東京都議会予算特別委員会速記録第五号

   午後三時四十三分開議

○森田副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 中嶋義雄委員の発言を許します。

○中嶋委員 フライングから始まってしまいまして、若干気恥ずかしいんですが、しっかりと締めくくり質疑、よろしくお願いしたいと思います。
 最初は、財政問題について質問をいたしたいと思います。
 本会議代表質問でも申し上げましたが、平成十五年度東京都予算案、この案は知事初め、都当局の苦心の跡がよくうかがえる、そういう予算案であると我々は考えております。とりわけ、それは財政再建の取り組みに極めて顕著にあらわれていると、こういっても決して過言ではございません。
 財政再建推進プランの具体的方策で挙げた目標は、国との関係が強い税財政制度の改善を除き、すべて目標を達成いたしました。
 これについては、よくぞなし遂げられたと、しみじみと思います。以前の知事なら決してできなかったであろうと。現知事のリーダーシップ、そして理事者初め、職員の皆さん方の、まさに努力の成果にほかならないというふうに思っておりますし、私も政治に携わる者の端くれの一員として、大変に学ぶべきことの多かった財政再建への過程であったと、このように実は正直に思っております。
 一部に、背に腹はかえられなかったなんていう皮肉なことをいう人もおりますが、決して私はそうは思っておりません。ぜひ、今後ともご努力をお願いしたいというふうに考えます。
 さて、そこで、次の問題は、今後の財政再建への道筋をいかにつけるか、これが重要でございます。
 知事は、さきの本会議代表質問におきまして、我が党の石井幹事長に、新しい財政再建プランの必要性があると、こういう答弁をされました。
 今後は、今までにも増して厳しい取り組みが強いられる、こういって間違いございません。現在の経済情勢を勘案すれば、現プランより、さらに外部環境は厳しくなると、そういう覚悟を定めて、次の財政再建推進プランの策定に当たらねばならない、こう考えております。
 そこで、まず第一の質問でございますが、今後の税収の見通しでございます。
 前年度、都税はマイナス三千五百六十二億円という大幅な減少となりまして、十五年度はそこからさらに千二百五十六億円下回って、八年ぶりに四兆円を切った三兆九千八十六億円まで落ち込んだと。
 これを考えても、今後の見通しは大変に厳しいと思いますが、改めて確認の意味で当局の認識をまずお示し願いたいと思います。

○安間主税局長 今後の税収見通しについてのお尋ねでございますが、まず第一に、都税収入の大宗を占める法人二税をどう見るかでございます。内外の経済環境や企業収益の動向等を直接反映することから、景気動向に左右されやすい特徴を持っております。
 現在、緊迫するイラク情勢など、世界経済が不透明感を増す中で、国内ではデフレの進行や個人消費の低迷に加え、輸出、生産の伸び悩みなどから、企業収益の改善におくれが見られ、法人二税の急速な伸びは期待できない状況でございます。
 第二は、国の税制改正の影響であります。
 大型の先行減税を伴う十五年度税制改正では、都税全体で五百五十億円を超える減収となり、さらに先行減税は平成十七年度まで続くこととされております。
 これらの点を勘案いたしますと、今後、当分の間、都税収入は大変厳しい状況が続くものと考えております。

○中嶋委員 いうまでもなく、大変に厳しいと、こういう答弁でございました。
 さらにお尋ねしますが、現在の財政再建推進プランの目標は、財政再建団体への転落を回避するとともに、十五年度までに巨額の財源不足を解消すること、これが実は目標の第一番目。
 第二番目の目標は、経常収支比率を十五年度までに当面九〇%以下の水準に引き下げるということだったはずでございます。
 先ほど、財政再建への取り組みを評価させていただきました。確かに、繰り返しになりますが、具体的方策である内部努力、施策の見直し、歳入確保などは見事な成果を示しています。
 しかし、今挙げました二つの目標、オーバーにいえば財政の質的な側面に関しては、いささか辛口の質問をせざるを得ません。
 財務局長にお聞きしたいと思いますが、巨額な財源不足の解消、あるいは経常収支比率の九〇%以下への引き下げ、こうした点での現状への評価、そして、次のステップで必要となる目標についてどのようにお考えか、見解をお示し願いたいと思います。

○田原財務局長 財政再建推進プランの目標に対して、まず財源不足の解消につきましては、プランの財源確保目標額六千三百億円に対しまして、都が独力で取り組み可能なものはすべて達成することになりました。
 しかし、その一方で、地方税財政制度の改善が一向に進みません。また、都税収入が大幅に落ち込んだことによりまして、十五年度予算でも二千五百億円に上る財源対策を行わざるを得ない状況がございます。
 また、経常収支比率につきましては、十一年度の一〇四・一%から、十三年度決算では九二・四%まで改善が進みました。
 しかしながら、十四年度以降、都税収入が大幅に減少していることから、目標の九〇%以下、この水準に向けては、なお相当の努力が必要であると思っております。
 このように、現行プランの目標に対しましては、着実に成果を上げてきてはいるものの、その達成にはいまだ至っていないと考えております。
 このため、新たなプランの目標を考えるに当たりましては、これまでのプランの目標を念頭に置きながら、身の丈に合った歳出水準の実現や財政の健全性の確保を目指しまして、今後、具体的に検討してまいる必要があると思います。

○中嶋委員 先ほど、前の自民党の議論でも、身の丈に合った歳出水準の実現という言葉が知事からもございました。実は、身の丈に合った水準というのは一体何なのかというのが本当は議論の中身でありまして、これはいずれやりたいと思っておりますが、さらに財政再建推進プランについてお尋ねしますけれども、したがって、プランのあり方といいますか--具体的方策が達成いたしました。いってみれば、定量的な目標はかなりの程度達成できたと。次は、多分経常収支比率も含めてだと思いますが、いってみれば定性的な目標のあり方みたいなものを考えていかなくちゃいけないと思います。
 それはさておきまして、知事初め皆様方の努力で、行政改革は着実に進展をいたしました。しかし、先ほどの答弁でもございましたが、十五年度予算では依然として二千五百億円もの財源不足が存在すると。現プランの目標であった財政再建団体への転落を回避、この点ですが、これは一〇〇%回避できたのかどうか、まだ判然と見えてまいりません。現状の判断を、あるいは見通しを明らかにしていただきたいと思います。

