東京都議会予算特別委員会速記録第二号

   午後三時十八分開議

○森田副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 木内良明理事の発言を許します。

○木内委員 私は都議会公明党を代表して、都政の重要課題について知事並びに関係局長にお伺いをいたします。
 まず、緊急の問題といたしまして、先ほども議論がございましたけれども、十八日に起こった韓国の地下鉄火災事件に関連してお伺いをいたします。
 この質疑に先立って、あの事故で不幸にして命を落とされた方に、心からお悔やみを申し上げますとともに、また、負傷された方々に衷心からお見舞いを申し上げるものでございます。
 十八日の事故、そして、いち早く昨日、私ども都議会公明党は、知事あてに要望書をお持ちをいたしました。交通局長おられますかね。ちょっと手を挙げてくれますか。--はい。三点について申し入れを行ったところであります。一つは、施設の安全対策の強化ということ。もう一つは、点検作業の充実ということ。さらに、三点目といたしまして、安全誘導対策マニュアルの検証、こういった点を柱に申し入れを行ったところでございます。
 先ほどの星野理事との質問の競合は割愛をさせていただいてお尋ねをするわけでありますが、この議論の中で大変印象的であり、さすがに知事の見識だと思いましたくだりを、今思い出しております。すなわち、ハード部分についての我が国の地下鉄の技術、あるいは運行のマニュアルの集積というものは、大変に韓国とは彼我の差があるということでございまして、ハード部分については大変に優位性がある。しかし、ソフト部分については、これはまた別の問題だという言及があったわけであります。
 まだ十分な状況が掌握されていない段階でありますけれども、新聞報道等によりますと、火災が起こった。対向路線から電車が来た。その電車が通過すればいいのに、そこでとまってしまった。とまって、また、ドアを閉めたまんま時間が経過してしまって、いわば安全誘導が行われないまんま大惨事につながってしまった。これはまさに、私は人災ではないかという印象を強くしているわけであります。原発の事故についてもよく言及されることでありますけれども、ルールだとか設備というのは別問題であって、その事故の多くはヒューマンエラーに起因するものということがよくいわれるのであります。
 したがって、今、知事がいわれた技術的、ハードの面での優位性について、確認の意味で、まず一点だけお尋ねをいたしますけれども、新聞報道によると、韓国の地下鉄火災におきましては通電機能が停止してしまって、真っ暗やみになってしまって、このために避難、救助活動が大変におくれたといわれておりますけれども、例えば東京の都営地下鉄を初めとして、一点だけ聞きますが、その機能はどうですか、松尾局長。

○松尾交通局長 お答えいたします。
 都営地下鉄では、駅への送電系統が二系統となっておりまして、停電が起こりにくい、安全度の高いシステムとなっております。
 なお、万が一停電が発生いたしましても、非常用発電機や各駅に設置した蓄電池によりまして、駅の非常照明、誘導灯、非常放送、排煙等の設備へ送電できるシステムとなっておりまして、これによりお客様を安全に避難誘導することができると考えております。

○木内委員 今答弁があったように、これはハード面の一端でありますけれども、かなり二重三重の安全策というものが講じられているのが、東京都の地下鉄交通網ではないか、こう思うのですが、申し上げておりますヒューマンエラーに起因する事故というのは、これまた彼我の差はないわけでありまして、誤解を恐れずに申し上げれば、今回の事故を教訓として、東京における地下鉄網あるいは交通網の安全策に反映をしなければならない。
 そのために、ソフト面のいわば調査、検証も含めて、一時調査団を現地に派遣するなりして、今後の東京都の施策に生かしていってはどうかと思うのですが、一言いかがでしょうか。

○石原知事 いかにハードが完備されているとはいえ、ああいう構造的に非常にふくそうした地下の建物でありますから、どういう事故が想定されるか、本当に想定すれば切りがないことでありますけど、それを十分踏まえて、その種の想像力のある、想定力のある専門家にチームをつくっていただいて、念のためのチェックというものをしていただく、経営者、当事者たちにもそれを再確認させていただくと思っております。

○木内委員 ここで本題に入らせていただきます。
 既に本会議における代表質問の日程が終わりまして、この中で知事のさまざまな答弁に接したわけであります。私は大変印象的だったのは、複数の頻度で、四年間というものを、この定例会中に知事はご自分なりに総括をし、反省をしというようなことをいわれておられましてね、恐らく知事の語彙といいますか、ボキャブラリーの中の謙譲の意味を込めての反省ということであったと思うのですけれども、意外な感じで実は聞いておりました。
 翻って十五年度の予算編成についてでありますが、よくいわれることは、経済の顔は株価にあらわれ、政治の顔は予算の数字にあらわれる、こういうふうにいわれているのであります。そういう中で、この十五年度予算に際しての編成作業に、知事のもと当たられた実務担当の方々のご苦労は大変なものであったということが、十分私には推察できるのであります。
 私なりに考えてみますと、今回の予算編成の特徴というものは、三つあるであろうと。一つは、税収減と財源不足への対応ということ。もう一つは、重要課題などいわゆる都民サービス向上に向けての施策の充実もその中でしなければならない。もう一つは、やはり財政再建と都財政のいわゆる対応能力の向上。主計部長もよくいっておられるわけでありますけれども、こうした点に大変なご苦労があった。いってみれば、この三つのテーマについて、三つの未知数を解き、進んでいかなければならない。連立方程式を解くような予算編成であった、こういうふうに思うわけであります。
 こうした結果、編成された予算原案でありますけれども、精査をさせていただきました。これまで私どもが訴えてきた都民生活とは密接不可分な領域にある、例えば中小企業雇用対策、あるいは医療、福祉、保健、さらに教育、環境といった重要課題について、十分な気配り、また予算配分をしながら、重要施策の策定をも行っている、ご苦労の結果だと思うわけでございます。
 また、こうした財源の確保のためには、私どもがこれまで強く主張してまいりました行政改革、例えば組織、定数の見直しでありますとか、管理団体の統廃合などを懸命に進めてこられた結果の、今回の十五年度の予算原案である、こう思うわけでございます。
 この予算原案というのは、もう一方の視点から見ますと、石原都政におけるいわば一定の最終年度の集大成ともいうべき予算編成である。また、財政再建プランからいけば、十五年度が最終年度である、こういう位置づけのものであろうかと思います。
 したがって、冒頭申し上げたように、お聞きしたいのでございますけれども、知事が本会議でおっしゃっておられた、大変な自負もおありになり、その上で総括もし、反省をされる。非常に奇妙で新鮮な印象を受けたこの反省をされるということを、どんなふうに受けとめたらいいのでしょうかね。どんなお気持ちでおっしゃいましたか。

○石原知事 就任前の選挙とそれから就任早々も、自負を込めて幾つかの公約というのでしょうか、私の代になっての新しい政策について説明も申し上げました。苗がやっと植わったものもありますし、植えたつもりでどうも育たぬものもありますし、そういう点で非常に焦慮も感じております。
 特に私、非常に不本意といいましょうか、結局自分の責任でありますけれども、反省を込めて、やっぱり今後はやり方を変えていかなくちゃいかぬなと思った点が幾つかあります。
 それは、私も長いこと国会におりました。そのときの人脈というか友人もたくさんおりまして、それらを、活用するというのはかなりな--必要ですけれども、てこにして、もうちょっと国と都のかかわりが素早く持ち上がるのじゃないかと思いましたけれども、どうも人を得なかったのか、場合によったらうまくいったのもありましたが、いろいろ焦慮を重ねましたし、ここでは申せませんが、結果がわかってみりゃ、裏切られたものもありました。
 それからやはり、ここにも記者室がありますけど、私はまあ、一応の連中が集まっていると思いますし、向こうにも見知りの記者もおりますが、メディアを信頼というか期待し過ぎまして、もう少し物の本質を理解して、つまり都のために、国のために、そういう報道もしてもらえるのかなと思いましたけど、何割かのものは、メディアがうまく働いてくれましたが、私も家庭教師じゃありませんから、起承転結全部を記者会見なりで話すわけにもいきませんのです。そこら辺がやっぱり、人にもよるのでしょうけれども、期待を外された部分もありますし、かなった部分もございますが、これから先のことは七日に申し上げますけど、とにかくいろんな反省をそういう点でせざるを得なかった点が多々ございます。

