東京都議会予算特別委員会速記録第二号

○森田副委員長 和田宗春副委員長の発言を許します。
   〔森田副委員長退席、宮崎副委員長着席〕

○和田委員 質問に先立ちまして、韓国大邱テグ市におきまして地下鉄事故に遭遇されましたご家族の方々に、心からご冥福とお見舞いを申し上げる次第であります。
 それでは、都議会民主党を代表いたしまして、総括質疑をいたしたいと思います。
 まず初めに、この国の形という大きなテーマを掲げて、知事並びに総務局長を含めた局長に質問いたしたいと思います。
 知事は、今第一回定例会の、私ども田中幹事長の代表質問に、首都圏の連携を強化していくことが、やがて道州制につながると答弁をされております。私ども都議会民主党及び民主党は、道州制を将来志向していく政党でありますが、この知事の首都圏の連携強化をしていく、その自然的、発展的な過程で道州制につながるという答弁に、少しく積極性を加えたいと思っているんであります。
 すなわち、例えば四年以内に道州制導入の合意を得る、その後四年以降に、さらに四年以降ですね、道州制に移行するというふうに、四年、四年の計画期間を用意しながら道州制に近づけたらどうだということであります。このことは私どもの発案だけではなくて、既に代表質問でも田中幹事長がご披露申し上げたとおり、北東北広域政策研究会の報告案の骨子の中にも、もう既にこのことは触れられております。
 既に岩手県は、平成十三年十一月に、あるべき地方の姿という、そういう一項を設けまして、道州制実現へのプログラムということを提言しているわけであります。その中では、もう既に具体的に二〇一〇年から一五年をめどに、北東北三県の合体などを経て道州制に移行するという、二〇一〇年から一五年というめどまで、はっきり切っているわけでございます。また、三県の知事は、それぞれ公式的な目標ではないけれども、県合体はおおむね一〇年ごろかなというようなことを述べているとも聞いております。
 そこで立ち返って、知事の、やがて道州制につながっていくだろうという、この立場を一歩進めて、道州制導入を積極的に提言し、具体的には、七都県市の議論をリードしていくというようなお考えがおありかどうか、まず知事の所見をお伺いいたします。

○石原知事 この問題は、やはり最初に言葉ありきじゃありませんが、最初に図柄ありきというものではないと思いますね。やっぱり行政というのは、現実をハンドルしているわけでありますから、さまざまなニーズがあるわけですけれど、その共通項というものを拾い合って広域行政が進められていく。
 現に、七都県市で幾つかの広域行政を始めましたけれども、物によっては参加しない県もありますし、全市参加するものがあります。
 やっぱりですね、これはやっぱり、ある事実の堆積というものがない限り、信憑性が出てくる問題じゃないと思います。ということは、再三申し上げていることですけど、明治憲法が発布される前に、廃藩置県で殿様が廃止されて、今日の都道府県ができ、官選の弁護士が官僚統制、中央集権国家の代官として赴任した形が今まで続いているわけで、時間的、空間的に世界も日本も狭くなった今日、まことにこういう錯綜した小さな行政区分というのは意味がないと思いますけれども、しかしやっぱり一世紀以上これになれてしまうと、なかなか人間というのは保守的なものですから、身動きができない。
 ちょっと例になるかならないかわかりませんけど、私は、ペルーから今日本に亡命しているフジモリ君と非常に仲がいいんですが、彼がやっぱりやったこと、彼がまたアメリカに非常に反感を買ったことのゆえんは、ボリビアとの国境紛争というのは彼が調停しておさめた。それが非常に隣のエクアドルに評価されまして、この三つの国家の連帯ができたときに、ブラジルの大統領が非常にそれを評価して、一種の南米におけるアライアンスをつくろうじゃないかということをいい出して、それを進めた瞬間、アメリカは陰謀を使ってフジモリを追い出したというのが実態でありますが、まあ日本はそういうことは起こらぬでしょうけど、いずれにしろ、やっぱり私も私なりの道州制の区分のようなものを漠然と考えておりますけれども、これは実際に連帯というものを行政にあらわす事実が堆積しないと出ていかないと思う。
 私が非常に評価している知事の一人でありました、今度やめますけれども、大分県の平松さんにしても、九州でそれを標榜していましたが、結局足並みがそろわなかったということですけれども、しかし、ますますそういうニーズは出てくると思いますので、そういうものを念頭に置きながら、最初に要するにこの方程式をつくるということは、なかなかかなわない。同時にまた、そういうものの目途がないと、なかなか、ただの広域行政は広域行政に終わって、きちっとした行政区分の道州制にもつながっていきにくい。これはやっぱり最後は、何かの折に国家が、国民の意を問うて、そういう大きなドラスチックな改革を提唱すべきだと思いますし、それを要するに助長していくためにも、地方は地方で、現に現実性のある広域行政を幾つかやっているわけですから、そういう繰り返しが積み重なっていくことが必要だと思います。

○和田委員 事実の堆積を、いうならば信頼に積み上げていって、既成化をする形で道州制にまで持っていくという知事の計画といいましょうか、想念を今お聞きいたしました。
 私どもも、事を急ぐわけではありません。ただ、知事がここのところ努力をしているディーゼル車の規制も含め、同調できるところは同調して、成果を上げているわけでありますから、そういう小さなネットワークといいましょうか、リンクを大きくつなげるということの作業は、地道ではあるかもしれませんけれども、貴重だろうというふうに思いますものですから、あきらめずに根よく続けるということで、ぜひ機会があれば、今私どもが提言申し上げたことを検討いただきたいということを申し上げておきます。
 さらに、それをより突っ込んだ形で、私は通貨高権について知事の見解を承りたいと思うんです。
 道州制が仮にできるということになって、一都三県という形がくくられたとしますと、三千三百万という住民がその経済圏の中に生活するわけであります。で、自立的な経済圏を確立するのには、域内で生まれた利潤は域内で帰着させる、定着させるということは、当然それは考えられるわけであります。
 そこで、東京を含む首都圏が自立経済圏を形成するために、新しいものづくりの産業だとか、独自の産業振興を進める必要が出てくる。それと同時に、独自通貨、いわゆるその域内に通用する独自通貨が発行できるような通貨高権、いわゆる通貨発行権、ここまで分権化していくことによって、我々が考えている道州制及び地域の分権化というものが実態化するのかなというふうに思うわけです。
 ちなみに、EUの通貨統合もそうでありますし、アジアの経済圏形成にかかわる通貨制度の問題も、もう国レベルではあります。国を超えた圏域を形成するために行われるというイメージがありますけれども、我々が志向している道州制なり地域の自立というような問題から、私たちは十分に通貨高権は検討するに値するテーマだというふうに思うんでありますが、知事はどのようにお考えをしているんでしょうか。

○石原知事 これは非常に難しいというか、私、考え及ばなかった問題ですけど、ここに民主党がつくられた二〇〇三年東京都知事選挙向けの素案というのがありますが、この中にも、これがうたわれているようでありますけれども、これは私は、ちょっというに易しく難しい問題だと思いますよ。
 仮に東京だけで二千円券を出すとか、あるいはどこかの商店街が一種の兌換性のある買い物券を出すのと違って、この首都圏というのは非常に強い経済圏であります。そこが出した独自の通貨が、他の日本の地域で流通している通貨と、為替のその、何ていうんですかね、差異を生じると、どういうことになるんでしょうか。
 ややそれに似た現象がEUでもありましたけど、EUの場合には強引にああいう統一通貨をつくった。それによって一物二価ということが起こりましたね。非常に人気のあるドイツの車は、スペインで買うのが一番安いみたいな形になりましたけれども、そういう混乱というのは一時的なものか、それともかなり長く続く一つの通貨におけるタービュランスかもわかりませんが--これはなかなか難しい。
 私は、ここで自分の是非ということを申し上げられないし、かなりこれは無理な話だと私は思います。

