東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○森田副委員長 大塚隆朗委員の発言を許します。
   〔森田副委員長退席、和田副委員長着席〕

○大塚委員 都議会民主党の大塚隆朗でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日、私からは、東京の将来に向けてのあり方、都市計画全般と、今話題になっております二〇〇三年問題についてお尋ねをしていきたいと思っております。
 知事にお尋ねをする前に、勝田局長に一問一答形式でやらせていただき、その後に、最後に知事に見解をお聞きしたいと思いますので、どうぞよくお聞き取りいただければありがたいと思います。また、局長には何度も答弁をいただくことで恐縮でございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 そこで、さて第一に、都市計画法及び都市計画法施行令に定める都市施設について、道路、上下水道、また処理施設、電気供給施設、空港、公園、産業廃棄物処理施設などの多種多様な計画は、本来、都市計画審議会に付議され、都市計画決定されます。例えば、周辺環境に配慮するとかの理由が考えられますが、まず最初に、なぜそういった施設が都市計画決定されるのか、お伺いをいたします。

○勝田都市計画局長 道路、上下水道、処理施設などの都市施設は、円滑な都市活動の確保、良好な都市環境の保持という観点から、適切な規模で必要な位置に配置することとしておりますが、これを将来にわたって担保するために都市計画決定しているものでございます。

○大塚委員 今述べたことは、都市の形成に欠かすことのできない重要な施設であるわけでございます。都市計画には何といってもバランスとコントロールが必要と考えます。この点についてきょうの議論が展開されることでありますが、その意味から地区計画が定められたり、また用途地域が定められたりするわけでございます。先ほどの施設はどれをとってもそうですし、例えば公園などが多ければそれでよいということでもなく、駅前広場もそれ相応の規模が必要であるというふうに考えているわけでございます。
 そこで、都市計画のバランスとコントロールについて、局長の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

○勝田都市計画局長 都市計画は、人口規模、産業分類別の就業人口、市街地の土地利用、交通量などに関する現況及び将来の見通しに基づきまして、道路、鉄道、公園等のバランスある配置を定めるとともに、土地利用のコントロールを行うものでございます。

○大塚委員 今ご答弁いただいたとおり、私も、さまざまな都市施設を配置するのに当たりましては、適正な市街地の形成には本当にバランスとコントロールが大事な視点であるということを、今も局長から指摘いただいたわけでございます。
 東京の都市の形成のあり方には、今日まで長い歴史の中で試行錯誤が繰り返され、いまだ完成というものはもちろんあり得ないのですが、また、この先長い年月を要することも当然であるというふうに思います。
 過去、都市に集中して弊害を招いたものもあれば、また、分散もできずに弊害を招いたものもあります。また、かつて田中角栄氏の日本列島改造論があったり、中曽根総理の時代のバブルに踊った時代や、また多極分散型都市形成論や一極集中都市形成論など、時の内閣が長期的かつ的確な判断もせずに恣意的に行ってきたというようなこともあるわけでございます。まさに現在、首都移転の議論は都市再生に逆行した流れであることも、その象徴だと思うわけでございます。
 東京は、この五十年間に必ずしも一貫した都市形成がされたわけでもなく、一極集中の流れと多極分散の流れは、そこには国の政策により混乱を招いてきた東京の都市形成があるわけでございます。
 そういった観点から、この分散論、一極集中論についての局長の見解をお伺いいたします。

○勝田都市計画局長 都市計画の流れでございますけれども、国におきましては、昭和三十一年の首都圏整備法の制定以降、一貫して、東京への一極依存構造を是正し、拠点的な都市を中心とした自立性の高い地域形成を目指してまいりました。
 都においても、副都心の整備、多摩の核都市の育成整備など、職と住の均衡のとれた多心型都市構造の形成を目指して都市づくりを進め、一定の成果を上げてまいりました。
 今日においては、社会経済状況の大きな変化を踏まえまして、東京圏全体を視野に入れた集積のメリットを生かす環状メガロポリス構造の構築を目指して、都市づくりを進めております。

