防災対策特別委員会速記録第八号

平成二十四年九月十二日(水曜日)
第十二委員会室
 午後三時開議
 出席委員 十七名
委員長大津 浩子君
副委員長橘  正剛君
副委員長服部ゆくお君
副委員長増子 博樹君
理事松葉多美子君
理事いのつめまさみ君
理事吉原  修君
加藤 雅之君
くりした善行君
田中  健君
鈴木 章浩君
早坂 義弘君
中屋 文孝君
西崎 光子君
中谷 祐二君
興津 秀憲君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
総務局局長笠井 謙一君
危機管理監宮嵜 泰樹君
総務部長山手  斉君
総合防災部長村松 明典君
企画調整担当部長箕輪 泰夫君

本日の会議に付した事件
 東日本大震災を踏まえ、東京都地域防災計画の見直しに向け、今後、東京で発生が懸念されている大規模地震などへの対策をあらゆる角度から強化することについて調査・検討する。
報告事項(説明)
・東京都地域防災計画の修正素案について

○大津委員長 ただいまから防災対策特別委員会を開会いたします。
 初めに、委員の辞任及び選任について申し上げます。
 議長から、本日付をもって、神野吉弘委員、三宅茂樹委員の辞任を許可し、新たに鈴木章浩議員、くりした善行議員を選任した旨通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の委員を紹介いたします。
 鈴木章浩委員です。

○鈴木委員 鈴木章浩です。よろしくお願いいたします。

○大津委員長 くりした善行委員です。

○くりした委員 くりしたです。よろしくお願いいたします。

○大津委員長 紹介は終わりました。
 次に、議席について申し上げます。
 議席は、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○大津委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承をお願いします。
 これより、東日本大震災を踏まえ、東京都地域防災計画の見直しに向け、今後、東京で発生が懸念されている大規模地震などへの対策をあらゆる角度から強化することについて調査・検討を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取を行います。
 なお、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は十月五日の委員会で行いますので、ご了承願います。
 また、報告事項に対する質疑については、先ほどの理事会において、お手元配布の実施要領のとおり運営していくことを申し合わせました。ご了承願います。
 初めに、先般の人事異動に伴い、本委員会に出席をする幹部職員に交代がありましたので、総務局長から紹介があります。

○笠井総務局長 八月一日付の人事異動に伴いまして就任をいたしました当局の幹部職員をご紹介いたします。
 危機管理監の宮嵜泰樹でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○大津委員長 紹介は終わりました。

