東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○和田副委員長 桜井武委員の発言を許します。
   〔和田副委員長退席、宮崎副委員長着席〕

○桜井委員 石原都政の四年間は、極めて濃密な四年間だったと、このように実感しております。これから限られた時間でございますので、できる限り絞って四年間を振り返ります。
 知事自身の斬新な発想に基づく新たな施策が次から次へと打ち出された四年間だというふうに感じます。それだけに、全員が、議会も含めてですけれども、大変忙しかったと思います。個々の施策一つ一つを見れば、まだ評価が定まらないものも当然ありますが、大切なのは、石原知事が強烈なリーダーシップを発揮しまして、都政を変えるという決意を、それをまた都民の前に行動で明確に示し続けた。示し続けたということがあると思います。そしてまた、その行動の前提となります、知事が口癖にいっておりますけれども、現状の認識、それから今後の見通し、そういったものについても、一〇〇%とはいいませんけれども、まことに的確であったと、このように思います。
 特に私が印象的に思いますのは、景気の動向についての知事の認識です。知事は毎年施政方針演説で入れるんですが、ことしももっと厳しくなるよ、また厳しくなるよと、来る年も来る年も厳しくなるよという一点張りでありまして、視界不透明な中、さまざまなエコノミストや国の役人とか政治家たちは、あるときは回復したとか、あるときはまた低迷したとか、そういったことを繰り返しておりましたけれども、みんな外れました。しかし、知事の景気の見通しについては、常に厳しくなるということを一貫して続けられまして、全くぶれることがなかったわけであります。この点については、実に印象的であります。印象的というか、知事が発言するから不景気が続くんじゃないかと、こういうふうに思っているわけじゃございませんが、そういうふうに考えられることもあります。
 でありますが、この四年間の特徴的な出来事を検証し、都政や都の財政体質が、石原知事によってどのように変わったかをただしていきたいと思います。
 知事は、就任以来、ほとんど毎週、定例記者会見を続けまして、さまざまなアイデア、あるいはまた、新たな施策を打ち出すときは、テレビカメラ、報道陣の前で直接、自分自身の言葉で発表する、そういうスタイルをとっておいでになりましたけれども、これはまた、都民にとって顔が見える東京都政、東京都知事だということができるわけでありまして、知事がこういうスタイルでいこうとお決めになった動機ですね、動機というか、そういったものは何か。また、四年間記者会見を続けてこられましたその感想を伺いたいと思います。

○石原知事 桜井委員に私の四年間、総括をしていただきまして、お褒めいただきまして大変ありがとうございました。ただ、それほど斬新なことをしたつもりもございませんし、現況を分析すれば、ごく当然のことをやってきたということでありまして、また強烈なリーダーシップというほど私、強烈な人間でありません。
 ただ、チームの監督としてそれなりに新しいフォーメーションといいましょうか、進み方を都庁にぶつけまして、それでなかなかいいチームになってきたと思います。私はただのミッドフィルダーでありまして、むしろフォワードで着実に事を遂行し、得点してくれているスタッフを、四年間振り返ってみて、非常に私は高く評価しております。
 それから、記者会見のことでございますけれども、私はこれは、私の大先輩の中曽根さんに、知事になった限りは、レーガンのようなグレートコミュニケーターになれといわれましたが、レーガンさんというのは、私は実は妙な縁で知っていまして、彼の特別補佐官だったリチャード・アレンから頼まれて、日本の経済界にレーガンを最初につなげたのは私ですが、そのときもいろいろ感じたんですけれども、実に自分の言葉で自分の考えていることをうまくしゃべる。あの人は俳優としてはまあまあの男でしたけれども、アメリカで卓抜なるフットボールの同時中継のアナウンサーでありまして、これはやっぱり当意即妙というんでしょうか、本当にそういう才能のある人でしたが、彼はやっぱり補佐官などをかりずに、自分で自分の言葉で新しい政策を国民に向かって説明したというのはとても大事なことだと思います。
 ということで、私、前からも記者会見あったようですけれども、これは本当に非常にいい機会なんで、いろいろな話をそこでいたしました。
 ただ、政治家とメディアの対立はある種必然のものでありますが、その限りで、しかし記者会見を通じてメディアとはごく健全な関係を持つことができたと思います。ただ、メディアの人たちにもいろいろありまして、かなり優秀な人もいるし、かなり問題のある人もおりまして、その問題のある人たちにはもうちょっと自分の努力で取材をし、もう少し周りに物を聞いて、物事をより本質的にとらえてもらいたいなと思っております。大体よくいって七、三ですな。三割が優秀ですけれども、あとはだめですね。