○大塚委員 その後、国の方も、バブルの影響で空洞化した土地、都心部について、都心居住という政策が打ち出されたわけでございます。私の地元の港区は、人口が、バブルの影響で当時二十三万人あった人口が一気に十四万人に激減したということでございます。また、地元の区あるいは旧建設省の政策推進により、居住人口は十六万四千まで今回復をしてまいりました。
 昨日の生活者ネットの大河原委員の質問にもありましたが、当然、港区もコミュニティの崩壊という現象があちこちに見られ始めたわけでございますが、そのコミュニティの復活も踏まえて、バランスのある職住近接などという議論もされてきたわけでございます。
 特に、第四次全国総合計画、いわゆる四全総では、東京に集中した業務機能を分散して、大宮や横浜のみなとみらい、幕張新都心などの業務都市を形成し、近郊に立地した住宅を生かす方策も進められてきたわけでございますが、都市再生により、先ほど述べた既存の業務核都市の都心への業務機能の移転という展開に逆になってしまったわけでございます。
 要は、一つの例をいえば、業務核都市の政策により近郊に住宅を構えた多くの方々が、通勤時間が倍になってしまうというようなことも出てきているというふうに伺っております。都市計画の重要性が本当に問われるというふうに私は思うわけでございます。このことについて、東京都の見解をお伺いいたします。

○勝田都市計画局長 第四次首都圏基本計画などにおいて示されました業務核都市の育成については、今お話がございましたが、横浜のみなとみらいや幕張新都心などの整備が進められまして、都においては多摩の核都市の育成整備に取り組んでまいりました。
 こうした業務核都市の育成とともに世界的な都市間競争が激化する中で、首都圏の再生が国家的な課題となり、東京中心部においては、都市空間の再編整備や都心居住の積極的な推進を図ることとしたものでございます。

○大塚委員 また、ちょっと古い話になりますけれども、首都改造計画では、東京二十三区で十五年間に約五千百四十ヘクタールのビル需要があると当時いわれたわけでございます。また、経済政策として同時にプラザ合意の内需拡大政策があり、青天井といってもよいような金融の緩和が放任されたおかげで、バブルの経済を招いたのは皆さんもご承知のとおりでございます。
 その折に、東京都の策定したビル需要の予測がかなり的確で、そのビルの需要の予測に基づいて国会で議論され、その結果、千六百ヘクタールに下方修正されましたが、遅きに失した結果となったということでございます。これは昨年、私の一般質問で石原知事もそのことに触れられ、また九月の記者会見でもそのようなことをおっしゃっているわけでございます。
 また、その後、土地の高騰が進み、金融の本当に急激な締めつけもあり、ありもしない需要が泡と消え、バブルの崩壊が起こり、その傷跡はいまだにいえず、日本経済に大きな打撃を与え、不良債権の解消なしには景気の回復もままならないという事実に心を痛めているのは、知事も同感だと思うわけでございます。まさに都市計画の国の政策の誤りが東京に押しつけられたことであるというふうに私は思っておるわけでございます。その後、都市計画に関し、さまざまな議論があったわけでございますが、失われた十年というトンネルに入ってしまったわけでございます。
 そして、その後、ことしを迎え、今の話題になっております二〇〇三年問題ということがいわれ始めたわけでございます。今、私も申し上げてきたわけでございますが、私は昨年の都市・環境委員会の中でも何回か質疑でやらせていただきました。日本の経済を左右する大事な問題であるからこそ、本当にこの景気の低迷の中でビルの需要がオフィスの供給に見合っているのかどうかを見きわめることが必要であり、また重要であるというふうに考えてきたわけでございます。我が党のまちづくり部会でも二〇〇三年問題の勉強会もやらせていただきました。さまざまな議論も出たわけでございます。
 そこで局長に、今この二〇〇三年問題というものをどのように考えていらっしゃるか、お伺いをしたいと思います。

