東京都議会予算特別委員会速記録第三号

   午後七時二分開議

○森田副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 藤井一委員の発言を許します。

○藤井委員 私は、まず初めに、痴呆性高齢者グループホーム事業について伺います。
 このグループホームは九人ぐらいの少人数で、いわゆる家庭的な雰囲気の中で、お互いに協力し合いながら生活をするというものでございます。お互いに持っている能力、掃除ができるとか、料理が上手とか、あるいは編み物が上手、洗濯が上手、こういった能力をお互いに出しながら共同生活をする中で、痴呆は治りませんけれども、その進むのが遅くなるという効果があるといわれております。我が党は、この痴呆性高齢者グループホームを東京都におきましても整備をするよう訴えてきたところでございます。
 また私も、平成七年から、まだ東京都に本当に数少ないころから、将来、痴呆性対策が大事だということで、本会議やこの予算委員会等でも訴えてきたところでございます。また、そのために神戸市やあるいは茨城県、そして仙台市など、この痴呆性高齢者グループホームに先進的に取り組んでいる、そういったところも視察をしてまいりました。
 さらには、鈴木前々知事、あるいは青島前知事、そして石原知事にも、私は本会議で、この痴呆性高齢者対策が大事であり、そして、こういったグループホームを早急に整備するよう訴えてきたところでございます。
 これに対して、東京都は、痴呆性高齢者グループホームを着々と整備をしてまいりまして、特に平成十四年度からは、都として初めてといいますか、都単独で民間事業者に対してグループホームの整備費補助制度を設けるなど、先駆的な取り組みをしております。
 そういった中で、まず第一に、東京都としてこのグループホームの整備計画はどうなっているのか、あるいはまた実績はどうなっているか、お伺いをいたします。

○川崎福祉局長 TOKYO福祉改革STEP2における平成十四年度の痴呆性高齢者グループホームの整備目標は、定員の累計で九百二十一人でございますが、今年度末までに建物が完成するものを含めますと、この目標を達成できる見通しでございまして、今後とも順調に整備が進むものと見込んでおります。

○藤井委員 都の目標が達成できるということで、大変心強い、また前向きな取り組みに対しまして敬意を表したいと思います。
 次に、このグループホーム、いろいろ課題がありますが、特に国は、工業地域並びに準工業地域においては痴呆性高齢者グループホームは建てちゃいけないというふうになっているそうですが、その理由は何でしょうか。

○川崎福祉局長 国の設備運営基準によりますと、痴呆性高齢者グループホームは、常に利用者の家族との連携を図るとともに、利用者とその家族との交流等の機会を確保するよう努めなければならないこととされております。さらに、設備運営基準の解釈通知において、家族との交流の機会の確保や地域住民との交流を図る観点から、単独型の痴呆性高齢者グループホームについては、用途地域が工業地域である場合は設置できないこととされております。

○藤井委員 要は、国は、こういった地域は家族との交流や地域の交流がないからだめだ、こういうふうにいっているわけですが、私の地元は大田区ですが、ここは中小企業がたくさんある区でございます。しかし、最近大きく変化をしております。なぜならば、大きな工場が移転をしたり、あるいはまた、小さな工場が廃業等をして、その跡に大きなマンションやあるいは一戸建ての家が次々と建てられているわけでございます。
 そして例えば、大田区の西六郷四丁目という地域があります。この地域は工業地域でございますが、約千七百世帯、約四千人の住民が住んでおりますが、そのうち、工場はたったの八十六戸でございます。それが工業地域といわれているわけでございまして、本年、この二月一日段階の数でございますが、近くには商店街もあり、また、裏には多摩川が流れている大変すばらしい環境でございます。住宅街もたくさんあります。
 こういったところも、工業地域だからといって、国は一律に痴呆性高齢者グループホームを建てちゃいけないというふうにいっているわけですが、このように住宅化が進んでいる東京都の工業地域の実態を踏まえまして、工業地域でもグループホームが設置できるように国に積極的に働きかけるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○川崎福祉局長 介護保険法に基づく痴呆性高齢者グループホームの事業者指定は、省令で定める基準に沿って都道府県知事が行うものでございます。
 ご指摘のように、グループホームの機能を維持できる場合があるにもかかわらず、国が地域特性や自治体の自主性を考慮せず、全国一律的に設置規制を行うことは大変問題と考えています。都としても、工業地域でも適正な運営が可能と認められるものであれば、介護保険法のグループホームとして運営できるよう、国や地元自治体と積極的に調整をしていきたいと思います。

