東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○山本委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第三十一号議案まで、及び第百四十一号議案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 矢部一委員の発言を許します。

○矢部委員 昨年の予算特別委員会に引き続きまして質問をさせていただくわけでございますけれども、昨年いろいろとお尋ねをさせていただきましたのは、渋谷に建設を予定されております大規模留置場のことでございました。
 改めて記録を読み返させていただきますと、お尋ねすべきことは大概お尋ねをさせていただいているわけでございまして、そうしたことを含めて、話し合いの場も持たれて進んできました。なおかつ、その間にいろいろと、立川の留置場が大規模に改築をされたりというようなこともありましたし、いろいろご協力をいただいて、それぞれの地域にできてきているのも現実であります。そういう中で、知事特有といいますか、石原知事の攻め方なのかもしれませんが、そういう意味では、百人規模の留置場がどこの警察署にできても、そんなに反対というか騒ぎにならず、すっとできるようになってきたのではないかというふうに思っておるところでございます。
 それで、治安が悪いからというか、昨年の知事の会議録を読み返していきますと、東京における治安の悪化、憂えている治安の悪化を踏まえて、留置場、特に大変大規模な留置場を発案したというふうに述べられておりますが、そういう認識で--そういう認識というのではないのですが、そういうことから端を発していることは私も理解をしておりますけれども、それで数まで決められているのか、どういう経過でそういう数が出されてきたのかということなんです。
 それと同時に、知事がいろいろと発言をされている場もあるというふうに思っておりますが、地域での会、そして、今、当事者というか、交渉の窓口になっているのは財務局ですが、財務局が中心になって地元なりとの話し合いが進められておりますけれども、そういう中で、昨年の予特でのやりとり、あるいは昨年の第三回定例会におきます質問、こうしたことを踏まえて、もう大方それぞれの考え方というのは固まってきて、もう最終局面ではないかと私は思っておりましたが、昨年十二月四日に開かれました第六回の話し合いの席上出されてきた数字が、どうも最終的には庁議というんでしょうか、御前会議というんでしょうか、そこでいろいろと数字についてのやりとりがあって提案というか、出されてきたというふうにお聞きいたしております。
 そうしたことをすべて含めて考えますと、どうも知事のお考えがすべてに左右しているというふうに思えるわけです。それで、その辺をもう一度お聞かせいただきたいと思っております。

○石原知事 私は、治安も含めて東京の行政の最高責任者ですから、いろんな情報を各部局から聴取して最終的な判断をする責任があります。あの留置場に構えられるべき数についても、警視庁を含めて周囲から、今日の犯罪の状況、それから今後の展望、しかも東京の治安に対する国の認識の欠落に近い、こちらから見れば物足りなさ、その他この他をしんしゃくしてあの数字を持ち出したわけですけれども、決して私の独断であり得るわけありません。
 ただ、たまたま、おとといですか、警視総監もご一緒でしたが、東京の入国管理事務所の新庁舎の落成、これはすばらしい立派なものでありますけれども、今後、入国管理という業務に国がどういう姿勢で臨むかはまだ未知でありますが、今の状況においてもなお足りないものは足りない、足りないがゆえに、犯罪要因ともなり得る不法入国あるいは不法滞在がばっこしているということで、あれだけのものをあそこにつくったわけでありまして、私は留置場も同じことだと思います。しかも、留置場は拘置所とか刑務所と違いまして、例えば繁華街によくある酔っぱらいであるとか、けんかであるとか、そういった人たちをも収容するわけでありますから、幾ら立派な留置場を、閑散とした、人の住んでいないところへつくっても、これはしようがないわけでありまして、そういう点では、あの場所は、周囲の方々はいろんな思惑はあるでしょうけれども、そういう点では必要なものだという判断をいたしました。
 完成予想図もまだできておりませんが、前にもちょっとお見せしました、マンハッタンにある、あれは拘置所ですけれども、あれ一つ見ても、でき上がってしまったら、それが何があるかということは周囲の人にはわからない。まして、一階に立派な、はやっている中国レストランがあったりしますと、印象は建設の前とは全然違ったものになるわけでありまして、今度の場合にも、網走監獄を、同じものをあそこへ、黒塀をめぐらせて持ってくるわけじゃありませんで、そういう点ではひとつ想像力を働かせていただき、東京の治安の現況等を勘案してご理解いただきたい。ぜひその間の労を委員にとっていただきたいと思います。