○田原財務局長 今後の財政収支の見通しにつきましては、中期的に見ますと、低成長が続く中で都税収入にその伸びを期待することができない一方で、歳出面では、高齢化に伴います社会福祉関係費の増加、それから公債費の増加などが見込まれておりまして、このまま手をこまねいていれば、毎年度三千億から四千億円の財源不足が生じることが考えられます。
 この財源不足額は、十四年度の赤字限度額約二千八百億円を上回るものでありまして、財政再建団体転落の危険性をなお有したものであると考えております。
 このため、地方税財政制度の速やかな改革を国に強く求めるとともに、厳しい内部努力や聖域のない施策の見直しなどの取り組みをこれまで以上に踏み込んで行いまして、歳出の一層の削減を図ることによって財政再建団体への転落を、当然のことでありますけれども、回避をしていく必要があろうと考えております。

○中嶋委員 ここでも大変厳しいと。余りこの議論を続けていくと、厳しい話ばっかりで盛り上がらないんですが、まあ一応の決着はつけねばなりません。
 で、引き続き歳出の削減に取り組んでいかなくてはいけないと。歳出の削減で、これまではシーリング方式、これを採用してきました。しかし、考えてみますと、このシーリング、ややもしますと、各局が政策や事業の主体的な選択、取捨選択を回避して、いってみれば面倒な議論を避けるために、面倒な議論を避けるために、安易な一律削減と、こういってしまう。つまり、経常経費は一律一〇%カットだよ、二〇%カットなんだ、これを持ってきちゃうと、もう議論はそこでストップと、果たしてこれでいいのかという議論がそろそろ必要だろうというふうに思います。
 もう少し政策や事業についてプライオリティーをつけるやり方、シーリングにかわるやり方を模索すべきではないかと、実はこう考えているんですが、シーリング方式の活用の限界、あるいは新たな手法の導入についても見解をお示し願いたいと思います。

○田原財務局長 シーリングというやり方は、予算要求段階から各局の歳出の大枠に厳しい限度額を設けることによりまして、経費の節減を図るとともに、各局みずからが施策や事業そのものの見直しを進めるための手法として活用してまいりました。この方式は、財政再建推進プランの財源確保の取り組みの上でも大きな効果を上げてきたものと思っております。
 ただ、しかしながら、マイナスのシーリング方式を長く続ける中で、ご指摘を今いただきましたが、ややもすると広く薄くの削減になりがちなところが一部見られることも、これまた否めないと思っています。
 今後とも、厳しい財政環境が続くと見込まれる中で、財政再建の取り組みを強力に進めていくためには、各局がそれぞれの施策について、その根本にまでさかのぼった、思い切った見直しといいましょうか、これを徹底して行うことによりまして、歳出の一層の削減を図っていくことが必要であろうと思います。
 そのためには、ご指摘のようにシーリング方式だけに頼った削減には一定の限界があります。新たな仕組みの導入も必要であろうと考えております。

○中嶋委員 そうなんですね。広くて薄いシーリングの安易な強要というのは、実は行政改革、行財政改革の本来の目的から逸脱をしていると、そういわざるを得ません。各セクションがみずからの事業を効果の検証もなしに後生大事に抱え込んでいるだけでは、事は何も進展しないという当たり前のことをやはり再確認しておかないと、今後の改革は多分進まない。
 我が党は、複数年度会計とか公会計の改革を訴えてまいりました。これに関連して、キャップ制という考え方もあるそうでございます。もちろんこのキャップ制も、シーリングの陥りやすいわなにはまりやすい側面はあるにしても、しかし、新しい会計制度を模索する上でこのキャップ制も検討の余地はあると、こう考えておりますので、ぜひ内部的に研究、検討をしていただきたいと思います。
 財政の最後で、まだ正式に出馬の表明をなさっておられない知事に聞くのは若干恐縮なんでございますが、新たな財政再建推進プランをめぐる議論をお聞きになって、特別な思いあるいは感想がございましたら、お聞かせ願いたいと思います。

○石原知事 いずれにしろ、次がだれがやろうと、とにかく今日の財政状況の中では、新規の財政再建推進プランをつくらなければ、とてももちませんし、このままずるずる土俵を割って再建団体に転落すれば、再三申してきましたように、ナショナルミニマムなるものを押しつけられて、都独自の福祉も後退するでしょうし、あるいは、例えば、国にある意味では抵抗してやっているディーゼル対策なども、過ぎたるものということでネグらざるを得ないと、いろいろな障害が出てくると思いますし、また、今までの努力が水泡にも帰しかねないという気がいたします。
 その意味で、現況、瀕死の状況を脱してはいますが、といいたいが、まあ瀕死の状態ですな。俵を伝って、要するに土俵を割らずに逃げ回っているという感じは否めないのでありまして、かといって、画期的な策があるかといえば、とてもなかなか及びつきません。
 いずれにしろ、これからの取り組みは容易じゃございませんし、まあ、一方では、東京都が小さくあけた風穴がどれほど広がりますか、いずれにしろ自治省も企業に対する外形標準を決めたようでありまして、その他この他、やはり都が働きかけて国に税財源の分与というものをもっと広範囲に、たとえ小さなものでも具体的に数多く行わしめることで、東京に限らず、地方の分権の独立というものも可能だと思いますし、財政の再建も可能だと思います。その努力を続けてまいります。