○勝田都市計画局長 いわゆる二〇〇三年問題といわれておりますけれども、大規模オフィスビルの供給が二〇〇三年に集中いたしまして、通常年の二倍程度のオフィス床の供給が見込まれることを指しているものと承知しております。このうち約半分の九十七ヘクタールにつきましては、国鉄清算事業団用地の開発案件という特殊な供給事情があると認識しております。

○大塚委員 具体的に今お話がありました二〇〇三年問題でございますけれども、先ほどからいっておりますバランスとコントロール、都市計画での必要性の質疑もありましたが、道路や鉄道や公園のバランスある配置が必要でありますし、また、都市の形成に欠かすことのできないオフィスビルのバランスを保ち、供給過剰にならないように、しっかりとした現在の東京のビルの需要予測が私は必要と考えておるわけでございます。
 先ほど申したように、従来はなかなかやってこなかったのかもしれないんですけれども、その今までやってこなかった理由、あるいはまた今後の見通しで、どのようなことを考えていらっしゃるか、見解をお伺いしたいと思います。

○勝田都市計画局長 ビルの長期的な需給につきましては、景気を反映した市場の動向によるとともに、事務所の規模別に需要層が異なるなど、複雑かつ不確定な要素がいろいろかみ合う問題でございますので、需給予測は困難でありますが、短期的な供給見込みを含め、市場におけるオフィス床の需給動向は適宜把握しております。

○大塚委員 困難なことというふうなことはよくわかるわけでございますが、当時、バブルをつくらないようにということで、需給のバランスというものを議論した時期もあるわけでございます。
 その今ご答弁の中で、短期的な供給の見込み、そして市場のオフィスにおける需要動向を把握されているということですが、今後のオフィス需要というものが二〇〇三年以降どのようになるのか、お伺いしたいと思います。

○勝田都市計画局長 今後のオフィス需要につきましては、東京の国際競争力を高めるための良好なオフィスストックが求められておりまして、耐震性を備え、情報化にも対応した高機能なオフィスに対する需要は大きいと考えております。

○大塚委員 私は、オフィスの需要についてなんですけれども、新しい需要というものが、本当にこの景気低迷しておる中で望めるのかどうかというふうなことを心配しておるわけでございます。いろんな資料もあるわけでございますけれども、ストックされてきた中小のビルが更新をされて、しゃれた街づくり推進条例などで更新されていくということも期待されるわけですが、そういったもののテナントの需要というものがあるというふうには思うわけでございますが、しかし、先ほど申したように新しい需要が、新しい産業が生まれて、このビルの供給に対しての需要というものがなかなか望めない。したがいまして、同じパイの中でテナントの奪い合いというようなことが起こることを私も心配をしておるわけでございますし、そういった指摘をさせていただきたいと思います。
 また、先ほどのお答えのとおり、オフィスの需要の予測をしていないとするのであれば、これだけオフィスの床が増大をしてくるわけでございますが、道路や交通機関や電気供給施設、ガス、上水道などの都市施設のインフラ整備は何を目途に策定すればよいのか、例えば、都心にことし完成する約二十八棟のビル、そういったものに対する必要なインフラ整備が十分であるのかどうか、そのことが心配なわけでございます。
 特に私の地元の港区は、ただでさえ今も渋滞が激しいわけでございまして、ご承知のとおり、六本木六丁目計画、汐留開発がことし竣工して、また、その後に防衛庁の跡地でありますとか、南青山一丁目などの大型プロジェクトがメジロ押しに計画をされております。
 まちが新しく更新されることは、当然地元の方々も、そういう意味では歓迎されることでございますけれども、交通の渋滞がさらに激しくなることは、逆に地元の住民、あるいはそこを通行する方々も大変心配をし、迷惑をこうむることもあると思います。そういった意味で、そのインフラ整備についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○勝田都市計画局長 都市計画では、都市全体の将来人口フレームや交通量の見通しなど、マクロ的な視点によりまして、基幹的な道路、鉄道などの都市施設の配置や土地利用規制を定めております。
 さらに、業務ビルを含む個別の大規模プロジェクトにつきましては、発生交通量や将来人口の予測などを踏まえ、公共施設等に対する新たな負荷に配慮して、その計画を定めております。

