東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○宮崎副委員長 引き続き東野秀平委員の発言を許します。
   〔宮崎副委員長退席、森田副委員長着席〕

○東野委員 本会議の代表質問でも触れましたが、最初に災害対策の一環といたしまして、深刻さを増します三宅島に対する支援について質問をいたします。
 全島避難より三年、島民の皆さんは満足に仕事もできずに、預貯金を取り崩し、生活はますます厳しさを増して、徐々に帰島の意欲さえも失いつつあるといわれております。そのため公明党は、昨年の第四回定例会で、都として何としても独自の支援に踏み切るべきであると訴え、福祉局長より、早急に検討する、このような答弁を得たところでございます。
 さきに急逝された我が党の曽雌議員も、今回の予算特別委員会で、さらなる三宅島支援の質問を準備しておりました。このような一連の取り組みの結果、一月二十七日、都と三宅村との間で災害保護特別事業の実施が発表され、今週の月曜日から特別事業の申し込み受け付けがスタートしたところでございます。島民の皆様には大変に大きな朗報であったわけでございます。
 そこで、まず第一に、この災害保護特別事業を実施する目的と内容について、確認の意味も含めて明らかにしていただきたいと思います。

○川崎福祉局長 三宅村島民の帰島後の自立を支援するため、都と村が連携し、災害保護特別事業を実施することといたしました。その内容は、預貯金五百万までの保有を認めつつ、生活保護制度に準じた支援を行うものでございます。

○東野委員 ただいまの答弁で、島民の皆さんにはある程度の預貯金を保有したまま帰島していただき、そして帰島後の生活再建が自力で可能となるように支援するのが事業の目的であるということが明らかになったわけでございます。また、特別事業は生活保護制度に準じて支援を行うことですから、恐らく都として事業の内容を詰めるに当たっては、相当程度協力したことだろうというふうに思っております。
 結果として三宅村は、全国で初めてといえる生活保護に準拠した村民支援のための条例を策定することができました。まさに画期的な成果であります。私は、このことを高く評価したいというふうに思っております。
 しかし、実際に都と三宅村がどのように役割分担をしながら事業を行っていくか、いまだ明らかになっておりません。この役割分担、つまり都が行うべきことと、村が行うべきことを明らかにして、今後とも積極的な支援が必要であります。都は村に対して具体的にどのような支援を行っていくのか、質問をいたします。

○川崎福祉局長 都は災害保護特別事業の実施に必要な財政的支援を初め、三宅村との事務協定に基づきまして、総務局とも協力し、この事業に従事する応援職員の確保や、制度運営に当たっての技術的助言などの支援を、村に対して積極的に行ってまいります。

○東野委員 ぜひとも十分な支援を行っていただきたいというふうにお願いをしておきます。
 次に、特別事業の実施に当たっては、島の生活実態を十分に踏まえたものでなくてはなりません。もちろん、都においても収入や預貯金の状況などは十分に把握した上で事業を開始したことだろうというふうに思っております。
 そうなると、次のポイントは島民の帰島の意思でございます。都は、帰島の意思を把握しているのかどうか、また、今回の特別事業の対象世帯をどのように想定しているのか質問いたします。

○川崎福祉局長 三宅村避難島民の生活状態を把握するため、昨年十一月に世帯主が五十歳以上の約千世帯に対するアンケート調査を実施いたしました。その結果、回答のあった世帯のうち、お尋ねの帰島の意思を有する世帯は約九割ございました。また、本事業の要件となる収入状況や預貯金の額等を踏まえて推計いたしますと、事業の対象となる世帯は現時点で約百世帯程度と想定されております。

○東野委員 新たな特別事業が始まったわけですから、帰島の意思を確かなものにして、三宅島の人々を勇気づける意味でも島民への周知が不可欠であります。よく理解し、納得していただいて積極的に活用していただきたい、このように思うわけでございます。十二分に周知を図るべきと思いますが、所見を伺いたいと思います。

○川崎福祉局長 事業の実施に当たりましては、ご指摘のとおり十分な周知が必要であり、既に三宅村では専用窓口を開設するとともに、パンフレットの全戸配布などを実施しております。
 都としても、避難先団地を巡回して、本事業の説明及び相談を実施するミニ懇談会を開催するほか、都の広報媒体の活用や、民生、児童委員等の連携により積極的な周知に努めております。
 なお、十七日からの四日間で、既に三十三件の相談がございました。

