東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○宮崎副委員長 続きまして小磯善彦委員の発言を許します。
   〔宮崎副委員長退席、森田副委員長着席〕

○小磯(善)委員 公明党の小磯善彦でございます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 初めに、東京都職員の通勤手当についてお伺いをいたします。
 それでは資料をお配りください。
   〔資料配付〕
 民間企業では、社員の通勤に要する費用を、割安な六カ月定期の金額で支給をしているのがほとんどであろうかと思います。しかし、東京都職員の場合は、依然としてこの一カ月定期券の相当額を支給しているということでございます。
 本日、皆様のお手元にお配りした資料の中に(パネルを示す)このパネルにございますが、例えば、新宿から千葉の方、柏の場合、一カ月定期券を六カ月分買った場合、十一万一千六十円、これを六カ月の定期を買った場合、八万九千二百十円、その差額は二万一千八百五十円であります。半年で二万一千八百五十円も安くなるということであります。一年間では、何と四万三千七百円であります。
 民間の方は、大変今厳しい状況の中で、この六カ月定期を社員の方に買っていただいているわけでございますが、東京都職員の場合は、いまだもってこの一カ月定期の相当額を支給しているわけであります。
 そこで、お伺いをいたします。
 現在、通勤に鉄道を利用している職員数、そしてその鉄道利用分の通勤手当支給額、そして一カ月の定期券を六カ月の定期券に変えた場合、その財政削減効果はどれほどになるのか、お伺いをしたいと思います。

○赤星総務局長 お答え申し上げます。
 JR及び私鉄などの電車を利用している職員に支給されております通勤手当について、昨年、全任命権者に対して実態調査を行いましたが、職員十三万五千三百九十二人に対しまして、年間総額で約二百三十二億円を支給しております。
 現行制度では一カ月定期相当額で支給をしておりまして、仮にこれを六カ月定期相当額に見直す場合、人事異動時の取り扱いなどの問題はございますが、ごく単純に計算いたしますと、年間約二十八億円の差が生じます。

○小磯(善)委員 支給総額が二百三十二億円、財政削減効果が二十八億円というのは、大変な額であります。十五年度予算で、ホテル税は約十五億円であります。新宿から柏に通うという、その事実自体は、一カ月定期でも六カ月定期でも、これは変わらないわけであります。
 昨年十月に、東京都人事委員会は、その勧告の中で、通勤手当などの支給方法等に民間の状況と差異が見られる手当については今後とも検討していく必要があると、このように述べておりますが、人事委員会は、この民間の通勤手当の支給状況をどのように把握をされておられますか。

○高橋人事委員会事務局長 昨年の人事委員会勧告に先立ちまして、東京都人事委員会といたしまして、特別に通勤手当の支給方法のヒアリングを実施いたしました。
 これは、都が調査を担当する企業につきまして実施をしたもので、その結果としましては、ヒアリングを行った企業のうち七割近くの企業で、電車通勤者に対して六カ月定期相当額を支給しておりました。
 昨年の人事委員会勧告におきまして、通勤手当の支給方法を検討していく必要があるという趣旨の意見を申し上げましたのは、こういう状況を踏まえたものでございます。

○小磯(善)委員 ただいまの答弁によれば、やはり民間企業と東京都の支給方法には、実態として乖離があると考えざるを得ません。しかも、民間に合わせて見直しをすれば、約二十八億円もの削減効果が見込まれるわけであります。
 ところで、国の人事院や地方の人事委員会が民間賃金と公務員の給与を比較する際、通勤手当を含めた総額同士を比較しております。これは都民の目から見て、非常にわかりにくいことであります。
 通勤手当は、本来、実費弁償的なものでありまして、会社が郊外に移転したような場合、当然通勤手当額が上がるわけであります。こうしたことを考えると、通勤手当は通勤手当として支給方法を是正し、通勤手当を除いた給与で、きちんと民間賃金と比較ができるように、給与の比較方法を是正する必要があると私は思いますが、いかがでしょうか。