○藤井委員 用途地域で見ますと、グループホームと同じように規制されているのが、キャバレーとかナイトクラブなんですね。こういったものと一緒に扱われているわけですよ、グループホームは。そういった問題がある。
 もう一つは、この国の規制は旧厚生省の課長通知なんですね。ですから、法律でも省令でもありませんし、局長通知でもない。たった課長通知一本で、全国一律にこれを規制しようとしているのが今の実態であります。
 私は今回、民間事業者の方々とこの問題についていろいろと話し合ってまいりました。それによりますと、民間事業者の方のいうには、工業地域でグループホームが開設しやすいというんですね。なぜならば、第一番目に、大体百坪から二百坪、グループホームをつくるのに土地が要りますけれども、住宅街ではそんな土地はなかなかない。工業地域とか何かならあるわけです。
 二番目に、近隣住民の反対が得やすいという理由があります。(「賛成だろう」と呼ぶ者あり)近隣住民の反対が少ない。住宅街に建てようとすると、住民は反対します。しかし、工業地域とか何かだと、なかなか反対が少ない。ですから、住民の賛成がないと、これは地元区は建築確認出しませんから、大変こういった地域の方がやりやすい。
 三番目に、この工場の建物とか寮とかがそのまま、内装すればグループホームになるという利点。さらには、職員とか利用者が集まりやすいというような、多々メリットがあるわけでございますが、そういった意味で、局長、もう一回答弁いただきたいと思いますけれども、こういった工業地域にもグループホームを認めてほしいという要望に対して、国が時代の流れに合わないならば、東京都が先行して前向きな取り組みをすべきと考えますが、いかがでしょう。

○川崎福祉局長 住宅化が進んでいる東京の工業地域という現場の実態を踏まえずに、国が全国一律的に設置規制を行うことは大変問題であると考えております。地域の実情や運営上の実態に即して都道府県がより柔軟に事業者指定を行えるよう、地元自治体とも連携して精力的に国を説得してまいります。

○藤井委員 ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、民間事業者が今後グループホームを都内で開設しやすいように、東京都としても環境整備を図る必要があると考えますけれども、具体的にどのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。

○川崎福祉局長 施設整備の面では、都はこれまでも、独自に民間企業に対する整備費補助を行ってきました。さらに、十五年度から、オーナーが所有する社員寮等を改修し、事業者に賃貸する場合も補助対象とする予定でございます。
 施設運営の面では、事業者の参入促進と事業の安定的運営を図るため、今年度より、痴呆性高齢者グループホーム経営相談会を開始いたしました。今後、公認会計士、社会保険労務士等の専門家による個別相談方式を導入するなど、経営相談の内容を充実し、事業者からの相談にきめ細かく対応してまいります。

○藤井委員 どうもありがとうございました。
 次に、京浜急行の連続立体交差事業について伺います。
 東京都は踏切すいすいプランを進めておりますけれども、現在、東京都内には約千二百の踏切があるといわれております。これが道路渋滞の大きな原因になっておりますし、あるいは歩行者や車の渋滞、交通事故の原因になっているわけでございます。
 私の地元大田区でも、京浜急行本線と環状八号線、これが交差する踏切は大変渋滞が起こっております。さらに、第一京浜国道がそばに走っているために、朝夕のラッシュ時には、一時間のうち四十分から四十五分ぐらい遮断機で待たされるという実態が続いております。この問題は私も何回も取り上げてまいりましたが、森前総理も石原知事も、この踏切につかまって飛行機を取り逃がしたというご答弁もありました。
 そこで、この環八と京急本線との踏切、一日も早く解消すべきと、このように考えますけれども、取り組みについて伺います。