○大津委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○村松総務局総合防災部長 東京都地域防災計画修正素案についてご説明申し上げます。
 東京都地域防災計画平成二十四年修正素案の本冊は、お手元配布の資料第2号のとおりでございますが、本日は資料第1号の概要版で説明させていただきます。
 お手元配布の資料第1号、東京都地域防災計画修正(素案)の概要をごらんください。
 恐れ入りますが、表紙をおめくりください。
 まず、1の基本的な考え方でございますが、都は、東日本大震災以降、東京の防災力の向上に向けて、防災対応指針の策定や新たな被害想定といった取り組みを進めてまいりました。今回の地域防災計画修正素案は、新たな被害想定で明らかになりました東京の防災上の課題や東日本大震災の教訓を踏まえまして、地域防災計画を修正するものでございます。
 今回の修正のポイントは三点ございまして、一点目は、施策ごとの課題や到達目標を明示することで防災関係機関や都民との共通認識を醸成し、各主体による防災対策を促進すること、二点目は、地域の防災力の向上や安全な都市づくりなどの施策ごとに、予防、応急、復旧といった災害のフェーズに応じて対応策を構築すること、三点目は、より機能的な計画となりますよう、発災後の対応手順を明確化するなど、施策の内容を充実強化することでございます。
 続きまして、2の被害想定と対策の目標でございますが、平成二十四年四月に発表いたしました都の被害想定では、強い揺れや火災によりまして重大な人的被害が発生するとともに、都民の暮らしと都市機能を支える住宅、ライフライン等にも大きな被害が生じると見込まれております。今回の地域防災計画修正素案では、こうした被害を抑制するため、三つの視点のもと、具体的な目標を掲げて対策を推進することとしております。
 対策の視点と被害軽減と都市再生に向けた目標でございます。
 都は、平成十九年の地域防災計画修正の際に初めて減災目標を定め、災害対策を推進してまいりました。しかしながら、災害対策を推進する目的には、災害による人的、物的被害を軽減することのみにとどまらず、都民生活や都市の活動を早期に復旧、復興させることも含まれておりますことから、今回の地域防災計画修正素案では、そうした趣旨をより明確にするため、減災目標の名称を、被害軽減と都市再生に向けた目標へと改めております。
 この目標は十年以内に達成することとしております。ただし、都の応急対応力の強化など速やかな対応が必要な対策につきましては、可能な限り早期の達成を目指してまいります。
 視点1は、自助、共助、公助を束ねた地震に強いまちづくりでございます。
 防災対策は、家具の転倒防止や避難経路の確認といった身近なソフト対策から、道路ネットワークの整備や都市の再開発といった大規模なハード対策まで多岐にわたります。また、東京は、区部、多摩地域、島しょ地域と、それぞれ異なった地域特性を有しておりまして、それぞれの地域ごとに異なった災害のリスクを抱えております。防災対策を確実に進め、各地域が直面するリスクを低減するため、自助、共助、公助の力を束ねて地震に強いまちづくりを推進してまいります。
 この視点に基づく目標といたしましては、〔1〕死者を約六千人減少させる、〔2〕避難者を約百五十万人減少させる、〔3〕建築物の全壊棟数を約二十万棟減少させるとの目標を掲げております。目標を達成するための主な取り組みにつきましては、二枚目以降の資料でご説明申し上げます。
 視点2は、都民の命と首都機能を守る危機管理の体制づくりでございます。
 大規模な災害の発生時に一人でも多くの命を救うためには、都が、国や区市町村はもとより、首都圏内の近隣自治体や他地域からの応援部隊と一体となって、発災後のオペレーションを円滑に実施する必要がございます。とりわけ、発災直後の救出救助活動において重要な役割を担う自衛隊や警察、消防といった部隊との緊密な連携が不可欠でございます。こうした広域的な連携も含めまして、迅速かつ的確な災害対応を図るため、強固な危機管理体制を構築してまいります。
 この視点に基づく目標といたしまして、〔1〕中枢機能を支える国、都、病院等の機関の機能停止を回避する、〔2〕企業等の備蓄や一時滞在施設の確保により帰宅困難者五百十七万人の安全を確保するとの目標を掲げてございます。
 視点3は、被災者の生活を支え、東京を早期に再生する仕組みづくりでございます。
 発災直後の揺れや火災などの被害から命を守った後は、それをしっかりつないで早期に生活再建へと結びつけ、震災前の生活や都市の活動を取り戻すことが重要でございます。そのためには、避難所の安全化や生活物資の供給など発災直後の被害から当面の暮らしを守る対策や、罹災証明手続及び応急仮設住宅への入居を迅速化するなど、被災者の生活再建のための対策を進める必要がございます。こうした手だてを着実に講じ、被災者の生活を支え、東京を早期に再生する仕組みづくりを進めてまいります。
 この視点に基づく目標としまして、〔1〕電力や通信などのライフラインを六十日以内に九五%以上回復する、〔2〕避難所の環境整備などにより被災者の当面の生活を支えるとともに、ライフラインの回復とあわせて、早期に被災者の生活再建の道筋をつけるとの目標を掲げてございます。
