東京都議会予算特別委員会速記録第六号

平成十五年三月五日(水曜日)
第十五委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 三十九名
委員長山本賢太郎君
副委員長森田 安孝君
副委員長宮崎  章君
副委員長和田 宗春君
理事馬場 裕子君
理事大西 英男君
理事こいそ 明君
理事星野 篤功君
理事渡辺 康信君
理事木内 良明君
谷村 孝彦君
小磯 善彦君
萩生田光一君
小美濃安弘君
野島 善司君
山口 文江君
酒井 大史君
織田 拓郎君
藤井  一君
東野 秀平君
中嶋 義雄君
田代ひろし君
三宅 茂樹君
川井しげお君
高島なおき君
吉野 利明君
倉林 辰雄君
相川  博君
大塚 隆朗君
高橋かずみ君
大河原雅子君
林  知二君
大山とも子君
吉田 信夫君
曽根はじめ君
名取 憲彦君
桜井  武君
矢部  一君
木村 陽治君

欠席委員 なし

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事福永 正通君
副知事青山やすし君
副知事浜渦 武生君
出納長大塚 俊郎君
教育長横山 洋吉君
警視総監石川 重明君
知事本部長前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
大学管理本部長鎌形 満征君
財務局長田原 和道君
主税局長安間 謙臣君
生活文化局長三宅 広人君
都市計画局長勝田 三良君
環境局長小池 正臣君
福祉局長川崎 裕康君
健康局長長尾 至浩君
病院経営本部長櫻井  巖君
産業労働局長有手  勉君
中央卸売市場長碇山 幸夫君
住宅局長橋本  勲君
建設局長小峰 良介君
港湾局長高橋 信行君
消防総監杉村 哲也君
交通局長松尾  均君
水道局長飯嶋 宣雄君
下水道局長鈴木  宏君
選挙管理委員会事務局長押切 重洋君
人事委員会事務局長高橋  功君
監査事務局長藤堂 義弘君
地方労働委員会事務局長立花 壯介君
収用委員会事務局長平井 健一君

本日の会議に付した事件
 付託議案の審査(決定)
・第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算
・第二号議案 平成十五年度東京都特別区財政調整会計予算
・第三号議案 平成十五年度東京都地方消費税清算会計予算
・第四号議案 平成十五年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
・第五号議案 平成十五年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
・第六号議案 平成十五年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
・第七号議案 平成十五年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
・第八号議案 平成十五年度東京都農業改良資金助成会計予算
・第九号議案 平成十五年度東京都林業改善資金助成会計予算
・第十号議案 平成十五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
・第十一号議案 平成十五年度東京都と場会計予算
・第十二号議案 平成十五年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十三号議案 平成十五年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十四号議案 平成十五年度東京都都市開発資金会計予算
・第十五号議案 平成十五年度東京都用地会計予算
・第十六号議案 平成十五年度東京都公債費会計予算
・第十七号議案 平成十五年度東京都新住宅市街地開発事業会計予算
・第十八号議案 平成十五年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
・第十九号議案 平成十五年度東京都市街地再開発事業会計予算
・第二十号議案 平成十五年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十一号議案 平成十五年度東京都病院会計予算
・第二十二号議案 平成十五年度東京都中央卸売市場会計予算
・第二十三号議案 平成十五年度東京都都市再開発事業会計予算
・第二十四号議案 平成十五年度東京都臨海地域開発事業会計予算
・第二十五号議案 平成十五年度東京都港湾事業会計予算
・第二十六号議案 平成十五年度東京都交通事業会計予算
・第二十七号議案 平成十五年度東京都高速電車事業会計予算
・第二十八号議案 平成十五年度東京都電気事業会計予算
・第二十九号議案 平成十五年度東京都水道事業会計予算
・第三十号議案 平成十五年度東京都工業用水道事業会計予算
・第三十一号議案 平成十五年度東京都下水道事業会計予算
・第百四十一号議案 平成十五年度東京都一般会計補正予算(第一号)

 第一号議案、第十二号議案、第十六号議案、第二十号議案、第二十一号議案、第二十三号議案、第二十九号議案及び第百四十一号議案に対する編成替えを求める動議の提出理由説明
・渡辺 康信君

