。
○松葉委員 今のご答弁で、都が我が党の指摘を受けて、女性の視点に立った防災対策を検討するために、さまざまな立場の女性の意見や専門家の見解も踏まえて、多面的に検討を行ったということがよくわかりました。中でも、保健師や栄養士といった被災者への直接的な支援に携わる専門職の女性職員の意見も聞かれたことは、有意義であったと考えます。
私は、福島で被災した方々からさまざまお話を伺ってまいりましたが、ある方は、ご高齢のお母様と避難所に避難をされたのですが、お元気だったお母様が、避難所で生活する中で認知症を発症し、避難所の中を徘回するようになり、いづらくなり、八カ所も避難所を転々とせざるを得なかったという、大変にご苦労されたお話も伺いました。
こうした支援が必要な避難者を早い段階で発見し、健康相談を行ったり、二次避難所につなぐ大きな役割を果たしているのが保健師の方々です。
今回の大震災の被災地に、都では二百七十六名の保健師を派遣するなど、積極的な支援を行っており、こうした保健師の代表も検討に加わったとのご答弁でございますので、そうした都の真摯な検討姿勢については高く評価したいと思います。
このような検討の過程を経て策定された今回の修正素案では、女性の視点に立った防災対策について大幅に進展をしております。まず、計画の前提として、防災対策の決定過程への女性の参画を拡大することが明記され、女性の視点に立った防災対策に対する都の基本的な姿勢が明らかにされております。また、個別の取り組みにおいても、例えば、女性用の下着は女性が配布するなど、非常にきめ細かな配慮が記載されております。
今後は、こうした内容を実行に移し、避難所生活や物資の確保などの面で、着実に対策を推進していくことが重要であります。
そこで、今回の修正素案の内容の具現化に向けた今後の都の取り組みについて伺います。
○笠井総務局長 今回の地域防災計画修正素案では、防災に関する政策方針決定過程等における女性の参画の拡大など、男女双方の視点に配慮した防災対策を推進するという都の基本的な姿勢を明らかにいたしました。
また、避難所において、女性専用の物干し場や更衣室、授乳室の設置など女性用スペースを確保することや、管理責任者への女性の配置、安全性を確保するためのパトロールの実施などの対策を盛り込みました。
さらに、女性のニーズに対応した物資の確保や配布方法、仮設トイレの設置場所の選定に際する女性への配慮など、きめ細やかな対策を実施することとしております。
今後、区市町村と連携して具体的な対策を推進するとともに、災害対策基本法の改正趣旨なども踏まえ、防災に関する意思決定過程への女性の参画を拡大するなど配慮してまいります。
○松葉委員 女性の視点に立った防災対策が着実に進んでいると考えております。引き続き、東京都防災会議への女性委員の登用など、積極的に女性の参画を図っていただくことを強く要望いたします。
また、その際には、保健師や栄養士といった専門職の方たちの活用も含めてご検討をいただきたいと思います。
次に、帰宅困難者対策について質問をいたします。
地域防災計画修正素案では、都は、率先して一時滞在施設に七万人受け入れるとしています。その多くは都立高校にあると考えられておりますが、現在、都立高校は、徒歩帰宅者を支援する災害時帰宅支援ステーションに指定され、多くの学校は、地域の住民のための避難所にもなっております。一時滞在施設が不足している状況では、一時滞在施設と避難所との併用については、例えば、学校の中において、住民の方は体育館、帰宅困難者の方は武道場などというように、待機場所を区分するなどの工夫が必要だと考えます。また、災害時帰宅支援ステーションとの役割分担も課題です。
大規模災害発生時に、それぞれの施設が個々の役割に専念することが理想ですが、都内においては、多くの避難者、帰宅困難者が発生する一方、活用できる公共施設が限られているのが現状です。こうしたことから、一つの施設が複数の機能を持つことは、やむを得ないと思います。
しかしながら、災害時には混乱をしないよう、それぞれの機能を十分に果たせるよう準備をしておくべきと考えます。見解を伺います。
○笠井総務局長 大規模災害発生時において、大量の避難者や帰宅困難者に対応するためには、避難所と避難所等として指定されている都立高校などを一時滞在施設としても活用することが必要であります。こうしたさまざまな役割を担う施設において、発災時における混乱を防止するためには、施設運営手順の明確化など、平時からの準備が不可欠であります。
このため、新たに作成する一時滞在施設の運営マニュアルにおいて、避難者や帰宅困難者が混在する場合の待機場所の確保と誘導方法や、それぞれに必要な備蓄品の保管方法などを明記し、各施設の取り組みを働きかけてまいります。こうした取り組みにより、災害時における円滑な施設運営を図ってまいります。
○松葉委員 一時滞在施設が災害時に円滑に運営できるように取り組んでいただきたいと思います。
次に、帰宅困難者の中には、災害時要援護者の方も多くいらっしゃるかと思います。先般、国と都が共同座長として設置をいたしました帰宅困難者等対策協議会最終報告では、バスの代替輸送のシミュレーションを行う際、優先して搬送すべき障害者や高齢者、妊婦の方や乳幼児連れの方などが帰宅困難者の一五%に相当するとされております。都内で発生する帰宅困難者数、新たな被害想定では五百十七万人ということでございますので、単純に計算しますと、七十七万人というふうになるでしょうか、相当な人数となるわけであります。
帰宅困難者の方は、外出している方ですから、付き添いのいる方もいますが、多くは一人で行動していると思います。こうした方々も、災害情報や鉄道の運行情報とともに、一時滞在施設の開設情報を入手し、施設へと向い、そこで三日間待機することとなりますが、そのためには、他の方の手助けが必要であります。
そこで、ヘルプカードの活用などを通し、周りの方による手助けが行われることが非常に重要であると考えます。その上で、災害時に帰宅困難者となった災害時要援護者を確実に保護していくには、駅や集客施設で事業者が手厚く保護すること、また、一時滞在施設で待機するに当たっては、施設管理者が特別に配慮していくことが必要と考えます。見解を伺います。
○笠井総務局長 高齢者、障害者、乳幼児、妊産婦など災害時要援護者が帰宅困難となった場合には、駅や一時滞在施設における対応に特段の配慮が必要であります。
先般、帰宅困難者等対策協議会において取りまとめられた、駅や集客施設における利用者保護や一時滞在施設の運営のガイドラインでは、平時から車いすや段差解消板を備えておくことや、災害時に優先的に待機スペースへ誘導することなど、災害時要援護者へのさまざまな対応を明記しております。
今後、駅や集客施設などの事業者や一時滞在施設の管理者に対し、これらのガイドラインの周知を図ることにより、災害時要援護者への配慮を浸透させてまいります。
○松葉委員 地域防災計画修正素案及び帰宅困難者等対策協議会最終報告には、必要な支援や配慮を受けるために、障害者が他者に支援を求めるヘルプカードの活用を上げております。
我が党はこれまで、このヘルプカードの普及を求めてきており、今年度から包括補助事業としてスタートしておりますが、現在の取り組み状況についてお伺いいたします。
○川澄福祉保健局長 都は現在、ヘルプカードを普及し、都内で統一的に活用できるよう、区市町村が作成する際のカードの標準様式や、障害の種別ごとに必要な配慮や支援方法等を盛り込んだガイドラインを作成しているところでございます。
また、ヘルプカードを作成する区市町村に対しましては、今年度から包括補助の先駆的事業として作成経費を支援することとしており、現時点で既に八区市が取り組みの意向を示しております。
ガイドラインは今月中に取りまとめる予定であり、今後、ヘルプカードの作成を改めて区市町村に働きかけるとともに、広く都民や事業者に周知していくため、広報誌やリーフレット等による広報に加え、事業者向けのセミナーも開催し、積極的に普及啓発に努めてまいります。
○松葉委員 全区市町村が取り組んでいただけますように、また、ヘルプカードをお持ちの方が適切な支援を受けられるように、都民の方に広く周知をしていただくことを強く要望いたします。
最後に、都立特別支援学校に通学をしている生徒の皆さんについてでございますが、一人で通学をされている生徒の方が、災害時等、ふだんの、また日常と違った場面に遭遇したときに、周りの方に助けを求めることを学んでおくことは非常に重要だと考えます。
都内において、今後、ヘルプカードが順次導入されることになりますが、都立特別支援学校でも、卒業後の生活を見据え、一人で通学している生徒の方々に、ヘルプカードなどを活用した安全な登下校に関する指導を行うことが重要だと考えておりますが、見解を伺います。
○比留間教育長 特別支援学校に一人で通学する生徒が、在学中はもとより、卒業後も突発的な事故や災害、交通機関の混乱等に適切に対処できるようにするためには、安全な登下校に関する指導を繰り返し行うことが重要であります。
都立特別支援学校では、一人で通学する生徒に対して、困ったときに、警察官や駅員など周囲の人に緊急連絡カードを使って助けを求める方法や、公共施設またはコンビニエンスストアなどの安全な場所にみずから避難する方法などについて、一人一人の障害等に応じて個別に指導をしております。
都教育委員会は、こうした取り組みに加え、今後、区市町村が障害者のために作成するヘルプカードを、生徒が卒業後も適切に活用し、自分自身の安全を確保できるよう、各学校に対して指導、助言を行ってまいります。
○松葉委員 災害時要援護者の方々の支援につきまして、総力を挙げて行っていただくことを強く求めまして、質問を終わります。
○大津委員長 松葉多美子理事の発言は終わりました。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時四十四分休憩
午後六時開議
○大津委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
