東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○宮崎副委員長 続きまして、倉林辰雄委員の発言を許します。
   〔宮崎副委員長退席、委員長着席〕

○倉林委員 私は、前々任者の質問者のように早口でしゃべるつもりはありませんので、どうぞ速記者の方、ごゆっくりと安心して速記をしてください。(笑声)
 そして、前任者の方の、先ほどから質疑を聞いておりますと、どうも、石が流れて木の葉が沈むという言葉がありますが、何か逆の思いで質問をされているような気がいたします。私は、石が沈んで木の葉が流れるような素直な質問をさせていただきますので、どうぞひとつよろしくお願いを申し上げます。
 それでは最初に、横田基地の関係についてから質問させていただきます。
 石原知事は、もう知事になられる前から、この横田基地の返還については提唱をされております。そして知事になられてからも、大きな公約の一つとして取り組んでおられます。日本を東京の歴史の新しい一ページに加えていこう、私は、こういう知事の決意に、まず敬意を表させていただきたいと思います。
 先般、知事は、施政方針の表明におきまして、都市再生の中核をなすのは社会資本の整備であり、現況においては、環状道路と空港機能の拡充が最も優先度の高い事業であるとの認識を示されております。そして加えて、この空港機能の拡充として、羽田空港の再拡張事業を掲げながら、今後国に対しては、横田基地も含めた首都圏の航空政策に関しさまざまな建言を行っていきたい、こう表明をされております。
 そこで、飛行場の軍民共用化について、この四年間を総括する意味で伺っていきたいと思います。
 まず、横田基地に関する問題は、申し上げるまでもありません、これが在日米軍の基地であることから、その返還はもとより、軍民共用化の実現に当たっては、さまざまな面で難しい課題を抱えていることは申し上げるまでもありません。
 しかし、首都圏の航空政策の将来を見据えるとともに、多摩地区の振興の観点からも、横田問題は都政において避けては通れない問題でもあり、この共用化のための着実な取り組みが求められてきているところであります。
 そこで、確認も含めてお伺いをしていきますが、都における横田基地問題に対する取り組みの状況について、お答えいただきたいと思います。

○前川知事本部長 私からは、事実経過を簡略にご説明申し上げます。
 都は従来から、横田飛行場の返還までの対策として、首都圏の空港機能の補完や多摩振興の観点から、民間航空利用を実現するために必要な措置をとることを、国への提案要求の最重点課題として強く求めてまいりました。
 また、知事みずから、駐日米国大使や横田基地の司令官と面談されるとともに、昨年、一昨年と二回にわたり訪米し、米国の政府要人等と会談を行い、横田問題への理解を求めるなど、直接アメリカ側への働きかけを行ってまいりました。
 また、平成十一年十一月には、横田基地の民間利用を考える会を立ち上げ、利用のあり方などについて議論を深めるとともに、横田飛行場の民間航空利用につきまして、パンフレットやホームページにより都民等に広くPRし、理解を求めるなど、世論喚起を図ってきた次第でございます。

○倉林委員 横田の問題については、知事は、我が国政府のみならず米国にも働きかけるなど、この間の戦略的かつスピーディーな取り組みに大変ご苦労されているわけでありますが、横田基地の軍民共用化は、単に民間航空機による輸送の問題だけにとどまらず、その周辺へのさまざまな課題や、また効果をもたらすものだと思っております。
 そこで、横田基地の軍民共用化の意義あるいはメリット、いかなるものか、お知らせをいただきたいと思います。

○勝田都市計画局長 意義、メリットということでございますが、首都圏の空港容量は切迫しておりまして、空港容量を増大することが緊急の課題となっております。このためには、四千メートル級の滑走路を持つ横田飛行場の活用が有効でございまして、これにより首都圏の空港機能を補完することができます。
 また、民間航空の運航を実現することによりまして、多摩地域など首都圏西部の広範囲な地域で、空港利用の利便性が飛躍的に高まります。さらには、民間航空利用によりまして経済産業活動が活発になり、多摩地域の経済振興や雇用の促進を初め、首都圏の経済活性化が図られることが挙げられます。