○中嶋委員 ぜひご努力をお願いしたいと思います。
 続きまして、福祉問題について質問をさせてもらいたいと思います。
 福祉の原点は、よく障害者福祉であると、こういわれます。例えば北欧では、先天的な障害者は、いつの時代もどこの地域でも必ず人口の一定割合生まれてくる、であるならば、障害というものはだれが背負って生まれてきても不思議はない、したがって、障害者問題は、個人や家庭の問題というより、社会総体で担うべき問題であるというのが一般的な認識であるようでございます。まして後天的な障害となると、病気や事故に遭遇する可能性はどなたにもございます。また、加齢、つまり年をとることによる障害や衰弱は、これはもう生物の必然でございます。この観点からも、北欧の認識は傾聴に値をいたします。
 そうした意味から、東京都が障害者の地域における自立生活を保障するため、新たな福祉改革に取り組んでおられることは評価いたします。障害者であれ、児童、高齢者であれ、だれであれ、可能な限り地域で自立した生活を送る、これが幸せの原点でございます。
 ところで、障害福祉分野におきましては、この四月から、利用者みずからが必要なサービスを選択して、契約によりサービスを利用する支援費制度が始まりますが、サービス量が果たして確保できるのかどうか、これが一番、今の焦点でございます。
 冒頭、この点では東京都は頑張ってくれました。都道府県の先頭を切って厚生労働省とやり合っていただいて、まずヘルパー派遣事業は現行水準を維持した、こう報じられましたが、確認の意味で再度、局長、報告をお願いしたいと思います。

○川崎福祉局長 ホームヘルプサービスの国庫補助金に対する基準導入に際し、都はサービス充実に努めてきた立場から、全国一律の基準を設けないよう国に強く申し入れ、粘り強く協議を行ってまいりました。
 都の要望等を受け、国は従前の補助額を確保するとともに、今後の基準のあり方等を検討する検討会を設けることといたしました。これにより、当面は、従来のサービス水準を維持するための財源は確保できるものと考えております。
 さらに、今後、国の検討会に対して、都の実情を適正に反映した基準とするよう働きかけ、財源の確保とサービス水準の維持向上に努めてまいります。

○中嶋委員 ぜひ支援費制度の定着に向けて、福祉局の取り組みをお願いしたいと思います。
 さて、この支援費制度における主たるサービスの提供者は事業者でございます。その指定は都が行うと、こうなっているそうです。したがって、サービス確保、サービス確保にかかわる都の責任は極めて重大であると、こういわざるを得ません。
 そこで、サービスが確保できるのかどうかという観点から、事業者の申請状況は今どうなっているのか、これを明らかにしていただきたいと思います。

○川崎福祉局長 都は現在、在宅サービスについては一千四十四件の申請を受理しております。
 また、施設については、現に運営されている支援費制度対象の二百三十八施設に、新規開設予定の二十施設が加わり、二百五十八施設となる予定でございます。

○中嶋委員 支援費制度は、いうまでもなく利用者がみずからサービスを選択して契約できることが眼目でございます。今の話ですと、申請状況では十分だと、こういうお話です。この数で、実は現行サービス水準は維持できると、こういう判断なんですか。

○川崎福祉局長 在宅サービスについて都が受理した一千四十四件の申請に、区市町村が独自に認定する予定の基準該当事業者約百四十を加えますと、現在の事業者数九百六十を二百以上上回る約一千二百の事業者の確保が見込まれます。
 こうしたことから、本年四月の支援費制度開始時において、施設と合わせて現在以上の事業者数を確保でき、サービス水準は維持できるものと考えております。

○中嶋委員 区市町村認定の基準該当事業者を加えると、都においては全体としてかなりの数の事業者となって、現在の事業者九百六十名を二百以上上回る千二百近いということで、ほぼ充足できる、こういう状況だと理解をいたしました。さらにサービス基盤の整備のために積極的な努力をお願いしたいと思っております。
 これに関連いたしまして、我々公明党はかねてから、地域生活への移行を希望する障害者を支援して、親亡き後の不安の解消、親亡き後の不安の解消を図るべきだと何度も主張してまいりました。これを受けて東京都は、昨年十一月、障害者地域生活支援緊急三カ年プランを発表されたことは、高く評価しております。しかし、プラン発表後もまだ、地域の生活基盤の整備は質、量ともに不十分といわざるを得ません。
 特に、保護者の急病などのときに、緊急時に障害者を預かるショートステイ、これが大変足りないと、あちこちからそういう声を聞きます。とりわけ区部に少ない、区部に少ないと、こういう地域的な偏在の問題もございます。
 原因は、皆さんご存じかと思いますが、国がショートステイの設置要件として入所施設への併設しか認めていない、ここに実は根本的な問題があると。地価の高い東京では、そんな簡単に入所施設はふやすことはできません。したがって、この制限のためにショートステイもふえない。だったら、何か工夫を凝らすべきだろうと。何かこうした状況を打開するための東京都独自のショートステイについての施策を展開していただきたい、こう考えておりますが、局長、いかがでしょう。

○川崎福祉局長 ご指摘のとおり、国制度では、ショートステイの設置は入所施設に限られているため、区部などでは設置が進みづらい状況にございます。このため、都は独自の基準を設け、生活寮や通所施設等に設置する場合に、都型ショートステイとして指定し、施設整備費について障害者地域生活支援緊急三カ年プランにより特別助成を行うとともに、運営費についても支援費に準じて助成することといたしました。
 今後、障害者が身近な地域で利用できるよう、国制度によるものとあわせ、都型ショートステイの設置促進に努めてまいります。

○中嶋委員 新しいショートステイ、都型、これは確認ですけれども、さっきも議論になりましたけれども、保育の分野における認証保育所といっては語弊があるんだけれども、都独自の新しい施策だ、ほかには今までなかったと、そういう話なんですね、これは。

○川崎福祉局長 都型ショートステイは、都独自の基準に基づき、生活寮や通所施設への併設やアパート等の借り上げを認めるとともに、障害者の自立体験にも活用できることとしております。これにより、地価が高く入所施設の整備が図りづらい東京で、障害者の多様なニーズに応じて、身近な地域におけるショートステイの設置を進められるよう、都独自の施策として実施していくものでございます。

○中嶋委員 そうしますと、これは--基本的には歓迎いたします、すばらしいアイデアだと思いますが、障害者の自立支援ですから、当然、費用とか自己負担、ここにも配慮が加えられると、こう判断してよろしいですね。

○川崎福祉局長 支援費制度におけるショートステイの利用者負担は、十八段階のきめ細かな所得階層ごとの単価設定をした上で、住民税非課税世帯等は無料とするなど、利用者への一定の配慮がなされております。都型ショートステイの利用者負担についても、この支援費制度における負担基準に準じたものとしてまいります。