加藤雅之委員の発言を許します。
○加藤委員 私は、前回の防災対策特別委員会の質疑におきまして、住民が地域にある身近な消防水利を利用して初期消火活動を行えるよう、体制づくりをすべきだと訴えました。そして、特に消火栓と同等の機能を持つ排水栓の活用を求めました。
これに対し、消防総監は、排水栓を活用して消火に使用するための覚書を水道局と締結する予定との答弁をいただき、去る六月七日に覚書の締結がなされました。さらに九月十日には、多摩地区においても同様に締結がなされ、排水栓活用の環境整備が進んでいることを高く評価いたします。
加えて、消火栓や排水栓を活用した仮設給水栓による応急給水訓練も積極的に実施してもらいたいと、やりとりをしました。これについては、先日の本会議で、我が党議員の一般質問に対し、水道局長から、少し会議録速報版を読ませていただきますけれども、「応急給水拠点より身近な小中学校などの避難所において、消火栓による応急給水が実施できれば、震災時における水の確保が容易となります。今後は、この方式を拡大していくために、スタンドパイプなどの資器材を水道局が調達し、避難所を所管する区市町に管理していただく方向で協議を進めてまいります。また、区市町や自治会、町会などと連携強化を図り、避難所での応急給水訓練を実施してまいります。将来的には、自治会、町会などが主体となって取り組めるよう、積極的に支援してまいります」との具体的、積極的な答弁をいただきました。
そこで本日は、この消火栓を使った応急給水訓練を今後広げていくための方策について伺います。
まず、二キロメッシュという給水拠点の位置を考えると、距離的に離れている地域の人が水を求めに行くことは困難が予想されます。したがって、身近な避難所における消火栓からの応急給水は、給水拠点での応急給水を補完する手段として大変有効であります。ただ、応急給水の実施に際しては、区市町及び町会、自治会などの地域住民との連携が不可欠であります。
そこで、こうした有効な制度は、ぜひ広く普及させるべきだと考えます。円滑な応急給水と普及拡大に向けた局の取り組みについて伺います。
○増子水道局長 いざというときに、混乱なく消火栓からの応急給水を実施するには、区市町及び地域住民との連携が不可欠であります。また消火栓からの応急給水を普及させるには、多くの地域住民の方々に体験してもらい、その仕組みや効果をご理解いただくことが重要であります。
そこで、区市町や地域住民などの多様な主体と連携しながら、消火栓を活用した応急給水訓練を積極的に展開してまいります。
○加藤委員 各地域では、避難所となる学校などにおいて防災訓練が行われていることが多いと思います。特にこれからのシーズン、秋は火災予防運動期間があり、各地域において、消火訓練や避難訓練などさまざまな防災訓練が行われます。
一方、さきの防災対策特別委員会において、水道局では、消火栓を活用した応急給水訓練を、昨年度は十六回実施したと伺いました。まだ始まったばかりなので、そんなに数は多くないと思いましたけれども、これからは、今の答弁にありますように、今年度も積極的に展開していくと述べられました。
私は、身近な避難所である小中学校で行う防災訓練にあわせて、消火栓を使った応急給水訓練を行えれば一石二鳥だと考えます。応急給水訓練を単独で行うことも大切でありますが、住民の方も多忙で、何回も訓練に参加するのは大変です。
また、今後、都が、避難所を所管する区市町にスタンドパイプ等を配備して、避難所での応急給水訓練を進めていくわけですから、今は地域と水道局それぞれで行われている訓練を同時に実施すれば、より効果的な普及拡大が図られると考えますが、いかがでしょうか。
○増子水道局長 防災に関する意識の高い住民が多数集まる地域の防災訓練は、当局の取り組みを幅広くPRする絶好の機会であります。
そのため、地域の防災訓練が行われる場合には、当局の消火栓を活用した応急給水訓練との同時実施について、区市町等と調整し、積極的に取り組んでまいります。
また、訓練回数についても、今年度は、防災訓練との同時実施を含め、昨年度を大幅に上回る回数で実施してまいります。
○加藤委員 地域の防災訓練との同時実施も含め、これまで以上に積極的に取り組んでいただけるとのことで、ありがとうございます。
私の地元である墨田区でも、今月と来月に防災訓練が行われますが、早速、水道局では、この防災訓練と応急給水訓練を合同で実施していただけることになりました。引き続き積極的な取り組みを進めていき、震災時における応急給水の充実に努めていただきたいと思います。
さらに、耐震継ぎ手管の耐震化がなされていないと、消火栓自体も使えなくなるおそれがあります。区部の管路の耐震継ぎ手率は二十二年度末で二六%、木密地域が多く広がる地元墨田区は一九%と、特におくれていますので、新たな耐震継ぎ手化十カ年計画を検討していく上で、耐震化の重点地域を定めるなどしてピッチを上げていただくようお願いをいたします。
次に、都はこれまで、災害時の避難経路確保や物資輸送が可能となるよう、防災船着き場の整備を進めてきました。被災時に道路など陸上交通が遮断された場合に備え、河川等を利用した水上輸送ルートを確保しておくことは大変重要であり、防災船着き場はこのために欠くことのできない施設であります。
被災直後には、火災からの避難のほか、傷病者の医療機関への搬送経路の確保が特に重要であり、防災船着き場の活用は非常に有効であると考えます。
都の防災船着き場整備計画においても、傷病者の搬送が設置目的の一つとされています。前回の質疑では、傷病者等の搬送手段について伺い、災害医療協議会で種々検討中であるとのことでした。また、別の委員会でも、災害拠点病院近くの防災船着き場の増設も要望をしてまいりました。
そこで、医療機関に隣接した防災船着き場の整備の現状と、今後の取り組みについて見解を伺います。
○村尾東京都技監 防災船着き場は、災害時に船舶による被災者の避難や物資の緊急輸送などを行うための施設であり、現在、都内全域で六十一カ所が整備されております。防災船着き場整備計画に基づき、災害拠点病院である聖路加国際病院と都立墨東病院に隣接した、隅田川の明石町と横十間川の亀戸の二カ所を傷病者等の搬送を目的とする防災船着き場として整備いたしました。
今後は、関係局や関係区などと連携を図り、隅田川のあらかわ遊園や神田川の和泉橋など、災害拠点病院の近傍に位置する船着き場につきましても、災害時における舟運の活用について検討してまいります。
○加藤委員 今後の取り組みに期待をしております。
首都圏での地震を考えると、耐震護岸、岸壁の整備をしっかり行って、河川が有効に使えれば、陸上の交通渋滞を回避して素早く傷病者を搬送でき、物資も大量に運べます。さきの地震・津波に伴う水害対策技術検証委員会の提言などを踏まえ、今後の耐震対策に万全を期していただくようお願いをいたします。
次に、白鬚東防災拠点について伺います。
今回の地域防災計画の修正素案では、大変重要な視点が盛り込まれています。それは、これまで都が築き上げてきた既存の防災インフラの活用です。
都は、大震災時に甚大な被害をもたらす市街地大火を防ぐため、長い時間をかけて地域の防災機能の向上に積極的に取り組んでまいりました。私の地元である白鬚東地区は、総合的な防災機能を有する拠点として開発され、地域住民の安全な避難場所や避難者への給水のための約三千立方メートルの貯水施設などを有しています。
私は、本年の予算特別委員会において、地域にある、こうした既存の防災拠点を最大限活用していくべきであると主張し、前向きな答弁をいただきました。先ほど早坂委員からもお話がありましたとおりでございます。
こうした歩みを経て、修正素案では、既存の施設等の活用を基本方針として明確に示すとともに、白鬚東地区を地域の防災上の拠点として位置づけ、発災時に給水拠点として活用できる貯水槽などについては、適切に維持管理、更新を行い、機能の確保を図っていくと記載しております。非常に大きな前進であり、地域住民の皆様も大変喜んでおります。今後、ぜひとも実現に向けて取り組んでいただきたいと思います。
こうした観点から、残りの時間、副知事に要請した事項について質疑をいたします。
まず、白鬚東防災拠点内には、先ほど述べた三千トンの飲料水のほかに、災害時には、大規模な救出救助の活動拠点、ライフライン復旧活動拠点となる候補地があります。この地は、隅田川に隣接して河川が活用でき、高速道路のインターチェンジもそばということで、交通ルートでも大変すぐれています。また、候補地の隣には、災害拠点病院ではありませんけれども、地域の医療救護活動の拠点としての東京都リハビリテーション病院もあります。
ただ、非常時には、防災拠点として非常に重要な機能でありますが、平時の活用については、地元住民が使用できるよう、有効活用を検討してもらいたいと思います。
また、防災拠点の災害時の行動マニュアルを、都と区、地元住民と連携して、早期に作成することも要望されています。
かつては、地域住民との意思疎通が十分ではないといわざるを得ない状況にありましたが、この一年間、各局の管理職の皆さんに何度も現地に足を運んでいただき、地域住民の皆様の意見も聞いていただきました。先週末の白鬚東地区をメーン会場とした墨田区の総合防災訓練には、都の方にも参加していただくなど、お互いの連携は強まりつつあると感じています。こうした連携の芽を大きく育てていくことが大切です。
そこで、大規模救出救助活動拠点の候補地の活用や、災害時行動マニュアルの策定に当たっては、地元区や地域住民の意見を十分に反映できるよう取り組みを進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○笠井総務局長 ご指摘のとおり、白鬚東地区については、今回の地域防災計画の修正素案において、地域の防災上の拠点として位置づけ、首都直下など大規模地震の際には、貯水槽などの施設を有効に活用していく方針を示しました。