○東野委員 ちなみに問題としてありますのは、介護保険料であるわけでございます。我が党の石井幹事長の代表質問での答弁では、適正な保険料が設定できるよう国と都が財政支援を行う、そういう答弁をいただいたわけでございます。そこで、本日ここで国と都の財政支援の内容と、具体的に保険料はどうなるのか、見込み額を明らかにしていただきたいというふうに思います。

○川崎福祉局長 国は、現在国会において予算審議中のため未確定ではございますが、三宅村に対します特別な財政措置といたしまして、約四千四百万円の支援を行う予定であるとの連絡を受けております。
 また、都としても適正な保険料額が設定できるよう、約五百万円の財政支援を行う予定でございます。これらの結果、三宅村では次期保険料の基準額を月額三千七百五十五円とする条例改正案を、村の議会に提案することとしております。

○東野委員 本当によかったというふうに私思っております。ご高齢の方も含め、多くの島民の方が喜ばれているというふうに思っております。
 このほか離職者支援資金、またすべての都民が対象となる新たな生活福祉資金貸付制度がスタートいたします。これらも三宅島島民の生活再建に資するよう周知し、運営すべきであります。都の努力を要望したいと思います。
 なお、関連して、国においては公明党の主張を受けて、低所得者を対象にした長期生活支援資金貸付制度並びに緊急小口資金を創設いたしました。都も十五年度予算案に新たな事業費を計上しております。これらの事業は、三宅島の島民の方々はもちろん、広く都民の文字通りセーフティーネットの役割を果たすものであります。これも確認の意味で伺いますが、これらの制度の目的を明らかにしてもらいたいと思います。

○川崎福祉局長 長期生活支援資金貸付制度は、一定の居住用不動産を有し、将来にわたりその住居に住み続けることを希望する低所得の高齢者世帯に対し、その不動産を担保として生活資金の貸し付けを行うことにより、世帯の自立を支援することを目的とした制度でございます。
 また、緊急小口資金は、低所得世帯に対し、医療費または介護費の支払い等の理由により、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に、少額の資金を貸し付けるものであります。

○東野委員 どちらの制度とも大変にきめ細かい制度であり、高齢者や障害者の自立を助けるものと期待できます。
 しかし、こうしたセーフティーネットも、必要に応じて利用されなくては、その機能は生かされません。都は制度利用の促進に向けて積極的に取り組むべきだと思いますが、所見を伺います。

○川崎福祉局長 新たな生活福祉資金の貸付制度を低所得世帯への支援システムとして有効に機能させるため、都は制度の実施主体であります社会福祉協議会を初め、区市町村や民生、児童委員と連携し、都民に対する制度の周知や相談対応に積極的に取り組み、利用の促進を図ってまいります。

○東野委員 三宅島の問題、そしてセーフティーネットの問題、どちらも極めて重要であります。都民の人間としての尊厳を守るためにも、一層の努力を求めたいと思います。
 次に、臨海再開発について伺います。
 一部に硬直した反対論がありますけれども、臨海は東京の活性化の起爆剤の役割を果たす可能性を持ったゾーンであります。特に、その立地条件から各種イベント、観光政策の目玉を創出できる可能性があります。
 かつてイギリスから端を発しましたアーバンルネッサンス、つまり都市の復興もロンドンのテムズ河畔の水辺空間の再開発から始まりました。ロンドンのアーバンルネッサンスは、官主導の開発の限界を露呈して、一たんはとんざの憂き目に遭ったわけでございますけれども、現在は、ドックランドと呼ばれる水辺地域を中心とした民間の活力によって、再び目覚ましい発展を見せております。
 東京の臨海部においても、りんかい線の全線開業、臨海トンネルの開通、そして西欧風結婚式場の開業、またまた、パナソニックセンターの開設など、新しいまちとして発展しつつあります。
 一方、都は今月十四日に臨海副都心魅力アッププランを発表いたしました。これは新たな企業誘致を推進するために、都と民間事業者が協力するための方針をまとめたものと理解しております。
 公明党はこれに加え、さらに観光まちづくりという観点が必要であると考えているわけであります。そこでまず初めに、こうした観点から臨海副都心のまちづくりについて、以下伺います。
 まず、我が党が提案しましたウエルカムカードが大変に好評だったというふうに伺っておりますが、外国人観光客をさらに積極的に呼び込む方策が不可欠ではないかというふうに思っております。例えば、外国人が東京を観光するときに、必ず臨海副都心にも立ち寄ってもらう、そのような仕掛けができないか。具体的には、外国人観光客が迷わず観光できるように温かく彼らを迎える工夫、例えば複数の外国語によるサインの設置などが必要であると思いますが、所見を伺います。