○高橋人事委員会事務局長 民間企業の賃金の支給実態は多種多様でありますことから、賃金統計上は、所定内給与として通勤手当も含めて調査をするのが一般的でございまして、職員給与と民間賃金との比較につきましても、通勤手当を含めた総額を調査し、比較する方式をとっております。
 しかしながら、通勤手当につきましては、ご指摘のとおり実費弁償的な性格が強いものであることや、民間の支給方法が多様化しつつあることなどから、本委員会としても、他の給与費目とは分離して調査をできるようにしていくことが適当と考えております。
 ただ、この調査は、国の人事院や全国の人事委員会と共同で実施をしておりますために、国に対しまして、強くこの見直しを要請しているところでございます。

○小磯(善)委員 国がやり方を見直すまで待っているのみでは、問題の解決をおくらせるだけであると、こう思います。
 東京都は、国に先駆けて、東京都でしっかりと何らかの取り組みを行うべきであると思いますが、いかがでしょうか。

○高橋人事委員会事務局長 まずは、通勤手当の調査の方法につきまして、国に対する見直しの働きかけを一層強めていく必要があると考えております。
 この取り組みとあわせまして、昨年の実態把握に加えて、平成十五年度の人事委員会勧告に向けまして、都としてとり得る具体的な方策についてもさらに検討を行いまして、勧告に反映できるよう努力してまいります。

○小磯(善)委員 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 さて、実際に通勤手当の見直しを行うに当たっては、ほかにもいろいろと課題があろうかと思います。労働組合との交渉もあるでしょう。そしてまた、一カ月単位のものを六カ月単位に変えるわけでございますから、職員の異動に伴う転勤などにかかわり、実務上の問題も生ずると思いますが、諸課題についてしっかり、そして早急に検討すべきであると思いますが、いかがでしょうか。

○赤星総務局長 昨年の人事委員会勧告を受けまして、現在、他の自治体の状況や問題点などを検討しておりますが、通勤手当の支給方法は、ご指摘のとおり労使交渉事項でございますから、職員団体との協議が必要になります。
 また、人事異動に伴いまして、職員の勤務地が変更される場合に、どのような調整、清算を行うべきかにつきましては、事務的にも極めて複雑な課題となっております。
 こうした課題に対しましては、既に支給方法を六カ月定期相当額に改正した他の自治体においても、それぞれ多様な取り組みを行っておりますので、これらの事例も踏まえた上で、具体的に取り組んでまいります。

○小磯(善)委員 いろいろと課題があることはわかりましたが、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 私は、これまでも職員の皆さんが、逼迫した財政状況を何とかしようと給与削減に取り組んでいることを高く評価いたします。
 しかしながら、世間常識で考えて、明らかにおかしな制度、これを議会として是正を求めるのが都民の代表の責務であると考えております。この通勤手当の問題については、早急に六カ月定期相当額の支給に改めるべきであると私は思います。
 行革に命をかける石原都知事、いかがでございましょうか。

○石原知事 聞く限り、やはり私にとってもおかしな話だと思いますし、ただ、ちょっと聞きましたら、六カ月の定期にして実質的にその料金が下がると、全体として給料が上がったことになるから云々で、上がったら上がったでいいじゃないですか。この次が、要するに、また次の段階で調整すればよろしいわけですから、私はできると思います。

○小磯(善)委員 ありがとうございます。
 続きまして、公共施設の維持保全をいかに効率化していくかという観点から質問をさせていただきます。
 東京都は、約三万棟、延べ床面積にして約三千万平米の膨大な建築物を所有し、管理しております。これらの建物の維持管理には膨大な経費がかかっており、その削減は大変重要なことであります。東京都も、空調設備の見直しなど、都庁舎省エネルギー運動を行い、省エネルギーと経費の削減に取り組んでいることは承知しております。
 電力危機対応もあるかと思いますが、電力の自由化による節約について、東京都はどのように考えておられますでしょうか。