本地区では、積極的に防災訓練が実施されるなど、地元区と地域住民が連携し、防災拠点としての機能を高めるための取り組みが行われており、災害時行動マニュアルの作成や、お話の大規模活動拠点候補地の平時の活用に当たっては、こうした地域の実情を踏まえ、検討を進める必要があります。
今後、地元区や地域住民の方々と協議の場を持ちながら、本地区の防災機能が最大限に発揮されるよう、着実に取り組みを進めてまいります。
○加藤委員 ぜひとも区や住民の意見を踏まえた対応をお願いいたします。
次に、防災拠点内にある東白鬚公園の防災トイレについて伺います。
お話ししてきたとおり、白鬚東地区の防災拠点には、当時としては先駆的な防災施設が整備されておりますが、一方で、施設の老朽化も進んでいます。
避難場所での生活行動を考えたとき、一番心配になるのが水とトイレの問題であります。防災公園である都立東白鬚公園においては、下水道管の耐震化が進んでいなかったこともあり、平成十七年度に、既存の貯留槽を活用して貯留式の防災トイレ四十三基が改修されました。
他方、墨田区では、都立東白鬚公園に隣接する桜堤中学校を現在建設中でありますが、これにあわせ、下水道管の耐震化を踏まえ、校舎屋根の雨水をタンクに収集し、非常時に洗浄水に利用することで、水洗式の防災トイレを整備すると聞いています。
そこで、都立東白鬚公園の防災トイレについても、水洗化を進めるなどの改良を図るべきと考えますが、見解を伺います。
○村尾東京都技監 都ではこれまで、東綾瀬公園や武蔵野の森公園など一部都立公園で、手動のポンプでくみ上げた井戸水を貯水槽にため、トイレの洗浄水に用いる方式により、防災トイレの水洗化を行ってまいりました。
トイレの水洗化は、洗浄水の安定的な確保や下水管の耐震化など、各公園の立地や地域の実情に応じて進めていく必要がございます。
東白鬚公園における防災トイレの水洗化につきましては、こうした状況を踏まえ、災害時の運営主体となる墨田区などと検討を進めてまいります。
○加藤委員 最後に、いろいろありますけれども、東白鬚公園の防災トイレについて、増設も含めてお願いをして、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○大津委員長 加藤雅之委員の発言は終わりました。
吉田信夫委員の発言を許します。
○吉田委員 地域防災計画修正素案について、我が党の第三回定例会での代表質問とその答弁を踏まえて質問をさせていただきます。
初めに、防災理念についてです。
我が党は、修正素案が、引き続き防災理念の第一は自己責任としていることを批判し、都民の生命、身体、財産を守るための都の責務を第一義的に位置づけるべきと主張いたしました。
しかし、知事は、いざというときは、まず、みずからの身を守り、身近な者同士で助け合うことが一人でも多くの命を救うことになるのは紛れもない事実と強調し、自助、共助の重要性は、過去の大震災の生きた教訓を踏まえたものと強弁をいたしました。そして、我が党が指摘をした、災害対策基本法が都民の生命、身体、財産を守ることを都の責務と定めていることについて、知事は一言も見解を示しませんでした。
そこで改めてお聞きしますが、地域防災計画は、いうまでもなく災害対策基本法に基づくものです。この基本法では、防災の基本理念として、第一が自己責任と、こういう規定はあるのでしょうか、お答えください。
○笠井総務局長 災害対策基本法は、その第七条第二項において、住民の責務として、地方公共団体の住民は、みずから災害に備えるための手段を講ずるとともに、自発的な防災活動への参加、過去の災害から得られた教訓の伝承、その他の取り組みにより、防災に寄与するよう努めなければならないと規定しております。
○吉田委員 今、答弁がありましたように、災害対策基本法は、防災に寄与するよう努めると、努力規定となっています。第一は自己責任という規定ではないと思います。しかも、他方、都道府県に対しては、生命、身体、財産を守る責務を有するというふうに明記をしています。この点では、知事の答弁は、災害対策基本法から逸脱したものだと指摘をせざるを得ません。
さらにお伺いをいたします。知事は、自助、共助の重視が、いかにも生きた教訓であるかのように強調しましたけれども、これも事実に反するものです。
阪神・淡路大震災で、直接死五千四百八十三人のうち、建物の倒壊による窒息死、圧死、外傷性ショック死は四千四百四人で八〇%に及びます。だから、一人でも多くの命を救うためには、八割を占めた建物の倒壊をどう防ぐかということが対策の上でも極めて重要であることは明らかだと思うのですが、この点、認識はいかがでしょうか。
○笠井総務局長 震災対策における建築物の耐震化は重要であるというふうに考えております。
都はこれまでも、公共建築物を初めとする建築物の耐震化を進めてきており、今回の地域防災計画修正素案におきましても、住宅や民間特定建築物にかかわる耐震化の具体的な到達目標を定め、耐震化を推進することとしております。
○吉田委員 さらにお伺いします。素案では、想定死者を約六千人減らすことを目標に対策をとることとしています。
そのために、効果的な施策として具体的に示されていると思うのですが、建物の耐震化及び不燃化等でどれだけの効果の比率を占めているのか、ご答弁をお願いいたします。
○笠井総務局長 修正素案で掲げた、死者を約六千四百人減少させるとの目標のうち、建築物の耐震化や不燃化によって死者が約五千九百人減少するとしており、減少数約六千四百人に占める割合は約九二%となっております。
○吉田委員 今、答弁がありましたけれども、あくまでもこれは推定ですけれども、死者六千四百人を減らす効果では、建物の耐震化あるいは不燃化で九二%を占めています。もちろん防災市民組織による初期消火、消防団の方々の活動は極めて重要ですけれども、この素案が示しているのは、その効果は約五百人の命を救う、比率でいえば七・八%にとどまっています。
こうしたことから見ると、素案自身が、救出、初期消火は重要ですけれども、それだけでは九割の命を救うことができないということになります。
また、素案では、想定する避難者を約百四十九万人減らすという目標を掲げています。そして、この避難者を減らす上でも、耐震化と不燃化で約百四十一万人、九五%減らすことができるということを示しているわけですから、したがって、知事の、第一は自己責任、自助、共助こそ重要ということではなくて、何よりも都民多数の生命、財産を守るという点では、やはり東京都が第一義的な責任を持って建物、住宅の耐震化などをいかに促進するかということが重要であることは、素案の目標から見ても明らかだというふうに思います。
そこで、木造住宅耐震化の助成について具体的にお伺いをしていきたいというふうに思います。
今の質疑の経過を見ても、私は、重要な施策の一つが、住宅の耐震化、不燃化を促進をするということだと思います。
しかし、自己責任が第一という立場をとっている中で、東京都の木造住宅耐震改修助成の実績は、これまでも指摘をしてきましたけれども、例えば同じ五年間のスパンをとってみても、静岡県の実績実数の約三十分の一というふうに極めておくれています。なぜこうなるのか。それは、東京都の場合、木造住宅耐震改修助成の対象が、そもそも地域が限定をされているということがあります。木造密集地域であるだけではなく、その中でも整備地域でなければ対象とならない。したがって、当然、多摩地域や島しょ地域は対象外ということになると思います。
しかも、単に整備地域の中ならばすべてが対象かといえば、そうではありません。その中で、さらに特定の道路幅の道路に面しているという条件でない限り、そもそも東京都の制度では助成の対象にならない。
結局、広く耐震化によって生命、財産を救うというよりも、いかに道路への倒壊を防止するのか、道路を確保するのかというところに眼目が置かれているというのが、私は東京都の助成制度の特徴だと思います。
そこで、改めてお伺いしますけれども、こうした木造住宅の耐震改修助成を実施している他の県の中で、特定の道路に面している場合でないと助成しないという県は、ほかにあるのでしょうか。
○飯尾都市整備局長 東京都を除きます四十六の道府県のうち、木造住宅の耐震化助成を実施しているのは三十九の道府県と把握しておりますが、その詳細については承知をしておりません。
都としては、首都東京の特性や役割を踏まえまして、緊急輸送道路沿道建築物や分譲マンションの耐震化、木密地域の不燃化などの施策を重点的、集中的に講じていくことが、東京の防災力を強化していく上で重要と認識しておりまして、木造住宅の耐震改修助成だけを取り上げて他の道府県と比較することは適当でないというふうに考えております。
○吉田委員 私たちの調査では、東京都のように、助成対象を一定の地域に限定するだけではなく、さらに、ある条件の道路に面していない限り実質的に助成をしないという県は、ほかにないというふうに認識しています。もしそうではないということがいえるんだったら、どうぞご答弁をしていただきたいと思います。
東京都の特性だというふうないい方がありましたけれども、この点を一つとってみても、本当に東京都が都民の生命、財産を守ろうとする立場に立っているのか、そのことが問われる問題だということを指摘しておきます。
東京都都市整備局は、これまでの答弁の中で、財源を効率的、効果的に活用する観点から対象を限定しているんだという旨のことを答弁してきました。
しかし、建物の倒壊を放置すれば、避難生活者を増加させ、仮設住宅やその後の住宅補償など財政負担の増大は避けられません。
そこでお伺いしますけど、この点で私は、本委員会で耐震改修への公的支援の重要性を答弁された中林一樹参考人の発言は極めて重要だと思います。
皆さんも聞いていらっしゃいましたけれども、中林教授は答弁で、被災後に支援するよりは、よほど効率よく被害を減らし、命を守り、財産を維持できるということで、公的支援の意義を強調されました。中林氏は、防災会議地震部会の副部会長です。この発言を重く受けとめるべきと思いますが、防災対策全般を所管する総務局長としてどのように受けとめているでしょうか。