○桜井委員 メディアの優劣は私たちにはわかりませんから、知事のおっしゃるとおりだと思いますが、いいことも悪いことも知事が直接都民に語ることは大切だと思います。
 さて、知事が就任したとき、都の財政は財政再建団体転落が危惧されている極めて厳しい状況でした。平成十年度の一般会計決算は、実質収支が千六十八億円の赤字となって、これは都政史上最悪の記録でした。
 石原知事は、いわば前任者から巨額の負の遺産を引き継いだことになりますけれども、それを承知で知事になられたと思うのでございますが、率直な感想を伺いたいと思います。

○石原知事 いろいろ仄聞しておりましたが、就任して実情を細かく報告を受けまして、最初の印象は、これはえらいとこへ嫁に来ちゃったなという感じでありました。
 ただ、なった限りは十全の努力をせざるを得ませんし、またスタッフも協力をしてくれまして、特に内部努力は、私はかなりうまくいったと思います。歳費のカットもそうですし、人員の整理もそうですし、それからやっぱり外郭団体もかなり整理をいたしましたし、特に私のような新参が云々するだけではなくて、外部監査を入れることで、非常に的確な第三者的な批判というものを仰ぎまして、なるほどということでスタッフも自戒し努力をしてきた結果、しかし、それでもなおやっぱり足は徳俵にかかったままで、土俵の中央に盛り返したところまでとても行きませんが、都財政というものを考えれば、それこそまた新規の財政改革推進プランが当然必要な状況はまだまだ続いていると思います。

○桜井委員 知事の財政再建に向けた取り組みがそこから始まったわけでありますけれども、その方策も際立っていたと思います。知事はまず、全庁を挙げた取り組みの指針となる財政再建推進プランを策定いたしました。これはいわば王道の部分でありまして、知事はこれに加えて、ほかの人にはちょっとなかなか実行できなかったんじゃないかなと、このように思われるような方策に踏み込んで行かれました。
 ここでは、そういう知事ならではの取り組みを幾つか検証させてもらいます。
 まず、職員給与の削減であります。これは職員の給与、それこそ聖域でありましたが、知事はそこに切り込んだわけでして、この間の経緯は周知のことで改めて問いませんが、臨時的な給与削減で抑制できた歳出額、四年間トータルで幾らぐらいになりますか。これは局長ですかね。

○赤星総務局長 石原知事就任以来の臨時的な給与削減措置によります一般会計ベースの財政効果は、平成十一年度から平成十三年度までで約一千七百億円、平成十四年度から平成十五年度について、これは見込みでございますが、人事委員会勧告に基づきますベースダウンも含め、約八百億円、合計で約二千五百億円になると見込まれます。

○桜井委員 職員の皆さん方には大変なご負担をお願いしているわけでありますけれども、東京都民全員も不況に苦しんでおるわけでございますので、ぜひご協力をお願いします。
 愛知県一県は平成十一年度に既にやっていたわけでございますけれども、首都東京が全庁挙げて行ったこの給与カット、これは国とか他の団体にどのような影響を与えたか伺います。