○矢部委員 昨年のときにマンハッタンの拘置所の写真が出てきましたけれども、それは、マンハッタンという町というかビルが立ち並んでいる状況の中の一つのビルが変わるのと、原宿の町というのは、明治神宮の表参道を控えてという立地のところでございますから、少し町並みが違うかと基本的には思っているんですね。ですから、あれと同じものをという町並みではないということではないかと思うんです。
 町からすれば、今突然に原宿というわけではありませんで、戦後いろんなことがある中で、四十年かかって、かつてあったワシントンハイツが引っ越しをしたりというようなことも含めて、いろんな歴史の経過の中で、表参道という参道を中心に、電信柱もない町並みがあってという、この財産をみんなで守り、また、そのケヤキを、これは東京都の木ですけれども、維持するケヤキ基金までこしらえて、地域がその木を守り、いろいろな手や気持ちや思い入れが加わってできてきた町だと思うんです。
 そこに一つぽっとできるといいながら、なかなかその大きさというか、想像だにできない規模でございますから、それは今まで警視庁が考えている最大規模なものが、今、百人規模ですし、今回新たにできた立川が百四、これが最大規模ということですから、そういうことからしても想像がしにくいというか、まるっきり未知だということが余計この問題をややこしくしているんではないかと思うんです。
 ですから、それは大丈夫だ、大丈夫だというお気持ちはわからぬではないんですが、そういうことだけでは、あの町を皆さんがつくってきたという気持ちとすっと一致できるものではないということなんです。
 原宿についても、知事はいろんなところで、上原宿を歩いていただいたりしているようですし、マンハッタンとは全然違う町だということについてはご理解もいただいているんだろうと思うんです。なおかつ、社会事業大学の跡地というところが、そこそこの面積があるという中では、物理的には可能ですけれども、それが必ずしも町とマッチをするものかという観点に立ったときには、なかなかそう簡単にはいかないと私は思うんですが、いかがですか。

○石原知事 広大な用地でありまして、しかも表の通りからもかなり隔てられているところに建つわけでありまして、外見ということからしても、私は決してそんな目ざわりな、ミスマッチングなものになるとは思いません。ただ、やっぱり、矢部さんは矢部さんで、あそこの住民としてあの町を育ててきた、守ってきたという自負なり誇りもおありでしょうが、お互い我々政治家として守らなくちゃいけないのは、原宿だけじゃなしに、もっと大きな、東京であり、国家でありまして、そのために、治安がこれだけ乱れてきて、しかも、その要因の一つは、軽犯罪の段階で収容し、とにかく留置することで懲らしめにもなる、そういう手だてを講じることができない。一方、国家は、つくるべき刑務所を、拘置所をつくっていなくて、代用監獄として留置場が使われている実態でありまして、それは国家のために東京がある犠牲を強いられることもあるでしょうが、しかし、そういう状況、何といっても首都でありますから、私たちは原宿をかなめに東京を守り、国家社会を守らなくちゃいけないと思います。
 そういう点で、あるいは今の段階では雲をつかむような話で、イメージもわいてきませんでしょうが、しかし、これが講じられれば、確実に東京の治安の維持のためにプラスになる。マイナスになることは絶対にないという、そういう絶対必要な要件であるということもご理解いただきたいと思います。