 討論
・曽根はじめ君
・田代ひろし君
・谷村 孝彦君
・相川  博君
・山口 文江君

○山本委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第三十一号議案まで及び第百四十一号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に質疑を終了いたしております。
 ただいま第一号議案、第十二号議案、第十六号議案、第二十号議案、第二十一号議案、第二十三号議案、第二十九号議案及び第百四十一号議案に対し、大山とも子委員外四名から編成替えを求める動議が、お手元配布のとおり、提出されました。
 案文はお手元に配布してあります。
 案文の朗読は省略いたします。
第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算、第十二号議案 平成十五年度東京都都営住宅等事業会計予算、第十六号議案 平成十五年度東京都公債費会計予算、第二十号議案 平成十五年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算、第二十一号議案 平成十五年度東京都病院会計予算、第二十三号議案 平成十五年度東京都都市再開発事業会計予算、第二十九号議案 平成十五年度東京都水道事業会計予算及び第百四十一号議案 平成十五年度東京都一般会計補正予算(第一号)の編成替えを求める動議
 第一号議案 平成十五年度東京都一般会計予算については、知事は、これを撤回し、別記要領により速やかに編成替えをするよう求めるとともに、関連する第十二号議案 平成十五年度東京都都営住宅等事業会計予算、第十六号議案 平成十五年度東京都公債費会計予算、第二十号議案 平成十五年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算、第二十一号議案 平成十五年度東京都病院会計予算、第二十三号議案 平成十五年度東京都都市再開発事業会計予算、第二十九号議案 平成十五年度東京都水道事業会計予算及び第百四十一号議案 平成十五年度東京都一般会計補正予算(第一号)についても併せて編成替えの上、再提出することを求める。
 右の動議を提出する。
  平成十五年三月五日
(提出者)
大山とも子 吉田 信夫 曽根はじめ
渡辺 康信 木村 陽治
予算特別委員長殿
     記
一般会計
 歳入
1 分担金及負担金、繰入金等を八十七億三千二百万円減額する。
2 使用料及手数料を八億五千八百万円減額する。
3 国庫支出金を二百二億八千二百万円減額する。
4 財産収入を百十一億一千三百万円減額する。
5 都債を六百六十二億四千百万円減額する。
 歳出
1 総務費を二十五億円減額する。
(1) 電子都庁の実現を段階的に実施していくため、電子都庁推進経費の三分の一を削減し、二十億円を減額する。
(2) 大規模公有地スペースを活用した民間プロジェクトの推進は、都市再生の名による大型開発の促進となるため、「先行まちづくりプロジェクト」の推進経費十億円を削除する。
(3) 多摩地域の都市基盤整備を支援するため、市町村振興交付金を五億円増額する。
2 生活文化費を二十億四千百万円増額する。
(1) 青年の引きこもりの実態調査を行い、総合的支援策をスタートさせるため、一千万円を計上する。
(2) 多摩消費生活センターの相談窓口を再開し、相談員を配置していくため、一千百万円を増額する。
(3) 男女平等施策推進室の設置、男女平等に関する訴訟支援など、男女平等施策を拡充するため、二千万円を増額する。
(4) 男女平等施策を発展させるため、男女平等推進基金を通常の取り崩し型の基金として復活し、活用するため、二十億円を増額する。
3 都市計画費を二百四十八億七千二百万円減額する。
(1) 規制緩和による、同時多発的開発を中止するため、街区再編まちづくり制度費八百万円を削除する。
(2) 「首都圏メガロポリス構想」に基づく大規模開発は、東京の一極集中と環境破壊を進めることになるため、首都圏メガロポリスの圏域づくり推進事業費九百万円を削除する。
(3) 現在の水需要計画は過大であり、その見直しを行うため、利根川・荒川水源地域対策基金等に対する事業費負担金四億二千万円を削除する。
(4) 東京の一極集中と、環境破壊を進める都心部での大規模開発を促進する整備事業を中止するため、都市再生緊急整備事業補助費三億三千万円を削除する。
(5) シルバーパスの利用を多摩都市モノレールに拡大するため、五千九百万円を増額する。
(6) 首都高速道路公団への出資金は、本来公団が自力調達すべきものであるため、首都高速道路公団出資金を五割削減し、四十三億九千百万円を減額する。
(7) 首都高速道路公団への無利子貸付は、本来公団が自力調達すべきものであるため、百八十七億三百万円を削除する。
(8) 住環境破壊をもたらす外環計画は、現在凍結されており、住民の意思を無視した外環にかかわる街づくりに関する調査費三千万円を削除する。
(9) 多摩地域の土地区画整理事業を見直し、事業量を減らすため、財団法人東京都新都市建設公社への助成費を五割削減し、十億五千万円を減額する。
(10) 「都市再生」による開発の環境、街づくりを進めるに当たって、影響を予測する、都市開発総合アセスメントを実施するため、一千万円を計上する。
4 環境費を十一億一千百万円増額する。
(1) 環境学習支援事業を継続させるため、環境学習支援事業補助費を二億円増額する。
(2) 緑地を保全するために、保全緑地の公有化及び保全地域の維持管理費を七億円増額する。
(3) モニタリング・ガイドライン策定調査を実施するなど、ヒートアイランド対策を強化するため、四千三百万円を増額する。
(4) 風の道、水の道など、クールランド対策を強化するため、計画調査費を一千万円増額する。
(5) オオタカ、トウキョウサンショウウオ、オオムラサキ、エドハゼなど、レッドデータブックに記載されている希少動植物の保護種としての指定と保護のため、五千万円を計上する。
(6) ディーゼルエンジン用複合脱硝・粒子低減後付装置開発の基礎研究、ヒートアイランド現象の解明などの調査研究を拡充するため、環境科学研究所費を一億六百万円増額する。
(7) これまで実施されてきた自動車交通量削減対策を、総合的、統一的に検討し強化するため、百万円を計上する。
(8) 複数の開発による影響を含めた、環境総合アセスメントを行うため、百万円を計上する。
5 福祉費を五百五十四億四千百万円増額する。
(1) 長期避難により生活に困窮している三宅島島民への生活支援金制度を創設するため、三億円を計上する。
(2) 民間社会福祉施設のサービス水準の向上及び職員処遇における公私格差を是正するため、民間社会福祉施設サービス推進費補助費を三億六千万円増額する。
(3) 失業者に対して、生活資金を支援する援助制度を創設するため、五億円を計上する。
(4) シルバーパスの交付を元に戻すため、二十四億百万円を増額する。
(5) 老人福祉手当を継続するため、四十四億九千九百万円を増額する。
(6) 特別養護老人ホームの補助を平成十二年度の水準と同額に戻すため、百億円を増額する。
(7) 寝たきり防止を目的に区市町村が実施する高齢者のためのパワーリハビリ支援事業を充実させるため、七千万円を増額する。
(8) 児童育成手当の支給を元に戻すため、二億円を増額する。
(9) 用賀技能開発学院を存続するため、二億六千六百万円を計上する。
(10) 重度心身障害者手当の支給を元に戻すため、十一億七千二百万円を増額する。
(11) 心身障害者福祉手当の支給を元に戻すため、二億円を増額する。
(12) 盲ろう通訳介助者養成事業への助成を復活させるため、五百万円を増額する。
(13) 盲導犬のエサ代などの復活等を図るため、障害者社会参加促進費を八百万円増額する。
(14) 現行の知的障害者生活寮の家賃助成制度では不十分であり、同制度を充実して、知的障害者生活寮を拡充するため、七千五百万円を増額する。
(15) 国の医療制度改悪により増加している在宅酸素患者の負担を軽減するための在宅酸素の電気代補助として、一億二千万円を計上する。
(16) 介護保険料第二段階以下の高齢者への助成を実施する自治体に、その経費の二分の一を補助する制度を創設するため、四十億円を計上する。
(17) 介護保険利用料が軽減される対象者を広げるとともに、事業者負担の軽減を図る制度を拡充するため、二十七億円を増額する。
(18) ひとり親家庭医療費助成事業補助を元に戻すため、二億五千六百万円を増額する。
(19) 区市町村を支援し、多摩格差の解消を目指し、乳幼児医療費助成事業補助の所得制限を三歳未満児まで撤廃するため、十六億円を計上する。
(20) 老人医療費助成(マル福)を六十五歳からの制度に戻すため、百十三億八千九百万円を増額する。
(21) 心身障害者医療費助成を元に戻すため、七十三億九百万円を増額する。
(22) 介護保険制度導入で、特別養護老人ホーム入所待機者の増加に対応して施設整備を促進するため、七十二億円を増額する。
(23) 認可保育所の新設によって、待機児解消を図っていくため、八億一千百万円を増額する。
6 産業労働費を三十六億三千万円増額する。
(1) 産業政策の調査及び研究費中、カジノは、青少年への悪影響及び犯罪やギャンブル依存症の増加など大きな社会的弊害をもたらし、東京都の公営ギャンブル廃止の流れに逆行するため、カジノの調査・研究費一千万円を削除する。
(2) 失業者向けの公共職業訓練校の募集を拡大するため、二億円を増額する。
(3) 若年者に対する就業支援事業を創設するため、一億円を計上する。
(4) 雇用確保と中小企業の営業を守るため、知事を本部長とした緊急景気対策本部の設置に要する経費、一千万円を計上する。
(5) 国の緊急地域雇用創出基金に、都が上乗せをして緊急雇用対策を拡充するため、十億円を増額する。
(6) 区市町村が計画する中小企業総合支援事業を補助するため、五億円を計上する。
(7) 現行工業集積地域活性化支援事業を継続・発展させ、第二期工業集積地域活性化事業として実施するため、一億円を計上する。
(8) 大規模小売店の出店による地域商店街への影響を調査するため、二千万円を増額する。
(9) 「商店街お迎えバス」などの事業を始め、商店街が行う活性化事業を積極的に支援するため、六億円を増額する。
(10) 制度融資の信用保証料について、その一部を補助するため、十億円を増額する。
(11) 貸し渋り、貸しはがし対策室と相談者のための一一〇番窓口を設置するため、五千万円を増額する。
(12) 農業への就農希望者が増加していることに伴い、就農希望者に対する支援を行うため、一千万円を計上する。
(13) 多摩産材の供給を促進するため、地方公共団体などの利用に対して支援するため、五千万円を計上する。
7 住宅費を七十三億五千百万円増額する。
(1) 都内全域でのマンション実態調査を推進するため、マンション実態調査費を四千五百万円増額する。
(2) 専門職の配置など、区市町村が行うマンション相談事業の拡充に向けた支援事業を創設するため、六百万円を計上する。
(3) 区市町が実施している木造住宅リフォーム事業を支援する制度を創設するため、二億円を計上する。
(4) 急増する都営住宅の応募に対応するため、都営住宅の新規建設費として、都営住宅等事業会計への繰出金六十億円を計上する。
(5) 長期の深刻な不況の中でも安心して住める住宅の確保に向け、都営住宅家賃の減免制度を元に戻すため、都営住宅等事業会計繰出金を十億円増額する。
(6) 住宅困窮者、ホームレス用に住宅を確保し、民間賃貸住宅の借り上げ、家賃補助などを行うため、一億円を増額する。
8 健康費を十五億五千百万円増額する。
(1) 減少している小児科医師を養成し、小児医療の充実に向け、小児科医師を目指す学生への奨学金制度を創設するため、一千八百万円を計上する。
(2) 小児夜間救急事業について、多くの自治体が実施できるよう、支援を強化するため、三千七百万円を増額する。
(3) 休日・全夜間救急事業充実のためのベット数を、七十二床から八十床に増やすため、一億円を増額する。
(4) 小児ドクターカーを新たに一台配備するため、八千万円を増額する。
(5) 女性専用外来を設置する民間病院、診療所への整備補助(当面は、区部、多摩部に各一か所)を実施するため、四千六百万円を計上する。
(6) 小児慢性疾患等医療費助成の自己負担分を全額補助していくため、百万円を増額する。
(7) 妊娠中毒症医療費助成の自己負担分を全額補助していくため、百万円を増額する。
(8) 身体障害児育成医療等の自己負担分の引上げを元に戻すため、一千百万円を増額する。
(9) 難病医療のうち、都単独助成分の自己負担分を全額補助していくため、二千四百万円を増額する。
(10) 被爆者の子に対する医療費助成の自己負担分を全額補助していくため、百万円を増額する。
(11) 小児精神障害者医療費助成の自己負担分を全額補助していくため、二千七百万円を増額する。
(12) 精神障害者通院医療費助成の自己負担分を全額補助していくため、一億一千八百万円を増額する。
(13) 結核一般医療費助成の自己負担分を全額補助していくため、五百万円を増額する。
(14) 各医療費助成の自己負担分を全額補助していくため、八百万円を増額する。
(15) 慢性肝炎、肝硬変・ヘパトームの通院患者への医療費助成を復活するため、四億九千万円を増額する。
(16) 十八歳以上の大気汚染公害患者の増加に対応し、大気汚染健康障害者医療費助成を二十歳未満まで拡充するため、二億五千万円を増額する。
(17) 大気汚染健康障害者医療費助成の自己負担分を全額補助していくため、四千二百万円を増額する。
(18) 保健所の統廃合をやめ、地元市及び住民と建設が合意されている村山大和保健所を建設するため、二億五千万円を計上する。
(19) 食品安全対策を強化する上で必要な食品監視員を十名増員していくため、四千二百万円を増額する。
9 土木費を一千四十六億三千四百万円減額する。
(1) 首都高速王子線・新宿線建設を抜本的に見直し、王子線関連街路の低公害化など必要な工事に限定するため、首都高速道路関連街路整備費を五割削減し、三十六億円を減額する。
(2) 環状八号線、調布保谷線など、住民の反対も多く、住環境破壊、都財政圧迫をもたらす区部幹線道路や多摩南北道路の同時多発的な幹線道路建設の推進を全面的に見直す立場から、骨格幹線道路整備費を五割削減し、四百二十九億円を減額する。
(3) 国の直轄事業での負担の押し付けは、地方財政を圧迫するものであるため、道路橋梁費の直轄事業負担金九十一億三千七百万円を削除する。
(4) 臨海副都心開発を抜本的に見直す立場から、都心と臨海開発地域を結ぶ中心的な広域幹線道路である、晴海通りを延伸(晴豊一号橋など)するための臨海都市基盤関連街路整備費六十三億五千九百万円を削除する。
(5) 遅れている歩道の整備を促進するため、歩道整備費を五億円増額する。
(6) 路面舗装事業を拡充するため、路面補修費を十億円増額する。
(7) 国の直轄事業での負担の押し付けは、地方財政を圧迫するものであるため、河川海岸費の直轄事業負担金七十四億七千七百万円を削除する。
(8) 臨海開発及び汐留開発の関連事業である環状二号線地区(虎ノ門~新橋間)、北新宿地区等の都施行市街地再開発事業を凍結・再検討するため、都市再開発事業会計への支出金百四十三億九千百万円を削除する。
(9) 臨海副都心開発の抜本的見直しと併せ、関連事業を中止するため、臨海都市基盤整備事業会計繰出金三億六千百万円を削除する。
(10) 大企業奉仕の汐留地区の都施工区画整理事業を見直すため、土地区画整理事業費百二十九億七千二百万円を削除する。
(11) 大企業奉仕の都施工区画整理事業を見直すため、秋葉原地区の土地区画整理事業費六十七億四千二百万円を削除する。
(12) 南多摩尾根幹線事業を当面凍結・再検討するため、南多摩尾根幹線整備費二十一億六千七百万円を削除する。
(13) 採算の見通しもなく、オオタカも生息する貴重な自然環境が破壊されるおそれがある現計画を抜本的に見直すため、坂浜平尾地区土地区画整理事業費二千八百万円を削除する。
10 港湾費を百五十五億一千七百万円減額する。
(1) 臨海副都心開発を抜本的に見直すため、都民参加で見直しを行う立場から、当面急ぐ必要のない臨海道路(Ⅲ期)の整備を中止し、国直轄事業負担金を始め、調査、設計費を含む東京港臨海道路整備費十一億六千七百万円を削除する。
(2) 廃棄物及び残土の処分量が大幅に減少していることから、当初計画を全般的に見直すため、新海面処分場建設費百四十三億五千万円を削除する。
11 教育費を四十九億七千万円増額する。
(1) 三十人規模学級への期待が高く、小学校一年生から三十人規模学級を実施するための経費として、三十一億円を計上する。
(2) 保健室登校、心のケア対策として、養護教諭の複数配置体制を拡充するため、五億円を計上する。
(3) 差別化を目的とする、自律的学校経営事業費を三億円減額する。
(4) 養護学校のスクールバスを増車し、乗車時間を短縮するため、二億円を増額する。
(5) 五年計画を前倒しして、知的養護学校全校にクーラーを設置するため、十億円を増額する。
(6) 肢体不自由養護学校への給食の民間委託の拡大をやめるため、民間委託増額分を八百万円減額する。
(7) 心のケア対策を図る目的で、スクールカウンセラーの派遣回数を増やすなど、スクールカウンセラーの配置を充実するため、五億円を増額する。
(8) 多摩に都立子ども図書館を建設していくため、建設調査費百万円を計上する。
(9) 国体の在り方は再検討する必要があり、東京国体の準備費三百万円を削除する。
(10) 道徳や公徳心などは、大人社会による管理と強制によるべきではないため、心の東京革命関係の事業費のうち、教育推進プラン事業費について、二千万円を減額する。
12 学務費を二十二億九千四百万円増額する。
(1) 父母負担の軽減を図る目的で、私立幼稚園等保護者負担軽減事業費補助の所得制限の見直しをやめ、所得制限を平成十三年度水準に戻すため、九億二百万円を増額する。
(2) 多くの学校が授業料の減免を実施できるよう、私立高等学校授業料軽減補助率を10/10補助に拡充し、学校の負担をなくすため、十三億九千二百万円を増額する。
13 警察費を三十二億八千七百万円減額する。
(1) 投資的経費抑制の立場から、警察施設の整備費のうち、建設費を一割削減し、三十二億八千七百万円を減額する。
14 公債費を三百四十一億一千九百万円減額する。
(1) 福祉・暮らしを守る財源として、減債基金の積み立てを借金返済に支障のない範囲で最小限削減し、減債基金積立金を三百四十一億一千九百万円減額する。
15 諸支出金を二億五千六百万円減額する。
(1) 原宿警察署の建て替えに伴う大規模留置場建設は必要性に乏しく、地元をあげて反対しており、中止する。そのため、調査費七千万円を削除する。
(2) 母子保健院の小児医療の再開や医師、看護師の増員のため、都立病院への一般会計補助を二十億円増額する。
(3) 過大な水需要計画に基づくダム開発を見直し、水道事業会計への支出金中、八ッ場ダムほかの水源施設分担金二十一億八千六百万円を削除する。
16 各款共通予算を四億三千万円減額する。
(1) 地下鉄及び地下街の一斉安全調査を行うとともに、緊急に対策を講じていくため、二億円を増額する。
(2) 一般施策に移行した、同和関係対策費六億三千万円を削除する。
都営住宅等事業会計
 歳入
1 一般会計からの繰入金を七十億円増額する。
 歳出
1 都営住宅等事業費を七十億円増額する。
公債費会計
 歳入
1 一般会計からの繰入金を三百四十一億一千九百万円減額する。
 歳出
1 公債費を三百四十一億一千九百万円減額する。
臨海都市基盤整備事業会計
 歳入
1 一般会計からの繰入金三億六千百万円を削除する。
 歳出
1 臨海都市基盤整備費三億六千百万円を削除する。
病院会計
 歳入
1 一般会計からの支出金を二十億円増額する。
 歳出
1 病院事業費を二十億円増額する。
都市再開発事業会計
 歳入
1 一般会計からの支出金を百四十三億九千百万円減額する。
 歳出
1 資本的支出を百四十三億九千百万円減額する。
水道事業会計
 歳入
1 一般会計からの支出金を二十一億八千六百万円減額する。
 歳出
1 資本的支出を二十一億八千六百万円減額する。

