委員長 | 大津 浩子君 |
副委員長 | 橘 正剛君 |
副委員長 | 服部ゆくお君 |
副委員長 | 増子 博樹君 |
理事 | 松葉多美子君 |
理事 | いのつめまさみ君 |
理事 | 吉原 修君 |
加藤 雅之君 | |
田中 健君 | |
早坂 義弘君 | |
中屋 文孝君 | |
西崎 光子君 | |
中谷 祐二君 | |
神野 吉弘君 | |
興津 秀憲君 | |
吉田 信夫君 | |
三宅 茂樹君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育長 | 大原 正行君 |
東京都技監建設局長兼務 | 村尾 公一君 |
総務局長 | 笠井 謙一君 |
財務局長 | 安藤 立美君 |
生活文化局長 | 井澤 勇治君 |
都市整備局長 | 飯尾 豊君 |
福祉保健局長 | 杉村 栄一君 |
産業労働局長 | 前田 信弘君 |
港湾局長 | 中井 敬三君 |
水道局長 | 増子 敦君 |
下水道局長 | 松田 二郎君 |
消防総監 | 北村 吉男君 |
本日の会議に付した事件
東日本大震災を踏まえ、東京都地域防災計画の見直しに向け、今後、東京で発生が懸念されている大規模地震などへの対策をあらゆる角度から強化することについて調査・検討する。
報告事項(質疑)
・都における防災対策について
・東京都の新たな被害想定について
○大津委員長 ただいまから防災対策特別委員会を開会いたします。
これより、東日本大震災を踏まえ、東京都地域防災計画の見直しに向け、今後、東京で発生が懸念されている大規模地震などへの対策をあらゆる角度から強化することについて調査・検討を行います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
なお、本日の委員会には、お手元配布の名簿の理事者が出席しておりますので、ご了承願います。
これより、報告事項、都における防災対策について及び東京都の新たな被害想定についてに対する質疑を行います。
本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
資料について理事者の説明を求めます。
○笠井総務局長 二月十四日及び五月十四日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます防災対策特別委員会要求資料の表紙から三枚おめくりいただき、一ページをお開き願います。
資料第1号、東京都震災対策事業計画の建物及び都市インフラ、生活インフラの耐震化に関する目標及び進捗状況でございます。
同計画の平成二十年度から二十二年度における建物、都市インフラ、生活インフラの耐震化について、目標及び進捗状況を三ページにかけてそれぞれ記載してございます。
恐れ入りますが、四ページをお開き願います。
四ページは、資料第2号、木密地域不燃化十年プロジェクト実施方針に対する対象自治体からの主な質問、意見と東京都の回答の概要でございます。
木密地域の関係二十区に対し、平成二十四年一月二十三日、二十四日に実施方針についての説明会を実施した際に寄せられた質問、意見に対する都の回答の概要を記載してございます。
以上が二月十四日分の資料でございまして、以降、五月十四日分の資料でございます。
恐縮ですが、五ページをお開き願います。資料第3号、区市町村別、想定地震別の震度分布でございます。
区市町村別、想定地震別の震度分布を面積率でお示ししたものでございます。
次いで、六ページをお開き願います。資料第4号、区市町村別、想定地震別の出火件数でございます。
区市町村別、想定地震別の出火件数をお示ししたものでございます。
次いで、七ページをお開き願います。資料第5号、区市町村別、想定地震別の液状化危険度分布でございます。
区市町村別、想定地震別の液状化危険度分布を面積でお示ししたものでございます。
次いで、八ページをお開きください。資料第6号、区市町村別不燃化率でございます。
区市町村別の不燃化率を、建築面積ベース及び延べ面積ベースでお示ししたものでございます。
続いて、一〇ページをお開きください。資料第7号、河川施設の耐震状況についてでございます。
河川施設の耐震状況について、施設種別ごとに、規模、耐震強度をお示ししたものでございます。
次いで、一一ページをお開きください。資料第8号、海岸保全施設の耐震状況についてでございます。
海岸保全施設の耐震状況について、施設種別ごとに、規模、耐震強度をお示ししたものでございます。
一二ページをお開きください。資料第9号、東京都所管護岸等位置図でございます。
地図上に引かれている水色の線が、都所管の護岸等が整備されている箇所でございます。
次いで、一三ページをお開きください。資料第10号、橋梁の耐震状況についてでございます。
都道における橋梁の耐震状況について、施設種別ごとに、規模、耐震強度をお示ししたものでございます。
続いて、一四ページをお開きください。資料第11号、マンホールと管接合部との耐震化を下水道総合地震対策計画に定めている十一市における計画対象箇所及び完了箇所数でございます。
マンホールと管接合部との耐震化について下水道総合地震対策計画に定めている十一市における計画対象箇所数、完了箇所数をお示ししたものでございます。
次いで、一五ページをお開きください。資料第12号、水道管路の耐震化状況でございます。
水道管路の耐震継ぎ手率について、区市町村別にお示しをしたものでございます。
次いで、一六ページをお開きください。資料第13号、排水を受け入れる下水道管を耐震化した避難所などの割合でございます。
排水を受け入れる下水道管を耐震化した避難所などの割合について、区別にお示ししたものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
○大津委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
この際、一言申し上げます。
質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております実施要領に従い運営してまいります。
委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますようご協力をお願いいたします。
なお、質疑時間の計測、振鈴等は行いませんが、質疑時間はお守り願います。
質疑に際しましては、答弁時間を含んだ持ち時間の範囲内で行っていただきますようご協力をお願いいたします。
次に、理事者に申し上げます。
答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されますようお願い申し上げます。
なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
これより順次発言を許します。
いのつめまさみ理事の発言を許します。
○いのつめ委員 私たち防災対策特別委員会は、五月十六日、淡路島の野島断層を視察しました。五十センチ隆起し、横に一メートル移動し、畝や生け垣がずれているところを見てきました。活断層の脅威を見て、自然の力の前では人間の力が弱いことをつくづく感じさせられました。また、防災教育上も意義深い資料であると思いました。
東京にも断層があります。立川断層は、東京都の西部に、青梅市から府中市にかけて伸びており、断層の活動周期は長く、次の地震発生まで数千年ともいわれています。今回の被害想定報告書には、立川断層帯地震が、マグニチュード七・四で、立川市を中心に震度七も予測されており、大きな地震の可能性があるということで、都民にとっては心配の種です。
断層上にお住まいの個人であれば、地震が心配なら転居するということも可能ですが、公共施設については状況が異なります。公立学校は、その多くが震災時の避難所に指定されており、震源地となる断層付近に立地しないことが望ましいと考えます。まして校舎や校庭が断層をまたいでいるなどということはあってほしくないと、だれもが心配することと思います。
そこで、立川断層上に都立学校及び市立小中学校、幼稚園はあるのか、近傍に立地している公立学校の地震に対する安全性をどのように確保しているのか伺います。
○大原教育長 立川断層を震源といたします地震に関して、都が発表した最新の被害想定によりますと、断層に近接する都内公立小学校三校、それから公立幼稚園一園を含めまして、断層周辺の多数の公立学校が最大震度七の地震に見舞われるとされております。
国は、学校施設につきまして、震度七の地震においても倒壊または崩壊の危険性が低く、児童生徒の安全性や避難所としての機能性が確保できるよう、耐震強度の指標であるIs値が〇・七以上となることを求めております。
このため都教育委員会は、今回の被害想定にも十分対応したIs値〇・七以上となるように耐震改修を進めておりまして、都立学校では既に耐震化率一〇〇%を達成しております。それから、さきにご指摘のありました三校一園につきましても耐震化済みでございます。この三校一園を含む公立小中学校及び幼稚園全体では、耐震化率が九四・一%となっております。
今後とも、公立小中学校及び幼稚園での耐震化率一〇〇%達成を目指しまして、設置者である区市町村とともに全力を挙げて取り組んでまいります。
○いのつめ委員 視察の折に、野島断層から一メートル離れた場所に倒壊せずに建っている家も見てまいりました。驚きましたが、しっかりと耐震すれば、活断層の近くでも怖くないと確信いたしました。
立川断層付近の公立学校では、地震に対する安全性の確保が図られていることがわかりました。
しかし、前回の委員会の参考人招致で、平田直教授の話では、アメリカでは活断層の上に家を建設してはいけない規則があると。また、野島断層の保護を提案した広島大学名誉教授の中田高さんは、カリフォルニア州やニュージーランドでは活断層上に学校施設を建設してはならない規制が設けられている、安全性が求められる施設は活断層上に建てるべきではないと話されています。
立川断層帯地震は、時間に比較的余裕があるので、今後、この幼稚園一園、小学校三校は、建てかえが必要になったときには、断層上から離れた場所に移設することを検討するべきだと思います。
確認したところ、都営住宅や公立病院、都の施設は断層上にないということで安心しましたが、中央高速道路が断層をまたいでいます。より安全性を高めるように要望していただきたいと考えます。
最近では、断層帯の境で微妙に重力が変わる特性を使って、活断層を一定の精度で見つけ出すことが可能になっているそうです。被害を最小限にするために、さらなる都内の活断層の調査も必要と意見を付させていただきます。
次に、災害対策医療について伺います。
東日本大震災は、巨大地震と大津波により、東北から関東に至る東日本の太平洋岸全体に甚大な被害を及ぼしました。自治体がその機能を失った地域も多く、被害の全容把握に時間を要し、情報発信がおくれたことから、医療関係者間の調整に時間を要し、医療救護活動が必ずしも円滑に行われなかった地域があったとお聞きしています。
もし首都直下型地震が発生すれば、瞬時にして多くの家屋が倒壊し、無情に拡大する大火災によって大勢の人命が失われ、その何倍もの重症者が命の危険にさらされることになります。このため、発災直後から七十二時間までの超急性期においては重症者に対する救命医療が極めて重要ですが、こうした発災直後における救命医療の充実に向けた現在の検討状況をお伺いいたします。
○杉村福祉保健局長 現在、都では、災害時に迅速に救命医療を行うため、重症者の収容、治療を担う災害拠点病院を全都で七十カ所整備いたしております。そのうち二十五の災害拠点病院には、被災現場に出動し救命医療を行う東京DMATを整備し、現在、約八百人の隊員を配置いたしております。
また、本年一月には、災害時に東京の医療資源や全国から参集するDMAT等を最大限に活用し円滑に医療救護活動を行えるよう、関係機関との情報連絡等を担う東京都災害医療コーディネーターを任用いたしました。
こうした救命医療の取り組みを一層進めるため、現在、東京都災害医療協議会におきまして、被災状況等の情報を集約し一元化する連絡体制の構築について検討を行っております。
○いのつめ委員 家が崩壊し、下敷きになった子どもの足が見えているのに助けられなかったご家族は、その後、自分を責めます。ご遺族は、自分が生きていること自体も責めます。心を閉ざしてしまいます。苦しみは深く、絶望のどん底から立ち直るまでには長期間が必要です。このような遺族をふやさないためにも、まず、救える命を救う初期対応、七十二時間以内の対応が何にも増して必要です。取り組みを万全なものにするよう要望します。
次に、発災時における重要なポイントとして、情報通信について二点お伺いします。
実際に地震が発生し、何とか身を守ることができた後、やはり最初に気になるのは家族の安否です。家族の置かれた状況がわからなければ、心が落ちつかず、職場などにとどまるべきと頭ではわかっていても、連絡がとれないことで自宅に向かってしまうかもしれません。
一方で、何かの通信手段を用いて家族の無事を確認でき、声が聞ければ、お互いに励まし合い、それぞれが備蓄のある職場などにとどまって電車やライフラインの復旧を待つといった冷静な対応ができるのではないかと思います。避難所に身を寄せることになったとしても、どの避難所に避難したのか連絡し合う方法があれば、避難所を探して歩くような大変な苦労はしなくても済むのです。
また、非常時ですから、本当に必要な通信を確保するためにも、利己的な行動を慎み、不要不急の電話やメールを控えるよう、まずは都民に広く周知する必要があると思います。
災害時、家族や知人との連絡をとる手段として、各通信事業者は、携帯電話を使用した音声や文字による伝言サービスなど、さまざまな手段を提供することになっています。しかし、こうしたサービスは、残念ながら都民には浸透していないのではないでしょうか。実際に使用したことがなければ、発災時に急に使用するのは困難です。
そこで、このような安否確認サービスをどのように周知していくのか、取り組みを伺います。
○笠井総務局長 発災時における都民の冷静な判断と行動のためには、正確な情報が必要でございます。とりわけ、情報の中でも家族の安否確認は都民だれもが求める情報で、一斉帰宅の抑制につながる重要な情報だと思っております。
都はこれまでも、通信事業者から提供される伝言サービスについて、九都県市で連携したリーフレットの作成や、本年二月の帰宅困難者対策訓練参加者に実際に利用していただくなど、安否確認手段の認知度向上に取り組んでまいりました。
今後も、九都県市や事業者団体と連携し、広く都民への安否確認手段の周知を図ってまいります。
○いのつめ委員 発災時に、すぐに都民がそのようなサービスに思い当たり、適切に活用できることが重要であり、ぜひ今後とも取り組みを進めてもらいたいと思います。
次に、行政から都民に対する正確な情報の提供について伺います。
ツイッターやフェイスブックが世の中の情報共有手段として注目され、多くの人が利用しています。しかし、デマや間違った情報が発信され、都民の混乱に拍車をかけるおそれについても指摘されています。
東日本大震災時、猪瀬副知事がツイッターでどんどん情報を出し、多くの人が正確な情報を得たと聞いています。行政の出す情報であることから、信頼の置ける情報として伝わることになります。正しい情報で発災時の混乱を抑えるためにも、さまざまなツールを使って正確な情報を発信することが行政には求められているのです。
都は、ことし二月に帰宅困難者訓練を実施し、エリアワンセグ、大型ビジョン、ツイッターなど、多くのツールを使って情報提供を行う試みがなされていました。その訓練の様子は私も拝見しましたが、こうした取り組みが重要だと思いました。
そこで、このような訓練の結果を十分に生かして、発災時の都民への情報提供を行っていくべきと考えますが、都の取り組みを伺います。
○笠井総務局長 二月三日に東京駅、新宿駅、池袋駅等において実施いたしました帰宅困難者対策訓練におきまして、多数の参加者に情報提供できる大型ビジョンやエリアメール、また、みずから進んで情報収集可能なツイッターやフェイスブックなど、多様な情報通信手段を活用し、それぞれの特性を検証したところでございます。
その結果、都民への情報提供においては、災害時の状況に応じた効果的な情報通信手段を活用する必要が明らかになりました。
今後、この訓練結果を踏まえ、発災時における都民への円滑な情報提供に向け、実効ある方策の構築に取り組んでまいります。
○いのつめ委員 スマートフォン利用者が増加しています。スマートフォンでは、ワンセグが利用できない状況もふえています。発災時における正確な情報提供に向け、さらなる取り組みをお願いいたします。
次に、木造住宅密集地域の安全についてお伺いいたします。
本年一月に公表された木密地域不燃化十年プロジェクト実施方針によると、都は、区からの提案を受けて不燃化特区を指定し、期間、地域を限定して特別の支援を行うとしています。しかし、この不燃化特区の対象となるのは、防災都市づくり推進計画において整備地域に指定されている地域のみとのことであります。
一方、都が公表している地域危険度調査で、ランクファイブ、つまり最も危険度が高いとされた地区は、整備地域外にも多く存在しています。例えば新宿では、若葉三丁目は、総合危険度ランクファイブ、総合危険度ワースト第二位、赤城下町は、総合危険度ランクファイブ、総合危険度ワースト第八十四位です。
若葉三丁目は、四ツ谷駅に近い都心です。赤城下町は、神楽坂に近い住宅地です。どちらの地域も道路が狭く、十分な消火活動ができにくい地域があります。両地域の住民から、自分のまちは東京都からワースト地域とされた、木密プロジェクトを活用できないかと要望されました。東京の防災都市づくりを推進するためには、整備地域に限定した取り組みだけでなく、整備地域外にも目を向けるべきと考えます。
そこで、都は、整備地域外の木造住宅密集地域の安全をどのように確保していくのか、所見を伺います。
○飯尾都市整備局長 都は、防災都市づくり推進計画におきまして、地域危険度が高いことに加えまして、老朽化した木造建築物が広範囲に集積し、かつ、市街地の燃えにくさを示す不燃領域率が一定水準に満たない地域を整備地域に指定いたしまして、施策を重点化してまいりました。
お話の整備地域以外の木密地域につきましても、地元区市の判断によりまして改善への取り組みが行われておりまして、都も、この取り組みを支援しているところでございます。
例えば、新宿区若葉、須賀町地区や板橋三丁目地区など、老朽化した木造建築物が密集している地区において行われます共同建てかえや公共施設の整備などに対しまして、都としても支援を行ってきたところでございます。
このような地元区市が主導する取り組みを引き続き支援することによりまして、木密地域全体の不燃化を推進してまいります。
○いのつめ委員 新宿には、思い出横町やゴールデン街というような哀愁のある飲み屋街があります。火事が発生すれば、延焼の危険性が高い地域です。再開発の話はこれまでも出ていますが、実現できずに至っています。両地域からも、特区にならないかとの声が寄せられています。行政の協力が求められていると思います。やはりすべての木密地域の解消のために取り組んでいただきたいと思います。
次に、マンションの建てかえについて伺います。
私はこれまで、与えられた機会に、耐震が進む規制緩和を訴えてきました。都市の老朽化したビルの建てかえに対し、東京都の駐車場附置義務がネックになっているからです。地震から都民の命と暮らしを守るためには、各区に任せるだけでなく、特に都心部の駐車場附置義務を外すべきと訴えてまいりました。
また、災害時、倒壊の危険性から解体命令が出されたマンションの解体には、区分所有法上、地権者全員の合意が必要とされています。しかし、災害時に一〇〇%の合意を得ることは非常に困難で、解体がおくれてしまいます。東京都独自の災害時のルールが必要であると訴えてきました。
今回は、マンションの建てかえについて伺います。
東京では、マンションに住む人口の割合が非常に高く、特に都心部では、都民にとって主要な居住形態となっています。一方、都内の分譲マンションにおいては、築年数四十年以上を経過した、いわゆる老朽化マンションが数多く見受けられます。平成二十年の住宅・土地統計調査によれば、都内の築四十年以上の分譲マンションは約五万四千戸存在し、さらに、平成二十五年には約十二万六千戸まで急速に増加すると予想されています。これらのマンションの中には、防災上危険なマンションも多く含まれていると考えられ、都民の安全・安心な居住環境確保のためには、建てかえなどによる再生が急がれます。
ところが、マンション建替え円滑化法に基づく都内のマンション建てかえの認可件数は、今までわずか二十九件しかありません。都は、このように分譲マンションの建てかえが進まない原因は何にあると考えているのか、所見を伺います。
○飯尾都市整備局長 分譲マンションは、区分所有関係にございますため、建てかえに向けた合意形成が難しく、都はこれまで、ガイドブックの作成や相談対応などによりまして、合意形成に向けた情報提供や支援を進めてまいりました。
こうした取り組みを行う中で、住民の高齢化に伴う管理組合活動の低下、建築や法律等の専門的な知識の不足、工事中の仮移転先の確保など、合意形成を図る上でのさまざまな課題があることが明らかとなっております。
また、容積率制限や日影規制等が導入される以前に建設された、いわゆる既存不適格マンションでは、建てかえ後に従前建物の規模を確保できないなどの課題もございます。
これらの要因が複合化することで、マンション建てかえを困難なものにしていると考えております。
○いのつめ委員 分譲マンションを持っているからといって、経済的余裕がある方ばかりとは限りません。老朽化マンションの建てかえが進まないのは、経済的な理由も大きくあると考えています。このような場合、建てかえを促進するには、総合設計制度を活用した容積割り増しにより、床面積をふやし、建設費の足しにすることが有効です。
しかし、三〇〇%の容積割り増しでは住戸面積の最低基準はありませんが、四〇〇%の高い容積割り増しを受けるには、制度で定められている住戸面積の最低基準を満たす必要があります。都心部の古いマンションでは面積が小さい住戸も多く、居住者にとって、建てかえ後、増加した住戸面積を買い取ることは困難です。どのマンションでも、有利な四〇〇%の容積割り増しを使用したいと望んでいます。
耐震化を進めるためにも、総合設計制度の見直しが必要と考えます。都の見解を伺います。
○飯尾都市整備局長 総合設計制度は、建築基準法に基づきまして、敷地内に一定の公開空地を有するすぐれた建築計画につきまして、許可基準を設けて容積の割り増しなどを行いまして、市街地の整備改善などを図るものでございます。
お話の割り増し容積率の最高限度四〇〇%は、都心居住型総合設計制度でございまして、おおむね環状六号線と荒川の内側で、住宅の供給の推進に加えまして、質の高い住宅を誘導することを目的として定めたものでございます。この場合には、住戸面積を、国の住生活基本計画に定めます単身者の都市居住型の誘導居住水準でございます四十平方メートル以上としております。
容積の割り増しの限度につきましては、東京の都市構造上の位置づけや、まちづくりの目標などを総合的に勘案いたしまして定めており、敷地要件や適用区域などに応じまして総合設計制度を適切に運用し、マンションの建てかえを促進してまいります。
○いのつめ委員 阪神・淡路では、中層階がつぶれた病院を見ましたし、今回の東日本大震災では、横倒しになったビルも見てきました。
都民の命を守ること、耐震によって命を守れることがあるのであれば、私は、ビルを建て直すとか、マンションを建て直すとか、より安全な方向にご自分たちで向かってくださろうとしている方々たちには、やはり時として規制緩和も必要であると思いますし、耐震を一刻も早く完成させるためにも行政がお手伝いをできることだろうと思っています。
緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断の義務づけや木密十年プロジェクトを進め、高度防災都市づくりを早急に進めるために、足かせを外すことも検討していただくよう意見を付して、質問を終わらせていただきます。
○大津委員長 いのつめまさみ理事の発言は終わりました。
中屋文孝委員の発言を許します。
○中屋委員 きょうは多くの仲間が傍聴に来てくれておりますので、私も、何かいい緊張感を覚えております。理事者の皆さんは、それ以上に緊張して答弁をいただきたいというふうに思います。
私は、このたび都が取りまとめた被害想定の内容を検証するとともに、これを踏まえて現在進められている地域防災計画の修正作業を効果的なものとしていくために、昨年十一月に我が党が示した防災対策強化に向けた提言に基づいて、その進捗を確認し、さらなる対策に向けた提案をするという趣旨から質疑をさせてもらいます。
まず、何よりも重要な首都東京を災害から守る体制について伺います。
昨年三月の東日本大震災では、東北地方を中心に未曾有の被害が生じましたが、極めて残念なことに、政府の対応は、ことごとく後手後手に回りました。対策本部が乱立し、指揮命令系統が何本もでき、混乱をいたしました。それが被害の拡大を招いた面もあるといっても過言ではありません。省庁の縦割りに加え、決定できないどころか、混乱の原因をつくった政治は厳しく指弾されるべきと考えます。
アメリカでは、大規模災害やテロが発生した場合に、大統領の直下で、すべての権限を持ち組織横断的な対応を進める連邦緊急事態管理庁が設けられております。日本の中央政府にはこうした組織がないこと、緊急事態法などの法整備がおくれていることも大きな課題であります。
首都直下地震が起きたときに、今回の国のようなていたらくは許されないのであります。まさに都の力が問われているといっても過言ではありません。
都は、知事のリーダーシップのもと、警察、消防、自衛隊も一体となり、迅速に活動する体制を構築しなければならないと考えますが、都の所見を伺います。
○笠井総務局長 首都直下地震など、大規模災害の被害を最小限に抑え込むためには、あらゆる防災関係機関が総力を結集し、対応していくことが重要でございます。
このため、大規模災害時におきましては、知事を本部長とする東京都災害対策本部のもと、警察、消防、自衛隊や区市町村、ライフライン事業者などと連携し、一丸となった対応を行ってまいります。
また、平時におきましても、警察、消防、自衛隊の現職幹部を防災担当部局に配置し、その専門的能力や経験を活用するとともに、各機関との連携強化を図っているところでございます。
今後、東日本大震災の教訓を踏まえ、発災時における防災関係機関との対応の手順や連絡体制などを見直し、地域防災計画の修正に反映させるなど、首都東京を守るため初動態勢に万全を期してまいります。
○中屋委員 ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
特に大地震などの大規模災害発生時には、救出、救助、消火など、さまざまな面で消防が担う役割は大きいものがあります。福島第一原子力発電所の危機的な状況を打開したハイパーレスキュー隊の献身的な活躍など、今回の大震災でも大きな貢献がありました。
都の災害対策本部において、消防総監は本部員という位置づけでありますが、私は、本来知事を補佐する副本部長の立場に置くべきと考えます。都は、地域防災計画の修正を検討しているとのことでありますが、ぜひこうした見直しを盛り込んでいただくよう強く要望しておきます。
それでは、順次、今回の被害想定について伺ってまいります。
昨年三月十一日、東日本大震災が発生しました。それまで、このような巨大地震を想定していなかったことに加え、大震災の被害の多くが、これまでの想定をはるかに超える結果となったことなどを踏まえ、想定のあり方についても抜本的な転換が求められております。
こうした中、都は、これまでの被害想定を全面的に見直し、先月公表をいたしました。今回の想定では、従来よりも対象地震をふやして実施するなど、新たな試みがなされております。
本特別委員会に、先日、東京大学地震研究所の平田教授をお招きし、最新の科学的知見について有意義な見解を伺いましたが、その質疑の中でも、今回の被害想定は、発生頻度が低い地震も対象としていることなどをご説明いただきました。
そこでまず、改めて、被害想定を作成した行政の立場として、今回の想定をどのような基本的な方針に基づいて作成したのか伺います。
○笠井総務局長 防災対策におきましては、起こり得るリスクを科学的知見に基づき冷静に分析をし、被害を軽減するための実効性ある手だてを講じることが重要でございます。
このため、今回の想定は、客観的なデータや科学的根拠に基づき、実際に起こり得る最大の被害像を正確に把握することとし、フィリピン海プレートの深さに関する研究成果など最新の科学的知見を踏まえるとともに、直近の地形や都市データなどを用いて検証いたしました。
また、東日本大震災を踏まえ、切迫性が高いとはいえなくても、過去に発生した大規模地震など、一たび発生すると東京に大きな影響を及ぼすおそれのあるものについては想定対象として検討することとし、海溝型の元禄型関東地震や、活断層で発生する立川断層地震を対象として想定を行ったところでございます。
○中屋委員 今回の被害想定では、最新の知見に基づいて検証した結果、首都直下地震では、新たに震度七の地域が生じるとともに、震度六強の地域が広範囲に生じるなど、強い揺れの地域が前回想定よりも広がっております。
一方で、東京湾北部地震においては、前回の想定と比較をいたしまして、建物全壊棟数や火災による焼失棟数が減少するなど、全体的に揺れが大きくなっている割には、思ったほど被害が拡大していないという印象を受けました。こうした被害想定の結果をどのように評価し、今後につなげていくのか、所見を伺います。
○笠井総務局長 今回の想定では、震度六強以上のエリアが広がる中、被害の拡大を防いでおりますのは、耐震化、不燃化など、これまでの防災対策の成果であると考えられます。
一方で、東京湾北部地震などが発生いたしますと、区部の木密地域で建物倒壊や焼失など大きな被害が発生することが想定されることから、さらなる対策が必要でございます。
都はこれまでも、首都直下地震などに備えた防災対策を着実に進めるとともに、東日本大震災を踏まえた防災力の強化に取り組んできたところでございますが、今回の想定結果を踏まえ、これまでの施策の成果や課題を分析し、今後の防災対策に活用していくことが重要であると認識しております。
このため、想定結果をさまざまな視点から検討し、被害を抑制する上で実効性の高い対策を講じて、地域防災計画の修正に反映してまいります。