○田原財務局長 公共施設の光熱水費の削減につきましては、財政面だけでなくて、省エネルギーの面からも重要だと考えております。
 このため、例えば空調温度の見直し、照明箇所の削減、節水の徹底など日常的な経費の削減策に取り組んでまいりました。
 新規の建設に際しましては、建物配置そのものを工夫をしましたり、省エネルギー型機器の採用などを行いまして、光熱水費を削減できる工夫をした設計を行っているところであります。
 さらに、燃料電池や太陽光発電など新しい技術の導入にも努めてまいります。

○小磯(善)委員 維持管理費の削減というのは大変急務な課題でありますけれど、大きな問題として、建物の修繕、改修などの保全があろうかと思います。
 東京構想二〇〇〇でも、六年後の二〇〇九年には、建築後三十年を超える都所有建築物床面積が、都所有の建物の四五%にも達するということでございます。約一千二百七十万平米もあり、これは第一、第二本庁舎と議会棟を三つ合わせた面積の三十三個分に相当いたします。もし、これらを建てかえるとなると、約三兆八千億円もの巨額な金額が必要と思われます。
 そのためにも、建物保全は大変重要であり、時期を逸した保全は都財政を揺るがしかねません。建物の寿命まで最大限利用するために、適切な保全が不可欠であります。
 現在、都の建物保全は、各局の施設管理者がそれぞれ行っているとのことであります。しかし、建物保全を各局が個別に実施していたのでは限界があります。建物の保全を効果的に行うために、全庁的な体制整備が必要であると思いますが、所見を伺います。

○田原財務局長 済みません、電力の小売自由化の話が抜けておりました。
 ただいまのところ、契約電力が二千キロワット以上の特別高圧電力を使用する施設が対象になっておりまして、都では、本庁舎など約九十施設がこれに該当しております。
 今後の対応でありますけれども、多くの電力供給事業者が参入をいたしまして、価格の競争性が高まること、これが一つでございます。それから、安定した供給体制が整備されるなどの条件が整えば、維持管理費の削減を今一生懸命東京都は進めておりますけれども、非常に大きなメリットが期待をできますので、積極的に導入を検討してまいります。
 それと、ただいまのご質問でありますけれども、今後、過去に建設をしました膨大な建築物が老朽化してまいりました。ご指摘のとおりであります。これまで以上に効率的、計画的な保全業務を行っていく必要があります。
 このため、新しい組織を整備をいたしまして、施設ごとの設計から保全までの情報を、まず一元的に管理をしようと思っております。保全データベースなるものを構築をいたしますとともに、保全に関する緊急対応や相談などに応じるコールセンターを設置をしてまいります。
 このようなことによって、体制を整備をしていきたいと思っております。

○小磯(善)委員 それでは、環境政策についてお伺いをいたします。
 まず、省エネでございます。既に本会議でも述べられたことでございますが、東京電力の原子力発電停止に伴う電力危機でございます。東電の原子力発電は十七基あるわけでございますが、そのうち十三基が現在まで停止をしております。残る四基も四月十五日までには停止をし、再開する原子力発電がなければ、これで全部停止ということになります。
 そこで、数値を教えていただきたいんですが、一つは、東京電力の最大電力量は幾らで、そのうち原発の占める割合、二つ目には、火力発電でバックアップできる供給量、三つ目には、他の電力会社から融通できる電力量、四つ目には、夏場のピーク時に不足する電力量、それぞれの数値についてお伺いをしたいと思います。

○小池環境局長 ちょっと数字が並んで恐縮でございますけれども、東京電力によりますと、第一点目の夏場のピーク時の最大電力量は、平成十三年七月に過去最高の六千四百三十万キロワットを記録したということでございます。そのうち原子力の発電は、このピーク時に対して千七百三十万キロワットで、約三割を占めております。
 二点目の、今回の事態を受けて、電力不足を補うために再開された火力発電所による供給量は、約四百万キロワットとなっております。
 三点目の、他の電力会社から融通できる電力量は、最大で約九十万キロワット。
 四点目の、すべての原発が停止した状態で、夏場のピークを迎えた場合に不足するとされております電力量は、約一千万キロワットとしております。