○小峰建設局長 お尋ねの踏切は、ピーク時には約九百メートルにも及ぶ交通渋滞が発生しております。環状八号線に残る唯一の踏切であり、早期の除却が求められております。このため、連続立体交差事業の完成を待つことなく、踏切すいすい事業として、環八をまたぐ仮設の鉄道高架橋を設置して、平成十七年度に踏切を解消してまいります。
 これまで、環八付近の用地取得を集中的に行うとともに、本年より仮設高架橋の基礎工事に着手いたしました。今後とも、環八踏切の早期解消に向け全力で取り組んでまいります。

○藤井委員 今ご答弁ありましたように、環八の一部立体、仮立体によって、平成十七年度交通渋滞が解消されるということでございます。ぜひ全力で取り組んでいただきたいと思いますが、それでは、この京浜急行本線と空港線、全長六キロのいわゆる連続立体交差事業、この進捗状況はどうなっていますか。

○小峰建設局長 連続立体交差事業の進捗状況でございますが、用地につきましては、環八と京急蒲田駅付近を重点的に進め、現在、約二割が取得済みでございます。工事につきましては、仮設高架橋の基礎工事のほか、京急蒲田駅の仮駅舎工事などを行っております。
 平成十五年度には、引き続き用地取得に努めるとともに、梅屋敷駅など四駅の仮駅舎工事に着手いたします。

○藤井委員 この連続立体交差事業は長年の、大田区民のみならず都民の願望であり、一日も早いこの実現が待たれているわけでございますが、この事業、当初の予定では全面高架化が平成二十六年というふうになっておりますが、先ほど申し上げましたように、一日も早い完成を目指して取り組むべきと考えますが、この点についてご所見を伺います。

○小峰建設局長 本事業は、羽田空港へのアクセス機能の向上など、都市再生を進める上でも重要でございます。このため、高架化するに当たって、既設線路の横に仮線を敷設する工法から、既設線路の直上で建設する工法に変更することによりまして、約二年間の工期短縮を図りました。
 今後とも、鉄道事業者や国など関係機関の協力を得て、平成二十四年度の完成を目指し、着実に事業を推進してまいります。

○藤井委員 二年間短縮ということで、ご努力に対し、さらに短縮目指して頑張っていただきたいということを要望したいと思いますが、この工事がスムーズにいくかどうかは、何といっても用地取得が円滑にいくかどうかでございます。聞くところによりますと、まだあと八割の方がこれから用地補償交渉があるわけですけれども、そのために立ち退き対象になる方々からも、私は多くの方からご相談をいただいております。
 自分が生まれ育ったところを去らなければいけない、また、知っている人たちと離れたくない、こういう方たちの心情といいますか、相手の立場に立って、今後とも誠意を持って用地交渉に当たっていただきたいと思いますけれども、こういった方々に対して具体的に都はどのように対応されるのか、お伺いをいたします。

○小峰建設局長 用地取得に当たりましては、個々の関係人の状況を十分把握し、要望や相談に応じながら折衝を進めております。特に生活再建につきましては、地元区や鉄道事業者と連携し、公営住宅や代替地のあっせんや移転資金の貸し付けなど、きめ細かく対応してございます。
 今後とも、事業への理解と協力を得ながら、用地取得の推進に努めてまいります。

○藤井委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、防災対策について伺います。
 平成七年一月に発生いたしました阪神・淡路大震災、私も、石井幹事長を初めメンバーと一緒に翌日に阪神大震災の現場に行った一人でございますが、あれから既に八年近くたち、防災に対する意識も薄れがちなところがあるわけですが、阪神・淡路のときには、発生してから、全国から一日当たり約二万七千人のボランティアの方が現地に駆けつけたというふうにいわれております。しかし、受け入れる側、特に行政側がこのボランティアの受け入れを適切にできなかったために混乱をしたというふうに聞いておりますけれども、もし万が一この東京に阪神と同じような震災が起きたときには、全国から約四万人のボランティアが来るというふうに予想されているわけでございます。
 そこで、阪神大震災の教訓を踏まえまして、ボランティアの方が混乱なく、そしてまた迅速に避難所などの活動現場に行けるようにする必要があるというふうに考えるわけでございます。こういったことに対して東京都はどのような方策を講じていかれるのか、お伺いをいたします。