○中屋委員 今回、都は、国に先駆けて首都直下地震の被害想定をまとめたところでありまして、東日本大震災以後初めての首都直下の見直しであったことから、マスコミでも大きく取り上げられることになりました。こうした姿勢は、都民の安全・安心の確保に向けて、課題に真正面から取り組む姿勢として高く評価できるものであります。
一方で、国も、今後、首都直下地震の被害想定を検証するとしております。国と都の想定が大きく異なることになると、都民にとっては非常にわかりにくくなります。混乱のもととなりかねないわけであります。国とも実務レベルでしっかりと連携をして、整合性ある被害想定となるよう働きかけていくべきと考えますけれども、都の取り組みを伺います。
○笠井総務局長 国は、今年度になりまして、首都直下地震の被害想定の検討を開始したところでございますが、都は、モデル検討や想定手法などに関し、国との意見交換や調整を行うとともに、首都直下地震対策を検討するため、国が中央防災会議のもとに設置したワーキンググループにも参画いたしております。
今後とも、国における被害想定の検討に対して、必要な情報提供などを含め積極的に協力してまいります。
○中屋委員 次に、都民にこれらの被害想定をどのように伝えていくかであります。
最近のマスコミの中には、首都直下地震で震度七が来ることを強調して、いたずらに不安をあおるものも見受けられます。災害への備えは、一人一人が来るべき地震を冷静に見詰めることから始まるものであります。そのために、被害想定を活用していくことが最も有効だと考えます。
都は、都民や事業者による自助、共助の取り組みの推進に向けて、今回の被害想定をどのように広く普及していくのか、見解を伺います。
○笠井総務局長 都民や事業者による自助、共助の取り組みを推進するためには、地震のリスクを冷静に見詰め、これを正しく理解することが必要であり、被害想定は、そのための重要な役割を担っております。
このため、都は、被害結果のみならず、その前提となる地震動のモデルや被害想定の手法などについて詳細な説明を記載するなど、都民の皆さんが被害想定の内容を正確に理解できるよう、前回の想定より内容を充実させました。
また、ホームページや「広報東京都」などに掲載することはもとより、住民に身近な区市町村への説明会の開催や、防災展における展示、新たな被害想定の内容をわかりやすくまとめた概要版の作成などを通じて、その内容を広く普及させてまいります。
○中屋委員 今ご答弁いただいたような取り組みが、まさに我が党が主張していた都民目線での防災対策だと考えます。ぜひしっかりと取り組んでいただくようお願いいたします。
次に、地域防災計画の修正について伺います。
都は、今回の被害想定を踏まえて地域防災計画を修正するとのことですが、被害想定と地域防災計画を切り離してしまうことなく、両者の関係をわかりやすく関連づけて示していくことが大切であります。
被害想定は、見方を変えれば、東京の弱点を示しているということができ、こうした弱点は、そのまま各施策における課題であるともいいかえることができると思います。東京の防災力を高度化するためには、こうした課題を一つ一つ乗り越えていくことが重要であり、地域防災計画の中でも、そうした姿勢を明確に示していくことが求められます。
そこで、今回修正する地域防災計画の中で各施策の課題をわかりやすく示すためにも、被害想定結果をどのように活用していくのか伺います。
○笠井総務局長 地域防災計画の修正に当たりましては、都はもとより、関係する防災機関や都民、事業者など、防災対策にかかわるさまざまな主体が連携して対策に取り組めるよう、施策の課題について共通認識を持つことが重要でございます。
このため、今回の地域防災計画では、新たな被害想定に基づき、都民による共助の取り組みや公共建築物の耐震化の状況など、各施策の現状を分析した上で、その課題をわかりやすく示すとともに、これを克服するための具体的な到達目標を明らかにしてまいります。
この課題や到達目標を踏まえ、さまざまな主体間の共通認識を醸成するとともに、予防から応急復旧に至る各段階における実効ある対策を推進してまいります。
○中屋委員 次に、木密地域対策の充実強化について伺います。
木密地域の不燃化は、我が党がいち早く問題を提起し、都はこれを受け、木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げたところであります。今後は実効性ある施策を具体化することが重要となってまいります。
このプロジェクトの中心となる不燃化特区については、二月に先行実施地区の募集要項を発表いたしまして、これを受け、多くの区が検討を今進めていると報じられております。
今後、不燃化特区制度の先行実施についてどのように進めていくのかを伺います。
○飯尾都市整備局長 不燃化特区制度は、木密地域の中でも特に重点的、集中的に改善を必要としている地区につきまして、地域ごとの実情を勘案しながら、従来よりも踏み込んだ取り組みを推進するものでございます。
都は、区と共同で整備計画を策定することによりまして、木密地域の現場で培ってきた区の経験などを生かしまして、より機能する制度を構築するため、先行実施を行うこととしたものでございます。
六月下旬に区からの提案を受け、地域の課題解決への効果的な取り組みや、他の地域への波及効果などを総合的に勘案いたしまして、八月を目途に地区を選定いたします。
このような取り組みを通じまして、本格実施のための実効性ある制度を構築いたしまして、木密地域の不燃化を強力に推進してまいります。
○中屋委員 しっかりお願いします。
多くの都民が暮らし、政治、経済など高度な機能が集積する首都東京において、大地震によって建築物が倒壊した場合、東京はもとより、国内外へ影響を及ぼす甚大な被害になるおそれがあります。
一方、首都直下地震は切迫性が高く、一刻も早く東京の防災力を向上させることが重要であります。
民間建築物の耐震化に当たっては、東京全体の防災力を確保する観点から、優先順位を考慮し、重点的に進めていく必要があると考えます。民間建築物の耐震化を今後どのように進めていくのか伺います。
○飯尾都市整備局長 民間建築物の耐震化に当たりましては、被害想定や東京の特性を踏まえ、防災上の優先度も考慮し、重点的、集中的に進めていくことが重要でございます。三月に改定した耐震改修促進計画に基づきまして計画的に取り組んでまいります。
特に、防災上、脆弱な木密地域の不燃化、耐震化を加速させるとともに、条例に基づきまして、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を強力に推進し、震災時の広域的な救援活動や復旧、復興の大動脈を確保してまいります。
大規模な百貨店、ホテル等につきましては、個々の建築物に対します指導等を徹底し、早期の耐震化を達成してまいります。
また、分譲マンションにつきましては、昨年度実施した実態調査を踏まえまして、新たに啓発隊を派遣し、管理組合等に対し、耐震診断の実施を強力に働きかけてまいります。
さらに、技術者や改修工法の紹介など耐震に向けた情報提供を適切に行うことにより、所有者の主体的な取り組みを促しまして、民間建築物全体の耐震化を進めてまいります。
○中屋委員 答弁にもありましたように、民間建築物の中でも災害時の大動脈となる緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化は、とりわけ重要です。この四月には、条例に基づき、耐震診断の義務化が施行されましたが、できるだけ早期に耐震診断を完了させ、その結果を耐震改修につなげることが重要であります。
そこで、現時点での耐震診断の進捗状況と、耐震改修へつなげるための具体的な方策について伺います。
○飯尾都市整備局長 条例施行後、休日や夜間を含む戸別訪問の実施など、きめ細かい対応を実施してまいりました結果、耐震診断助成につきましては、平成二十三年度は九十九件の実績が上がりました。さらに、診断義務化が施行された四月には、約二百三十件の申請があったものでございます。
また、診断義務化にあわせまして、多くの区市が都の制度に対応する形で耐震改修助成を立ち上げ、最大で六分の五の助成率となるなど、手厚い制度に拡充されてきております。
今後は、診断が完了した所有者に対しまして、適宜、改修助成に関する詳細な説明や助言を行いますとともに、建設業の関係団体とも連携いたしまして信頼できる施工業者を紹介するなど、耐震改修に取り組みやすい環境を整備いたしまして、耐震改修工事の実施に的確につなげてまいります。
○中屋委員 しっかりお願いします。
次に、医療機能の確保について伺います。
今回の東日本大震災では、傷病者の定員調整や、被災地へ派遣されてくる医療チームの調整など、被災地の医療機関が直面するさまざまな課題が改めて明らかになりました。
都は、こうした大震災での教訓を踏まえ、昨年十二月より災害医療協議会で検討を開始し、都内での大規模災害発生時において円滑に医療機能の確保を行えるよう、本年一月には、東京都災害医療コーディネーターをいち早く任用いたしました。
この災害医療コーディネーターは、東京DMATや全国から参集する医療チームなどの広域的かつ効果的な配置など、都内全域の統括、調整機能を担うものでありまして、限られた医療資源の効果的、効率的な運用を図る取り組みとして、都の迅速な対応は高く評価されるものであります。
災害医療体制の確保に向け、協議会での検討状況や、今後都としてどのように取り組んでいくのか伺います。
○杉村福祉保健局長 現在、災害医療協議会では、発災直後から時間とともに変化をいたします医療ニーズに的確に対応できますよう、災害拠点病院を初めとする医療機関相互の役割分担、東京都災害医療コーディネーターを核とした関係機関との情報連絡や他県からの医療チームの円滑な受け入れなど、災害医療体制の確保に向けた検討を行っております。
また、これまでの協議会の検討を踏まえまして、十二の二次保健医療圏ごとに地域災害医療コーディネーターを任用いたしますとともに、傷病者の受け入れ先の確保、医療資源の配分など、地域の実情を踏まえた具体的な方策を検討するための地域災害医療連携会議の設置を進めております。
今後とも、こうした場を通じて実効性のある災害医療体制の検討を行い、東京都地域防災計画の修正に反映させてまいります。
○中屋委員 次に、避難所の環境衛生対策について伺います。
大規模な災害の発生時には、長期にわたり、多くの被災者が避難所において過密生活を強いられます。安全で安心な避難所生活を可能とするためには、衛生的な環境を確保することが最も重要であります。
都は、都内の避難所に対してどのような環境衛生対策を行うのか伺います。
○杉村福祉保健局長 都は、避難所を設置いたします区市町村に対しまして、避難者が健康を維持し、安心して避難生活を送れるよう、衛生管理の標準的事項をマニュアルにまとめ、提示いたしております。
また、広域的、専門的な立場から、飲み水や室内環境等の衛生状態の把握や改善策に関する技術的助言を行うほか、水の安全パトロール班の派遣などの人的支援、消毒薬や殺虫剤の配布など物的支援を行うことといたしております。
昨年十一月に策定をいたしました東京都防災対応指針では、今回の震災を踏まえ、避難所管理運営マニュアルの見直しや、避難所運営組織における衛生管理担当の設置などを区市町村に働きかけていくこととしております。
こうした取り組みを地域防災計画の修正に反映し、避難所の環境衛生対策の充実を図ってまいります。
○中屋委員 次に、避難所の同行動物対策について伺います。
飼い主にとってペットは家族同然であります。ペットを置いて自分たちだけが避難所に行くことなど考えられません。しかし、今回の震災では、ペットと一緒に暮らせない避難所があったり、また、鳴き声がうるさいなどの苦情のため、避難所が利用できなかったケースもありました。そのため、被災した家や自動車の中で過ごしたり、一緒に避難できないためにペットを放してしまった飼い主もいたと聞いております。
東京で災害が発生した場合には、より深刻な事態が発生すると想定をされます。そのため、避難所へのペットとの同行避難は重要であると考えます。
そこで、東京都における避難所の同行動物対策について伺います。
○杉村福祉保健局長 都はこれまで、飼い主に対しまして、災害時に動物を同行して避難することなどを周知いたしますとともに、避難所の運営主体である区市町村には、避難所での動物の取り扱いを具体的に定めたマニュアルを作成するよう働きかけてまいりました。
今回の震災では、こうした日ごろからの備えの重要性が改めて確認され、飼い主の知識、避難所における飼育場所や必要な資材の確保、関係団体との連携の強化など、災害時の体制を一層整備する必要性が明らかになりました。
そのため都は、新たに飼い主用のパンフレット等を作成したほか、今回実施をいたしました都内避難所の運営を通じまして、資材確保等について関係団体との連携を強化し、そこで得たノウハウを区市町村に提供いたしております。
今後、動物の同行避難への対応策を地域防災計画の修正に反映させ、災害時の動物対策を一層充実してまいります。
○中屋委員 次に、避難所における障害者支援について伺います。
今回の震災で、障害者やその家族が避難所で長時間生活するには大変な苦労があったと聞いております。
こうしたことを踏まえ、避難所では障害者に配慮した支援が必要であると考えますが、今後、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
○杉村福祉保健局長 都において大規模災害が発生し、障害者手帳を有するなど障害のある方が避難所に避難した場合には、本人や家族と相談の上、必要があれば、福祉施設などの二次避難所へ移送することといたしております。
今回の震災では、自閉症の子どもが大声を出すことから、避難所に入らず、車の中で生活していた家族のケースや、都内の避難所でも、重度の知的障害のある子どもと親が避難所生活になじめず、親子で都立施設に受け入れたケースが報告されておりまして、障害者の避難生活には困難が伴うことが改めて明らかになりました。
都は現在、こうした事例やさまざまな障害者団体からの意見も踏まえまして、障害特性に応じた避難所における支援について改めて検討いたしておりまして、今年度の地域防災計画の修正に反映をさせてまいります。
○中屋委員 去る第一回定例会で、帰宅困難者対策条例が成立をいたしました。一斉帰宅の抑制、家族との安否確認手段の確保、一時滞在施設の確保、混乱収拾後の帰宅支援など、行政、都民、事業者が果たすべき役割を定め、帰宅困難者対策について総合的な取り組みを進める上で非常に意義あるものと考えます。
特に、企業の従業員の施設内待機や、そのための三日間の水、食料等の備蓄、駅や集客施設での利用者保護など、都民や事業者に対して取り組みを促していく上で、条例は非常に有効であったと思います。
私も、さきの第一回定例会の総務委員会の質疑で、条例制定を踏まえた対策の推進について質疑をいたしました。それぞれの取り組みについては、国や事業者団体との協議を重ねて、有効な対策を実施計画に盛り込んでいただきたいと思います。
これに加えて大切なことは、条例の内容をしっかりと都民や事業者に知らせていくことであります。積極的な広報を行い、よく内容を理解してもらう必要があります。都はどのように取り組むのか伺います。
○笠井総務局長 第一回定例会で可決いただいた東京都帰宅困難者対策条例は平成二十五年四月施行でございまして、この条例を実効性あるものとしていくためには、発災時に都民や事業者が取り組むべき事項を広く周知し、理解と協力を得ていく必要がございます。
このため、広報紙やホームページなど、都が持つ広報ツールを最大限に活用することはもとより、帰宅困難者等対策協議会や防災訓練等の際に効果的なパブリシティー活動を実施することや、都民や事業者が集まる各種イベントなどの場において条例の内容について周知してまいります。
また、首都圏における広域的な広報活動も重要でございまして、九都県市等とも連携して取り組んでまいります。
今後とも、あらゆる機会をとらえて周知活動を展開し、条例に対する理解と協力を求めてまいります。
○中屋委員 こうした帰宅困難者対策においても重要なのは情報通信の確保です。とりわけ都民の安全・安心を確保するための情報確保策を充実させる必要があります。
東日本大震災に際しての帰宅実態に関するアンケート調査では、帰宅困難者などの求める情報の中でも、家族などの安否情報は非常に優先度の高い情報となっております。
通信事業者も、三・一一に通信が混乱した教訓を踏まえて、無線LANのアクセスポイントの増設や携帯電話の基地局における電源確保などの機能強化などに取り組んでおりますが、スマートフォンの爆発的な普及を踏まえると、取り組みは一層重要になってまいります。
大震災当日、公衆電話が有効に機能したことを踏まえれば、特設電話を活用することも重要です。
都民一人一人が災害発生時の安否確認を確実にできるよう、事業者とも連携して、さまざまな通信手段を確保していく必要があるが、都はどのように取り組むのか伺います。
○笠井総務局長 発災時の安否確認を確実なものとするためには、通信環境の整備に加え、多様な安否確認手段の周知が不可欠であり、都は、都営地下鉄駅構内におけるインターネット環境等の整備に率先して取り組むとともに、帰宅困難者等対策協議会において、通信事業者と連携し、災害時の通信手段の確保に向けさまざまな検討を行ってまいりました。
協議会での議論も踏まえ、携帯電話基地局の増設や自家発電設置による電力確保など、事業者による通信基盤整備が促進されるとともに、災害用伝言板等の安否確認手段の周知についても、官民による取り組みが進められております。
今後、こうした取り組みの強化はもとより、ご指摘の特設公衆電話やSNSなど、さらなる通信手段の活用と周知方策について協議会で議論を深め、本年秋までに策定する最終報告に盛り込んでまいります。
○中屋委員 災害発生時における自助、共助の重要性は論をまちませんが、我が党が一定においても指摘してきたとおり、自助、共助の取り組みを担うのは、町会、自治会を初めとする地域住民による自主防災組織であります。
今般、都は、地域において意欲的な防災活動を行う団体を東京防災隣組として認定しましたけれども、長年、地域において地道に根気よく防災活動を続けてきた団体を評価するこの事業を、都は大いに推進していただきたいと思います。
この中で特に指摘したいのは、区市町村との連携であります。地域の防災力を高めるためには、その地域の実情を十分に踏まえ、町会、自治会と密接に連携していくことが必要であります。そのためには、日ごろから地域とのかかわりを持っている区市町村の協力は不可欠です。
防災隣組の事業展開において、都はどのようにして区市町村と連携を図っていくのか伺います。
○笠井総務局長 防災隣組事業の推進に当たりましては、町会、自治会を初め、地域の実情を把握している各区市町村との緊密な連携が重要でございます。
このため、三月に第一回認定を行った東京防災隣組につきましては、認知度向上に向け、都や区市町村が実施する防災訓練への参加を呼びかけるとともに、次回認定に向け、町会、自治会を初めとする地域団体のさらなる掘り起こしを区市町村とともに進めてまいります。
また、新たに防災活動を始めるモデル地区におきましては、地区の防災上の課題を検討するため、町会、自治会や都、区市町村などから構成される地区連絡会を五月に立ち上げました。
こうした区市町村との連携を通じて、地域防災力の向上を図ってまいります。
○中屋委員 防災隣組を構築していくためには、地域活動の母体となる町会、自治会の協力が不可欠であります。
都は、平成十九年度から、町会、自治会が主体的に地域力の向上に取り組む活動を支援するために、地域の底力再生事業助成を行っております。東日本大震災を踏まえ、地域の防災力を高めるために、多くの町会、自治会がこの助成制度を活用し、防災に関する取り組みを実施したと聞いております。
町会、自治会がこの地域の底力再生事業助成を活用し、地域の防災対策に取り組んだ事例はどの程度あったのか、昨年度の実績と具体的な事業内容について伺います。
○井澤生活文化局長 地域の底力再生事業助成に対しましては、昨年度、三百六件の申請がございました。そのうち防災対策関連の申請件数は、全体の約七割を占める二百十二件でございました。前年度実績の二十四件を大幅に上回りました。
具体例といたしましては、無線機などの資器材を整備した上で避難訓練を実施した事例や、防災マップの作成を通じて避難場所や避難経路の確認を行った事例、また、専門家を講師に招いて防災講習会を開催した事例など、地域の防災力向上に向けまして、さまざまな取り組みが行われました。
○中屋委員 地域の底力再生事業助成を有効に活用して地域の防災対策に取り組んだ町会、自治会が大幅にふえたことは大変心強いと思います。引き続き、こうした取り組みを支援していただいて、地域の防災力強化と地域の活性化を図ることが重要であると思います。
今年度、地域の底力再生事業助成では、地域の防災力強化の取り組みを支援するためにどのような工夫をしているのか伺います。
○井澤生活文化局長 地域の底力再生事業助成では、地域の課題を解決するための町会、自治会によるさまざまな取り組みを助成対象として、地域力の向上に実績を上げてまいりました。
今年度からの本格実施に当たりましては、町会、自治会が都政の一翼を担う重要なパートナーであることに着目し、都が進める重要な施策の推進につながる事業を実施する場合につきましては、初年度の補助率を、本則の二分の一ではなく、十分の十といたしました。
地域における防災活動につきましても、この特定施策として位置づけることで、より多くの町会、自治会が地域の特性に応じた防災力強化に積極的に取り組むことができる制度といたしました。
○中屋委員 防災隣組の制度は始まったばかりですけれども、その土台となっているのは、長い伝統とノウハウを持つ町会、自治会であります。防災隣組を有効に機能させるためにも、さらに地域の底力再生事業助成がより多くの町会、自治会で活用されるよう周知に努め、両方の事業が相まって地域の防災力を強化してもらいたい。
以上、要望いたしまして、私の質問を終わります。
○大津委員長 中屋文孝委員の発言は終わりました。
興津秀憲委員の発言を許します。
○興津委員 それでは、私の方からも質問させていただきたいと存じます。
現在の地域防災計画に当たっては、災害発生時前までの防災計画として有用な計画であるだろうと思っております。今後想定される被害想定を組み込んで、よりよい、より有用な計画の策定をお願いしたいというふうに思っているところであります。そこで本日は、いざ災害が起きてしまった後の対策につきまして、何点かご質問させていただきたいと存じます。
過日、被災者支援システム全国サポートセンター長、吉田稔さんという方がいらっしゃるんですが、そのご講演をお伺いするチャンスがありました。吉田さんは、阪神・淡路大震災のとき、兵庫県西宮市の情報システム課長補佐をされていまして、そのときの経験からの貴重な講演でした。
その中で、先生は、危機は必ず予想外であり、その予想を超えた危機のときにどのように備えるのかということが大事であるとおっしゃっております。そして、その危機対応のかぎは、決断をサポートするシステムづくりであるとおっしゃっていました。
発災後七十二時間という時間は非常に貴重な時間であると、私のみならず、皆様もご認識されていると存じます。貴重な人命を救い出すためには、この七十二時間をどのように対処すべきか。大災害になればなるほど現場は混乱をきわめ、家屋倒壊、生き埋め、火災など、その対処は速やかに行わなければなりません。
先日、当委員会の視察におきまして淡路市に出かけたときに、大変重要なお話を伺いました。それは、野島断層の視察のときに、こうしたパンフレットですけれども(資料を示す)、現淡路市、当時の北淡町の事例ですが、北淡町では、残念ながら、当日、三十九名の方が亡くなられているそうですが、この北淡町の場合は、家屋倒壊の際、ご近所の方々がお互いにだれがどの部屋で寝ているかというところまで知っていたということで、約三百名の方が生き埋めになってしまったそうですが、お昼過ぎごろまでには全員を救出、そして夕刻五時ごろまでには行方不明者はゼロであったと。これが事実であります。
東京では、このご近所の方々のコミュニケーションは、残念ながら希薄であり、この北淡町のような対応は、現時点では到底望めないものではないかというふうに思います。都では、防災隣組事業を実施していますが、ただいまご質問がありましたが、この北淡町の例こそが防災隣組のあるべき姿であり、これを参考として取り組むべきではないかと考えます。
こうした近隣同士の助け合いの輪が広く波及するように、防災隣組事業を展開すべきと考えますが、まずは所見を伺います。
○笠井総務局長 発災時に一人でも多くの命を守るためには、近所の住民同士による共助の取り組みが重要でございますことから、都は、地域の紐帯を結び直し、東京の自助、共助を再生するために防災隣組事業を推進しております。
三月に隣組に認定された団体は、木密地域を初めとして、住民同士による救出、救助訓練や、高齢者への見守りパトロールなどさまざまな活動を展開していることから、都は、こうした意欲的な取り組みを他の地域団体へ広く紹介をし、東京における自助、共助の取り組みを強化してまいります。
○興津委員 ただいまも中屋委員の質問にもありましたとおりに、このご近所、共助ですね、自助、共助、ここを進めていくためにも、市区町村とも十全の連携を強めていただきたいと、私の方からも思います。
そして、あらゆる対策を進めて都民の生命、財産、安心を図っていただければということを、重ねて私からもお願いさせていただきたいと存じます。
次に、発災時にはいろいろな情報が錯綜することが予想されます。そして、それに対応するためには、現場の判断が急務であると思います。貴重な人命を救うためには、スピーディーな決断が求められます。深夜、早朝、休日などの条件が重なってしまった場合、このスピーディーな決断を下すための責任所在を明確化しておく必要があると思います。
また、役割をきちんと整理し、その整理をどの立場の方であっても頭にたたき込んでおかないといけないと考えます。
今後の防災計画策定並びに防災訓練も必要であると思います。都としてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いをいたします。
○笠井総務局長 発災時に都や区市町村、その他の防災関係機関が迅速、的確に行動するためには、それぞれの機関が果たすべき役割や活動内容等をあらかじめ定めておくとともに、各機関内での指揮命令系統を明確にしておく必要がございます。
このため都は、地域防災計画において、各機関の役割等を明らかにし、それぞれの機関がその役割を適切に果たすための体制を構築しております。
都におきましては、同計画の中で各局が担う役割を定めているほか、休日、夜間に対応する要員を指定し、参集体制を確保するとともに、マニュアルを整備するなど、発災時の対応に万全を期しております。
こうした体制のもと、各機関が発災時に迅速、的確に行動できるよう、実践的な合同防災訓練を行い、災害対応力を高めてまいります。
○興津委員 ありがとうございます。まさしく、計画というものを絵にかいたもちとしてはならないというふうに思いますし、発災時に、担当者の人がその立場、立場で、何を今最優先で行わなければいけないのかということをその場で判断し、そして的確な、迅速な行動を行っていただきたいというふうに私は思いますので、再度お伝えさせていただきたいと思います。
次ですけれども、先ほども申し上げましたけれども、被災者支援システム全国サポートセンター長、これ、実は総務省の方からお配りされたパンフレットなんですけれども、こちらです。発災後、山積する災害関連業務に対しては、次々と決断して対応していかなければならない。吉田さんがおっしゃっていますけれども、そのためには、スピーディーな決断が可能な枠組みを準備しておく必要がある。そもそも、正しい決断をするために必要なのは情報であるというふうにされています。危機のときには情報が錯綜し、混乱しがちである。しかし、情報を整理するツールがあれば、そのような事態を回避し、いざというときにスピーディーな決断を促す枠組みができるというふうにおっしゃっています。
そこで質問ですけれども、国の総務省から各基礎自治体に無償で提供されている被災者支援システムの導入についてですが、過去における一般質問等に対し、都知事は、東京都版としてカスタマイズしたシステムを既に開発に着手をしており、推進していくというふうにご答弁がありました。現在のこの取り組みの進捗状況はどのようになっていらっしゃるのか、お伺いをさせていただきます。
また、膨大な数の被災者に対し、速やかな罹災証明の発行が可能なシステムは、発災時後に、支援金の受け取り、仮設住宅の建設など、多くの場面において大変有用であると私も考えております。
さらに、どの都内市区町村であっても、同一のシステムとしてそろえておくべきではないかとも思っています。
市区町村がシステムを導入するため、東京都としてどのような働きかけをなさっているのか、お伺いいたします。
○笠井総務局長 首都直下地震が発災した場合、膨大な数の被災者から一斉に罹災証明の申請が出されるため、区市町村の発給業務の効率化は重要な課題でございます。
都はこれまで、罹災証明発給に必要な消防の火災情報や固定資産税情報を都内区市町村の多くが所有していないという東京特有の課題に対応するため、国と協力して東京版被災者支援システムの開発を進め、昨年度完成をさせました。今年度は、中央区、新宿区、豊島区が本システムを導入する見込みでございます。
今後、都といたしましては、より多くの区市町村に対して、本システムの導入が進むよう、説明会や研修会を開催するなど積極的に働きかけを行ってまいります。
○興津委員 この被災者支援システムには、住民基本台帳などの基本的な住民情報が、初期データとしてまずは取り込まれます。
平成二十三年三月十一日の東日本大震災では、被災地域において住民基本台帳が消失するなどの深刻な事態が発生いたしました。これを受けて、三月十三日、総務省は、自治行政局住民制度課長名により、各都道府県市町村担当部長あてに、住民基本台帳事務の取り扱いに関する通知というものを通知しています。
その内容は、被災地の市町村長が住民の安否状況の確認等を行うことができず、都道府県知事が被災者に対して緊急に行うべき事務を実施する必要が生じた場合の、住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報の適切な活用や、被災地域から転入した転出証明書を提出できない住民にかかわる転出入の取り扱いに関するものです。
これは、発災後二日目の通知でありますが、どこにだれが居住しているかという住民基本台帳の情報が、被災者対応にとって必要不可欠な情報であることを示しているものであると考えます。