○山本委員長 本動議をあわせて議題といたします。
 この際、編成替え動議の趣旨説明のため発言を求められておりますので、これを許します。

○渡辺委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま提出いたしました第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算、第十二号議案、平成十五年度東京都都営住宅等事業会計予算、第二十号議案、平成十五年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算外五議案の編成替えを求める動議について、提案理由の説明を行います。
 都財政は確かに厳しい状況にあります。しかし、都市再生優先の逆立ちした税金の使い方を改めれば、経済的給付事業など切り捨てられた福祉をもとに戻すことを初め、切実な都民要求にこたえ、しかも、都財政立て直しの道に踏み出すことは可能です。
 我が党は、以上の立場から、平成十五年度予算案を、次の四つの柱に基づいて組み替えることを提案するものであります。
 今回の提案は、都政を都民が求める方向へ転換する上で、まずこれだけは踏み出すべきという最小限の項目に絞り込んだものとしました。編成替えの対象も一般会計予算を中心とし、他の会計の編成替えは、関連して修正が必要となるものにとどめました。
 編成替えの規模は、一般会計予算の三・三%程度ですが、都がこの方向に踏み出すことは、必ずや都民の願いにこたえるものになると確信するものであります。
 以下、予算の編成替えのポイントについて説明させていただきます。
 第一は、不況と社会保障負担増から、暮らしと営業を守っていくということであります。
 知事を本部長に、緊急雇用景気対策本部を設置し、雇用や仕事確保、中小企業への支援を全庁的に取り組みます。特に雇用については、国の緊急雇用創出基金事業に都独自の予算を上積みし、就労環境を整備し、特に青年の就労支援に全力を尽くします。
 製造業支援の工業集積地域活性化事業を継続発展させ、第二期事業としてスタートさせ、商店街振興についても、商店街お迎えバス事業など商店街に役立つ支援を進めてまいります。
 また、大型公共事業を見直し、都営住宅建設、特別養護老人ホームの増設、歩道整備、路面補修など、生活密着型公共事業の拡充などで都民要求にこたえるとともに、中小企業の仕事確保策としても積極的に進めます。
 第二に、切り捨てられた福祉を基本的にもとに戻すとともに、新たな切り捨てをやめ、都民の命と健康を守ることであります。
 老人福祉手当は廃止せず、継続させます。同時に、シルバーパス、老人医療費助成などの経済給付的事業は、削減をもとに戻します。介護保険の重過ぎる負担を改善し、保険料の減免制度を創設するとともに、利用料の軽減策の拡充を図ります。
 子育て対策として、認可保育予算を倍増し、乳幼児医療費助成の所得制限を撤廃し、多摩格差を解消していきます。
 都立母子保健院を再開させ、小児夜間救急対応が多くの自治体でも実施できるように支援を強化していきます。
 第三は、教育、環境など解決が迫られている課題です。
 まず、子どもを中心にした教育の推進です。三十人学級を計画的に取り組み、小学一年生から実施に踏み出します。
 都立高校の改革についても、受験競争を激化させるものとして都民の反対も強く、都民参加で見直しをしていきます。
 東京の環境は一層悪化し、自動車排気ガス全国測定調査で東京はワーストテンの中に七カ所も入っています。オフィス等開発による住環境や環境破壊を予測するための都市開発総合アセスメント、複数の開発計画を対象にした環境総合アセスメント制度を創設するなどして、都市の成長管理の方向に踏み出します。
 第四は、都市再生、臨海副都心開発など不要不急の大型公共事業の見直しです。
 石原知事は、借金ノーを公約に掲げながら、大型幹線道路や都市再開発に重点的に予算をつぎ込み、借金はこの四年間で五千六百億円ふえ、七兆円規模に達しました。
 大型公共事業の見直しと生活密着型公共事業への転換は避けられません。そのためにも、先行まちづくりプロジェクトの推進、都市再生緊急整備事業経費などの都市再生推進費を削除します。汐留地区、秋葉原地区、環状二号線地区、北新宿などの都施行区画整理事業及び市街地再開発事業を削除します。臨海副都心関連基盤整備費の削除及び首都高速道路公団への無利子貸付や国直轄事業負担金などを削除します。
 以上の予算編成替えを行った結果、生み出された一般財源六百八十五億円を、切り捨てられた福祉の復活と、福祉・医療の充実、雇用の拡充と中小企業支援など、都民施策の充実を図る財源に充て、予算の均衡を図りました。
 各委員の皆さんのご賛同をお願いして、提案理由とさせていただきます。(拍手)