○小磯(善)委員 電力危機について環境局長がご答弁されたということは、私はこれはいいことだなと。エネルギー政策を環境局が握ってやっていっていただきたいという思いでございます。
 まず、そのバックアップの火力発電のトラブルがないとはいえないと私は思います。私は、だからといって、新潟、福島の原発再開を早くしろといっているのではありません。これまで東京の電力のために、新潟、そして福島の皆さんには大変お世話になっているわけで、安全性がしっかり確認され、県民の皆様のご理解が得られるまでは、我々は節電に努力しなければいけないと、こう思います。むしろこの電力危機を、省エネを身につけるチャンスにすべきであると、私はこう思っております。
 そこで、教育長にお伺いをいたします。
 小中高に通う児童生徒たちに対する省エネ教育は、大変私は大事であると思っております。昔と違うのは、例えば、外で遊ばないで、家の中で冷暖房をつけっ放しでテレビゲーム、自由に電気を使いっ放しではないかなと、こう私は思っております。
 そこで、小中高校でこうした電力危機の実情を教え、家庭でも省エネするように知恵を出して、工夫して、徹底すべきであると思いますが、いかがでしょうか。

○横山教育長 都の教育委員会としましては、電力不足が予測される事態への対応としまして、各学校において節電などの省エネルギーを積極的に進めるよう通知しますとともに、各区市町村の環境教育担当者を集めまして、児童生徒の実践的な態度を育成するよう指導、助言してまいりました。
 各学校では、これまでも節電などの省エネルギーについて、教科や総合的な学習の時間の中で、環境保全や地球温暖化等に関連させながら指導し、環境を大切にする実践的な態度の育成を図っております。
 今後とも、電力供給に関する情報提供を適宜行いまして、児童生徒が省エネルギーなどについての学習を、家庭等において日常生活に生かせるよう、環境教育の一層の推進を図ってまいります。

○小磯(善)委員 東京電力では、かつて平成二年八月二十三日に、大きな工場に節電してもらい、九十五万キロワット電力をカットした歴史がございます。ことしの電力不足危機は、このまま推移すれば、そのとき以上かもしれません。昭和四十四年以降から、最大電力は冬のピークから夏のピークに変わっております。気温が上がるに従って、電力が上がります。よって、その日の気温の予想によって、電力がどれぐらい使われるかの予測ができるのではないかと思います。
 先日、NGOの地球村の人たちと語っていたときに、こうした電力不足危機を回避するためにも、また、地球温暖化の防止という観点からも、電力の需要供給の数値を伝える電力の予報、電気の予報のようなことを実施して、都民に対して電力情報を提供することが必要だという、そういった結論になりました。
 石原都知事のご子息の石原良純さんが気象予報士をされておりますが、専門的な立場からわかりやすく天気予報をしておられ、我が家では大変好評であります。例えば、石原良純さんが天気予報の後に、きのうまでの電力量はこれだけでした、一年前に比べて何%ふえておりますとか、きょうの最大電力はこれだけでした、あすの予想気温はこれだけですので、あしたの最大電力はこれぐらいになるでしょう、あしたは、ご家庭でぜひ一%節電をお願いしますと、このように良純さんがいっていただければ、みんな喜んでいうことを聞くと思います。
 技術的には、最大電力のデータは、リアルタイムで出てくるそうであります。また、一日の電力量は、翌日には数字が出るそうでございます。まず、環境局長、いかがでございましょうか。

○小池環境局長 都民に対して電力状況に関する情報を迅速かつ正確に伝えますことは、東京電力の責務の一つであると認識しております。今、ご指摘のありましたように、現在、東京電力では、その日の気温の予報値や過去のデータをもとにいたしまして、電力供給量を調整していると聞いております。
 ご提案の趣旨につきましては、よく東京電力に伝えてまいります。