○中嶋委員 すばらしいですね。大いに期待しています。これはぜひとも事業を大きく育てていただきたい。これはヒットですよ、ヒット。いや、三塁打ぐらいですかね。大したものです。ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 一方、来年度から取り組まれます新しい三カ年プランの中で、生活寮、これも地域自立生活にとって極めて重要な施設でございますが、生活寮については、現在の約千人の定員を倍にすると、こういっているんですね。大変な整備目標で、よくぞここまで踏み込んだという気がいたします。
 問題は、確かにここでは整備費の補助を拡充していただきました。これは大前進です。ところが、ふやすために、もう一つは、設置後の運営体制の充実、したがって、運営費の補助、施設整備費の補助に合わせて--さっき、あれもくれ、これもくれというのはだめだという話があったばかりで、こういうのはいささか気が引けるんですけれども、これは必要だからいっているんですね。運営費の補助も、実は同様に拡充しないと生活寮はふえません。局長、いかがでしょう。

○川崎福祉局長 都はこれまで、物価や人件費が高いなど、東京の大都市特性を踏まえ、生活寮に対する運営費補助に都独自の加算を行ってきました。さらに、平成十五年度からは、法人の生活寮支援体制を充実するため、運営費補助を増額し、生活寮運営の一層の安定を図ることといたしました。
 これに加え、障害者地域生活支援緊急三カ年プランに基づき、施設整備費に対する特別助成を行うことにより、生活寮の設置促進を図ってまいります。

○中嶋委員 千人の定員を倍増というんですから、よっぽど腹をくくった取り組みをしないと、これは難しいので、ぜひお願いしたいと思います。
 さらに、今後は、こういう自立支援に対する施策を進めつつも、既に局が発表したとおり、都立福祉施設の改革も、やはりこれはもう避けて通れないと我々も認識をしております。
 都立の福祉施設というのは、民間の施設が不十分な時代に、都が先駆的に整備をして都民のニーズにこたえてきた、こういう歴史がございます。その後、民間の施設の整備が進んでシェアが低下してきたこともまた事実でございます。
 したがって、今後は、入所施設の分野においては、既に民間に運営が委託されている場合は、より一層民間の主体性を発揮できるように制度を改善して、柔軟で弾力的なサービス提供を行っていく、これは一方で必要です。ただし、それですべてがカバーできないですね。すべての民間が都立施設に代替できるか、実は、これは無理が僕はあると思っております。特に重度の知的障害者の皆さん方は、やはり都立でなければ引き受けることができなかったんですね。ここについては、やっぱり東京都は、行政責任なんていう言葉を使いたくはありませんが、都立の福祉施設の改革は進めながらも、重度の障害者に対する都の責任、これはきちんと最後まで果たしていただきたい、そういう思いがございます。これはぜひ知事に所見を求めたいと思います。

○石原知事 都立福祉施設につきましては、昨年七月に民間移譲などを進めていくことを基本とする改革方針を明らかにいたしました。今後、この方針について、利用者のサービス水準の確保など、環境を整えながら具体化していきたいと思っております。
 なお、改革に当たりまして、とりわけ重度障害者について、利用される本人はもとより、その家族の方々の将来にわたる安心感を得たいという願いに十分こたえられるように、都としては必ず責任を持って対応してまいります。

○中嶋委員 都として責任を持って対応なさると知事がおっしゃってくださいました。無責任な批判、中傷を防ぐ意味でも極めて重要でございますので、ぜひ取り組みを行っていただきたいというふうに思います。
 続いて、医療問題に移りたいと思いまして、最初に、造血幹細胞移植について、まず質問いたしたいと思います。
 造血幹細胞移植については、代表質問で都の対応について質問をいたしました。さらに、これに関連して一点だけ伺いたいというふうに思います。
 骨髄移植、さい帯血移植の健康保険の適用でございます。現在は、保険の適用対象が診断料、治療の技術料、それから手術料、これに限定されているそうでございます。造血幹細胞そのものは保険の適用対象になっておりません。これについては、現在、都は国と検討中だと、こう聞いております。
 ここで改めて、東京都として保険適用について強く国に要請をしてほしいと、多くの関係者が心から望んでいると、たくさんの声を聞いております。都の所見を伺いたいと思います。

○長尾健康局長 国は、平成十四年三月に造血幹細胞移植委員会を設置しまして、実施体制、財源などについて広く関係者の意見を求めつつ検討しております。
 都といたしましては、国の委員会の動向や先生ご提案の趣旨を踏まえながら、引き続き患者及び骨髄提供者の負担軽減について国に働きかけてまいります。

○中嶋委員 ぜひ強い働きかけを行ってください。
 さらに、実は、造血幹細胞移植は、白血病などの血液疾患だけでなくて、膵臓がんとかリューマチにも有効であるとして、国立がんセンター等で研究中だという情報がございます。都も、ぜひこうした国と連携をして、さらに研究をしていただきたいと、これは要望しておきたいと思います。
 同じく医療改革につきまして、質問を何点かいたします。
 昨年、世田谷区の母子保健院が閉院されました。その後の地域の医療体制の構築が極めて重要でございます。
 都の支援を受けて世田谷区が、救急需要が極めて高い平日の準夜間の小児救急医療体制の整備を進めています。実は、質問するまでもなく、私、毎日前を通っていますので、熟知はしているんですが、広く都民に知っていただくために、その進捗状況をまずご説明願いたいと思います。

○長尾健康局長 世田谷区では、平日、休日の準夜帯に小児の初期救急医療を行う施設として、昨年十一月から、子ども初期救急診療所の建設を進めております。この施設は、予定どおり今月中に竣工し、来月から診療を開始すると聞いております。
 こうした区の取り組みに対しまして、都は、区との基本合意に基づきまして、施設整備費補助などの支援策を講じるとともに、来年度からは事業運営費の補助を行うこととしております。

○中嶋委員 極めて順調だということですが、大変ありがたいことなんです、地元としてはね。
 もう一点だけ、都立病院としてもこの施設に支援を行うべきだと、私はこう思うんですが、いかがでしょうか。

