東京都議会予算特別委員会速記録第二号

   午後一時二分開議

○山本委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 委員会の要求資料につきまして申し上げます。
 先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布してございます
 これより総括質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご了承いただいております委員会実施要領に従いまして運営してまいります。委員の皆様には円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願いしたいと思います。
 なお、持ち時間につきましては、電光表示盤に残り時間を表示いたしております。さらに、振鈴で五分前に一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。持ち時間はお守りをいただきたいと思います。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握して、簡潔明瞭に答弁されますよう、お願い申し上げます。
 なお、各局長に申し上げます。
 発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 星野篤功理事の発言を許します。

○星野委員 都議会自由民主党を代表いたしまして、これから約二時間にわたりまして、質問をさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。ちょっと風邪の調子でおかしな声が出るかもわかりませんが、ひとつご了承願いたいと思います。
 まず初めに、一昨日、韓国大邱テグ市の地下鉄で発生しました列車火災に関連して伺います。
 今回発生した列車火災は、現時点でもう既に百二十五人の死亡者が確認されているという大惨事となりました。火災の原因は、引火性の液体による放火と見られております。このような事件を未然に防ぐのは大変難しいとは考えられますが、車両の材質も火災に弱かったことが被害拡大の一因であったとの報道もあります。しかし、この大惨事を他国の事件と見過ごすわけにはまいりません。
 そこで、我が都営地下鉄の車両についての火災対策はどうなっているのかという点をまず一点、お聞かせいただきたいと思います。

○松尾交通局長 都営地下鉄のすべての車両は、国土交通省の技術基準に基づき、車体及び内装材も含め、国の指定機関で認定を受けた不燃材、または燃え広がらない部材を使用しております。さらに、各車両及び運転台には、電気火災や油火災にも対応できる消火器を設置しております。
 異常時の対応といたしまして、停電時におきましても、非常用バッテリーにより、予備灯や車内放送の使用及びドアの開閉が三十分以上可能となっております。また、非常コックにより、ドアを手動で開放し、お客様の避難誘導を行うことができるようになっております。

○星野委員 地下鉄利用者の多くは、このような事件が発生すると大きな不安を抱きます。特に、新しくできた大江戸線は地下深く走っています。大江戸線を初め、都営各駅の防災施設や職員の訓練などの安全対策はどうなっているでしょうか、お伺いします。

○松尾交通局長 都営地下鉄の駅につきましては、消防法、建築基準法及び国土交通省の地下鉄道の火災対策等の基準などを定める安全基準に基づきまして、消火栓設備、火災報知設備、非常灯などの防災設備を設けております。
 特に大江戸線におきましては、駅の規模に応じた排煙設備を設けるとともに、駅と運輸指令双方において、監視可能なITVモニターの設置等により、一層の防災性の向上を図っております。
 なお、浅草線、三田線は、排煙対策基準の制定以前に建設されているため、排煙設備の設置を順次進めているところでございます。
 また、職員の訓練につきましては、運転、駅、保守部門等が合同で異常時総合訓練を実施するとともに、さらに各駅ごとに避難誘導マニュアルに基づき、お客様の誘導や消火器取り扱い等の訓練を行っております。

○星野委員 今回の事件の原因については究明中であると聞いておりますが、今後は都営地下鉄のみならず、営団地下鉄も含めて、各関連機関が総合的な対策を講じることをここで強く要望しておきます。
 さて、四年前、知事はまさに財政再建団体に転落しようとしたときから、この厳しい社会経済情勢下で危機回避に立ち向かってきました。この間、知事は都政全般にわたる改革を行い、特に内部努力では大幅な職員定数削減にとどまらず、給与カットにまで踏み込み、監理団体の統廃合や役員報酬に経営評価を反映させたり、また従来の天下りを断ち切り、歴史文化財団のトップや写真美術館の館長に民間企業の出身者を採用するなど、都民の理解を得てまいりました。
 我が党もこの危機打開に真剣に取り組み、給与問題については、二年間続けた削減解除の提案に対し、さらなる削減期間の延長や、より厳しい定数削減の徹底など、定例会等を通じて、機会あるごとに要求してまいりました。また、地元住民やさまざまな都民要求に対しても、都財政の状況を理解していただき、極力、財政再建に向けて、知事の財政再建推進プランの達成に協力してまいりました。これらの努力により、財政再建団体への転落という事態は辛うじて回避してきました。
 そして、十五年度予算を迎えたわけでありますが、さきの我が党の代表質問に対し、知事から、東京の再生に向け、未来への苗を植え、育てていくという大変力強い言葉がありました。苗を育てるには土づくりが大切であります。健全な財政基盤の確立も土づくりの大きな要素であります。
 都財政の再建は、単に収支の均衡を図るだけでなく、都民生活を豊かにするという都政の根本を見失うことなく、新たな都民ニーズに的確に対応し、かつ将来への備えを万全なものとするよう、しっかりとした財政基盤を確立するためのものであります。
 こうした基本認識のもとに、我が党はこれまで知事とともに都財政の再建の道を歩んでまいりました。そして、財政再建推進プランの最終年度である十五年度予算を迎えたわけであります。その財政再建の成果はどうだったのか、また、どのような課題が残されているのかについて明らかにしていただきたいと思います。
 まず、石原知事就任当時の財政の状況についてお聞かせください。

○田原財務局長 石原知事就任直前の十年度の決算につきましては、昭和五十六年度以来、十八年ぶりに実質収支が赤字になりまして、赤字額も過去最大の一千六十八億円に達しておりました。
 また、財政の弾力性、健全性を示す経常収支比率も、十一年度には一〇四・一%と、新たな都民ニーズに対応できる余地というのはほとんどないような状態で、財政調整基金も底をついておりました。
 その結果、そのまま手をこまねいておりますと、毎年六千二百から七千億円に上る巨額の財源不足が見込まれ、都財政は財政再建団体への転落のおそれがあるなど、未曽有の危機的状況に直面していたところであります。

○星野委員 答弁にあるような、かつてなく大変厳しい財政状況の中、石原知事は都財政を引き継がれたわけであります。知事は就任して間もない十一年七月に、財政再建推進プランを策定されました。そして、これまで財政再建に全力を挙げてきたわけでありますが、その結果、現在の都財政の状況はどのように回復してきたのか、伺います。

○田原財務局長 これまでの四年間、財政再建推進プランに基づきまして、懸命な取り組みを続けてまいりました。その結果、財政再建団体への転落を回避するとともに、十五年度予算までに内部努力、それから施策の見直しなど、都が独力で対応可能な取り組みにつきましては、プランの財源確保目標額をすべて確保するなど、着実に成果を上げてまいりました。
 また、こうした財政構造改革の取り組みによりまして、十三年度決算では、実質収支が百億円の赤字となったものの、赤字幅は十年度の千六十八億円から大幅に縮小いたしました。
 財政の弾力性、健全性を示します指標であります経常収支比率、これも十一年度の一〇四・一%から二年連続して低下いたしまして、九二・四%にまで改善しております。
 このように都財政は破綻寸前ともいえました十年度から現在まで、確実に回復してきたと思っております。

○星野委員 今お聞きしたわけですけども、都財政の赤字や経常収支比率について改善してきていることは明らかであります。それで、財源の面、すなわち基金や都債について、これまでどのような取り組みを行い、また成果はどうなってきているんでしょうか、お伺いします。

○田原財務局長 まず基金についてでございますが、財源として直ちに活用可能な財政調整基金、それと社会資本等整備基金を合わせました残高の状況では、十一年度末で約八百七十億円までに落ち込んでおりました。残高の確保に積極的に努めまして、十五年度末見込みでは二千百七十億円まで回復することになります。
 次に都債でございますけれども、バブル崩壊後の景気対策などに伴いまして、大量発行いたしました。十四年度以降は、償還費や残高が累積することが予想されましたので、十二年度から将来の財政負担の軽減を図るために、新たな発行を極力抑制してまいりました。
 十二年度以降の都債発行額は、十五年度予算までの四年間で年平均約三千七百億円、バブル崩壊後の四年度から十一年度までの年平均七千六百億円と比較しますと、その水準の半分程度にとどめております。この結果、十五年度には十三年ぶりに都債残高が減少する、こういうことになりました。
 また、歳入に占める都債の割合であります起債依存度も、十二年度以降は五%から七%台と、国、それから他の道府県と比べまして、かなり低い水準で推移しております。
 このように、これまで財政構造改革に取り組む中で、基金残高の確保、都債の発行の面でも財政体質の健全化は進んできていると思っております。

○星野委員 知事は我が党の代表質問の中で、内部努力や施策の見直しなど、プランで掲げた自立的な取り組みについては、目標額をすべて達成したと答弁されましたが、その成果はただいまお示しいただいた数字にはっきりあらわれていると思います。
 しかしながら、プランの目標額六千三百億円に対し、五千九百億円の財源を確保するなど成果を上げながらも、その一方で、十五年度予算では、なお二千五百億円もの財源対策をとらざるを得ませんでした。
 この原因について、プランの見込み額を下回る都税収入などがあったとしておりますが、そこを具体的にもう一度説明ください。