○赤星総務局長 都の給与削減措置が、どの程度、国や他の自治体に影響を及ぼしたかは定かではございませんけれども、都は平成十二年三月の期末手当〇・三カ月削減を皮切りに、平成十二年四月から平成十四年三月まで給料月額の四%削減及び期末手当の〇・四五カ月削減を行いました。この内容は全国一の厳しさでございました。
 また、その後も平成十四年八月から十二月まで、給料月額の四%削減を行い、さらに昨年の労使交渉では一・六四%のベースダウンと給料月額二%の臨時的削減措置を合意し、本年一月から実施しております。
   〔宮崎副委員長退席、委員長着席〕
 国では、本年度の人事委員会勧告においてマイナス勧告が出され、史上初めてのベースダウンを行っております。また、他の自治体でも、北海道や新潟県、最近では京都府など、十二道府県、四政令市が給与削減を実施または実施予定となっております。

○桜井委員 国の人事院勧告がマイナスになったということも、私は東京都の給与カットがかなり大きく影響したんじゃないか、このように思います。
 次に、監理団体改革について伺います。
 監理団体について、東京都は既に平成九年度に経営評価制度を導入するなど、団体の経営責任を明確にするとともに、監理団体に対する適切な指導監督に資する仕組みを構築しておりました。
 しかし、監理団体としてのメリットが果たして生かされているのかどうか、東京都の財政支援に大きく依存した経営をしていないかどうか、団体の給与水準は適正か否かなどの問題点が指摘されていました。
 知事は、その点を踏まえ、監理団体の廃止、縮小、統合、管理職員定数及び人事給与制度の適正化とともに、四年間で都財政支出を七百二十億円、率にして二六%削減するという目標を掲げました。
 この目標は達成できましたか。できたかどうか。また、二六%削減という方針は、全国的に見てどのようなものなのか伺います。

○赤星総務局長 監理団体に対します都財政支出の削減は、平成十五年度におきまして削減目標の七百二十億円を大きく上回ります九百五十七億円、三四・九%の削減を達成できる見込みでございます。
 なお、全国的には削減計画を立てている自治体が少ないため比較は困難ですが、最近策定されました大阪府や名古屋市の外郭団体改革計画におきましては、外郭団体への支出を三年間で一〇%程度削減する計画でございまして、都の計画はこれを大幅に上回るものでございます。

○桜井委員 また、監理団体改革、これはどのような成果を上げたと考えておりますか。それを伺います。

○赤星総務局長 都は全国に先駆けまして大胆な監理団体改革に取り組んでまいりました。今回の改革におきましては、都の指導監督のもと、抜本的な事業の見直しや独自の人事給与制度の導入など、団体みずからが策定いたしました経営改善計画の着実な実現を図りました。
 これによりまして、まだ十分とはいえないかもしれませんけれども、団体みずからの経営改革意識が高まり、全体として自主、自律性の向上が図られたものと考えております。

○桜井委員 今後もぜひ頑張ってください。
 次に、石原知事でなければという取り組みの筆頭は、何といっても銀行業に対する外形標準課税の導入です。
 これは、もうさまざまな議論が行われてきましたが、地方公共団体にとっての課税自主権の重要性など、都の取り組みの意義について、改めてこれは主税局長に見解を伺います。

○安間主税局長 真の地方主権の確立のためには、何よりも税源の移譲による地方税源の充実を図り、安定的な財政基盤を確立することが不可欠であります。
 このため、都は平成十二年度に東京都税制調査会を設置いたしまして、地方税財政制度のあり方について提言をいただき、これを活用して国に強く改革を求めてまいりました。
 また、課税自主権を行使して、銀行業等に対する外形標準課税や宿泊税を導入するとともに、全国の自治体と連携して不正軽油撲滅作戦を展開するなど、東京が先頭に立って新たな試みを果敢に実行してきました。
 税源の移譲はいまだ実現しておりませんが、ご指摘のように知事の強いリーダーシップのもとで実施した都の先駆的、先導的な取り組みにより、全国自治体へ課税自主権行使の動きが広がるなど、地方分権の推進に大きく寄与したものと認識しております。