○木内委員 極めて率直、明快な真情の吐露に触れて、私は知事の人間性に触れる思いがしまして、大変恐縮でございました。やはり人生の財産ともいうべき人脈、またこうした方々にもさまざまな対応があったということが一つ。
 やっぱりメディアについては、実は私も同じ感懐を持っておりまして、国をリードする先進的な東京都の施策の提案、あるいは行政の方がご苦労をされてこれに答えるような、いわゆる議論をして成果を紡いでいくというようなプロセスも随分あったのですけれども、やはりメディアでは一定の制約があるのか、そうした報道が、なかなか期待するようなものでなかったという点もあります。
 さて、財政の核の問題の一つであります外形標準課税の問題であります。
 さきに高裁の判決が出ました。具体的な論評は避けるわけでありますけれども、例えば、主たる争点でありました事業税の性格、あるいは「事業の情況」の解釈、あるいは課税基準である業務粗利益など、東京都の主張しておりました大宗部分については、これは評価をされ、的確な判断が行われたと、こう思っておるわけでありますが、均衡要件の部分については違法とされて、実質的に実は財政問題へのいろいろな影響性というものを我々は仮定をしなければならない、こういう残念な結果になってしまったのであります。いわば課税自主権というものが認められなかったということになるわけであります。
 私どもは、さきの本会議の代表質問におきまして、この税負担の問題について、東京都の主張というものを、より論理的、実証的に明らかにすることで裁判に臨むべきである、これをてこにすべきである、こういうふうに訴えたところでありますけれども、いわば一審、二審というものは事実審でありまして、法律審である上告審で具体的な、申し上げた論理的整合性、主張性というものを盛り込んでいくべきだと、こう思うのですが、担当局長、どうでしょうか。

○安間主税局長 理事ご指摘のように、控訴審では、ただ一点、税負担についての都の主張が十分理解されず、敗訴という遺憾な結果となったところでございます。
 都の銀行外形条例は、地方公共団体の立法裁量権の範囲内にあるというベきでございます。司法判断においても、最大限に尊重されなければならないというふうに考えております。
 こうした観点に立ちまして、上告審では、高裁判決が、地方税法第七十二条の二十二第九項の均衡要件の解釈を誤っていることを指摘するとともに、今回の国の外形課税の税率設定の考え方と軌を一にする税負担水準の正当性など、都の主張が理解されるよう全力を尽くしてまいります。

○木内委員 最高裁での勝訴を、私は確信をしておりますし、また我が党としても全面的に支援をしてまいりたい、こういうふうに思うのでありますけれども、ただ、世論を含め一部に、この上告審での逆転勝訴ということに一抹の不安を示す向きもないわけではないのであります。例えば、差し戻しになれば勝ったも同然だとか、あるいは、和解に持っていった方がいいのじゃないかとか、さまざま風評が飛んでいるわけでありますが、私の気持ちは、冒頭申し上げたとおりであります。
 例えば、東京都の訴訟の中で、最高裁で逆転勝訴をした例というのはこれまでにありますか。

○安間主税局長 銀行外形訴訟につきましては、最高裁において都の主張が認められるものと確信しております。
 お尋ねの、都にかかわる裁判で、控訴審で都が敗訴し、最高裁で逆転した例といたしましては、譲渡担保による不動産の取得に対する不動産取得税の課税をめぐって争われた訴訟、並びに財団法人に対する固定資産税及び不動産取得税の課税をめぐって争われた訴訟などがございます。

○木内委員 知事の著作の中に、「わが人生の時の時」というのがありますが、全力で目前の課題に取り組むという、感動した作品なんですけれども、実は、私はこれを思うんですよ。裁判は戦いですから、戦いに臨んだら勝つということで、当事者として頑張ってください。
 ところで、東京都が先駆的に実施をいたしましたこの外形標準課税は、十六年度から国によって税制改正で行われるために、基本的に都が実施できなくなると、こうされているわけであります。
 で、全国ベースの外形標準課税が導入されますと、いわゆる赤字法人税問題は、法人事業税については一応の決着がついてしまう形になる。しかし、この外形基準の割合が四分の一にすぎないことを考えますと、今日の厳しい財政状況が続く場合には、例えば外形標準課税を二分の一にするなどの、こういう検討も避けられないのではないか、これが私は実態だと思うわけであります。
 また、国の外形標準課税導入による税収というものは、都の銀行外形課税による収入と比較して、かなりの減収になるのではないか、こういうふうに思うわけであります。
 国は一方で、地方のために行ったと、こういっているわけでありますけれども、既に先導的に実施してきている東京都にとっては、今後、さっき申し上げた課税自主権ですとか、あるいは税源確保の立場から、法人課税のあり方について真剣にこの点から検討しなければならないのではないか、こういう危惧を私はするのですが、提案するのですが、どうですか。

○安間主税局長 都はこれまでも、地方税収の安定化等の観点から、中小法人の負担や景気の動向等に配慮しつつ、外形標準課税を導入するよう、国に提案要求してまいりました。
 今国会に提案されております国の外形課税は、対象を、全国法人数の約一・三%に当たる資本金一億円超の大法人に限定するなど、都の提案要求に沿うものでございます。外形基準の割合が、当初案の二分の一から四分の一に縮減されるなど、なお不十分な点はございますが、都が先鞭をつけた取り組みが全国の制度として結実することは、地方主権を確立する上でも意義を有するものと考えております。
 今後とも、ご指摘の地方税源の充実、課税自主権の拡充の観点から、法人課税を含め、地方税のあり方について検討してまいります。

○木内委員 ところで、全国ベースの外形標準課税が実施されることになりますと、都の銀行外形は原則として適用できなくなるわけです。
 その中で、日本銀行について触れたいのですけれども、これは国の外形課税の対象から除外されているのですね。日銀の納税状況はどうなっているか。特に平成八年度から十年度において、日銀は東京都と国に対してどういう納付状況であるか。
 といいますのは、十六年度からの国の対象基準というのは、一億円超ですね。で、日銀は一億円ちょうどなんです。ということは、一億円超ではないから対象にならないわけで、外されるわけですよ。これが大事なところなんです。お願いします。

○安間主税局長 日本銀行が今回の法改正による新しい外形標準課税の対象にならないということは、理事、ご指摘のとおりでございます。
 日本銀行の都に対する法人二税の納税状況についてでございますが、平成八年度から十年度までの三年度間は、毎年度、四百億円以上ございました。しかし、十一年度及び十二年度はゼロ、また、十三年度及び十四年度は、銀行外形導入に伴いまして、それぞれ約百三十億円、百五十億円となっております。仮に所得課税のままであれば、ゼロということでございます。
 なお、日本銀行は、国に対しましては、平成十一年度から平成十四年度までの四年間、法人税につきましてはゼロであるものの、国庫納付金として毎年度約一兆一千億円から一兆四千億円を納付している状況でございます。

○木内委員 今の答弁のように、かつて日本銀行は年間四百億円都に対して納税していた時期もあった。今度は、最近はどういう状況であるのかということが問題になるわけですよね。仮に都が外形課税を行っていないとした場合、最近の事業税額がどのぐらいになるのか、一つ。
 また、国庫納付金制度があるため、所得課税では事業税負担が著しく低くなる構造になるわけですけれども、国庫納付金制度の中身とあわせて簡略にお答え願えますか。

○安間主税局長 銀行外形課税を導入していなければ、先ほどお答えしましたように、ゼロということでございます。
 仕組みでございますが、日本銀行は、日本銀行法の特例規定によりまして、各事業年度の剰余金の額から国庫納付金を納付することとされておりまして、これは法人税や法人事業税の所得の計算上、損金に算入されることとなっております。
 平成十一年度以降、日本銀行の国庫納付金は毎年度約一兆一千億円から一兆四千億円となっておりまして、その分所得が減殺されるために、銀行外形が導入された年度以降は別として、都への納税額がゼロとなっているものでございます。