○山本委員長 説明は終わりました。

○山本委員長 これより討論を行います。
 順次発言を許します。
 曽根はじめ委員。

○曽根委員 私は、日本共産党都議団を代表して、第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算外十七議案に反対、予算組み替え動議に賛成の立場から討論を行います。
 まず、一般会計予算案についてです。
 最悪の不況に加え、小泉内閣の社会保障負担増と不良債権処理の加速策の押しつけが、日本経済、都民の暮らしと営業に深刻な打撃を与えている中で、東京都の来年度予算に求められたのは、何より、こうした事態に苦しむ都民の暮らしや雇用、中小企業対策などの緊急の課題にどうこたえるかでした。
 この点で、我が党の質疑を通じて明らかにされたことは、知事の予算原案は、これら切実な都民要望に積極的にこたえようとするものではないということです。
 失業者の支援では、雇用創出交付金事業への都の上乗せによる拡充や、失業者のための生活費の支援などを求めたのに対して、これを拒みました。また、必死に生き残りに努めている中小企業対策予算は、業者の強い要望にもかかわらず、この四年間で一三・二%も削減されています。
 また、国の医療制度改悪や社会保障の負担増から都民の生活を守ることについても、何ら手だてを講じようとしないだけでなく、来年度、老人福祉手当の廃止を強行しようとしていることは重大です。
 さらに、東京都は来年度から、公共料金の二年ごと最高一・五倍の見直しを打ち出し、看護学校授業料の大幅引き上げなどを提案したことも、都民の苦しみを理解しないものといわざるを得ず、反対するものです。
 また、来年度予算案は、石原知事のこの四年にわたる福祉を初めとする都民施策の切り下げと、その一方での、都市再生を初めとする大型開発に予算を重点的に配分するという逆立ち政治の総決算ともいうべき内容となっています。
 当予算特別委員会での質疑を通じて、石原知事が進めてきた財政再建推進プランによって削減された経常経費のうち、実にほぼ半分が福祉予算で占められていることが明らかになりました。
 この削減に大きな比重を占めているのが、シルバーパス、老人医療費助成、老人福祉手当など、いわゆる経済的給付事業であったことは重大です。
 また、来年度予算案では、これらの高齢者福祉を初めとする切り捨てに加え、福祉改革、医療改革の名による都立病院の統廃合、都立福祉施設撤退の第一弾としての用賀技能開発学院の廃止などが提案されています。また、保育の分野では、民間営利企業に門戸を開き、公的責任の縮小を進める方向も強められています。
 こうした福祉切り捨ての結果、福祉費はこの四年間に三百億円以上も減らされることになりました。政令市を抱える七つの府県に対して、東京都だけがこの四年間に福祉予算を減らしたことも、我が党の調査で明らかにされました。
 教育分野でも、都民や生徒、父母などの合意のないまま、都立高校の統廃合計画を推し進める一方、全国で大きな流れとなろうとしている三十人学級の実施や、障害児学校の教室不足や往復三時間を超えるスクールバスなどの切実な改善要望に対してもこたえようとしていません。
 重点事業以外の都民施策に対する一律マイナスシーリングによる都民施策の廃止縮小も進められています。
 このように、都民に痛みを押しつける一方で、超高層ビルと大型幹線道路中心の都市再生に偏った財政運営が進められていることについても、来年度予算の特徴です。
 都は、投資的経費を抑制したといい逃れをいいましたが、この点でも、我が党が明らかにしたように、来年度予算案では、投資的経費に首都高速道路公団への貸し付けなどの経常経費に含まれた投資や過去の借金のツケである公債費を合わせたいわゆる投資型経費は、予算の四分の一、一兆五千億円を超える規模となっています。
 このため、都債残高は長期にわたって減らず、三十年後も七兆円を超える規模となり、都民一人当たり五十八万円の借金に苦しめられることになります。これは、石原知事の借金財政ノーの公約に明らかに反するものであることを申し述べておきます。
 本委員会において我が党が、他の大都市を含む道府県がすべて福祉予算をふやしている中で、東京都だけが三百億円以上減額した事実を指摘したのに対して、知事は、当然減だなどとしながらも、これを否定できませんでした。また、財務局長は、四年間の福祉予算がマイナス六%であったことについて、これまでの福祉の事業の見直しをしてきたわけですと、その事実を明確に認めるに至りました。
 保育分野も論議の焦点となりました。質疑の中で我が党が、東京都が認証保育に比重を移そうとしていることを批判したのに対して、福祉局長は、保育料の値上げにつながる可能性を認め、今検討している保育園への補助金見直しを行っていることを答弁したのは重大です。
 認証保育所はあくまでも認可保育所の補完の役割にとどまるものであり、高い保育料負担の面でも、保育士の不安定雇用による保育の質の面でも、父母からも不安を持たれ、心ある経営者も問題を指摘せざるを得なくなっていることを直視すべきです。
 また、都市再生がもたらす環境、経済、都財政に与える深刻な影響も浮き彫りとなりました。
 中でも看過できないことは、我が党が、都市再生による超高層ビルの大量供給によってビル不況が現実のものとなっていることを、民間のシンクタンクの予測を紹介してただしたのに対して、知事が、事業者に聞いてほしいと全く傍観者のような無責任な発言を行ったことです。また、三環状道路によって都心での渋滞が解消されないことも明らかにされました。
 オフィスの大量供給を野放しにすれば、温暖化やヒートアイランド現象を防ぎ切れないこと、都心で発生する自動車交通も、三環状で排除できる交通量の二倍以上になるなど、開発ラッシュを抑え成長管理への転換なしに東京の環境は守れないことは明らかです。
 今日の深刻な一極集中の弊害を解決する上で、欧米各都市でも試され済みの都市の成長を管理するという考え方に知事が立つことを強く求めておくものです。
 我が党が提案した来年度予算組み替え動議は、以上の立場を踏まえて、不況から都民の暮らしと営業を守るための失業者のための生活支援、若者の就労支援、さらには切り捨てられた福祉の復活、存続、福祉・医療の充実、公立学校での三十人規模学級導入など、子ども中心の教育の推進、ヒートアイランド対策など環境対策、都市再生関連で不要不急の大型事業、浪費にメスを入れ、生活密着型公共事業の重視などを内容としたものです。
 一般会計予算の三・三%を組み替え、税金の使い方を改めれば、都民の切実な要望にこたえ、さらには借金も減らす方向に踏み出すことを示したものです。各会派のご賛同をお願いいたします。
 我が党が、石原知事の憲法九十九条の尊重擁護義務についてただしたのに対して、知事は、九十九条違反で結構、私はあの憲法を認めませんと驚くべき重大な発言を行いました。これは、憲法が定めた知事としての憲法尊重擁護義務を真っ向から拒否するものであり、もし閣僚であれば即刻罷免に値する発言です。
 国の根本法規を認めず、守らないと宣言したことは、都民の代表たる資格をみずから放棄するものといわざるを得ません。都民の審判を免れないことを申し述べておくものです。
 同時に、アメリカのイラク攻撃を事実上支持する発言、他人の言葉をねじ曲げて、みずからの女性蔑視思想を披瀝した発言など、いずれも自治体の長として許されない言動であり、改めて発言の撤回を要求しておくものです。