○和田委員 どこで知事、入手されたか、我が党の政策をお持ちでありまして、私の質問前に……(石原知事「これは盗んだんじゃなしに、民主党の方からもらったんだ」と呼ぶ)それはもう自由で結構なんですけれども、ただ、知事もよく学者、著名人の著作をお読みいただいておりまして、理念、哲学を議場で語られることがございますが、私どもは浅学でありますけれども、アルビン・トフラーがかつて、地域における消費者の役割と生産者の役割というものは、分極化するんじゃなくて、いわゆる双方がお互いに役割を分化するといいましょうか、一人の人間が消費者であり生産者であるという時代が来るぞということを唱えておりました。
 そのことを現実的に定着させていくとなると、今、私が提起した通貨高権などに--それはもちろん電子社会の中での話でありますが、物々交換、あるいは貨幣経済の中ではなく、電子経済の中でのことをトフラーは説いているわけでありますが、我々民主党も、近い将来、そういう局面が目の当たりに迫っているという問題意識、時代感覚で、この通貨高権を石原知事に問うたわけでありますが、しばらく難しいぞという、そういう知事の感想は感想としてちょうだいをしておきたいというふうに思います。
 さて、次は、都道府県の広域的な役割に関連をして質問したいと思うのです。
 都道府県が広域的な役割に今後力を入れていく前提として、基礎的自治体である区市町村が行財政能力をますます強化して、これまで以上に役割を担っていく必要があります。まさに地方分権の時代であります。
 そのために、市町村合併も必要であります。市町村合併については、昨年のこの予特でも我が党が主張をいたしましたし、その後、各委員会や本会議でも質問を繰り返したところでございます。
 たまたまことしは統一地方選挙を迎えておりまして、市町村合併を、首長さんの候補者になると思われる方が、私はこうしたいという、将来のまちの、それこそ姿形を問うのに絶好の機会が間もなく迫っているわけでございます。
 また、合併特例法も十七年の三月が期限ということでございますから、ちょうどこの時期が一つのタイムリミットかなと思っております。それを過ぎると、地方制度調査会の西尾私案などが出されておりますとおり、相当強制的に合併に向かうという場面が想定されるというふうに私たちは思っているわけであります。
 そこで、自主的な合併を進めようとすれば、スケジュール的には、今申し上げたとおり非常にタイトな形になっているわけでありますが、都としても、これまでよりも踏み込んだ対応方針を示していく必要があるのではないかなと思っております。
 そこで、合併特例法の期限、いわゆる十七年三月が迫っているわけでありますけれども、現在、都が市町村合併に対してどのような取り組み姿勢を持っておられて、現在どういう進捗状況にあるかをお伺いをいたします。

○赤星総務局長 ただいま和田副委員長のご指摘がございましたけれども、合併特例法が十七年三月でございますが、これにつきましては、交付税の財政へのインセンティブがございますが、このインセンティブの有無にかかわらず、行財政基盤の強化などのために、市町村合併は重要かつ有効な選択肢であると考えております。
 同時に、住民意思を尊重しました市町村の自主的、主体的取り組みが特に重要でございます。
 東京都はこれまでも、市町村や都民の間で合併に関する議論が深まるように、シンポジウムの開催や市町村合併アドバイザーの派遣など、情報提供に努めてまいりました。
 都内市町村におきましては、合併に関しまして、独自に、あるいは共同で研究を行っているところはございますが、協議会の設置には至っておりません。

○和田委員 今ご報告いただいたとおり、都内では、現実問題、合併の準備、話し合いすらも、協議会すらもできていないということであります。それでも市町村には、都は合併検討指針を提供してきているわけでありますから、それなりの意欲を感じているわけだろうと思うのです。しかし、特別区については、いまだに東京都の指針というものが出されておりません。
 確かに地方に比べると、都内の市町村は、財政的にも、ある意味では恵まれており、また、水道だとか消防など大規模な施設や人員が必要な事業は、東京都そのものが行っております。さらに、都からの調整交付金なども交付されておりまして、こうしたことが、ついつい合併について差し迫った必要性を区市町村に感じさせない要因になっているのかなとも思っております。
 しかしながら、合併が進まないならば、他の方策も考えなければいけないんだろうと思うのです。都が広域的な役割に重点を移していく中で、また、都の財政状況からしても、区市町村への財政支援もいつまでも続けていくわけにはいかないと思います。区市町村は一層の行革に努めるとともに、まさに徴税努力、課税自主権、これを十二分に活用していただくと同時に、税源涵養の努力も行っていく必要があると思うのです。
 都として、区市町村との今後の関係、これからの関係についてどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

○赤星総務局長 住民に身近なサービスの充実のためにも、区市町村は、財政基盤の強化や政策能力の向上に取り組んでいく必要があると思います。
 都は、区市町村と対等、協力の立場に立ちながら、広域自治体として、区市町村の自主性、自立性が向上できるように必要な支援を行ってまいります。

○和田委員 これからも、財調制度も含めて、できる限り区市町村の応援をお願いをいたしたいというふうに思います。
 続きまして、区市町村の行財政能力の向上を図るというためには、合併もさることながら、都道府県の権限を実際に区市町村へ移譲していくことが大事だというふうに私どもは考えています。
 都から区市町村への権限移譲については、平成十二年八月に第二次東京都地方分権推進計画が策定されておりまして、保健所だとか特定行政庁の事務、その他個別法に定める都道府県事務の移譲が提案されております。
 この都の二次分権計画から、もう既に二年半、足かけ三年たっているわけでありますけれども、どの程度この計画に掲げられた事項が実施をされてきたのか、大変気になるところであります。
 そこで、この二次分権計画の策定の趣旨、目的、それから権限移譲の現況、及び都庁内の実施体制についてどのようになっているか、お伺いをいたしたいと思います。

○赤星総務局長 第二次分権計画は、区市町村の自主性、自立性の向上を図ることを目的といたしまして、現行法制度のもとで最大限の事務、権限の移譲を提案したものでございます。
 これまで個別法に基づく特定行政庁関連事務等四項目、事務処理特例条例によるもの二十五項目の移譲を進めてまいりました。さらに、騒音規制法等に基づく三項目の事務につきましては、本年四月より特別区へ移譲する予定でございます。
 移譲に当たりましては、総務局が関係局と調整の上、実施に当たっております。

○和田委員 今、局長答弁では、事務処理特例条例に基づくものが二十五、それから、特定行政庁関連事務等について四項目、さらに、騒音規制法について三項目というような形で、ことし四月から特別区へ移譲する予定だということでございました。
 この程度の進歩でもいたし方ないのかなと思いつつも、やはり私たちは、よりスピードアップをしながら、より項目も多くして移譲していくべきではないのかなというふうに思うのです。
 そのためにも、やはりこの二次分権計画そのものの存在は十二分に今、果たしていると思いますけれども、今、局長の答弁にあったとおり、二十五、あるいは四、さらに三項目というような形の三十項目そこそこの形での分権で事足れりなのかなと。それにはやはり、それを位置づける、第二次にまさる第三次の計画を用意しながら、スピードアップを図っていくという観点も必要かなと思うのでありますが、見解を問うところでございます。

○赤星総務局長 真の地方主権を確立するためには、国が一層の権限や財源を地方に移譲し、自治体の行財政基盤を強化することが不可欠でございます。
 都といたしましては、今後も引き続き行財政権限の移譲を国に強く働きかけますとともに、第二次分権計画を着実に推進し、区市町村の事務、権限の拡充を図ってまいります。

