東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○和田副委員長 野島善司委員の発言を許します。
   〔和田副委員長退席、委員長着席〕

○野島委員 私、都議会に籍を置きまして一年半が経過をいたしました。この間、本会議におけるさまざまな議論から、知事の、東京から日本を変える、国がやらないから都がやる、そしてスピード感のある施策展開に接しまして、その取り組みに賛意を表するとともに、それでは、多摩の各市町村は、都政とのかかわりで地域の振興のためにどういう施策が必要なのか、都に何を求めていくのか、市町村は何をなすべきなのかという視点を中心に、いささか地域的な課題に偏り過ぎる嫌いがありますが、順次ご質問をさせていただきたいと思います。
 まず多摩振興についてであります。
 多摩には、三百九十万人、都民の三人に一人が居住しておりまして、都の行政区域の五〇%を占めております。都は、多摩の将来像二〇〇一と題する構想を発表なされ、そして現在、アクションプランを作成中と伺っております。
 もちろん、区部と都、市町村と都のかかわりについては、自治制度上の沿革からくる差異もありますが、東京の活力を呼び戻すためには、多摩の振興も重要であります。
 私も含めまして、多摩選出の議員の多摩地域に対する思いは、さまざまな場面での質疑、要望を通じて執行機関の皆様には十分伝わっているとは思いますが、かつて地域振興担当部長の職にあり、多摩の実情に精通されております多摩担当の福永副知事に、多摩振興にかける決意を冒頭お伺いいたしたいと思います。

○福永副知事 多摩振興についてのご質問でございますけれども、多年にわたりまして多摩地域の振興に全力を傾けてこられました野島委員に対しては大変失礼なことになりますが、釈迦に説法のようなご答弁になってしまいますが、お許しをいただきたいと思いますけれども、やはり多摩地域は、その生い立ちから今日まで、輝かしい歴史と伝統というようなものを持って発展をして、近年においては、多くの大学が設置され、そして先端産業が立地されるという、大変ドラスチックにさま変わりをしてきた地域であろう、そしてまた将来に向けて多くの発展性を秘めた地域であろうということが私どもの認識でございまして、やはりこれからの多摩地域は、全体としては、ただいま申し上げましたような個性をそれぞれ十分に考慮した上で、その特性、個性に合った発展を遂げていくということが必要ではないかというふうに、またそれが大切なことではないかという認識をいたします。
 さらには、多摩地域のそれぞれの各自治体も、その持つ個性でありますとか、そういうものを十分に生かしながら、やはり近隣自治体との十分な連携というようなものを十分ご認識していただき、かつまた自立的な発展を目指すということをも十分ご認識いただいた地域振興に取り組んでいただくべきだというふうに思います。
 その中で、東京都といたしましては、府県の役割といたしまして、地元市町村、そして都民の皆さん、さらにはNPO等と連携、協働しながら、活力と魅力のあふれた多摩地域、これを実現に向けて努力をして、また取り組んでいきたいというふうに思います。
 そのためには、道路などのいわば都市基盤の整備、あるいは森林の再生、さらには産業振興、地元産業の振興などに十分に積極的に東京都としても取り組んでまいりたいというふうに思います。