○山本委員長 曽根委員、もう発言は時間が終了です。

○曽根委員 また、本委員会の中で、またもや公明党議員からの日本共産党に対する、ためにする非難中傷が行われました。都議会の場で、政策ではなく、公党の政治活動を非難したり(発言する者あり)知事の答弁を利用するやり方には、議会制民主主義と……

○山本委員長 曽根委員、発言を終了してください。

○曽根委員 都民の負託にこたえるべき議会の使命を踏みにじる党略的行為として、かつて我が党以外の議員からも厳しい批判が行われ、マスコミも疑問を呈しているものです。議会人として、まさにみずからの品位を汚す自殺行為であることを、厳しく指摘するものです。
 以上で日本共産党の討論を終わります。(拍手)

○山本委員長 次に、田代ひろし委員。

○田代委員 私は、東京都議会自由民主党を代表して、本特別委員会に付託された議案中、第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算外、知事提案にかかわる全議案に賛成する立場から、また、日本共産党から提出された編成替えを求める動議に反対する立場から討論を行います。
 さて、我が国経済がデフレを脱却できない中、景気、雇用対策など緊急に取り組むべき課題や、都市再生など東京の活力の再生に向けた課題が山積しております。
 一方、都財政は、十五年度の都税収が大幅減収となった前年度をさらに下回って、八年ぶりに四兆円を割り込むなど、大変厳しい状況が続いております。
 平成十五年度東京都予算は、こうした中で、財政再建推進プランの最終年度の予算として、財政構造改革に取り組みつつ、東京の再生に臨む予算として編成されております。
 財政再建の取り組みにより一般会計の歳出額を抑制しつつ、都市の再生と都民の安全、安心の確保に向けた施策展開や、ディーゼル車対策、中小企業、雇用対策など東京が直面する緊急課題への取り組み、三宅島などの災害への対応を初め多摩・島しょの振興策が盛り込まれており、我が党の主張を取り入れた内容となっております。
 それでは、本特別委員会で行われました議論等を踏まえながら、十五年度予算案の各分野の重要事項について申し上げます。
 まず、歳入のうち、都税収入について申し上げます。
 平成十五年度予算案における都税収入は、固定資産税、都市計画税の評価替えによる減少や、国の十五年度税制改正の影響などにより、同時補正後で三兆九千八十六億円と、前年度に比べ一千二百五十六億円、三・一%の減となっており、昭和六十二年度の水準まで低下しております。
 また、国の十五年度税制改正に伴い、同時補正予算案で五百五十五億円の税収減が見込まれております。我が党は、国税における法人税減税などにあわせ、今回の税制改正を通じて、我が国経済が一日も早く成長軌道を取り戻すことができるよう強く希望するものであります。
 同時に、景気や企業収益の状況を踏まえれば、今後、速やかな都税収入の回復も期待しがたく、引き続き負担の公平を図る観点から、総力を挙げて徴税努力に取り組み、予算計上額の確保に万全を期されるよう強く要望いたします。
 次に、都債について申し上げます。
 都債については、十五年度予算案において、同時補正後で四千三百五十億円と、前年度に比べ六百三十四億円の増を見込んでおりますが、これは、国の税制改正に伴い、減税補てん債五百五十五億円の発行を見込んだことが主な理由となっております。
 通常債は前年度とほぼ同額であり、起債依存度は地方財政計画に比べて大幅に低い七・六%にとどまっております。ここ数年は、都債の大量償還時期を迎えていることから、将来の財政運営に配慮して、引き続き都債発行の抑制に努めつつ、都債の適正な活用を図ることを要望いたします。
 次に、基金について申し上げます。
 十五年度予算案では、財源対策として、活用目的が特定されている社会資本等整備基金と環境保全基金など、三つの果実活用型基金から、合わせて九百十七億円が取り崩されました。その一方で、財政調整基金については、将来の財政運営への配慮から、今回取り崩しを見送った結果、その残高は、十一年度末の残高十五億円から、十五年度末見込みは一千九百一億円と回復いたしました。
 都財政は今後とも厳しい状況が続くと見込まれることから、今後とも、基金それぞれの設置目的を十分に踏まえ、財源としての有効活用を図れるように要望いたします。
 歳入の最後に、地方税財政制度の改善について申し上げます。
 十五年度の地方財政は、義務教育費国庫負担金を初め、国庫補助負担金の地方交付税、地方特例交付金による一般財源化が進められる一方で、国の税制改正に伴う地方税の減収に対して、財源措置として減税補てん債が発行され、その償還財源は交付税で措置されることとなりました。
 地方交付税制度が行き詰まりつつある中で、交付税頼みが進む実情が浮き彫りになっております。
 国は、夏ごろまでに、税源移譲、国庫補助負担金、交付税の三位一体の改革案を取りまとめることとしております。財政再建推進プランで最も改善の進まなかったところですが、地方自治体がみずからの権限と財源により、地域の実情に合った施策を柔軟に展開する真の地方分権の実現に向けて、今後も税財政制度の抜本的な改善に向けて、国に対して強く働きかけることを要望いたします。
 次に、歳出について申し上げます。
 初めに、中小企業雇用対策であります。
 長引く景気低迷の中で、中小企業を取り巻く経営環境や雇用情勢はますます厳しくなっており、雇用創出策や中小企業の支援、育成策が強く求められております。
 十五年度予算案では、中小企業対策は緊急課題として、事業再生融資の新設など、中小企業制度融資を質・量ともに充実しております。また、商店街支援のため、新・元気を出せ商店街事業など補助制度を充実するなど、商店街の活性化についても図られております。
 雇用対策では、緊急地域雇用創出特別基金事業により、雇用創出に取り組むとともに、求職者の多様化に対応した職業訓練を新設するなど、職業訓練がより求職者の実情に即したものとなっております。
 こうした内容は、我が党の主張が十分反映されたものであり、予算案に盛り込まれた施策が効果を最大限に発揮するよう万全の取り組みを求めます。
 次に、環境対策について申し上げます。
 都が都市として持続的に発展していくためには、自動車排気ガスを中心とした大気汚染やヒートアイランド対策、多摩の森林再生など、生活環境の改善に向けた取り組みが不可欠であります。
 本年十月からディーゼル車規制が施行されますが、その円滑な実施に向け、十五年度予算案では、厳しい財政状況の中でも、我が党の要望を受け、都独自の融資制度新設や融資規模を拡大するなど、融資や補助予算の大幅な増額がなされております。その上で、本予算の実効性を確保するため、自動車メーカーやディーラーが規制特需に乗じて不当な値上げをすることがないよう、強い態度で臨まれることを要望いたします。
 環境対策としては、このほかにも、新たな街路樹創出事業などヒートアイランド対策 や、多摩の森林再生計画に財源の重点配分がなされております。次代に良好な環境を残していくことは、我々の世代の責任であります。十五年度予算案に計上した事業を着実に推進し、生活環境の改善に向けて万全を尽くすことを要望いたします。
 なお、共産党提案の十五年度予算編成替え案では、廃棄物及び建設発生土の処分量が減少していることのみをもって、新海面処分場の建設費を削除するとの内容を提出されております。
 しかし、新海面処分場は、都民が安心して快適な生活を営むために、現在の処分方法として当面使用しなくてはならない処分場であり、また、建設のために必要な護岸整備には長い期間を要することを考慮すれば、早期に着実な整備を進めていくべきであり、ここは東京に残された最後の廃棄物処理場であり、共産党の提案は現状認識のない、見通しを欠いた無責任な主張といわざるを得ません。
 次に、都市の再生について申し上げます。
 日本経済の一日も早い再生は共通の願いでありますが、そのためには、経済の諸機能や人口の集中する東京の再生が不可欠であります。諸外国に比べて立ちおくれている道路、港湾などの都市の基盤となる施設の整備が、今ほど求められているときはありません。
 十五年度予算案では、環状第八号線や調布保谷線など幹線道路網を重点的に整備するとともに、日暮里・舎人線などの公共交通網の整備に積極的に取り組まれたい。
 また、違法駐車対策や鉄道の連続立体交差化の推進、首都高速道路の整備など交通渋滞の解消策が盛り込まれておりますが、さらに大規模公有地を活用したまちづくりや、汐留、秋葉原地区土地区画整理事業、都営住宅の再編整備に向けて新規事業を立ち上げ、魅力あるまちづくりに向けた施策の充実を図られることを望みます。
 都市再生の取り組みは、産業の活性化や生活環境の改善など、都民生活の向上につながるとともに、次代によりよい社会資本を残すものであり、十五年度予算案に盛り込んだ施策の確実な実行に努められるように強く要望します。
 共産党は、こうした都市再生は大規模開発であり、環境破壊の元凶であると単純に決めつけ反対しておりますが、東京は日本の首都として世界的な都市間競争に打ち勝ち、低迷する日本経済の再生のため、国際競争力を高めるための都市再生であり、本質を全く理解しない無責任な言動であります。
 次に、福祉・医療の充実について申し上げます。
 都民が地域で自立し、安心して暮らせるように、利用者本位の視点に立った福祉・医療サービスを提供する仕組みを構築していくことは、都民の切実な要望であります。
 十五年度予算案では、障害者の自立に向けた都独自の支援策として、障害者地域生活支援緊急三カ年プランに財源が重点配分されることに加え、認証保育所事業の拡充やひとり暮らし高齢者の地域で自立した生活を支援する仕組みの構築、小児救急医療の確保や開かれた医療を目指した電子カルテのネットワーク化の構築など、各世代の都民の期待に応じた施策が計上されております。
 都民が住みなれた地域で安心して自立した生活を送ることができるよう、引き続き、大都市の特性を踏まえ、福祉・医療の充実に取り組むことを要望いたします。
 これに対しても共産党は、福祉を取り巻く時代状況の変化をとらえられず、これまでの福祉政策をそのまま継続することのみに固執し、多様化する都民ニーズにこたえる利用者本位の福祉を実現するために、議会の議決を得た上で、区市町村の協力や都民の広範な支持も得て実施されている事実に目を背けています。
 福祉政策の充実を無視した上で、見直しのみを取り上げて、これをもとに戻せと主張しておりますが、時代認識を欠く極めて無責任な議論であることを指摘しておきます。
 次に、教育について申し上げます。
 次代を担う子どもたちによりよい教育を受ける機会を提供することは、我々大人の責任であります。二十一世紀の東京を担う人材の育成は急務であり、都は、自律経営推進予算など都立学校改革を通じ、積極的な取り組みを行っております。
 今後、さらに、学校、家庭、地域でのトータルな教育改革に取り組むビジョンを策定することとしておりますが、ビジョンの作成に当たっては、広く都民の意見を反映しなが ら、福祉や医療、産業などの分野との連携、協力も視野に入れ、検討を進められることを希望いたします。
 また、将来の東京を背負って立つ人材を育成する志をもって、都立学校改革や大学改革に万全を期されることを要望するとともに、子どもたちに正義感や倫理観、思いやりの心をはぐくむよう、知事の提唱する心の東京革命を推進されることを望みます。
 以上、十五年度予算に関連して申し上げてきましたが、最後に、知事が、就任以来取り組まれた財政再建について申し上げます。
 平成十一年、財政再建団体への転落の危機に直面した都は、平成十二年度から、財政再建推進プランに基づき、財政再建の取り組みを全力で進め、この間、財政再建団体への転落を回避するとともに、十五年度までに内部努力や施策の見直しなど、都が独力でなし得る目標については、すべて達成してきました。
 しかし、その一方で、プランの見込みを下回る都税収入や、さきにも申し上げました が、一向に進まない国から地方への税源移譲などを見ますと、財政再建を真に達成するにはまだ道半ばの状況にあります。東京の再生を目指す積極的な取り組みを行い、あすの東京を切り開いていくためにも、財政基盤の確立は不可欠であります。今後とも、内部努力や施策の見直し、再構築を徹底するなど、財政構造改革の取り組みを一層強力に進められることを要望いたします。(発言する者あり)
 東京都議会自由民主党は、都議会最大会派として、知事の進めてきた財政再建の取り組みを強力に応援してまいりました。今後とも、東京の活力の再生を目指し……