○櫻井病院経営本部長 世田谷区が属する区西南部保健医療圏にございます都立広尾病院、ここでは東京ERを昨年七月に開設しまして、小児救急の体制を充実いたしました。この広尾病院が、世田谷区が整備する子ども初期救急診療所と密接に連携し、これを支援するため、入院を必要とする小児救急患者の受け入れに積極的に協力する旨の協議を都と世田谷区との間で既に調えてございます。
 都立病院としましては、今後とも、こうした連携を通じまして、区市町村が主体的に取り組む地域医療を支援してまいります。

○中嶋委員 これで準夜、初期はできたと、広尾病院との連携はとれる、成育医療センターとも連携がとれる、あの母子保健院がなくなったら大変だと騒いだ反対運動は一体何だったのかと、私は声を大にしていいたくなります。
 そこで、今後とも公明党は、正しい情報を都民に提供していくことをモットーとして、議会での提言、さまざまな活動を展開したいと思います。
 これに関連しまして、都立病院の再編整備に関する情報提供といいますと、ここでぜひとも是非をただしておく必要があることがございます。
 それは、二月二十四日の共産党の曽根委員の発言でございます。我が党の藤井委員が、日本共産党大田地区委員会のビラとホームページは、根拠もなく都立荏原病院の医療機能が削減されると強調したものであり、いたずらに住民不安をあおる不適切なビラであると、こう藤井委員は指摘をいたしました。それに曽根委員は反論を試みました。曽根委員の発言には事実のすりかえがございます。
 そこで、まず、病院経営本部長に質問をいたします。
 曽根委員はその質疑の中で、病院経営本部は、公社化後の荏原病院の医療機能について、共産党の活動の結果、方針転換を図ったとの趣旨の発言を行いました。マスタープランにおける都の方針が共産党の意見や活動によって変更されたと受けとめますが、そのような事実はありましたか。

○櫻井病院経営本部長 今お話しの公社移管後の荏原病院の医療機能についてでございますけれども、これにつきましては、都立病院改革マスタープランでお示ししましたとおり、その基本的考え方に基づきまして、都みずからが、この荏原病院が属する圏域の地域の医療ニーズや医療機関の状況等を踏まえまして、医療機能の検討を行いました。
 その結果、現在提供している脳血管疾患医療などの医療機能を活用しようと、そういう内容を、ことしの一月に策定、発表いたしました都立病院改革実行プログラムでお示ししたものでございまして、マスタープランでお示ししました基本的な考え方、あるいは、今、先生お尋ねの方針、これを特段変更したものではございません。

○中嶋委員 特段の変更もない、独自の決定だと。ということは、曽根委員の発言は、これは自己中心的な、僕は歪曲というしかないというふうに思います。一昨年の予算特別委員会でしたか、知事の有名になった例の文学的な表現(「ハイエナ」と呼ぶ者あり)ええ、まあ、批判を受けてもしようがないと。この曽根発言は明らかに事実ではないという点をさらに明らかにするために、重ねてお聞きします。
 曽根委員は同じ質疑で、マスタープランでは、荏原病院が実施している重点医療課題のうち行政的医療については他の都立病院に順次移転していくと明記されていたと、こういって共産党のビラを弁護しようとしました。都立病院マスタープランには、本当にそのように書いてありましたか。お答えください。

○櫻井病院経営本部長 都立病院改革マスタープランでは、今お話しの荏原病院など、公社に移管する予定の病院の医療機能に関する基本的な考え方としましては、基本的には現行の医療機能、これを踏まえつつ、地域医療の充実という観点から、今後具体的な検討を行う、また、現在実施している重点医療課題のうち、都立病院の役割とされる感染症医療等の行政的医療については、受け皿となる都立病院の整備の進捗に合わせ、順次移転していくものとすると、こういうふうにしてございます。
 さらに、マスタープランでは、これとあわせまして、機能を移転した後も、両病院において--これは大久保病院と荏原病院ということでございますが、これらの病院において、これらの医療を引き続き重点医療として提供していくことを妨げない、こういうことをマスタープランでは示してございます。

○中嶋委員 結局、ここにございますが、ただし、機能を移転した後も両病院--これは荏原病院も入っていますね--これらの医療を引き続き重点医療として提供していくことを妨げないと書いてある。曽根委員の発言は、意図的にこの部分を無視しているといわざるを得ません。これは極めて遺憾な態度であります。
 三番目、さらにもう一点、曽根委員は、藤井委員の問題ビラの指摘について、こうもいいました。昨年一月に開かれた報告懇談会のお知らせビラであり、藤井議員の発言は、いわば時間と空間を飛び越えた、ためにする発言、こう述べました。ところが、このビラは、大田区選出の共産党かち佳代子議員のホームページに昨年から掲載され、藤井委員の質疑の時点でも、曽根委員の質疑の時点でも、さらにきょうの午前中も、このホームページは変わっておりません。(資料を示す)これが二月二十日のプリントアウトでございます。ここにしっかり載っています、その荏原病院のことが。非常にこれはデマゴーグというしかない。しかも、「赤旗」で大変失礼な記事を書いた。まさに「赤旗」に、これは掲載記事を載せるほどの話であると、私はそう思います。(発言する者多し)局長、確認の意味で局長からも答弁してください。どうも騒いでいる。

○森田副委員長 静かにしてください。静かにしてください。

○櫻井病院経営本部長 今、先生お話しのホームページ、私どもも拝見させていただきましたけれども、ご指摘のホームページには、公社移管後の荏原病院につきまして、脳血管疾患やリハビリ等の診療科目の縮小など、機能の後退が行われるとの趣旨が書かれてございます。
 先ほどもお答えしましたとおり、マスタープランでは、荏原病院など公社に移管する病院の医療の機能につきましては、基本的には現行の医療機能を踏まえつつ、地域医療の充実という観点から、今後具体的に検討を行っていく、こういうような考え方を示したところでございます。
 したがって、このホームページの内容は、一昨年十二月に策定しました都立病院改革マスタープランの内容やその後の検討状況--その後の検討状況につきましては、私どもは都立病院改革実行プログラムということでお示ししたわけでございますけれども、その検討内容とは適合はしてございません。