○三宅生活文化局長 お話しのとおり、災害時には全国からボランティアが多数参集すると予想されておりますが、その場合、混乱を避けて迅速に活動ができるようにするためには、ボランティアを一時的にどこかで受け入れて、その後にボランティアを必要とする避難所等の活動現場に派遣する仕組みが必要となります。
 この一時的な受け入れのための施設を広域ボランティア活動拠点と称しまして、東京体育館とか江戸東京博物館など十四カ所を指定し、昨年の五月に告示をいたしました。災害時におきましては、拠点周辺の被災状況や交通機関の復旧状況などを勘案しながら、必要性を判断した上でこの広域拠点を開設し、多数参集するボランティアに対して対応をしていくことになります。

○藤井委員 ただいまご答弁ありましたように、ボランティアの方が被災地に行って、混乱なく、効果的にその役割を果たせるようにするためには、ただいまありましたように、広域ボランティア活動拠点、これが果たす役割は大変大きいものがあると思います。
 そこで、この広域拠点の運営というのが大変大事になってくるわけですね。ボランティアの方たちの受け入れ、そしてどこに派遣するか、そういった調整、さらにはボランティアの方たちに対する任務の説明、こういった、だれがどのように行うのか、平常時からこういったものについては明確にしておく必要があるというふうに考えます。そのため、都は具体的にどのような対応策を講じるのか、伺います。

○三宅生活文化局長 広域ボランティア活動拠点に集結したボランティアの受け付けや派遣先の調整、あるいはガイダンスを効率的に行うには、ボランティア活動等になれた、コーディネーターの経験があることが望ましいと思います。都は、このコーディネーターを広域拠点に配置するために、災害時に他県からの応援が求められるよう協力体制も築きました。
 また、発災時における広域拠点の開設をするかどうかの判断から、ボランティア活動終結に至るまでの、広域拠点における職員やコーディネーターの役割、あるいは具体的な業務内容を整理するために、災害発生時の対応マニュアルも策定しておりますが、現在、区市町村など関係団体と最終の調整を行っております。
 こうしたマニュアルの整備などによりまして、災害時におきましても効率的な迅速な対応が図れるものと考えております。

○藤井委員 ご答弁にもありましたように、災害対応マニュアルですか、これが有効的に活用がされるように、今後とも取り組んでいただきたいというふうに思います。
 三番目に、広域的な災害医療への取り組みについてでございます。
 昨年十一月に行われました七都県市首脳会議で、危機管理体制強化に向けた組織が合意されたというふうに聞いております。また、本年一月十五日には、政府及び七都県市合同による図上訓練が実施をされまして、具体的な取り組みへの第一歩が始まっているということでございます。
 そこで、災害医療の分野におきましては、七都県市の相互の応援協定をより効果的に機能させるために、広域的に対応できる体制というのが極めて重要であるというふうに考えます。そのため、今後、東京都が広域的な災害医療に対するマニュアルというものを整備したらどうかと考えますが、いかがでしょうか。

○長尾健康局長 都は、昨年のワールドカップサッカー大会を契機にいたしまして、災害時の医療連携について七都県市で定期的な連絡会を開催し、情報交換を行っております。
 今後は、負傷者の受け入れや医療救護班の派遣、また医薬品の供給など、相互応援をより具体化するための実践的なマニュアルの策定にできるだけ速やかに取り組んでまいります。

○藤井委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、Q熱対策について伺います。
 このQ熱の問題については、昨年九月の本会議で、我が党の中嶋義雄議員が一般質問を行いました。その際、犬や猫などのペットからQ熱が感染するかどうか、これが議論をされたところであります。
 その際、都は、平成十四年度にも、ペットがQ熱、いわゆるコクシエラ菌ですね、このコクシエラ菌を保有しているかどうか調査をするというふうに答弁をされたわけですが、その検査結果について伺います。

