東京都議会予算特別委員会速記録第二号

○山本委員長 大河原雅子委員の発言を許します。

○大河原委員 都議会生活者ネットワークを代表いたしまして、質問をさせていただきます。
 東京の将来像を展望するとき、長期構想や長期計画の検証というのは大変大きな議論の材料になると思います。
 そこで、初めに、東京都の長期計画に関連して伺います。
 まず、知事に伺います。
 知事は就任以来、危機突破戦略プラン、東京構想二〇〇〇を策定し、昨年十一月には重要施策を策定されました。それらを踏まえまして、これまでの取り組みの評価、そして到達点をどのようにお考えか、伺わせていただきます。

○石原知事 東京のこれからの都市としてあるべき姿ですけれども、ここまで肥大化し、混乱してしまうと、これはちょっと五年や十年ですっきりした形になるものでもない。ただ、別な視点で見ましたら、東京というのはいろいろ特性のある箇所がありまして、それはそれなりに多岐にわたる個性をあわせ備えたまちだと思います。
 ということならば、かなり性格の違うまちから性格の違うゾーンなりまちへ、都民なり東京への来訪者が移動し、東京をそれぞれのディメンションで満喫するということも必要だと思いますから、私はやっぱりこの東京の中での、三多摩を含めて、移動というものがもうちょっとスムーズにいくということで、このまちは成熟してくると思いますので、それをみんなと一緒に念願し、実現したいと思っております。

○大河原委員 今、知事がおっしゃったように、東京は大変変化の激しいまちだと思います。現代社会の状況というのは目まぐるしく、また、かつ激しく変化しているわけですけれども、こうした中にあっては、従来型の構想や計画のスタイルでは十分に対応できない、そのように考えます。この点についてはどのようにお考えでしょうか、知事本部長にお願いします。

○前川知事本部長 今、お話もありましたが、現代は、従来の高度成長期あるいは安定成長期とは異なりまして、いろいろな意味で日本の社会システム全体が行き詰まっているといいますか、さまざまな危機を生み出しているわけであります。
 そこで、こういう時代、我々、行政を進める場合に、従来のような抽象的な都市のありようを示すビジョンをつくったり、あるいは網羅的、総花的な事業メニューを示す計画、こういうものをつくりましても、直面している危機の本質に迫ってその解決を図ることは困難である。従来の手法ではなくて、我々が直面する危機を克服し、都政の重要課題を解決していくためには、我々自身に内在する、あるいは東京に内在する、いわば制度疲労ともいうべき問題点を抽出して、これを改革していく必要があると考えております。
 こうした認識に基づきまして、都政の構造改革を推進するための戦略指針として、昨年、重要施策を策定した次第でございます。

○大河原委員 東京構想二〇〇〇は、構想の対象期間というのが平成二十七年までの十五年間です。推進プランの部分は、平成十五年、つまり今年度が最終年度ということになりますけれども、こうした計画については、当然、見直し、ローリングが必要になってきます。しかし、ここでこのことを知事に伺うのは、知事の進退を伺うことと同意義でございますので、これは最終日の方にゆだねたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、従来型のスタイルの変革が必要だといっても、どなたが知事になられても、長期計画の改定というのは不可避ですから、どういう尺度で見直しを準備していくのか、こういうことが重要だろうと思います。
 私たち生活者ネットワークは、代表質問でも提案いたしましたが、右肩上がりの経済が終わり、そして、少子高齢社会の本格的な到来の中で、今後の自治体財政における将来にわたる世代間の公平、これこそが重要なことであり、そのポイントは今後の公共投資ということになると思います。私たちはこの観点に立ちまして、厳しい精査が必要であることから、予定貸借対照表の提案もしてまいりました。
 都は、平成十年度に都が管理する社会資本維持更新需要額の将来推計を出されておりますが、事務局としては、どなたが知事であろうと、計画策定のための評価手段を準備していくこと、このことが重要だと思います。
 長期計画や構想を検証する場合、重要なポイント、これが私たちは人口だというふうに思いますけれども、構想では本格的人口減少時代が到来するとしております。策定から二年を経ておりますけれども、この認識に変化はないんでしょうか。この点をお答えください。