○中嶋委員 これまでの答弁で明らかなように、共産党のビラとホームページの内容は、都立病院改革実行プログラムはいうに及ばず、一昨年十二月に発表された都立病院改革マスタープランの内容と照らし合わせても、明らかに誤りがございます。しかも、ホームページは、都立病院改革実行プログラムが策定された後も、一カ月以上更新されておりません。掲載の時点で既に根拠のない事実が書き込まれているホームページを依然として公開し続けるのは、党利党略で住民を不安に陥れるものにほかならず、共産党の猛省を促したいと思います。(発言する者多し)いつも皆さん方が原因をつくるわけですから、反省して静かに聞いていただきたいというふうに思います。
 続きまして、同じく医療問題で住民の不安を増殖させている問題を取り上げたいと思います。
 本年二月三日に、消費生活協同組合の政治的中立の確保についてという厚生労働省の局長通知が都道府県知事あてに発せられました。
 まず、その内容の説明をお願いしたいと思います。

○三宅生活文化局長 厚生労働省の社会援護局長から送られてきました通知の内容は、まず、消費生活協同組合法第二条第二項に、組合はこれを特定の政党のために利用してはならない旨の規定があることを述べております。
 続いて、今般の第十五回統一地方選挙に際し、消費生活協同組合が法の趣旨に照らし政治的中立の観点から批判を招くことのないよう、地方自治法の規定に基づく技術的助言として、各都道府県知事あてに指導方を通知されたものでございます。

○中嶋委員 この消費生活協同組合の政治的中立の確保についてという厚生労働省の局長通知、どのような背景で出されたのか、これも説明をお願いしたいと思います。

○三宅生活文化局長 厚生労働省の通知文にあるとおり、第十五回統一地方選挙に際しまして、消費生活協同組合法第二条第二項の趣旨をさらに徹底するとともに、各消費生活協同組合に注意を喚起するために出されたものと考えております。

○中嶋委員 ここに通知がございます。平成十一年にも出ているんですね。四年前でございます。ここには、理事会、組合が選挙に際し組織として行う次のような行為はだめだということで、例示がございます。
 理事会、総会等の組合の機関において特定の政党または候補者の支援を決定すること。機関紙、チラシその他組合が発行する印刷物によって特定の政党または候補者の推薦等を行うこと。店舗等組合が管理する施設において特定の政党または候補者のポスター等を掲示すること。特定の政党または候補者の選挙運動のために組合が管理する施設、車両、備品等を提供すること。特定の政党または候補者を直接支援することを目的とする組織に組合として参画すること。これは十一年前、こういう通知が出ております。
 今回は、今回の統一地方選挙に際し、政治的中立の観点から批判を招くことのないよう指導方をよろしくお願いしたいと、こうあります。重要なことなので、ぜひ周知徹底を図るべきです。見解をお示し願いたいと思います。

○三宅生活文化局長 国の通知をもとにいたしまして、都は、消費生活協同組合の政治的中立の確保についてと題しまして、特別区及び都内すべての消費生活協同組合、東京都消費生活協同組合連合会に通知し、注意を喚起いたしました。
 今後とも、都は、組合が選挙に際しまして、先ほど委員おっしゃったとおり、特定の政党や候補者支援を決定したり機関紙により推薦するなど、組織として支援してはならないことを、あらゆる機会を通じて徹底してまいります。

○中嶋委員 生協活動一般にかかわる問題ですが、しかし、ここでは特に医療生協について取り上げたいと思います。
 二月の二十八日、杉並区議会で、東京西部保健生活協同組合の松ノ木診療所で、共産党の区議選の新人予定候補が生活相談を行っていると、この問題が取り上げられまして、同区の区民生活部長は、都に指導徹底を求めるとともに、区としても注視し、適切に対処する、こう答弁しました。医療生協には数多くの共産系の民医連加盟の病院が存在し、都内のあちこちで同様の問題があるという話も聞いております。
 医療生協である東京保健生活協同組合、ここの傘下の文京区の東京健生病院などは、共産党の活動拠点として余りにも有名でございます。現在、厚労省の通知が出て、また、実際に杉並の民医連加盟の診療所で生協法違反が明らかになったわけでございます。都も改めて調査をし、厳正に対処する必要があると思いますが、いかがですか。

○三宅生活文化局長 お話しの杉並区からの連絡は、二月二十八日の夕刻、区議会の審議状況についてありました。東京都は、連絡に基づきまして、事実関係について確認のため調査に着手したところでございます。
 事実であれば、都としては直ちに中止するよう指導を徹底してまいります。

○中嶋委員 事実であればと、こういうんですが、事実--これはチラシなんですね。原田あきらさんという方ですよ。無料生活相談、場所、生協診療所(松ノ木)日本共産党杉並地区委員会、生活相談、原田あきらと書いてある。事実であればなんていう話じゃなくて、事実ですから、しっかりと対処をしてもらいたいと思います。
 続いて、こうした医療生協には、都のあっせん融資における利子補給など、多額の都民の税金、つまり公金が出ています。今挙げた東京健生病院が所属する東京保健生活協同組合、これは幾ら都のあっせん融資を受けており、都は幾ら利子補給を行っているのか、明らかに示していただきたいと思います。

○三宅生活文化局長 東京保健生活協同組合が平成九年度から十三年度の五年間に金融機関から設備資金融資を受けている実績は、五件、三億五千万円、一方、この五年間に都が実施しました過年度分を含む利子補助の総額は、四千二百四十三万円となっております。

○中嶋委員 大変な金額だと思います。こうした生協の組合や--医療生協のね--東京健生病院が都の公金を受けながら組織ぐるみで共産党の選挙運動を行っていたら、これは大問題でございます。医療生協であり、都のあっせん融資も受けている、したがって、公金を使って特定政党の勢力拡大のための選挙運動をやっているなどと都民から指摘されないように、都は医療生協をしっかりと調査し、指導を徹底すべきであると思います。見解をお示しください。

○三宅生活文化局長 医療生活協同組合の政治的中立の確保については、事実関係を把握し、厳正に対処してまいります。
 融資の決定に際しても、消費生活協同組合法の趣旨に基づき、指導を徹底してまいります。