○木内委員 今の一定のご答弁もありましたけれども、翻って、日本銀行の規模を考えてみますと、申し上げたように、資本金こそ一億円とは少ないものの、例えば五千人を超える従業員を抱えて、全国に五十近い支店を有する、いわば大企業という位置づけができるわけであります。また、平成十四年度には、国に対して一兆四千億円もの多額の国庫納付金を納めているわけであります。
 それで、今お聞きしたんですけれども、地方の事業税負担がゼロになるなど、所得課税では日銀や国の胸三寸といいますか、判断一つでこれは納税を回避することができる。あるいは応分の負担をしないで済ます仕組みになっているわけでありまして、この点から見れば、私どもがいつも訴えております地方の課税権、これが侵食される結果になってしまう、こういっても過言ではないと思うんですね。
 こういう考え方に立って私は、日本銀行に対しては、今後とも引き続き、知事、都独自の自主権を行使して、外形標準課税を継続していくべきである、こう思うんですが、いかがでしょうか。

○石原知事 私も同感でございます。たしか今回の場合には、日銀だけはこの納税を忌避しなかったと思うんですけれども、いずれにしろ日銀も含めて、私は、そういうこと繰り返して申しますと、ポピュリズムとまたいわれるかもしれませんが、決してそうでなくて、あれだけ大きな業務を展開し、かなりの高額のサラリーを取り、役員の数は普通の企業より多くて、それが東京の与えているサービスをただで享受しながら、税金を一銭も納めないということの理不尽といいましょうか、不合理というのは、国民、都民、みんな理解しているわけでございまして、やっぱりこういう現実を見てもらいたいと思う。
 それから、この間もある対談で、破綻しました長銀の元の役員も話しましたが、我々の場合には当然、要するにああいうつまずきで経営者が責任をとられて被告になった。我々から眺めてみても、世間が寛容に過ぎるというか、今日の大銀行の実態というのは、余りにも、識者は知っているけれども、国民は知らされない部分が多過ぎるということをいっていましたが、調べれば調べるほどそういうものだと私は思います。

○木内委員 今、知事がいわれたように、識者は知っているけれども、一般の方がなかなか知らないという実態の象徴的な事例の一つだと、私はこんなふうに思います。
 大変意欲的なご答弁をいただいて、恐縮でございます。
 次に、産業活性化というテーマについて何点かお尋ねします。
 一つは、敗者復活システムの構築という問題であります。たしか昨年もこの場で、知事と私はさまざまな議論をさせていただいて、非常に知事の共感していただいての答弁も得ているところでございます。
 簡単に申し上げれば、我が国においては、一度事業に失敗してしまうとなかなか再起することが不可能だ。七転び八起き、どんなに意欲があっても、社会システムそのものが、水に落ちた犬をたたくような、そういう制度になっている。これを何とか変えようじゃないか。一方で、アメリカの社会を見てみますと、一九九〇年代初頭、経済が暗たんとしたあの社会の中で、アメリカは社会そのものが、事業破綻者に対しても、再チャレンジの機会をどんどん与えていった。七転び八起きの努力が可能な社会をつくっていった。そうしたベンチャーや当時の企業が、今はアメリカの経済発展を支える大きな一翼になっているということを申し上げました。
 そういう中で、例えばアメリカと日本を比較してみますと、アメリカでは事業に破綻した人の四七%が再起をしているという実態があります。日本では、申し上げた風土の中で、わずか一三%しか再起していない。十人に九人はそのまま落ちていくわけであります。加えて、我が国の社会システムでは、いわば融資を受ける際など、会社を興す際など、いわゆる担保として、自分の住まいや、あるいは不動産を全部入れますから、個人保証がついて回って、一回破綻すると、これが無限責任を強いられて、その結果、一家離散したり、あるいは一家心中になったり、夜逃げをしたりということがよくあるわけであります。
 ちなみに、この前もある商工団体と話しておりましたときにいわれたのは、去年三万人の人が自殺をしました。このうち恐らく、推測ですが、六、七千人の方々は事業破綻による自殺ではないでしょうかというようなこともいっておられました。
 前置きはこのぐらいにいたしまして、例えば、私ども公明党は、国においては、個人保証のあり方、あるいは事業破綻をした際の自由処分禁止財産の限定額のアップでありますとか、さまざまこのシステム構築に向けて東京から発信をされた形で今、国でも動いています。
 昨年の予特で、私は知事といろいろ議論をさせていただいて、このときに、その一環として、いわば事業破綻してしまった、住む家がなくなった、ローンが払えない、だけど再起をしたいという、こういう意欲のある人には、例えば力を蓄えて再起のための、いわゆる住環境を整備することが大事じゃないか。社会政策的なこの視点から都営住宅にもその枠を一定枠持って、そうしてそこに入っていただいて頑張れるように、東京都がまず国に先駆けてその制度をつくったらどうでしょうかと、こういった。産労局長から答弁があった、住宅局長からもあった。いろんな試行錯誤があったけれども、最終的に知事からは、それはいい提案だ、だけども、だれもかれもというわけにいかないから、一定のルールをつくって、そこでそういう体制をつくったらというご答弁もいただいたわけであります。
 そこで、意欲ある人が再挑戦できる社会システム、これについて、既に私は、この研究会を設置すべきだ、まず産労サイドで、産業労働局でこれは検討すべきだといってきましたけれども、この点についての認識はどうでしょうか、産労局長。

○有手産業労働局長 中小企業の経営者がやむを得ず事業の継続を断念した場合に、再び起業できることは、個人にとっても社会にとっても大変重要なことと考えております。
 そのために、東京都におきましては、研究会を立ち上げまして、意欲ある人が再挑戦できるシステムの再構築、これに向けまして、企業の再建と倒産法制、起業、創業のための資金支援、人材育成など幅広い問題につきまして議論してまいりました。
 その中で、再挑戦できる社会システムの構築には、国が果たすべき分野が非常に多いわけですけれども、都としても、できるものは順次やっていきたいと考えております。

○木内委員 今、有手さんいわれたように、国で果たすべき分野が多いんですけれども、都としてできることはやっていこう、こういう局長答弁だったと思います。
 同じことで、昨年以来、知事のこういう答弁があり、住宅局としても、このテーマについて検討を重ねてきたと思いますが、その経過についてご報告願います。

○橋本住宅局長 都営住宅をより都民に開かれたものとしていくため、その多様な活用についてこれまで検討してまいりました。
 さきに一般都営住宅へ拡大させていただきました期限つき入居制度におきましては、若年ファミリー世帯を対象とするとともに、マンション建てかえに伴う一時的な住宅困窮者を対象としたところでございます。
 また、一時的な住宅困窮者への支援といたしまして、住宅政策上、特に必要がある場合に対応できる規定を設けたところでございます。

○木内委員 都営住宅条例が改正された、三つの分野、例えば若年ファミリーへの期限つき入居、マンション建てかえ、それから住宅政策上必要とされる範疇についてという条例案がある。したがって、先ほどの産業労働局長の答弁も踏まえて、これまでの長い間の議論の経過を踏まえて、この第三の分野にこれが含まれるかどうか、また、含み得るかどうか、明快な答弁をしてください。

○橋本住宅局長 ご質問の規定でございますが、公営住宅の入居資格があることは当然でございますけれども、住宅の困窮が一時的であること、さらには住宅の困窮度の度合いなどの判断が必要となります。事業破綻者につきましては、これらの条件を満たす場合、検討の対象になるものと考えております。

○木内委員 橋本局長、これは最後の質問です。
 再チャレンジする事業破綻者の都営住宅入居、これまでの議論の経過を踏まえて、十五年度中にぜひとも実施されるよう提案します。答弁を求めます。

○橋本住宅局長 ただいまお答え申し上げましたが、規定の適用でございますけれども、木造密集地域の整備の促進や、一度経営に失敗したけれども再起の可能性が高い方の支援などへの活用が考えられるわけでございます。
 再チャレンジする事業破綻者につきましては、事業再建によりまして、一定期間で住宅困窮が解消されることの判断など検討すべき課題がございます。今後、関係機関と調整しながら、十五年度の具体的実施に向けて取り組んでまいります。