○前川知事本部長 これは当然でありますが、長期的に見て、東京に人口が減少する時代が来るというのは、これは認識は変わっておりません。しかしながら、近年、区部を中心として人口回帰現象がより鮮明にあらわれ、また、市部におきましても人口増加が続いているわけであります。直近の推計によりますと、東京都の人口がピークに達する時期は、お話しの東京構想二〇〇〇で想定した二〇一〇年ごろよりも数年おくれまして、さらに、その時点での人口自体も多くなるというふうに予測をされております。

○大河原委員 推定のピークは多少後になるということですけれども、東京も必ず高齢化社会になり、人口も減るという中では、どういう方たちがこの人口を支えているのか、構成しているのか、そういうところに問題点があろうかと思います。そして、私は、今、東京都が進めている都市構想、これが東京構想二〇〇〇、この構想の矛盾の象徴ではないか、そのように思っているんです。
 千客万来の世界都市東京を目指して都が進めている都市再生というのは、都心への多様な機能の集積、集中、このことによる環境悪化を、環状道路の整備と都心の高度利用で打開しようとしています。
 東京二十三区で供給された床面積一万坪以上の大規模ビルの床面積の合計というのは、二〇〇一年で約九万坪、二〇〇二年は十四万坪、そして、ことしはピークを迎えておりまして、二〇〇三年問題といわれているのはご承知のとおりです。
 都市再生の波に乗る新規のオフィス床の大供給が、中小のビルから新規の高層ビルへとテナントの大移動を進めている、そういう現状にあるのではないでしょうか。既設のビルが不良債権化するという大きな危惧がございます。
 また、一方で、先ほど他党の質疑の資料に出てまいりましたけれども、都が進めている臨海開発、また、常磐新線の沿線の開発、多摩地域の開発、こうしたものとは矛盾を起こすというふうに思います。その整合性についていかがお考えでしょうか。

○勝田都市計画局長 新規オフィスの供給についてでございますけれども、国際競争力のあるビジネス機能を強化するためには、IT化などに対応できる高機能なオフィスのストックをふやしていくとともに、耐震性の向上の観点から、老朽化したビルの更新等も必要でございまして、これらにより東京全体の活力を高めていくことができると考えます。
 また、現在進めております都市再生につきましては、東京圏全体の適切な都市機能の配置を目指す環状メガロポリス構造を踏まえつつ推進しておりますので、臨海開発、常磐新線沿線、多摩地域の開発とは矛盾をしないと考えます。

○大河原委員 先ほどの資料を見れば明らかな問題も出てきていて、私がいっているのは危惧ではなくて、実際に臨海部の開発から、橋を渡らずに行ける都内の都心にビルが移っている現状というのはあるわけですね。矛盾はないとおっしゃいましたけれども、その点について再度質問はいたしませんけれども、今のご答弁は、やはり今後変わっていくものというふうに思っております。
 需要の裏づけのない都市再生のあり方というのは、大変大きな危険性をはらんでおります。都内の格差を広げるだけでなく、都外への影響も大きいわけです。人、物、情報の流れを円滑にして、利便性の高い都市に東京を改造すればするほど、実は東京のひとり勝ち傾向というのは高まって、東京構想二〇〇〇で目指している東京圏メガロポリス、この圏内の格差はどんどん広がっていくんじゃないでしょうか。七都県市、八都県市というところから支持を得るのは大変難しくなってくるんじゃないかと思います。既に横浜市のみなとみらい21や千葉の幕張開発、さいたま新都心開発にも影響が出ていると聞いています。構想の矛盾がここにあるというふうに考えますが、見解を伺います。

○勝田都市計画局長 首都圏の都市再生を進めるためには、センター・コアにおける都市機能の集積を進めるとともに、三環状など広域幹線道路ネットワークの形成によりまして、人、物、情報の流れを円滑にし、核都市相互の機能連携の強化を図ることが不可欠でございます。これらにより、首都圏メガロポリス全体の国際競争力を高め、経済を活性化することができると考えます。