○高橋港湾局長 平成十四年の臨海副都心の年間来訪者数は、過去最高の三千七百八十万人となり、臨海地域の魅力が人々に非常に知られるようになっているというふうに思っておりますが、今後一層観光政策を考えていかなければいけないと。そうした中で、先生の話されました外国人につきましては、やや焦点の当て方が弱かったというふうに考えております。
 今後、例えば在日大使館や外国人記者クラブを対象とした臨海副都心ツアーを開催して魅力を実感してもらったり、あるいは東京港のポートセールスにあわせて魅力を直接アピールするなど、さまざまな機会をとらえ、海外からの旅行者を積極的に呼び込む工夫をしてまいります。
 さらに観光客にわかりやすくするための第一歩として、臨海副都心まちづくり協議会と共同で、副都心にありますそれぞれの施設が提供しております観光イベント情報をポータルサイトでつなげまして、だれもが見られるようにするなど、副都心ならではのホスピタリティーを育ててまいりたいと思います。
 さらに、案内標識のリニューアルに当たりましては、ご指摘のように複数の外国語の表記に改めるなど、海外の人々にもわかりやすいまちづくりに努めてまいります。

○東野委員 次いで、観光資源として忘れてはならないのは、副都心の魅力を高め、既存の進出事業者の定着と新たな企業進出の誘引となり、さらには、広範な都民に自己実現の機会を提供できるような、いってみればイベントの実施であります。
 夏休みとクリスマスシーズンに、マスメディアが主催するイベント等でかなりにぎわっているということは承知しておりますけれども、一方で、これまで公明党が主張してきたように、恒例となるような名物イベントを育てていくべきであると思います。
 恒例イベントにあわせて、クルーズ客船が東京港に寄港するような、臨海ならではの仕掛けが可能となるように、大きく育てていくべきだというふうに思いますが、所見を伺いたいと思います。

○高橋港湾局長 ご指摘のように、臨海副都心ならではの名物となるような恒例のイベントに育つことが、私たちも切に願っておるところでございます。
 現在、臨海副都心では、これまでトライアスロン大会やドラゴンボート大会など、実績を重ね定着してまいっておりますが、最近では、ビーチバレー大会や夜さ来い祭りなどが始まりまして、都民がみずからこの祭りに参加するとともに、関係者の関心を集めているという状況でございます。
 今後は、こうしたイベントをさらに発展させるため、東京都のホームページを活用したイベント情報をさらに充実するとともに、臨海副都心の名物となる新たなイベント、名物となるということは、ある意味でビッグで毎年なじみのあるような、そういうものだろうと思いますが、こうした大きなイベントも、初めは小さいものが時間を経て名物となるというふうなこともいわれておりまして、そのためには、関係者がみんなが育てるようなことが望まれます。
 そういう意味で、インターネットを通じて新たなイベントのアイデアを募集するなど、ご提案の趣旨が実現できるよう努めてまいりたいと思います。

○東野委員 大勢の観光客を迎える仕組みの一つとして、さまざまな企画を提供する民間セクターが進出しやすい環境を整備すべきであるというふうに思っております。
 例えば、今お話出ましたミニサッカーのフットサルや、世界的に注目されている自転車を乗り回すBMXが人気を呼んでいますが、臨海地域では、主催者が土地を借りてコートなどの施設を設置しようとしても認められず、物品の販売もできないというふうに聞いております。随分硬直した制度であるわけですが、これでは、民間セクターのアイデアやそういったものを生かす観光まちづくりを進めていこうとする上で、明らかに障害となってくるのではないか。
 また、屋外広告物につきましても、地元の広告協定では、臨海副都心に広告をはんらんさせずにきれいな町を実現するという点、この点では成果を上げているというふうに思うんですけれども、イベント開催時には広告も、いってみればにぎわいの一つであります。規制し過ぎると、角を矯めて牛を殺すことにもなりかねません。規制緩和、この規制緩和に向けて積極的に行うべきというふうに思いますが、所見を伺います。

○高橋港湾局長 臨海地域では、土地の一時貸付について用途が限定され、期間も原則一年とされております。
 このため、ご指摘のとおり、ミニサッカー場や物品販売についても開設ができなかったわけでございますが、今後、観光まちづくりの観点からも、規則改正に取り組んでまいります。
 また、臨海副都心内の広告は、町の風格を醸し出す観点から、自主的な広告協定に基づきまして、自家用広告物等に限定されておりますが、イベント開催時には、広告そのものがにぎわいをもたらす効果もあることから、臨海副都心まちづくり協議会などと調整を行いまして、一般広告が掲出できるよう取り組んでまいります。