○田原財務局長 財政再建推進プランに基づきます懸命な努力によりまして、税源移譲などの地方税財政制度の改善を除いた都が独力で対応可能な取り組みにつきましては、プランの目標額をすべて確保いたしました。
 しかし、その一方で、この間、都財政を取り巻く環境が大きく変わりまして、プランの前提となります都税収入が見込み額を大きく下回っております。
 プランでは、十五年度の都税収入を四兆七百億円と見込みました。これをもとに収支試算を行いまして、プランで掲げた財源確保に努めたわけでありますが、十五年度予算における都税収入は、プランの取り組みの成果である銀行業等の外形標準課税、それから徴税努力分を除きますと、三兆七千四百六億円にとどまっておりまして、三千三百億円の乖離ができております。このことが内部努力や施策の見直しなどによりまして、五千九百四億円の財源を確保しながらも、十五年度予算でなお二千五百億円の財源対策を講じざるを得なかった主な原因だと思っております。

○星野委員 財政再建の取り組みは、景気低迷が続く日本経済の厳しい状況から税収が大幅に落ち込んだために、ゴールが遠のいてしまったという状況であります。今後、景気の急速な回復は期待できません。これからの都税収入も厳しい状況が続くものと思われますが、どういうふうに考えているのでしょうか。

○安間主税局長 今後の都税収入の見通しについてでございますが、現在の日本経済はデフレが進行し、税収に影響を与える名目経済成長率も三年連続マイナスになると見込まれるなど、極めて厳しい状況でございます。税収を確保するには、何よりも日本経済が景気の低迷やデフレから脱出し、民間需要主導による持続的な成長を実現することが必要でございます。
 しかし、イラク情勢などの影響によりまして、米国を初めとした世界経済が不透明感を増す一方で、国内では株価の低迷や不良債権処理による金融不安など、早期解決の困難な経済問題が企業収益に長期に影響を及ぼしております。そして、そのことが都税の大宗を占めます法人二税を押し下げる要因となっております。
 これらを勘案いたしますと、都税収入は当面厳しい状況が続くものと思われます。

○星野委員 知事は、財政再建の今後の展望として、地方税財政制度の改革推進と都税収入の実勢を踏まえた身の丈に合った歳出水準の実現の二点を示されました。
 このうち、地方税財政制度の改革は、地方分権を確立する観点からも最重要課題でありますが、国の動きに左右されることは否めません。まずは都独力で行い得る取り組みを、さらに進めることが必要であります。
 その際、ただいま答弁いただいたように、都税収入については、余り先行き多くを期待できないということを前提に、財政再建に向けてさまざまな取り組みをせざるを得ないということであります。
 財政再建に向けては、身の丈に合った歳出水準の実現が課題であるとされ、都の基幹的な収入である都税収入は、昭和六十二年度の水準まで低下している中で、都の歳出水準は依然として高いものとなっています。そういう認識が述べられているわけですが、身の丈に合った歳出水準とはどのようなイメージのものなのでしょうか、お答えください。

○田原財務局長 都税収入は、バブル崩壊後、大きく落ち込んでいまして、そのままの水準で、今後もその伸びを期待することができないと思っております。
 そうした中で、都は大幅な税収減によりまして生じた歳入、歳出のギャップを埋めるために、十五年度予算では二千五百億円の財源対策を行わざるを得なかったわけでありますが、これは都税収入を根幹といたします現在の歳入水準に比較して、歳出がなお高くなっていることによるものでありまして、いわば背伸びを続けていると、こういう状況であるといえると思います。例えば、十五年度予算の歳出五兆七千二百九十五億円は、都税収入がほぼ同水準でありました昭和六十二年度と比べますと、約七千億円上回っている、こういう状況にございます。
 特別な財源対策などを講じながら、こうした状況を長く維持することはもはや限界に来ておりまして、将来にわたって健全な財政運営を進めていくためには、まず歳入の根幹であります都税収入の動向を踏まえて、これをベースとする、そういう必要があろうかと思います。
 その一方で、歳出面からも、都が行う行政サービスの範囲や質、量の検討を進めまして、そのあるべき水準を見出していくことが不可欠だろうと思いまして、これが身の丈に合った歳出水準であると考えております。

○星野委員 都の税収は景気の動向に左右されやすいということと、法人二税が中心となっております。年度間の増減幅が大変大きくなっております。例えば、石原知事就任時の十一年度から十五年度までの都税収入はどのように推移してきたのでしょうか、法人二税とあわせてお示しください。

○安間主税局長 平成十一年度から十五年度までの都税収入の推移についてでございますが、平成十一年度の都税総額は四兆二百五十九億円であります。IT関連業種を中心とした一部企業の好業績によりまして、平成十二年度から十三年度には税収は増加し、十三年度の都税総額は四兆三千七百九十三億円と、この間の最大となりました。
 その後、平成十四年度からは景気後退の影響を受けまして、都税収入は減収に向かい、平成十五年度同時補正後予算額では総額三兆九千八十六億円と、この五年間で最小となっております。
 また、法人二税につきましては、平成十一年度から増収となりまして、平成十三年度には一兆七千六百九十九億円と最大となり、その後、平成十四年度以降は減収となっております。
 この間の都税収入の上下幅を見ますと、法人二税で約三千八百億円、都税総額では約五千億円に上っております。

○星野委員 上下の幅は、最大で約五千億に上るということです。歳入の根幹を占めているのは都税でありますから、身の丈に合った歳出水準について、税収を基本に考えていくとしても、どの年度の税収をとらえて考えるかによって、身の丈の様相もまた違ってくるものだと思います。
 都財政は都税収入が歳入の七割を占めており、都税収入の実勢を離れた財政運営はあり得ません。税収の大きな変動が当然予測され、その影響をそのまま引き受け、身の丈に合った歳出水準を機械的に見出していくとすれば、それは単なる収支の帳じり合わせとなってしまい、余り工夫がないということになりかねません。
 税収のトレンドなどを慎重に検討し、一定の期間について、あるべき歳出水準を見出す努力が必要です。そして、仮にそれよりも税収が落ち込むような場合は、それこそ税収の年度間の変動に対応する財政調整基金などを活用した財政運営が必要なのではないでしょうか。
 身の丈に合った歳出水準について、こうした点をどうお考えになっているか、お答えください。

○田原財務局長 ただいまご議論がありましたように、都税は法人二税を中心といたしまして、不安定な構造になっております。行政サービスのあるべき水準を踏まえました真の意味の身の丈に合った歳出の水準といいましょうか。ご指摘のとおり、年度ごとの税収に単純に左右されるものであってはならない思っております。
 このためには、国から地方への税源移譲を進めるなど、安定的な税源の確保に努めるともに、ご指摘いただきましたように、財政調整基金などの財政の対応能力を活用しながら、身の丈に合った歳出水準を維持していく必要があると考えております。

○星野委員 知事もこれまで十二、十三年度の一時的な税の増収について、使い切ることなく、財政調整基金に積み立て、十四年度の財源不足に充てるという都税収入の状況を踏まえながら、極めて適切な財政運営を行ってきたと思います。
 そこで、これまでの議論を踏まえ、財政再建推進プランの最高責任者である知事に伺います。
 財政再建推進プランの計画期間は十五年までですが、知事自身、財政再建道半ばとして、新たな財政再建のためのプランの策定が必要だとしております。また、知事は我が党の代表質問に対して、この四年間を冷静に総括すると述べておられます。
 知事はこの四年間の取り組みを踏まえ、今後の財政再建に生かすべきところ、さらなる努力が必要なところをどのようにお考えなのか、お伺いいたします。

○石原知事 就任以来、東京の実態が徳俵に足のかかったお相撲さんのように十両に転落寸前でございましたから、直ちに財政再建推進プランを策定いたしました。危機に直面した都財政の建て直しを進めてまいりました。
 その結果、税収減などの逆風が続く中でありましたけども、厳しい内部努力や聖域のない施策の見直しなどしまして、都が独力で対応可能な取り組みについては、一応目標額をすべて確保するなどの成果は上げたと思います。
 これはプランの取り組みを通じて、コスト意識、危機意識が庁内に浸透し、スピードのある大胆な改革が実行できたことによるものと思いますが、ご指摘のように、まだまだ前途多難でありまして、都は大きなずうたいとはいえ、しょせん国の一部でありますが、国そのものの経済動向という多様的な条件がなかなか思うに任せませんで、その結果、皆さんのご理解をいただきながら努力をしましたけれども、完璧な治癒とはとてもいいがたい。病院で血清検査、はかったら、退院させるか、させないかでぎりぎりなところだと思いますんで、これはやっぱり回復の方向に向かいつつありますが、しかし、健康体とはとてもいえない。さらに、財政再建の取り組みをステップアップしていかなくちゃいけないと思っております。
 その意味で、これからとるべき重要な課題としては、せっかくつくった法律で内容がないわけでありますから、国から地方への税源移譲はもっと積極的に、具体的に行われるように地方税財源の速やかな改革を実現していくことが必要でありまして、他県とも力を合わせて力強く働きかけていきたいと思いますし、もう一つは、ただいまもお話しいただきましたように、歳出の水準を都税収入の実勢を踏まえたものにするために、さらにぜい肉を落として、歳出構造をスリムにする必要があると、不可欠であると考えております。
 ついでに、先ほど地下鉄のご質問がありましたけども、私も時々乗りますが、ハードの面では韓国の事情とは大分違って、電車がすぐ燃えるなんてことはないと思いますが、いかんせん、例えば大江戸線のある駅などは三重構造になっていてわかりにくい。何かが起こったとき、非常に混乱を来しますし、企業にいっても一向にらちが明きませんので、ユーザーを中心に、もっと幅の広い方々にひとつ使いやすく、わかりやすくするインフォメーションのコンペを呼びかけることにいたしました。
 同時に、地下鉄ではございませんけど、前の都庁の跡の国際フォーラム、これはまことにわかりにくい建物で、ただ、やはり建築家が威張っていまして、少しも変えちゃいかんという約束をしたそうですけど、先日ある使いを送りまして、いうことを聞きかんなら壊すと。だから、勝手に便利に使えるように直すぞといいましたら、にわかにうんといわないから、事後承諾で結構ですということがあって、あれもやっぱりあそこに来られる方々、安心して使えるようなシステムに直そうと思っております。