○笠井総務局長 委員会における中林教授の発言は、現在、自治体が行っている耐震診断、耐震改修などの公的支援が有効に機能していることを評価したものと理解をしております。あわせて、耐震化の必要性を、地域ぐるみで都民一人一人に伝えていくことの重要性についても述べられたものと認識をいたしております。
○吉田委員 今も答弁がありましたけれども、耐震改修の公的支援の有効性という言葉をいわれましたけれども、有効性、重要性を教授は指摘しています。被災後に支援するよりも、よほど効率よく被害を減らし、命を守り、財産が維持できるというふうに強調したことは大いに積極的に受けとめて、都の防災施策に私は生かしていくべきことだと思います。
しかし、都の施策は、こうした状況になっているかといえば、先ほども述べたとおり、他の県と比べてみても、極めて異常に、あくまでも道路確保、道路への倒壊を防ぐということに主目的があって、広く耐震化を促進し、広く都民の生命、財産を守るということになっていないと。この問題を打開することは避けて通ることができないし、先ほど述べました、修正素案の中で掲げている、死者の数を大幅に削減する目標を現実に進めることは私はできないと思います。繰り返し私たちが要求してきましたけれども、現行の木造住宅耐震改修助成制度の抜本的な見直しを改めて求めていきたいと思います。
さらに、具体的な点についてお伺いいたします。
東京都は、ことし新たな耐震改修促進計画を発表いたしました。これは都市整備局の所管だと思います。その中で、住宅耐震化を十年間で現在の八一・二%から九五%にするという目標を掲げています。そして、その中間の目標として、平成二十七年--二〇一五年度になると思いますが--までに九〇%にするという目標を掲げています。
そのためには、何もしなくても、もう一般的に建てかえその他で進む面がありますから、そうした自然更新を除いて、十九万戸以上の耐震化の必要性ということが示されています。その十九万戸の耐震化をどう進めるのかということでお伺いをいたします。
その一環として、木造住宅耐震改修助成事業は、今後どれだけの規模で実施をするのか、その目標は明確なのでしょうか。目標を明確にすべきだと思いますが、ご答弁をお願いいたします。
○飯尾都市整備局長 耐震化を促進するためには、住民に身近な区市町村による取り組みと、首都東京の特性や役割を踏まえた都による広域的、重点的な取り組みを連携して行っていくことが重要でございます。
都は、先ほど申し上げたとおり、緊急輸送道路沿道建築物や分譲マンションの耐震化、木密地域の不燃化などの施策を重点的、集中的に講じるとともに、区市町村とも連携して、都内全体の住宅の耐震化を促進しているところでございます。
木造住宅を含めました耐震化助成事業の事業計画につきましては、震災対策事業計画の検討の中で適切に対応してまいります。
○吉田委員 これまでの震災対策事業計画の中でも、年度ごとに、例えば木造住宅、マンションそれぞれについて、診断件数、改修件数、目標を掲げております。しかし、これは、例えば、平成でいえば、二十年度改修五百件、二十一年度六百件、二十二年度改修八百件、二十七年度改修約二万二千件というふうに示されておりますけれども、この間の推移で見れば、五十五件、七十八件、九十九件、そして昨年度で百七十八件ということで、みずから掲げた計画と比べても極めておくれています。本当に十九万戸の耐震化を促進するというならば、これまでのおくれを改めて反省をし、自主的な、目標達成にふさわしい助成制度がつくられることが不可欠だと思いますし、ぜひ明確な目標を掲げることを改めて要望しておきたいというふうに思います。
次に、住宅の耐震改修の促進とともに、予防対策として重要な都市インフラ、とりわけ堤防、水門の耐震化について質問をいたします。
我が党は、堤防等の耐震化の強度が最悪の事態に対応していないのではないかという問題を指摘してきましたが、今回、調査で、堤防では、調査地点の四割で破損の危険があり、水門では、調査した十六水門のすべてで門柱が損傷する危険があるということが明らかになりました。
そこで、建設局にお伺いいたしますけれども、堤防では、損傷し、浸水が起きる危険性がある調査地点が、全体調査地点の三割だということが報告されました。ただ、三割といっただけで具体的なイメージがわきませんし、対応もとることができません。
一体、この三割の地点で浸水をした場合に、どの程度の面積になり、そして、そのエリア内の戸数がどの程度のものになるのか、ご答弁をお願いいたします。
○村尾東京都技監 東京の防災力の向上を図るためには、切迫する首都直下地震などに備え、地震対策をスピード感を持って実施することが極めて重要でございます。
このため都は、日本の東西交通の分断を防ぎ、広く国民の生命、財産を守るための外環や、木密地域を燃え広がらないまちとするために不可欠な特定整備路線など命の道の整備、さらには水門や堤防の耐震対策などに、今後も全力で取り組んでまいります。
お尋ねの堤防の調査についてでございますが、想定される最大級の地震に対して耐震性の確認を行ったところ、満潮時に想定される津波が重なった場合に浸水するおそれがあるものは、水門や堤防の一部が損傷する可能性のある調査箇所から背後地盤が高い箇所を除いた地点でございます。この調査は、堤防についての耐震性の確認を目的としておりまして、水害が起こる地域、面積、戸数は算出しておりません。
今なすべきことは、ゼロメートル地帯など、優先度を考慮して早急に耐震対策を進めていくことと認識しております。
○吉田委員 どの地域で影響が具体的に起き得る危険性があるかということは、後で総務局にお伺いいたしますけれども、建設局は二十河川を調査したというふうに聞いておりますけれども、この二十河川を調査した中で、損傷の可能性、危険性がある地点があった河川数はどのぐらいあったのですか、お答えください。
○村尾東京都技監 堤防では、二十河川のうち十二河川、百六十二地点のうち約三割の四十八地点でございます。
○吉田委員 二十河川のうち十二河川と。ただ、どこの河川かということは明らかにされておりませんけれども、半分以上の河川で損傷の危険性が調査地点で明らかになったということは、非常に広く浸水が起きる危険性が推察されるというふうに思います。極めて重大なことだと思います。
それならば、改めて総務局にお伺いするわけですけれども、そうした新たな知見が明らかになったわけですけれども、最悪の場合、明らかになった地点で浸水が起きた場合にどのような形で浸水が広がっていくのか、そうした新たな想定をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○笠井総務局長 今回の地域防災計画の修正素案では、最大級の地震動にも対応するため、堤防、水門等について新たな整備計画を策定し、さらなる耐震強化を推進することなどを示すとともに、大規模水害に備え、自治体の区域を越えた広域避難対策を講じていくこととしております。今なすべきことは、こうした対策を早急に講じていくことであると考えております。
○吉田委員 我が党の質問に対して、局長の答弁だったと思いますけれども、あらゆる事態に備えた対策を講じておりますという答弁をされました。そして、あらゆる事態というならば、その一つが、堤防が損傷する危険があるということが明らかになったわけですから、従来の被害想定だけでよしとするわけではなく、新たな検討、調査をすることは、私は、都民の生命、財産を守る上で避けて通れないことではないかなということを改めて強調しておきます。
しかも、建設局は、この調査結果に基づいて、先ほどからお話がありましたけれども、具体的な耐震強化策を進めていこうとしております。しかし、一気に耐震強化が完了することは容易なことではありません。その中でも、もちろん、地震、津波が来たときにどう避難するのかということについても、いわばソフトの対策も同時に進めていかなければなりません。
そういうことを考えたときに、やはり当該区と協力して、避難等の対策も必要になると思うんです。そのためにも、調査結果に基づく水害のシミュレーションを行い、その結果を当該の区や住民に示すということは東京都の責務だと思いますが、いかがでしょうか。
○笠井総務局長 さきの代表質問でもお答えいたしましたが、地震、高潮が複合的に発生した際などに起こる大規模水害に備え、自治体の区域を越えた広域避難対策を講じる必要があることから、都は関係区などとともに、堤防の決壊を想定したシミュレーションに取り組むことといたしております。
○吉田委員 堤防の決壊を想定したシミュレーションに取り組むというお話がありましたけれども、多くの該当する東部地域の自治体や住民の皆さんは、一体どこが危険なのか、そこでどう対応するのかという問題に直面せざるを得ないと思うんですよね。そういう意味では、ぜひ、きちんとした情報提供をすることが、私は必要以上の不安を解消する上でも求められているのではないかなというふうに思います。
次に、代表質問でも強調しましたけれども、東部低地帯に住む三百万都民の生命、財産を守るために、堤防等の耐震強化は最優先課題だと思います。もちろん、危険性の高いところから計画的に進めていくということも当然ですけれども、問題は、年次計画と完了年次を明確にして取り組んでいく、そうした計画を示すことを求めていきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○村尾東京都技監 最初に、先ほど、二十河川のうち十二河川だから、半分以上の川が危ないといういわれ方を、おっしゃっていますが、再度いいますが、河川は長いものも短いものもございまして、ですから、調査地点のうちの三割というふうに申し上げてあるので、五割以上の河川が危ないんじゃないかというのは、まさに不要な不安をあおるようなことだと考えております。地点的には、百六十二地点のうちの三割の四十八地点が、満潮と津波が重なった場合に浸水をする可能性があるというお話を差し上げているわけでございます。
また、河川堤防などの耐震強化は、優先度を考慮し、早急に効果を上げていくことが重要でございます。