○野島委員 私思うに、まちづくりの資源は、自然環境、一つの行政区域、東京都なら東京都において、その自治体がどこに、東久留米市なら東久留米市がどこに位置するというこういう関係、それから、都市形成過程において人為的な要素が大変強いと思うんですね。それとあとは、一つの経済圏ですから、そこに資本投下量がどうされておったか、そういう違いによって各市区町村に特徴が生じてきているのかなと思っております。
 オール多摩で見ますれば、知事がよくお使いになりますアパラチア山脈にも似た西多摩の自然は、大きな観光の資源でありますし、また、大学や先端技術が集積している地域では、圏央道などの整備に伴いまして、就労の場の拡大など新たな発展が期待をされていると思います。
 今の副知事のご答弁によれば、それぞれの市町村がその特徴を発揮しながら、連携して、多摩、都の発展に資するということ、こういうことだというふうに思ってございます。
 ところで、私は、清瀬、東久留米市というところを選挙区にしております。この二市を含む北多摩北部圏というのは、実は都市への人口集中が激しかったころ、都心部で働く人々の住宅地として膨張してきたため、就業の場や高度の都市的サービスの面で、区部あるいは他の圏域への依存度が極めて高い地区なんですね。
 自立性を高める、そういうことからいいますと、今から八王子のように大学をたくさん誘致しようか、あるいは工業団地をつくって就労の場を拡大するか、あるいは立川のようにモノレールを敷いて、交通結節点に非常に多くの顧客誘引可能な商業集積をさせるか、あるいは、アパラチア山脈に対抗してロッキー山脈をつくろうかとか思うのですけれども、すべて答えは、困難であり不可能であります。
 夢は大きく持ちながらも、現状を直視しながら、依存ではなく相互連携、こういう視点に立ちながら、都政と市政の施策展開が必要だろう、こんなふうに思っております。そういう部分では、今、福永副知事からご答弁がありましたような認識と、私、一致いたします。
 そうしますと、まず、その中の答弁にありましたのが、都市間連携に必要なのは、やはり都民の足のモビリティーを高める道路交通網の整備、とりわけ多摩という、北、北というところの地域性に立てば、南北アクセスの促進をしなければいけない、こんなふうに思っております。
 この件につきましては、実は多摩の将来像二〇〇一でもチャレンジテーマとして取り上げられておりまして、また、多摩北部都市広域行政圏というのがあるんですけれども、そこでも鉄道の連続立体化のための調査検討を始めております。そういう意味では、都の認識と私どもの市町村の認識が一致しているもの、こんなふうに大変力強く思っております。
 そこでまず、都市基盤整備のうち、北多摩北部地域で主に取り組んでいただいております、みちづくり・まちづくりパートナー事業についてお伺いいたしたいと思います。
 この事業は、多摩地域の都道整備の促進を図る事業として、全額都負担であった、かつての道路振興特別交付金制度、こんなものがありましたけれども、これを衣がえいたしまして、都と市がそれぞれ費用を分担し、平成十一年度から十五年度の五年間、全体事業費四百億、こういうことで始まりました。地元の東久留米市で、あるいは清瀬でも、それぞれ一路線、この事業採択をやっておりまして、まちづくりに大変有意義な事業ということで期待をされております。
 そこでまず、この事業内容と、平成十四年度末予測される進捗状況についてお伺いをいたします。

○小峰建設局長 みちづくり・まちづくりパートナー事業は、多摩地区での地域のまちづくりに密接に関連する都道を、都と市や町が役割を分担し、協力して整備するものでございます。都が用地補償にかかわる費用を、市や町が工事等にかかわる費用を負担し、その施行は市や町が行うものでございます。現在、十一市一町が、十六路線、総延長約五・六キロで事業を実施しております。
 現在は、いずれの路線も用地取得の段階で、平成十四年度末の執行率は約二八%の見込みでございます。
 来年度より、四路線で工事に着手する予定でございます。

○野島委員 答弁によれば、事業開始から四年たって三割弱、こういうことのようでございます。
 厳しい財政状況の中にありましても、実は本事業費の十五年度当初予算は、十四年度同額の三十一億円を計上していただいております。シーリングのかかった中で、大変なご労苦に心から敬意を表したいと思っております。しかし、その予算を加えても、やはり執行率は半分程度にしかならない。まだまだ多くの事業が残っているわけであります。
 大変財政状況が厳しい現在、なかなかすぐに予算をふやしてくれと、そんな私、欲は余りないんです。が、このみちづくり・まちづくりパートナー事業は、都と市や町の合意に基づき、それぞれの役割を決めて始めたものでありますので、地元の市や町に、先ほど申し上げましたように大変期待をされております。
 そういうこともありまして、昨年、東京都市長会や地元の多摩北部都市広域行政圏協議会から、計画路線の完全実施を求め、予算の確保と事業期間の延伸を都に要望なさっております。私は、ぜひこの事業が完成するよう引き続き努力をいただきたいというふうに思っております。
 そこで、みちづくり・まちづくりの事業を今後どうしていくのか、その継続についてお伺いをいたします。

○小峰建設局長 本事業は、市や町がまちづくりを円滑に進める上で重要な事業でございます。事業期間は、平成十一年度から十五年度までの五年間でございますが、お話のように、地元の期待も大きく、市や町からも事業期間の延伸を強く要望されております。
 今後、事業の継続について検討してまいります。