○長尾健康局長 平成十四年度の調査では、これまで百四十検体を調査しておりますが、いずれもQ熱病原体は検出されておりません。

○藤井委員 この件については後で申し上げます。
 このQ熱というのは、耳なれない方もいらっしゃると思いますけれども、一九三五年、オーストラリアで発生いたしました原因不明の熱性疾患というふうにいわれております。現在、各国でこの患者がふえ続けているという報告があります。
 Q熱のQとは英語のクエリーということで、なぞという意味だそうでございまして、感染した人への影響、あるいは動物以外の感染経路、また、病原体であるコクシエラの生態などが全くよくわかっていない。そのために、なぞの感染症というふうにいわれております。また、このQ熱は、コクシエラ菌の感染により引き起こされる、人と動物の共通の感染症であるわけでございます。
 そこで、人間がこのQ熱に発症した場合、どのような症状になるのか、またQ熱の感染源は何なのか、お伺いいたします。

○長尾健康局長 人はQ熱に感染しても発病しないことが多いんです。しかし、発病した場合には、発熱、頭痛、全身倦怠感、関節痛など、インフルエンザに似た症状があらわれます。また、外国の文献等によりますと、このうち二%から一〇%は慢性型に移行するといわれております。
 感染源は、主に感染した家畜やペットでありまして、人へは、感染動物のふん便などに排出された病原体の吸引や生乳の飲用により感染するといわれております。
 なお、人から人への感染はまず起こらないとされております。

○藤井委員 それでは、このQ熱というのは法律上ではどのような位置づけになっているのか、伺います。

○長尾健康局長 Q熱は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律におきまして、全数を把握する疾患に位置づけられております。診断した医師は、七日以内に最寄りの保健所に届け出ることが義務づけられております。

○藤井委員 調べましたら、平成十一年から感染症新法というのが施行されているそうでございますが、この法律によりますと、Q熱と同じ四類感染症の中に、炭疽菌とか、あるいはエイズが指定されているんですね。Q熱も炭疽菌も、生物兵器として開発が進められている大変危険なものなわけでございます。
 そこで、国立感染症研究所のリポートによりますと、Q熱は外国では多数報告をされているそうですが、先ほど局長からも答弁があったように、日本では余り検査されていないのか、検査能力がないのかわかりませんけど、症例は出ておりません。
 そこで、国内においてQ熱の発症例というのはあるのかどうか、また、Q熱による死亡の例はあるのかどうか、お伺いいたします。

○長尾健康局長 平成十四年の感染症発生動向調査では、全国で四十六名の患者が報告されております。
 なお、死亡例については報告されておりません。

○藤井委員 いろんな専門家の報告によりますと、Q熱には、急性のQ熱と慢性のQ熱というのがあるそうでございまして、先ほどありましたように、症状は先ほどの局長の答弁のとおりですが、急性Q熱となった患者さんの一%から二%の方が亡くなるというふうにいわれております。また、慢性の患者さんは、大体菌が潜伏する期間が一年から二十年というふうに、長い期間体の中に潜伏しているそうで、慢性の方の約六五%が亡くなるというふうにもいわれております。
 私のいろいろとお聞きしたところでは、二〇〇〇年に高知県で、慢性Q熱となった男の子が死亡した例がございます。また、つい最近でございますが、今ここに死亡診断書を、私、持っておりますが、ことしの二月十日、石川県の五十二歳の女性が慢性Q熱によって亡くなったという診断書があります。この方は平成七年から高熱が続いていて、なかなか原因がわからなかった。しかし、平成十四年十月に検査の結果、Q熱と診断をされて、約七年間闘病生活をされたというふうに聞いておりますが、こういった例が出てきているわけですね。
 しかし、残念ながら、なかなか医学界、お医者さんも--例えば敗血性ショックだとか、あるいは肺炎であるとか、あるいは動脈瘤であるとか、心臓弁膜症であるとか、いろいろ死因はありますけれども、専門家の調べでは、そういった死因に至る原因が、体の中にあるQ熱、いわゆるコクシエラ菌が繁殖したせいであるというふうにもいわれているわけです。ですから、この問題については、医学や、あるいは専門家の今後の研究にまたなければなりませんけれども、いずれにしてもこの対策というのが重要であるというふうに考えます。
 そこで、厚生労働省は昨年の八月、牛乳の殺菌基準を、六十三度の温度で三十分加熱処理をすれば危険はないというふうに基準を変えました。今までは六十二度の温度で三十分でしていたわけですが、この基準の見直しをした理由は何なんでしょうか。