○木内委員 克服すべき課題はありますけれども、十五年度の具体的実施に向けて取り組んでいくということでありますから、答弁を了としたいと思います。ぜひ精力的にその実施にご努力を願いたいと思います。
 次に、福祉医療関係についてであります。
 実は、私も、今回の質疑を準備するに当たって、知事、意外なことを知りました。それは、児童虐待と歯の関係なんですね。児童虐待と一口にいいましても、例えば身体的虐待、心理的虐待、あるいはまた性的虐待に加えて、ネグレクト、養育放棄というのはご存じだと思いますが、あるわけです。この割合からいきますと、身体的虐待が約五割を占めます。性的虐待が二割、心理的虐待はわずか三%、養育放棄の二九・六、三〇%、これが児童虐待の実態なんですね。
 アメリカにおきましては、養育放棄のネグレクトとの関連の中で、歯科、口腔--口の中の状態ですね、この関連が非常に深くて、因果関係があるということが医学的にもう既に立証されておりまして、今申し上げたこの因果関係の理論が定着しております。
 私も、実は初めて耳にして驚きまして、かの地では虐待の治療専門の歯科医が存在するとまで、事実があるんですね。歯科医師が虐待を発見するケースが極めて多い。私は、むしろ、こういう事実がアメリカであるのに、なぜ日本でこの点に着目がされなかったのかということに驚きを禁じ得なかったわけであります。
 そういう専門家の間での認識の中で、今回、東京都は、東京都の医師会と、共管といいますか、要請をいたしまして、養護施設における児童虐待に関する実態調査を実施しておられるんですね。これは大変先駆的、先進的な取り組みでありますので、まず、この調査の概要、目的、経過について、福祉局長から答弁を願います。

○川崎福祉局長 児童虐待については早期発見が重要であり、今回の調査は、虐待を受けた子どもの歯の状態が、虐待の早期発見に活用できるかどうかを検討するため、都と東京都歯科医師会が協力して実施したものでございます。
 調査は、昨年七月から約半年間にわたって、児童相談所等に保護された虐待を受けた子ども約百七十人に対し、子ども一人一人の虫歯や口腔内の状態を調べたものでございます。

○木内委員 こうした調査は、これまで国によって、あるいは他の自治体で行われたことはあるんですか。

○川崎福祉局長 委員ご指摘のとおり、アメリカなどでは歯科検診と子どもの虐待との研究や取り組みが進んでいるように聞いておりますが、我が国におきましては、こうした調査を行うのは全国で初めてでございます。

○木内委員 この調査のまだ中間分析だと思うんですけれども、四日前に行われたと聞いておりまして、非公式ですが、資料をちょうだいしております。正式な分析結果はまた三月に報告発表というふうに聞いているんですけれども、やはり申し上げたような傾向なり内容であったんでしょうか、分析の途中段階ですが。

○川崎福祉局長 調査結果については、現在、取りまとめ作業中でございます。分析内容とその評価、さらに虐待との相互関連性等については、今後にゆだねられる部分があるんですけれども、これまで明らかになったデータからいえることは、虐待を受けた子どもは一般の子どもに比べて虫歯の割合が極めて高いということでございます。例えば、二歳の子どもでは約四割が虫歯を持っており、これは一般の子どもの約三倍近い割合でございます。また、五歳の子どもでは約八割に虫歯があり、一般の子どもの一・六倍程度になっているという結果が得られております。

○木内委員 養育家庭を知事が訪問をされた、そのさまざまな関係のコメントも承りました。最もみずからが愛情を注がれなければならない親から虐待をされる、人間にとってこんな不幸なことはないと思います。私は、政治や行政がその領域にどこまで踏み込んで施策の手を伸ばすことができるか、これは確信を持ってどこまでとはいえない課題だとは思うんですけれども、後ほど一言答弁いただきますが、その前に、局長、川崎さん、この歯科医師会の方にも大変なご苦労とご努力をいただいたことに敬意を表しながら、こうした調査結果を踏まえて、児童虐待対策にこれを十二分以上に反映をしていく必要があると思うんですが、どうですか。

○川崎福祉局長 調査結果につきましては、先ほど委員ご指摘のとおり、本年三月末を目途に取りまとめる予定でございます。調査の分析結果により、虐待の早期発見に有効性が認められる場合には、区市町村が核となって、学校や医療機関など多くの関係機関と連携しながら、虐待への早期対応を行う児童虐待防止区市町村ネットワーク事業など、虐待の早期発見に向けた取り組みへの幅広い活用について検討していきたいと思っています。

○木内委員 局とさらに関係団体、東京都歯科医師会等とのこれまで以上の緊密な連携のもとで、この研究と、また作業を進めていっていただきたいと思いますが、該博な知事にして恐らく、あるいは部分的にしかご存じなかった角度かもしれませんので、一言で結構ですが、答弁をお願いします。

○石原知事 初めて伺ったことでございますけれども、データとしてそういうものがきちっと上がっているならば、今後、虐待されている子どもを救う一つの施策として、医師会に申し込んで、そういう異常に虫歯の多い子どもの家庭を、逆探知というんでしょうか、そのルートを通じてこちらが調べるというようなことは十分可能だと思うし、極めて重要な効果のある施策だと思います。

○木内委員 福祉局長、答弁は結構ですが、知事の率直な今ご決意といいますか、答弁がありましたので、しっかり受けとめて進めていただきたいと思います。
 関連して、歯の健康手帳ということを私は申し上げたいのであります。
 ある本で読んだんですけれども、健康は最大の教養である、例えばこれを鑑賞する側の人間が健康でなければ、どんな名画を見ても、名曲に接しても、その本質的な感動というものは受けられない。したがって、健康こそ最大の教養であるということになろうかと思うのでありますけれども、また一方で、歯科医師会は、かむことは健康の源である、こういうことを標榜して、現在、東京都とともに西暦二〇一〇年の歯科保健目標を設定して、さまざまな今、活動を展開をされているわけであります。
 はしょって申し上げますけれども、例えばライフステージにおけるそれぞれの歯科の検診というものが、実はシステムの中で位置づけられているんです。乳幼児における、例えば三歳児検診でありますとか、学校時代の検診だとか、あるいは四十歳及び五十歳対象の歯周疾患検診でありますとか、あるんです。ところが、学校保健と老人保健との谷間である二十歳以降の勤労世代に対する対策というのは特に希薄でありまして、空洞化しているのが実態であると残念ながら指摘せざるを得ないわけであります。
 心の東京革命と無理に結びつけると牽強付会になるかもしれませんけれども、都民の歯の健康は体の健康をもたらし、心の健康をもたらすといっても過言ではないと思うのであります。したがって、例えば乳幼児期には母子健康手帳があって、学齢期では健康診断票等があって、健康管理が行われている。申し上げたとおりであります。そして、さっき申し上げた、二十歳以降の、空洞化している、対策の対象になっていない世代を考慮しまして、歯科健康保健対策、これを充実していくことが極めて重要だと思っております。
 そこで、提案したいんですけれども、いわゆる成人向けの歯科健康手帳、いわゆる歯の健康手帳を作成し、みずからの歯と、それから口腔の健康管理に役立てていくという意識の啓発を行うとともに、健康情報をこれによって提供したり、例えば成人式の日にこれを区市町村が事業として配布をしたり、今度はこういう意識の喚起によりまして、地域における歯科医師の方々とのホームドクター制度というものの接点を強く持っていくなど、いわゆるかかりつけ歯科医の定着という課題にもこれはつながっていくと思うんであります。具体的に歯科健康手帳について、私はこのように提案するんですが、認識を承ります。

○長尾健康局長 健康増進や疾病予防は、都民の一人一人が自覚を持って、それぞれのライフステージの中で自分に合った取り組みを行うことが基本でございます。
 若いときから歯と口腔の健康づくりに取り組むことは、充実した一生を送るためにも重要であり、ご指摘の自己管理のための歯の健康手帳については、貴重なご提言であると考えております。

○木内委員 国においても、平成十四年度に新たに制定をいたしました健康増進法の中で、健康手帳については言及しているわけでありますけれども、この内容と申し上げている歯科健康手帳の関連について、何か認識をお持ちですか。

○長尾健康局長 健康増進法では、健康診査の実施ですとか、みずからの健康管理のために必要な事項を記載する健康手帳の交付に関する指針などを、平成十六年八月までに国が定めることとなっております。ただ、現在のところ、まだ具体的な内容は示されておりません。

○木内委員 訴えてまいりましたとおり、生涯を通じた歯、口腔の健康づくりというのは極めて重要であります。したがって、都は、国の動向も見ながら、歯の歯科健康手帳の施策に取り組むべきである、このように思いますし、例えば全体の施策でなく、まず試行的にモデル事業などの形でも私はよろしいと思うんですけれども、ぜひ早期に取り組むべきだと思うんですが、どうでしょうか。