○中嶋委員 調査、指導をしっかりと行っていただきたいと、再度強く要請をしておきます。
 さて、皆さんもよくご存じのとおり、二月六日の衆議院予算委員会で、自民党の西野陽衆議院議員が、今申し上げた医療生協と民医連の問題を取り上げました。医療生協での選挙の実態、民医連加盟病院での医療事故、つまり川崎でのぜんそく患者の死亡事件、あるいは立川での致命的な手術のミスの問題、さらには診療報酬の不正請求、手抜き検査の問題などが衆議院で指摘をされました。厚生労働省も遺憾の意を表明して、対応する方針を示したところでございます。
 ここに議事録の速報版がございます。時間がありませんから、あえて読み上げません。したがって、ぜひとも東京都においても、再度いいますが、厳正に対処を行っていただきたいというふうに思います。
 さて、現在、医療改革が強調されております。加入者の負担と多くの税金によって支えられている医療でございます。あくまでも安全で人々に安心感を与える医療あるいは病院でなくてはならないと私は思います。間違っても人命にかかわる事故を起こしたり、あるいは選挙や集票活動で医療行為がおろそかになってはならないと、改めて、当然ながら、そう思います。
 そこで、次は、さっき申し上げた、国会でも取り上げられました東京都内の立川相互病院について、何点か質問したいと思います。
 西野衆議院議員も指摘しておりますが、平成十年に左右の足を取り違えて骨折の手術を行い、結果的に患者である高齢のご婦人が亡くなるという痛ましい事故がございました。都はこの事故を掌握しているのかどうか、お答え願いたいと思います。

○長尾健康局長 ご指摘の医療事故が起きました平成十年当時ですが、医療機関から都への事故報告について、まだ制度化がなされる前の段階でございまして、まことに申しわけないんですが、当時、都としては承知しておりませんでした。
 都の方は、翌年の六月になりまして本件事故に関する新聞報道がありまして、初めてその事実を把握したところでございます。

○中嶋委員 制度化されてなかったのが問題だったと思いますので、これはまた別な機会で議論をしたいと思いますが、この朝日新聞ですね、平成十一年六月二十五日付、左足骨折して右足に人工骨、手術ミス、その後死亡と、こう朝日新聞に載っております。なぜ一年間も明らかにならなかったのか、若干不思議な気がいたします。
 この立川相互病院は、医療法人社団健生会が運営しておりますが、この法人に対して都から多額の補助金が支出されていると聞いております。どのような名目で幾ら支出しているのか、明らかにしていただきたいと思います。

○長尾健康局長 都は、都民が必要としております医療を確保するために、民間病院の運営や施設の整備につきましても、必要な支援を行っております。
 ご指摘の医療法人に対しましては、平成十三年度に休日・全夜間の救急診療事業について約一千五百万円を支出し、十四年度もほぼ同額を支出する予定でございます。
 また、同法人が運営しております二つの病院の移転、統合に伴います施設整備に対しまして、平成十四年度に約二億七千九百万円の補助を行う予定になっております。

○中嶋委員 三億に近いお金が都から出ている。都民の税金が支出されている以上、東京都にも管理、監督する権限と責任があってしかるべきだと私は思います。(発言する者あり)
 実は、この都の公金が入っている立川相互病院、それに関連する診療所では、選挙時に六人の共産党市議選候補への支援依頼、投票依頼、カンパの要請まで行っている。すながわ相互診療所、患者の皆様へお願い、二〇〇二年五月二十七日、立川市議会議員選挙が六月九日告示。一番最後、「六人の共産党立川市議会議員候補の勝利と募金の協力にお力添えをよろしくお願いいたします。」、民医連の診療所で患者に配っている。
 それから、さらに立川相互病院では、これは本人から聞きました。入院して退院したら、病院から電話がかかってきた、もう一回入院だと。行ってみたら、再入院は延期になった。ついては市議選のために募金をしてくれと、募金袋を渡された。これがコピーです。「募金袋」、はっきり書いてございます。後で知事にも見てもらいますけれども、こんなことをやっている、こんなことをやっている。どう見ても病院ぐるみで共産党の選挙運動を行っているとしか思えません。(「そうだ」と呼び、その他発言する者あり)この病院は、さきの事故のほか、さまざまなミスが伝えられております。
 さらに、この病院では不在者投票も行われておりますが、いろいろな声が聞こえてまいります。立川だけでなく、昭島、国分寺、清瀬、小平などの民医連加盟病院でも、同様の事例があると聞いております。病院が選挙運動に熱心の余り、患者の治療や安全の確保をなおざりにしてはなりません。
 都として、事故防止の観点から、こうした病院に対して監査体制やチェック体制の強化はできないのか。見解をお示し願いたいと思います。

○長尾健康局長 都内には約六百八十の病院がございます。私どもは、病院における適正な医療提供体制を確保するために、医療法に基づく定例の立入検査を、おおむね二年に一回、各病院を回れるように全病院をやっております。その中で各病院の医療事故防止対策を確認し、また、指導もしております。
 それで、医療事故が起きた場合、その原因が病院管理上の要因によると考えられるときには、別に緊急の立入検査を実施しまして、再発防止に向けた指導を行っております。
 今後とも患者の安全確保のために、状況をよく見きわめまして、適宜、必要な監視指導を行っていきたいと考えております。

○中嶋委員 ぜひ厳しい検査をお願いしたいと思います。
 日本共産党のこれはチラシです。日本共産党は自民党や公明党とは違い、「民医連であれ、他の団体・組織であれ、共産党への支持を求めたことは一度もありません。」と、こう書いてある。(発言する者多し)だったら、病院でこんなチラシや募金袋を配るべきではないと、私は声を大にして訴えたいと思います。
 知事に、最後にお聞きしたいと思います。
 一連の経緯は、今の議論でよくおわかりいただけたと思います。病院につきましては、今後、関係局の対応を待ちたいと思っておりますが、しかし、病院等で選挙の支援を行い、勢力の拡大を図るやり口は、明らかに本来の医療の道を外れた行為といわざるを得ないと私は思います。
 先月二十八日、港区新橋六丁目にある民医連加盟の芝病院、こんなチラシが置いてございました。日本共産党都議団都議会報告だと。それで、「冷たい石原都政の姿勢にひろがる都民の怒り」、それから「営利企業の参入で狭い部屋、高い保育料の認証保育中心に」、代表総括で問題になった内部文書の漏えい問題が載っかっている。それから「障害児に冷たい、石原知事の姿勢うきぼり」、公明党にも大変失礼なことが書いてある。知事の暴論に乗った何たらかんたらと、暴論だという。こんなチラシを何で病院の待合室に置かなくちゃいけないのか、疑問で、ただでさえ、ただでさえ気弱になりがちな患者に、こうした不正確で不安をあおるチラシを配る。これでは治る病気も治りゃしませんよ。(発言する者あり)こうした共産党のいわば弱い立場の患者を人質にとったようなやり方、これは看過できません。
 こうした一連の事態、知事はどうお考えでしょうか。