○倉林委員 首都圏の航空需要に対応するため、既存の施設の活用を図るという視点は、社会資本の更新経費が増大するといわれる、まさに二十一世紀の我が国において、単純明快なともいえる重要なメリットであります。
 また、東京に限らない広域的な視点や経済への貢献など、さまざまな面から、横田基地の共用化には、その意義、メリットがある、こういうことでありますけれども、このメリットについて具体的にちょっと伺っていきます。
 横田基地の共用化が実現した場合、どのような地域から利用されていくのか。さらに、経済への波及や新たな雇用創出についてもメリットがあるということでありますが、具体的にどのようなものがあるのか、簡単で結構ですから、お願いします。

○勝田都市計画局長 都では、平成十一年に、横田飛行場の民間航空利用実現に向けた概況調査を実施しておりまして、この中で、羽田空港、成田空港、横田飛行場へのアクセス時間を比較することによりまして、おのおのの空港の勢力圏を設定しております。これによりますれば、横田飛行場の勢力圏は、多摩地域のほか、埼玉県、神奈川県、山梨県に及んでおりまして、これらの地域からの利用が想定されます。さらに、都心からの交通アクセスを改善することにより、この方面からの利用も考えられます。
 また、同調査では、年間約千三百八十億円の経済波及効果と、約八千三百人の雇用創出効果があるものと推計しております。

○倉林委員 横田基地の共用化が図られた場合の利用勢力圏や経済波及効果を見ますと、まさに軍民共用化は都市再生の起爆剤ともなり得るプロジェクトともいえるのであります。しかし、その効果を現実のものとするためには、やはり具体的な施策を検討し、推進していくことが極めて重要だと、こう思います。
 共用化が実現すれば、広範囲な地域から利用が見込まれるというわけでありますけれども、そうしますと、当然、周辺交通基盤の整備、アクセスというものが重要であります。そしてまた、民間航空利用の程度に見合ったターミナルというものが当然、必要になってまいります。また一方では、騒音に対する検討も必要であります。
 この三つの課題について、都としてどのように取り組んでいこうとしているのか、三点について具体的にご説明いただきます。

○勝田都市計画局長 基地周辺には、JR青梅線などの鉄道や国道一六号などの道路が通っているものの、横田飛行場の共用化に当たりましては、交通アクセスの充実が課題となります。
 さらに、空港施設につきましても、民間航空が定期就航するためには、それにふさわしいターミナル等が必要となってまいります。このため、今後、共同利用の実現に向けた取り組みの中で、交通アクセスの確保策や、空港施設のあり方について検討してまいります。
 あわせまして、騒音に関しましても、民間機が軍用機に比べ騒音の影響が相当抑えられていることについて、地元の方々に十分な理解が得られるように努めてまいります。

○倉林委員 今、私が指摘した周辺交通基盤やターミナルの未整備あるいは騒音等が、共用化の足かせとなることがないよう、必要な検討を鋭意進められることをとりあえず要望しておきます。
 そこで知事、大変恐縮でありますが、知事は、昨年十月、横田基地について米国の政府要人と話をするために訪米をされました。その結果については、昨年の第四回定例会における私の一般質問の場でも答弁をいただきました。その際、横田の問題について、知事は、とにかく議題として登録はされた、そしてそのことを総理にもしかと申した、早速総理は特使を送った。そこで、特使を送った後の話についてお聞かせいただければと思うのと、外務省の副大臣が私のところへ来訪するよと、こういうお話もいただきました。また、両国においては、先ほども答弁ありましたが、ワーキンググループもつくる、こういうお話もありました。また、ある財団に頼んで基金の用意もしようと思っていると、こんなご答弁もいただきました。たしかそのように言及されたと思います。
 横田基地の共用化の問題は、まさに日米政府間の協議事項であり、実現に至るには幾多の課題を解決していかなければならないと思います。そこで、知事に答弁席に再三来ていただくのは恐縮であります。私の時間の関係もありますので、さらに全部お聞きしちゃいます。
 一点目として、横田基地の役割と存在とその意味。第二点目に、羽田空港との関係について、特に空域の管制について。そして第三点目に、現在のアメリカ政府及び米軍の動向について、それらを含めてぜひ知事のご答弁をいただきたいと思います。