○矢部委員 ですから、大規模というのが幾つかというところがありますけれども、今お考えいただいているようなものではなくて、原宿にも応分のものはつくらなければいけないという認識はあるんです。あるにしても、今まで警視庁の経験の中では百人しかないわけですから、それより大規模なものをつくるということについては、それこそ未知だと思うんです。その未知なものに対しての、できてしまって、後でそれは取り返すことはできませんから、そのことに対しての説明というか、それぞれの考えを闘わす場があってもいいと私は思っておりますし、それがなされていないというふうに思うんです。
 何も留置場の総数で不足をしているからということで、つくっちゃいけないといっているわけではありません。総数でつくっていくことについては、まだまだというか、今の計画の中でも、警視庁がお考えになっていることの中でも相当数できるわけですから、それで結果としては足りてくるだろうという部分と、それから、いろいろ調べていきましてわかってきますことは、留置場の使われ方という中で、留置日数ということが大変もう一面問題です。
 あくまでこれは延べの日数ですから、延べの日数で不足をするといわれておりますけれども、これは去年の三回定例会のときにも申し上げましたが、不法滞在外国人が一番多かったのは、平成四年がピークでした。そのときは、外国人が一日平均留置されている日数は、これは警視庁でいただいた資料ですけれども、十七・八日、日本人が十九・五日でした。これが目覚ましくふえていきますのは平成八年ごろからですけれども、平成八年には、外国人が平均留置日数三十一日、日本人が二十三・四。これが、十三年が外国人はピークですけれども五十九・二日、日本人は三十・八日。平成十四年は五十七・九日の三十二・二日と、この日にちがどんどん延びていっているという現実もあります。
 それは言葉の障害やいろいろなことがあって困難なことがあるのかもしれませんが、ここを詰めるということも必要だろうというふうに思っていますし、今、知事のお話にもありますように、留置場を幾ら整備をしてこれで解決をすることでもなく、拘置所もあわせてつくらなければならないし、刑務所もつくらなければならない。刑務所については昨今誘致合戦があるくらいで、どんどんこれからふえていく方向になっていると思うんですが、拘置所はどうやっても、今の東京拘置所の考えは、あれよりふやす考えはないようですから、そこの考えを改めない限りなかなか改善はしていかないだろうと思うんです。第二拘置所というようなものをつくるというならば、これも一つだろうと思うんです。
 そうしたことについて、国ができないから都でやるというのならば、それはまたこれ警察署とは別の話ですから、そういう位置づけで拘置所を誘致をするなり、土地を提供するなりというようなことを含めて考えていくという手はなくはないんだろうと思うんです。これができますと、今でさえ二二%は本来拘置所に行くべき人だというのが警視庁の見解でございますから、そうしたこととあわせていけば相当改善が見込めると。これをトータルでやっていかない限り、一カ所だけ大きくしても、ドミノ倒しのようなことになっているわけですから、これですべて解決ということには私はならぬと思うんですが、知事、いかがでございますか。

○石川警視総監 現在、留置が過密な状況にありまして、今、委員ご指摘のとおり、拘置所に移管すべき被留置者というものをたくさん抱えておるわけでございますけれども、ただ、一方で、在監期間が長くなっているというのは、一つは外国人の問題でございます。これもご指摘のとおりであります。身元の確認に時間がかかったり、それから非常に共犯が多いので、共犯関係の整理をして調べをする、あるいは余罪が多いので余罪の取り調べをするということになると、どうしても在監日数というものが長くなるというようなことがあるわけであります。
 したがいまして、確かに拘置所をたくさんつくっていただいて、そこへ早期移管をするということにつきましては、私どももそういう希望を持っておりますし、法務省ともそういう協議なり申し入れを行っているところでございます。なかなか、実際問題として、都心部に拘置所が新たに大規模にできるといったような情勢にないというならば、やはり犯罪を捜査をして、検挙をして、都民の安全を確保するためには、私どもは、留置場の整備は計画的に、必要な量を確保させていただきたいというふうに考えているところであります。

○矢部委員 今のお話は、留置場が拘置所を補完するという部分が相当あるということですね。

○石川警視総監 ある部分でそういう部分はあると思います。ただ、起訴後であっても、あるいは検察側が身柄を持っておる状況下であっても、私どもとして独自に、さらにその被疑者に対して捜査をする必要があるという場合がある、それは私どもの留置の必要性として考えているということでございます。