○野島委員 この事業は、交通渋滞の解消、安全性の向上、アクセスの改善のほか、沿道の開発を促進する、極めて有効な事業だというふうに思っております。
 それで、市の方も、この事業を進めながら、本事業に関連して、市道の整備や再開発、区画整理などのまちづくりのそれを、みち・まちに関連してのまちづくりのしっかりした計画を立てるべきだろう、私はこんなふうに思っているんですね。そういうときには、この際、提案されていますところの東京のしゃれた街並みづくり推進条例、あんなものでも援用できるんじゃないかと思うんですね。
 それで、こういう計画のもとに地域のまちづくりに努力をし、汗をかき、限られた財源を有効に使いまして、まちを活性化すれば、税収にもはね返ってくるわけですから、先にずっと公財源を入れておいても、後で取り返しがききますから、先ほど欲がないといいましたけれども、欲を出して、ぜひ継続と事業担保のための、潤沢とは申しませんけれども、可能な限りの資金を確保していただきたい、こんなふうに思っております。
 そういう意味で、申し上げましたように、都市間のアクセスあるいは地域の活性化、こんなことで各自治体にも努力をしていただくと同時に、都の側からの支援、協力、このことをお願いして、本項についての質問は終わりたいと思っております。
 次に、先ほど自然の話がありました。私はよく天与の自然、風土の恵み、こういうことが好きでありまして、そういう視点から、公園事業についてお伺いいたしたいと思います。
 先ほど、多摩には豊かな自然がある、こういう話もさせていただきましたし、答弁もいただきました。なるほど北多摩地区は、大都市近郊にあっても、武蔵野の原風景を残す貴重な地域であります。しかし、その緑は、実は農地や屋敷林、こんなことに支えられておりまして、未来永劫にそれが担保されるものでもないわけであります。
 それから、細かな数字は申し上げませんけれども、北多摩五市、北、北の五市の市民一人当たりの公園面積は、多摩二十六市に比しても、区部のそれに比しても大きく下回っているんですね。それだけど豊かに思えるのは、実は、そういう屋敷林だとか畑だとかがこうあるわけですね。
 そういう中で、平成七年に、多摩北部広域圏の中心に位置する東久留米市内に、広域圏の請願公園ということで、ぜひお願いしますと、こういうことで都市計画決定されました都立六仙公園がございます。黒目川や落合川の水源地の保全、この地域における--東久留米だけじゃないですよ、この地域におけるですから--水と緑のネットワークの拠点として極めて重要な役割が期待されて、平成十三年から事業化が進んでおります。
 今後とも、用地買収は順次推進していただきたいと思っておりますが、十五ヘクタールですから四万五千坪、六十万と見ても二百七十億、その程度の用地費がかかると思うんですね。厳しい財政状況の中では、かなり気の遠くなるような話でもあります。(発言する者あり)五十万としてもいいですけれどもね。
 そこで、すぐには本格整備が進められないと思うんですね。で、既買収の事業用地を、都民参加を得て、例えば将来の森づくりに役立つように、先ほど申し上げました、武蔵野にはクヌギというのがあるんですね、ドングリがあるんですよ、そのドングリをまいて育て上げる。あるいはまた、近くで最近、これは建設局所管なんですけれども、道路里親制度、それでいっぱい花を植えていただいているんです。そういう花をそこでつくるとか、そんなことで六仙公園の整備促進につながるようにしていけたらなと思っているんです。
 実は私、去年、機会がありまして、インドネシアのボルブドールの植林事業に参加をいたしました。(発言する者あり)植林よりも、自分の植毛を考えろという激励も受けましたけれども、そこで聞いたんですよ。そういう広いところにどんどん植えればいいじゃないかといったんです。そうしたらば、そのボルブドール遺跡というのは七百年前ぐらいにできて、四百年ぐらい地中に潜っていたそうなんですね。で、七百年前のいろんな当時の木が、その壁面にかいてあるそうなんですよ。私たちは、これからもこういう風土を大切にしていくために、それを復元する期間があるから、そんなにどんどん植えられませんという話でした。
 それからあと一つは、これは子どもたちも参加しているんですね。そうしますと、環境を守っていくのがどんなに大切なものなのか、失ったものをもとに戻すということは、どんなに労力がかかるかという一つの環境教育にもなると思うんですね。
 そういう意味から、東久留米市のその六仙公園においても、そういうものを市と協力して進めていただけないかなと、こんなことでひとつご提案申し上げますので、ご答弁をお願いいたしたいと思います。

○小峰建設局長 六仙公園は、北多摩地域の水と緑の骨格軸を形成する、計画面積十五ヘクタールの総合公園でございます。
 これまでに取得した用地の一部は、地元東久留米市に、児童等の遊び場として一時開放し、有効活用を図っております。
 ご提案の活用策につきましては、住民参加により森づくりや水辺づくりを進めるという六仙公園の基本計画のコンセプトからも、大変有意義だと考えております。
 今後、都民との協働により将来の公園整備につながるよう、事業用地を積極的に活用してまいります。