○和田委員 議場の議員の皆さんにも、区市町村出身の都議会議員も数多くいるわけでありますが、それぞれ区市町村で財政的、行政的な苦労をしていればしているほど、東京都議会議員となってみて、もっと地元に力、財源をという、そういう気持ちは党派を超えていると思うのです。その意味で、今の局長の答弁は大変重い答弁だろうと思いますから、ぜひこれからも積極的に区市町村の財源、事業についてのご協力をお願いをいたしたいというふうに思います。
 今までは市町村への分権を問いましたけれども、これからは、第三の分権というべき市民への分権ということを取り上げてみたいと思うのです。
 市民というとらえ方もいろいろありますが、住民といってもいいのでありますけれども、今、仮に市民といわせていただきましょう、市民自身の自治の中には、ネットワーク機能だけではなくて、施設を持ち、事業を行うものもまさにあります。
 私たちは、行財政改革の大目標として、小さな政府を民主党としては考えておりますが、これまでの小さな政府論というのは、行政と企業の役割分担を見直すことによって、多くの行政サービス等を民間にゆだねる、そういう考え方でありました。しかし、私たちの小さな都庁というのは、行政と企業だけではなく、そこにNPO、NGOなどの市民及び市民団体が行政サービスの担い手になるということで、行政の役割を肩がわりする。また、そして逆にいえば、行政の役割を限定的にするというものであります。
 このため、公共事業の官民リスク分担などの企業への移譲だけではなくて、多くの市民団体等が、マネジメント能力も含めて行政サービスの担い手になり得るように、市民自身がその成長を応援していく、そういう必要があるだろうと思っています。
 行政は、市民から税金を集めて行政サービスを行っているのが通常でありますけれども、しかし、この税金は、今のところ、目的税ではない限り、納税者が使途をみずから特定することはできません。ところが、NPOやNGOの行う公益事業に共感して納税者が寄附を行うということは、すなわち、ある意味で納税者がある特定の使途に使われることを前提として、納得して税金の付加行為が行われるわけであります。
 例えば、文化的な団体だとか福祉団体については、都の予算も限られていることでありますから、特に効果があると私は思うのです。
 こうした寄附が活発に行われることによって、逆にNPOやNGOの行う公益事業が活発化し、活性化し、行政の役割を限定化することにつながる。このような納税者の、いうならば寄附の促進については、どのようにお考えを持っていらっしゃるか伺うわけであります。

○三宅生活文化局長 寄附の促進についてでありますが、社会のニーズが多様化、複雑化している中で、行政のみが公共的なサービスを行うことには限界がございます。NPOなどの社会貢献活動の重要性が高まってきております。
 これらの団体は、財源として、みずからの事業収入に加えて、その活動を支援する都民や企業などの寄附を募り、さまざまな活動を行っております。このうち一定の要件を満たす公益性の高い団体に対する寄附につきましては、税制上の優遇措置がございます。
 都民や企業の自由な意思や支援に支えられた活動が広がっていくことは、社会の要請であると認識しております。

○和田委員 今、一定の評価ある答弁をいただいたと思うのです。
 私も、この寄附の促進というのは好ましいと当然思っておるわけでありますけれども、認定NPO法人制度というのがあります。個人の寄附は寄附金控除に、法人の寄附は損金算入が認められているのですけれども、その認定要件があるのですね。これは厳しくて、昨年の十一月二十六日現在、国では十団体しかこの認定NPO法人にはなっていないわけであります。すなわち、私どもの知り得るところでは、国境なき医師団日本、あるいは日本ガーディアン・エンジェルス、さらに森の会ということを含めて十団体しかありません。
 現在、平成十五年度税制改正において、認定要件の緩和が予定されているやに聞いております。また、公益法人、中間法人、NPO法人を包み込んできた非営利法人制度も検討されております。
 こうした動きに対して、東京都としても、NPO法人の実態と公益度に見合った制度となるように、積極的に働きかける必要があると考えますが、所見を伺うものであります。

○三宅生活文化局長 東京都はこれまで、認定NPO法人の要件緩和、これは非常に厳しいわけでございますが、緩和につきまして、国に対し提案要求を行ってまいりました。
 副委員長ご指摘のとおり、平成十五年度税制改正で、寄附金の算入割合や広域性の要件等が緩和される予定となっております。
 また、政府は、公益法人制度につきまして、公益法人と中間法人を統合した非営利法人制度の創設、また、社会貢献性の要件を満たした場合には一定の税の優遇措置等を盛り込んだ、公益法人制度改革大綱をことしの三月末までに発表すると報道しております。
 今後、国の見直しの状況を見ながら、必要な働きかけを行ってまいります。

○和田委員 私たちも、しきりにNPOとかNGOとか、機会があるたびに公の場で質問もし、話題にのせながら、正しいNPOやNGOの理解をお願いするように努めてまいりました。そのような皆様方及び我々の運動が、一つの成果として国も動かして、公益法人制度改革大綱というのが、今、局長答弁のとおり、ことしの三月末までに発表されるやに聞いております。まさに、今まで日本の地域社会の中に余り認知をされなかったNPO、NGOという存在が、この三月以降、正式な組織として、制度として定着をしてくる。夜明けがそこに来ているというような感さえするところであります。
 そのことによって、すべてを行政が担うという一元的なそういう制度から、NPOが肩がわりをし、そして補完をするという、そういう新しい国や地方の姿形が変わってくる、そういう骨格がNPOの、NGOの存在だろうというふうに思うわけでありまして、今の局長答弁の積極性に極めて強い期待を示すものでございます。
 次は、都の財政運営についてお伺いをいたします。
 これも、我が党がしばしば財政状況について提言もし、質問をしたところでございますが、あえてこの予算の委員会において強く指摘をしたいところもありまして、取り上げました。
 東京都の財政状況は、これまで財政改革を一方で進めてきたにもかかわらず、経済情勢の悪化などが起因して、依然として危機的な状況にあることは言をまちません。このままでは、我々が最も避けなければならない財政再建団体への転落という恐ろしい状態が待ち受けているともいえないわけではありません。そこで、必要最低限の行政サービスすら満足に提供できなくなるという事態が都民に襲いかかるわけであります。
 これまでの経験も踏まえて、より一層の財政改革、すなわち財政構造改革が求められていると思うのでありますが、今後の財政改革について、知事は徳俵に足がかかっているとおっしゃっていましたけれども、まさに踏ん張っているその姿勢をどのように当局は考えているのか、お答えをいただきたいと思います。

○田原財務局長 財政再建推進プランに基づきます四年間の取り組みにつきましては、着実に成果を上げてまいりました。
 その一方で、お話がありましたように、都財政を取り巻く環境は非常に変化をしておりまして、都税収入はプランの見込み額を大きく下回る、こういうことなどありまして、依然として厳しい状況にございます。財政再建いまだというところでございます。
 十五年度予算におきましては、徹底した歳出の削減を行いましたけれども、なお二千五百億円もの財源対策を講じざるを得なかった。また、今後とも都税の伸びに期待ができないことを考えれば、このままでは十六年度以降も巨額の財源不足が生じることは憂慮されるところであります。
 こうしたことから、今後は、国から地方への税源移譲につきまして、国への働きかけをさらに一層強化をします。その一方で、内部努力や施策の見直しなど、都が独自で対応できる部分につきましては、これまで以上に踏み込んだ取り組みを行いまして、歳出削減をより一層進めていく必要があると思っております。
 これまでのプランの取り組みの検証、成果を踏まえまして、引き続き財政構造改革を進めていく考えでございます。