○星野委員 ありがとうございました。
 次に、都市環境の整備についてですが、まず、東京のしゃれた街並みづくり推進条例(案)について伺います。非常にしゃれた名前をつけましたね、この条例は。
 今回、都が提案している条例については、東京の都市再生を幅広く進めるという観点から、密集市街地など都内の広範な地域におけるまちづくりの課題を解決するための方策として、期待することが大であります。
 また、街並み景観づくりを通じて、東京の都市としての魅力を高めることが、我が国の国際的な地位を高めることにつながるものと考えます。
 本条例によって、地権者等の意欲や創意工夫を生かしたまちづくりを支援する都自身の制度が創設されることは、これまで適切な対応策を見出し得なかった地域において、まちづくりの可能性を大きく広げるものであると考えられます。
 本条例のねらいとするところは、さきに行われた都議会本会議における我が党の代表質問を通じて明らかにされたところですが、新たな取り組みである街区再編まちづくり制度及び街並み景観づくり制度について重ねて伺います。
 まず初めに、街区再編まちづくり制度について伺います。
 これまで解決が困難であった課題について、どのような対応を行おうとしているのか、お伺いします。

○勝田都市計画局長 密集市街地においては、敷地の細分化が進んでおりまして、権利関係が複雑になっております。こうした地域でまちづくりを進めるためには、合意形成の容易な小さなまとまりで共同化を進めることが効果的でございます。
 そのため、ご質問いただきました街区再編まちづくり制度では、地域の実情に応じまして容積率や斜線制限などの規制緩和を柔軟に行っていくことによりまして、小規模な建てかえを連続的に誘導してまいります。

○星野委員 小規模な開発を促進することで、密集市街地の再編整備を進めることを目指しておりますが、具体的にどのような促進策を講じようとしているのか伺います。

○勝田都市計画局長 本条例では、都市計画法で〇・五ヘクタール以上でございます都市計画提案の規模要件を〇・一ヘクタールまで引き下げるとともに、それに満たない場合でも提案に準ずる申し出ができるようにしております。こうした小規模な事業につきましても、市街地再開発事業の認可を積極的に行うことによりまして、課税特例の適用を可能とするなどの道を開いております。

○星野委員 小規模建てかえを促進することは、地域全体の統一性のある街並み形成を損なうものにならないか伺います。

○勝田都市計画局長 街区再編まちづくり制度では、まちづくりを進めようといたします面的な広がりを持った地域について、あらかじめ街並み再生方針や地区計画を定めることによりまして、建築物の高さや壁面の位置など、地区全体の街並み形成の方向性を示すことにしております。
 したがいまして、たとえ小規模なものでございましても、全体の統一性を損なうことなく、それらを着実に積み重ねることによりまして、良好な街並みを形成することができると考えております。

○星野委員 次に、街並み景観づくり制度について伺います。
 都は、既に景観条例を制定しておりますが、街並み景観づくり制度と景観条例の役割の違いは何なんですか。

○勝田都市計画局長 景観条例でございますが、都全域を対象といたしまして基本理念を定め、景観づくり基準に沿った建築行為等への配慮を事業者が行政に届け出ることによりまして、景観に配慮したまちづくりを進めていくものでございます。
 一方、街並み景観づくり制度の方でございますが、知事が指定する重点地区において、その地区内の住民の方々等が主体となりまして、景観に関する地域ルールを定め、みずから街並み景観づくりを主導していくものでございます。

○星野委員 今、知事が指定する街並み景観重点地区としてでありますけど、これはどのような場所を想定し、また、この制度を推進するための支援策はどのようなものが考えられているのか伺います。

○勝田都市計画局長 街並み景観重点地区として想定しているところにつきましては、歴史的、文化的な街並みを継承していく地区、幹線道路と一体的な景観を整備する地区、大規模な開発に伴い、新たな都市景観が創出される地区等でございます。
 また、支援策といたしましては、街並み景観づくりの取り組みに対しまして、情報の提供や専門知識を有する街並みデザイナーの派遣を行います。この運用に当たりましては、地域の特性に応じた柔軟な対応を行い、魅力ある街並み景観の形成に努めてまいります。

○星野委員 それでは、次に参ります。
 次に、電線類の地中化事業について伺います。
 道路に立ち並ぶ電柱は、歩行者や自転車の通行の支障になるばかりでなく、町の景観を損なっています。また、地震や台風等の災害時における電柱の倒壊や電線の切断は、人々の避難や救助活動に大きな支障となり、被害を拡大する要因にもなります。
 さらに、阪神・淡路大震災において、地中化された通信線の被害率が約八十分の一であったという報告もあり、災害に強いことが実証されています。
 高速大容量のインターネットが普及し、情報の流通量が飛躍的に増加している現在、従来にも増して情報基盤への危機管理対策が必要となるなど、電線地中化事業の重要性は高まるばかりであり、なお一層の事業推進が求められています。
 特に、昨年度来、都が国や電線管理者と共同して開発をしてきた次世代型電線共同溝については、地中化事業推進の切り札として大変期待しています。一刻も早く実用化し、事業の拡大のために大いに活用すべきであります。
 そこで、都における地中化事業の進捗状況と次世代型電線共同溝の実用化の見通しについて伺います。

○小峰建設局長 都は、昭和六十一年度以来、電線類地中化計画に基づき事業を進めており、平成十三年度末現在、都道での地中化の状況は、整備対象施設延長、これは橋梁部等地中化できない区間を除く道路の両側の延長部分でございますが、二千三百キロのうち四百九十キロが整備済みで、地中化率は二一%でございます。
 これまでコンパクト化とコスト縮減を図るため、次世代型電線共同溝について、国、東電等電線管理者と開発を進めてまいりましたが、モデル施工の実施状況や電線管理者による作業性の検証等により、実用化のめどが立ち、十五年度から積極的に導入してまいります。

○星野委員 また、防災に視点を置いた事業の取り組みが必要であり、とりわけ防災上の重要道路や、区市と連携して地域全体の地中化を重点的に進めていくことが重要と考えられます。
 都市の防災機能を高め、安心して暮らせる大都市東京を実現するため、都は、電線の地中化事業に今後どのように取り組んでいくのか、お伺いします。

○小峰建設局長 地中化につきましては、都市防災機能の向上のためにも、またセンター・コアエリアの幹線道路や災害時の緊急輸送路などにおいて優先的に整備してまいりました。
 今後、歩道幅員等の制約から地中化がおくれております環状七号線にも次世代型電線共同溝を活用し、重点的に事業を実施してまいります。
 また、都内全域に地中化を展開するために、財源の確保や区市町村への技術的支援等を図りながら、電線管理者等と連携し、地中化の一層の促進に努めてまいります。

○星野委員 次に、都市基盤整備としての外環道及び道路公団民営化について伺います。
 昨年八月に道路関係四公団民営化推進委員会が中間まとめを発表して以来、十月には石原知事が大阪府知事とともに、大都市における高速道路整備の効果について共同アピールを行い、十一月には都内で一日委員会が行われ、都からは青山副知事が出席し、首都圏三環状道路の早期整備を訴えたと聞いています。
 こうした経緯を踏まえ、昨年十二月には民営化推進委員会から意見書が提出されました。意見書では、四公団の地域分割、上下分離方式の採用、民営化会社の採算性重視による新規路線の建設などが示され、現在、法制化に向けたさまざまな議論がされているところです。
 そこでまず初めに、東京都としては、この意見書の内容についてどのように考えているのか、お伺いします。

○勝田都市計画局長 意見書の内容を見ますと、効率的な経営と利用者サービスの向上に資する検討がされておりまして、この点は評価しております。
 一方、採算性という経営的な判断だけで新規路線の整備の可否を決定しようとしていることが、本来必要な道路整備に足かせをはめる結果となりまして、こうした考え方は問題だというふうに認識しております。
 また、拡大首都高という案につきましては、都が主張してまいりました圏央道内側の首都圏一帯となった経営体とは異なるものとなっております。
 今後、首都圏の高速道路の整備と維持が円滑に進む経営形態になるよう、積極的に働きかけてまいります。

○星野委員 この意見書によれば、特に、都道である首都高速道路を民営化会社に譲渡し、所有させるとありますが、これまで都は、首都高速道路公団に対し多額の投資をしてきています。
 そこで、出資金と貸付金はどのような性格のものであるのか伺います。