○野島委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 次に、地域の再編整備についてお伺いをいたします。
 今回提案されております東京のしゃれた街並みづくり条例の目的、制度については、昨日の我が党の星野理事の質疑で、ある程度理解をいたしたところであります。
 特徴的なことは、街並み再生地区の指定、地区計画の区域等を、都市計画決定、地区整備計画の決定、そして事業の立ち上げという、こういう時系列の中で、面的にも、あるいはどういう手法をとるかも、住民主導のもとに選択しながら、それを行政がきめ細かな支援をしていくというところにあるというふうに思っております。いわば住環境を、面的に、あるいは時間の中で徐々に整理をしていこうじゃないかと。環境整序権という言葉がありますけど、私は、そういう思想があっての提案だろうというふうに思っております。
 ところで、私が申すまでもなく、都市計画事業というのは、実は困難なのは--絵はいつでもきれいにかけちゃうんですよね。住民も、そんなにそれに抵抗ないんです。いい話じゃないですか、ぜひやってください、こういうことであります。
 一方、事業化に向けましては、やっぱり自分の私有財産がかかってくるわけでありますから、自分の生活が質、量ともにどういうふうに生活再建されていくのかなと、こんなことがはっきりしませんと、いわば良好なまちづくりという公益の目的と私権のせめぎ合いというんですか、そういうところをどう調整していくかというのが、実は都市計画のうち、大変難しいところだというふうに私は思うんですね。とりわけ、敷地の共同化を伴っていきましょうと、こういう手法もあるわけですから、数多くの課題があると思います。
 それで、その課題の解決に向けましては、都市計画法、建築基準法、こういう建築法令がありますね。それから、当然、税法、民法等幅広い知識が必要、こういうことになると思うんですね。
 今申し上げましたように、この条例によって、いわば使用する道具はできたんですよ。だけど、一般の地権者の方や住民の方は、その使い方、その道具をどうやって使うというのがなかなかわからないと思うんですね。
 したがって、都なり市区町村が、しっかりとそういうものをアドバイスしていく何らかの手だてをとらなければ、それこそ、ああ、いい話ですね、そうですかで終わっちゃうと思うんですね。その辺、どういうふうにお取り組みをなさるのか、お伺いをいたしたいと思います。

○勝田都市計画局長 お話にございました、東京のしゃれた街づくり推進条例で規定しております街区再編まちづくり制度では、合意形成が比較的容易な小さなまとまりで共同建てかえなどを進めることとしておりますけれども、計画を具体化するためには、お話のとおり、専門的知識が必要になってくると考えております。
 そのため、例えば既存の専門家派遣制度を活用するほか、今後、具体の事業の動きを見ながら、地域に密着したコンサルタントや工務店などの参加を得て、そのノウハウを活用するなどの工夫を考えていきたいと思っております。

○野島委員 そういうことで、いろいろお手伝いといいましょうか、アドバイスをなさると。
 そして、こうした困難を乗り越えながら、共同建てかえによって密集市街地の整備を進めていこう、こうなるには、ある程度やはり公益性と私権の問題がありますけど、まちづくりの貢献度が高いわけですから、優遇措置等を講ずるようなことが必要だと思うんですね。建ぺい率、容積率をボーナスで差し上げましょうとか、あるいは税法上の優遇措置、こんなことが図られると、これが私は一つのインセンティブだと思うんです。それ以外にも、いろんなものはあると思いますよ。ぜひ今後検討していただきたいんです。
 次に、そのインセンティブがあった、さあ共同建てかえを事業化していきましょうと、こういうふうに地権者の方がまとまったとします。当然のことながら、多額の資金が必要となるわけであります。
 例えば事業完成後に権利床を売却して、自分たちの生活再建のために必要な質、量の向上のために銭を使うと。そのために、権利床を売却するまでに、売れるまでに時間があるわけですから、つなぎ融資みたいなことが必要だと思うんですね。
 それで、私は、この事業の公益性にかんがみまして、これを成功に導くそのためには、これを支援する回転型のファンドを設置しまして、そういう事業資金の要請にこたえていった方がいいんじゃないか、こんなふうに思うんですが、ひとつ見解を伺いたいと思います。

○勝田都市計画局長 街区再編まちづくり制度の活用を図るためには、規制緩和のほか、多様な方策を講じて地権者等の意欲を高めていくことが必要でございます。
 今ご提案ありました、ファンドを設けることなどによりまして地権者等の事業資金の確保を図ることも、その方策の一つであると考えます。
 今後、具体の事業の展開を見きわめながら、講ずべき方策を検討してまいります。