○長尾健康局長 都は、現在、東京都歯科医師会と連携しまして、八十歳で二十本以上の歯を残すことを目標とする八〇二〇運動という事業を実施しております。
 歯の健康手帳については、先生ご提案の趣旨を踏まえまして、来年度、この事業の一環としてモデル的に実施し、その課題や有効性等を検証してまいります。

○木内委員 十五年度の対応については明快な答弁でありますので、実施に向けてのご努力を強く要請をするものであります。
 特に今話のありましたように、歯科医師会と関係団体と十分協議しながら、この手帳の必要性、有用性についての評価などを初めとする作業を進めると同時に、議論を深めていただきたい、こういうふうに思います。
 次に、女性専用外来についてであります。知事も、これ、もう既にご存じだと思いますけれども、答弁は結構です、この部分については。
 いわゆる女性ホルモンによる免疫系の病気は、当然のことでありますが、女性に多いんですね。リューマチですとか骨粗鬆症、あるいは、ぼけのアルツハイマーは、恐縮ですが、女性議員の方には別に該当はしませんけれども、これも女性に多い。逆に、心筋梗塞なんかは男性の方が多いんですね。
 例えば、私みたいに九十キロ前後の男性と四十キロ台の女性が、同じ男性ドクターによって一人の患者として診断をされて、同じ量の薬を一日同じ回数飲むということ自体がまず不合理だという指摘があるんですね。
 それからもう一つは、今の病院の形態からいきまして、例えば泌尿器系の診断なんか受ける場合に、男性のドクターに診てもらうのは非常に抵抗があるという方もおられる。それから、病院の構造からいって、そういう体の大事な点について、すぐ後ろに男の患者さんが待っているようなのは困るというようなことで、時代的な流れの中で、まさに女医さんによる女性専用外来というものの開設が必要だろうということを、私どもの女性議員である野上じゅん子議員が昨年の本会議で訴えた。
 そうしたら、都の方はこれをしっかりと受けとめていただいて、都立の大塚病院にまず十五年度早い時期に開設をすると、このように決定をされた。そして、十六年度は府中病院と私の地元、それから、きょうは石井幹事長も見えていますけれども、墨田の地元の墨東病院、ここに開設ということが決定をされたわけであります。
 そこで、きょう確認をしたいことでありますけれども、今申し上げたような趣旨の中で、この専用外来が生まれるわけでありますけれども、特に大塚で開設される外来については、第一回、最初の設置でありますので、今後につながる理想的な形態というものを整備してもらいたい、このことを強く要望するわけであります。
 その一つは、十分な診療時間をまずとるべきである。例えば、何時間か待って一分二分診療なんていうことがあってはならない。いわゆるコンサルタント、さまざまな相談、問診も含めて最低三十分以上はとるべきであるという、こういう主張をしてまいりました。
 それからもう一つは、女性は非常に自分の問診内容を他の男性患者等に聞かれるのを嫌がりますから、そうしたプライバシーの保護などについても配慮が必要であります。
 それからもう一つ、もう畳み込むように申し上げますけれども、受診する際の受け付け方法ですけれども、今は、ご案内のように病診連携型、すなわち、大規模な病院、地域の診療所、こうしたいわゆる病院と診療所の連携型による医療政策になっておりますから、紹介状がなければ、どうしてもそこの扉をたたけないということがあります。したがって、それも一方であり、もう一つは、紹介状なしでも直接の予約によってこの受診が可能になるような配慮も必要だ、こんなふうに思うんですが、まとめて、櫻井病院経営本部長、お答え願いたいと思います。

○櫻井病院経営本部長 お尋ねの女性専用外来でございますけれども、その診断内容の特性から、初診時に最低でも三十分程度の診療時間を見込み、患者さんの症状や悩みを十分に聞きながら、適切な診療を行っていく予定でございます。
 また、患者さんのプライバシーに関しましては、ご指摘のとおり、女性専用外来という性格から、特段の配慮をしていく必要があると考えております。このため、診察室等において患者さんが安心して受診していただける環境を確保してまいります。
 また、女性専用外来は、患者さん一人当たりの診療に、今申し上げましたように、相当程度の時間を要することや、その診療内容からして完全予約制が望ましいと考えておりますけれども、また、紹介状につきましても、都立病院として医療連携を推進する立場から、お持ちいただくことを原則としておりますが、この女性専用外来という特別な診療内容であることも考慮しまして、患者中心の医療を実現していくという観点から、都立病院改革の目的を踏まえまして、仮に紹介状をお持ちでない患者さんの場合でも受診できるようにしていきます。

○木内委員 ぜひ、第一号の都立大塚病院のこの外来については、何度も申し上げるように、理想的な整備、環境づくりをしていただきたいと思います。
 この決定の朗報に、地元文京区の女性の方々を中心にした多くの方が、また豊島区の方も、周辺の方も、大変これを朗報として受けとめておりまして、ご決意を一言お願いしたいこと。
 それからもう一つ、このテーマについて、これは最後の確認ですけれども、地元の文京区の皆さんが非常に喜んで、近隣の方に、署名や何かをやった関係もありまして、報告した。大塚病院に開設になりますよといったら、どういうわけか、変なデマといいますか、風評を飛ばしているのかな、複数の方が、こういっているというんですよ、それを聞いた人が。大塚病院は赤字で民営化されるので、女性専用外来を設置しても意味がない、こういうふうにいってきている。住民の方々をいたずらに不安がらせている。とんでもない話です。これは確認します。どうですか。こういうことがあるんですか。

○櫻井病院経営本部長 都立大塚病院は、周産期・小児医療センター、リューマチ・膠原病医療センターとして、医療機能をさらに充実させまして、引き続き都の直営病院として運営してまいります。
 それと、女性専用外来は、大塚病院が、周産期・小児医療センターとして母子医療等を提供していく一環として整備するものでございます。
 今後とも、都立病院として都民のニーズに的確にこたえるという観点から、女性専用外来の実現にぜひとも取り組んでまいりたいと思っております。

○木内委員 櫻井本部長、今、とりわけ決意を込めて、直営ということで、急に声を出されたから驚くぐらい、明快な答弁を得ました。
 関連して、都政と政治活動ということなんですが、きょうあえて配布いたしませんが、二月の初旬、こういうチラシが文京区内で、それもある保育園の周辺で配られていました。ちょっと時間をとりますが、読んでみます、大事なことなので。
 「石原都政が計画する保育料引き上げ・公立保育所廃止を許してよいのか」。テレビはどっちですか。こちら--この本文を読みます。
 「昨年八月に都福祉局が出した『都市型保育システムへの転換』は、認可保育所の保育料を国基準に引き上げるなど、『保育の質を後退させる重大な内容』になっており問題になっています。それは公立保育所を『もっとも非効率で高コスト・低サービス体質』ときめつけ、公立保育園の廃止、公立保育所民営化の促進、社会福祉法人への補助の廃止、などを内容とするものです。また、認証保育所の保育料が認可保育所と比べて割高であるため、対等な条件で競い合えるようにするために、認可保育所の保育料を国基準へ誘導するなど、驚くべき内容となっています。石原都政は、保育を市場競争に投げ込むために、都の独自補助をすべてやめ、国基準にしていくことや、認証保育所は一定の数を確保し、それをテコに認可保育所の保育内容を壊していくということを、国に働きかけていくという大変な計画です。」こういうふうに書いてある。主催、これは--したがって、今度この学習会を開くので来てくださいという案内状なんです。主催は前都議会議員小竹ひろ子事務所。共産党の前都会議員ですね。
 そこで、公立保育所廃止や、都の独自補助をやめ国基準にしていくこと、また、保育料の引き上げなどを石原都政が計画していると書いている。また、この内容については、昨年八月に都福祉局が出したと、こういうふうにあたかも方針として打ち出したかのように書かれているんです。都は出したんですか、これ。

○川崎福祉局長 局が方針を出したという事実はございません。
   〔発言する者あり〕

○木内委員 事実でないということは、うそということですか。

○川崎福祉局長 事実ではございません。

○木内委員 局長、どうしてこういうビラが配られたというふうに推察されますか。
   〔発言する者あり〕

○川崎福祉局長 そこで書かれている内容は、私どもの福祉局部長会で配られた資料をもとにしたものと思われます。
 その資料の性格は、私を含めまして部長会の構成メンバーが、昨年の夏、人事異動で大幅にかわりました。局のさまざまな課題について自由に意見交換をし、議論をしようということで、議論のための一つの素材として、メモ程度に使ったものでございます。(発言する者多し)この部長会では、各部が抱える課題について率直な意見交換を行ったにすぎず、何ら意思決定を行ったわけではございません。