○大河原委員 七都県市の会議においても、他県の意向、今の状況などもぜひ十分に把握をしていただきたいというふうに思います。
 土地の高度利用で超高層ビルの足元に緑をつくり出しても、その建物がいかに環境に配慮しているかについては、厳しい評価が必要だと思います。世界各国では、設計、建設、運用、更新、解体、また廃棄、こういった各段階における性能を評価する方法の開発が進んでおりますけれども、日本では、ビルが大量に建設されるこの時期に、やっと環境配慮制度が始まったばかりです。またしてもおくれをとっているというふうに思うわけなんですけれども、エネルギー問題から考えても、このような都心集中型世界都市構想はエネルギー多消費型の都市構想であり、持続可能な都市づくりという二十一世紀の課題にはこたえることはできないんじゃないか、そのように思います。エネルギーの自立、また地球温暖化防止の視点から、まちの再生は極めて不十分であると思いますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。

○勝田都市計画局長 都市開発という面からエネルギー問題を考えますと、三環状道路の整備や民間都市開発プロジェクトの推進は、人、物の移動距離を縮めるなど都市の集積のメリットを発揮いたしまして、エネルギー効率の高い都市構造への転換を可能といたします。
 また、建築物単体の省エネルギー化や緑地の確保などの推進もあわせて取り組んでいるところでございまして、これらは省エネルギーと地球温暖化防止にも貢献すると考えております。

○大河原委員 環境局のホームページ--都市計画局のホームページでしたか、環境配慮制度による、今行われている開発の一覧表が出ていまして、そこをクリックすれば状況がわかるわけですが、なかなかその項目にも満足のいくものはないわけで、とても心もとない気がしております。
 コミュニティの崩壊がいわれて久しいわけですけれども、現在進行中の都市再生では、コミュニティの再生に役立つというふうに認識されているのか、少々疑わしいというふうに私は思っております。再開発によって住みなれたまちを離れざるを得ない状況に陥っている方々が多い。そして、国の内外を問わず、人を引きつけ、多くの人たちが交流するというまちが望ましい東京像になっているわけなんですが、更新されたまちに住むことができる人、これは資金力のある人、外国人でも、また単身者でも、こうしたコミュニティの崩壊というものは免れません。コミュニティが偏ってしまう、そのように思います。コミュニティの視点から都市再生をどのようにお考えか、お答えください。

○勝田都市計画局長 都市再生の目的は、都市機能の高度化及び居住環境の向上を図ることでございまして、都市を先進的な産業活動の場としてだけではなく、暮らしや生活を支える場としても充実させることを目指しております。
 今後とも、都市再生特別措置法等に基づく都市再生を進めるとともに、本定例会に提案させていただいております街区再編まちづくり制度など、コミュニティを重視した身近な都市再生を推進することで、東京の魅力ある都市づくりを進めてまいります。

○大河原委員 アメリカでは、門をつけて囲いで仕切られた高級住宅地がありまして、ゲーテッド・コミュニティというふうにいわれています。外側の地域とは全く隔絶していて、交流もなく、地域活動を共有することもありません。今建てられている超高層のビルというのは、縦型のゲーテッド・コミュニティになるんじゃないか。そういった意味では、今、身近なところにごく普通のマンションが建ったりしていますけれども、そういうマンションでさえ地域の町内会のメンバーではありません。そういうことを考えても、今行われている都市再生、コミュニティを分断しているもの、または新たにコミュニティの創生があるとしたらどんなものか、はっきりと示す必要があるかと思います。
 次に、有害化学物質対策について伺います。
 九七年のマイアミでのG8の会議以来、子どもたちへの環境配慮として、安全基準を子どもに合わせようという世界的な流れがあります。現在、国では十三の化学物質について室内濃度指針値を策定しておりまして、ようやく昨年、建築基準法を改正して、ホルムアルデヒドを含む建材の使用制限と防蟻剤のクロルピリホスの使用を禁止いたしました。
 また、学校施設については、学校環境衛生基準の改定により、四種類の化学物質について、室内の空気濃度の定期検査と、新築、改築の際、引き渡し前の検査を義務づけております。こうした意味では大変前進ではありますが、しかし、まだまだ予防原則に基づく化学物質対策という意味では、欧米におくれをとっております。
 都では独自に有害化学物質対策を進めており、この点では国に先んじているわけですが、先日、平成十四年度の重要施策の一つであります、化学物質子どもガイドライン(室内空気編)が発表されております。これまでの取り組みの成果として評価するものですが、この策定過程について改めて伺っておきます。