○大塚委員 そうしますと、ちょっと具体的な地区のインフラ整備についてお伺いさせていただきます。
 例えば、港区の先ほど申した汐留開発の進行からいたしますと、マッカーサー道路といわれております環状二号線が長い間計画をされて、なかなか整備がされなかったという経過もあるわけでございます。これは事情がいろいろあったと思うのでございますけれども、かなり汐留の開発が進行してくる中で、事業化は本来であればされなければならない、同時にされなければならないというふうに思うわけでございますし、また、それが都市計画であろうというふうに思うわけでございます。
 汐留地区の稼働後の想定人口は、来街者を含んでございますが、十五万人ということで、先ほどの港区の人口とほぼ同じ規模でございますから、大変な交通量の発生ということがいえるわけでございます。
 また、六本木六丁目の開発や防衛庁の先ほどの跡地大規模開発が想定されることから、外苑東通りの拡幅といったことも、これも地元の要望が大変強く、また、そういった都市計画的なインフラの整備が必要と考えております。
 そこで、汐留の開発により、どのようなインフラ計画のもとに整備を進めてきたのか、教えていただきたいと思います。

○勝田都市計画局長 汐留地区では、平成四年八月に土地区画整理事業や再開発地区計画を都市計画決定いたしまして、施行区域内のインフラ整備を進めてまいりました。具体的には、環状二号線を初めとする幹線道路や、「ゆりかもめ」、地下鉄大江戸線といった鉄道施設、地区施設に位置づけております公園などの整備を行っております。

○大塚委員 汐留のお話がありましたけれども、汐留が全面稼働した場合に、周辺に与える影響が大きいというのは先ほど申したとおりでございます。別に陳情じゃありませんが、地元の方々は本当に、都市計画局長にいうことじゃないと思うんですが、そういった意味で推進を早くしてほしいという地元の声もありますので、その辺もよろしくお願いしたいと思います。汐留計画の計画に必要とするインフラが今現在稼働するわけですが、それが本当に十分であるのかどうか、ちょっと重なるところもありますが、お尋ねいたします。

○勝田都市計画局長 汐留地区の開発フレームは、就業人口約六万一千人、居住人口約六千人を想定しております。この人口フレームの設定に当たって交通量に関する検討を行うなど、公共施設に対する負荷について考慮しておりまして、開発規模に対応した十分なインフラの整備を進めております。

○大塚委員 ここまでの質疑を通じて、私も所属をしております都市計画審議会についてお尋ねをいたします。
 二十三区特別区の法定の都市計画審議会では、それぞれ一定の規模の再開発などが審議対象になってまいりました。それぞれの区における問題などは当然でございますが、それでも最近話題になっております、江東区におけるマンション建築の件で、人口が大変ふえ続けておりまして、教育施設が追いつかないということで着工延期などということで、行政にあってはならないようなことが起こっているわけでございます。まさに先ほどから申し上げている、都市計画におけるバランスとコントロールが機能していない状態が露呈されておるということだと思います。
 また、個々のマンション開発においての東京都や区の行政指導は従来されてきたと思うわけでございますが、全体的な規模の想定が都市計画の観点からバランスを欠いているということで、典型的な例だとも思うわけでございます。
 知事も昨年、この問題で記者の質問の答えで、区にも都にも本当の意味での都市計画がないことが露呈した証左だと述べられたわけでございます。
 そこで伺いますが、江東区のような現象を局長はどのように考えていらっしゃるでしょうか、お尋ねをいたします。

○勝田都市計画局長 民間のマンション開発などにつきましては、道路などの都市基盤施設や学校等の教育施設と対応するよう、適切に誘導していく必要がございます。こうした問題に関しましては、基本的には基礎的な自治体の責務であり、開発者とも調整して、早期に問題の解決が図られるべきと考えております。