○和田委員 まさに今年度も二千五百億円の財源対策を余儀なくされた。それから、十六年度以降、今でいうと再来年、年度が十五年度になれば来年ですけれども、巨額の財源の不足が予想されるというふうに当局自身も自覚をされているわけであります。こういう危機意識を共有することによって、都民に訴える場面には訴える。また、行政そのものが、リストラするところはリストラし、あるいは削減するところは削減するという共感をそれぞれ持つところから、新しいスタートができるのかなというふうにも思うわけであります。
 歳出削減をより一層強めていくという答弁がありましたけれども、そのことも含めて、都民にわかりやすい形で東京都の財政事情の実態について広報していく、PRしていくことも大事であり、行政がひとり悩むということではなく、都民と痛みを共有するというところまで、私たちは要求をしておきたいというふうに思っているわけでございます。
 次に、財政再建あるいは財政改革のためには、行政改革も必要だという視点からお伺いをいたしたいと思うのです。
 一つの例を出して恐縮ですが、民間企業が進めるリストラ、これも大変厳しくよくいわれております。それ以上に東京都は、さきに答弁のあった二千五百億の財源の手当ての問題があったと同じように、まさにリストラというよりも、リエンジニアリングといったような、そういった言葉が当たるような間接部門等を縮小して、現場の都民サービス部門を、企業や、さきに申し上げたNPO、NGOへの連携、競争によって充実するように改革を進める必要があると私は思っているのです。
 今後の行政改革、これはどのように進めていこうというお考えをお持ちなのでしょうか、お答えいただきたいと思います。

○赤星総務局長 東京都では、平成十二年十二月に策定いたしました都庁改革アクションプランにおきまして、都と民間との役割分担を見直し、民間委託の推進、PFI手法や民営方式の導入などに積極的に取り組んでまいりました。
 今後とも、社会経済情勢の変化を踏まえまして、民間活力の活用やNPOとの連携を進めるなど、行政改革に積極的に努めてまいります。

○和田委員 NPOという言葉をお使いいただいたりして、まさにそういうところが一つの出口になるのかなと思う新しい発想の転換から、この苦境を乗り越えていく一つのアイデアかなと思っております。
 さきに申し上げた財政改革や行政改革をあわせて行財政改革を進める中で、予算編成の進め方も、もう一回新たな工夫が必要なのではないだろうかと思うわけでございます。
 東京都は今まで、まさにマイナスシーリングの設定によって歳出抑制を図ってまいりました。これはまた、各局が進んで事業を見直さなければ、おのずと限界が出てくる。一〇%、一〇%、毎年毎年カットするということは、当然限界が出てくるわけであります。
 そこで、各道府県を見ますと、三重方式を初めとして、さまざまな工夫、努力をされています。例えば群馬県では、平成十五年度予算編成から、従来の要求、査定という方式から、各部ごとに一般財源の配分を行って、その範囲内で各部による権限と責任を持った予算編成を行うという方法に変更してきております。ご承知だと思います。
 政策判断が必要な新規、あるいは拡充、あるいは維持継続する項目については、予算編成本部が個別に調整するのですけれども、一般事業については、前年の八〇%の範囲内で各部による権限と責任で施策の再構築を求めるという手法でございます。そのために、財政課の職員を機動要員として各部局に配置しているわけであります。
 一般財源がここにいう前年比八〇%であっても、施策を見直し、事業収入を上げれば、前年並みの事業も可能となる、高い業績を上げれば、その翌年には予算を上乗せする、こういうインセンティブを働かすことができるというふうに思うわけであります。
 このように、今ご紹介申し上げた群馬方式を含めた新しい方式も検討に値すると思うのでありますけれども、予算編成の進め方についてどのようなお考えを持っているか、お答えをいただきたいと思います。

○田原財務局長 財政構造改革を進めまして、歳出の削減、抑制により一層取り組むためには、今ご指摘いただきましたけれども、各局が主体的に原点から施策の見直しを、あるいは再構築を進めることが大事だと思っております。
 都はこれまで、予算編成におきましては、シーリングを実施する際には、経費の性格に応じまして上限を定め、その範囲内で各局が判断をして自主的な取り組みができるような設定をするとともに、十五年度予算編成からは、決算実績主義を徹底するなど、各局みずからが施策の見直し、再構築を行えるような方式を導入してまいりました。
 ただいまお話があったような予算編成における各局への分権化ですとか、成果に応じて予算の上乗せを図る方式などについても研究をいたしまして、手法の改善に努めながら、より効率的、効果的な予算編成を目指していきたいと思っております。

○和田委員 今、積極的な答弁をいただいたわけでありますけれども、予算編成の手法の見直しと同時に、業績評価制度、これの構築も、私、大事だなと思っているのでありますけれども、いかがでありましょうか。

○前川知事本部長 事業の業績評価でございますが、これはただいまのお話がありましたように、予算編成手法を庁内で分権化した場合に、分権化をすればそれで済むというわけでは当然ないわけでありまして、逆に、都政全体の中で、さまざまな施策分野に限られた財源をどう適正に配分していくかという、いわば政策判断の問題が重要になるということであろうと思います。
 これは、改めて申し上げるまでもなく、最終的には、都民の皆様の選択あるいは議会における審議によるべき問題でありますが、私ども行政としても、都民全体の利益を最少のコストで最大化するという、そういう視点に立ちまして、施策や事業の評価をできるだけ的確かつ合理的に行いたいというふうに考えております。
 なかなか難しい問題ではありますが、現在、その一つの手法として、知事本部において行政評価を実施しておりまして、今後、お話のような視点も加味しながら、施策や事業の評価のあり方について、さらに研究してまいりたいと思います。

○和田委員 業績評価制度導入については確かに難しいと思います。それから、主幹制度についても、さきに木内委員が質問し、答弁がありましたけれども、それぞれ評価というのはなかなか、評価する主体、それが環境などについて画一的に行うというのは、難しい要素を持つことは十分承知でありますけれども、しかし、評価するいろいろな手法を公平にセットしながら、ぜひ導入していくべきだろうというふうに私どもは思っております。
 次に、入札制度についてお伺いをいたしたいと思います。
 景気の回復が全く見込みを外されてきております。公共事業の受注減や、それに付随して厳しいダンピング競争などが行われている中で、いわゆる零細な建設労働者は、まさに食うや食わずの生活を強いられているという状況をよく私ども訴えられます。
 昨今、こうした建設労働者団体からは、せめて公共事業、東京都を含め市区町村ですが--の受注に関する事業だけでも、最低限、昔の財務、運輸、建設の三省で定めた三省協定賃金を確実に支払ってほしいということもいわれてきているわけであります。
 建設労働者の団体からは、こうした要望を具体化した、いわゆる公契約法、あるいは公契約条例といった提案も出されてきているところであります。公契約条例は、申すまでもなくILOが採択した第九十四号条約を踏まえてものでございまして、国際的なものであります。建設労働者の団体が作成した条例試案では、その目的を、公共事業に従事する労働者に、その対価である労働賃金が公正に配分されるとともに、労働時間などの労働条件が確保され、工事の質が確保されるようにするというふうに記されております。
 最近では、平成十三年度、つい先ごろでありますけれども、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律が制定されるに当たりまして、参議院でありますけれども、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めることといった附帯決議が付されております。
 公共事業の入札、契約などに際しては、このように建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう配慮されるべきと考えますが、まず、この公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の附帯決議、これを当局はどのように受けとめていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。

○田原財務局長 お話の附帯決議は、多くの建設労働者を取り巻く厳しい状況、現状を踏まえましてなされたものだと理解をしております。
 都におきましては、この附帯決議の趣旨等も踏まえまして、東京都の発注工事につきまして、毎年文書によって建設業界、関係の団体に要請をしております。
 この中では、請負者は、原価に満たない額で下請契約等を締結しないこと、特に労務費等の見積もりに当たっては、賃金等の単価に加え、必要な諸経費を適正に考慮するようと、こういう趣旨のことを求めております。
 また、工事の施工に当たっても、公共工事の入札及び契約の適正化の促進にする法律、それから建設業法等に基づきまして、請負者が工事現場に備えつける、下請者に関する事項等を記載した施工体制台帳、それに下請契約書の写しを添付させ、都の監督員がその確認を行う、こういうことをやりまして、元請、下請関係の適正化に努めているところであります。
〔「馬の耳に念仏だよ。実態を調べているのか、実態を」と呼ぶ者あり〕