住民基本台帳事務は、基本的に基礎自治体の自治事務であり、個人情報保護の観点もありますが、住民の生命、身体、財産を守るべき緊急事態には、個人情報保護条例に基づいて被災者支援システムなどで活用し、迅速かつ的確な災害対応に役立てることは当然であると考えます。
今回、国においてこのような通知をわざわざ行ったということは、混乱している現場において、住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報の利用について、おのおのの自治体において、その取り扱いが進んでいなかったのではないかというふうにも推察されます。
東京都においては、市区町村に対して、日々の業務を通じて保有する住民の情報を災害時には積極的に有効活用するよう、さまざまな機会をとらえて伝えていただくとともに、現在、都内各区市町村において、東京都版の被災者支援システム--昨年度完成したそうですが--の導入について、実はまだまだ市区町村において多少温度差があるというふうにも感じていますので、このシステムの市区町村への導入を推進、支援していただくことを、あわせて要望させていただきたいと思います。
次に、多摩直下型地震についてお伺いをいたします。
先ほども、いのつめ委員の方から質問があったとおりの視点からですが、私も居住している、東京都民の約三分の一が居住している多摩地域は、山間部から武蔵野の住宅地に至る広範囲な地域特性を有しております。
その中、立川市に東京都立川地域防災センターがあります。この防災センターは、もし震災などの発災があったときには、多摩地域の防災活動の拠点として、東京都防災センターの指揮のもとに、国及び市町村など現場の防災機関と情報連絡調整などを実施されることになっています。多摩地区における、まさしく防災の中心的な役割を担っている施設でもあります。多摩都民の生命、財産、安全を確保するためにも十分な備えを平素よりしておいていただきたいと、心より願うものであります。
今回想定される多摩直下型あるいは立川断層での震災が発生した場合、先ほどあったとおり、マグニチュードも非常に大きく想定されていますが、この防災センターは、まさしく立川断層の直近、あるいは真上といってもいいかもしれません。建っており、この機能は十分に発揮されるのでしょうか。
また、東京都庁の防災センターとの連携の確保がされているのか、多摩都民の安心感と信頼を得るためにも確認させていただきたいと存じます。
○笠井総務局長 東京都立川地域防災センターは、多摩地域に大きな災害が発生した場合に、現地での防災活動を支えるため、被災状況の情報収集や各防災機関との連絡調整のほか、救援物資の備蓄などの機能を有しております。
大規模地震の発生時において、こうした機能が確実に発揮できるよう、特に耐震性能の向上を図るべき施設として設計をされており、都庁舎と同様、耐震性や安全性が十分に確保されております。
また、本庁舎にあります東京都防災センターと連携して確実に応急対策が行えるよう、通信ネットワークやテレビ会議システムなど、情報通信体制の整備に万全を期しております。
○興津委員 ありがとうございます。
多摩都民といたしましては、十分に対応を進めていらっしゃるというご答弁をいただきまして、まずは安心をさせていただきたいというふうに思いますが、先ほどの事例でもありましたとおりに、北淡町の場合、断層が地表面まであらわれております。一・五メーターも隆起したと。このようなことが起きてはいけないとは思いますが、もしかしたらそのようなことが起きるかもしれないということもあれば、ゆめゆめ油断をせずに防災の準備の方を進めていただきたいというふうに思います。
また、今回の東日本大震災の折には、横田基地の滑走路は緊急避難的な対応がなされたというふうに伺っております。東の羽田、西の横田、位置的にも補完関係にあると思っています。
発災後の緊急対応として、災害時協定を十全に整えておくべきではないかと私は思っております。これは、日本とアメリカとの二国間協議であり、東京都が直接関与できるところではないとも思います。しかしながら、ぜひ東京都としても各関係機関に働きをしていただきたい。これは本当に備えあって憂いなしということだと思いますので、それを要望させていただきまして、質問を終わります。
○大津委員長 興津秀憲委員の発言は終わりました。
加藤雅之委員の発言を許します。
○加藤委員 今回新たに発表となりました首都直下地震等による東京の被害想定によりますと、元禄型関東地震において、河川敷の浸水が想定されています。一方で、現在、荒川四ツ木橋緑地など、荒川河川敷が火災時の広域避難場所に指定されているところもあります。
そうしますと、仮に元禄型関東地震が冬の十八時に発生した場合、例えば墨田区の火災延焼による焼失棟数は、風速毎秒八メートルで三千三百三十九棟となっています。墨田区北部は木造住宅密集地域が多く存在することから、火災が広がり、指定された荒川河川敷に避難した場合、津波の影響による避難場所の浸水で二次災害に巻き込まれることも予想されます。こうしたことから、火災と水害など複合災害を見据えて、いま一度、避難場所の見直しが必要と考えます。
そこで、津波の被害想定を踏まえ、避難場所の見直しを行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
○飯尾都市整備局長 都は、東京都震災対策条例に基づきまして、震災時に拡大する火災から住民を安全に保護するために、現在、区部の避難場所を百八十九カ所指定しております。
避難場所は、市街地の状況の変化及び人口の増減などを考慮して、おおむね五年ごとに指定の見直しを行っているところでございます。
お話の津波被害の影響につきましては、現在進めている指定見直しの中で検討してまいります。
○加藤委員 荒川四ツ木橋緑地の計画避難人口は三万七千六百人、どの地区を入れるかは区の管轄ということもありますので、区ともよく協議をして、多くの人が災害に巻き込まれないよう見直しを行っていただきたいと思います。
次に、関連しますけれども、公表された東京都防災会議の被害想定では、東京湾北部地震において、震度六強以上の範囲が区部の約七割を占め、最大震度七の地域も出ています。このような地震で、万が一、堤防や水門等、河川施設の機能が保持できなくなり、そこに高潮等が発生した場合には、東部低地帯において浸水被害が生じるおそれがあります。今回の震災を踏まえ、堤防、水門や排水機場等のさらなる耐震性の強化に早急に取り組むべきであると考えます。
そこで、東部低地帯における河川施設の耐震対策について見解を求めます。
○村尾東京都技監 これまで都は、江東内部河川整備や水門の耐震補強などを進め、一定の安全性を確保してまいりました。こうした対策に加え、昨年の東日本大震災を受け、東京都防災会議が示したマグニチュード八クラスの海溝型地震などを対象として河川施設の耐震性能の調査を行い、四月に都が公表した被害想定を踏まえ、現在、調査結果を取りまとめております。
この調査結果や今後の技術検証委員会の議論などを踏まえ、これらの地震に対する新たな整備計画を策定して整備目標を示すとともに、必要な対策を計画的に進めてまいります。
○加藤委員 次に、被害想定では、東京湾北部地震、多摩直下地震など四つの震源地を特定した想定地震において、各地域での起こり得る被害を、いわゆるシナリオ型により取りまとめたものであり、その中において、それぞれの想定地震における液状化危険度の分布について公表しています。
一方、建設局及び港湾局では、土木技術支援・人材育成センターが中心となり、液状化予測図の見直しを行っていると聞いておりますが、その予測図は、総務局の公表した液状化による被害想定と利用目的が違うと認識しております。
そこで、液状化予測図の利用目的と、その見直しにおける被害想定の今後の取り扱いについて伺います。
○村尾東京都技監 土木技術支援・人材育成センターが中心となり現在見直しを行っている液状化予測図は、震源地を特定の地域に限定せず、液状化の可能性の少ない一部山間部を除く都内全域に地震力を均等に与えて検討し、地域ごとの液状化の発生の可能性を示したものであり、公共施設や民間建築物などの液状化対策を検討するための基礎的な情報でございます。
平成二十三年度末には、地質調査データに基づいた地盤工学的な分析情報を関係各局に提供いたしました。
平成二十四年度は、さらに地形や液状化の履歴、土地利用の変遷を加味するとともに、総務局の被害想定を踏まえ予測図の見直しを完了させ、平成二十四年度末を目途に、ホームページなどにより広く都民へ情報提供いたします。
○加藤委員 次に、先日の委員会視察で、阪神・淡路大震災の状況について調査を行いましたが、その際も、倒壊現場などで取り残された被災者を救出した多くは、隣近所の人だったとのお話を伺いました。また、淡路島の地域では、極端な話、災害弱者がどの部屋に寝ているかまでわかっていて、救出に役立ったとのお話もありました。地域をよく知るということと有効な情報の共有が、いざというときに力を発揮します。自助、共助の重要性を再認識いたしました。
東京においても、地域の消防団に加え、自主防災組織の強化など、地域防災力の向上の取り組みが必要です。
そこで、防災市民組織が地域の水利等を有効活用し、初期消火活動を行えるよう訓練指導を行うべきと考えますが、見解を伺います。
○北村消防総監 震災時においては、防災市民組織や地域住民による初期消火活動が重要でございます。このことから、当庁では、防災市民組織等が、防火水槽を初め消火栓等の水利を活用した軽可搬消防ポンプやスタンドパイプなどによる初期消火訓練などを推進しており、平成二十三年度におきましては、防火防災訓練を約一万四千件実施し、約百三十三万人が参加をいたしました。
今後は、小規模な街区における実践的な初期消火訓練を強力に推進し、地域住民や関係機関と連携した自助、共助による地域防災力の向上を図ってまいります。
○加藤委員 今、総監より、小規模な街区における実践的な初期消火訓練を強力に推進との答弁をいただきましたが、発災時の初期消火活動の一つとして、第一回定例会で我が会派の中嶋幹事長より、新たに水道施設である排水栓を消火用水源として確保できれば、木密地域の消火活動を強化、補充することが可能ではないかという指摘をしたところであります。しかし、これをどのように使うのか、また、どこにあるかがわからないのでは、実際に地震が起こっても使えないことになります。
この排水栓の利用に当たっては、消防庁側では設置場所等の情報を持っていないこともあり、活用に当たっては、設置者である水道局の協力が非常に重要となります。
そこで、水道局は、排水栓の活用について積極的に消防庁の取り組みを支援するべきと考えますが、この点について伺います。
○増子水道局長 排水栓の初期消火への活用は、地域の安全性向上に資することでもあり、今後も積極的に協力していく必要があると考えております。
これまでも、消防庁が排水栓を活用していく際に必要となる設置場所等の情報を提供してまいりましたが、今後も、新設した排水栓の情報を提供するなど、さらなる活用に向けて協力してまいります。
○加藤委員 排水栓の活用に向けて具体的な協議を行っているとのことですので、効果的な活用に向けて、今後とも精力的に検討を進めていただきたいと思います。
次に、今後、地域住民がより効果的にこの排水栓を活用した初期消火活動を行うためには、その活用方法を地域住民が知って、なれておく必要があると思います。排水栓を使った消防訓練など、自主防災組織の育成も重要でございます。
今後、東京消防庁では、排水栓等をどのように活用していくのか伺います。
○北村消防総監 東京消防庁では、狭隘道路などに設置されている排水栓が、消火栓と同等の機能や構造を有することを踏まえ、その活用について、水道局と検証、協議を重ねてまいりました。
その結果、木造住宅密集地域における初期消火に十分な効果が期待できることから、水道局との間で、排水栓を消火に使用するための覚書を締結する予定でございます。
今後は、広く消防団や自主防災組織などに対し、そうした地域における実践的訓練を通じ、排水栓の活用要領を普及してまいります。
○加藤委員 区部にはこの排水栓が四百六カ所あり、このほかにも簡易排水栓が四千六百三十三カ所あると伺っております。ただ、簡易排水栓は、改良しないと消火には利用できないということなので、消防庁と水道局で連携をして、消火に使える排水栓をふやしていただくことを要望いたします。
次に、この排水栓の初期消火への活用は、いざというときに身近なところにある施設を使ってみずからの身を守るというアイデアでありますが、消火用水と並んで災害時に重要となるのは飲料水の確保であります。
発災時に、地域住民の身近にある消火栓や排水栓を活用した仮設給水栓による応急給水は、二キロ圏内に一カ所設置されている応急給水槽等の拠点給水を補完する、身近な応急給水手段として大変に有効であります。我が党の吉倉議員も、昨年の三定でこの問題を取り上げました。
この仮設給水栓を活用する試みは始まったばかりであり、今後、この取り組みを進めるためには、消火栓を用いて消火活動を行う消防庁や、応急給水活動において住民への水の配り手となる区市町との連携が必要であります。
また、この仮設給水栓による応急給水は設置箇所が多く、発災時に行政による運営には一定の限界があり、円滑な実施には地域の町会や自治会等の多様な主体との連携が不可欠であります。
これら関係機関や住民の理解を深め、今後、区市町との連携や地域住民への普及拡大を図っていく取り組みとしては、区市町や地域住民との合同の訓練が大変重要であります。
そこで、消火栓や排水栓を活用した仮設給水栓を使って、区市町や地域住民と連携した応急給水訓練を積極的に行っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
○増子水道局長 発災時に消火栓等を活用した仮設給水栓による応急給水を円滑に実施していくためには、住民への水の配り手となる区市町との連携や、地域の町会や自治会、自主防災組織等への普及拡大が必要であります。これら関係機関や地域住民の理解を深めていく取り組みとして、地元自治体や住民との合同の訓練は大変重要であります。
このため、平成二十三年度におきましては、消火栓を活用した仮設給水栓による訓練を、区部、多摩地域合わせて合計十六回実施しており、そのほとんどは合同訓練となっております。
今後も引き続き、これら地域の多様な主体と連携した応急給水訓練を積極的に進めてまいります。
○加藤委員 次に、昨年三月の東日本大震災において、都は、宮城県気仙沼市、陸前高田市、福島県相馬市等に東京DMAT及び医療救護班を派遣しました。中でも気仙沼市では、市の災害医療コーディネーターと連携し、全国から参集した医療救護班のリーダー役を担い、市が設置した医療救護活動拠点に常駐して、医療救護班の派遣先の調整や市の災害対策本部との連絡調整を行ったとお聞きしています。
その経験を生かし、都は昨年十二月に災害医療協議会を設置して、都における災害医療体制のあり方について検討を開始し、その後、東京都及び地域災害医療コーディネーターの選任、地域災害医療連携会議の設置などを進めています。
災害時に医療救護活動を迅速かつ的確に実施するためには、災害拠点病院などの傷病者受け入れ体制を整備するとともに、全国から参集してくる医療チームの活動拠点をあらかじめ定めておくことが必要であると考えます。
そこで、地域の医療救護活動拠点の設置について、都の取り組みを伺います。
○杉村福祉保健局長 大規模災害発生直後におきましては、多くの傷病者が発生をするため、都では、重症者の収容、治療を担う災害拠点病院を医療救護活動の拠点と位置づけております。その後、時間の経過とともに、医療ニーズの中心は慢性疾患患者へと変化していきますことから、医療救護活動の拠点も、災害拠点病院から被災者に身近な区市町村の公共施設などへと移行する必要がございます。
そのため、現在、都は、災害医療協議会におきまして、災害発生後に対応すべき医療ニーズを六つの段階に分け、必要な医療救護活動の内容等について検討を進めております。
今後、その結果を踏まえまして、十二の二次保健医療圏ごとに設置をいたします地域災害医療連携会議において、段階ごとの活動拠点を具体的に検討し、その設置場所をあらかじめ定めておくよう区市町村に働きかけてまいります。
○加藤委員 局長の答弁のとおり、大規模災害発生直後には、大勢の傷病者の発生が想定されます。先般発表した東京の新たな被害想定についてによると、マグニチュード七・三の東京湾北部地震が発生した場合、負傷者が約十四万七千六百人、そのうち重傷者が約二万一千九百人に上るとされています。
現在、都内には七十の災害拠点病院が指定されていますが、重症者の生命を救うためには、一刻も早く災害拠点病院に搬送する必要があります。
また、被害が甚大で、被災地の医療機能が不足した場合などは、近隣県や遠隔地への傷病者の搬送も必要になってまいります。
そこで、災害時における傷病者等の搬送手段について伺います。
○杉村福祉保健局長 お話のとおり、災害時には、傷病者を地域の災害拠点病院だけでなく、近隣県や遠隔地に搬送するケースも想定されますため、現在、都は、消防、警察、自衛隊など関係機関と連携をいたしまして、救急車に加え、ヘリコプター、船舶等を活用し、傷病者を迅速かつ広域的に搬送できる体制を整えております。
しかしながら、空路や水路は発着場所が限定をされており、そこに至る陸路も、道路の崩壊、寸断など被災状況に大きく影響を受けるなど、災害時には傷病者の搬送にさまざまな課題が発生することが予想されております。
このため、現在、災害医療協議会におきまして、傷病者の重症度、人数、搬送場所、搬送距離など、想定される搬送需要や対象患者ごとに具体的な搬送手段、搬送ルート、運用上の留意点等について改めて検討を行っております。
○加藤委員 昨年の決算特でも、水路を利用した搬送で、河川の近くにある災害拠点病院の近くに防災船着き場の設置を提案いたしました。建設局など関係機関と協議して検討していただくことを要望して、質問を終わります。
○大津委員長 加藤雅之委員の発言は終わりました。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時四十七分休憩
午後三時五分開議
○大津委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
早坂義弘委員の発言を許します。
○早坂委員 東日本大震災では、死者、行方不明者二万人という甚大な被害が発生しました。ここに、改めて心から深く哀悼の意を表します。
質問に先立ち、東日本大震災の被災地において私が見てきたこと、感じてきたことを少しお話をさせていただきます。
発災当時は、ここにいらっしゃる委員の先生方同様、私も東京都庁におりました。経験したことのない大きな揺れでしたので、机の下に隠れるよう、控室で大声で同僚議員に呼びかけたことを覚えております。テレビのニュースで、震源地は東北であり、甚大な被害が発生していることがわかりましたので、直ちに自分の車に飛び乗り、あり合わせの支援物資を詰め込んで東北に向かいました。そして、発災から十九時間後に、仙台空港の南、宮城県岩沼市でご遺体搬送のお手伝いなどを開始しました。
その後、幾度となく被災地に入りましたが、大変心強く思ったのは、被災地のあちらこちらで都庁のイチョウのマークが入った防災服を着たスタッフを見かけたこと、そして警視庁、消防庁の活動を見かけたことであります。
昨年六月二十八日の厚生委員会では、広域火葬協力について取り上げました。ご遺体の数が膨大であり、かつ火葬場自体の被災と燃料不足が重なり、やむなくご遺体を一時的に土葬し、事態が落ちついてから掘り返して火葬する仮埋葬が多数行われていました。そこで、東京都がみずからトラックを出し、ご遺体を集めて回り、東京で火葬した後にお骨にしてお返しする広域火葬協力を始めて以降、土葬、仮埋葬はなくなりました。
厚生委員会での質問の後、宮城県石巻市役所で、この火葬協力のご担当者からお話を伺う機会がありました。その方は、東京都からの協力の申し入れで私たちは助かった、こんなにありがたいことはなかったとおっしゃり、当時の状況がよみがえってきたのでしょう、しばらく絶句をされました。そのお話を伺った私も、言葉が出てまいりませんでした。
私は当選して丸七年になりますが、このときほど東京都の議員であることを誇らしく思ったことはありません。市役所を出て、すぐ都庁の福祉保健局の火葬担当者に電話をかけて、こんなに感謝をされたとお伝えいたしました。
今お話ししたエピソードは、都庁が行った膨大な支援活動のほんの一例にすぎません。震災瓦れきの受け入れもしかり、東京消防庁ハイパーレスキュー隊の福島第一原発での活動もしかり、あるいは水道、下水道の復旧作業に代表される、地道でマスコミに取り上げられない活動もしかりです。都庁職員の皆さんのかけがえのない働きの数々を心から誇りに思います。
地震の発生そのものは、防ぐことができません。しかし、そこで発生する被害に関しては、私たちの英知で減らすことができます。東日本大震災の大きな犠牲と教訓を踏まえ、東京に必ず発生する大地震への備えに万全を期してまいりたいと存じます。
それでは本題に入ります。
東日本大震災は、死者の九割が溺死、すなわち水の被害でありました。一方で、阪神・淡路大震災は、九割が圧死、窒息死、焼死という建物と火による被害でした。
そこでまず、火に関することから伺います。
火災による死亡、焼死には、平成七年阪神・淡路大震災タイプと大正十二年関東大震災タイプがあると私は考えています。これをしっかり区別した上で、質問を進めてまいります。
兵庫県は、阪神・淡路大震災から十年が経過した平成十七年十二月に、阪神・淡路大震災の死者に係る調査を発表しました。それによると、建物の倒壊による死亡、すなわち圧死、窒息死、外傷性ショック、頭部、頸部、内臓損傷が八五%、火災による死亡、焼死が七%となっています。
地震発生時刻は早朝五時四十六分で、まだ火を多く使う時間ではありませんでした。しかも、風速は秒速二メートル程度と通常の半分程度、当時の写真を見ると、煙が真っすぐ上に上がっていることがわかります。火災による被害は、周辺状況から想定されるものとしては最小規模のものでした。しかしながら、現実には、皆さんご存じのような延焼火災が多く発生し、被災地は火の海となったのです。
神戸市消防局の調査によると、地震発生の五時四十六分から六時までの最初の十四分間に、神戸市内だけで五十三件の火災が発生しています。人口百五十万人規模の神戸市の消防力は、同時に四、五件程度の火災に対応できる能力でした。
水道管がやられ、水が出なかったこと、また、応援に来た他県の消防隊のポンプ車の口径が合わず、消火栓にホースをつなげなかったことなど、幾つもの想定外を抜きにしたとしても、能力の十倍以上の火災発生では、どんなに頑張っても火災を食いとめることはできなかっただろうと思います。
しかしながら、出火直後であれば、火の勢いはまだ大きくなっておらず、消防の力をかりなくても火を消すことができたはずです。つまり、初期消火が機能していれば、このような大火災にはならなかっただろうというのが、私たちが学ぶべき教訓だといえます。
先日、都議会防災対策特別委員会で視察に行った兵庫県神戸市長田区で、大変興味深い二枚の写真を見せていただきました。それは、地震直後に撮影した倒壊建物の写真と、やや時間があって延焼火災に巻き込まれたその建物の写真でした。
阪神・淡路大震災で焼死した方のほとんどは、実は、倒壊建物の下敷きになり、それで身動きができないところに火災が迫り、焼死したのです。つまり、先ほど申し上げた阪神・淡路の死亡原因である焼死七%は、本来、建物倒壊に起因するもの八五%にプラスして考えるべき同一のものなのであります。
一方で、大正十二年の関東大震災でも多くの死者が発生しました。こちらはお昼どきの十一時五十八分に発生し、関東全域で強い風が吹いていたため、全体の死者十万人、東京市内だけでも五万八千人が死亡したといわれています。
東京市内の死者のうち八七%が焼死であり、市内の四五%が焼失しました。四万人もの死者が出たことで有名な本所被服廠跡地は、実は二万坪、七千平方メートルの広大な空き地であり、大勢の方が避難してきたところに火災旋風が襲ってきたのです。ここが阪神・淡路大震災と異なる大きなところです。
そこで質問です。
東京都がさきに発表した新たな被害想定では、東京湾北部地震、冬の夕方午後六時、風速毎秒八メートルの場合、死者最大九千六百人、うち焼死者は四二%、四千人とされています。
今回の被害想定の火災延焼や焼死者に関する部分は、どのような被害を想定したものなのか伺います。
○笠井総務局長 火災による被害に対し適切に対策を講じていくためには、被害像を実態に即してより正確に把握することが重要でございます。
このため、今回の想定では、火災による延焼に関しては、建物一棟一棟の耐火性を反映するとともに、都内の気象観測点における過去の気象データに基づいて風速設定を行いました。
また、死傷者につきましても、過去の火災における被害状況のデータに基づき、地震発生時における火災被害の対応を踏まえ、出火した家屋から逃げおくれて被災する場合や、建物が倒壊して家屋内に閉じ込められて被災する場合、延焼が拡大して火災に巻き込まれて被災する場合の三つの場面を想定し、算定を行うなど、より実態に即した被害想定を策定いたしました。
○早坂委員 ところで、初期消火に有効なのは消火器です。しかしながら、今回の質問に当たって、消火器の設置基準を調べてみると、これがびっくりするほど緩いのです。
例えば、昭和三十年代に着工された共同住宅では、設置に係る当時の消防法令の免除規定が適用され、消火器や屋内消火栓などの設置義務が今も免除されています。つまり設置義務はありません。
その後、消防法令は幾度となく改正され、現在、新築される共同住宅では、住宅用消火器の設置が義務づけられています。また、スプリンクラー設備も、認知症高齢者グループホームでの痛ましい火災を受け、現在では、社会福祉施設については、二百七十五平方メートルという小規模な施設にも設置が義務づけられ、その安全性が確保されています。
しかしながら、それらの規定には遡及効果がないため、消火器の設置すらされていないところが膨大にあるのです。これには古い都営住宅も含まれ、消火器が設置されている都営住宅は四割にすぎません。
既存不適格建物という概念があります。建築基準法では、新築当時の基準に適合していれば、その後、法基準が改正されても、その建物を新しい基準に合わせる義務はありません。
一方で、消防法では、ホテルやデパートなど不特定多数が使用する施設には、常に最新の基準が適用になります。つまり、建築基準法より消防法の方が厳しいのです。ただ、その規定は、不特定多数が使用する施設に限られており、今回のテーマである共同住宅に関しては、消防法でも既存不適格が許されているのです。
単純に考えて、古い建物ほど耐火性能が低く、新しい建物の耐火性能は高いと思われます。にもかかわらず、より危険な古い方に消火器の設置義務が免除されているのです。
火災の発生を知らせる住宅用火災警報器の設置が義務づけられた今日、初期消火に有効な消火器が、古い建物が昔の基準のまま設置義務がなくていいわけがありません。今後、住宅用火災警報器に倣って、消火器設置の義務化を推進すべきだと強く提案いたします。
次に、水に関して伺います。
火を消すのに必要なのは水です。ところが、避難場所がどこにあるか関心は持っても、消防水利がどこにあるかという意識を持つことは、極めてまれであります。
私は、最近、スタンドパイプというものの存在を知りました。消火栓は、これまで消防隊だけが使えるものというイメージがありましたが、このスタンドパイプを消火栓に取りつけることで、市民も消火栓を使うことができるのです。
東京が震災で火災が同時多発した場合、阪神・淡路大震災同様、消防隊の助けを求めることは困難です。消防団あるいは市民自身の初期消火が何としても必要ですが、これに有効なのがこのスタンドパイプなのです。
震災時のみならず、平時でも、このスタンドパイプは、消防車が入っていかれないような狭隘道路などで有効です。ちなみに、我が杉並区では、すべての小中学校が震災救援所となっており、ここに一本ずつスタンドパイプを既に配布済みです。
消火栓を使うのが、消防隊だけでなく市民にまで広がったという意味で、極めて画期的なことだと私は思います。
お話を戻しますが、初期消火に必要なのは水です。
そこで、震災時などに防災市民組織や地域住民がD級ポンプやスタンドパイプを活用して初期消火に当たるためには、日ごろから消防水利の設置場所や活用方法を十分に理解しておく必要があります。東京消防庁の取り組みについて伺います。
○北村消防総監 お話のとおり、防災市民組織や地域住民が震災時に初期消火活動を効果的に行うためには、消防水利の設置場所や活用方法について把握することが重要であると認識しております。
このことから、東京消防庁では、水利標識に防火水槽に関する広報板を設置しているほか、消防水利や防災資器材等を記した住民による防災マップづくりを区市町村と連携し指導しているとともに、今後も、防火防災訓練を通じて、消防水利の場所や活用方法などについて積極的な周知に努めてまいります。
○早坂委員 先日発表された首都直下地震等による東京の被害想定報告書では、前回平成十八年の被害想定では含まれていなかった津波に関する想定が新たに追加されました。
区部の防潮堤がTP三・五メートルから六・九メートルで建設されているのに対し、区部の津波想定は最大二・六メートルで、基本的に防潮堤を越えないとのことであります。
しかし、自然災害に絶対はありません。堤防の耐震化などハード面の整備や、万が一の浸水に備えた避難というソフト面の対策の両者において、万全の備えが必要です。
一方で、島しょ部の津波想定については、御蔵島で最大二十二・四メートルなど非常に高くなっています。これだけ高い津波であれば、ハード面の整備だけでは物理的にも時間的にも限界があり、実効ある具体的な対策を進めなければ都民の命を守ることができません。
厳しい被害想定を踏まえ、東京都の島しょ部における津波対策について伺います。
○笠井総務局長 都はこれまでも、島しょ部における対策として、津波軽減効果を持つ港湾や護岸の整備などを着実に推進してまいりましたが、今回の想定において、多くの島で、これまでの想定を超える高い津波高が算出されました。
委員ご指摘のとおり、ハードの整備には長期間を要し、また、ハード対策のみでは対応が困難な状況もあることから、ハザードマップの作成支援や地元町村と協力した避難誘導の仕組みづくりといった即効性のあるソフト対策をハード対策に組み合わせて、島しょ地域の防災力の向上を図ってまいります。
○早坂委員 今回の東京都の被害想定とは別に、内閣府も、本年三月、東京都の島しょ部での津波推計を発表しました。それによると、新島で二十九・七メートルと、東京都の想定よりもさらに高い結果が出ています。これは、東京都が相模トラフ、すなわち関東大震災、内閣府は南海トラフ、すなわち東海、東南海、南海地震と、対象となる地震や震源が異なるためです。