○勝田都市計画局長 出資金は、首都高速道路公団の基本的な資産として、一般民間企業におけます出資、増資と同様なものでございまして、将来的には都へ移管される首都高速道路の建設、改築事業等を目的として拠出されるものでございます。
 また、貸付金は、渋滞解消効果が大きい路線を対象といたしまして、その早期完成を目指して、無利子貸付による重点的な資金投入を行っているものでございます。

○星野委員 都から公団に対するこれまでの出資金と貸付金の総額とこれらの投資は、すべて株式会社の持ち分になってしまうのかどうか伺います。

○勝田都市計画局長 都から首都高速道路公団に対するこれまでの出資金と貸付金の総額は四千四百六十七億円でございます。このうち出資金の取り扱いにつきましては、道路関係四公団民営化推進委員会の意見書では別途検討するとしておりますが、都といたしましては、当然都の権利が担保されるべきものと考えております。
 また、同意見書では、長期債務を承継するとしておりまして、貸付金も当然保全されるべきものでございます。
 都は、道路公団民営化の議論の中で、都の出資金、貸付金に係る権利が保全されるよう、適切な機会をとらえて積極的に働きかけてまいります。

○星野委員 当たり前な答えだろうと思いますけど、もう一つ念を押して。出資金と貸付金は都民の税金であります。それが返還されることなく新たな民間会社に譲渡されることは、我々も大きな問題としてとらえておりますし、危惧しております。今後も出資金と貸付金が十分に担保されるべきと考えており、都としても主張していっていただきたいと思います。
 さて、公団民営化が具体的に議論される中にあっても、外環や中央環状線を初めとした首都圏三環状道路の整備は促進すべきと考えます。
 特に外環について、扇国土交通大臣と石原都知事から外環に関する方針が示されましたが、この方針を踏まえ、東京都としては今後どのように取り組んでいくのか、お伺いします。

○石原知事 当節、女性が非常に強くなりまして、それを見込んでのことでもありましたが、数十年前に根本さんという非常に威勢のいい、私、個人的に親しかったんですけど、おじさんが建設大臣しておりましたけど、妙に気弱な人で、美濃部都政の妙なブームに押されて、環状線の凍結を宣言しまして、以来、扇さんが就任するまで、建設大臣は歴代男性でありましたが、私、随分この人たちに持ちかけて話しましたけども、一向に凍結は解除されませんで、扇大臣の代になってようやく凍結が解除されまして、一歩進みつつあるわけでありますが、いずれにしろ、大都市の高速道路というのは、いろいろ論はあるようでしょうけども、これは直接経済に大きな効果がもたらされるだけではなくて、環境問題や外部不経済の解消効果も極めて大きいものでありまして、首都圏東京の再生、ひいては日本そのものの再生にも不可欠なものであります。
 先日、ロンドンでロードプライシングが実行に移されまして、そのニュースが入ってきまして、質問を受けましたが、私たちもこの四年間研究してまいりまして、いろいろかんかんがくがく論があるんですけども、なかなかどの論も実行に移しがたい決定的な要因は、環状線が不整備であるということでありまして、仮にロードプライシングを東京でやっても、さらに新しい混乱が別のところに起こるという可能性もあるわけで、そういう点からも、私たち、環状線の完成を一刻も早く急がなくちゃいけないと思っておりますが、道路公団、四公団が民営化されても、必要な社会資本であります三環状道路の整備は、施工者がだれであろうと一番大事な目的であると思っております。
 とにかく外環はその中核をなすものでありまして、渋滞解消や環境改善の特効薬ともいえると思います。これまでも精力的に取り組んでまいりましたが、去る一月には整備方針を示しました。この方針に基づきまして、現在、大深度やインターチェンジの設置について、もう少し踏み込んだ具体的な案として、国とともに具体的な検討を進めている次第であります。
 今後も関係者と議論を重ね、また積極的に住民の方々の意見も聴取しまして、多くの方の満足をいただくような形にしていきたいと思っております。

○星野委員 我々がいうまでもなく、この三環状線道路は、東京のこれからの発展に影響する大きな計画であると思います。ぜひ都知事を中心に皆さんも頑張っていただいて、私どももご協力を申し上げたいと思います。
 それでは、次に参ります。
 次に、連続立体交差事業について伺います。
 活力ある東京の再生を図るためには、都内の慢性的な交通渋滞を解消することが不可欠であります。そのために、渋滞の大きな原因の一つである踏切の解消を推進していくことが必要であると考えています。
 しかし、都内には、朝夕のピーク時に四十分以上閉まっている踏切は約三百六十カ所もあります。これらの踏切を解消するために連続立体交差事業などを行っていますが、完成までに長い時間がかかっているのが現状であります。
 このような状況の中、スピードを重視した踏切すいすい事業を創設し、その第一号が鶴川街道で本年三月末完成すると聞いていますが、まず、この事業の概要と今回完成による効果についてお伺いします。

○小峰建設局長 本事業は、多摩地域の重要な南北道路の一つであります鶴川街道と京王線が交差する箇所に仮設の道路橋を設置することで、早期に踏切渋滞を解消する事業でございます。
 事業の完成によりまして、京王線の連続立体交差化が完成するまでの十年を待つことなく、ピーク時に一時間のうち三十四分も遮断している踏切の渋滞を前倒しして解消するものでございます。
 実施に当たりましては、くい打ちのない直接基礎としたこと、工場製作により橋脚とけたを一体化構造としたこと、構造用材料に既製品を使用したことなど、種々工夫を行い、現場での橋の架設を十カ月で終わらせることにより、通常四年かかる事業期間を二年に大幅に短縮したものでございます。
 また、これにより、約二億円のコスト縮減を図ることができました。今後は、都内の慢性的な渋滞交差点などの解消に、今回の短期間で施工できる立体交差の手法を生かすよう努めてまいります。

○星野委員 現場に即し、コスト意識を持ちながら、スピードを重視した踏切対策の取り組みは、高く評価できます。このような取り組みは、今後ともぜひ進めてもらいたい。
 また、多摩地域では、調布保谷線、府中所沢線など南北道路の整備に力を入れていますが、多摩地域の渋滞問題を根本的に解決するためには、南北道路四路線と交差している中央線の連続立体交差事業の推進がぜひ必要であり、地元からも強く望まれているところであります。
 そこで、中央線連続立体交差事業の進捗状況と今後の見通しについて伺います。

○小峰建設局長 本事業は、多摩地域における南北交通の円滑化やまちづくりに寄与するなど、極めて重要な事業でございます。三鷹駅から国分寺駅間の東側区間については、現在仮線設置工事を進めており、本年秋には上り線を、平成十六年度には下り線を仮線に切りかえるなど、十八年度の高架化を目指してまいります。
 また西国分寺駅から立川駅間の西側区間につきましては、既に九四%の用地を取得しており、十五年度早期に仮線工事に着手し、二十年度の高架化を目指してまいります。
 今後とも関係機関との連携を密にしながら、全力を挙げて事業を推進してまいります。

○星野委員 次に、東京港の国際競争力の強化についてお伺いします。
 日本の港の国際競争力がアジア諸港に比べて相対的に低下しているといわれております。日本は貿易立国であり、基幹航路の大型船が寄港しなくなると、外国の港で積みかえられて貨物が運ばれることになるので、余分なコストがかかります。その結果、特に食料品を初め生活に身近な物資の価格が上昇し、都民生活にも大きな影響を与えることが懸念されます。
 国際競争力が低下していることの大きな要因として、アジア諸港に比べて割高な港湾コストが上げられます。国土交通省の調査によれば、東京港の四十フィートコンテナ一個当たりの取扱費用は釜山港の一・五倍となっています。現在、都が立候補している国のスーパー中枢港湾構想についても、港湾コストの三割低減が目標とされており、その実現に向けて、都、国、民間事業者が総力を挙げて取り組んでいくことが不可欠です。
 初めに、東京港の港湾コストはどのような構成となっており、また、コストを低減させるため、どのような方策があるのか伺います。

○高橋港湾局長 東京港の港湾コストについてでありますが、国土交通省の調査によりますと、コンテナターミナルの施設使用料が三七%、人件費など荷役料が四五%、パイロット料金など船舶関係費用が一八%で構成されております。コスト低減のためには、これらの各構成要素の費用をそれぞれ引き下げることと、貨物取扱量をふやすことによってコンテナ一個当たりにかかる費用を圧縮する方法があろうかと思います。

○星野委員 港湾コスト低減には二つの柱があることがわかりました。そこで、まず、港湾コストの中で港湾管理者が直接かかわっている要素である施設使用料について、どのように低減していくのか伺います。

○高橋港湾局長 施設使用料は、施設整備と管理に要する費用を基礎に設定されております。このことから、自主努力として整備管理費用の圧縮を図るとともに、スーパー中枢港湾への取り組みの中で、ターミナルやその背後施設の整備、改良などに対する新たな国庫補助制度の創設等を提案したところでございます。

○星野委員 次に、最大の構成比を占める荷役料についてでは、人件費が主な要素であると思いますが、賃金そのものを引き下げることは難しいと考えます。具体的方策はあるのでしょうか。