○和田委員 今局長は、施工体制台帳に二次以下の下請契約書の写しを添付させるというふうなことで、いわゆるトラブルを防いでいるということでございました。しかし、今不規則発言があったとおり、実態は極めて厳しくて、そういう言葉だけではないんだろうというふうに思うんです。
 そこで、安かろう悪かろうのたたき合いでやれば、当然事業者である都や自治体がかえって税金のむだ遣いとなるわけでありますから、低価格での入札はいいようでも、結局下請の労働者の賃金にしわ寄せがいってしまうという悪循環になっているんです。
 そこで、私は、公共工事の入札においては、労働者の賃金をいかにたたくかという、そういう競争じゃなくて、企業間の技術力などに評価を置いた良質な工事を確保するべきだというふうに思うんでありますが、この技術力を重視して、価格だけではない発注方法をもっと取り入れるべきだというふうに思うんでありますが、どのようにお考えでしょうか。

○田原財務局長 技術の進展が著しい中で、公共工事におきましても、入札に参加する企業の技術力を取り入れる、こういうことは工事の品質向上を図る上から非常に重要だと思っております。平成十三年度から、工事契約につきまして、単に価格面だけでなくて、技術提案を評価いたしまして、価格と技術を合わせた評価の最も高い者が落札者となる、総合評価方式といっておりますけれども、この方式を導入いたしました。
 今後、総合評価方式をさらに拡大をするとともに、格付にかかわらず、一定の技術力を有する企業、あるいは都が要求する性能要件を満たす企業に入札参加機会を与える技術要件発注方式、それから性能要件発注方式、こういうような新しい発注方式を活用いたしまして、工事の品質確保、向上を図ってまいります。

○和田委員 いわゆるたたき合いという、よくいわれるようなことで結局税金のむだ遣いになるという悪循環を断っていくためにも、東京都が要求している、今答弁のあった、性能要件を満たしたそういう企業、技術要件ですとか性能要件、それを満たした発注方式に変えていくという、大きくそちらに切りかえていくということをすることで、私が申し上げてきた、不公平で、そして、中小零細の建設業者が泣かないという、そういうシステムができてくるのかなとも思うものでありますので、ぜひ技術ですとか性能、それを重視する入札、発注方式というものの採用をより以上シェアを広げていただきたいというふうに思います。そのことが工事の品質確保だとか向上につながってくるというふうに、みずからおっしゃったことにつながってくると私は思うからであります。
 次に、江戸開府四百年事業とものづくりの文化、産業についてお伺いをいたしたいと思います。
 ことしは、慶長八年、一六〇三年に徳川家康公が征夷大将軍になられてちょうど四百年目になるという切れ目の年を迎えました。征夷大将軍になられたのはたしか旧暦の二月だったと思うんですが、まさにこの四百年前だと思うんです。
 そこで、江戸時代も実に二百五十年平和と繁栄を続けさせたわけでありますけれども、武家にかわって、この江戸文化というのは、商人や職人、町人たちの営みが江戸の町を支えて発展させてきた。その過程で歌舞伎ですとか、浮世絵等々の文化が花咲いて、洗練されたものとなって、今日までものづくりの技術を醸成してきたと私どもは評価をしているんです。
 江戸の職人たちのものづくりへのこだわりは大変なものでありまして、庶民が使う身の回りの日用品、それにさえも実用性と同時に芸術性ももたらしたすばらしい作品がいまだに残されております。江戸時代の職人たちの高度なものづくりの技術が明治以降の殖産興業政策を支え、近代日本の発展の大きな基盤になったと私どもは大きく評価をしているところでございます。
 現在の先端技術を支える東京の中小企業の技術の中にも、江戸以来の職人魂が脈々と流れている方が随分ありますし、そういう仕事も見受けることができます。
 私は、日本人の血に引き継がれるこうしたものづくりに対する情熱というものが、これからの東京、そして日本の活力を支える大きな要素だと思っております。ことしはさきに申し上げた江戸開府四百年、東京が持つものづくりの伝統とパワーを改めて見直し、光を当て、東京を活性化する契機としていくべきだろうと思うんです。
 そこで、まず伺いますが、現在東京商工会議所などが江戸開府四百年事業推進協議会をつくっていらっしゃいますけれども、数々の記念行事が実施され、あるいは予定されているわけでありますけれども、東京のものづくりをテーマとした事業についてどのように取り組まれようとしているのか、お伺いをいたしたいと思います。

○三宅生活文化局長 江戸開府四百年事業推進協議会では三つのテーマを挙げておりますが、その一つとして、夢と活力を創造するものづくり都市というテーマを掲げております。江戸以来のものづくりの伝統を再発見する催しや、開府四百年にちなんだ新しい商品の開発などを推進しております。
 公共、民間を合わせて全体で四百事業の実施を目標としておりますが、現在三百三十を超える事業が集まっております。このうち、ものづくりに関連する事業は、職人技術の展示やオリジナルグッズの製造、販売など約七十事業でございます。
 都としても、推進協議会と力を合わせて、四百年事業の積極的なPRを行いますとともに、ものづくりをテーマとする事業に対する企業や民間団体のさらなる参加を働きかけてまいります。

○和田委員 七十という仕事を、事業というものを今ものづくりの中で挙げていらっしゃるということでありますが、これからまだ一年間続くわけでありますから、希望される方があればどんどん加えていただいて、数多くの事業数をそこの中に包含していただきたいというふうに思います。
 江戸以来引き継がれてきている高度なものづくりの技術として、東京の伝統工芸品というのがあります。これは東京都が指定した伝統工芸品が四十あるわけでありますけれども、この四十が参加して、製品や技術をPRして販売促進を図る場というものが全くありません。
 しかしながら、昭和三十三年から伝統工芸品展というのは行われてきておりますけれども、今回の江戸開府四百年という伝統工芸品にとって大きな意味を持つ年に当たって、どのような形で伝統工芸品展の昭和三十年からの伝統と四十品目と、それから江戸開府四百年というこのイベントをつなげようとしているのか。また、そのことが新規の販路の開拓に寄与できるような、そういう道筋になっているのかどうか、お伺いをいたします。

○有手産業労働局長 東京都伝統工芸品展は、都が指定する伝統工芸品四十品目のすべてを展示する総合展示会でありまして、これまでも在京大使館などへのPRを積極的に行うなど、さまざまな工夫を凝らして開催してまいりました。
 本年の伝統工芸品展につきましては、伝統工芸品産業振興協議会にも意見を求めまして、新たな販路開拓の方策も視野に入れて、展示の内容や方法も当然検討いたします。それから、お話がありましたように、江戸開府四百年を記念する他の事業とも連携を図りながら、記念すべき年にふさわしいものにしてまいります。

○和田委員 私たちは従来から、伝統工芸品は観光施策とタイアップしていくべきだというふうに訴えてまいりました。それは、東京都は観光政策に今力を入れ始めているわけでありますけれども、諸外国に行くと、オリエンタリズムという意味で東京の伝統工芸品の評価は高いといわれております。その意味で職人のわざを積極的にPRすることが効果的だと思いますけれども、シティーセールスという意味で、この私の提言をどのようにお受けとめいただくでしょうか。

○有手産業労働局長 シティーセールスは、東京の魅力を海外にPRいたしまして、外国人旅行者を誘致する上で極めて重要な方策でございます。
 このため、都は海外に出向きまして、現地の旅行業者等を対象にセミナーや商談会を実施するとともに、伝統工芸の実演やものづくり産業の紹介などを行いまして、東京の魅力をわかりやすく伝えていく手法をとってございます。
 昨年十月に実施いたしました欧州でのシティーセールスでは、江戸木版画と東京銀器の実演などを行い、好評を得たところでございます。
 今後とも、シティーセースルを実施する際には伝統工芸の実演等を行い、東京のPRに努めてまいります。