○石原知事 先般お答えいたしました後の経過でございますけれども、総理は特使を送りました。それから、この問題についての連絡将校の外務省の副大臣を設定されましたが、肝心の外務省そのものは妙なスタンスで積極的に動こうとしませんけど、これはもう、つまり総理なり、あるいは閣議の中でこの問題が正確に認識されれば有無をいわさぬことでございますが、いずれにしろ、この問題について皮肉な現象は、アメリカの側の方が理解が早いと申しましょうか、日米関係の将来のために非常に重要な問題である認識を強く持ってくれました。
 一部の新聞はアーミテージの名前だけ挙げていましたけれども、この人よりもっと重要な人物にも何人も会いました。それから、こういうものが刺激になりまして、今の政権に、副大統領のチェイニー、特別補佐官のライスあるいはホワイトハウスの実質的なナンバーツー、ナンバーワンでもあるローブ、ゼリックという人たち、あるいはライスですね、送り込んでいるハドソン研究所が主体になって、アメリカ側のワーキンググループがもうできまして、この問題についてのリサーチをもう既に開始しております。それがひとつ、どういうふうな刺激を日本政府に与えるか、私も期待しておりますけれども、いずれ、その報告も総理にしておりました。
 ただ、この問題について私が向こうで口酸く申しましたことは、単に防衛の問題だけではなくて、アメリカも非常に憂慮して、日本の経済の再生のために不可欠の問題であると。それからやっぱり、アメリカのような広大な国土の中で飛行場のような社会資本をつくる場合と、日本のように狭小な国土の中につくる場合は全然違うので、成田などはいまだに完成されていないという、こういう状況というものをよく理解してほしいと。
 かつ、私の親友であります今の全米の商工会議所の会頭のトム・ドナヒューが、これは経済人ばかり集めてディナーをやってくれましたが、その席でもむしろ経済界の要人の方が非常によく理解できる。それは、我々が日本とビッグビジネスを構えて急な用事で飛んでいこうと思っても、会社の専用機で重役たちがチームになって合議しながら日本に行こうと思っても、そういう受容能力が日本はない、プライベートな会社の専用機で飛ぼうと思うと、三カ月前に申し込まなきゃ可能にならない、こういう厄介な国は日本しかないという慨嘆をしておりましたが、そういうものをあわせて事は着実に進んでいくと思いますし、詳しくは申しませんが、私が参与として迎えている、沖縄返還交渉も陰でやりました京都産業大学の高瀬教授、彼が頻繁にアメリカの空軍の司令官なり関係者と会って話しておりますが、その関係者も、もっと率直に地元の方々とも話をしていただきたいと。
 どうもそれを阻害しているのは、むしろ日本の防衛庁であったり、施設庁であったり、外務省であるというような印象を妨げ得ないというようなことを申しまして、早い話が、私がワシントンの数人の高官たちとかなり具体的な話をしたことは全部次の日にこちらの空軍の本部に情報として伝達されたようでありまして、それを受けて彼らは彼らなりの認識を、東京のアドバイザーの高瀬さんや、あるいは私に申しておりますが、いずれにしろ、繰り返して申しますけれども、これは日本の経済の再生のために、羽田そのものがもう国内線でも飽和になり、国際線はもうパンク寸前というときに、この時間的空間的に世界が狭くなる現況の中で、大きなビジネスの交流の妨げにもなっているということを、私たちはやっぱり複合的に認識していかなければ、国力の回復もないし、再生もないと思っているわけでございます。
 そういう点で、単にあそこに民間機を飛ばす飛ばさないの問題だけでなしに、それがいかに地域の経済だけではなしに、日本の経済そのものの再生に大きなかぎになるかということをひとつご認識いただきたいと思います。
 先ほど酒井委員のご質問にありましたが、あのとき説明できませんで、ちょっと思いつきまして、管制の問題でも申し上げますけれども……(模型を示す)これがその管制図であります。こんな膨大な空域を横田は占めているわけです。これが羽田であり、この緑色が成田であり、これが百里の基地でありまして、ここを一切、定期便は飛ぶことができません。ヨーロッパからソビエト、ロシアまで飛んで帰ってきても、これを迂回しなければ成田にアプローチできない。こういうていたらくでありまして、これもつい最近、この部分だけを削って譲歩されたんですが、大阪、東京を往復する幹線の便がここしかないんです。これは道路でいうと二車線しかないわけで、本来こういうものは八車線の空域が獲得されてしかるべきでありますけれども、これがさっきも申した狭小なために、管制塔のミスもありましたけど、ここで、狭い道路で高速の航空機が正面衝突しかねない状況になったわけで、これをごらんいただくとわかりますけれども、どうしてこういうものをこのまま放置してきたかというのは、これは与党野党関係なしに、日本のやっぱり政治の責任だと私は思っております。遅まきながら、その責任を履行していきたいと思っているわけであります。