○桜井委員 国は平成十六年度から全国ベースの外形標準課税の導入を予定しておられるようです。これは、資本金一億円超の大法人が対象という点で、都の銀行外形とも軌を一にしているとは思われますが、しかし一般業種も対象としておりまして、この経済状況下での導入については、私としては、経済界を中心に慎重にするべきという意見がありますが、私も同意見であります。
 知事はそうした点も考慮し、大銀行に限った外形課税を実施しました。今回の国の外形標準課税は、いわば石原知事の決断を踏み台にして成果を横取りにしたようなものではないかと思っております。
 続いて、一つ一つの施策は外形課税ほど大きくはありませんが、大きい小さいといっちゃ失礼かもわかりませんが、それぞれにユニークで、コロンブスの卵にも似ているような、都民の関心を引きつけた施策について、その導入の趣旨と効果について伺っていきます。
 まず、都営交通へのラッピングバス導入について、現在、どのぐらいの台数の都営バスがラッピングされ、収入額はどのぐらいか、また今後の計画はどうなっているかを、これは交通局長ですか、伺います。

○松尾交通局長 平成十四年十二月現在で申し上げますが、都営バスの在籍車両は千五百三十二両で、そのうちラッピングバスは六百九十九両でございます。
 次に、この広告料収入は、十三年度決算では約九億六千万円、十四年度では約十一億円を見込んでおります。
 今後の事業展開といたしましては、料金体系をより需要に応じたものに見直す一方、一車両に二者が出稿できる部分的なラッピング広告や車体の後部のみを利用したラッピング広告も実施し、より多くの広告主に利用していただけるよう取り組んでまいります。これらを実施することによりまして、十五年度予算では約十二億円の収入を計上しております。

○桜井委員 今の報告のとおり、かなりのバスがまだラッピングされておらないわけでありまして、これは東京都が悪いのではなくて、お客さんがつかないわけですよね。つまり、その路線に金をかけるほどの地域じゃねえ、こういうことですが、残念ながら、私が住んでおります下町の方はラッピングバスが非常に少ないわけですので、できる限り料金を低くしてラッピングバスが通るようにしてくださればありがたいと思っております。
 また、次に、ワールドカップ開催により各地に大規模なサッカースタジアムがつくられましたが、いずれもその後の経営の維持運営に四苦八苦しております。
 こういう中、東京都は東京スタジアムのネーミングライツにより収入の確保を図ったわけでございますけれども、味の素スタジアムでしたか、増収額はどのぐらいか、また都民やマスコミなどからどういうような反響があったのか伺います。これは建設局長かな。

○小峰建設局長 味の素株式会社とのネーミングライツ契約により、株式会社東京スタジアムは五年間で十二億円の収入を確保することができます。
 契約に対する都民やマスコミの反応といたしましては、経営がよくなれば設備や芝の質も向上する、赤字を税金で穴埋めせずにスタジアムが運営できる、他のスポーツ施設にも波及するきっかけとなるなど、多くが導入の効果を評価するものでございました。
 今後はこうした期待にこたえ、利用者サービスの一層の向上やスポーツ振興に努めてまいります。

○桜井委員 東京都はたくさんの施設を持っておりますが、万たびテレビに取り上げられるような施設は余りないようでございますので、残念ながらそれ以外のネーミングライツがあるような施設は少ないようでございますが、しかしこれは画期的な施策だったと思います。
 次に、東京再生都債の発行、これも大変な売れ行き良好ということでありますが、これは都民の支持を得た理由はどこにあるとお考えになっておられるのか伺います。