○木内委員 今の局長の答弁中に、局内決定事項だって、どうも当事者であるかのような不規則発言があったんですが、私、あえてこれをとらえていいますよ。局の決定事項ですか。

○川崎福祉局長 全く違います。

○木内委員 今、答弁がありましたように、この部長会というのが人事異動の直後であって、自由な意見交換ということで、この資料については、取り扱いは、その場限りの資料扱いということで、これを議論の俎上で使ったと、こういうことでしょう。これがどうして表に出たんですか。

○川崎福祉局長 私ども、課題について基本から、もとから、いろんな面で議論しようということでございます。したがって、過激なことも当然入っております。しかし、それは当然な話でございまして、議論するための基本でございます。したがって、これが出たということは、大変私どもとしても遺憾に思っています。

○木内委員 これは何度確認しても同じでありますけれども、都の方針決定でもなければ、局の決定でもない、また、この資料はその場限りということの取り扱いであった、そういうことであります。
 ところが、共産党は、この文書を、あたかも都の方針決定した考えであるかのように扱って、さまざまなところで使っているんじゃありませんか。そうして、都内の何百という保育所に大々的に流してみたり、こんなことが行われているわけであります。
 このために、例えば東京都保育団体協議会というところでは、平成十五年二月六日に、福祉局部長会資料について構成員に通知を出していますね。なぜこの団体は通知をこのように出さざるを得なかったんでしょうか。福祉局に対してもいろんな連携があったと思いますが、どうですか。

○川崎福祉局長 本年一月下旬に、都内認可保育所関係団体五団体で構成されます東京都保育団体協議会から、福祉局に、お話の資料について事実関係を確認する問い合わせがございました。
 その内容は、資料が共産党都議団から一方的に送られてきた、内容は都として決定したものか、という質問が各園からそれぞれの保育団体に寄せられて混乱しているというものでございました。
 局からは、その部長会資料について、先ほどお答えした性格のものである旨を説明し、既にご理解をいただいております。

○木内委員 今の答弁にありましたように、資料を受け取った保育所の方々も大変困惑をし、また混乱をしたという実態が今明らかになりました。これをデマキャンペーンといわなくて何というんでしょうかね。私は、こういう党利党略のために都民をだますための宣伝を打って、選挙目当てのための党勢拡大をしようなんていうのは、とんでもない民主主義への挑戦だと思いますよ。
 その場限りの文書を独自に入手しまして、それこそ諜報機関まがいですよ、まがいの対応をして、自由な意見交換の場のために使った資料の内容、これを悪用して中傷誹謗する。まさにすさまじい政党ですね、ここは。そして、あたかも都が決定したかのようにうそをついて、石原都政の福祉切り捨てだと巧妙に都民に訴えて、そうして火のないところに煙を立てる。こういう共産党のやり口というのは、以上の質疑で明らかになったように、針小棒大とか、表現の誇張なんていう問題じゃない。事実に基づかないことを世間では、何度もいうけど、うそというのであります。このビラは紛れもないうそでありまして、うそをついて人々に不安を与える、これは極めて卑劣であり、政党活動にあっては断じて許されるものではない。(発言する者多し)
 私は今、申し上げたわけでありますけれども、これまでの議論の経過を聞いて、知事の率直なご意見を承りたいと思います。

○石原知事 お聞きしていて、またかという感じがいたしますが、都の福祉改革を意図的に批判しているようでありますけれども、都が進めている福祉改革は、利用者本位の福祉の実現を目指しているものでありまして、認証保育所もその一環であります。
 批判は自由でありますけれども、方針決定もされていない資料を、いかなる手段で入手されたかわかりませんが、あたかも決定されたような情報に仕立てて流布するというのは、卑劣というか、ある意味の、こう、事実の一種の窃盗というんでしょうかね、それに近いものではないかという気がいたします。
 平気で白を黒といい募るというのは、やっぱり人格的にどこかに欠陥があるんじゃないかというような気がしないでもない。
〔「人格的欠陥とは何だよ、その答弁は」と呼び、その他発言する者多し〕

○木内委員 次に、高校改革についてお尋ねをいたします。
   〔発言する者多し〕

○森田副委員長 ご静粛に願います。
   〔発言する者多し〕

○木内委員
委員長、静粛にさせてください。

○森田副委員長 静粛にしてください。

○木内委員 この議論はもう終わったのでありまして、人格的な欠陥とかいろいろありました、白を黒とか。これはもうピリオドの話であります。
 さて、四十五億の予算措置をして、十五年度、自律経営推進予算を活用した都立高校の自律的改革についてお尋ねをいたします。
 昨年六月の第二回定例会の本会議で、私どもの故曽雌久義議員が、第三次都立高校改革実施計画においては、ぜひとも学校総体の意識改革と、そして教員の資質向上を実現するためのプログラムを盛り込むべき、こういう提案をしたことは、鮮明な記憶として私の脳裏に刻まれているのであります。(発言する者多し)ちょっと共産党さん、静かに聞いたらどうですか。それで、この後、木村幹事長の代表、総括もあるんだから、いいたいことがあったら、そこでいえばいいんですよ。それだけのことですよ。
 鮮明な記憶として、私の脳裏に今残っているわけであります。この質問に対しまして教育長は、新実施計画に、教員の意識改革と資質向上の施策とともに、都立高校が自律的な改革を進めるため、マネジメントサイクルの仕組みを導入した学校計画を策定する。さらに、校長の経営方針に基づき学校の自律的な運営が可能となるよう、校長の裁量が発揮できる弾力的な予算執行の仕組みの導入について検討する。いささか引用が長くなりましたけれども、こういう趣旨の答弁を行っている。
 これを受けて、申し上げたように、今回の十五年度予算の中では、都立高校の自律経営推進予算が盛り込まれた。この点について高く評価をするものでございます。
 都立高校の自律的改革の有効な手段になるものでありまして、教職員が組織化され、校長を先頭に、熱心な先生を核にして教育活動を展開する必要がある。さらに、校長の個性と強いリーダーシップのもとに、教職員全員が問題意識を共有化した上で、改革の方向、目標、あるいはビジョンというものを一致させなければならないと思うのであります。
 学校改革には、それぞれの校長の改革、経営ビジョン、教育活動の目標の明確さが不可欠であると、私はまず訴えるものであります。
 そこで、まず最初に伺うのでありますけれども、マネジメントサイクルを導入した学校経営計画を平成十五年度から全都立高校で策定をするとされております。この計画には、目標明確化のため、必ず数値目標を設置すべきとしているわけでありまして、一部の団体や人々の中には、数値目標は教育の世界になじまないとの見解がある。数値目標の必要性、効果、妥当性について、私は、必ず必要であるし、位置づけるべきだという主張を持つものでありますけれども、都の見解はいかがでしょうか。

○横山教育長 学校経営計画は、数値目標を設定することによりまして、教育活動の達成状況が明らかになりますとともに、学校評価も客観的になり、都民の目から見ても、学校の取り組み状況が理解しやすくなりますし、学校の目標や目指す方向を明確化でき、学校の組織を挙げた取り組みを促進することに有効であると考えております。
 教育活動は、効果が出るまでには時間がかかったり、生徒の人間的な成長を促す部分がございまして、それ自体に設定が困難な場合がございますが、学校が創意工夫し、例えば、進路への目的意識を持たせるための社会人講演会であるとか、大学出前講座の開催回数や、あるいは社会への貢献と奉仕の心をはぐくむためのインターンシップ、奉仕活動体験の生徒の参加人数など、教育活動の取り組み状況について数値で目標を設定することができるものと考えております。