○大塚委員 ぜひそういった行政指導の上で、東京都がそういう状態にならないようにお願いをしたいというふうに思うわけでございます。
 さて、今後の二〇〇四年以降のオフィスの供給の方の状況についてお尋ねをいたします。
 東京都の説明によりますと、二〇〇三年は、たまたま汐留、品川駅東口、飯田町などの大型ビルが稼働するため、二百十八万平米という大量な供給になるということでございます。その後は割と落ちついた供給になるということも伺っておりますが、二〇〇四年以降の供給の状況はどのようになるのか、具体的な数字を含めてお答えをいただきたいと存じます。

○勝田都市計画局長 民間の調査資料によりますと、二〇〇四年以降の大規模オフィスビルの供給量は、二〇〇六年までの間、年四十万から七十万平方メートル程度と見込まれておりまして、二〇〇三年では二百十八万平方メートル、こういうことでございますので、相当減少すると予測されております。

○大塚委員 それでは、今供給の話がありましたけれども、逆に、二〇〇四年以降の供給に対する需要予測はどのようにお考えか、お尋ねをいたします。

○勝田都市計画局長 オフィス床の需要につきましては、さまざまな不確定要素がございまして、予測は困難でございますけれども、過去十年の大規模オフィスビルの平均供給量が年間約百万平方メートル程度でございますので、今後ともその程度の需要があるのではないかと思われます。

○大塚委員 今述べられた数字は民間調査会社の数字だと思うわけですが、東京都はさまざまな事業者や再開発組合等々の多くの方々から事前協議を受けたり、相談をいただいていると思います。都心部を中心に七カ所の二千四百ヘクタールの整備地域が指定されました。また、順次東京都における第二次の整備地域の指定がされるということも聞いております。そうしますと、また規制緩和が促進されまして、ますますビルが建てやすい環境になると思うわけでございますが、その件についての数字的なお尋ねを重ねてさせていただきます。

○勝田都市計画局長 大規模事業では、計画から供給まで三年程度は必要でございますので、都市再生特別措置法のプロジェクトによるオフィス床の供給が本格的に始まるのは、早くとも二〇〇七年ごろと予想されます。したがいまして、二〇〇六年までのオフィスビルの供給に大きな影響は与えず、大規模オフィスビルの供給量は、おおむね先ほどお答えを申し上げました四十万から七十万平方メートル程度の数値で推移すると考えられます。

○大塚委員 ありがとうございました。
 さて、去る一月十八日にNHKで「超高層ビルが東京をおおう」と題しまして、二〇〇三年問題を中心に報道特集が放映されました。その内容は別といたしまして、視聴率の高さや、その後、大変反響が大きかったことを受けまして、二回の再放送がされたということでございます。恐らく局長や知事もごらんになったことだと思いますけれども、また理事者の方々や、きょうご出席の委員の皆さんもごらんになった方がいらっしゃると思います。
 三回放送されたということは、これは都民、とりわけ中小ビルのオーナーの方々や大規模開発の周辺の方々、また商店街の方々の心配、また問題意識の高さというふうに私は思うわけでございます。
 また、私の地元港区でも新年会の場で話題になったり、メールで直接ご意見をいただくことが大変多くなったわけでございます。バブルの崩壊後、経済が下降線をたどり、何とか苦しい中でもビル経営を続けてきたビルのオーナーであるわけでございますが、もしその自分のテナントが大型ビルに移転してしまえば、大型ビルに対抗するには新たな多額な設備投資を行い、OA化を図ったり、賃料や共益費の条件の見直しを迫られ、さらに苦しい条件下にさらされるのが実態だと思うわけでございます。
 新たなテナントが長期間入居しなければ、倒産、そして新しい不良債権や不良資産というものがふえることになってしまうだろうと私は心配をしておるわけでございます。この都市再生事業が経済を再生させるということで、土地の流動化を図るというようなことも目的としてあるわけでございますが、景気回復どころか、さらに景気を悪化させてしまうんじゃないかというふうに思うわけでございますが、こういった被害をこうむるのは東京都民でございますので、本日の質疑を通して私は警鐘を鳴らしているわけでございます。そういった観点から、局長の見解をお聞かせいただきたいと思います。