 恐れ入りますが、資料をおめくりください。
 3の主な取り組みの概要でございますが、こちらでは、各視点に基づく主な対策の概要を記載してございます。
 視点1に基づく対策でございますが、都内の地域特性を踏まえ、直面するリスクを低減するため、木密地域やゼロメートル地帯の対策など、自助、共助、公助の力を束ねて地震に強いまちづくりを推進することとしておりまして、まず、都内全域に共通する対策といたしましては、自助、共助の推進として、東京防災隣組の認定団体の拡大と都内全域への活動の波及、消防団員の充足や訓練内容の充実等、ボランティアコーディネーターの計画的養成などの対策を掲げてございます。
 次に、道路等の都市基盤の防災性の向上といたしまして、緊急輸送道路沿道建築物や橋梁の耐震化、三環状道路など道路ネットワークの整備、主要駅など鉄道施設の耐震化の推進、都市開発に合わせ、大規模民間建築物に一時滞在施設、防災備蓄倉庫、非常用発電設備の整備を促進するなどの対策を掲げてございます。
 さらに、エネルギー、ライフラインの確保といたしまして、自立分散型電源や高効率な天然ガス発電所設置などエネルギーの安定供給体制の構築、首都中枢機関等への給水ルートの耐震化、地域住民と連携した応急給水体制の整備、水再生センターの全体的なネットワーク手法の確立などの対策を掲げてございます。
 また、地域特有の災害リスクを低減する対策といたしましては、木造住宅密集地域における火災への備えといたしまして、不燃化特区等による不燃領域率の向上、排水栓や深井戸、スタンドパイプの活用による初期消火力の強化などの対策を掲げてございます。
 また、区部東部低地帯や島しょ地域における津波、高潮への備えといたしまして、新たな整備計画に基づく河川施設等の耐震化や広域避難シミュレーションの実施、さらには、島しょの津波対策といたしまして、津波避難施設の設置や漁港施設等の耐震性の向上、ハザードマップの作成支援、津波避難訓練の実施などの対策を掲げてございます。
 次に、高層ビルにおける長周期地震動等への備えといたしまして、家具等の転倒防止、エレベーターの閉じ込め防止対策などの対策を推進するとともに、業界団体と連携した燃料供給体制を整備し、ビル機能を維持するエネルギーを確保するなどの対策を掲げてございます。
 また、山間部における備えといたしまして、土石流対策、地すべり対策、急傾斜地崩壊対策などに加えまして、警戒避難体制の整備等の避難所等の安全確保に向けた対策も講じるなど、ハード、ソフト両面にわたる対策を掲げてございます。
 資料をおめくりください。
 次に、視点2に基づく対策でございますが、ここでは、大震災の発生時に一人でも多くの命を救うため、さまざまな支援に駆けつける応援部隊との間の広域的な連携も含めまして、危機管理体制を強化、充実することとしております。
 広域的に連携して実施する対策といたしましては、救出救助活動などに当たる応援部隊の受け入れや、DMATなどによる医療支援、さらには帰宅困難者対策などがございます。
 こうした対応を円滑に実施するため、まず、広域連携等により都の危機管理体制を強化してまいります。
 具体的な初動時の対応や他県等からの支援の受け入れ、オープンスペースの計画的な利用など、対策全般を統合的に運用するため、仮称ではございますが、首都直下地震等対処要領を策定いたしまして、自衛隊、警察、消防などの関係機関の能力を最大限発揮できるよう、実効ある体制を構築してまいります。
 また、災害対策本部長であります知事を補佐する副本部長を増員し、消防総監を加えるほか、都庁各局、関係機関、協力団体の連絡員で構成する対策連携チームを設置するなど、都の災害対策本部体制を強化してまいります。
 このほか、陸上自衛隊東部方面総監部との情報連絡体制を整備するなど、自衛隊等の広域応援部隊の円滑な受け入れのための取り組みも進めてまいります。
 次に、医療機能の確保でございますが、災害医療コーディネーターと地域災害医療コーディネーターを十五名配置するとともに、地域災害医療連携会議を設置し、平常時から地域特性に応じた情報連絡体制を構築するなど、初動医療体制を確立してまいります。
 あわせて、医薬品の備蓄の充実や供給体制の強化による医薬品の確保、都内すべての病院を災害拠点病院、災害拠点連携病院、災害医療支援病院として位置づけ、医療機能を確保するなどの取り組みを進めてまいります。
 次に、帰宅困難者対策についてでございますが、国との協議会において取りまとめました五つのガイドラインに基づきまして、一斉帰宅の抑制等を徹底してまいります。
 また、買い物客等の行き場のない帰宅困難者の一時滞在施設として、都立施設を全面的に活用いたしまして約七万人分の施設を確保するとともに、民間企業による取り組みの促進に向けて、都の支援策を十一月に実施計画として取りまとめてまいります。
 また、こうしたさまざまな対策を実施する上での基盤となります情報通信の確保につきましては、防災関係機関相互の通信の確保に向け、都の監理団体や協力機関へのMCA無線の配備や、仮称ではございますが、防災ツイッターを活用した都民等への情報提供の充実、都民相互の通信の確保に向け、避難所や一時滞在施設となります都立施設において、無線LANを活用し、通信を確保するなどの取り組みを進めてまいります。