○小磯(善)委員 都知事、ぜひこの提案についていかがでございましょうか。

○石原知事 なかなかいい提案だと思います。季節の変わり目など、つけっ放しで、冷暖房、割と多いようでありますから、天気予報士のいうこと、どれだけ浸透するかわかりませんけど、取り次ぎます。

○小磯(善)委員 ぜひお取り次ぎをよろしくお願いしたい。
 続きまして、省エネの先駆的事例を紹介する場の提供ということで、箱崎で、隅田川の河川水の熱を有効活用した地域熱供給システムがあり、私も見てまいりました。河川の水、川の水は、外気温と比べて、冬は暖かく、夏は冷たく、しかも年間を通して温度が安定しているために、効率よい空調用熱源として利用し、省エネを実現しております。未利用の自然エネルギーと蓄熱式ヒートポンプを活用しているわけであります。
 東京都は、もっと積極的に、こうした先駆的に省エネ、自然エネルギーの活用、温暖化対策等に取り組んでいる事例を紹介する場を提供すべきであると思いますが、いかがでしょうか。

○小池環境局長 ご指摘のように、省エネや新エネルギー等につきましては、さまざまな取り組みが各方面でなされております。都といたしましても、こうした動きを含め、事業所における先駆的な取り組みにつきまして、地球温暖化対策計画書や民間のESCO事業での取り組みの中から優秀事例を選び、ホームページに掲載してまいりたいと考えております。
 家庭での取り組みにつきましても、日常生活の場での省エネ行動をわかりやすく解説した事例集をホームページに示すなど、都民に省エネを働きかけてまいります。
 今後、こうした取り組みを充実させていきますとともに、有効と考える新たな技術情報につきましても積極的に提供してまいりたいと思います。

○小磯(善)委員 東電の原発トラブルによる原発運転停止によって、都民は、電力についてもう一度よく考える機会を得たと思います。節電によってこの電力危機を乗り越えようと都民が努力するわけでありますが、これを契機に、節電イコール地球温暖化防止につながるという意識を高めるべきであると思います。
 近年の東電の最大電力は、二十年前が三千百万キロワット、十年前が五千百九十万キロワット、平成十三年が六千四百三十万キロワットであり、二十年前の二倍であります。電力需要の増大は地球温暖化につながるわけであります。
 東京都環境局では、東京では過去百年間に年平均気温が約三度C上昇している、東京には地球温暖化の影響とヒートアイランド現象があるといっております。
 温暖化による影響について、いろいろあるわけでありますが、その中に、絶滅する種がふえるといわれております。それは、植物はそれぞれに適した地域に生息していますが、温暖化すると、北もしくは高いところに移動しなければなりません。樹木が種子を飛ばして分布を広げる速度より、温暖化で移動する気候帯の方が速く、種が絶滅するおそれがあるといわれております。
 ちなみに、種子が分布を広げる速度は、年四十メートルから、最高でも年約二キロといわれております。温暖化の場合は、年一・五キロから五・五キロまで移動する、こういわれているわけで、種子が追いつかないということであります。
 東京都は、地球温暖化阻止東京作戦を展開し、実効性ある温暖化対策を検討中でありますが、既存の環境確保条例を一部改正するのではなく、地球温暖化防止条例を制定すべきでありますが、いかがでございましょうか。

○小池環境局長 都は、昨年十二月、環境審議会に対しまして、東京都における実効性ある温暖化対策について諮問いたしました。現在、温暖化対策の新しい仕組みづくりにつきまして、専門的、技術的観点から審議していただいているところでございます。年内には最終答申をいただくことになっておりまして、今後、条例化も視野に入れて、実効性ある温暖化対策について検討を進めてまいります。