○木内委員 いよいよ十五年度からこれが実施されるわけであります。教育は人なりともいわれているのでありまして、例えば、今の教育庁の人事制度におきましては、いい先生も悪い先生も、いってみれば一律の基準で動かしているために、もらいたい、持ってきたい先生がいても、出したい先生がいても、校長の自由にならないという、そういう問題があるんですね。
 例えば、いわゆる名物先生というのを校長が学校の顔にしようとする。これは私は考えられることだと思うんですよ。これは私的なことで恐縮ですけれども、私は高校時代、昭和三十五年から都立高校に通っておりました。両国高校というところでありますけれども、谷口先生という社会科の先生がおられた。憲法というあだ名の先生でした、申し上げていいと思うんですが。憲法の前文を全部暗記させるんですね。だから、そういうニックネームがついたんですけれども、すごい人間的な、そして思いやりのある、しんの通った先生でした。長い間この学校におられた。あるいは、恐らく教育庁の先輩、ご存じでしょうけれども、杉安太郎先生という方がいた。この方はまた、英語教育ではすさまじい教法、手法を持った方で、むしろこの先生の英語教育を受けたいために高校を受験するという人がいたぐらいなんですね。ところが、今のこの人事制度では、それは不可能ですね。一定の、一律の人事ルールに基づくわけであります。
 したがって、今回のこの事業の実施に当たっては、校長が十分裁量権限を持って、そしてみずからの経営ビジョンの実現に資するための人事異動制度を実現するため、教員の定期異動要綱というものを見直すことも必要なのではないか、ぜひやるべきだと思うんですが、どうですか。

○横山教育長 現行の教員の定期異動要綱につきましては、異動対象年限を原則として八年と定めていますことから、ともすれば、ご指摘のように、画一的な異動とならざるを得ない状況もございました。
 人事異動にはさまざまな制約もございますが、今回の異動要綱の見直しに当たりましては、校長の人事構想をより一層反映する、こういう観点から、異動対象年限を大幅に短縮し、教員の在任希望にかかわらず、校長の意向を優先できるようにいたします。
 また、一方で、学校経営上残留させたいと校長が判断した教員につきましては、通常の異動年限を超えて在任させることができる仕組みを導入してまいります。

○木内委員 これも、いわば校長の権限拡大、これによって校長の自律的経営を可能にする、大変なばねになると思いますので、ぜひ進めてもらいたいと思うんです。
 関連して、予算面における校長の裁量権限の拡大であります自律経営推進予算、こういう位置づけでありますが、この仕組みについてまだ明らかになっていない点もありますので、できるだけ簡略に、そして具体的にお答え願えますか。

○横山教育長 この自律経営推進予算につきましては、学校経営計画を学校予算に反映させるために、従来ですと、各学校に標準的な運営費を画一的に、予算執行科目上の節に区分して配付していた、この方式を改めるものでございます。
 この制度は、授業や学校行事など教育活動にかかわる学校予算につきまして、まず総枠を示すにとどめる。そして、校長が、学校経営計画に基づきまして、学校として必要な経費を、例えば備品購入費や報償費などの節に振り分けまして、学校独自の予算執行計画に基づきまして、校長の責任で執行を行う、こういった弾力的な仕組みでございます。
 こうした制度の導入によりまして、例えば総合的な学習の時間の充実のために、重点的に外部講師の招聘に予算を用いるなど、学校経営計画の目的に沿った予算執行計画の策定が可能となりますし、また、校長の経営努力により予算の節減を行った場合、節減の効果を他の教育活動の充実に活用することができるものでございます。

○木内委員 そこで、今の質問に関連して伺うんですが--今はどうもご苦労さまでした。具体的に、簡略になんて、矛盾していることを、後で私も気がついたんだけれども……。
 それで、自律経営推進予算が導入されて、校長の裁量権が拡大をされる。この予算を使って教育内容の改善が行われたり、また、質向上とともに有効に機能しているかどうか、これについての検証の仕組みをやはり私は整えるべきではないかと思うんですね。
 さっきはあえて申し上げなかったんですけれども、自律経営の指標としての、いわゆるベンチマーキングといいますか、例えば、こういうクラスの大学に何人合格する、あるいは遅刻者が何人のを何人に減らす、中途退学者をどうする、あるいはこの成績について、科目について、あるいは商業あるいは工業系専門の分野であれば、それぞれの分野の資格を、今は何人だけれども何人まで上げるとか、こういう意欲的な取り組みができると思うんですよね。
 したがって、非常に頑張って成果を上げたところと、頑張ったけれども成果が上がらなかったというところ、こうした差について、検証の仕組みをやはりセットアップしていく必要があるんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

○横山教育長 各学校は、自律経営推進予算を含めまして、学校予算及び決算並びにその決算に基づきますバランスシートを都民に公表することによりまして、都民への説明責任を果たしていきますとともに、学校運営連絡協議会の外部委員に、学校経営計画及び予算、決算を報告、説明しまして、評価を求めていくことになります。
 さらに、都教育委員会は、平成十六年度から全都立高校の個別評価を行います学校経営診断書を作成しますが、教育活動のみならず、予算の執行などマネジメントを含めた評価、検証を行ってまいります。

○木内委員 先ほどのバランスシートのことといい、マネジメントも含めた評価作業にしても、この議論の中で新たに確認ができたことでありまして、答弁の努力を多としたいと思うのであります。
 さて、この自律経営推進予算の仕組み、それから理念についてはわかったわけでありますが、実際にこれを今度使っていく校長本人ですね、これは、経営者としての資質があるから校長になったわけではない方もおられるわけでありまして、こうした校長研修といいますか、新たになる人、これまでのベテランの方、こういう人に対しても行っていく必要があるんじゃないですか、経営研修というものを。

○横山教育長 現在、教育管理職を対象としまして、学校経営における経営戦略、新しい経営理論と学校経営などの研修を実施しまして、校長の学校経営責任者としての資質、能力の向上に努めておりますが、今後、ご指摘のように、こうした研修の一層の充実を図りますとともに、特に新任校長に対しましては、企業経営者などを講師とした学校経営に関する講座を拡充しまして、トップリーダーとしてのあり方、人材育成の戦略など、マネジメント能力を高める研修を重点的に行ってまいります。

○木内委員 もう一つは、今の研修を踏まえてもなお、現行の二年や三年の任期では、みずからの経営理念というものが十分に浸透、反映できないという、こういう問題も起こってくると思うんですね。
 したがって、校長が一つの学校の経営を任されて、そうして二年や三年の任期では短いという点を踏まえて、もっと長い任期にして、そして学校改革、教育の質の向上の仕事をしていただいたらどうかと、こんなふうにも思うんですね。石原知事だって、これだけ財政再建に向けて四年かかったんですから、わずか二年や三年で、そういうノウハウを知らないトップリーダー、現場で難しいと思うんですが、その点どうですか。

○横山教育長 ご指摘のように、その校長が責任を持って学校経営を進めていくためには、校長の任期を中期目標が達成できる年限とすることが必要でございますので、原則として五年程度は在任できるよう、任期の延長を図ってまいります。

○木内委員 明快な答弁で、了としたいと思いますから、もう一点この問題ですね。校長がこのリーダーシップを発揮して、教職員が力を合わせて一生懸命頑張った、一定の成果があった、こうした学校経営の優秀なところについては、人事面や予算面でも、さらにここに付加して、さまざまな特典なり環境を整備して提供すべきだ、こういうふうに思うんですね。特に学校経営の重点支援ということでこれはくくれると思うんですが、どうですか。

○横山教育長 高校の重点支援校につきましては、学校の改善、改革を推進しますとともに、都立高校全体の改革の先導的役割を果たしてもらう必要がございます。
 特色ある学校づくりを進めていくため、人事面では、重点支援校の校長が、有用な人材を確保することができるよう、教員の異動に際して、転入してくる教員を指名できる仕組みを導入する予定でございますし、あるいはまた予算面では、例えば、大学への進学率の向上を目指す学校には講義室の整備を行うことや、あるいは部活動の向上を図る学校にはスポーツ器機を整備充実するなど、改革を促進する支援を行ってまいります。

○木内委員 今の自律経営推進事業に関連して、主幹制度について尋ねます。
 主幹、いよいよ試験が行われました。教務や生活指導など担当する校務について、教頭を補佐して教員等を指導する、監督する職として、学校経営上位置づけられているわけであります。主幹の設置によりまして、学校長の経営方針がこれまで以上に教員等に迅速、的確に浸透し、さまざまな課題への組織的な対応力が高まり、児童生徒により質の高い教育の提供が可能となることから、私は、学校改革に重要な役割を担うものと、こう考えているところであります。
 したがって、この主幹というのは、力量のある教員でなければまず務まらないというふうに思いますし、そのために、厳正にして的確な人材の登用ということが必要であると思うんです。
 しかし、これまでの事業の準備あるいは試験の作業の間、主幹制度の趣旨を十分に理解していなかったり、あるいは、これに反発をする職員団体の反対行動の一環として、主幹を受験しようとする教員を仲間外れにしたり、いじめたりする、常識では考えられない異常なそういう行動が現場ではあったと聞いているんです。こうした職員団体の妨害があった中で、都教委は、今回の主幹選考において優秀な教員が確保できたと考えていますかどうか、答弁願います。