○長尾健康局長 化学物質の健康影響については、特に成長過程にある子どもたちへの影響が懸念されております。今回のガイドラインの策定に当たりましては、近年注目されている室内空気中の化学物質について、子どもが実際に利用する学校や保育園などの実態調査を行いました。この調査結果などをもとに、専門家で構成する化学物質保健対策分科会の審議を経まして、本年一月、子どもの特徴や行動パターンに着目したガイドラインを策定いたしました。

○大河原委員 知事は、ディーゼル車規制で大気汚染について大変進んだ施策を行っていらっしゃると思いますが、生活者ネットワークは、あわせて、人が日中ほとんど室内で過ごしているという状況をとらえて、室内空気汚染というところに着目してまいりました。この子どもに視点を置いたガイドラインの活用というのが、まさしくこれから普及していこうという矢先に、実は残念なことが起こっております。揮発性有機化合物、VOCによる、都内の小学校で小学生の健康被害が起きております。
 昨年の秋、調布市の市立調和小学校において発生いたしました子どもたちの健康被害について、この間の調査などにより明らかになった事実経過を教育長から伺いたいと思います。

○横山教育長 お話しの調和小学校の校舎は、昨年の七月に新築校舎が完了しまして、竣工後に室内化学物質濃度を測定した結果、ホルムアルデヒドが二カ所、トルエンが十一カ所で、国の学校環境衛生の基準で定める基準を超過いたしておりました。
 その後、新校舎で九月から授業を開始したところ、児童の一部が頭痛や目の痛みを訴えたことから、調布市教育委員会は十月に健康診断を実施し、本年一月、シックハウス症候群の可能性が極めて高いと発表いたしました。
 なお、窓あけによる換気等により、本年一月に実施した測定では、すべての教室で基準値以内の数値となっております。

○大河原委員 新築校舎の完成の際に、既にトルエン等化学物質が室内空気濃度の基準値を超えて検出されていたわけなんですね。でも、二学期から当該の校舎で授業を開始した。市教委と学校長の認識不足というのが大きな原因かと思いますけれども、東京都では、学校環境衛生基準の改定がなされるや否や、都立学校の室内化学物質対策方針を立案して、計画的に都立学校の室内化学物質の濃度測定を実施するというように、常に一歩先の対策を進めてきたはずです。一連の取り組みに通じていえることは、未然防止の原則がどれだけ重要なことかということだと思います。
 化学物質子どもガイドライン(室内空気編)を活用して、今回のような学校施設に起因する子どもの健康被害を未然に防ぐために、一般的にはだれがどのような対応をとるべきなんでしょうか。

○横山教育長 学校におけるシックハウス対策を進めるためには、学校の設置者が、国の学校環境衛生の基準や化学物質の子どもガイドラインを参考として、校舎の新築や改修工事等の際に、使用材料や工事方法に配慮するとともに、竣工時や施工後に定期的に化学物質の濃度を測定する必要がございます。
 また、学校においては、日常的に換気等の対策を実施して化学物質の濃度を下げる対策が重要でありますし、さらに、学校医等の協力を得て、教職員全体で児童生徒の健康管理に努めていくことが求められております。

○大河原委員 いわゆるシックスクール等から児童や生徒を守るために、教職員に対して健康教育を行っていくことが必要だと思います。今後、どのように周知していくのか、再び教育長に伺います。

○横山教育長 都の教育委員会では、毎年度、校長、教頭を初め教職員を対象に、児童生徒の健康づくりに関する専門的な知識や情報の提供を目的とした研修会を実施しておりますが、今後、学校におけるシックハウス対策についても、この研修を通じて広く教職員に周知を図ってまいります。
 また、来年度、養護教諭を対象にした専門研修の中でシックハウス症候群を取り扱い、児童生徒の健康に直接携わる養護教諭の理解を深めてまいります。

○大河原委員 この調布の問題では、先ほども申し上げましたように、防止をすれば防げた。未然に、校長先生の判断があれば、これは起こらなかったことだと思います。市教委の判断ももちろん重要ですけれども、一番校舎の中にいて、子どもたちと常に接している教職員の意識、また健康教育、これはぜひとも丁寧に進めていただきたいというふうに思います。
 そして、この調布の問題では、現在、転校または一時的に他校に通学することを余儀なくされている子どもたちがいます。この子どもたちの学ぶ権利が侵害されているわけですけれども、子どもたちの心のケアにも今後配慮が必要となると思います。
 こうしたシックスクール症候群の子どもたちについて、学習権が妨げられることのないよう、東京都としても対応していくべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