○勝田都市計画局長 私もあの放送を見ましたけれども、さまざまな問題がございましたが、その中でも、地域の活性化のためにも東京の都市再生を一刻も早く進めることが必要であると改めて痛感をいたしました。
 東京のオフィスは、世界的に見てIT化や執務環境の快適さなどにおいてまだまだ見劣りしておりまして、耐震性の問題から改修する必要があるものも多い状況でございます。東京の国際ビジネスセンター機能を強化するため、老朽化したオフィスの更新を図るとともに、オフィスストックの住宅等への用途転用へ向けた検討もあわせて行うなど、総合的な取り組みを推進することが重要と考えます。

○大塚委員 今お答えのとおり、局長にもNHKの番組をごらんいただき、大規模開発の陰で中小のビルのオーナーの皆さんの厳しい現状を知っていただいたということでは、大変よかったというふうに思います。知事がいつもおっしゃっている現場主義という観点から、常にこのような実態に目を向け、都市計画行政に取り組んでほしいことを要望させていただきたいと思うわけでございます。
 さて、昨年三月に鳴り物入りで都市再生特別措置法が制定され、その後、七月に、都心部を中心に、先ほど申した二千四百ヘクタールの整備地域が指定されました。この措置法についての誕生につきましては、東京都側の要請によるものであるのでしょうか。また、国側の判断によってそういうことが起こったのでしょうか、その辺をまずお伺いすることとしたいと思います。

○勝田都市計画局長 都市再生につきましては、従来より東京都から首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトなど積極的な提案をしてまいりましたが、こうした動きを受けて、国において都市再生特別措置法が制定されたものと認識しております。

○大塚委員 国の法律ですから当然そうだと思います。これは後ほどちょっと、確認の意味で今質問したわけでございますが、その後、東京都において第二次の整備地域の指定というものが、東京都においての指定がされるということになっておりますけれども、なかなかまだされていないという状況でございます。
 私は、長引く景気低迷の中で、オフィスの供給過剰ぎみということがいわれ始めておりますので、今は第二次の指定というものを再検討しているのではないかと。また、その指定がそういうためにおくれているのではないかというふうに推測をしているわけでございますが、その辺の理由についてはどういうことになっているのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。

○勝田都市計画局長 都における都市再生緊急整備地域につきましては、首都の顔づくりに資する優良な民間プロジェクトの促進にねらいを絞って、面的なつながりの中でプロジェクトの相乗効果が早期に期待できる地域を国に提案をいたしまして、昨年七月に、都内七地域、約二千四百ヘクタールの第一次指定を受けました。
 都といたしましては、法の意図する都市再生の効果が早期に発現することが重要でありますことから、第一次指定された地域に民間の力が集中的、効果的に投下される必要があると考えております。
 こうしたことから、現時点では新たな地域指定の申し出を行うまでの状況にはないと認識しております。