○矢部委員 治安状況の総監の報告や、ことしの知事の施政方針の中にも治安に対してのことが取り上げられておりますし、また、現実的に、我が会派の代表質問でも山崎幹事長からお尋ねもさせていただいておりますし、組織犯罪というような方向になってきて、また、組織犯罪の対策本部というようなものがつくられてきて、なおかつ、ことしは、どこの警察署の署長さんのお話をお聞きしましても、これは警視庁で徹底しているんだと思うんですけれども、最近の犯罪の状況はいかんとも許しがたい、したがって、平成四年当時、十年くらい前の犯罪水準に三年かけて戻すんだというような決意を述べられているんですね。
 大変心強く思うのと同時に、その当時の東京というのは大変治安もよかったといわれる時代ですから、そこを目指そうとされる考えは、私は正しいと思っているんですが、警視庁全体が徹底してそういうお考えに今なっていると思うんですけれども、改めて総監はどういうふうに指示をされているんでしょうか。

○石川警視総監 都内の昨年の犯罪情勢につきましては、治安概況報告で申し上げたとおりであります。
 特に私ども、大変重要だなと思っておりますのは、都民の身近で、だれでもが被害に遭うような形での犯罪が多発していると。特に、街頭におけるひったくりでありますとか、路上強盗でありますとか、あるいは性犯罪でありますとか、そういうようなもの、それから、いわゆる空き巣とか押し込み強盗といったような侵入強盗、こういったようなものが大変体感的に、治安が悪化しているなということを肌で都民の皆さんが不安を感じている、こういう要因になっていると思っております。したがいまして、現在、警視庁全体で街頭・侵入犯罪抑止総合対策というのに取り組んでいるわけでございます。
 特に重要だと思っておりますのは、その中で三点ございまして、一つは少年非行対策、もう一つは来日外国人犯罪対策、もう一つが暴力団対策、この三点であります。路上犯罪の中で特にひったくりは、検挙をしてみますと、その六割が少年でございます。そういう意味で、やはりこの根っこのところで少年非行の防止でありますとか少年の健全育成というものに私ども組織を挙げて取り組んでいく必要がある、こういう考え方をいたしておりまして、暴走族等の非行集団に対する検挙、解体等について今具体的に取り組んでいる、こういう状況でございます。
 また、先ほどもちょっとお話ございましたが、最近、不法滞在の中国人を初めとする不良来日外国人が、ピッキングあるいはサムターン回しといったような侵入手段によりまして凶悪な侵入強盗等を繰り返しておるわけでありまして、やはりこれはきちっと検挙をしていく必要がある。
 また、昨今の暴力団情勢を見ますと、こういう一部不良来日外国人と暴力団が結託をする動きがございます。また、暴力団につきましては、白昼、けん銃を市民にも被害が及ぶような状況のもとで発射をするといったようなことを繰り返しておるわけでございまして、やはり何とかして暴力団の対策というものも強化をしなければならない。この三本柱で今やっておるわけでございます。
 もう一つ私どもが考えておりますのは、こういう状況になりますと、警察だけ取り組んでもなかなか全体の犯罪の抑止というものはきいてこない。本会議でも申し上げましたように、やはり都民一人一人が、自分の身は自分で守るという意味での意識と自衛的な手段を講じていただく必要がございますし、また、私ども関係行政機関あるいはボランティアの団体の方々、こういう方々と協力して、総体としてこれに取り組んでいかなきゃならないというふうに思っておるわけでございます。
 そして、ひったくり、路上強盗、侵入窃盗といったようなものを重点対象といたしまして、三年間で十年前の水準。どのぐらいの水準かといいますと、今、今申しましたような犯罪は、あらあらで申し上げまして十年前の二倍になっているという状況でございまして、これを何とか十年前の水準に回復をしたいということで、防犯、検挙の両面から全庁的に取り組んでいるところでございます。