○東野委員 臨海副都心は、土地処分を着実に進めていくことももちろん大切でありますが、観光の視点からの活性化を行い、都民にあすへの活力を提供していく、このようなことが肝要だというふうに思っております。
 次に、関連しまして、水浄化について質問いたしたいと思います。
 せっかくお台場に人工海岸をつくり、さまざまな工夫でにぎわいの創出に取り組んでも、海に入れないというのでは画竜点睛を欠きます。お台場海浜公園では、砂浜の整備によって都民が水辺に近づくことができる空間が創出され、年間百六十万人もの人々が訪れる国際観光都市東京の重要な拠点となりました。しかし、水質の現状から、安全に水遊びができる状況にはありません。
 東京湾では、慢性的な赤潮の発生によって、特に七月から九月にかけては酸素が不足し、貝類などが死滅するという事態も生じているわけでございます。
 また、都内の下水道の多くが合流式であるために、強い雨が降ると、お台場海浜公園あたりには、オイルボールが漂着することもあるわけでございます。
 対策としては、合流式下水道の改善を進めるとともに、平成十二年十二月に制定された環境確保条例で、屋形船などの小型船舶から排出されるし尿の適正処理の条項を設けて、関係団体と協力しながら、し尿の回収等の対策を進めているとのことでございます。
 このような状況下で、都は、お台場海浜公園の水質浄化実験に取り組むとのことでございますが、かつてのように、東京の砂浜で子どもたちが泳ぐという夢の実現に向けた第一歩として、大変にすばらしい試みであるというふうに思っております。
 お台場のような浜辺で浄化実験というのは、これまでに例がないことというふうに聞いております。しかも、その実験に当たっては、都庁内の関連する港湾、そして環境、下水道、三局と民間会社が共同して取り組むということで、都庁としても従来例のないことだというふうに聞いております。
 そこで伺いますけれども、本実験を関連三局と民間会社との共同で行うこととしたねらいは何か、明らかにしていただきたいと思います。

○鈴木下水道局長 共同実験のねらいについてでございますが、お話しのように、砂浜がある海域での水質浄化実験は例のないことでございまして、国内でも初めての取り組みでございます。
 今回の実験内容は、海域の一部をオイルフェンスで仕切りまして、処理した海水を導入し、水質浄化の効果や環境への影響を調査するとともに、実験期間中に水遊びを体験した子どもたちなど、多くの都民の声を聞くものでございます。
 このため、関係する三局が連携いたしまして、それぞれの局が持つ技術や経験などを総合的に活用するとともに、海水浄化の技術に関するノウハウを持つ民間会社とも共同いたしまして、より効率的かつスピーディーに実験を行うことといたしました。

○東野委員 ぜひ頑張ってもらいたいと思います。
 人工の砂浜が整備されたお台場海浜公園は、臨海副都心の顔でもあり、こうした環境を活用し、都民が水と触れ合える場とすることは、観光スポットとしての魅力を高める上で非常に重要だというふうに考えております。
 今回の取り組みに先立って、小規模な浄化実験を行い、紫外線による消毒や砂ろ過による海水の汚れの除去効果など、今回の実験海域に送水する水質としては十分なレベルにあるということを確認しているというふうにお伺いしております。
 しかし、海水浄化実験は、送水されます水質だけが課題ではないというふうに思っております。大量に浄化海水を放流することに伴い、安全性の問題、またさらには、魚介類への影響、こういったことにも考慮すべきではないのかな、このように思うんですが、いかがでしょうか。

○鈴木下水道局長 放流に当たりましては、水遊びをする子どもたちの安全確保や、海浜公園の砂の流出防止のため、放流管を埋設いたしまして、浄化した海水を緩やかにしみ出させるなどの工夫を行う予定でございます。
 また、魚介類への影響が少ない紫外線消毒を用いるとともに、送水する際に空気を吹き込みまして、放流水域の水中に含まれる酸素量を確保いたします。
 これらの工夫や取り組みの効果を実地で検証することとしております。

○東野委員 環境局長にもちょっとお聞きしたいんですけれども、この実験の水質浄化効果確認であります。
 都は、評価委員会を設置して行うとのことですけれども、どのように検討を行う予定なのか、また、この実験には多くの都民が関心を持つはずでございます。実験期間中であっても、調査結果等を随時都民に発信して、水質浄化の取り組みに対する理解を深めることも重要ではないかなというふうに、このように思っているわけです。所見をお伺いしたいと思います。