○大塚委員 ありがとうございます。
 さて、石原知事は、先ほどお話ししたとおり、昨年の私の一般質問の答弁や、九月十三日の定例記者会見で都市再生に関するお話で、中曽根政権時代のオフィス需要に触れられ、議論の重要性を述べられました。知事には二回も私の父の大塚雄司の名前を出していただき、「中央公論」の紙上の議論の中で東京のオフィス需要についての正当性を認めていただいたところでございますが、この場をかりて、父にかわりまして感謝を申し上げる次第でございます。
 それは、その議論が大事であったのであろうということを多分知事はおっしゃりたかったのだと思うわけでございます。現在は、その当時と経済情勢も当然社会情勢も違うわけでございますけれども、再び東京がまた空洞化が招かれるようなことがあってはならないと思いますし、同じ過ちを犯してはならないと思うわけでございます。
 東京都は、平成六年十一月に業務商業施設マスタープランを作成をしたことがあります。私は議員でなかったわけですが、その内容を本で見ましたが、事務所需要の動向と今後の展望という項で、当時、オフィス需要の研究をした経緯があるわけでございます。
 一昨年には、東京の新しいまちづくりのビジョンの指針も示されまして、センター・コアの都市のあり方、また、東京都全体の都市のあり方について新しい見解が述べられたわけでございます。
 そういった意味で、私は、知事のおっしゃった、議論というものが積み重なってそういった都市計画というものが策定されるということが大事だというふうなことを述べたかったわけで、きょうは都市計画局長としっかりとした議論をしたいということで、ほかの局長さんには大変退屈かもしれませんが、もうしばらくおつき合いをいただきたいと思うわけでございます。
 先ほど述べた江東区のような事態を東京都で招かないようにしてほしいということをいったわけでございますが、その先どうなるんだということで、団塊の世代の定年による退職や、また、リストラによる影響から、オフィスワーカーの減少ということで、二〇一〇年問題というのがまたいわれるようになってまいりました。先ほどの答弁で、二〇〇六年までは落ちついて、また二〇〇七年ごろから供給過剰が起こる可能性があるということでございます。そういう意味では、オフィスの需要の予測という、知事のおっしゃった議論がたゆまずやっていった上で、そういうことが大事だということを指摘せざるを得ません。
 そういった観点から、私は、都市計画の観点、あらゆる観点があると思いますが、民間調査会社に任せきりではなくて、都市計画局が中心になり、この東京が持続可能性のある東京であってほしいわけでございますので、今からでもおそくはありません、当時の平成六年のときのような、業務商業施設マスタープランの中で事務所需要を研究した経緯があるわけでございますから、局長が中心になって、また東京都独自の調査研究をしっかりと行っていただきまして、これ以上の不良資産、不良債権をふやすことにならないようにというふうに思いますので、局長の決意と東京における都市計画のあり方についてお尋ねをしたいと思います。

○勝田都市計画局長 都市計画の策定に当たりましては、人口規模、産業分類別の就業人口、市街地の土地利用、交通量など、必要に応じて基礎的な調査をこれまでも実施し、都市施設のバランスある配置を定めるとともに、土地利用の適正なコントロールを行ってまいりました。
 また、平成三年以降は、都独自の調査や民間調査機関によるデータを有効活用しながら、東京の抱える都市の課題や問題の分析について、都市白書として公表もしてまいりました。
 今後も、都市計画の適正な運用を図る上で必要となる調査について実施するとともに、本日の都市計画にかかわる貴重な議論をさせていただきました。ありがとうございました。こうした点も踏まえまして、時代の変化に即応した戦略的な都市づくりを今後とも推進してまいります。