このため、対策が必要となった区間や未完了区間について、さらなる調査を行いながら整備計画の策定作業を進めておりまして、その中で目標年次など整備目標を示してまいります。
○吉田委員 今お話がありましたけれども、それだったら、余計に、具体的な調査結果とその危険性、対策というものを早急に示すことを改めて求めておきたいというふうに思います。
続いて、防災市民組織への支援の問題について、時間の関係で一問だけ質問をいたします。
それは、防災市民組織へのことが素案で書かれていますが、具体的な支援策が本当にどこまでとられるのかということです。例えば、現在の地域防災計画では、区市町村を通じてではありますけれども、防災市民組織が消火器材等を整備することを、東京都としても働きかけるこということが記載されておりましたけれども、今度の修正素案では、この文言が丸々、どう読んでも見当たりません。
これは一体なぜ削除したのでしょうか。こうした防災市民組織の資器材確保のための東京都としての働きかけは行わないということなのでしょうか、ご答弁をお願いいたします。
○笠井総務局長 今回の地域防災計画修正素案では、都の役割として、区市町村による防災市民組織の育成への支援について定めておりまして、お話の消火資器材の確保についても、従前どおり、区市町村に働きかけてまいります。
○吉田委員 ぜひ具体的な、効果的な支援策をとっていただきたいというふうに思います。
最後に、るるといっても、限られた分野で質問してまいりましたけれども、実際に、やはり実施計画で、この分野でこれだけの目標を持って、いつまでに取り組むという実施計画を明確にし、それが進行管理がされるということが私は不可欠だと思いますが、震災対策事業計画は終了して、いまだに二年間空白状態になっています。どのようにこの実施計画を定めて進めていくのか、ご答弁をお願いいたします。
○笠井総務局長 震災対策条例に基づく事業計画につきましては、地域防災計画の修正を踏まえて、当然に検討を進めていくものでございます。
○大津委員長 吉田信夫委員の発言は終わりました。
西崎光子委員の発言を許します。
○西崎委員 先日公表されました東京都地域防災計画の修正素案では、予防、応急、復旧といった災害のフェーズに応じた対応策を示すなど、現行の地域防災計画の構成を全面的に見直したものとなっております。また、施策ごとに課題や到達目標が示されており、以前よりはわかりやすくなりましたけれども、今後は、この到達目標に向かって、どのように取り組みを進めていくのかが重要になると思います。
生活者ネットワークから、具体的な内容としては、女性や子どもの視点に立った防災対策の必要性をこれまでも主張してまいりました。昨年の東日本大震災では、被災地において避難所生活が長期化するなど、高齢者や乳幼児を抱えた母親、障害者など援護を必要とする人々への対策が十分でなかったことが浮き彫りになっております。
地域防災計画の修正に当たっては、こうした実際の災害で得た経験を十分に反映し、生きた計画にしていかなければなりません。
そこで、今回の修正素案は、被災した女性や子どもなどの対策について、どのような考え方に立って作成されたのか、まず伺います。
○笠井総務局長 防災対策は、被災者の視点に立って対策を推進することが重要でありまして、女性や子どもなどに対しましては、きめ細やかな配慮が必要だと思っております。
このため、今回の地域防災計画の修正素案を作成するに当たりましては、東日本大震災で明らかになった女性や子どもなどに関する課題を踏まえ、発災時に実効ある対応がとれるよう、具体的な対策を盛り込みました。
避難所運営におきましては、女性や子どもなどの安全確保に向けたパトロールの実施や照明の配置を行うとともに、女性や子どもを含めたさまざまな避難者のニーズに対応した物資の確保に留意することなど、被災地の実際の経験を反映した対策を示しております。
今後、こうした女性や子どもなど、被災者それぞれの立場に立った対策を着実に推進してまいります。
○西崎委員 先日、文京区で、災害が起きた際に妊産婦や乳幼児を受け入れる専用の避難所を整備することを発表しております。これは全国初の妊産婦、乳児専用の避難所で、助産師会や区内の女子大学と支援に関する協定を結びまして、発災時に連携してケアを行っていくものです。
東日本大震災においては、赤ちゃんが泣いて肩身が狭い、あるいは避難所から出て自家用車の中で過ごした母親や、体育館などでは体を休めることができなかった妊産婦の方なども少なくなかったと聞いております。中越地震でも、やはりこういったことがあったと記憶しております。
文京区が設置します妊産婦、乳児専用の避難所は、どの地域でもすぐに設置できるというものではないとは思いますけれども、災害時要援護者への支援の充実に向けた民間団体と連携した取り組みとして紹介できるのではないかと考えます。
一時避難所においては、妊産婦や乳児を初め、高齢者、障害者など災害時要援護者といわれる方々も数多く避難することが想定され、こうした方々への適切な支援を行うためには、日ごろからさまざまな支援を行っている民間団体との連携した取り組みが必要です。
都は今後、区市町村向けの避難所管理運営の指針を見直すこととしていますけれども、見直しに当たっては、災害時要援護者に対して必要な支援を提供する上で、福祉関係の民間団体と連携していく視点についても盛り込む必要があると考えますけれども、都の見解をお聞かせください。
○川澄福祉保健局長 地域防災計画の修正素案では、災害時要援護者の視点を踏まえた避難所運営体制の確立を目標としており、そのための取り組みの一つとして、区市町村は、平常時から市民活動団体等と協働し、幅広いネットワークを構築することとしております。
また、都は、区市町村からの要請に基づき、福祉関係のボランティア等を避難所に派遣できるよう、福祉関係団体等と調整を行うこととしております。
避難所管理運営の指針の改定に当たりましても、こうした民間団体等との連携について盛り込んでまいります。
○西崎委員 次に、災害時における障害者支援について伺います。
先日、聴覚障害者団体の方からお話を伺う機会がありました。聴覚に障害のある方は、音声による情報を得ることができないため、東日本大震災のときに、避難所で食事の時間がわからなかったこと、さまざまなご苦労があったという話を伺い、改めて避難所における情報提供の重要性を認識いたしました。必要な情報がきちんと伝わらなければ、避難所で落ちついて過ごすこともできません。
避難所における情報提供については、障害特性に応じた配慮が必要だと思いますけれども、今回の地域防災計画の修正に当たって、そうした点が反映されているのかどうか伺います。
○川澄福祉保健局長 都が昨年十月に障害者団体に対して実施した災害時における障害者支援調査では、避難所において、障害の特性に応じた支援をしてほしいという声が多く寄せられており、情報提供につきましても、視覚障害者からは音声による支援、聴覚障害者からは手話やボードを活用した文字による支援など、障害に配慮した手法が必要との意見をいただいているところでございます。
今回の地域防災計画の修正素案では、こうした意見や要望等を踏まえ、避難所を設置する区市町村の取り組みとして、被災者の特性に応じた情報提供手段を講じること等を盛り込んでおり、今後、避難所管理運営の指針の改定にも反映させてまいります。
○西崎委員 先日の新聞記事に、世田谷区のことなんですけれども、区内の人工呼吸器使用者八十九人全員を対象に、大災害や停電に備えて、個別の支援計画を年度内につくることが書かれておりました。
この記事によりますと、人工呼吸器使用者の一番多い年代は四十代から六十代で、難病などで気管切開をしている人が半数以上を占めております。大変驚いたことに、ゼロ歳児から十二歳の乳幼児や児童も四分の一を占めておりました。
それぞれの生活環境や病状に沿った災害時個別支援計画を作成することは大変重要であり、すべての区市町村が取り組むべきことだと思います。都の区市町村にどのように働きかけているのか、また、区市町村の取り組み状況についてお聞かせください。
○川澄福祉保健局長 都は、本年三月、区市町村や関係者等が、災害時に人工呼吸器を使用している患者の特性を踏まえ適切に支援できるよう、在宅人工呼吸器使用者災害時支援指針を策定し、区市町村に対して個別支援計画の作成を働きかけてまいりました。
また、個別支援計画作成の手引を配布し、七月には、これを活用して、区市町村の担当者向けの説明会を実施したところでございます。
計画作成に当たりましては、包括補助による財政支援等も行っており、現在、三十八の区市町村が作成に向け取り組んでいるところでございます。
○西崎委員 特別な医療を必要とする患者への支援として、一番緊急性が高いのが人工呼吸器使用者に対する支援だと思うんですけれども、また、災害時における透析医療の確保も重要な課題だと思っております。
現在、都は、災害時の緊急連絡先や透析に必要な検査データ等を記載できる透析患者用防災の手引を作成しておりまして、患者に配布し、かかりつけ医以外の医療機関でも安心して透析医療が受けられるようにしていることは大変心強く思います。
一方、東日本大震災の際に、都は、福島県いわき市から約四百人の人工透析患者を受け入れましたけれども、都内には二万人を超える人工透析者がいるといわれております。これらすべての透析患者が、発災時に確実に透析医療を受けられるようにするため、都はこれまで以上に、区市町村や関係機関との連携を図り、他県を含めた広域的な災害時透析医療体制を確保し、患者の不安解消に努めることを強く要望しておきます。
次に、学校における避難計画について伺います。
昨年、被災地を視察しました際に、学校における避難状況についてお話を伺いました。先ほど、釜石の奇跡ということは、早坂委員がいっていらっしゃいましたけれども、学校に子どもたちがいた場合は命が助かったけれども、自宅で一人でいたために、津波にのまれたという、大変悲劇的な話も伺いましたけれども、災害時の避難誘導や危機管理が日ごろからとても重要になると思います。