○横山教育長 小中学校におきましてシックハウス症候群の発生を防ぐためには、国の基準等に基づき、設置者である区市町村教育委員会が適切に対応していく必要がございますが、都教育委員会としましても、区市町村教育委員会に対して、学校建築等における材料や工法の技術指導に関する講習会を開催してまいりました。
 今後とも、室内化学物質の検査方法や健康への影響についての研修の充実を図ることによりまして、区市町村教育委員会を支援してまいります。

○大河原委員 ここまでは学校関係ということで教育庁にお尋ねいたしましたが、東京都は、この子どもガイドラインの策定に当たって、保育園等の施設で調査を行っております。
 福祉局所管の子ども関連施設を運営する事業者に対しては、VOC対策について周知をどのように図るのか、この点については、福祉局長いかがでしょうか。

○川崎福祉局長 保育所を初めとした児童施設に対し、都は従来から、子どもが安全で衛生的な環境のもとで過ごせるよう、健康面などへの十分な配慮を法令等に基づき指導をしてきました。
 お話のガイドラインにつきましては、施設を利用する子どもにとって安全な室内環境を確保するという観点から、有意義なものと考えております。
 今後、区市町村と連携しながら、事業者が施設の新築や増改築に当たり、このガイドラインに沿って整備を図るよう周知していくとともに、既存の施設に対しても同様に対応してまいります。

○大河原委員 また、昨年四月に東京都建築工事標準仕様書が改定されまして、都の直営の施設では、建築、改築の計画の段階から室内空気汚染対策が充実しております。
 今後取り組まれるPFI手法による公共施設の建築工事においても、この標準仕様書の技術水準が尊重されるよう、各局担当者を通じて事業者に求めていくことが必要だと思いますが、この点はいかがでしょうか。

○田原財務局長 PFIは、民間の創意と工夫を最大限に活用しまして公共施設の整備などを行う手法でありますけれども、室内空気汚染対策は利用者の健康にかかわるものであります。非常に重要でありますので、今後、PFIの導入に当たっては、都の標準仕様書のうち、空気汚染対策に関連をする事項について遵守をするよう、事業者に要請をしてまいります。

○大河原委員 直営でない事業者への周知と仕様書の準用については、ご丁寧にご指導いただきますようお願いします。
 例えば、都が今進めている認証保育所、新規の開設が急ピッチで進められるわけですけれども、言葉で症状を訴えることができない乳幼児を預かるわけです。このことを考えても、ケミカルフリーの保育空間を確保することをぜひ実現していただきたいというふうに思います。
 今後ますます重要なことは、化学物質関連の情報の提供、リスクコミュニケーションと、その理解能力、化学物質のリテラシーを育てることです。特に幼稚園、保育施設、児童館など、子ども関連施設において有害化学物質による健康被害を回避するための方法、能力を育てるため、化学物質子どもガイドラインの普及と活用をぜひ進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○長尾健康局長 今回策定いたしましたガイドラインは、既にホームページには掲載してあります。
 今後、施設管理のためのチェックリストなどを加えた手引書を作成し、施設の管理者や関係団体にガイドラインの活用を働きかけてまいります。
 また、都民向けのリーフレットを作成し、普及啓発を図ってまいります。
 これらを通じ、子どもたちができるだけ化学物質にさらされない、より安全な室内環境の実現を目指していきます。