○小池環境局長 今回設置いたします評価委員会は、水質や生態系、海洋工学等の専門家で構成いたしまして、処理した海水の導入による水質改善効果や生物への影響等について評価検討を行うこととしております。
 また、実験の進捗状況や、得られました水質データ等につきましては、インターネットのホームページに随時掲載し、都民からの意見や提案も受けることができるようにするなど、多くの都民の理解を得ながら進めてまいります。

○東野委員 今後、さまざまな工夫を組み合わせながら事業の目的を達成することが重要だというふうに思います。水辺で遊び、イベントを楽しみ、そして国際色豊かな新しい町の雰囲気に浸ることができる、そんな臨海をつくり、ぜひとも東京の観光の新たなスポットとして首都再生をリードしていただきたいと、このように思います。
 続いて、水道の災害対策に関連して、水道局に質問いたします。
 石原知事は、平成十三年第三回定例会の所信表明において、水は、管轄を超えた相互融通がほとんどなく、近隣の自治体との間で送水管が整備できれば、災害などの非常時において、水への安心を格段に高めることができる、このように述べられております。全くそのとおりであるというふうに思います。そこで、その後の検討状況について、私としても非常に関心を持っているところであります。
 そこで、まず第一に重要なことは、この知事の所信表明を早期に実現することなんではないか、こう思うわけでございます。
 ことしは、関東大震災から数えて八十年目に入りました、あってはならないことですが、東京震災を想定して、東京が音頭を取って、各県との間で相互バックアップシステムの構築あるいはフェイルセーフ体制を整備するため、水道送水管の相互連結に乗り出すべきであります。所見を伺います。

○飯嶋水道局長 水道送水管の相互連結についてでございますが、水道事業は地方公共団体ごとに運営されていることから、送配水管のネットワークにつきましても、行政区域の境で分断されております。
 したがいまして、ご指摘のとおり、隣接する水道事業者間で送配水管を接続いたしまして、水道水を広域的に相互に融通する体制が構築できれば、災害などの非常時における水の確保、さらにはバックアップが困難な地域の相互補完が可能となるなど、より一層の安定給水が図られるものと考えております。
 しかしながら、こうした都県境を超えた広域的な水の相互融通につきましては、我が国では導入した例がございません。新しい仕組みが必要となります。
 そこで、水道局では、これまで隣接県との事業体相互の管路布設状況などを踏まえまして、接続可能な箇所の選定や事業の実施規模、さらには各種法制度や施工上の課題などについて幅広く検討してまいりました。
 現在、この検討結果をもとに、関係する水道事業者と実務レベルでの協議を進めているところでございます。

○東野委員 関係者間で協議中とのことですけれども、ぜひ実現すべきであります。
 日本は、その急峻な地形から、大陸に比べて、国土内に水を保持できる時間が短く、ダム等を造成しない限り雨水利用、河川水利用の効率性が低いといわれているわけです。一方で、時代はダムを否定する方向に向かっています。
 したがって、構造的な渇水要因を抱え込んでいる都市部において、相互補完体制、バックアップシステムが不可欠となってきます。また、バックアップシステムはどうしても県境が弱くなってくる、こういった事実もあるわけです。そしてそれは、特に災害時において顕著であるというふうにいえるわけであります。
 そこで、さらに強力な取り組みを行うため、各自治体の主要幹部で検討機関を設け、推進体制を強化すべき、このように思うわけですが、いかがでしょうか。

○飯嶋水道局長 これまでの実務レベルでの協議の中で、各事業体から災害時等における相互融通の仕組みづくりにつきましては、おおむね賛同が得られております。
 したがいまして、今後、ご指摘の点を踏まえまして、より高いレベルでの全体的な検討組織や地域ごとの分科会の設置など、必要に応じた体制の整備を進めまして、さらに一層協議を促進してまいります。