そこで、東京都地域防災計画の修正を受けて、学校危機管理マニュアルの見直しが必要と考えますけれども、東京都教育委員会の見解をお聞かせください。
○比留間教育長 学校危機管理マニュアルは、自然災害のみならず、さまざまな危機から児童生徒の生命、身体の安全を確保することを目的としておりまして、東京都地域防災計画、東京都NBC災害対処マニュアル、都政のBCP地震編、インフルエンザ編などとの整合を図る必要があることから、これまでも、それぞれの計画等の修正にあわせ見直しをしてまいりました。
昨年度には、東日本大震災での対応と教訓を踏まえた東京都防災対応指針の策定にあわせ、学校における避難訓練の改善などの見直しを行いましたが、今般の東京都地域防災計画の修正を受け、児童生徒の安全管理、都立高校における帰宅困難者支援体制の強化、教職員の役割の見直しなどを行ってまいります。
○西崎委員 昨年の震災時では、首都圏で多くの方が帰宅困難になり、家族間で連絡がとれない状況や子どもが自宅に帰宅できない、帰宅した子どもが保護者の帰りを待っていたケースなどが発生しております。子どもの安全確保を行うためには、日ごろから災害時を想定した取り決めや、児童生徒が帰宅しなくても、学校で一時滞在できるような食料の備蓄が必要です。
東日本大震災の教訓を受け、災害時の児童生徒の保護及び保護者への引き渡しについて、教育委員会の考えを伺います。
○比留間教育長 東日本大震災の際には、学校が児童生徒を下校させた後、保護者が帰宅困難となったために、児童生徒だけで長時間、自宅で過ごした事例がありました。このことから、都教育委員会は、児童生徒の保護者への引き渡しについて見直し、学校所在地域の震度が小さい場合であっても、鉄道の運行状況や都内外の被災状況等の把握に努め、児童生徒を確実に保護者に引き渡すまで、学校において保護することを基本といたしました。
災害時に保護者が帰宅するまでの間、児童生徒を校内で保護する場合に備え、都教育委員会は、都立学校では三日分の食料等を備蓄しております。小中学校についても、都立学校に準じて児童生徒を保護する体制を整備するよう、区市町村教育委員会に働きかけております。
○西崎委員 ぜひ今後、区市町村の公立学校に、この考え方を徹底していっていただきたいと思います。
次に、避難対策について伺います。
地域防災計画を実際に機能させる生きた計画とするためには、住民と最も身近な自治体であります区市町村や、現場で対応に当たる関係機関と連携して取り組みを進めていくことが必要です。
今回の地域防災計画の修正素案においては、例えば、都、区市町村の基本的責務と役割において、都と区市町村が一体となって連携して対策に当たることとされております。
また、毎年、都が実施する総合防災訓練にも、区市町村や関係機関が参加しており、ことし、訓練会場の一つとなりました都立林試の森公園でも、医療救護訓練や各防災機関による展示、体験訓練などが実施されておりました。
地域防災計画の中では、区市町村や関係機関との役割分担が数多く記載されておりまして、計画策定の過程で行われた意見交換も踏まえた上で、今後、区市町村や関係機関との間で連携を強化していくことが重要です。
そこで、改めて、今回の修正素案の策定過程で、関係機関とどのように意見交換をしたのか、また、今後どのように関係機関と連携していくのか、都の所見を伺います。
○笠井総務局長 防災対策におきましては、住民に身近な区市町村を初めとする関係機関と緊密に連携し、現場の実情を十分に踏まえた対策を講じていく必要があります。
このため、今回の素案作成に当たりましては、全区市町村や関係機関に対して意見を照会し、その内容を踏まえて検討を進めるとともに、津波や避難対策など広域的な連携調整が必要な施策に関して、関係区との意見交換会を行うなど、現場の実情を踏まえて計画を取りまとめました。
今後も、定期的に計画に示された対策の進捗状況や課題に関する意見交換などを行っていくとともに、関係機関が相互に連携した訓練の実施などを通じて、お互いに顔の見える関係を築き上げ、一丸となって防災対策を推進してまいります。
○西崎委員 ぜひ今後とも区市町村と連携して、到達目標とするところに進められるよう連携していっていただきたいと思うんですけれども、地元の自治体にいいましたら、やはり財政的に大変厳しい状況があるので、財政的な支援もぜひお願いしたいということをいわれましたので、ここでちょっと要望しておきたいと思います。
次に、都立公園の防災対策について伺います。
これまで、都民の方々と一緒に、避難場所となっている都立公園を幾つか見学してまいりました。本委員会でも述べましたけれども、駒沢オリンピック公園の見学の際、マンホールトイレの使用方法の説明をしていただきまして、同行した都民の方々も多くの質問が出されるなど、防災トイレに対する関心は大変高いものがございました。
しかし、先日の一般質問でも取り上げましたけれども、十五区市への聞き取り調査では、都立公園の防災施設に関して状況がよくわからず、都立公園の指定管理者である東京都公園協会に確認してほしいという実態もありました。このような状況では、避難者が災害時に戸惑わずに利用することは難しいのではないかと考えます。
そこで、都立公園における防災トイレの整備に当たって、地元区市とどのような協議を行っているのか、伺います。
○村尾東京都技監 避難場所に指定されている都立公園の防災トイレの設置に当たりましては、災害時に避難場所の運営を行う地元区市の防災部署と事前に協議を行い、施設の整備を進めております。
具体的には、区市に防災トイレの機能、設置数を説明し、トイレの目隠しテントを用意することなど役割分担を確認した上で、施設平面図によりトイレの設置場所の協議を行い、目隠しテントの仕様決定に必要な詳細図面も提供しております。
さらに、整備工事の着手時には、工事広報板を設置しまして、地域住民の皆様に工事内容をお知らせするとともに、整備後には、地元区市とともに実施する防災訓練などを通じて、トイレの使用方法を説明するなど周知を図ってきております。
○西崎委員 都が防災トイレの整備に当たって、大変丁寧に地元区市と調整を進めているということは、今のお話でわかりました。一方、地域住民にとっては、避難場所の防災トイレなどについて、さまざまな不安を抱えていることから、都立公園における具体的な防災施設の整備を通じて、地元区市の防災意識を少しでも向上させるように要望しておきます。
さて、都立公園は、日ごろから多くの都民が利用し、親しみを持っている場所で、発災時には、避難場所として真っ先に考える場所でもあります。震災時の都立公園の役割には、日ごろの場所以外にもさまざまなものがあると思いますけれども、都はどのように考え、整備しているのか伺います。
○村尾東京都技監 震災時における都立公園の役割についてでございますが、都立公園は、潤いのある都市環境を創出し、都民に憩いや安らぎを与えるとともに、震災時には、避難及び防災活動の拠点として重要な役割を担っております。
都は、建設局が所管する都立公園八十公園のうち六十公園を、大規模な市街地火災が発生した場合の避難場所、被災者の救出及び救助等を行う大規模救出救助活動拠点や、ヘリコプター活動拠点などに位置づけております。これまで、これらの公園で、緊急車両の進入路の確保や防災トイレなどの整備を計画的に進めてまいりました。
引き続き、都立公園の整備を推進するとともに、防災関連施設の充実を図り、防災機能の強化に努めてまいります。
○西崎委員 最後に、安全な飲み水の確保について伺います。
安全な飲み水の確保については、震災時の飲料水確保は重要な課題です。水道局は、給水拠点での応急給水を中心に、二キロメートル以上離れたところには、車両による応急給水を実施することとしています。しかし、給水車の数は少なく、飲料水を確保できるのか心配している地域もありました。
実際にどのような体制をとって応急給水を実施するのか、伺います。
○増子水道局長 首都直下型地震が発生した場合の被害想定では、水道の断水率は三〇%を超えると想定されておりますが、断水した地域においては、さまざまな応急給水体制を講じることとしております。
給水車が少ないとのお話でありましたが、まず、地域の避難所等へは、水道局が所有する給水車及び車載用応急給水タンクにより、三百台の給水車を確保いたします。
また、全国の水道事業者間の相互協定などにより、給水車などの支援を行うこととなっておりまして、さきの東日本大震災の被災地では、全国から六百台を超える給水車の支援が行われました。
さらに避難所等では、給水車から水を受け、応急給水に使用する大型の貯留槽約二百個の設置や、給水拠点を補完する消火栓などを活用した応急給水を実施することとしております。
これらにより十分な応急給水ができるものと考えております。
○西崎委員 対応ができるということは大変よくわかりましたけれども、なぜこの質問をしたかといいますと、やはり都立公園の防災公園などを視察した際に、一般の市民の方からこういう質問が出まして、それに対して、きちんと情報提供というか、説明をすることによって、やはり市民の方が安心なさるのではないかと思いますので、ぜひこの内容も、一般市民の方にもきちんと情報提供していただきたいと思います。
それで、万が一、道路が寸断されていて、こういった給水車が来られなくなった場合に、応急給水の体制がとれなかった場合に、水道水を入手することができずに、貯水槽や井戸の水を飲み水にする場合、その安全をどのように確保したらいいのか、その方策についてお聞かせください。
○川澄福祉保健局長 災害時に、貯水槽や井戸等の水を飲み水として使用する必要が生じた場合には、その安全を確保するため、都及び区市の保健所が編成する環境衛生指導班が中心となって、水の色、濁り、においの異常の有無や、塩素等で消毒されているかを確認するとともに、都民に消毒薬や検査資材を配布し、消毒の方法や消毒の確認方法等を指導することとしております。また、こうした事態に備え、都は、消毒薬や検査資材を備蓄しているところでございます。