○田原財務局長 東京再生都債は、東京の都市づくりのために、個人の都民の方に限定をいたしまして販売をする新しいタイプの都債であります。これまで二回にわたり発行をいたしましたけれども、いずれも即日完売といいますより即刻完売といった方がいいかと思いますけれども、都民から大きな支持を得たと考えております。
 その理由でございますけれども、一つには、株価の低迷を含め、経済の先行きが不透明である、こういうことから、東京都の信用力を背景にいたしまして、都民の方々がより安全性を重視した資金運用先を東京再生都債に求めたこと。二つ目には、現在進めております東京再生への積極的な取り組みに、都民から理解と共感が得られたこと。三つ目には、今回の都債の償還期限が三年でございます。手ごろで買いやすく、金利も預貯金に比べて有利だったことなどが考えられます。

○桜井委員 以上、石原知事四年間の特徴的な出来事といっては失礼ですけれども、施策を検証してまいりましたが、最後に、そうした取り組みを通じ、東京都政や都の財政体質が石原知事によってどのように変わったのか、お尋ねします。
 これからの決算における実質収支及び経常収支比率の状況はどうなっていますか。改めて伺います。

○田原財務局長 石原知事就任直前の十年度決算におけます実質収支は、過去最大となる一千六十八億円の赤字でございました。で、知事就任後、十一年七月に財政再建推進プランを策定いたしまして、これまで懸命に取り組んできた結果、その後の実質収支は、全部赤字ではありますけれども、その赤字額は、十一年度が八百八十一億円、十二年度が六百七十八億円となりまして、十三年度決算では百億円にまで大幅に圧縮をされてきております。
 同時に、財政の健全性を示します経常収支比率でございますけれども、十一年度は一〇四・一%、これは経常的な経費も賄えないという極めて不健全な状況でありましたけれども、十二年度は九五・六%、十三年度は九二・四%と、こちらも着実に改善をしてきていると思っております。

○桜井委員 千億円を超えておりました決算の赤字が、石原知事のもとで大きく減少するなど、都の財政体質は着実に改善されてきているということがわかります。
 ただ、知事自身も認めていらっしゃるとおり、財政再建はいまだ道半ばであり、財政再建を達成し、ご自身が植えた政策の苗が育つのを見届けるためにも、石原知事に対し、我が会派は、ぜひもう一度、都政のかじをとっていただきたいということを要請しているところでございます。
 そこで、石原知事のさらなる手腕を期待するのが教育財産の有効活用であります。
 これは、何年か前に私は本会議で質問したこともあるのでございますが、知事が財産利活用総合計画を策定して、都有財産の有効活用を進める姿勢は、まさにそのとおりであると評価しますが、生徒、学生数が減少する中、学校などの教育財産についても、垣根を取っ払った有効活用が必要であると思われます。
 都立学校の統廃合などにより生まれた用地については、これは、土地所有が細分化しているこの大都市東京では、まとまった面積が確保されている極めて貴重な財産、資産であります。こういった土地は、地域活性化の種地として積極的に知事部局に移管し、活用を考えるべきだと思いますが、今までの実績、それから今後の具体的な計画はどうなっておりますか、これは教育長に伺います。

○横山教育長 これまでの実績として、都立高校用地を全庁的に活用したものとしましては、平成八年に都立紅葉川高等学校用地を財務局に引き継ぎまして、警視庁中央警察署として活用した例がございます。
 また、都立高校改革推進計画において生じる跡地については、個々の学校の状況等を勘案しまして、平成十六年度中に全体の活用計画を定めてまいりますが、この中で教育施設用地として利用の予定のないものにつきましては、ご指摘のとおり、都の貴重な資産として、全庁的な視点から有効活用を図るために、閉校後、速やかに財務局に引き継いでまいりたいと考えております。