○山本委員長 発言を簡潔に。

○田代委員 新たな施策展開を行い得る強固で弾力的な財政体質の確立に向けて、都民を代表する立場から役割を果たしていくとともに、都民一人一人が夢と希望を持ち続けられるような輝かしい社会を築き上げていくために全力で尽くしていくことを申し上げ、討論を終わります。(拍手)

○山本委員長 田代ひろし委員の発言は終わりました。
 次に、谷村孝彦委員の発言を許します。

○谷村委員 私は、都議会公明党を代表して、本委員会に付託されました第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算外三十一議案に賛成し、共産党提案の一般会計予算編成替え動議については反対の立場から討論を行います。
 平成十五年度東京都予算案は、長期化する不況のもと、都税収入が、十四年度に引き続き約一千三百億円減と落ち込み、一般会計全体では、対前年度比三・〇%減という緊縮型予算案となっています。
 しかしながら、今日の最大の課題である景気、中小企業、雇用、福祉、教育、都市再生などの重要施策には、戦略的に対応するとともに、財源を優先的に配分しており、とりわけ福祉と保健の構成比は一二・四%と過去最高となっていることを評価するものであります。
 平成十五年度は財政再建プランの最終年度に当たりますが、一層の内部努力、施策の見直しに加え、職員定数削減については、本年を含め四年で五千八百七十五人の削減を実施し、また、監理団体の統廃合、団体職員の削減などを実施し、さらには、起債を四年連続抑制するなど、公明党が一貫して主張している行政改革への強い主張に沿うものであります。
 今後、都財政を取り巻く環境は、さらに厳しくなることが予想されます。地方税財政制度の改革に向けては、国に対してこれまで以上に強く働きかけていくべきであります。
 また、十五年度予算案においては、公明党の提案を受け、会計処理に複式簿記、発生主義会計を新たに導入する公会計制度改革の推進が盛り込まれたことを評価するものであります。
 あわせて、今後、都の予算執行が都民生活向上に具体的にどう貢献しているか、また、今日の最大の課題である経済の再生、景気対策や雇用対策にどのような波及効果をもたらしているのか、きちんとその事業効果を予測、計量して事業執行に当たるべきであります。
 外形標準課税訴訟については、さきの控訴審判決は、東京都敗訴というまことに残念な結果となったものの、条例の大宗部分については都の主張が認められました。
 銀行業等に対する外形標準課税は、憲法で保障された地方自治体の正当な課税自主権の行使であり、上告審においては、控訴審で指摘された税負担の問題について、都の主張の正当性を、より論理的、実証的に明らかにするなど、断じて逆転勝訴をかち取るべきであります。
 中小企業対策については、デフレの長期化と不良債権処理の加速化に伴い、中小企業に対する貸し渋り、貸しはがしが後を絶たない実態の中で、公明党の提案を受けて、都が実施した金融対策、中でも、いわゆる借りかえ融資は、資金繰りに苦しむ中小企業から大きな期待が寄せられています。
 しかし、金融機関側の消極姿勢で利用しにくい面も指摘されており、都は金融機関に対し、借りかえに協力するよう、強く働きかけるべきであります。
 商店街振興については、公明党はこれまで個店対策や人材育成にも支援の幅を広げるべきと主張してまいりました。その結果、新・元気を出せ商店街事業、輝け店舗支援事業、そして、進め若手商人育成事業という三つの事業で、商店街振興の総合対策が再構築されることを評価いたします。
 この三事業は、いわば三位一体の商店街振興事業であり、各事業の効果を高めるためにも、総合的に実施されるべきであり、同時に、継続的な事業となるよう要望するものであります。
 知的財産権である特許権、技術の評価システムの構築については、公明党の提案を受けて、知的財産総合センターを東京都中小企業振興公社の中に設置することになりました。特許技術を証券化し、マーケットで直接投資を受けられるアメリカに比べ、日本はまだおくれており、この一点を突破して、中小企業再生に向けて全力で取り組むべきであります。
 雇用対策については、今日の厳しい雇用情勢に的確に対処していくため、地域の実情に応じたきめ細かな雇用・就業対策を講じる必要があります。
 無料職業紹介権が地方公共団体に付与された場合に備え、大都市の持つ特性に対応した都独自の施策の構築に着手すべきであります。また、地方自治体に職業紹介権がない現在でも、雇用対策の新たな環境整備を積極的に図るよう要望いたします。
 貸金業対策については、公明党の提案を受け、貸し金被害受け付けダイヤルが設置され、休日、夜間にも激増する苦情相談に対応することが可能となりました。さらに、被害防止や被害者救済のためのネットワーク形成に取り組み、貸金業対策室に隣接した弁護士や司法書士の相談窓口の設置を推進すべきであります。
 震災対策については、ことしは関東大震災から八十年目に当たり、改めて国に対して、全国単位の防災対策の体制強化と都における東海、東南海、南海地震の同時発生も視野に入れたスーパー広域災害対策の検討を強く求めるものであります。
 また、基幹的広域防災拠点の整備に当たっては、臨海副都心全体で、有明の丘の防災機能をバックアップできる体制を整え、国と七都県市間の連携を一層強固なものとし、必要なシステムの整備を行うべきであります。
 福祉施策については、養育家庭制度をより多くの都民が参加できるように拡充すべきであり、あわせて養育家庭の専門性を高めるとともに、手当の増額など養育家庭を支える必要があります。
 また、障害者福祉については、支援費制度が導入されますが、ホームヘルプサービスの利用者負担については、一カ月当たりの限度額が設けられ、障害者がこれまでと同様の水準でサービスを受けられ、また低所得者の方々への無料制度が継続されることになったことを高く評価いたします。
 障害者施設に対する都の民間社会福祉施設サービス推進費補助については、公明党の提案を受け、来年度は経過的措置が講じられることになったことを評価します。
 三宅島の介護保険料については、避難生活の続く島民の過大な負担とならないよう、国と協調して、都が財政支援を行うとしたことを評価いたします。
 東京発医療改革の中核である都立病院改革は、都立病院改革実行プログラムが策定されましたが、大久保病院、多摩老人医療センター及び荏原病院などの公社病院化に際し、提供する医療の質やサービスが低下しないよう、地域住民が安心して利用できる医療の提供体制を整備するよう強く要望いたします。
 都議会公明党が提案してきた女性専用外来を初めとする専門外来の設置は、都立病院だけにとどまらず、地域病院と位置づけられる公社化病院にも設置されるべきであります。
 また、小児医療については、行政的医療と明確に位置づけ、都としての取り組みを強化することを要望いたします。
 教育については、国語力向上に関する公明党の提言を受け、子どもたちが読書に親しむ環境づくりに向け、学校、家庭、地域社会等で積極的に取り組む子ども読書活動推進計画を当該年度内に策定するとしたことを評価します。
 加えて、公明党が主張した美しい日本語教育推進校や児童生徒の文芸創作活動に対する支援制度についても、効果的かつ具体的な施策の実現に向けて努力されることを要望いたします。
 公明党の提案を受け、十五年度予算の中に都立高校の自律経営推進予算が盛り込まれました。
 学校経営計画は、数値目標を設定することにより、教育活動の達成状況が明らかになり、都民の目から見ても、学校の取り組み状況が理解しやすくなります。
 この事業の実施に当たっては、校長に学校経営における十分な裁量権限を持たせるとともに、経営ビジョンの実現に資するための人事異動要綱を見直し、校長の人事構想をより一層反映させるため、校長の意向を優先できるものとなりました。
 学校改革を推進する主幹制度については、学校長を中心として、学校を組織的に機能させるため、教職員の協力体制を築きながら制度の定着に努めるべきであります。
 残留農薬対策については、都内全域を対象に、農家や農業協同組合が自主的に行う土壌の残留農薬検査について、積極的な支援を行い、残留農薬が検出された農地での転作指導及び土壌改良について、きめ細やかな指導を行うとともに、効果的な土壌改良の手法を確立することを要望します。
 なお、日本共産党提案の一般会計予算編成替え動議について一言申し上げます。日本共産党提案の編成替え案は、都財政の現実を無視したものであり、到底容認することはできません。
 すなわち、詳細な財源の裏づけもなく、過去の政策を羅列しただけで、しかも毎度おなじみのパターンでありますが、予算審議の段階では組み替え案を提出せず、すべての予算審議が終了した段階で突如として提出してきており、単なるつじつま合わせとしかいえません。
 共産党の組み替え案には反対であることを表明し、私の討論を終わります。(拍手)