国の報告書にあるとおり、この結果は、次に起きる地震津波の想定ではなく、あくまで、発生確率は低いけれども、もし発生すれば甚大な被害をもたらす最大級の津波に相当するものです。
とはいえ、一千年に一度といわれる東日本大震災の被害を受けた今日、東京都は、南海トラフの巨大地震も視野に入れた対策を講ずべきと考えます。ご見解を伺います。
○笠井総務局長 今回の都の被害想定では、過去に東京湾内に最大の津波をもたらしたとされる相模トラフの元禄型関東地震を対象に検証を行いました。
一方、国におきましては、先日、津波高等が公表された、南海トラフの巨大地震にかかわる被害想定を六月に公表する予定でございます。
南海トラフによる地震と相模トラフによる地震では、島しょ部に押し寄せる津波の高さや方向が異なります。このため、今後、国による被害想定を踏まえ、各島の地形の状況や双方の地震で想定される津波の特性などを考慮し、ハード、ソフトの両面にわたり、島しょの津波対策に取り組んでまいります。
○早坂委員 津波や高潮から都民の生命、財産を守り、高度に集積した都市機能を確保するためには、東京港の防災機能のさらなる強化が必要です。
このたびの新たな被害想定を踏まえ、東京の湾岸部を守る防潮堤など海岸保全施設整備というハード対策に今後どのように取り組んでいくのか伺います。
あわせて、施設の機能不全など不測の事態に対するバックアップ機能の強化というソフト対策も不可欠と考えます。ご見解を伺います。
○中井港湾局長 まず、海岸保全施設の整備についてでありますが、都はこれまでも、平成十八年度に作成した海岸保全施設緊急整備計画に基づき津波、高潮対策を実施してきておりまして、水門については、従来想定されていた首都直下地震や関東地震を対象として耐震性の強化に取り組んできたところでございます。
このたびの新たな想定では、最大震度七の地域が出るとともに、震度六強の地域が大幅に拡大しておりますことから、こうした最新の知見を踏まえ、海岸保全施設の耐震性の確認を早急に行うとともに、整備計画の見直しなど必要な対策を講じ、一層の防災力の強化に取り組んでまいります。
次に、不測の事態に対するバックアップ機能の強化についてでありますが、災害時には通常想定していないようなことが起こり得ることから、委員ご指摘のとおり、いかなる事態にも対応できる体制を確保することが重要であると考えております。
このため、津波、高潮対策のバックアップ機能を抜本的に強化するものとして、高潮対策センターを二拠点化することとし、現在の辰巳に加え、平成二十七年度からの稼働に向けて港南にも整備を行ってまいります。
これにより、いずれかが被災によって機能不全になっても、もう一つのセンターから遠隔操作を可能とするとともに、各センターに人員を配置し、不測の事態でも現地に駆けつけられる体制を整備してまいります。
また、通信網の多重化や連絡手段の複数化を進め、迅速かつ確実に対応できる体制も構築してまいります。
こうした多様な取り組みにより、津波、高潮対策におけるバックアップ機能の一層の強化を図ってまいります。
○早坂委員 大震災が発生した場合、建物倒壊による道路閉塞などの事態が想定されます。その場合、海上輸送による重機や緊急物資の受け入れが有効ですが、そのためには、ハード面では耐震強化岸壁の整備、ソフト面では海上輸送を担う業界団体との連携強化が必要です。今後、震災救援に係る海上輸送が十分機能を果たせるよう、さらなる取り組みをお願いいたします。
次に、水道管の耐震化の推進について伺います。
震災時において、水道は、都民の生活はもちろん、救急医療や消火活動においても極めて重要な役割を担っています。このため、いかなる状況においても水の供給を途絶えさせてはなりません。
水道の耐震化を単純にいうと、まず、水道管自体が折れて破損しないようにする、そして水道管同士のつなぎ目が外れないようにする、この二点です。阪神・淡路大震災でも、東日本大震災でも、この双方に被害がありました。
一方で、東京都は、前者の水道管自体の強化については、一般鋳鉄管の二倍以上の強度を持つダクタイル鋳鉄管への更新がほぼ終了しており、一定の耐震性が担保されています。
では、水道管同士の継ぎ目が外れないようにするための耐震継ぎ手管への取りかえ状況について伺います。
○増子水道局長 水道局では、昭和四十年代の後半から、震災対策を局事業の最重要課題の一つに掲げ、水道施設の耐震化に積極的に取り組んできております。
現在では、水道管路の耐震化につきましては、お話のとおり、耐震性にすぐれたダクタイル鋳鉄管への取りかえをほぼ完了しております。
この過程におきまして、平成十年度からは、抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管を全面的に採用し、さらなる耐震強化に努めております。
また、災害拠点病院や首都中枢機関などの重要施設への供給ルートにつきましては、重点的に耐震継ぎ手化を進めております。
さらに、平成二十二年度からは、こうした取り組みを一層加速するため、水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業を推進しており、計画を大幅に前倒しし、これまでの取りかえをほぼ倍増するなど、総力を挙げて取り組んでおります。
○早坂委員 耐震継ぎ手管への取りかえは、地域によって進捗状況に差があるようです。地球の半周以上という膨大な延長を有する水道管路のすべてを耐震継ぎ手管に取りかえるには長い期間を要しますが、震災時における水の確保は、都民一人一人の切実な問題であります。
そこで、東日本大震災や今回の被害想定の見直しを踏まえ、今後、水道管路の耐震化事業をどのように進めていくのか伺います。
○増子水道局長 現在、水道局が取りかえを進めている耐震継ぎ手管は、東日本大震災の被災地で液状化が生じた地域においても被害がなく、極めて高い耐震性能を有していることが実証されました。
また、首都直下地震として想定される東京湾北部地震におきまして、今回の被害想定を前回平成十八年と比較した場合、地震動や液状化面積が増大したにもかかわらず、前回より断水率が減少しております。これは、この間、進めてきた耐震継ぎ手管への取りかえが効果を発揮したことによるものと考えており、今後とも強力に推進してまいります。
また、さきの震災の経験を踏まえ、避難所や主要な駅、約二千六百カ所に供給する配水管と給水管の優先的な耐震化、私道内給水管の全面的ステンレス化による耐震化など、新たな施策についても積極的に取り組んでまいります。
さらに、今回の被害想定を踏まえ、想定地震動や液状化危険度、耐震継ぎ手化の進捗等を勘案して耐震化を一層進め、震災時における首都東京の安定給水の確保に努めてまいります。
○早坂委員 ところで、東日本大震災の被災地では多数の下水道管が被害を受け、トイレ不足や仮設トイレの使用に伴うし尿処理への対応など、公衆衛生上、大きな問題となりました。
また、江戸川を挟んで東京都に隣接する千葉県浦安市では、地盤の液状化により、下水道管に土砂が詰まったり、マンホールが地上に浮き上がるという甚大な被害が発生しました。その結果、住民がトイレを使用できなかったり、道路の通行に支障が出る事態となりました。
東京で大地震が発生した場合に備え、これまで取り組んできた下水道管の耐震化、液状化対策を加速させることが急務です。
そこで、下水道管の耐震化、液状化対策の取り組み状況と今後の対策について伺います。
○松田下水道局長 下水道管の耐震化と液状化対策は、震災時における下水道機能や交通機能の確保などの観点から、優先度を定め、必要な対策を実施しております。
まず、耐震化対策でございますが、下水道管とマンホールの接続部を柔軟性のある構造に変更し、耐震性の向上を図るものでございます。昨年度までに、対象とする区部の避難所など約二千五百カ所のうち約八割を完了し、残りの箇所は、計画を二年前倒しし、来年度の完了を目指しております。
次に、液状化対策でございますが、液状化の危険性の高い地域にある道路の交通機能を確保するために、マンホールの浮上を抑制する対策でございます。平成二十二年度までに緊急輸送道路約五百キロメートルで対策を完了いたしまして、さらに、昨年度から緊急輸送道路と避難所などを結ぶアクセス道路に対象を拡大し、実施しております。
これらの対策は、今後、発災時に多くの人が集まるターミナル駅周辺や、国、都、区の庁舎など復旧拠点となる施設などへ対象を拡大してまいります。
さらに、区部で実施しているこれらの対策の推進について、多摩地域の市町村に技術支援を行うことで、市町村における下水道管の耐震化のより一層の促進を支援してまいります。
○早坂委員 下水道管の耐震化、液状化対策は、前倒しで整備を進めているとのことでした。
一方で、東日本大震災においては、例えば宮城県仙台市の南蒲生浄化センターの完全復旧には五年を要するとされています。下水道の震災復旧には大変な時間と労力がかかりますので、東京でも事前の十分な備えが求められます。
そこで、東日本大震災を踏まえた下水道機能確保のための取り組みについて伺います。
○松田下水道局長 下水道の耐震化と液状化対策に加えまして、水再生センターやポンプ所などの施設の耐震化を進めております。
具体的には、万が一にも通常の汚水処理ができなくなったとしても、未処理の下水を河川などに流出させないよう、ポンプ機能の確保や簡易的な処理や消毒などを行う施設、設備の耐震化を優先度を定めて計画的に実施してまいります。
また、水再生センター間で汚泥、汚水を相互に送ることのできるネットワークを整備することで、バックアップ機能の確保に努めてまいります。
さらに、都の防災計画において、発災時に避難所などに設置される仮設トイレから出るし尿は、区市町村が運搬し、当局の水再生センターなどで受け入れることとしており、区部に続き、多摩地域においても、昨年度までにすべての市町村との間で覚書の締結を完了させました。
引き続き、下水道施設の耐震化や区市町村と連携した取り組みをより一層強化するなど着実に対策を進め、首都東京を支える必要不可欠な都市インフラとして、下水道機能の確保に万全を期してまいります。
○早坂委員 今後は、他県などとの広域連携も視野に入れ、防災力の強化により一層取り組むことを要望します。
以上で火と水に関するものは終わりにし、それ以外のテーマについて伺います。
東京都は、現在、病院の耐震化事業を進めています。このうち、東京都指定二次救急医療機関、計二百五十三施設に関しては、特に補助率をかさ上げして病院の耐震化を図ろうとしています。
ところで、都庁のすぐそばに東京医科大学病院があります。こちらも東京都指定二次救急医療機関に指定されています。前をお通りになればわかりますが、病院とは各階で渡り廊下により結ばれた教授棟が病院に併置されています。この教授棟は病院ではありませんから、耐震化の補助金はありません。当然、病院の耐震化は進みますが、教授棟の耐震化は後回しになります。しかし、仮に大地震によってこの教授棟が倒壊したら、隣の大学病院の診察は一体だれが行うのでしょうか。
もう一つ例を挙げます。杉並区のJR阿佐ケ谷駅から徒歩五分のところに河北総合病院があります。こちらも東京都指定二次救急医療機関に指定されています。ここの立地は木造住宅密集地域の中にあり、車が一台通ると自転車とすれ違うのが怖くなるくらいに狭い一方通行の道路の先に病院はあります。そこで、仮に大地震によって病院までの道路に面した古い家屋が倒壊し、道路をふさいでしまったら、一体どうやって病院にたどり着けるのでしょうか。
とかく私たちは、ある政策目標、今回の例でいえば病院の耐震化という大きな目標があると、平成何年何月現在何%達成という、その部分の数値にのみ目が行きがちです。しかしながら、一つ一つの事情を丁寧に観察し、政策の効果を確認しなければ、その目標は絵にかいたもちになりかねません。
病院の建物はしっかり残ったけれど、そこで患者さんの治療はできなかったということでは、笑い話にもなりません。政策を総合的に考えることが重要だと指摘しておきたいと思います。
ところで、東京都は、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に力を入れています。備蓄で命は守れない、耐震化こそが命を守るというのが私の主張ですから、大いに進めていただきたいと思います。
そこで、私は第二弾の施策を提案したいと思います。それは鉄道沿線建築物の耐震化です。
都内で電車に乗ってみると、線路が平面を通っているところ、掘り割りになっているところ、高架になっているところといろいろあります。そこにもし沿線の建物が倒壊してきたら、一体どうなるでしょうか。たまたまそこを電車が通過していた場合に、乗客に甚大な被害が発生することは想像にかたくありません。
また、幸いにして電車への直撃こそ逃れたとしても、例えば掘り割りの部分や高架の部分の倒壊建物の除去には大変な労力がかかると想像されます。
個々の鉄道事業者がこういった想定をしているかどうかわかりませんが、仮に想定したとしても、鉄道事業者の立場で沿線建物の所有者に耐震化を求めることは不可能です。できることは、せいぜい倒壊してしまった建物の除去ぐらいだろうと思います。
この鉄道沿線建築物の耐震化については、本日は問題提起にとどめます。
では、都立公園の防災機能の向上について伺います。
今回の被害想定においては、避難者数は最大三百四十万人と想定されています。都市においては、都立公園など震災時の大規模避難場所の確保とその防災機能の充実が必要です。
そこで、これまで都立公園の防災機能の向上に向けてどのような整備を進めてきたのか、また、さらなる防災機能の強化に向けて今後どのように取り組んでいくのか伺います。
○村尾東京都技監 都立公園は、潤いある都市環境を創出し、都民に憩いや安らぎを与えるとともに、震災時には避難及び防災活動の拠点として重要な役割を担っております。
都は、都立公園八十公園のうち六十公園を避難場所や応急復旧活動の拠点などに位置づけており、これまで緊急車両の進入路の確保や防災トイレなどの整備を計画的に進めてまいりました。
今後、震災時には、災害情報を迅速に収集し、避難してきた人たちに適切に提供するため、無線装置や放送設備などを拡充し、防災機能のレベルアップに努めてまいります。
また、リーディングプロジェクトとして、舎人公園において応急復旧活動などの電源となる非常用発電設備を設置し、周辺の生活関連施設にも電力を供給することとしており、四月にはそのための調査に着手いたしました。
引き続き、都立公園における防災機能の強化に努め、高度防災都市の構築に全力で取り組んでまいります。
○早坂委員 ご答弁のあった六十の都立公園のうち、二十六公園が救助活動などの拠点であり、うち二十五公園が平成二十五年度までに整備が完了するなど、着実に整備が進んでいると承知しています。引き続き、都立公園の防災機能の強化に向けて取り組みを進めるようお願いをいたします。
もう一つ、つけ加えるならば、震災時の都立公園の役割を改めて都民に周知する必要があると考えます。
というのも、ヘリコプターの離着陸場やトラックの集積場としての役割を担うエリアもあり、すべての都立公園が住民の避難場所になるわけではないからです。住民の避難場所として予定していないエリアには、例えば、ここはヘリコプターの離着陸予定地です、住民の避難はできないエリアですと、明確にわかるような表示をしてはいかがでしょうか。提案をいたします。
次に、中小企業のBCP、事業継続計画の策定支援について伺います。
東日本大震災では、多くの企業が被災し、その結果、サプライチェーンの寸断などにより、我が国経済に大きな影響を与えました。
東京には高度な技術を持つ中小企業が集積しており、災害によって被害を受けた場合には、より一層大きな影響を与えることは確実です。改めてBCP策定の重要性が認識されます。
東京都は、東日本大震災発生前の平成二十二年度から中小企業のBCP策定支援に取り組んできましたが、策定されたBCPが昨年の東日本大震災の際に具体的にどう役立ったのか、その効果について伺います。
○前田産業労働局長 BCP策定支援事業につきましては、これまで百十社がこの事業を活用してBCPを策定しております。
昨年の震災においてBCPが有効に機能した事例でございますが、茨城県内に工場を持っております都内製造業者が、地震で工場の天井や壁が崩れる被害を受けたものの、作成したBCPで被害発生時の対応を明確に定めていたことで、震災の十二日後には被災前の八〇%程度の生産を再開することができております。同社によりますと、冷静に被災状況を分析して顧客に連絡することができ、信頼を得るのに効果があったということでございます。
また、同様にBCPを策定しておりました別の企業では、従業員の安否確認や顧客への対応が迅速にできたなど、さまざまな効果があったと伺っております。
○早坂委員 ありがとうございました。今後もBCPの策定を中小企業に広めていくことが重要ですが、そのBCPを活用して計画どおりに事業継続を実現することがより大切です。
企業によっては、工場などの耐震化などが必要な場合もあり、それには資金やノウハウが不足していると聞きます。
そこで、今年度のBCP策定支援事業と、我が党の提案を受けて事業化された製造業防災対策事業の取り組みについて伺います。
○前田産業労働局長 地震などの中小企業を取り巻くリスクに迅速かつ的確に対応し、事業の継続を図るために、BCP策定の重要性は増しております。
今年度は、七十五の会社や団体のBCP策定を支援するとともに、新たに区市町村と連携した講座の実施やパンフレットの作成、配布などを通じ、より多くの中小企業への普及に努めてまいります。
また、東日本大震災を踏まえ、今年度から、都のBCP策定支援事業で計画を策定した企業を対象に、その実効性をより高めるため、お話の建築物の耐震化をモデル的に支援することといたしました。
具体的には、BCP策定企業のうち、建築物の補強などを行う十社を選定し、補助率三分の二、一千万円を上限に支援することといたしまして、この事業につきましては、既に五月一日から受け付けを開始しているところでございます。
○早坂委員 東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県、宮城県、福島県の被災地に対して、全国の自治体がさまざまな支援を行いました。各自治体が独自の判断で積極的な支援を行ったことはすばらしいことだと考えますが、こうした中でも、支援物資のニーズ把握、現地までの運搬など、さまざまな課題が浮き彫りになりました。
東京に大地震が発生すれば、大きな被害が広範囲に及ぶものと思われます。そこで、九都県市相互での連携をさらに強固にするのはもちろん、全国からの応援を迅速、確実に受け入れるための体制確保が必要です。
国は、首都圏全体の広域防災を担う国の基幹的広域防災拠点として、臨海部の有明の丘地区、神奈川県川崎市東扇島地区の二カ所を整備していますが、いずれも海に面したところで、内陸部にはありません。これで十分な体制といえるのか、いささか疑問です。
東京都は、広域応援体制の確保に向けてどのような取り組みを進めているのか伺います。
○笠井総務局長 首都直下地震などの大規模災害に備えるためには、九都県市相互の応援体制のみならず、より広範な自治体との効果的な協力体制の枠組みを構築していくことが必要でございます。
このため、九都県市におきましては、東日本大震災の教訓を踏まえ、現行の九都県市相互応援協定を見直すこととし、大震災時において広域的な支援を行った関西広域連合と、実効ある支援方策などについて意見交換を行っております。
今後、意見交換の成果も活用しながら、より広範な自治体と協力できるよう現行の協定を改定するとともに、国に対して、全国からの応援を受け入れるための新たな基幹的広域防災拠点の整備を要望するなど、さらなる広域的な連携強化を図ってまいります。
○早坂委員 さきの東日本大震災で課題となったものの一つが、燃料の確保です。被災地が東京から離れた距離であったにもかかわらず、都内でもガソリンなどの燃料不足が顕在化し、混乱が生じました。
このたびの被害想定では、首都直下地震の発生により広範囲での停電が予想され、災害拠点病院などの初動期の救命救急活動に甚大な影響をもたらすことが懸念されます。さらに、救急車両の活動にも支障が生じるおそれがあります。
災害への備蓄や発災時の物流確保は、民間の業界団体を活用した方法が有効であり、そのためには業界団体の協力が不可欠です。
本年第一回定例会の予算特別委員会での我が党の質問に対し、東京都は、業界団体との連携により具体的な燃料確保策を講じると答弁しましたが、その進捗について確認します。
災害時の救命救急活動に必要な燃料を確実に確保するために、東京都は業界団体とどのような連携を図るべく取り組んでいるのか伺います。
○笠井総務局長 災害時の燃料確保のため、都は、石油業界団体と協定を締結し、災害拠点病院や緊急通行車両などに優先的に燃料供給を受けることとしてまいりましたが、東日本大震災では、燃料の需要が大幅に増大し、在庫に不足を来したことから、協定の実施が困難となりました。
このため、今年度より協定を見直し、年度当初に必要量を購入し、実績に応じて生産するランニングストック方式に調達方法を変更いたします。
この方式を具体化するために、発災時に災害拠点病院に確実に燃料を供給できるガソリンスタンド等の選定や、病院の給油施設の現況調査を現在実施しているところでございます。
今後は、燃料供給に関するマニュアルの作成など具体的な協議をさらに進め、発災時の燃料確保に万全を期してまいります。
○早坂委員 最後に、初動態勢の確保について伺います。
東日本大震災で特に大きな被害のあった東北地方の市町村においては、通信の途絶のみならず、首長以下、多くの自治体職員や消防団員の方々が犠牲になりました。庁舎や公共施設自体が被災したことで自治体機能が大きく損なわれ、自治体による必要な対応や対策が後手に回りました。
今回の大震災では、こうした想定外の事態により、初動が大きく出おくれたわけですが、東京の震災対策においては、想定外は許されません。発災時の全庁的な危機管理体制を強化し、十分な準備を行うことが肝心です。
被災自治体の経験などを踏まえ、発災時からの応急対策活動を機動的に進めるため、区市町村や警察、消防、自衛隊はもとより、ライフライン事業者や関係業界団体との連絡手段の確保や連携体制の整備など、万全の初動態勢を確保すべきと考えます。ご見解を伺います。
○笠井総務局長 発災時の応急対策に万全を期すためには、行政機関相互やライフライン事業者、関係する業界団体との役割分担を明確にした上で、対応の手順、連絡体制の整備など、より機動的に対応できる初動態勢を構築することが必要でございます。
都は、関係団体等との連絡を確実に行うため、無線通信容量の増強による防災行政無線網の強化を図るとともに、今年度より、各団体への携帯型無線機の配備を行うこととしております。
今後、現行の初動態勢の実効性や運用を検証した上で、発災時における防災関係機関相互のさらなる連携強化に向け、対応の手順や連絡体制などの見直しを行い、地域防災計画の修正に反映させるなど、都の防災力向上に向けた取り組みを進めてまいります。
○早坂委員 以上です。ありがとうございました。
○大津委員長 早坂義弘委員の発言は終わりました。
神野吉弘委員の発言を許します。
○神野委員 私からは、地域防災についてお伺いします。
防災隣組についてでございまして、これまで重複した部分に関しては、調整をしながら質問を続けさせていただきたいと思います。
まず、東京都は、東京における自助、共助の取り組みを広めるための防災隣組事業をスタートさせました。防災隣組と聞いたとき、私は、行政機関のもとで全国民が組織をされ、一元的な指示のもとに発災時の救出救護、消火活動を行うような、いわゆる戦前の隣組のようなものを想像したのですが、今回の隣組は、そこまでのことではないということではありますけれども、自助、共助を広めるためには、最大限、今後とも推進をしていくべきだと考えます。
防災隣組の今回の認定に関して、区市町村からの推薦をもとにして選定したということであります。ただ、区市町村からの推薦のまま、そのとおり受けるのでは、都の考える団体を認定することができないんじゃないかなというふうに思うわけなんですが、まず、地域の防災力向上を目指して開始した、この防災隣組の認定基準と認定方法について伺いたいと思います。
○笠井総務局長 東京防災隣組の認定に当たりましては、地域特性に応じた意欲的な活動を展開していること、年間を通じて継続的な活動を行っていること、防災活動に対して一定の評価を得ていること、都や区市町村が行う地域の防災力向上のための事業へ協力する意思表示を示した団体であること、地域の防災力向上のための活躍が期待できることの五つの基準をすべて満たした団体の中から、区市町村によるご推薦をいただき、外部有識者を交えた東京防災隣組認定審査会の審査を経て、都が認定団体を決定いたしました。
○神野委員 隣組が、区市町村からの推薦に基づいて、そして都が一定の基準を決めて選定したということがよくわかりました。
隣組の今後の認定に当たっても、都が地域に期待をする活動を行う多様な団体を選定して、地域防災力の向上を目指すべきだと考えます。
私が地域に期待する活動としては、例えば発災後の治安維持、こういう活動も必要じゃないかというふうに考えております。今回の隣組の内容を見ても、いわゆる自警団の活動というものは入っていなかった、少なかったというふうに思うのでありますが、あの阪神・淡路のときには、暗やみに乗じて窃盗被害というものが非常に深刻で、そして、地域でも自警団を結成する、そういう活動もあったというふうに聞いております。
最近、防犯パトロールを中心として、平時の地域での治安活動というものは活発になってきているんですが、震災後の治安維持についても、私は地域の果たす役割が重要じゃないかなというふうに考えております。
そしてまた、発災後、この救助活動の場面、先般の東日本大震災で、一つ私も注目をしたんですが、木密地域で倒壊家屋が多数発生をしたとき、その下に住民が下敷きになっている可能性があるような家屋に関しては、例えば、その後に入ってくる自衛隊の救助活動をやりやすくするために、旗を立てて目印にしていく、そういった活動なんかも、都として今後地域に求めていくべきじゃないかというふうに考えております。
これらは私の意見でございますが、都は、都として隣組に求めるものがあるはずであります。都は、防災隣組に行ってほしい具体的な活動を明確に示していくべきだと考えますが、所見を伺います。
○笠井総務局長 防災隣組の認定に当たりましては、先ほど申し上げた五つの基準に基づき、都が隣組に期待する具体的取り組みを区市町村に十分伝えた上で推薦依頼を行っております。これを受けて、区市町村からは、木密地域における初期消火及び救助活動や要援護者への見守りパトロール等を行う団体が推薦されておりまして、都が隣組に期待する役割を十分に反映したものとなっております。
○神野委員 隣組の認定に当たりまして、都の意思がきちんと反映をされているということはよくわかりました。
隣組では、各団体の先進的な取り組みを今後紹介、普及していくということでありますが、地域の防災力の向上のためには、もう一方、防災に関する各組織の組織率の向上が必要だと私は考えます。
今回の防災隣組の中心になる町会、自治会は、これはもともと地縁団体でございまして、結束力というものは非常に高いんですが、やはり一方で高齢化が進んでおります。また、地域によっては、その組織率というものも低い地域もあります。
阪神・淡路のときですが、避難所で、その避難所のリーダーとなった町会長のことを知らない住民がいて、食料配分をめぐっていろいろいざこざが起きたという、そんな話も聞いております。町会、自治会の組織率の向上を目指すことももちろんなんですが、今回のこの隣組、多様な団体を含む、隣組を含む自主防災組織の組織率を高めて、そして地域住民の多くが何らかの団体に属している、そういった状況をつくる努力も必要じゃないかなというふうに考えます。
そこで、自主防災組織における組織率等の現状と、そして課題について伺いたいと思います。
○笠井総務局長 都内には約六千七百の自主防災組織がありまして、これは全世帯の七七%をカバーしております。
しかしながら、構成員の平均年齢が六十歳以上の組織が半分以上あることや、若い世代の防災活動への不参加、防災活動に関するノウハウの不足、近隣住民同士の結びつきが希薄であるなど、課題も多く存在しております。
こうした現状を受け、都は、自主防災組織を活性化し、地域の自助、共助の力を再生するため、まさに防災隣組事業を開始したところでございます。
○神野委員 私も地元の消防団に入っている経験がございますので、わかるのですが、熱心に活動を行っている人というのは、やはりまだまだ少数派でございます。自主防災組織がある地域ですら、住民がそういったさまざまな組織のことを知らないケースも少なくなく、自主防災組織が住民間に十分浸透しているとはまだまだいいがたい、そういう状況があるんじゃないかというふうに考えております。
現段階では、住民にこういった防災組織に参加を強制するということは困難なことはよくわかるんですが、そのかわり、都には、こういった自主防災組織の活動の充実、そして活性化を図っていっていただきたいと思います。
防災対策には地域のきずなが大切だということはよく聞く言葉なんですが、この地域のきずなというのが、その本質はどういうことかというと、私の考えですが、その地域に暮らす住民が、自分の地域が大好きで、そして、その住民同士が仲よくて、その仲間のためならば一肌脱ぐということをいとわない、そういった気風があって、私は初めて生まれるものだと考えております。つまり、住民同士がお互いの個人情報を共有し合っているから、初めてこの地域のきずなというものが生まれる。
しかし、現在では、個人情報保護法の影響もあって、発災時に行政が住民情報を集約しようとすると非常に困難なのが、これまた実情であります。片方では地域のきずなといいながらも、また片方では、個人情報の遵守というものがある。こういった法制度には非常に多くの問題があると思いますが、地域は地域で、この個人情報保護法の壁を越えて取り組みを進めていく必要があると考えるわけであります。
そこで、今回の防災隣組においてでありますが、住民の個人情報の共有という、この取り組みがあるのかどうか、伺いたいと思います。
○笠井総務局長 発災時に初期対応を円滑に進めていくためには、法令による制約やプライバシーの問題はあるものの、住民の個人情報、とりわけ高齢者を初めとする要援護者の情報を平素から詳しく把握しておくことが重要でございます。
今回認定された団体の中には、平常時から地域内の要援護者リストを作成し、災害時に安否確認に使用するなど、住民の同意に基づき、団体が個人情報を適切に集約、管理し、防災活動に活用している団体もございます。