○桜井委員 教育長の教育改革--今の答弁はどうもありがとうございました。それ以外の教育改革に取り組む気迫は、現場ではかなり恐れられているようであります。
 次に、魅力あるまちづくりについて伺います。
 まず、商店街の用途の誘導についてですが、幹線道路沿いに建っているマンションは、幹線道路沿いですよ、建物すべてを一階から住宅にすることがほとんど多く、一階にテナントが入るということは極めてまれであります。場所にもよるかもしれませんが、そういった点が多いわけでありますが、この結果、古くからありました商店街がなくなってしまう、町が大きく変わってしまうということが、日を、年を追うごとに起きております。
 マンション業者も、建てるだけではなく、従来からある商店街と調和した建築計画を、本当はみずからの意思でもってするべきなんでございますが、なかなかそうしません。
 しかもまた、用途地域でもって商業地域ってございますけれども、他の用途地域と比較して、商業地域は最も高い容積率、建ぺい率が指定されておりまして、商店街を立地、育成すべき商業地域でありながら、マンションばかりが建築され、古くからある商店が追い出されていくということは問題であります。
 そこで、マンションの一階に店舗を誘導し、商店街を活性化させるような地区計画を推進する必要があると思います。今やっておかないと間に合わなくなると思うのでございますが、いかがでございますか。

○勝田都市計画局長 商店街の活性化を図る上で、地区計画を活用することは大変有効でございまして、これまで五十地区以上が策定されてまいりました。
 地区計画の策定に当たりましては、地元の区市町と商店街などが協力して合意形成を図っていくことが不可欠でございます。
 都といたしましても、このような地域の取り組みについて、今後とも積極的に支援してまいります。

○桜井委員 ご答弁いただきましたけれども、地元の市区町はそうなんでございますが、やっぱり何といっても東京都が真剣になってこの問題について取り組まないとならないと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、東京の伝統あるいはまた趣を生かした街並みづくりについてですけれども、東京の伝統あるいはまた趣を大切にするということは、しゃれた街並み景観をつくっていく上で極めて重要であります。木のぬくもりを生かした和風の旅館などは、外国から来られました観光客に最もですよ、最も好評であると聞いております。
 そこで、まず最初に伺うのでございますが、我が会派の中ではネーミングが非常に好評なんでございますが、しゃれた街並み、このイメージとしては、知事、どういうものなのでしょうか、お伺いしたいんでございますが。

○石原知事 この条例が関係部局から提案されまして、一度しかまだブリーフィングを受けておりませんし、突っ込んだ話もまだしていませんが、どうも私、この東京でしゃれた街並みというと、ぴんとこないんですよね、なかなかね、決して皮肉でいっているわけでも、卑下していっているわけでもないんですけれども。
 それは東京都はいろんなところがありまして、なるほど、いいなと思うところ、あちこちありますが、どこをもってよしとして、例えば原宿の駅に向かう表参道ですか、あの通りなんかなかなかのものでしょう。あれはシャンゼリゼだという人もいますけど、あれをそのままほかへ持っていったってしようがないんでして、地域、地域の特性を生かして、少なくとももう少し、何というんでしょうか、広告も含めて街並みを整備する必要があると思うんです。
 卑近な例でいいますと、私も二十五年間国会にいまして、あの新橋から赤坂見附の通りがあります。今、官邸ができまして、その目と鼻の先に、何とかラーメンというぎとぎとした、東南アジアの場末のようなラーメン屋があるんですね。ここが長蛇の列なんですよ。やっぱりこの店の看板などというのは全然ミスマッチですけど、だれも文句をいわない。ああいう例があちこち多いんで、そういうものをやっぱりモノトーン、モノクロームにしていくことがまず大事だと思いますし、イメージっていわれても、ちょっと私、自分自身まだイメージをつかみ切れておりませんので、もう少し頭の中で成熟したら、お答えさせていただきます。