○倉林委員 ありがとうございました。管制図まで持ち込んでいただいて。同じ質問をしても、民主党と自民党の質問者には差があるなということを(笑声)大変うれしくありがたく感じたところであります。決してこれは、嫌みであります。
 よく知事は、自民党の幹部には、国会議員の幹部にはハッパをかけ、また総理にはしりをたたき、またアメリカには、時にはアメリカにも行き、時には都議会も軽視し--失礼しました(笑声)都議会を優先し、そういう中でこの問題に果敢に取り組んでいるわけでありますけれども、ただ、知事はいつもこの話になりますと、もう小さな穴はあけたと。政府間、対政府の問題だと、いつもこういうお話をされます。国と国とが話し合う問題なんだからということになりますと、そこまでやってきたということは、見方によっては知事の公約はもう実現したんじゃないかって、こういう見方まで、とらえ方があるのかなというふうにも思うんでありますが、もしこれが、いや、とんでもない、まだ実行のスタートだよと、こういうことであるとすれば、私は今度、知事が出るのか、知事に、出るのか出ないのかわかりませんが、もし再度知事が立候補するとすれば、この横田基地の問題について、公約に掲げていくのかどうか、イエスかノーで結構ですから、お答えください。

○石原知事 イエスであります。

○倉林委員 イエスですか。ということは、もう皆さん、新聞記者も含めてご案内のとおりの結果が出たようであります。ありがとうございました。まさか知事が私のつたない誘導尋問に乗っていただけるとは(笑声)夢にも思っておりませんでした。ありがとうございます。
 それでは、大変時間が切迫しましたので、多摩地域における幹線道路について伺っていきます。
 多摩地域の南北方向の幹線道路は、府中所沢線を初め、順次、整備が進められ、引き続き推進をされていることを期待しております。一方で、南北方向に比べて整備が進んでいるといわれております東西方向の幹線道路は、完成はしているものの、歩道の幅員が十分でない、豊かな道路空間とはいいがたい路線でもあるわけであります。
 圏央道や多摩都市モノレールの開通などにより、人や物の流れが活性化し、交通需要が増加している多摩地域において、その発展を支える十分な機能を備えた幹線道路が必要不可欠であると考えます。
 そこで、こうした現状についてどのような所見をお持ちか、お伺いをいたします。

○勝田都市計画局長 多摩地域におきましては、現在、南北方向の幹線道路の重点的な整備や、鉄道の連続立体交差化の推進など、交通の利便性を向上させ、地域間の交流を活性化する施策を進めております。
 ご指摘の東西方向の幹線道路につきましても、安全性、快適性などの観点から、道路整備のあり方を検討していくことが必要であると考えております。

○倉林委員 とりわけ新青梅街道は、現在、交通渋滞が慢性化しておりまして、加えて沿道では大規模な商業施設の開発あるいは土地区画整理事業など、まちづくりへの取り組みが精力的に進められております。このため、今後さらに交通需要がふえることが予想されるわけでありますが、渋滞解消に向けた再整備は近々の課題であります。
 このような状況をかんがみ、新青梅街道の拡幅について、私は十二月の本会議で質問をさせていただきました。そこで都市計画局長からは、本路線の拡幅の必要性、優先性を検証し、早急に明確にして取り組んでいくと、こういう大変前向きなご答弁をいただきました。
 そこで、その後の、答弁をいただいた後、きょうまでの取り組み状況についてお伺いをいたします。

○勝田都市計画局長 新青梅街道の拡幅に関しましては、本路線を含む多摩北部地域における幹線道路の位置づけにつきまして検討する必要があることから、本年二月初めに、関係局で構成をいたします多摩北部地域の幹線道路検討会を設置をいたしまして、取り組みを開始いたしました。

○倉林委員 私は、これまでも継続して新青梅街道の拡幅についての提言をさせていただいております。都市計画変更に向けた手続を早急に行うべきだと、こう考えておりますが、取り組みの成果はいつごろ説明していただけるんでしょうか、ご答弁をお願いします。