○野島委員 よろしくお願いいたします。
 実は基金があって、それを利用するということは、都だっていいかげんには出せませんから、事業精査します、こういうことですね。それから、都の基金も利用しますけれども、金融機関からも抱き融資をもらいますよと。こういうとき、こういう基金がありますと、東京都の紋どころですから、事業の確実性が高まる、資金回収の蓋然性も高いとなれば、事業に弾みがつくと思いますから、そんなことを意識しながら、十分ご検討いただきたいと思っております。
 冒頭、道具はそろいました、使い勝手はアドバイスをしていきますと。今、そして、場合によっては資金貸与も考えていきたい、こういうことでありました。実は私、おしゃれには余り関心がないんです。だけれども、最後、化粧をしまして、きれいだなというふうにいわれるには、やっぱりその土台が大事ですよ。土台がだめだったなんていいませんよ。土台をしっかりして、それでやらなければ、これは何の意味もないんですね。それで、このファウンデーションをどうするか、こういうことだと思うんですね。
 そして、実はこういう事業の場合のファウンデーションというのは、住民の合意だと私は思っています。いわゆる合意の方向づけをどうするかということが、おおむね九〇%の力でいけば、あとは何ていうことないです、正直なところ。
 そこで、区画整理や再開発というのは人の整理だ、こういうことになってくるわけですね。この条例で用意されています、あるいは将来用意されるさまざまな手法を駆使しまして、区市町村ともしっかりと連携しまして、事業資金も、区市町村の関係とか聞いてもらったりしながら、連携を密にして取り組んでいただきたい、こんなことをひとつ要望をして、この項については終わりたいと思っております。
 次に、用途地域、建ぺい率、容積率の見直しについて、特に第一種の低層住居地域を中心に伺いたいと思っております。
 建ぺい率、容積率を上げていきましょうと。大きくは当該自治体の人口フレームの問題もあろうかと思いますが、今こういう人口動態の中で、それはそんなに大きな要素ではないだろうと。用途地域の見直しによって、道路や公園等の公共空間が確保されて防災上の障害がないこと、それから、建て詰まりによりまして、日照とか通風の、いわばそこにお住まいになる方の環境相隣関係が阻害されない、こういうことが私は大前提になってくると思うんですね。
 多摩においては、実は、相続によって農地を売るとか、あるいは物納された国有地が結構あるんですよね。それをいわゆる一反開発といって、千平米程度のものというのは結構あるんです。
 そこで、ケーススタディーとしてお伺いしたいんですが、一つは、開発行為に該当する一団の土地、すなわち千平米以上であれば、開発指導要綱によって最低敷地面積が定められているわけですね。その開発予定地だけ見直しましょうと。最低敷地面積は都市計画法上決まっちゃうわけだから、開発行為で。そのことが可能かどうか、まずお聞かせください。

○勝田都市計画局長 用途地域の変更の規模についてのお尋ねでございますけれども、今お話ありました低層住宅の用途地域につきましては、住環境を保護する観点ということから、一定のまとまりのある区域を単位として都市計画の変更を行うこととしております。
 お話の千平方メートル程度では難しいと考えております。

○野島委員 一定程度のまとまりが必要だと。
 それでは、見直しの対象になる面積要件、一団の土地のガイドライン、こんなものはどの程度のところに置いていらっしゃるのかお伺いいたします。

○勝田都市計画局長 昨年七月に定めました用途地域等に関する指定方針及び指定基準では、第一種低層住居専用地域内において建ぺい率、容積率を変更する場合には、おおむね一ヘクタール以上の規模としております。

○野島委員 はい、わかりました。答弁をお聞きした限りでは、多摩に多い、さっきいったような、突っ込み道路型開発といっているんですけど、そういうものはなかなか困難なようですな。筆界で切ると、隣と、環境相隣権がバッティングしちゃいますから。余り突っ込み道路って、いい表現じゃないです、クラスター状開発というふうにいった方がいいですね。ブドウの房のように、こういうふうにやってね。わかりました、それは。
 それで、例えば面積要件に該当した、可能だ、こういう場合でも、こういう開発というのは、実は資金展開が早くないと開発業者はできないんですよね。
 したがって、さっき一定の基準が示されましたけど、要件が整った場合には、そこも含めてわかったという地権者の一団の土地があれば、スピーディーに随時見直しをしていったらどうだ、こんなふうに思うんですが、ご見解をお伺いいたします。

○勝田都市計画局長 現在、都内全域の用途地域の見直しを行っておりますけれども、これとは別に、良好な住環境を形成するための地区計画を定めた場合には、時期を失することなく、速やかに用途地域の見直しを行ってきております。
 また、今後も行ってまいります。