○桜井委員 このネーミングというか名前は、知事ご自身がお考えになったんだとばっかり、みんな思っておりましたけど、どうもそうではないようでございますが、しかし、もう出しちゃったんでございますから、知事の責任になりますので、よろしくお願いします。(「無理だ、それは」と呼ぶ者あり)それはそうだね。
 木造建築物の木のぬくもりや和風の趣は、しゃれた街並みをつくると思いますけれども、先ほど申しましたけれども、木造の旅館をつくるということにつきまして、非常に規制がある。私は木の需要創出にもなると思うのでございますが、木造の旅館は、防火防災等だと思うのでございますが、非常に厳しい規制があるそうでございますけれども、どんな規制があるのか伺います。

○勝田都市計画局長 旅館に関する建築基準法の規制でございますが、不特定多数の人が利用するため、安全性の面から、三階建て以上は木造とすることはできないことになっております。
 また、市街地の安全確保のため、防火または準防火地域に指定されている地域においては、旅館に限らず、外壁を板張りなどとした建築物は建てることができないこととなっております。

○桜井委員 伝統ある街並みを残すために、今回提案されています街並み景観づくり制度というのは、どうもいま一つよくつかみ切れないのでございますが、どういう街並みを誘導しようとしているのか、少しお伺いします。

○勝田都市計画局長 街並み景観づくり制度は、地元住民等が主体となりまして、景観に関する地域のルールを定めまして、街並みデザイナーを活用して、みずから街並み景観づくりを主導していこうとするものでございます。したがいまして、建築に関する法的規制に適合させた上で、地域住民の合意によりまして、伝統ある街並みの風情を生かしたまちづくりへの誘導が可能となってまいります。

○桜井委員 どうもちょっとよくわからないですな。
 ただ、私が先ほど来質問しております底流というか、底辺には、知事が常におっしゃっております、外国からのお客を引っ張り込むんだということがありますが、そういう場合において、外人が日本に来て魅力あると感じるのは、やはり日本的なものだと思うんですよね、こんなビルをたくさん見たって感動しませんから。そういう意味において質問をさせていただいているわけでございますが、次に、俗にいう木密、木造住宅密集地域でございますけれども、木密、即、悪という考え方に対して、私は抵抗を感じます。防火対策と木密は両立できないとは考えられないわけですよ。これはさまざまな施策を考えれば、木密と防火対策は十分に両立できるというふうに私は考えます。
 下町などには、特に木造密集地域は、近所づき合い、良好なコミュニティ、あるいはまた義理と人情、薄れていくそういったものが濃厚に残されている地域でございまして、これをばたばたばたばた壊しちゃって、跡に合同のビルをつくっていくということは--長い年月を積み重ねてようやくつくり出されてきた、木造密集地域ならではの情緒あふれる、これは文化というんですかね、そういったものがあるわけですよ。
 きのう新聞でたまたま読んだんでございますけれども、警視庁の捜査一課長になられました方の横顔が載っておりましたが、この方は、仕事の合間を縫って路地裏を歩くことが唯一の楽しみだそうであります。それは、そこの生活のにおいとかぬくもり、そういったものが感じられて、極めて心が安らぐということだそうでありますが、そのぐらい効果があるんですね。
 だから、再開発等は住民が立ち退くことが多いのが現状です。ですから、これは、立ち退かなくて、木造建築をもう一度そのままつくりかえることができる。でも、できれば、お神楽でもいいから、もう一階上へ乗っけることができる。そうすれば二世帯が同居できますし、それからまた、在宅介護にだって役に立つわけですよ。二階までだから一緒に住めないわけですから、もう一階あれば、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に住むことができるのでございます。そうすれば、若者もどこかへ、子どもたちも出ていかなくて済むんですよね。そういった建てかえができるように、建築規制の緩和方策を何とか考えられないものなのか。どうですか、それは。

○勝田都市計画局長 木造住宅密集地域、先生ご指摘のとおり、コミュニティのすぐれた場所が多いというふうに私どもも認識しております。こうした地域での建築規制でございますが、防災性の向上を図るため、本定例会に提案させていただいております新たな防火規制の区域指定を進めることというふうにしております。
 この区域におきましては、区市と連携しながら、前面道路による容積率制限あるいは斜線制限、こういったものを緩和することによりまして、二世帯住宅などへの建てかえが容易になってまいります。