○高橋港湾局長 ご指摘のとおり、荷役料の多くはターミナルで働く労働者の賃金であり、賃金水準そのものを直接的に引き下げることはなかなか難しかろうと思います。荷役料を下げるためには、ターミナルの共同化、協業化などを進めることなどにより、作業量の平準化と運営体制の効率化を図り、労働生産性を上げる必要があります。
 そのため、ターミナルオペレーターが連携を進めるための連絡協議会を設けるとともに、荷役機械や岸壁の相互利用の検討などを行うこととしました。また、現在、複数の事業者が利用している青海の公共コンテナふ頭につきまして、先導的に平成十五年度にターミナルゲート運営の共同化を進めることとしております。

○星野委員 船舶関係費用については、特にパイロットやタグボートの使用料が高いといわれておりますが、これについてはどのような低減策をお考えですか。

○高橋港湾局長 パイロット料金につきましては法令で決められていることから、国際港湾特区での提案などを通じて、制度や料金の見直しを国に強く働きかけているところでございます。
 また、タグボートの料金につきましては、タグボートの使用時間の短縮や、現行の料金体系の見直しを事業者に働きかけることなどにより、船舶関係費用の低減を図ってまいります。

○星野委員 コストを構成する三つの要素の削減案についてはわかりましたが、これらの要素の引き下げだけでは限界があると思います。やはり貨物の取扱量をふやしていくことが大きなポイントではないでしょうか。貨物量をふやす方策にはさまざまなものがあると思いますが、港湾管理者として対応できるものとして、民間事業者が貨物を集荷する努力に報いるような制度を導入していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○高橋港湾局長 ご指摘のように、民間事業者の貨物を集める経営努力が報われるようなインセンティブ制度の導入を図ることが重要であると考えております。そのため、例えば、一定数量以上コンテナを取り扱う場合、ガントリークレーンの使用料を低減することや、東京港での積みかえ貨物を呼び込むための優遇措置などを検討してまいります。

○星野委員 国際競争力を確保していくためには、こうした港湾コストの引き下げだけではなく、港湾の管理運営全般についても官民の力を結集して見直しを進めていくことが重要と考えます。今後、どのように取り組んでいくのか、最後に伺います。

○高橋港湾局長 東京港の国際競争力を強化していくには、ご指摘のとおり、コストの低減のほかに、貨物取扱時間の短縮やサービス向上など、港湾の管理運営全般についての改革を図る必要があると考えております。
 都は、港湾管理者として、こうした方向に向けまして、IT化も含め、利便性が高い港湾施設の提供に努めるとともに、民間事業者に対しましては、これまでの商慣行を改めて、効率的なターミナル運営を進めるよう働きかけてまいります。
 さらに、国に対しましては、税関の土日開庁及び手数料の軽減だけでなく、行政手続の簡素化や規制緩和をさらに働きかけてまいります。こうした施策により、東京港に関係する官民が一体となって、アジアの主要港に伍した港湾になるよう全力で取り組んでまいります。

○星野委員 次に移らせていただきます。
 木造住宅密集地域の整備について伺います。
 都内には、山手線と環状七号線の間や中央線沿線を中心に木造住宅密集地域が広がっています。こうした地域は、老朽木造住宅が密集して立地し、道路、公園などのオープンスペースも十分ではなく、住環境の整備が必要な場所であります。また、震災などの災害に弱く、一度火災が起きれば、多くの人的、物的被害の発生が予想されます。
 一方、これらの木造住宅密集地域は、都心に近接し、交通利便性の高い地域が多く、高いポテンシャルを持った良好な都心居住の可能性を持つ地域です。木造住宅密集地域の早急な整備は、東京の再生を図るためにも重要な課題です。
 我が党のこれまでの質疑で、木造住宅密集地域の整備を促進するため、新たな防火規制、街区再編まちづくり制度などの新たな規制、誘導の仕組みを導入するとの答弁がありましたが、多くの都民が生活している密集市街地の整備を現実に進めるためには、それらの新たな仕組みに加え、実際に事業を動かしていくさまざまな工夫、そして実行が必要です。
 そこで、具体的に木造住宅密集地域の整備を進めるに当たって、何点か質問をいたします。
 これまで柱としてきた事業として木造住宅密集地域整備促進事業がありますが、まず、その実績について伺います。

○橋本住宅局長 現在、区市と連携し、六十四地区、約二千八百ヘクタールの地域で事業を実施しております。これまで、道路、公園などの用地、約十二・四ヘクタールを取得し、整備を進めてまいりました。また、老朽化した木造住宅につきまして、耐火造の集合住宅、約六千五百戸への建てかえを支援してまいりました。

○星野委員 今、事業の実績についてお答えがありましたが、私には町が変わったとは思われません。この事業は地道に進める事業であることは承知していますが、事業そのもののスピードアップを図り、目に見える形で事業成果を上げることが重要です。一カ所でも二カ所でも事業が進み、町の姿が変わっていけば、まちづくりに対する都民の関心も高まります。それが今後のまちづくりの大きな流れにつながると思います。
 そこで、木造住宅密集地域の整備は、なぜ進まないのか。また、都は、今後どのように事業を進めていくのかをお伺いします。

○橋本住宅局長 整備が進まないとのご指摘でございますけれども、その理由といたしましては、事業地域が広大であり、借地、借家が多く、また権利関係が複雑なこと、事業を進めるための種地が不足していることなどが挙げられます。
 今後は事業を重点化するとともに、権利関係の調整等につきまして、改正が予定されている密集市街地整備法の適用が考えられるほか、規制・誘導策や、民間事業者の活力の活用などを図ってまいります。とりわけ、事業を推進するためには種地が必要であります。都営住宅の再編整備によって生み出す敷地など、公有地を活用いたします。
 また、一時的な転居先住宅を確保するため、都営住宅の期限つき入居制度の活用を図ってまいります。こうした戦略的な取り組みによりまして、実効性ある事業展開を図ってまいります。

○星野委員 都営住宅敷地などの公有地を活用した木造住宅密集地域を活用しながら整備するという新しい手法については、これまでも聞いてきましたが、手法の具体化に当たって、民間の持つ知恵や発想、機動力を積極的に活用すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○橋本住宅局長 都営住宅敷地など公有地を種地として活用し、密集地域における転居者に住宅を提供する方策、不動産の証券化による資金調達や、いわゆるエス・ピー・シーの活用など、民間事業者の創意工夫や機動力を生かせる新たな整備手法を構築いたします。平成十五年度には、事業の具体化に向けまして、民間事業者の参入条件の整備を進めてまいります。

○星野委員 都営住宅の敷地を活用するのはわかりましたが、木造住宅密集地域には公社の住宅も結構あります。これらも都営住宅と同様、建てかえを進める中で十分活用していけると思います。しかし、公社の場合、昨年出された「機能するバランスシート」では、住宅の建設にかかわる借入金を返済した後、土地建物を都へ返還することになっており、事業の支障になっている旨の指摘がありました。土地が公社のものにならなければ、土地を担保にした建てかえ資金の調達もできず、建てかえを円滑に進められません。さりとて、土地建物をそのまま公社に帰属させるのでは、公社に余りにも有利な取り扱いとなります。
 このような建てかえの支障を早く除き、公社住宅も活用していく必要があります。こうしたことも含め、木造住宅密集地域の整備に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、もう一度見解を伺います。

○橋本住宅局長 まず、公社住宅の活用についてでございますが、都と公社の間では、ただいまお話ございましたように、昭和二十年代より、公社が住宅建設に係る借入金を返済した後も、土地建物の所有権を都に移転することになっているため、土地の活用が制約され、建てかえを円滑に進める上で支障となっております。
 「機能するバランスシート」におきましても、このような不合理な契約を破棄し、土地を有効活用すべきと指摘されておりますが、今後、公社に相応の負担を求めました上で、公社の用地とする方向で処理し、建てかえを促進させることにより、生み出される敷地をまちづくりに活用してまいります。
 木造住宅密集地域の整備に当たりましては、こうした公社住宅の活用も含め、さまざまな創意工夫を凝らしまして、より一層積極的に取り組み、都民が安心して生活できるまちづくりを進めてまいります。

○星野委員 ぜひとも今後も強力にこの木造住宅密集地域の整備に取り組んでいただきたいと思います。
 それでは次にまいります。
 次に、千代田区日比谷交差点付近における浸水対策に関連して伺います。
 皇居と銀座の町並みを結んでいる首都東京の顔ともいえる日比谷交差点付近においては、平成五年ごろから集中豪雨により浸水被害がたびたび発生しております。この地区は、日本経済の中心である丸の内地区を背景に控え、都市再生の観点からも一刻も早く対策を講ずるべき地区と考えております。
 しかし、この地区は、自動車の交通量が多い上に、道路下には地下鉄、電気・通信、ガス、上下水道など数多くの都市インフラが埋設されており、浸水被害を軽減するための新たな施設を設置するための空間を確保することが難しいところと聞いておりました。
 今般、国土交通省と下水道局が連携することにより、日比谷交差点付近での浸水被害の軽減のための下水道雨水調整池を建設することが可能となったとのことでありますが、このことについて何点か伺います。
 国道の地下に大規模な構造物である下水道の雨水調整池を設置するということは、我が国初めての取り組みと聞いております。国土交通省と下水道局とが連携するに至った経緯及び本事業の内容について伺います。