○山本委員長 谷村孝彦委員の発言は終わりました。
 次に、相川博委員の発言を許します。

○相川委員 私は、都議会民主党を代表して、本委員会に付託された第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算外、知事提出の全議案に原案賛成の立場から討論を行います。
 平成十五年度東京都一般会計予算の規模は、都税収入が八年ぶりに四兆円を割り込む中で、歳出を厳しく抑制し、前年度に比べて三・〇%減の五兆七千二百九十五億円となっており、政策的経費である一般歳出も、前年度に比べて二・三%減の四兆二千七百四十七億円となっています。これは、ピーク時である平成四年度予算に比べて約二兆円、財政再建推進プラン取り組み前の十一年度予算に比べると、約七千億円も下回るものであります。
 一般歳出における投資的経費は、国庫支出金の確保に努めた結果、ほぼ前年度並みを確保していますが、経常経費は、マイナス給与改定や臨時的な給与削減措置により三百二十五億円、施策の見直しなどにより七百十九億円、合計一千四十五億円の削減を図り、前年度比二・八%の減となっています。
 このことは、都のさまざまな取り組みにもかかわらず、都税収入がなかなか伸びず、繰り返し施策の見直しを求められ、マイナス予算を編成せざるを得なくなっている現状を示しているものと考えられます。この現状が改善されなければ、給与関係費の削減を初めとした内部努力にとどまらず、都の歳出の一三%を占める補助費等のより一層の見直しも必至となります。
 都民生活を守り、税源を涵養していくためにも、羽田空港の早期再拡張や三環状道路の整備促進とともに、広域的な観点から、道路のボトルネック解消を初めとして産業活動にかかるコストを削減し、より経済の活性化に結びつく事業に積極的に取り組む必要があると考えます。
 その意味でも、投資的経費をほぼ前年度並みに確保したことは評価されてよいと考えますが、過去に大量発行した都債償還のピークを控えているとはいえ、通常債の発行は平成十、十一年度の五千億円台に比べて、平成十五年度は二千七百八億円とほぼ半減しています。経済動向いかんでは、都債の追加発行による投資的経費の増額も考慮すべきであると考えます。
 次に、予算の各分野について申し上げます。今定例会では、東京のしゃれた街並みづくり推進条例が提案されています。これに関連して、私たちは都市の将来ビジョンを明確に位置づけることの必要性を指摘してまいりました。また、二〇〇三年問題など、オフィスの供給過剰問題が指摘されていることからも、オフィスの需要と供給の将来予測を踏まえて都市づくりを推進すべきだと主張してまいりました。
 都においては、これら私たちの指摘を踏まえて、適切に取り組まれることを強く求めるものであります。
 また、東京のしゃれた街並みづくり推進条例に盛り込まれている街区再編まちづくり制度や街並み景観づくり制度が、より多くの地域で活用されるよう、都の積極的な取り組みを改めて求めるものであります。
 なお、東京臨海高速鉄道株式会社への損失補償に当たっては、責任の所在を明確にするとともに、会社の収支計画を厳密に定め、都民への説明責任を果たされることを要望しておきます。
 次に、環境対策について申し上げます。
 まず、ディーゼル車規制については、融資あっせんやDPF等の補助制度の充実、前倒し、補助金の申請を整備工場などがかわって実施できるような工夫、ホームページの改善も含めた相談窓口の充実など、これまで私たちが述べてきました施策を確実に講じることによって、十月からの規制が混乱なく導入できるよう万全を期することを求めるものであります。
 また、地球温暖化対策においては、零細な事業者の負担にも配慮しつつ、二酸化炭素の排出削減の義務化について検討するとともに、学校と連携した環境教育の実施など、環境審議会答申を待たずに、実施が可能な施策について積極的に展開されることを求めるものであります。
 さらに、多摩木材の利用推進や森林経営が経済的に成り立つための仕組みづくりを検討することなど、東京の森林を再生させるとともに、里山保全地域などの指定を積極的に進めることを求めるものであります。
 次に、産業振興についてであります。
 産業振興については、地域での核となり得る産業を発掘し、活用する地域資源活用型プロジェクト支援事業や事業型NPO支援事業を創設するなど、新たな視点の産業振興に積極的に取り組むことを求め、また、観光産業の振興に当たっては、東京の伝統工芸品についても積極的に活用することを主張してまいりました。これら施策が着実に取り組まれることを要望するものであります。
 中小企業対策としては、十五年度予算の途中であっても、制度融資目標額の柔軟な引き上げを行う旨の方針を示したことは大変評価いたしますが、融資枠いっぱいに借り切っている中小企業の実態にかんがみ、金融アセスメント条例の検討も含めた中小企業への資金調達のあり方についても、幅広く検討することを改めて求めるものであります。
 また、やみ金融の排除に向けて、警視庁との連携強化や相談窓口の設置など、体制強化を図るとともに、より厳格に取り締まるために、やみ金融対策法の制定を含め、国に対して必要な法改正を求めることを要望しておきます。
 さらに、商店街にかかわる施策については、ハード、ソフト両面から包括的に施策が展開できる新・元気を出せ商店街事業が創設されましたが、この事業が区市町村のまちづくり施策と連携したものになるよう、積極的に取り組むとともに、特にこれらの事業については、その効果、成果を十分に検証することを求めるものであります。
 次に、福祉施策について申し上げます。
 平成十五年度から障害者分野における支援費制度がスタートいたします。これに伴い、だれもが安心して利用できるための多様なサービスの提供体制、第三者サービス評価や福祉情報システム、福祉サービス利用援助事業など、利用者支援の仕組みづくりを進められていることは評価をいたします。
 しかし、利用者の選択が可能となる新たな制度が実施されるにもかかわらず、サービスの供給体制はいまだ十分とはいえないことから、より一層のサービス充実のため、既存施設の役割転換や民間サービス事業者の参入を促すよう要望いたします。
 また、男女平等施策については、男女平等推進基金の廃止により、施策が後退することのないよう積極的かつ総合的な取り組みが必要であります。特に、配偶者などの暴力については、被害者の救済、自立支援を含めた支援策を充実強化するとともに、加害者が暴力を繰り返さないための相談等の対策を実施することが必要であると指摘しておきます。
 雇用の分野における平等参画については、ポジティブアクション実践プログラムを作成し、各企業が積極的に男女平等参画を進める際のマニュアルづくりを行っている点は評価するものでありますが、この活用を促進するための具体的方策が今後の課題としてあることを指摘しておきます。
 教育行政においては、平成十三年度からすべての都立高校に学校運営連絡協議会を導入し、地域や保護者の方々で構成する評価委員会を設置していますが、学校評価に当たっては、各都立高校個別の対応にとどまらず、すべての都立高校の改善が進むよう、全都立高校の評価を行って、その結果について都民に公表するよう求めておきます。
 また、教育環境の整備を一層進めるとともに、特に、盲・聾・養護学校におけるIT教育は、障害のある児童生徒の能力や可能性の発揮、伸長に大きく寄与することから、IT教育機器の整備、更新とその有効活用を進めることを求めるものであります。
 今後限られた財源のもとで、景気回復と財政再建を両立させるためには、より一層の財政構造改革が欠かせません。それは私たち議会の側にも厳しい決断を迫ることにもなりますが、都民福祉の後退となることのないよう、知恵を出し、工夫を凝らされるよう求めておきたいと思います。
 以上で、都議会民主党を代表しての討論を終わります。(拍手)