○桜井委員 漫画家では、亡くなりましたけれども、滝田ゆうさんがかいておられますけれども、ああいう町ですよね。
 次に、都市計画道路について伺います。
 時間がありませんので、スピード化いたしますけれども、道路は都市の施設の中で最も基本的なもので、都民の日常生活や生産活動に欠くことのできない大変重要なものです。防災性の強化などの面からも重要な役割を果たすことはいうまでもありません。
 しかし、区部の都市計画道路網は、五十年以上も前から決められた戦災復興計画が基本であり、これまで、その整備に大変時間をかけてきたのも事実でございますが、未着手の区間の中でも、わずかな拡幅を残すだけで、道路としての機能をおおむね満たしている、いわゆる概成区間も多く残っております。
 そこで、区部における都市計画道路の整備状況と、未完成の区間に占める概成区間の割合について伺います。

○勝田都市計画局長 平成十四年三月現在、区部の都市計画道路の計画延長千七百六十三キロメートルのうち、約五七%に当たる九百九十七キロメートルが完成しております。また、完成していない区間の延長七百六十六キロメートルのうち、今ご指摘ございました、いわゆる概成区間は、約二百五十キロメートルでございまして、おおむね三分の一を占めております。

○桜井委員 さきの一般質問において、石原知事は、都市計画の事業化計画の見直しに関して、主要な幹線道路はおおむね二十年後の完成を目指すとしており、路線の一層の重点化を図ることにしております、この答弁は、従来の画一的な十年間見直しと比べまして、極めて大きな違いを示唆していると考えます。
 そこで、この区部における都市計画道路の事業化計画について、見直しに向けた検討状況を伺います。

○勝田都市計画局長 区部における都市計画道路の事業化計画でございますが、現在、社会経済情勢の大きな変化などを踏まえまして、区と連携して見直しを行っております。
 具体的には、優先的に整備すべき路線の選定条件や、効率的な整備を行うための施行主体のあり方、財政状況が厳しい中での整備促進策などについて検討を進め、来年度末を目途に新たな事業化計画を策定してまいります。

○桜井委員 知事に伺うのですけれども、今の局長答弁にもありましたが、二十年間たっても入らない計画路線がありますけれども、こういうところはもう廃止しちゃう、計画をやめちゃうというふうにならないものですかしら。その点、知事のお考えを伺いたいんです。

○石原知事 見てくれは余りよくありませんが、道路としてはほとんど機能を満たしているいわゆる概成道路は、かなりの部分、まだ区部にございまして、長期間未着手のために、地権者の方々にいろんな負担がかぶさっているということも承知しております。
 このような道路は、快適な歩行空間の確保や風格のある街並み形成などの面から、そのあり方が課題になっておりますが、このため、都市再生にあわせ道路空間を確保するなど、これまでにない、今までにない発想に立った施策や、整備時期に応じた新たな建築制限の緩和策を講じるなど、とにかく地元の方々の負担の軽減を図っていくように、最近、見直しを指示いたしました。

○桜井委員 以上をもって質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○山本委員長 桜井武委員の発言は終わりました。
 以上をもちまして、付託議案に対する総括質疑は終了いたしました。

○山本委員長 次に、部局別質疑について申し上げます。
 部局別質疑は、本委員会設置要綱の定めるところにより、各常任委員会の調査をもってこれにかえることになっておりますので、所定の手続を議長に申し入れます。ご了承願います。
 各常任委員長さんに申し上げます。
 部局別質疑に関する調査報告書は、二月二十八日の午後五時までに提出されますよう、特段のご配慮をお願いいたします。
 なお、来る三月四日については、締めくくり総括質疑を行っていただきます。
 また、三月五日に予定しております討論などの委員会運営につきましては、理事会にご一任いただきたいと思います。ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時七分散会

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