こうした活動内容を他地域へも広く紹介し、普及を進めてまいります。
○神野委員 今まで、防災隣組について幾つか質問をいたしました。今回の隣組は、町会、自治会のみならず、例えばPTAですとか商店街ですとか、多様な団体が認定をされておりまして、さまざまな団体が今後防災活動に携わっていくということが想像をされます。
先ほども消防総監からご答弁がありましたので、重複いたしますから、意見にとどめますが、発災時に、たださまざまな団体がそれぞればらばらに防災活動に従事をするということになりますと、情報伝達を初めとして混乱が生じてくる可能性もあると思います。まず、地域で防災活動を担う団体といいますと、これは消防団でございまして、今後、こういった防災隣組の多様な団体と、この消防団との連携ですね、緊密な連携というものの取り組みを進めていただくことを要望させていただきたいと思います。
次ですが、先ほども申し上げましたけれども、地域力、それから地域のきずなというのは、他人を助ける献身的な努力に裏打ちをされて、初めて強固なものとなるわけであります。今回の東日本大震災の現場で、例えば、現地の消防団の方々が、地域の住民の避難誘導に携わる中で命を落とされたり、また、テレビでも報道されましたが、南三陸町の防災課の職員、たしか遠藤未希さんとおっしゃられた防災課の職員の方が、津波が目前まで迫る中で住民に避難誘導の防災無線のアナウンスを続けていて、ご自分は、その津波にのまれてお亡くなりになる、こういった自己を犠牲にした献身的な行為というものがさまざま報道されて、そして人々の心を打ったわけであります。
都は、今後、防災教育を進めていかれるということでありますが、私は、子どもたちに、こういった今回の東日本大震災での、いわゆる自己を犠牲にした献身的な方々の実話を、ぜひ教材として取り上げていただきたいと考えているわけであります。
こういったさまざまな東北の方々の勇気、そして献身、さらには仕事に対する使命感というものを子どもたちに実話として教えてあげれば、私は、子どもたちの心にそういったお話が深く刻まれて、そして、今後の防災教育に大きく資するものと考えますが、ご所見を伺いたいと思います。
○大原教育長 都教育委員会では、東日本大震災を踏まえまして、昨年度、防災教育補助教材であります「三・一一を忘れない」を新たに作成し、まず自分の命を守り、次に身近な人を助け、さらに地域に貢献できる児童生徒の育成を目指すことといたしました。
そのために、本教材は、未曾有の震災を生き抜いた児童生徒の体験をつづった作文、災害発生時の安全な避難の仕方やAEDの活用等をまとめた自助、共助に関する資料、被災地における東京消防庁ハイパーレスキュー隊の活躍等の公助の記事などで構成をしております。
今後の改訂の際には、みずから被災しながらも、地域の人々のために貢献した消防団員の活躍や、使命感を持ってみずからの職務を遂行した人々の勇気など、被災地視察等で収集した実話を掲載いたしまして、児童生徒の心情に訴える感動的な教材となるように工夫してまいります。
○神野委員 ありがとうございます。やはり実際にあった話というのは、子どもたちの心に私は届くと思います。実際にあった話ほど最高の教材はないと思いますので、さまざまな教育上の大きなメリットとなるようなそういうお話を収集していただいて、教材に取り上げていただければと思います。
最後でありますけれども、震災発災時の指揮命令について伺いたいと思います。
戦争のとき、陸軍でまず初めに行われるのは、戦闘序列を決めることであります。つまり部隊の編成と指揮命令系統を決めることなのでありますが、これを決めなければ、当然でありますが、軍隊というのは戦えないわけであります。
昨年の一般質問でも私、申し上げたんですが、戦争も、災害も、有事には変わりがありません。東京に直下型の地震が起きたとき、被害を最小限に抑えて、そして住民を守り抜くためには、国と都と区市町村と警察、消防、そして自衛隊、さらには、今私がいろいろ、るる質問をさせていただいた地域の防災組織も含めて、すべてが縦一直線の指揮命令系統のもとで、整然と情報連絡、そして指示伝達というものを行っていかなければ、都民の命というものを守ることはできないというふうに考えているわけなんです。
なぜこういう質問をするかというと、日本の地方自治法においては、いわゆる地域の組織、例えば町会、自治会を初めとする地域の組織というのは行政組織ではないんですね。これは、いわゆるマッカーサーの占領軍によって地域の町会、自治会というものが廃止をされた、これに端を発している。そして、その占領時にできた地方自治法においては、この町会、自治会といった組織は行政組織ではない。じゃ、今どういう状況かというと、あくまでも協力組織なんですね。区があって、都があって、そして地域の町会、自治会というのは、その行政に協力をする。ですから、行政の側も、その町会、自治会といった地域の団体にはお願いをする、こういう関係であります。
平時はそれでいいのでありますが、じゃ、例えば大地震が起きたとき、こういういわゆる有事の際、果たして本当にそれが効率的に動ける仕組みなのか、私はそういう問題意識を持っているからであります。
それでは伺いますが、発災時の行政組織と自主防災組織は、どのような役割分担、どのような指揮系統のもとで動いていくのか伺いたいと思います。
○笠井総務局長 発災時における初動対応時には、国、都、区市町村などの行政機関と自主防災組織が緊密に連携して対応することが重要でございまして、そのためには、各地域防災計画にそれぞれの役割分担と具体的対応を定めておく必要がございます。
まず、都の地域防災計画におきましては、国、都、区市町村の担うべき役割や応急対応等を定め、これに基づき災害時の情報伝達等を行ってまいります。区市町村の地域防災計画におきましては、地域の自主防災組織との役割分担や協力関係を定めているほか、日ごろからの訓練活動等を通じて協力、連携関係を構築しております。
こうした役割分担をあらかじめ計画に定めておくことで、発災時の迅速かつ円滑な初動対応を図ってまいります。
○神野委員 今回の都の防災対策、さまざまな議論を聞いておりまして、木造住宅密集地域というものが東京都に広がっている。この状況を見ると、私いつも思うのですが、毎年三月十日、東京都は平和の日の式典を挙行します。この三月十日というのは、下町を中心に十万名の都民が焼き殺された東京大空襲、まさにその日の大空襲によってお亡くなりになられた方々のご冥福を祈る式典なのでありますが、あの東京大空襲で東京が火の海になっている。やはり木造の家というのは火災に非常に弱いわけでありまして、あの東京大空襲の悲劇というものをしっかりと生かした形で、戦後、まちづくりというものが行われてくれば、このような木造住宅の密集地域というものが、ここまで残っていることはなかったんじゃないかなというふうに考えるわけであります。
まさに災害対策においては、より大きな危機に対処する体制を整えて初めて、それよりも小さな危機に対処することができるというのが鉄則でありますから、災害発生時というのは、これは非常事態だと思うんですね。ですから、行政が迅速な対応を行っていくためには、やはりある程度の強制力というものを持って、住民や地域団体を行政の指揮命令系統下に置いていかざるを得ないのかなというふうに考えております。
現状は現状でよく理解をしております。ただ、現状のそういった施行の枠組みというものを超えていかなければ、東京に直下型の大震災が来たときに、再びそういった、いわゆる住民の方々の命を犠牲にするような状況が出てきてしまう。そういう状況を起こしてはいけないということで、現在のさまざまな常識を超える形での想定をお願いしていきたいと思います。
実現を果たすためには、この戦後という時代に続いてきた法制度を変えなくてはならず、それは当然でありますが、国レベルでの対応が必要となってくることは事実でありますが、都は都として、現在の枠組みの中で最大限の努力を払っていただいて地域防災力の向上を果たしていただきたい、そのことをお願い申し上げて、質問を終わります。
○大津委員長 神野吉弘委員の発言は終わりました。
次に、中谷祐二委員の発言を許します。
○中谷委員 まず、防災公園についてお伺いをしたいと思います。
大規模災害で電力不足に陥った際に、東京都は、防災公園の六十カ所の公園に非常用の大規模なガス発電設備を設置する検討を始めたという記事が出たのが、昨年の十一月の下旬でありました。ただ、この防災公園、六十カ所、一応あるんですけれども、これは、各区、各市に均等にあるかというと、かなり偏在をいたしておりまして、二十九の区、市にまたがっているのであります。そして、江東区には六カ所程度、この公園が指定をされておるという、まずそういう状況があるということであります。
そしてまた、発電設備を設置するという意義は、防災拠点での活動で生かすというほかに、近隣に病院とか公共交通機関があれば、それらの施設にも電力を供給するという役割を果たすということであります。
そもそも東京都がいう防災公園の定義というのが、災害時の避難場所のほか、支援物資の集積、輸送拠点となるということ、そして装備の内容は、ソーラーの照明をつけるとか、避難者対応トイレ、これはマンホールを利用してのトイレですね。それから井戸の掘削、入り口から拠点となるところまでの車両の動線の確保、そして非常用発電を含む防災関連施設を整備するという、そういう装備内容ですね。つまりは、防災公園イコール極めて高機能に防災に対応する公園ではないという、あくまで標準装備の公園が防災公園という認識だと思います。
そこで質問でありますけれども、舎人公園において非常用発電設備の検討を進めるということでありますけれども、まずは、その現在の進捗状況と、今後どのような公園に発電設備を設置していくのかお伺いいたします。
○村尾東京都技監 都立公園における非常用発電設備の設置につきましては、「二〇二〇年の東京」計画に位置づけております。そのリーディングプロジェクトとして、大規模救出救助活動拠点である舎人公園において、応急復旧活動などの電源となる非常用発電設備を設置することとし、周辺の生活関連施設にも電力を供給することについて調査に着手いたしました。
都立公園への発電設備の設置につきましては、リーディングプロジェクトの状況を踏まえまして、今後検討してまいります。
○中谷委員 今、リーディングプロジェクトという言葉がありまして、これは、計画を推進していく中で、全体を先導的にリードしていく施策と訳すとのことであります。
要は、舎人公園がリーディングプロジェクトであるならば、残りの五十九について、これは地理的にも、また構造的にも、ガス発電をつくれる、つくれないという判断は、極めて早い時期に判断ができるんだと思うんです。そしてまた、もしガス発電をつくるとなれば、設置までに最低三年とか五年とか時間を要するものでありますから、その設置が難しいという公園については、例えば性能の高い発電機を常備させるとか、そういうもう少し柔軟な、かつスピード感のある対応を求めるところであります。
そしてまた、後ほど質問させていただきたいと思いますが、公園についてのいわゆる地下利用ですね、地下部分の利用についても、地下利用というものが将来もし発生するというのであれば、やはり地上部分の整備のときにあわせて地下についても検討していただきたいと思います。
次に、杉並にあります高井戸公園についてお伺いをしたいと思いますけれども、これは約十七ヘクタールありまして、NHKであるとか民間企業、あとは財務省が所有をしているという土地であります。これは平成二十三年の十二月に都市計画公園・緑地の整備方針が改定をされて、新たに東京都の事業として、この高井戸公園、そして練馬の練馬城址公園が優先整備区域に設定をされました。
そこで、新たに設定された公園というのはこの二つしかありませんが、この高井戸公園の事業の進捗状況についてお伺いをいたしたいのと、公園整備において、この防災機能の高度化という部分で、何か特色がある公園なのかどうか、あわせてお伺いいたします。
○村尾東京都技監 都と区市町は、都市計画公園、緑地の事業進捗や社会情勢の変化とともに、防災の視点を重視し、今後十年間で優先的に整備する公園、緑地を定めた都市計画公園・緑地の整備方針を平成二十三年十二月に策定いたしました。この中で高井戸公園を優先整備区域に定め、現在、事業着手に向けて関係者と調整を進めております。
公園整備における防災機能につきましては、避難場所の確保、防火植樹帯などの整備による防災性能の向上、さらには貯留浸透機能の確保による豪雨対策などを重視してまいります。
○中谷委員 今、最後に、貯留浸透機能の確保により豪雨対策を重視ということは、ある意味、若干の地下部分の利用だと思うんですね。それで、今伺った限りでは、防災公園の機能としては、従前どおりの機能のものであると認識をいたしております。
あわせて、今度は練馬の練馬城址公園、これは通称としまえんと地元で呼んでおりますが、この事業着手についてお伺いをしたいのですが、要は、高井戸が十七ヘクタール、そして練馬の城址公園が二十二ヘクタール、合わせて四十ヘクタールありまして、これを東京都が買い取って事業をするとなると、それなりに、何百億という単位での土地の購入費が当然かかるわけであります。高井戸の公園と同時進行で、練馬城址公園なんかも整備ができるのかどうか、その辺もあわせて、もし現時点で発表ができるのであれば、この事業着手の予定についてお伺いをいたします。
○村尾東京都技監 練馬城址公園は、昭和三十二年に、計画面積約二十六・六ヘクタールの総合公園として都市計画決定されております。
現在、計画区域の大部分は民間の遊園地であり、東京都地域防災計画において避難場所に指定されております。
都市計画公園・緑地の整備方針においては、都市計画公園区域のうち、二十一・九ヘクタールの優先整備区域として、平成三十二年度までの十年間で事業着手するということとしております。
今後とも、都立公園における防災機能の強化に努め、高度防災都市の構築に取り組んでまいります。
○中谷委員 かなり長期的な中で進めるということの認識はできました。地元的には、やはり整備を進めるということは、としまえんが閉園になるということが当然大前提になるんだろうと。その時期について、やはり長年親しまれた公園でありますから、また方針が決まれば、ぜひお知らせをいただきたいと思います。
そしてまた、この公園についてなんですけれども、当然、この練馬城址公園もそうですけれども、避難場所としての指定を受けるわけです。よく避難場所という言葉があって、避難所という言葉がありますけれども、避難場所というのは、要は、これから震災も含めて何か災害が起こりそうだというときに、事前にまさに避難するところが避難場所。避難所というのは、発災後にその避難所にとどまって、要は、そこでしばらくの間、もちろん生活もするでしょう、食料の備蓄もあれば、宿泊機能を併設しているというのが基本的には避難所だというふうに認識をしておりますけれども、このすみ分けがうまくいくようでいかないというか、避難場所が、あるタイミングで避難所になり得るんじゃないかと思うんです。
要は、避難場所があって、避難所に移動するというときに、避難通路というか経路があって、間違いなく避難場所から避難所へ必ず移動ができるということでは決してないと思いますし、まして高齢者の方であるとか子どもたちも含めて、避難場所にとどまっていた方が安全であるという可能性もあるというときは、避難場所すべてを避難所対応にする必要はないんですが、避難場所の幾つかは、やはり避難所としても対応できるような防災公園が存在していてもいいんじゃないかと私は思いました。
地域防災計画の中で、本来は、避難場所と避難所のひもつけというのは市町村の範疇かもしれないんですけれども、例えば千代田区は、全域が地区内残留地区という指定を受けているんです。この地区内残留地区というのは、要は、一カ所も避難場所が指定をされていない。なぜ避難場所が指定をされていないかというと、もともと千代田区というのは火災に強い区である、震災火災がさほど発生をしないであろうという想定のもとに、避難場所をそこに求めずに、地区内残留地区という指定を受けているんだと思います。
そうはいいながら、地区内残留地区の中には幾つか都立公園があります。日比谷公園であるとか夢の島公園、台場公園、潮風公園、あと幾つかあるんですけれども、要は、避難場所指定を受けていないこうした公園であっても、防災対策上は、ある程度の装備というか、設備を兼ね備えているべきであると思いまして、それを局に確認をいたしましたら、日比谷公園については、トイレとソーラー照明、あとヘリポート、夢の島公園についてはソーラー照明が設置をされておりますが、他の公園についてはさほど、そういったソーラーやトイレすらも装備をされていないということでありましたので、地区内残留地区の中の都立公園の整備についても少し高度化して、防災公園としての対応を求めたいと思います。
そしてまた、二十三区内のエリアの中でも均等に--例えば、海寄りはもちろん水の危険性もあるでしょうし、人口密集している都心三区なんていうのは、また違う被災状況になると思いますし、木密地域などは、また火災の発生とか、要は、地区によって物すごく発災の内容、状況が変わってくると思いますので、そこはやはり、ぜひ地元区と都の連携を緊密にする必要があると。区市町村の担当者とは、月一回、東京都は防災会議を開催しているという報告を受けておりますけれども、地震というのは、あした起こってもおかしくない話でありますので、その連携を特に密にお願いをしたいと思います。
続いて、今度、財務局関係、お伺いをしたいと思うんですが、今回の震災を機に、いわゆる防災を切り口に都有財産の利活用が促進されたんだと思うんですけれども、これは、そういう都有財産の情報を局の垣根を越えて横断的にやらなければいけないと。それを事務的に統括しているのが財務局の財産運用部に当たると思いますが、この震災を契機に、実際どのような物件のマッチングとか新たな取り組みがありましたか、その成果についてお伺いをいたします。
○安藤財務局長 都有財産は、都民から負託されました貴重な財産であり、その財産価値を最大限に発揮させるとともに、都政の課題解決のために利活用を推進していくことが必要でございます。
東日本大震災の際にも、財産情報システムの活用によりまして、一時避難施設などの緊急用途に活用可能な都有財産を抽出いたしまして情報提供を実施いたしました。
今後も、防災対策の重要性を十分に念頭に置きながら、各局における財産活用ニーズに柔軟かつ迅速に対応していくために、財産情報の整備や実地調査など財産状況把握の精度向上に努めるとともに、各局との連携を強化し、全庁的な視点から財産の利活用を推進してまいります。
○中谷委員 実際に、緊急用途に活用可能な都有財産の抽出とその情報提供があったということでありました。今、実際、財務局でどういうシステムでやっているかというと、財産情報システムという、これは平成十八年に新たにしたものでありますけれども、これで、各局の方が自分の探すそういう物件を検索できるようなシステムになっていると聞きます。物すごくふぐあいがあるとも聞いてはいないんですけれども、私も民間の会社におりましたので、その会社のイメージからすると、例えばこういう情報というのは、検索の容易さというのが非常に大事だと思うんです。
恐らく都有財産というのは、何万件というものがサーバーの中で検索ができるようになっていると思うんですけれども、その中で、例えばA4の紙一枚にその情報すべてを集約するというイメージで、そこに、地籍であるとか、住宅地図とか、所在、もちろん所管がえをしたのであれば所管がえの時期とか、活用実績、それから、できれば写真も添付をして、それを一枚の紙に集約して、それをスキャニングをかけるわけです。スキャンして、それをすべて一つのサーバーにため込んで、いわゆる財産情報図書館みたいなものをつくるイメージです。そうすると、例えば各局の担当者の方が、面積を打ち込むとか、用途を打ち込むとか、こういう土地はないのかなと、これは土地だけじゃなくて建物も含めてでありますけれども、そういう担当者の方が、いつ何どきでも、サーバーにアクセスさえすれば必要な情報が得られると。
今の財務局のシステムも、多分、ちゃんと機能しているんだと思うんですが、恐らくこれで情報をとれば、紙ベースにすると何枚か複数枚の紙がばあっと出てくるようなイメージだと思いますので、できればコンパクトに、かつ検索の手間がかからない、そういうシステムを、これをちょうど十八年にやっているということは、もう六年経過をしておりますので、またシステムを検討する時期が来れば、そのことも手をひとつ加えていただきたいと思います。
今度は、ちょっと消防庁関係、伺いたいと思うんですが、首都直下型地震が起きたときは、東京都は、要は火災による甚大な被害が起きるであろうという想定のもとに、今回、いろいろ被害想定を発表していると思いました。これ、冬の夕方の発生で、二十三区内での死者が九千三百三十七人と、二〇〇六年の前回想定よりも八八%増加をしていると。ということは、建物の耐震化を進めても、火災による死者を必ずしも減少させることがなかなか容易ではないということの証明だと思うんです。また、この九千三百三十七人という、ここまで細かい数字が出るということ自体、これは、もちろん想定値でありますけれども、これは、上にもぶれれば下にもぶれる可能性が当然あるわけで、ただ、東京の場合は火災に対する備えというものに非常に力点を置いているんだなというのが、いろんな資料を見ると、それが感じ取れるわけであります。
ちょうど今、この五月下旬から六月というのは、東京都内そこらじゅうで、この時期は消防団の消防操法大会というものがありまして、もう既に終わったところもありますし、これからの土日で開催されるところもあります。要は、やはり発災直後に一番頼りになるのは地元の消防団であり、例えば市民消火隊もそうかもしれませんが、そういう地元で日ごろ訓練を受けている方々だと思います。
震災後、昨年の六月に補正予算を組んだときに消防団関係の予算計上がされまして、そのときに、デジタル無線機であるとか、電光表示器、これLEDの表示でありますが、あと発電機、それから放射線の測定器と、こういうものが団の要望にこたえる形で配備をされたと思います。
東日本大震災の教訓を踏まえて、特別区の消防団の資器材の充てん状況並びに施設関連の整備については、消防庁としてどのような認識を持たれておりますか、お伺いをしたいと思います。
○北村消防総監 消防団は、平常時はもとより、震災時において果たす役割は極めて大きく、その活動に必要な資器材及び施設の整備は大変重要でございます。
これまでも救助資器材や分団本部施設等を拡充してきたところでありまして、東日本大震災の教訓を踏まえ、東京緊急対策二〇一一に基づき、携帯無線機を初め、電光表示器や非常用発電機等を新たに整備してまいります。
また、分団本部施設については、消防団の活動拠点として重要な施設であることから、今後も、構造、老朽度、狭隘度等を総合的に勘案して、各区や関係部局等と連携し、計画的な整備に努めてまいります。
○中谷委員 今、無線機の話もありましたけれども、実は、実際にこの無線機を所持されるのは消防団長と分団長、消火班長、ここまでのようであります。すべての団員に配備をというところまでは望みませんけれども、やはりこれも地域の防災計画に基づいて、二十三区の担当者と消防団との連絡手段というものは当然確保されなければなりません。
さきの震災時にも、二十三区内で防災無線が全く機能しなかった区が実際にありました。その点、この携帯用の無線機というものは非常に有効でありますし、まして、こういう災害時というのは、ハイテクなものよりもローテクなもの、かつ、最後は人の力だと思いますので、こういう装備については、すぐにできる対応の一つだと思いますので、予算どりはしてあるんだと思いますので、早い時期に各消防団に行き渡るようにお願いをしたいと思います。
加えて、震災時の都市機能を維持するためにエネルギーの確保というものが、今回、非常に痛切にその大切さを感じたわけでありますが、その多様化について、少し意見を申し上げたいと思います。
福島原発の事故などもありまして、震災後の東京電力の電力供給能力が、五千二百万キロワットから、一時的に約三千百万キロワットへと減少して、電力が逼迫する状態が続きました。当然、一時期は計画停電もあり、また、電力の使用制限令の発動で対応したと。これも、やはり特定の電力事業者からのみの電力供給に依存をしていた都市部のエネルギー供給の脆弱さを露骨に示したものだと思いますけれども、今回、都が、臨海部分といいますか、百万キロワット級の高効率天然ガス発電所の整備を検討していると。そしてまた、防災公園にも、多少、非常用のガス発電を検討すると。ただ、これ、いずれも短期というよりは中期的な話でありまして、東京全体のエネルギー供給を担保するほどの容量を持ったものでもないと。
昨年、節電の夏を経験いたしまして、これは環境局の方は、多分、個別の数字を持っているんだと思うんですが、東京電力管内の電力使用予想と最大供給電力の差というのが実はあったんだと思うんです。これが、使用予想というのが恐らく思ったほどでもなく、逆に、最大供給電力というのは、もう少し余力があったとなると、ことしの夏は、東京電力管内は、現時点で計画停電も計画をしていないんだと思いますけれども、昨年の実績というか、経験した数字をもとに、ことしの夏をいかに乗り切れるかということが、まさにこれは日本の宿命だと思うんです。
そこで、現在の状況では、国内の五十四基すべての原発がとまっておりまして、いや応なしに、震災後は化石燃料、要は火力発電への依存が高まっております。当然、CO2の排出量も増加傾向にあると。ならば、今後求めなければいけないのは、CO2の削減、そして脱化石燃料を、原発以外の新たなエネルギー生成で実現していくことを求めていかなければならない。
その一つが、実はバイオマス水素だと私は認識をしております。これは、下水道局なんかは下水汚泥からそのエネルギーをとっているんですけれども、それは別に水素をとっているわけではないんです。下水汚泥をガス化して、可燃化ガスにして、要は、一酸化二窒素を大幅に削減するという、環境上すごく効果のある、そして発生した可燃化ガスで発電して、汚泥ガス化炉の運転に必要な電力の一部を補充していると。
下水道局としては、そういう取り組みをしておりますけれども、さらに一歩進んで、バイオマス水素というのは、下水汚泥でも、木材チップでもいいんですけれども、そこから水素をとると。水素というのは、燃やせば、酸素と一緒になれば、最後、水になるんですけれども、究極のエネルギーであると思います。
ただ、今まで水素がなぜ広がらなかったかというと、もちろんコスト高もあったでしょうし、その扱いの難しさもあったと思うんですけれども、まさに今、民間のいろいろな企業が、二〇一五年には燃料電池自動車、これは水素の燃料電池自動車ですけれども、これをもう正式に市場に投入するという共同声明まで発表いたしておりまして、今、加速度的に水素ステーションをつくっていこうではないかと、百カ所程度の整備を予定しておりますけれども、水素というエネルギーがかなり現実化してきていると思います。
そこで最初の舎人公園とか練馬城址公園の話に戻るんですけれども、そうした新たに都が整備をしようとしている公園について、例えば水素ステーションを防災公園の中に設置するということを、今までは検討すらしなかったと思うんですけれども、震災があり、エネルギー状況が変わり、時代が変わったわけでありますから、ぜひそのあたりを前向きに、これは下水も、環境も、そして、あるいは建設局さんも含めて、検討に値するものではないかというご提案を申し上げまして、私の質問を終えたいと思います。
○大津委員長 中谷祐二委員の発言は終わりました。
次に、松葉多美子理事の発言を許します。
○松葉委員 昨年の東日本大震災の発災以来、都議会公明党も、さまざまな提案をさせていただきながら、都の防災対策の強化を求めてまいりました。私は、中でも、女性や子ども、障害がある方、高齢者の方等、とりわけ災害時に困難な状況に置かれている方たちを守るために取り組みを進めることが重要であると考えております。こうした観点から、女性と子どもの視点に立った防災対策について質問をいたします。
まず最初に、女性の視点に立った防災対策について伺います。
我が党はこれまでも、女性の視点に立った対策の必要性を訴え、都議会において、女性の視点に立った防災対策の充実を求めてまいりました。
また、公明党本部におきましても、女性防災会議を昨年八月に立ち上げまして、地方防災会議に女性委員をふやすことや、地域の防災計画に女性の意見を反映することを政府に提言するなど、具体的な行動をとってまいりました。
この問題につきましては、第一回定例会一般質問でも取り上げさせていただきましたけれども、その際、都は、防災の検討組織への女性の登用や、また、専門家の活用、女性職員のワーキンググループの開催などにより、女性の声を反映させて地域防災計画を修正する、そういった旨のご答弁がありました。
また、国からは、最近、都道府県の防災会議の委員選定について定めた災害対策基本法十五条五項の一、五、七号を活用して、女性委員をふやすよう推奨する通知が都道府県に対し出されたと聞いております。
こうした状況を踏まえて、女性の視点に立った防災対策を推進すべきと考えますが、改めて、現在の都の取り組み状況につきまして、笠井総務局長に伺います。
○笠井総務局長 防災対策の検討に当たりましては、被害者の視点に立った検討が重要でございまして、とりわけ避難所の運営や備蓄物資などの対策につきましては、女性の視点に立ったきめ細やかな対策を検討する必要がございます。
このため、都は、東日本大震災におきまして女性の避難所生活を支援した経験を有する専門家を招き、各局や区市町村などの防災機関との間で意見交換会を開催いたしました。この意見交換会では、専門家から避難所運営における女性リーダーの重要性などをご説明いただき、参加した防災機関からは、男性の視点では感じ取りにくい部分の指摘もあり、大変有意義であったとの意見をいただきました。
また、被災地に派遣された女性職員によるワーキングにつきましては、この専門家も交えた形で開催できるよう、現在、準備を進めております。
こうした内容を踏まえ、地域防災計画の修正に取り組むとともに、防災関係の検討組織への女性の登用を含め、男女双方の視点に立った防災対策を推進してまいります。
○松葉委員 第一回定例会の答弁のとおり、女性の意見の反映を進めていただいているとのことであります。今後、東京都防災会議への女性の登用を含め、さらなる取り組みをお願いいたします。
今回の被害想定報告書では、都内における帰宅困難者は約五百十七万人とされております。平成二十五年四月施行の東京都帰宅困難者対策条例は、一斉帰宅を防ぐために、都内の企業に対して、三日分の水と食料等を備蓄することを努力義務として定めております。二次災害を防ぐためにも、帰宅抑制に全力を挙げることが最重要の課題となると考えております。