○西崎委員 災害時における飲料水確保策として、都では、給水拠点による応急給水を基本とし、給水拠点から半径二キロメートル以上離れたところには給水車による給水体制を構築していること、そして、給水に当たっては、飲料水の安全確保にも万全を期していることはわかりました。
しかし、いうまでもないことですけれども、災害時においては、都民の命を守る水の確保は極めて重要です。こうした給水体制を基本としつつも、可能な限り、多くの手段を用いて飲料水を確保すべきだと考えます。例えば、狛江市、調布市と慈恵医大第三病院では協定を結んでおりまして、災害時に病院の井戸水を地域住民にも使えるようにしております。病院や企業など、民間所有の井戸を災害時に活用することは有効です。
このように、都として井戸を初めとする多様な飲料水確保を推進すべきと考えますが、所見を伺いまして、質問を終わります。
○笠井総務局長 災害発生時に都民の命を守るためには、飲料水の十分な確保が不可欠であることから、都と区市町村が多様な対策を講じることは重要でございます。
都はこれまでも、給水拠点における応急給水体制の構築を進めるとともに、消火栓を活用した応急給水にも取り組んでまいりました。一方、区市町村においても、災害用井戸やプールのほか、事業所ビルの受水槽など民間資源も含め、さまざまな水資源を活用して飲料水を確保しているところであります。
今回の地域防災計画の修正素案では、こうした都と区市町村の多面的な対策や役割分担を示したところであり、今後も区市町村と協力をして、災害時の飲料水の確保を進めてまいります。
○大津委員長 西崎光子委員の発言は終わりました。
くりした善行委員の発言を許します。
○くりした委員 私からは、危険物及び危険物を扱う施設の安全化について質問をさせていただきます。
先日、九月二十九日に発生をした兵庫県姫路市における化学工場爆発事故は、一人の死者と三十六人の重軽傷者を出す大きな被害をもたらしました。事故の際、タンクから飛散をしたアクリル酸という薬品が化学反応を起こして非常に高温な状態となり、消防活動に当たった消防隊員の着ている、通常千度前後まで耐えられる消防服が溶けていたということも報じられております。
この事故が示しているのは、化学薬品については、通常我々が想像し得ないような大きな危険性を秘めているものも多数存在するということであり、この委員会のテーマとなっている防災という観点からしても、大きな災害が起こった際に、我々の文化的生活を支えている、しかし、同時に大きな危険性も秘めているこれらの物質をどのように安全化していくのかということは、数多くの産業が集積をするこの東京にとって大切な問題と考えます。
当然、これまでのさまざまな防災計画の中で、こういったいわゆる危険物の安全化については対策が検討されており、この地域防災計画の修正素案についても例外ではないわけでありますが、本日は、その具体的内容について質問をさせていただきます。
まず、先日の姫路市の事故の原因ともなった化学物質の取り扱いについてお伺いをいたします。
化学物質と一言にいっても、極めて多くの種類の物質を含んでいるわけでありますが、このたびの防災計画の中で東京都が安全化を目指している化学物質について、都民の身近なところでは、どういったところに存在をするのか、まずお伺いをいたします。
○大野環境局長 化学物質に関しましては、化学物質審査法、消防法、毒物劇物取締法、労働安全衛生法など、多くの法律によりまして、それぞれ必要な規制が行われております。
都では、これらの法規制に加えまして、都内に多く見られる中小事業者も対象とした独自の制度につきまして、環境確保条例に基づく化学物質適正管理制度を設けております。
この制度では、人の健康に障害を及ぼすおそれのある五十八種類の化学物質を適正管理化学物質として規定し、年間百キログラム以上取り扱う事業者に使用量などの報告を義務づけております。この報告によりますと、身近なところでは、ガソリンスタンド、メッキ工場、クリーニング店、印刷工場などの事業者が多いという集計結果になっております。
○くりした委員 数多く存在する化学物質を、管理する法律や条例ごとにそれぞれ具体的な物質を指定しているということでありました。そして、この防災計画の中に書かれている、化学物質を具体的に示しているのは、環境確保条例の中に定義をされている五十八種類であるということであります。
私も調べさせていただきましたが、この中には、メッキや顔料の中に使われている六価クロム化合物や、ドライクリーニングの溶剤等に使われているトリクロロエタンなどが具体的には含まれております。その中の多くは、気体として流出をした際に、広い範囲に、人体の皮膚や目、気道などに健康被害を及ぼすものであるというふうに認識をしております。
都環境局の資料によれば、平成二十二年度では、都内でこれらの化学物質を扱う場所として、ガソリンスタンド等の燃料小売業が四〇%、電気メッキ業が九%、クリーニング店等が七%、印刷業が五%といった事業所が多くを示しております。年間百キログラム以上の物質を扱う事業所については報告義務が課されているということで、同じく資料によると、区部で千九百三十一件、そして多摩部で六百九十一件の事業所を都では確認をしているということでありました。ガソリンスタンドやクリーニング店など、都民の生活からも非常に身近なところにあることから、震災が起こった際には、万が一の漏えいについても細心の注意を払わなくてはならないと思います。
実際に、環境局は、その重要性について理解をした上で、有事の際の流出事故防止に向けて、これまでもさまざまな対策を行ってきたと思いますが、従前どのような活動を行ってきたのか、お伺いをいたします。
○大野環境局長 先ほどご答弁いたしました化学物質適正管理制度によりまして、都はこれまでも、事業者による化学物質の管理の適正化、事故の防止に向けた自主的取り組みを促進してきております。
また、この制度で対象となる事業者に、管理方法や事故時の対応等を取りまとめた化学物質管理方法書の作成も義務づけております。事業者みずからが化学物質管理方法書を作成することにより、日常的に化学物質の適正管理に取り組むとともに、事故発生時にも的確に対応して化学物質の流出事故を防止できるよう、事業者の自主的取り組みを促進しております。
○くりした委員 化学物質管理方法書の作成の義務化を初めとして、事業者の自主的な安全化の取り組みを後押ししているとのことでありました。こういった取り組みは三・一一の大震災以前から行われてきたと思いますけれども、大変残念なことに、三月十一日の大震災においては、東京都江東区の町工場で、化学物質として指定をされている、つまりこの五十八種類の物質のうちの一つでありますトリクロロエチレンが漏えいをして、二人の方が亡くなるという痛ましい事故も発生をいたしました。
これを受けてどのような対策が施されたのか、お伺いをいたします。
○大野環境局長 まず、本件の事故でございますが、金属加工業の事業所内におきまして、金属の洗浄用などに使われておりますトリクロロエチレンという溶剤が作業資材に漏えいし、充満したガスを作業員の方が吸引したことにより発生したものと推定されております。
工場や作業所など、労働者が働く場で発生する災害につきましては、労働安全衛生法に基づきまして、労働基準監督署が所管をしておりまして、本件の事故対応自体は、所管の監督署が行いました。
都といたしましては、現在、化学物質を取り扱う事業所における震災時に備えた対応についての検討を進めておりまして、被災地における実態の把握や、都内で震災が発生した場合の事業所周辺に及ぼす影響などの調査を行っております。
これらの被災地の状況や周辺への影響などを把握し、現行の化学物質適正管理制度を非常災害時の管理手法としても活用する方策を検討してまいります。
○くりした委員 過日の江東区における事故も事例の一つとして認識をした上で、また、被災地における実態の把握を行った上で、都内の化学物質漏えい予測を新たに行っていただいている最中ということでありました。
被災地においては、実際に、多くの化学物質の漏えい、流出事故が発生をいたしました。そして、そのうちの多くは津波による被害であったわけでありますが、詳細な内訳を見てみると、地震の揺れや、それによる施設の損傷によって起こったものも少なくはありません。ぜひ、これら被災地の経験、また、都内における事故の経験を生かして、新たな漏えい予測を行い、化学物質の安全化に努めていただきたいと思います。
次に、高圧ガス及び液化石油ガスの安全化について質問をさせていただきます。
これらの物質も、防災計画の中で、それぞれ安全化の対策が示されているわけでありますが、これらは、都民の生活に身近なところではどういったところで存在をしているのか、お伺いをいたします。
○大野環境局長 高圧ガスや液化石油ガスは、産業分野から都民生活まで幅広く利用されております。
都民生活に身近な高圧ガスの利用例としましては、溶接用のアセチレンが工場などで使用されたり、医療用の酸素が病院などで用いられているほか、天然ガスがCNG自動車の燃料として活用されております。また、液化石油ガスにつきましては、家庭でのプロパンガスボンベの利用や、タクシーなどの自動車燃料として、オートガススタンドで供給されているなどの事例がございます。
○くりした委員 家庭用のプロパンガスや特別な燃料で動く車のスタンド、工場や病院で活用をされているということでありました。これらの気体は可燃性のものが多く、漏えいをした気体に引火すれば、爆発事故や大規模な火災の原因となるおそれもあります。
平成二十二年度時点の報告でありますが、高圧ガスの事業所数が、二十三区と島しょで約一万六千件、多摩部で約三千七百件、液化石油ガスが、二十三区と島しょで約千四百件、多摩部で千四百件、小さな規模のものも含むことから、数が非常に多いのが特徴でありまして、都による立入検査等も行われているというふうに防災計画の中では示されておりますが、この数の多さが均一な現状把握に向けての大きな壁になるのではないかと感じております。