○野島委員 よろしくお願いいたします。
 次に、住宅流通市場の活性化についてお尋ねをいたします。
 私、昨年の第二回定例会において、住宅……

○山本委員長 速記をとめて。
   〔速記中止〕

○山本委員長 では、再開をいたします。
 どうぞ、野島委員。

○野島委員 次に、住宅流通市場の活性化についてお尋ねをいたします。
 私、昨年の第二定におきまして、住宅流通市場の活性化に向けて住宅履歴情報を整備する必要がある、こんなところを提案いたしまして、今定例会において、優良マンション登録表示制度を本年四月からスタートさせるとなっております。
 この制度の導入によりまして、物件の現況と管理の実態が明定されますので、取引の安全、安心が確保されまして、この制度の普及がマンション流通にさらに活性化を与えるのではないかと思っておりますし、また、この制度に乗せるためにも、適切な維持管理を再構築していこう、こういう動きにも副次的な効果も考えられると思いますので、事業の円滑なスタートを望んでおります。
 ところで、この住宅流通市場の活性化という点では、戸建ての方がより効果的だというふうに私は思っています。一戸建てにはそれぞれの顔があります。取引の安全は、物件の実情を、権利関係はもちろんのこと、増改築や修理の履歴を確認できることでありまして、流通業者も、いわば法定の重要事項というのがありますけど、それ以外の事項についての説明責任を果たしやすくなる、ついてはトラブルの防止にもなる、こういうふうに思うんですね。
 だけど、もちろん、難しさはいろいろあると思うんですね。マンションはスペースの売り買いだし、管理組合というのは多くの人の目がありますから、なるほどと思うんですけれども、その履歴をだれが確認するのか、あるいは、どこまでを法的項目とするのか、付加価値として処理できるのか、一般の権利者が簡単に書けるようなフォーマットが可能なのか、いろんな問題点があると思うんですよ。しかし、こういう問題にやっぱり取り組んで、中古住宅ストックの活性化を図ることが必要であろうというふうに私は思っているんですね。
 そんなことから、次には、ぜひ戸建て住宅を対象としての履歴情報のシステムの導入等についてご検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○橋本住宅局長 戸建て住宅の履歴情報でございますけれども、ただいま先生のお話の中にもございましたように、修繕内容の把握が難しいとか、情報の信頼性が客観的に保証されにくいなどの課題が確かにございます。
 当面は、流通事業者団体に対しまして、その住宅情報システムの内容の充実を働きかけてまいりますとともに、現在、国においても、戸建て住宅の履歴情報システムについて検討がなされております。
 したがいまして、国とも連携しつつ、戸建ての履歴情報につきましても、住宅流通市場の整備に取り組んでまいりたいと思っております。

○野島委員 よろしくお願いします。
 かつて、流通業者は千三つ屋とかいわれていたんですね。何で千三つなのかなと。情報の質、量が確実じゃないから、千に三つしか売買のクロスポイントが見つからないのかなということと、千に三つしか本当のことをいわないんじゃないかという、こういう話があるんです。住宅事情も大変オープンになってきましたから、流通市場が。ぜひこういう制度も必要だというふうに私は思っているんです。そんなことでご検討いただきたいということを再度要望いたしておきます。
 次に、医療行政についてお伺いをいたします。
 都立病院につきましては、平成十三年七月の都立病院改革会議報告、これを受けまして、同年十二月には都立病院改革マスタープランが策定され、そして本年一月の都立病院改革実行プランと、こういうふうな流れがあるわけであります。
 この改革のキーワードは、都立病院の役割について、都全域あるいは複数の二次保健医療圏を対象として、高度で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を行う、こういうことと、住民に身近な地域医療の確保は区市町村の役割でありまして、都はこれを支援し、都は二次保健医療圏に地域医療を支援する病院を整備し、その運営を保健医療公社にゆだねる、こういうことであります。
 都立清瀬小児病院につきましては、行政的医療は府中の小児総合センターに集約、隣接する東村山市にある多摩老人医療センターを地域病院化し、小児科を設置するという計画というふうに伺っております。効率的な役割分担に基づきまして、限りある医療資源を適切に配分していくという趣旨については、理解できないものではありません。
 しかし、問題は、これも本件のキーワードであり都側が好んで使用する、都立清瀬小児病院が実態として果たしてきた地域の小児医療が本当に担保できるのだろうか、こんな不安がよぎるわけであります。
 多摩老人医療センターを保健医療公社運営の地域病院として整備していくに当たりまして、都は具体的にどう取り組んでいくのか、最初にお伺いをいたしたいと思います。