しかし、三月一日に警視庁が発表した意識調査の結果では、首都圏で大地震が発生した場合、四五%の人が、どんなことがあっても帰宅すると考えているということがわかっております。それは、家族の安否が心配だからというのが最大の理由であります。
岩手県釜石市の小中学生二千九百二十八人の生徒さんが、津波から逃れて九九・八%の児童生徒の皆さんの命が守られたという、釜石の奇跡と呼ばれておりますが、その防災教育を行った群馬大学の片田教授のお話を伺いました。
その中で、率先避難者たれということを教えていらっしゃいますけれども、それは、真っ先に自分の命を守り抜けということであります。最初、子どもたちは、この話をなかなか納得しなかったそうであります。君のお父さんとお母さんはどうするかな、そういうふうに質問いたしますと、子どもさんは、僕を迎えに来ちゃう、そういうふうにいうそうであります。そこで、片田教授は、僕はちゃんと逃げるよということをお母さんが信じてくれるまでいうんだということを繰り返し教育したそうであります。
津波てんでんこ、このことを片田教授はこう語っております。家族の当たり前のきずなが、逆に被害を大きくしてきた過去の津波被害、その上に立った苦渋に満ちた教えであると。一人一人が自分の命に責任を持つ、そのことをお互いに信じるということが大事であると。信頼が成り立たなければ、お母さんは、どんな状況になっても、万難を排して子どもを迎えに行くということであります。
そういうことから、今回の帰宅困難者対策を行う上でも、通信網の整備は重要であります。一方で、もし通信手段が使えなかったとしても、お互い信頼し合って、お互いがお互いの命を守り抜いているということを、信頼をつくっておくことが大事であります。それは、子どもと親、また、学校と保護者との信頼であると思います。
そこで、保護者が一斉帰宅抑制のために企業等でとどまることになった場合、また、帰宅ができなかった場合、児童生徒の保護の体制が重要であり、さらには、どういった安全確保の体制をとっているのかを保護者の方にお伝えして、互いの信頼関係をつくっておくことが重要だと考えます。
お子さん方が通っていらっしゃるのは、保育園、幼稚園、公立学校、私立学校、さまざま保育、教育機関で育成をされておりますので、そこで、それぞれの取り組みにつきまして、各局につきまして答弁をお願いしたいと思います。
最初に、私立学校につきまして、防災備蓄物資の整備に対する支援等につきまして、井澤生活文化局長、お願いいたします。
○井澤生活文化局長 都は、東日本大震災の教訓を踏まえまして、都内の私立幼稚園、小学校、中学校及び高等学校等の防災力の向上を図るため、昨年六月の補正予算におきまして、防災用品緊急整備事業費補助を創設いたしました。
本事業は、災害発生時に、少なくても三日間は生徒等を学校で保護できる環境を緊急に構築するため、生徒一人当たり一万円を上限として、水、毛布、食料はもとより、あるいは医薬品、調理器具など、備蓄物資の購入に要する経費を補助するものでございます。
また、学校の備蓄状況に応じて柔軟に補助対象品目を選択できる制度、いわゆるメニュー方式とし、昨年度及び今年度の二カ年で、すべての対象学校の実施に必要な予算措置を講じております。
今後とも、本事業の活用によりまして、早期に備蓄物資を整備するよう働きかけ、都内の私立学校における生徒等の安全確保に向けた取り組みを支援してまいります。
○松葉委員 ただいまの答弁にありましたが、都は私立学校に対して、東京都帰宅困難者対策条例の取り組みを先取りする充実した防災備蓄物資の補助事業を展開しておりまして、その点を高く評価しております。
その一方で、備蓄物資の保管場所の確保に苦労している学校も多いと聞いております。とりわけ幼稚園は、施設の規模が小さく、収納場所も限られている中で、長期間にわたる適切な物資の保存が求められていることから、防災用品の備蓄にふさわしい機能を持った倉庫が必要だとの声が寄せられております。
こうした課題を初めとして、私立学校の現場の実態や要望等を的確に把握し、よりよい制度への見直しを検討するように要望いたします。
次に、保育所等でございますが、保育所や、また家庭的保育事業、保育ママにおきましては、保護者が迎えに来るまでの間、保育を継続することが必要になると考えますけれども、そうした体制の確保の現状、それに対する都の対応につきまして、杉村福祉保健局長に伺います。
○杉村福祉保健局長 今回の震災では、帰宅困難になった保護者が多数発生をし、保育所等では、児童の保護に夜を徹して対応いたしております。
こうした教訓を踏まえまして、都は、災害時にも保育所等で児童が安心して過ごせるよう、区市町村を通じまして、水や非常食等の備蓄品の購入を支援いたしますほか、災害用伝言ダイヤルやメール配信などを活用した災害時における保護者との連絡体制の整備を働きかけております。
東京都帰宅困難者対策条例におきまして一斉帰宅の抑制方針が定められたことも踏まえまして、現在、多くの区市町村が、地域防災計画の修正とあわせて、災害時における保育所等の体制の強化について具体的な検討を行っております。
今後とも、こうした区市町村の取り組みを支援いたしますとともに、区市町村と連携をしながら、保育所等に防災体制のさらなる強化を働きかけてまいります。
○松葉委員 さらなる取り組みをお願いいたします。
都立学校におきましては、児童生徒、教職員の方々の毛布、三日分の食料と飲料水、また非常用発電機等を備蓄していると聞いております。
また、先ほど来、答弁いただきましたが、私立幼稚園、また小中高の私立学校、保育所等、備蓄品等の確保等が進んでいることを確認させていただきました。
そこで、公立の小中学校、区市町村立の小中学校における児童生徒の食料備蓄と、また連絡体制、これがどうなっているのかということにつきまして、大原教育長に伺います。
○大原教育長 公立小中学校における災害時の食料等につきましては、児童生徒を含めた避難住民用として、都と区市町村の役割分担に基づきまして、備蓄、調達により確保することとされておりますが、その配給は避難所開設が前提となっていること、あるいは保管場所が学校外の場合があること等の課題がございます。
そこで、今後、都教育委員会といたしましては、区市町村教育委員会に対しまして、児童生徒を学校で保護する際に食料等が円滑に供給される仕組みを、区市町村長部局と連携して構築するよう働きかけてまいります。
また、連絡体制の確保につきましては、平成十六年度から災害用伝言ダイヤルを利用した連絡方法等を事前に保護者に周知するよう指導しておりますけれども、今般の一斉帰宅抑制に伴い、確実な連絡体制の整備が一層重要となったところでございます。
今後、各種メディアを活用した先進例を紹介するとともに、全小中学校でこれらを含めた複数の連絡方法が確保されるよう、区市町村教育委員会に働きかけてまいります。
○松葉委員 今、大原教育長からご答弁いただきましたけれども、ぜひとも働きかけをよろしくお願いいたします。
子どもの安全確保の体制を構築していくことが保護者の安全対策にもつながるといった視点も踏まえていただき、児童生徒の命を守るために万全の体制をつくっていただきますよう、教育庁、福祉保健局、生活文化局には、さらなるお取り組みをお願いいたします。
その上で、都内で必要な措置がとられていましても、東京には他県から通勤をしていらっしゃる方がたくさんおります。そうした意味では、近隣の県に対しても、学校等における児童生徒等の安全確保の取り組みを働きかけていくべきと考えますが、見解を伺います。
○笠井総務局長 第一回定例会におきまして可決をいただきました帰宅困難者対策条例では、大規模災害発生時において学校等における児童生徒等の安全確保を規定しておりますが、東京は近隣県からの通勤通学者も多いため、広域的な帰宅困難者対策にも取り組む必要がございます。
そのため、先日の九都県市首脳会議におきまして、都が制定した条例を参考とした対策を各県市でも検討することなど、帰宅困難者対策に取り組むことを提案し、合意を得たところでございます。
今後は、この合意を踏まえ、九都県市が参加しております帰宅困難者等対策協議会におきまして、学校等における児童生徒等の具体的な安全確保策について、引き続き検討を行ってまいります。
○松葉委員 都が他県に対しまして、学校等における児童生徒等の安全確保について働きかけていることを確認させていただきました。帰宅困難者の対策は首都圏全体の課題であり、ぜひとも各県との協力をしっかりと行っていただきたいと思います。
次に、災害時のトイレ機能の確保についてお聞きをしたいと思います。
帰宅困難者対策において、水や食料の確保と同様に大切なのは、トイレの確保であると考えております。第一回定例会の予算特別委員会で我が党の栗林議員が指摘をさせていただきましたが、阪神・淡路大震災や東日本大震災の教訓から、トイレの問題は大変重要でございます。昨年の三月十一日の際にも、特に女性のトイレは、都立施設や帰宅支援ステーション等で長蛇の列というふうになっておりまして、トイレを探すのが大変だったという、さまざまなお声をいただいております。
そこで、都が率先をして、都立施設の一時滞在施設において災害時のトイレ機能を確保していくべきと考えますが、見解を求めます。
○笠井総務局長 多数の帰宅困難者を受け入れることとなります一時滞在施設におきましては、トイレ機能を確保することは不可欠でございます。
現在、都は、都庁舎や都立学校などの都立施設や監理団体が運営する都関連施設を一時滞在施設として指定するための準備を進めております。一時滞在施設として指定する都立施設等には、待機する帰宅困難者用に、水、食料、毛布などと同様、簡易トイレの備蓄を行ってまいります。
○松葉委員 トイレに関連して、もう一点、伺いたいと思います。
現在の地域防災計画を見させていただきますと、避難者百人当たり一基の災害用トイレを確保するというふうにされております。このトイレの数、百人当たり一基という数が適切かどうかということも踏まえまして、現在の備えで十分なのかどうか、しっかりと検討すべきであると考えます。
改めて、発災時のトイレの確保について、現在の都の対策の考え方と取り組みについて伺います。
○笠井総務局長 発災時におけるトイレ機能の確保は、避難者の生活環境を維持する上で重要であり、このため、都は、区市町村と連携して、災害用トイレの備蓄、仮設トイレの設置が可能なマンホールの指定拡大、下水管等の耐震化などの対策を進めてまいりました。
また、東日本大震災では、断水に伴うトイレの不足、公衆衛生の確保、女性のプライバシーへの配慮などの課題が明らかになっており、こうした教訓を今後の対策に生かす必要がございます。
今後、トイレ機能の確保を検討するに当たりましては、トイレの必要数や、し尿処理体制、女性の視点の反映など、対策全般にわたって検討を加え、地域防災計画の修正に反映をしてまいります。
○松葉委員 今、トイレにつきましてご答弁いただきましたけれども、ぜひともご検討をよろしくお願いいたします。
最後に、帰宅困難者対策に関する減災目標について伺いたいと思います。
現在の地域防災計画では、外出者を四日以内に帰宅できるようにするとの減災目標を掲げております。この地域防災計画の最後の修正は平成十九年でありまして、当時の考え方としては、このような目標になったものと考えておりますが、現在の一斉帰宅の抑制という考え方とは、そごがあるのではないかというふうに感じる部分もございます。
そこで、今後の地域防災計画の検討の中で、この減災目標についてどのように検討されるのか、都の所見を伺います。
○笠井総務局長 都では、東日本大震災における都内の混乱を踏まえまして、帰宅困難者対策全般を再構築いたしました。
具体的には、大規模災害発生直後においては、救助救急活動等の応急活動を迅速に行う必要があることから、東京都帰宅困難者対策条例において、帰宅困難者による混乱の防止を目的に、一斉帰宅の抑制を規定したところでございます。
また、帰宅困難者に対する情報提供体制の整備、一時滞在施設の確保、混乱収拾後における帰宅支援などの対策も定めたところでございます。
帰宅困難者対策の減災目標につきましては、東日本大震災の教訓を踏まえ、発災直後の混乱防止、帰宅困難者の安全確保といった対策の基本的な目的に立った上で、一斉帰宅の抑制等のさまざまな施策のバランスを考慮して検討を進めてまいります。
○大津委員長 松葉多美子理事の発言は終わりました。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時一分休憩
午後五時二十二分開議
○大津委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
田中健委員の発言を許します。
○田中委員 それでは、都の新たな首都直下型等の地震における被害想定の見直しを受けて、私からは、スプリンクラー、また津波、そして液状化の三点について質問をさせていただきたいと思います。
まず、スプリンクラーについて伺います。
いわずもがな、この部屋にも、そこに点々とあるのが、いわゆるスプリンクラーであります。
東京消防庁の予防部は、この東日本大震災の後、防火管理が義務づけられている防火対象物、これは千八百二、東京都にあるということでありますが、これについてアンケート調査を実施し、東京消防庁管内における東北地方太平洋沖地震時の対応状況等の調査結果を、昨年の八月に発表しております。これによりますと、消防用設備等で破損等があったのは百九十八件、そのうち百十四件が、実に五六%がスプリンクラーの設備等であったということであります。
今回は震度五強における被害でありましたが、今回、被害想定の見直しは震度七ということで出されました。消防庁としては、震度七が予期される首都直下型地震では、どれだけのスプリンクラーの被害を想定しているのか、まず伺います。
○北村消防総監 スプリンクラー設備等の消防設備の地震時における被害については、具体的な被害は想定されておりませんが、総務省消防庁が検討会を設け、平成二十三年二月に、耐震性能や耐震措置の考え方の報告を取りまとめております。
さらに、本年五月から、総務省消防庁では、有識者等による消防用設備等の技術基準に関する検討会を立ち上げると聞いておりまして、その動向や提言を踏まえ対処してまいります。
○田中委員 残念ながら、今の答弁では、具体的な被害想定はしていないということであります。
再度、繰り返しになりますが、東日本大地震の際、この東京においては震度五強の地震であり、今回の首都直下型地震では最大震度七の想定であります。先ほど冒頭でいいました被害が百十四件あったということでありますから、震度七においては、この数十倍になることが予想されます。このアンケート調査までをして、さらに、早い段階、昨年の八月にはこのような結果が出ているのに、どうしてその対策を考えようとしないのかは、私にはわかりません。
なぜこういうことをいうかといえば、このスプリンクラーの誤作動によって、大きな被害が及ぶおそれがあることがいわれているからであります。実際、阪神・淡路大震災でも、神戸市の消防局は、神戸市内でスプリンクラーを設置している五百四十四カ所の建物を調査して、二百十六カ所で何らかの損傷が見つかったことを発表しております。さらに、高さ百メートル以上の超高層ビルにおいては、十五棟のうち十二棟でスプリンクラーの被害があったということであります。実に八割がスプリンクラーの何らかの被害を受けたことになります。
ここで何が問題かというと、現在のスプリンクラーは湿式スプリンクラーというらしいんですが、これが都内九〇%を占めておりますが、このスプリンクラーは、ビルの消火用水槽をすべて放出するんですね。一度スプリンクラーが出始めると、終わるまで全部出してしまうんですね。そうしますと、地震後の火災に対して無防備になってしまうということが一ついわれております。
二点目は、帰宅困難者を受け入れる施設、例えば東京都の災害拠点病院なども、もちろんこのスプリンクラーを整備しておりますが、これも水浸しになってしまって、その設備が使えなくなってしまうといったことも指摘をされております。
三つ目には、このスプリンクラーは、もちろん電源を多く使うわけでありますが、停電になったとき、電気が落ちたときも、自家発電設備や、また非常用電源によって必ず動くようになっております。そうしますと、この貴重な燃料を破損ということで、火事が起きていなくても水浸しになり、燃料もむだに使用してしまうことがあるのではないかと。
大きく分けると、この三つが今、指摘をされている問題であります。
このようなさまざまな指摘がされている中でありますが、具体的にこのような被害があることというのは、東京消防庁としては想定されているのでしょうか。
○北村消防総監 スプリンクラー設備は、誤作動の場合、制御弁の停止、ポンプの停止等によりまして、放水を停止することができることを関係者には指導しております。
また、火災予防審議会の答申に基づきまして、消防用設備等の耐震措置について指導基準を定めておりまして、今後も、スプリンクラー設備に対しては、配管等の固定、揺れどめ、加圧送水装置及び水槽タンクの固定などを法令等の基準に基づき推進してまいります。
○田中委員 これ、スプリンクラー、今、指導をしている、とめられるというお話でありましたが、このスプリンクラー、一度回してしまいますと、制御弁というのをとめなければいけないのですが、それは各階にあるんですね。ですから、スプリンクラーが一度、誤作動にしても動き出してしまったら、例えば数十階の高層ビル、この都庁もそうですが、各階にスプリンクラーが多く設けられているような大きな施設、まして、そのときはエレベーターもとまっておりますから、歩いていかなくてはならないと。そういうところに、その管理人か、それぞれの対象者はわかりませんが、アラームの室内に行って、さらにそれは、ふだんはかぎが閉まっておりますから、かぎをあけて、一階一階、階ごとにとめていくというのは不可能に近いんじゃないかということが想像できます。
さらに、もう一個は、ポンプが地下に、この都庁にもありますが、ポンプをとめるという手段もあります。しかし、ポンプも地下室にあって、それも手動でとめなくてはいけません。これは法律によって決められております。
ですので、このような状況を考えると、被害想定を出して、今回その想定のもと、それに対するあらゆる備えをするというのが東京都の考えでもあり、この委員会の趣旨でもありますので、このような被害が及ぶおそれがあるというならば、ぜひその想定を見直して、見直すというよりもその想定がありませんので、ぜひその想定をしていただいて、ただ指導するだけではなくて、絵にかいたもちにならないようにしていただきたいと思っております。
というのも、さらにこの話を進めますと、先ほどいいました、今のスプリンクラーというのは湿式スプリンクラーというシステムであります。このシステムは、先ほどから誤作動という話をしていましたが、火災と事故の区別がつきません。事故であっても消火ポンプを作動させてしまうわけであります。さらにいいますと、先ほどいいました、遠隔操作で消火ポンプをとめることはできません。必ず手動でありますので、人の手が必要であります。また、非常用電源にすべて接続されているので、燃料がなくなるまで、何十トンにも及ぶような水を放出し続けます。
このような現状があって、じゃ、対策はないのかというと、これらの対策に有効として考えられているものに、予作動のスプリンクラーというものがあります。これは火災報知器に連動しておりまして、火災報知機が反応したら、それに伴って水が出るということであります。これは、揺れやヘッドの損傷などによってでは誤作動は起きません。
予作動のこのスプリンクラーの普及については、消防庁はどのようなお考えでしょうか、お聞きします。
○北村消防総監 予作動式スプリンクラー設備は、ヘッドまでの配管に空気や圧力のない水が満たされているため、ヘッドまで水で満たされている湿式スプリンクラー設備と比べて、火災時において放水がおくれることが考えられます。
こうしたことから、当庁では、設置場所の用途や人命危険等を総合的に考慮して、個々の状況に応じて、建物の一部に設置を認めております。
○田中委員 つまり、放水がおくれるから一部にしか認められていないという答弁でありましたが、しかし、さらにこれも調べてみますと、この湿式の予作動というスプリンクラーというのは、開発されて十二年、十数年たっているんですが、さらに、負圧スプリンクラーという新しいスプリンクラーが開発されているようでありますが、これは六年、事故もなく実績を積み重ねております。さらに、この負圧式の真空スプリンクラーというものに関しては、その技術が高く評価されて、昨年度、科学技術分野の文部科学大臣賞を受賞しており、技術的にも認められた確かなものであります。
しかし、ことしの三月二十一日から、湿式スプリンクラーとこの予作動のスプリンクラーの設置基準が異なるように変更がなされて、予作動式スプリンクラーを設置しようとすると、水槽とポンプの容量を一・五倍にしなくてはならず、この設置者としては膨大なコストがかかってしまうということもいわれております。さらに、先ほど一部という話もありましたが、ホテルや病院、事務所の用途には設置しないように、消防庁からの指導もされていると聞きます。
私は、こういうのを聞きますと、普及を阻害しているんじゃないかと思えてしまうのですが、どうしてこのような基準を設けているのか、お聞きします。
○北村消防総監 湿式スプリンクラー設備と湿式予作動式スプリンクラー設備の消火水槽の容量に関する設置基準は消防法施行規則に定められておりまして、当庁では、関係規則に基づき設置指導を行っております。
○田中委員 消防法の設置規則に定められているということでありまして、つまり、国の法令によって定められているということであるのですが、今回、私たちも視察で行きました神戸の方にも聞きましたら、神戸市では、これは一・五倍ではなくて一・〇倍でもいいということで、全国統一かと思いましたが、そうではないということもありました。
このように、今さまざまな質疑をしたんですけど、今回、このような質疑をしようと思ったのは、神戸の視察をした際にも話がありまして、阪神・淡路の大震災においては、まず地震発生と同時に起きた火事、また、その後、数時間してから発生した火災等があったということであり、これは早坂委員からも先ほどご指摘があったと思うんですけど、この首都直下型地震、あらゆる面から対策を考えるのであれば、消火対策としては、私も素人ではありますが、消火水槽を空にしてしまうような可能性があるような今までのスプリンクラーから消火水槽を守ることができたり、また、その対策ができる、このような予作動のスプリンクラーがあるというのであれば、この普及を図っていくのも当然かと思って質問をした次第であります。
調べれば調べるほど、全国で地震によるスプリンクラーの損傷の被害が報告をされておるのは事実であります。何とかしなくちゃならないと思って質問したことを、ここで申し添えさせてもらいます。
もちろん国の動向は大切でありまして、消防法に基づいて全国一律に、その設置基準やスプリンクラー以外の消防装置も決められているのは確かでありますが、特にこの東京においては、高層ビル、またスプリンクラーの設置は日本で一番多いということでありますから、その現実をしっかりと見て、国がそうであるならば、都から物を申してもいいと思いますし、また、それに対してもっといいものがあれば、それを推奨してもいいと思いますし、そのようにして、少しでもビル火災、また東京都における火災の減災に努めていただきたいと思っております。
次に、津波対策について伺いたいと思います。
今回の被害想定において、初めて津波による被害想定が実施をされました。東京湾沿岸の津波の高さは、満潮時で最大、品川の二・六一メートルであります。このような津波に対して、防潮堤の高さは十分であるため、津波浸水による死者などの大きな被害は生じないという報告がなされました。
しかし、防潮堤の内側であっても、その沿岸部の人たちは、津波に対する意識は、いまだその恐怖からは逃れられておりません。大変意識が高いわけであります。
今回は、過去の記録で都内に最も大きな津波をもたらしたとされる元禄関東地震をモデルとして検証したということでありますが、それ以上のものが来ないということを結論づけたわけではありません。
やみくもに大きな津波高を設定しても意味はありませんし、不安をあおってもいけないとは思いますが、一方で、津波対策は、想定に基づいて、あらかじめ対策をしっかりと決めておけば、かなりの部分は防げるというのもいわれております。
想定値に縛られることなく、それを超える津波が来た場合にも対応可能な避難計画をあらかじめ作成することが必要だと思いますが、都の見解を伺います。
○笠井総務局長 四月に都が公表いたしました被害想定は、専門家を交え、最新の知見を盛り込んだ地震モデルを設定し、可能な限り実際に起こり得る最大の被害像の把握に努めたところでございます。
この想定を超える津波の発生は起こりにくいと考えられますが、東日本大震災の教訓を踏まえ、想定外にも対応し、万が一の事態に備えた津波対策は必要でございます。
このため、東京湾沿岸部における水門や防潮堤の整備などのハード対策に加え、万が一の状況を想定し、避難方法などのソフト対策をあわせて講じておく必要がございます。
各区における避難計画の策定に当たりましては、都といたしましても、広域行政の立場から、対策の検討に必要なデータの提供など、さまざまな形で積極的に協力し、津波対策を推進してまいります。
○田中委員 沿岸部の品川、私も大田でありますが、大田も含めて、今、その避難計画を立てているところでありますので、ぜひ都としても全体像を示して、また各区に差異がないように調整、協力をしていただきたいと思います。
ただいま防潮堤の内側における避難対策について伺いましたが、実は都内には、防潮堤の外側であっても、さまざまな建物があり、その中には人が住み生活をしている場もあります。私の大田区においても、防潮堤の外側に、高齢者が入居する特別養護老人ホームの機能を持つ施設が建っております。このような施設、建物に関しては、防潮堤の外側であるため、二メートルの津波が来れば浸水する可能性はあると思っております。建物そのものは、防潮堤の外側に建設する際に、土台を上げたり、かさ上げをしたり、何らかの対策はとっているかと思うのですが、そうはいっても、日中は高齢者が外を車いすで歩いたり、また、子どもさんにしても、外に出ているという可能性も考えられます。
先ほど伺ったとおり、基本的な避難計画というのは各区が取りまとめるとしても、私たち都としては、建築確認を行うなどの際に、区市町村と連携をして地域への配慮をすることが必要かと思います。
また、防潮堤外にはどのような施設、建物があって、どのような対策がとられているのかという把握は、全体としては、都としてはしていないということではありましたが、都独自に調査するだけでなく、今、各区が、先ほど申しましたように津波対策をしているところであります。それを都が取りまとめて、さらに、それにその施設の情報をまとめて、そして、都全体でも把握に取り組んでいただきたいことを要望します。
また、津波は直接的な被害は出ないとはいえ、河川敷、ふ頭、埋立地、羽田空港と、東京湾に面しているところは浸水する可能性が高いわけであります。今回の被害想定でも、河川敷等で一部の浸水のおそれがあると、想定結果の特徴にも明記をされております。
一方で、それらの地域は、きょうの委員会の質問でも多々出ておりました避難場所に指定されているのが現実であります。
多くの人は、今回の震災で、海側には逃げたくないという心理が働いておるかと思っております。同時に、その避難場所は適切なのか、もしくは安全なのかといった疑問があることも確かであると思います。
そもそも、この避難場所の設置基準はどのように定められており、今回の被害想定の見直しを受けて、どのように変更されるところがあるのか、その見解を伺います。
○飯尾都市整備局長 都は、区部におきまして、震災時に拡大する火災から住民を保護するため、輻射熱に対し安全を確保できる一定の広さがある公園や住宅団地などを避難場所として指定しております。
避難場所は、市街地の状況の変化及び人口の増減などを考慮いたしまして、おおむね五年ごとに指定の見直しを行っており、津波被害の影響については、現在進めている指定見直しの中で検討してまいります。
○田中委員 これまでは、まずは火災から身を守ることが第一であったと思いますし、今でもその趣旨というのは、この防災に準じて変わらない、避難場所については変わらないと思っています。しかし、津波浸水を考えると、それだけでいいのかという意識が出るのも当然であると思っております。
現実は、そうでなくても、避難場所の確保というのは困難な状況であり、これだけ狭量の東京で、本当に安全な避難場所を確保するというのは至難のわざかと思っております。
しかしながら、こういった都民の不安の払拭のためには、あらゆる想定をして避難場所の指定、さらには、火災が発生しても避難しなくてもよい、先ほど中谷委員からもありました、いわゆる残留地区というのを少しでもふやしていく等の迅速な対応が望まれると思っております。
今の答弁で五年ごとの見直しということでありまして、特にこの五年後が、ことしに当たるようであります。これまでの改定の中では、五年とはいっていても、六年ないしは七年近くかかることもあったということでありまして、すぐさま、ことしじゅうに出るかというのはわからないということもお聞きしましたが、ぜひ地元の区市町村とも連携をして、今回の被害想定が反映された避難場所というものが一日でも早く設置されることを要望して、次の質問に移ります。
最後に、液状化対策について伺います。
この東日本大震災において液状化の被害が発生したことの多くは、人々の記憶に今でも強く残っていることかと思います。東京は、もともと埋め立てを積み重ねて広がってきた歴史的な経緯もあり、埋立地に住む都民の方も多いわけであります。
今回、特に葛飾や江戸川、大田、足立といった、この地域に被害想定が集中していることからも、私も地元大田区の皆さんから、液状化は大丈夫なのかといったさまざまな心配や、また相談を聞くところであります。
都は、今回の被害想定の中で液状化について取り上げておりますが、この実情を可能な限り明らかにしていくことは非常に重要であります。
そこで、今回の被害想定において、都は、液状化の被害をどのように想定したのかをまず伺います。
○笠井総務局長 今回の被害想定では、液状化危険度の分布や、区市町村別の液状化による建物被害を公表いたしました。被害想定の対象とした四つの地震における液状化の危険度を分布図として示すとともに、液状化のしやすさをあらわす指標や東日本大震災での液状化による被害率などを用いて、建物被害を算定したものであります。
被害想定の概要といたしましては、都内全体での揺れ等による全壊棟数のうち、液状化による全壊棟数は約一%となっております。