○矢部委員 大変しっかりと取り組みをしていただいているのはありがたいというふうに思いますし、また、なおかつ、昨年でしたか、デリバリーバンを検挙して不法入国の外国人を一網打尽にしたというようなニュースがありました。こういう報道があると、ほっとする半面、やっぱりお巡りさんは頼もしいなと、こう思うわけでして、そういう世論ができてこないと、日本はやっぱり根本的に治安のいい国だ、とても犯罪なんか起こしにくい国だというイメージをつくっていくことが大変大事だと思うんです。
 なおかつ、これらのことについては、警視庁のホームページも昨年からことしにかけて目覚ましく充実をしまして、また、各警察署ごとにもホームページをつくってPRしているところもあって、これはすごい勢いだと思って、私は、情報公開という意味では大変驚いております。
 もう一面、英語のページもあるようですが、私は、こういう特定の地域というふうにいってはいけないのかもしれませんが、中国語だ、韓国語あるいはスペイン語でしょうか、こういう形で検挙したりしたものをもっとPRというか、ホームページでアピールをするべきではないかというような感じもしているんですが、全体として積極的に、組織的に行われる外国人犯罪に対して、水際のことも含めされている努力を多としながら、その辺のこれからの取り組みをお聞かせいただければと思うんですが。

○石川警視総監 都内における昨年の来日外国人の犯罪でございますけれども、これは、申し上げましたように、検挙人員が五千七百五十五人でございまして、このうち不法残留者あるいは不法入国者、これを両方合わせて不法滞在者と申しますと、不法滞在者が占める割合が六四%ということになっておるわけでございます。したがいまして、この不法滞在者対策というものが大変重要になってきている。特に犯罪抑止の面から見た場合に、捜査もそうでございますけれども、不法滞在者対策をどうするかということが大変な課題でございます。
 警視庁といたしましては、東京入国管理局、東京税関あるいは海上保安庁といったような関係機関と連携をとりまして、不法滞在者の合同摘発あるいは集団密航等の不法入国事案の取り締まりというものに強力に取り組んでまいりました。昨年の十二月二十六日に、東京税関からの通報がございまして、今ご指摘の五十数人の中国人及び日本人を密航事件として検挙をしたわけでございます。
 ただ、最近はこういう集団密航という形態は検挙のリスクが高いということで、むしろそういうリスクを避けて、偽造旅券や偽装結婚等の方法によって不法入国をしてきているというケースがふえてきております。また、先ほども申しましたが、不法滞在者は国内で犯罪組織を形成する傾向がございまして、国内の暴力団と結託をして、広域に巧妙な各種の犯罪を繰り返しているという状況がございます。
 先ほど都知事の答弁にもございましたけれども、東京入国管理局の新庁舎が落成をして、私も参りましたが、収容人員を大変大幅にアップをした施設が落成をいたしました。東京入管の局長ともお話をいたしまして、これから徹底した不法滞在の外国人対策の推進を協力してしていこうということでお話をしたところであります。
 ちょうど警視庁は、今定例会でもお願いをしております組織犯罪対策部を立ち上げることができましたならば、それを契機に、今後も引き続きこうした関係機関と一層連携を図りながら、共同捜査、合同摘発あるいは水際検挙ということで徹底した取り締まりを推進していきたいというふうに考えているところでございます。

○矢部委員 さらにそれは続けていただくと同時に、大いにPRをしていただいて、治安がいいということを強調していただきたいというふうに思うところですし、東京というのは、そういう町じゃなきゃ私はいけないと基本的に思っているんです。だから、留置場をやたらつくらなくちゃいけない町だというイメージは、極めてよくないと私は思っているんですね。それぞれに、また捜査の性格上のこともありますから、地域ごとに、あるいは方面ごとにというふうなことでお尋ねもしてまいりましたが、そういう形でつくっていく方が、より理想的だと思っております。
 原宿警察署の管内でも、それこそ不法外国人だというふうに思うんですが、露天のいろんな販売をしておりましたが、これを地域と連携して、一掃作戦で、一店舗もなくなりました。それは、そうした連携があって、これは警視庁の協力あったんでしょうけれども、やる気になって取り組みをすればできるということですから、東京じゅうがそういう気になって、みんなで目を光らせていくということは大変大事なことだと思うんです。私は、東京というのは治安のいい町だというのをもう一度取り戻さなければ、ただでさえ世情が暗い中に、また暗い話ばかりされているのでは、もうたまらないという気がしてならぬというふうに思っているわけでして、ぜひ積極的にお力添えをお願い申し上げたいと思うんです。
 それで、原宿の件については話し合いをしているんですけれども、現場で一番当たっている財務局が一番わかっているわけですから、ある程度は財務局にゆだねて、知事の気持ちは体して臨んでいるわけでしょうから、幅を持たせて交渉ができないと、全部御前会議にお伺いしなきゃ先へ進めないというようなイメージになったのでは、遺憾だと私は思っているんです。地域も知事のお考えは理解をしているわけですし、そういう中で、最終的には数の問題なのかもしれませんし、地域事情を踏まえて、そしてまた、この町を理解をいただくようなことの中で、おのずと結論は出てくるんだろうと私は思っています。
 先ほどちょっとありましたけれども、あそこは路線商業というところですから、明治通りから二十メートルだけが商業で、その範囲にしか結局は建てることができないという立地でございますから、そういう中での限界もあります。しかし、それを何とかしていこうというのが知恵ですから、話し合いが積極的に持たれるようにしていただきたいと思うんですが、知事、いかがですか。