○長尾健康局長 ヨーロッパやアメリカなどでは、未殺菌乳が原因と推測されるQ熱の集団発生の事例が報告されております。そのため、日本におきましても、国において、Q熱の病原体の耐熱性に関して検討を行いました。
 その結果、牛乳に関する従来の殺菌基準では不十分であるという新たな知見が得られたことから、Q熱病原体が死滅する殺菌基準に改められたものでございます。

○藤井委員 いわゆる牛乳の中にQ熱菌、コクシエラ菌があるから基準を変えたということだと思うんですね。いよいよ国も腰を上げてきた。
 また、同じ厚生労働省の発表では、鶏を検査したところ、そのうちの二%の血液からコクシエラ菌が発見されたという報告があります。そうしますと、コクシエラ菌に感染した鶏から生まれた卵への垂直感染、いわゆる親から子への垂直感染は心配ないのかどうか、この点はいかがでしょうか。

○長尾健康局長 先生ご指摘の調査は、鶏の血清中の抗体を検査したものでございます。菌そのものを検出したものではないと聞いております。
 それからまた、現時点では、鶏から卵への垂直感染の例はまだ報告されておりません。

○藤井委員 東京都では、感染症の原因究明とか、感染症が蔓延することを防止するために、また食品の安全性を確保するために、都立衛生研究所というところがあります。大変精度の高い検査と研究を行っているというふうに聞いておりますけれども、この都立衛生研究所でQ熱の検査を行っているのかどうか、伺います。

○長尾健康局長 都立衛生研究所におきましては、人の血清についてQ熱診断の検査を行っているほか、ペット動物のふん便や牛乳を対象に検査を行っております。ただ鶏卵につきましては、これまで発症事例の報告がなく、鶏卵を対象としたQ熱の検査は行っておりません。

○藤井委員 私は、いたずらに恐怖心をあおるつもりでいっているわけではありません。都民の健康、ひいては国民の健康を守ることが大事なことであるというふうに考えているわけでございます。
 食品衛生法というのがありますが、この第四条三号に次のようにあります。病原微生物により汚染され、またはその疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるものは、これを販売してはならないというふうに定められているわけでございますが、都民に食の安全と安心を与えるために、Q熱に感染しているおそれのある食品については、東京都が早急に検査体制を整え、都民に情報提供すべきである、また、その対策を講じるべきであるというふうに考えますけれども、これについて具体的に都はどのように取り組むのか、お伺いをいたします。

○長尾健康局長 Q熱につきまして、現在のところ、鶏卵及びその加工品の摂取による発生の報告例はございません。しかし、念には念を入れまして、今後、検査方法や都民への情報提供を含めまして検討を行ってまいります。

○藤井委員 ぜひこの問題、先ほども申しましたように--先ほど都立衛生研究所ではペットからの例はないというふうに報告がありました。百四十例というのが多いのか少ないのかわかりませんけれども、しかし、いずれも、このQ熱の原因がペットからの感染、あるいは食物を通しての経口感染というふうにいわれているわけですから、都立衛生研究所でもしっかりと力を入れてこの問題について取り組んでいただきたい、このように要望をするわけでございます。この点について、局長のご決意をさらにお伺いしたいと思います。

○長尾健康局長 私ども幸い、都立衛生研究所という極めて精度の高い、高度な専門機関を持っております。都民が不安を抱いても困りますので、いろいろこれから検討してまいりたいと思います。