 恐れ入りますが、資料をおめくりください。
 次に、視点3に基づく対策でございます。
 発災直後の強い揺れや火災などから守った命を生活再建へと結びつけることが重要であることにかんがみまして、避難者対策など当面の暮らしを守る対策や、被災者の生活を早期に再建する対策を講じていくこととしております。
 まず、発災直後の被害から当面の暮らしを守る対策についてでございますが、避難者の安全を守る取り組みといたしまして、避難場所となる公園などの整備を進め、避難者のための面積の拡充や、距離が遠い避難圏域の解消を図るとともに、非常用電源の確保といった機能の強化を進めてまいります。
 また、避難所となります小中学校を一〇〇%耐震化するとともに、衛星携帯電話等の通信手段の確保により機能を強化するなど、避難所の安全性を向上させてまいります。
 さらに、女性等の被災者に配慮した避難所運営を進めるため、避難所の管理運営の指針を改定するなどの取り組みを進めてまいります。
 こうした避難所での生活を支えるための安定的な物資の供給に向けて、備蓄の増強等により、発災後三日分の物資を避難所近隣への分散備蓄等により確保するとともに、全国規模の物販事業者と連携いたしまして調達体制を強化いたします。
 また、物流拠点の荷さばき機能を向上するため、民間の物流事業者のノウハウを活用するとともに、民間倉庫を活用し効率的に物資を管理するなど、物資の輸送の効率化を進めてまいります。
 次に、被災前の生活を取り戻し、復興へとつなげる対策でございますが、被災者の生活再建を早期化するため、罹災証明システムの導入により、義援金の支給や固定資産税減免措置などのさまざまな手続を一元的に管理し、罹災証明手続を迅速化するとともに、住家被害調査手法等のガイドライン化によりまして、区市町村の手続を支援してまいります。
 また、ライフラインの早期復旧体制の構築についてでございますが、資器材置き場や復旧活動拠点を確保し、他県のライフライン事業者による応援部隊を円滑に受け入れるとともに、関係機関と連携した訓練による復旧能力の向上を図るなどの取り組みを進めまして、被災者の自宅への早期帰宅を実現してまいります。
 また、被災者の生活再建の基盤となります応急仮設住宅について、都営住宅等の公的住宅の活用や民間賃貸住宅の借り上げ等により、迅速かつ的確に住宅を供給することとしております。
 こうした取り組みによりまして、被災者の生活の再建と都市の再生を早期化いたします。
 資料をおめくりください。
 4では、地域防災計画における対策の全体像をお示ししております。
 さきにご説明申し上げた三つの視点に基づきまして、本冊の第2部各章の対策を体系的にお示ししております。
 自助、共助、公助を束ねた地震に強いまちづくりといたしましては、〔1〕都民と地域の防災力向上、〔2〕安全な都市づくりの実現、〔3〕交通ネットワーク及びライフライン等の確保、〔4〕津波等対策、都民の命と首都機能を守る危機管理の体制づくりといたしましては、〔5〕広域連携による応急対応力の強化、〔6〕情報通信の確保、〔7〕医療救護等対策、〔8〕帰宅困難者対策、被災者の生活を支え、東京を早期に再生する仕組みづくりといたしましては、〔9〕避難者対策、〔10〕物流、備蓄、輸送対策の推進、〔11〕放射性物質対策、〔12〕住民の生活の早期再建を掲げてございます。
 最後に、今後のスケジュールでございますが、修正素案につきましては、本日、都議会にご報告申し上げるとともに、十月五日までパブリックコメントを実施いたします。その後、いただいたご意見を踏まえまして、十一月中を目途に、東京都防災会議におきまして地域防災計画の修正を決定いたします。
 また、津波等対策や放射性物質対策などにつきましては、風水害編や原子力災害編の修正にも反映させてまいります。
 東京都地域防災計画修正素案につきましてのご説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大津委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言を願います。

○吉田委員 資料要求をお願いいたします。
 今、説明を受けました修正素案について、現行の地域防災計画との主な変更点及び新規に打ち出した点などについて、できれば新旧対照表のような形でわかりやすくお示しをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○大津委員長 ほかにありますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大津委員長 ほかになければ、吉田委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大津委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時二十一分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る