○勝田都市計画局長 ただいまご答弁申し上げました本検討会では、当地域での幹線道路の整備状況や交通量の推移、周辺の開発状況などの現況把握を行うとともに、将来の交通量や土地利用の変化を踏まえた検討を行ってまいります。
 その上で、新青梅街道など主要な幹線道路の今後の方向性につきまして、年内を目途に取りまとめていきたいと考えております。

○倉林委員 ぜひひとつよろしくお願いをしたいと思います。
 それでは、時間の関係で次に行きます。
 税制改正などの措置に関連して、不交付団体であります東京都の立場から見た地方交付税制度の問題について伺っていきたいと思います。
 最初に、都における過去五年間の財源超過額と決算における状況を示していただけないでしょうか。

○田原財務局長 財源超過額を過去五年で見ますと、十年度が六千三百五十九億円、十一年度が三千八百二十億円、十二年度が三千百四十九億円、十三年度が四千九百四十二億円、十四年度は五千三百二十六億円となっております。
 一方、決算における実質収支はこの間いずれも赤字であります。赤字額は、十年度が一千六十八億円、十一年度八百八十一億円、十二年度六百七十八億円、十三年度は頑張りまして百億円までになっております。
 交付税算定における巨額の先ほど申し上げた財源超過と全く違った状況でございます。

○倉林委員 都財政は健全化が進んできているとはいえ、決算の状況から見ると、巨額の財源超過というのは余りにも現実離れをしているというふうに私は思えるんであります。
 大阪府もたしかかつて同様の不交付団体だというふうに記憶をいたしておりますが、現在はどんな状況になっているのかをお聞かせください。

○田原財務局長 大阪府は、お話しのとおり、昭和六十年度から平成四年度までは、都と同じように財源超過が生じる不交付団体でございました。バブル崩壊後の税収の減少によりまして、財政状況が悪化した。これは都と同様でありますけれども、都が引き続き不交付団体であるのに対しまして、大阪府は平成五年度から交付団体になりまして、十四年度には三千三百七十二億円の普通交付税を受けております。

○倉林委員 地方交付税制度については、東京都だけは交付団体にはしない、それをすると交付税制度そのものが崩れる事態になると、こういうのが国の本音ではないかというふうに私は思うんでありますが、やはり意図的なものを感じるわけであります。
 もちろん、都は、財政が厳しいとはいえ、今さら交付団体になるとは考えているとも思っておりませんけれども、ただ、近年の交付税措置に関する動きの中でちょっと気になりますのは、今回の税制改正によるような措置の問題で、都は五百五十億円の減収となりましたが、この財源措置は交付団体と不交付団体とではどういう違いになるんでしょうか、説明をお願いします。

○田原財務局長 十五年度の国の税制改正によります地方税の減収に対する財源措置でございますが、減税補てん債の発行により措置をすることとされております。
 この減税補てん債を翌年度から元利償還をしていくことになるわけでありますけれども、この元利償還は地方交付税の基準財政需要額に算定をされております。このため、交付団体にありましては全額補てんをされるということになります。しかし、都のような不交付団体にありましては何らの措置もなく、みずからの財源で賄わなければならない、こういうわけであります。

○倉林委員 そうすると、東京都は、また減税した分を借金をして将来の税金をもって返すと、こうしたことになるんだろうと思うんですが、こうした減税措置は、国では今回に限らず大きな改正として六年度、十一年度にも行われていたようでありますけれども、これにかかわる都の都債残高というのはどのようになっていくんでしょうか。

○田原財務局長 お話しのとおり、六年度に住民税等の特別減税が、また十一年度には住民税、法人事業税等の恒久的な減税が行われまして、これに伴う財源措置としましては、減税補てん債と特例交付金により対応いたしました。
 その結果、減税補てん債の十五年度末の残高は五千九百十四億円に上る見込みでありまして、これは現在の都債残高六兆九千三百三十五億円の八・五%に達することになります。

○倉林委員 そうしますと、これがなければ都債残高六兆云々という話がありましたけれども、もっと減ることになるはずですよね。公共事業の財源となった都債ならこれは別ですよ。しかし、あくまでも国の政策で発行したものですよね。不交付団体ということで、都が自前の財源で全額を補てんしなければならないというのは、私ちょっとおかしいんじゃないかなと、こう思うんでありますが、全くおかしい話ですよね。
 それでは、減税措置への補てんのやり方については、不交付団体として都はどのようにお考えになっているんでしょうか。