○田中委員 液状化によるとする全壊棟数は一%、これだけを聞くと、どのぐらいかというのが想像が難しいかと思うんですが、今回の数をかなり詳細に明記されておりますので、揺れ等によると、十二万棟、全棟崩壊があるんじゃないかと。その一%というと千二百でありますから、かなり大きな被害が出ることが想定をされております。
今回は想定ということでありましたが、この結果が示され、今後はその対策として、現在、都市整備局では、建物液状化検討委員会の中で中間のまとめが発表されて、現在パブリックコメント中でもありますし、また、最終的には液状化の予想図ですか、これは建設局かと思うんですが、これをまとめている最中と聞いております。この対策にしても、一日も早い適切な対応を求めて、次の質問に移りたいと思います。
震災直後においては、倒壊、液状化によって内陸部の交通が滞ることが予想されております。その上で、水上における物資輸送や疾病者の搬送ルートの確保が必要になると考えられております。
例えば船着き場に関しては、これも地元でありますが、大田区では、羽田空港の天空橋に防災の船着き場、これは震災時に船が利用できるようなということで船着き場が完成し、他区でも、この船着き場の整備が進んでいるということを聞いております。
同時に、遊漁船組合、つまり屋形船の組合の人たちとも連携をして、非常時には災害協定も結ばれるなどして、取り組みが徐々に徐々に進んでいるところであります。
しかし、これらが実際に有効に使われるためには、震災時の水上ルートを確保する上から、航路のしゅんせつ、また、不法の係留等、これはずっと、震災だけでなくても課題は続いてきたかと思いますが、不法の係留等の除去などの、日常、ふだんからの河川管理が重要であることはいうまでもありません。
現状での河川管理、また、今後の震災を踏まえた上での都の対応を伺いたいと思います。
○村尾東京都技監 安全で秩序ある河川利用を実現するためには、川の流れを阻害し、船舶航行の支障となっている船の不法係留対策が重要でございます。都では、東京都船舶の係留保管の適正化条例に基づき、規制を強化する一方、不法係留船の受け入れ先として暫定係留施設を整備し、適正化に取り組んでおります。
また、河川のしゅんせつは、水質浄化を図るとともに、河道を確保し、治水対策及び就航の安全を確保するため、計画的に行っております。
引き続き、震災時においても水上の航路が確保されるよう、適正な河川管理に努めてまいります。
○田中委員 ぜひともお願いをしたいと思います。せっかくハードの部分を各市区町村が整備したとしても、ふだんの管理がしっかりできていないと、本当にいつ起きるかわからないわけですから、きょう、今起きたときも、不法の船があったり、また、しゅんせつが滞っておると、船が通れないような現状が起きてはならないと思っております。
以上を踏まえて、質問を終わらせたいと思います。ありがとうございました。
○大津委員長 田中健委員の発言は終わりました。
次に、橘正剛副委員長の発言を許します。
○橘委員 私の方からは、ライフラインの被害想定と今後の対策について、それから学校の耐震化について質問をしていきたいと思います。
まず、今回の被害想定でありますけれども、これは各局でさまざまな分析がなされていると思います。特にライフラインは、都市の基幹となる重要な施設であって、その被害が都民生活に甚大な影響を及ぼすことはいうまでもございません。
都市のライフライン、そのうち上水道と下水道の被害想定の対策について、まず初めに質問したいと思います。
まず、上水道の被害想定、この報告書によりますと、元禄型関東地震で最大で四五・二%の被害想定という数字を出しておりますけれども、これは、私、被害想定としては大きいのか小さいのか、これはちょっと微妙な数字だなというふうに思いました。
局としては、本当に積極的に取り組んでこられた結果の数字でもあるし、それにしてはちょっと被害が大きいなという、そういう見方もできるかと思いますけれども、まず初めに、水道局では、今回の被害想定の結果をどのように評価しているのか、その認識を伺います。
○増子水道局長 今回の被害想定において、水道に最大の被害を及ぼす地震は元禄型関東地震であり、断水率は約四五%となっております。これは、地震動の増大に伴い震度六強以上の地域が広範囲になったことや、液状化危険度の予測手法等の見直しにより、液状化発生面積が増大したことが要因ととらえております。
また、東京湾北部地震において、平成十八年の前回の被害想定と比較すると、前回の断水率は三四・八%であったのに対し、今回は、地震動や液状化面積の増大にもかかわらず三四・五%にとどまっております。これは、この間、管路の耐震継ぎ手化を局の最重要課題として積極的に推進してきた成果と考えております。
○橘委員 続きまして、下水道局に質問いたしますけれども、都が公表したライフラインの被害想定では、東京湾北部地震が発生した場合、区部の下水道管のうち約二割強が被害を受けると想定しております。
下水道局で既に下水道管の耐震化を進めておりますけれども、この区部における被害想定について、今回の報告書にも記載が若干ございますけれども、この認識について伺います。
○松田下水道局長 このたびの被害想定での下水道管の被害率でございますが、過去の大規模地震の被害実態に基づきまして、被災した最大の被害率をもとに下水道管の被害延長を算出したものでございます。
実際の被害は、阪神・淡路大震災や新潟中越地震などの被災状況から、下水道管とマンホールの接続部の破損や液状化の危険性の高い地域にあるマンホールの浮上など、特定の箇所で発生しやすいことがわかってきております。
こうした知見をもとに、避難所などからの排水を受け入れる下水道管とマンホールの接続部の耐震化や液状化の危険性の高い地域におけるマンホール浮上抑制対策に優先的に取り組んできております。
このような対策によりまして、大きな地震が発生し、下水道管の一部が損傷するなどの被害が生じても、下水を流すための基本的機能は確保できるものと考えております。
さらに、こうしたハード整備に加えまして、避難所などに設置される仮設トイレのし尿を当局の施設で受け入れる対策や、BCPの策定、民間事業者との協働などによる大規模地震の発生時にも迅速に対応できる応急復旧体制を構築しております。
○橘委員 今、水道局と下水道局について、想定される被害と分析等、それから今後の対策も若干触れていただきました。今の答弁でおわかりのように、かなり両局とも詳細な分析をされて、被害がどのくらいになりそうなのか、それに対して対策を現在どういう対策を講じている、したがって、こういう数字になっている、そういった分析をなされていることがよくわかるかと思います。
前回の被害想定によりますと、ライフライン、上水道、下水道、それから電気、ガス、電話等ありますけれども、復旧に要する日数も示されておりました。ところが、今、水道局、下水道局にお聞きしましたけれども、この二局とも詳細に分析しているにもかかわらず、今回は復旧日数が示されておりません。
これについて、総務局としては、この被害日数を示されていない理由についてどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
○笠井総務局長 今回は、東日本大震災を踏まえまして、各インフラ事業者において復旧方針が検討中であるということから、ご指摘の復旧日数については示しておりません。
○橘委員 その理由については、今わかりました。
ライフライン対策というのは、先ほども申し上げましたけれども、文字どおり都民の生活に欠かすことができない重要な問題であります。このライフラインの事業者、また該当の事業においては、それぞれがしっかりとこれからの対策を--今の被害想定も出ました、被害想定の、こういうところが被害が出そうだということも出ました。それに対して、しっかりとこれから手を打っていくわけですけれども、その中で、例えば、上水道は急ピッチで進む、下水道は少しおくれぎみだとか--仮の話です。それから電気、ガス、電話等もそれぞれの分野で整備を進めるわけですけれども、これが、若干誤差が出てくる。こっちはすごく進んでいる、こっちはおくれぎみであると。それは予算の関係もあるでしょう。という事態が生じることも、可能性としてはあります。
それから、このライフラインというのは、今申し上げた分野、ほとんどが地下埋設物なんです。そうしますと、上水道で掘って埋めて、それから下水道がその後に来るという、共同溝でない限り、そういった掘り返しが続く可能性もあります。
都民にとっては、ライフラインは、ほぼ並行的に全部復旧する、早目に復旧する、これを願っているわけですけれども、いろんな差が出てくる、また、まちの中が掘り返しが繰り返される、こういったことが、やはり納得できないと思います。
したがって、提案でございますけれども、また見解もいただきたいんですが、ライフラインについては、どういう分野をどう調整しながら、進捗状況も調整しながら、また、対策もそれぞれ情報交換しながら、工事も情報交換をしながら、都民になるべく負担がかからない、迷惑がかからない、そういう中で整備を進めていくという配慮といいますか、これからの対策はこの辺が重要であると思います。
私が聞いている限り、現在の東京都の組織の中で、このインフラ整備というものを全体的に把握している部署はちょっとないかなというふうに私は認識しております。したがって、ライフラインを整備するに当たっては、その整備がうまく機能するように、調整しながら進むように、一つの調整部門といいますか、そのライフラインを推進する部門といいますか、そういったものがあればいいなと思いますが、その見解についてお聞きします。
○笠井総務局長 上下水道や電気、ガス、通信といったライフラインは、都内に広く張りめぐらされておりまして、都民生活や都市の活動を支える上で不可欠な役割を担っております。
こうした重要な都市基盤に関する都民の不安を払拭するためにも、ライフラインの防災対策を着実に講じるとともに、その内容をわかりやすく示す必要がございます。
このため、地域防災計画の修正に当たりましては、各ライフライン事業者も含めて構成する検討部会を設け、耐震性の強化や早期の復旧など、対策全般を検討しております。
また、対策の全体像につきましては、予防段階から応急復旧に至るまでの災害のフェーズに応じまして体系的に整理し、都民にわかりやすく示してまいります。
こうした取り組みにより、ライフラインの防災性の向上を図るとともに、都民の理解を促してまいります。
○橘委員 この検討部会というのは大きな前進であるかと思います。これをうまく機能させて、整合性を図りながら整備を進めていただきたいと思います。
次に、水道局にお聞きしますけれども、水道局では、災害時の指揮命令系統に影響が出ないような施設といいますか、そういった機能を有するところを重要施設というふうに位置づけておりまして、この被害想定の報告書によりますと、災害拠点病院等の重要施設の耐震化という表現になっております。
この「等」というところに何が入るか。災害拠点病院はよくわかります。その「等」の中には何が入っているかといいますと、首都中枢機能の施設、例えば、国会であるとか、首相官邸であるとか、各省庁であるとか、駐日在外公館であるとか、経済の中枢機関、それから公共事業業者、つまりNTTであるとか、東京電力とか、NHKとか、そういったところが、この中枢機能として対象施設となっております。そのほかに、災害拠点病院のほかにも、二次、それから三次救急医療機関も重要施設として位置づけられております。そのほかに、区市町村の役所であるとか、役場であるとか、そういったものも重要施設に入っているわけです。
ところが、私が感じるのは、なぜここに避難所となる小中学校が入っていないのか。小中学校、避難所となるからには、大勢の人がここに避難します。日常であれば、児童生徒が暮らしているわけです。そういったところを重要施設になぜ位置づけていないのか、これについてちょっと疑問に思っております。これは位置づけるべきであると私は考えております。これに対する見解が一つ。
それからもう一つ、水に関することで重ねて質問しますけれども、消火栓、都内には現在十三万カ所の消火栓があるといわれておりますけれども、この消火栓についても重要施設として位置づけられていないんですね。先ほどの質疑でもありましたけれども、スタンドパイプを使うにしても、これは消火栓が必要なわけです。これが生きていることが前提条件なわけです。したがって、この消火栓の位置づけについても、大変重要な位置づけであるというふうに私はすべきであると思います。
例えば災害拠点病院が使う水、貯水槽を最初にまず使います。それから、保管しているペットボトル等の保管水、これも活用します。それも足りなくなったら、やはり消火栓の水を当てにしているんですね。
ということは、ただ単に消火活動だけではなくて、いろんな分野でこの消火栓の活用の方法というのはあるわけです。
したがって、小中学校、それから消火栓、重要施設に私は位置づけるべきだと考えますが、この二点についてお願いします。
○増子水道局長 水道局では、水道施設の被害を最小限にとどめ、都民への給水を可能な限り確保するために、約四十年前から震災対策を強力に推進してまいりました。その中で、震災時にも首都機能を支え、都民生活を守る観点から、首都中枢機関や医療機関等への供給ルートの重点的な耐震化に取り組んできております。
一方、さきの震災では、被災地の避難所においても、断水により飲料水やトイレ用水等が不足し、避難生活に大きな支障が生じました。こうした状況や首都直下地震等の切迫性を踏まえ、小中学校などの避難所についても、首都中枢機関等と同様、その供給ルートの耐震化を優先的に進めてまいります。
これらの取り組みは、現在、積極的に進めている水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業に明確に位置づけ、計画的に実施してまいります。
また、消火栓につきましては、都内に十三万カ所あり、管路の一部として一体的に設置されていることから、管路の耐震継ぎ手化により、さらなる耐震化を図ってまいります。
○橘委員 消火栓に関連して伺いますけれども、東京消防庁にお聞きします。
震災時に消防活動を行う上で、消火栓を初めとする消防水利の活用について、特に消火栓の活用については、東京消防庁としてはどのような位置づけをなさっているのかお聞きします。
○北村消防総監 東京消防庁では、震災時における同時多発火災や大規模街区火災に対応するため、水利整備基準を踏まえ、地域危険度に応じ、耐震性防火水槽や河川、池等の自然水利の確保を図っております。
特に震災時には、当庁の全勢力を挙げた消防活動を全面的に展開する必要があることから、これらの水利のほか、使用可能な消火栓等についても、消防水利として積極的に活用してまいります。
○橘委員 今、消防総監からお話があったように、消火栓の活用というのは、最後の頼み綱でもある、そういう重要な施設であると思います。この点につきまして、消火栓の位置づけにつきましては、これは水道局さんと東京消防庁さん、もう少し調整をしていただきまして、位置づけを明確にしていただければと思いますので、これは要望しておきます。
それから、下水道局にお尋ねいたします。
先日、当委員会として、阪神・淡路大震災の被災地であります神戸市を視察、調査してまいりました。そのとき、下水道関係では、阪神・淡路大震災のときに東灘処理場が被害を受けて、これによって百日間も下水の処理機能が停止したというお話を伺いました。
この東灘処理場が、神戸市内の他の処理場と汚水管で結ばれていれば、百日間も機能停止するということはなかったわけですね。ほかの地域も全部生きたわけです。それで、それの反省を踏まえて、神戸市では、四カ所ある汚水処理場をネットワーク化して、一カ所が被災して機能しなくなっても、ネットワークを結んでいることによって被害を、汚水が機能麻痺する地域をなくすという取り組みをして、たしか五月には完成したという話も聞いております。
東京都では同じような方式で--多摩地域においては、水再生センター、多摩川を挟んで、ほぼ両わきに配置しているわけです。これをお互いに連結管で結んで、片方が機能しなくなっても片方が機能することによって全体を機能させるという、そういう方式を、今、多摩地域においては行っている。
さて、問題は、区部でどういうふうになっているか。区部の連結について、今どのような取り組みをなさっているのか、まずお聞きしたいと思います。
○松田下水道局長 区部の下水道は、二十三区を十の処理区に区分いたしまして、それぞれの処理区にある水再生センターで下水を処理しております。
現在の区部のネットワークといたしましては、下水の処理過程で発生をする下水汚泥について、水再生センター間を結ぶ管、これを送泥管と呼んでおりますが、この送泥管で送りまして、五カ所に集約化をすることで効率的に処理しております。さらに、その送泥管を複数本整備するなど、安全性の向上に努めてきているところでございます。
また、ただいまご指摘いただきましたように、多摩の流域下水道におきましては、多摩川を挟んで対面に位置する水再生センター間で汚泥や汚水を相互に送る管を通すトンネルとして連絡管を整備しております。この活用によりまして、昨年の計画停電の際にも、処理に支障を来すことは一切ございませんでした。
区部におきましては、水再生センター間のバックアップ機能のより一層の強化に向けまして、これまでの汚泥に加えて、汚水なども送る機能を確保するため、首都機能が集積をしております地区の排水を受ける芝浦水再生センターと処理区域の面積が最も大きい森ヶ崎水再生センター間について連絡管を整備いたします。
この連絡管の活用によりまして、災害時においても下水道機能を確実に維持するとともに、水再生センターなどの再構築を効率的に行ってまいります。
○橘委員 今、下水道局の考え方は、利用できる管は最大限利用して、それを生かしながらネットワークを組んでいく、そして、一カ所が被災しても全体が機能するようにする、そういった計画かと思います。こういった、すごく効率的なやり方というのは非常に大事だと思います。これを全部、ネットワーク化するからといって新しい管を配しますと、もう膨大な予算と日数がかかるわけですから、この辺も工夫しながら強力に推進していただきたいと思います。これは要望しておきます。
それから、最後のテーマでありますが、教育庁に、時間の関係で、二問あわせて質問をいたします。
まず学校の耐震化、これについては、構造部分、柱であるとか、はりであるとか、床であるとか、こういった部分は耐震化がかなり進んでおりまして、既に都立学校については一〇〇%が耐震化され、そしてまた公立小中学校についても、取り組みが確認されたものを含めますと九四・一%まで耐震化が終わっているという状況までたどり着くことができました。
ところが、東日本大震災の被害状況、その巨大地震を経験して新たな問題として浮上しているのが、その構造部分のほか、非構造部材というらしいのですけれども、この非構造部材、それはどういうものかといいますと、例えば、政府の出している天井材であるとか内装材、それから照明器具、窓ガラス、書棚等、これが一応の基準として非構造部材と位置づけられているようであります。
その非構造部材でありますけれども、都内の公立小中学校での非構造部材の耐震化の現状についての説明を求めたいと思います。これが一つです。
それから、もう一つにつきましては、まず、何をどこまで実施すればいいのかという、これが、国の基準ではまだ明らかになっていないんですね。なっていないがために、どこをどう直せばいいのか、それが現場でもわからない、学校でもわからないんです。とにかく確認をしてくれ、チェックをしてくれということで国から要請が来ておりますので、学校では、それぞれの学校でどうやっているかというと、そういった一応非構造部材といわれる部分を直接見たり、さわったりして確認しているらしいんです。これは、はっきり私も確認したわけではありません。
ところが、東京都の場合は、都立学校については専門家の業者、これは、ことしの一定の一般質問で我が党の伊藤興一議員が提案いたしまして、これはやるべきじゃないかと、専門家を入れてチェックすべきじゃないかというふうにいいましたけれども、これを踏まえて、東京都の教育庁は早速手を打ってくれたわけですけれども、その専門家による確認、チェック体制が、果たして小中学校でなされているのかどうか、これがちょっと私は疑問に思います。
その辺も含めまして、どこまで専門家を入れればいいのか、入れなきゃならないのか、都の見解、要するに、東京都としては、公立の小中学校、それは所管が違うからというふうに思うかもしれませんけれども、これは避難場所にもなっておりますし、そして児童生徒が暮らす場所でもありますので、これは東京都も、ある程度の認識を持って強力に推進すべきと私は考えますけれども、この非構造部材の耐震化について、今の現状と今後どう取り組まれるのか、この二点についてお聞きしたいと思います。
○大原教育長 まず、都内の公立学校の非構造部材の耐震化の現状についてでございますけれども、国は、非構造部材に係る耐震対策の一環といたしまして、その耐震点検方法について、平成二十二年三月にガイドブックを公表いたしまして、学校の教職員や設置者が目視や図面等で点検できる点検事項を示したところでございます。
このガイドブックに従った耐震化に係る点検及び対策の実施状況を、国は、昨年度、五月の時点で調査をしておりますが、これによりますと、都内公立小中学校では、点検実施率が六四・七%、対策の実施率が四一・一%となっております。
同じく都立学校では、点検実施率は一〇〇%でございまして、対策実施率は、その時点では、高等学校五五・〇%、特別支援学校では七六・七%でございましたが、その後、対策を実施いたしまして、両校種とも対策実施率は一〇〇%となっております。
次に、都内の公立学校の非構造部材の耐震化対策についてでございますけれども、非構造部材の耐震化を確実に進めていくためには、先ほど副委員長のご指摘がございましたように、具体的に耐震化を行うべき非構造部材及びそれに応じた安全性を明確にすることが重要でございまして、都教育委員会は、国に対しまして非構造部材の耐震化に係る具体的な対象及び指標を示すよう要望してまいります。
また、都教育委員会は、区市町村教育委員会に対しまして、小中学校の非構造部材の耐震化の状況を把握するための調査を行っております。この機会をとらえまして、各学校での点検が専門家を交えたものとなるよう、適切な助言を行ってまいります。
さらに、今後、都立学校における取り組みの紹介や講演会を行う等、さまざまな機会を設けまして、非構造部材の耐震化対策に関する啓発や情報提供を行い、区市町村教育委員会の取り組みを都教委として積極的に後押ししてまいります。
○大津委員長 橘正剛副委員長の発言は終わりました。
吉田信夫委員の発言を許します。
○吉田委員 私は、発表された被害想定について質問をさせていただきます。
東日本大震災から学ぶべき最大の教訓は、自然災害を過小評価せず、最大最悪の事態を想定し、その被害を軽減するための総合的な減災、予防対策をとることだと思います。この点で、今回の被害想定が真に、東日本大震災はもとより、関東大震災、阪神・淡路大震災などの教訓に立って最大の想定となっているのかどうかを中心に伺います。
まず、想定の策定手法について伺います。
今回の想定が、真に都の総力を結集して進められてきたのかという問題です。
例えば消防庁は、東京都震災対策条例第二条に基づき、おおむね五年ごとに、震災対策の基礎資料として市街地状況調査を実施し、それに基づいて、東京都の地震時における地域別出火危険度、さらに地域別延焼危険度を発表しております。
先日、ある専門家から、東京消防庁の調査、分析レベルは非常に高いということも聞かせていただきました。しかし、消防庁にお伺いいたしましたら、平成九年、一九九七年の被害想定では、消防庁はワーキンググループに参加をし、この想定作業にも参画してきた、しかし、今回はそういう参画は行わなかったと。他の局も基本的に同様だというふうに聞いております。そして、どのようなことが今回行われたかということを聞きましたら、随意契約で、民間の野村総研に事実上策定全体の作業を委託したということをお伺いいたしました。
なぜ今回は、そうした民間の調査機関にほぼ全面的な委託を行ったのか、その理由、そして委託をした事項及び委託費用について、まず総務局長、ご答弁をお願いいたします。
○笠井総務局長 専門的な知識や経験を必要とする業務に関しましては、ノウハウを有する民間業者等に委託することにより事務の効率化を図ることは、これは合理的であろうと思っております。
今回の被害想定におきましても、こうした観点から、当該業務に関してノウハウを有する業者に対し委託を行ったところでございます。
業務の内容は、東日本大震災を踏まえた都の震災対策に関する調査、分析であり、契約金額は一億八千万円でございます。
○吉田委員 震災対策に関する調査、分析というふうに大くくりにいわれましたけれども、私が承知をしているのは、被害想定の調査、そして被害想定の策定ということですから、基本的には全作業が委託されているというふうに受けとめざるを得ません。
しかも、野村総研が使った基礎データの多くは、報告書に書いてありますけれども、消防庁や都市整備局のデータであります。さらに、前々回、ワーキンググループで策定した平成九年の被害想定のデータなどが使われております。専門的な知識や経験といいますけれども、火災や防災に関して、消防庁の方が、私は、はるかに専門性も経験も継続性も高いものだというふうにいわざるを得ません。
改めてお聞きしますけれども、平成九年、一九九七年の被害想定では、都庁の総力を結集する体制がとられたというふうに認識しています。このときは、どのような組織体制で想定の策定を行ってきたのか、ご答弁をお願いいたします。
○笠井総務局長 平成九年の被害想定におきましては、国において示された南関東地域直下の地震対策に関する大綱を受け、東京都防災会議の地震部会で検討するとともに、東京消防庁など関係部局なども含めて構成した調査委員会を設置して検討いたしました。
なお、今回の被害想定におきましても、同じく地震部会のもとに、関係部局等を含めた作業部会を設け、必要なデータの提供を受けるとともに、各構成員と意見交換や情報交換を行うなど、必要な連携を図っております。
○吉田委員 私が聞いている話では、作業部会を設けたといわれますけれども、一回開かれたということを聞いております。しかも、今のご説明は、割と抽象的なご説明ですが、ここに平成九年の被害想定の調査報告書を持ってまいりましたが(資料を示す)、この末尾に、どのような体制で、何回会議を開いて被害想定を取りまとめたかということが簡潔に紹介をされています。今回の状況とは全く違うといわざるを得ません。
例えば、地震部会専門委員会は八回開かれ、そのもとで調査委員会は十回開かれ、さらに、調査委員会のもとで五つのワーキンググループがつくられております。例えば、どのようなワーキンググループかといえば、地震動・液状化ワーキンググループ四回、建築物・火災ワーキンググループ十一回、供給処理・交通ワーキンググループ十一回、人的・社会的ワーキンググループ十一回、総合化ワーキンググループ六回、そして、このようなワーキンググループに、学者、消防庁、都市計画局、当時ですね、それに総務局等々の現場の職員たちが参画して、かんかんがくがく議論を重ねて、この被害想定の策定が進められてきたというのが前々回の現実です。
今回、なぜ特定の企業に、それも、聞いたところでは特命の随意契約だということを聞いておりますけれども、事実上、丸投げといってもいいような委託方式をとったのか。
私は、事業の効率化ということをいいましたけれども、本当に適切な被害想定をつくるという点では、前々回のような都庁の総力を挙げた体制で取り組むべきであり、そのことによって高い水準の被害想定が策定できるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○笠井総務局長 今回は、東日本大震災を踏まえ、防災対策を早急に再構築するため、国に先行して、地震動などのモデルを検証するとともに、震災を踏まえた想定項目の追加や手法の見直しなどを短期間に行う必要があり、効率的な業務遂行が不可欠でございました。
このため、専門的な知識や経験を有する業者等に委託することにより、可能な限り迅速に想定の見直しを行ったところでございます。
なお、被害想定の策定に当たり、関係部局との間では、必要なデータの提供を受けるとともに、意見交換や情報提供などの連携は当然行っております。
○吉田委員 私は、何か急いだためだというようなことが強調されましたけれども、急ぐならば、余計に都庁の総力を挙げた策定活動を進めるべきだというふうに思いますし、短期間に、もちろんそれは学者の方の意見を反映してはいるでしょうけれども、民間によってつくられたということが、果たして本当に都民の生命、財産を守るという責任を果たすことができるのかという疑問を感ぜざるを得ません。
次に、その被害想定の内容に関して質疑を進めていきたいと思います。
その被害想定の内容そのものですけれども、今回の都の被害想定は、建前としては、可能な限り実際に起こり得る最大の被害像の把握に努めたというふうに冒頭に記載されています。しかし、実際の想定内容は、最大の被害の想定というふうに果たしていえるだろうかと思います。
例えば、火災被害についてです。火災被害の想定の前提である風速について、これは前々回ではなくて前回ですね、六年前、前回の想定では、ご承知のとおり、さまざまな想定をしましたが、最も強い風速の想定は十五メートル毎秒と想定していたにもかかわらず、今回は最大で八メートル毎秒での想定に大きく変わったことです。
本委員会の資料要求で、私は、十五メートルを想定した場合、どの程度の被害になるのかという資料を要求しましたが、試算していないという理由で出していただけませんでした。
改めて、なぜ、想定の一つとして、前回採用した十五メートルの被害想定を行わなかったのか。やはり、あらゆる可能性を想定することが求められていたと思うのですが、この点いかがでしょうか。
○笠井総務局長 今回の想定では、客観的なデータや科学的根拠に基づき、可能な限り実際に起こり得る最大の被害像の把握に努めました。
平成十八年に策定した火災想定では、国の中央防災会議の想定に基づき、風速十五メートル毎秒で検証しておりますが、このような風速が常時吹いているという条件で想定を行うことは現実的ではないということから、都の気象条件に適合したものとなるよう、過去の気象データに基づいて風速設定を見直しました。
今回、気象データを分析したところ、冬季、冬の一日における十分間平均風速の最大値の平均は約四・七メートル毎秒であり、こうした都内の気象の実態に即しつつ、最悪の事態も考慮した想定を行うため、さらにその二倍に当たる八メートル毎秒という厳しい風速を設定いたしました。