○長尾健康局長 新病院の医療機能や規模につきましては、地域の事情等を踏まえた上で今後検討してまいりますが、清瀬小児病院の移転に伴いまして不足が生じる地域の小児医療を確保するため、新病院には新たに小児科を設置し、さらに休日・全夜間診療事業を行うなど、小児医療の体制整備を図ってまいります。

○野島委員 次に伺います。
 都立小児病院の再編整備に当たって、東京都は以前から、地元自治体から協議の申し入れがあれば協議を行っていきますと、こういう受け身の繰り返し答弁で来たというふうに私は受けとめております。それで、今定例会では、我が党の代表質問に対しまして都の答弁は、都立小児病院再編整備後の多摩地域の小児医療に関する検討の場が設けられる、こういうふうに伺っております。一歩踏み込んだ取り組みだろうというふうに評価をしています。
 ただし、留意していただきたい点は、さっき申しましたように、多摩もいろいろでありまして、多摩の医療資源もそれぞれ差があります。つまり清瀬小児の問題は、当然のことながら、清瀬だけじゃなくて、近隣市の自治体も対象として検討されるべきだと思うんですね。
 多摩地域の小児医療を検討するに当たっては、それぞれの地域の医療資源の特性等を踏まえまして、少なくとも北多摩北部保健医療圏における小児医療の確保という観点から検討を進めていただきたい、こんなふうに思うんですが、見解をお伺いいたします。

○長尾健康局長 清瀬小児病院移転後におきます小児医療の確保につきましては、ご指摘のとおり、地域の医療資源の実態等を踏まえた上で検討を進めていく必要があります。
 今後、北多摩北部保健医療圏を視野に入れまして、関係地区医師会や地元自治体と協議を進めるなど、病院経営本部とも連携して具体的な対応を検討してまいります。

○野島委員 ぜひ地元自治体と十分協力しながら、住民が安心できる小児医療体制の構築に向けてご努力をお願いしたい、改めて申し上げておきたいと思います。
 そういう意味でも、都が率先して、ひとつ--私、地元の医師会ともいろいろ話をする機会もあります。北多摩北部保健医療圏を初めとするそういう問題について、積極的に取り組んでいただきたい。小児病院の問題は、この後、我が党の萩生田委員も八王子を抱えていますから、あろうかと思いますので、これで終わりにいたします。
 次に、保育所行政についてお伺いいたします。
 なぜ保育所行政といっているかということでございます。実は昨日、共産党さんの木村委員さんのご質疑を含め、いろんなところでお聞きいたします共産党さんの保育事業へのスタンスは、公立あるいは社会福祉法人立の認可保育所、ここに人、物、金をどんどんつぎ込むことが唯一正しい施策である、認証保育所などはとんでもないと、どうもそういう立場のようなんですね。
 それで、共産党さんのそういう立場に立たずに、社会経済情勢の変化に対応して、いろんな視点から保育所事業について検証したり課題を検討する、こういう課題がありますよということを提示することすら、保育行政の担当者としてとんでもない、どうもこういう立場に立っているようなんですね。そういうことこそ、私はとんでもないと思っています。
 さまざまな検討の中から認証保育所制度が生まれたわけでしょう。それが広く都民ニーズにこたえているからこそ、拡大をしていっているわけであります。
 きのう、共産党さんが、私もいただいたか、ちょっと記憶ないんだけど、誇らしげに示していただいた資料がありました。事務引き継ぎなのか、あるいは幹部職員のレクチャーのときのものか知りませんが、そんなこと憶することないと思いますよ、私は。むしろ正式に検討の場を設けて、しっかりと議論をして、議会にも課題をしっかりと提示して、我々とも議論させてほしいと思うんですね。きょうは、時間がないから私やりません。
 それで、そうした中から新たな保育施策を生み出していくことこそ、都庁マンとしての資格ですよ。私どもは、それは、自民党は責任政党ですからしっかりと受けとめますし、度量も広いですから、検討することさえとんでもないなんていうことは申し上げません。
 そして、その議論の結果、なるほど共産党さんのスタンスは正しいというのであれば、自民党はわかりませんが、私は、共産党さんとスクラムを組みます。その節は仲間に入れていただきたいと思うんですね。なるほど自民党の考え方が正しい、こういうことになったら、ひとつ共産党さん、その節にはぜひご支援をお願いいたしますので、今からお願いを申し上げたいと思います。
 実は、これまでの経済成長の中で実現したさまざまな施策があると思うんです。それを自分たちが獲得したと、こういう自負をすることは大いに結構だと思うんです。しかし、どんなに社会情勢が変化しようとも、新たな視点で見直そうとしない、こういうことこそ、私は、社会や経済の発展にとって最大の阻害要因だと思うんですよ。これは、私はその典型だろうというふうに思ってはいるんです。今後、議論の深まりの中で、ああ、おっしゃるとおりですというケースでありますけれども、今の時点ではね。
 それで、こういう勢力を、別に共産党さんだなんていってないですよ、何と称するか。私にいわせますと、戦後民主主義を物取りデモクラシーと勘違いしている抵抗勢力あるいは守旧派だ、こんなふうに私は思っています。このことを冒頭申し上げ、何点かお伺いをいたしたいと思っております。
 実は子育て、保育園もそうでありますけれども、先人の知恵が大変重要だと思うんですね。核家族化が進んでいます。自分の子育てについて、負担感を心理的にもお持ちの方が相当多いということは、調査の結果でも明らかになっております。
 そこで、保育所に高齢者の方に入っていただきまして、親御さんの相談に乗ったり、若い保母さんにノウハウを伝授する。家庭でもそうですけれども、親にしかられたときに、おじいちゃん、おばあちゃんの懐に飛び込んで、温かくいやされるというケースはあるんですよね。それから逆に、両親に甘やかされ過ぎたときに、おじいちゃん、おばあちゃんがご両親を諭したり、お孫さんをそういうものじゃないですよというふうにやるケースもあるんですよ。
 私は、いわば今失われた世代交流、世代間の、先代が一生懸命やってくれて、そのことをしっかり受けて、次の時代をつくっていこうとか、そういう環境をつくっていくために、あるいは実は、これは僕は感覚でいっているんですよ。核家族が大変多いんですけれども、核家族に育ったお子さんと、そうじゃない、多世代に育ったお子さんというのは、どっちかというと、多世代に育ったお子さんの方が情緒が豊かだろうといわれているんですね。
 それで、私はそんなことを、この豊かな心をはぐくむ保育についてという表現をしているんですよ。そんなことで、そんなことが可能なのかどうか、あるいはいろいろ検討して、今後取り組みをするかどうかを検討するかどうか、そんなところをひとつお伺いさせていただきたいと思います。