○田原財務局長 ただいま申し上げたとおり、国の税制改正に伴う減収分を減税補てん債で補てんをいたしまして、その元利償還金を交付税措置するという方式では、都のような不交付団体にとっては何らの財源措置がないと、こういうことであります。
 財政運営面では、当然でありますけれども、減税補てん債によって都債残高が累増をいたしまして後年度の負担が重くなることから、財政状況はより厳しくなる、こういうことになります。
 したがって、このような補てんの仕方は、都のような不交付団体にとって不合理であると、こういわざるを得ないと思います。

○倉林委員 そうしますと、こうした減税以外にも不交付団体ということでハンディをしょった措置というんでしょうかね、そういうものがあるんですか。

○田原財務局長 ただいまの減税補てん債と同様に、これまで国の景気対策と連動いたしまして発行いたしました公共事業の地方債がございます。これにつきましても、元利償還金が同様の交付税措置となっております。不交付団体には財源措置がございません。
 また、交付税の不交付団体であることそのものを理由といたしまして、都は義務教育教職員給与費等国庫負担金、それから地方道路譲与税などにつきまして、十五年度で見ますと、合計百六十三億円に上る財源調整を受けておりまして、これらは極めて不合理なハンディであるというふうに思っております。

○倉林委員 それでは、皆さんも大変不合理だとおっしゃっておりますから、最後に知事に、申しわけありません、お聞きしたいんですが、小泉内閣は今、地方税財政制度改革として、交付税、それから税源移譲、国庫支出金等の見直しの三位一体の改革が進んでいこうとしております。この際、交付税、国庫支出金の振りかわりとして税源移譲が行われた場合、都を巨額の財源超過団体として、財政があたかも豊かな団体であるかのようにみなして、結果的に都への税源移譲分がふえもしないのに、逆に少なくなっていくという事態にでもなれば、私は大変ゆゆしき問題だろうと、こう思うんでありますが、交付税制度を含めて、地方税財政制度改革に取り組む知事の姿勢といいましょうか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○石原知事 ご指摘のように、地方交付税の問題でありますけれども、これに限らず他の税制の運用でも、非常に東京都は不遇な立場にある例が幾つもございます、再三申しているガソリン税などもそうでありますけれども。いずれにしろ、毎年度巨額な財源超過額が生じているわけで、現実には都の財政は大変厳しい状況が続いているわけでありますが、国がとらえている東京都の財政の実態とは非常に大きな格差がございます。
 一方、現在、国から地方への税源移譲や地方交付税制度改革など、抜本的な見直しが急務となっておりますけど、ご指摘のように、国が進めようとしている三位一体の改革の議論の中でも、どうもこれをてこにして国の負担分だけ軽減して逃げようみたいな姿勢がちらほらしまして、やっぱりそういう点は、私たち注目し、指摘していかなければならないと思います。
 税財源の移譲の早期の実現とあわせて、都市の再生など、非常に膨大な財政事情を抱えることを国にも強く訴え、都市再生という政策の項目は結構ですけれども、それを踏まえた上で、東京都の現実に対する理解を、税制の運用の上でも強く求めていきたいと思っております。

○倉林委員 ありがとうございました。
 それでは、次に進ませていただきます。ごみの減量・資源化についてお伺いしていきます。
 ごみの減量・資源化については、全国的にも大変大きな課題でありまして、多摩地域では、ごみゼロ社会を目指して、家庭ごみの有料化や資源化など積極的に進めているということはもうご案内のとおりであります。しかし、この問題については、リサイクルにかかる経費負担のあり方などを含めて、循環型社会を形成する上での制度づくりなど、広域的な対応が大変必要だと思います。
 そこで、ごみの減量・資源化に向けた都の広域自治体としての取り組みについて伺っていきますが、まず多摩地域における資源回収はどのように推移をしているのか。また、資源化率は全国平均と比べるとどのようになっているのか。また、多摩地域は全国的にも高い水準で資源回収が進んでいるという、当然そういうことになるわけですけれども、どのように進んできているのか、その理由をどのようにとらえているのか。ちょっと重ねて答弁してください。