○和田委員 私も伝統工芸展にはしばしば足を運びます。一庁で行われたのにも足を運んで、小さな場所しかなかったんですが、まじめに努力されている姿に心打たれました。ますます応援をしていただきたいと思うんです。
 産業労働局は、電気街として世界に有名な秋葉原にIT先端技術の拠点をつくろうと今しておりますが、そのすぐそばに台東区だとか墨田区の伝統工芸の産地があります。今日的なITの先端技術の拠点と台東だとか墨田の伝統工芸を結ぶ、いわゆる江戸、現代、未来という東京ものづくりの系譜、観光ルートといったようなものをつくって諸外国にPRすることによって、随分観光資源にもなり、販路の拡大につながると思うんでありますが、これについての所見をお伺いいたします。

○有手産業労働局長 秋葉原のIT産業の拠点と台東、墨田の伝統工芸を組み合わせました観光ルートは、新しいものと伝統的なものとが共存した東京のよさを同時に体験することができ、外国人旅行者にとって魅力あふれる観光資源となると考えます。
 さまざまな観光資源を活用した観光ルートの実現に向けまして、まずは地元自治体を初め、伝統工芸の業界団体等と十分協議することが必要でございます。そして、その結果を踏まえまして旅行会社等の観光関連業界と協議の上、観光ルートを開発いたしまして、外国人旅行者の誘致を図るとともに、伝統工芸品の販路の拡大に努めてまいります。

○和田委員 国際都市東京を標榜しているわけでありますから、ぜひ今ご答弁のとおりの実行をお待ちをいたしたいと思います。
 私はその上で、伝統工芸品の保護、育成について重ねてお伺いしたいんですが、まさにそのような形で活力の出てくるようなルートに乗る産業、伝統工芸品はいいんでありますけれども、なかなかそうはいかないところもあります。
 そこで、東京の文化振興の観点からも、より積極的に、絶えてしまいそうな伝統工芸品の支援、それをどのようにお考えでありましょうか。

○三宅生活文化局長 東京の伝統工芸品は、江戸以来の洗練された職人のわざを今日に伝えるものでございます。世界に誇るものづくり文化を象徴しております。
 江戸開府四百年事業は、こうしたすぐれた蓄積を再発見する事業でございますので、伝統工芸品につきましても、その技術や魅力を紹介するさまざまな事業を展開しております。例えば民間では江戸指物展や江戸切り子とガラス茶道具展を開催しておりますし、東京都では、江戸東京博物館において、都民や観光客を対象に、都が認定した伝統工芸士によります、つまみかんざしの体験教室も行っております。また、江戸東京たてもの園では手がきの友禅などの制作実演も行っております。
 今後も、都の文化施設を活用して、伝統工芸品の展示や体験教室を開催いたします。文化の視点からも積極的にPRしていきます。

○和田委員 各所で大小は別にして展示会や実演をされているので、大変心強く思っておりますが、ますますそれを支援していただきたいというふうに重ねてお願いをいたしておきます。
 次に、子どもの命を守る施策の現状についてお伺いをいたしたいと思います。
 最近の子どもたちは、小さなころから下にも置かないような育て方をされて、わがままいっぱいに育ち、社会の最低限度のルールが身についていないような子どもが一方で多くいることを私どもは確認をします。その一方で、食事もきちんと与えられず、親の暴力にさらされて育つ子どももいるという両極端が今あるわけであります。
 いうまでもなく、虐待は子どもの心身に深刻な影響をもたらします。時には命を落とすこともあるわけであります。そうした虐待を受けている子どもたちをどのように救い出すのか。私たちがすべてを解決することは難しいにしましても、まず緊急に取り組むべきことは、現に傷ついている子どもたちを助け上げるということだろうと思うんです。
 国は、児童虐待防止法の施行が三年たちました。国の方でも、この改正時点で警察権力の介入というようなことまでも位置づけて、緊急対応に手を染めたわけでありますけれども、なお課題も多く残されております。その点について、数点お伺いをいたしたいと思うんです。
 都は、国に先駆けて児童虐待対策をさまざま進めてきたことは評価をいたしますが、児童相談所における虐待の相談件数、受理件数、近年と比較してどうなっているのか、お伺いをいたしたいと思います。

○川崎福祉局長 都の児童相談所におけます虐待の相談件数は、近年増加の一途をたどり、この十年間で十五倍増というふうにふえてまいりました。しかし、今年度に入って久しぶりに減少に転じ、平成十五年一月末の相談件数は千七百八十四件であり、昨年同時期の約八割となっております。
 この間、都は虐待対策のための専管組織の設置、土曜開庁の実施、さらに職員の大幅増員など体制の強化を図り、虐待対応策の充実に努めてきました。

○和田委員 今ご答弁のとおり、数はここのところへ来て減って、私どももほっとしているんですが、まだまだ潜在的な虐待があるのかなという危惧も捨てることはできません。
 そこで、早期に発見するということも含めて、関係機関のネットワーク構築が必要だと思うんでありますけれども、どのようにこのネットワーク構築に取り組もうとされようとするのか、お伺いをいたしたいと思います。

○川崎福祉局長 ご指摘のとおり、虐待の早期発見に向けて、子どもと身近に接している学校や保育所等が虐待に対する認識を深め、対応力を高めていくことは大変重要であります。
 このため、都は今年度から、区市町村を核として、地域の身近な関係機関が密接に連携しながら虐待への対応を行っていく虐待防止区市町村ネットワーク事業を開始いたしました。
 今年度は、この事業を十五区市で実施いたしましたが、来年度はさらにこれを三十七区市町村に大幅に拡充していく予定でございます。

○和田委員 今年度が十五、それから来年度、十五年度は三十七ということで倍増以上にするということで、受け皿といいましょうか、そういうことは充実をしてきていると思いますが、ぜひますます力を入れていただきたいと思うんです。
 そこで、虐待を発見しなきゃなりません。その発見をするためには、どういう取り組みを今具体的にされているんでありましょうか。

○川崎福祉局長 虐待に対する関係機関の取り組みを強化するため、都はこれまで虐待発見のポイントやその具体的なかかわり方、虐待を発見した際の対応の仕方などをマニュアル化し、これらの機関の核となる区市町村に配布をいたしました。また、今年度は、関係機関を対象とした虐待防止のシンポジウムを四回開催いたしました。
 こうしたことに加えまして、児童相談所職員が、民生、児童委員や学校、さらには地域とのさまざまな協議の場などにおいて、虐待防止のための具体的な対応について説明し、虐待の予防と早期発見に努めております。

○和田委員 そこで、具体的には養育家庭についてお伺いをしたいと思うんです。
 虐待とも深くかかわっておりますが、養育家庭をふやして、子どもが安心して養育家庭で暮らせるためには、都民や学校での養育家庭に対する理解をもっと深めて、協力体制を組んでいく必要があると思うんですが、それに対して、都はどのように施策を編んでいるんでしょうか。

○川崎福祉局長 養育家庭の登録数は横ばいであるものの、委託児童数は、児童相談所の積極的な取り組みもあり、昨年度末と比較し、現時点で約一五%増加をいたしました。
 養育家庭をふやしていくためには、まず何よりもこの制度についての理解と関心を得ることが必要であり、このため、今年度はさまざまな媒体を活用したPR活動を行ったほか、養育家庭体験発表会の開催、学校の先生、民生、児童委員などに対する働きかけを行ってきました。
 来年度はこれをさらに進め、新たに区市町村の子ども家庭支援センターと連携して、養育家庭制度の周知や開拓に取り組んでまいります。

○和田委員 来年度、市区町村の子ども家庭支援センターと連携するということで、二層制になっていた都と市区市町村のセンターが相互補完といいましょうか、一体性を持つことによって、これで子どもは随分虐待から救われるかなと思うんで、期待をいたしたいと思うんです。
 そこで、肝心な養育家庭に対する支援体制なんですけれども、しばしばいわれておりますが、どのような強化策をお考えでありましょうか。