○石原知事 病院にやって来られる患者さんは、何らかの疾患を持ち、頼りにするのはお医者さんだけでございますから、ある意味では非常に弱い立場におられると思います。その立場につけ込むように、ある政治的な主張というのをクロ、シロといい含めながら押しつける。
 私が一番憤りを感じますのは、卑劣だと思うのは、再入院と呼び出した患者さんにカンパの袋を押しつけて渡すというのは、これは卑劣というか、人道に外れたというか、昔は赤ひげというのは本当に仁術を施すお医者さんでしたが、最近の赤病院というのは、下手をすると患者を殺しかねない、損ないかねない、まことに憂慮にたえませんが、私、民医連なるもの、つまびらかにしませんでしたけど、法律は法律の限界があると思いますが、他の方法を講じて、こういった医に名をかりた不正な政治行為が、いかなる立場であろうと、病院という開かれた公共の場で行われないように十全の努力をしたいと思います。策を考えます。

○中嶋委員 それでは、環境問題、ディーゼル車規制について質問をいたしたいと思います。自民党さんからも議論がございました。ここでは一点だけ質問します。
 国が補助の要件緩和を行いました。我々公明党は、国の補助の要件緩和を強く求めておりましたら、十五年度から要件の緩和が実現しそうです。PM装置ですね。十四年度に都の決定を受けてPM装置を装着しようと、こう決めた途端に、十五年度に国の補助が始まると聞いた、これは両方受けたいと普通は思います、普通は思います。
 ところが、十四年度の決定の補助金は十五年度まで持ち越せない、これが役所の決まりであるとすると、十四年度に補助の決定を受けた人は十五年度の国の補助は受けられません。これは不合理だと思います。この辺の改善点、ぜひお願いしたいと思いますが、環境局、いかがでしょうか。

○小池環境局長 PM減少装置に対する国の十五年度補助につきましては、ただいまお話がありましたように、補助対象となる車両を拡大する方向が示されておりまして、このことから、都の補助に加えて国の補助も受けたいという事業者の要望があることにつきましては、よく承知しております。
 条例による規制への対応を円滑に進めるためには、厳しい経営環境にある事業者の負担をできるだけ軽減する必要があると考えております。このため、都は、十四年度に補助金の交付決定を受け、年度末に装置装着を予定している事業者につきましては、十五年度に国からの補助金が受けられるよう、事業者の立場に立って柔軟に対応したいと思います。

○中嶋委員 淡々といいます。NOx・PM法が今後、集中的に適用され、車検登録できなくなる車がふえます。したがって、PMも大事ですが、新車への買いかえ、これがいかにスムーズにいくか、これからの課題です。多分、買いかえ需要が高まってまいります。
 そこで、自動車メーカーの社会的責任、これはぜひ果たしていただきたい。買いかえがスムーズに進むために、例えば値引きをちゃんとやるとか、買いかえをやりやすいような環境をつくるとか、メーカーに要請して実行させる。これ、環境局、できませんでしょうか。

○小池環境局長 今日の深刻な大気汚染を招いた根本的な原因は、国の自動車排出ガス規制の怠慢にあります。しかしながら、自動車排出ガスが大気汚染の原因である以上、自動車メーカーには排出ガス低減に努める社会的責任があると考えております。
 そこで、都は、二月六日にディーゼル車メーカーに対しまして、自動車メーカーとしての社会的責任を踏まえ、事業者の負担軽減に特段の配慮を行い、ディーゼル車の買いかえ促進を図るよう強く要請いたしました。
 これに対しまして、メーカー各社からは、全面的に協力するとの積極的な回答を得ております。具体的取り組みにつきましては、今後、定期的に協議していくということになっております。
 今後、都は、こうした場を通じまして、ご指摘のようにメーカーから買いかえの状況、あるいはまた販売価格の動向などにつきまして、定期的な報告を受けまして、不当な値上げがないかどうか、そういったことを監視しながら、事業者の負担軽減に十分配慮して販売するよう強く求めてまいりたいと思います。

○中嶋委員 あと一点ございます。これはもう時間的に要望になりますが、新しい融資制度、買いかえに際しては、買いかえ前の車と総重量が同程度、これが条件らしいんですが、買いかえを機に経営効率化を図るために車両の大型化を図りたいと、こういう中小零細企業がたくさん存在いたします。ぜひこういう中小零細企業にも配慮をしていただきたいと思います。
 これに関しては一点だけ、これも要望ですけれども、本当はトヨタ初め自動車メーカーは基金でもつくるべきです。それで、低公害車普及のための基金をつくって、やはりこれからの大気汚染に対する責任をメーカーは果たすべきだ、これを強調したいと思います。
 最後に一点だけ、都立大学のビジネススクールが都庁で開かれます。次はロースクールです、ロースクール。ロースクールをいつどこに開設するのか、最後にご答弁願いたいと思います。

○鎌形大学管理本部長 ロースクールの設置場所でございますけれども、学生の通学の利便等も考慮いたしまして、現在の都立短期大学晴海キャンパスを予定してございます。(中嶋委員「時期、時期」と呼ぶ)失礼しました。時期につきましては、十六年四月を予定しております。

○中嶋委員 さきにビジネススクール、定員の七倍の募集があったと聞きました。実は、私、本会議で提案した張本人なものですから、内心喜んでおります。
 ロースクールも本部長以下、団結して、ぜひとも大成功させていただきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。(拍手)

○森田副委員長 中嶋義雄委員の発言は終わりました。

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