○鈴木下水道局長 まず、経緯についてでございますが、日比谷交差点付近は今まで浸水被害がたびたび発生しておりまして、浸水を軽減するための施設の設置場所の確保が大きな課題となっておりました。そのような中、国道一号の地下にある共同溝工事用の作業空間に着目いたしまして、これを利用するための協議を重ねた結果、実現の運びとなったものでございます。
 また、本事業の内容でございますが、国が共同溝を建設した後、本来埋め戻ししてしまう空間に、都が貯留量三千四百立方メートルの雨水調整池を建設いたします。道路部分につきましては、国がヒートアイランド対策の一環といたしまして保水性舗装を実施するとともに、雨水調整池にためた雨水を保水性舗装への散水に活用いたします。これにより、浸水対策とヒートアイランド対策を兼ねた事業を実現するものでございます。

○星野委員 下水道局が単独で雨水調整池を建設した場合には、相当な期間とコストを要するとともに、工事による道路交通や周辺へ与える影響も大きく、その事業効果があらわれるまでにも長期間が必要となると思われます。
 ついては、今回の国土交通省との連携により得られる事業効果と、今後の取り組みについて伺います。

○鈴木下水道局長 今回の事業効果でございますが、第一に、事業用地の確保が困難な都心部におきましても、国との連携により、雨水調整池の設置空間が確保できたことでございます。
 第二に、雨水調整池を都が単独で設置する場合と比べまして、五カ年の工事期間が三カ年となり、また、十二億円かかる建設費が八億円となりまして、工事期間で二カ年の短縮、コストでは四億円の縮減が見込まれることでございます。
 三点目でございますが、国がヒートアイランド対策として、この調整池にためた雨水を保水性舗装への散水に活用するなど、地球環境の保全に貢献できることなどが挙げられます。
 今後とも、より一層効率的に事業を進めるため、今回の取り組みを契機に、国などとの連携をさらに強化した浸水対策を展開してまいります。

○星野委員 それでは次に、三宅島に関して幾つかご質問をさせていただきます。
 全島避難の続く三宅島の災害対策について伺います。
 長期にわたる避難生活を余儀なくされている三宅村民の方々のご心労は、察するに余りあるものがあります。さて、帰島を妨げている最大の要因は、有害な火山ガスの存在です。火山噴火予知連によりますと、最近の放出量は一日当たり三千から一万トン程度であり、二年前の二万トンから五万トンに比べて大きく減少しています。
 そこで、都は、火山ガスに関する検討会を国と共同して設け、火山ガスの現状分析や火山ガスに対する安全確保対策などについて検討しているとのことですが、その検討状況はどうなっていますでしょうか、伺います。

○赤星総務局長 検討会は、昨年九月以降これまで四回開催いたしまして、十二月には、二酸化硫黄の濃度分布と気象との関係などにつきまして、中間報告を取りまとめました。
 中間のまとめでは、帰島を阻んでおります二酸化硫黄の放出量は、全体として減少傾向にはございますが、村役場、空港などがございます島の東側で高濃度の二酸化硫黄が観測されていること、また、他の地域におきましても、いまだ環境基準より高い値を示していることなどが明らかになりました。
 現在、検討会では、ガスが健康に与える短期的及び長期的影響、帰島を判断するに当たっての二酸化硫黄濃度の目安、火山ガスの監視体制、ガスに対します安全確保対策などについて検討しておりまして、三月中には最終報告として取りまとめる予定でございます。

○星野委員 これまでも、現地では多くの作業員が、ガス検知器の設置やガスマスクの携帯など、さまざまな安全対策を施された中で、砂防ダムの建設など泥流対策が進められています。
 こうした状況の中で、大雨によって発生する泥流から島民の生命と財産を守る泥流対策がどの程度進捗しているのか、伺います。

○小峰建設局長 泥流対策でございますが、当初、砂防ダムを七十五基建設する計画でございましたが、地形条件等を勘案し、ダムの集約化や大型化などにより、五十一基に改定いたしました。
 工事につきましては、被害の著しい箇所から着手し、本年度末までに、島の北部にある川田沢や南東部の空港付近の釜方沢などで、二十八基の砂防ダムが完成いたします。この完成によりまして、噴火直後には過去最大級の大雨による泥流のはんらん想定区域が、島の約一割に当たる六百九十ヘクタールでございましたが、このうち三分の二の四百四十ヘクタールの地域で安全性が確保されることになります。
 なお、これまで、ダム等を整備した伊ケ谷沢などでは、土砂や流木による被害は発生してございません。

○星野委員 確かに、砂防ダムの整備により被害がなかったことは、その効果が十分に発揮された結果だと思いますが、復旧事業も道半ばという状況であります。
 このため、ハード対策を着実に進めるとともに、大雨の際に島民みずからが安全に避難できるような情報の提供など、ソフト対策も重要と考えます。東京都はどのような対策を考えているのか、伺います。

○小峰建設局長 都は、学識経験者などで構成いたします伊豆諸島土砂災害対策検討委員会の意見を聞きながら、昨年十二月に泥流のはんらん想定区域図を策定いたしました。現在これをもとに、三宅村は、島民みずからの災害への備えや、安全な避難場所などを示したハザードマップを作成中でございます。
 今後も、島民の生命と財産を守るため、砂防ダムの建設などハード対策を進めるとともに、避難に必要な雨量情報の提供や、事業の進捗に伴うはんらん想定区域図の改定など、ソフト対策の充実にも努めてまいります。

○星野委員 ところで、このたび発表された、村と都が連携して帰島後の生活再建に備え、一定の預貯金を残して生活支援金を支給するという災害保護特別事業は、避難島民への支援として評価できます。
 それと同時に、避難生活を送りながらも、帰島後の生活再建と島の産業再生につながる支援も必要です。農業や漁業を営む方々はもちろん、商工業や新たな就労を目指す方々にとっても役に立つ支援策について、都のお考えを伺います。

○有手産業労働局長 都は、これまで、緊急地域雇用特別基金事業などを活用しながら、三宅島げんき農場におきまして避難島民の雇用の場を確保して、帰島後の営農再開を目指すとともに、火山灰を利用したガラス製品の研究開発のほかに、IT関連、介護サービスを初めとする職業訓練など、さまざまな支援を講じてまいりました。
 今後は、帰島後の生活再建、産業再生を視野に入れまして、園芸特産品等の開発についての農業改良普及センターによる技術相談指導や、商工業等に従事する方々を対象に、そのニーズに応じたきめ細やかな職業訓練などを、村と連携を図りながら積極的に実施してまいります。

○星野委員 次に、三宅島の児童生徒についてですが、噴火により、小中高校の児童生徒三百五十九人が旧秋川高校に避難しました。あれから約二年半の歳月が経過し、現在は、小学校には在籍者がなく、中学校と高校に在籍する者も合わせて八十人となっています。これは、多くの児童生徒が保護者の避難先にある学校に転校しているためです。
 そこで、都教育委員会としては、こうした避難先の学校や旧秋川高校に就学している児童生徒とその保護者が、不安なく教育を受けられるように、どのような支援を実施しているのか伺います。

○横山教育長 都教育委員会では、三宅島の全島避難以来、児童生徒を旧秋川高等学校の施設に受け入れてまいりましたほか、スクールカウンセラーの配置などによりまして、児童生徒の相談体制の充実に努めてきました。
 また、児童生徒が、経済的理由により就学が困難とならないよう、就学援助制度の弾力的な運用を関係区市町村に要請しております。
 さらに、児童が在籍をしない三宅村立小学校にも平成十四年度に教職員を配置しまして、教員による転出先の学校訪問や家庭訪問を行いますとともに、三宅村教育委員会と協力をしまして、三宅島の子ども同士の交流が図られるよう、転学した児童生徒も含めまして、小中高等学校の合同運動会、文化祭などを実施しております。

○星野委員 今、教育長から三宅島の児童生徒の支援策について話がありましたが、島民が三宅島に帰島することになった場合には、児童生徒の教育の場である学校施設が利用できる状態にあることが当然必要です。
 そこで、噴火災害による三宅島の学校施設の被害状況と、帰島に伴う施設の整備について、教育長にお伺いします。

○横山教育長 まず、三宅高等学校の施設は、昨年十月の現地調査によりまして、校舎棟は降灰の堆積によりまして雨水が滞留、浸入したため、天井、壁及び床に損傷がございます。温室やビニールハウスにつきましても、破損などの被害があることが確認をされました。
 一方、小中学校につきましては、三宅村教育委員会の調査によりまして、各学校の校舎の内外壁に亀裂や剥落が生じているほか、降灰の堆積による排水管の詰まり等が見られるとの報告を受けております。
 児童生徒が帰島するためには、教育の場である学校施設の整備が必要ですので、関係機関とも連携の上、帰島に際して、学校の教育活動が円滑に再開できるよう万全を期してまいります。

○星野委員 三宅島に対しては、いろんな努力をされているようです。しかし、島民の苦労は帰島後も続く。村の復興に対する都の特段のご支援をお願いして、この件については終わります。
 次に、障害者福祉施策について伺います。
 昨年十二月、国は、新しい障害者基本計画と重点施策実施五カ年計画を発表しました。この一番の特色は、これまでの施設入所中心の施策から、障害者の地域生活を重視する、脱施設という方向性を打ち出したことにあります。このことについては、望ましい方向への転換でありますが、先日の知事の施政方針にもあったとおり、これは国が都の理念を取り入れた結果でもあります。
 そこで、まず、今後の都の障害者福祉施策の基本的方向性について、所見を伺います。