○小池環境局長 まず第一点目の多摩地域における資源回収量につきましてですが、最近の十年間で見ますと、平成四年度の十六万一千トンに対しまして、平成十三年度では約二・三倍の三十六万三千トンになっており、着実に増加しております。
 また、多摩地域の資源化率は、平成十二年度では二四・七%で、全国平均の一四・三%を大きく上回っております。
 関連しまして、その多摩地域におきまして資源回収が高い水準に進んでいる理由としてということでございますけれども、最終処分場が逼迫している中で、早い時期から市町村による資源ごみの収集体制が整備されてきたこと、また住民の協力による集団回収などの取り組みが積極的に進められていることなどが挙げられると考えております。

○倉林委員 今説明がありましたように、市町村は大変積極的な取り組みによって資源回収が進んでいるわけであります。ぜひ評価をしていただきたいというふうに思うんでありますが、しかし多摩地域では、現在使っている二ツ塚処分場は、ほぼ、これから新しくつくるという段階にもう入れないだろうと、こう思うわけであります。このために、多摩地域でも、ごみの中で占める割合が容積で六割に達するとされる容器や包装の回収をより一層進めることも大変重要であると思います。
 ところで、容器包装リサイクル法においては、収集、保管等は市町村が行い、再商品化は事業者が行うと、こうなっております。そこで現在、ペットボトルなどのリサイクルに対する市町村と事業者の負担の現状はどのようになっているのか、お聞かせください。

○小池環境局長 七都県市の試算によりますと、ペットボトルのリサイクルにかかる費用のうち、収集運搬、保管等を担う市町村の負担が約八割でございます。これに対しまして、再商品化を行う事業者の負担は約二割となっており、市町村にとって大きな財政負担となっております。

○倉林委員 八対二ということは、そうしますと、リサイクルを一生懸命進めると、市町村の財政負担が大きくなっていく、こういう矛盾した制度になっているんですね。よく考えていただいた方がいいと思うんですが、そんなことで実際リサイクルが進んでいくんでしょうかね。市町村はやる気なくしますよ。
 そこで、リサイクルを進めるに当たっては、現在の容器包装リサイクル法の仕組みそのものを抜本的に変えていただかないと、と思うんですが、それについて所見をきちっと報告してください。

○小池環境局長 ご指摘のとおり、リサイクルを一層進める観点から、事業者に回収義務を課すなど、早急に法の抜本的見直しが必要であると認識しております。都は、これまで七都県市とも連携し、収集、運搬や保管の経費負担と役割分担の見直しを国に提案要求しております。
 今後とも、区市町村の過度の負担を軽減するため、制度改正を国に強く働きかけてまいります。

○倉林委員 早急に国に見直しを求めていくということですが、本当に早くやってくださいよ。そして市町村の実情というものを十分国が反映できるように強く私は申し入れていただきたいと思います。
 また、ごみの中にはエアゾール缶やカセットボンベなどという大変危険なものも含まれておりまして、ごみの収集車や処理施設で火災事故も起きているというふうに当然聞いております。このような問題に市町村はどう対応しているのか、お聞かせください。

○小池環境局長 多摩地域の約七割の市町村では、ごみの収集車両等の火災事故を防止するため、エアゾール缶やカセットボンベを資源ごみや有害ごみとして、通常の不燃ごみとは分けて収集しております。また、資源等を選別する施設での火災事故を防止するため、人手をかけて充てんガスを抜くなどの作業を行っているという状況でございます。

○倉林委員 こういう危険性があったり処理しにくいものは、市町村が回収するというよりも、いわゆる製造や販売を行った事業者がもっと責任を持って回収すべきだ、こう思うんですよね。都は広域自治体として、事業者による回収を、国や事業団体に当然積極的に働きかけるべきだ、こう思いますけれども、これについてはいかがですか。

○小池環境局長 危険性を有し、市町村の適正な処理が困難な廃棄物につきましては、ご指摘のように、製造や販売を行った事業者の責任を強く求めていくことが重要であると考えております。このため、区市町村と連携しながら、有害性、危険性、処理困難性を有する廃棄物につきまして、拡大生産者責任の考え方に基づき、製品の設計段階での工夫や製造、販売事業者による回収などを盛り込んだ法改正を国に対し要求しております。
 引き続き制度の確立に向けまして、区市町村や七都県市と連携しながら、国や事業者団体に対し強く働きかけてまいります。