○大河原委員 次に、男女平等参画施策の推進について伺います。
 東京都は、全国に先駆けて男女平等施策を展開してきました。一九七五年、世界行動計画が立てられ、七七年に国内の行動計画、そして、七八年、東京都がこれらに呼応して都の行動計画を策定しています。まさしく東京が日本の首都として世界への窓口であり、社会、経済、教育、文化、さまざまな問題、さまざまな現象、先端的にあらわれると思います。そういった特徴をしっかりととらえて、これに対応した東京都の自負であったとも思います。
 三次にわたる東京都行動計画の策定と、九一年には男女平等推進基金の設置、翌年の東京女性財団の設立、九五年の東京ウィメンズプラザの開館と、相次ぐ施策の展開に多くの女性たちが信頼を寄せ、期待をいたしました。そして、二〇〇〇年三月、全国に先駆けて東京都男女平等参画基本条例を施行しました。東京都が積極的改善措置、アファーマティブアクションを含む男女平等参画の促進に関連する施策を推進することを宣言しておりまして、こうした信頼と期待を裏切ることがあってはならないというふうに考えております。
 さて、条例制定後初めての行動計画であるチャンス&サポート東京プラン二〇〇二が策定されております。国の基本法の第十四条の都道府県男女共同参画計画に当たるものです。
 十一条では、年次報告の策定と公表が義務づけられておりますが、行動計画を着実に実施し、推進を実効性あるものに高めていく年次報告を行うべきと考えております。男女平等参画審議会に進捗状況の評価を諮問すべきと考えますが、見解を伺います。
 そしてまた、今期の行動計画は、特に雇用分野での参画促進、子育て支援、DV防止が重点課題とされております。これらの施策の有効性は、都民が肌で感じ、実感してこそ初めて評価されるものだと思います。審議会にも男女平等参画を進める会にも、実は公募の委員の枠がありません。進行管理及び評価への都民参加をどのように確保するのか、あわせてお答えください。

○三宅生活文化局長 二つのご質問にお答えいたします。
 男女平等参画のための東京都行動計画に掲げる施策の実施状況につきましては、お話のとおり、基本条例に基づきまして、これを年次報告として取りまとめております。都のホームページなどへの掲載により公表しておりますし、広く都民からご意見やご批判をいただけるものと考えております。
 したがって、現在のところ、男女平等参画審議会に対し、計画の推進状況の評価を諮問することは予定しておりません。
 続きまして、公募委員等の関係でございますが、男女平等参画のための東京都行動計画は、都民や事業者と都がみずから目標を定め、ともに推進することを基本としてつくられました。
 計画に掲げる施策の実施状況につきましては、今申し上げましたとおり、広く都民に公表しておりますし、また、都民や事業者団体の幅広い参加によって構成しております、お話の男女平等参画を進める会におきまして、相互に進行状況の把握や意見の交換を行いながら、連携、協力を図りつつ事業を推進しております。

○大河原委員 生文局が所管する審議会、委員会の数は三十二ですが、その中に都民公募の枠があるのはたったの一つです。このことを考えても、都民に一番身近だというふうに私は思いますが、生文局、今後もっと都民参加を考えるべきだと思います。
 次に、条例制定後の推進体制について伺います。
 庁議構成員を委員として、知事が委員長だった男女平等推進会議は廃止され、かわって生活文化局長を座長とする東京都男女平等参画推進会議が設置されました。推進体制が変わったことの理由を伺います。

○三宅生活文化局長 男女平等参画推進会議は、基本条例の制定に伴いまして、東京都の男女平等参画に関する施策を総合的かつ効果的に推進するために、従前の組織を改変したものでございます。
 この会議は、施策の推進にかかわる課題等について、できるだけ具体的な検討が可能となるよう、それぞれの施策を直接担当している各局の部長を委員とし、座長を生活文化局長としたものでございます。

○大河原委員 今度、知事に伺いたいのですが、このように推進体制が変わろうとも、知事が男女平等推進の先頭に立つことにはお変わりないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○石原知事 東京に限らず、社会全般が活力のあるものとして発展するためには、男性も女性も、それぞれの個性と能力を十分に発揮できることが不可欠だと思います。
 そういう観点で見れば、世界全体の趨勢はまだまだという感じがいたしますし、それは一つの伝統文化なのかもしれませんが、イスラムのある国々では、女性はまだ、チャドルというんでしょうか、ああいうものを着て過ごさざるを得ないというのを眺めていて、私にはちょっと痛ましいような気がいたしますけれども、いずれにしろ、東京都は、男女平等参画基本条例、また、これに基づく行動計画を定めておりまして、これらを基本に置いて、今後とも、男女がともに参画する社会の実現に向けて取り組んでいきたいと思います。
 それがさらに成就して、行き着いた最後の段階というのは、私にはちょっと想像できないんですけれども……。