さきの東日本大震災においては、これらのガス施設において死傷者の出る事故は発生をしなかったということは私も認識をしておりますが、関連設備の破損については報告をされていないのか、お伺いをいたします。
○大野環境局長 高圧ガスに関する事故が発生したときには、高圧ガス保安法によりまして、都道府県知事への報告が義務づけられております。
東日本大震災直後に都に報告があった事故は、水素スタンドでの漏えいと冷凍空調器からのフロンガスの漏えいの二件でございます。いずれも、地震発生直後に機器を緊急停止させておりまして、その上で安全点検を行いましたが、漏えい量はわずかでございまして、特段の安全上の問題はございませんでした。
これまでも、都の指導と事業者の自主的な保安の推進によりまして、高圧ガス設備の安全を確認してきておりまして、今後も引き続き、震災時を含め、安全性の一層の確保を図ってまいります。
○くりした委員 水素と、そしてフロンガスの漏えい二件が報告をされていたということでありました。水素については、爆発の危険性もある物質でありますが、機器は緊急停止をされて、安全点検によって漏えいについて把握することもできた、事故を未然に防ぐことができたというわけでありました。
これに限ったことではありませんが、震災対策においては、異常事態の発生を前提として、とり得る対策を多重化していくこと、そして、それらが正常に動くのか、日々の確認が第一であるということを示す一つの事例であると思います。数の非常に多いガス関連設備の安全化については、大変根気と丁寧さの求められる活動であると思いますが、これからも取り組んでいただきたいと思います。
次に、毒物、劇物の安全化について質問をさせていただきます。
先ほどのご答弁の中にあったとおり、該当する物質は、毒物及び劇物取締法の中で定義をされておりまして、毒物としては、青酸カリ等の無機シアン化合物や水銀、砒素等、また、劇物については、塩酸、硫酸、クロロホルム等が含まれております。いずれも人体に対して極めて有害な物質であるということは、今、名前をお聞きいただいただけでも、ご理解をいただけることかと思います。
しかし、その一方で、産業製品の原材料や加工プロセスの中に使われることによって、我々の文化的な生活を支えているという一面もあります。
しかし、いうまでもなく、震災等有事の際に、漏えいや流出が大きな被害を生む可能性のあることから、地域防災計画の中でも、これらの物質による被害を出さないように対策が練られてきました。
まず、災害に伴って発生をする毒物、劇物による被害としてはどのようなものがあるのか、また、そうした危険性のある毒物、劇物は、都民の身近なところでは、どういったところに存在するのか、お伺いをいたします。
○川澄福祉保健局長 災害の発生により想定される毒物、劇物による被害といたしましては、貯蔵しているタンクから流出した液体に触れたり、気化した毒劇物を吸い込むことによって生じる健康被害や、容器が破損し、複数の薬品がまざることで起こる発火等が挙げられるところでございます。
毒物、劇物を保有する施設といたしましては、タンクで貯蔵している化学工場、実験用に多種類の薬品を保有している研究機関や大学等の教育機関がございます。
○くりした委員 先ほど私から挙げさせていただいたものは、直接とると非常に有害というものでありましたが、中には、気体として吸い込むことによって被害を及ぼすものもあると。また、複数の薬品がまざることによって、火災等の原因となることもあるということがわかりました。これらの物質がそろっている大きな場所としては、タンクを持った化学工場や研究機関等であるということもお答えをいただきました。
化学工場というと、多くの方々は、住んでいるところから、住民の方々がいるところから隔離をされた大規模な工場をイメージされる方が多いと思います。しかし、さまざま調べさせていただいた中で、私も大変意外だったのですが、案外、我々の生活圏から身近なところに数多く存在しているということであります。
東京都健康安全研究センターでは、東日本大震災以降、都内の毒物、劇物を扱う施設を対象に調査を行ったということでありますが、その調査に関連をして質問させていただきたいと思います。
まず、都内で毒物、劇物をタンクで保有している施設はどれだけあるのか。健康安全研究センターでは、昨年五月から七月にかけて、このうちの七十二件について実態調査を行ったと聞いておりますが、調査の対象となった施設の中で、住宅地に隣接をしている施設はどれだけあったのか、また、点検マニュアルの整備状況はどのようになっていたのか、お伺いをいたします。
○川澄福祉保健局長 都内では、二百十四施設が毒物、劇物をタンクで保管しております。
昨年、健康安全研究センターでは、毒物、劇物の製造業者を中心に、都が指導権限を有している七十二施設について、震災対策に係る実態調査を実施いたしました。そのうち、住宅地に隣接しているものは三十九施設でございました。
また、ほぼすべての施設において、日常及び地震発生後の点検を適切に実施しておりましたが、点検の手順や項目をマニュアルの形で整備していない施設が四割程度ございました。
○くりした委員 都内で毒物、劇物のタンク、このタンクの大きさは、調査の中で、千リットル以上の大規模なものに絞ったというふうに聞いておりますが、それらを持っている施設が二百十四件。私も、実際どういったところにそういったタンクが存在するのかということで、タンクのある場所についてもリストを拝見させていただきましたけれども、多くの住宅団地が存在をするような、我々にとって非常に身近なまちにも、都内全域に満遍なく点在をしているという、そういった印象を受けました。
また、調査をいただいたところによれば、住宅地に隣接をしているのが七十二件中三十九件、これは、確率でいうと五四・二%、半分以上ということでありました。詳細な場所については、残念ながら教えていただくことができませんでしたので、私も現地を視察することなどはできておりませんが、私が思っていた以上に、こういった毒物や劇物は、我々の生活圏内の中に存在をしているということがわかりました。
その調査の中で、これらのタンクを持っている設備を対象に、日常のタンクのチェックをしているのか否か、また、震災が起こったときに、問題がないかチェックができていたのかどうかについて調査をされたところ、九割以上の施設においては、チェックをちゃんと行っていたという報告が上がっていることも伺っております。
しかし、実際私も、調査にかかわった方からお話をお伺いいたしましたけれども、指摘をされておりますのは、その点検の手順がマニュアル化をされている事業所は六割程度。四割程度は、まだ、この点検の手順については具体的にマニュアル化がなされていないということでありました。この点検マニュアルの作成の徹底については、私は、よりきめ細かい安全化を行う上で改善の余地があるのではないかというふうに思っております。
そこで、毒物、劇物による事故防止のために、都はどのような対策を講じているのか、また、東日本大震災に際して、都内では、毒物、劇物の漏えいや事故は発生をしなかったのかどうか、お伺いをいたします。
○川澄福祉保健局長 都は、毒物、劇物を取り扱う施設の安全性を確保するため、定期的に立入検査を実施し、保管設備や管理の状況、日常の点検体制や緊急時の連絡体制等を確認しているところでございます。あわせて、施設の管理者を対象に、適正な管理方法に関する講習会を開催しております。
こうした立入検査や講習会の際に、施設の点検のためのマニュアルの作成についても指導しており、今後とも、施設の安全確保に向けた取り組みを働きかけてまいります。
なお、東日本大震災の際、都内において、毒物、劇物による事故は発生しておりません。
○くりした委員 都としては、施設に対して立入検査と管理状況を指導していると、また、それぞれの管理者に対して講習会を開いたり、適正な管理方法についても指導を行っているということでありました。その中でも、指摘をさせていただいた点検マニュアルの作成の徹底についても進めていただいているとのことでありました。幸い東日本大震災においては、都内の毒物、劇物に起因する事故は発生をしていないということでありましたが、これについては、一つとして、ご苦労をいただいている職員の方々及び事業者の方々の努力のたまものであるとは思いますけれども、やはり、次のステップであります、点検マニュアルの策定の徹底については、さらにご尽力をいただいて、事業者に浸透するように頑張っていただきたいと思っております。
昨年三月十一日の東日本大震災の当日、恐らく多くの方々が、千葉県のコスモ石油製油所における火災爆発事故の映像をごらんになったかと思います。それに比べれば話題にはなりませんでしたけれども、消防庁の調査によれば、都内でも、危険物施設において、重油の流出事故や関連施設の破損事故が九件起こったことが確認をされております。これらについては、大きな事故になる前に未然に防ぐことができたわけでありますが、一歩間違えれば大惨事の原因ともなりかねない事象であったと思います。
これら施設の破損については、予測が難しく、一〇〇%防ぐということは現実的には極めて困難であると思います。しかし、防災、減災の観点から見ると、やはりこれらの危険物を扱う施設の秘めているリスク一つ一つを丁寧に想定をすること、また、管理を実効性のある形で対策を徹底していくことは、極めて手間のかかることかもしれませんが、都民の安全を守る行政の仕事として大変大切な仕事の一つではないかというふうに感じた次第であります。
東日本大震災の教訓から、さらなる安全性の確保に向けて、力を入れて取り組んでいただきたいと最後にお願いを申し上げ、私からの質問を終わらせていただきます。
○大津委員長 くりした善行委員の発言は終わりました。
以上で、本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大津委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時三十四分散会
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