○横山教育長 本年四月には、教育管理職合格者も含めまして、全都の学校数を超える約二千三百五十名の主幹を学校改革の推進役として配置する予定でございます。
 主幹の受験者の確保につきましては、制度の趣旨を校長会や各区市町村の教育委員会を通して説明しまして、優秀な人材の掘り起こしに努めた結果、面接あるいは日常の勤務実績をもとに、主幹としてふさわしい人材を選ぶことができたものと考えております。

○木内委員 もう一つは、導入当初は、職員団体による執拗な攻撃によって、主幹制度を定着させない動きがまた出てくるかもしれない。したがって、こうした事態に対応するための具体策も明らかにしておく必要があると思いますので、答弁願います。

○横山教育長 この主幹制度の導入によりまして、学校長を中心として、学校を組織的に機能させますとともに、教職員の協力体制を築いていくことが急務でございます。
 導入初年度に当たる今回の主幹の配置におきましては、校長の意向を十分に把握し、校長が残したいと希望する者については、原則として現任校での在職年数にかかわらず引き続き任用するなど、主幹制度の定着に努めてまいります。

○木内委員 明快な答弁でありました。
 それから、私は、主幹というのは、指導監督という立場である以上、将来的に、管理職選考の受験資格として、この主幹というものを必要要件とすべきであると、このことを訴えるんですが、どうでしょうか。

○横山教育長 主幹は、教諭等を指導しながら、担当します校務を処理するほか、保護者、地域のコーディネーターとしての役割を果たすことになります。こうした職務を通して、学校経営に直接携わることによりまして、将来の管理職としてふさわしい人材を育成することができるものと考えています。
 今後、制度の定着状況を見ながら、ご指摘のように、管理職B選考につきましては、主幹を受験資格とする考えでございます。

○木内委員 極めて明快な答弁でありますので、主幹制度並びに学校改革につきましては、以上にしたいと思います。
 さて、先ほどの質疑にもありましたけれども、三宅村関連で何点かお尋ねをいたします。
 ゆめ農園の事業であります。
 三宅の避難島民の方々につきましては、帰島のめどが今なお立たない中で、懸命に、帰島を目指してのご努力を日々続けておられるわけでございまして、こうした実情に対して私ども東京都は、そして都議会は、先ほどの質疑にもありましたけれども、でき得る限りのあらゆる措置を講じなければならないと、このように思うのであります。
 そこで、端的に伺うわけでありますけれども、まず、このゆめ農園事業が、都有地が提供されることによって、さまざまな成果を上げてきているわけでありまして、これをまずこの場で明確にしていただきたいと思います。

○有手産業労働局長 ゆめ農園事業により、三宅島の多くの皆さんの就労の場が確保されるとともに、帰島後の営農再開と島の緑化に向けた、花き、観葉植物の種苗や緑化用苗木を生産することができた、これが第一点でございます。
 それから第二点としまして、これらの栽培を通じて、島民の皆さんが栽培技術の習得や営農意欲の維持が図られた。
 さらには、三宅島の溶岩と植物を用いた鉢植えなど、島特有の資源を生かしまして、新たな特産となる商品性の高い園芸品を開発したほか、各種イベントを通じまして三宅島のPRができた、また都民との交流ができた、こういう成果がございました。

○木内委員 このゆめ農園事業は、十四年度の単年度事業として措置をされたものであります。このままほうっておきますと、十五年度は継続が不可能となってしまう。三宅村の関係者の方から私ども公明党に強い要請がこれまでございまして、このゆめ農園は私たち島民の希望の光の一つだ、ぜひとも十四年度でピリオドを打つことなく、十五年度も継続してこの事業が行われるよう、議会での議論を通じて、知事を初め担当者に訴えてもらいたい、こういう要請が強くあったわけであります。
 十五年度については、豊洲で今行われております警視庁の訓練場、これをこっちに移転をするとか、さまざまな動きがあり、克服すべき課題は多いのでありますけれども、私は、こうしたさまざまな課題を克服した上で、このゆめ農園を十五年度も三宅島民の方々のいやしと希望の源泉とするよう継続をすべきである、こう訴えるんですが、有手局長どうですか。

○有手産業労働局長 現在、三宅村では、島の復興に向けた準備を進めていらっしゃいます。帰島後の営農再開に向けた作物の種苗の確保や、荒廃した島の緑化のための苗木の増産にとどまりませんで、観光事業や商工業なども含めて、島の産業復興に向けた準備の必要性は一層増しております。
 このため、三宅村では、ゆめ農園を産業復興準備のための拠点として位置づけられまして、特産品の商品化など新たな事業を計画されております。
 都といたしましては、三宅村の産業復興に向けて、十五年度もこの事業を継続支援してまいります。

○木内委員 十五年度もこの事業を継続支援ということでありますから、きょうの今のこの答弁がどれだけまた明るい希望になっているか、はかり知れないものがありますので、精力的にひとつ取り組んでもらいたいと思います。
 関連してもう一点。
 これまで、基金による雇用であったために、さまざまな事情の中で、特産品等の販売を行うなど、収益事業というものがこの一年間行えなかったんです。これをさまざまな角度から工夫をして、さっきもたしかお話にあったように、溶岩鉢を初めとして、大変に需要の多い製品も開発されているようでありまして、ぜひとも収益事業も可能になるような、そういう施策の展開を願いたいんですが、どうでしょうか。

○有手産業労働局長 三宅村の産業復興の準備のためには、いろいろ新たな商品の開発だとか販路の開拓だとか、将来に向けて島民の経済的な自立が図れるような積極的な取り組みが必要でございますが、今ご提案がありました件でございますが、三宅村では、緊急地域雇用創出特別基金を活用して、これから、花き類の都内流通現場などで、販売、流通等の実地研修を実施する、こういうこともやる予定でございます。
 それから、お話のあった特産品の生産事業、これにつきましても、三宅村の企業課で、これを生産して、そして販売する、こういった新しい取り組みを考えているようでございます。
 いずれにしましても、三宅村の産業復興に向けた、こうした自立的な取り組みにつきましては、東京都として支援してまいります。

○木内委員 最後であります。有手局長、そのままいらしてください。
 雇用就業対策の大きな柱である職業訓練についてでありますけれども、ニーズが高い訓練科目について、希望してもなかなか技術専門校への入校が困難なケースというものが指摘をされてきました。
 こういう中で、私ども主張してまいりまして、駅前ナイトスクールの新設、これが今度施策に反映をされた。この事業の目的については既にもう周知されておりますので、時間もありませんので、一点だけお尋ねをいたします。
 すなわち、今まで雇用保険受給資格のない方々、いわゆる自営業や廃業者あるいはフリーターの方々、こうした対象まで広げた駅前ナイトスクールの活用について強く要請をするんですけれども、いかがか。
 この点をお聞きすると同時に、最後でありますので、きょうは知事には突然にご答弁を願ったりということで、もうきょうは答弁ございませんのであれですけれども、大変にまたご心配をかけましたけれども、御礼を申し上げる次第であります。
 では今の点、有手局長から答弁をいただいて、私の質疑を終わります。

○有手産業労働局長 技術専門校における駅前ナイトスクールにつきましては、国等を調整して、国を説得することによって、これまで昼間しか認められなかった、初めての職業訓練手当を支給される夜間の職業訓練としてスタートすることができます。これが一点でございます。
 それから、お話ございましたように、民間を活用した委託訓練につきましては、自営業の廃業者だとかフリーターだとか、これまで雇用保険受給資格のない方、こういう方が受講する機会が大変少のうございました。これを今回、そういう方を主な対象者としまして、駅前ナイトスクールを実施してまいります。

○木内委員 終わります。(拍手)

○森田副委員長 木内良明理事の発言は終わりました。

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