○山本委員長 相川博委員の発言は終わりました。
 次に、山口文江委員の発言を許します。

○山口委員 私は、都議会生活者ネットワークを代表して、本委員会に付託された第一号議案、平成十五年度東京都一般会計予算外三十一議案に賛成、日本共産党都議団提出の編成替え動議には反対する立場から討論を行います。
 本年度も、都は、財政再建推進プランに基づく財政再建の取り組みを進めてきましたが、プラン策定時の見込みを大幅に下回る都税収入であり、深刻な事態は短期的ではありません。こうした状況は、税収入構造が法人二税に依存した不安定なものであることや、国からの税財源の移譲が不十分であることが要因です。このため、今回財源不足への対応として基金の取り崩しや退職手当債の計上など、二千四百九十七億円の財源対策がとられました。
 一方、今回都債の発行は、極力抑制したとしていますが、予算編成方針にある都市再生関連のためか、四千三百五十億円で、前年度より六百三十四億円増加させており、依然高目の水準にあるといわなければなりません。都債発行額は、同時補正を含めて四千億円を超え、四年連続で増加しています。これ以上将来世代への先食いを続けることは許されるものではありません。
 補正も含め建設、都市再開発事業にばらまき型の予算編成がされ、過去の過大な公共投資にあらわれる財政体質の改善と財政再建は本質的意味において達成されていないと考えます。
 財政再建には大きな政治的イニシアチブが必要ですが、機能するバランスシートの活用はその重要な一つの手段です。平成十八年度には複式簿記化も決定しており、バランスシートづくりと連結決算を提案した四年前には考えられなかったような会計改革が進んでいます。十八年度の会計改革を電算の統一化のみに終わらせず、活用の仕方を示していく必要があると考えます。
 営利を目的とする企業とは異なり、地方自治体のバランスシート導入の目的は、世代間の公平性の確保とすべきであり、これを予算に活用して初めて財政改革につながります。
 さらに、今後は、予算化する事業については、予定貸借対照表を作成し、事前評価を行い、施策決定することを検討すべきです。都が出した社会資本の維持更新需要額の将来推計と予定貸借対照表の作成とをリンクさせれば、将来投資の計画も可能となります。
 当面、平成十八年度の会計改革を待つことなく、機能するバランスシートマニュアルを活用し、大規模公共事業の事前評価に予定貸借対照表の考え方を導入すべきであることを強調しておきます。
 また、東京都の水需給計画と実績は、大きく乖離しており、早急に実態として現に水源である地下水を正規の水道水源と位置づけ、水余りの状況や今後の人口減少時代を踏まえた適正な水需給計画を策定し、八ッ場ダムを初めとする新たな水源開発は見直すべきと考えます。
 財政構造改革の最大の課題は、公共事業を、欧米諸国と比較しても巨大な従来の土木事業型から、福祉や次世代への投資としての教育へ転換することです。
 厳しい財政状況の中でこそ、予算編成については、その政策判断が問われます。この観点から、食品安全条例の制定や有害化学物質ガイドラインの策定と、これに伴う予算措置については大いに評価するものです。
 しかし、中途議決で決定された男女平等推進基金と国際平和文化交流基金の二基金の廃止について再度申し上げておきます。そもそも特定目的基金とは、だれが知事であっても、事業を安定的、継続的に推進する政策的必要性が認められるからこそ独立性を確保し、設置されたものです。
 東京女性財団の廃止に続く男女平等推進基金の廃止は、これらの施策が男女平等参画施策のシンボルでもあっただけに男女平等施策後退の印象はぬぐえないばかりか、極めて恣意的であるといわざるを得ません。
 本議会の議論では、財政論がこの施策後退の理由とされました。超低金利により果実が少ないという理由から、基金残高約百七十億円を財政調整基金に積むとしていますが、来年度の一般会計予算編成での財源不足に備えるとしています。その財政論を踏まえてもなお、少子高齢社会における重要な施策である男女平等、子ども、NPOを政策的下位にみなす傾向があることを指摘せざるを得ません。
 最後に、都が率先して行うべきこととして、地方分権の進展を踏まえ、税財源の地方への移譲を、他の自治体と連携して積極的に国に求めることを指摘して、都議会生活者ネットワークの討論といたします。(拍手)

○山本委員長 山口文江委員の発言は終わりました。
 以上をもちまして討論は終了いたしました。

○山本委員長 これより採決を行います。
 初めに、大山とも子委員外四名から提出されました第一号議案、第十二号議案、第十六号議案、第二十号議案、第二十一号議案、第二十三号議案、第二十九号議案及び第百四十一号議案に対する編成替えを求める動議を一括して採決いたします。
 本動議は、起立により採決いたします。
 本動議に賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○山本委員長 起立少数と認めます。よって、本動議は、いずれも否決されました。

○山本委員長 次に、第一号議案、第二号議案、第十一号議案から第十四号議案まで、第十六号議案から第二十四号議案まで、第二十六号議案、第二十七号議案及び第二十九号議案を一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○山本委員長 起立多数と認めます。よって、第一号議案、第二号議案、第十一号議案から第十四号議案まで、第十六号議案から第二十四号議案まで、第二十六号議案、第二十七号議案及び第二十九号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。

○大山委員 ただいま廃棄されました我が党の意見は少数意見として留保いたします。

○山本委員長 ただいま大山委員から少数意見として留保したい旨の発言がありましたが、本件は、会議規則第六十七条の規定により、二名以上の賛成者を必要といたします。
 大山委員の発言に賛成の方はご起立を願います。
   〔賛成者起立〕

○山本委員長 賛成者二名以上であります。よって、本件は、少数意見として留保されました。
 なお、少数意見報告書は議長に提出いたしますので、速やかに委員長までにご提出を願います。

○山本委員長 次に、第三号議案から第十号議案まで、第十五号議案、第二十五号議案、第二十八号議案、第三十号議案、第三十一号議案及び第百四十一号議案を一括して採決いたします。
 お諮りをいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認めます。よって、第三号議案から第十号議案まで、第十五号議案、第二十五号議案、第二十八号議案、第三十号議案、第三十一号議案及び第百四十一号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査は終了いたしました。

○山本委員長 なお、委員会審査に関する委員長の口頭報告につきましては、理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○山本委員長 この際、石原知事から発言の申し出がありますので、これを許します。

○石原知事 ただいまは平成十五年度予算案を可決いただきまして、まことにありがとうございました。審議の過程で賜りました貴重なご意見、提言等につきましては、十分に尊重させていただき、今後の都政運営に万全を期してまいりたいと思います。
 委員長初め委員の皆様の長時間にわたる熱心な審議に対し、心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

○山本委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも一言ごあいさつを申し上げます。
 二月十四日の委員会発足以来、付託されました平成十五年度予算につきまして、連日、長時間にわたりさまざまな角度から精力的に審査を重ね、発想豊かに、あるときには力強くちょうちょうはっしと活発、かつ、きめ細やかに質疑、議論されましたことに心から敬意を評するものであります。
 特に、今回は依然として非常に厳しい都財政の事情が続く中に、首都東京を再生し、活力あふれる都民生活を実現するため、極めて重要な意味を持つ予算特別委員会でありました。
 本日、ここに無事最終日を迎えることができましたことは、ひとえに三副委員長さん初め理事の皆様並びに委員の皆様方のご理解、ご協力のたまものであり、心から感謝を申し上げる次第であります。
 また、石原知事初め理事者の皆様にも、連日、長時間にわたり大変ご苦労さまでございました。改めてお礼を申し上げたいと存じます。
 なお、審査の過程で出されました問題点や意見につきましては、今後の都政運営に十分反映していただき、都民の期待にこたえられますよう、ひとえにお願いを申し上げます。
 最後に、今日、今、生かされている我々の本委員会における審査の成果が必ずや将来の都政に大きく貢献されることを確信いたしまして、私のあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後二時八分散会

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