○藤井委員 都民に不安を与えるからではなくて、都民の不安を消すために、ぜひこの問題について取り組んでいただきたいことを要望したいと思います。
 次に、都立病院改革について伺います。
 東京都が発表いたしました都立病院改革マスタープラン、この中では、都立病院のうち、大久保病院、多摩老人医療センター、そして私の地元にあります荏原病院が、その運営を東京都保健医療公社へ移管するといふうにいわれております。
 荏原病院は、五百ベッドを有する大規模な総合病院でございまして、脳血管や、あるいはリハビリ医療などを提供するとともに、救急医療や地域の医療機関との積極的な連携を行いまして、大田区民にとっても、また周辺の区民にとってもかけがえのない病院でございます。
 このたび、都は、都立病院改革マスタープランの内容をより具体化した都立病院改革実行プログラムを策定いたしました。そこで、このプログラムの内容を踏まえて、荏原病院の公社化について伺いたいと思います。
 第一番目に、都立病院改革実行プログラムでは、荏原病院を平成十八年度に公社化するというふうにありますけれども、現在の検討状況はどうなっていますか。

○櫻井病院経営本部長 保健医療公社への荏原病院の移管につきましては、お話のとおり、平成十八年度を予定しております。
 現在は、平成十六年度に公社への移管を予定しております大久保病院につきまして、地元自治体や地域の医師会等、関係者の参画もいただきながら、具体的な医療機能等についての検討を行っております。
 三年後に移管を予定している荏原病院につきましては、今回策定した実行プログラムにおいて移管の基本方針を示したところであります。大久保病院の検討内容等も参考にしながら、来年度から具体的な検討を開始する予定であります。

○藤井委員 荏原病院の公社化については、これから具体的に検討するという答弁ですが、ここに、日本共産党大田地区委員会のお知らせビラというのがあります。この中に、このようにあるんですね。荏原病院は都立のまま充実こそみんなが安心と。そして、特に、荏原病院が公社化されてしまうと、地域住民がかかりにくい病院になるというふうにいわれていますけれども、実際、本当ですか。

○櫻井病院経営本部長 公社移管後の荏原病院は、現行の医療機能を活用しながら、区南部保健医療圏の中核病院として運営することを基本としております。
 このため、提供する医療機能等については、その圏域の医療特性や関係機関等の意見など、地域の実情を十分踏まえてまいります。例えば、緊急性を要する救急医療を初め、地域住民にとって身近でニーズの高い医療機能については、公社移管後においても引き続き提供していく予定でございます。

○藤井委員 今のご答弁で、救急などの住民に必要な医療機能については、移管後も現行どおり提供していくということですよね。じゃ、違うじゃないですか、ビラと。
 それじゃ、また、同じこのお知らせのビラの中にこうあります。脳血管疾患や神経内科、リハビリなどの荏原病院がこれまで力を入れてきた診療科目について、東京都衛生局は、他のセンター的機能病院の受け皿整備ができ次第、移していくというふうに都議会で答弁していますというふうに、このビラに載っているんですよ。
 ここに書かれているように、荏原病院が公社化されると、本当に脳血管疾患や、あるいは神経内科、リハビリの医療機能、なくなってしまうんですか、どうですか。

○櫻井病院経営本部長 現在の荏原病院が有する医療機能のうち、今お話のありました脳血管疾患医療やリハビリ医療など地域住民のニーズが高い医療につきましては、圏域の特性も十分踏まえた上で、今後その機能を活用していく方向でございます。
 なお、ラッサ熱など危険性の極めて高い感染症に対する医療のように、都全域を対象とした医療につきましては、都立病院が担うべき行政的医療としての集約を図ってまいります。

○藤井委員 じゃ、最後ですけれども、今ご答弁がありましたように、活用するということは、やるということですね。また、なくなるということではないんですね。この点を確認して、終わりたいと思います。

○櫻井病院経営本部長 今後、具体的に検討していくことになりますが、現在の圏域の医療特性等からすると、医療機能として残すことが望ましいものと考えております。

○藤井委員 以上、終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○森田副委員長 以上で藤井一委員の発言は終わりました。

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