○東野委員 ぜひお願いいたします。
 この項の最後に、発災時に備えた広域的な水の相互融通の実現に向けた知事の決意をお伺いしたいと思います。

○石原知事 再三申し上げてきたことでございますけれども、日本はもう世界一の火山脈の上にありまして、東京自身も、先般も、私の友人が八王子の駅の前のビルの建て直しに、ボーリングしました。温泉が出ました。私の家の近くの二子玉川のスポーツクラブも地下水利用のためボーリングしました。温泉が出ました。大はやりしていますが、さようのように、非常に危険な地政学的条件ということでございますけれども、十分この東京でも直下型の大地震の発生が懸念されるわけで、さまざまな分野での広域的な対応が求められております。
 先般のあの阪神・淡路大震災でも、水道施設にも甚大な被害が出ました。神戸市では全戸が断水をいたしました。復旧にも非常に時間がかかったようでありますが、近隣自治体との間で広域な水の相互融通は災害時にできれば非常に有効でありまして、既成の概念にとらわれない取り組みが必要だと思います。これは、いわば新しいインフラの造成で費用の問題もいろいろございますけれども、災害ということを考えれば、一つの有効な対策ではないかと思っています。これを促進するために、昨年十一月に策定いたしました重要施策にも盛り込みました。
 水への安心を一層高めていくために、ご指摘の水の相互融通の早期の実現に向けて積極的に取り組みたいと思います。

○東野委員 続いて、中央環状道、大橋ジャンクションについてお伺いいたします。
 首都圏における環状道路網整備は、渋滞解消、また大気汚染対策、経済活力の再生などの観点から、必要不可欠な事業であります。いたずらに反対のための反対を繰り返すのは、それこそ逆立ちした論議であり、道理も何もありません。
 その意味で、外環環状道路建設に関するアンケート調査においても、関連する住民の人々は半数以上が賛成されているという結果も出ておりまして、示唆的であります。
 そうした認識の上で、都は、でき得る限り、関連する住民の皆さんの要望への対応や不安感の解消策、これに取り組むべき必要があると、このように考えるわけです。
 そこで、ここでは、中央環状新宿線になります大橋地区について質問をいたします。
 首都高速道路中央環状線の早期完成は、圏央道、外環道とも、首都圏の都市再生を図る上で喫緊の課題であり、都政の重要施策の一つであります。中央環状王子線が昨年の十二月に開通し、都心環状線の交通量の減少、大幅な所要時間の短縮にもなっていると、このように聞いております。
 次は、現在事業中の新宿線を整備し、環状道路としてのネットワークを一層充実することが重要であるわけであります。中でも、目黒区大橋地区に計画された大橋ジャンクション、これは東名高速道路と連絡する重要な施設であります。この大橋ジャンクションは、市街地の中に巨大なループ状の構造物をつくるものであり、地元関係者の理解と協力がなくては早期整備は不可能であります。
 そこで伺います。
 初めに、大橋ジャンクションの計画されている区域の面積は二・七ヘクタール、そして居住者及び地権者は、それぞれ三百五十名、そして百名いるというふうに聞いております。計画は進んでいますけれども、まだまだ多くの人々が生活しており、その方々の生活再建を図っていくことが何よりも大切である、このように私は思うわけであります。
 私は、これまで、平成八年、そして平成十二年にもこの問題で質問いたしましたが、大橋ジャンクションの整備に当たっては、隣接地域との一体的整備が不可欠である、このように主張してきたわけでございます。
 そこで、ジャンクション周辺の整備手法については、地元目黒区の要望をまず尊重すべきであるというふうに思いますが、都の見解はいかがでしょうか。

○小峰建設局長 目黒区は、大橋ジャンクションの整備につきまして、地域の住環境の保全と定住性の確保を図るため、周辺地区との一体的な整備と、都による市街地再開発事業の実施を要望しております。
 都としては、こうした区の意向を尊重し、まちづくりを進める必要があると考えております。

○東野委員 目黒区から、都施行による再開発の要請があったということでございますけれども、地元住民の方々からも、東京都による再開発を望む多くの声を私は聞いております。
 都は、住環境の保全や定住性の確保を図りつつ、大橋ジャンクション整備に全力を尽くすべきというふうに考えますが、所見を伺います。

○小峰建設局長 首都高中央環状線におきまして、大橋ジャンクションは極めて重要な施設でございます。
 都は、国や首都高速道路公団との協議を踏まえ、都施行による再開発事業の実施に向け、検討に着手いたしました。
 今後は、目黒区や公団等と連携し、住民の生活再建や環境保全に配慮した計画案を早期に策定するなど、事業の推進に努めてまいります。

○東野委員 重要なことは、関連する住民の皆さんの生活、定住の継続を、可能な限り保障できる手法で整備を進めることであるというふうに思います。
 住民への十分な配慮を求めて、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○森田副委員長 東野秀平君の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十五分休憩

ページ先頭に戻る