○吉田委員 私は、最大の被害を想定するという立場に立てば、その風速が常時吹いているのかどうかということを基準に設定することは適切ではないというふうに思います。
しかも、私は改めて気象庁のデータを調べましたけれども、例えば、この十年間で見ても、平均すれば下がるかもしれませんが、冬の一日の最高の風速を見たときに、例えば、二〇〇四年の十二月の中で最大風速が高かった日は十七・三メートル、二〇〇六年一月、十三・五メートル、二〇〇七年一月、十三・五メートル、現実に、一日単位で見れば、これだけの強い風速がはかられているわけです。もちろんこれは瞬間風速ではありません。十分間の平均をとって、その中の一番高い値をとっているわけですよね。
しかも、防災対応指針でも、台風や高潮など他の災害が複合的に発生する可能性があり、あらゆる事態を想定した災害への備えを固め直す必要があるということで、前回発表がありました。さらに、十五メートルということを、なぜ前回想定したかといえば、それは関東大震災のときに実際に起きたからではありませんか。
こういう点でいえば、この数年間の中でも、一日単位で見れば、十メートルから十数メートルの風が吹き、かつ関東大震災では十五メートル相当の風が吹いたということに、なぜ目をふさぐのか。これでは、私は想定のあり方として極めて問題ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○笠井総務局長 今回の火災の延焼想定では、建物一棟一棟の不燃化状況等のデータに基づき、延焼が完全におさまるまでシミュレーションしておりますけれども、その間、常時同じ速度で風が吹き続けるという前提を置いております。
平均風速が十五メートル毎秒という状態が数日間継続することは、都の現実の気象条件としては現実的ではなく、過去の気象データに基づいて風速設定を見直したものでございます。
○吉田委員 私は、数日間継続するということはあり得ないかもしれませんけれども、現実的に、過去そうしたことが起き、そして、それに基づいて、前回、さまざまな想定の中の一つとして十五メートル毎秒を想定したということからすれば、私はやはり、八メーターを上限とするのではなく、あらゆる可能性を想定すべきだというふうに思います。
しかも、今回発表された被害想定の中でも、定性的な被害シナリオという箇所では、台風もしくはそれに準ずる気象条件において地震が発生し、想定以上の広域延焼被害が発生する場合があるということまで書かれています。
また、中央防災会議防災対策推進検討会議の中間報告がことし三月に出されました。どのように書いてあるのか。東日本大震災から学ぶもののまとめの中で、次のように書かれています。災害を完璧に予想することはできなくても、災害への対応に想定外はあってはならない、楽観的な想定ではなく、悲観的な想定を行うべきだという指摘をしていることも、私は重く受けとめるべきであり、改めて被害想定を全面的にやり直せということは現実的ではないかもしれませんけれども、やはり地域防災計画の見直しに向けて、こうした問題も改めて視野に入れて検討していくことを強く求めたいと思います。
次に、火災の問題に関連して、風速と同時に、全体の火災による焼失棟数と火災による死者の可能性についてです。今回の想定が、本当に適切か否かという問題についてです。
今回の想定では、東京湾北部地震、夕刻十八時、風速八メーターで、焼失棟数約二十万棟、地震火災による死者は約四千人と推定しています。焼失棟数一棟当たりの死者数は約〇・〇二ということになっています。
そこでお伺いしますが、過去の大規模地震における火災被害として、関東大震災、福井地震、そして阪神・淡路大震災における焼失棟数と、火災による死者はどうだったのか、ご答弁をお願いいたします。また、そうした事例は想定に反映しているのかということについてもお答え願います。
○笠井総務局長 国の法律に基づき設立された損害保険料率算出機構が公表しております耐火調査資料によりますと、関東大震災では、焼失棟数が約三十万棟で、火災による死傷者数が約五万二千人とされており、福井地震では、焼失棟数が約二千四百棟で、火災による死者数は明確にされておりません。
また、総務省消防庁の調査によれば、阪神・淡路大震災では、焼失棟数が約七千棟とされ、兵庫県の調査では、火災による死者数は、同県で約四百人とされております。
今回の想定では、死者の算定に当たり、関東大震災など過去の大被害における焼失棟数と死者数のデータとの相関関係を統計学的手法に基づき分析するなど、過去の事例を反映した内容となっております。
○吉田委員 過去の事例を反映した想定だというご答弁がありましたが、私は疑問です。もちろん、先ほども話がありましたけれども、大規模地震火災であったとしても、その時々の条件によって、かなり違いがあります。
今のご答弁にありますように、関東大震災では、計算しますと、焼失棟数一棟当たりの死者数は〇・一七、百棟焼失して十七人の方が亡くなった結果であります。阪神・淡路大震災は、先ほど指摘がありましたけれども、風が文字どおり無風状態ということで、関東大震災とは状況が違います。しかも朝ですから、例えば、市内の大規模商業施設等に人が込み合っていて火災に遭うということもあり得ませんでした。その中でどのような数字になるかというと、一棟当たりの死者数は〇・〇五七ですから、百棟焼失して五人から六人の方が亡くなったという計算になります。
今度の想定ではどうかといいますと、先ほどお話がありましたけれども、約二十万棟が焼失して、火災による死者数は約四千人ということですよね。そうしますと、百棟焼失して亡くなった方が二人という想定になっています。これは数字の世界でありますけれども、風がなかった阪神・淡路大震災から見ても、半分以下ということは、いろんな計算をしたとしても、余りにも乖離があって理解できないのですが、この点、どう検証したのでしょうか。
○笠井総務局長 火災による死者につきましては、過去の火災における被害状況のデータに基づき、地震発生時における火災被害の対応を踏まえ、出火した家屋から逃げおくれて被災する場合や、建物が倒壊して家屋内に閉じ込められて被災する場合、延焼が拡大して火災に巻き込まれて被災する場合の三つの場面を想定し算定を行うなど、より実態に即した想定を策定いたしております。
算定に当たりましては、専門家の指導のもと、関東大震災など過去の大火被害における焼失棟数と死者数のデータの相関関係を、線形回帰分析という統計学的手法に基づき分析するなどしており、妥当なものだと考えております。
○吉田委員 統計学上の手法を駆使したんだといいますが、私は算数の世界しかわかりませんけれども、明らかに理解できないんですよね。これ、私はぜひ検証していただきたいということを要望しておきます。
次に、津波に伴う浸水被害の想定に関して、疑問の点をこの機会に述べさせていただきます。
被害想定では、水門が閉鎖された場合と開放された場合の二種類で想定しているということは、非常に重要なことだというふうに思います。ただ疑問なのは、堤防が破損し決壊をし浸水が広がるということについては、定量的な想定は行っておりません。
しかし、きょうの委員会の資料でも改めて示していただきましたが、例えば河川施設の耐震化状況を見ると、堤防について、大正関東地震の震度に対応していない、耐震化がされていない堤防がいまだに約六十四キロ残されているという状況で、一カ所も破損あるいは液状化によって沈下するということが考えられないということは、あり得ないのではないかというふうに思います。
時間がありませんので、これも聞きたかったんですが、次の点についてお聞きいたします。
さらに、この大正関東地震の震度に、百一キロについては対応していると資料で書かれていますけれども、この大正関東地震の震度対応というのは、地点ごとの震度加速度というのはどの程度のものを想定して対応しているというふうに報告されているのでしょうか。これは建設局長、お願いいたします。
○村尾東京都技監 河川施設の整備に際しては、大正関東地震などを考慮して定められた国の河川砂防技術基準に基づき設計を行っております。基準は、最大加速度をもって行うのではなくて、被災状況等を踏まえ、公共性や経済性を考慮して設定されております。
具体的には、東京の東部低地帯での設計水平震度は、地盤条件を考慮して〇・二四でありまして、これは加速度に換算しますと、おおむね二百四十ガルでございます。
○吉田委員 加速度で二百四十ガルということですけれども、これでは、震度でいえば、私は五強程度ではないのかというふうに思います。実際の関東大震災の最大加速度は三百から四百というふうにいわれており、これでは、資料に記載されているような、大正関東地震の震度というふうにはいえないのではないかというふうにいわざるを得ません。
関連して、もう一度、総務局にお伺いしたいんですけれども、東京湾北部地震、従来と比べてフィリピン海プレートの上面が十キロ浅くなったために、震度七あるいは震度六強の面積が広がったということで発表がありますが、そして地図が示されているんですけれども、これは、ある特定の震源地を想定した場合ですよね。しかも、この震源地というのは、固定的に見ることはできないと思うんです。この震源地が動くことによって、今、図面上で紹介されているような、震度七あるいは震度六強の地域というのは、変動し広がるのではないかと。文科省のときには、そういうことで三パターン発表があったと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
また、そういうものに対応した都市インフラというのが必要なんじゃないですか。
○笠井総務局長 震度分布は、ある震源を想定した上での地震の震度がどのようになるかを示すものであり、震源が動けば、強い震度の地域は当然変化いたします。
文部科学省の首都直下地震防災・減災特別プロジェクトは、震源モデルの検証を主たる目的として、東京湾北部において三パターンの震源地による震度分布を検討しております。
一方で、都の想定は、文部科学省のプロジェクトにおける震源モデルの検証とは異なり、東京に起こり得るさまざまな地震像とそれによる被害を明らかにするため、東京湾北部地震を初めとする四つの地震について、被害が最大となる震源をそれぞれ設定し、検証を行っているものでございます。
それから、震度七を想定した対応がということでございますが、国は首都直下地震対策において、予防対策については、都内全域で想定される最大震度七を含む十八種類の地震すべてに対応することが望ましいとしており、都も同様の考えに立って対策を進めてまいりました。
今回の被害想定を踏まえ、都市インフラにおける耐震性のさらなる向上に努めてまいります。
○吉田委員 対策を進めてきたのかという点では、私は納得できない面がありますが、しかし、震度七ということで対策をとってきたし、とるんだということでしたら、先ほどの建設局の想定では到底対応できないんじゃないかということを改めて指摘しておきます。
時間がなくなりましたから、あとは私は主張だけさせていただきますが、こうした定量的な想定だけではなく、例えば、やはり大都市固有の問題について、被害想定は深めなければならないと思います。残念ながら、この点では、定量的な想定はなく、定性的な問題提起だけにとどまっています。
その一つで、過密都市で、まちを電車が縫うように走っていますが、前回の想定では、電車が脱線した場合の被害ということについては定量的な被害想定を行いました。しかし、今回はなぜか定量的な被害想定は行いませんでした。
これは一例ですけれども、超高層ビルの火災ですとか、先ほどちょっと話がありましたが、堤外地の中に業務ビルや住宅等、さまざまな施設があります。こうしたことについても一体どうなのか、あるいは造成宅地などについてもどうなのかということについても、私は深めていく必要があるのではないかというふうに思います。
最後に、きょう、委員会で資料を出していただきましたけれども、区市町村別の、例えば地震分布、液状化分布、出火分布などは、この発表分には出されておりませんでした。これでは、私は、区市町村が被害想定を行うにしても、極めてできないことだと思います。その後、説明会が行われたといいますけれども、ぜひ区市町村に対して詳細な、どのようにこのような数字的な計算を行ったのか、あるいは町丁目、メッシュごとの詳細な資料を提供して、区市町村によってきちんと被害想定や対策がとれるような努力をしていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問といたします。
○大津委員長 吉田信夫委員の発言は終わりました。
西崎光子委員の発言を許します。
○西崎委員 東京都は、先月、新たな被害想定を公表いたしました。都は、被害想定の公表にあわせて、これまでの防災対策の取り組み状況を示すとともに、自助、共助の取り組みの強化などにより、さらなる減災を進めていくこととしています。
このような甚大な被害に対しては、都が積極的に対策を講じることはもちろんですが、一人でも多くの都民の命を救うためには、自助、共助の取り組みが非常に重要であり、地域住民に最も身近な区市町村の果たす役割は極めて大きいものと考えます。
一方で、それぞれの区市町村が単独で被害想定の結果を分析し、これに基づき対策を講じていくには限界があり、都の支援が不可欠です。
そこで、都は、この想定結果を踏まえて防災対策を検討していく上で、区市町村と十分な連携を図っていくべきと考えますが、所見を伺います。
○笠井総務局長 被害想定の結果を防災対策に生かしていくためには、それぞれの地域特性を踏まえたきめ細やかな取り組みが重要でございます。このため、都は、地域住民に身近な区市町村に対し、今回の想定を十分活用できるよう説明会を開催するとともに、想定の基礎となった地域ごとの情報を可能な限り提供するなど、区市町村と連携して、被害を抑制するための対策について分析、検討を行っていくこととしております。
今後とも、区市町村と十分に連携し、それぞれが抱える課題や取り組みなどを聴取し、地域防災計画の修正に反映していくことにより、実効性のある防災対策を構築してまいります。
○西崎委員 次に、今後の防災対策について何点か伺います。
まず、避難所運営についてです。
東日本大震災では、避難所生活が長期化する中で、被災者の方々は大変苦労をされました。とりわけ高齢者や乳幼児を抱えた母親、病人、障害者、外国人など困難な状況に置かれやすい人々が、避難所生活など不自由を強いられました。
地震発生後の五日目の三月十六日には、内閣府の男女共同参画局から、女性や子育て家庭にとって被災地での避難生活を少しでも安全・安心なものにし、被災者の肉体的、精神的負担を緩和するために通達が出されています。
その内容としましては、各避難所の運営体制への女性の参画、女性医師、保健師による相談サービスの提供、乳幼児への対応やトイレの安全な環境確保など、詳細に書かれておりました。
しかし、現場では、この通達を聞いても受け入れるだけの余裕がなく、実際に支援に当たったNPOから配慮するよう呼びかけられても、避難所の運営に当たっている人たちからは断られる場面が多かったと聞いています。首都直下型地震が起こった際に、こうした事態を再び繰り返してはならないと思います。
避難所運営は市区町村が対応することになっていますけれども、マニュアル作成に関しては都の役割になっています。先ほども松葉理事からお話がありましたけれども、都は、避難所運営において女性に配慮した運営がなされるよう防災対策を推進すべきと考えますけれども、所感を伺います。
○笠井総務局長 避難所は、多くの方々が共同生活をする場所であり、その運営に際しましては、女性に十分配慮することが求められます。
都は、避難所運営も含め、男女双方の視点に立った防災対策を推進するため、東日本大震災において女性の避難所生活を支援した経験を有する専門家を招き、避難所の設置等を担う区市町村等の防災機関との間で意見交換会を開催いたしました。意見交換会では、専門家から避難所運営における女性リーダーの重要性などをご説明いただき、参加した防災機関からは、有意義であったというご意見をいただいたところでございます。
このような意見交換会の内容も踏まえ、地域防災計画の修正に取り組んでまいります。
○西崎委員 ぜひきちんと地域防災計画の修正に生かしていっていただきたいと思います。
次に、避難所の食品衛生について伺います。
大規模避難所では、多くの人たちが生活していたため、避難所での健康を維持するために、避難所の衛生管理の徹底に苦労しました。
特に、食料の配給が不安定な中、配給された食品を長時間保存し、それを食べた避難者に腹痛などの健康被害が出たと聞いています。住民が避難所で安全に安心して過ごすためには、食品衛生の確保は極めて重要です。
都は、被災した場合、避難所に対してどのような食品衛生対策を行うのか伺います。
○杉村福祉保健局長 都は、災害時における食品の安全を確保するため、東京都地域防災計画及び避難所管理運営の指針等におきまして、避難所での食品衛生対策を定めております。
その中では、避難所の設置主体であります区市町村は、避難所ごとに食品取扱管理者を設置して、搬入された食品の衛生管理などを行い、都及び区市の保健所は、食品衛生監視班を編成、派遣しまして、避難所を巡回して、食品の期限表示や保管温度などに関する衛生指導を行いますとともに、食品の保存方法や手、指の消毒などについて避難者への啓発活動を行うことといたしております。
○西崎委員 次に、福祉避難所について伺います。
大規模災害に際しては、自宅や避難所での生活が困難で介護などのサービスを必要とする高齢者を受け入れる福祉避難所の確保が非常に重要になります。都内の区市町村では、特別養護老人ホームを福祉避難所として指定している事例が多くあるとのことです。
そこで、このように特別養護老人ホームを福祉避難所として活用するため、どのような支援を行っているのか伺います。
○杉村福祉保健局長 都は、災害時に特別養護老人ホームが要介護高齢者などを受け入れられるよう、防災拠点型地域交流スペースを設ける場合、整備費補助の加算措置を講じております。
また、地元区市町村と防災協定などを締結して要介護高齢者の受け入れを予定している施設に対しましては、特別養護老人ホーム経営支援事業で補助を行っておりまして、現在、都内では、特別養護老人ホームの三割強の約百三十カ所が区市町村の福祉避難所に指定をされております。
○西崎委員 避難所運営その他、先ほどの地域住民の避難対策についての最後に、外国人支援について伺います。
以前、地元の世田谷区の防災訓練に参加しましたところ、世田谷区内にはかなり外国人は多いと思うんですけれども、防災訓練に参加している外国人は、ほとんど見かけませんでした。発災時には、都内在住の外国人も災害弱者になります。
外国人には、ほとんど地震を経験したこともない人も多く、そうした人たちは災害に対する予備知識もありません。特に日本語の力が十分でない外国人は、混乱した状況の中で情報を得るのは困難だと思います。
都は、災害時に避難所等において日本語のできない外国人を支援するために、防災語学ボランティアの登録を行っていますけれども、語学ボランティアをこうした地域の防災訓練などで活用すれば、外国人も訓練に参加しやすくなり、防災知識を身につける貴重な機会となるのではないかと思いますけれども、所見を伺います。
○井澤生活文化局長 現在、都には、十五言語、八百九十七人の防災語学ボランティアが登録されており、毎年実施しております在住外国人向けの防災訓練において、参加外国人に対する通訳などとして活躍していただいております。
本年四月の地域国際化推進検討委員会による報告、災害時における外国人への情報提供-東日本大震災の経験を踏まえてにおきましても、防災語学ボランティアを、区市町村で行う防災訓練や防災講座において通訳として活用することについて提言がなされております。
今後、地域の防災訓練等における防災語学ボランティアの活用につきまして、都・区市町村国際交流推進連絡会議等を通じて区市町村に周知してまいります。
○西崎委員 ぜひ地域の防災訓練などに防災ボランティアの活用などが積極的に行われるよう働きかけていただきたいと思います。
次に、都立公園の防災対策について伺います。
防災公園に関しては、先ほども何人かの委員からお話が出て、多少重なっているかと思うのですが、昨年度、光が丘公園、城北中央公園、そして、私の地元の世田谷にあります駒沢オリンピック公園の三つの防災公園を、都民の方と一緒に見学してまいりました。
三つの公園を見学して、特に駒沢オリンピック公園はスポーツ利用に特化しているなど、ほかの公園とは多少違いがあることから、防災公園としてのあり方にも違いがあるように印象を受けました。
公園は、災害時の救援部隊の活動拠点や避難場所となり、都民の生命、財産を守る重要な施設です。これら都立公園における防災施設整備の考え方と今後の予定についてお伺いします。
○村尾東京都技監 都は、都立公園八十公園のうち六十公園を災害時の救出救助活動拠点、ヘリコプターの活動拠点や避難場所等に位置づけております。これら公園では、それぞれの公園が果たす役割に応じて、大型車両が進入できる入り口や園路舗装の強化、ヘリポートとなる広場の整備や車両アクセスの確保、ソーラー式誘導灯や防災トイレなどの整備を進めてきております。
引き続き、着実に防災機能の充実のための整備を進め、文化の森再生事業にあわせて、これら施設整備を予定している上野恩賜公園を除き、平成二十五年度にはすべての公園で防災施設の整備を完了いたします。
○西崎委員 駒沢オリンピック公園を見学しましたときに、マンホールトイレについても説明を受けました。障害者、高齢者等に対応するために、腰かけのようなタイプも用意されておりました。地域の高齢化が進むとともに、災害時に利用される施設についても、高齢者や障害者への配慮は、ユニバーサルデザインの観点からも重要です。
そこで、駒沢オリンピック公園を初めとする防災公園に位置づけられた都立公園では、どのように高齢者や障害者の配慮をしているのか伺います。
○村尾東京都技監 都立公園の整備に当たりましては、多くの都民が利用できるよう、障害のある方や高齢の方も利用しやすい施設の整備を行っております。例えば、駒沢オリンピック公園では、公園の主な入り口に車いすでも通れるスロープを整備し、中央広場に通じる大階段には手すりを設置しております。
今後とも、ユニバーサルデザインの考え方に沿い、だれもが使える公園整備を進め、災害時においても都民の避難等が円滑に行われる公園を実現してまいります。
○西崎委員 都立公園は広域避難場所に指定されていますことから、一たび震災が発生した場合には、都立公園に多くの住民が避難してくると思います。
先ほどもお話があったと思うんですけれども、地域防災計画では、発災時に区市町村が避難場所を運営し、住民の避難誘導を行うことになっていますけれども、いつ起こるかわからない災害に備えるためには、ふだんから、指定管理者が管理する公園も含めまして、地域との連携が重要だと考えます。
そこで、災害時における地域との連携をどのように取り組んでいるのか伺います。
○村尾東京都技監 都立公園の管理者は、利用者の安全を図るとともに、避難場所や防災拠点となるオープンスペースを確保する役割を担っており、指定管理者の選定に当たりましても、災害時に求められる役割を発揮できる団体を選定しております。
災害時の避難場所の運営は、基礎的自治体の責任において行うこととなっており、公園管理者は、都と区市の合同総合防災訓練への参加や、地元消防署との共催による防災訓練の実施などを通じて、地域と連携した災害時の対応力を維持向上する取り組みを継続しております。
今後も、ハード、ソフト両面から都立公園における防災機能の強化に努め、高度防災都市の構築に全力で取り組んでまいります。
○西崎委員 今回、三つの公園を見学して思いましたのは、地域住民の方にとっては、一次避難場所も広域避難場所も余り、そのすみ分けがよく理解されていないので、ふだんから地域の住民との連携、それから、地元の自治体との連携というのは非常に重要ではないかと思いました。ぜひ今後も働きかけていっていただきたいと思います。
次に、災害医療コーディネーターについて伺います。
これも、お話のところどころに出てきているんですけれども、東日本大震災では、被災地を支援する医師や看護師から、全国から多く集まりましたけれども、全体をコーディネートする専門家がいなかったために混乱が生じたという話を聞きました。
人口規模がけた違いに大きい東京におきましては、必要な医療資源を的確に把握し、支援にやってくる関係機関の連携を十分に図る必要があると思います。
そこで、都が選任いたしました災害医療コーディネーターの役割について伺いたいと思います。
○杉村福祉保健局長 東京都災害医療コーディネーターは、災害発生時には都庁に参集をいたしまして、都内全域の被災状況や医療資源の状況を把握するとともに、医療チームの配置調整などを行うこととしておりまして、平時においても災害医療協議会等に参画し、都に対して災害医療体制の強化に向けた助言を行う役割を担っております。
また、十二の二次保健医療圏ごとに任用いたしました地域災害医療コーディネーターは、区市町村や関係機関と連携をいたしまして、地域の実情を踏まえながら、医療資源の効率的な配分、患者搬送等の調整を行うことといたしております。
○西崎委員 災害時に医療救護所などを中心として身近な地域で提供されます医療体制の構築は区市町村の役割ですけれども、それぞれの地域で防災計画が策定されておりますが、都は、地域災害医療コーディネーターを中心とした圏域内の連携をどのように進めていくのか、伺いたいと思います。
○杉村福祉保健局長 現在、都は、地域の特性に応じた災害医療体制の強化について検討するため、十二の二次保健医療圏ごとに地域災害医療連携会議の設置を進めております。
この連携会議では、地域災害医療コーディネーターを核といたしまして、区市町村、医療機関、消防、警察などの関係機関とともに、傷病者の受け入れ先の確保、医療資源の配分などについて具体的な検討を行いながら、関係機関相互の連携強化を図っております。
○西崎委員 医療体制も、災害時にとって大変重要な課題の一つだと思いますので、今後ぜひ、こういった災害時に必要なコーディネーターを中心とした医療連携を進めていっていただきたいと思います。
最後になりました水道のバックアップ体制についてお伺いしたいと思います。
災害時の水の確保は大変重要な課題の一つだと思います。これまでも水道局では、水道施設の耐震化、あるいは導水施設の二重化、送配水管ネットワークなどの強化などを進めてまいりました。
昨年十一月に出されました東京都防災対応指針でもバックアップ機能の強化について述べておりますけれども、進捗状況と今後の予定はどうなっているのか、まず伺いたいと思います。
○増子水道局長 首都直下地震などの発生が指摘されている中、水道施設の耐震強化やバックアップ機能の強化は喫緊の課題であります。
水道局では、これまでも管路の耐震継ぎ手化を進めるとともに、重要な導水管や送配水管の二重化、ネットワーク化などを行ってまいりました。
現在、バックアップ機能のさらなる強化に向け、利根川と多摩川の原水を相互融通する原水連絡管の二重化、朝霞浄水場と上井草給水所を結ぶ都内最大の送水管の二重化、多摩西南部地域の広域的な送水幹線などの整備を実施しております。
今後もこのような取り組みを着実に推進していくことで、より震災に強い水道システムを構築してまいります。
○西崎委員 今回の地域防災計画見直しに当たっては、近隣県との協力体制をさらに整えていく必要があると思います。非常時に水道水を相互に融通する連絡管を、埼玉県及び川崎市との間に整備してまいりました。
発災時の水の相互融通を円滑に行うために、現在どのような準備を行っているのか伺います。
○増子水道局長 水道局は、震災時や大規模な水源水質事故時等の非常時に備えた水の相互融通を行うために、埼玉県との間に朝霞連絡管、川崎市との間に登戸連絡管と町田連絡管を設置しております。
発災時にこれらの連絡管の運用を円滑なものとするため、埼玉県、川崎市と連携して、毎年、現地でのバルブ操作の訓練や情報連絡訓練を実施しております。
○西崎委員 多摩地域の各自治体との連携については、これまで水道事業の一元化の過程で、浄水所への自治体の関与がなくなってきています。こうした中で、震災が起こったとき、発災時に給水体制をとるために、だれが浄水所に駆けつけるのか、かぎの問題、課題も出てきています。
自治体との連携、協力の体制づくりはどうなっているのかお聞かせください。
○増子水道局長 震災時に応急給水を行う給水拠点には、応急給水槽や浄水所等があります。
応急給水槽では、資器材の設置から住民への水の配布までを市町が行い、浄水所等では、水道局が資器材を設置し、市町が水の配布を行うことが東京都地域防災計画で定められております。
水道局では、夜間、休日等に発災した場合でも迅速に参集できるよう、浄水所等の近くに居住する職員を拠点給水要員として指定し、施設のかぎをあけ、資器材を設置できる体制を構築しております。
また、市町職員や地元町会等が参加する応急給水訓練も、毎年度、多数実施しております。
さらに、各市町の防災会議に当局職員を参加させるとともに、本年二月に設立した多摩水道連絡会を活用するなど、市町との連携強化を図っております。
○西崎委員 先日、利根川水系の浄水場からホルムアルデヒドが検出されたときに、東京では水道管のネットワークを生かして対応することができました。
また、このようなときも近隣県と協力して水道水を融通することで、影響を小さくすることができます。具体的な話し合いや訓練をすることで、近隣県と互いに協力する体制をつくることは重要だと考えます。
震災時の水の確保は、水道施設の被害状況によって違ってきますが、応急給水拠点の配置問題や、防災井戸など地下水の利用も含めて、市区町村との連携で考える必要があります。
一元化に伴って、各市で水道部署がなくなってきていますが、多摩水道連絡会が定期的に行われることは、生活者ネットワークがこれまで求めてきた多摩各市と東京都の平常時からの連絡体制が実現したものと評価しております。
今後とも、協力体制をしっかりつくっていただけるようお願いいたしまして、質問を終わります。
○大津委員長 西崎光子委員の発言は終わりました。
以上で、本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
お諮りいたします。
報告事項、都における防災対策について及び東京都の新たな被害想定についてに対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大津委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時九分散会
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