○石原知事 もう既に六回会合をしているわけでありまして、これ、この倍の回数を重ねるような問題じゃなくて、やっぱりもっと本質的なことで住民の方にも理解いただきたいし、その労をぜひ矢部委員にもとっていただきたいと思うんですね。
 つい最近、あなたも例で挙げられましたけれども、東京湾に集団で密入国してきて、晴海に船をつけて、それでバスで送迎されて、それを見ていた税関からの通報で何となく間に合って、銀座のど真ん中で捕まえたわけですよ。これはまあちょっと論外なケースでありまして、しかしそれが実際に起こるというこの実態を、やっぱり原宿の方々も都民の一人なんですから、考えていただきたい。
 それから、これは総監の口からはいいにくいでしょうけれども、基本的には警察官の数が絶対数で足りないわけだし、留置場も足りないということになると、外国人を捕まえてきますと大変厄介なんです。通訳するだけで、えらい金がかかりましてね。しかも、留置してライスカレーを出したら、豚は食わないとか、インド人は要するに牛肉を食べられない、大変なんですよ。物すごい経費もかかるということで、外国人の軽犯罪というか、微罪は、やや見て見ぬふりをする傾向がある。これがだんだん累積していくと、要するに、中国の組織犯罪者が日本は小児科だと、たかをくくっていわれるみたいな認識で、どんどん切りなく犯罪が倍増していく。
 ニューヨークが何で治安がよくなったかということを調べました。治安関係の参与にジュリアーニにも会ってもらって、いろいろ情報をとりましたが、これは何といってもIT化をしたことで警察官の時間ができて、その時間ができた警察官を街頭に出して、今まで民事不介入という形で手を染めなかった軽犯罪にまで警察官が手を染めて注意をする、あるいは検束する。そういうことで、つまり微罪の段階で犯罪の芽を摘んでいったということが大きな原因だということをいっていましたけれども、むべなるかなという気がいたします。
 ゆえにも、これだけ不法入国、不法滞在の外国人が集結している東京で、今までなかった形の犯罪がばっこしてきたときに、これはやっぱりこの段階で食いとめなければ、私はえらいことになると思います。
 先年、ダボス会議に行ったときに、私の旧知の国松君に会いました。彼はスイスの大使でいました。彼は警察庁の長官をしているときに、ある会合で私が二、三質問をして、その次の日に彼は撃たれた。しかも、その犯人はいまだに挙がらない。日本の警察庁の長官、警察の親玉が撃たれて、まだその犯人が捕まらない国というのは、これは相当たがが緩んできていると思いますよ。これは警察の責任だけじゃないです。やっぱり国民全体が、自分が何ができるかということを考えていただかないと。
 ゆえにも、あそこにかなり大きな新庁舎が建つ。警察庁舎が建つ。そこにこの規模の要するに留置場を構えて、不要になったらほかの目的に使ったらいいじゃないですか。今まで例がないといったって、例がない事件が現実に起こっているわけですから、犯罪に関して。それを防ぐために、今まで例のなかった留置場の設置も私は不可欠だと思います。
 ということを、ぜひ原宿の皆さんにも、都民の一人として、国民の一人としてご理解いただきたいということを、ひとつまた矢部さんから篤とお伝えいただきたいと思います。