○川崎福祉局長 養育家庭が安心して委託児童を育てるための支援体制の強化策として、今年度、児童相談所内に新たに養育家庭のための専管組織を設置したほか、養育家庭相互の交流を図る拠点となる養育家庭支援センターや、養育家庭が日ごろの悩み事などを気楽に相談できる養育家庭支援員の制度を整備いたしました。
 来年度はこれらに加え、養育家庭の負担を軽減するため、新たに一時的に子どもを預け休息できるレスパイトケアを実施するなど、支援体制の充実に努めております。

○和田委員 今は、福祉ですとか、教育とか、警察というふうな形で、縦割りで子どもの虐待等に気を配っていただいてまいりましたけれども、これからは新しく官民が協働して養育家庭を支援していくセンターというものが私どもは必要だろうということを日ごろ考えておりました。
 そこで、そのような、将来的にはそんなことを求めながらも、当面当局がより強く連携をして、それぞれの部署部署が取り組んでいくべきと考えるんですが、どのような意欲と覚悟をお持ちでしょうか。

○川崎福祉局長 ご指摘のとおり、子どもに関する施策については、さまざまな局が対応しており、子どもの最善の利益の実現を図っていくためには、それぞれが共通の認識を持ちながら、密接な連携強化のもとに事業を推進することが重要であると認識しております。
 福祉局では、お話の児童虐待対策や養育家庭制度、さらには障害児対策などの施策を推進するに当たって、学校、保健所、病院、警察など関係機関との緊密な連携を図りながら、子どもが安心して健やかに育っていくよう努めております。
 今後、さらに事業の円滑な推進に向け、組織の垣根を超えた横断的な連携を一層強めてまいりたいと思います。

○和田委員 食品安全に関連してお伺いをいたします。
 平成元年にチェルノブイリの原発事故によって食品の放射能汚染が問題となりました。そこで、五十五万人という都民が食品の安全確保に向けた条例制定を直接請求したわけでありますが、当時の鈴木知事は、極めて消極的な附帯意見をつけて条例案を議会に提案をしたわけです。二回にわたる継続審議を経て否決されてしまいました。しかしながら、食品安全にかかわる基本指針の策定ですとか、食品安全関係予算の倍増ですとか、消費生活条例の改正が行われるとか、そういう前進があったわけであります。
 それで、これまで都として、過去のこういう経緯を踏まえながら、食品の安全問題にどのように対処してきたのか、経緯とあわせてお伺いをいたしたいと思います。

○三宅生活文化局長 お話の平成元年の食品安全条例制定を求める直接請求や議会のご審議を契機としまして、都は、食品安全確保について全庁的な取り組みを進めるために、同年十月に、区市の代表を含む食品安全行政連絡会議を設置いたしまして、平成二年に東京都における食品安全確保対策にかかる基本方針を策定いたしました。その後、遺伝子組みかえ食品の登場やO157による食中毒問題など、食をめぐる状況の変化に対処するために、平成十一年に基本方針を改定いたしました。
 この基本方針に基づきまして、連絡会議では日常的に食品安全確保対策につきましての意見交換、連絡調整を行いまして、関係部署の垣根を超えて一体となって施策を推進してまいりました。

○和田委員 東京都はBSEの発生があった際に相当活躍をされて、急遽の手段を打たれたと思っているんですが、その事態についての簡単な説明をお願いいたしたいと思います

○長尾健康局長 平成十三年秋のBSEの問題が発生した時点の話ですが、当時関係する局が都庁内部でも何局かございまして、直ちに連携体制をとりまして、さまざまな観点から迅速な対応を行い、あわせて都民への情報提供に積極的に努めてまいりました。

○和田委員 私も過般、イギリスに行ってBSEの調査を、都議会民主党の仲間と行ってまいりましたが、東京の措置というのが相当評価をされていたということを海外でも聞いておりますので、今のご答弁はまさにそうかなと思っておりますので、ますますその姿勢を崩さずにお願いいたしたいと思います。
 それから、食品安全確保に関する基本方針がもう既にあるわけでありますけれども、国は現在、食品安全基本法ですとか食品衛生法の改正を今考えておりまして、国会に提出しております。
 そこで、こうした中で新たに制定される、これから東京都が考えている条例と国の法律、それから都民生活、食の安全、この関係がどのようになっていくのか、お伺いをいたしたいと思います。

○長尾健康局長 食品の安全は国民全体に確保されることが必要であります。そのため、法律により安全確保のための諸制度や食品等の規格、基準が定められております。しかし、法の規定だけでは対処できない課題もありまして、大消費地としての東京の実情や都民の要望に応じた独自の対策を講じることが必要でございます。
 今回、私どもが新たに制定を予定しております条例は、こうした考え方に基づきまして食品安全確保施策の一層の充実を図りたいと考えているものでございます。

○和田委員 そこで、条例制定に当たってどういう課題が今予定というか、想起されるのか、あるいは想定されるのか、問題の解決しなければならない課題はどうなのかという点とあわせてお伺いします。
 制定の時期、あるいは制定の見通しなどについてお伺いをいたしたいと思います。

○長尾健康局長 今日、食品は、自治体の区域を越えて流通しており、国内はもとより世界各地で生産された食品が都民の食卓に上っております。このように広域的に流通する食品に対しまして、都の条例でどのように実効性のある対策を講じていくか、これが大きな課題でありまして、現在、そこら辺について各局でいろいろ詰めを行っております。
 今回の条例の制定は全国的にも初めてでございまして、課題もたくさんございますが、精力的に検討していきたいと思います。
 なお、時期のことですが、広く都民や、あるいは関係者の意見の必要があることもございます。また、実効性のある対策を具体的に講じる必要があることもございます。できるだけ早期の制定に向けて検討を進めていきたいと考えております。

○和田委員 国民生活センターの調査で、これは昨年の十月から十一月にかけてなんですが、家計を預かる主婦の六割が食品表示に不信を持っているというデータが出ています。そこまで食品に対する信頼が失われたかなということを残念に思うと同時に、その回復は、東京都の施策が回復をさせていく仕事、任務だろうなと思います。というのも、いたずらに不当表示などした場合には、もう東京都では仕事ができない、東京都はそれを根気強く指摘をしていく。そういう緊張関係が消費者と生産者の間にあることによって、都民の食品安全というのはしっかり守られていくのではないかなと思うものでありますから、あえて意見を添えさせていただくところでございます。
 次に、教育行政について二点お伺いをいたします。
 一点は、都立盲・聾・養護学校の教育環境整備についてでございます。視聴覚障害者や聾唖者にとっては、コンピューター等の利用によって自己表現の幅が広がってくるといわれております。そういう意味で非常に重要なツールであると考えるわけでありますが、盲・聾・養護学校におけるコンピューター等の活用による教育的効果について、どのような所見をお持ちか、お伺いいたします。

○横山教育長 盲・聾・養護学校に配置されていますコンピューター等には、普通の文字を点字に変換したり、音声を文字に変換したりするなどの機能がございます。こうした機能を活用することで、幼児、児童生徒の障害を補完し、学習への興味、関心や意欲を高めまして、学習内容の理解を助けて、社会参加や自立を促すなどの教育的効果があると考えております。