○大塚委員 局長、大変お疲れさまでございました。ありがとうございます。
 私は、今、局長がおっしゃられた中で、都市計画不在の東京といわれないためにも、まさに今お話しの都市計画の適正な運営を図るために、ビル需要と供給のバランスのための調査をやっていただき、貴重な都市計画の議論をさらに深め、すばらしい東京をお互いにつくっていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 さて、今までの議論、質疑、やりとりを踏まえまして、知事にお尋ねをしたいと思います。
 昨年、ある私企業の再開発プロジェクトに、その上棟式に小泉総理大臣が出席をし、また関係閣僚が勢ぞろいをして、都市再生事業が土地の流動化を促し、日本経済再生の特効薬であるというような祝辞があったわけでございます。
 石原知事にも当然、東京都の責任者として出席の要請があったと思いますが、代理の方で済ましたようでございます。もちろん、私企業のこのような要請には応じないというのが、一応の見識だと私は思うわけでございますし、二〇〇三年問題の引き金の一つになるようなことはするべきでないとも思うわけでございます。そういう意味では、知事の見識に高く評価をさせていただきたいと思うわけでございます。
 今、都市計画局長との質疑をお聞きのとおり、都市計画にはバランスとコントロールが重要だと申してまいりましたが、特に、今定例会には、知事の命名と聞いておりますが、しゃれた街並みづくり推進条例というのが上程されております。
 私は、この条例は、木造密集地域や区部周辺部の駅前整備、雑然とした街並みから、大きさやデザインや色などに配慮し、都民にとって心地よいまちづくりなどに有効であると思うわけでございます。むしろ、本来の東京都独自の都市再生でもあり、最も重要なことであると思うわけでございます。
 我が党の田中幹事長も大変重要な条例であるということから、代表質問で五つの質問もさせていただきました。今、東京のあちらこちらで大規模開発が進められている中、その開発された地域とされていない地域では、防災や交通の問題などで整備の格差が起こってきているわけでございます。当然また、コミュニティの崩壊ということも起こっておるわけでございます。その是正のためにもこの条例をぜひ活用して、均衡のある東京の街並みの形成に役立てていただきたいと思っておるわけでございます。
 また、局長との質疑でも明らかなように、東京の未来の都市づくりには、持続可能性のあるマスタープランの策定こそが望まれ、過度な供給に偏る二〇〇三年問題は、都市計画不在といわざるを得ません。
 根本から東京の需要と供給のバランスの実態を明らかにし、間違っても国や政府が東京都を乗り越えて都市づくりを左右することなく、東京都独自の、石原知事のリーダーシップのもとに自主的なまちづくりができるようにしなければなりません。
 知事の現場主義に立った観点から、東京都の都市計画のあり方全般についてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○石原知事 最初にお断りしますけれども、東京のしゃれた街並みづくり推進条例なるものは、私は命名しません。私はこれを聞いたとき、大変面映ゆい思いをむしろいたしました。今さらこの東京をどうやってしゃれたまちに直していけるのか、私は本当に考えれば考えるほど暗たんとした感じがいたしますが、あなたと都市計画局長の応答を聞いていまして、何か私、今さらながらむなしいような気がするんですが、都知事に就任して--あることを思い出します。それは、私の友人の堤清二さんのオフィスを、サンシャインビルですか、訪れたときに、彼が、話を始める前に、石原さん、ちょっと来てといって、彼の部屋から、主に東京の西北の方でしょうね、つまり三百六十度は見回せなかったんですけれども、これ見て、あなた、東京に都市計画があると思うかというけれども、全く同感でありましたが、都知事に就任して、展望台もございますけれども、その上の、めったに人を入れない、たまたま天気がよかったんですけれども、ヘリポートに私は立って見ましたときに、唖然というか茫然というか暗たんというか、とにかく、このまちを外観として再生することは本当に至難であろうなという感じがいたしました。
 確かにあなたのおっしゃるように、これからどういう事態が起こり、この国がどういう運命にさらされるかわかりませんけれども、しかし、都市の計画というものは常に立てていかなくちゃいけませんが、やはりデザインとしての持続性ということは、もはや、とてもおぼつかないところまで来て、混乱がきわまっていると思います。
 ただやはり、その中で、何というんでしょうか、都市を形づくるものの責任といいましょうか、志として、せめて、限られていても、どういう理念、目的でこの東京をトリムしていくかということしかないんではないかという気がいたします。
 これが平城京を平安京に移すというようなところならば、その町が建立された後の何世紀にもわたる一つの夢というものがデザインとしても講じられるでしょうけれども、とても東京の場合には、そんな余裕といいましょうか、可能性もない。
 私は、日本人はそういうところは非常に計画性がなくて、都市計画というものそのものは不得意だと思いますが、例えば小笠原の二見という--小笠原が返還されたときに、返還される直前まで、二見のあの村落というのは非常に美しいものでありました。これが、返還された途端、かつての地権者が縄張りをして、めちゃくちゃなまちづくりが行われて、今日のていたらくですけれども、東京もその域を出ない。
 しからば、その中でどうやって都市計画というものを、持続性を維持していくかということになれば、私はやはり、これは、今あるものを建て直し構築し直すことで、限られた面積に、いかに生活を安楽に過ごすことのできるスペースをつくっていくかという、その基本的な姿勢しかないと思います。
 それはいろいろな形で表現できることでしょうけれども、いずれにしろ、非常に限られた可能性というものを模索しながら、それが二十年、三十年、半世紀、一世紀たっても、後の人たちに一応の評価を受けるような目的といいましょうか、理念といいましょうか、非常に限られた範囲ですけれども、私たち、それを模索しなければならないという気がいたします。

○和田副委員長 大塚隆朗委員の発言は終わりました。(拍手)

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