○倉林委員 それで、産業労働局長にお伺いします、ごみの資源化の問題に関連しますので。
 いわゆる農家が排出する植木などの剪定した枝あるいは家庭の生ごみなどの有効活用、これも大変大きな問題になっております。一方、都内の農地では、土づくりのための堆肥が不足しているとも聞いております。都として、剪定した枝などの未利用な資源を循環利用するシステムに、これは当然取り組んでいる市町村を支援すべきだ、こう思うわけでありますが、いかがなものでしょうか。

○有手産業労働局長 都は、有機農業堆肥センターにおきまして、優良な堆肥の生産技術の開発や普及に努めてまいりました。また、区市町村に対しまして、循環型システム支援事業を通じて施設整備等の支援を行い、植木の剪定枝や生ごみ等を堆肥化し、地域で循環する仕組みづくりを促進してきました。
 今後とも、環境と調和のとれた農業を推進するため、未利用資源の循環利用を積極的に進める区市町村を支援してまいります。

○倉林委員 ありがとうございます。もう時間ですから、私……

○山本委員長 やってください。

○倉林委員 実は、さきおとといですね、東京新聞にこんな記事が出ておりました。これはダイオキシンの関係です。私がいうんじゃないんですよ。ここに書いてあるものをいうんですからね。「ダイオキシンは恐竜時代からあったし、その毒性も心配ない。日本の現状は誇大妄想だ」と、こういっているんですね。その方は渡辺正という、東大生産技術研究所の先生であります。その先生は、まさにダイオキシンの猛毒説は妄想だ、ダイオキシンの猛毒説は間違いだとまで--これ、新聞を読んでくださいね。知事さんにだれか渡してくれなかったのかね。それで、そのために今までごみ処理に各市町村もあるいは家庭も全部処理機も取り上げられたりしまして、ごみ処理に大変膨大なお金がかかったわけですよ。その国のやり方が、法規制は大失策だとここでちゃんといっているんですね。
 私も読めば読むほどびっくりしているんですけれども、このことについて、現在行われている、ダイオキシン、あるいは都の条例でやめさせておりますこの関係についてお聞きしたいと思いますが、特に、時間がないから全部聞いちゃいますが、野焼きなんかの場合は、これもだめだというんですね。畑でサツマイモだとかトマトだとかキュウリだとか、そういうものを乾かして燃やして、燃やすことによって、これが自然に融解して、大変肥やしになったりアルカリ性になったり、本当に畑の原点なんですよ。それを燃やすと、これもだめだというんでしょう。農家の人は本当に困っているんですよね。
 こういう実態も含めて、知事は、失礼ですが、東京から日本を変えるというんですから、ぜひひとつ今ある都条例だけでも何とか再検討していただいて、農業にかける規制の、焼却まで規制するのは何とかひとつ考えていただけないものなんでしょうかね。ひとつ農家の立場というものも考えてお答えいただきます。

○小池環境局長 ただいまお話がありました新聞報道では、致死量にかかわるダイオキシン類のいわゆる急性毒性に着目した見解が示されております。しかしながら、ダイオキシン類につきましては、微量ではありましても、長い時間をかけて体内に蓄積され、慢性毒性が問題になります。発がん性、生殖障害、ホルモン攪乱障害、小児への影響など、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、ダイオキシン類対策特別措置法が制定され、また、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正により、廃棄物の焼却の規制が行われることになったものでございます。
 また、環境確保条例におきましては、同様の趣旨から、ダイオキシン類の排出を抑制することが技術的に困難な小型焼却炉や野外焼却の行為についても禁止しているところでございます。ただし、例外措置といたしまして、伝統的行事に伴う焼却や樹木や農作物の病害虫の防除等のための焼却、落ち葉等の軽微なたき火などにつきましては禁止しておりません。
 いずれにいたしましても、現行法令におきましては、人の生命と健康を守るためにダイオキシン類の排出を抑制できるようさまざまな規制がなされていると考えております。

○倉林委員 残念ですね。ちょっと聞きたかったけれども、時間が参りましたので……。(拍手)

○山本委員長 倉林辰雄委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時三十分休憩

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