○川崎福祉局長 都は、国に先駆けて、福祉改革推進プランなどにおいて、これまでの施設偏重の画一的な福祉を転換し、障害者が必要なサービスをみずから選択し、地域で自立して生活できるよう、施策を推進してきました。
 さらに、支援費制度に移行します平成十五年度を初年度とする障害者地域生活支援緊急三カ年プランを策定し、地域生活を支えるサービス基盤の集中的な整備を図るとともに、利用者の選択を支える新たな仕組みづくりなどを進め、希望する障害者が、できる限り地域の中で自立して生活できるよう強力に支援してまいります。

○星野委員 これまで、障害者のうち特に知的障害者は、親元で暮らすか、入所施設に入るしか選択肢がないのが現状であり、また、知的障害者入所更生施設の待機者は千人を上回っている状態です。建前は訓練施設であっても、施設入所者が施設を出て生活寮などに入るケースは極めてまれであり、現実には入所施設が生活の場となっています。
 そこで、地域生活重視の理念に照らし、このような入所施設のあり方を根本から変えるべきであると考えますが、いかがでしょうか。

○川崎福祉局長 これまでの入所施設は、利用者の地域における自立生活への意欲などにかかわらず、施設内で安定した生活ができるよう支援することが重視されてきました。
 今後、都は、いわば生活施設となっている入所施設について、その豊富な人材とノウハウを活用して、利用者の地域生活移行を促進するとともに、地域の障害者に対する支援を行うなど、地域生活支援型の入所施設へと抜本的な転換を図っていきたいと思っております。

○星野委員 今後、施設入所者の地域生活移行を一層進めるためには、入所施設における支援の充実や、地域で生活する障害者を支えるためのサービス基盤の充実が必要と考えますが、いかがですか。

○川崎福祉局長 都は、入所者の地域生活移行を促進するため、今年度から、都独自のアパート借り上げ助成により自活訓練事業を充実してまいります。さらに、平成十五年度からは、二十一施設で行っている本事業を都内三十九カ所の全域で実施するとともに、対象者の拡大を図ってまいります。
 また、平成十五年度からは、障害者地域生活支援緊急三カ年プランにおいて、入所施設の地域生活支援機能を強化し、生活寮支援やデイサービス事業などの充実を図るとともに、生活寮や通所施設など、地域生活を支えるサービス基盤を拡充してまいります。

○星野委員 障害者が地域で自立して生活できる社会を実現するためには、サービス基盤の整備や地域移行のための仕組みづくりなど、取り組むべき課題が非常に多いことは事実であります。また、本年四月からは、支援費制度がいよいよ始まります。
 都は、入所施設の新しいあり方を具体化する取り組みを通じ、利用者本位の支援費制度をこの東京で実現し、国や他の道府県をリードしていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。

○石原知事 この四月から始まります支援費制度は、障害者が自分の選択に基づいてサービスを利用するという点では、福祉として一歩前進したものだと思います。しかし、国は、サービス基盤の拡大のための特別な方策を講じていません。フォローがまだまだ不十分のような気がいたします。
 都は、独自にサービス基盤の充実を図るとともに、利用者の選択を支える仕組みづくりに取り組むなど、希望する障害者が地域で自立した生活を選ぶことのできるような施策を強力に推進していきたいと思っております。
 今後とも、全国をリードする都独自の取り組みを展開して、支援費制度に実を入れ、魂を入れ、真に利用者本位の制度をこの東京でこそ実現していきたいと思っております。

○星野委員 次に、多摩地域の緑の課題についてですが、まず、玉川上水の史跡指定について伺います。
 先日、我が党の山田忠昭議員の一般質問において、玉川上水の史跡指定についての質問に対し、その意義について教育長からご答弁をいただきました。本日は、その内容の中で幾つか確認の意味で質問します。
 初めに、玉川上水の史跡指定について、その内容と、いつごろ指定を受けるのか、今後のスケジュールについて伺います。

○横山教育長 玉川上水の国の史跡指定の内容は、羽村取水口から四谷大木戸までの約四十三キロメートルのうち、開渠部分の約三十キロメートルの水路、掘削により生じた斜面、堤及び分水口等の附帯施設が指定の対象となっております。
 また、スケジュールですが、去る一月三十日に都知事名で文部科学大臣あて史跡指定申請が出されまして、都教育委員会としては、同三十一日付で、史跡名勝天然記念物としての指定基準に該当する旨の意見を付して文化庁に提出をいたしました。
 今後、具体的な指定の日時は未定ではございますが、本年上半期に開催が予定されております国の文化審議会に文部科学大臣が諮問をし、その答申に基づいて指定されるものと考えております。

○星野委員 ところで、玉川上水は都民にとって貴重な土木遺産であるとともに、生活の場あるいは生活の一部となっています。私の地元でも、ケヤキの木が大きく茂って、台風によって倒れかねない、危ないという住民の方がいる一方で、自然を守る上で、一切手を入れるなという人もいます。貴重な財産であるとともに、生活の場であるわけです。本当に都民が親しみを持って接していくためには、これらの調和が図られるべきです。
 史跡指定を受けることによって、保全義務等はどうなっていくのでしょうか。少しでも樹木や石を動かしてはいけないというような難しい規制があるんでしょうか。

○横山教育長 国の史跡指定を受けることによりまして、所有者でございます東京都は、文化財保護法等に従いまして、史跡を管理する義務が課せられることになりますが、規制につきましては、基本的には現状維持が原則でございますが、草刈り、清掃等、維持するための措置、または台風による倒木の除去等、非常災害のために必要な応急措置をとる場合や、保存に影響を及ぼす行為が軽微である場合は、所有者の判断により行うことが可能でございます。
 それ以外の場合は、現状変更の内容等によりまして、国や都及び区市教育委員会の許可により現状変更ができることとなります。
 なお、史跡指定により管理義務が生じる一方で、保存に要する工事費等の補助が国から受けられるなど、玉川上水をより良好な状態で保存することができるようになるものと考えております。

○星野委員 この問題で、最後にもう一問。
 話を聞いて、半分安心したり、ちょっとまだ不安だなというところもありますね。メリットもあるわけですね、国からの補助金等。
 現状を変更するときの手続なんかがややこしくなるんじゃないかということで聞いているわけですけれども、簡単なものは区市町村教育委員会判断でできる。大規模な現状変更についても、これは東京都なり何かがやると。ただ、私ども都民がいつも迷うのは、このぐらいのことはこっちの役所でいいのか、このぐらいはこっちかなというのが、なかなかわからないんですね。この辺をはっきりさせていってほしいなという希望でございます。
 引き続きまして、多摩地域における緑の保全と自然保護について伺います。
 多摩の豊かな自然は、都市の潤いの向上やヒートアイランド現象の緩和、あるいは防災空間として重要な役割を果たしています。市街地において、失われた緑を回復するため、屋上緑化のように多額の費用をかけ、緑の創出を行っていますが、私は、多摩の緑の保全こそが重要ではないかと思っています。
 多摩地域では、緑の重要な要素である農地が相変わらず減少を続けています。農地は、環境に果たす役割という点からも重要です。農地を保全するために、農業が継続できるように固定資産税や相続税の負担軽減などの課題があります。農地を保全するためには、いろいろなことが心配されるわけですが、都市環境の保全に果たす緑の役割という観点から、都市において農業を存続させる意味を見直し、将来を見据えた都市農政のための施策展開が必要であります。
 また、都市計画による公園緑地や緑地保全の地区指定などの手法もありますが、それだけでは多摩の緑の減少に歯どめをかけることはできません。
 都として、農地、雑木林等が減少していく多摩の緑について、その保全をどう進めていこうとしているのか、基本的な見解をまずお聞きします。

○小池環境局長 都といたしましては、多摩に残された貴重な緑を保全するため、緑の東京計画を策定し、保全地域や緑地保全地区、生産緑地地区の指定、市民緑地の設置など、さまざまな制度を活用して、良好な丘陵地や樹林地、農地等の保全に取り組んでおります。
 しかしながら、相続を契機に、樹林地や農地等の売却を余儀なくされ、緑の喪失につながるという現実がございます。
 そこで、このため、これまで相続税の納税猶予制度の拡充などを国に対し要請してまいりましたが、今後とも、その実現に向け、強く要請してまいります。