○矢部委員 その知事のお考えは、一つは正しい。ただ、それがすべて原宿で負わなきゃいけないものかどうかというところが、正しくないと思うんですよ。だから、そこについては、大いにこれから議論をさせていただきたいと思うんです。それこそ、微罪のうちに何とかしなくちゃいけないということ、あるいは、それこそニューヨークの破れ窓の論理、早くに摘まなきゃいけない、私もそれは同感です。そういう目でみんなが臨んでいけばできるということが、原宿の警察署の管内で一つは証明されているわけですし、そういうことを全署、百一の警察署の中でしていけば、みんなよくなるわけですから、それはもう知事おっしゃるように、一に警視庁の責任ということではなく、みんなで力を合わせてよくしていこうと思わない限り解決しないと思うんです。
 ただ、犯罪もとんでもないことが起きるわけで、重機で根こそぎ持っていっちゃうというようなことからすると、そうはいいながらも、民間でできることの限界もありそうだなというふうに思いますし、もう少し仕組みから、制度から、徹底して国との関係で改善をしなきゃ解決をしないことがいっぱいあると私は思っているんです。
 だから、原宿も応分に、それは当然のごとく担わなきゃいけないと皆さんも思っているんですよ。だけれども、そういう中で、原宿というものを理解をしていただいた中での結論が当然のごとくあるだろうということでありますから、私の方からも、まげて知事にはご理解をいただきたいということをお願いしておきたいと思うんです。
 時間がなくなってきましたが、もう一つ別に、この治安と同時に防災ということでいきますと、東京は直下型の地震がいつ来てもおかしくないという地域でありますし、ここ最近、新聞の記事等々について、地震のことや、またテレビの番組なんかでも、地震にかかわることが大変出てきております。今までは、東京というと、それこそ東海の駿河湾トラフを震源とする関東大震災という想定ですべて動いていましたが、これはもう当分ありそうもないという今、現実であります。
 したがって、いろいろな活断層を含めての直下型地震ということが想定される東京の町でございますけれども、いろいろとそれに対する想定というか、あるいは阪神・淡路大震災というものがありまして、私も二月の初めに行ってまいりまして、びっくりしましたのは、向こうへ行って何人の議員に会いましたでしょうか、二十人ぐらいの議員に向こうで会いまして、みんなそれぞれに、正式ルートということではなく、この目で確かめようという気持ちで赴いておりましたから、これは頼もしいなと思っていたところでもあるんです。
 そういう中で、八年たってきますと、その直後からすると大分薄れてきたというふうに思っておりますけれども、最近、地震関連の記事が何か目立って多くなったと思いますが、総務局長、どういうふうに認識をされていますか。

○赤星総務局長 お答えいたします。
 近年、国におきまして、大地震の発生に対する防災体制の見直しや地震対策の充実強化に向けた取り組みが活発化してきております。
 中央防災会議は、東海地震の想定震源域の見直しを行いますとともに、今世紀前半の発生も懸念されております東南海・南海地震に関する専門調査会を設置し、この地震による被害想定や防災対策のあり方について検討を行っております。そうした動きに呼応して、地震関連の報道が目立つのではないかと思われます。

○矢部委員 東京だけで単独で地震に対しての対応というのはできるものではありませんから、それぞれの機関とビッグレスキューという形で取り組みをしている東京都の考えというのは、私は正しいと思っているんです。
 そういう中で、最近、これは代表質問か何かにもあったと思うんですけれども、図上訓練をされたやにお聞きをしております。これはシミュレーションは何回やっても足りたということではないでしょうし、そういう中でどんどんいろいろなことがわかってくるんであろうと思うんですが、図上訓練の第一回目が行われたようです。その結果、わかったこと、それから、またさらにするべきこと、あるいは、これからの方向というんでしょうか、それを現実にどうやって生かそうとされているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○赤星総務局長 大規模な図上訓練は、今回で実は二回目になるわけでございますけれども、去る一月十五日の二回目の訓練では、大地震に備えまして、七都県市、国が連携いたしまして、救出、救助、医療救護などの応急対策に初めて取り組んだことが大きな成果ではないかと思います。このときには、七都県市だけではなくて国が連携したと、これはやっぱり初めての経験でございます。また、警察、消防、自衛隊の連携した力は大きな効果を発揮することを再認識いたしました。
 一方、広域的な通信施設の拡充が急がれること、膨大な情報の中から緊急度の高い事項の選別判断が必ずしも十分でないこと、重要情報が一部共有化されていないことなどの課題は残されました。今後、このような訓練を積み重ねることの必要性を改めて認識いたしましたが、積み重ねて、私どもの防災能力の向上に努めてまいりたいと考えております。