○小磯(善)委員 続いて、動物園のことについてお伺いしたいと思います。
 二十一世紀は環境の時代といわれております。今を生きる私たちは、人が自然と共生できる社会を構築し、後世に自然を貴重な財産として受け継いでいかなければなりません。このような中で、自然と市民をつなぐ施設である動物園は、人々が生きた野生動物を身近に見ることができる数少ない施設であります。ところが、近年、民間の動物園が次々と閉鎖されているという、冬の時代を迎えております。しかし、地球環境の悪化が叫ばれる今日、動物園の社会的な重要性はますます高まるばかりであります。それは、野生動物の危機は、とりもなおさず、あすは我々人間の危機につながるからであります。
 この危機を打開するために、動物園はさまざまな活動を行っていると聞いております。そこで、都政の中で、上野動物園を初めとする多摩動物公園、葛西臨海水族園、井の頭自然文化園などの役割についてどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

○小峰建設局長 上野動物や多摩動物公園など、都立の動物園は、自然の少ない東京では、野生動物の世界を間近に体感でき、人々に驚きや感動を与えてまいりました。
 動物園の役割は多様でございますが、小笠原固有のアカガシラカラスバトの繁殖や、海外の動物園と連携したパンダの繁殖プロジェクトの推進など、絶滅の危惧にある動物の保護センター的役割を担っております。
 また、子どもたちが、動物とその生息環境への理解を深め、命のとうとさを学び、豊かな心をはぐくむ教育的役割も果たしております。
 今後とも、都は、年間六百万人もの利用者のある都立動物園において、希少動物の保全、教育、さらにレクリエーションや観光など、さまざまなサービスを提供してまいります。

○小磯(善)委員 こうした動物園のさまざまな役割を積極的に果たすためには、園内を魅力あるものに改善したり、希少動物を導入するために諸外国との交流を深めたり、まだまだ取り組むべきことが多いと思います。展示施設の改善を初め、新たな希少動物の導入、普及宣伝活動の充実、諸外国の動物園との交流など、今後、多額な経費が必要になってくるかと思います。
 そこで、動物園に対する個人や企業を含めた民間の支援を受け入れ、動物園のオーナーは我々であるという意識を高めるとともに、国際交流や動物園の活性化に役立つ制度、例えば動物園サポーター制度のようなものを、諸外国の例を参考にしながら検討してはいかがでございましょうか。

○小峰建設局長 上野動物園では、開園百二十周年を契機に、企業広告の導入による民間資金を活用した各種イベントを実施いたしました。
 民間資金を活用した諸外国の例といたしまして、ロンドン動物園では、動物里親やアニマルパートナーと呼ぶ制度があり、動物の飼育環境の改善や希少動物の国際的な保全活動に貢献しております。
 今後は、これらの制度も参考にし、個人や企業など広く民間の支援を受け入れ、さらに魅力ある動物園づくりとその運営を目指してまいります。

○小磯(善)委員 ぜひサポーター制度をよろしくお願いしたいと思います。
 温暖化対策にせよ、動物園サポーター制度にせよ、次代を担う子どもたちへのアプローチが不可欠であります。二十一世紀の環境問題を解決し、この東京を次の世代に引き継ぐためには、彼ら若い世代の役割が何より重要であると考えます。
 小泉総理が昨年のヨハネスブルクの環境開発サミットで提案し、採択された、持続可能な開発のための教育の十年は、提案者である我が国が率先して進めることが大事であります。環境自治体づくりを進めてきたある識者が、環境問題解決の根本は我々のライフスタイルの転換にあり、それは他から強制されるのではなく、自発的な力でしかないと指摘しておりました。
 環境先進国ドイツでは、一九八〇年に、環境教育における学校の役割が決議され、学校教育における環境教育が明確に位置づけられました。初等教育では、例えば自然エネルギーの重要性、中等、高等教育では、生態系の維持などを学習しているそうであります。また、家庭における環境教育にも力が入れられ、ドイツ国民の環境意識は極めて高く、九八年の日独環境意識調査結果では、使い捨て容器の飲み物の購入を手控えるという人は、ドイツでは五〇%に対し日本人は九%以下という結果があるそうであります。
 石原知事は、東京都環境基本計画の策定に当たって、地球の環境は大きく狂い始めており、このまま事態を放置すれば、二十一世紀の終わりには人類は存在していないかもしれない。今、東京都に求められているのは、自動車公害対策のみならず、地球温暖化防止対策、自然環境の再生など、さまざまな分野で先駆的な環境政策を一層果敢に展開することですと述べておられます。
 そこで、石原都知事に、環境教育の重要性と取り組みへの決意をお伺いいたします。