○星野委員 ただいまの局長答弁にもありましたけれども、ちょっと多摩の事情を含めて訴えさせていただきたい部分があります。
 相続税の問題は、多摩の緑の保全に関し極めて大きいといえます。具体的には、多摩の農地については、平成四年から十年までの六年間で四百二十三ヘクタール減少しています。このうち、相続に伴う転用、譲渡、物納が全体の約六〇%を占めていたという調査結果があります。また、市町村が指定する保存樹林で平成十一年から十三年に解除したもののうち、明らかに相続が原因であったものが、面積にして約六〇%と、同様に相続が大きな原因となっています。
 平均的農家の相続税額ですけれども、大体三億から四億ぐらいと伺っています。こういう相続の際に農地を売却せざるを得ないわけですけれども、大体平均しますと二千平米ぐらい、約六百坪前後を農家は処分しているわけです。
 国は、地球温暖化の観点から緑の重要性を大きく取り上げていますが、現実には、相続税によって緑の減少が続いています。国は、いうこととやることが全く違うのではないか。いいかえれば、国は、相続税というのこぎりやかまで都民の貴重な緑を削り取っているわけです。相続税で国庫は潤うでしょうが、一方、貴重な緑は減少し、その回復のために自治体は多額の経費を投入して新たに緑を創出するという、大きな疑問というか、むだをしているんじゃないかと思うわけです。
 緑が失われないような予防的な施策をどうするかが重要であるというのが、私の個人的な見解でもありますが、先日の我が党の予算要望の際、知事にも申し上げましたが、その折、知事は、現地を見てもいいと申されましたので、暖かくなりましたらば、適当な場所を私どもでご案内しますので、どうぞご視察においでくださいますことをお願いします。
 私は、相続税のあり方について、東京都は国に強く改革を迫るべきと考えますが、多摩の自然についての基本的な認識とあわせて、知事のご所見を伺いたいと思います。

○石原知事 東京にはいろいろ人気な場所もございますが、対照的なのが、多摩と、二十三区はもうらち外でありまして、どこへ行っても同じ町でありますが(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)いやいや……。海に面した臨海副都心なるものも、随分日本のあちこちからお客さんが来てにぎわっておりますが、私はむしろ、三多摩に行くと、非常に豊かな空間を感じて心が安らぎます。
 それで、とにかく、あちこちに雑木林や里山、あるいは、いわゆるはけですか、崖線にわく湧水など、都心にはない風景や美しい山や渓谷などがありまして、また、市街地に隣接しながら野菜や果樹を生産する貴重な農地もございます。これらの多摩の自然は、多摩の方々だけじゃなしに、都民全体の一つの財産、安らぎのための財産としてこれからも保全していくことが必要だと思っております。
 国税であります相続税の支払いのために、緑がどんどん喪失され、一方では、緑を大事にしろということで自治体が財政的な負担も強いられるというのは、非常に大きな矛盾だと、全く同感でございます。
 私は、議員のころからもかねがね、相続税は非常に問題があちこちにあるということをいってまいりましたが、とにかく、大蔵省の役人というのは本当にいちずに信じているようですけれども、自由経済であるから、個人資産というものの形成は認める。ただ、それがだんだんだんだん雪だるまみたいに膨らんでいくのは許せない。三代たったら、初代の形成した個人財産はゼロになるのが望ましい。これは、隣のシナとかロシアのような共産主義の家元でもこんなばかなことをいう役人はいないと思うんですけれども、そういうことを日本の大蔵省の役人が本気で、だれに聞いてもいうということが私は理解できないんですけれども、都市再生ということでやっと国のプロジェクトに上ってきましたし、これもまた都市の再生のための一つの大きな要件だと思いますので、緑の保全というんでしょうか、農地というものの相続税を通じての特別な扱い方というのは、当然あるインセンティブをつけて考えられるべきものだと私は思いますので、周囲の七都県市と力を合わせて、国にもこれから申し込んでいきたいと思います。

○星野委員 ありがとうございました。現地はそのほど場所を選んで、どうかよろしくお願いします。
 次に、産業振興にかかわる知的財産について伺います。
 我が国のものづくり産業は、経済のグローバル化に伴い、低廉な人件費を背景にしたアジア諸国製品の厳しい追い上げにより、大きな打撃を受けております。そうした中で、目の前に迫る危機的な状況に対応するため、セーフティーネットの充実が必要不可欠であります。
 一方で、我が国のものづくり産業を活性化させるためには、中長期的な視点から将来を見据えた技術革新への取り組みが重要です。量産品の競争では厳しい場面もありますが、我が国には高い技術力、豊富な個人資産、安定した社会など、経済発展を支える大きな基盤は存在します。そうした社会基盤を積極的に活用し、高い技術力でグローバル社会を戦い、勝ち抜いていくことが今、必要です。そうした意味で、我が国の高い技術力を守るための知的財産の重要性がますます高まっていくものと思われます。
 これまでも城南地域中小企業振興センターの知的所有権センターなどで、未利用特許の流通促進や知的財産にかかわる相談を行った実績もあると思いますが、城南地域振興センターでは、例えばどのような実績があったのか、具体的な実例を挙げてお答えください。

○有手産業労働局長 城南地域中小企業振興センターにある知的所有権センターの相談等の実績でございますが、本事業を開始した平成十年度は百四十件、平成十三年度には五百三十八件、平成十四年度には、十二月末現在で既に四百二十件に達しております。
 特許活用等の実績も、平成十年度から十三年度までの成約件数の合計が七十二件であったものが、平成十四年度には十二月末現在で六十一件に達しております。
 具体的な例といたしましては、都の産業技術研究所の指導により民間企業が開発した技術を、知的所有権センターが、他の企業に橋渡しをした結果、現在、十の企業の間で特許の実施契約の締結に至っているケースがございます。

○星野委員 時間が少なくなったので、少しはしょってやらせていただきます。
 特許を取得すべき場合、そうでない場合、ケース・バイ・ケースであります。特許戦略で難しいのは、まさしくそこいらだと思います。特許の活用に関しては、こうしたきめ細かい情報提供も東京都の大切な役割の一つです。今後、そうしたことを踏まえた知的財産戦略を策定すべきだと考えますけれども、お答えください。

○有手産業労働局長 我が国のものづくり産業の競争力を高めていくためには、中小企業の持つ高度な技術を特許等により保護することは非常に重要でございます。
 このため、特許にかかる経費や取得手続などの基礎的な情報のほか、今般、改正が予定されております不正競争防止法を初めとする、技術を守るためのさまざまな手法を、ご指摘のように、中小企業の方々に積極的にお知らせしていく必要があると認識しております。
 今後、中小企業の知的財産活用についての実態を的確に把握しつつ、専門家の意見を十分に聞くとともに、お話しの点も踏まえまして、中小企業への知的財産にかかる支援についての知的財産活用戦略を策定してまいります。

○星野委員 次に、観光まちづくりについて伺います。
 私は、観光振興を図るには、観光の視点に立ったまちづくりも大変重要であると考えます。
 東京には、歴史、文化、伝統産業など、さまざまな観光資源があるにもかかわらず、それらの資源を生かし、人々が交流し、にぎわいのあるまちにしようとする観光の視点が、根本的に欠けているのではないでしょうか。
 大分県湯布院町の官民一体となったまちづくりの成功事例が示すように、観光客を引きつけるためには、テーマ性を持ったまちづくりが何よりも優先されるべきであると考えます。
 東京都は、来年度の重点事業の一つとして、観光まちづくりを取り上げています。そこでまず、観光まちづくりの基本的な考え方について、知事に伺いたいと思います。

○石原知事 我が国の産業はいろいろありますが、日本に限っていえば、観光は、この日本においては今世紀に非常に可能性を持った、飛躍、成長が望める有力な産業の一つであると思います。観光振興を図ることは、東京の再生、発展のために不可欠だと思っております。
 ゆえにも、いろいろ策を講じておりますけれども、そのうちに、観光を担当する副知事も設けて、もっと多角的に観光開発というものをやっていきたい。
 例えば、東京に来るのは、地方の方々、外国人も含めてたくさんの観光客がおられますが、東京の間近に鎌倉という日本三大古都がある。これは京都と奈良とはまた違いまして、非常に至近の距離で、しかも稠密な潤いのあるまちでありまして、こういったものと東京を重ねてのセールスのようなことを何で考えないのかと思っております。
 いずれにしろ、あちこちに点在する豊富な観光資源を、有力に、有機的に結びつけて、東京というまちの魅力を高め、国内外の旅行者を呼び込むことを、積極的に目指していくつもりです。

○星野委員 基本的な考え方はわかりました。
 モデル地域を上野と臨海の二地区に定めたというふうに聞いておりますけれども、上野をモデルにした意味、それから臨海を指定した意味、これらについてお伺いします。

○有手産業労働局長 都は、江戸時代からの歴史、文化の凝縮された上野地区と、若者に人気が高く、未来に向かって発展の可能性がある臨海地区をモデル地区として、世界に発信できる観光の拠点づくりを推進したいというふうに考えております。
 上野地区をこれからどうするかということでございますが、上野東照宮など、江戸時代からの歴史、文化的にすぐれた観光資源が数多く点在している。このため、にぎわいをつくるために、歴史的建造物のライトアップや、旅行者の利便等を図るための観光案内標識の整備、美術館、博物館、歴史ある建物をめぐる観光ルートなどを設けまして、観光資源を有機的に結びつけて、ハード、ソフト両面から、上野地区全体の魅力を高める観光まちづくりを進めてまいります。
 それから、臨海につきましては、港湾局の方で対応してまいります。

○高橋港湾局長 今年度の重点事業の中に、上野地区と並んで、臨海副都心が観光のモデル地区として指定されておりまして、先ほど知事からのお話もありましたように、東京の中で極めて魅力的な機能を備えておる臨海について、今後、観光政策について重点的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

○山本委員長 星野篤功理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時休憩

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