○矢部委員 実際に神戸へ行きまして、いろいろ感じました。また、仲間も建築の仲間が多いものですから、危険度判定員としてボランティアで行っておりました。現実、もう直後に行ったものですから、どうしたのかなと聞きましたらば、ともかく泊まるところがないと。結果は、船に泊まっていた。船は余震が来ても揺れを感じないので、大変快適に動けたというようなことをいっておりましたが、そういう近隣からの協力がなければ、一朝有事のときにはなかなか大変なことだろうというふうに思っていますし、また、その結果、消防のホースの接続が全部自由になるようになってきたり、また、水道の部品の共通化がされたりというようなことが出てきましたが、それと同時に、東京においては、耐震補強等々のことについては大変進んできているというふうに思っていますし、飲み水もそこそこ確保はされているんだろうと思うんです。
 そういう中で、これは想定はしにくいんでしょうけれども、例えばこの三月に地震が来たというようなことを思ったときに、万全といい切っていただければ、こんなにうれしいことはありませんが、いかがでございましょうか。

○赤星総務局長 三月に大地震が起きたらというのは、想定は非常に難しいことでございますけれども、東京都は防災対策の一層の推進を図るために、東京に直下地震が--一番これは差し迫っているだろうと思いますが、直下地震が発生した場合の被害想定調査を平成九年八月に公表しております。この被害想定では、冬の平日午後六時ごろ、区部直下でマグニチュード七・二の地震が発生した場合という条件がついておりますが、最大で震度六強の揺れとなりまして、建物の全半壊が約十四万三千棟、火災による焼失面積九十六平方キロメートル、死者七千百五十九人、負傷者十五万八千三十二人と想定しております。
 私ども、万が一にも大きな地震が起きた場合には、都は直ちに知事を本部長といたします災害対策本部を設置いたします。また、職員は、あらかじめ定められた場所に自発的に緊急参集することになっております。災害対策本部におきましては、被害情報を収集いたしますとともに、区市町村、警察、消防などの防災機関と連携協力して、被害を最小限に食いとめるため、救出、救助、医療救護等の応急対策に全力を挙げて取り組みます。
 さらに、被害が広範囲に及び、都の防災機関のみでは対応が困難と判断した場合には、速やかに自衛隊に災害派遣要請をいたしますとともに、国や他府県などの応援を求めていくことになっております。

○矢部委員 それと同時に、これ、大変私はびっくりしたんですが、病院がどこも機能するまでに一日は、まずともかく倒れたロッカーや何かの片づけに一日かかってしまって、実際に稼働できたのは二日目だったということをいっているんです。阪神・淡路の教訓があるから、東京は大丈夫かと思って見ているんですが、どこの病院へ行っても余りロッカー等々の棚が倒れないようにされているような様子は見受けられないんですが、健康局長、いかがですか。

○長尾健康局長 先生ご指摘のとおり、医療機関におきましては、病院内の安全性というものは大変大きな課題でございます。ただ、ご指摘のとおり、まだ乱雑な部分がないとも申し上げられませんので、私どもといたしましては、病院が自己点検を行うためのチェックリストを作成しておりまして、毎年多くの病院関係者を集める防災訓練説明会におきまして、病院内部の転倒防止対策等、安全対策に万全を期するよう周知徹底は図っております。

○矢部委員 もう時間になりましたから、これで終わらせていただきますけれども、やはり忘れたころにやってくるというのが地震のようですから、忘れないように啓蒙活動を積極的に続けていただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

○山本委員長 矢部一委員の発言は終わりました。

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