○大河原委員 まだ実現されておりませんので、皆さん、なかなか想像ができないかと思いますが、そんなに難しいことではございません。
 推進会議を構成する、さっき関係各局とおっしゃっていましたが、これは十局にとどまっております。そして、前回の推進会議では、各局長がメンバーでして、そして、総務担当部長級を男女平等推進委員として、局内での実施と推進を行う体制でした。それと比べると、今の体制は、私には縮小と見えますし、弱体化というふうに見えます。
 なぜなら、男女平等推進を進めていく、そうした男女平等教育を進める責任ある教育庁の職員に、この条例ができたことを知らない職員がいたということを聞くに及んでは、このように思わざるを得ません。
 次に、副知事に伺います。
 監理団体の整理統合を担当する副知事のもと、東京女性財団の廃止方針が二〇〇〇年十一月、公表されました。男女平等推進基金による果実の一部が女性財団の事業委託や助成に充てられる仕組みであり、みずから利益を上げる性格の財団でないという成り立ちからいえば、独立性を求める知事のおんば日傘発言は不適切だと思います。
 女性財団の再建を目指して、理事、評議員会有志による東京女性財団のあり方を考える会が、財団の存続、自立のための寄附行為改正案を提案しましたが、そうした検討さえ尊重されることがありませんでした。
 男女平等推進基金の廃止、財団の廃止、これらの施策が男女平等推進参画施策のシンボルであっただけに、施策後退の印象はぬぐえません。極めて恣意的といわざるを得ません。
 担当副知事として、この間、女性団体からの要請も受けられた福永副知事、そして、監理団体の整理に当たられた浜渦副知事に見解を伺います。

○浜渦副知事 東京女性財団の廃止は、自立した組織としての存続が困難であったこと、また、今日における男女平等参画の課題に対応し、本庁とウィメンズプラザが一体となって施策を推進していく必要があったことなどによるものであります。
 もう少し丁寧にお話ししますと(発言する者あり)監理団体の統廃合というのは、ご案内と思いますが、先ほどお話がありましたが、十二年十一月に東京都監理団体改革実施計画が提案されました。(大河原委員「わかりました」と呼び、その他発言する者あり)その中で、団体そのものの必要性や活用のメリットを検証するなど、団体の設立趣旨にさかのぼった見直しをした上で(発言する者あり)経営の効率化と都民サービスの向上の観点から統廃合を実施するということになりまして、十三年二月、第一回定例都議会におきまして、知事の答弁で(大河原委員「わかりました」と呼ぶ)女性財団につきましては、基本的には財団みずからがその存廃を含め根本から見直し、結論を出していただきたいと、こうしました。
 それに従いまして、十四年十一月二十五日に理事会、評議員会におきまして解散の決議がなされたんですが、その理事会、評議員会というのは、女性財団の寄附行為の三十五条(大河原委員「わかりました」と呼ぶ)理事現在数及び評議員現在数の四分の三以上の決議を経、とあります。したがって、この委員会の委員は(「委員長」と呼ぶ者あり)この予算特別委員会の理事であります馬場理事あるいは(大河原委員「わかりました」と呼ぶ)大山委員も参画しまして、皆さんが決議をしたものでございます。
 それで、委員にとっては非常に不満のある結論かもしれませんけれども、これは民主的に規約に従って行われたものでございまして、決して恣意的なものでございません。
 なお、問題は(発言する者あり)その後、女性財団が廃止になってから何か不都合が起こったかということでございまして、まだ私のところにはそういう不都合は届いておりませんが、これが、一部の限られた方が、利益をもたらすということでなくて、多くの都民の方に共感をされるような改善案があれば、すぐ改善いたしますので、ぜひご提案をいただきたい。(大河原委員「わかりました」と呼ぶ)
 それから、男女平等推進基金につきましては(大河原委員「どうもご丁寧なご答弁をありがとうございました」と呼ぶ)担当外でございますので、担当の局長がお答え申し上げます。(大河原委員「重ねて伺いたいことがありましたが……」と呼ぶ)簡単でございますが……。(大河原委員「締めくくり統括質疑で引き続き伺わせていただきます。ありがとうございました」と呼ぶ)

○山本委員長 大河原委員、もう一問どうぞ。どうぞやってください。

○大河原委員 重ねてお尋ねしたいことが浜渦副知事にございましたけれども、時間が迫っております。じっくり締めくくりでやりたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
 どうも大変ご丁寧なご答弁、ありがとうございました。

○山本委員長 大河原委員の発言は終わりました。
 以上で、本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
 明日は午後一時から委員会を開きます。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後九時一分散会

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