○石原知事 全くおっしゃるとおりでありまして、この地球がもはや有限の域に差しかかっているという実感を、そろそろいろんな人が持ち出していると思います。
 子どもたちは、我々の次代を担う存在でありますけれども、彼らが活躍する時間帯まで、この地球をもたせて、よりよい形で受け継いでいくためにも、私たちも努力しなくちゃいけませんが、彼らが受け継いでいくこの地球というものがどういう状況に差しかかっているかということを、教育の段階で教えることも非常に肝要だと思います。

○小磯(善)委員 続きまして、緑地の保全ということで、町田市の小山田緑地についてお伺いをいたします。
 多摩丘陵を初めとする丘陵地の緑は、都民の貴重な財産であります。こうした場所を積極的に保全し、利用するためには、公園として整備していくことが必要であります。町田市の丘陵地にも、小山田緑地や大戸緑地があり、東京都が公園整備を行っております。
 小山田緑地については、事業認可の際に、地元に、用地取得を進める旨の説明が行われたと聞いておりますが、近年、用地取得が行われておりません。財政状況が厳しい中で、やむを得ないとは思いますが、ぜひ事業を進めてほしいと思います。
 そしてまた、二点目でございますが、小山田緑地では、昭和六十二年度から整備を行って用地取得が行われ、まだ開園されていない区域がございます。その土地は、雑木林や谷戸であると聞いております。自然環境に配慮した整備をできるところから着手し、開園すべきでありますが、いかがでございましょうか。

○小峰建設局長 小山田緑地は、鶴見川の源流域に位置し、カワセミなども生息する、自然環境の豊かな面積百四十七ヘクタールの都市計画緑地でございます。これまで四十・五ヘクタールの用地を取得し、三十八・九ヘクタールを開園してまいりました。
 今後も、小山田緑地の自然を保全し、利用を図るため、国費の導入などを国に働きかけるなど、事業の実施に向け努力してまいります。
 緑地の未開園地の面積でございますが、現在、一・六ヘクタールございます。里山景観の早期回復が期待されており、谷戸部分の一・二ヘクタールについて平成十四年度から整備に着手いたしました。整備に当たりましては、地元NPOと協働して、ホトケドジョウなど貴重な水生生物が生育する環境づくりに努めております。緑地の完成予定は平成十六年度でございますが、利用可能となったところから順次開園してまいります。

○小磯(善)委員 同じく大戸緑地の先行取得用地の所管がえ以前の開園についてお伺いいたします。
 町田市の南西部に位置する大戸緑地では、都市開発資金による先行取得により土地を取得してまいりましたが、事業化に当たっては、都市計画局から建設局への有償所管がえが必要とされております。管理段階での都民参加については、建設局で取り組んでいると聞いております。都市計画局では、所管がえ以前であっても緑地が開園できるような仕組みについて、国や関係部署と調整を進めていただきたいと思います。

○勝田都市計画局長 大戸緑地は、豊かな雑木林に覆われた都市計画緑地でございまして、都では、平成二年度から十一年度にかけて、約三十二ヘクタールの用地を取得してまいりました。先行取得用地の所管がえ前の使用等につきましては、国の整備補助金等に関する種々の課題がございますので、活用方法等について、今後とも国や関係部署とさらに協議を進めてまいります。