○和田委員 今、東京大学の先端科学研究所センターの助教授をされている福島智さんという方がいます。この人は、一九六二年兵庫県で生まれて、九歳で失明して、十八歳で失聴、耳も聴覚を失って、全盲、聾の二重の障害を体にしょってしまいました。しかしながら、都立大学の人文学部を出て、盲聾者として日本で初めての大学入学者となって、都立大学の大学院を出た後、頑張って金沢大学の助教授になって、今、二〇〇一年から東京大学の先端科学技術センターの助教授として頑張っている方がいるんです。
 その人は、我々が出る集会でいつも指点字というので会話をするわけでありますけれども、こういっています。ヘレン・ケラーさんに使ってほしかった電子メールと題する随筆を書いているんです。ヘレン・ケラーに使ってほしかった電子メール。盲聾者にとってのITとは、人対機械ではなくて、人対人、それを可能とするものだとおっしゃっているわけであります。
 こうしたことから、通常の学校におけるIT教育に比べて、その効果というものが大きい、あるというふうに私は思うんですが、どのような感想をお持ちでしょうか。

○横山教育長 ただいまのお話は、障害のございます幼児、児童生徒の教育を進める上で大変な参考になりました。今後とも、障害のある幼児、児童生徒が、それぞれの能力やその可能性を最大限に発揮、伸長できるようコンピューター等の有効活用を一層進めてまいります。

○和田委員 そこで、現場の都立盲・聾・養護学校のIT機器の整備状況、そしてまたコンピューター等の更新というのはどういうふうになっているのか。半年、数カ月で古くなってしまうという、そういうコンピューターでありますけれども、更新の状況はどのようになっていらっしゃるんでしょうか。

○横山教育長 盲・聾・養護学校におけるコンピューターの整備状況ですが、平成十四年三月現在、一校当たり約三十台で、このうち幼児、児童生徒用の教育用パソコンは約十五台でございます。
 また盲・聾・養護学校全体へのインターネット接続は平成十三年四月に完了しまして、インターネットを活用した調べ学習、あるいは情報収集、データの検索、ビデオカメラの接続によりますテレビ電話等の学習が行えるよう整備を図っております。
 なお、パソコンの更新につきましては、リース契約による五年更新を基本といたしております。

○和田委員 パソコンの更新はリース五年ということであります。もちろん、ぜいたくを申し上げるわけではありません。しかし、すぐに陳腐化するというのがこのコンピューターの世界でございますので、そういう点にも配慮していただいて、さきに申し上げた福島助教授のお話のとおり、機械対人じゃなくて、人、人、機械という、そういう関係をコンピューター社会は、盲、聾、養の方々に創出をしてきたという、そういう評価をぜひしていただいた上での施策をお願いしたいと思うんです。
 盲・聾・養護学校におけるコンピューター等を活用した教育の推進に向けた今後の教育委員会としての対応、これは今までの質問、答弁を通じてどのようにお考えか、所見を伺います。

○横山教育長 都教育委員会としましては、盲・聾・養護学校におけるITを活用した教育を一層推進しますため、昨年十月に葛飾ろう学校を、ITを活用した教育推進校として指定をいたしました。葛飾ろう学校では、教育にITを活用することによりまして、障害の状態の改善、克服、障害に応じた指導方法や、教材の開発、ITによる授業革新などを進め、教育の質の向上を図っております。
 こうした葛飾ろう学校の組織的な取り組みや、指導方法等の研究の成果を検証しまして盲・聾・養護学校全体に普及させ、障害のある児童生徒の個に応じた指導を充実し、特色ある学校づくりを推進してまいります。

○和田委員 ITによって能力開発がされることによって、進学ですとか、社会参加も含め、極めて有効に、効果的にITと体の不自由な方々の連携が保たれるという学会の調査結果もあるわけでございますから、現場の教育庁は、その辺のところに心をいたして、ぜひとも今後とも、都立盲・聾・養護学校の教育機器整備及びその効果の点検に意を用いていただきたいということを申し上げておきます。
 次に、教育相談センターのあり方についてお伺いをいたします。
 これは二年ほど前に議会で大きな議論を巻き起こしました教育相談センターの一元化というテーマがありました。それからちょうど二年たつわけでありますけれども、その成果がどのようになってきているのか。二年間たってどうなのかということをまずお答えをいただきたいと思います。

○横山教育長 東京都教育センターにおける平成十三年度の来所相談件数は六千六百十六件で、そのうち多摩教育センターで行った件数は二千三百七十五件でございます。相談機能を一元化したことによりまして、相談者の相談ニーズに合った担当者を派遣することができ、より専門的な対応が可能になったものと考えております。

○和田委員 これは要望になるんですが、今までの制度が改変されて、いろいろと要望なり不満もあるかもしれません。多摩の方のセンターなんですけれども、利用者の声などというものを聞くアンケートになるんでしょうか、そういうペーパーなど置いていただいて、日々これ、都民の声にこたえられるような、そういうセンターの運営を図っていただければなと思うんです。それにはそんなにお金もかかるわけではありませんから、きめの細かな、お声を聞くツールにしてほしいというふうに思います。
 次は、成果については今お聞きをしました。しかし、一元化による危惧として、東京都の教育センターは多摩地域から遠隔だということ、緊急かつ複雑な相談に対して適応できるのかどうかという声があったわけであります。これについては、改めてお伺いしますけれども、その不安はもう払拭されたというふうに理解してよろしいですか。

○横山教育長 相談機能を一元化したことによりまして、相談者が東京都教育相談センターもしくは多摩教育センターのどちらかを選択できるようになったこと、また相談内容に最もふさわしい専門相談員に相談できるようになったことなど、これまで以上に相談者の立場に立った相談活動が円滑に進められるようになったものと考えております。

○和田委員 東京都の相談センターと、それから区市町村にもあるんですけれども、相談センターとの連携についてお伺いするんです。
 東京都の相談センターの事業概要には、教育相談機関代表者会及び教育相談担当者会議などを開催するなどし、都と区市町村及び各区市町村間の教育相談機関のネットワークを構築すると、こうなっているんです。ところがある区の同じ相談の窓口の概要を見ますと、原則として何々区に住んでいる幼児から二十歳ぐらいまでのお子さんと云々となっていて、極めて閉鎖的、こちらは開放的、どのようにこの辺を一元化していこうとされているんでしょうか。

○横山教育長 都の教育相談センターでは、区市町村の教育相談等と定期的に連絡会や研修会を開催しまして、教育相談に関する情報を提供したり、児童相談所、少年センターなどの関係機関と連携を図っております。
 また、これまでも都教育相談センターの担当者を区市町村の教育相談室に派遣しまして相談機能を高めるような指導を行っております。お話のような事例がありますので、今後とも、区市町村の教育相談室が身近な相談機関として十分にその役割を果たすことができるよう、区市町村教育委員会を支援してまいります。

○和田委員 区市町村の教育相談所の相談員の方々、おおむね退職校長さんが多いようにいわれております。東京都の場合には窓口という形で機能分担がされていて、それはすばらしいと思うんですが、区市町村には一部退職校長さんがやっていらっしゃるところがあるということをいわれております。そこで、よくいわれるんですが、電話相談の基礎を理解していない相談員が対応しているだろう、あるいは相談者の多い夕刻以降には相談員がいなくなっちゃってしまっているというような事例が出てくるわけであります。
 そこで、さらに都と市区町村の教育相談窓口の連携を強化して、市区町村の相談機能の充実をしっかり図っていくべきだというふうに思うのでありますが、この現状をしっかり認識するという調査も含め、それぞれ抱えている子どもの教育の問題、生活の問題あるわけでありますから、相談窓口がしっかりしてほしいという意を込めて、再度答弁をお願い申し上げます。

○横山教育長 いろいろ子どもたちが抱えます教育の課題というのは多々ございます。そうした中で、教育相談の機能というのは非常に重要なものであると認識いたしておりますただいま、るるお話がございましたが、非常に相談機能を低下するような事例もございますので、先ほど申しましたが、今後とも、区市町村の教育相談室等がまさに身近な相談機関として、住民にとって十分にその役割を果たすことができますよう、区市町村と教育委員会ともますます連携を強めてまいります。

○和田委員 終わります。(拍手)

○宮崎副委員長 以上で和田宗春副委員長の発言を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩をいたします。
   午後六時十三分休憩

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