○川崎福祉局長 地域の子育て経験が豊かな人々を有効に活用していくことは大変有意義であると考えております。
 認可保育所、認証保育所とも、子育ての相談やクラブ活動の指導等の面で、高齢者などを非常勤職員として雇用することは可能であります。

○野島委員 そういうふうなことで、実は公立なり社福の法人というのは、当然いろんな法の制約がありますから、例えば国基準があって、都基準で上乗せして、市町村によってはもっと上乗せして、なおかつ国基準の保育料の肩がわりをしているわけですから、これはものすごく高コストなんですよね。それに風穴をあけるという意味で、私は認証保育所制度というのは大変すばらしいと思うんです。
 それと、よく延長保育というのがあるんですよね。何で延長かというと、職員は八時半から五時だから、延長なんです。認証保育というのは十三時間やることを前提としているわけでしょう。だから、今の就労形態や保育所に合わない部分をどう改革していくのか、なおかつ高コストな部分をどう、ある部分では、必要な部分は理解を得ればいいんです。改革すべきことをどんどんやっていかなきゃいけないと思うんです。ですから、ぜひそういう部分で、一生懸命検討していただきたいというふうに思っております。
 最後にいたします。少子化の時代を迎えております。国においても、昨年九月には、厚生労働省から少子化対策プラスワンが出されております。そして、次世代育成支援対策推進法案の制定が検討されるなど、少子化時代における子育て支援の充実が大変重要な課題となっておるのが現下の情勢であります。
 こうした背景もありますので、ぜひ福祉局において、保育所とか保育園とか、それに限定してないですよ、私は。親が安心して産み、育てられるための支援策を検討する、こういう場を設けて、積極的に取り組んでいただきたいと思うのでありますが、見解をお伺いし、答弁を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

○川崎福祉局長 少子化の要因としましては、未婚率の上昇、晩婚化、子育ての経済的、心理的負担など、さまざまなことが挙げられております。
 子どもを産むかどうかは個人の選択の問題でありますが、行政の役割は、子どもを産み、育てたいと願う人々が安心して産み、育てられる環境を整備していくことにございます。
 そのためには、これまでの子育てと仕事の両立支援を中心とした取り組みに加え、お話の地域における子育て支援のあり方など、幅広い視点から検討していくことが必要であると考えております。
 ご提案の趣旨を踏まえまして、子育て支援に関します有識者による検討の場を早期に立ち上げたいと思います。

○野島委員 ありがとうございました。(拍手)

○山本委員長 以上で野島善司委員の発言は終わりました。

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