○小磯(善)委員 続いて、医療福祉政策についてお伺いしたいと思います。
 東京都の高齢者緊急通報システムというのがございます。これはおおむね六十五歳以上で、常時注意を要する状態にある病弱なひとり暮らし等の高齢者を対象に、専用通報機を用いて直接消防機関もしくは民間事業者に通報するシステムであり、在宅高齢者の生活の安全を確保するシステムであります。それには、消防機関方式と民間事業者方式があるわけでありますが、それぞれの実施状況についてお伺いしたいと思います。

○川崎福祉局長 平成十三年度末におけます高齢者緊急通報システムの登録世帯数は、消防機関に直接通報が入る方式が一万二千四百四十四世帯、民間事業者に通報が入る方式では千五百三十五世帯、合計で一万三千九百七十九世帯でございます。

○小磯(善)委員 本事業の対象となる高齢世帯数は都内で約十四万と推計されておるわけですが、これに比べますと、今の一万四千世帯というのは、まだまだ十分普及しているとはいえないと、こう思います。今後、一層の普及を図る方法として、消防機関に直接通報する方式で行われている、周辺住民による協力員制度をなくすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○川崎福祉局長 近隣関係の希薄化などにより、緊急通報システムの協力員のなり手がいないことや、地域住民である協力員が自宅に入ることを好まない利用者もいるといった問題もあり、現在、実施主体であります区市町村や関係機関と協議しながら、協力員の要件を緩和する方向で見直しを行っております。

○小磯(善)委員 この制度では、民間事業者の要件として、警備業法における認定事業者となっております。この要件によって新規事業者の進出ができないことが問題となっております。この警備業法における認定事業者の要件を撤廃すべきであると思いますが、いかがでしょうか。

○川崎福祉局長 現在、民間事業者を活用する緊急通報システムについては、利用者の安全と迅速な対応を確保する観点から、その対象を、警備業法で認定された事業者に限定しております。事業者の要件緩和については、安全性と迅速性の確保に留意しつつ、実施主体である区市町村や関係機関と協議し、対象事業者の拡大について検討してまいります。

○小磯(善)委員 続きまして、交通政策についてお伺いいたします。
 交通政策とIT技術の活用といった視点から質問いたします。
 私の地元の町田市駅では、鉄道利用の四人に一人が、バスで駅まで来る通勤通学者であります。とりわけ朝のピーク時には、上下合わせて約二百八十便が駅前に乗り入れてまいります。とにかくバスしか乗り物がないため、そのバスが時間どおりに来ないということで、市民はいらいらしている場合が多いわけであります。抜本的にはモノレールなどの整備が必要でありますが、当面はバスに頼らざるを得ません。
 これらの課題を解決する上で、バス走行環境改善システム、バス・ロケーション・システムを導入し、利用者にバスの位置情報を携帯電話に提供するなどのサービスが効果的であると思います。そして、このバス・ロケーション・システムの導入に当たって、国や都はどのような支援をしてきたのか。
 また、多摩では、バスがいわば生活の足となっております。私の地元の町田市を含め、バス・ロケーション・システムの一層の拡大普及を図るべきだと思いますが、都のお考えを伺って、私の質問を終わります。

○勝田都市計画局長 バス・ロケーション・システムは、バスの位置情報を即時に表示することによりまして、バス利用者の利便性の向上を図る上で有効な手段でございます。平成十三年度からは、システムの導入費用に対しまして、国と都が同率の補助を実施しておりまして、停留所の表示板に位置情報を表示する方式には五分の一、インターネットや携帯電話を活用した方式には四分の一をそれぞれ補助しております。
 また、バス・ロケーション・システムは地域交通の円滑化に資するものでございますので、都は、その導入に向けた支援を行ってまいりました。システムの導入は、基本的にはバス事業者の判断によりますが、都では、先駆的な事例の紹介、補助制度の説明などを、バス協会を通じまして積極的にPRし、町田を含めた多摩地区へのシステムの普及にも努めてまいります。

○森田副委員長 小磯善彦委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時十六分休憩

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